ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第45回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)(2015年1月16日)
2015年1月16日 第45回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)
健康局疾病対策課移植医療対策推進室
○日時
平成27年1月16日(金)10:00~12:00
○場所
厚生労働省 専用第20会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)
○議題
1 造血幹細胞移植を取り巻く現状等について
2 関係団体からのヒアリング
(1)日本赤十字社
(2)公益財団法人 日本骨髄バンク
(3)一般社団法人 日本造血細胞移植学会
(4)特定非営利活動法人 さい帯血国際患者支援の会
(5)特定非営利活動法人 血液情報広場・つばさ
(6)認定特定非営利活動法人 全国骨髄バンク推進連絡協議会
3 造血幹細胞移植推進拠点病院について
4 その他
○議事
○小澤委員長 おはようございます。ただいまから、「第45回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。正月気分は抜けていると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。造血幹細胞移植推進法が施行されるまでは、この委員会が集中的に何回も開催されましたが、今回は久しぶりの委員会です。事務局から、本日の委員会の出欠状況の報告、資料の確認等をお願いいたします。
○山口室長補佐 本日は、坂巻委員、野村委員、吉村委員から欠席との御連絡を頂いております。また、参考人といたしまして、日本赤十字社血液事業本部副本部長 高梨美乃子様、公益財団法人日本骨髄バンク理事長 齋藤英彦様、特定非営利活動法人さい帯血国際患者支援の会理事長 有田美智世様、特定非営利活動法人血液情報広場・つばさ理事長 橋本明子様、認定特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会理事長 野村正満様に御参加いただいております。
次に、事務局に異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。昨年7月11日付けで健康局長に着任しました新村和哉です。
○新村健康局長 新村と申します。よろしくお願い申し上げます。一言御挨拶申し上げます。本日、委員の皆様方及び関係団体の皆様方におかれましては、御多忙のところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、日頃から造血幹細胞移植の推進への御支援、御協力をいただいておりますことに対しまして、厚く御礼申し上げます。
本日は、造血幹細胞移植推進法が本格施行されてから1年が経過したということを踏まえまして、法施行後の現状等について関係団体の皆様方からのヒアリングを行っていただき、今後の施策の方向性等について御提言をいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。また、平成25年度から整備を進めております造血幹細胞移植推進拠点病院について、現状と今後の進め方についての御報告を申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。
○山口室長補佐 新村局長は、公務のため御挨拶で失礼させていただきます。
( 新村局長退席)
○山口室長補佐 同じく昨年7月11日付けで移植医療対策推進室長に着任しました阿萬哲也です。
○阿萬移植医療対策推進室長 阿萬です。よろしくお願いいたします。
○山口室長補佐 資料の確認をさせていただきます。本日配付させていただいております資料としまして、資料1「造血幹細胞移植を取り巻く現状等について」。ヒアリング資料としまして、資料2の1~5まであります。資料3は、「造血幹細胞移植推進拠点病院の今後の進め方について」になります。また、別途、本日配付させていただいていますが、「平成27年度造血幹細胞移植対策関係予算(案)の概要」という1枚紙、また、骨髄バンクよりポスターをお預かりしていますので、委員の先生方に配付させていただいております。不備等がございましたら、事務局までお伝えください。よろしいでしょうか。事務局からは以上になります。よろしくお願いいたします。
○小澤委員長 議事に入ります。ただいま新村局長からお話がありましたように、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律が全面施行され、約1年が経過しました。本日は、法施行後の現状等について、厚生労働省からの報告及び関係団体の皆様からのヒアリングを中心に進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。議事の(1)「造血幹細胞移植を取り巻く現状等について」、事務局から資料1に基づき報告をよろしくお願いいたします。
○阿萬移植医療対策推進室長 資料1及び別途配付しています平成27年度予算案の概要に基づいて御説明をさせていただきます。法律の目的、内容等につきましては、既に先生方は御存じのところと思います。造血幹細胞の適切な提供の推進に関して、基本理念、国やバンクなどの責務、国の施策などについて規定をしています。具体的には骨髄バンク・臍帯血バンクを許可制とし、補助の規定その他、骨髄バンク・臍帯血バンクに対する支援機関として日本赤十字社に指定させていただくなどの法律です。
この法律に基づいた制度が、2ページの上でございます。「造血幹細胞移植の実施体制」ということで、厚生労働省、造血幹細胞提供支援機関、さらに骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者、更に臍帯血供給事業者の4者の関係を図式化させていただいたものです。
特に厚生労働省があっせん事業者の許可や、支援機関の指定などを行わせていただくこと、そして、それぞれ左側の日本骨髄バンクにおかれましては、骨髄・末梢血幹細胞移植のコーディネート業務を行っていただいておりまして、その中でドナー登録者との関係、そして医療機関との関係などがあります。さらに、右側を御覧いただきますと、現在、日本国内6つの臍帯血バンクの皆様方に、臍帯血供給事業者ということで業務を行っていただいておりまして、臍帯血採取施設との関係も含めた全体の構図となっています。
2ページの下のグラフは、「造血幹細胞移植実績の推移」ということで、これは非血縁者間に限らせたものになります。年度ベースで出すものが通常ですが、今回は特にこのタイミングですので、歴年ベースでの資料として出させていただいています。平成26年度の件数については12月現在の速報値で、まだ少し全体の整理がついていませんので、その点については御留意いただければと思います。全体ではここ1、2年は横ばいという形になっていますが、それまでは、順調に伸びてきていました。
そのような中、現状の問題点につきまして、本日、ヒアリングをお願いしております参考人の先生方も含めまして、色々と御意見をいただければと思っています。
最後に、「平成27年度造血幹細胞移植関係予算(案)の概要」に基づいて説明をさせていただきます。平成26年度の予算額が20.3億円でしたが、平成27年度予算額は20.6億円で、予算全体とすると、現状維持プラスアルファということで確保することができています。その中で特に増額が認められていますのが、その少し下の「マル増」と書いてある所の、造血幹細胞移植推進拠点病院です。平成25、26、27年の3か年で9か所の整備を進めるということで、平成27年度において9か所を選定する予算を確保しているところです。その他の事業費については、それぞれ維持をする中で、予算の効率化などを図りつつ、今回の額とさせていただいております。
それに加えまして、下の参考で「平成26年度補正予算案」とあります。これは昨年8月の概算要求のときには、推進枠ということで要求をしていた、造血幹細胞移植関連情報の共通基盤データベースの構築という項目で、これは一元的な検索などを目的としたデータベースの構築を進めるための経費で3.8億円計上されています。これも含めると全体としてはかなりの増額になっているものと考えています。事務局からの説明は以上となります。
○小澤委員長 事務局の説明を踏まえまして質疑・議論をお願いいたします。何か御確認、御質問はいかがですか。スライド原稿の2ページの下の「移植実績の推移」ですが、今、御説明がありましたように、ここ1、2年は総計も伸びが止まっている状況にあるようですが、事務局から、この辺の事情等、把握は何か。
○山口室長補佐 この原因について、実は事務局でもまだちゃんと解析できていないところがありますが、今年度の疾患の発生数とか、そういうところも含めて事務局でも改めて見直しさせていただきたいと思っています。
○宮村委員 最近、ハプロの移植で血縁者間が増えているのが、少し影響がある可能性はあると思います。ただ、その実態については調査していませんが、学会の報告の中でそれが増えているかどうか確認をします。
○小澤委員長 血縁者が少し増えてきているという感じですね。
○日本骨髄バンク 別件でいいですか。事務局にお伺いしたいのですが、予算の所ですが、一番下で上記のほか「移植医療研究の推進のための経費」として計上されていますが、この部分はAMEDには行かずに、全部厚労省の行政研究として確保しているわけですか。
○阿萬移植医療対策推進室長 はい、この「移植医療研究の推進のため」という言葉は、実は臓器移植も含まれた形になっていますが、AMED分を含めて確保しているものです。
○小澤委員長 他にいかがですか。よろしいですか。これからの議論の中でも、またいろいろ御意見をいただければと考えています。次に、議事(2)「関係団体からのヒアリング」に移ります。本日は、関係6団体にお越しいただいています。時間の都合もありますので、全体を2つに分けてお話を伺った後に、各委員からの質問を受ける形にしたいと思います。日本赤十字社、日本骨髄バンク、日本造血細胞移植学会の3団体のお話を伺った後に、質疑を行い、引き続いてさい帯血国際患者支援の会、血液情報広場・つばさ、全国骨髄バンク推進連絡協議会の3団体のお話を伺います。では、日本赤十字社の高梨様、よろしくお願いいたします。
○日本赤十字社 おはようございます。よろしくお願いいたします。資料2-1を使って御説明申し上げます。
スライド2ですが、平成25年9月に本法律が施行されまして、10月に日本赤十字社が造血幹細胞提供支援機関という指定を頂いています。そして、昨年1月から法律の全面施行ということで、日赤の中に担当部署を設けています。支援機関の業務が法律の第45条に書いてありまして、1号業務が提供希望者の登録、その他必要な協力とされています。
スライド4に第2号業務がありますが、これは造血幹細胞提供関係事業者間に必要な連絡調整です。第3号業務が、情報の一元管理と情報提供、第4号業務が普及啓発となっています。
スライド5が、昨年1月1日から日本赤十字社血液事業本部に置かれました担当課の説明です。日赤の中でどのように業務を行うかということで、スライド6になりますが、支援機関業務として開催する会議を設置させていただきました。連絡会議及び業務に必要とされる2つの委員会を設置させていただいています。また、協力する中で、骨髄ドナーの登録推進プロジェクトを担当課の方々を中心に組織しています。また、特別部会といたしましては、支援機関業務についての意見を直接頂きたいということで、設置させていただいています。こちらの先生方には、多くの会議でお世話になっています。
支援機関業務の関係図で、日赤が真ん中の絵で恐縮ですが、このように中で整理をしつつ、業務を進めています。特に、骨髄ドナー登録者についてということで、次から多少時間を頂きます。
スライド8です。現在、有効ドナー数は増加はしていますが、増加率がやや落ちています。また、過去9年間、新規登録者数が減少傾向にあります。登録取消者数が、直近の5年間1,600人の増加をいたしました。ということで、現状のまま取消人数が増加いたしますと、9~10年後には新規登録者数と登録取消者数が同数になるような予測ができます。ということで、若年層の登録増加は必要になります。
スライド9です。必要な登録者数について、私どもで試算をしてみました。骨髄バンクの必要登録者数は30万人となっていますが、初回HLA適合及び移植率の推移は、2枚めくっていただきますと参考3がありますが、2009年に初回適合率が95%、移植率60%となりまして、以降、有効ドナー登録者数は増加いたしますが、初回適合率、移植率に変動が見られません。そのときの有効ドナー登録者数と患者登録の比率で数値が出てまいります。ということで、これを現在の状況に当てはめますと、国内の患者登録が2,320人にその比率を掛けてみますと、41万人という数が出てまいります。 課題です。必要登録者数についてですが、現状は、ドナー登録者数が増加しても、患者にとっては初回適合率及び移植率の向上につながっていません。対応策としては、初回適合率を上げるためには、HLAの多様性が必要かもしれません。また、移植率を上げるためには、より最終同意の率を上げるという意味ですが、より御理解いただいたドナーの確保が必要となると考えました。
参考資料を少し飛ばさせていただきます。スライド15ですが、これは第1号業務の中の骨髄バンクドナー登録推進への協力についてです。日本骨髄バンクから協力依頼を頂いて、内部で検討をしています。当面の協力というのは、献血ルーム等での骨髄登録について、広報資材の掲示、配布等を徹底するというところが当面の協力です。さらには、もちろん協議を進めつつ、各血液センターなどでの協力内容について、引き続き検討をしながら進めていきたいと考えています。また、第1号業務の中に臍帯血の品質向上のための共同事業があります。その中身がスライド16ですが、採取技術向上のための研修会を、大阪と東京で開催をさせていただきました。また、さい帯血バンク担当者を対象といたしまして、調整保存技術向上のための研修会を行いつつ、まだこれから行われる研修会もあります。
第2号業務では、関係者間で連絡会議を行わせていただいておりまして、詳細については見ていただくということで、こちらのスライドを少し飛ばさせていただきます。スライド19は支援機関の委員会ということで、臍帯血技術委員会及びHLA委員会を開催させていただいています。
スライド20、造血幹細胞事業検討委員会を開催させていただきました。これは支援機関業務につきまして、患者又は移植医の方々の声を直にお伺いしたいということで、委員会を開催させていただいています。
スライド21です。第3号業務に造血幹細胞情報一元化がありまして、ポータルサイトを運営・開設いたしました。その中から今のところは、あちこちにリンクを張る形で運営させていただいています。スライド23、造血幹細胞情報一元化についてですが、関連システムの連携構築があります。昨年までで基本構想の策定が終了していますので、これから今年度の補正予算を付けていただけたらということで、これから開発業者、コンサルタント業者の選定に入ります。スライド24、第3号業務ですが、各関連団体のサーバー等をつなぎ、重複の入力等がないように、また、お互いの情報がよりオープンにできるように、使いやすくなるものを目指したいと思います。
スライド25、普及啓発です。これは若年層に向けた啓発に重点を置いた検討を考えて、いろいろな案を作っています。スライド26にありますように、各団体の若手の方に参加いただいて、広報チームをつくる。また、一般向けの普及啓発用資材を作る。そして、日本造血細胞移植学会ではパネル展示をし、全国骨髄バンク推進連絡協議会への協力をし、また、臍帯血採取施設に向けたPR等も考えています。
スライド27です。さい帯血バンクについて、昨年1月に法律が全施行になりましてから、各バンクは許可を得るための申請をし、審査を頂いています。その中ではさい帯血バンクの臍帯血の品質の確保に関する基準が省令という形でできていますので、それに基づいての審査を受けました。
スライド29ですが、4月の段階で3組織6事業所が許可を受けています。そして、現在、公開等登録数が1万1,900です。その下にありますように、日赤系の臍帯血事業所で72%の公開を持っています。
スライド31です。公開臍帯血数が、2012年から半減いたしました。さらに、この4月に比べましても減少傾向です。そこを少し心配しています。さい帯血バンクの細胞数についての話ですが、スライド32です。右側に行くほど細胞数が多いのですが、そちらのほうから使われてまいります。日本では成人の利用が多いために、どうしても細胞数の多い臍帯血が使われていまして、体重の大きな患者にとっての臍帯血のチョイスの幅が非常に狭くなってきつつあります。
スライド33です。公開登録の目標と対応についてです。現状、公開登録数が減少していまして、これにつきましては、細胞数の多い臍帯血を確保する必要があります。そのためには、採取技術向上の支援を図りたいと考えています。現在、平成10年以来、日本のさい帯血バンク数は、2万個を目標と設定されています。そのままで考えても、やはり今は少ないということになります。
スライド34です。対応策として、採取技術の向上、臍帯血採取施設のための体制整備を検討したいと考えています。
スライド35、さい帯血バンクの課題です。現状、臍帯血公開登録数が減少いたしました。これは、さい帯血バンクが減少したこともありますし、各バンクが調整開始基準を引き上げたことも影響いたします。また、10年経過した臍帯血の公開取消が進んでいます。対応策としては、これを増加するために、まずさい帯血バンクの受入れ体制の整備が必要かと思います。それに伴いまして、臍帯血採取体制の強化、これは採取技術の向上、施設のモチベーションの維持、採取施設の拡大が地域によりますが、必要になるかと思っています。
最後のスライドです。造血幹細胞提供に係る今後の課題・要望等です。骨髄ドナー登録につきましては、仕事をしようと思いますと、目標数と進捗管理が必要になりますので、数値目標の設定が必要かと思っています。あとは、登録者の情報充実、登録推進の体制整備については、今後に係る課題になります。臍帯血公開登録数につきましては、これも数値目標を改めて設定いただくのがよろしいかと思っています。また、バンクの体制整備、採取施設の採取体制の強化が必要になります。情報一元化につきましては、財源の確保を継続してお願いしたいと思っています。普及啓発につきましては、造血幹細胞移植という言葉の認知度の向上を目指します。また、若年層に向けた普及啓発、各移植ソース別の推進のための普及啓発を考えていきたいと思っています。
○小澤委員長 ありがとうございました。続いて、日本骨髄バンクの齋藤様よりお願いいたします。
○骨髄バンク 資料2-2を御覧ください。これは、法律施行後の状況です。下のスライドは、日本骨髄バンクとしてどういう対応をしたかを4点挙げています。まず、あっせん事業の許可を受けました。それに伴って定款上の目的と事業について、臍帯血に関することを含むように一部変更しております。つまり、患者主治医からの移植医療に関する相談(主治医相談窓口)。そして、移植に用いた細胞に関する研究申請の受付や審査。国際協力に関すること。これらは「臍帯血も含む」というように変更いたしました。そして新委員会として国際委員会を新設しました。それから医療委員会は、主治医相談窓口を設置するための体制整備を行いました。同様にデータ試料管理委員会も体制整備をして、各委員会に臍帯血に関することに対応できるような委員を追加いたしました。
一番下は、新規事業部の新設ということで、日本赤十字社、学会、データセンター、臍帯血バンク等との連携強化のために新しい事業部を新設し、法律に沿った課題への取組を始めています。
1枚繰って、上に先ほどと同じような関係図があります。一番上に厚生労働省があり、左側に骨髄バンク、右側に臍帯血バンク、真ん中に学会とデータセンター、一番下に支援機関である日本赤十字社が書いてあります。丸が3つあります。左側の緑のサークルは、骨髄バンクと支援機関との関係、2番目の黄色は骨髄バンクと臍帯血バンク、3番目の赤は学会・データセンター・支援機関を含む三者との関係を書いたものです。それぞれについて御説明いたします。
下のスライドの緑の所は、骨髄バンクと日本赤十字社との関係です。先ほど一部高梨先生から御説明があったのと同じことです。まず日本赤十字社へ協力依頼ということで、献血ルーム等での広報資材の掲示、配布は決定されています。下の協議中というところが、ドナー登録の目標設定、登録の推進管理、若年層対策が最も大事だと考えております。そして説明員制度の活用、登録ドナーへの骨髄バンクニュースのメール配信整備です。
下が独自の取組で、若年層の対策として、御当地アイドルによるオリジナルソング、『ダイジナトコロ』のプロモーション。本日はポスターを1枚入れてありますけれども、動画で推進キャンペーンを開始しております。2番目が、早稲田大学の御協力を得て、有志の学生から、若年層への重点的なドナーリクルートのアイディアを提案していただいています。3番目が、BS日テレでの広報番組製作で、5分間の広報番組を製作し、放映しております。4番目は、広報ラジオ番組です。これは、FM局70局で毎週1回1時間の番組を放送しております。
5番目は、スポーツクラブでの広報です。東京、関西に61店舗ある所でのリーフレットの設置。学校への講演会の推進、これは従来からやっております「語りべ派遣」です。最後が卒業式、入学式でのPRチラシの配布で、11万部を配布する予定となっています。
1枚繰っていただきますと、コーディネートに関するバンクと日本赤十字社との取組です。まず、骨髄バンクの取組としては、最初の初期期間の短縮に向けたワーキンググループを設置し、答申が出されました。初期コーディネート担当の強化ということで、問診票等の返信、督促を1週間前倒しすることになりました。末梢血幹細胞移植を拡大するということですが、現在はドナーの条件がかなり厳しくなっております。ドナーの安全を考慮した上で、少し離れた採取施設でも採取を可能とするような検討を開始し、同時に、現在はHLAのフルマッチでないとなれないのですけれども、それを不適合でもある程度できるような検討を開始しています。まず、我々で検討した後、多分この審議会で議論して決めていただくことになると思います。
国庫補助は厚生労働省のおかげなのですけれども、フローサイトメータの設置施設の増加により、末梢血幹細胞採取の認定施設の拡大を目指しております。それから拠点病院については、現在までのところ4施設が決まっておりますけれども、更なる受入れの依頼、あるいは造血細胞移植コーディネーターセミナーへの講師派遣と研修への協力をしております。
次に色が変わり、「骨髄バンクと臍帯血バンクの共通事項」です。国際協力窓口についてです。我が国の非血縁者間造血幹細胞移植に関する窓口はバンクが行うことから、新設した国際委員会で臍帯血バンクと基本的に以下のようなことを合意しております。つまり、当法人と海外バンク、当法人と臍帯血バンクとの合意書の取交し、業務フロー、役割分担、最後に国際料金の設定です。基本的には合意していると思います。
下は主治医相談窓口の拡充です。従来のHLA委員会は日本赤十字社の方に移行しましたので、それを主治医相談窓口に変更し、ここで臍帯血移植を含んだ相談に答える体制を構築いたしました。実績は、昨年4月から12月に28件の問い合わせがあり、前年度の19件に比べると増加していると思います。
1枚繰って「関係機関の役割変更」です。これは学会との関係です。従来は非血縁者間の骨髄・末梢血幹細胞移植のに関する認定は、当法人が移植も採取も行っておりましたが、今後は移植施設の認定は学会が行い、採取施設については学会と骨髄バンクが共同で認定することになっております。
それから、これも従来毎年の移植学会のときに、骨髄バンクと臍帯血バンクの合同報告会で、全国移植関係者、特にコーディネーターも含め、貴重な情報交換の場であったわけですが、今後は学会主催での「造血幹細胞移植推進事業フォーラム」に変わりました。
それからデータセンターおよび日本赤十字社への協力としては、先ほど日本赤十字社からもお話がありました、一元管理プログラムのシステム連携です。一元化システム構想に関する検討、現在はまだ基本構想の策定、開発に関することですが、これに全面的に協力しております。
最後は「今後の課題」です。まずドナー登録者、特に若年者を増やす取組ということで、日本赤十字社と更なる連携をして、色々なことを具体的にやらなければいけない。それから、臍帯血移植の国際協力ですが、各国からの期待がかなり大きいと聞いておりますので、速やかに導入したいと思います。3番目はコーディネート期間の短縮です。これも皆様方よく御存じのように、現在はHLA適合率が96%にもかかわらず、移植率は57%であります。その一因は、特に適合ドナーが見つかってから採取までに122日かかっている。これを何とか拠点病院との更なる連携で短縮したい。特に緊急の採取の受け入れをお願いしたいということ。造血細胞移植コーディネーターとの連携強化。ちなみにこの移植率が低いということ、このギャップがあることが前から非常に気になっていました。諸外国の先行バンクでもし何か良いアイディアがあれば学びたいということでいろいろ調べました。現在、日本骨髄バンクでは57%です。ただ、これは国際的に見ると決して低くなくて、世界最大のNMDPは31%、イギリスのAnthony Nolanは、臍帯血を含んで56%でほぼ同じぐらいです。この中で1つだけ我々よりも移植率が高い所があり、それはドイツで68%です。これも骨髄と臍帯血と両方ということと、もう1つは国外への提供が非常に多いのです。その辺があるので比較できるかどうか分かりませんけれども、この移植率とHLAの適合率のギャップというのは、諸外国のバンクでも共通の悩みで、皆が苦労しているようです。
4番目は、末梢血幹細胞移植/採取の拡大です。これもコーディネート期間の短縮に役に立つと思い、先ほどのようなドナー条件の緩和、認定条件の見直しの検討を開始しております。5番目も非常に重要で、今後のことを考えると、システム一元化が成立されなければいけないということで、是非これを予算面で厚生労働省にお願いしたいと考えております。
6番目は検体保存事業の在り方です。これも、将来の移植成績を更に上げるためには不可欠な事業です。今までは日本骨髄バンクが行ってきたわけですが、今度は法律でその業務、役割がクリアになったことで、なかなか続けるのは難しいということで、是非学会も含め、支援機関も含めてお願いしたいと思います。
この中で触れていないことで非常に重要なことがあります。これは法律の施行とは関係なく、骨髄バンクは患者さんの負担金の軽減をさらに進めたいというのが長年の目標です。負担金については、一番高いときには66万円を超えていたのですが、現在は19万円弱になっています。ただ、これが我々としても精一杯で、毎年寄付を1億円以上集めて頑張っているのですが、これ以上はなかなかできないです。やはり国庫補助金であるとか、あるいは診療点数について御配慮いただければ大変有り難いと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。続いて岡本委員に、日本造血細胞移植学会の代表として御発表いただきます。
○岡本委員 資料2-3を御覧ください。法律施行後の私たちの学会の取組を簡単にまとめました。最も大きな作業は移植認定施設基準の策定です。これまでは齋藤先生からお話があったように、移植施設の認定はバンクで行われておりました。その背景には、なるべく採取を積極的に行うことを前提に、移植施設を比較的緩やかな基準で増やしてきた背景があります。ネットワークの時代には、臍帯血の普及も含め、ダブルスタンダードで移植施設が認定されていたことを踏まえ、学会として移植施設が最低限備えるべき、どこへ行っても質の高い移植が受けられるような基準を作ろうというのが大きな骨子です。ですから、そこに備えるべき基準、いわゆる達成目標を、海外のグローバルスタンダードを参考として作りました。そこに書いてある関連施設の方の御協力の下に話を進めております。
次のページですが、日本の造血細胞移植医療というのは、諸外国と比べて大きく2点異なる点があります。1つ目は、多くの施設が既に移植を行っているということ。2つ目は、移植施設が同時に採取施設として機能していることの2点です。この現状を踏まえ、海外の基準をそのまま導入することはできませんので、この点に十分配慮してこの基準を策定いたしました。これによって先ほどお話しましたように、移植医療全体の質の向上を是非期待したいということです。加えて、これは日本骨髄バンクとの連携による移植施設の基準ですので、少し違和感はあるのですが、その中に採取の説明もあり、採取も一生懸命やってほしいという意味合いを含めた基準も加え、骨髄バンクの採取施設の基準とうまく整合性を取るようにし、採取施設の認定を取ることを最低の条件として、認定施設の基準を作成いたしました。
加えて、先ほども少し話がありましたように、日本では移植・採取を多施設で行っている点をうまくいかして、更に細かいところを詰める必要がありますけれども、1つの採取施設担当のドナーに対して全て責任を負うだけではなくて、チームワークをうまく取って、全国的にそのドナーに適切な対応ができるような、少し枠を広げた体制ということも加えてあります。
こういうことを目指していくわけですが、実際に理想的な体制に今すぐ移るわけにはいきません。認定医、看護師の配置の割合、それからHCTCの配置、これらは現時点ではなかなか難しいということで、幾つかの基準に関しては、それを努力目標として、達成しなくても移植施設認定していく作業に入っていきたいと考えています。
しかし、一方でそういう人材をしっかり育成するということで、学会では既に始まっておりましたけれども、移植専門制度委員会により、造血細胞移植の認定医の研修と認定を行うこと、それから次に、HCTC委員会を中心として、HCTCの研修・認定を行うこと。これは既に4期目に入りますが、フォローアップを担当する看護師の育成を行うことがあります。これから話があると思いますけれども、こういう人材育成ということ、ドナーが高齢化するだけではなくて、移植医も高齢化しておりますので、次世代を担う移植医を継続的に育成することは極めて重要な課題で、その点を移植推進拠点病院がこのプロジェクトとどううまく整合性を取って進めていくかということ。うまくリソースをいかし、効率の良い人材育成を図っていくかを考えております。
次のページで、齋藤先生から既にお話がありましたように、「造血幹細胞移植推進事業フォーラム」を、日本造血細胞移植学会の総会に常設のセッションとして設けることにいたしました。骨髄バンクと臍帯血バンクの合同報告会というものでしたけれども、造血幹細胞移植を取り巻く様々な関係機関、行政の動きを、移植医もしっかり学んでほしいということで、どういうことが実際の医療の現場以外の外の所で動いているかということを、しっかりとインフォームする情報提供の場としてこういうものを設けました。そこの下にあるのは今年のプログラムです。
最後は、日本造血細胞移植データセンターです。データセンターに関しては、今回の法律の施行に伴い、従来、日本造血細胞移植学会の中にあったものが、外に出ていって、広くデータの解析、それからデータの解析の結果を社会に還元するシステムになりました。非常に良いことだと思います。これは、事務局長の熱田先生が大変御尽力されていて、今は第1部門と第2部門という、登録事業と研究事業という形で既に作業が始まっています。
最後のページです。登録事業に関しては、移植施設からのドナー情報の登録も、移植認定施設の中にはしっかりと組み込み、日本の中においてはなかなか前向きの共同研究を施行することが難しい、しかし、質の高いデータをしっかり集めて、そこから新たな情報を得ることも、移植施設の認定要件には加えました。そういうデータを取り込んで、それをここに書いたような図式で基本解析を行い、分かりやすい形で市民への情報提供をすることを行っております。これに関しては、理事会に一般市民も入っていただいて、私たちは分かりやすいと思っていても、そうでないところもありますのでそこを改善していって、更に良い情報提供ができることを検討したいと思います。
もう1つは臨床研究の推進ということです。これはデータセンターだけでは全くできませんので、日本造血細胞移植学会に既に存在しているテーマごとのWorking group、それから臨床研究委員会、あるいはその他の研究者、さらにはその企業、その他の研究組織、これは学会外ですけれども、こういうものからの様々なリクエストに応えて、それをうまくデータを解析し、その結果をこの場合には新規の薬剤、治療のガイドライン、新薬の承認、そういうことにうまく役立てることを考えています。データを集めるだけではなくて、それをうまく利用する体制を作っていきたいと考えています。そのためには、恐らくデータというのが、先ほど齋藤先生からお話がありましたが、単に移植の成績だけではなくて、移植の試料、ドナーと患者のDNA、そういうものとひも付いた、非常に特殊なデータもしっかりデータとして扱い、そういうものをそこに黄色で書いてある、「次世代のデータ管理と利用を担う」、保存までは難しいと思いますが、その利用と、それを中立な立場での使用を担保していく委員会を設置して、更に研究を進めていくということを、実際に議論して進めております。
○小澤委員長 ありがとうございました。前半3団体の御発表に関連して、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。情報量が膨大ですけれども何かありますか。
○張替委員 臍帯血のプールが減っているのは、移植施設としては非常に危機感があります。臍帯血移植をやる場合は、生着不全が必ず起きうるので、バックアップがあった上で移植に入るということです。2万個あればカバーできるということですが、正直なところその倍ないとなかなか安全にはやっていけないということで、この減少というのは危機感があります。
お伺いしたいことは2つあります。半減した公開数ということですけれども、10掛け以上の多いものはどれぐらい減っているのか。もう1点は、この臍帯血を増やす上で、採取施設を増やす必要があるのか、それともバンクの処理能力を増やす必要があるのか、その2点をお伺いします。
○日本赤十字社 各バンクが調整保存基準を上げましたので、大きな細胞数を持つ臍帯血ユニットが減っているということはないです。ただ、どうしても細胞数の多いところから使われていく経過がありますので、貯まらないということも現実のうちの1つではあります。これを増やすためには、多少業務集約がされて、臍帯血バンク数が減りました。それが今年度はまだ落ち着いていない現状があります。また、臍帯血バンクも地域差がかなりありますので、それに見合った形での業務の拡大が多少必要なのです。そのためには人材も、それから検査や調整にかかる資材も必要になりますので、その辺りはサポートが必要だろうと思います。それに伴って、同時に採取施設の御協力も必要になりますので、そこは同時並行でないとうまくいかないだろうと思います。
○小澤委員長 張替委員としては、臍帯血の数が減っていることに関連して、実際問題としてかなり不都合が発生しているのですか。
○張替委員 移植をやっているスタッフに聞くと、これは感覚的なものですけれども、なかなか見付かりづらくなってきているというのが聞こえてきます。それは先ほど言ったように、1個見付かればいいというわけではなくて、そのバックアップが欲しいので、ペアで見付からないと踏み切れないということです。その数全体というか、ストックもそうなのですけれども、細胞数の多いのが何かちょっと減っているような感じだというのはスタッフから聞いています。そこは、我々には裏付け資料がないので感覚的なところです。
○さい帯血国際患者支援の会 臍帯血の医療の現場で選ぶ基準なのですが、細胞数の多いものから押さえられていくと聞いております。例えば子供とか、体重の少ない人たちには同じような質の細胞があれば、少なくとも十分足りる細胞を押さえていただけるような仕組みはあるのでしょうか、なされていないのでしょうか。
○岡本委員 それは、ないと思います。選ぶことにより、そこで選択できてしまいます。それは大切な点だと思いますが、そこを規制するようなプログラムにはなっていないと思います。
○さい帯血国際患者支援の会 質が同じで、ストックが、少ないものを患者さんに融通し合うようなことを、医療の現場として将来的に考えていくような余地はあるのでしょうか。
○岡本委員 幾つかのデータは日本でも出していると思うのです。骨髄バンクで採取した細胞数がどのように結果に影響を与えるかというデータを幾つも解析していると思います。欧米ではそれに反して、細胞がいっぱいあったほうが成績が良いというデータも出ているので、なかなかそこに線を引くのは難しく、そのためには日本のデータをしっかり持つことが必要ではないかと思います。そういう明らかな海外のデータが出ていることにより、小児でも細胞数が多ければ生存率が高くなるというデータはあります。それを無視してここまででいいと言えるだけのデータはないです。
○さい帯血国際患者支援の会 それでは、データ待ちというところですか、そういう話でもないということですか。
○岡本委員 ですから、それはデータを解析する必要がありますし、もう1つはどんどんバックアップを取るという形で、その細胞のユニットを確保するだけではなくて、生着不全を押さえるようなアプローチをどう検討するかとか、いろいろな切り口があると思います。
○さい帯血国際患者支援の会 ありがとうございました。
○小澤委員長 臍帯血バンクの縮小は、いろいろ想定外のこともあってこういう状況になっていますが、何とか早めに数を増やすように対策をよろしくお願いします。
○山口委員 資料1-2の齋藤先生の御説明の中で、検体保存事業の在り方を提示していただきました。先日、造血幹細胞移植の班会議でお聞きしたのですが、新しい法律が施行されたときに、この辺の保存事業のところの対応が少し落ちてしまっているのではないかとお聞きしています。移植した後の安全性の評価や将来のことも非常に大切なのだと思うのですけれども、こういうものをやるためには研究費でやったほうがいいのか、それともそういう保存のために何か別枠の予算を立てたほうがいいのか、その辺について教えていただければと思います。
○日本骨髄バンク 法律の中の基本方針の中に、研究基盤の整備というのはきちんと明記されております。どこからお金を出したらいいかということは、長年の間、厚生科学研究費の一部を使ってお金を出し、あるいは骨髄バンクが自腹を切って出してきました。厚生科学研究というのは2年間とか3年間とかで恒常性がないので、やはりバイオバンクみたいなものは、国としてきちんとお金を出して整備するのが一番いいのではないでしょうか。
○阿萬移植医療対策推進室長 事務局から、検体保存事業について事実関係の御説明をさせていただきます。平成27年度予算案ですが、先ほど御説明しました一枚紙の資料の中に明示はされていないのですが、日本赤十字社への助成金の中の1つの項目として、検体保存事業については、今回からそちらのほうで計上している部分があります。その中で対応させていただくということで進める形になっております。ただ、これまでのもの全てがそのまま継続ということではなく、予算の効率的な執行を考えていく中で、ある程度スリム化できるところはスリム化を行った上で、日本赤十字社の事業の中で継続する形を今後進めていきたいと思っております。
○浅野委員 日本赤十字社の高梨先生と、骨髄バンクの齋藤理事長の両方にお聞きします。今回法律ができて1年たって、新しい仕事をできるようになったとか、させられたという両方があります。例えば、日本赤十字社が今度は支援機関としてちゃんと位置付けられました。今までも同じような事業もある程度やってきましたが、今度はそれよりも格段といろいろな責任なり、やる範囲も多くなったと思うのです。そういうことにより、今感じているというか、人手が足らなくなったとか、足らないとか、お金が足らないというようなことがあるのかどうか。
それから、ある意味では支援機関になったというのは、やるべきことが増えたこともありますけれども、職員にとっては誇りですよね。それからやることが多くなった不満と、これをやるのだということによっての誇りというものもあるのだろうと思うのです。この1年間でというのはなかなか難しいのですけれども、職員のモラールというか、やる気というものは上がったのか下がったのか、不満が増えているのか。
同じことを齋藤理事長にもお聞きしたいのです。骨髄バンクがやるべきことが増えたりということがあったときの、この1年間での変化をお聞きします。
○日本赤十字社 すみません、客観的にそれを計っておりませんが、責任が増えたのは確かであり、関わる職員はそれは承知しております。例えば、臍帯血になると責任が多いのですけれども、業務集約がありましたので、その対応に追われてしまった面があります。これが落ち着かないと、なかなか将来構想というか、次年度の仕事をどう拡充していくかというところまではいかないのかなというのが、現場を見ていての感想です。ただし、これは拡充しないといけないというのはよく認識しておりますけれども、その辺りの基盤が、人も物も費用がかかりますので、口だけで仕事を3割増してくださいと言っても実効性はないというのを日々感じています。
骨髄ドナーの登録に関しては、推進業務というのは骨髄バンクの仕事になっていて、私どもは受付けはしますけれども、その辺りの業務の切り分けが非常に難しいです。この切り分けをきちんとして、かつ進捗管理ができる形に持っていかないと、日々の業務にはならないのです。ここを御理解いただけると大変有り難いと思います。
○日本骨髄バンク 1点目なのですが、法律できちっと決められたことで、職員の士気は高くなったと思います。この1年間は高梨先生も言われたように、支援機関とのすり合せとか、新規事業でどうやるとか、そのことでかなりの時間を使ってきたのですが、それがほぼ落ち着いてきました。もう1点は、もともと我々は法律さえできれば、随分国の支援も厚くなるのではないかというかすかな期待があったのですが、今の国全体の財政状況の厳しさがあります。
もう1点は、我々にとっては法律が成立したのは非常に大きく感謝していまいのですが、実は似たような法律は他の疾患を対象として既に沢山できています。例えば肝炎対策基本法、アレルギー疾患、難病法とか、それから今は脳卒中対策基本法も審議中と聞いています。そのように議員立法でどんどん法律ができているので、結局はそのお金の面では、法律ができたからといって急に予算が増えるということは余り期待できないのではないかということがだんだん分かってきました。
○宮村委員 細胞保存のことに戻るのですが、今回岡本理事長にも協力していただき、アメリカの細胞保存の状況を調査を行いました。米国では非血縁者のものが先行していましたが、近年になってより血縁のほうがDNAの差のバックグランドは少ないということで、非常に重要な情報として、全部国のお金で、非血縁で5万ペア、そして血縁で5,000ペアのドナー・レシピエントの細胞が保存されています。今は引き続きバンク関係の非血縁の検体保存を続けていただくのと同時に、血縁についてもまた相談させていただけたらいいと思います。よろしくお願いします。
○梅田委員 去年の1月1日に法が施行されたわけですが、その後の日本赤十字社と財団の対応施策を本日初めて聞いて、いろいろやっておられるのだということが分かりました。事務局の方へお願いなのですが、前の委員会からちょうど1年ぐらいが経過しています。私どもも途中途中どこまで対応に努力されているのかという情報等々が分からないままで、どうなっているのだろうかというのが正直なところです。1年ということではなくて、例えば半年ぐらいのところででも、途中の進捗状況連絡を頂ければと思います。
今回の1年たったこの委員会も、前回までは事前に資料がありましたので、いろいろ勉強させていただいて、それなりにいろいろ考えて会議に臨んだわけです。本日ここの場で資料をバッとお見せいただいて、バババッと説明していただいても、なかなか頭の中も整理できないところがありますので、できましたら資料の事前配付に配慮していただければと思います。
この中で私が一番ある意味でドナーの立場、ボランティアの立場で関心があるのは、日本赤十字社の普及啓発とドナー登録、特に若年層を増やすという齋藤先生の資料です。私はボランティアの立場も兼ねていますので、千葉では薬務課、日本赤十字社、それから私どものボランティアの三者会があります。その中で特に6つの献血ルームの所長とも会議を何回かやらせていただいて、この中で協議して、具体的には津田沼のルームで、7歳で8,000枚の絵を残して白血病でお亡くなりになったあやちゃんという女の子この絵画展を献血ルームで初めてやりました。目的は、献血に来られる方は、ドナーになる関心が高いからです。ここでいかに先ほどの若年層の方に関心を持っていただくか、一番効果があるかということで、企画しました。
それから、つい2日前ですが、白血病になった方は薬の副作用でスキンヘッドになるので、このケアとなるタオルキャップの帽子を作る研修会を献血ルームでやらせていただきました。高梨先生にも報告が行ったと思うのですが、日本赤十字社の広報誌(Blood Network)にこの通り記事が掲載されています。いかに若い方に周知徹底というか、広報するかというところに、これからエネルギーを掛けていかなければいけないと思います。今説明したことは千葉での取組ですが、これを全国に広げていただいて、ドナーの方はまだ足りないと思っておりますので、是非ともここのところをお願いしたいと思います。
それからボランティアもかなり高齢化してきています。ドナー登録のときは説明しなければいけないのですが、その説明への参加がなかなかできません。献血ルームの方で、これから登録増の施策を考えていただけると思いますが、やはり普及啓発のところで、献血者に声掛けができるような体制作りを何とかお願いして、ルームで1人でも2人でもドナーが増えればと思います。先ほどのグラフではドナーが減っているということでしたが、原因は広報だと思います。広報が少なくなっているためで、そこのところの具体的な対策を宜しくお願いいたします。
○小澤委員長 時間も限られていますので、引き続きまして、さい帯血国際患者支援の会、血液情報広場・つばさ、全国骨髄バンク推進連絡協議会の3団体のお話を伺いたいと思います。まず、さい帯血国際患者支援の会の有田様、よろしくお願いいたします。
○さい帯血国際患者支援の会 有田です。私は本日のお話を聞かせていただいてから、その状況によって関係者の方々に質問させていただいて、私自身が情報を得たいと思って会議に臨みました。前もって幾つか質問させていただきたい先生方には御連絡をさせていただいていますが、今までの専門分野の方たちの話の中で、納得できたことも幾つかありました。重複することもあると思いますけれども、御質問にお答えいただきたいと思います。施行後1年、私たちボランティア団体も法律の制定に関しましては、長年声を挙げてきまして、また関わらせていただいて、法律ができ、そしてスムーズに施行ということになり喜んでおりました。その施行がどのように行われていっているのか、不測の事態が起きないかそういう目で見ていたのですが、ここへ来まして私のほうにはそんな大きなマイナス要因の情報が入らないでまいりました。梅田さんがおっしゃったように、専門分野の状況は、法律の施行の前には様々な形で入ってくる機会がありました。、施行後、専門分野が法律に支えられて動くということになって、これはとてもいいことだと思いました。ところが支援する私たちにとっては、情報がちょっと入りづらくなってきたかなというように感じております。情報はとりに行きますので半期に1回ぐらいのそのような情報を出していただければ、私たちの支援活動にも何か役に立つことがあるのではないかと改めて思っております。患者相談窓口、それから患者相談会を独自で進めてきています。施行前と施行後に分けて、様変わりというのが顕著に現れました。私はそれを明るい兆しと思って、今日はお伝えしたくて来たのですが、専門分野のお話を聞かせていただいて、決してそうばかりではない、急に組織の形が変わったりしてとまどいもあるし、混乱しているのかなと感じています。
昨年中頃からの患者相談の変わり方といえば、私たちはそれこそ医療には全く素人のボランティア団体なのですけれども、本来なら医療現場の方たちに質問をしなければならないような事柄が、私たちのほうにたくさん寄せられていました。臍帯血については、岡本先生のお話にもありましたように、日本では移植施設が年に1回というような、そういう医療施設も移植を手がけていますので、その差というのは当然あるのですが、「臍帯血の移植の話を主治医がしない」「さい帯血移植を求めてもそういう医療は駄目だ」というような、患者側が医師を信頼できない、患者が持っている情報と主治医の説明の中にギャップがあって、主治医や医療機関を信用できないので、いい病院を紹介してほしいというような相談がたくさんありました。その際、私たちは自分の知っている限り、さい帯血移植の経験の豊富で成績を上げておられるだろうという医師に御紹介するというようなことをやむなくさせていただいておりました。ところが、昨年の中ぐらいからそういう相談が徐々になくなってきて、現在に至っては1例もなくて、本来私たちが応援するべき、医療の最中の生活のこととか、心に寄り添うことができるような質問が多くなりました。本来求めていた活動に戻りつつあるかなと思っています。医療現場、造血幹細胞の提供機関、厚生労働省、そして、造血幹細胞提供者に今、感謝したい気持ちでいっぱいです。関係者のお話を聞かせていただいて、ようやくここまできたなと思って、喜んでおります。
問題点はいっぱいあるのですが、法律が施行されたことでその問題点が目に見える形になり、見えてきたら解決の方法もあるわけです。特に移植学会ではいろいろなことが決められていって、それが進められている中で、患者にとってはよい影響が既に出てきて、その中での私たちへの相談内容の様変わりかと思います。関係機関の方たちが発表されたことの問題点の解決については、厚労省におかれましては、早くそれが解決できるような手助けをお願いしたいと思います。
医療現場について準備した質問を少し変えながら進めます。岡本先生のお話をお聞きして、なるほどということがたくさんありましたが何点か質問をさせていただきます。質問1.各診療科や地域間のネットワークの機能ということに、変化があったのでしょうか。そういう方向性というのがあるのでしょうか。
質問2.医療技術の向上や薬や機材による改善がなされてきていますでしょうか。質問3.移植の専門医が何人かいらっしゃるので、先生たちの病院において、そういう移植成績の向上につながる何か御努力というような、医療現場のことがあればお聞かせ下さい。問題点があればそれを解決できるような取組がなされるように、先生方からの問題提起という形でとらえていただければと思います。
次にさい帯血公開についてです。臍帯血の公開数が目標の2万を越していたものが急激に減ったという、この事情のことは私もよく存じています。しかし、法律の施行後、臍帯血移植が、臍帯血がないということで受けられないという相談は1件もありませんでした。それまでは骨髄も含めてどうしたらいいか、どこに相談したらいいかというような、私どもでは対処のしようがないような相談もあったのですが、それもなくなりました。さい帯血の公開数が急激に減ったということについて、張替先生からのお話で、医療現場は大変だったというのを今はじめて知りました。ただ、臍帯血については、今日はみつからなくても明日になれば、明後日になればみつかるというような希望もありますので、私たちは相談の患者さんにはその様にお話をして参りました。現在はどのようになっているのかも高梨先生にお尋ねしたいと思います。
それから、前回の委員会で私は法律施行後の患者支援活動の新たな取組をしたいと申し上げました。それは造血幹細胞移植医療が改善され進んできて、患者が長く生きられるようになった。私共の患者相談窓口には長く生きることになって起きてくるいろいろな新たな病気とか、移植を受けた弊害と言ったらいいのか分かりませんけれども、それに対応しきれない患者さんからの相談がどんどん出てきまして、移植後の問題、そこの長期フォローという点で何かをやらなければいけないと思って摸索していましたところ、名古屋第一日赤の移植患者長期フォロー取組というのを知りまして、患者手帳というところで提案させていただき、医療の現場の先生方に御相談して、意見の交流をさせていただきました。岡本先生の学会のほうにも長期フォロー何とか進められないかということをお願いしてまいりましたが、これが今どのように進んできてどのようになっているのかを宮村先生にお尋ねしたいと思います。
それから今、私にとっては大きな問題として認識していることで、法律の施行前までは取り上げにくかったのですが、プライベートバンクのことについて心配をしています。私たちは他人に造血幹細胞を差しあげるというバンクを応援しています。自分のものを自分が使うという、プライベートバンク事業は、別の問題ではあります。しかし、臍帯血移植を勧めてきたものとして、プライベートバンクに協力している採取病院の産科の先生方や、そこにお願いする消費者である、妊婦さんたちの考え方の中に、公的バンクと同じような効用を求めている部分というか、誤解というか間違いがあるのではないかと思っています。個別に相談を受けたら、私はお勧めしません。それは、なぜなのかということもお話します。違う分野のことですので、下手なことも言えないという危惧ももっていましたが、ここへ来てやはり発言しておかなければいけないのではないかと思いました。プライベートバンクに協力している方たちが、将来において、きっと困ったことや悔しいことが起きてくるだろうと思っております。過去においても苦情がたくさん寄せられており、ネットワーク時代ですが、「警告」というようなことも公的さい帯血バンクネットワークでやったこともあります。プライベートバンクに協力しておられる、産科の先生や妊婦さんたちが正しい情報を得て、プライベートバンクにお願いするときの判断材料を提供していただきたいと思うのです。厚生労働省は、プライベートバンクに対する苦情は寄せられていませんか?そういうことについて何か取組をされていこうとしているのか、ありましたら教えていただきたいと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。御回答はまたあとにさせていただいて、続いて、血液情報広場・つばさの橋本様、よろしくお願いいたします。
○血液情報広場・つばさ 私は骨髄バンクをつくりたいというところからこの分野に関与させていただいているわけですが、骨髄バンクがほしいと思ったときに、一患者の命を救うということと、国を挙げてのシステムを要求するということに、どうやって整合性をもったらいいのだろうかとずっと考えてきました。今、ようやくこの法律ができたことで、その要求したことは日本という国の医療文化を高揚させるという意味で、たくさんの方々との出会いも背景にあり、これは貢献したのではないかなというように思えているところです。
1つ忘れられないことがありまして、2000年又は2001年頃のことですが、当時私は骨髄バンクで新宿にあった頃の骨髄バンクですが、患者相談をさせていただいていたのですが、その業務が終わって外へ出ようとしたら、20代ぐらいの会社員風の青年が立っていまして、手に封書を持っていました。それで、どうしましたかとお尋ねしたら、実は骨髄バンクに登録をする決意をしたのだが、決意した以上は一刻も早くこの登録用紙を届けたくて、この住所に来てしまいました、ということだったので、急ぎ、関東事務局に御案内しました。彼はその後、提供しただろうか、患者とドナーという両方に関わるお医者さんたちに出会えただろうか、そのあと彼の人生にとって、提供したということは、どういう影響を与えているだろうか、そして彼はそれからまた十数年たったわけですが、自分のあとに続く青年たちに、提供するというのは本当にいいことだよというように言ってくれているだろうか。きっとそうであろうというように信じていますけれども、一方で12年前に骨髄バンクからの移植を受けた友人がいるのですが、彼はその後、七転八倒の苦しみの後に、今は大変元気になりまして、数年間は移植を受けたことに非常に前向きな評価は自分自信もできていなかったようですが、今年はついにフルマラソンに出るというところまで健康を回復し、彼の生きている姿が私にとっては本当に希望であり、これは造血細胞移植に関わる人々全体の希望ではないだろうかと思います。
またそれらの声を集積していくということに、そろそろ関与したほうがいいのではないだろうかなと、これは私の決意であります。一昨年前になりますけれども、国立がんセンターの移植医の黒澤彩子先生が治療後のQOL調査というものをしてくださいました。私も心を込めて協力しましたけれども、その結論として出たデータが、1つ、「化学療法で治った人よりも、移植で治った人のほうが満足度が高い」、これは様々なことを含んでいるのではないだろうかと思いました。移植医であられる黒澤先生とその周囲の先生方は、このデータが出たときに、「えっ」と、意外だなと思われたそうですが、私は瞬時にして、「いや、そうだろうな」と思いました。当事者の側は市民層にいる者はこのように感謝の念をもってドナーさんへの思いを、今も生きているわけですから、私の発言要旨の一番下の、「施行後のいま、これから」の所は、私のこれから是非貢献したいと思っていることです。もう1、2万件に迫るかもしれない、そのドナー経験者の方々に、そろそろヒアリングサービスをさせていただいてもいいのではないだろうか。もしかしたらあのときの青年の声も聞けるかもしれない。それを1万数千人の方々から聴き取ること、また移植医の先生方もそのことに協力できるかもしれないと言ってくださっていますので、プロの方々の手もわずらわせながらその方向に今年は関与していきたいと思っています。
○小澤委員長 ありがとうございました。続いて、全国骨髄バンク推進連絡協議会の野村様、よろしくお願いいたします。
○全国骨髄バンク推進連絡協議会 一応、資料2-5、何か資料を用意してほしいということなので作ってみたのですが、「システムは法制化で成熟したか」というタイトルを付けました。資料というよりメモ程度のものであると思っていただいてかまいません。私たちは様々な患者支援活動、それからドナープール拡大のためのドナー登録推進運動等を、全国各地の草の根運動で現場を担っている者たちがたくさん集まっているようなそういう団体です。去年法律が施行されてその法律にとても期待している部分が大きかったことは間違いありません。変化した印象がこの1年間であるかと言われれば、印象としては大きな変化はなかった。それは当たり前のことで、なぜならば、法制化によって何かシステムの大きな変更があるのかと言われたら、実はなかったのです。それまでに行われてきた事業のシステムを現状追認する形で法律ができていったのですから、変化したという印象をもたないのは当然かもしれません。
現状追認とは言いましても、一部ではそのシステム変更がなかったわけではありません。その1つの大きな部分としては、日本赤十字社の関与の濃密さが変化したというところだろうと思います。日赤が支援機関として、実は普及啓発をその役割として担うことになったという部分に対して、我々は強く大きな関心を抱いていまして、ここの1年間で見てきたところで期待している部分も大きかったということです。
法律的には普及啓発という言葉を使っています。普及啓発と広報と意味は、内容的に違いがありまして、普及啓発は広報の一環です。情報を外に出して知ってもらうことによって、その普及啓発を推進するというように理解したほうがよろしいのだろうと思います。日赤が普及啓発を担うということは、我々としては今までドナー登録の受付の現場において、普及啓発にもできるという部分が大きなところだろうと思っていました。つまり今までは役割分担としてなかったのですが、それが追加されたということは、登録現場、献血ルームとかそういう現場において、普及啓発を進めることによって、ドナープールの拡大につながっていくのだろうという期待がありました。日赤としては非常に頑張っていらっしゃるという印象を私は思っています。しかし、それはまだ1年しかたっていないこともあるのかもしれませんが、ちょっと肩すかしの部分もあろうかというような印象があることも否めません。少なくとも情報公開というような部分について、全体的な部分を見ていく支援機関として、さい帯血バンク事業における普及啓発、広報というのは、この法律体制の下では、日赤がやるしかありません。去年の3月までは、日本さい帯血バンクネットワークというのがあって、そこが広報もやってまいりましたけれども、そこのネットワークが担っていた広報部分を見てみると、明らかに劣化している状況が見て取れます。今、さい帯血バンクの中で何が問題で何が起こっているのか、一際情報として外に伝わらなくなってしまったと。今日初めて高梨先生から資料等も出していただきましたけれども、そういう状況があります。これはもっと日赤さんに頑張っていただきたいと思っています。
情報公開の問題として言えば、骨髄バンクにおいて、最近、我々市民の視点から見ると、傍聴可能な理事会や業務執行会議という公開の会が開催されてはいるのですが、会議の途中から非公開という部分が増えているという印象を強くもっています。よく、なぜこの部分を非公開としなければいけないのかという、傍聴者を排除しての会議があるわけですけれども。やはり公開の席で密室ではなくて、公開の席で情報を明らかにして、今は何が問題であるか、何を検討しているのか、もう少しその情報公開に向けた姿勢を何とか理解していただきたいという印象をもっています。この造血細胞移植というのは、ドナーという市民の善意がなければ絶対成立しない事業ですので、その市民に対しての事業の透明性みたいなものは絶対に担保していかなければならない、という覚悟をもって運営に当たっていただきたいという希望をもっております。
それから、本日は折角の機会ですので、先ほどから骨髄バンク事業において、コーディネート期間短縮ということが出ていますが、これについても私たちの考え方をちょっと述べさせていただきます。コーディネート期間の短縮というのは、もう骨髄バンク事業が開始された直後から言われています。20年来、コーディネート期間を短縮するのだということがテーマになっていまして、一時期、期間がいくらか短縮できたときもありましたけれども、また元に戻ったりとか、大きな改善はそんなには進んでいないという状況です。先ほど57%という話もありましたけれども、初回適合率が95%であって、実際の移植までいく部分が6割弱という状況を打破するポイントがコーディネートの部分が大きいだろうと私たちは思っています。コーディネートについての見直しがいろいろ行われてきたと。初回のドナー候補者の人数を増やしたり、事務手続の改善とかそのようなことも、いわゆる小手先としか、あまりいい言葉ではありませんが、そういう改訂、改善を行ってきたのですが、コーディネート制度のルールそのものの変更は、この発足以来一切行われていません。昔の形でコーディネートマニュアルも基本的には大きな変更もなくやってきたというところです。
私は、コーディネートについては抜本的に考え方そのものから見直していく必要があろうかと思います。その方向性を示唆するのはこの委員会の先生方ではないのかなと思ってお願いする次第です。誰のためのコーディネートなのかという部分から見直してほしいという気持ちがあります。基本的には、ドナーコーディネートというのはドナーのために行うことなのでしょうけれども、そこには患者さんという存在があり、患者のためのコーディネートなのか、ドナーのためのコーディネートなのかというような部分から見直したいというところです。現状のコーディネートは、ドナーのためと言いつつ、あるいは患者さんもそこにはいて、とは言いつつも、実は骨髄バンクのためのコーディネートをやっているのではないかという印象をもっています。それはどういうことかというと、先生方の中にはドナー経験者もいらっしゃるので聞いてみてもよろしいかと思いますが、あなたはこれでも骨髄を提供しますかということをたたみかけるように言っているのです。マイナスの要因みたいなことですけれども、最終的に同意を取って判子をついて、骨髄バンクはこういう部分まで説明しましたと、その上で同意をして取ってやったのですという、最後に何かあったときのためにちゃんと手続は踏みましたよというエクスキューズのためのコーディネートをやっていたのです、という印象をもってしまいます。その部分をもう少し考え直していかなければいけないのではないかと。マニュアルではドナーの意向が優先されるみたいなことを書いてあるのですが、コーディネートというのはそのときに立ち会う調整医師の都合や採取病院の都合やそういう部分が最優先されています。ドナーの意向は最優先されていません。そこら辺の部分から見直していく。
先にエクスキューズのためのドナーコーディネートと言いましたけれども、コーディネートの基本姿勢が、ドナーが自分の意思で選択した行為であるという部分を強調するあまり、骨髄バンクは提供をドナーにお願いしてはいけないと書かれているのです。お願いしてはいけないのです。でも私はその根本姿勢は違うのではないかと。はっきり言いまして、アメリカの骨髄バンクではお願いしています。基本的にドナーコーディネートを最初に開始するときに、おめでとうございます、あなたは骨髄バンクのドナー候補者に選任されましたというところから始まっていくのですね。日本ではそういうことをしたら大変ですよ。根本的な姿勢、コーディネートに関する考え方、哲学の問題です。その部分から私は見直すべき時期がこの20何年たって、きているのだろうと。コーディネートマニュアルを全面的に改定する、その見直しに視線を向ける時期にきているのだろうと。そうしていけばコーディネートがもう少し速やかに進んでいって、より移植率の改善にもつながっていくのではないかと、そのように考えています。
○小澤委員長 ありがとうございました。3人の参考人の方からいろいろな問題点を指摘されましたが、余り時間もありませんので、幾つか議論をできればと思います。最初に有田参考人からは、岡本委員に対して、こういう法が施行されてどうなったのか、医療機関やネットワークなど、あるいは移植技術のことや治療成績まで議論するのも難しいかなと思いますが、こういう法が施行されてどのように変わってきているのか。それともう1つは、移植医の立場から見て今回の法施行がどういう意味を持っているか、あるいはどんな課題が残されているかをまとめて、何か御意見を頂けますか。
○岡本委員 では、簡単にお話します。まず、私は移植医ではありますが、基本的にはそんなに移植の患者を毎日見ているわけではないので、余り現状がどう変わったかということの正確な情報はお伝えできないと思います。しかしながら、ここの話を今まで伺って、少なくとも今大きく変わったと実感できるのは、多分、今までインディペンデントに存在していた組織が1つのアライアンスとなっていって、そしてそれがうまく融合してきているのだろうと。まだ完璧ではないが、その方向性に来ているということは十分理解できると思います。
移植の領域に、実際の現場において、それがどこまで認識されているかということが次の心配事で、それは法律ができても何も世の中は変わっていないではないかというのが、恐らく、現場の今の感触ではないかと思います。それが、こういった努力が先になって実っていくというところを示していくことは、やはりすごく大切で、それが多分、今回の「フォーラム」の大きな目的ではないかなと考えています。
そういった中で、恐らく今後はどういった形で、いわゆる恩恵を受ける患者、それから移植医療に実際に携わる若い先生方、その方たちが今のシステムを見て、これが変わってよかったと言えるかどうかということは、何らかの時点で何を評価項目として決めるか、そういったアウトカムを確認していくということは、是非ある一定期間がたったときにやっていくべきだと思います。
現時点では、私は、すごく大きく変わってよかったという状況ではないと思いますが、少なくとも最初に言った、施設、各プレイヤーがうまくまとまってきたなということが実感です。
○小澤委員長 最後の野村さんが指摘されたコーディネートマニュアルですか、その辺の改定については学会で何か議論はあるのですか。
○岡本委員 いいえ、学会では議論しておりません。確かに、日本は最初にドナーの事故があったところから、ドナーの安全性ということに非常に注意を払ったという背景があります。アメリカはアメリカで、アメリカ人の気質を持って、電話を掛けて、かなりお願いするということであったと思います。しかし、アメリカのスタイルも少しずつは変わってきていて、移植のドナー、コーディネートの途中で親の反対で進まなくなることから、そういったことも最初に確認をするとか、あるところでは日本側に寄った変化が出てきているところもあります。ある程度、もう少し明るくポジティブにドナーに働きかけることは窓口では必要だと思いますが、どこかで客観的なしっかりしたデータを示して了解を取るとか同意を取るというプロセスはしっかり踏まなければいけないと思います。その方向は否定はいたしませんが、やはり大まかな改定というところまで行くのかどうかは、私は疑問があります。
○日本骨髄バンク コーディネート期間に関しては、バンクの長年の間のデータの蓄積があります。具体的なデータを申し上げますと、患者登録から移植までは140数日ですね。ところが、そのうちの大部分は適合ドナーが見つかってから採取までが122日あるのです。バンクとしてコーディネートする段階でできることは、ただ採取病院にお願いするだけです。しかし、実際に日本の医療状況を見ると、張替先生は御存じだと思うのですが、例えば大震災後の東北地方が一番、血液内科医は足りない、手術室は足りない、病院のベッドは足りないということで、どうしても、例えば今の122日を60日にするなどは不可能だと思います。バンクとしては、できるところは先ほど少し申し上げましたが、初期過程を1週間短縮するなどをやってきて、140数日のうちの20数日はもう縮めるところまで縮めていると思うのです。あとはその122日を縮めるのは、このような一元化システムの構築を踏まえて、やはり皆で協力して少しずつ縮めるしかないと思っています。
○浅野委員 少し野村さんの発言で気になることがありますので、私から申し上げたいと思います。コーディネート機能のやり方についてという中で、これは骨髄バンクのためにやっているのではないか、これは私は、齋藤理事長御自分ではおっしゃらなかったけれど、これはひどい言い方だと思いますので、この場で撤回してもらいたいと思いますよ。
○全国骨髄バンク推進連絡協議会 分かりました。少し表現を変えさせていただきます。
○浅野委員 泥試合になってはいけませんからね。それともう1つ、情報公開の問題です。理事会を公開すべきだと。これは普通の情報公開の問題ではないのです。企業でも同じことです。取締役会を公開していますでしょうか。閣議も同じです。閣議を公開していますでしょうか。これはそれぞれの機関の内部の意思決定をする場所なのです。内部の途中段階ですね。決まったことについて公開するのは、また別問題というか、それはすべき部分もあるでしょう。けれど、理事会というオンゴーイングとなっているその場に傍聴人を入れるというのは、情報公開すべきだという、私はそれでやってきた人間ですが、そこは少し違いますねということを申し上げたいと思います。
○小澤委員長 そのほか、いろいろ挙げられた課題の中には、長期生存者も増えてきて、いろいろな問題点も出てきていることとか、プライベートバンクの問題、今日は時間もありませんし、また何か資料を用意していただいて議論したほうがいいかなと思いますので、また次回に回したいと思います。そのほか特に議論がありましたら。
○武藤委員 橋本参考人にメッセージといいますか、非常にすばらしいお話をありがとうございます。それで、最後におっしゃっていた非血縁ドナーの皆様方の声を聞きたいという御発言に非常に賛同いたします。私は移植の分野に余り詳しくないのですが、生体間の肝臓の移植や腎臓の移植では、やはりドナーの方々がどうしても置き去りになってしまったりとか、先生方は患者のほうでお忙しくて、その後の自分たちの気持ちを長期にわたって整理するということで、苦労を抱えておられるということで、調査に大分関わりましたので、何かお手伝いできることがあればと思っております。そういう情報が外に出ていけば、更なるボランティアの方々の増加というか啓発につながるのではないかと思いますので、是非お声掛けいただければと思います。
それから、先ほど潔く撤回された野村参考人にも一言なのですが、やはりほかの臓器のドナーの分野、生体ドナーの分野を見ておりますと、野村さんのように、ドナーを中心にというふうに発言してくださる方がほとんどおられなくて、やはりこの分野の先生方のネットワークは本当にすばらしいと思います。ですので、今後ともドナーのことは是非考えていっていただきたいなと思いました。以上です。
○今村委員 先ほど齋藤先生から、経済的な負担軽減のために診療報酬での手当を考えていただきたいということなのですが、これをほかの先生、学会のほうにもお聞きしたいのです。診療報酬のどういった分野をどういうふうに評価すればよろしいのですか。
○日本骨髄バンク 例えば骨髄移植を例に取りますと、骨髄移植術そのものは、保険診療で点数が付きます。そこでも非血縁と血縁と分かれるのですが、血縁者の場合はドナーを探す時間や手間がほとんどないわけですね、もし家族内にいらっしゃれば。ところが、非血縁の場合は40数万人のドナープールを作って、それで意思を何回も確認して進めるために、お金も時間もかかっています。ところが、そこは直接の医療行為ではないので、日本の保険診療システムでは当然カバーされません。そこを診療報酬の一部を頂くとか、あるいは国庫補助金で面倒見ていただいているということであります。
それで、患者負担金としては例えば何があるかといえば、普通の診療ですと患者御本人の検査費用は保険でカバーされますよね。ところが、HLAを含めてドナーの検査代が要ります。それから例えば、ドナーの方が1週間入院して、提供されるときに大部屋ではお気の毒なので、個室に入っていただきますよね。そうすると、その個室代は誰が負担するのかというのは、どこにも負担するところがなくて、患者さんに負担していただきます。それで、もちろん我々としても、経済的に困られている方については、負担金の免除しています。そのために募金の中から出しておりますし、そういうセーフティーネットは持っておりますが、普通の方については、やはり19万円ぐらいの負担をお願いしているということです。
○今村委員 例えば、これに対して直接の担当課ではないですが、保険局の医療課は、どういう見解を持っておられるのですか。
○阿萬移植医療対策推進室長 今、齋藤先生がおっしゃった件については、かなり前から懸案にはなっているところです。その中で、やはり1つ問題となるのが、具体的にその非血縁者のコーディネーションを行うときの費用が、結局どのくらいになるかというところについて、なかなかこれは骨髄バンクの中の業務が具体的にどういうふうなコストで行われているのかというところも含めて、きちんと出てこないと、診療報酬、すみません、医療課の立場を代弁するような形になりますが、なかなかそれを診療報酬の中で反映させるのが難しいという話が出てきているのは聞いております。
ただ、いずれにしても、そこは2年に1回の診療報酬改定の中で、いろいろな各団体の方々や学会の先生方などからの御要望なども頂いて、その中でまたいろいろ検討している部分があると思いますし、医療課、保険担当のほうとしても、それぞれのプロセスの中で御要望を頂いている部分については、その中でまた再度検討するという形にはなっていこうかとは思いますので。
○日本骨髄バンク 今村先生のご質問は業務の効率性にも関することだと思うのですが、ちなみに国際比較のデータはあります。各国のバンクの支出がありますね。それを何件コーディネートしたかというので割れば、1件当たり幾らかかっているかというのが大まかに分かります。それによりますと、日本の骨髄バンクは1件当たり120万です。それからアメリカは1件あたり580万、イギリスは1件あたり520万。アメリカは特に医療制度が違うので比較できないのですが、韓国が1件当たり118万でほとんど日本と一緒だと思います。ですから、国際的に見ても決して非常に効率が悪いということはないと考えております。
○今村委員 ありがとうございました。
○岡本委員 一言、追加をさせていただきたいのですが、移植を決定してから実際の移植までには、ある程度の期間が必要で、このプロセスがとても大切です。それをいかに短くするかということによって移植の成績は確実に上がります。また、その期間に関与している職種が幾つもありまして、それらの職種があることによって、医者は移植、採取により専念することができますると。そうなってくると採取の効率も上がるでしょうし、移植の成績も上がると思います。そういった中で代表的なものがHCTC、それからデータマネージャーです。先ほど齋藤先生もおっしゃったように、これらは実際の診療(移植)前のことなので、それを診療報酬にうまく反映できないのです。でも、そこを是非御理解いただいて、そこを充当することによって、確実にこの医療はいい方向に向かっていくということは是非話をして頂きたいと思います。
○今村委員 学会からは、どういう形での要望を。
○岡本委員 学会からは様々な形で要望を挙げております。診療報酬を付けてほしい、あるいはこういった職種を認めてほしいということを、もう何回も何回も保険局とやり取りをしています。でも、なかなか限られたバジェットの中で、先ほど話をした非常にハンディキャップのある状況をうまくクリアできなくて、いまだかつて達成できていないというのが正直なところです。
○今村委員 ありがとうございました。
○さい帯血国際患者支援の会 すみません。骨髄提供について。
○小澤委員長 では簡単に。
○さい帯血国際患者支援の会 野村さんの発言を、25年以上一緒に活動してきた仲間としてフォローというか弁護させて下さい。私たち参考人出席3人は、25年以上前からの骨髄バンクを支援する経験を踏まえて今の状況を見ております。そこから考えますと、当初は確かに骨髄提供というのはとても暗いイメージが多くて、骨髄提供をお願いする私たちはとても引け目を感じながらという時代でもありました。でも橋本さんのお話にあったように、提供している人たちは、骨髄バンクからの発足以来大きな事故もありませんし、提供している人たちはハッピーであるというのは、私は今骨髄から離れておりますが感じております。
野村さんの哲学の考え方の変更という点について参成です。今でも暗い、危険というイメージは付きまとっております。私共の臍帯血の支援運動に参加している人の中には、骨髄提供は怖い。と言う人は確かにたくさんいるのです。骨髄移植医療の成功は多いし、ドナーの危険度というのも、おおかたの国民の考え方というのが変わってきておりますので、明るい方向にコーディネートしていくとか、そういう考え方の違いというのをここで私たち自身が変えて広報していくような、そういうことを考えていただければ私は有難いかなと思っております。
○小澤委員長 ありがとうございました。今日は、この法律制定で現状がどうなっているかということを議論しました。まだ、今日取り上げられなかった問題点としては、今回の法律がカバーできない部分でいろいろ不都合も発生しているということもあるようなのですね。ですから、その辺も次回は議論したいと考えております。
それでは、最後の3番の議事です。「造血幹細胞移植推進拠点病院について」、事務局から資料3に基づいて簡単に説明をお願いいたします。
○阿萬移植医療対策推進室長 もう時間もかなり押しておりますので、本当にかいつまんで御説明します。資料3です。この整備事業については、先ほど申し上げましたように、平成25年度から3か年ということで今進めております。具体的な業務内容については、1ページ目の下のほうにありますように、人材育成、そしてHCTCの配置、その他採取の積極的実施、手術室等の有効活用などということで、基本的にはそれぞれの地域において、造血幹細胞移植全体の、引っ張っていくと言いますか、底上げをするための基幹的な病院ということで選定をさせていただいています。
2枚目のページの上のほうを御覧いただきますと、現在青で囲まれている所については選定が終了しておりまして、現在5施設が選定されております。平成27年度中に残り4ブロック4施設を選定するという予定で今進めているところです。その中で懸案となっておりますのが、今後の選定においては、最初に決めた要件と同じ要件を適用すると、なかなかそれをクリアできない所も出てくるというところもありまして、2枚目の下半分にありますように、一部の要件の緩和なども行いながら、まずはこの3年間で9施設を選定するということを主目的に進めていきたいと思っています。
端的に申し上げますと、例えば配置を必須としておりましたHCTCについて、HCTCを必ずしも取っていなくても、認定を受けていなくても、まずは暫定的なところでいうと、実質的な同等の経験を持つということ。これはまだ具体的な要件は決める必要がありますが、そういう担当者がいれば認めるですとか、あとは移植を採取件数の数値要件などについても、基本的には現在の基準はオールジャパンの中での比較の数値ということで決めているものですが、患者の数など、そういういろいろな要素も踏まえて、余りそういう整備が進んでいない所については、それぞれの地域の中で進んでいる所を要件とするですとか、そのようなことも含めて、少し要件を緩める方向で進めていきたいと思っております。
その中で4ページ目を御覧ください。今申し上げました、まずは9つの施設の選定をするというところが前提ですが、その上でしっかりと推進拠点病院の評価の実施ということも行っていきたいと考えております。特に4枚目の資料の上半分を御覧いただきますと、評価のポイントという中で、拠点病院の評価というよりも拠点病院事業についての評価ということも含めて、例えば(6)のような形で各拠点病院の先生方からのフィードバックなども頂きながら、事業そのものの評価ということも含めて今後考えていきたいと思っておりまして、その中で例えば9病院の体制というのがそのまま続くというよりは、今後状況も見ながら、いろいろとそこはまたより良い方向に向けて考えていきたいと思っています。雑駁ですが説明は以上です。
○岡本委員 この造血幹細胞移植推進拠点病院というコンセプトですが、私の理解では様々な議論がなされることなく、法律の施行のかなり直前になって出てきたものです。そして9施設を、という話だったという理解をしています。そのときの間さんのお話では、それは採取に重点を置いて、それを推進するということだったと思います。しかし、採取とは書けないので移植という名称にしたと理解しています。私のプレゼンテーションの中にありましたように、学会としても、この様々な移植施設の要件、それから必要な人材育成というプログラムを進めていて、それとこの移植拠点病院がどういう役割分担をするのか、やっていることは基本的に同じではないか、何をもって移植拠点病院というものを選定するのか、そしてそれをどう評価するのか、それらは、私には非常に疑問です。もしも、ネットワークを作れというのであれば、今もう既に各地域でもある程度ネットワークがあって、それをうまく育てるような形でバジェットを付ければいいかもしれませんし、あるいは人材のエクスチェンジをして、プログラムということを考えるのであれば、学会がそういったその全体を把握して人をやり取りするということも十分対応できるのではないかと思います。そういった背景の中で、この移植推進拠点病院を実際どう位置づけるかということは、やはりしっかりと明記されたほうがいいのではないでしょうか実際、学会がHCTCをしっかり認定しようということを一方で言っている中で、拠点病院がその認定を満たしていないことを認めるという、それはやはり少し方向性としてはアゲインストではないかなと私は考えますし、そういった職種をしっかり充当していこうという中では、ブレーキになってしまいますでは、何のための拠点病院なのだということについての十分な説明がしにくいのではないかと思います。
○阿萬移植医療対策推進室長 御意見ありがとうございます。今、岡本先生のおっしゃったような御意見は、我々も既に頂いています。まず出発点として9病院を選定した上で、またその在り方をきちんと考えていくということとするのか、それとも9病院ということではなくて、その全体の、今岡本先生がおっしゃったようなところも含めて、こういう言い方が適切かどうか分かりませんが、総花的なものではなくもう少し要件自体をある程度傾斜配分という形にしていくのかどうかといったところは、正に今後の検討課題だと思っております。ただ、少なくとも我々としては、全体の予算を実施していく中で、今はこういう形で進めていますので、まずはその9施設の選定というところまではさせていただきたいと思っております。ですから、これが固定化するという話ではないと。宣言というとあれですが、固定化するものではないというのは、我々としてもそういう考えでおります。そういう中で、また先生方とも、この場でもいろいろ御相談させていただきながら、今後の在り方についてきちんと考えていくことになると思っております。以上です。
○宮村委員 私の病院は拠点病院なのですが、やっていて思うことは、当初は岡本先生が言われたように、当初の目標はできるだけ早期に採取できる病院を増やすことでした。そういった意味では、採取する病院がない県を支援していくことは非常に大事で、その点でも私は、今回、拠点病院になったことで、福井赤十字病院や豊橋市民病院と、院長同士が連携を取ってやっていくことができたなど、いろいろなことで助かりました。ただ、今日これを見て、一律に各行政区に一つ作るということで、少しびっくりしたのですが、私はこの前いろいろ資料を作ったのですけれど、関東甲信越は人口4,800万人です。大阪、東海北陸が大体2,000万人ですね。これをやっていて思うのは、そこにいるスタッフがやはり関東は多いだろうし、少ない地方もあるだろうし、多少の傾斜、あるいは寄与分の負担、あるいは多い所には複数施設をもっと増やしていくということをやっていかないと、本当に採取を増やしていくということには結びつかないと思いますので、よろしくお願いします。
○鎌田委員 今、先生方が御指摘くださったことはすごく重要なことだと思うのです。その上で更に、仮に現状で進んでいく場合について申し上げておきたいのが、既に今までに決まっている場所は当初の要件を満たした病院が選定されてきておりますが、全国から9ブロックに分けてそれぞれからということになりますと、ここから先は、現在設定している要件は、をそもそも満たせなかったり、採取件数や移植件数が、やはり都市部の病院などとは数はが、全く違うものになってくるきたりすると思うのです。そうしますと、今、評価ポイントとされている診療実績ですとか、あるいは、人材養成の取組については移植経験数の少ない医師の受入れなども入っておりますが、そもそもの移植数などが少ない病院で受け入れた場合に、やはり得られる経験もまた差が出てくると思います。そうしますと、この選ばれた9施設の中でも更に連携といいますか、レベルの均一化など、そういった工夫も必要になってくるのではないかと考えます。
○小澤委員長 ありがとうございます。この拠点病院の選定の過程の中で、いろいろな問題点が浮かび上がってきて、多少軌道修正もしたり、いろいろな議論を進める必要があるかなと思っています。その辺も確かに余り議論されていなかったので、またよろしくお願いいたします。
そうしますと、予定の時間を過ぎてしまっておりますので、何か特に御発言をされたい委員の先生はいらっしゃいますか。よろしいですか。
○岡本委員 時間が迫っているのに、すみません。あと1つだけ付け加えさせてください。制度が施行されて、国際協力ということについても結構しっかりとした文言が入っていたと思います。齋藤先生が少しお触れになった臍帯血の提供をを国際的にというところの少し進みが十分ではないかなと感じています。恐らくこれは国際的な信頼の問題もありますし、やはりそこを是非検討いただいて、とにかくワンステップ踏み出して、そしてその後にいろいろなことを検討していくと方向でお願いしたいと思います。やはりこういった連携ができた中で、もっとフットワークを軽くやって、フィードバックをすぐかけて、そしてよりよい方向に向かっていくという体制を作る1つのいいモデルだと思いますので、是非検討いただきたいなと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。本日の議事は以上にしたいと思います。前回のこの委員会から随分間が空きましたので、いろいろな御意見が今日は噴出したという感じもありますが、次回はもう少し早めに委員会を設定していただき、資料等もあらかじめ委員にお送りいただくということもお考えいただければと思います。それでは、最後に事務局からよろしくお願いします。
○山口室長補佐 本日は活発な御議論をいただき、ありがとうございました。事務局においては、本日頂きました御意見を踏まえて、法律の面のみならず、今後の造血幹細胞移植の推進を図ってまいりたいと思います。また、御指摘いただきました資料の事前配布などの不手際もありまして、申し訳ございませんでした。次回の開催については、また別途調整させていただければと思いますので、併せてよろしくお願いいたします。以上です。
○小澤委員長 それでは、本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。
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