ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会指定難病検討委員会)> 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第10回) 議事録(2015年3月9日)
2015年3月9日 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第10回) 議事録
健康局疾病対策課
○日時
平成27年3月9日(月)16:00~18:00
○場所
厚生労働省専用第15・16会議室(21階)
○議事
○前田疾病対策課長補佐 ただいまから平成26年度第10回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。まず、本日の出席状況について御報告をさせていただきますが、委員の方全員御出席です。ここからは、千葉委員長に議事をお願いいたします。
○千葉委員長 第10回指定難病検討委員会を開始いたします。まず資料の確認をお願いします。
○前田疾病対策課長補佐 資料の確認をさせていただきます。クリップ止めで大きな資料ですが、表紙から議事次第、その次のページが配席表、委員の名簿です。資料1-1として、第10回指定難病検討委員会において検討する疾病リストです。資料1-2として、そちらのリストに基づく個票です。机上配付のほうは冊子という形でお配りしています。資料1-3「指定難病又は個別に検討した疾病の範囲に含まれうる疾病」というものです。
資料2ですが、左上ホチキス止めです。「現時点で指定難病の要件を満たすことが明らかでない疾病」ということで御用意をしています。資料3ですが、こちらも縦紙で「今後の予定(案)」という形でお配りしています。
資料としては以上ですが、あと参考資料として2つお付けしています。横の参考資料1ということで、第6回指定難病検討委員会資料の再掲ですが、「指定難病の要件について(追記の案)」、参考資料2としてこちらも第6回の再掲ですが、「指定難病(第二次実施分)として検討を行う疾病の一覧」です。不足等ありましたら、御指摘のほどお願いいたします。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 よろしいようでしたら、カメラ撮りはこちらまでにさせていただければと思います。
○千葉委員長 それでは、本日は前回に引き続きまして個別の疾患について、委員の先生方に御議論をいただきたいと思います。早速事務局のほうから御説明をお願いします。
○岩佐疾病対策課長補佐 それでは資料の説明をさせていただきます。それぞれ個票に従いまして4-1から説明をさせていただきます。
4-1「家族性地中海熱」です。資料1-2の1ページからです。家族性地中海熱ですが、炎症経路の1つであるインフラマソームの働きを抑える蛋白の異常で発症する自己炎症性疾患です。発作性の発熱や漿膜炎による疼痛を主徴とします。遺伝子異常という形で知られていますが、その発症メカニズムは明らかになっておりません。根治的な治療法はなく、発作の抑制にはコルヒチンが用いられますが、継続的な治療が必要となっていて、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準ですが、必須項目として、特徴的な発熱発作や血液検査動態等を示して、補助項目として漿膜炎のいずれかを認める場合、若しくは遺伝子解析により認められた場合を対象としてはどうかとしています。
重症度分類が4ページにありますが、発作頻回例及びアミロイド—シス合併例のいずれかを対象としてはどうかと考えています。
続きまして5ページ、「高IgD症候群」です。高IgD症候群はコレステロールの生合成系に関わるメバロチン酸キナーゼ活性の低下によりまして発症する周期性発熱症候群です。遺伝子の機能低下変異等により発症するとなっている遺伝性疾患ですが、その発生機序は明らかになっておりません。反復性あるいは遷延性の発熱発作を認め、重症例では先天奇形や精神発達遅滞等の中枢神経症状を伴うとされています。根治療法はなく、未だ確立された治療方法はありません。したがって、長期の療養が必要であり、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準は7ページですが、必須条件として発熱発作を認めて、補助項目のいずれかを満たしまして、遺伝子検査及び発熱時尿中メバロチン酸高値ということで診断することとされています。
重症度分類は8ページで、発熱発作頻回例及び炎症持続例、合併症併発例のいずれかを満たした場合を対象としてはどうかと考えています。
続いて4-3「中條・西村症候群」です。慢性、反復性の炎症と進行性のやせ・消耗を特徴とする遺伝性の自己炎症性疾患です。幼少時期に手足の凍瘡様皮疹にて発症しまして、その後、結節性紅斑様皮疹が全身に出没したり、発熱、筋炎症状を繰り返すような疾患です。次第に部分的な脂肪筋肉萎縮、やせが進行していく疾患です。ステロイド内服によりまして発熱等は軽減されますが、副作用の問題等もありまして長期の療養が必要な疾患となっています。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準は11ページですが、臨床症状として5項目以上、陽性若しくは遺伝子異常を認めるような場合に診断してはどうかとしています。
重症度分類は12ページです。症状ベースの重症度分類で、以下の表を参考として中等症以上を対象としてはどうかとしています。
13ページ、「化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群」です。当該疾患は遺伝子異常によりまして発症する、自己炎症性疾患でして、若年で発症し、進行性のびらん性関節炎及び潰瘍を伴うような難治性皮膚症状を認める疾患です。根治的な治療方法は存在しませんで対症療法が中心となりまして、様々な合併症を認めるというところから長期の療養が必要となり、要件の判定に必要な事項を全て認めるものと考えております。
15ページに診断基準がありますが、特徴的な臨床症状を認めまして特異的な遺伝子診断を行い、変異を有する場合に診断する形にしています。
重症度分類ですが、16ページ、活動性関節炎発症例、壊疽性膿皮症様病変・嚢腫性ざ瘡発症例及び合併症併発例のいずれかに該当する場合を対象としてはどうかと考えています。
続きまして17ページ、4-5「慢性再発性多発性骨髄炎」です。当該疾患は原因不明の無菌性・非腫瘍性の骨・骨髄の炎症性疾患です。原因は不明であり、倦怠感、局所の疼痛・腫脹等で緩徐に発症する疾患になっています。NSAIDSを含む対症療法が行われておりますが、関節炎などの合併症をきたすなど、様々な長期の療養が必要な疾患です。要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準19ページは、特徴的な画像所見及び組織検査所見を認めて、ほかの疾患を除外して診断するとしています。
重症度分類は、骨髄炎持続例及び合併症併発例のいずれかに該当する場合を対象としてはどうかとしています。
続いて21ページの4-6「強直性脊椎炎」です。当該疾患は主に脊椎・骨盤(仙腸関節)及び四肢の大関節を侵すような慢性進行性の自己免疫性疾患です。30歳前の若年者に発症することが多く、全身広範囲に炎症性疼痛が広がります。次第に各部位の拘縮や強直というものを生じるということになっています。
HLA-B27遺伝子の強い関連性が見られるとなっていますが、原因は不明となっております。根治療法はなく、生物学的製剤を用いたり外科的手術を行うなど、対症療法のみという形になっていまして、長期の療養が必要とされています。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準が23ページにありますが、特徴的な臨床症状を1つ以上及びレントゲン所見で仙腸関節に高度の関節炎所見を認めることによって、及び鑑別診断を除外して診断されるとしています。
重症度分類が24ページにありますが、BASDAIスコアなどを含めましたいくつかの指標を用いて、いずれかを満たす場合を重症例として対象としてはどうかと規定しています。
続いて27ページ4-7「進行性骨化性線維異形成症」です。当該疾患はFOPと呼ばれることも多いのですが、小児期から全身性の骨格筋や筋膜、腱、靭帯などの線維性組織が進行性に骨化する。このために四肢関節の可動域低下や強直、体幹の可動性の低下、変形等を生じる遺伝性の疾患です。
現時点で本疾患に対して有効性が証明された治療法はなく、長期の療養が必要となっています。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
29ページに診断基準を示していますが、症状としまして進行性の異所成骨化、拇趾の変形・短縮を満たしまして、鑑別診断を除外した場合、若しくは特異的な遺伝子変異を認める場合に診断するという形にしています。
重症度分類ですが、30ページ、modified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象としてはどうかとしています。
続いて32ページ、「肋骨異常を伴う先天性側弯症」です。当該疾患は小児に発症する脊柱側弯症はその原因も様々で、様態も個々の患者ごとで非常に大きな差があります。特に思春期に悪化しやすいとされていますが、脊柱変形の弯化が少ないものもあります。一方で、新生児、乳幼児期に発症する脊柱変形の中には、その変形悪化が著しくなりまして、そのために胸郭容量の減少により、肺の成長が阻害されて、呼吸機能低下を来すような疾病もあり、非常に重篤な疾患群があり、これらを肋骨異常を伴う先天性側弯症として対象と考えています。
根治的な治療は未だになく、対症療法としての手術療法を繰り返し行うということが必要となっており、呼吸器の管理も含めて非常に長期の療養が必要となっている疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準は34ページですが、年齢と変形の程度などにより定められた基準で判断をするという形で、例えば0歳から2歳未満ですと立位で85度以上あるような症例であったりという形で、年齢に従ってその基準というのが異なっているものです。
重症度分類は35ページですが、modified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象としてはどうかと考えています。
37ページの4-9「タナトフォリック骨異形成症」です。タナトフォリックという言葉は致死性を意味するギリシャ語で、主な特徴としては長管骨の著明な短縮ですが、胸郭の低形成であったり重度の呼吸障害を来すということで、以前は致死的であったというところですが、医療の進歩などにより、成人例も見られるようになった疾患です。
原因としては、遺伝子変異によるものとされております。生涯にわたり呼吸管理を含めた対応が必要となる疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
39ページに診断基準がありますが、特徴的な症状と出生時の単純X線画像所見又は遺伝子検査で診断されるとしています。
42ページの重症度分類ですが、当該疾患は全例、生涯にわたりまして致死的な呼吸不全が認められる状況ですので、基本的に診断基準自体を重症度分類として、診断基準を満たすものは全て対象としてはどうかとしています。
続いて43ページ、「骨形成不全症」です。実は当該疾患に関しては、1月末時点では情報が上がっていなかったので610のリストの中には含まれていませんけれども、2月中に情報提供があって、今回の検討に間に合いました。そのような疾患は3つありますけれども、そのうちの1つという形にしています。
骨形成不全症ですが、全身の骨脆弱性による易骨折性や進行性の骨変形に加えて、様々な程度の結合組織症状を示す先天疾患です。1(正しくは英数字)型コラーゲンの遺伝子変異により、質的あるいは量的な異常が原因により発症するとされていて、易骨折性や脊椎骨の変形等に加えて成長障害など、様々な症状を認める疾患です。
根治的な治療はなく、内科的治療、外科的治療を含めた対症療法が行われていますが、長期の療養が必要ということで要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準は45ページにありますが、症状として7項目のうち4項目以上、及び検査所見として5項目のうち4項目以上を認める。若しくは遺伝子変異を認める場合を対象としてはどうかと考えています。
47ページ、重症度分類ですが、modified Rankin Scale、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれか3以上を対象としてはどうかとしています。
続いて48ページ、「軟骨無形成症」です。当該疾患に関しても、先ほど同様追加した疾患のうちの1つです。軟骨無形成症は四肢短縮型の低身長を呈します遺伝性疾患で、特徴的な身体所見とX線像から診断がなされます。有効な治療法はなく、成人身長は男性で約130センチメートルと、かなり著明な低下を認めています。さらに脊柱管狭窄のため、中高年になると両下肢の麻痺を呈したり、下肢のアライメント異常による変形性関節症を発症して歩行障害を来すことがあるとされています。本質的な治療はなく、様々な対症療法が中心となりますが、成人は特に脊柱管狭窄というものが問題となり、歩行障害が発生する頻度が高いとされていて、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。
診断基準50ページですが、特徴的な症状及び検査所見を満たして、鑑別診断を除外したもの、若しくは特異的な遺伝子変異を認めるものを対象としてはどうかとしています。重症度分類については、脊柱管狭窄症を認めて、modified Rankin Scale、呼吸の評価スケールを用いて3以上を対象としてはどうかと考えます。以上、4-1の「家族性地中海熱」から4-11の「軟骨無形成症」まで説明をさせていただきました。以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。自然炎症関連の疾患と骨軟骨疾患が11のところまで入っていましたが、いかがでしょうか。
○宮坂委員 1番の家族性地中海熱ですが、最初のところの「インフラマソームの働きを押さえる」は「抑える」だと思います。それから治療法のところで「高IL-1療法」とありますが、これは「抗IL-1療法」です。この疾患はコルヒチンが非常によく効く症例があって、コルヒチンが効くとアミロイドーシスにならないのです。この対象はコルヒチンが効く、効かないは関係なく、発熱発作が年4回以上認められる場合を、発作頻回例としてそれを認めることになるので、このとおりだとなってしまうのですが、コルヒチン無効例としたほうがいいかなと今ちょっと見ていて思ったのですが。
○千葉委員長 はい。有効例は。
○宮坂委員 有効例は結局アミロイドーシスにもならないで、日常生活を送れますから、コルヒチンはとても安い薬ですから、これまで対象にしなくてもいいのかなという気がします。
○岩佐疾病対策課長補佐 基本的に考え方としてはそういうところで考えています。その辺りの表記の仕方はどういう形が適切なのか、もう一度研究班とも相談をしたいと思います。
○千葉委員長 多くは小児の疾患ですけれども、最近は成人でも見つかっていますね。いかがでしょうか。
○直江委員 4-9と4-11なのですが、これはいずれも同じFGFR3の異常ですね。それともう1つ、軟骨低形成症は今回は入らなかったのですか。
○宮坂委員 軟骨ではなく骨。
○前田疾病対策課長補佐 基本的には遺伝子が同じものであっても、こういう形で病形が異なるということで、医学的に整理されているものについては別の病名として挙げさせていただいています。第6回の会議の際に、610という形でお示ししたのですけれども、その後追加はありましたが、要件を満たすものという形で追加させていただいたのは、4-10の「骨形成不全」と4-11の「軟骨無形成」の2疾患という形でお示しさせていただきました。要件を満たさないものについては、後ほど資料2としてまとめていますので、その中で御検討いただきたいと思います。
○直江委員 あと1点、4-9、これはミスプリだと思うのですが。37ページの疾患の原因はFGFR、この線維芽細胞増殖因子、確かこれは受容体3ですね。2.の原因のところですが。
○岩佐疾病対策課長補佐 その辺りは確認をさせていただきます。
○千葉委員長 というか、後ろはそうなっていますからね。
○水澤委員 そうですね、Rが入っていますね。
○千葉委員長 Rで11番。
○直江委員 あとは皆、受容体と書いてあるのですが、前のほうが増殖因子になっていて。
○宮坂委員 前だけ違う。間違いですね。
○直江委員 多分そうですね。
○千葉委員長 確認をお願いします。ほかはいかがでしょうか。同じ遺伝子異常に基づく疾患を別々に扱うのはほかにもこの中に含まれていますけれども、恐らく今後の学問的な進展によってこの辺の組合せを変えなくてはならなくなる可能性は出てきますね。オーバーラップの病気も、これとは違いますが、あるようなところもありますので。ほかいかがでしょうか。よろしいですか。では次にいっていただきます。12からお願いします。
○岩佐疾病対策課長補佐 続いて、4-12の「リンパ管腫症/ゴーハム病」から、4-25の「後天性自己免疫性出血病13(正しくは英数字、以下同様。)」までを説明いたします。
52ページの4-12の「リンパ管腫症/ゴーハム病」は、骨や胸部、皮膚、皮下組織など、全身の臓器にびまん性に異常に拡張したリンパ管組織が浸潤する原因不明の希少難治性疾患です。当該疾患は先天性と考えられておりまして、病理学的には不規則に拡張したリンパ管が同定され、MIB-1等が陰性で、腫瘍性の増殖ではないという形になっております。症状としては、病変が出現する部位により様々な臓器障害を認めることになっており、外科切除も含めて対症療法のみという形になっております。様々な長期療養が必要という疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
54ページは診断基準です。脈管奇形の診断基準に加えて、更にリンパ管腫症/ゴーハム病の診断基準を満たすものとしております。主要所見として特徴的な所見があります。病理学的所見によって診断される形にしております。
55ページは重症度分類です。modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれか3以上を対象としてはどうかとしております。
続いて、57ページは「頚部顔面巨大リンパ管奇形」です。頚部顔面巨大リンパ管奇形については、顔面等に先天性に発症する巨大の腫瘤性のリンパ管形成異常です。先ほどのゴーハム病(リンパ管腫症)とは異なる疾患となっております。当該疾患に関しては、基本的には1か所の病変であることが多いとされております。特に病変が大きく広範囲になるものは難治性で、中でも頚部顔面の巨大病変については、気道圧迫や摂食、嚥下困難等生命に影響を及ぼし、更に神経、他の主要な脈管と絡み合って、治療が非常に困難となり、他部位の病変とは別の疾患概念を有するという形で、今回、取り出しています。病変内のリンパ嚢胞の大きさ等によって、外科手術、硬化療法等を行いますが、完治がほぼ不可能であり、長期の療養を必要とされております。要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
59ページは診断基準です。脈管奇形の診断基準を満たしまして、理学的所見、画像所見、嚢胞内容所見などを満たす場合に、診断をするというようにしております。
61ページは重症度分類です。modified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上、若しくは聴覚障害、視覚障害、出血、感染に伴う評価スケールを用いて、それぞれ対象となったものを、それぞれの要件を満たしたものを対象としてはどうかと考えております。
63ページは「頚部口腔咽頭びまん性巨大静脈奇形」です。当該疾患は頚部・口腔・咽頭の全領域にわたる巨大な腫瘤性の静脈形成異常です。当該疾患は胎生期における脈管の発生異常という形になっており、静脈類似の血管腔が増生するような血液貯留性の病変です。特に頚部・口腔・咽頭の病変については、先ほどのリンパ管症と同じような形で、気道圧迫や摂食・嚥下困難等を来すというところで、今回、難病の対象として挙げております。
治療法としては、外科的切除と硬化療法が選択されておりますが、口腔、咽頭等の機能喪失等があり、現実的な治療は困難なところがあります。長期の療養を必要とする疾患となっており、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
65ページは診断基準です。脈管奇形の診断基準に加えて、画像検査所見、理学的所見、病理所見を加えて診断をするとしております。
重症度分類については、先ほどと同様に、modified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、更に聴覚障害、視覚障害、出血、感染、それぞれの評価スケールを用いて要件を満たしたものを対象としてはどうかとしております。
続いて、68ページは「頚部顔面・四肢の巨大動静脈奇形」です。当該疾患も脈管の発生異常による疾患です。動脈と静脈が直接に交流するという、「シャント」というようなものを複数有する形で、こちらは高流速の血管性病変という形になっております。特に頚部の病変については、生命に掛かる影響等も大きく、更に四肢の1つをほぼ覆うような疾患については、同じく治療困難であり、様々な心不全、致死的出血などを来すような疾患であるというようなところで、ここに挙げております。
治療法としては、先ほどと同様、外科手術や血管内治療という形になりますが、それらの治療はやはり、根治が困難であり、長期療養が必要としております。要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
71ページは診断基準です。脈管奇形の診断基準に加えて、画像検査所見及び理学的所見や、病理的所見を加えて診断されるとしております。
重症度分類は、先ほどと同様にmodified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、また、聴覚障害、視覚障害、出血、感染のスケールのそれぞれで、要件を満たした場合に対象としてはどうかと考えております。
74ページは「クリッペル・ウェーバー症候群」です。当該疾患は四肢のうち1肢又はそれ以上、ほぼ全体にわたるような混合型の脈管奇形に変則肥大を伴うような疾患となっております。古典的には、四肢の変則肥大、皮膚毛細血管奇形等を主徴とするようなものですが、低流速型の脈管奇形を主とするものという形で規定されております。根治的な治療方法はなく、対症療法のみでありまして、生涯にわたる継続的な管理を必要とするというところから、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
77ページは診断基準です。脈管奇形の診断基準に加えて、四肢のうち、少なくとも1肢のほぼ全域にわたる混合型脈管奇形と、片則肥大を合併するものであり、必須所見を満たすものを対象とするという形で考えております。
79ページは重症度分類です。modified Rankin Scale及び出血、感染の評価を用いて、いずれかで対象となるものを対象としてはどうかと考えております。
81ページの4-17「ポルフィリン症」です。当該疾患はヘム代謝系に関わる8つの酵素のいずれかの活性低下により、ポルフィリン体、あるいはその前駆体が蓄積されることによって発生する遺伝性疾患です。9つの病型に分けられています。1つの病型では、日本人の発生がないということで、8つの病型を後に示しております。病態の大部分は不明で、根治療法はありません。光線過敏や消化器症状を来すことがあります。生涯この状態は続くという形になっており、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
83ページは診断基準です。以下に示すそれぞれの病型ごとに基準が示されております。例えば急性間欠性ポルフィリン症ですと、臨床所見のいずれか及び発作時に特徴的な検査所見を認める、若しくは特異的な遺伝子所見を認める場合であって、除外診断されたものを対象とするという形にしております。同様な形でほかの7つの病型についても、それぞれ基準を定めております。
92ページは重症度分類です。以下の臨床症状のいずれか1項目以上を有するという形で、幾つかのものを出しております。
93ページは「先天性葉酸吸収不全症」です。当該疾患は、葉酸の輸送体であるPCFTというものの機能喪失を原因とする、常染色体劣性遺伝子性疾患です。腸管からの葉酸吸収不全と、脈絡膜における取込み障害を来すという形になっております。巨赤芽球性貧血を含む様々な症状を来すとされております。遺伝子の異常による疾患で、根治療法はありません。対症療法を中心とするような疾患となっておりまして、長期療養が必要となり、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
95ページは診断基準です。典型的な症状プラス血清葉酸値の測定で低値、経口葉酸負荷試験で、有意な上昇を認められないことにより診断するとしております。
当該疾患は、基本的には先天代謝異常の疾患だというところですので、先天代謝異常の重症度分類を用いて、中等症以上を対象としてはどうかと提案しております。
98ページは「先天性赤血球形成異常性貧血」です。当該疾患はCDAという形でも言われておりますが、先天的に赤血球系の細胞に形成異常があって、慢性の不応性貧血、無効造血及び続発性のヘモクロマトーシスを伴うような疾患です。遺伝子異常が関与しており、各治療が試みられておりますが、これは確立されておらず、長期療養が必要となる疾患です。要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
100ページは診断基準です。家族歴や既往歴、身体所見や検査所見等からCDAを疑って、骨髄穿刺、除外診断、遺伝子検査等で診断を確定するとしております。下にCDAの各病形の診断基準を示しております。なお、CDAの診断は、かなり高度な判断を伴うというところで、学会の中央診断委員会などで討議するべきというようなコメントも頂いております。
102ページは重症度分類です。こちらはStage3以上を対象としてはどうかと考えております。
103ページは「特発性後天性赤芽球癆」です。赤芽球癆は、正球性正色素性貧血と網赤血球の著減及び骨髄赤芽球の著減を特徴とする症候群です。病因は多様となっています。先天性と後天性に分けられ、さらに病因を特定できない特発性と、基礎疾患を有する続発性という形で分類されています。このうち今回挙げているものとしては、特発性の後天性赤芽球癆という形になります。免疫抑制薬や輸血の治療を行っておりますが、十分な治療ができているとは言えず、長期の療養が必要とする疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
105ページは診断基準です。臨床所見として、貧血及びその症状、それから検査所見の3項目全てを満たして、原則として、他の系統は正常。先天性のもの及び続発性のものを除外して診断するという形にしております。
106ページは重症度分類です。こちらのStage3以上を対象としてはどうかとしております。
107ページは「ダイアモンド・ブラックファン貧血」です。当該疾患は、先ほどの赤芽球癆のうち、先天性の部分のものの代表疾患となっています。赤血球造血のみが障害される先天性の造血不全症で、種々の奇形や発育障害に見られることもあるというようにされております。遺伝子変異によりリボソームの機能異常が原因と考えておりますが、その詳細は不明となっています。輸血やステロイド療法が基本となっていますが、同種骨髄移植等も行われております。しかし、長期の療養が必要であり、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
109ページは診断基準です。Aの診断基準の4つ全て、若しくはそれらを補完するような検査所見をもって、診断するという形にしております。
111ページの重症度分類については、Stage2以上を対象としてはどうかとしております。
112ページは「ファンコニ貧血」です。当該疾患は染色体の脆弱性を背景に進行性の汎血球減少などを来すような疾患群です。根治的な治療方法はなく、対症療法のみという形になっております。長期療養が必要であることから、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
114ページは診断基準です。症状として特徴的なものを1つ以上、及び検査所見として染色体不安定性及び鑑別診断を除外するということで診断をする、若しくは遺伝子検査で変異を認める場合に対象とするという形で考えております。
116ページは重症度分類です。再生不良性貧血の重症度分類を用いて、Stage2以上を対象としてはどうかと提案しております。
117ページの4-23の「遺伝性鉄芽球性貧血」です。骨髄において、核の周囲に環状に鉄が沈着した赤芽球(環状鉄芽球)の出現を認める遺伝性の貧血です。貧血症状のほか、神経症状、筋症状、肝障害、膵機能障害等の全身症状を伴うようなこともあり、根治的な治療方法はありません。対症療法が主となり、長期にわたって輸血等が必要となって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
119ページは診断基準です。検査所見として、3項目挙げられている全てを満たして遺伝子の変異を認める場合、若しくは小児期発症例で、他の疾患を除外して、家族歴があるような場合などを対象としてはどうかと考えております。
120ページは重症度分類です。Stage3以上を対象としてはどうかと考えております。
121ページ、4-24の「エプスタイン症候群」です。当該疾患は、MIH9遺伝子の異常によって起こる先天異常症候群の1つです。巨大血小板性血小板減少症、顆粒球封入体、それから進行性腎炎、感音難聴等を伴う常染色体優性遺伝です。対症療法が主となっております。様々な症状に対応する必要があるというようなことになっており、長期療養が必要な疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
123ページは診断基準です。巨大血小板性血小板減少症と、更に末梢血塗抹標本、及び遺伝解析によって診断をするという形にしております。
124ページは重症度分類です。ITPの重症度分類でStage2以上、聴覚、腎それぞれの対象となる部分を対象としてはどうかと考えております。
126ページの4-25の「後天性自己免疫性出血病13」です。当該疾患は後天性自己免疫性出血病は「後天性血友病」というような形でも言われております。血が固まるために必要な蛋白質の異常という形で出てくる疾患です。自己抗体が作られることによって、第13因子が働かなくなるということや、若しくは免疫複合体が迅速に除去されるということで、第13因子が失われるというようなことで、出血が多くなる疾患だというようにされております。治療法としては、濃縮第13因子製剤を投与するということがありますが、これらもすぐに除去されるということもあり、対症療法が中心の疾患です。長期療養が必要な疾患であり、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
128ページは診断基準です。典型的な症状を認めて、それらから疑いまして、抗FX13サブユニット抗体等が陽性であること、及び鑑別診断が可能なこと。更にFX13インヒビター陽性というようなものを対象としてはどうかと考えております。
131ページは重症度分類です。過去1年の間に重症出血のいずれかを1回以上起こした例を、重症例として対象としてはどうかと提案しております。以上、4-12の「リンパ管腫症/ゴーハム病」から、4-25の「後天性自己免疫性出血病13」まで御説明いたしました。
○千葉委員長 リンパ管血管系の異常の疾患と、血液疾患の、主として赤血球系のプロフィニンシュはありますが、赤血球系の疾患が多く含まれておりましたが、いかがでしょうか。
○飯野委員 68ページの4-15ですが、頚部顔面・四肢巨大動静脈奇形、これ、巨大という定義のようなものがあるのでしょうか。
もう1つは、脳内、それから脊髄のA-Vマルフォーメーションは有名ですが、これを除外したというのは、これを入れると、希少でなくなるというそういうことをプラス診断とかと書いてありますが、その辺をお教えください。
○岩佐疾病対策課長補佐 まず、巨大という定義ですが、特に頚部から顔面に関しては、手掌大、手掌というのは、手のひら及び指の先まで含めての手掌大という形で定義されていると聞いております。更に、四肢の所で言うと、四肢のうち、どれか四肢の1本、全体にわたるものを巨大というような形で定義していると聞いております。
頭部の特に動静脈奇形等については、少しこれとは別に考えているところですが、実は疾患の取扱いとして、頭部、頭蓋内のものに関しては、やはりその疾患の性質上、少し別の取扱いをするべきだというようなところで、この研究班の先生方も十分にその辺りのところの情報まで得られていないということもありまして、今回は別の形で規定していると聞いております。その辺りは、医学的な整理の中でいただいているということです。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。ほかに、どうぞ。
○和田委員 4-19の「先天性赤血球形成異常性貧血」の101ページですが、診断の注釈の所で、「高度な判断を伴うため、一施設では決定せず」と答えがあります。恐らくこれらの疾患群、これまで検討した疾患群も高度な診断が求められる疾患群が多かったと思います。こういった記載は今後、難病指定医が診断する際には、どういう形で織り込まれるのでしょうか。
○岩佐疾病対策課長補佐 こちらについては、研究班からもいろいろ情報をいただいております。この疾患については、病理診断のところの比重が大きいように聞いております。
その病理診断の治験では、実際、この疾患自体は日本の中にも数十人とか、そういうレベルのものですので、実質的に見たことがないというような人たちもかなり多いのではないかと。そういうようなところから、一応、特に小児血液がん学会等のほうで、こういう体制を作って対応しているというところですので、それをこの中にも少し入れさせていただいた形です。
○直江委員 今の説明から追加すると、小児血液の先生方は、全国で、一種のネットワーク作っていらして、特に病理診断、遺伝子診断、それから疾患登録という、ある程度、理想的に難病の疑いを見た場合には、情報をシェアして、サンプルを送って、セントラルでレビューをするという、そういうシステムを作っていらっしゃいます。全国レベルのネットワークですので、本当に頭が下がるのですが、ここに書くかどうかは別として、そういう意味で彼らの診断能力というのは、全国が均一化しているということと、お互いのレビューを受けているということでは診断精度は、私は非常に高いものと思っております。
○和田委員 よく分かりました。ありがとうございます。122ページの4-24の「エブスタイン症候群」ですが、この2.の発病の機構の所だと思います。遺伝子の異常は確かに分かっているかと思いますが、恐らく指定難病の要件と合わせると、記載方法を少し修正されたらいかがかと思います。
○前田疾病対策課長補佐 申し訳ございません。今、御指摘いただいたものも過去を見ると、遺伝子変異をもって解明済みと御提出いただいて、こちら側の直し漏れの所もありますので、最終的にお示しをする際には、全て整理をして書かせていただきたいと思います。
○和田委員 ありがとうございます。
○千葉委員長 ほかに。
○直江委員 先ほどもお話が出た4-12から4-13はリンパ系の異常で、4-14が静脈、4-15は動脈、それから4-16は脈管奇形ですか。それで、書きぶりのところで気になるのが、それぞれの診断基準の所で、基本的にこれは、病理診断ということになるのですか。結局、脈管異常の主体がリンパなのか静脈なのか動脈なのかというところで、それぞれの記載が例えば54ページを見ていただくと、これはゴーハムなのですが、(1)の5行目で見ると、本疾患には静脈奇形、それからリンパ管腫症・ゴーハム等々が含まれるという書き方なのですが、お互いの関係性というのは、イメージは分かりますが、ほかの疾患に比べるとちょっと分かりにくいなあという感じがします。もう少し病理診断を中心に持ってくるような書き方のほうが分かりやすいのかなという。つまり、これ、みんな同じように診断基準を書いてあるのですね。
○千葉委員長 どうぞ。
○岩佐疾病対策課長補佐 こちらについても、研究班のほうからいろいろと御意見を伺っております。1つは、関係性というところですが、基本的にはこれらの疾患については、脈管奇形、血管であったり、リンパ管であったり、そういったものの奇形の中に含まれる疾患であるというようなところから、共通の診断基準の部分が上にあります。その中で更に細かく静脈奇形、それから動静脈奇形、リンパ管奇形、リンパ管腫というような形になっております。更に一番最後のAAA1に関しては、混合型という形で幾つかが混ざっているような形になっています。
その診断の仕方については、当然そのリンパ管腫とか、そういったものについては、病理が中心になっているものです。一方で、動静脈奇形などの比較的フローが分かるようなものについてはある程度、その画像的な診断でもその診断ができるというような形になっておりますので、そういったものでも診断が可能という形になっています。
○直江委員 多分、専門医の先生が見られて、それまでの切り分けがきちんとなされるような診断基準であれば問題はないと思いますけれども、ちょっとそこの辺が曖昧かなという感じがしました。
○千葉委員長 そうですね、ここら辺が、これで最終でいいのかどうかというのは、実際に小児の患者さんが多いということで、内科の先生方というか、成人を診る人たちが非常に分かりにくいという向きもありますし、そういうことも含めてここら辺については、もう少しブラッシュアップできれば、文言も含めて検討していただいたらよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○岩佐疾病対策課長補佐 はい、そのような形で進めさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 ほかはいかがですか。それから、4-20と4-22、あと何でしたか、3つほど、その重症度分類の所で、例えば120ページとか、106ページとか、基本的にはこれは同じで、2、3の所、ヘモグロビン7~10、それから治療を行っていて、あるいは行っていなくてというような記載になっていますが、これは何か、スタンダードな重症度分類というのがあるのでしょうか。今回、合わせたという、そういう感じですか。
○岩佐疾病対策課長補佐 これについては、もともと110の疾患の中で、自己免疫性溶血性貧血の中で用いらせていただいた重症度分類です。赤血球系統の1系統のみの異常という場合には、基本的にこういうような形を取らせていただいております。
○千葉委員長 これ、Stage3の所ですが、行っていてヘモグロビン濃度7以上ということですと、まあ、何というか、ちょっと拘れば、例えば行わないで8ぐらいの所で治療しているような症例もあったりするので、そこら辺、この記載でそのままでいいのかというのが、若干ありましたけど。結局、2に該当しなくて、3の記載という、これは、そういうことですね。
○前田疾病対策課長補佐 これ以前の110の御議論いただいた際にも、実は同じように御指摘を頂いていて、7を切ると、基本的には治療に移られるというところでお伺いをしておりますので、3からは治療効果を見ていくという形になっております。もちろん分かりにくい部分がありましたら、これは適宜、質疑、Q&A等で補足させていただきたいと思っております。
○飯野委員 そうすると、111ページの重症度分類の所の、これは4-21の「ダイアモンド・ブラックファン貧血」ですが、7~10というような記載だと、こちらのほうだけ8~10ということで、これは整合性はよろしいのでしょうか。
○岩佐疾病対策課長補佐 その辺は少し確認させていただきたいと思います。
○千葉委員長 それぞれの事情はあるとは思いますが、貧血の所で、そろえられるところはそろえたほうがいいということでしょうね。ですから、そこはちょっと、また研究班等に振って検討していただくということで。ほかはいかがですか、よろしいでしょうか。それでは、次にいきます。お願いします。
○岩佐疾病対策課長補佐 それでは続きまして、4-26「乳幼児巨大肝血管腫」から4-36「遺伝性膵炎」までの所を説明させていただきます。
132ページ、4-26「乳幼児巨大肝血管腫」ですが、肝血管腫は小児でも最も頻度が高い肝腫瘍ですが、多くの肝血管腫というのは無症候性ですが、特に新生児、乳幼児期に見られる一部の巨大な、あるいは多発性の肝血管腫というのは、高拍出性の心不全であったり、凝固異常、腫瘍内の出血等によるショックという形で重篤な病態を呈して、致死的な経過をたどるような疾患があり、これらを独立した疾患と考えるべきという意見があります。
一般的な血管腫に対する治療法として、ステロイド等の薬物療法であったり、様々な外科手術を含めた治療を行いますが、低年齢時のこういった血管腫というのは、かなり危急的なものであり、治療方法が未確立となっております。また、後天性にも肝内シャントの流量が増大し、肝硬変症や肝機能低下等が引き起こされるという形になり、慢性的にも問題となるという疾患で、このため、肝移植等を含めた長期の療養が必要となっております。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えております。
診断基準ですが、134ページです。生後1歳未満の画像を検査所見において、肝内に6センチメートル以上の病変、若しくは2区域にまたがって起こる病変であり、症状・徴候、疑診となる症状のいずれかを満たし、鑑別診断を除外した場合に診断されるとしております。
重症度分類ですが、135ページの所にあります。こちらの重症度分類を用いまして、中等症以上を対象としてはどうかとしております。
136ページ、4-27「クロンカイト・カナダ症候群」です。当該疾患は消化管に多数の非腫瘍性のポリープが発生する、非遺伝性の疾患です。特に消化吸収不全や蛋白漏出性胃腸症を高率に伴うという形になっておりまして、原因は不明で強いストレスの後に発症することがあるとされています。
治療法として副腎ステロイドが有効であるとされていますが、蛋白漏出のために低栄養を伴うことが多く、中心静脈を併用するなど様々な長期の療養を必要とする疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
138ページに診断基準がありますが、主要所見及び参考所見を様々に組み合わせて診断するという形になっております。
139ページの重症度分類ですが、アルブミン値3.0以下の低アルブミン血症の場合を重症としてはどうかと提案しております。
140ページ、4-28「ウィルソン病」です。当該疾患は常染色体劣性遺伝で発症する胆汁中への銅排泄障害による先天性の銅過剰症という形になっております。銅の組織沈着により肝障害や様々な神経症状等を来す疾患で、対症療法として様々な薬物の内服を生涯続けるという形になっております。しかしながら、継続的な治療が必要となり、長期療養が必要というところで、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
142ページに診断基準がありますが、欧州肝臓病学会の診断基準を用いまして、症状や検査所見でスコアリングして、4点以上を対象とすると考えております。
143ページに重症度分類がありますが、肝障害を認める場合はChild-Pugh分類を用いてB、C、若しくはmodified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いまして、いずれかが3以上、若しくはCKD重症度分類ヒートマップが赤の部分のいずれかを満たした場合を対象としてはどうかとしております。
146ページ、「非特異性多発性小腸潰瘍症」です。非特異性多発性小腸潰瘍症については、若年時に発症する原因不明の小腸潰瘍となっております。非特異的な組織像を呈する浅い潰瘍が終末回腸以外の回腸に多発するという形になっております。慢性の鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を主徴とするような形になっていて、これらの症状は中心静脈栄養以外の様々な治療方法に抵抗するという形になっております。
SLCO2A1遺伝子の変異による機能喪失による疾患で、治療方法は根治的な治療方法はありません。対症療法を中心となっていて、長期的な治療が必要となっており、要件の判定に必要な事項を全て満たすと考えております。
診断基準は148ページにありますが、主要所見として、レントゲン所見及び内視鏡所見の双方、若しくは切除標本における病理所見のいずれかを満たす場合を対象としてはどうかと考えております。
149ページに重症度分類がありますが、ヘモグロビン10以下の貧血、あるいはアルブミン値3.0以下の低アルブミン血症を重症としてはどうか。また、合併症として腸閉塞症状を有する場合というのを対象としてはどうかと考えております。
150ページ、「胆道閉鎖症」です。胆道閉鎖症は新生児期から乳児期早期に発症する難治性の胆汁うっ滞疾患です。炎症性に肝外胆管組織の破壊が起こり、様々なレベルで肝外胆管の閉塞が認められる疾患で、全体の85%は肝門部における閉塞という形になっております。
先天的要素、遺伝的要素等様々なものが提示されておりますが、いまだ解明されておりません。
症状としては、新生児期から乳児期早期に出現する便色異常、肝腫大等により、その後、様々な症状を来す疾患です。
治療法としては、根治療法はないので、対症療法が中心となります。肝管、あるいは肝門部空腸吻合術というものも施行されておりますが、これらが奏功しない場合には、最終的には肝移植が必要とするなど、長期の療養が必要となっております。しかがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えております。
診断基準ですが、152ページ、症状及び検査で本症を疑いまして、手術時の所見及び、若しくは胆道造影によって、153ページの図のいずれかのタイプに分類されるものを当該疾患という形で診断しております。
154ページ、重症度分類ですが、こちらの重症度分類を用いまして、重症度2以上を対象としてはどうかと考えております。こちらは少し分かりにくいのですが、154ページにあるそれぞれの重症度については、155ページ以降の所にあるそれぞれのポイントを加算するような形で、最終的に159ページの所のものを当てはめて、診断する形になっております。
160ページ、4-31「総排泄腔外反症」です。当該疾患は先天性に下腹壁の形成異常を来す疾患で、臍帯ヘルニアの下方を中心に外反した回盲部が存在し、その両側に二分した膀胱が外反して存在するような疾患です。鎖肛であったり内・外性器の異常であったり、恥骨離開等及び腎、仙骨等の様々な奇形を来たす疾患です。
治療法として、新生児期に様々な手術を行いますが、全ての機能が正常化するわけではなく、長期の療養が必要となります。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
診断基準は162ページにありますが、生下時の特徴的な身体所見ということで、下にシェーマもありますが、そのようなものを認めた場合、対象とできる形にしております。
163ページ、重症度分類ですが、以下のいずれかを満たす場合という形で、急性腹症など幾つかの指標を示しております。
164ページ、4-32「総排泄腔遺残症」です。当該疾患は女児の直腸肛門奇形の特殊型で、尿道、膣、直腸が総排泄腔という共通管に合流するような形で、共通管のみが会陰部に開口するような疾患です。通常これらは胎生6週にそれぞれ分離するというものですが、この分離過程が障害され、発生するような疾患で、先ほどの疾患と同様に、長期的に療養が必要な疾患となっております。排便、排尿、月経困難といったものを来すというところで、長期療養が必要となる疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすと考えております。
166ページに診断基準がありますが、以下の2項目のうち、いずれか1項目という形で手術所見、若しくはCT、MRI等の画像診断で総排泄管というものが確認できる場合という形にしております。
重症度分類ですが、急性腹症を含む複数の指標を用いまして、いずれかを満たした場合を対象としてはどうかと考えております。
168ページ、4-33「先天性横隔膜ヘルニア」です。当該疾患は発生異常により、先天的に生じた横隔膜の欠損孔を通じて腹内臓器が胸腔内へ脱出するという疾患です。臓器による肺の圧迫によって、肺低形成が生じるという形になっていて、こういった肺については出生後に新生児、遷延性の肺高血圧を来しやすいとされていて、これらにより、著明な呼吸不全や循環不全といったものが長期にわたって行われる、長期にわたって影響するというようにしております。
治療法としては、手術によって横隔膜を修復するという形にしておりますが、呼急不全や循環不全については、根本的な治療が困難というところで、長期療養を必要とする疾患になっております。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
診断基準、170ページですが、様々な画像診断、これは出生前検査も含めますが、そういったもので腹腔内臓器が横隔膜を超えて胸腔内に脱出していることが確認できる場合、若しくは手術所見により、それらが確認できた場合というのを診断してはどうかと考えております。
171ページの所に重症度分類がありますが、以下の9項目のうち少なくとも1項目以上該当するものという形で規定をしております。
172ページ、「ヒルシュスプルング病」です。当該疾患は(全結腸型、小腸型に限る)という形で括弧書きを付けています。肛門から連続する無神経節腸管のため、機能性の腸閉塞症状を認める疾患です。これらの無神経節腸管が短いというタイプについては、乳児期に根治術が可能であり、長期の療養は必ずしも必要はないという形になっております。ただ、腸域型、全結腸型及び小腸型については、腸域の腸管蠕動不全という形で人工肛門造設が必要となり、その後も栄養吸収障害や水分脱水等を認めるという形で長期の療養を必要とする疾患であり、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
174ページに診断基準がありますが、臨床所見及び病理所見の双方を満たす場合に確定診断する形にしております。下のほうにあります全結腸型及び小腸型を対象とする形にしております。
175ページに重症度分類がありますが、経静脈栄養や経管栄養管理を必要とする症例を重症例として、対象としてはどうかとしております。
176ページ、「アラジール症候群」です。アラジール症候群は小葉間胆管減少症による慢性胆汁うっ滞に特徴的な肝外症状を伴う、遺伝性の肝内胆汁うっ滞症という形で規定されております。乳児期から始まる黄疸が主要の症状で、発育・発達障害、性腺機能不全、消化管の異常などを伴う疾患で、治療法としては、慢性の胆汁うっ滞、成長障害に対し、脂溶性ビタミン等の補充を行います。ただ、それでも、それら対症療法という形になっており、合併症も様々となり、長期にわたり療養が必要となっております。したがって、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えております。
診断基準は178ページにありますが、肝病理所見よる小葉間胆管の減少及び臨床所見として、5項目のうち3つ以上、若しくはアラジール症候群に特徴的な症候が1項目以上見られ、それぞれ遺伝子検査、若しくは家族歴のいずれかを満たすような場合を対象としてはどうかと考えております。
重症度分類としては、肝疾患、心・血管病変、腎疾患等のアラジール症候群に起因する重症度分類を判定し、いずれかを満たす場合を対象としてはどうかとしております。
185ページ、4-36「遺伝性膵炎」です。遺伝性膵炎とは、遺伝により慢性膵炎が多発するまれな病気です。発症は10歳以下が多く、幼児期より腹痛、悪心、嘔吐、下痢等の急性膵炎様発作を反復し、多くは慢性膵炎へと進行し、膵、外分泌機能や糖尿病を高率に合併する疾患です。疼痛のコントロールや膵内外分泌障害に対する補充療法といった対症療法は可能にはなりますが、根治的治療はなく、そのため長期の療養を必要とする疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすと考えております。
診断基準としては187ページにありますが、再発性急性膵炎、あるいは慢性膵炎の症例で、遺伝子の異常を認めるもの、若しくは膵炎家族歴がある、更に、そのうち少なくとも1人は他の要因を来すものが認められない、又は少なくとも1つの患者が40歳以下で発症しているなどを満たした場合という形にしております。
重症度分類としては189ページにありますが、急性膵炎発作を直近1年に1回以上起こしている場合を重症とし、対象としてはどうかとしております。以上、4-26の「乳幼児巨大肝血管腫」から4-36の「遺伝性膵炎」まで、説明させていただきました。
○千葉委員長 ありがとうございました。消化器疾患、更にそれ以外の疾患も含まれておりましたけれども、いかがでしょうか。
○錦織委員 4-27のクロンカイト・カナダ症候群ですけれども、ちょっと専門外ですから、よくは分からないのですが、重症度分類の所は、これはアルブミン3.0以下というのは治療の有無にかかわらずでしょうか。治療してということがちょっとその辺がはっきりしないので。
○岩佐疾病対策課長補佐 基本的には、これは治療してという状態で考えております。ですので、継続的にこの状態が続くという場合に重症という形で考えております。
○千葉委員長 3.0以下ということですね。
○宮坂委員 それが分かるように書いておけばいいですね。
○千葉委員長 そうですね。まあ、3を超すと、それほど重症という感じではないですのでね。まあ、そんなものでしょうね。
○錦織委員 そんなものですか。
○千葉委員長 なかなか貧血の重症とアルブミンの重症と、どこで一致させるのかは難しいので。ほかはいかがですか。
○水澤委員 小さなことですが、ウィルソン病です。142ページに診断基準が書いてあるのですが、そこでAの症状の所の精神神経症状が、軽症と重症に分かれていて、点数が配分されていまして、最終的に診断のカテゴリーが点数で決まることになっていますけれども、軽症と重症の違いというのが分からないのです。読んでみても。
○岩佐疾病対策課長補佐 実はちょっと、その辺りは研究班にお聞きしたところ、明確に規定されているものは一般的にはないようです。ただ、その辺り、どのようなものが軽症なのか、重症なのかというように判断する、そういう基準みたいなものができないかどうかというところは、今、少し聞いているところです。
○水澤委員 次がヒルシュスプルング病です。175ページは重症度分類なのですが、経静脈栄養や経管栄養管理を必要とする症例が重症例となってます。これはほかと比べると、かなり重症ではないかと思います。こうなる前にもっと軽症でも、手術もあるでしょうし、一応いろいろあって生活が障害される人は、かなりいるような気がします。これはかなりほかとは違った重症度かなと思ったのですが、どうでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 ヒルシュスプルングについては、これはもともと、非常に外科的に治療が奏功する例も多いと伺っております。この中で全結腸型、小腸型というものについては、いわゆる短腸症候群という形になるとは思うのですが、外科的切除後に日常生活、社会生活に支障が出ると伺っております。そういう中で、それを具体的に書いてみるとどうかということで、正に症状として他の内服であるとか治療法にかかわらず、継続的に経腸栄養は要るという形で、そういう措置のある方であれば、日常生活、社会生活に支障があるという、ちょうど、医学的に判断できるところではないかと、御提案を頂いたものです。
○水澤委員 そうしますと、ほかのものは、かなり軽症だと解釈してもよろしいということでしょうか。分かりました。
○千葉委員長 これは、手術は基本的には、閉塞、腸閉塞を解除するための手術であって、ただし、手術によって腸閉塞が解除されても、結局はその手術によって除去した部分で短腸症候群になって、ここに重症度分類として書いているものが必要とされると。そういう症例が残ってくるという、そういうことですね。
○前田疾病対策課長補佐 これ、制度上の話ですが、小児慢性特定疾病の対象疾病でもありますので、基本的には小児期はそちらを選ばれることが高いと思われます。ですので、重症度としては、主に成人例で異形のそもそもの治療が終わった後で支障の残る方の中で御検討いただければ、一番イメージに近いと思っております。
○千葉委員長 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは次、お願いします。
○岩佐疾病対策課長補佐 それでは4-37の「嚢胞性線維症」から最後まで説明をさせていただきます。190ページ、嚢胞性線維症です。当該疾患は気道内液、腸管内液、膵液などの全身の分泌液が著しく粘稠となりまして、これら管腔が閉塞し、感染しやすくなるなどの疾患です。典型的には胎便性イレウスを起こしまして、膵外分泌不全、呼吸器感染症を繰り返すなどの症状を認めます。CFTR遺伝子の変異を原因とするとされております。治療法としては、現在のところ根本的な治療法はございませんで、対症療法が中心となり、継続的な治療が必要となっております。したがいまして、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
192ページに診断基準がございます。汗中の塩化物イオン、クロロ濃度を中心に、他の特徴を合わせて診断をするという形にしています。193ページ、重症度分類です。重症度分類を用いてStage-3以上を対象としてはどうかとしています。
194ページ、「IgG4関連疾患」です。当該疾患は免疫異常や血中IgG4高値に加えて、リンパ球、IgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により同時性あるいは異時性に全身の様々な臓器の腫大等を認める、原因不明の疾患です。自己免疫機序の関与が考えられており、ステロイド治療が第1選択となりますが、減量、中断により多くの例で再発が見られるところで、長期の療養が必要と考えております。したがいまして、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。
診断基準は196ページ、基本的には包括的な基準によると考えていますが、なかなかそれでは、難しい場合には個々の疾患ごとによる診断基準でも対象に含めると考えています。包括的なものとしては複数の臓器に特徴的な所見があり、IgG4血症及び病理組織学的所見を組み合わせて、診断するという形にしています。
重症度分類については200ページです。ステロイド抵抗性、ステロイド依存性、臓器障害の治療を行っている状態で判断をして、それらで診断する形です。
201ページ「黄斑ジストロフィ」です。黄斑ジストロフィは、眼底の黄斑部に両側性進行性の病変を呈する遺伝性の疾患です。徐々に進行する両眼の視力低下などを認める疾患で、進行性の低下を来すことから長期の療養が必要となる疾患でして、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
診断基準は203ページです。両眼の視力低下及び検査所見として4つのものがあります。これらのうち3つ以上、及び鑑別診断を除外した場合に対象とするという形にしています。ただし、特徴的な所見から個別のものが診断可能なものについては、検査所見2つ以上を満たせばいいという形で、その下に幾つかの疾患のタイプを記しております。
207ページ、重症度分類です。良好の眼の矯正視力は0.3未満のものを対象としてはどうかと考えています。
208ページ、「レーベル遺伝性視神経症」です。当該疾患はミトコンドリア遺伝子変異が母系遺伝子形式に関連して発症する視神経変性疾患です。当該疾患も進行性の視力低下を来し、治療法は確立されておらず、様々な治療を試みられておりますが、長期の療養を必要とされている疾患で、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
210ページ、診断基準です。特徴的な症状及び遺伝子変異や、家族歴及び検査所見等で診断する形にしています。
重症度分類については211ページ、良好の眼の矯正視力が0.3未満を対象とする形で提案しています。
212ページ、「アッシャー症候群」です。当該疾患は、難聴に網膜色素変性症を伴う症候群性の疾患です。難聴の程度は様々で、網膜色素変性症は遅発性に発症する疾患で、双方ともに根治療法はございませんで、長期療法が必要という疾患です。したがいまして、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。
214ページ、診断基準です。網膜色素変性症及び感音難聴双方を認める場合、若しくは、そのいずれか及び遺伝子検査で診断される形になっています。
215ページ、重症度分類です。聴覚障害及び視覚障害それぞれの重症度分類で、該当する部分で対象としてはどうかと考えています。
216ページ、「若年発症型両側性感音難聴」です。当該疾患は、若年で発症する両側性の感音難聴という形で規定されています。近年、遺伝子との関連が少しずつ明らかになっているとされておりますが、病態解明にはまだ至っておりません。後天性的に発症し、それらが進行するというところから、様々な経過をたどり、長期の療養を必要とする疾患です。
治療法としては、有効な治療法は確立されておらず、聴力に応じて補聴器あるいは人工内耳等の対症療法が行われておりますが、根治療法はなく、長期療養が必要な疾患となっています。したがいまして、要件の判定に必要な事項は全て満たすと考えています。
218ページ、診断基準です。次の3つの条件を満たす感音難聴という形で、それぞれの定義についても、下の解説で規定しています。遅発性というところでは、先天性でないというところで、若年発症の両側性のものであり、遺伝子異常が認められるものという形で規定しています。
220ページ、重症度分類です。重症度分類において、3以上という形で考えています。
221ページ、「遅発性内リンパ水腫」です。当該疾患は感音難聴の後、数年から数10年たった後に遅発性に内リンパ水腫が生じて、めまい発作を反復するような疾患です。根治的に治療できる方法はなく、様々な対症療法が必要となっており、長期の療養を必要とするとこから、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
223ページです。診断基準、片耳、若しくは両耳の高度難聴ないし全聾がある前提で、そこから数年から数10年後にめまい発作を繰り返すなどの症状としての4項目、更に検査所見として5項目全てを満たし、鑑別診断を除外した場合に診断する形になっています。重症度分類ですが、平衡障害、聴覚障害、病態の進行度それぞれを見まして、全て4点以上を対象とする形にしています。
続きまして226ページ、4-44「好酸球性副鼻腔炎」です。当該疾患は、両側の多発性鼻茸と、粘稠な鼻汁によりまして高度な鼻閉と嗅覚障害を示す、成人発症の難治性副鼻腔炎です。副鼻腔手術で鼻茸の摘出を行うものの、すぐに再発することが多く、気管支喘息を伴うことも多い疾患です。鼻閉のために口呼吸が喘息発作を誘発するところで、著しい呼吸障害を起こす。また、好酸球性中耳炎により聴力障害が進行するなど、様々なところから長期の療養が必要な疾患となっています。したがいまして、要件の判定に必要な事項を全て満たすものと考えています。
228ページ、診断基準です。好酸球性副鼻腔炎の診断基準のスコアリングシステムにおいて11点以上示して、鼻茸組織中の好酸球が陽性である場合に確定診断するとしています。
重症度分類ではCT所見、末梢血好酸球及び合併症の有無により、中等症以上を対象としてはどうか。また、好酸球性中耳炎を合併する例を対象としてはどうかという形で示しております。資料1-2については以上です。
続きまして、資料1-3についても少し説明をさせていただきたいと思います。資料1-3は「指定難病又は個別に検討した疾病の範囲に含まれ得る疾病」の疾患リストの1枚紙です。これら左側に挙げられている病名は、今回我々が検討の対象にするとしている疾患です。実は、これらについては、右側に記してあります、これまで現在対象となっている110の疾病、若しくは個別に検討した疾病の中に、全体であったり、その大部分が含まれ得ると考えている疾病です。ですので、左側の疾病については、右側の疾病としてそれぞれ対象に含まれるのではないかと整理している疾患群です。以上です。
○千葉委員長 これは、44までの疾患について、質疑を先にしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○錦織委員 4-38のIgG4関連疾患なのですが、この重症度分類のところで、「治療後1年で判断する」ということは、その治療をして非常にステロイドへの反応性がいいからということだと思うのですが、治療している1年間は指定難病にはしないで、ということなのですか。何かそうすると、ほかの数多くある自己免疫疾患で指定難病となった場合に、その重症度に応じてステロイドが入ってということもあるかと思うのですね。その辺が少し考え方の整理といいますか、IgG4関連疾患の中でも非常にバラエティがあると思うのです、もともとの顕在性になっている症状が。この辺どうでしょう。
○千葉委員長 これは指定難病は、先生がおっしゃるのは、重症度分類という意味ですね。
○錦織委員 重症とは判断しない。だから、1年までは医療補助の対象にしない。
○千葉委員長 指定難病であるけれどもということですね。
○錦織委員 指定難病ではあるけれども、医療補助の対象としないという理解ですか。
○千葉委員長 そうです、重症度分類ですね。
○錦織委員 はい、分かりました。
○千葉委員長 何かございますか。
○錦織委員 その症状が重症でも、そうなのですか。もともとの、その1年間の間に、結構その重症の方もおられるかもしれないという、そういう質問なのです。
○千葉委員長 これは私が属しているグループですので、私のほうから答えさせていただきます。そういう方はほとんどいらっしゃらない。
○錦織委員 おられないのですね。
○千葉委員長 はい。90%以上、治療に良好に反応すると、そういうことですね。
○錦織委員 分かりました。
○千葉委員長 ですから、治療に反応しなくて、こういった、ここに書かれてある臓器障害がその治療中に残っていらっしゃる方というのは、まずほとんどいない。そういうことですね。
○錦織委員 では、いいのです、はい。
○千葉委員長 ただし、再発は多いのです。したがって、1年見た上で、再発している分についてはという、そういう記載にしていると。だからSLEとか、そういったような自己免疫性疾患とはやはり重症度からすると、大分違うと。そういう認識だと思いますが。
○宮坂委員 今の200ページですね。ステロイド抵抗性の定義ですが、十分量のステロイド治療であっても、寛解導入できない場合、十分量は、人によって全然違いますよね。これはもう少し規定できないですか。
○千葉委員長 どうですか。
○宮坂委員 これは一応ガイドラインでは、1キログラム毎0.6グラムと。1キログラム毎0.5から0.6グラムということになってますね。だから、一応十分量というのは、それぐらいの量でという。
○宮坂委員 ええ。ただ、もし差し支えないのであれば、その具体的な数字を出したほうが間違いがない。というのは、人によっては5ミリ、プレドニゾロン換算で5ミリでも、10ミリでも十分量と思っている人も、いるかもしれないので。
○千葉委員長 ですから、そこは追加する必要があるかもしれません。よろしいですか。
○水澤委員 これまでの例でいくと、「ガイドラインに従って」という記載になっていましたですね。そういうのは幾つかあったと思います。
○岩佐疾病対策課長補佐 その辺り、ガイドラインに従ってという形がいいのか。若しくは、実際に具体的な数値を出すような形がいいのかというのは、また少し相談をさせていただいた上でしたいと思います。
○千葉委員長 ほかいかがでしょうか。よろしいですか。
これ、私思いますけど、例えば、嚢胞性線維症とか、先ほどありました遺伝性膵炎とかいうような、幾つかほかにもありましたが、ほとんど難病指定となられる患者さんにつついて言えば、遺伝子異常というのはこれ、あるいはこれだけ、あるいはこれかこれということで、はっきりしている1対1対応、あるいは1対2対応というようなものについては、将来的にはこの診断基準というのは、遺伝子診断で行っていく方向性をやはり出しておくべきだと思いますね。ここに載せる話ではないですけれど。この間も議論になりましたが、なかなかその遺伝子診断が行き渡っていないという状況において、こういう形にしているのだと思います。嚢胞性線維症など、もう100%CFTRの異常なわけだから、ProbableとかDefiniteとかいうのは、余り本当は関係がないわけですけれど。将来的にはそうすべきであると思います。ほか、いかがでしょうか。
○直江委員 今の193ページですかね。今まで呼吸器機能の障害であるとか、栄養の摂取に関しては、共通の基準を設けていたと思うのですが、ここだけちょっと違う基準になっているのは、これはもう研究班で確立されたものということで出てきているのでしょうか。
○千葉委員長 いかがですか。これ、複数の臓器がやられて、先生がおっしゃったような形が多かったですよね。
○岩佐疾病対策課長補佐 これに関しましては、一応その研究班のほうにお伺いをして、こういうふうな形でというところでございます。ほかのこれまでのものと統一的にできるかどうかということに関しては、少し聞いてみたいと思います。
○千葉委員長 それを是非お願いします。ほかに、いかがでしょうか。
いろいろまだあるとは思いますが、取りあえずこれでこの資料1-1について、それから1-2でしたか。
○前田疾病対策課長補佐 1-3になります。
○千葉委員長 1-3ですね。これは、したがって、今までいろいろな病名で言われてきたものを、今回統一できるものについては統一しましょうというスタンスでやってきましたので、左に掲げたような疾患については、右の病名といいますか、今回の疾患名に含まれるというような理解で整理してきたし、一応そのように御理解をお願いしたいということだと思います。いかがでしょうか。これをざっと見ていただいて。実際に既にそういう形での御説明もなされていたと思うのですが。
○水澤委員 ここの1-3の2と3に、ミトコンドリア病というのがあるわけですけれど、特に、3番のミトコンドリア遺伝性難聴というのは関連しそうですね。今日やったレーベル病というのも、ここに入るような気がしますけれども、それらは別にしておいたほうがいいという考えでしょうか。
○岩佐疾病対策課長補佐 確かに本日の資料ですと、1-2の208ページに「レーベル遺伝性視神経症」というものがございます。これについては、ミトコンドリア病の中の一部と考えるという考え方も当然あるというところです。
これまでの議論の中でも、それぞれの疾患を独立してとらえるべきか、それをばらばらで考えるべきかというのは、かなり議論があったところではございます。ある程度その疾患の概念が確立して、その独立的に取り扱うことがより適切な形であれば、そういう形でというところもありまして。今回、レーベル遺伝性視神経症という形で取り出させていただいたのは、やはりミトコンドリア病の中でも、その視神経異常というところで、眼科学会のほうからも、ここの部分は別に取り出して取り扱うほうがより適切なのではないかという御意見もいただいておりましたので、今回はそういう整理にさせていただいております。
○千葉委員長 これは多分いろいろな考え方があって。そのあるゲネーゼ、病因によって分けるのか、あるいは実質難病の患者さんを決定していく上において、便利性といったようなことの考慮とか、様々な要因が含まれてくると思うのですが、一応そのように研究班では言われて、分けたということですね。そういう意見が出ているということについては、またフィードバックで伝えていただいて、もう一度御検討といいますか。そういう意見が出ましたということをおっしゃっていただきたいと思います。ほかには、よろしいですか。
○岩佐疾病対策課長補佐 一応そういう御意見も踏まえまして、少しこれまでに出させていただいたもの等についても、実際、では最終的にどういう形の病名という形で出させていただくのが、より適切なのかというところは少し整理をして、次回にお示しさせていただきたいと思ってございます。
○千葉委員長 これは最初のときから、例の免疫不全症候群のときにかなりいろいろ議論して、問題になったところですので、やはりいろいろな角度からまとめるのが好ましいかどうかというところは十分検討いただきたいと思います。
○直江委員 確かに病名はなかなか悩ましいと思うのですが、例えば、ヒルシュスプルング病の場合は、これは括弧付きで、全結腸型とか、こういう注釈が付いています。一方、先ほどの血管の奇形の病気などだと場所ですね、頚部顔面とか、巨大とかという形容詞がついていますので。そこを整理していただきたい。
あと、国際比較ということから言うと、やはりこの病名が、例えばICD10とか、今度11になりますけれども、この中で、どういうふうに書かれているのかということも、やはり重要ではないかなと。つまり、これは日本の指定難病という議論の中なのですけれども。ただ、これがずっと今後比較検討、統計になっていくときに、ここだけが別の病名だと、やはり具合が悪いのではないかなと思うのですけれどね。
○前田疾病対策課長補佐 ICDについては、正に11に向けて、省内にも事務局がございまして。部局が異なるのですが、事務局がございまして、検討しているところです。逆に、こちら側の病名をカチっと整理をさせていただいて。それをそのカテゴリーの病名として提案する。あるいは、今使われている病名ということでしたら、行政的に言えば、小児慢性特定疾病の既にある病名がありますので、そちらを参考にすること。
あとは日本医学会のほうで、標準病名の整理については進められていると伺っておりますので、その3つを掛け合わせて、最終的に良い病名という形にさせていただきたいと思ってございます。
○千葉委員長 今、直江先生のおっしゃったのは、私は非常に重要だと思います。やはり国際基準に病名もできるだけ合わせるという努力は、絶対必要だと思います。日本はとにかく学問的な病名と、保険病名が全く違うということが非常にあって。あれは世界的に見ると、日本は何やということを、私らもずっといろいろな所で言われた経緯もありますから、やはり恥ずかしくない病名をつけておくといいますか。インターナショナルな病名をつけておくというのが極めて重要だと。
そういう意味で、この難病についての病名というのは、やはり指定難病というところで施策の問題がかなり関わってきているので、そこら辺は必ずしも一致するとは限らないということは、私も理解していますが、できるだけそういう努力は必要ですね。それから先生、今おっしゃられたように、顔面何とかいうのが、本当の病名として、フェイシャル何とかというのが出てきているのでなければ、その(顔面に限る)とかにしたほうがいいような気がします。ですから、そこはもう一度検討し直していただくということにしたほうがよろしいかと思います。ほかはよろしいでしょうか。
○宮坂委員 今の件ですけれど、やはり基本的にはICD10なり、11に合わせるべきだと思うのですね。というのは、日本医学会の用語は、実は改訂が遅れていて、各学会から出して初めて改訂されるのですよね。ですから、必ずしもアップデイトされているわけではないので、これからグローバルに疫学的なデータをきちんと比較する意味でも、やはりICD10なり、11で認めている病名としたほうが、いいと思います。
○千葉委員長 そうですね。
○水澤委員 今の件なのですが、先ほどの資料1-3に戻って、今ちょっと気付いたのですが、右側に2個病名が書いてあるのが3か所ぐらいあるのですね。番号で言うと、1と11と19なのです。恐らく11とか19は、例えばこの11で言いますと、早期発症型炎症性腸疾患は、この潰瘍性大腸炎とクローンには分かれるという感じなのだと思うのです。1番のこの紀伊ALSPDCですが、PDCはParkinsonism dementia complexという病名の略です。これは筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン病に分かれるというのではなくて、両者にまたがるような病変を持っているということなので、ちょっと違うような感じはするのですね。別の病態ということです。だから、どちらかの病気に加えてしまうというのが、なかなかしにくいように思います。先ほどの議論と、ちょっと逆なのですけどね。だから、ここの1番は考えたほうがいいかなというように思いました。今、気付いたのですけれど。
○前田疾病対策課長補佐 これは今一度確認をさせていただきますけれども、これは2つ要素があると思っておりまして。指定難病という形で、要件を満たす、満たさないということで言えば、恐らくこの2つの病名のいずれかで、対象になるというところがあるかと思っております。
他方、研究という形で言えば、その両方が重なっている疾病の取扱いというところは当然研究の対象になると思います。そういった意味では、もともとこちらの左側に挙げている病名というのが、難病としての研究をしていただいてきた病名という面もありますので、そういう2つの要素がちょっと重なっているというところもあると思います。
なので、この紀伊ALSPDCという単独の疾病で、診断基準として客観的なもの示せるかどうかというのは、今一度確認をさせていただきます。まだ確立してないとか、そういうお答えであった場合は、いずれかでしばらくは読んでいただいて。また、疾患概念がしっかりしたところで、再度神経疾患は過去にも特定疾患治療研究事業の際でも、幾つか組み直しをさせていただいているという、歴史的経緯もありますので、そういった運びでお願いしたいと思ってございます。
○千葉委員長 そうですね。そこのところは十分検討していただくようにお願いします。ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございました。
続きまして、資料2の説明をお願いします。
○前田疾病対策課長補佐 資料2と参考資料1及び参考資料2を使って御説明します。まず、参考資料1を御覧ください。1ページ目は、お示ししている難病の定義です。この指定難病を御議論いただく際に、発病の機構が明らかでないこと、治療方法が確立していないこと、1つ飛ばして、長期の療養を必要とするもの。1つ飛ばした「希少な疾病であって」と同じになりますが、患者数が本邦において一定の人数に達しないこと、客観的な診断基準が確立していること。1つ飛ばしたので、5つの要件について御議論いただいてきたという経緯があります。
3ページ目です。発病の機構が明らかでないことという1つ目の要件の中に「他の施策体系が樹立していない」ことを要素として含めています。具体的に何かというと、2の「難病法以外の法律等を元に調査研究等の施策が講じられている疾病」が基本的には他の施策体系に入っていると。これは発病の機構が明らかでないというカテゴリーの中に追記という形で加えさせていただいたという経緯があります。
ちなみに、参考に申し上げますと、3で、小児慢性特定疾病の対象疾病みたいなものは、もちろん法律に基づいて施策体系を行っておりますが、成人例を対象にしていないこともありますので、これは個々の疾患を見て議論するという形で御議論いただいたものです。
次のページの「がんについて」という所です。先ほどの他の施策体系が樹立している、していないという議論の際のがんの目安です。これはお示ししたとおり、2番目の○の(1)「法第2条関係(がんの定義)」という所の会議資料でお示ししたときにはパブリックコメント中でしたが、今、意見がないということで、まとめに向かっております。この4つの定義が、いわゆるがんという形で、悪性腫瘍以外にも、髄膜、脳、脊髄にできた腫瘍であったり、消化管の間質腫瘍、一部の卵巣腫瘍は、がんという概念に含むという形で整理されています。
もう1点、参考資料の中でお示しします。10ページの「指定難病の要件について<5>」の中で、これは診断に関する客観的な基準があるかどうかという中で追記させていただいたものですが、一番下側にある小児慢性特定疾病で「診断の手引き」がある場合であっても、成人に適用したならば「認定基準についての考え方」を満たすかどうかを個別に検討を行うこととしてはどうかという形で御提案したものです。当然、成人に当てはめたときにふさわしい診断基準であるか、また個々の疾病を考えた場合に、いわゆる難病としての要件を大人の場合に満たすかどうかを御検討いただく必要があるという形で、こういう記載をさせていただきました。
これまで、そういう前提の中で要件を御覧いただき、御議論いただいてきました。その中で資料2に移ります。現時点で指定難病の要件を満たすことがイメージ的に事務局として持っているものは、これまでお示ししたわけですが、満たすことが明らかでないという形でお示ししたものが資料2です。
1ページ目のA-1、Bリンパ芽球性リンパ腫から始まるものについては、他の施策体系が樹立している疾病も含めて、「発病の機構が明らかでない」ことについて要件を満たすことが明らかでない疾病としてまとめたものです。基本的に、先ほど申し上げた整理ですので、腫瘍性病変が多数含まれています。1点、腫瘍でないものを御紹介させていただくと、左下のA-42の血友病や、その右側にある第5(正しくは英数字)因子欠乏症というのもあります。これに関しては悪性腫瘍ではないのですが、当課の補助事業で、先天性の血液凝固因子の障害等に関しては、治療に対して、研究ということで治療費の支援を行っている事業がありますので、そういったものについては、このカテゴリーの中に入れています。2ページ目も腫瘍性のものが続いておりますので、同様の考え方です。
3ページ目です。上側のBから始まる「治療法が確立していない」ことについて要件を満たすことが明らかでない疾病ということで、これは例えば肝内結石症でしたら破砕術もありますし、弁異常については弁置換という治療があるといったまとめ方をしております。
Cから始まる「長期の療養を必要とする」ことについて要件を満たすことが明らかでない疾病という形でまとめておりますが、これに関しては、急性期疾患が中心となってくると思っております。例えば、C-24の心室細動という所がありますが、心室細動が起こると、非常に重篤なものですが、これ自身が瞬間瞬間に起こるものですから、こういったものは難病の長期にわたって治療するというところとはなじまないという考え方で整理をさせていただきました。
続いて、D-1から始まる「患者数が本邦において一定の人数に達しない」ことについて要件を満たすことが明らかでない疾病です。これは、基本的に目安としている人数より多いと考えられる疾病についてまとめたものです。D-12の心筋梗塞やD-27の2型糖尿病は、こういったカテゴリーに入ると考えております。
次のページは、E-1から始まる「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」ことについて要件を満たすことが明らかでない疾病をまとめております。こちらについても先ほど申し上げたとおり、一定の診断基準があってもそれを全世代に使えるかどうかといったところで十分情報が得られていないものについても、こちらでまとめております。
1点誤字がありますので御説明します。E-91が「ぜんぜん全前脳胞症」になっていますが、平仮名の「ぜんぜん」を引いていただければと思っております。
次のページです。最終的に同様の考え方でまとめたものが、合計で171という形です。その下に包括病名56と書いているのは、小児慢性特定疾病のほうは包括で記載をしているものが56ほどありますので、そちらについて書いているものです。このE-171まで合わせると、合計で390ほど、要件を満たすことが明らかではないという形でお示しさせていただきました。
資料の説明としては以上ですが、参考資料2で簡単に全体を御報告させていただきます。1ページ目の指定難病として検討を行う疾病の一覧は、1月時点で610という形で、会議資料としてお示ししたものです。ただ、これは議論の過程の中で、1疾患我々のほうで事務的に記載を、総動脈幹遺残症については記載が漏れておりましたので、それが1つ入るということと、先ほど岩佐から申し上げましたが、2月になって来たものが3つほどありましたので、そちらの3つ。最後1つだけ恐縮なのですが、6ページ目の474番にビタミンD抵抗症、ビタミンD依存症という所がありますが、こちらについては2つに分けて御議論賜りましたので、610より若干増える疾患数について御議論いただいたという形になります。なので、一応これで全議論を頂いた疾病について会議資料として御提供させていただいたという形になります。事務局からは以上です。
○千葉委員長 これが今後の検討課題の疾患ということになると思いますが、いかがでしょうか。全体をざっと見渡していただいて。
○水澤委員 E-7にPerry症候群という、パーキンソン病のような症状と呼吸障害、あるいは精神症状としてのうつ症状を伴う難病があるのですが、ここに書いてあるように研究班からの資料が間に合わなかったというところがありますけれども、先月末にようやくできて、多分今日辺りに届くと思いますので、もし届いたら、もう一回会があるのでしょうか。御検討願えればと思います。よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 ほかに、いかがでしょうか。よろしいですか。これは大変たくさんあるわけですが、さらっと流して済むわけではありません。恐らく、多くの疾病について指定難病の要件に照らし合わせた結果として分類されているわけですが、実際には私が見ていても、ちょっとこれはどうなっているのかなというところも含まれていますし、今、水澤先生が言われたように、Perry症候群については、資料が提出されているという話ですが、本来提出されるべきであって、まだ十分煮詰まっていない疾患もあろうかと思います。ですから、そういうものについては今後検討課題になると思います。したがって、御検討いただいてきた資料と合わせて、この資料については会議後でも気が付いた点がありましたら、委員の先生方は、私若しくは事務局に是非御意見を頂きたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、今後の予定について事務局のほうでお願いします。
○前田疾病対策課長補佐 資料3に、今後の予定について、案という形でお示ししております。本日は3月9日ですが、できれば次回の会議を3月19日に開催させていただきたいと思います。この第10回までで615の疾病について御議論いただきましたが、個々の疾病について宿題を頂いていたかと思います。特に脂質代謝異常症については、改めて要件を整理し直して御議論賜るという御約束をしていますので、そういったものとか、あとは個々で改めて、指定難病の要件は良いのだけれども研究班に今一度確認をするという御指摘を頂いたものもありますので、そういったものも含めて、3月19日の委員会でお示ししたいと思っております。
また、先ほど岩佐から申し上げましたが、これまで御議論いただいた疾病は、似たような疾病で1つなり2つにまとめ直したほうがいいものもあると思いますし、逆に議論いただく際には、1つの概念としてまとめて見ていただいたほうが御理解を得られやすい疾病であっても、具体的な病名としては1個1個分けたほうが病名としてふさわしいかもしれませんので、その辺は整理をして、最終的にどういう形の告示の病名の案としていくかもお示ししていきたいと考えております。19日の会議の中でお許しを頂けたら、これを一定の整理という形でお認めを賜りまして、できればパブリックコメントをという形に事務的に進めていきたいと思います。そのパブリックコメントの意見を踏まえて、4月末に再度会議をさせていただいて、更なる修正が必要かという形で御議論いただいて、指定難病検討委員会の第二次実施分については、委員会としてのおまとめをいただきたいと思っております。これを踏まえて、委員会では決定という形になりませんので、可及的速やかに疾病対策部会を開催して、部会の了承をもって告示に至るという手続を取りますので、最終的には部会の了承を告示という形にもっていきます。現時点では、そのスケジュール感でいきますと、7月の第二次実施分の開始に向けて間に合うというスケジュール感で進めたいと考えております。
なお、最終行に書かせていただきましたが、先ほどのお話にもあったとおり、今、研究班も動いていますし、そういったところで新しい知見が出てくると思いますし、既存の110、今回御議論いただいているものの2つについても、当然診断基準の見直しが必要という御意見が出てくることもあろうかと思っております。そういったところも含めて、第三次実施分の検討に向けて、秋以降に改めて情報収集を差し上げて、また十分に情報が整ったところで、先生方に御足労いただいて委員会を開催するという形で進めさせていただければと思っております。事務局からは以上です。
○千葉委員長 ということで、次回は3月19日ですが、一定の整理を求められているということですから、前回議論となった、例えば脂質代謝異常症なども含めて、これまで指摘いただいた事項を事務局で整理して、資料として提出していただくということになります。
委員の先生方におかれては、いろいろ議論をしてきたのですが、まだ十分でないと私自身も感じますので、先生方から更に御検討いただいて、御指摘いただける点については、是非この間に御指摘いただきたいと思っています。その後パブリックコメントを求めるということです。
今回取りあえずここまできましたが、やはり最初は研究班が研究している疾患、それから小児慢性と、この2つを土台にして話をしてきましたので、それから外れているところも幾つか明らかなものは入れてきましたけれども、そういった疾患もまだ残されていると思いますし、特に小児から成人へというところで、まだいろいろな問題点も残っていると私自身も感じております。したがって、これは、今後更に継続審議をする必要があると思いますし、新しい疾患、それから今指定された疾患のブラッシュアップですね、診断基準重症度分類の制度化を良くしていくという努力は今後も必要であると明記させていただいて、取りあえずは今日の委員会は終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○前田疾病対策課長補佐 先ほど3月19日と申し上げましたが、次回の指定難病検討委員会の日程は、3月19日(木)の16時から予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○飯野委員 質問よろしいですか。
○千葉委員長 どうぞ。
○飯野委員 各学会と研究班への連絡というのはどの程度、自分たちが担当したものだけが行くのか、それとも全ての資料が行くのか。それから、この資料2、例えばどのような項目をみたさなかったために指定難病に認定されなかったのかという事まで連絡するのか、その辺を教えていただけますか。
○前田疾病対策課長補佐 これは2つ要素があります。まず会議資料という形で取りまとめる前の段階で申し上げますと、基本的な1対1対応で、御研究いただいている先生に御研究いただいていた疾病について見ていただく、あるいは成人例が問題になる小児慢性特定疾病の中で、成人の学会で御検討されているところについては成人の学会に、そこの領域についてお尋ねするという形で進めてまいりました。当然これは公開の会議ですし、かつその1つ1つについては、専門医を御登録いただいている学会には、こういう会議をしておりますという情報提供をしております。また、その中でフィードバックもあると思いますし、またこれはパブリックコメントの中ですし、今後の診断基準の磨き上げといったところでもそういった要素が出てくると思いますので、そういう形で進めていきたいと思っております。
○千葉委員長 よろしいですか。
○田原疾病対策課長 この資料については、全ての関連する学会に提供して御意見を頂くことになります。
○千葉委員長 研究班と学会とということですね。今までやってきたことですが、そこをもう一度確認していただいて是非お願いしたいと。それから、やはりまた、この難病指定についての意味と言いますか、それに対しての学会や研究班の意見で温度差が多少まだ残っていますので、やはりそこの趣旨説明は是非事務局のほうでよろしくお願いしたいと思います。あと何かありますか。よろしいですか。
そうしたら、今日はそういうことで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会指定難病検討委員会)> 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第10回) 議事録(2015年3月9日)