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2015年2月20日 第2回過労死等防止対策推進協議会 議事録
労働基準局 総務課(過労死等防止対策推進室)
○日時
平成27年2月20日(金) 15:00~17:00
○場所
厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○出席者
<専門家委員>
岩城穣委員、岩村正彦委員、川人博委員、木下潮音委員 |
宮本俊明委員、森岡孝二委員 |
<当事者代表委員>
寺西笑子委員、中野淑子委員、中原のり子委員、西垣迪世委員 |
<労働者代表委員>
岸真紀子委員、新谷信幸委員、冨田珠代委員、八野正一委員 |
<使用者代表委員>
川口晶委員、小林信委員、間部彰成委員、山鼻恵子委員 |
○議題
(1)国・地方の公務員に係る施策の実施状況について
(2)施策の実施状況について
(3)大綱の基本的考え方について
○議事
○岩村会長 ただいまから、「第2回過労死等防止対策推進協議会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は、専門家委員の堤明純委員、同じく専門家委員の山崎喜比古委員の二人が御都合によりまして欠席です。また、使用者代表委員の間部彰成委員におかれましては、前回の会合では御欠席でしたが、本日は御出席いただいております。御紹介したいと思います。
○間部委員 日本商工会議所の間部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村会長 それでは、お手元の議事次第に沿って議事を進めます。議題の一番目は、国・地方の公務員に係る施策の実施状況についてです。この協議会の前回の会合におきまして、中野委員と岸委員から国、地方の公務員についても民間労働者と並んで過労死等の防止対策が必要であって、関連する施策や統計について関係行政機関から説明を頂きたいという御発言がありました。これを受けまして、事務局で人事院、内閣人事局、総務省の皆様に御出席いただくようお願いいたしました。その結果、快諾を頂きまして本日この協議会に出席いただいております、
そこで、この後の進め方としましては、人事院、内閣人事局、総務省の順番でそれぞれ15分ずつ御説明いただきたいと思います。その後三つの機関の分をまとめまして、御説明を頂戴した内容に対する御質問などを頂く時間を15分程度設けたいと考えております。それでは、まず、人事院から御用意いただいております資料の御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○人事院職員福祉局太田補償課長 人事院の補償課長の太田です。私から資料1の1~8ページまで、一般職国家公務員の災害補償に関するデータを用意しましたので、これについて説明いたします。脳・心臓疾患、精神疾患のそれぞれの認定件数、協議件数です。前回の資料のうち労働災害についてのものとほぼ見合うものを用意したと思っております。それぞれの数字を改めて説明する必要もないと思いますので、これを御覧になった各委員の方々からいろいろ質問があるようですので、それにお答えするという形で進めさせていただきたいと思います。まず、幾人かの委員の方から、3、4ページで脳・心臓疾患、精神疾患、それぞれ17~18年度にかけて件数が上がっているのですが、その原因はということで質問を頂いております。
その点について、我々で過去の様子を調べてみました。一つの原因として、それぞれのグラフの一番下に(注)がありますが、脳・心臓疾患、精神疾患それぞれ各府省から人事院に協議するという形で処理しているのですが、その協議の方法を少し変えて、従来は遅いタイミングで人事院に協議があったのですが、我々から少し早いタイミングで人事院に相談して協議してくれないかということを当時、各府省に言ったということがありました。その結果として、遅く来る件数と言うのも変ですが18年度の件数が増えたということが、一つの要因ではないかと我々は考えております。
8ページです。これは、精神疾患で認定された件数の中身、業務負荷の累型別に件数を分類した表です。6番、一番下に「公務に関連する異常な出来事への遭遇」で、認定件数が19件となっていますが、具体的にどういう出来事がここに分類されているのか教えてほしいという話がありましたので、ここで申し上げます。一番多いのが看護師に対する患者又は患者の家族からの暴行です。そういうものがここで分類されているもので多いものです。そのほか東日本大震災に遭遇してというのもこの中には含まれています。
6ページです。順不同ですが、脳・心臓疾患、精神疾患で認定された人の職種別の構成比を棒グラフにしたものです。精神疾患で医療職10件とあります。これの具体的な職種ということで質問を受けておりました。多いのは看護師です。7ページです。上段が、脳・心臓疾患と精神疾患の公務上と認定されたものの、それぞれの超過勤務時間があったものを時間数に応じて分類した表です。傾向に差があるけれども認定の基準に違いがあるのだろうかという御質問を頂いております。その点については、我々としては労働災害や地方公務員災害補償と基本的に同じ認定基準を使っていると思っております。
災害補償の関係について事前に御質問を頂いた点については、以上だと思っていますので、私からは以上です。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 それでは、続いて人事院から9ページ以降について説明いたします。人事院の職員福祉課長の大滝と申します。よろしくお願いします。私からは国家公務員の超過勤務の現状や超過勤務の対策を簡単にご紹介いたします。
9ページです。国家公務員の年間超過勤務時間数ということで、約10年間の経緯が書いてあります。全組織で見ますと、年間で超過勤務時間数が237.7時間です。これだけお示ししますとボリューム感が分からないと思いまして、参考として、よく厚生労働省の統計に出てまいります年間総勤務時間数を試算した場合として、大体、年間で約2,012時間と記載しております。全体を平均するとこういうことなのですが、例えば本府省と本府省以外に分けますと、本府省が375.8時間という具合になって、本府省以外ではそれより少なくなっているという状況です。
これも更に申し上げれば、全体の平均時間ですので当然ばらつきがあります。例えば、直近の平成25年のデータのうち年間720時間を目安に申し上げますと、これは大体、360時間で1年を通じて毎日1時間半を超過勤務するイメージだと思います。720時間と言いますと大体1年を通じて毎日3時間以上、超過勤務するイメージです。この720時間を超える本府省職員は、本府省では8%ぐらい、本府省以外では1%ぐらいというばらつきがあります。
10ページです。年次休暇の使用日数です。全組織平均で13日と書いてあります。この資料に関して、これは基本的に年間付与日数が20日の職員のみを対象としているのかという御質問がありました。年間付与日数が20日の職員のみを対象としているということです。誤解が生じましたのは、資料の参考のところに、年間20日の年次休暇が付与される場合とありますので、多分、誤解を招く書き振りだったと思います。
この書き振りはなぜこういう書き振りをしているかと申しますと、要するに年休の繰越しといいますか、去年使い残した年休が30日の職員もいれば25日の職員もいるということですので、取得率を計算する場合にどうするかという話です。国家公務員の場合は、基本的に取得率という形で公表しないものですから、13日という数を20日という数で割れば65%になるということで、民間のデータと比較しやすいものを作るために、わざわざこういう注意書きをしました。
11~13ページです。人事院が、毎年給与勧告とともに、国会と内閣に対して報告申し上げている公務員人事管理に関する報告ということで、今後の人事院の検討課題、検討状況を説明している文書を付けております。これに関する長時間労働慣行の見直しに関する部分です。これについては、具体的な比較というよりも基本的に今何をやっているかと申しますと、各個別の職員に対して、例えば11ページで申しますと下から6行目とか7行目ぐらいの辺りに書いてありますが、要するに職員にWEB調査で意識調査を行っておりまして、今現在集計中ですが、大体2万人規模の方々に超過勤務の要因を聞いて、どういうところが超過勤務の原因なのかということを分析して、それを踏まえて具体的に効果的な取組ができないかということを検討している段階にあるということを昨年、国会と内閣に報告申し上げました。
例えば12ページでは、併せて心の健康づくり推進などで、現在メンタルの関係で取り組んでいる施策の紹介も、国会と内閣に対してしております。13ページは、同様な年次報告書の重要課題が、女性国家公務員の採用、登用の拡大に向けてということで、同じくこういう問題意識からも長時間労働慣行の見直しの考えを国会と内閣に示しておりますので、参考までにお付けしております。
14ページ以降が、超過勤務に係る取組、対策の主なものです。超過勤務の仕組みに関する指針ということで、14ページにお示ししておりますのは、超過勤務を行うことができる上限の目安時間を各府省に示して、できる限りこれを守っていただくということで、基本的には民間労働法制の仕組みとパラレルのような考え方です。まずは、1年につき360時間を目安とするということのほかに、国家公務員は国会関係などを含めまして他律的な業務が多いので、こういう場合であっても1年について720時間を目安としてということで、指針を示させていただいて取組を行っております。
併せて15ページです。先ほどの報告でも触れておりましたが、一つ一つ紹介するということはいたしませんが、心の健康づくり対策ということで、業務上、さらにそれ以外を含めまして心の健康づくりの対策ということで、いろいろな相談室を設けたり研修を設けたりということをしている状況です。かいつまんでの説明になりましたが、人事院からの説明は以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。それでは、続きまして内閣人事局から御説明をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○内閣官房内閣人事局福田内閣参事官 内閣人事局の福田でございます。よろしくお願いいたします。資料2を配っていただいておりますが、内閣人事局が行っております国家公務員に係る過労死等の防止のための対策について説明いたします。資料2の表紙の次のページです。記載のように、内閣人事局が国家公務員に関し進めております対策は、大きく分けまして三つです。
一つ目は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等による超過勤務縮減対策等に向けた取組です。参考1です。国家公務員の労働時間短縮対策については、超過勤務削減のための環境整備や、年次休暇の計画的使用の促進のための環境整備などを進めておりますが、現在政府の重要課題として取り組んでおります、国家公務員の女性活躍とワークライフバランスの推進の中で、取組を強化しております。昨年10月17日、このための取組指針を全府省の事務次官等で構成する会議において決定し、公表いたしました。
取組指針では男女全ての職員の「働き方改革」による仕事と生活の調和、ワークライフバランスを実現することが不可欠とし、超過勤務の縮減を含めた具体的な取組内容を盛り込んでおります。この取組指針を踏まえまして、既に全府省が取組計画を作成しております。今後、取組指針と取組計画等に沿いまして取組を進めてまいります。
取組指針における超過勤務縮減等に向けた取組の内容は、参考1の下半分に記載しております。その第一は、価値観・意識の改革です。各府省の大臣、事務次官等から管理職員等に対しまして、ワークライフバランスの推進や働き方に対する価値観の変革について、明確なメッセージを継続的に発出いたします。また、働き方改革に集中的に取り組む期間としまして、7月と8月にワークライフバランス推進強化月間を実施いたします。更に超過勤務縮減等を含めまして、ワークライフバランスに資する取組について適切に人事評価へ反映することとしております。
その第二は、職場における仕事改革です。職場レベルで業務の効率化や職場環境の改善策を議論、策定し、事後的に評価してさらなる改善へつなげる取組を実施し、個々の職場の自主的な改革を進めてまいります。また、各府省の事務次官等が部局ごとの超過勤務や各種休暇の取得状況などを直接把握し、超過勤務の徹底した削減、休暇の取得促進努力を行うこととしております。内閣人事局においても各府省等の取組状況を把握し、各府省とともに徹底した対策を進めてまいります。更に法令等協議関係業務や国会関係業務を効率化して、府省間協議ルールを厳格化し、各府省への浸透を徹底して、超過勤務の縮減を図ってまいります。
二つ目は、心の健康づくりのための管理職員等を対象とした取組です。これには、講演会、講習会方式とe-ラーニング方式で行っているものがあります。まず、メンタルヘルスに係る講演会等としまして、管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーと、各府省等カウンセラー講習会を実施しております。参考2の上の1.管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーは、平成18年度から実施しております。各府省の本省と地方支分部局等の管理監督者の方々を対象として、専門の講師の方々によりまして講習を行うものです。
また、下にありますが、2.各府省等カウンセラー講習会です。こちらは、昭和63年から実施しておりまして、各府省の本省と地方支分部局等のカウンセラーや、これに関する事務担当者の方々を対象としまして、専門の講師の方による講習を行っております。参考2の表にありますように、東北地方については、特に両方とも行っておりますが、それ以外は、本省勤務者等を対象とする東京開催分を含めまして、全国10ブロックにおいて毎年いずれかを交互に実施しております。受講者はブロックの規模等に応じまして、沖縄の20人ぐらいから東京の80人ぐらいまで幅はありますが、各講師からの一方的な説明だけではなくて、ワークショップ的な参加型の手法も取り入れていただいております。
参考3は、e-ラーニングによるメンタルヘルス講習についてです。これは、各府省の本省と地方支分部局等の新任管理者等を対象といたしまして、LAN端末からインターネットを介して、専用のWEBサイトにアクセスするe-ラーニングシステムによって、講習を実施いたします。左に書いてありますが、平成22年度からは、基礎となるラインケア編として、部下を持つ上司としてのメンタルヘルスケアについて、講習を実施しています。具体的な内容ですが、職場におけるメンタルヘルスケアの意義、管理監督者の役割、部下への相談対応、職場復帰への支援、職場環境等の改善などに関するものを、毎年度約4,000人を対象に実施しております。
右側に書いてありますが、平成25年度からは、基礎となるラインケア編を受講しました管理職員を対象に、部下を持つ上司としての傾聴方法についての相談対応編のe-ラーニングを実施しております。こちらの具体的内容は、管理職員の職務としての相談対応の位置付け、相談対応が必要な場面、適切な相談対応の場作り、心で聴く相談対応のためのポイントなどを、毎年度約6,000人を対象に実施しております。
三つ目は、参考4の、ハラスメント防止のための管理職員等を対象とした取組です。これは先ほど説明いたしましたメンタルヘルス講習と同様にe-ラーニング方式で行っております。職場におけるセクハラ、パワハラ対策のため、本省を中心とした新任管理者等を対象としまして、約2,000人に本年度施行で行っております。具体的内容は、セクハラ、パワハラとは何か、ハラスメントによる被害と影響、職場の管理職員の役割、ハラスメント発生防止などです。今回の施行を踏まえまして、平成27年度からは対象者を拡大しまして実施してまいりたいと考えております。以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。続きまして、総務省からも資料を用意していただいておりますので、御説明をお願いいたします。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 総務省の安全厚生推進室の中小路でございます。どうぞよろしくお願いいたします。1ページを見ていただきたいのですが、まず、説明に入ります前に、先ほど人事院からも御説明がありましたが、認定の基準等は国家公務員、地方公務員はほぼ同等と考えておりますが、実施形態等、若干の違いがありますので、少しお時間を頂いて地方公務員の概況を説明したいと思います。
まず、地方公務員の総数ですが、47都道府県と1,700余りの市町村で、平成25年4月1日現在で約275万人おります。その中には、教育部門や警察部門も含まれます。それぞれ教育、警察部門には、所管省庁がありますので、それぞれ過労死防止対策等がなされているものとは存じております。また、災害を受けた職員やその遺族の方々に対する補償は、今述べました地方公共団体において行われるべきものですが、適切な災害補償の実施や事務の効率化を図るために統一的な実施主体として、地方公務員災害補償基金を設置しております。これは1ページの上の上段に書いてあります。
地方公務員災害補償基金で公務災害の対象としておりますのは、常勤の職員です。非常勤の職員は、地方公務員災害補償法の第69条によりまして、地方公共団体の条例で、公務災害補償制度を定めることになっております。このことから、別添のグラフ等は、地方公務員災害補償基金が取りまとめた常勤の職員によるものです。
1ページから説明をいたします。まず、我々が行っております調査研究です。安全衛生の管理体制の整備状況という調査を行っております。これは衛生管理者や産業医等の選任に関する調査で、選任率が低い団体には必要な助言等を行っております。また、地方公務員安全衛生推進協会というところがありまして、こちらでは地方公務員の健康状況等に関する調査を行っております。これは全数調査ではなくて、警察や消防、教員を除く一般職員を中心とした抽出の調査、先ほど総数を275万人と言いましたが、77万人ほどを抽出したものです。今回の中身で言いますと、例えば「精神及び行動の障害」が長期病休者の中で半数以上を占めているという状況も、この調査の中では出てきております。
左の下の啓発です。先ほど国家公務員に関する説明がありましたが、地方公務員におきましても、安全衛生の管理担当者や人事厚生担当者等を対象に、衛生管理体制の基本知識やメンタルヘルス対策の推進等、各種研修会を実施しております。また、市町村が開催するそれぞれの研修会に、専門講師等を派遣しております。このほかに、後ほど述べますが、市町村独自で研修を行われているところは多数あると思います。平成26年度の予定ですが、113箇所で11,600人ほど参加していただく予定になっております。また、広報誌や小冊子、啓発教材等も出しております。
2ページです。東日本大震災の被災地に係るメンタルヘルス対策も、被災地を中心として行っております。被災自治体におけるメンタルヘルス対策として、先ほど言いました公務災害補償基金とともに、派遣職員を全国の自治体から派遣していただいておりますが、そういう派遣職員も含めて被災地の地方公務員等に対して、プライバシーに配慮したストレスチェックや臨床心理士によるカウンセリング、専門家によるセミナーなど、メンタルヘルス対策を行っております。平成26年度は、137団体で延べ11万6,000人の参加者を予定しております。
1ページの右下のところは、地方公共団体の取組状況です。先ほども述べましたように、それぞれの取組を地域の実情に応じてやっていただいているというのが原則です。一例を挙げますと、過労死等防止対策推進法の施行を受けて、安全衛生の管理者の会議、それぞれの自治体での会議や庁内メールで周知を図っていたり、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて積極的に取り組む企業等に対する表彰や、取組事例の紹介等も行っていたりします。
また、時間外勤務縮減に向けてノー残業デーの実施等は、多くの団体でもきっと行われていると思うのですが、それらの取組に加えて、例えば、一定時間を超える超過勤務を行った職員や所属長へのヒアリングを行ったり、一定時間を超える超過勤務を行った職員へ縮減の啓発メールを打つなど、そういうより踏み込んだ対応を行っているところもあります。また、年次休暇の計画的使用の促進として、週休日や夏季休暇と併せた連続休暇の取得促進等も行っております。
また、長時間勤務者に対する産業医等の面接指導の強化として、労働安全衛生法を上回る対応として、一定時間の超過勤務を行った職員に産業医等が申し出を勧奨したり、一定時間を超える超過勤務を行った職員がいる所属長に、産業医等が指導等を行っているところもあります。また、メンタルヘルスや健康管理に関する研修も、多くの自治体でなされております。本年12月から施行されるストレスチェックの義務化に向けて、既に実施されている団体も多いと理解しております。
資料等の説明に入ります。3ページです。年次休暇の年間使用日数です。11日程度で推移しておるということで、これも先ほどの人事院と同じで、年間付与日数の20日に前年からの繰越分を含めて調査したものです。4ページです。脳・心臓疾患の年度別の公務災害の認定件数です。ここ数年は16件、17件で推移していて、先ほども申しましたが、認定の基準は国家公務員も地方公務員も基本的に同じものという認識をしております。5ページです。精神疾患等の年度別の認定件数の推移です。精神疾患等に係る公務上の認定件数は、広い意味で増加傾向にあるというところです。
6ページです。脳・心臓疾患の受理件数です。これは、平成24、25年度は例年と比べて少なくなっております。これはなぜかというところで、公務災害全体の受理件数は、ここずっとほぼ同数ですので特段見当たるところがないという状況です。7ページです。同じく平成25年度が少ないという感じなのですが、これも同じく特に思い当たるところはなく、特筆すべき点はありません。8ページです。公務災害認定者の年齢別の構成です。脳・心臓疾患は、40~49歳のグループが41.4%と最も高く、40代以降が全体の80%を占めるという状況です。精神疾患も40~49歳が一番多いのですが、20、30代が全体の半分を占めているという状況で、脳・心臓疾患に比べ若年層の割合が高い傾向があると思います。
9ページです。脳・心臓疾患及び精神疾患の公務災害の職種別の構成比です。脳・心臓疾患については、義務教育学校職員と義務教育学校以外の教育職員を合わせたものが27件というところで、38.5%になっております。精神疾患は、その他の職員で49件、57%と一番多いのですが、地方公務員の災害補償においては、その他職員を含めて大きく9職種で分類しております。49件のその他の職員の中で職務内容で一番多いのは一般事務職です。その次が看護師ということになっております。この二つの職務が大半を占めております。
10ページの上段です。超過勤務の時間数別の公務災害の認定件数です。脳・心臓疾患については、80時間以上120時間未満で48.6%と約半数を占めております。精神疾患については、100時間以上の時間数の区分において100時間未満の時間数よりも件数が多いという傾向になっております。10ページの下段です。常勤、非常勤別の公務災害の認定件数です。地方公務員の災害補償では、常勤職員のみならず、非常勤職員のうち常勤的非常勤職員、再任用短時間勤務職員等も対象となりますが、平成21~25年度におきましては、全て常勤職員でした。先ほど一番最初に説明いたしましたが、地方公務員の災害補償におきまして職員と申しますのは、常時勤務に服することを要する地方公務員ということになっておりまして、非常勤職員については地方公共団体の条例に基づき補償するということになっておりますので、数値的にはここに出てきておりません。
11ページです。業務負荷の類型別の認定件数です。異常な出来事への遭遇、仕事量(勤務時間の長さ)が全体の過半数を占めております。この数値等は平成21~25年度までを拾ったものですが、データベース化されておりませんので一件一件拾った形ですので、5年間ということで御容赦願いたいと思っております。個別の事案について具体的にお答えすることはできませんが、例えば、「異常な出来事への遭遇」は、救助活動の際に悲惨な現場に遭遇したことに起因して精神疾患等を発症した例など、また、7番の「住民等との公務上での関係」では、施設建設に際して、ある団体から人格や人間性を否定するような対応を受けた事例や保育活動中に保護者から暴行を受けて、精神疾患を発症した事例があると聞いております。以上です。
○岩村会長 ただいま、三つの機関から御説明を頂きました。御質問あるいは御意見などがありましたら、お出しいただきたいと思います。
○川人委員 川人から、国家公務員、地方公務員双方にお聞きします。国家公務員について、先ほどの報告の中で、いわゆる公務上認定をされた件数についての説明がありました。例えば、自殺について公務上認定したかしないかに限らず、年間何人の国家公務員が自殺をしているかということに関する統計はあるのでしょうか。同じく、地方公務員についても、そのような統計は取っていらっしゃるのでしょうか。
○岩村会長 では、まず人事院からお願いいたします。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 まず、人事院からお答え申し上げます。国家公務員、即ち一般職の国家公務員、林野現業も含む28万人ベースについては、死因別死亡者数ということで、死亡者の死因調査を行っております。その中で、自殺で死亡した人数は、平成25年度で59人です。歴年で簡単に御紹介しますと、平成21年度が68人、平成22年度が64人、平成23年度が58人、平成24年度が44人で、先ほど申しました平成25年度が59人です。よく、死亡者数で対10万人比率ということで伺うことが多いのでそれでやりますと、死亡率は平成25年数値ですと21.5となっております。
○岩村会長 では、総務省、よろしくお願いいたします。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 地方公務員については、自殺者ということでの統計、調査はしておりません。
○岩村会長 川人委員、いかがでしょうか。
○川人委員 そうしますと、国家公務員に関しては、例えば自殺以外の脳疾患で何人亡くなった、あるいは心臓疾患で何人亡くなったという統計もあるのですね。
○岩村会長 人事院、いかがでしょうか。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 これも、毎年というわけではありませんが、先ほど申しました死因調査を詳しい形でやっております。要するに、病死と災害死があって、病死の中で、がん、心臓、脳卒中、その他という区分で、死因調査を行っております。直近の平成23年度調査で御紹介いたしますと、心臓病が24人、死亡率は10万人比率で8.6。脳卒中が21人、10万人比率で7.5となっております。
○川人委員 そうすると、5年に1回ということですか。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 5年に1回だと思います。
○川人委員 自殺は、毎年分かるということですね。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 はい。
○川人委員 どうもありがとうございました。
○岩村会長 そのほかにいかがでしょうか。
○森岡委員 超過勤務の縮減に関する指針の説明がありました。そこで、各省庁の上限の目安時間があり、360時間、720時間というものが示されました。その説明の際に、360時間で1日当たり1時間、720時間で2時間という説明が、あったように思います。聞き間違いに基づく質問かもしれませんが、720時間というのは240時間の3倍です。240時間というのは、年間平日に勤務を行い、また祝日、それから年間20日の年次有給休暇を行使した場合の労働日数で計算するとほぼ1日当たり1時間の時間外労働に相当する。ですから、720時間だと1日当たり3時間になる。その辺りは、どういう認識をお持ちになっているのでしょうか。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 多分、私の滑舌が悪いか、説明し間違えたかもしれませんが、3時間と申し上げたつもりでおりました。申し訳ありませんでした。
○森岡委員 それから、もう一点。これは地方公務員にも関わりますが、説明の中で過労死防止法に触れているところで、当然、過労死という言葉が出ております。それから、過労死防止対策を講じてきたと書かれている箇所がありました。これまで関係機関において過重労働対策やその一貫としての長時間労働削減やメンタルヘルスなどの用語が使われてきたことは承知しておりますが、過労死防止を題目にうたったような文書はあるのでしょうか。あるとすれば、いつからされているのでしょうか。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 まず、人事院から申し上げます。過労死という言葉を使った形で施策を展開したり、あるいは統計を取ったりということは、これまではありませんでした。したがって、過労死を含めた過労や過重労働、あるいは超過勤務対策ということで、広くこれまで施策を行ってきたことが実態かと思います。
○岩村会長 地方公務員はいかがでしょうか。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 地方公務員も、公務員の安全と健康を確保して、公務災害を未然に防止するという観点からは、従前からずっと活動はしてきたところです。過労死防止という表題で、特にこういう法律ができましたから周知しますとかそういう活動はしておりますが、具体的なところは広い意味でのメンタルヘルスや安全衛生管理の意味合いで活動しております。
○岩村会長 ほかにはいかがでしょうか。
○中野委員 過労死家族の会の中野です。公務員関係のいろいろなデータが出たことを、大変喜んでおります。ありがとうございました。そこで、二点ほど質問いたします。地方公務員も国家公務員も同じなのですが、データの中で受理件数は私たちで言う請求件数だと思うのですが、その受理件数については、各年度ごとに数字が書いてあります。認定件数の場合には、年度ごとではなく、平成21年度から平成25年度とまとめて書かれております。それは、何か意味があるのでしょうか。
それから、脳・心臓疾患と精神疾患の両方をまとめて認定者数が書かれているのですが、これは何か意味はあるのでしょうか。
○人事院職員福祉局太田補償課長 今の御質問は、例えば国家公務員災害補償でいきますと、3ページに平成11年度から平成25年度までの棒グラフがあります。5ページ以降は、平成21年度から平成25年度までの数字になっておりますが、その違いは何かという話でしょうか。
○中野委員 協議件数は年度別に書かれてありますね。
○人事院職員福祉局太田補償課長 協議件数は年度別です。
○中野委員 脳・心臓疾患と精神疾患と両方書かれているのですが、今度は年齢別や職種別の場合には、脳・心臓疾患及び精神疾患の認定者数になっているのですが、それはどういう意味があるのでしょうか。
○人事院職員福祉局太田補償課長 資料1の5ページを見ますと、棒グラフが二つあり、左側が脳・心臓疾患で右が精神疾患の二つに分かれているということですか。これを、平成21年度から平成25年度にまとめておりますが、それを各年度にという話ですか。
○中野委員 はい。
○人事院職員福祉局太田補償課長 これは、前回の資料において労働災害について作られた表を真似してこうしているだけです。
○中野委員 そうですか。
○岩村会長 多分、認定件数を見たときには棒グラフが最初に出ておりますが、各年度ごとの数はそれほど多くないものですから、分類しますとそれがどれだけ統計的に意味があるかという話に恐らくなってしまいますので、そういうことからある一定年数まとめて母数を増やした上で分類しているということではないかと、私は理解しております。よろしいでしょうか。
○中野委員 はい、分かりました。
○岩村会長 多分、地方公務員の場合も同じだと思いますので、よろしいでしょうか。
○中野委員 はい、分かりました。
○中原委員 同じく、過労死家族の会の中原から、これはお願いです。この過労死防止法が制定されて、私もいろいろ講演して回っているのですが、最近地方公務員の病院職員組合で講演したところ、過労死防止法が制定したのを実は知らなかったという声がたくさん挙がっておりました。是非、過労死防止ということで、今回全ての職種をということですので、是非末端といいますか、全ての所に過労死防止のことを周知していただけますようにお願いいたします。
○岩村会長 御要望として承りたいと思います。
○新谷委員 労働組合の連合の新谷です。今日は、普段、なかなか拝見できないデータを頂きまして、ありがとうございました。日夜、公務労働に精進いただいている皆様は、こういう状況なのだということが分かりました。資料1の9ページに、国家公務員の方の超過勤務の時間が出ております。これは平均値ですが、1年間で、240日ぐらいで割ると、先ほど森岡先生から御指摘があったような720時間ぐらいの時間になるのではないかと思います。ただ、実態から見ると、特に本府省の皆様方の労働時間の実態とは全然合っていないではないかというような感じがいたします。公務災害の認定件数と、そのうちの死亡者数を拝見したときに、労働災害に比べて多いのか少ないのかがよく分からないです。例えば労災保険ですと対象者数が5,200万人かそれぐらいいると思いますが、国家公務員の公務災害の対象となる、公務労働者の数を教えていただきたいと思います。
また、労災保険の支給決定件数と公務災害の認定件数と比較する際に、認定基準が同じなのかどうか。国家公務員と地方公務員では平成13年12月の通達で、公務災害の認定基準が、国家公務員と地方公務員と同時に出されていますが、労働災害と公務災害の認定基準が同じなのかどうかを教えていただきたいと思います。今日、もしお分かりにならなければ、後ほどで結構ですのでそのようなデータを頂ければと思っております。
○人事院職員福祉局太田補償課長 まず、国の災害補償の対象人員ですが、51万人です。労働災害の対象者数は、先ほど5,000幾らと言っていましたから、100分の1ぐらいです。それから認定基準ですが、脳・心臓疾患、精神疾患ともに我々は労働災害の認定基準と同じだと考えております。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 地方公務員のほうは、275万人です。認定基準は、労働災害を受けて、国家公務員災害補償、またそれを受けて地方公務員災害補償とつくっておりますので、基本的に同じと考えております。
○岩村会長 よろしいでしょうか。
○岩城委員 弁護士の岩城です。三点、国家公務員と地方公務員についてお聞きしたいと思います。先ほどの新谷委員の御質問にもありましたが、国家公務員の年間超過勤務時間数が、230時間と出ています。これと別に、いわゆるサービス残業があると認識されているのかどうかですね。実態としては、広くあると認識されていると思うのですが、その辺りの認識と調査の有無についてが、一点目です。
二点目は、認定をされた場合に、何時間未満で認定されたという表がありますよね。国家公務員であれば7ページにあるのですが、ここで認定された時間というのは調査の結果なので、実態を表していると思うのですね。その方の建前上の時間数との差がどの程度あったのかどうかについての調査はされているのでしょうか。
三点目は、民間の場合ですとサービス残業、不払い残業があったり、36協定違反があったりという場合には、その後の監督指導で調査されたり、指導されるということが今はセットになっております。公務災害として認定された場合には、その後の何らかの指導や監督がなされているのかどうか。その三点についてお聞きしたいと思います。
○岩村会長 まず、人事院からお願いいたします。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 まず、サービス残業についての御質問がありましたが、特にサービス残業というタイトル、名称で調査を行っていることはありません。一点、超過勤務時間数は、マクロのデータで把握しております。そうではなくて、サービス残業かもしれない在庁時間を、サンプル的に調査をいたしております。それは、各府省の超過勤務時間数だけではなく、何時に帰りましたかというのを、本当にこれはサンプル調査なのですが、特に本省に聞いて、またそれを各省にフィードバックして、こういう状況になっておりますと。そういうことを、超過勤務時間数以外でも、在庁時間そのものを減らしていきましょうという取組を、これまでやってきました。仮に、サービス残業的なものが行われているとした場合には、これは労災認定などに関わりなく、実は私どもは公平審査局という準司法機関のような組織を持っており、そこで行政措置要求という形で、これこれこういう具合に働いたはずなのに、超過勤務手当が出ませんという申立てをしてもらい、そうしたことを端緒に人事院が調査に入り、実際これは超過勤務命令が出て働いているじゃないですかという認定をして、実際に本当の残業時間数に応じた超過勤務手当を払うという取扱いをしており、実際問題としてそういう判定も毎年出しております。
○人事院職員福祉局太田補償課長 災害補償の関係でいいますと、7ページの時間区分ですが、実際に公務上か公務外かを判断するに当たって、基本的には各府省に調べてもらった超過勤務時間をベースに判断をしております。先ほど、ずれがあるとおっしゃっていたのは。
○岩城委員 正に7ページの数字は、調べた結果だと思いますね。
○人事院職員福祉局太田補償課長 そうです。
○岩城委員 この全部が、残業代が払われてはいないと思うのです。例えば、Aさんが65時間でした。この方の届け出た、公に残っている記録としての残業時間が25時間だったとすると、40時間の差があるわけですね。その点は明らかになっていますかという質問です。
○人事院職員福祉局太田補償課長 事案によっては、明らかになっているものもあります。加えて言うならば、我々は結局公務上か公務外かを判断しておしまいですので、そのあと調査をするというようなことは、今はしておりません。
○岩村会長 地方公務員のほうはいかがでしょうか。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 地方公務員ですが、先ほど言いました1,700団体それぞれありまして、勤務時間数や給料表などが独自で違うもので、超過勤務時間数の調査等は行っておりませんので、全体の数字を把握しておらず、今回添付しておりません。実際、認定するときに、個別には第一義的には超過勤務命令などと調べますが、実態の聴取調査をした上で、それらを加味した上で認定をしております。それらが、一番最初に言いました地方公務員災害補償基金で、第三者的な立場できちんと見ている状況です。
○岩村会長 地方公務員の場合は、地方公共団体ごとにばらばらだということが前提としてありますので、限界があるのかなということかと思います。
○岩城委員 今の点だけなのですが、要するに基金で調査、認定をしたあと、それが何かその後の改善につながる仕組みは特にないとお聞きしていいですね。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 当然認定するもので、民間でいう労働基準監督官的な立場は地方公務員の場合は、人事委員会又は首長がその立場を任務することになっております。当然、例えば首長であればそういう認定があったというのは承知するでしょうから、労働基準監督的な立場から業務の指示をされているものと認識しております。
○岩村会長 手が挙がっていたのが、木下委員、岸委員、小林委員ですので、そのお三方に順番にお願いしたいと思います。では、木下委員からどうぞ。
○木下委員 国家公務員の資料1の9ページの平均の超過勤務時間数を頂戴しているのですが、先ほど国家公務員総数51万人と伺いました。これは、給与等の実態調査から出た数字となりますと、いわゆる残業代の対象にならない方、超過勤務手当の対象にならない方も、民間でいえば管理監督者に当たる方も国家公務員の組織の中には当然いらっしゃると思います。そういう方々はどのぐらいの人数になって、何割ぐらいの割合になるのかを教えていただきたいと思います。
○岩村会長 では、人事院お願いします。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 実は、先ほどの公務災害の51万人という数と、この国家公務員の年間超過勤務時間数を調べた母数は違っております。なぜかといいますと、勤務時間というのは一つの勤務条件制度ですので、人事院が所管しているのは、要するに労働基本権制約された人事院勧告の対象となる約27万人をベースにした数字です。当然、この27万人が対象になっておりますが、この27万人全体についてそれが母数になっております。一つ難しいのは、管理職は当然入っているのですが、管理職を除いた数字は今手元にありません。要するに、管理職も含めた一般職国家公務員27万人を対象としたものが、この数字の母数になっております。
管理職の方には、超過勤務手当が国家公務員も支給されませんので、従って管理職職員を取っても取らなくても、平均の何時間やったかに関して言えば、これもやはり27万人で割っていますので、管理職も含めて割っている数字だと思います。
○木下委員 今の説明ですと、管理職の分が分母に入っているとなると、むしろ数は少なめに平均値が出てしまっていると見えてしまいますが、それでよろしいでしょうか。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 その点は、私は手元に持っていなくて、あとで厚生労働省を通じて回答させていただくわけにはいかないでしょうか。確めさせてください。すみません。
○岩村会長 それでは、そういうことで、よろしくお願いいたします。
○岸委員 自治労の岸と申します。私からは二点質問と、一点意見を申し上げたいと思います。まず、過重労働対策には、職場の安全衛生委員会で、労使が対策を検討してチェックを行っていくことが有効と思っておりますが、地方公共団体での安全衛生委員会の開催や設置状況などが、国で把握されているのか、また、それに対する支援が行われているかが一点目の質問です。
二点目は、地方公務員安全衛生推進協会の調査で、精神及び行動の障害で長期休職をしている職員が、15年前に比べると約4.5倍という高い発生率となっているというデータがあります。この調査では、業務起因性の有無までは分かりませんが、潜在的な過労死等の危険性の表れではないかと思っております。こういったことに対して、総務省として現状をどのように認識しているのでしょうか。また、このデータには教員が含まれていません。教育現場の勤務時間の問題は非常に深刻であり、超過勤務が無制限に行われている実態があるとも伺っております。原因等の分析はされているのでしょうか。
最後に意見です。近年、気候の変動等で災害の発生率も多くなっており、公務職場では、そういった緊急時には、住民サービスの提供が使命であることから、特に肉体的にも心理的にも厳しい状況に置かれます。そうした実態がありながらも、今回法律で過労死等の防止対策の推進主体として、国や地方公共団体の役割が明確に位置付けられたところであり、まずは公務職場が過労死等の撲滅の見本となる取組を行っていかなければならないと思っております。
○岩村会長 最後の点は御意見ですので、二つの質問について、総務省からお願いいたします。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 まず、一番最初に言いましたが、安全衛生の管理体制の整備状況という意味合いでは、調査しております。しかし、安全衛生委員会とか衛生管理者などは選任されているけれども、例えば毎月やっていないという事例はあるようには聞いておりますが、実態としてどこまでやっているか、年に何回やったかというところまでの調査は現在しておりません。
それから、安全衛生推進協会からの調査の中で、長期病休者のうち精神及び行動の障害の部分が、非常に右肩上がりで上がっております。例えば、新生物、循環器の疾患、消化器の疾患は、ほぼ10数年来低い水準で横並びの数字ですが、精神及び行動の障害だけは非常に右肩上がりで上がってきております。実際、職場の中でもそういう事由で休んでおられる方が非常に多い状況ですので、私も年に数回いろいろな研修会にも行って、この辺りのデータやグラフ等を示して説明もしております。現在は、そういう状況です。
○岩村会長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 国と地方公共団体の過労死の状況ですが、数は何か少ないように見えてしょうがないのですが、私の実感としてはもっとあるのではないのかというのが、正直な気持ちです。その中で、地方公共団体の資料の9ページで、脳・心臓疾患で亡くなられている方の職種別のものが出ております。下のほうを見ると、義務教育学校職員、それ以外の教育関係者が先ほどの説明ですと38.5%ということで、かなりの数字が出ております。以前、労働条件分科会で、医療関係と教育者の残業時間が大変多いというような現況報告があり、それに過労死の方も多いと報告を受けているところです。この辺りは、地方公共団体、これは文部科学省になるのかもしれませんが、特にその因果関係も含めていろいろな調査や対策等を講じているのかどうかをお伺いしたいと思います。
○岩村会長 では、総務省からお願いいたします。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 総務省としては、地方公務員ということで、全体を括った調査が中心です。新聞報道等によりますと、文部科学省においてはこういう教員に絞った調査もされているというのは、ごく近い日の新聞報道にも出ておりました。総務省としては教員のみという形では現在やっておりません。地方公務員全体としての括りの中での調査を行っている状況です。
○小林委員 これは意見なのですが、典型的な長時間労働との因果関係でいえば、正に教員というのは分かりやすい状況にあるのだと思います。それと、びっくりしたのは、警察官の方もかなりの方が亡くなられている状況があります。これらの特徴がある職種の方は、国は全体的にどういう対策を取るのかを検討し、しっかり対策を講じなければならないというのを感じた次第です。
○岩村会長 今日はほかにも議題がありますから、今手が挙がっているお二人でこの議題についてはここまでといたします。質問も、できるだけ簡潔にお願いできればと思います。まず、西垣委員どうぞ。
○西垣委員 過労死家族の会の西垣と申します。先日、第1回で発言させていただいた折にも、私は労働時間の時間把握についてどうされているのか、これをきちんとしていただきたいということを発言させていただきました。それは、息子はシステムエンジニアの業界でしたが、私は元教員ですので、先ほど岸委員、小林委員がおっしゃったように、義務教育ならこれは私学でも同じだと思うのですが、学校職員の過労死、公務災害認定がかなりされていると思います。実は、この公務災害の認定は、私たち家族の会の中では難しいのですね。民間の労働災害認定に比べて、かなりの難易度があり、この数が少ないというのは今おっしゃっていただいたように正しい数が反映されていないのではないかという疑問もあります。そういう学校職員の勤務時間把握について、どうされているか。これは、超過勤務手当は付きませんね。それは分かっているのですが、それでもなお勤務時間の把握をしておられるのかどうかについてお尋ねいたします。
○岩村会長 総務省で分かる問題ではないような気もいたしますが、いかがでしょうか。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 総務省としては、そこまで把握していないというのが現状です。文部科学省が一番詳しいのかもしれませんが、あくまで我々として教員等でも認定するときに今のような不明な点もあろうかと思います。そういうところは、実際の認定の作業の中でいろいろ話を聞いたりとか、周りの教職員に聞いたりという意味での把握はしているかもしれませんが、個々具体の内容については、総務省では教員の詳細については把握していない状況です。
○岩村会長 新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 先ほど答弁の中で在庁時間のサンプリング調査をやられたということがありました。多分、超過勤務時間と在庁時間とでずれが出ているのだろうなと思います。例えば民間の労働契約ベースですと、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が厚生労働省から出ております。法的拘束力はないのですが、労働時間の把握については、基本的にはタイムカード、ICカード等客観的な記録を取らなければいけないとされています。現行では自己申告も認められていますが、今回労働政策審議会の建議で、労働安全衛生法による医師の面接指導における労働時間の把握について、労働時間の把握は客観的な方法によるとするということが盛り込まれました。今、各府省では、勤務時間の把握について、どのような仕組みで行われているのでしょうか。例えば中央合同庁舎第5号館ですと入退の際はみんな入館証をチェックしていると思うのですが、共通した勤怠のシステムなどがあるのかどうかをお聞かせいただきたいのが一つです。
もう一つは、年休のデータを出していただいております。国家公務員のほうの資料ですと10ページですし、地方公務員の資料ですと3ページに出されております。お聞きしたいのは、多分これはそういうことなのだろうなとは思いますが、一番下に書かれている年間20日間の年次有休給暇を付与される場合、と何でわざわざ書いているのかなと思ったら、付与の基準が多分労働基準法と違うのだろうと思います。労働基準法の場合は、御承知のように半年で10日、6年6カ月で20日まで延ばしていきます。多分人事院の規則ですと、2年目から20日になるのですか。私は承知しておりませんが、そこのベースが違うので多分こうなっているのだと思うのです。何をお聞きしたかったかというと、幾つかあるのですが、政府で2020年までに年休の取得率の目標値を70%にしているのですね。そのときに、算出する際に、ベースとなる付与日数が分からないのです。要するに、分母が分からないものですから、参考で20日とすればと書かれているのですが、多分ほとんど20日に近い状態で付与日数の平均が貼り付いていると考えておけばいいのだと思います。そこが、確認の一点目です。
もう一つは、国家公務員と地方公務員で見たときに、国家公務員のほうが、取得日数が多くて、地方のほうも指定都市が多くて、団体の規模が小さくなるとどんどん減っていきます。なぜこのような取得率になっているのか、もし原因がお分かりになれば教えていただきたいと思います。
○岩村会長 まず、人事院からお願いいたします。
○人事院職員福祉局大滝職員福祉課長 お尋ねが三点ほどありますが、まず一点目の現在各府省において超過勤務時間の把握をどうやっているかについては、基本的に今委員から御指摘があったような機械でやっているのは私どもが把握している限りではほとんどなく、基本的には自己申告、目視で、それを上司が確認するということで行われていると承知しております。
それから、年間20日の話については、委員がおっしゃるとおりで、基本的に20日だということがベースになっております。それは、採用当初から国家公務員はそうです。実は、労働基準法ができる前からあった休暇を引き継いでいる関係もあり、民間で行われている年休と20日は合っているのですが、いろいろと違うところがございます。そういうことをベースにして、取得率を出す場合に、国家公務員はある人が繰り越しで30日をもったり40日をもったりする人が中にはおりますので、そういう人たちの取得率はどう考えるかということではなくて、もともと統計の取り方が何日取りましたかということしか聞いていないので、では何日取りましたかを何の分母で割るかといった場合に、便宜上20日で割れば似たような取得率が出てくるという考え方で書いております。その書き方が、分かりづらかったというのは、委員のおっしゃるとおりだと思います。
それから、国家公務員と地方公務員、あるいは民間企業とどうして年休日数が違うのかというのは、これは恐らくいろいろな要素があるのだろうとは思います。もう少し学問的、分析的なことをかなりやらないと、分かり兼ねます。私どもとしては、国家公務員、地方公務員あるいは民間企業との違いは、俄かには分かりません。
○岩村会長 総務省はいかがでしょうか。
○総務省自治行政局公務員部福利課中小路安全厚生推進室長 年休の20日等は、今人事院の言われたことと同じです。年次休暇の関係ですが、分析なり何なりとか理由などは調査しておりません。実態としては分かりません。しかし、私も地方に総務省から赴任したりもありますから、経験則で言いますと、例えば都道府県の場合であれば、週休日とか夏期休暇と組み合わせたり、年末年始をみんなで休みましょうとか、お盆は夏休みこの時期にみんなでとりましょうという意味で、強制的とはいいませんが、そういう意味での取得もあるのかなとは思っています。これは、個人的見解です。正式には、我々としては、事情等は調査しておりませんし、実態等も分かっておりません。
○岩村会長 まだ質問があろうかと思いますが、今日はほかの議題もまだあるものですから、あとは申し訳ありませんが、事務局で個別に対応していただき、御回答いただいて、委員の方にお伝えするという扱いにさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、三省庁の皆様、どうもありがとうございました。
次に、議題の二つ目に移ります。これは、施策の実施状況についてです。事務局で資料を用意していただいておりますので、説明をお願いいたします。
○岩瀬調査官 それでは、資料4-1から資料4-3まで一括して御説明いたします。資料4-1は、前回御説明しました11月14日開催のシンポジウムの際に実施させていただいたアンケート結果です。こちらがまとまりましたので御報告させていただきます。
1ページです。左は御参加いただいた方についてのデータで、御回答いただいた方の性別、職業別などを示しておりますが、幅広く御参加いただけたということはお分かりだと思います。右の帯グラフでは、過労死等への関心、御理解について、また、満足度についてですが、御回答いただいた中では4項目全てについて、8割を超える方から「十分深まった」「ある程度深まった」あるいは「満足」「どちらかというと満足」という評価を頂きました。
2ページです。さらに、御意見、御感想も数多く頂戴しました。この中から一部、主な御意見を記載させていただいております。「実態を調査し検証取組につなげていくことが重要」「過労死を防止する具体策、現場の労働実態の把握、改善是正策をスピード感を持って臨んでほしい」「法の趣旨の徹底と現実の把握、検証が着実にすすむよう期待する」など、貴重な御意見を頂戴しました。大綱案作成に当たっての参考とさせていただく所存です。
資料4-2です。こちらは、各企業の労務担当責任者を対象として実施した、過重労働解消のためのセミナーの結果です。こちらがまとまりましたので御説明いたします。事業概要は、社会保険労務士を講師としまして、過重労働解消に必要な知識やノウハウをテーマとしたセミナーで、11月を中心に、全国8か所で計10回開催しましたところ、761名の御参加をいただきました。下にありますように、御参加いただいた方々は、業種、規模とも幅広く分布している状況です。
裏面です。このアンケートの中で、セミナーの参加者が感じておられる、参加時における自社の過重労働解消のための主な問題点を御回答いただいております。企業風土に関するものとしては、「経営者・管理者の過重労働に対する認識不足」「長時間労働を評価する社風及び労働慣行」といった経営者、管理者に係るものと、「企業間のコスト競争、利益第一主義」「業界の構造」といった業界の問題との御認識でした。また、現場の実態に関するものとしては、「特定の人・部署に業務が集中している」「労働時間の把握・管理ができていない」など、管理面からの問題も多くありました。
そして、この問題を解決するために今後実施したいとお考えになっている主な取組についてもお答えいただいており、企業風土に関するものでは、「経営者・管理者の意識改革、経営者・管理者への過重労働解消に向けた取組の提案」「社風・風土の改革、人事評価制度・給与制度の見直し」といったものをいただき、また、業務実施体制に関するものでは、「業務のスリム化・効率化、人材の適正な配置」「時間外労働の適正な把握、申請の厳格化」など、その他としては、「ノー残業デーの推進、有給休暇の取得促進」などを挙げてくださっております。
最後に資料4-3です。「厚生労働省働き方・休み方改革推進戦略」についてです。これは、前回、塩崎大臣を本部長とする長時間労働削減推進本部を御説明いたしましたが、この中で、省内の推進チームがございまして、そこでまとめたものであり、去る1月27日、同本部において決定したものです。この取組を本年3月から試行的に実施し、10月からは本格実施するというもので、「休むことも仕事です。今度こそ本気です」というキャッチフレーズを掲げております。この改革を成功させるための三つの基本的考え方としては、一つ目に、大臣主導の下、半ば強制的に実施する。二つ目に、この改革の推進については、幹部職員等の人事評価に反映する。三つ目は、重層的なPDCAサイクルを導入し、目標が達成できていない場合は具体的な改善指導等を行うというものです。
この取組内容については二つありまして、左は「働き方改革」ということで、原則20時までに退庁とし、やむを得ない場合でも22時までには退庁するというものや、国会などで遅くなった場合には、遅出勤務を活用する。テレワークも活用するという働き方改革。右は、年次休暇を取得し、毎月必ず1日は休む。夏期休暇は3日間の特別休暇と、2日以上の年次有給休暇を含めて、連続1週間以上の休暇を取得する。その他、ゴールデンウイーク及び年末年始に1日以上の休暇を取得するということで、トータルすると16日を休むといった「休み方改革」というものです。
具体的取組は説明を省略させていただきますが、厚生労働本省におきましては、このような取組を決定して、長時間労働削減を推進することとしておりますことを併せて御報告いたします。以上です。
○岩村会長 それでは三番目の議題に移ります。「大綱の基本的考え方について」ということです。本日は、大綱で定めるべき事項について、フリートーキングをお願いしたいと考えております。始める前に、事務局から何かあれば少し御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鈴木総務課長 資料5を御覧ください。これは前回もお配りした、大綱についての概要です。2のところを見ていただくと、「大綱で定めるべき事項」として法律に、「調査研究等」「啓発」「相談体制の整備等」「民間団体の活動に対する支援」の四つがあります。一つ目については、実施主体は国、残りの三つについては、国、地方公共団体が実施主体ということです。基本的に大綱には、これらの進め方、内容等について記載するということになりますので、ここについて皆様方から、一体どういうことを目標に、どういう中身のものを当面やっていくのかというようなことの御意見を頂きたいと思っております。
それに関連しまして、前回、委員から、目標を定めてやるべきだという御意見が出ましたので若干補足いたしますと、一番最後に参考資料ということで、法律本体を付けております。この一番後ろのページに、附則の第2項というのがありまして、この法律については施行後3年後に、目途として見直し、検討を行うということが書かれています。したがって、この3年後の検討について、検討を加えた結果、通常の場合はこの大綱も改正するという形になりますので、大体その間、3~4年のスパンを目途にしまして、最初の大綱をお考えいただきたいと。すなわち、この3~4年にかけて、この四つの事業について、どういうことを、どういう目的で目標を立ててやっていくのかということについて御意見を頂きたいというものです。以上です。
○岩村会長 先ほど申し上げましたように、本日はフリートーキングということですので、残された時間、どなたからでも結構ですので御発言を頂ければと思います。
○新谷委員 本日はフリートークですので、意見を何点か申し上げたいと思います。今、課長のほうから説明のありました、附則に付いています3年後の見直し条項との関係で、大綱も3年ないし4年のスパンを目途とするという御発言があったわけですが、私どもとしては、もっと短い目標設定にするべきであると思います。今、過労死の問題も、すぐにでも着手していかなければならない課題ですので、3年を超えるような目標は想定できない。もっと短い目標を期限として定めるべきであると考えております。
次に「過労死等」の定義ですが、条文の定義にありますように、この法律では、過重な負荷による脳・心臓疾患だけではなく、強い心理的負荷による精神障害についても、その対象としているわけです。ですので、長時間労働の防止対策とともに、業務における強い心理的負荷への対応についても十分な対策を打つべきだと思いますし、それぞれの対策については、公務労働も対象となるわけですから、使用者としての国、使用者としての地方公共団体についても、取り組むべき内容を明確にしていく、またそれを確実にフォローする体制をこの中に盛り込むべきだと思っております。
それから、大綱で定めるべき内容として、調査研究というものが書かれています。この調査研究では、労働関係や任用関係にある人だけではなく、実態を把握しにくい自営業や請負といった契約労働で働いておられる方についても調査対象とするべきだと申し上げておきたいと思います。
最後に、これは多分、使用者団体の委員も異論がないところだと思うのですが、労使関係でどのように過労死等の防止対策に取り組むのかということも、大綱に盛り込んでいくべきではないかと思います。私ども連合としても、過労死等を出させないという宣言に取り組み、9,000近い組織において宣言を採択したところです。こうした取組はそれぞれの団体でやることなのですが、労使関係の中で取り組むべきものは一体何かというのは大事なポイントだと思いますので、この大綱の中でも、やはり労使の役割を盛り込んでいくべきだということを意見として申し上げておきたいと思います。以上です。
○森岡委員 要望、あるいは意見なのですが、二点あります。一つは、自殺対策基本法その他の基本法に先例がありますが、そのいくつかは、その問題事象の現状、それから、その問題に対する対策の基本的認識等を盛り込んでいるわけです。過労死防止という点で言えば、脳・心臓疾患及び精神障害等、過労とストレスを原因とする疾病の発症について、これまで事実関係についての一定の議論もあります。その状況については少なくとも踏まえる必要があると思います。
それから、2000年3月の最高裁判決、電通青年過労自殺事件の判決を代表的なものとして、いろいろな判例が積み重なって、 使用者の労働者に対する健康安全配慮義務が 判例法理として確立していると言っていい。その点では、過労死防止法ができたことも、そういう一種の共通の認識が背景にあったからできたと理解されます。したがって、そういうものもある程度書き込むことが大事ではないかと思っています。大綱の各論に踏み込む前の入口の部分ですが、そういうことがあります。
それからもう一つ。中身に入って、これは難しい問題も含んでいますが、今回の過労死防止法は四つの対策ということを言っていますが、大きく言えば、やはり過労死防止についての国の責務も定めたものだと理解しています。その具体的な内容は、多くは、私が言うまでもないことですが、労働基準法と労働安全衛生法に定められている事項を、どのように遵守・履行していくかということに関わることです。そうなると、例えば、いわゆる36協定の延長の限度時間に関する行政指導基準と、実際とのずれの問題や、あるいは、特例条項の問題もあります。また、この間の労働政策審議会労働条件分科会の議論でも上がっていましたが、勤務間インターバル休息というような制度についても、どこまで書き込むか。これは取りあえずは検討課題の域を出ないと思いますが、検討課題としてでもそういうことが言われていて、そういう問題があるということについては、最初の大綱であってもある程度は立ち入ることが望ましいのではないか。そういう意味の課題の明示も必要ではないかと考えます。以上です。
○岩城委員 弁護士の岩城です。この大綱の項目として、調査研究等、啓発、それから相談体制の整備等、民間団体の活動に対する支援という四つの項目になっていますよね。この点に関して、素朴な問題意識として、現行法令がきちんと遵守されれば、過労死の大半は防げると私たちは認識しているわけです。要は、コンプライアンスの問題ということになるのかと思うのです。その問題というのは、啓発のところに入るのかなと思ったりもするのですが、この法律自体は新たに権利義務を設定するものではない。この大綱も、改めて権利義務を要求するものではないと認識しているのですが、例えば、労働時間の把握などの通達の改善を求めるようなことはありうるのでしょうか。それが大きな一つです。
もう一つは、分野別に記述することもあり得るのかという点です。例えば、先ほどから教員の問題が出ていました。それから、私たちが非常に問題意識を持っているのは、運転労働です。非常に拘束時間が長いとか、不規則だといった問題で、改善基準と認定基準が必ずしも整合性を持っていないという問題もあろうかと思います。そういった分野ごとに調査や啓発、それから、先ほど申し上げた現行法令の遵守や通達の改善なども入ると考えていいのか。その辺りについて、また御議論いただけたらなと思っております。
○川口委員 前回も私どもが申し上げましたとおり、企業にとっての競争力は人材ですので、その意欲と能力を十分に発揮できる環境を整えることと、従業員の安全と健康確保をする。これは経営の最重要課題と考えております。この人間尊重という日本型経営の信条は、いつの時代も変わらないと思っております。過労死等はあってはなりませんので、そのために、長時間労働の是正や過重労働を抑制していくことについては、私ども事業主も含めて、国を挙げた取組というのが必要だと思っております。
そこで、この協議会で議論してまいります防止のための対策に関する大綱についてのお願いです。一つは、官民の情報共有と連携です。この法律に書かれています過労死等に関する調査研究等ですが、そこでは、是非とも十分な調査研究を行って、どのような原因や背景によって過労死等が起こるのかを明確にしていくことが重要であると思っております。過労死等の要因として、労働時間の長短は重要な要素ですが、個人の体質や生活習慣や、職場内外でのストレスなど、様々な要因の上に過重労働がトリガーとなって発症するということが多いと言われていますので、多角的に因果関係を調査するとともに、その結果を官民で共有することによって、私ども事業主のほうも、安全や健康に、より配慮した取組ができるものではないかと思っております。
また、企業では、近年、健康問題だけではなくて、様々な相談を受け付ける窓口を設定しておりますが、ただ窓口を設けるだけでは効果がありませんので、相談案件にどういうふうに対応していくかということが重要になってきます。今回、法律の中で、国、地方公共団体が行う相談体制に関して、相談を受ける方々に対する研修の機会の確保等が記載されていますので、こうして得られた国、地方公共団体のノウハウ、知見についても、是非とも民間事業者に共有させていただいて、それぞれで設置されている相談案件の対応にいかしていきたいと思っております。
それから、労使の取組です。内閣府に設置されました「休み方改革ワーキンググループ」では連合の代表の方、経団連の代表も参加しまして報告書を取りまとめているところです。その中で、長時間労働の是正や年休の取得促進の効果的な取組の鍵となる第一は、トップのリーダーシップと強いコミットメントで、二つ目が労使の連携ですので、そういった取組を進めていく上では労使の連携は重要であると私どもも思っているところです。以上です。
○川人委員 調査研究に当たっての問題について一言述べたいのですが、既に厚生労働省のほうで労災認定をした数だけでも、数千名に上るわけです。何千名もの亡くなった方について労災認定が行われているわけです。この方々についての、徹底した原因調査の分析が大変重要であろうと考えております。これまでも、厚生労働省のほうである程度調査・分析したものがあるわけですが、例えば、管理監督者の扱いにされているために長時間労働が放置された、あるいは、裁量労働制が適用されていたために非常に長時間労働が放置された。あるいは、変形労働時間制が導入されていたために、例えば年末に極めて長時間労働が続いたなど、本来の労働時間の規制原則の例外として、今、行われている労働基準法がどのような形で過労死の発生に影響しているかという問題は、極めて重要な論点であろうかと思います。それは、今後、日本で労働時間法制をどのように進めていくかという意味で重要なテーマになっていますし、是非、今後の調査研究を進める重要な柱として、過去の犠牲者の徹底した原因分析ということを大綱の中で強調してもらいたいと思います。以上です。
○木下委員 弁護士の木下でございます。今回、この大綱の中では啓発ということで挙げられていますが、私ども弁護士会では、少なくとも東京では労働法制委員会を作りまして、弁護士の中で労働法に関する専門家の育成をしております。その活動の中で、弁護士が法教育ということで、学校を訪ねて、例えば高校、中学、大学も含めて訪ねて、法に関する教育をする中で、労働法に関する教育の要請が高まってきています。ですから、法教育の中で労働法の持つ役割も高まってきています。それは、単に労働法を知るというだけでなくて、働くということ自体に対する意識付けにもつながると思います。今、私は経営側で仕事をしておりますが、働くことについての意識付け、あるいは働くこと自体の問題意識というものが余り学校の中で教わらずに、学校から仕事に向かうところでの転換点でうまく移行できていないことが原因と思われる若い方の事件などを見ますと、教育という面は非常に重要ではないかと思っております。弁護士だけでなく、他にも教育を担う立場の方もいらっしゃいますので、この大綱の中の啓発の中では、是非、そういう若い方に対する取組も取り入れてほしいと思っております。以上です。
○寺西委員 過労死を考える家族の会の寺西と申します。この過労死防止法を進めていっていただくに当たりまして、やはり、現行である労働基準法と労働安全衛生法を、この過労死防止法にのっとった形で運用していっていただきたいと願っております。過労死という中身になりますと、やはり労働時間と密接な関係にありますので、先ほど公務員の皆様方の御報告を頂きましたが、一体、労働時間管理はどうされているのかということが、すごく大きな疑問を持ちながら聞かせていただいたところです。
それと、啓発の中で、私たちは、現に学校教育とか、機会があればそういうところでお話をして、知識として知っていただきたいと。知った上で社会に出ていっていただきたいということで、これからも、これまでも、実行しているのですが、現実、やはり職場に入ってしまうと、幾ら知識を持っていても、職場が社会になってしまうということで、やはり学校教育も大事なのですが、企業教育というか、そういうところも、これからも機会があれば広めていっていただきたいと思っております。
ある人に聞きますと、労働基準法というのは、労働者を守るためのものではなくて、国と企業との契約になっていると。もっともっと働く人を守る形にのっとった運用をしていっていただけないかと。また、そういう足りないところをこれから補充していっていただきたいと願っているところです。過労死を減らすのではなくて、私たちは、過労死をなくすという観点から防止策を考えていただきたいというお願いも込めて、意見として申し上げさせていただきました。
本当に、家族の会に相談に来られる方は、泣き寝入りされている方がほとんど多いのが実態です。このような氷山の一角で、私たちは認定されているのですが、そういった実態を、もっともっと浮き彫りにできるような調査研究にしていただきたいというお願いを込めて意見を述べさせていただきました。
それともう一つ。認定労働時間もありますが、やはりそういう被災された方の仕事量が一体どうだったのかと。できれば、そういうところも踏み込んでいただければ有り難いと思っております。幾ら「残業するな」とか「帰りなさい」とか言ったところで、仕事量が全く軽減されなかったら、これは持ち帰りせざるを得ないということで、何ら中身的には変わらないという実態がありますので、そういったことも含めた形で、この過労死防止法の対策を取っていただければ非常に有り難いと思っております。以上です。
○冨田委員 労働組合自動車総連の冨田でございます。私から一点お願いと、一点御意見ということでお話させていただきたいと思います。まず、過労死等を防止するための対策の中の、調査研究や啓発について、こうした観点を入れていただけないかというお願いです。先ほども、川口委員のほうから、企業にとっての労働者の安全と健康の確保、これが経営の最重要課題というお話もありましたが、私どもの中でも、やはり労働災害を出さない、要は災害をゼロにしていくというのが、正に取組の中でも最重要課題です。ただ、残念ながら、そうしたことをやっていてでも、やはり、労働災害は起こってしまうことがありまして、その場合に一番重要になるのは、二度と出さないための再発防止を、いかにシステムの中に組み込み、周知徹底を図っていくかということだと思っております。ですので、今回のこの調査研究などでは、起こった原因の調査もそうなのですが、その後、例えばそうした職場において、どのような再発防止策が取られているのかなどについても、是非、調査研究をしていただきたいと思います。そうしたことが、結果としては、例えば啓発につながっていくものにもなろうかと思いますので、再発防止の観点を、是非この大綱の中に入れていただきたいのが一点目のお願いです。
二点目は、この過労死等の中に定義されている業務における強い心理的負荷に関してですが、やはり職場の中で、残念ながら、例えばいじめやパワハラなどに起因するようなものがあるのだと思っております。警察庁の自殺の統計を見ても、勤務の問題を理由として自殺された方が、平成25年の調査で2,300人に上っていて、その中の要因を見ると、やはり、仕事の失敗や職場の人間関係といった、強い心理的な負荷を受けたことによる自殺が半数を占めている状況です。セクハラについては、均等法を受けての形で、企業に対する様々な指針などが出ているのですが、パワハラに関しては、残念ながら十分な対策にまでは至っていないのではないかと思っております。これは大綱を待たずしてでもできることだと思いますので、過労死等を未然に防止するためにも、是非、セクハラ対策と同程度又はそれ以上の実効的な対策を早急に進めていただきたいと思います。
過労死の未然防止のためには、本人が予防のために様々やることもありますが、一番は、そうしたことを起こさない職場を作っていくことだと思っておりますので、是非そうした観点も含めて進めていただければというお願いです。以上です。
○八野委員 労働組合UAゼンセンの八野と申します。よろしくお願いいたします。私のほうから意見を三つ言わせていただきたいと思います。先ほど岩城委員、川人委員からも言われたように、やはり過労死の実態把握、原因把握が十分できているのかというところです。これがなければ対策は打てないであろうということです。
特に様々な職種で見たときに、過労死等の実態はどうなっているか、又は、裁量労働制など、働き方の分類ではどうなのかなど、労働実態と関連付けた分析が必要であり、調査研究のところできちんとやっていかなくてはいけないだろうと思っております。
また、これは啓発になるのかどうかというところですが、大綱に具体的な目標を盛り込むべきであろうということです。先ほども意見が出ていましたが、過労死をゼロにするには、国の責務として実効ある取組が必要だろうと思っています。政府が掲げている年休取得率7割や、週の労働時間60時間超の雇用者の割合半減ということはもちろんだと思います。本日資料4-2として説明があったセミナーの参加者の問題意識などを見てみると、この辺りが企業側にも、経営者側にも、周知が本当にできているのかということもきちんと検証した上で、あとは、例えば休日出勤の回数や、深夜労働の回数などについても、目標を示して確実に削減していく必要があるだろうと思っています。
三つ目は、労働政策審議会の労働条件分科会で取りまとめられた報告で、働きすぎ防止のための法制度の整備として、健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化ということが書き込まれています。厚生労働省が2013年に「若者の使い捨てが疑われる企業への重点監督」を実施して、実施事業所の8割を超える事業所で何らかの法令違反があり、時間外労働については、月80時間超が24.1%、うち100時間超が14.3%という結果が出ており、異常と言える実態がやはり存在しているということだと思います。
こうした実態がある中、長時間労働に対する問題意識を啓発することが非常に重要であり、重点監督の回数を増やすなどの施策を大綱に書くべきだと思いますし、そのための監督機関の体制強化も必要なのではないかと思います。やはり、監督官の計画的な増員もきちんと示していって、全体で過労死ゼロに取り組むということを明確に目標として打ち出していくべきと考えております。以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。時間がそれほどないのですが、いかがですか。よろしいでしょうか。本日はフリートークということでいろいろな御意見を頂戴しまして、大変ありがとうございました。いろいろな角度からの御意見を頂戴しましたので、引き続き、皆様の御意見を踏まえて議論をしてまいりたいと考えております。
事務局におかれましては、本日お出しいただいた委員の皆様の御意見も踏まえて、次回の会合で議論のたたき台となる資料を御準備いただければと思いますので、よろしく用意のほうをお願いいたしたいと思います。
最後になりますが、次回の日程について、事務局から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岩瀬調査官 次回の開催日時及び場所につきましては調整中ですので、追って事務局より御連絡させていただきます。
○岩村会長 これをもちまして、第2回過労死等防止対策推進協議会は閉会とさせていただきます。本日はお忙しい中を大変ありがとうございました。
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