ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第19回 社会保障審議会生活保護基準部会(2014年10月21日)
2014年10月21日 第19回 社会保障審議会生活保護基準部会
社会・援護局
○日時
平成26年10月21日(火)15:30~17:30
○場所
厚生労働省省議室
○出席者
駒村 康平 (部会長) |
岩田 正美 (部会長代理) |
阿部 彩 (委員) |
岡部 卓 (委員) |
栃本 一三郎 (委員) |
園田 眞理子 (委員) |
道中 隆 (委員) |
宮本 みち子 (委員) |
山田 篤裕 (委員) |
○議事
○駒村部会長 こんにちは。それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第19回社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について、事務局より御報告をお願いいたします。
○大西保護課長 恐れ入ります。本日の委員の出欠状況でございますけれども、大竹委員から御欠席の御連絡をいただいております。
あと、栃本委員と園田委員は御出席の御予定ですが、ちょっと遅れておられるようでございます。
また、事務局側におきまして7月に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
鈴木社会・援護局長でございます。
○鈴木社会・援護局長 よろしくお願いいたします。
○大西保護課長 谷内大臣官房審議官でございます。
○谷内大臣官房審議官 よろしくお願いします。
○大西保護課長 今、席を外しておりますけれども、総務課長が西辻となっております。
以上でございます。
それでは、部会長、議事進行をよろしくお願いいたします。
○駒村部会長 では、ここでカメラは御退出をお願いできますでしょうか。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
前回の部会では、部会員のうち一部を構成員とする作業班を設置することを決め、作業班において住宅・土地統計調査の特別集計などの具体的な作業や技術的な検討を行うこととされました。これまで作業班を6回開催し、住宅・土地統計調査の特別集計や生活保護受給世帯の居住実態調査の調査結果の整理などをしておりますので、事務局から作業班における作業等について報告していただき、それを踏まえて議論したいと思います。
それでは、まず事務局より資料1について御報告をお願いいたします。
○井上保護課長補佐 それでは、資料1のほうをごらんいただきたいと思います。第18回の部会で設置されることになりました検討作業班におきまして、住宅扶助の検証手法などについて作業を進めていただきましたので、その作業報告といいますか、作業班ではこういう形で作業をしてみましたというのを資料1にまとめてございますので、事務局のほうから資料の説明をさせていただきたいと思います。
2ページに目次がございます。作業班の設置についてのことから始まって、実際の作業の内容とか、この中には住宅・土地統計調査を使用した一般世帯と住宅扶助特別基準額(上限額)との比較の資料とか、あるいは今年8月に実施しました生活保護世帯の居住実態調査について、速報暫定版ですけれども、集計結果のほうが盛り込まれております。
それでは、まず3ページのほうをごらんいただきたいと思います。こちらは検討作業班の設置要綱のようなものでございまして、設置の趣旨は、この部会における検討事項について、技術的な検討とか具体的な作業を行うというものでございます。
班員は右側にございますとおりで、班長は駒村先生、副班長は岩田先生、合計6名で構成しております。このほか、必要に応じて有識者等の参集も求めることができるとしております。
続いて、4ページでございます。検討作業班は、1ポツ目のとおり、7月から10月にかけて6回開催してきております。検討作業班では、5月の部会での住宅扶助基準に関する論点なり検証手法、そちらについての議論を踏まえまして、平成20年住宅・土地統計調査とか、生活保護世帯の居住実態調査の集計などの作業を行って、議論を行ってまいりました。
部会での主な論点に対しまして、検討作業班で行った主な作業については以下の表のとおりでございます。
左側に5月の部会での論点がございますけれども、最初の囲みです。住宅扶助特別基準(上限額)は、「健康で文化的な最低限度の住生活の確保の観点及び低所得層の世帯における住宅水準との均衡の観点からどの程度を妥当なものとすべきか。
あるいは特別基準の範囲内で床面積とか築年数などの住宅の質に応じて基準額を設定することについてどう考えるかというのがございます。
これらの論点に対しては、右側ですけれども、住宅・土地統計調査を用いて最低居住面積水準を満たす住宅の家賃水準と特別基準額の比較、あるいは家賃月額を物件の属性などから関数として推定するための作業を行っております。
左側に戻りまして、2つ目の囲みです。生活保護世帯において、最低居住面積水準を満たしている世帯割合はどの程度あるのか。生活保護世帯の家賃額というのは、近隣同種の一般世帯の家賃額と比べて高く設定されている場合があるのではないかというのがございます。
これらの論点に対しましては、また右に行っていただいて、生活保護世帯の居住実態調査を用いて、こちらの部会で議論をしていただくための材料となるデータの整備とか集計を行いました。
右側にございますこれらの作業の内容につきましては、具体的には5ページ以降に載せておりますので、5ページをごらんいただきたいと思います。
最低居住面積水準を満たす住宅の家賃水準と特別基準の比較についてでございます。ここでの論点は、上の1ポツ目にございますけれども、5月の部会で提示しました論点の書きぶりを少し修正しておりますが、特別基準額は、健康で文化的な最低限度の住生活を確保することができる水準である必要があって、その上で、市場家賃との相対的な関係から妥当な水準となっているか検討する必要があるということでございまして、検討作業班では、そういった観点から特別基準額を検証するための具体的な方法について検討を行いました。
先ほどから出てきており、今回御議論いただいています「住宅扶助特別基準(上限額)」といいますのは、※のところに書いてございますが、一律に支給する額というのではなくて、生活保護世帯が実際に支払っている家賃額に対して、生活保護費の住宅扶助として支給する額の上限額というものでございます。
2つ目です。具体的な作業として、今の特別基準額が、民営借家またはUR賃貸住宅であって、住生活基本計画に定める最低居住面積水準と、専用台所とか水洗トイレ、浴室、洗面所といった4つの設備条件を満たす住宅の家賃額のどの程度までをカバーする水準となっているのか、そちらの確認を行いました。ここで比較対照を民営借家とURに絞っているのは、市場で家賃額が決定される住宅ということからでございます。
真ん中に表がございますけれども、こちらは単身世帯が住んでいる民営借家またはUR賃貸住宅であって、最低居住面積水準と設備条件を満たす住宅のうち、家賃額が特別基準額以下の世帯の割合はどれくらいあるかというのを見てみたものです。これを見ますと、右の表の一番下に合計欄がございますが、全国平均では、今の特別基準額は民営借家、UR賃貸住宅の家賃額を低いほうから13.1%カバーする水準となっているというデータになっております。
一番下の左の表は、家賃額が特別基準額以下の住宅の割合別の都道府県数を見てみたものです。
右の表は、借家の種別の単身世帯の平均家賃額でございます。
続いて、6ページでございます。こちらでは1級地におけます単身世帯が住んでいる民営借家またはUR賃貸住宅であって、最低居住面積水準と設備水準を満たす住宅の家賃額のパーセンタイル値と特別基準額との比較を行ってみたものでございます。パーセンタイル値は、5%から25%までの5%の刻みで見てみました。
前ページで特別基準額が民営借家とURの家賃額の13.1%をカバーしていたということで、そのパーセントを参考にして、その周辺のパーセントで区切った場合、特別基準額と民営借家などの家賃額はどうなるのかというのを見てみたものでございます。
例えば(B)欄の5パーセントタイル値というのは、家賃額を低いほうから5%までカバーする額でありまして、北海道の例で見ますと、その家賃額は2万8,300円で、左の(A)の特別基準額は2万9,000円ですので、右のほうにあります(B)-(A)はマイナス700円となりまして、面積水準を満たす家賃額の5%までをカバーする家賃額との比較で言うと、特別基準額のほうが上回るということになります。赤い棒グラフがそれをあらわしております。
逆に、下から25%までカバーする家賃額はF欄の3万5,000円でございまして、右の(F)-(A)ではプラス6,000円となって、特別基準額のほうが下回るということになります。
今回作業班で行ったこの比較の方法が特別基準額を検証する方法として適切かどうか、後ほどこの部会の場で御議論をいただければと思います。
右下に記載していますけれども、今回用いた住宅・土地統計調査の調査世帯数というのは、民営借家ですと、一番少ない鳥取から一番多い東京までばらつきが多いということで、民営借家でさらに都道府県別とか級地別に見ようとすると、特に3級地-2ではサンプル数が極端に少なくなるということがございまして、都道府県別の級地区分は3区分として集計をしております。
世帯人員別も、単身世帯ですと52%ですけれども、4人世帯ですと9%となっておりまして、都道府県別、級地別に一定のサンプル数が確保できます単身世帯を中心に集計のほうを行っております。
では、2人以上世帯についてはどうするかといいますと、この後、出てきますけれども、例えば1つの手法として家賃関数を活用することも考えられるのではないかと思っております。
6ページは都道府県別の1級地の比較ですけれども、次のページ以降10ページまでは都道府県別2級地、3級地、政令市、中核市と同様の比較表をつけております。
例えば8ページの3級地などを見ますと、比べるパーセンタイル値のところによるのですが、民営借家などの家賃が特別基準額を上回るところが1、2級地よりは多目という状況になっているということでございます。
ちょっと飛ばしまして、11ページをごらんいただきたいのですけれども、先ほどの5ページは単身世帯の人が住む民営借家とURのうちの面積水準、設備水準を満たして、かつ特別基準額以下の家賃額の世帯の割合の表でございましたが、こちらのページは参考として公営住宅と給与住宅も含めた借家全体を、面積水準、設備水準という条件をつけずに見てみた場合の特別基準額以下の家賃額のカバー率、世帯の割合を示した表でございます。
表の右下にございますけれども、全国平均で借家全体の家賃額を低いほうから33.5%カバーする水準となっております。
参考として右下に公営住宅に関するデータを載せております。公営住宅の入居収入基準というのは、政令で規定する基準の収入分位の25%、そちらを参酌して条例で設定するということになっております。以前は第1種と第2種の2種類がございまして、住宅扶助のほうが目安としておりました低所得者向けの第2種公営住宅の収入分位というのは16%であったということでございます。
応募倍率は全国で8.9倍、東京では29.8倍ということで、公営住宅に住む生活保護世帯の数は全部で24.8万世帯になっております。6ページにございましたパーセンタイル値を考えていく際にはこちらも参考にしていただければと思っております。
続いて、12ページは家賃関数の推定についてでございます。床面積などの物件の属性と家賃額との関係を調べるために、一番上の囲みの作業内容にございますように、平成20年の住宅・土地統計調査の民間借家データを使って、家賃額が物件の属性によってどのようにあらわされるかという関数による推定の作業を行いました。
その中では、床面積とか建築時期などの家賃を説明する変数とか、推定式の当てはまりのよさを示す決定係数の向上などについて検討を行いました。
検討作業班での議論は2つ目の囲みにございますけれども、家賃相場は物件の属性で決定されるため、世帯人員は説明変数に含めないほうがよいとか、不詳データや外れ値を除外したほうがより精緻な推定ができること、そもそも家賃関数を検証にどのように活用していくかなどの議論を行いながら、3つ目の囲みに記載しましたような作業を行いました。
具体的には説明変数間の相関関係の確認とか、不詳データの除外によります決定係数の向上の確認、建築時期とか地域ダミー変数の区分の仕方によります精度の向上に向けた作業などを試みました。
今後の作業(案)としましては、一番下にございますけれども、世帯人員別の特別基準額について、単身世帯を1とした場合の2人以上世帯の割合を家賃関数を使って検証するとか、生活保護世帯の居住実態調査のデータを使いまして家賃関数の推定と一般世帯と生活保護世帯の家賃額の違いの検証について行っていってはどうかとしております。
続いて、13ページからは生活保護世帯の居住実態調査の集計結果を載せております。まだ全ての自治体のデータを盛り込めていなかったり、データの一部を確認中だったりしておりますので、あくまで暫定版としてお示しをしております。ですので、今後数字が変わるということに御留意いただきたいと思います。
14ページでございます。調査概要資料でございます。8月に実施して、生活保護世帯のおおむね12分の1、10万世帯以上を抽出して調査をしております。こちらの内容は前回の部会でお示しした調査概要とほぼ同じですので、説明のほうは省略させていただきたいと思います。
15ページからが暫定の集計結果になります。この調査の結果というのは、通常業務で忙しい中、全国の福祉事務所におけるケースワーカーの方に調査に御協力いただいてまとめることができましたものでございまして、まずは現場の方々に感謝を申し上げたいと思います。
全体としては、調査対象は今回暫定集計している100自治体でも約10万世帯となっております。このページの全国で見ますと、右の表の一番下の政令市、中核市を含む全国計で住宅扶助の認定ありの割合というのは86%、認定なしの持ち家は5%などとなっております。秋田県では持ち家率が38%あるということなど、地域によってばらつきがあるということでございます。
16ページから17ページに政令市、中核市別の住宅扶助の認定の有無について載せております。政令市、中核市も9割前後の認定になっております。
18から20ページまでは都道府県、政令市、中核市別の住宅の所有関係などについて、左の表に調査世帯数、右の表に割合を載せております。
18ページの都道府県別の表の右の一番下は全国計です。多いのは民営借家65%、公営住宅18%となっております。
19ページから20ページは政令市、中核市の割合とかを載せております。
21ページは、社会福祉各法に位置付けのない施設または位置付けのある施設に居住する世帯数を集計したものでございます。
左の位置付けのない施設としましては、サービス付き高齢者住宅に入居されている世帯が多い。
右の位置付けのある施設としては、有料老人ホームと認知症グループホームなどへの入居が多くなっているという状況でございます。
22ページは現在の住居への入居と福祉事務所との関係を見たものでございます。約半数は保護開始前から継続して今の住居に入っている。保護開始後、同じ管内で転居した世帯というのは25%になっている。
網かけは、基本的に公営住宅への入居のための転居を除いて、管外あるいは管内からの転居が生じた世帯ということでございます。転居してきたときの状況につきましては、次の23ページに載せておりますので、そちらをごらんいただきたいと思います。
23ページは、転居時の状況・理由です。真ん中下の福祉事務所からの指導で現在支払っている家賃よりも低額な家賃の住居に転居したというのが一番多く、20%です。
次いで、上のほうの家主が相当の理由をもって立ち退きを要求なり更新拒否等をしたことによるというのが16%。ここにはもしかしたら家賃滞納によって立ち退きを求められたケースもあるのかもしれないということでございます。
下のほうにございますけれども、病気療養とか身体に障害があるため、設備構造が適さないと認められて転居したというのも多くなってございます。
続いて、24ページから25ページのほうでは、都道府県、政令市、中核市別の民営借家の単身世帯の床面積とか住宅設備、建築時期などについて載せております。
24ページの都道府県別の表の一番下に全国計がございますが、左のほうの欄、床面積で言いますと、平均は26平米。単身の最低居住面積水準は25平米以上ですけれども、この水準を満たす割合というのが全国的には46%となっております。一般世帯の単身世帯ですと、この水準を満たす割合というのはたしか76%くらいだったと思いますので、それよりは低い状況ということでございます。
建築時期は古目のところも結構多い。
右の高齢者などのための設備は、設置なしというのが8割以上を占めているということでございます。
25ページには政令市、中核市分を載せております。
続いて、26ページは、生活保護世帯の住居の床面積の状況を世帯人数とか世帯類型、住居の所有関係別に見てみたものでございます。
左の表に全体を載せております。
民営借家で言いますと、単身26平米と比較して、2人世帯は38平米と差が大きいのですが、2人以上では人数がふえても余り大きな差はない。
公営借家は民営借家と比べると広目になっている。
無料低額宿泊所、簡易宿所は、それぞれ9平米とか6平米となっている。
世帯類型別に見ますと、同じ人数では床面積にほとんど差はない。障害者世帯でも余り広くはなっていないという状況でございます。
続いて、27ページは、生活保護世帯の住居の居住室数を世帯人数別に見るとか住宅の建て方、構造などの状況を見てみたものでございます。
左の表にありますけれども、民営借家の場合、居住室数を人数別で見てみますと、単身で平均2部屋、2人世帯で約3室、3人以上の世帯で3室以上という状況になっております。
右のほうに建て方が載っていますが、共同住宅が7割くらいとか、構造で言うと、木造、非木造が半々であるといったようなデータが載せてございます。
28ページから32ページまでは住宅扶助特別基準額(上限)に対する生活保護世帯の住居の家賃額の割合をあらわした表でございます。1を超えていると特別基準額以上の家賃を支払っているということを示しております。
28ページの上の表でございますけれども、0.95から1.05といったあたりに多く分布している状況でございます。
一番右には確実に1を超えている1.05以上の欄を再掲で載せております。
真ん中の世帯類型別では大きな差はなくて、一番下の表は車椅子を利用している世帯員の有無別の表でございますが、車椅子利用者ありでも1.05以上の割合というのは14%程度となっております。
例えば単身世帯であっても、車椅子を利用している方などは広目のところが必要な場合には特別基準額の1.3倍額まで認めるということを行っておりますが、このデータを見ますと、1.3倍額の適用というのはそれほど多くはないと考えられます。
29ページでございます。無料低額宿泊所では面積は小さ目でございますが、上限である特別基準額が支給されているというケースが多目になっている。簡易宿所などでも1.3倍額の適用がされているケースが多目になっている。
社会福祉各法に位置付けのない施設では特別基準額が支給されている割合が高いというような状況になっております。
30ページから32ページは、今のことを都道府県、政令市、中核市別に載せております。
30ページですと、都道府県別で1.05以上の割合というのが3割を超えているのが青森とか宮城とか、そういったところになっていて、特別基準額がその地域の家賃実態と比べて相対的に低目になっている可能性がもしかしたらあるのではないかということでございます。
31ページの政令市別とか32ページの中核市別のほうを見ますと、右の欄の1.05倍以上の割合が2割を超えている市というのは少な目になっております。
33ページでございます。民営借家の共益費なり管理費の状況を見たものでございまして、共益費が0円というのが45%。支払っている世帯で見ますと、4,000円くらいまでのところに大方はおさまっているという状況でございます。
34ページは、生活保護世帯の住居の敷金とか契約更新料などについて見たものでございます。
上の表は過去5年以内に敷金等の支給があったかどうかといった表でございまして、5年以上前から今のところに入居している方というのがそもそも65%くらいいまして、その方は転居していないので支給なしと。5年以内に今の住居へ入った方35%くらいのうち支給ありという世帯は18%くらいとなっております。
下の表は契約更新料でございまして、支給ありが17%くらいとなっております。
続いて、35ページは、敷金等を何か月分支払うかという分布を政令市、中核市を含む都道府県別に見たものでございます。全国で見ますと、3.5か月までの割合が約半数を占めております。敷金等につきましては、地域によって商慣習が異なると思われますけれども、比較的関西方面が4か月分とか5か月分とかの割合が多くなっているという状況かと思います。
続いて、36ページは、契約更新料等を何か月分支払うかという分布を同じく都道府県別に見たものでございます。全国で見ますと、2か月までの割合というのが大部分を占めているという状況でございます。
37ページは、生活保護開始後に家賃額に変動があったかどうかを調べたものでございまして、左の表は、過去5年以内で家賃額に変動があった世帯というのは1割くらいということでございます。
右の表は家賃額の変動の分布を見てみたものでございまして、プラスにもマイナスにも5,000円程度の変動幅というのが多い状況になっております。
38ページは、近隣同種の住宅の家賃よりも明らかに高額な家賃が設定されていると思われるか、思われないかというのをまとめたものでございます。
左側の表は疑義の有無の表でございまして、ケースワーカーの方が疑義があると思われる世帯は1%未満という状況でございます。
疑義がある場合の特別な理由としては何があるのかというのが右の表で、なかなか難しい設問なので、「把握していない」というのが多いのですけれども、回答としては、「共益費・管理費が家賃額に上乗せされている」といったことが多くなっております。
一番多い「その他」については、回答いただいたものをそのまま挙げますと、簡易宿所あるいは無料低額宿泊所だからというのが多目の回答で、その次に多かったのが広さに対して高額であるといった回答が多目でございました。
39ページは、住居の提供以外のサービス提供の状況についてまとめたものでございます。住居の提供以外のサービス提供ありの割合が多くなっておりますのは、社会福祉各法に位置付けのない施設73%。無料低額宿泊所65%といったような状況になっております。
サービス提供内容のほうを見ますと、食事の提供が9割以上となっております。社会福祉各法に位置付けのある施設またはない施設では、介護とか家事援助、生活支援、健康管理といったようなサービス提供も割合が高くなっております。
費用の明細の有無の状況を見ますと、明細ありが6割以上。施設に支払う例えば食費の額の平均ですと、3万円台というのが多いという状況になっております。
説明のほうは以上でございます。
○駒村部会長 どうもありがとうございました。
13ページ以降の後半の部分は、全国の福祉事務所や関係各局に御負担をかけて調べていただいたもので、改めてお礼を申し上げたいと思います。
事務局からの説明について、作業班の皆様から何か補足するようなことはありますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。
作業班の構成を考えると、どちらかというと今日は左側の3先生が初めてごらんになるのではないかなと思いますが、作業内容は、4ページに書いてあるように住宅・土地統計調査を特別集計して、5ページにあるように健康で文化的な最低限度の住生活を確保する水準の上で、市場家賃との相対的な関係を確認したと。下から何%ぐらいまでを住宅扶助の上限がカバーしているのかという作業を行ったと。
特に住宅・土地統計調査の個票データを使って、何の影響を受けて家賃の金額が決まっているかというのを分析した関数系、推計作業を行っているということ。
最後は実態調査。これは初めて行われたものだと思いますけれども、今度生活保護世帯のほうの住宅の状況を把握したというものです。
班員の方から特段補足がなければ進みます。いいですか。では、山田委員、お願いします。
○山田委員 まずは事務局並びにケースワーカーの皆様の多大な御尽力によってこのような包括的な調査が初めて実施できたことに対して、私も感謝しております。大変すばらしいことだと考えております。
どう読むかということについて幾つか補足すると、例えば5ページです。事務局のほうからも※印のところを再度確認していただきましたけれども、いろいろと一般に誤解があるようですが、住宅扶助特別基準額(上限額)というのは、本当に「上限額」であるということです。ですから、生活保護受給者が皆、一律にこの額を受給しているわけではなくて、この範囲内で受給しているということがポイントとなります。それとの相対で家賃額が特別基準額以下かどうかというのを見ているということです。
あと、この膨大な作業、本当に大変だったと思うのですけれども、ポイントは住宅・土地統計調査と生活保護受給者の実態調査の2つが出ているわけですが、両方ともストックのデータです。今、実際に借りている人のデータです。ですから、全国平均で13%をカバーするといっても、まずどこまでカバーすれば適切なのかというのを考える必要があるということです。
特に新規に住宅を借りようとする場合には、実際の現在のマーケットでどれほど最低居住面積水準に見合う物件が出てくるのかということも、ここにはまだ出ていませんけれども、重要な論点だということはちょっと補足させていただきたいと思います。
どこまでをカバーすべきかということについては、11ページに紹介していただいたと思うのですが、1つのベンチマークとしては、公営住宅の入居収入基準で見るということです。所得に応じて家賃が決まっているということであるならば、例えば収入分位50%上限として政令で規定する基準(収入分位25%)をどういうふうに読みかえていくかということです。家賃分布のどこまでをカバーするか。所得と家賃が比例しているのであれば、25%とか50%とかいう基準が出てくるかもしれない。ここの部分をどういうふうに考えるのかというのを、また考えなくてはいけないと思います。
とりあえず補足することについては以上です。
○駒村部会長 ほかの班員のほうから何かありますか。では、岩田先生、お願いします。
○岩田部会長代理 今回福祉事務所に調査していただきまして、今までわからなかったようなことが随分わかったわけですけれども、特に敷金とか更新料を払っていない割合が4割以上、半分近い割合でありまして、これは中に住宅ではない宿泊所等々も含まれているということももちろんあると思うのです。それでも民営の賃貸が一番多いので、そこで更新料、敷金がないということは二通りの意味が考えられるのかなと思うのです。
多分住宅・土地統計調査のほうは、普通敷金、更新料などがあることを前提に、月々払う家賃だけで見ているだろうと。そうすると、比較できないかもしれないという問題です。
もう一つは、同じことではありますけれども、生活保護を受けている人たちが借りている住宅は、半分ぐらいは非常に特殊な市場を形成していて、家賃等の支払いの仕方が違うかもしれない。そうすると、単純な比較ができるかどうかという問題が出てくると思うのです。
そのこととかかわって、これは生活保護も住宅・土地統計調査も同じですが、級地ではなくて、都道府県別の差異を見るときに、賃貸住宅を借りるときの習慣といいますか、例えば西日本と東日本で違うとか、そういうことも多分あって、都道府県別にすごく違う、あるいはそもそも賃貸市場が非常に小さいような地域がある可能性もあるだろうと思うのです。ですから、単純にパーセンタイルですごく下がって、ここはそれ以下が多過ぎるから圧縮しようかという話になるかどうかというのは、そういうことも考慮に入れないと危ないかなという気がします。
○駒村部会長 では、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 私も調査について1つ、事務局の方は本当に膨大な量をさーっと説明していただいたので、皆様の御注意を引きたいなと思うのが22ページと23ページのところで、現在の生活保護の方々がどのような理由で今の住居に住んでいるのかというところを調べたことです。
私は、表4は非常に重要だと思っておりまして、48%の方々は保護開始前から継続して現在の住居に入居しているといったことで、保護が始まったことによっていいところに移ったとか、そういうことではなく、そもそも住んでいる地域でそもそも暮らしていらっしゃったお宅で保護になっているといったことは忘れてはいけないことだと思います。
保護開始後に現在の住居に入居したというのは25%にすぎないということです。
次のページですけれども、現在の住居に転居した状況というものでも、一番多いのが実施機関の指導に基づいて低額な住居に転居したということ、または立ち退きに遭っていたし方なく動いたといったようなことですので、ちまたには生活保護にかかることによっていいところに住めるようになるのではないかというような印象を持っている方もいらっしゃるようですが、少なくとも転居した理由ということを見ると、そういうことでは決してないといったことが読み取れるのではないかなと思います。
○駒村部会長 ありがとうございます。
先ほど岩田先生の特殊な市場形成の話と今の前から住んでいたかどうかというのをあわせて考えて今後分析をして、家賃形成に与えている影響を抽出する際にはちょっと留意したほうがいいような感じもしました。
では、岡部先生、お願いいたします。
○岡部委員 まずは事務局、ケースワーカーの方々の御尽力によって、生活保護受給世帯がどのような住まいの実態にあるかについて初めて調査されましたことは非常に意義のあること、御礼申し上げます。
本調査について、本日、いろいろと御意見が出されています。全体的にどの程度の質の住宅に住んでいるのかがつまびらかになったこと、もう一つは、最低居住面積水準を満たしていない人たちがどれくらいいらっしゃるのかがわかりました。
その上で、貧困ビジネスと言われているような、生活保護ビジネスでやっている面積が狭小で高家賃が一部はっきりとデータで出ております。 それらのデータをどのように解釈、今後の方策に結びつけたらよいか今後検討していただければならないと考えております。
感想を述べさせて頂きました。
○駒村部会長 わかりました。
ほかにいかがでしょうか。では、道中委員のほうからお願いいたします。班員以外の方からもコメントという形で。
○道中委員 お疲れさまでした。初めてこんな詳細な調査を実施されたということは非常に意義深いことだと思います。
大きなベクトルが2つあったと思います。それは最低生活にふさわしい住居であるかどうかというような基準の問題、そういうアプローチと、もう一つは、生活の質がどうかというような視点のアプローチがあったと思います。
例えば5ページのところを見ますと、都道府県別でかなり大きな較差が実際あるのです。全国で言えば13.1%という形で家賃額が特別基準額以下の部分です。そんなところを見ますれば、これはちょっと幅があり過ぎるなということで、もうちょっと詳細な部分があると思いますけれども、要するに、生活の質がおとしめられることのないよう、そういった形でしっかりとその部分を詰めていただきたいということがあります。
阿部先生もおっしゃったように、これまでの住居がずっと継続されているということですので、そこらあたりも十分意を配した今後の見方をしていきたい、お願いしたいと考えます。
以上です。
○駒村部会長 ほかの委員から。では、宮本委員、お願いします。
○宮本委員 私も今日初めて拝見して、とても重要な調査だというふうに思った次第です。
11ページの参考のところに公営住宅とその他ということで書いてあるのですけれども、今回の調査で公営住宅に入っている人は大変倍率が高く、東京都などは30倍近くの高い倍率だということなのですが、全体として調査をしてみて、公営住宅に入った人とそうでない人とで質の問題、家賃の問題、そのあたりのところはどのようなことがわかったのか、そこらを伺えればと思うのですが。
○駒村部会長 公営住宅を抽出しての分析というのはやっていません。今回は、前半部分で見たように、どちらかというと民営住宅をより重視して、民営住宅が圧倒的に多いわけですから、あくまで住宅扶助の基準を見るためには民営を重視しつつ、しかし、委員の中から公営も使われているだろうということで11ページができていますので、民営の家賃に対して、住宅扶助がどのぐらいあるのかというのが中心的な課題になっています。公営のほうは特段抽出して分析しているわけではないですね。
お願いいたします。
○園田委員 今の御質問についてですが、これは住宅・土地統計調査を分析すると出てくるのですが、宮本先生の御指摘の点は、公営住宅と民間賃貸住宅は、家賃と住宅の質というのは完全に逆転していまして、民間賃貸住宅のほうは質が悪いのに相対的に家賃が高くて、公営住宅は相対的に質が高いのに家賃が低いということがあります。
今回は事務局は精力的に作業をされていると思うのですけれども、後半のほうの資料の生活保護世帯のところで住宅種類別に居住面積などが出てきていますが、明らかに民間賃貸住宅の方の平均面積が低くて、公営住宅の方が平均面積は高いという結果が出てきています。
○宮本委員 ありがとうございます。
○駒村部会長 よろしいでしょうか。
○宮本委員 はい。
○駒村部会長 では、園田先生、お願いします。
○園田委員 私も作業班に参加させていただいて、今回すごくいろんな経験をさせていただいて勉強になると同時に、すごい作業量で大変だったと思います。まず5ページのところで、今回、私自身は住宅扶助の特別基準の上限額が「健康で文化的な最低限度の住生活を確保することができる水準かどうか」ということが基軸ではないかと思っているのです。
栃本先生にちょっとお尋ねしたいのは、以前の部会で先生はもう一つ、「低所得者層の世帯における住宅水準との均衡の観点から検証する」という御指摘がありました。そうすると、すごく極端に考えると、低所得の人は大体こういう水準だから、そこと相対的に見て合わせるとか合わせないとか、そういう議論の可能性もあると思うのですけれども、今日は先生にその辺のお話を伺いたいというのが一つあります。
それと関連して、本日出てきた資料で私も初めて気がついたのですが、今の話とも関係するのですが、27ページの表8-5「居住室、建て方、構造等の状況」なのですが、接道している道路の幅員が、ちょっと驚いたのですが、4メートル以下が40%を占めているのです。建築基準法で日本の建築は4メートル道路に接道していないところには建築してはいけないということがそもそもでありまして、幅員4メートル以下の接道しかしていないというのは、2項道路ということで、例えば木造が密集しているところで既存不適格の状態のところに建っている住宅が40%ということです。これは、防災上の問題として非常に大きな問題を抱えているところに住んでいらっしゃるという可能性があるのです。その辺が先ほどの健康で文化的な最低限度と言ったときに、生命にかかわるところでここの数字の4割というのが、今日初めて気がついたのですけれども、ちょっと衝撃的だったというのがあります。
もう一点は、先ほど宮本先生から御指摘のあった公営住宅と民間賃貸住宅との関係というのが今回よくわかります。11ページのところにありますけれども、公営住宅に入れている生活保護世帯というのは、公営住宅全体217万戸に対して24.8万戸ですから、公営住宅の約9分の1世帯が生活保護世帯で、それ以外の公営住宅は生活保護以外の方が住んでいらっしゃるということですね。そうすると、日本の生活保護の方はほとんど民間賃貸住宅に依存してというか、そこに居住の場を求めているということで、その数が多分100万世帯ぐらいだと思うのです。日本の民間賃貸住宅全体の約5%を占めていて、そういう意味で言うと、今回議論している住宅扶助の基準というのは、実は民間の賃貸住宅のマーケットレントとものすごく密接に関係しているというあたりが今回の調査でよくわかったのではないかと思います。その辺がこれから議論していくときの論点になるのではないかと思います。
以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
栃本委員から手が挙がったと思うので、お願いいたします。
○栃本委員 手を挙げる前に、園田先生から答えるようにというのがあったので。
1つは、生活保護受給世帯の居住実態に関する調査の部分です。一番最後のところで触れられた例えば道路の幅について、生活保護の被保護者の方がそういう狭隘なところに住んでいらっしゃると言うことなのだけれども、このデータは、あくまで生活保護の被保護者の方の住んでいるところでということなので、しからば、まさに今おっしゃった民間借家とか、生活保護の被保護者でなくて、一般の世帯と被保護世帯との比較というのも必要だと思うのです。その比較というのは今回出ていないわけだから、それは事務局のほうで出していただくことがとても重要だと思いますし、一番冒頭のお尋ねの部分、どうなのですかというご質問についてのお答えにもなると思うのです。
もう一つ、多分議事録の中に出てきたと思うのですが、公営住宅とURを当初入れないという議論が審議会の最初のころ行われていたと思うのだけれども、私はむしろ入れるべきだということを主張して、入ったと思うのです。そういう意味で、今回それを加えた形で調査したというのは、非常にいい形の調査になったと思いますし、また、公営住宅の中で1種と2種で言うと2種のほうだったのだけれども、今は1種、2種がないからということで、形としては25%、そういう形になっているのだけれども、これはある意味ではかなり高い数字でもあるから、そこら辺をどういうふうに見てこれから議論していくかということで、複数のいろんな視点から見られるものになっていますので、これはとてもよかったと思います。
先ほど申し上げた生活保護世帯の居住実態調査結果について、一般世帯との比較をとにかくお願いしたいということ。
もう一つは、先ほど阿部先生のほうから一番最後のところ、ケースワーカーの方々が一生懸命取り組んでくださった貴重なデータの部分の御指摘がありまして、1つは、家賃相場というか、周辺の住宅の家賃と比べて明らかに高額な家賃というのが設定されているかどうか。これは実際に額を調べてみるとかそういうことは難しいのだけれども、ある意味では主観的というとあれなのだけれども、比較勘案して現場からみると、現場のワーカーの9割の方々は疑義がないということをおっしゃっているということは重要なことだと思います。
疑義ありという部分と判断ができないという部分で、疑義ありというのも、「特別な理由あり」と書いてある項目というのは、こういうことであろうということで想定されるものについて書いてあるので、このこと自身も資料としては有益だと思います。
少なくとも家賃が相当高く設定されているのではないかということについては、現場の感覚で言うと、9割は妥当ということだと思うのです。あとの1割はだめだという意味ではなくて、あとはわからないということです。
もう一つ、阿部先生からの御指摘の部分で、22ページと23ページです。23ページの部分は、まさにケースワーカーがどのような形で住まいの保障というものに取り組んでいるかということのデータでもあるわけですね。こういう形で対応しているというのがつまびらかになったということなのです。
先ほど阿部先生のほうから、保護開始前から継続して現在の住居に入居しているのが引き続き48%いるということについて、否定的とは言わないのだけれども、それでいいのかなというお話ではなかったですか。そうではないのですね。
○阿部委員 はい。
○栃本委員 そうではないと。48%というのは、引き続き従来のところに住めていたということで、これは評価すべき部分だと思うのです。生活の継続性というのは極めて重要なので。ただ、その中でも家賃が余りにも不適切であるとか、病気がちであるとか、その他の事情から、むしろケースワーカーが移動したほうがいいのではないかというアドバイスで移動している場合というのが下の表で示されているわけですから、これはこれで重要なデータだと思います。
もう一つは、これはなかなか難しいのかもしれませんけれども、生活保護の被保護者になる前と後で住まいの環境というものが改善したかどうか。よくなったのか、そうではないのかというものを何らかの形で示せるような。委員長が笑われていますが、これはなかなか難しいことは難しいのだけれども、これは無理難題ではあるのだけれども、やはり重要なことだと思うのです。いかがでしょうか?
それはなぜかというと、先ほど園田先生がお尋ねの部分でもあるのだけれども、被保護世帯でない低所得で生活されている方の住環境そのものが、国際的な基準であるとか、住宅に関する基本的なガイドラインとか、そういうものから見ると、まだまだ満たしていない部分が民間借家、民間のアパートではそういうのが多いということなのだけれども、ならば、それを一挙にということになると、先ほどの、そもそも公営住宅で対応すべきかどうかというのは価値観ということであって、それを民間のマーケットのほうが担われているというのは、ある種の政策判断だったと思うけれども、社会政策の観点からいったら、本当にそれがいいのかどうかということは根本問題としてあるという指摘は重要だと思うのです。
ただ、漸進的にやらなければいけないから、その場合、どうするかというと、やはり低所得者の方々の住宅の方向というのは住宅政策として上げていくと同時に、被保護世帯というものが、被保護者になる前よりもなった後、そしてその後、住環境、設備・備品も含めて上がっているかどうかということが相対的な部分での比較では重要になると思うのです。そういう意味では、ちょっと難しいかもしれないけれども、調べていただきたいということです。
あとは、先ほどの指摘、11ページについては、民間借家とURと公営でもって家賃額の特別基準額以下が33.5%という形になっているということと、6ページ目のところで、住宅設備の条件を満たす住宅で5パーセンタイルだとこのようなことだけれども、先ほど事務局の説明がありましたように、10パーセンタイルのCの部分と15パーセンタイルの部分、そこら辺を見てみると、大体ある種の水準の中にきちっとおさまっているというふうな判断ができると思うし、一般との比較をこれから出していただいた上で、この部分についてはもう一度議論するということが重要だと思いました。
以上です。
○駒村部会長 幾つかオーダーはあったようですが、調査が終わってしまっていますので、よくなっているかどうかは集めた情報の中から抽出できるかどうかということだと思います。
27ページの道幅の話ですけれども、一般世帯もどうなっているかというのは多分データがあると思います。
ただ、一般低所得世帯との比較でなくて、一般世帯との比較でよろしいわけですので、一般低所得世帯が道幅の狭いところに住んでいるから、こちらも狭くするというわけにはいかないと思いますので、一般世帯との比較だということだと思いますので、データのほうを用意していただければと思います。
岩田先生、お願いできますか。
○岩田部会長代理 栃本先生にお伺いしたいのですけれども、一般世帯との比較をどうやってやるかということなのです。つまり、住宅という非常に特殊な財で、先ほどの不適合接道のようなところに木賃のアパートがまだいっぱいあって、生活保護の人も、そうでないぎりぎりの人も住んでいるところがあったときに、みんなが同じだから我慢しようねということなのか、それとも、国交省は目標値として上げて、閣議決定までしているわけですから、住宅は少なくとも今度のオリンピックまではちゃんとしよう、道路もちゃんとしようということであれば、全体の質を上げないといけないわけですね。
私たちができるのは、最低基準はクリアして、それから公営住宅については、先ほど園田先生もおっしゃったし、宮本先生からも御質問があったように、みんなが入れるわけではないですね。質がよくて安いけれども、みんなが入れるわけではない。特に単身世帯の場合は非常に難しい。そうすると、これは公営住宅を含んだものではない、5ページのほうの民借を中心にして、住宅扶助の一番高い額がどの辺におさまっているのかというような比較ぐらいしかできないと思うのです。比較をどういうふうにするかということ。全く比較をしないというわけでなくて、上限が一体どこの位置にあるかということを確かめる。これは上限ですから、安くていい住宅があればそこに入って、安い家賃分の住宅扶助になりますから、何の問題もないわけですね。
だから、問題は、上限が不十分であるために適切な住宅に入れないと。しかも、高齢世帯、傷病・障害世帯が多いわけですから、そういうことを考慮したときに、単純に一般との比較を生活扶助のようにやっていいのか、疑問です。
ここで住宅扶助をやるのは初めてですか。だから、これはよっぽどちゃんと考えないと、均衡とか比較というのは、そう軽々にはできない。つまり、みんなで押し下げる。それは今の例えば国交省が考えるような目標値とは逆の方向に行くと思います。ですから、生活保護がむしろ引っ張り上げていくぐらいのことが本当はあったらいいのですね。これが1つです。
反面で、現実は質は悪いのに高い家賃を住宅扶助特別基準でとっているところがあるということもあると思うのです。これは先ほど言ったように階層化されていて、生保用マーケットみたいなのがもしかしたらできているかもしれない。でも、それをどうやって正すかという難しい問題があるわけです。下げれば正せるという問題ではない。先生、どうやって比較するか教えてください。
○栃本委員 私は審議会の一員ですのでね。私が申し上げたのは、低いほうにならしなさいよということを申し上げたのではないのですね。生活保護世帯の居住実態調査というのはこういう形で出ましたよといった場合に、その数字だけ見て、これだけ大変だとかいうことだけだといけないから、それと均衡して生活扶助基準と同じような形で何か数値化してどうしてこうしてというのでなくて、生活保護世帯の住宅実態がこういうものであって、それに対して一般はこうですよと。そういうものがあってもいいのではないかということで申し上げているのです。そういう意味で、もう一つそういうデータがあったらいいので、事務局のほうにはそういうのもつくっていただきたいなというリクエストをしたということが1つです。
あとは、今回の調査と昔から先生がおっしゃっている部分ですけれども、生活保護の被保護世帯の住宅、賃貸のマーケットについては、ある種の固有というか、独特なものが形成されている。しかも、民間賃貸でお安いというか、比較的低廉で余り条件がよくないというか、余り十分な、リッチなものでないようなものについての生活保護の被保護者のシェアはかなり高いということから言って、かなり影響を与えているというのは園田先生からもお話があったわけです。
それぞれの先生方は、ケースワーカーの方とか厚生労働省の方に御苦労いただいたということを話されているように、今回初めてこういう調査が行われて、ケースワーカーとしてはこういう認識を持ったということで示されているわけですから、前から御指摘の二重市場というか、ある種のデュアルな市場というのが形成されているとしたら、それをそうでない形にする突破口というか、そういう形に今回の資料はなると思うのです。
決して一般の賃貸住宅の住居面積とか、エレベーターがあるとかないとか、そういうものと比較して、同じようにないのだから、ないでいいのですということを申し上げているのでなくて、まずは比較ということをしてみるべきではないかというふうに申し上げたつもりなのです。多分まだ答えになっていないのでしょうな。
○駒村部会長 ファクトを確認しましょうということですから、そこをどう使うかというのはまた別問題だと思いますので。今後の作業とか、今やってもらっている作業についての評価もいただきたいと思いますが、まだ足りない部分もあると思いますので、今までの作業においてはいかがでしょうか。
先ほど何パーセントタイルをカバーすればいいか、5がいいのか、25がいいのかというのはこれからの議論でございますので。現状は13程度になっているということです。それがいいか悪いかはまた別問題だと思います。
とにかくとりあえず何パーセントタイルのところを今、カバーしているのか。それが5でもあればいいのではないかというふうに考えてしまうのか、それとももう少し余裕がないと実際には見つかりませんよというよう考えるか。特に地方においてはマーケットが小さいので、あればいいというものでもないでしょうという話もあるかもしれない。
ですから、この辺の議論は、とりあえず5から25までやりましたけれども、30とか35とかという話がどうかということについても御意見をいただきたいと思います。
あるいは先ほどの二重市場の問題についても、生保の受給者の方が使っている家の機能と価格の間の関係というのがどういう構造になっているかを、家賃関数のようなものを推計する。生保を受給する際に、動いた人なのか、動いていない人なのかを分けて見たほうがいいのかどうなのかとか、いろいろ見方もあると思うのです。生保を受けてから、受給者に対しては特殊な家賃形成が行われているならば、それを正さなければいけないという問題も起きると思います。
議論をお願いしたいのは、まずこれまでの分析において、実はこれも追加してもらいたいという御意見があれば、いただきたいと思います。
集計結果について、もし現時点で感じることがありましたら、またこれもコメントいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。何かありますか。宮本先生、お願いします。
○宮本委員 例えば27ページとか、住宅の質の部分が何ページか続いているのですが、住宅の質でここに出ているのは、例えばトイレがあるかとか、浴室があるかとか、洗面所、破損していないかどうかとか、先ほどの道路の幅がどのくらいかというのが出ているのですけれども、ここから質が悪いためにどういうふうに問題かというのがなかなかリアルに出てこないわけです。
例えば先日、新宿区内の生活保護を受給している方の何人かにインタビューする機会があったのですが、そこで聞いたのは、毎年夏になると熱中症になるのが一番怖いというわけですね。毎年救急車で運ばれると。
この問題というのはこの数値の中にどう出てくるかということで、直接には出てこないのですけれども、先ほどの道路の幅員が2メートル未満とか、2~4メートル未満というあたりのところにはそういうことが含まれている可能性があると。だけど、それ以外のところでストレートにそのあたりのところを察することができないのですが、住宅の質の点で妥当であるかどうかという判断をするのにもう少し具体的な情報があればいいなと。でも、調査が終わっているわけなのであれなのですけれども。したがって、あとは想像するだけということになるのです。
住宅の質の問題と、例えば真夏になると熱中症にかかるというとき、熱中症にならないためにはクーラーを入れればいいのかと。つまり、住宅の問題と中の設備の問題、このあたりというのが関係しているわけですが、今回は住宅そのものなので、そのあたりのところの関係も考慮に入れて分析する必要があるのではないかという感じがするのです。
○駒村部会長 この辺については、住宅の機能をどこまで評価するかということなのですけれども、一応国交省のほうで、まずは健康で文化的な最低限度の住空間というのはこの程度のものだという目安があって、我々はとりあえずそこをイメージして議論を始めているわけですね。個別の機能についてどういう見方があるのか、この辺について、栃本委員。 今の関連ですか。
○栃本委員 もちろん、もちろん。
○駒村部会長 関連することでしたら、お願いします。
○栃本委員 もう既に調査が終わったのでという話がありましたが、先ほど私が申し上げたのは、今の宮本先生のお話に関係あるのだけれども、例えば24ページ「単身世帯の床面積・住宅設備・建築時期等の状況(民営借家)」の中で「高齢者や障害者等のための設備等」ということで、「手すりがある」「またぎやすい高さの浴槽」「廊下などが車いすで通行可能な幅」「段差のない屋内」「道路から玄関まで車いすで通行可能」というのを調べていただきました。今回入れていただいたわけです。
これは、御記憶の方が多いと思いますけれども、この調査を行うに当たって私が強く主張したのです。こういう部分を入れてほしい、この部分こそが逆に重要なのですということを私が主張したのです。これで調査されたということなのですね。
その上で、これと一般との比較。一般との比較というのは、国交省の調査が既にあるわけでしょ。
○大西保護課長 はい。
○栃本委員 それとの比較というのができるわけだね。
ちなみに、それとの比較で、一般がこれだけ悪いからこれでいいということを言うという意味ではなくて、とにかく比較、集計のほうを出してくださいということを申し上げました。
ということで、24ページのデータというのは極めて重要なものでもあるし、障害者世帯であるとか、高齢者世帯であるとか、そういう人たちが、面積も重要ではあるのだけれども、面積以外の部分がとても大事だと思うのです。取り回しがいいとか、先ほどの道幅とか、そういう部分についても次回以降論ずるような形になっていきたいなということです。
○駒村部会長 では、岩田先生、お願いします。
○岩田部会長代理 問題が混線しているように思います。この部会のミッションは、住宅扶助の上限額が適切かどうかということの検証なので、今の生活保護の方たちが住んでいる住宅のさまざまな問題というのはもちろんあるわけですが、それを全部一般と比較して検証しようという場ではないと私は判断します。上限額がどうかということ。
この場合、この作業班でとった方法は、多分混合アプローチだと思います。1つは質を国交省の最低限にそろえて、その質を備えた現実の家賃額を抽出して、上限額がどこの位置にあるかということを確かめたということです。だから、最低基準アプローチと相対比較の両方を使ったやり方になると思います。
これは上限額が適切かどうかという判断であって、今、住んでいるところが適切かどうかというのは個々の問題になってきますので、それはそれとして大きな問題だと思うのですけれども、そこまで調べてやれというのが私たちのミッションではないと私は判断しています。
○駒村部会長 あくまでも住宅扶助基準がどうあるのかというのがメーンですので、そういう意味では、住宅の機能をどこまで評価していくのかというのは、なかなか切りがない話になってくると思いますが、メーンの部分はそこである。つまり、住宅扶助の水準がどうであるというのを議論するのがメーンだと思います。その上で、もし園田先生のほうから今の議論で何か気がついたり、機能の部分は居住最低限に加えてこの程度のことは見られるのではないかということがあればお願いできますか。
○園田委員 今日の議論で栃本先生がおっしゃっている真意はすごくよくわかったのですけれども、テクニカルな面で、実は住宅・土地統計調査に生保かどうかということのフラッグが立っていないので、先ほど来私が申し上げているように、そもそも住宅・土地統計調査の結果は、生保世帯と比較できる対象の“一般”ではなくて、そこに生保が既に含まれてしまっています。およそ民間賃貸住宅の居住者の5%程度は生活保護世帯をインクルードした形のデータしかとれないので、そこを仕分けて相対比較というのがテクニカルにできないという点がどうしたものかなというふうに思いました。
宮本先生の御指摘の点で言うと、先ほど栃本先生もおっしゃったように、実は今回、保護世帯の調査というのは、住宅・土地統計調査と比較できるようにかなり精緻にとっていただいたので、私としては住宅のハードの条件としての実態というのはかなりつかめるのではないかと思います。
ただ、最近、作業班に参加させていただいて気になっているのが住んでいらっしゃる方の属性なのですけれども、26年3月の生活保護の動向だと、全体の45%が高齢者世帯で、29.4%が傷病者・障害者世帯なのです。そうすると、住宅のハードを提供しても、そこで十分な生活を営む居住者側の資質が備わっているのかどうかというところが問題で、宮本先生の御指摘の部分も、例えば今日は非常に暑いとか、水分をとったほうがいいとか、そういうソフトなところが、ひとりで暮らしているとか、自己判断力がそんなに十分でないと、ハード、例えばエアコンがついていてもそのスイッチを入れないとか、そういう問題がある。今回はハードについての調査はできてきたのだけれども、目に見えないところのフォローの部分が、実は住宅扶助の家賃の中にインクルードされているのか、されていないのかというあたりがまだよくわからなくて、そこはかなり微妙な問題があるように最近は感じています。
○駒村部会長 お二人とも今のことに関連されるのですね。
○道中委員 はい。
○山田委員 はい。
○駒村部会長 では、道中先生、山田先生。
○道中委員 この調査は総じてこの方向、デザインでいくというのが妥当だと思います。
それで、ない物ねだりをするわけではないのですが、今の関連で、例えば女性というような形の性差、特に駅の近辺でありますとか、セキュリティーという問題で割高な物件を女性の場合は選択してしまうということもありますので、何らかの形でそういった性差の部分、女性というところで反映できるようなものがありましたら、またそういったこともお教えいただきたいということがございます。
以上です。
○駒村部会長 山田委員、お願いします。
○山田委員 2点あります。
先ほど園田委員がおっしゃったように、住んでいる人の属性によってどういった住宅が必要かということについては、これは事務局、ケースワーカー様の御尽力でデータがよくとれていると思うのですけれども、例えば28ページに「車いすを利用している世帯員の有無別の状況」というのが表9-3にあります。事務局からもさらっとご報告していただいたところではあるのですが、私は非常に重要だと思いますのは、この表を見る限り「車いす利用有り」で1.3倍基準がそんなに十分に活用されているようには見えないということです。そういったところから類推していくことがこのデータは可能だということです。
あともう一つは、住宅のハードウエアの部分以外に、例えばいろんな属性の方々が住まうとき、ソフトウエアの部分、すなわちサービス部分も重要になると思います。それについては、例えば29ページでは無料低額宿泊所とか簡易宿所が高くついているというのはわかるのですけれども、39ページを見ると、どういったサービスを提供しているのかというソフトウエアの部分もわかります。食事の提供があるのとかそういったことがあるので、残念ながらサービスの質の状態まではコントロールができないのですが、宮本委員が御指摘なさったようなことは、これからいろいろと分析を積み重ねていけば、完璧ではありませんが、かなりの部分がわかるのではないかと理解しております。
○駒村部会長 いろいろ興味深い調査なのですけれども、時間にも限度がありますし、とにかくメーンのテーマというのは住宅扶助の基準の検証ということですので、どういう状況の住環境になっているかというのは、見れば見るほどいろいろな関心が出てくるわけですけれども、資料としてはつける価値があるかもしれませんが、メーンの部分はあくまでも住宅扶助金額が現状どうなって、どうあるべきなのかということになっていくと思いますので、事務局におかれましては、今日の意見を踏まえていただいて、引き続きデータ分析を加えていただく。関数の推計なども進めていただくということになっていくと思います。その際には今あったコメントを反映していただければと思います。
委員のほうから特段これは絶対必要なのだというのがありましたら加えていただきたいのですけれども、後半の話をまだお話ししていただいていませんので、よろしければ、冬季加算と有子世帯の話に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
では、冬季加算について、事務局のほうで論点や検証手法についての提案があるということなので御説明いただき、それを踏まえての議論をしたいと思います。
事務局のほうから資料2について説明をお願いいたします。
○井上保護課長補佐 それでは、資料2の冬季加算のほうの説明をさせていただきたいと思います。
今年6月の骨太の方針におきまして、住宅扶助と同様に冬季加算も検証の上、27年度予算において必要な措置を講じるようにということで書かれておりますので、まずは事務局案としまして、冬季加算の検証に当たっての論点案と、検証手法案を提示させていただきましたので、後ほど御議論いただければと思います。
2ページに目次がございますけれども、最初のほうは概要とかでございまして、9ページから論点なり検証手法案を提示させていただいております。
まず、3ページをごらんいただきたいのですけれども、3ページは冬季加算の概要でございます。
趣旨は、冬季の増加需要に対応するものとして、11月から3月の5か月間、生活扶助基準に上乗せする形で支給するものでございます。
支給額は、冬季加算の地域区分別、1から6区まで都道府県単位で区分されております。1区が一番冬季需要が高い寒い地域で、6区に行くほど冬季需要が低い地域という設定になっています。この地域区分のほか、世帯人員別、級地別に設定をして支給をしております。
冬季加算の具体的な1区から6区までの地域区分は、左下の表のとおりでございます。
右下には、参考までに2級地-1におけます1区から6区の単身世帯、あるいは3人世帯の26年度額を載せております。
4ページには26年度の月額の一覧表を載せております。
5ページは、設定の経緯になっております。現在の設定方法になる直前の設定方法から記載しております。昭和40年~44年は、まず一番寒い1区の額につきましては、国家公務員の寒冷地手当の設定方法に準じて設定をしていて、需要が低目の6区につきましては、夏季と冬季の光熱費のみの差額で設定しておりました。
2区から5区につきましては、国家公務員寒冷地手当の区間の較差を参考として展開して設定しておりました。
昭和45年から6区以外は前年度基準額に生活扶助基準改定率を乗じて額を設定するようになりまして、昭和49年以降は6区も含めて全ての区で生活扶助基準の改定率を乗じて設定をしているという状況でございます。
次に6ページでございます。
(2)は世帯人員別の比率がどうなっているかということでございまして、昭和52年から54年の家計調査によります勤労者世帯の人員別の消費支出額を基礎として設定しております。その家計調査の配分になるように昭和60年度までに段階的に見直していって、昭和61年度以降は比率の変更を行っておりません。
(3)は級地間較差ですけれども、これは通常の1級地-1から3級地-2までの6区分を使用して、その較差は4.5%の等差になっております。
(4)は1区から6区までの地区区分の設定についてでございます。こちらは平均気温が最も低い月の気温とか積雪量などを総合的に勘案して各都道府県を6つの区分に分けたというものでございまして、昭和41年度以降、今の地区区分を使用しております。
7ページは冬季加算の推移でございます。例としまして2級地-1で単身世帯の場合の1区と6区の月額を昭和48年度から載せております。
加算額の右には、昭和48年度を100とした指数を載せております。
真ん中には、よく灯油価格の上昇と比較されますので、参考で灯油小売価格の指数の推移も載せております。指数で見ますと、冬季加算の額が右の灯油価格の伸びを上回っているという状況にございます。
8ページは、過去に参考にしておりました国家公務員寒冷地手当の現在の概要を載せております。地区区分とかが冬季加算のほうと同じではないのですけれども、11月から3月までの5か月間支給されて、手当の月額としましては、上は2万6,000円台から、下は7,000円台までとなっております。
下の欄外にございますが、8月に行われた人事院勧告におきましては、支給対象地域が縮小される方向で今、見直しの勧告が出されております。
9ページは、冬季加算の検証を行うに当たって事務局で整理をしてみました論点でございます。一言で言いますと、今の加算額は各地域の一般低所得世帯の冬季に増加する支出額と比べて均衡がとれたものとなっているかということでございます。
その検証を行うための手順としましては、まず冬季に増加する費目を確定した上で、順に今の加算の都道府県ごとの地区指定は妥当かとか、冬季に増加する需要を見る対象期間としては、今の11月から3月までの5か月間の部分でよいのかといったこと。もしかしたらここで夏の期間でも特別に増加する費目というのが出てくるかもしれません。
今の世帯人数別の較差とか級地間較差は妥当かといったこととか、住宅の構造や築年数によって暖房効率の面などで影響を受けているのではないかといったことを検証してみてはどうかと考えております。
最後に※印で書いておりますが、検証に当たりましては、生活保護世帯には、先ほども出ておりましたけれども、傷病者や高齢者の世帯というのが多くて、家にいる時間が長い方が多く含まれている。そうすると、その分暖房などの需要が多くなる可能性があると考えられるということです。それと、12月は年越しの特別な需要に対応しております期末一時扶助が支給されるので、その分を考慮して検証結果を評価していく必要があると考えております。
10ページは、検証方法についての大まかな方針でございます。検証では冬季に増加する需要を見る必要がございますので、毎月の家計収支を把握できます家計調査を特別集計して、一般低所得世帯では季節によって支出額にどの程度差があるのかというのを地域別、世帯人員別などに分けて検証していってはどうかと考えております。
家計調査のデータだけというのではなくて、それを補完するためのデータとして活用できるものは活用して多角的に検証できればと考えております。
家計調査を使って検証する際の留意点を下のほうに書いてございますが、調査対象が約9,000世帯ということで、サンプル数が少ないということもありまして、5年分のデータを使うようにしてはどうかといったこととか、年間収入階級も第1・五分位とか第1~第3五分位といったある程度の塊を使ってはどうかと考えております。
山間部などの積雪の多い地域が必ずしも含まれていないことも考えられますので、他の補完データも活用して評価をしてはどうかと思っております。
単身のデータというのは少ないので、2人以上のデータで検証のほうをやっていきたいと考えております。
11ページから18ページまでは先ほどの9ページの論点の各事項に対応した検証手法案のイメージを順に載せております。各ページともつくり方は一緒で、検証手法の囲みのところに書いてございます内容で、その下にあるような表のスタイルでまとめてみてはどうかと考えています。
イメージ1の増加需要費目の検証から順に作業していって、16とか17ページのイメージ6のところで加算額の水準の妥当性の検証を行う感じで考えております。
まず、11ページは、冬季に増加する支出費目は何があるか検証するということで、下の検証手法にございますような、特に寒い地域の1区から3区をまとめて、級地区分なしで、2人以上のデータ、第1~第3・五分位のデータ、冬季の期間はとりあえず現行の11月から3月を使って、そこにありますような集計表をつくって検証してみてはというふうに考えております。
集計表で全体を見てみて、生活扶助相当の支出費目全てを用いて比較をしていくのか、冬季に増加する費目のみで比較をしていくのかといったことも見きわめていくことになろうかと思っております。
12ページでございます。イメージの2は地区指定の妥当性の検証ですけれども、検証を行うに当たりましては、家計調査では都道府県別にするとサンプル数が少ないということがございまして、例えば気象データなどを参考にして見てみてはということで、過去の気象データをこちらに参考でつけさせていただいております。
13ページのほうは、今は冬季に増加する需要を見る対象期間として11月から3月までの5か月を見ておりますけれども、対象期間はその5か月でよいのか検証するということで、家計調査を特別集計して、そちらにございますような表を作成してはどうかと考えております。
生活扶助相当支出と冬季に増加する費目につきまして、先ほどの12ページで決定しました地区区分別に、級地区分なしで、2人以上データ、第1~第3・五分位データを集計してはというふうに思っております。
ここで夏の特別需要の有無というのも確認してはどうかと思っております。
14ページでございます。今の世帯人数別の較差は妥当か検証するということで、家計調査を特別集計してそちらのような表を作成してはどうかということです。
11ページのほうで決定しました冬季に需要が増加する費目につきまして、先ほどの12ページで決定した地区区分を使って、世帯人員1人、2人、3人、4人、5人以上という分け方で、級地区分なしで、第1~第3・五分位データを集計してはどうかと思っております。
15ページは、今の地域別の較差は妥当か検証するということで、冬季に支出が増加する費目につきまして、地区別で、2人以上データ、第1~第3・五分位データを区分しないでこちらのような表を集計してはというふうに思っています。級地間較差を指数化して見るために、表では例として2級地-1を100として置いております。
16ページは、地区別冬季加算額の水準というのはどの程度が妥当か検証するということで、メーンのところでございます。ここで水準を検証することを考えておりますが、冬季に支出が増加する費目につきまして、地区別で、全級地データで、2人以上データ。年間収入階級は、サンプル数によるのですけれども、ここは水準の検証の部分なので、細か目に第1・十分位、第1・五分位、そして第1~第3・五分位、そういった分け方で集計してみてはというふうに思っております。
17ページは、夏季の特別需要の検証についてでございまして、13ページのところで夏季の特別需要が認められた場合には、16ページの冬季と同様な形で検証してはどうかと考えております。
18ページでございます。イメージ7としまして、住宅構造とか築年数によって冬季の支出額に違いがあるかどうかというのも見てはどうかと考えております。
説明は以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございました。
委員のほうから冬季加算の分析、検証方法について御意見がありましたら、いただければ。山田委員、お願いします。
○山田委員 私のほうからは、今、拝見して3点あります。
まず1点目は、例えば16ページ、17ページなのですけれども、冬季以外の支出額と冬季の支出額を比べることになっているのですが、冬季以外の支出額に、例えば夏暑く、冬寒いと。両方とも光熱費がかかるような場合には差がわからなくなってきてしまうので、いろいろとやり方はあるのですけれども、気候的に余り光熱費を使わないものを基準にして見ないと、冬季と夏季に本当に必要な需要というのがわからないのではないかというのが1点目です。
2点目としては、年間収入分位別、例えば第1・十分位、第1・五分位、第1~第3・五分位と分位を分けてくださっているのですが、例えば第1・十分位の以下の平均を第1・十分位として扱うと、それは第1・二十分位にほぼ等しい値になってしまうので、細かく区切るときはよくよく注意していただきたい。収入分位別というのは、例えば第1・十分位だったら、本当に第1・十分位というのが見えるように、第1・五分位だったら第1・五分位、第1~第3・五分位だったらそこのところがわかるように気をつけて算定していただきたい。
3点目は、園田委員への質問になるわけですけれども、過去の気象データの平均値というのはもっともらしいのですが、この分け方でいいのかどうか。建築の世界のほうで何か区分の工夫があるのであれば、ちょっとその区分も参照してみてはいかがでしょうかというのが3点目のコメントになります。
私からは以上です。
○駒村部会長 山田さんの2番目の平均の話は、事務局、大丈夫ですか。分位の平均をとってしまうと。
○村木保護課長補佐 分位については確認しながらやっていく必要があると思っています。御指摘のとおり、第1・十分位の平均値と言うと、仮に正規分布であった場合は、第1・二十分位値となってしまいますので、そこは御意見をいただきながら数字を確認していきたいと思っております。
○駒村部会長 園田委員のほうから、山田先生の今のコメントについて何か。
○園田委員 今のお尋ねの点なのですけれども、建築の分野では地域別の断熱基準というのが決まっていまして、地域別にそれぞれの気候風土に応じて、断熱はどの程度必要かというのが住宅金融支援機構の貸付の基準のもとになっていたりするので、そういうものを参照されて、12ページの気象データとそれを突き合わせてみると、もう少しいろいろなことがわかるかと思います。
○駒村部会長 ありがとうございます。
では、先に岩田先生、次に阿部先生、お願いします。
○岩田部会長代理 2点伺いたいのですけれども、1つはすごく基本的なことなのですが、この冬季加算というのは、生活保護の要否判定、生活扶助の一部として入っていますね。その場合はならして12分の1にして計算して見ているのかということ。
生活扶助の検証をしたときは、これは除いていたというふうに考えていいのですか。それともそれも入っていたと考えたらいいか。つまり、母子加算もそうなのですけれども、加算を別に取り出して検証するということの意味がだんだん疑問に思えてきたので、それを伺う。
もう一つは、先ほど山田先生がおっしゃったように、冬季加算というのは光熱費なのか、それ以外もみんな見てしまうのかということとかかわるのですが、11ページの表に冬季と冬季以外でなくて、冬季、夏季、それ以外みたいにして、ともかく費目別で出すなら出していただいて、それで光熱水費以外のものがこの間、見たときに出ていますね。それは別の理由なので、それはこの加算としては考えないというふうにもともとするのか。期末一時扶助などが※で入っていますけれども、これを込みにしたいために、ちょっと変な言い方ですが、ほかの費目も一緒に見てしまうという意味なのか。その2点。
○駒村部会長 事務局のほうから。
○井上保護課長補佐 1点目の冬季加算を要否判定のときにどうするかということでございますけれども、冬季加算は、申請月に冬季加算が必要だったら、その月に必要な冬季加算分は積むのですが、それを押しなべて十二月に平らにするというようなことはしておりません。
○村木保護課長補佐 生活扶助の検証で冬季加算も入っていたかという点については、生活扶助は全国消費実態調査、秋のデータを用いて検証しており、冬季にかかる増加需要は含まれていません。したがいまして、生活扶助基準本体の検証の際は冬季加算については検証されていないという理解です。
○岩田部会長代理 秋のデータにはなっているけれども、秋の生活保護基準を決めたわけではないですね。ちょっとそれは変な話ですけれども。
これは後の母子加算の部分とかにかかってきますが、児童手当、児童扶養手当が出るのは4月、8月、12月か何かで、多分全消のときには出てこないのですよ。それはデータとの関係なのですが、私が言っているのはそういうことではなくて、生活扶助の相対比較をしたときに、これはもう入っていたのかということを聞いているのです。もちろん、入っていたのだけれども、特に冬季だけ区別するというより、地域の問題とか夏季の問題とかもあるから、これだけ取り上げてやりますというなら、それはそれで構わないのです。一応込みではやっていますと。だけど、これだけ取り上げていますという話なのか、込みではやっていません、冬季加算はあのときは外してやりましたという話なのかをちょっと伺いたいのです。
○駒村部会長 事実関係の確認ですから、ちょっと。
○岩田部会長代理 後ででも構いません。
○村木保護課長補佐 生活扶助基準本体の相対比較の検証において、冬季加算は何も変更しておりません。物価による適正化については冬季加算に対しても行っておりますけれども。
○岩田部会長代理 今の冬季加算がそのまま入って、その基準と一般世帯、10%対10%を比較したというふうに理解していいですか。
○駒村部会長 入っていないのでしょう。
○村木保護課長補佐 ゆがみの部分での検証では入っていません。
○岩田部会長代理 加算は入っていない。
○村木保護課長補佐 加算は入っていません。
○駒村部会長 込み入った話なので、もう一回整理したい。今日は時間もございませんので。
阿部委員のほうから手が挙がっていたと思いますので、阿部委員のほうから何かありますか。
○阿部委員 まず、今のことに関係するところで、家計の中では、冬季加算というのは冬季に発生する追加的な需要が必需品なのでということで加算されているのですけれども、実際の家計の中では、ほかに同じぐらい緊急を要するものがあれば、そちらのほうに動くというのは、一般世帯であっても生活保護世帯であってもあると思うのですね。それを考えると、冬季加算と一般世帯の光熱費とかそういうのだけを比べるということが100%正しいのかというところには留意するべきだと。今の岩田先生のことと同じですが、生活扶助基準も一緒に考えないといけない部分がある程度はあると思うのですね。それが1点ということ。
同じように、今、住宅扶助のことをやっているわけであって、先ほど熱中症の話もありましたけれども、冬や夏の需要というのは、どういう住居に住んでいるかによってすごく左右されるものですから、住宅扶助のほうを一方でいじくりながら、こちらも同じようにいじくってしまうというのが本当にいいのかどうかというのは、16ページ、17ページで第1・十分位とか第1・五分位とかと比較する際に、それらの方々の住居のほうはコントロールできていませんので、そこのところを留意してこの結果を見なければいけないと。結果が出てきたときにこの点はまた出しますが、そういったことでこの検証のリミテーション、制約というものがあるというのを今、この場で申し上げておきたいと思います。
○駒村部会長 生活扶助のほうの時期が秋のデータを使っているわけで、それとばらしてやってしまっていいのかという御指摘なわけですけれども、データの構成上、家計の中でどう調整しているのかというのを全部復元して検証するというのはなかなか厄介な作業だと思いますが、留意点としては、ばらしてやっていていいのかというところはあったということですが、何か具体的なアイデアがあるのですか。
○阿部委員 アイデアというよりも、住宅扶助基準のほうを住宅扶助でやって、上げるとか下げるという議論を別々にし、冬季加算のほうも、同じように上げる、下げるという議論を住宅のほうの議論とは切り離してやってしまうというのは、ある意味両方とも下げてしまうとか、そういった危険性もあるということなのですね。
なので、この結果が全部そろってから考えることですけれども、家計に対する影響ということはこの部会の最終報告の中にきちんと書くべきだと思います。
○駒村部会長 作業班で改めて議論したいテーマかなと思います。
今日は、事務方が出してきたイメージの集計を続けてもらうかどうかという判断なのですが、この辺はいかがなのでしょうか。もちろん、今みたいなことを留意しつつ、住宅扶助のほうは作業班をやるわけですけれども、イメージの集計方法について、先ほど山田先生からあったようなことを留意しつつ進めていただくということでよろしいでしょうか。何か留意点がありましたら、この際ですから言っていただければと思うのですが。よろしいですか。
では、事務方は今のお話、住宅の機能もあるのでということもいろいろ考慮しながら、まずベースはこのイメージということに乗りつつも、ちょっと留意しなければいけないという指摘がありましたので、それを作業の際に反映していただくということ。
ちょっと時間も押しているので、よろしければ、最後の有子世帯の話に行きたいと思います。
次に、有子世帯の扶助・加算について、事務局のほうで論点や検証方法についての提案があるということなので、事務局から説明いただき、それを踏まえて議論したいと思います。
資料3について、お願いいたします。
○井上保護課長補佐 資料3は、有子世帯の扶助・加算の検証についての資料になっております。
平成25年1月のこちらの部会の報告書でも、生活扶助以外の扶助・加算についても統計データの収集方法とか検証手法の開発などについて、本部会で速やかに検証を行うように提言されておりまして、財政制度等審議会の資料でも指摘がなされております有子世帯の扶助・加算につきまして、検証のための議論を少しずつでも始めさせていただければと思いまして、今回事務局案として論点と簡単な検証手法案を記載させていただいております。こちらも後で御議論いただければと思います。
4ページ以降は既存の資料を参考として添付しておりますので、基本的に3ページの御説明のほうをしたいと思います。
有子世帯の検証につきましては、総務省の全国消費実態調査とか家計調査データを特別集計して分析を行っていくということになろうかと思いますけれども、検証を行うに当たりましては、どういった集計をしていけばよいか、こちらに提示をさせていただいた論点とか検証手法案も含めて、説明の後、御意見をいただければと思います。
論点は上の囲みにございますけれども、一言で言いますと、有子世帯の最低生活保障と自立助長(子どもの貧困解消、貧困の連鎖の防止)の観点から、有子世帯の扶助・加算は一般世帯の消費実態と均衡がとれる水準となっているか、あるいはそのあり方はどのようにしていくべきかということ。
検証手法案としましては、まだ、たたき台ですけれども、次の大きな囲みの中にございますが、まずは二人親でもひとり親世帯でも加算されます児童養育加算の妥当性を検証して、次にひとり親世帯に係る特別な需要への対応ということで、ひとり親世帯のみに支給されております母子加算につきまして検証していってはどうかと考えております。
児童養育加算の検証につきましては、一般世帯では児童手当の収入を含んだ上で支出を行っているということから、一般世帯との丈比べに際しましては、生活保護世帯の基準額のほうは、生活扶助基準と児童養育加算の合計額を使用して、これが一般世帯の夫婦子世帯の生活扶助相当支出額と均衡がとれるものとなっているかを、子供の人数別とか年齢別に全国消費実態調査を使って検証してはどうかと思っております。
母子加算の検証につきましては、生活扶助基準と児童養育加算と母子加算の合計額が一般のひとり親世帯の生活扶助相当支出額と均衡がとれるものとなっているか。そちらを子供の人数別・年齢別、就労しているか否かということで需要に差があるかもしれませんので、就労状況別にも検証していってはというふうに思っております。
母子加算の検証のところでは、母子加算はひとり親世帯に係る特別な需要に対応するために出しているものですので、そもそもひとり親世帯であることによる増加需要というのは何があるのか。児童の年齢とか就労状況別に分析をしてみるというのと、もし特別需要があるのでしたら、その需要に対します加算額の水準の検証というのは、貧困の解消、連鎖の防止ということを考えますと、ひとり親世帯は相対的に所得が低目でございますので、所得が低目ということを踏まえて検証していく必要があるのではないかといったこととか、サンプル数が少ないので、全国消費実態調査2回分とか家計調査5年分を活用して検証してはどうかということを考えております。
母子加算は子供の貧困解消を図ることが目的とされておりますが、親が別の目的に使ってしまっている例があるということも聞いておりますので、加算の趣旨・目的につきまして、ひとり親世帯であることによる増加需要には何があるかというのを検証した上でということになるのかもしれませんけれども、目的をもっと明確化して、その目的に沿った使われ方をするためにはどういう取り組みが考えられるかといったことも検討していく必要があるのではないかと思っております。
教育扶助、高等学校等就学費につきましても、一般世帯の支出額と均衡がとれるものとなっているか、文科省の子供の学習費調査データなどを活用して検証してはどうかと考えております。
3ページ以降は参考として、既に出ております資料をつけております。子供の貧困対策に関する大綱の概要ですとか、財務省さんが行った生活保護世帯の有子世帯、母子世帯に関する予算執行調査の結果とか、財政制度等審議会の報告書の関係、最後のほうには加算等の概要をつけております。
説明は以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございます。
では、議論は3ページに限定して。あとは資料ですので、議論してもしようがないと思いますので。では、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 1つ重要なことに気づきました。
1つが母子加算のところですけれども、生活扶助基準プラス児童養育加算プラス母子加算の合計額と一般ひとり親世帯の生活扶助相当支出額との均衡というふうに書かれておりますけれども、母子加算はそういう意味ではないと思うのです。母子加算というのは、母子世帯でない世帯に比べて、同じ生活水準を保つためにどれぐらい追加的に費用が必要かと。そのための母子加算であるのです。こういう比べて方をしてしまうと、もう既にひとり親世帯というのは、ほかの世帯に比べて不利な立場に置かれているというのはあらゆるデータからわかっていることなのですが、ひとり親世帯はひとり親世帯の水準にしか追いつかないということなのですね。
つまり、生活扶助基準と児童養育加算のところまでは二人親世帯も含めた全ての世帯との均衡がとれているべきであって、そこから先の二人親世帯とひとり親世帯の差の追加分の費用を母子加算とするべきなのです。私が言っている意味はわかりますか。
つまり、ひとり親世帯を全体に丈比べするのではなくて、児童養育加算まではひとり親であろうと二人親世帯であろうと同じレベルであるべきなのです。というのは、ひとり親世帯であることによって不利というものを生じさせてはいけないということがありますので。その上で、母子加算は二人親世帯に比べて幾ら追加が必要かという話なので。そういった意味で、この母子加算のほうの検証の仕方というのをちょっと検討すべきではないかなと思います。
○駒村部会長 要するに、母子加算の文章の、比較対照が一般のひとり親世帯ではないということですね。
○阿部委員 母子加算の部分だけを見るのであればいいのですけれども、そのほかの児童養育加算プラス生活扶助、全部足したものをひとり親世帯と比べてしまったら、それは低く抑えられてしまいますね。
○駒村部会長 今の点、事務局、どうでしょうか。阿部委員のおっしゃりたいことは、3つ足して考えるのは、対象がひとり親世帯ではなくて一般世帯ではないかということですね。
○阿部委員 母子加算の意図というのは、二人親世帯に比べてひとり親世帯のほうが同じ生活水準を保つのに追加的な需要があるということで、母子加算があるわけですね。だから、一般世帯の中で、ひとり親世帯は同じ生活水準を保つのにどれぐらい余計に必要なのかということを検証するべき。ここのところは非常に難しいのです。というのは、一般世帯の中でも、もう既にひとり親世帯のほうが全体的に所得が低いので抑えられているというハンディーがある。なのですけれども、全体のレベルをこのような形で比べてしまうと、ひとり親世帯のお子さんは一般のひとり親世帯のお子さん並みにしかならないという設定を生活保護の中でもつくってしまうということですね。同じハンディーのあれを。それをやることは、子供の貧困の連鎖を解消するという意味では、その較差を生活保護の中に取り込んでしまうべきではないですね。
○駒村部会長 母子加算の下「ひとり親世帯であることによる増加需要は、どのようなものか」というところに「夫婦子世帯の支出額と比較して、ひとり親世帯の支出が多くなっている支出があるのではないか」と書いてある以上、夫婦世帯。
○阿部委員 そこをとるのには上の分ではだめだということなのです。
○駒村部会長 事務局、いかがでしょうか。
○井上保護課長補佐 済みません。たたき台なので、余り詰めてつくれていなかったのですけれども、おっしゃることを踏まえて書き方というか、ここの検証手法案は検討したいと思います。
○駒村部会長 ほかに。岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 これは先ほどのこととも非常に絡んだ話なのですが、私もこれまで老齢加算、母子加算等々の会議のメンバーで、ずっと考えてきたのですけれども、例えばこういうのをやるときに、一般世帯の有子世帯と生活保護の有子世帯とか、今、阿部委員がおっしゃったように一般のひとり親世帯と生活保護のひとり親世帯を比べるというやり方が一見常識的なのですけれども、今の生活保護の決め方は水準均衡なので、こういう積み上げ的なやり方を本当はしていないのです。
つまり、モデル世帯があって、それを展開してやっていますので、例えばひとり親の2人世帯とか3人世帯が幾らというような決め方をしているわけではないのです。なので、その比較が可能か、論理的にそんな比較はできるのですかというのが私の根本的な疑問なのです。
それから、これはデータにも、前に母子加算をやったときに、全消でやりますと、そもそも母子世帯の数が非常に少ないのです。それを子供の数で分けたりすると、子供の数の多いほうが消費支出が低いなどという結果になってしまったりしまして、使いようがなかったことがかつてあったのです。
つまり、加算制度というのは、マーケットバスケット方式のときにそもそも児童養育加算とか母子加算とか、そういうのがついてきて、あるいは他制度との振りかえでついてくるというような感じがあったのだと思うのですけれども、一般世帯の比較とか、水準均衡という考え方になると、費目をばらすとか類型を別にするということができるのですか。もしもそれができるとすると、これは新しいマーケットバスケットにしないとならなくなってしまう。つまり、これが一般に対してどうかということになりますと、極端に言うと、費目別、世帯類型別に全部実態を積み上げて、それを比較しなければならないということになってしまう。そういうことをやっているのではないかという強い疑念がだんだん膨らんできまして、これまでやってきたことは間違っていたのではないかと思うのです。
高齢者と高齢者を比べるというのは常識なのですけれども、生活保護はそういうふうに決まっていないのです。だから、そうしますと決めるならそういうやり方があります。でも、今の生活保護はそういうふうに決まっていないのです。標準世帯で比較して、基準を決め、それを1類と2類に展開し、それを個々の世帯に当てはめるというやり方ですね。
だから、財務省がつくった資料で言いますと、有子世帯で両親と子というのはモデル世帯ですから、これは使えるのですけれども、ひとり親はモデル世帯ではないので難しいのですね。
ついでに言いますと、これは財務省がつくった資料なので、保護課にどうのこうのと言っているわけではありませんけれども、13ページに2つ同じ図が出ていまして、こういう評価は本来あり得ない比較なのですが、生活保護基準額というのは収入なのです。片方は生活扶助相当額の消費支出しか出していない。ひとり親世帯には当然児童手当、児童扶養手当が乗りますし、収入があるかもしれないので、収入と収入を比較してもらわないと困るわけですね。つまり、これは何のためにやっているかというのがすごくはっきりしてしまうような比較になりますね。比較するなら合理的な比較をしてほしいということと、水準均衡で本当にいっているなら、パーツでやる場合に、どういう理屈でパーツができるのかということを説明してほしいのです。でないと、歴史的な経緯があるので、それは無理だと言うなら、それだけ外せる理屈を何か考えるしかないと思うのです。つまり、これは先ほどの住宅とは別なのです。生活扶助基準における根本的な矛盾なのですよ。
それが水準均衡だから、世帯類型でも、生活扶助の中身を取り出しても、比較でその差はあるのか、ないのかでやっていいのですか。それは水準均衡の基本的な考え方を切り崩しているわけで、比較による新しいマーケットバスケットをやっていることになりますね。そういうやり方にしますかというのが私の質問です。
○駒村部会長 加算そのものの評価方法についての定義なのですが、これに類する話というのは前回の生活扶助基準のときからもあった。ばらしてやってしまっていいのかというのは前からあった話ですが、事務局は、3ページのたたき台というのを今後どういうふうに進めていきたいと思っているのですか。
○大西保護課長 失礼します。いろいろコメントありがとうございました。有子世帯の扶助・加算につきましては、先般、子どもの貧困対策大綱を政府全体として取りまとめさせていただきました。直近の子どもの相対的貧困率が16.3%と過去最高となっているといったような状況。特にひとり親世帯の相対的貧困率は、OECD加盟国中でも最悪になっているといったような状況も踏まえまして、子どもの貧困対策法に基づいて大綱を取りまとめて、政府全体として総合的に取り組んでいくということにしております。
そういう観点からも、また有子世帯の加算、母子加算などは廃止して、また復活した。そのときに子どもの貧困連鎖の解消のためにといったような新たな位置付けも加えられたりしておりまして、そういうことも含めまして、今後の政策の中で整合的になるように丁寧に議論、検討していく必要があると考えております。
そういう意味で、先ほどの別の御意見を受けまして、また改めて御意見をいただきながら相談させていただきたいと申し上げましたように、少し時間をかけて丁寧に進めていく必要があると3番については考えております。
岩田先生から非常に大きなお問いかけもいただきました。昭和59年から水準均衡方式ということで、全体に経済情勢なり国民経済の規模なり動きに応じて水準をスライドさせてきたという経過がございます。そういう中で、昭和20年代、マーケットバスケットで始まったという時期もございますが、近年は、生活扶助について、5年ごとに細かいスライドだけではなくて、しっかり検証していこうという枠組みで取組を進めてきております。
前回、生活扶助基準につきまして極めて精力的に御検証いただいて、一定の見直しをさせていただいているという経過がございます。そのお取りまとめの中でも、基準部会として今後その他の扶助なり加算についても順次検証を進めていくということも御確認いただいておりますので、その一環として各扶助・加算について、データの制約とか、岩田先生御指摘のように限界がさまざまある中ではございますけれども、一般国民の目から見ても信頼感に支えられた制度として運営を続けていく必要がございますので、いろいろ御意見をいただきながら前に進めさせていただければと考えております。
マーケットバスケット方式などの大きな御議論も、また5年後の検証をどうするのかと。5月に一度御議論いただいたところでございますけれども、今、3年間かけて施行させていただいておりますが、5年後の検証に向けての御議論というのも改めていただく中で、御意見をいただければと思っております。
また、前の議論に戻りますけれども、住宅扶助と冬季加算を別に考えるのはいかがなものかという御意見もございましたが、逆に事務局の立場で申し上げますと、同じ時期に並行して御議論、御検証いただけるというのは、先生方が両方目配りいただきながら意見交換し、御意見をいただけるということで、ありがたい流れでむしろ御議論いただけているのかなというふうに思ったりしております。
ちょっと感想めいた申し上げ方で恐縮でございますけれども、有子世帯につきましては息長く御議論いただければと考えております。
以上です。
○駒村部会長 平成25年1月18日の報告書を見ていても、類似の議論というのが1回あったのですね。10ページを見ますと、「加算制度及び他の扶助制度についても、統計データの収集方法、検証手法の開発等について」という話が1回出ていますので、これについてこの方法でいいのかどうなのかというのは、もう一度部会等でも、もんでいきたいなと思っております。
ちょっと時間がオーバーしていますけれども、ほかに。では、岡部先生、お願いします。
○岡部委員 そもそも論的な話が出ましたので、そこに関連して意見を述べます。生活扶助基準1類・2類プラス加算をもって最低生活費と制度ではとらえています。加算は、生活扶助基準プラス上乗せではない。例えば加算をつけるだけの特別な需要があるためですから、 低所得のひとり親世帯と生活保護受給母子世帯を比較対照する意味合いがどこにあるのかよく考えていく必要があるのではないかと考えます。
ここに子どもの貧困に関する委員会のメンバーであるお二人の委員がいらっしゃいますので述べますが、子どもの貧困対策法の関連でいきますと、ひとり親の低所得母子世帯は非常に高い貧困率が出ている。また生活保護を受けていらっしゃる方というのもそれ以上に非常に厳しい状況にある。ですから、有子世帯をより積極的な優遇策というものが必要であると考えます。
といいますのは、例えば一般の低所得の方もそうですし、また生活保護の方についても、ひとり親の最低生活のラインを上げるも一つとして母子加算があると考えますと、この加算が持っている意味合いが非常に大きいのではないかと考えます。
であるからして、ここで述べている一般低所得ひとり親世帯と生活保護を受けていらっしゃる方の比較検討をするということは、ある意味では低位に抑えるという話でもありますそこで最初にある論点、3ページの有子世帯の最低生活保障及び自立助長(子どもの貧困解消、貧困の連鎖解消)の観点から加算がどうあるべきかを考えてみる必要があります。2つ目に、一般世帯とは明らかに低位にあるということを鑑みるならば、積極的に加算によって上乗せをするということで均衡を図るというのが通常の考え方だと思います。加算ということを考える上では、比較をするのは結構なのですが、そこで前提をどう置くかが大きな意味合いを持ってくると思います。
これもこれから検証されるということなのですが、非常に低位なところで比較し合うということになります。そのところは考えていく必要があります。
今回の基準について、先ほど岩田先生が大きなテーマをおっしゃられました。住宅も今回の加算の扶助もそうなのですけれども、均衡主義の考え方をどこまで行うのか。均衡主義で採用して、この扶助は採用できないという精査等もこの基準で検討する必要があるのではないかと思っています。
○駒村部会長 時間もないので、ただ、御指摘の3ページの上段の部分は、まさに均衡をとるようにと。むしろ上に向いたような分位かなと思ったのですが、確かに作業内容がそれを反映しているかどうかというところはちょっと精査しなければいけないので、これについては改めて、分けてやっていいのかどうかも含めて、ちょっと検討したいと思います。
時間もございませんので、このくらいで締めたいと思いますが、ぜひともという方がいらっしゃれば。よろしいでしょうか。
そうしましたら、本日の部会における議論を踏まえて、検討作業班のほうで具体的な作業を行い、基準部会のほうへまた報告したいと思います。
最後に、次回の開催について事務局から連絡をお願いいたします。
○井上保護課長補佐 次回の部会の日程は未定でございますので、追って調整をさせていただきたいと思います。
○駒村部会長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。
以上
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第19回 社会保障審議会生活保護基準部会(2014年10月21日)