ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 疾病・障害認定審査会(身体障害認定分科会)> 第6回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会議事録(2014年12月15日)
2014年12月15日 第6回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会議事録
社会・援護局障害保健福祉部
○日時
平成26年12月15日(月) 18:00~19:27
○場所
厚生労働省専用第12会議室
○議事
○田中課長補佐
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回「疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会」を開催いたします。
私、社会・援護局障害保健福祉部企画課の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本分科会は、参考資料1にございますように、自治体からの身体障害認定に係る疑義についての諮問機関としての役割を担っております。また、自治体が手帳交付事務を行う際のガイドラインでございます身体障害認定基準等の改正等につきましても、必要に応じて医学的・専門的見地から審議を行っております。
なお、本会は、全委員の過半数の出席をもって成立することとされておりますが、本日は17名の委員中12名の御出席でございまして、本日の分科会は成立しておりますことを御報告いたします。
開催に当たりまして、障害保健福祉部長の藤井より御挨拶を申し上げるところですが、業務で少し遅れますので、部長が到着し次第、挨拶とさせていただきます。
なお、頭撮りはここまでとさせていただきます。
続きまして、本日御出席いただいております委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと思います。資料1として名簿を添付させていただいておりますので、お名前のみの御紹介とさせていただきます。
赤川安正委員です。
飯野靖彦委員です。
和泉徹委員です。
伊藤利之委員です。
井上美津子委員です。
奥野妙子委員です。
御到着いただいたばかりで恐縮ですが、加藤達夫委員です。
葛原茂樹委員です。
坂谷光則委員です。
中村耕三委員です。
前田耕太郎委員です。
なお、湯澤美都子委員におかれましては、少し遅れてお越しになると伺っております。
また、久徳委員、白阪委員、早川委員、本江委員、八橋委員におかれましては、御欠席と伺っております。
続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。
障害保健福祉部長の藤井でございます。
企画課長の川又でございます。
なお、本分科会の会議は、疾病・障害認定審査会運営規程第5条第1項によりまして、原則公開となっております。本分科会での審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定でございますので、あらかじめ御了解くださいますようお願いいたします。
それでは、遅れまして恐縮ですが、藤井部長から御挨拶させていただきます。
○藤井障害保健福祉部長
遅くなりまして申しわけございません。障害保健福祉部長をしております藤井でございます。よろしくお願いいたします。
本日はお忙しい中、また、こんな時間にもかかわらず御参集いただきまして、心より御礼を申し上げます。
この分科会ですが、今回御議論をいただきます聴覚障害の認定方法の見直しにつきましては本年2月、もう1年近くになりますけれども、聴覚障害の認定が適正に行われたのかどうか疑念を生じさせるような事案の報道がなされたということをきっかけにいたしまして、認定方法の見直しの検討を求める指摘がございました。そうした指摘を踏まえまして、専門家から成る検討会において検討を行っていただいて、認定方法の見直しについてとりまとめていただいた次第でございます。
本日のこの会議では、検討会のとりまとめを踏まえた見直し案につきまして、御議論をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中課長補佐
それでは、以後の議事進行につきましては、葛原分科会長にお願いいたします。
○葛原分科会長
それでは、以後は私のほうで進行させていただきます。
今、藤井部長からお話がありましたように、今年2月に耳が全く聞こえないはずの人が立派な作曲をしているということで、私もあのテレビを視てすごく感動したのですが、実はよく聞こえていたということでちょっと興が冷めたような感じもするのですが、それも含めて認定制度がこのままでいいのかどうかということで検討会のほうで審議していただいた結果について、今日皆さんに御検討いただきたいということです。
この身体障害認定分科会というのは、そんなにたびたび開かれる会ではないのですが、今年はこれで2回目だと思います。この前は人工関節とペースメーカ、心臓の人工弁ということで、今日もちょっと整形外科の先生やあるいは障害に関連のある先生と話していたら、医学の進歩と障害の認定制度に随分乖離があって、大体50年ぐらい前の基準で認定しているということで、恐らく視力とかいろいろなところで同じことが起こっているのではないかと思いますので、ある程度科学と医学の発展を反映させたできるだけ客観的な認定基準ということが、今日の一つの課題ではないかと思います。
今日は非常に遅い時間から始めさせていただいているということで、できるだけ手際よく進めたいと思いますが、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○田中課長補佐
本日お配りしております資料の確認をさせていただきます。
資料1 疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会委員名簿
資料2 聴覚障害の認定方法の見直しに係る議論のまとめ
資料3 検討会のとりまとめを踏まえた見直し内容について
資料4 「身体障害認定基準の取扱い(身体障害認定要領)について」の改正案
資料5 「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について」の改正案
資料6 「診断書・意見書」の改正案
資料7 「聴覚障害に係る指定医の専門性の向上について」(課長通知案)
参考資料1 身体障害認定分科会について
参考資料2 身体障害認定基準等について
参考資料3 他覚的聴覚検査に相当する検査について
参考資料4 専門医の認定について(一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会ホームページより抜粋)
以上、お手元にございますでしょうか。
○葛原分科会長
いかがでしょうか。もしなければ、資料の差しかえをいたしますから。大丈夫でしょうか。
それでは、これから本日の議事に入らせていただきます。ちょうど湯澤委員も到着されましたので。
○湯澤委員
遅れまして、どうも申しわけございません。
○葛原分科会長
師走ですからね。
それでは、これから議事に入らせていただきますけれども、事務局から今日の議題について順次説明をお願いしたいと思います。
○田中課長補佐
本日の議事でございますが、まず資料2「聴覚障害の認定方法の見直しに係る議論のまとめ」で、今回の見直しの経緯、検討会における議論の内容、対応案について御説明させていただき、御質問いただいた後、資料3から資料7の具体的な改正案について事務局から説明し、御審議いただく予定でおります。
○葛原分科会長
では、そうしましたら、資料2について議題に入りますので、どうぞお願いいたします。
○田中課長補佐
資料2について事務局から説明させていただきます。
資料2「聴覚障害の認定方法の見直しに係る議論のまとめ」。これは「聴覚障害の認定方法に関する検討会」の議論のとりまとめでございます。
これまでの経緯ですけれども、平成26年2月に聴覚障害の認定が適正に行われたのか疑念を生じさせるような事案の報道がなされたことを契機に、認定方法の見直しについて検討することが課題となりました。
本検討会におきましては、今後同様の事案を生じさせないための方策について検討を行ってまいりました。
検討会の開催状況としましては、第1回目に現状の認定方法について、今後の進め方等の確認をいたしました。
第2回目に、関係団体からのヒアリング、研究班からの報告等を行いました。
第3回目に、これまでの議論について意見交換を行い、議論のとりまとめを行った次第でございます。
現状での聴覚障害の認定における聴力測定は、純音オージオメータ、いわゆる一般的な健診等で用いられております検査を主体として行うこととされております。
なお、障害程度の認定におきましては、聴力図、鼓膜所見等により、その聴力レベルが妥当性のあるものであるかを十分に検討する必要があるとされておりまして、現状におきましても必要に応じて指定医等の判断で、ABR等の他覚的聴力検査も実施されているところでございます。
本検討会における議論につきましては2点御意見がございまして、1点目は、詐聴や機能性難聴が疑われる場合のABR等の他覚的聴力検査の実施についてどのように考えるか。2点目は、指定医の専門性の向上を目指すべきではないかという御意見をいただいたところでございます。
一方で、認定を受ける方の負担が過度にならないといった点にも留意する必要があるとの御意見もいただきました。
これらを踏まえ今後の対応策としましては2点です。1点目は、詐聴や機能性難聴が疑われる場合の他覚的聴力検査の実施、2点目は、聴覚障害に係る指定医の専門性の向上、これらが考えられるのではないかとの認識に至りました。
今後の上記2点についての具体的な対応としては、以下のように考えられるというとりまとめになりました。
まず、1点目の他覚的聴力検査の実施についてですが、背景としまして詐聴や機能性難聴が疑われる場合には、ABR等の他覚的聴力検査等を実施し、総合的に判断することが必要でございます。しかしながら、定期的な検査の実施や申請者全員への検査の義務づけにつきましては、以下の理由により現実的ではないのではないかという御意見をいただいたところでございます。
まずは、認定を受ける方の精神的もしくは身体的な負担感があるということを当事者の聴覚障害の団体の方からヒアリングで御意見をいただきました。
また、医療機関における他覚的聴力検査機器の設置状況調査を自治体に対して行ったのですが、他覚的聴力検査機器のうち一番普及しているABRの設置状況におきましても、聴覚の指定医のいる医療機関全体で23.1%であるということ。うち病院では7割近くあるのですけれども、診療所におきましては5%にも満たない設置状況であったということ。
もう一点目、通常、聴力は段階を追って低下していくことが多いのですが、今回のケースのように、突然2級すなわち両耳全ろうの申請を行うといったことは非常にまれであり、そのような方は既に専門性の高い医療機関を受診していることが多いという御意見をいただいたところでございます。
このため、以下の場合について他覚的聴力検査を行うこととしてはどうかということです。
四角の中ですけれども、「過去に聴覚障害に係る身体障害者手帳の取得歴のない者に対し、2級(両耳全ろう)の診断をする場合は、ABR等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施し、申請の際には診断書に当該検査方法及び検査所見を記載し、その結果(記録データのコピー等)を添付することとする」このように検討会としてとりまとめられました。
次に、2点目の聴覚障害に係る指定医の専門性の向上について御説明いたします。
聴覚障害の診断は専門的な技能を要しますので、現在におきましても耳鼻咽喉科医が指定医の中核を担っていると考えられますので、指定医の中でも耳鼻咽喉科医の専門性を向上させる必要があるというところでございます。
御参考までに例えば、横浜市の平成22年度の調査によりますと、聴覚障害の申請789件は全て耳鼻咽喉科の指定医が診断書・意見書を記載しておりました。また、横浜市で平成25年度に新規に指定した聴覚障害の指定医12名は、全て耳鼻咽喉科医でした。
現在、身体障害者福祉法第15条第1項に規定する医師の指定につきましては、指定を受ける障害種別の診断に関する相当の学識経験を有する医師について行うこととなっておりますが、聴覚障害に係る指定医の新規の指定に当たっては、以下の条件を加えることとしてはどうかと検討会でまとめられたところでございます。
四角の中ですけれども、「聴覚障害に係る指定医を新規に指定する場合には、原則として、日本耳鼻咽喉科学会の専門医であることを推奨する。ただし、地域の実情等に十分配慮するものとする」。地域の実情といいますと、例えば、離島や僻地などで専門医ではない耳鼻咽喉科医または耳鼻咽喉科以外の医師を指定する場合におきましては、聴力測定技術等に関する講習会の受講を推奨することなどとしてはどうかと、検討会としてとりまとめられました。
なお、新規以外の全ての指定医の専門性の向上を図るために、例に挙げております講習会等を活用することも考えられるという意見がございました。
以上が、聴覚障害の認定方法の見直しに係る議論のまとめでございます。
○葛原分科会長
どうもありがとうございました。
検討会の先生方がまとめてくださった現状と問題点、今後の方向について、特に急に2級の申請をすることになったときには、ここに挙げられているような検査を行うことが必要であることと、もう一つは、横浜市の例の作曲家にしても、多分専門医の方が書かれたのではないかと思いますが、いろいろな指定医の新規の指定、従来指定されている方は別として、それなりの聴覚に関する資質のあるトレーニングを受けた方にお願いするという2点が骨子になっていると思うのですが、これらについて何か御意見ございますか。これはまだ法律の内容ではなくて、こうやったらどうかという提言の内容だと思いますけれども。
加藤先生どうぞ。
○加藤委員
これを見てみると自覚所見だけで認定している可能性が非常に高い。したがって、客観的に耳が不自由であるということが認められなければ身体障害者手帳を出す必要はないというのが意見です。
○葛原分科会長
非常にはっきりした御意見だと思うのですが、ただ、感覚器障害というのは自覚症状でしかなかなか認定できないというのも現実だと思うので、実際に検討されてそういう問題も議論されたかと思うのですが、奥野先生、中村先生、検討会の内容で解決策としてどういうことがあったのか、少し御披露いただければありがたいと思います。
○奥野委員
今、実際、他覚的聴力検査を用いているのは小児のうち新生児のろうのときは反応などはわかりませんので、必ずABRで反応をとって認定して、純音聴力検査が行える段階になったら、もう一回認定を見直しということになっております。成人に関しては、急に2級になる代表的なものに髄膜炎後難聴というのがあります。そういう場合は必ずABRをとっているはずではないかと思います。
最初にこの身体障害者福祉法が決まった時代は、やはり純音聴力検査というのがスタンダード、今でもスタンダードではあるのですけれども、ABRはかなり普及しています。23%と書かれていますけれども、先ほど話題に出ました耳鼻咽喉科専門医というのがありまして、その専門医の研修認可施設が640施設あるのですけれども、そこにはABRがあることというのが義務づけになっています。それは各都道府県にありますし、複数そういう病院がありますので、ABRというのは妥当ではないかと思います。
一般的にABRは高音を反映するといって、一番聴力に大切な1,000Hz、500Hz、2,000Hzというところを直接反映するわけではないので、ちょっと欠点があるんですね。それだけで判断するのはやはりまずい。大体患者さんは病気を持って病院にかかっていますので、そこでまず行う検査は純音聴力検査ですし、6級、4級、3級、2級と悪くなるのが普通なので、そういう方に関しては治療も受けておられることでしょうし、今のままではどうかと。疑義がありました詐聴とかそういうものに関しては他覚的な聴力検査で確認をするのがいいのではないかという結論になりました。
○加藤委員
2ページの7行目にありますが、ABRの検査は決して耳が聞こえにくい方の負担にはならないと私は思います。
それから、突発性難聴という疾患がありますが、これは治る可能性もあるので、突発性難聴になっている期間に身体障害者手帳を出すのでしょうか。質問です。
○葛原分科会長
先生、でも突発性難聴というのは普通片方だけですよね。
○加藤委員
ですから、そのときにABRが必要なんですよ、聞こえないのだから。
○葛原分科会長
もし、奥野先生のほうでお答えできるのでしたら、お願いします。
○奥野委員
わかりました。一般的なことで言いますと、私どもが患者さんを拝見しているときに突発性難聴で聞こえが悪いときに、いきなり身体障害者手帳の意見書を書くということは常識的にはいたしません。
○加藤委員
わかりました。
○葛原分科会長
坂谷先生どうぞ。
○坂谷委員
指定医の専門性の向上についての部分ですが、経験上呼吸器もそうですが、実際の患者さんからデータをとりますのは、クリニックだったらナースでありましたり、病院でしたら検査科の技師さんであったりするわけです。ですから、実際に患者に対して検査をする実務担当の人の講習会のほうを重要視すべきだと思います。
それから、本題から外れますが、聴覚障害にはどうして1級がないのでしょうか。2級が最高になっているのはなぜですか。
○奥野委員
私も難聴の方の御苦労を思いますと、1級があっていいのではないかという意見はあります。
○葛原分科会長
視力の方は1級までありますよね。ですから、多分それは当時の考え方で法律ができたときに、1級というのはこの程度ということで決めたときに、聴力の場合は全盲よりは軽いということでこうなったのではないかと思いますが、厚生労働省のほうでその辺の歴史がわかる人はいますか。
加藤先生どうぞ。
○加藤委員
1級であろうが、2級であろうが、3級であろうが、身体障害者手帳をもらえば級数は関係ないでしょう。
○田中課長補佐
自治体によっては医療費助成等の自治体独自の制度を受けられるかどうかが級数によって変わる場合もあります。
○加藤委員
自治体によってはでしょう。一般的にはどうなんですか。
○田中課長補佐
障害福祉サービスを受けるに当たっては等級は関係ございません。
○葛原分科会長
障害福祉サービスではなくて、例えば税金とかいろいろなことでは、やはり1級と2級はかなり違うみたいですよ。
○加藤委員
何の税金ですか。
○葛原分科会長
収入に対する税の控除ですとか、医療費の助成とか。
○加藤委員
医療費は皆さん無料です。それは地方自治体によるけれども、身体障害者手帳をいただいている方は一般的には交通費には補助が出て、乗り物などについてはタクシー代が出るとか、通院費が出るとかそういうことが一般的にあるので、それは国の問題ではないと思います。
○坂谷委員
もう一つ。他覚的聴力検査の実施について2ページのところですが、定期的な検査の実施や申請者全員の検査の義務づけについて、かなり負担になると書かれておりますが、呼吸器の領域では業務上の障害、労災の手帳をもらえば毎年検査をすることになります。喜んでではないですけれども、きちんと検査を受けてもらっておりますし、主治医からの報告書が必要になってくるのですが、やはりきちんとしたことをしようということであれば、定期的な検査や全員の検査の義務づけは、行う方向へ慎重に考えたほうがいいのではなかろうかと思います。
○葛原分科会長
この負担というのは多分、聴覚障害者団体の御意見としてこういうものが出されたと、読むとそのように書いてありますので、検討された先生方の御意見ではなかろうと思います。
先生も委員として参加されていて、いかがでしょうか。
○中村委員
この発端のところに、聴覚障害がおありになる方が何か間違った基準で認定されているのではないかという疑念を持たれることがないようにというのが出発点だったと理解しております。その上での聴覚障害者団体さんから御意見を伺うことだったと思っております。
それから、全員に他覚的検査をやるべきというのも意見としてはあり得ると私も思います。ただ、恐らく現実的ではなかろうというのも臨床医としてはよくわかる気がいたします。したがって、どういう場合に本当に問題になるかを階層化、区別化していったときに、専門医であれば病歴が既にあれば、それは患者さんと話をすれば態度でもわかるというのが専門医の先生方の御意見でした。基本的にはわかると。
ただ、わからないのは、その人に対する病歴等の聴取に際して、十分な時間が使われていない場合で、両側が全ろうだという場合が困難であると、専門医の先生の御意見はそこに集約されたと思います。その話をお聞きしているとそのことは臨床医としては非常によくわかるところです。全てを他覚的検査というのは医学ではあり得ないことでして、私の領域でも徒手筋力テストというのがありますが客観性がどのくらいあるかと言われるとやはり問題はあり、専門医が検査を行うことで信頼されている、あるいは一定の資格者が行った値については信頼されるということでテストがなりたっているので、それはどこまで詰めても、例えば、脊髄損傷にしても徒手筋力テストというものは必ず脳を経由します。恐らく身体障害の中でそういう検査が不可避な領域は恐らくたくさんあるだろうと思います。
専門医の先生方も一番そこを問題視して、基本的にはそういうことが問題になる人は数としても例外的であると。ですから、エネルギーをそういう判定が困難になりうる人のディテクトに集中すべきではないかというところが専門医の先生方の御意見だったと思います。聞こえにくいと言っている全ての人についてこれをやるというのは、機器の数から、パーセントからいっても事実上不可能だろうと、医療の現場では無理のような気が私はいたします。ですから、専門医の先生が困難さを階層化して、どこが問題か。そのときに前提になるのが、専門医であるということですので、そこの資質の向上がもう一つつけ加わった議論であったと私自身は理解して賛成したところです。
私の考えは以上です。
○葛原分科会長
加藤先生どうぞ。
○加藤委員
耳が聞こえにくい方に関して年齢制限はありますか。例えば、高齢者になるとほとんどの方が難聴になりますし、それとは関係なく補聴器をつければ聞こえるという場合は、どうなのでしょうか。厚労省に質問です。
○葛原分科会長
補聴器のことはまた後で出てきますけれども、基本的には補聴器をつけていないのが前提になっていますね。だから、眼鏡とは大分違うわけです。
○加藤委員
そうではなくて、補聴器をつければ聞こえるということであれば、身体障害者手帳を与えるのではなくて、優良な補聴器を差し上げればいいと私は思います。
それから、高齢化が進むと必ず難聴になるので、その方々を検査したときに本当に難聴で補聴器でも聞こえないという場合には身体障害者手帳を出すのですか。厚労省に質問です。
○田中課長補佐
基準に該当すれば高齢者に対しても身体障害者手帳を出すことになります。
○加藤委員
そうすると、高度の高齢化社会になったときには、難聴による身体障害者手帳が乱発されることになると思いますけれども、それでいいのですね。
○葛原分科会長
先生、それはもう乱発されていると思いますよ。現にそういう条件を満たせば、申請があれば多分OKしているはずですから。
○加藤委員
わかりました。
○葛原分科会長
そろそろ実際の中身にいきたいのですが、今、加藤先生がおっしゃったところは、通し番号になっていないので見にくいかもしれませんけれども、「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について(抜粋)」の10ページ、通し番号をつけておいてもらったほうが早くわかるのだけれども、そこに質疑として、人工内耳等で耳が聞こえるようになった場合あるいは補聴器と同じように、どこの時点で障害と判定するかという答えは、補聴器をつけていないとき、要するに障害がある時点で判定しようというのが厚労省の想定問答になっていますから、仮に眼鏡もだめだということになれば私たちも完全に2級ぐらいに該当するのですけれども、耳に関しては目とは大分違いますね。そういう基準になっているということで現時点では御理解いただきたいと思います。
○加藤委員
わかりました。
○葛原分科会長
それから、もう一つ、さっきのABRも奥野委員から新生児とか子どもでは純音オージオメータによる聴力検査ができないということでしたが、私たちがABRを使うときは昏睡状態とか脳死でコミュニケーションがとれないときに使うので、コミュニケーションがとれるときは基本的には本人の申請に従ってということになってしまうんですね。ですから、さっき中村委員がおっしゃったように、感覚器に関しては徒手筋力テストにしても私たちの反射などにしても、客観的に見えるような検査も専門医がプロフェッショナルな良心に従って、しかも、患者さんが本当のことをちゃんとやってくれているというのが全部前提になっているわけで、どちらかがだめだったら本来なら成り立たないと。でも、そういうのは非常に少数であろうということを前提にまとめられたということですよね。
○中村委員
もう一つ言い忘れたのですけれども、聴覚の場合も、純音オージオメータについても、これはおかしいと思ったら検査をすればわかると。要するに、波の落ち方とか、どの範囲で落ちているかというということを精査すると、その人の訴えていることと合致するかどうかは専門医であれば完全にわかると。問題は、全く聞こえないと言われたときに調べようがないと。しかし、病歴がわかっていればそういうことはないわけなのです。だから、専門医でなければいけないということは確かで、専門医ならディテクトできるということです。そして、彼らの経験によると、そういうことが問題になる人は極めてまれであると。そういう状況において全て他覚的検査が必要だというのはちょっと無理があると。
それから、先ほども言われていましたように、では他覚的検査が完全かというと、そうではないということがもう一つの問題で、結局総合判断になる。そうすると、総合判断ということは専門医のクオリティーを上げて専門医に判定してもらう以外に、現実に障害や医療の現場ではあり得ないと、そういう疾患は他にも私はたくさんあると思います。
○葛原分科会長
聴力、視力、しびれ、痛み全部そうなんです。だから、医者のほうもちゃんと診る能力があって、患者さんも本当のことを正直に言っているという両方が前提になっている。たしか2年ぐらい前でしたか、札幌市でお医者さんと患者さんがぐるになってというのがあって、あんなものはどっちかの条件が満たされていなければ成り立たないわけです。だけれども、ほとんどの医師や患者さんはそういうことはないだろうということを前提に組み立てられているということで、加藤委員がおっしゃっていることは私もよくわかるのですが、そういう方は例外的だと。
○中村委員
そうなんです。そこで大事な点は、専門医の先生がおっしゃることで私がなるほどと思ったのは、実は丁寧に診察をしたり話を聞けばわかると。それは私も自分の領域で、この人は何か変だと思うのはあるわけです。そういったことは臨床ではゼロではないので、この状況でこの筋力テストの結果はおかしいとか、そういうのはわかるわけです。そういう場合は確認をする工夫を専門医はするわけなので、それが前提になっているというのが専門医の先生方のお考えです。だから、資質を上げる必要はあり、難聴の領域もそういうところがあるということが専門医の先生が非常に強調されたことで、私も初めはいろいろお聞きしたりもしましたが、納得した次第です。
○葛原分科会長
加藤先生どうですか。このぐらいで次にいきたいと思うのですが。
○加藤委員
では、これでおしまい。先ほど先生は反射とおっしゃいましたけれども、反射というのは客観的な問題です、先生の専門です。しびれもちょっと調べればわかると思いますが、本人が痛い、本人が聞こえない、ただそれだけではやはり自覚症状です。ですから、それは客観的にきちんと決めない限りこういう手帳を出してはいけないと私は思います。例外的にそういう方がいるということも確かです。しかし、例外があってはいけない。そのためにやはり専門医というものが必要で、先ほどから委員がおっしゃっているとおり、多方面から検査して身体障害者手帳を出すべきであると私は思います。
○葛原分科会長
飯野先生どうぞ。
○飯野委員
その検討会では今回の症例に対して、なぜこういうことになったかというのは検討なさっているのですか。
○奥野委員
私も全て知っているわけではないのですけれども、かかっていた医療機関と別のところで認定がされているらしいんですね。
○飯野委員
そういうところをこれで防げるかどうかは。
○奥野委員
例えば、今回の症例でポッと外来に来て、全く聞こえませんと言って、純音聴力検査も全く聞こえない反応を出した場合に、今回のABRを行うということで防げると思います。
○飯野委員
でも、今回も専門医が診ているわけですよね。
○奥野委員
そうなんですよね。
○飯野委員
そこのところは、その専門医に聴取して検討しているのですか。
○中村委員 現実には、お名前とかそういうことまでは私の場合は掌握しておりません。内容のどこに疑義があったのか、詳しく耳鼻咽喉科の専門医であったかどうかについては。
○飯野委員
そうすると、また同じことが起こる可能性がありますよね。
○中村委員
そうですね。
○葛原分科会長
先生、私は難病のほうにも関係しているのですが、これは防げないと思うんです。ですから、できるだけ数を減らして少なくする努力しかできないと思います。例えば、難病を診断するときに神経系で私たちのところに来て、これはその病気ではありませんと言いますと、そういう病気の診断名をつけてくれる先生のところに行きますから、日本の今の医療というのはそういうところがあるわけですから、こういう方は本当に例外だと、ほとんどのお医者さんと患者さんは良心的に行動しているということを前提に組み立てるということしか言えないのではないかと思うんです。ですから、防ぐのは非常に難しい。特に札幌市のように、患者さんと医者とがぐるになってやっていたのがありましたよね。ああいうことになったら絶対防げないわけですよ。それは患者さんの団体とか医師の団体でその辺のことをきちんとやっていただくしかないと、制度だけでは私は防げないのではないかと思います。
○奥野委員
防げるかという御質問に対してなのですけれども、今回のようにABRの結果だけではなくて、方法と検査データと全てを添付して申請してくださいということでは防げると思います。
○葛原分科会長
ということは、その後は審査会のほうの問題になるということですか。
○奥野委員
そうですね。
○葛原分科会長
結局、加藤先生とか飯野先生がおっしゃっているのは、Sさんは本人が非常に有名な人だし、それから、専門医が診ていて防げなかったものが、今回の改正で防げるかどうかということだと思うんです。私は、やはりこれはそういうことで組み立てる法律とか制度ではないと。医者も良心的、患者さんも良心的、そこを信じてということで、どちらかが意図的にやった場合は防ぐのは非常に難しい。そこをどうするかというのは、ここには多分書いていないだろうと思うんです。だけれども、できるだけそれを減らす、あるいは少なくするにはどうしたらいいかということが書かれている内容だと理解したのですけれども。私の理解が間違っていなければ。
加藤先生どうぞ。
○加藤委員
結局は基準です。基準を満たすか満たさないかということで、基準をいかに厳しくするか、緩めるか。後で出てくると思いますけれども、基準だと思います。
○葛原分科会長
ということで、後の議論がこれだけやったら簡単にいけばいいのですが、次は実際に資料3~7の具体的な内容についてお願いいたします。
○田中課長補佐
では、実際にどのように見直しを行うのかというところを資料3~7を用いて説明いたします。
まず、資料3です。横の1枚紙ですけれども、「検討会のとりまとめを踏まえた見直し内容について」という資料をごらんください。
まず、他覚的聴力検査の実施についてですけれども、1点目は、資料4ですが「身体障害者認定基準の取扱い(身体障害認定要領)について」の改正案を示しております。資料4をごらんください。
こちらは、社会・援護局障害保健福祉部企画課長から各都道府県、指定都市、中核市の障害保健福祉主管部(局)長宛ての通知の案でございます。
2ページ目からは、身体障害認定要領の改正案になります。下の下線部分ですけれども、今回この下線部分「なお、聴覚障害で身体障害者手帳を所持していない者に対し、2級を診断する場合には、聴性脳幹反応等の他覚的聴覚検査又はそれに相当する検査を実施し、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を記載し、記録データのコピー等も添付すること」、このように認定要領に加えさせていただくことを提案しております。
次に、資料5をごらんいただければと思います。「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について」の改正案でございます。こちらも障害保健福祉部企画課長から各都道府県、指定都市、中核市の担当部(局)長宛てになっております。
この通知案ですけれども、裏側を見ていただきますと、現行のところには書かれておりませんが、改正後の疑義照会におきまして、質疑で加えさせていただいております。
8.認定要領中、「聴覚障害に係る身体障害者手帳を所持していない者に対し、2級
を診断する場合、聴性脳幹反応等の他覚的聴覚検査又はそれに相当する検査を実施」
とあるが、
ア.過去に取得歴があり、検査時に所持していない場合はどのように取り扱うのか。
イ.それに相当する検査とはどのような検査か。
このような質疑を想定して回答を作成しております。
回答としては、
ア.過去に取得歴があっても検査時に所持していない場合は、他覚的聴覚検査等を
実施されたい。
イ 遅延側音検査、ロンバールテスト、ステンゲルテスト等を想定している。
とあります。
イに挙げた検査について、参考資料3をごらんいただきたいのですが、例えば、2)のロンバールテストですが、これは簡単な物語などを被験者に読ませるなどして連続的に発語させている状況で、60dB以上程度の連続的な雑音を聞かせるという検査でございます。実際に耳が聞こえていれば、その連続的な雑音をだんだん大きくすると、それにつられて自然に声も大きくなるというロンバール現象というのですけれども、そういったものを利用して耳が聞こえるかどうか、詐聴ですとか機能性難聴の判断に使うというもので、これは南山堂の日本聴覚医学会編集の教科書に書いてあるものを紹介させていただいております。
また、この他にも臨床において専門的な検査がいろいろあると伺っております。そのような検査をABR、またはそれに相当する検査と想定しているところです。
次に、資料6をごらんいただきたいと思います。こちらは、診断書・意見書の様式の改正案を記載しております。こちらは、障害保健福祉部長から各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長宛ての通知案になっております。
2ページからが実際の聴覚障害の医師の意見書になりますけれども、今回新規に(5)身体障害者手帳(聴覚障害)の所持状況の有無を聞く欄を追記しております。
次に、2点目の指定医の専門性の向上についてですけれども、こちらは資料7に課長通知で以下の内容を記載しております。こちらは課長から各都道府県、指定都市、中核市の担当主管部(局)長宛てになっております。
「記」の後にありますように、
1.聴覚障害に係る法第15条第1項に規定する医師については、原則として、耳鼻咽
喉科学会認定の耳鼻咽喉科専門医(以下「専門医」という。)を指定すること。
2.地域の実情等により、専門医ではない耳鼻咽喉科の医師又は耳鼻咽喉科以外の医
師を指定する場合は、聴力測定技術等に関する講習会の受講を推奨するなど専門性
の向上に努めること。
といったように、課長通知案をさせていただいております。
資料の説明は以上です。
○葛原分科会長
どうもありがとうございました。
具体的には今、示された資料6が新しい申請書になるということですか。意見書改正案というのが今度新たに障害認定のときに出てくる、こういう書類で今後は実施するということですか。
○田中課長補佐
そうです。診断書・意見書の改正案は資料6になります。
○葛原分科会長
先ほどの検討委員会の意見を踏まえて、新たにできたいろいろなQ&Aやあるいは新しい、特に(5)に聴力に関しては従来の所持状況とかあるいはこういう検査が望ましいというのが入っているということですね。
ごらんになっていかがですか。どうぞ。
○加藤委員
そうすると、今まで耳に関する身体障害者手帳を持っている方でも、更新の際にはこれらの検査を受けているという証明がなくてはいけないということになるのですね。
○田中課長補佐
いえ、これまで持っている方は受ける必要はないです。いきなり2級を申請する場合は検査を受ける必要があります。
○加藤委員
そうではなくて、途中で書いてありませんでしたか。それだと、いわゆる主観的で手帳を持っている方と、客観的に調査した方との間に落差がありますよね。今たしか、従来持っていた方でもそれを出さなければいけないと言いませんでしたか。
○葛原分科会長
先生、身体障害者手帳は既得権には触れないという形になっています。だから、既に出されている方をぶり返すことはしないという形です。
○加藤委員
資料5の裏の回答のところ、これはどういう意味ですか。
○田中課長補佐
これは、例えば、小児期に聴覚で身障者手帳の取得歴があっても、それを一旦お返しになった場合等で、また新たに2級として申請する場合にはいきなり2級に該当するので、他覚的聴覚検査を実施されたいということです。
○加藤委員
そうではなくて、上の質疑の8で「2級を診断する場合、聴性脳幹反応等の他覚的聴覚検査又はそれに相当する検査を実施とあるが、ア.過去に取得歴があり、検査時に所持していない場合はどのように取り扱うのか。イ.それに相当する検査とはどのような検査か」ということの回答が、その下のアとイですよね。そうすると、自覚的な症状だけで身体障害者手帳を持っていた方に関しては取得歴があるわけだけれども、質疑の中の答えとして他覚的聴覚検査を実施されたい。イは先ほどお話しになったような、私は専門家ではないのでわからないけれども、このような検査を想定しているとあるので、これは小児とは関係ないでしょう。
○田中課長補佐
もちろん小児に限らず過去に身体障害者手帳を持っていた方でも、2級として診断する際に手帳を持っていないという場合には他覚的聴覚検査が必要ということです。
○加藤委員
持っていないのが当たり前なんですよ、これから持つのだから。これは持っている方に対する質疑でしょう。
○葛原分科会長
これは現在、聴覚の身体障害者手帳を持っていない方というのが前提になっていて、そういう方が突然2級を申請された場合か、過去に持っていても新たに2級を申請するということですよね、奥野委員、ここに書いてある内容はそういうことですよね。
○奥野委員
この質疑は私が書いたものではないのであれですけれども。
○葛原分科会長
ですから、今3級か4級を持っている人が2級を申請される場合は該当しないということになりますよね。
○奥野委員
はい。
○葛原分科会長
いいか悪いかは別として、ここから読み取れるのはそういうことだということです。
○加藤委員
わかりました。そう読み取ります。
○葛原分科会長
多分御意見がある方もいらっしゃるかと思いますけれども、そういう具合に書いてあるということだと思います。
あと、いかがでしょうか。具体的にはこれでうまくいくかどうかということだろうと思いますけれども、私から1つ質問は、こういうものをやりなさいというのは、書いた人ではなくて実際には審査会のほうで決めるわけですか。というのは、書いた人はこれでよしということで2級の申請をされたりするわけでしょう。それとも、これで言うと、2級を最初から申請して現在何の手帳も持っていない人には全員に義務づけるということでよろしいのですか。
○田中課長補佐
そうです。身体障害者手帳の所持がなくいきなり2級の申請をされる方はABR等の他覚的検査の結果がなければ、受付もできないということです。
○葛原分科会長
ということは、どんなに軽くても4級か5級を持っていて2級を出されても、これはこの対象外ということですね。
○田中課長補佐
そうです。
○葛原分科会長
それでいいのかどうかというのもちょっと意見があろうかと思いますけれども。
○坂谷委員
申請の受付をしないというのはどこでわかるわけですか。窓口で審査会にもかけないということに。それはどこに書いてありますか。
○田中課長補佐
資料4です。企画課長から各自治体の障害保健福祉主管部(局)長宛てに出しておりまして、身体障害認定要領に下線で記載しております。
○坂谷委員
添付することと。では、ついていないではないかということではねるということですね。わかりました。
○葛原分科会長
あと、これに該当しなくても、読んでいて明らかにおかしいと思った場合にはどうするかというのは、ちゃんと決まっているのですか。審査会で差し戻すなり、こういうことをしてくださいという要求ができるか。例えば、今回の作曲家の人でも聞いていたら、記者さんか何かがインタビューするのに電話で打ち合わせを本人としたと言うんです。行っても間に人を介さずにちゃんと取材できたというので、私はそれで聞こえないといって報道した記者も記者だと思うのだけれども、やっぱりそういうことに関して審査会のほうでおかしいと思ったときに、これをしてくださいという注文をつける制度というのはあるのですか。
○田中課長補佐
それは今でも必要に応じて行っております。
○葛原分科会長
そこら辺もちゃんと機能していないという感じがしますよね。別のところで別の障害のことをやっていたときも、目が見えないという1級か何かの人が車を運転しているという投書があって、それで審査し直したというのがありましたけれども、こういうことというのは現実には例外なんだけれども、あるんですよね。だけれども、こういう制度はそういう人を対象に考えているのではないということを理解せざるを得ないのではないかと、私はある程度割り切っているのですけれども。
加藤先生どうぞ。
○加藤委員
身体障害者手帳というのは、たしか毎年診断書を必要とすると思うのだけれども、3年ごとでしたか、5年ごとでしたか。
○田中課長補佐
基本的には、例えば医学の進歩で症状がよくなったりですとか、成長に伴って症状がよくなったりとか、逆に悪くなったりということがない限り再認定は行いません。
○加藤委員
いや、そんなことはないですよ。例えば、心臓の身体障害者手帳というのはちゃんと病院に行って大きな証明書に書かせますよ。
○坂谷委員
呼吸器の身体障害者手帳、さっき言いました労災は別ですが、身体障害者手帳は一遍取れば取り切りです。
○加藤委員
手帳はもらえるのだけれども審査が厳しいから出るわけであって、例えば、心臓の弁膜症で弁を置換している人が出るのは当たり前なんですよ。それはずっともらっていていいんです。心臓の場合はいいのですけれども、腎臓の専門の先生もおられますけれども、そういう場合は一体どうなっているのでしょうか。
○飯野委員
腎臓の専門医ですけれども、やはり1回でそのままだと思います。もし、移植とかそういうことでまた変われば別ですけれども。
○加藤委員
手帳を取り上げるとか取り上げないという問題ではなくて、原疾患があるということ、決して治っていないということ、病状が確かにあるということの証明書は年に1回出しておられませんか。
○田中課長補佐
事務局から補足なのですけれども、参考資料2をごらんいただきたいのですが、身体障害認定基準等について、これは現在の基準ですけれども、18ページに、再認定の取り扱いについてとございます。これを見ていただきますと、基本的には身体障害者手帳の対象になる方は、障害の状態が永続していることが前提としてございますので、再認定は原則としては要しないということですが、ただ、障害の状態が更正医療の適用ですとか、機能回復訓練等によって軽減する等の変化が予想される場合には再認定を実施することとありまして、3に具体的取扱いには次によることといって、このように具体的な例が挙げられております。
○葛原分科会長
大体障害の制度自体が1回そうなったら、あとは永続的で不変だという病気が前提になっていますので、しかも、よくなったから手帳はもう要りませんと来る人は非常に少ないですよね、一般的に言うと。だから、もともとそういう良くなる病気は対象になっていないということだろうと思います。
私から1つちょっと疑問なのですが、Q&Aのところの10ページで4番目の人工内耳の埋め込み術後とか、私の友達で最近の人工内耳をやっている人から言うと、ほとんど聞こえなかった人が若い人は歌まで歌えるようになったと言っていましたが、老人でこうなった人が今まで聞こえなくて、奥さんが何を言っているか全然わからなかったのが、毎日小言を言っているのがよくわかるほどよく聞こえるようになったと言って、今はそれくらいいいのだそうです。
私が聞きたいのは、この前の循環器とか人工関節のときには、今までは手術をすれば一律に等級が重く認定されていたけれども、これまで歩けなかった人が術後にスポーツができるようになったら、前は1級になっていたようなものが、今度は軽いほうに認定する方向に変わったというのがあったのですが、障害のほうも現代医学の手術なり処置でよくなったら等級が軽くなるという具合に理解しておったのですが、これは全くそういうものが反映されていないので、同じような法律なのに障害の種類によって齟齬があるのではないかと、これはおかしいのではないかと思って見ていたのですが、それはどうなんですか。
○奥野委員
歴史の長さが違うのだと思います。ペースメーカはずっと昔からかなり行われていて、皆さんに行き渡り、皆さんがその恩恵を享受していると。人工内耳に関しては安定してきてはいるのですけれども、ペースメーカほど全て普及していないというか、一般的でないというところがあるのだと思います。
○葛原分科会長
では、あと50年ぐらいたったら、また見直しになるだろうとそういうことなんですかね。
○中村委員
人工関節ですと、日本に導入されたのは昭和40年の後半で、いろいろな施設で少しずつ始まったということです。その後成績も安定して、取りかえ手術の必要性についても経過を大体15年とか20年見ても問題が少なく、相当長期にわたり使用できるということが認識されてきた上での今回の話だったのではないかと私は思いますが。
○和泉委員
ペースメーカ植込み術が21世紀に入る前に安定したと、10年以上安定したアウトカム出しているとの考えが広まった後で学会のほうからそろそろおかしいのではないかという指摘があって、それからさらに14~15年かかって障害認定基準が更新されました。ですから、先生のお考えからすると、その半分ぐらいのスピードで歴史が動いているのではないかと思います。
○葛原分科会長
理由はわかりましたので、やはりもうちょっと普及したらというのは、今日ここに来る途中にリハビリの先生と話をしていたら、人工関節は歩けない人よりも、手術して歩けるようになった人のほうが障害度が重いというのは、患者さんのほうから非常に不公平だという問題がずっと続いていたそうなんです。そういう問題はこういうことでは常に出てくるので、今はリハビリテーションも障害で見るのではなくて、機能がどれだけよくなったかで見るという具合にリハビリの視点が変わっていますから、こういうものも、何ができないかではなくて、この人に何ができるかという点で見直す時期に来ているのではないかと。しかも、医学の発展が全く反映されていない制度の一つですから、その辺もちょっと考えてもらったほうがいいのではないかと。これは視力だって一緒だと思います。それが、またそういうものを普及させる一つの原動力になると、もっとみんな評価を軽くできるのではないかという気もしますが、これは私の私見なので今回の議論とは直接関係ないのですけれども。
まだほかに何か質問はございますか。坂谷先生どうぞ。
○坂谷委員
くどいようですが、身体障害者程度の再認定の取り扱いについて、18ページですけれども、再確認のための審査が必要なケース、この症例は再確認が必要である、手帳の再交付のための審査が必要であるというのは、どこでだれが決めるのですか。これを読みますと、初回に等級をつけて手帳を交付するときに、この人は将来再確認が必要ですよということを初回の審査のときに決めるようにとれるのですが、それでいいのでしょうか。
○田中課長補佐
そうですね。障害種別に診断された指定医の方が、この方は再認定が必要かどうかというのを専門的に御判断されることになります。
○坂谷委員
ということは、これに引っかからなければ、等級が進んだときは患者のほうから申請があるでしょうけれども、一旦もらえれば、その後ずっと死ぬまでその等級のままであるということですね。
○葛原分科会長
先生、そのとおりだと理解されていいと思います。というのは、私などが書くもので脳卒中の後の身体障害者手帳というのがあって、これは大体半年ぐらいたって固定したというときに見るのですが、やはり半年たってよくなっている方の場合は見直しというところに丸をしますけれども、丸をしない限りは永続的に続くというふうに理解して割り切っておいたほうが、迷いがない制度のように思います。
○伊藤委員
おっしゃるとおりなのですけれども、基本的には私たち医師がその患者さんを診ている場合、そういうことが事実としてあると主治医が判断した場合は、それを指摘するというのが一応基本的な立場なんです。それはやはり専門医とかあるいは患者さんを診ていらっしゃる先生がそういう気持ちでやっていただかないと困るのですが、先生がおっしゃるとおり、本人が無視すればそれまででございますので、結果的にはそういうことになると思いますけれども、我々はそういう態度で接するということです。
○葛原分科会長
ですから、今のご意見をフォローしますと、私は専門医の技術の向上だけではなくて、医師としての専門性とか倫理もちゃんとやらないとよくならないと。検査結果だけで見るのではなくて、だから、今度、難病の指定医に関しても自分が専門医として恥ずかしくない書類を書いてくださいというのをつけたらどうかというのがあるのですけれども、やはりそういう種類のことをぜひ学会のほうも行っていただきたい。だって、オージオメータは普通技師さんがちゃんとやっていますよね。問題はそこでどう判断するかというのが問題になっているのではないかということと、将来的には全部の制度に関して定期的に、5年に1回見直すということも必要なのではないかと、私はもうそろそろこの委員も辞める年になったのですが、常々考えていることです。
○加藤委員
私は身体障害者手帳ではないけれども、数十年やっていますが、予防接種の接種後の健康被害を認定するときに、莫大な資料を読んで私たちが認定するかしないかということを決めているんです。したがって、聞こえるか聞こえないかくらいで身体障害者手帳を出すということは、審査会が決めるのだろうけれども、私から見たら少し甘過ぎる。そういうような重い審査を経た上で身体障害者手帳を得た人が一生もらえるということであると理解しています。
○葛原分科会長
飯野委員どうぞ。
○飯野委員
私も葛原先生の意見に賛成なのですけれども、やはりこういう規定は弱者を救うという観点でできていますから、どうしても悪いドクターがいれば、それは見逃されてしまうと思います。
1つ質問なのですけれども、ここで確認なのですが、3級から2級になるときにABRは要らないわけですね。そうすると、期間的なものはどうなるかです。1年経過するのか、3級を取って1カ月後に2級をとったらABRが要らないと判断してよろしいのでしょうか。
○葛原分科会長
そういうような盲点を突いてくる人はいっぱいいると思いますが、いかがですか。
○田中課長補佐
例えば、3級、4級、6級を取ってから2級を申請する方もいるのではないかというのは検討会の中でも御指摘はあったのですが、基本的には全く聞こえないという2級は比較的偽りやすいのですが、それ以外の級を偽るのは難しいのではないかという御意見もありました。
○飯野委員
専門医が甘くしたらそうなる可能性はあるのではないかという疑念だけです。今回の場合もそうではないかなという気はしますけれども。
○田中課長補佐
基本的に期間などを制度の中で定めるのではなく、あくまでも指定医が患者さんの状況に応じて個別に御判断いただくということになるかと思います。
○葛原分科会長
では、発言していらっしゃらない先生、ぜひ1年に1回か2回は発言して帰ってください。
○井上委員
専門医と指定医の数というのはどうなっているのですか。耳鼻咽喉科の専門医というのはどのくらいいらっしゃって、指定医がどれくらいというのをお伺いしたいと思うのですけれども。多分、地域格差が大きいと思うんですね。実は小児科などでも小児科専門医と言っても東京には集中しますけれども、北陸のほうにはほとんどいないとか、そういう状況がございますので、ちょっと教えていただければと思います。
○田中課長補佐
聴覚障害に係る指定医が、実は聴覚だけではなくて、平衡機能も含んだり指定医の重複もあるので必ずしも純粋な数ではないのですけれども、調査によると1万3,164名です。また、一度指定医になると辞めたという申請をされないこともあると思いますので純粋な数ではない可能性もあるのですが1万3,164名で、日本耳鼻咽喉科学会の専門医は8,700名となっています。
○葛原分科会長
耳鼻咽喉科の専門医の8,700名の方のほとんどは持っていらっしゃるということになるのでしょうか。
○奥野委員
そんなことはありません。なので、耳鼻咽喉科以外の指定医の方も多いです。
○葛原分科会長
1万3,000とか今おっしゃっていましたよね。では、素人の医者と言っては言い方が悪いけれども、そういう方はかなりしていらっしゃるということも。やはりこれは税金で賄われていることですから、今度、難病も専門医が望ましいということで一応法案の中に書くようにしたのも、やはり税金をどういう人がどういう基準で使うかというのは啓発が必要なのではないかという気はしますよね。
井上先生どうぞ。
○井上委員
ですから、専門医の質の向上というよりは、指定医になる資格みたいなものをもう少しきちんとされたほうがいいのかなという部分をちょっと考えたものですから、お願いいたします。
○葛原分科会長
それは都道府県への指導でできるのですか。ちゃんとした人を指定医にしろというのは。
○田中課長補佐
今回はこういった聴覚の検討会のとりまとめを受けまして、聴覚障害に係る新規の指定医の方は原則として日本耳鼻咽喉科学会の専門医であることを要件とさせていただきました。
○葛原分科会長
ですから、全部新規の指定医についてですよね。既得権には触れないというのが、この制度の根幹ですからね。
伊藤先生どうぞ。
○伊藤委員
そのことに関してですけれども、第15条指定医の基準というのは、おおむね卒業してから5年というのが条件になっていると思うんです。これは全国大体共通していると思います。ただ、専門医を取る資格もおおむねそのくらいからの話でありまして、そんなに差はないんです。ただ、過去第15条指定医を取ってくださらない、医者たちが取らない、そういう面倒くさいことはしたくないという方がたくさんいらっしゃいまして、なかなか第15条指定医が増えてこない。それが障害のある方々にとっては不便だということで、そこのところが少し甘くなっていた時代が昭和の時代はずっとあったと思うんです。しかし、最近では離島も含めて僻地は別として、おおむね第15条指定医は充足してきているように思います。ですので、そろそろ聴覚に関することだけではなくて、他のところに関しましても専門医認定機構との関係が複雑ではありますけれども、そういうことがきちんと出てくれば、そろそろバージョンアップ、レベルアップも考えていくのがいいのではないかと、今すぐはできないまでも、そういう方向性は出しておいたほうがいいのではないかと思っています。
○葛原分科会長
難病のときも結局、医療の均てん化と言った場合には、最初の1回とか年に1回の更新のとき、あれは毎年更新ですが、やはり専門医にちゃんと診てもらうというのは患者さんの権利ではないかと。例えば、難聴と言われている人の中にも治せるような病気が潜んでいる可能性があるわけで、便宜性ということも離島とかは別として、やはりそれは学会にも働きかけてやっていくことではないかと、そういう時代に来ているような気はします。
発言されていない方はどうぞ一言ぐらい。資料の説明はこれで終わりですよね。あとはまとめて終了にしたいので、和泉委員いかがですか。
○和泉委員
ちょっと飯野委員との応答で気になったのは、これから身体障害者認定というのは、さっきから分科会長が言われているように横並びの水準化ということはすごく大切なのですけれども、聴覚障害では症状固定ということについて余り強調されていないのが気になります。症状固定はどのくらいでお考えになっているのですか。通常の内部障害等も含めてですけれども、6カ月ぐらいをおおむね症状固定の期間と考えてやっております。
○葛原分科会長
これは田中先生のほうがいいか、それとも奥野先生のほうがいいかもしれない。私たちがやっている脳卒中や難病の場合は、将来再認定というところに丸を 記載 しますし、明らかに生まれつきの歩行障害は固定ですけれども、耳鼻咽喉科の場合はどうなっているのでしょうか。
○奥野委員
医者の個人差があると思いますけれども、私の場合はおっしゃったように再認定に丸をつけますが、そうではない例もあるとは聞きます。
○葛原分科会長
先生の御意見は、やはり将来は何年かごとに見直すぐらいのことにすべきだという御意見ですね。
○和泉委員
少なくとも6カ月ぐらいの症状固定期間というのは見るべきだと思いますし、そこで疑義が発生するものが出てくるのであれば、実際にペースメーカでは再認定ということをきちんと打ち出したわけですので、そういうことが必要になる時代はやってくるのではないかと思います。
○葛原分科会長
加藤先生どうぞ。
○加藤委員
先ほどの予防接種の接種後の救済ですが、小児というのは発達していくのでなかなか難しいのですけれども、和泉委員が言ったようにやはり6カ月です。
○葛原分科会長
突発性難聴も、最近はステロイドとかいろいろな治療で徐々によくなっているものもあるようですしね。
○奥野委員
ただ、一般的にはみんなそのくらいのスパンで判断していると思います。
○葛原分科会長
この話題になっている方は例外だったのですかね。でも、それも専門医が診ているというのはやはりちょっと、私たちにしてもどうかなという気はするんですよね。
赤川先生もどうぞ。余り関係ないかもしれませんが、せっかくですから。
○赤川委員
特にありませんが、さっきの議論の専門性の向上だとかそういうことで全国のハンディの人が余り大変なことなく認定していただく可能性をちゃんとキープしてというのが一番思うところです。
○葛原分科会長
湯澤先生は今度視覚障害のほうで、そのうちこういうことが起こってくるかもしれませんが、いかがでしょうか。やはり目と耳というのは私は非常に多いと思うんです。
○湯澤委員
私は今日聞かせていただきまして、判定というのは本当に難しいのだと思いました。判定には自覚的な検査に必要なときに他覚的検査を加えて、専門性の高い人が判定することしか方法がないと思いました。耳鼻咽喉科の人工内耳の埋め込みの話がありましたけれども、眼科領域においては治療の効果とか治療の方法ではなくて、視力が上がったかどうかということで判定をします。耳鼻科の場合も、治療法が新しいとか古いということではなく、本当に聴覚が上がったかどうかというのをある一定期間をとって、見直ししてちゃんと障害者の人を規定していかないと、これからの老化の時代に聴覚障害の人がすごくふえていってしまいます。今のままのやり方では制度として成り立っていかないのではないかという気がします。
○葛原分科会長
どうもありがとうございました。
奥野委員どうぞ。
○奥野委員
認定というのは、認定だけがひとり歩きしているのではなくて、治療とパラレルなものではないかと思います。だから、治療の過程でこういう認定を出すというのが筋なのではないかと思います。
○葛原分科会長
ただ、障害というのは治療でよくなるというのは大体前提に入っていないのが多いんですね。それが一つ問題だと思います。やはり今は固定していたと思っていた病気がよくなる時代になっている、それが全く反映されていないです。あと50年ほど待てばいいのかもしれませんが。
前田先生、いかがですか。
○前田委員
私は、今日検討された事項は非常に妥当な御意見になっていると思いますし、そして、いろいろな形の通達も、それに沿った非常に適切な通達と、ある意味では新しい書類ができているのかなと拝見させていただきました。これは現在の臨床の専門医云々のことも先ほど出ましたが、必ずしも専門医がいる地域ではないところもございますし、そういう意味ではバランスをとった非常にいい方策が提案されていると思いました。
先ほどありました一般的な議論に関しては、議論すると切りがないのですので、それ以上のコメントは控えさせていただきます。どうもありがとうございます。
○葛原分科会長
ということで、今日は資料の説明はこれで全部終わりですよね。としますと、結局今日皆さん方にこれでいいかどうかをお聞きする内容は、最終的には資料5と6でしょうか、7も含めてですか。どこまでを皆さん方に今日お諮りして御承認いただければいいということになりましょうか。
○田中課長補佐
資料4~7になります。
○葛原分科会長
要するに、一部改正ということの根幹はさっきから問題になっているところ、それから、具体的な新しい認定の診断書ではなくてこれは何と言うのですか。
○田中課長補佐
意見書です。
○葛原分科会長
意見書の内容、それからQ&Aも含めて全体としてセットでこれでよろしいか、絶対だめだとか、絶対だめだと思っていらっしゃる方もいるのではないかと思いますが、こういうところでとりあえずはまとめて、さっき前田先生がおっしゃっていたぐらいのところでよろしいかどうかということですね。
多分、加藤先生などは、これでは甘いという御意見もあるのではないかと思うのですが。どうぞ。
○加藤委員
特に問題はありません。
○葛原分科会長
ということですと、皆さんこの内容でとにかくいってみようと。
坂谷先生どうぞ。
○坂谷委員
内容に不満はございません。ただ、この身体障害者の認定に関しましては、私どもがやっている労災のじん肺の審査に比べますと、指定医の権限が強いんです。指定医しかこの意見書を書くことができない。指定医が等級まで大体決めてしまうわけですね。審査会は大体その指定医の書いた等級をそのまま通すのが普通になっていると思います。ところが、じん肺のほうは逆でして、指定医などというのはありません。医者であればだれでも申請書を書くことができます。ただ、自治体ごとに地方審査会がありまして、その審査会が判断をするわけです。等級に相当する分類をいたします。ですから、診断書を書いた医師の意見を無視することも非常に多いです。審査会の実力を均てん化し保つために、以前は珪肺労災病院がありましたときは、そこで定期的に研修会を開いて、全国から審査医を集めて均てん化と実力を上げることに努力しました。今は珪肺労災病院はなくなりましたので、関東労災病院がその役を負って定期的に審査医が集まって研修会を泊まり込みで1週間ほど行うのですが、そういう違いがあるなということを言いたいだけのことでして、今日決めたことに異存はありません。
○葛原分科会長
ということで、加藤先生も含めて全会一致でこれは認めるということなのですが、ちょっと注文として今の身体障害認定制度、例えば1回認定したらずっと永続的でいいのかどうかということです。横浜市の地方社会福祉審議会は何の疑問も持たずにやっていたのかと。あの方は有名な方だから記者が取材しておかしいということになったわけだけれども、そうでない人の場合はこういう問題は起こっていない可能性もあるわけで、あるいは札幌のようなこともあって、あるいは投書か何かでわかったわけで、だから普通の人がわかることが認定審査会の委員にはわかっていなかったということですよね。そういう問題はあると思いますので、今日はこれで認めたということでいいのですが、それも含めてやはりこういう身体障害認定の制度というのは、特に今後高齢者がふえて目が悪い人、耳が悪い人、手足が悪い人といっぱい出てくるので、そのうち国民の4割を身体障害認定しなければいけないような時代が来るかもしれないときに、どういう具合に公平で公正で、しかも税金を有効に使う、しかも障害よりも機能を重視したような形にするかということを、厚労省のほうでもぜひ考えていただきたい。私はもう70歳なので多分委員はこれで終わることになると思いますが、皆さん方の御協力に感謝いたしますとともに、私は難病とかずっとやっていて常々思っていることはそういうことですので、ぜひ。
ということで、今日は皆さん御賛成ということで、あとは運用をきちんとやっていただく。奥野先生にもぜひ、その辺は頑張ってやっていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。では、長時間どうもありがとうございました。私のほうからはこれで終わりです。最後に事務局から御連絡がありますか。
○田中課長補佐
本日は大変御多忙な中を熱心に御審議いただき、まことにありがとうございました。この改正は、来年4月の施行に向けて今後手続を進めていく次第です。また、施行準備段階における細かい文言修正等ございましたら、会長と事務局にお任せいただきたいと存じます。今後は来春の施行に向けて、改正の手続を着々と進めてまいりたいと思います。
事務局からは以上でございます。
○葛原分科会長
遅い時間まで長時間、本当にどうもありがとうございました。
<照会先>
障害保健福祉部企画課人材養成・障害認定係
(代表電話)03(5253)1111(内線3029)
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