ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金数理部会)> 第59回社会保障審議会年金数理部会 議事録(2014年9月29日)
2014年9月29日 第59回社会保障審議会年金数理部会 議事録
年金局
○日時
平成26年9月29日(月)10:00~12:00
○場所
厚生労働省 専用第22会議室(18階)
○出席者
山崎部会長、宮武部会長代理、浅野委員、牛丸委員、翁委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員 |
○議題
1.厚生年金・国民年金の財政検証結果について
2.国家公務員共済組合の財政再計算結果について
3.地方公務員共済組合の財政再計算結果について
4.私立学校教職員共済制度の財政再計算結果について
5.今後の検証(レビュー)のすすめ方について
○議事
○清水首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまから第59回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
審議に入ります前に、年金数理部会委員の異動について御報告いたします。
林勲委員におかれましては、本年3月に御退任となり、後任として、日本アクチュアリー会理事長の浅野紀久男様に委員に御就任いただきました。
○浅野委員 浅野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○清水首席年金数理官 また、前回の部会開催以降に事務局で異動がございましたので、御紹介させていただきます。
大臣官房審議官の山崎でございます。
○山崎審議官 山崎でございます。よろしくお願いいたします。
○清水首席年金数理官 数理課長の武藤でございます。
○武藤数理課長 武藤です。よろしくお願いいたします。
○清水首席年金数理官 年金数理官の山本でございます。
○山本年金数理官 山本です。よろしくお願いします。
○清水首席年金数理官 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。
資料1-1「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し-平成26年財政検証結果-」
資料1-2「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算-オプション試算結果-」
参考資料1-1「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し(詳細結果)-平成26年財政検証詳細結果(財政見通し等)-」
参考資料1-2「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算(詳細結果)-オプション試算結果(財政見通し等)-」
参考資料1-3「平成26年財政検証関連資料」
資料2「財政再計算結果について-国家公務員共済組合・地方公務員共済組合-」
資料3「財政再計算結果について-私立学校教職員共済制度-」
資料4「セミナー形式の年金数理部会について」
それから、委員提出資料があり、野上委員提出の資料がございます。
配付資料は以上でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。翁委員は少し遅れておられるようでございますが、ご出席の予定です。本日は、野上委員が御都合により御欠席との連絡を受けております。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。
○山崎部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。社会保障審議会年金数理数理部会においては、被用者年金制度の安定性・公平性の確保に関し、財政検証・財政再計算時における検証を行うこととされています。このたび公的年金各制度の平成26年財政検証・財政再計算の結果が出そろいましたので、年金数理部会においてどのような観点から検証を進めていくか、また、検証に当たり各制度からどのような資料を提出していただくか等について検討を行うため、本日は各制度から今回の財政検証・財政再計算の概略について説明をお願いすることといたしました。
カメラの方はここで退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○山崎部会長 それでは、議題1「厚生年金・国民年金の財政検証結果について」に入りたいと思います。
武藤数理課長、江郷室長補佐、矢崎課長補佐は、どうぞ、説明席に御移動ください。
(武藤数理課長、江郷室長補佐、矢崎課長補佐 報告者席へ移動)
○山崎部会長 それでは、説明を願いいたします。
○武藤数理課長 おはようございます。数理課長でございます。
それでは、私のほうからは、資料1-1と資料1-2に沿いまして、6月3日に公表されました財政検証の結果を報告させていただきたいと思います。資料1-1が法定の財政検証になっておりまして、資料1-2は、あわせて行いましたオプション試算の結果という構成になってございます。よろしくお願いいたします。
早速、資料を1枚おめくりいただきまして、まずは財政検証の枠組みについて、おさらいをしておきたいと思います。
平成16年改正における年金財政のフレームワークのもとで設けられた仕組みということになりまして、16年改正が上限を固定した上での保険料の引き上げ、さらには、負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組みなどが設けられておりますので、このもとでの仕組みということになりますが、時間がたちますと、当たり前のことですけれども、人口や経済の動向に変化が生じてくることになります。そのもとで、少なくとも5年ごとに年金財政の健全性を検証するというのが財政検証の仕組みでございます。
具体的には、下の箱に2つ○で書いてありますけれども、おおむね100年間にわたる、長期にわたる財政の見通しを作成するということ、あわせて、マクロ経済スライドの開始・終了年度の見通しを作成するということを行うこととなっております。
矢印の後に書いてあることですけれども、所得代替率を50%確保することが規定されているわけですが、具体的な規定としては、ここに書いてございますように、次の財政検証までに、つまりこれから5年後までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、給付水準調整の終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担のあり方について検討を行い、所要の措置を講ずるという規定になっているということでございます。
3ページは法律上の規定でして、これは省略させていただきたいと思います。
4ページ、財政検証の諸前提ということでございます。
まず、「年金制度についての前提」でございますけれども、これは社会保障と税の一体改革により成立した法律というのが大きな枠組みでの直近の法律ということになりますので、成立した法律による制度内容を反映しているということです。被用者年金の一元化などもこれに含まれるということになります。
「社会・経済状況に関する主な前提」というところでございます。財政検証においては、長期にわたる年金財政の見通しを立てる必要がございまして、遠い将来までの一定の前提を置く必要がございます。ただ、当たり前ではございますけれども、これらは不確実なものですので、以下のように複数のケースを前提として設定しているということでございます。
そういうことですので、結果の解釈に当たっては、複数ケースを参照して、相当の幅を持って見る必要があると考えております。
(1)から(4)まで4つありますけれども、まず最初は、「(1)将来推計人口の前提」でございます。これは5年に1回、国勢調査が行われまして、国勢調査の結果を踏まえて将来推計人口が改定されることになっておりますので、直近の日本の将来推計人口、平成24年1月推計を使用しているということでございます。
合計特殊出生率や死亡率について、下に書いてありますような3通りのケースを設定しているということです。合計特殊出生率について見てみますと、足元の2010年度の実績が1.39であったところ、2060年の仮定値として3通りございますけれども、高位が1.60、中位が1.35、低位が1.12という状況です。
財政検証を行うときに、人口推計の出生率の前提を仮定するというのは従来から行ってきておりまして、従来の財政検証及び財政再計算では、将来の出生率の仮定が下方修正されてくるという歴史があったのですけれども、今回の財政検証においてちょっと特徴的なところとしましては、21年財政検証のときの最終的な出生率の仮定よりも反転上昇しているというところがございます。21年財政検証のときは出生中位の値は1.26で、それが1.35になっているというところが特徴の1つでございます。
平均寿命につきましても、右に書いておりますとおり、男女別、あるいは死亡の高位、中位、低位別に複数の前提を仮定しているという状況でございます。
「(2)労働力率の前提」でございます。これは、ことしの2月に取りまとめられましたJILPTによる推計、労働力受給の推計が行われておりますけれども、それに準拠して設定しておりまして、労働市場への参加が進むケースと、労働市場への参加が進まないケースの2通りを設定しているところでございます。
「(3)経済前提」ですが、年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会における検討結果の報告を踏まえ、それに基づき、設定しているという状況でございます。
足元の前提と長期の前提がございます。足元2023年度までの前提につきましては、内閣府の毎年大体年明けに行われている「中長期の経済財政に関する試算」、ことしも1月20日に行われておりますけれども、その経済再生ケースと参考ケース、2ケースに準拠して設定しているところです。
2024年度以降の長期の前提のほうですけれども、ここは内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要なTFP上昇率を軸とした、幅の広い複数ケースを8通り、下の表のとおり設定しているという状況でございます。ケースA~Hまで、幅広い8通りが設定してあるということなのですけれども、上の5ケースと下の3ケースで線が引いてあるところですが、大きく大別されているところです。ケースの場合分けとしまして、労働力率とTFP上昇率で大別してケース分けがされていると。つまり、ケースA~Eにつきましては、労働力率は労働市場への参加が進むケース、下の3ケースにつきましては労働市場への参加が進まないケースというようにケース分けがされております。さらには、TFP上昇率につきましては、一番高いケースAが1.8%なのですけれども、そこから下に0.2ずつ刻んでいくのが上の5ケース、下の3ケースにつきましては、ケースFは1.0%なのですけれども、その下に0.7%、0.5%という刻みを持っているということでございます。
物価上昇率、賃金上昇率、運用利回りにつきましては、ここの表に書かれているような数字になるということでございますけれども、参考まで、右に実質経済成長率が書かれております。一番高いケースAですと1.4%、一番低いケースHですとマイナス0.4%ということになりますので、幅広いケースが設定されている。
ここも今回の財政検証の特徴的なところですけれども、今回の財政検証においては、従来置いてありましたような基本ケースというのは設けておりません。21年財政検証のときは、複数ケース、3通りがございましたけれども、3通りの真ん中を基本ケースと呼んでいたところですが、今回はそういうケースは置かないというところが特徴になってございます。
「(4)その他の制度の状況等に関する前提」ですけれども、これは基本的に実績データ等を基礎として設定しているところでございますが、※に書いてあるように、国民年金保険料の納付率につきましては、今後の取り組みにより向上する、つまり5年かけて65%に上がっていく場合を基本に、現状の納付率60%程度で推移した場合も設定ということになります。
次から参考ですけれども、次の6ページが「労働力率の前提」でございます。上半分が男性、下が女性ということですけれども、男性の左側の労働力率の将来推計の結果を見てみますと、足元の労働力率に当たる労働市場への参加が進まないケースが点線で書かれておりまして、労働市場への参加が進むケースが実線で書かれているという状況ですが、男性の高齢者において労働力率が高くなっているというところが特徴でございます。つまり、60歳代前半、60~64歳で見てみますと、7割台半ばのものが9割ぐらいに上がるということになっております。
下、女性の労働力率の将来推計でございますけれども、これはM字カーブが解消するというところが特徴となっております。つまり、30歳代、30~34歳、35~39歳あたりで見てみますと、点線ですと7割程度のものが、実線ですと8割台半ばという数値となってございます。
続きまして、7ページの「労働力人口と65歳以上人口の推移」につきましては図のとおりでございまして、省略いたします。
8ページ、「経済前提の設定の基本的な考え方」につきまして、なぞっておきますと、3つ目の点にございますように、足元の2023年度までの経済前提は、先ほども申し上げましたように、内閣府の試算に準拠しているということでございます。下にグラフが出ておりまして、内閣府試算のTFP上昇率の高い経済再生ケースのほうは、足元の0.5という低い水準から、10年ほどかけて1.8%に上昇していくというケースになっておりまして、参考ケースのほう、低いほうのケースにつきましては、同じく1.0%に上昇していくという設定になっております。
ここまで内閣府の中長期試算に準拠しているわけですけれども、長期の前提につきましては、経済前提の専門委員会におかれて、マクロ経済に関する試算、コブ・ダグラス型生産関数を用いた長期的な経済成長率等の推計が行われておりまして、それに基づいて設定しているということです。一番高いケースAは、2023年に1.8%に上昇したTFP上昇率をそのまま横ばいとして設定しまして、そこから下に0.2%ずつ刻んでいくということでございます。
下の参考ケースのほうの一番高いケース、ケースFにつきましては、2023年度に1.0%まで上がった参考ケースの値を横ばいとしたものを上限として、そこから下に0.7%、0.5%ということで刻んでございます。
続きまして、9ページは「平成35(2023)年度までの足下の経済前提」で、具体的な物価上昇率、賃金上昇率、運用利回りですけれども、こういう数値が設定されているということで、省略いたします。
続きまして、10ページ、「標準的な厚生年金の所得代替率」について御説明いたしますが、この5年間に被用者年金の一元化が行われました。そこで、比較的賃金の高い共済組合の組合員が厚生年金の被保険者となるために、厚生年金の現役男子の手取り収入が1.3万円ほど上昇するという見込みになってございます。この影響によりまして、賃金水準の高い現役世帯を標準モデルとすることとなるため、所得代替率が見かけ上、低下するということになっております。つまり、従来モデルが左側、一元化モデルが右に書かれておりますけれども、従来モデルから一元化モデルへ変わることによって、賃金水準は上昇しますが、所得代替率については見かけ上、低下するという構造になってございます。
11ページが、まず結果のポイントの1つ、最初のポイントで、最終的な所得代替率の将来見通しが書かれてございます。ここの最終的な所得代替率の求め方については、マクロ経済スライドを続けていって、どこまで給付水準調整すれば、おおむね100年後の2110年度に支出の1年分の積立金を残すことができるのかという基準で計算されるものでございます。
その計算の際、まず、国民年金が財政均衡するように基礎年金のスライド調整期間を決めて、次に、その基礎年金水準を前提として、厚生年金が財政均衡するように報酬比例部分のスライド調整期間を決めるということになります。
結果はここに書いてあるとおりですけれども、真ん中あたりに点線が引かれていて、それより上が労働市場への参加が進むケース、内閣府の経済再生ケースに相当する高成長のケースなのですけれども、そのケースで見てみますと、所得代替率は50%がいずれのケースにおいても確保されているということが見て取れます。
これは平成21年財政検証、5年前の財政検証のときは基本ケースで50.1%ということだったので、それよりもどのケースにおいても上がっているのですけれども、将来の出生率の前提が先ほど申し上げましたように1.26から1.35に上昇したことなどによるものと考えてございます。
さらに、ケースごとに細かく見てみますと、ケースAが一番成長するケースになるわけですけれども、ケースAの所得代替率が必ずしも最も高くはなっていないということがあります。これは、賃金上昇率を上回る運用利回りが本質的に年金財政にきいてくる。これは年金数理部会でも従来から御議論いただいているとおりなのですけれども、それを我々はスプレッドと呼んでおりますが、スプレッドがケースAのほうが小さくなっているということがございますので、こういう結果になるということです。ただし、もちろん成長するケースのほうが年金額は高くなりますので、成長するケースによって年金額が高くなるという結果は後ほどごらんいただければと思っております。
所得代替率の内訳として、基礎年金と報酬比例部分の内訳が書いてございます。例えば、ケースEで見てみますと、全体の最終的な所得代替率は50.6%ですけれども、その内訳として、右に書いてある所得代替率、基礎年金部分が26.0%、報酬比例部分が24.5%ということで、スライド調整期間が、基礎年金のほうが長く続いて2043年度まで、報酬比例部分のほうが2020年度までとなっております。これは、先ほど申し上げました21年、5年前の財政検証のときは、基礎年金のスライド調整期間は2038年度まででしたので、それよりは5年延びている。報酬比例部分のほうは2019年度まででしたので、2020年度に1年延びているということでございます。
いずれも、この5年間にマクロ経済スライドは発動しませんでしたので、発動がおくれた分、先に長くなるのですけれども、基礎年金のほうが長くなっているというところです。そこの構造につきましては、直近5年間の賃金水準が実は低下したという状況がございました。低下したのですけれども、賃金水準の低下に対して基礎年金の引き下げがそれほどなかった、小さかったということがございまして、足元の給付水準がそれによって上昇したということがございます。それによって国民年金の財政が悪化して、将来の給付水準をより引き下げる必要が生じたという構造によって、こういう結果になっているところでございます。
上のケースはそんな感じでして、下の労働市場への参加が進まないケース、内閣府の参考ケースに相当する、低成長に相当するケースですけれども、50%まで給付水準調整を続けていって、そこでとめると、おおむね100年後に1年分の積立金を残すことができないということが見込まれております。
ということで、機械的に給付水準調整を続けていった場合、どこまで給付水準調整を続ければいいかということで※に書いてある数字なのですけれども、ケースFの場合は45.7%、ケースGの場合は42.0%となります。ケースHになりましては、機械的に給付水準調整を続けていっても、続けていっている途中で国民年金の積立金がなくなって、以後、賦課方式に移行するということになりまして、国民年金は2055年度に積立金がなくなって、完全な賦課方式に移行するということになります。その後に保険料と国庫負担という財源はございますけれども、それで賄うことのできる給付水準は所得代替率ベースで35~37%ということになります。
これは、物価上昇率の前提がケースHになりますとかなり低くて0.6%となります。0.6%ですと、既裁定者のマクロ経済スライドが0.6%の間でしか働かないということになってきて、スライド調整が十分には機能しないことによって、こんな結果になるということでございます。
続きまして、12ページ。前のページまでで申し上げました結果というのは、人口の前提が出生率、死亡率ともに中位の前提で計算された結果を申し上げたところですけれども、中位の前提が高位や低位にぶれた場合にどういう結果になるかを見たものでございます。
左側が出生率の前提が変化した場合、右側が死亡率の前提が変化した場合ということになります。それぞれ縦に3つ箱がありますけれども、真ん中に中位の数字が書かれていて、中位の数字と比べて高位であればどれぐらい変わるか、低位であれば下に矢印が書いてありますようにどれぐらい変わるかという見方になります。出生高位の場合ですと、最終的な所得代替率の変化はプラス3~5%、給付水準調整期間の終了年度は前倒しになって5~9年早まるということです。逆に、出生低位ですと、所得代替率が4~7%低下して、スライド調整期間は4~14年延びるということです。
右に死亡率の前提が変化した場合も数字が書かれていますけれども、出生率ほどは動いていないけれども、それなりの程度で動くという結果でございます。賦課方式を基本として運営されている公的年金制度でございますので、出生率の影響は大きいということがわかりますし、少子化対策が大事であるということなども、これからつながってくることだと存じます。
今見た数字を細かく見たのが13ページでございますので、これは後ほどお目通しいただければと思います。
続きまして、14ページですけれども、「国民年金保険料の納付率が現状のまま推移した場合の影響」でございます。つまり、メーンのケースにおきましては、下の表の左に書いてあります「今後の取組強化等により向上した場合」を基本としているのですけれども、現状の納付率の60%で推移した場合はどうかというのを右に書いてございます。
これは従来より、年金財政への影響は納付率が変わってもそんなに大きくないということを申し上げておりました。結果としてそれを確認することになりましたけれども、ほとんど影響がないということでございます。ただ、御本人の年金受給権の確保とか、将来の年金が低年金にならないようにということから考えてみますと、納付対策というのは非常に重要なことと私どもとしては認識してございます。
15ページ、「変動を仮定した場合の影響」でございます。これは、現実の物価や賃金の伸びというのは変動がございますので、今までお話ししたケースについては、一定値を仮定してずっと同じ値で推移することを前提として計算しておりますけれども、現実には物価とか賃金はぶれてくるということが出てきますと、マクロ経済スライドがフルに発動しない状況が出てくるということになります。
それで、今回、変動幅をマイナス1.2%からプラス1.2%として、4年周期で繰り返すということを計算してみたのですけれども、左側が先ほど見た数字で、ケースCですと51.0%、ケースEですと50.6%、ケースGですと、機械的に給付水準調整を続けていけば42.0%になるものが、経済変動を仮定した場合に、ケースCですとマイナス0.2%で50.8%になり、ケースEですとマイナス0.4%で50.2%になるというところですが、ケースGになりますと、その影響が大きくて、マイナス2.5%で39.5%に至るということでございます。これでわかりますように、賃金とか物価の伸びの低いほうがフルに発動しない状況がより多くなるということになりますので、影響の程度も成長が低いケースのほうが大きいということが見て取れるということでございます。
次のページに、参考資料として「経済変動を仮定した場合のマクロ経済スライドの発動への影響」のイメージ図が描かれておりますけれども、こちらは省略いたしまして、17ページ、「平成26年財政検証の結果について」ということで、年金額及び所得代替率の数字が将来、特定の5年度で書かれているものを見ておきたいと思います。
簡単に確認してみますと、一番左に足元2014年度の数字が出ておりますけれども、現役男子の手取り収入が34.8万円、夫婦の年金額が21.8万円で、その比である所得代替率が62.7%になるということです。マクロ経済スライドによる給付水準調整が続きますと、所得代替率が徐々に低下していくことになりまして、62.7%が60.3%、57.2%、50.9%というところになります。50.9%に至りますと、ケースAの場合ですと、以後一定の所得代替率でいけるということになります。
合計の所得代替率の内訳として、比例部分と基礎年金の部分の内訳が書かれておりますけれども、先ほども御説明したとおり、基礎年金の給付水準調整期間のほうが長くて水準が低下しているということが見て取れるところでございます。
このページはケースAですけれども、以下、ケースB、C、D、E、F、G、Hということで数字を掲載させていただいております。成長率が高ければ年金額は高くなるということが見て取れますので、例えば右の2050年度の棒グラフを見ていただくと、成長の高いケースAのほうが年金額が高くなっているということが見て取れます。成長は年金にとってプラス要素ということでございます。
それぞれのケースの細かい説明は省略いたしまして、最後に、25ページに「賃金水準別の年金月額及び所得代替率」の表を載せてございます。これは厚生年金の構造として、世帯の賃金水準が同じであれば、40年加入の年金月額や所得代替率は同じということを確認したものでございます。下にグラフが描かれておりまして、右斜め上に上がっていく線が年金月額の線、実線が足元の水準、点線が将来の水準ということになります。右下にカーブを描いて下がっていく線がございますけれども、これは所得代替率でございまして、これは所得再分配効果を有する公的年金制度においては、賃金水準が低い人のほうが所得代替率が高く、高い人のほうが低くと、これは定額の基礎年金を通してこういう構造になるということでございます。以上、確認したものでございます。
法定の財政検証につきましては以上でございまして、続きまして、オプション試算の結果に移りたいと思います。
まず、オプション試算の位置づけでございますけれども、表紙の点線で囲んであるところをごらんいただきたいと思います。
社会保障制度改革国民会議の報告書において、26年財政検証においては、単に現行制度の「財政の現況と見通し」を示すだけではなくて、国民会議報告書において提示された年金制度の課題の検討に資するような検証作業を行うべしということを報告いただきました。これを受けて、プログラム法の中でも国民会議報告書で提示された課題を検討課題として列挙されているわけでございますけれども、これらの課題の検討に資するように一定の制度改正を仮定したオプション試算を実施したという状況でございます。
よって、今回試算した内容がそのまま制度化されるというわけではございませんで、具体的な制度改正の内容の是非については、このオプション試算の結果も踏まえて、今後議論されていくという状況になってございます。
1枚おめくりいただきまして、「オプション試算の内容」でございます。オプション試算は3つ実施してございますけれども、まずオプション1、これはマクロ経済スライドの仕組みの見直しということでございます。一言で申しますと、物価と賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドによる調整がフルに発動されるような仕組みとした場合を仮定して試算してございます。
オプション2、被用者保険のさらなる適用拡大についてでございます。ここは適用拡大 220万人ベースと適用拡大1,200 万人ベースと2通り設定しておりますが、資料の8ページに飛んでいただいて、どういう状況になっているかというのを確認させていただきたいと思います。
これが適用拡大をしたときの対象者数ということですけれども、まず220万人ベースが左下のほうに出ております。こちらにつきましては、現在の厚生年金の適用事業所において週20~30時間の労働時間の間にいらっしゃる方、基本的にそれらの方は400万人程度いらっしゃると見込んでありますけれども、そこから学生や雇用契約期間1年未満の方を除いた220万人ベースということで試算しております。
なお、一体改革で28年10月から実施されることとなっております適用拡大というのは、その内訳として25万人ベース、左に出ておりますけれども、この数字ということになっております。なお、賃金水準におきましては、月5.8万円以上の方に適用するということで仮定しております。
続きまして、適用拡大1,200万人ベースにつきましては、年金部会での議論等を踏まえて設定したのですけれども、今、適用事業所となっていない非適用事業所まで含めて賃金月額が5.8万円以上の人に適用するということになります。つまり、ここに書いてある右のほうの部分まで適用拡大するということになりますので、あわせて1,200万人ベースの適用拡大が行われるという状況でございます。
お戻りいただきまして、2ページですけれども、最後はオプション3でございます。これは、保険料拠出期間と年金受給開始年齢の選択制ということでやっております。オプション3につきましては大きく2つの構造の計算をしておりまして、1つ目の○で書いておりますマクロ試算を1つやっていて、2つ目に書いておりますミクロ試算をやっているという状況でございます。
まず1つ目の○のマクロ試算ですけれども、基礎年金給付算定のときの納付年数というのは、現在、20~60歳の40年間となっておりますけれども、これを5年間延長して65歳までにして、納付年数が伸びた分にあわせて基礎年金が増額する仕組みに変更したらどうかというのを見てございます。あわせて、65歳以上の在職老齢年金を廃止するということで考えています。これによって、どれぐらいマクロ経済スライドの調整期間が変わるか、あるいは納付期間がふえたことによって給付水準がどれぐらい変わるかというのを見たものでございます。
2つ目の○につきましては、上の制度改正の内容を前提として、本人の希望によって個人の選択によって65歳を超えて就労した者が厚生年金の適用となるわけですけれども、これに伴って受給開始年齢の繰り下げを選択した場合に給付水準がどれだけ上昇するかというのを見たミクロ試算となります。
以後、結果を御確認いただきたいと思います。
まず、オプション1のマクロ経済スライドによる調整がフル発動される仕組みとした場合の結果でございます。3ページでございます。
先ほど、フル発動しないケースで賃金、物価に変動を設けた場合にどういう結果になるかというのを見たのが、このページの左側に書いてある部分なのですけれども、ケースCですと50.8%、ケースEですと50.2%、ケースGですと39.5%と、ここに書いているような数字になるわけです。これは、右側に書いておりますように、現行の仕組みを変更してフル発動される仕組みとした場合にどういう影響があるかを見たものです。ケースCですとプラス0.4%、ケースEですとプラス0.8%、ケースGですとプラス5.0%となってございまして、見てのとおりでございますけれども、低成長のケースにおいて所得代替率の改善の効果が大きいことがわかるということです。これは先ほどの結果の裏返しです。
ケースHですけれども、仮に機械的に給付水準調整を続けていくと、変動しないケースは2055年に積立金がなくなるということで、変動するケースですと2051年に積立金がなくなるというものですが、フル発動する仕組みとする場合には、一応給付水準が均衡するということになりまして、右の矢印の先にありますように41.9%になるということでございます。
次のページは給付水準調整のスピードなどを書いたもので、省略させていただきます。
5ページも「スライド調整率の比較」ですけれども、飛ばします。
次に6ページ、「被用者保険の更なる適用拡大を行った場合」の影響ということでございます。
拡大の前提は、先ほど申し上げたとおりまず220万人ベースに拡大するということですけれども、左に一体改革で決まった現行の仕組み、25万人ベースに拡大するというものから、適用拡大した場合、220万人ベースに拡大されるわけですが、どれぐらい影響があるかというのを見たものです。いずれのケースにおいてもプラス0.5%ないし0.3%という状況になってございます。
ちなみに、ケースHにおきましては、マクロ経済スライドによる調整がフル発動された場合のものを仮定して、所得代替率で見た影響がどのようになるかというのが見て取れるように設定しております。
7ページが1,200万人ベースへの拡大ということです。左側に現行の仕組み、右側に1,200万人ベースに拡大した場合の影響が書かれていまして、矢印でその効果の数字が書かれていますけれども、ケースCでプラス6.3%、Eで6.9%、Gで5.1%など、かなり大きくなっている。これは、国民年金の財政が改善することによって、この効果があらわれてくると考えておりまして、所得代替率の内訳を、比例部分、基礎年金部分とここに書いてございますけれども、例えばケースCで見てみますと、比例部分が25.0%から24.7%程度、ほぼ横ばいから若干下がるという程度に比べて、基礎年金のほうは26.0%から32.7%になるということございます。
適用拡大が以上でございまして、最後、11ページに飛びますけれども、保険料拠出がより年金に反映する仕組みとした場合の結果でございます。まず、前半のマクロ試算のほうですけれども、基礎年金の納付年数の上限を40年から45年にすることになりますので、それに伴い下のような結果になるということでございますが、基本的には納付年数を40年から45年にしますので、それだけ保険料を納めていただく期間が長くなるということで、年金水準が40分の45倍ということになります。所得代替率への影響で見ても、プラス6%台の数字が並んでいるということでございます。
最後、12ページでございますけれども、こちらがミクロ試算の結果でございます。これは個人の選択によって65歳を超えても就労した者が厚生年金の適用となりますので、これに伴い受給開始年齢の繰り下げを選択した場合に給付水準がどれだけ上昇するかを試算したものでございます。ここにイメージ図が2つ描かれておりますけれども、上が前のページで申し上げました45年拠出、65歳受給開始モデルとした場合の結果で、このページで見ているのがミクロ試算の結果、例えば47年拠出、67歳に受給開始した方のモデルだとどうなるかということです。いずれにしても給付水準は上がるわけですけれども、給付水準の上がる効果というのが、繰り下げ受給することによって年金額が増額する分と、65歳から67歳までの間、保険料を拠出されますので、拠出期間の延長によって増加する分と、2通りに分かれます。例えばケースHみたいな一番低成長のケースで見てみましても、上の65歳受給開始モデルですと47.9%の所得代替率が、67歳開始モデルになると57.2%になるというところでございます。
以上が、法定財政検証とオプション試算結果ですけれども、最後に、私どもの結果についての受けとめを簡単にお話しさせていただきたいと思っております。財政検証を行うに当たっての基本的なスタンスでどういうことを考えたかにつきましては、先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、幅の広い経済前提を設定して、どういう経済状況であればどういう年金財政の姿になるのかということを幅広く示すということで考えました。そうすることによって、何が年金制度にとって重要なファクターなのかとか、持続可能性や年金水準を確保するためにはどういう対応があり得るのかということなどを示して、さまざまな議論のベースになるものを提示するというスタンスで臨んだということでございます。
わかった点は大きく2点に大別されるということですけれども、まずは、日本経済の再生と労働市場への参加の促進が進めば、今の年金制度のもとで将来的に所得代替率が確保できることが確認されたということです。つまり、日本経済の再生を軌道に乗せるとともに、成長に必要な労働力を確保すべく、女性や高齢者が安心して働ける環境整備を進め、労働参加の促進を実現することが年金制度の持続可能性を高める意味でも、給付水準の確保を図る意味でも重要だということがわかったということです。
2点目、一方で、経済再生する高成長のケースにおきましても、基礎年金のマクロ経済スライド調整期間が30年近くを要するということがございます。基礎年金の水準が総体的に大きな低下をするということが問題ですし、あるいは低成長のケースですと、年金財政均衡のためには50%、所得代替率が割り込むということになります。そういうことで、今回初めて実施したオプション試算というものがございますけれども、これもいずれも痛みを伴う制度改正を前提としているもので、それなりのハードルはあるということなのですが、そういう結果から見て、3つのオプション試算のいずれもが制度の持続可能性を高めて、給付水準を確保する上でプラスの効果を持つことがわかったということでございます。財政検証及びオプション試算の結果をもって、国民的な議論が進んでいけばいいのではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
初めに、本日御欠席の野上委員より質問を承っておりますので、これについて事務局から説明をお願いいたします。
○清水首席年金数理官 本日配付いたしております資料の最後に、野上委員提出資料がございますので、それをご覧いただきながらお聞きいただきたいと思います。代読させていただきます。
『現行法は、100年間にわたる財政検証を行い、100年後の積立金水準によってマクロ経済スライド停止の適否を判断することとしている。ところが、財政検証のもとになっている経済モデルについては、資料1ページのとおりの疑問点がある。特に、100年後に人口が半減する中で、労働分配率を一定としていることにより、賃金上昇率が90年にわたって名目GDP上昇率を1%程度上回る想定となっている。(資料2ページ)
これは、先進各国の趨勢とも乖離した結果になっている。(資料3ページ)
これらの疑問点をはらんだ財政検証により、マクロ経済スライドを適用して給付額を削減したり、その終了年を判断することは説得力に乏しいのではないか。
なお、個人的な意見としては、このような経済学上の労働分配率に関する議論(例えばトマ・ピケティ氏の著作「21世紀の資本論」に関する議論)を迂回して、出生率が回復しない限り所得代替率が50%に到達するまで毎年0.9%ずつ給付額を削減していくとシンプルに定めることも一考に値すると考えている。(この場合、現行のマクロ経済スライドは廃止し、財政検証は2004年以前のように制度全体の定期的検証を行うこととなろう)。』
以上でございます。
○山崎部会長 ただいまの質問について、回答をお願いいたします。
○武藤数理課長 お答えいたします。まず、財政検証における経済前提につきましては、設定プロセスの透明性を確保するという観点から、経済・金融の専門家で構成される公開の専門委員会で議論されておりまして、2年半かけて17回にわたり十分に御議論いただいた結果をもとに、客観的に幅広く設定されたものと考えています。
野上委員御指摘の、1人当たりの賃金上昇率とマクロの経済成長率の関係についてでございますが、まず、本格的に人口が減少する時代に入ってきた我が国においては、マクロの経済成長率は、人口減少による影響の分、低くなるものと考えてございます。よって、コブ・ダグラス型生産関数が前提としているように、労働分配率が一定であれば総賃金自体の伸びも同様に低くなるということでございますけれども、それを分配する労働者も減るということになります。1人当たりの賃金上昇率は総賃金の伸びや経済成長率を上回るということになります。
委員が示されております、諸外国等における経済成長率と賃金上昇率の関係でございますけれども、諸外国においては、まだ本格的に人口が減少するような局面にはなっていないのではないかと考えておりまして、日本の財政検証の長期前提で想定しているような状況と単純に比較することはできないのではないかと考えております。
なお、委員御指摘のとおり、将来の労働分配率の水準についてどう設定するかということについては、不確実性がありますので、今回の長期の前提の設定に当たりましては、専門委員会におかれましても、労働分配率は幅を持って設定されているということでございます。
財政検証においては、基本的にこのような専門家の御議論を踏まえて設定された一定の幅のある前提から将来推計を作成して、給付水準調整の停止の必要性を総合的に判断していくものと考えております。
また、将来が不確実であることは委員御指摘のとおりでございますので、現行制度では、5年ごとに直近までの実績を織り込んで将来推計を見通した上で、社会経済状況の変化に応じて給付水準の調整の停止の必要性を判断することが可能となっておりまして、一定の合理性があるのではないかと考えてございます。
以上です。
○山崎部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
宮武部会長代理、どうぞ。
○宮武部会長代理 それでは、1つ意見と1つ質問なのですが、まず最初は、オプション試算結果、資料1-2の12ページです。オプション3ということで、「退職年齢と受給開始年齢を65歳以上とした場合の給付水準の上昇」という例が書いてございます。45年間拠出すれば65歳受給開始モデルで、例えばケースEで言えば57.1%、47年拠出で繰り下げ受給をして67歳なら、ケースEで言えば68.2%ということですが、これは恐らく、60代になっても賃金はずっと伸び続けるというような仮定でこういう所得代替率をお出しになっているのではないか。それでなければ、こんなに高い所得代替率になるのかなと思います。
現実に、60代になってそんなに賃金が下がらないまま伸び続けているというのは極めてレアケースでありますから、もしこれをお使いになるのならば、60代になっても所得はそのまま変わらない、あるいは伸び続けるという前提を書いておかないと、世の中が間違うのではないかと思います。それが1点であります。
もう1点は、きょう御説明のなかった資料でありますけれども、当然ながら関連してきますが、参考資料1-3「平成26年財政検証関連資料」というものがございます。この財政検証関連資料の12ページ目に、生まれた年によって年金受給後の基礎年金の年金額がどのように変わるのかということが出ているわけであります。基本的に、たしか平成12年度から既裁定の方たちに対しては賃金スライドを行わず、物価スライドのみということになったわけでありますので、そうなってくると、老齢基礎年金を受けた時期によってということは、生年月日によって老齢基礎年金の額は変わってくるわけですね。現在は賃金が低迷をしているものですから、賃金スライドによる差というものは余り目立たないわけですが、これから先、賃金上昇局面に入ってくると、生年月日によって実は老齢基礎年金はかなり大きく変わってくる。
それを防ぐために、乖離幅が2割になった場合には調整するということになっているわけですけれども、その調整した後の状況がここに出ていまして、老齢基礎年金はそんなに大きく年齢によって変わらないよという表なのですけれども、実際にこの乖離幅2割の調整をしなかった場合はどれだけ開くのでしょうか。それがわかったら教えてください。きょうわからなければ後でも結構です。どれぐらい開くものなのか。
要するに、なぜ聞いているのかというと、老齢基礎年金というのは老後の基本的な生計費を賄えるという政策的判断で決めてきたわけですけれども、それがだんだん考え方というか原型が変わってしまって、実は年齢によって老齢基礎年金の額、水準は変わってくるということですね。それの是非というものも問わなければいけないわけでありますので、これから先の賃金上昇局面でどれだけ変わってくるのかということ、調整する前ではどれだけ変わってくるのか、そしてこの2割の調整はこの図で言えばどこから始まっているのか、それがわからないのですね。おわかりにならなければ、きょうでなくても結構です。教えてください。
その2点でございます。
○山崎部会長 お願いいたします。
○武藤数理課長 まず、1点目のオプション3の60歳代前半の賃金上昇率の設定ということでございます。これは先ほどもお話ししましたけれども、60歳代前半、今も被保険者の方はいらっしゃいますが、それをマクロ計算しているという話と、あと、ここでお示ししている所得代替率のモデルにおいて60歳代前半はどういう賃金が設定されているかと、2つ要素があるかと思います。まず、マクロ試算のほうにつきましては、今でも60歳代前半の厚生年金の被保険者の方がいらっしゃいますけれども、賃金カーブを見ますと、定期昇給していくに従って、年齢が上がるに従って上がるのですけれども、あるところでピークを打って下がることになりますので、マクロ計算における60歳代前半の賃金については、50歳代後半に比べると下がっているのではないかと考えています。
むしろ御質問は、ここのモデル計算で行われた60歳代前半のほうだと思いますけれども、これは一応、モデル年金を延長した形ということになってございますので、従来のモデル年金は40年間平均的な厚生年金の平均賃金で働かれた方として仮定しておりますので、それを延長して60歳代前半も設定しているということでございます。
○宮武部会長代理 要するに、実態として60代になってから定期昇給してどんどん賃金が上がっていくとか、緩やかでも上がっていくというケースは本当に少ないわけです。レアケースですね。でも、これを見たら、頑張って47年拠出して67歳まで繰り下げれば、ほぼ所得代替率7割になるのかと思われるのは、実は世の中を惑わせるのではないかと私は思っておりますので、意見を申し上げております。
○武藤数理課長 一応、委員の御指摘は貴重な御意見として承っておきます。
○宮武部会長代理 ぜひ注釈を書いたほうがいいと思います。
○武藤数理課長 あと、後半の2割カットのほうにつきましては。
○山崎部会長 局長から何か御説明があるようです。
○香取年金局長 65歳以上にした場合の影響というのは、そこに書いてございますように、例えば67歳になるときというのは、加入期間が2年長くなることと、繰り下げによる効果ということになりますので、例えば65歳以降、あるいは60歳以降の賃金が仮に下がったと考えると、いわばそれは全体の47年間の平均賃金の額がその分少し下がるということを意味することになるわけですね。これは年金の計算式を見ていただくとわかるのですが、極端なことを言いますと、仮に賃金がゼロで伸ばした場合でも、実は加入期間が延長したことによる給付の改善効果のほうが大きいので、必ず高くなります。
もう一つは、報酬比例部分というのは、上に乗っかっているのは完全な報酬比例ということになりますので、代替率に影響を与えるのは実は基礎年金の部分ということになります。ほかのところで出てまいりますけれども、実は平均賃金が下がる階層に移行すると、基礎年金の割合が高くなるので代替率が高くなるという構造になりますので、60代以降の賃金がどうなるかということと関係なく、それぞれの代替率に対して一定の代替率改善効果が生じますので、65歳以上の賃金がどうなるかということと、ここに示している代替率の上昇効果というのは、そういう意味で言うと関係がない。
つまり、単純に2年延びた分でどれだけ長くなるかということと、繰り下げをすると1年当たりたしか7~8%ふえますので、そのときの自分の代替率に対して必ず7~8%なり、1年延ばした分が上がってくるということでございます。その影響をここはモデル年金でお示ししているということなので、所得が低い階層の方、高い階層の方であれば、それぞれベースになる代替率の数字は違ってきますが、それに対してこういう効果が出るという趣旨でございますので、68とか67とかいう数字は、モデル年金の場合はこうなるということなのですが、これでお示ししたいのは、ここで言うプラス何%という効果が出ますという、そこのところをお示しする、そういうミクロの影響をお示しした数字と御理解いただければと思います。
○宮武部会長代理 趣旨は分かりました。一応再考します。
○山崎部会長 基礎年金の水準には報酬の影響はないということですね。ですから、加入期間が延びることの影響で非常に基礎年金が高くなるということだと思うのですが、いかがでしょうか。
○武藤数理課長 8割ルールの効果につきましては、一応8割でとめおいてやっておりますので、そこから先、切り続けた場合というのは、やはり公的年金制度ですので、賃金と物価の乖離が出たときに、そのまま物価で改定していいのかどうかという議論がありますので、計算はしてございません。
効果として見られるという意味ですと、例えば、資料1-3の9ページです。これは生年度別に見た受給開始後の厚生年金の標準的な年金額となります。給付水準が低下していく効果というのは、賃金対比で見てみますと、マクロ経済スライドによって低下する分と、裁定後は物価スライドですので、賃金水準から見たら下がっていくという効果がございますけれども、8割でとめおくということになります。具体的には、この表でいう、右のほうの上の斜めの線のところを見ていただきたいと思うのですが、年金水準が賃金に対してどれぐらいになっているかというのが山括弧の数字で書かれています。例えば、1954年生まれの方が2044年になったときに40.4%という数字になっていると思います。これは8割にとめおいて、つまり、この一番下の欄の数字を見てみますと、そのときの新規裁定者の所得代替率が50.6%になっておりますので、50.6%の8割で40.4%になるということで、この40.4%の数字が、世代が変わっても、右下に流れても同じ数字が並んでいるということでございます。これによって数字の効果は見られるのではないかと存じております。
○山崎部会長 よろしいでしょうか。
それでは、翁委員、お願いします。
○翁委員 御説明ありがとうございました。
経済前提のところなのですが、私はやはり全要素生産性というのが中長期的な経済成長を展望する上で非常に重要だと考えておりますが、このケースは、内閣府試算の経済再生に接続するものを5つ、それから参考ケースを3つという、経済再生を前提にしたほうに軸足を置いて、8種類全部お示しになられてはおります。全要素生産性に関しまして、中長期的なトレンドを考えたときに、8ページのところには、経済再生ケースについては80年代と90年代前半までの平均、それから、内閣府参考ケースのほうは2009年までの平均ということで前提を置かれていますけれども、日本の長期的なトレンドを見れば、全要素生産性、もちろん努力によって回復できる面はあると思うのですが、製造業を中心にアメリカや欧州の後を追っていたような高度成長期の技術などを中心とする生産性の伸びと、今後、非製造業がだんだん中心になっていく経済の生産性の伸びということを長期的なトレンドで考えた場合に、やはり生産性の伸びというのは、長期を前提に年金を考える場合には保守的というか、慎重に見ておいたほうがよいのではないかと感じております。
その意味で0.5までお示しになられたということかと思いますけれども、内閣府の経済再生ケースというのは、政府の中にある以上、参照しなければならない部分だと思うのですが、より長期の視点に立った場合、生産性については堅実に見ていくという形で年金については考えていくほうがいいのではないか。8ケース示しているのですよという御回答だとは思うのですが、オプション試算をどのように生かしていくかということを考える際に、余り生産性が高い伸びを前提にしたシナリオが多いと、若干国民に対して示すときに、もちろんこのケースが実現できればいいのですけれども、ややバイアスがかかった見せ方になってしまうのではないかということを危惧しております。
○山崎部会長 御意見として。
ほかに。
牛丸委員。
○牛丸委員 基本的なことを3つ御質問させていただきます。
まず第1ですが、この財政検証の目的というのは、先ほど御説明がありましたように、資料1-1の表紙、法律的に決まっていると。それから、その1枚あけた2ページのところに、こういうことをやるのだと書いてありますので、やられたわけですが、まず第1の質問は、この報告をお書きになった、これは誰を対象として書いているのか、これが第1の質問です。
第2の質問ですが、今、申し上げましたように、法律によって財政の現状及び見通し、それから実際に2ページにあります年金財政の健全性を検証するという、これを目的とされているわけですが、専ら大事なことなのですが、今回この結果というのは、評価基準は所得代替率で行っていらっしゃるわけですね。ですから、それが財政と関係することはもちろんですが、いわゆる財政がどうなっていくかという話ではなく、所得代替率がどうなっているかということで全て評価している。
年金にとって、それは大事ですからいいのですが、いずれにせよ、どちらにしても、財政を論ずるにしても、所得代替率で見るにしても、最終的に、最初に誰ということを言いましたが、おやりになった当局としてはどういう見解を最後に評価するのか、これを示していただきたいのです。今日の御説明ですと、これから議論していただくための資料として、これだけケースを用意したと、それはよろしいのですが、説明の中で、今回は基本ケースを設けていないと。非常に読み手といいますか、聞き手としては理解しにくい。つまり、そういういろいろなデータからケースを考えて用意はしましたが、当局としては、この中のこのような状況を想定しますとかいう見解を出していただくほうが、我々としては理解しやすい。あえてそれを避けたのかどうかと。
というのは、今日の数理課長の最後のコメントがありました。ああいうものが大事なのです。ところが、それも書いていない。この報告書の書き方というのは、いわゆる文章として、こうこうこうなって、こうなってということはなくて、言ってみれば報告書の中の資料編がずっと並んでいるような感じを私は受けたのです。だから、本体のところの、当局として今後年金は、財政がどうなるか、あるいは所得代替率、どちらでもいいのですが、それに関しての見解をまとめていただくほうがいいかなというのが私の感想なのですが、これに対してどのようにお考えか、これが2点目です。
3番目は、財政ではなく所得代替率でという、これはどちらかというと年金にとって所得代替率は大事ですから結構なのですが、だとするならば、私は、基礎年金もちゃんとやっていただきたい。確かにデータとして1階部分、2階部分、別々に数字は出ていますが、結局は、政治的なこともあったと思いますが、最終的には所得代替率で全て処理している。
これは後から共済、私学の御報告を聞きますけれども、そちらと同じであれば、厚生年金、ここの部分はいいのですが、それではなく、厚労省さんとしては基礎年金を持っているわけですから、この基礎年金がどうなのかということが大事なのです。そこだけが一緒になってしまって2階で議論してしまっている。今日の数理課長の最後のコメントにも、財政規律、その点では仕方がないけれども、基礎年金部分の給付水準の低下が懸念されるという御発言が少しありましたように、基礎年金の部分が大事なものですから、だからこそそこの部分、年金財政というよりも年金水準といいますか、所得代替率でやったわけですけれども、そういうことを気にするならば、基礎年金のところをもう少し取り上げて出していただければありがたかったという、これが私の感想です。
以上3つ、何か御意見があればよろしくお願いいたします。
○山崎部会長 お願いいたします。
○武藤数理課長 1点目の財政検証結果は誰に対して公表しているのかという点についてでございます。
今日は説明を飛ばしたのですけれども、条文がございますので、条文の規定を確認しておきたいと思います。資料1-1の3ページに、政府が少なくとも5年ごとに財政検証を作成しなければならないというのが下線部に書いてあるところでございますが、第3項におきまして、政府は、財政検証を作成したときは、遅滞なくこれを公表しなければならないということになっておりますので、行う実施主体は当然政府なのですけれども、これを社会なり国民に対して公表して、それで年金制度のよりよいあり方を考えるための素材にしていただく。基本的に、法定の財政検証は年金財政の定期的な健康診断だと考えておりまして、5年に1回、定期的に検証していって、財政の健全性を確認していくという性格のものと考えております。
2点目は。
○牛丸委員 基本的なケースをあえて設けないで。
○武藤数理課長 それについては、最後の受けとめのところでもお話しさせていただいたことの繰り返しになるのですけれども、幅広い経済前提を設定して、どういう経済状況のもとではどういう年金財政の姿になるのかを幅広く示すことが大事だと思っておりまして、繰り返しになりますけれども、さまざまな、これによって御議論のベースになるものということで考えているという状況でございます。
○牛丸委員 3点目は。
○武藤数理課長 基礎年金のところについては、御意見としていただいたところですけれども、それは私どもも同じ認識でございますので、成長するケースにおいても基礎年金のスライド調整期間が長くかかるというところについては問題意識を持っておりますし、世の中でも言われていることでございますので、そこについてはしっかりと頭に入れて、今後の対応を考えていきたいと思っています。
○山崎部会長 牛丸委員、いかががですか。よろしいですか。
駒村委員、関連して御意見があるようです。
○駒村委員 3つほどありますけれども、まず、自分自身が年金部会のメンバーで、経済前提のメンバーですので、自分も面接を受けているような感じでなかなか落ちつかなかったのですが、1つ目の野上委員のお話は、事務局からもお話があったように透明性と、それから、技術的にはそのときそのときの経済学の標準的なモデルを使っていくのが正しいのかなと思っています。ただ、野上委員から御指摘があった部分としては、あとは翁委員からもあった部分ですけれども、パラメータをどう設定するかというのは非常に難しいのですね。将来予測とか、構造的な変化がどうなっていくかというのは難しいので、経済前提について批評を受けるとするならば、やはりそのパラメータの設定はどうあるべきなのかという水準で、5年のうちにより改善をするという議論が必要なのかなと。先ほど紹介もされたピケティなどもかなり新しいファクトを見せていますので、そういうものを踏まえて、また5年の間に経済前提のツールを開発していくのが大事かと思います。
2つ目としては、経済さえよくなれば財政上困る状態ではないというものの、財政構造的には積立金の運用に依存する部分よりは、やはり賃金と労働力率に依存する保険料収入の部分が圧倒的にインパクトが大きいというわけですので、これは全要素生産性と。全要素生産性というのは、経済理論のうちの説明できない、推計の中の説明できない部分ですので、説明できない部分に依存しているというのは非常に危なっかしい話であることは間違いないと思いますので、それはやや慎重な数字をフォーカスすべきではないかと思うと、やはりこのEとFが1%という非常に保守的な数字を出していますので、この辺に少し着目していく必要があるのではないかと思います。
EとFの違いは労働力率の違いですので、女性の労働力率のほうは関連施策が既に打たれていますので、これは期待できるものの、高齢者の労働力率のほうは関連施策がまだ打たれていなくて、受給アップだけで上昇するということになっていますから、そういう意味では、労働力のほうは6割ぐらい、ふえる労働力、厚生年金への貢献分の6割ぐらいが女性の割合だと思いますので、EとFのうちにFにやや近いのかどうなのかというぐらいが、そうすると50%を切るか切らないかぎりぎりなので、決して安心できるレベルではないと。
最後に、3つ目の基礎年金の話ですけれども、これは年金数理部会の責任がどこまでかというのはあると思う。これは年金部会のほうでちゃんと議論すべきだと思うのですけれども、マクロ経済スライドが基礎年金のほうに寄りかかるようになっている。これは2004年と2009年と2016年を比較しても、より基礎年金へのマクロ経済スライドがきくようになってしまっている。これは何を意味しているかというと、低所得者ほど基礎年金のウエートが高いわけですから、低所得者のほうが不利になるということで、マクロ経済スライドが、いわば逆進性が強くなっているということが言えるのではないかと。その辺を、牛丸先生がお話しされたように、代替率の評価で見ていくのか、それとも基礎年金独自の考え方で見ていくのかというのは大きな議論かと思います。これももしかしたらまた年金部会のほうで、必要なオプション推計に基づく政策議論が行われるのではないかと思っております。
済みません。今の議論に対して感想めいた、コメントめいたことになりました。
○山崎部会長 ありがとうございました。
時間が大幅に超過しておりまして、どうしてもということでなければ、とりあえず共済の方の説明を聞くことにしますので、次に移りたいと思います。
(数理課長、室長補佐、課長補佐 関係者席へ移動)
○山崎部会長 引き続いて、議題2「国家公務員共済組合の財政再計算結果について」及び議題3「地方公務員共済組合の財政再計算結果について」に移ります。
(財務省主計局給与共済課 相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会 工藤年金企画部長、同 小澤年金企画部次長、総務省自治行政局公務員部福利課 福嶋数理官、地方公務員共済組合連合会 荒井数理審議役 報告者席へ移動)
○山崎部会長 両制度につきましては、財政単位が一元化しており、財政再計算も一体として行われておりますので、議事次第では議題2と3に分かれておりますが、本日は御一緒に説明をお願いしたいと思います。
本日は、お忙しい中、財務省主計局給与共済課の相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会の工藤年金企画部長、小澤年金企画部次長と、総務省自治行政局公務員部福利課の福嶋数理官、地方公務員共済組合連合会の荒井数理審議役に御出席いただいております。ありがとうございます。
それでは、説明をお願いいたします。
○相澤共済計理官 財務省主計局給与共済課の共済計理官でございます。
早速ではございますが、資料の説明をさせていただきます。資料2「財政再計算結果について-国家公務員共済組合・地方公務員共済組合-」をご覧下さい。
まず、この再計算の目的でございますが、公務員共済は平成27年10月に厚生年金に統合されるのですが、統合までの間、この9月及び平成27年9月に掛金率の引き上げがございます。掛金率については、法令上、5年に1度、再計算を行うとされておりますので、この再計算は、統合されるまでの間の掛金率を再計算するという目的で行っております。
さて、資料の一番最後の14ページをご覧いただけますでしょうか。再計算結果につきましては6月16日に公表されておりますが、再計算の実施に先立ちまして、再計算の前提についての通達を出しております。この通達は、国家公務員共済についてのものですが、財務省主計局長から国家公務員共済組合連合会理事長宛てに通知されております。「通知事項」の欄に具体的な内容がございます。
1ですが、再計算の基点は平成26年9月1日とします。
2ですが、再計算に当たっては、既に公布されている法律を前提とします。従いまして、平成27年10月からの被用者年金一元化法等についても前提として行うこととしております。
3ですが、将来の組合員数については、平成24年度末の組合員数の総人口に対する割合が将来一定であるものとして、日本の将来推計人口における出生中位推計を基礎として推計することとしております。前回の再計算では生産人口に対する割合が一定としておりましたが、その後の数理部会において、公務員の中には警察官や自衛隊といった将来的にも一定程度人数が必要な職種もありますことから、生産人口に対して一定という前提では、見積もりとして少ないのではないかという御指摘がございましたので、そうしたことを勘案しまして、総人口に対して一定という前提としております。
4ですが、経済前提やマクロ経済スライド等の前提につきましては、厚生年金の平成26年財政検証で用いられている前提を同様に使用することとしております。
5ですが、法令上規定されている再計算期間100年間について、その100年間の最後の年度は平成122年度としてございます。
6ですが、平成26年9月及び平成27年9月に実施される掛金率の引き上げについては、地方公務員共済と同様の保険料率とし、引き上げ幅については、厚生年金の保険料率を下回らないこととしており、具体的には0.354%引き上げております。
7ですが、費用の見通しについては、厚生年金の平成26年財政検証を参考として作成することとしております。
8ですが、再計算については、公務員共済ということで国家公務員共済及び地方公務員共済を合算して実施しますので、再計算に使用するデータについては国家公務員共済と地方公務員共済とが、それぞれ必要なデータを交換して作成することとしております。
以上が再計算の前提ですが、実際の計算結果につきましては、国家公務員共済連合会のほうから説明させていただきます。
○工藤年金企画部長 国家公務員共済連合会の年金企画部長でございます。
ただいま御説明のありました財務省からの通達に基づいて、今回、私どもが地方公務員共済組合連合会さんとともに行った財政再計算の結果につきまして、説明させていただきます。
資料2の1ページをお開きください。まず、「再計算の前提条件等」でございますが、これは今、御説明のありました財務省からの通知に基づいた内容を列挙しておりますので、説明は省略させていただきます。
これに基づいて計算した結果としましては、3ページに進んでいただきますと、まず表の左上にございます公務員共済全体の組合員数につきましては、平成27年度、386万人と見込んでおります。一方、総人口の出生・死亡中位推計におきましては、平成122年度には約6割減少すると推計されております。これによりますと、組合員数も平成122年度には130万人と見込まれているところでございます。
また、年金受給権者数につきましては、合計で416万人から、平成122年度には279万人と見込まれております。その結果、右端にございます年金扶養比率は、平成122年度には1人の退年相当受給権者を1.07人で支えるという状況が見込まれているところでございます。
次の4ページは、これをグラフにしたものでございますので、説明は省略させていただきます。
5ページの「保険料率の将来見通し」でございますが、左上の表にありますように、再計算時点での現行の保険料率165.7‰を平成26年9月以降、毎年3.54‰ずつ引き上げまして、平成30年に厚生年金の上限保険料率であります183‰に到達するという見通しで計算しております。
なお、平成27年10月以降の保険料率は、注)4にございますように、一元化法に定められているところでございます。
次の6ページからは、公務員共済全体の厚生年金部分の財政の見通しですが、厚生年金と同様に複数の経済前提をもとに再計算の作業を行っております。
まず、6ページのケースAをごらんいただきますと、下の注1にありますように、平成40年度以降、物価上昇率2%、賃金上昇率2.3%等の前提を置いて計算いたしまして、表の右側の収支差額の欄をごらんいただきますと、足元の数年間は赤字が見込まれておりますが、その後の70年程度は黒字が続く。その後、積立金を取り崩して、右端の一番下の欄にございますように、平成122年度には47兆8,000億円の積立金を保有している状況と見込まれているところでございます。
被用者年金一元化の際に公務員共済の積立金のうち、厚生年金の積立金の水準に見合った額を一元化後の厚生年金の積立金として仕分けることとされております。この具体的な仕分けにつきましては、平成27年度の厚生年金給付額に対します26年度末時点での厚生年金の積立金の額の割合により仕分けることとされているところでございます。今回の財政再計算におきましては、公務員共済全体の積立金は、時価ベースで約44兆円見込まれております。そのうち厚生年金の積立金として仕分けることとされます額は、表の右上にございますように、約24兆円と見込まれているところでございます。
次の7ページのケースB以降、12ページまで物価上昇率や賃金上昇率を段階的に低下させた場合の各ケースごとの見通しを示しております。いずれのケースにおきましても、将来の積立金の額に違いがありますものの、ケースAと同様、一定の積立金を保有した財政運営が行われる見通しとなっているところでございます。
それでは、次の13ページにお進みいただきたいと存じます。被用者年金一元化によりまして廃止することとされております3階部分、職域部分につきまして、既裁定者及び未裁定者の一元化までの期間に係る職域部分の年金を一元化後、経過的に支給することとされているものの今後の状況でございます。
まず、積立金の額につきましては、公務員共済の全体の積立金、先ほど申しました時価ベースで約44兆円ということでございますが、このうち20 兆円弱の積立金をこの職域部分の年金支給に充てることができるものと見込まれているところでございます。
次に、運用収入を考慮しないベースでの収支を示しております。表の運用収入を除く収入の額の欄がございますが、これは恩給期間の給付に係る国等からの追加費用収入等を計上しております。したがいまして、収支差額の欄は、今後、積立金で賄うこととなる支出ということで、ケースAの場合におきましては、表の一番下にございます収支差額の現在価値の合計額は約19兆円と見込まれているところでございます。ほかのいずれのケースも含めまして、年金支給には支障がないものとなっているところでございます。
以上の今回の財政再計算の結果を踏まえまして、平成26年9月~27年9月の掛金率を定めるための定款変更につきまして、7月2日に財務大臣の認可をいただいているところでございます。
私からの説明は以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
○福嶋数理官 それでは、総務省自治行政局公務員部福利課の福嶋と申しますが、私のほうから、地方公務員共済組合の財政再計算結果の部分につきまして、若干御説明させていただきたいと思います。
地方公務員共済組合につきましては、先ほどの山崎部会長からのお話にもございましたが、国家公務員共済組合と長期給付の財政単位が一元化されておりますので、地方公務員共済組合分と国家公務員共済組合分につきましては、合算をして再計算しておるところでございます。したがいまして、地方公務員共済組合としての財政再計算結果につきましては、今、財務省、それから国家公務員共済組合連合会から御説明のございました内容と同様のものとなっておりますので、重複する部分の御説明は割愛をさせていただきたいと思いますが、なお地方公務員共済組合の部分につきまして、御説明をさせていただきたい部分につきまして、若干お話をさせていただきたいと存じます。
資料2の一番最後の14ページ、一番下の※ のところでございます。地方公務員共済組合の財政再計算につきましては、地方公務員等共済組合法第113条第1項の規定に基づきまして、長期給付に要する費用については少なくとも5年ごとに再計算を行うものと規定されているところでございます。そして、本年5月27日には、総務省から、地方公務員共済組合連合会に対しまして、このたびの財政再計算の作業方法を示した通知を発出し、同連合会におきまして、それに沿った再計算作業が行われたところでございます。
それでは、続きまして、実際に事務作業を行いました、地方公務員共済組合連合会のほうから若干御説明をさせていただきたいと存じます。
○荒井数理審議役 地方公務員共済組合連合会の荒井と申します。よろしくお願いいたします。
計数的なところにつきましては、先ほどの説明のとおり、公務員共済全体で再計算を行っておりますものですから、全く同じことになっておりますが、若干相違する点がございますので、その点を御説明させていただきます。
1ページ目に戻っていただきまして、「再計算の前提条件等」というところになっております。「計算基礎」につきまして、私どもも調査をやっておりまして、国共済連合会の調査とは違う、組合員等現況調査というものを使いまして、組合員、年金受給権者、年金待機者のデータを用いて、私どもの実績に基づいた基礎率などをもとにして算定してございます。
2点目ですが、「将来の組合員数」の女性の組合員の関係の取扱いにつきましては、直近の新規加入者に占める女性組合員の割合をもとにしまして、それが将来的に一定で推移するということで、将来の女性組合員数の推計をしているところでございます。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して御質問等はございますでしょうか。田中委員。
○田中委員 先ほど御説明いただきました資料の中で、13ページの旧職域部分の御説明があったのですけれども、収支差額の現在価値の合計がいずれも19兆円を下回っているので、時価ベースの積立金の額を下回っていて健全であるというお話だったのですが、この現在価値の計算に当たって割引率等はどのように設定されているかというのが1つの質問です。
それから、旧職域部分にかわって新たな職域年金を創設されると聞いておりますが、それとの関係はどのようになっているか、その2点をお伺いしたい。
○工藤年金企画部長 最初のほうの御質問の割引率ですが、運用利回りで割り引いているということでございます。
○田中委員 それは厚生年金のものと同じということですか。
○工藤年金企画部長 そういうことでございます。
○田中委員 わかりました。
○相澤共済計理官 2点目の御質問についてですが、被用者年金一元化についての制度改正におきまして、国家公務員共済及び地方公務員共済における職域部分は廃止ということとなり、平成27年9月末時点の積立金のうち、厚生年金に移管される部分を除いた残りの積立金をもとに年金給付を行っていくことになっております。廃止された職域部分に替わり、平成27年10月から、新たに年金払いの退職給付を創設することになっておりますが、この制度は積立金がない状態から制度を始めていくこととなっています。制度の詳細については、現在検討中でございます。
○田中委員 わかりました。ありがとうございました。
○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。なければ、次に移ります。
説明者の方々、お忙しい中をありがとうございました。どうぞ席をお移りください。
(財務省主計局給与共済課共済計理官、国家公務員共済組合連合会年金企画部長、同年金企画部次長、総務省自治行政局公務員部福利課数理官、地方公務員共済組合連合会数理審議役 関係者席へ移動)
(文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室 元平室長補佐、日本私立学校振興共済事業団 松浦数理統計室長、同 酒井資産運用室長 報告者席へ移動)
○山崎部会長 引き続きまして、「私立学校教職員共済制度の財政再計算結果について」に移ります。
本日はお忙しい中、文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室の元平室長補佐、日本私立学校振興・共済事業団の松浦数理統計室長、酒井資産運用室長に御出席いただいております。ありがとうございます。
それでは、説明をお願いいたします。
○元平私学共済室長補佐 本日は、日本私立学校振興・共済事業団の方も同席して御説明をさせていただきます。私、文部科学省高等教育局私学共済室長補佐の元平でございます。
まず、今回の財政再計算を御説明する前に、前回、平成21年財政再計算の要留意・検討項目において、私学共済については平成16年財政再計算と同様に被保険者数を学齢対象人口の減少に連動して減少する見込みとしていましたが、その後の実績は逆に増加という傾向を示しており、仮定よりも多くなる前提に基づいた試算もしていく必要があると御指摘をいただいたところでございます。
現在についてですが、私学共済の加入者については増加の傾向を示しております。その主な要因といたしましては、看護基準の見直しに伴う7対1看護の確保のために、大学病院におきまして看護師が引き続き増加しているということと、幼稚園における少人数学級の割合や認定こども園の件数の増加への対応として、新規採用者が引き続き増加しているためと考えられております。つきましては、その実績を踏まえ、足元の加入者数につきましては増加を見込むということで、今回計算しております。
なお、長期的には、将来の学齢対象人口に基づき減少していくという推計で計算させていただきました。その他の要留意・検討項目についても十分に分析した上で、私学共済では今回の財政再計算を行ったところでございます。
具体的な再計算結果につきましては、私学事業団のほうから御説明させていただきます。
○松浦数理統計室長 私学事業団でございます。大変お世話になります。よろしくお願いいたします。
資料の構成立ては、今の資料2の国家公務員共済と同じようなつくりでございます。
資料3でございますが、1ページに今回の「財政再計算の前提条件等」を記載しております。基本のところは同じでございますが、時間の関係もありますから、特徴だったところだけ申し上げます。
「加入者数の見通し」、今お話し申し上げたとおり、今回増加を見込んでおります。具体的に(1)に書いてございますように、平成25年度末につきましては、25年6月末実績の学校種別・男女別の対前年同月差を24年度末加入者数に各々加えて推計をしております。そして、(2)に具体的に書いていますが、その後の推計につきましては、学校種別ごとに動向を推計しているところでございます。特に今お話しいたしました大学等につきましては、かなり伸びていますので、31年度までは男女別に直近の増加率により推計し、32年度以降は当該率を逓減させた率で推計しております。そこが大きな特徴で、以下、後ほど読んでいただければと存じます。
そして、37年度以降につきましては、やはり、どの学校種別においても減っていくと推計している次第です。
続きまして、2ページでございます。ここは基本、厚生年金で実施をされておりますものを使って、財政検証で使われたものを使っておりまして、国家公務員共済と同様、旧職域の部分がございますので、その見通しも厚生年金に沿って実施しています。
あと、国家公務員共済にもないものといたしまして、「保険料負担軽減額の見通し」について、被用者年金一元化法に定める最大の軽減保険料率を適用した場合の保険料負担軽減額を推計して、作成しております。
それでは、3ページ、具体的な数字でございます。加入者数、年金受給権者数、年金扶養比率でございます。
まず、加入者数につきましては、平成27年、52万2,000人に始まりまして、ピークは平成35年、56万6,000人でございます。以下、減少していくということでございます。年金受給権者数につきましては、46万4,000人から始まりまして、ピークは平成72年、144万4,000人になります。年金扶養比率につきましては、当初4.75ということでございます。
次の4ページは、今、申し上げた数字をグラフ化したものでございます。
5ページは、「保険料率の将来見通し」をグラフ化したものでございます。具体的に、私学共済につきましては下から2つ目の階段でございまして、被用者年金一元化法に定められた保険料率になります。
その下の破線が、先ほど申し上げた、軽減をした場合、特に最大軽減をした場合にどうなるかというものをビジュアル的にあらわしたものでございます。詳細は後ほど御説明を申し上げます。
6~12ページは、私学共済で実施いたします厚生年金部分の財政見通しを、それぞれ経済ケースのA~Gまで表示したものでございます。
13ページが、今回の財政再計算におきまして、先ほど公務員共済で御説明があったものと同様、積立金を仕分けし、独自財源の積立金を計算して、左上の独自財源積立金の額、ここにケースA~Eで1兆7,995億円、ケースF・Gで1兆7,965億円でございます。
(2)の表のところでございますが、このように、どれほどかかっているかということを計算して、一番下段でございます収支差額の現在価値の合計に示したように、ケースA~G、どのケースにおきましても1兆2,000億円程度となる。つまり、左上の独自財源と比べて、どのケースでも独自財源の積立金で旧職域部分が支払えるということ、支障がないということがわかった次第です。
続きまして、14ページでございます。これが被用者年金一元化法に定める最大の軽減保険料率を適用した場合の保険料負担軽減額を推計したものでございます。具体的に、4~8月、9~翌年3月、この数字が法で定められた最大の軽減保険料率でございます。この率をもって計算したところ、保険料負担軽減額、最大の現在価値の合計は、一番下の数字でございます。A~Gは3,700億円程度となっています。軽減保険料率を適用すると最大でこれぐらいかかるということがわかった次第でございます。この計算でいけば、旧職域部分に加えまして、最大の保険料負担軽減額もほぼ賄えるということがわかった次第でございます。
時間の関係もありましたので、ちょっと足早で済みませんでしたが、御説明申し上げました。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
駒村委員。
○駒村委員 これは私学共済のみというか、全体に係る質問なので後でもいいですけれども、チャンスがあれば。
○山崎部会長 とりあえず。
○駒村委員 今いいですか。
○山崎部会長 どうぞ。
○駒村委員 これは先ほどの共済も含めての質問になるのですけれども、1つ目は、委員にのみ配られている9ページのところにある、共済組合からの拠出金のところで激変緩和措置が書かれていますけれども、当分というのは、これはずっと下がっているという前提で見て計算されているかどうか、これは全共済に確認したいことです。
2つ目は、これは厚生年金のほうがむしろメーンかもしれませんけれども、法律では501人以上の事業所に対する短時間労働者への適用拡大というのは決まっていて、これは民間だけではなくて公務員や私学もその対象になっているのではないかと思うのですが、これが行われていっても、将来の予測としては、今、それは極めて少ない25万人ぐらいの話ですけれども、厚生年金の2号、3号、4号の各共済のメンバーには関係なく、その財政構造には関係なくて、全て厚生年金のほうでそれは厚生年金加入者ということになる、1号の加入者になるので、そちらの財政の中に反映されて、後で拠出金という形で各共済の間の調整が行われるという理解でいいのかどうなのか。
2点でございますが、これは厚労省に確認したほうがいいのかもしれませんけれども、お願いします。
○山崎部会長 最初のほうは報告者の方に。
○松浦数理統計室長 最初のほうにつきましては、厚生労働省の計算において、全共済共通で、当初の10年間程度、激変緩和措置を適用しております。
○山崎部会長 それでよろしいでしょうか。
2番目につきましては、非正規への適用拡大が各共済でどのように受けとめられるのかということだと思うのですが、いかがでしょうか。
○武藤数理課長 財政検証の前提についてどうなっているかというところで御説明させていただきますと、一体改革で25万人ベースの拡大がされたわけですけれども、その拡大分については、旧厚生年金の被保険者がふえるということで計算しております。
○山崎部会長 これは私学も同じでしょうか。
○松浦数理統計室長 私学につきましては、加入者数の中にその分はちゃんと見込んでございます。
○山崎部会長 つまり、私学は厚生年金と同じように適用拡大をして。
○松浦数理統計室長 4号でございますので。
○山崎部会長 公務員共済は、いわゆる非正規の方は対象になっていないということでよろしいでしょうか、フルタイムの非正規も公務員の職場にいると思いますが。
○工藤年金企画部長 国家公務員共済組合の場合には見込んでございません。
○山崎部会長 一切対象になっていないということですね。
○工藤年金企画部長 はい。
○山崎部会長 労働時間に関係なく。
○荒井数理審議役 地方公務員共済組合ですが、私どものほうは、国共さんと同じでございまして、この本体の再計算そのものというのは、オプション試算ではないもので基本的なものでやっておりまして、先ほどの適用事務所拡大というのはオプション試算の関係だと思います。オプション試算は私どもはやっておりません。
○駒村委員 オプション試算ではなくて、法律でもう既に決まっている部分の25万人のところ。
○荒井数理審議役 25万人のところは、そのような前提で、多分そういう方がふえると、25万人がふえますと、私どもの3号被保険者の方が少し減っていくのではないかと、そういうところは見込んでおります。
○駒村委員 地方自治体に雇われている非正規の方が短時間労働者の方はかなり多いと聞いていたので、どのくらい、20時間以上、1年のという条件の方が、その25万人にそもそも入っていないのかもしれませんけれども、では、今のところそれは考慮していないということでいいですね。3号が減るというのと、本体との関係が動くというだけで、直接、公務員共済のメンバーがふえるという扱いでは多分ないとは思うのですけれども。
○荒井数理審議役 やはり資格要件に当てはまらないような非常勤の方々は私ども組合員にしてございませんので、そのような御理解になるかと思います。
○山崎部会長 つまり、労働時間に関係なく、例えばフルタイムの非正規の方も霞が関にはたくさんいらっしゃると思うのですが、基本的に共済組合員ではなくて健保、厚年の適用になっているということでございますね。それがいいか悪いかというのは、また議論のあるところだと思います。
ほかにございますでしょうか。
浅野委員、先ほど、最初の説明について御質問があったようですが、若干時間がありますので。
○浅野委員 今回の財政再計算については、オプション試算でありますとか、いろいろな経済のケースをやられて非常に幅広い報告で、国民の理解のために大変重要なレポートだと思います。その中で、数理課長が最後におっしゃられたように、まさに高成長、それから労働力人口がふえるということが、やはり年金がずっと続くことが大切だというまとめをされたということは、裏返しますと、そうでないと年金が大変になるということで、これは翁委員も指摘されていたように、そこの前提の設定の仕方が非常に重要になるということではないかと思います。
そうしたときに、先ほど野上委員から御指摘があったような点につきましても、今後の経済モデルの検討ということかもしれませんけれども、例えばその前提が少し欧米寄りみたいな前提に変わったら、どのぐらい年金財政への影響があるのだとか、所得代替率への影響があるのかというのを、精緻な計算ではなくてもいいと思うのですけれども、そもそもそういうところを我々として見ておくべきかどかという判断になるようなものは確認しておく必要があるのではないかと考えます。
○山崎部会長
それでは、御協力ありがとうございました。
私学の関係者の方、どうもありがとうございました。
(文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室室長補佐、日本私立学校振興共済事業団数理統計室長、同資産運用室長 関係者席へ移動)
○山崎部会長 次に、「今後の検証(レビュー)のすすめ方について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○清水首席年金数理官 今後のレビューの進め方ということでご説明申し上げます。
本年年末に向け、今回の財政検証、再計算につき、どのような視点から検討を進めていくのか、あるいは、各制度からどのような資料をご提供いただくのか、こういったことについて、作業班を開催して、検討を進めていきたいと考えております。要は、本年年末までに、各制度からどのような資料を提供していただくのかということについて固めて、制度所管各省にお願いしたいということでございます。
それから、毎年度実施しております決算ヒアリング、財政状況報告の作成につきましても、例年と同様のスケジュールで作業を進めていただければと考えております。
また、本日の資料4について、この場ですこし説明させていただきたいと存じます。山崎部会長と御相談の上、資料4にお示ししたような形でセミナー形式の部会を開催したいと考えております。資料4をごらんいただけますでしょうか。
趣旨は昨年度と同じでございまして、公的年金財政を巡って、多くの方々に公的年金財政に関する理解、また、年金数理部会の活動に関する理解を深めていただくということでございます。
日時は、本年11月12日水曜日の14時からということで、場所は灘尾ホールでございます。
今年度も、外部講師による基調講演の後、部会委員の皆様と意見交換を行っていただくとともに、会場の参加者からも意見を募り、双方向性を確保したいと考えております。外部講師としては、みずほ年金研究所の小野正昭さんを招聘したいということでございます。
テーマは「公的年金におけるリスク管理」ということで、以下、考えられる論点を挙げてございますが、かいつまんで申し上げれば、公的年金におけるリスクとはどのようなものか、それに対して現行のリスク管理メカニズムはどのような形になっているのか、それを踏まえて、公的年金のリスク管理をめぐる今後の課題は何か、そういったことが考えられるのではないかということでございます。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
何か御質問等はございますでしょうか。それでは、今後の検証の進め方及び本年度のセミナー形式年金数理部会の開催については、ただいま事務局から説明のあったような形で進めることにしたいと思います。
それでは、本日の議事を終了いたします。どうもありがとうございました。
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