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2014年11月5日 平成26年度第2回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録
○日時
平成26年11月5日(水)10:00~12:00
○場所
厚生労働省専用第23会議室(6階)
東京都千代田区霞が関1-2-2
○議事
平成26年度第2回医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会
議事次第
日 時:平成26年11月5日(水)10:00~12:00
場 所:厚生労働省専用第23会議室(6階)
○桑原臨床研修指導官 皆様おはようございます。
定刻より少し早いですが、先生方おそろいになりましたので、ただいまから「医道審議会医師分科会医師臨床研修部会」を開催いたします。
本日は御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
欠席の御連絡ですが、本日は清水委員から所用により御欠席の御連絡をいただいております。
また、文部科学省医学教育課からは、平子企画官にお越しいただいております。
議事に入る前に、7月1日付の事務局の人事異動で、前回御紹介できなかった者がおりますので、御紹介させていただきます。
医事課長補佐の松崎です。
○松崎医事課長補佐 松崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○桑原臨床研修指導官 以降の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。桐野先生、よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 どうもおはようございます。
まず資料の確認について、事務局からお願いいたします。
○桑原臨床研修指導官 それでは、資料の確認をお願いいたします。
それから、カメラを撮られている方がいらっしゃいましたら退室をお願いいたします。
資料でございます。ターンクリップを外していただきますと、ゼムクリップでとじたものが大きく2部構成になっております。
1つ目のゼムクリップを外していただきまして、こちらが参考資料以外の本当の会議用資料でございます。
議事次第に続きまして委員名簿、座席表がございます。
資料1-1「平成28年度募集定員の上限について(案)」。
資料1-2「研修医の募集定員・受入実績等の推移(現行算定方法の試算)」。
資料1-3「研修医の募集定員・受入実績等の推移(上限固定の場合のイメージ)」。
資料2「平成28年度募集定員における他県の大学で養成されている地域枠学生の扱いについて(案)」。
以降は報告用の資料でございますが、資料3-1「臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループについて」。
資料3-2「到達目標とその評価の在り方に関する研究について」。
以降のゼムクリップでとじた資料は参考資料集となっております。
以上でございます。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。
議題は「平成28年度募集定員について」「その他」となっております。
平成28年度募集定員について御審議願います。
まずこの件について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○田村医師臨床研修推進室長 議題1に関連しての資料は資料1になるのでございますが、その説明に入ります前に、平成26年度の採用実績、それから、昨年見直した新しい平成27年度からの算定方法によりますマッチングの結果等が出ておりますので、まずその点について御報告をさせていただければと思います。
○桑原臨床研修指導官 先ほど参考資料集と申し上げた、もう一つのとじ物のゼムクリップを取り出して外していただけますでしょうか。既にいろいろなところで公表している資料をまとめたものでございます。
まず一番最初に、右上に参考資料1とございます。平成26年度、今年度から始まっている臨床研修の採用実績をまとめたものでございます。真ん中下のほうに調査結果のポイントという四角の囲みがございまして、その1つ目のポツを見ていただけますでしょうか。今年度、平成26年度の採用実績は7,792人でございました。昨年度7,674人で増員しておりますし、平成16年度の必修化以降、採用実績は過去最多となっております。
2つ目のポツでございますが、この7,792人を大都市部のある6都府県とそれ以外の道県とで相対的な比率を出したものでございます。6都府県以外の道県での割合が55.6%、昨年度54.5%でしたが、こちらも増大して、この割合も必修化以降、過去最大となっております。
こちらの過去の推移を見たものがページをめくっていただきまして2ページ目の下のほうに緑色と、紫色の線で引かれたグラフがございます。今の6都府県とそれ以外の道県の割合を時系列で追ったものでございます。一番右のほうに行くにつれて最新のデータになりますが、平成26年度、上の緑のほうが6都府県以外の道県、この割合が最多になっている。一方、6都府県についてはずっと減少傾向にある。また、平成22年に都道府県別の上限を設けましたが、それ以降、この差が拡大しているのがおわかりいただけるかと思います。
続きまして参考資料2は飛ばしまして、参考資料3をごらんください。参考資料3は来年度から始まる臨床研修の実施体制について公表したものでございます。同じく下のほうに実施体制のポイントという四角の囲みがございます。この2つ目のポツにございますが、来年度からの臨床研修の募集定員は全体で1万1,222人でございました。今年度が1万703人になっておりますので、こちらは4年ぶりの増加をしております。
同じように6都府県とそれ以外の道県との割合を相対的に出したものが、6都府県以外の道県では63.4%、こちらも増大して、必修化以降、過去最大の割合となっております。
同じくグラフにしたものが4ページになりますが、下のほうに緑の線と紫の線とございまして、緑のほうが6都府県以外の割合を追ったものでございます。こちらもやはり緑のグラフがずっと上のほうに伸びてきて、過去最大になっているということがおわかりいただけるかと思います。
最後に参考資料4でございます。こちらは今の設定した募集定員を受けて、つい先日発表されましたマッチングの結果が公表されましたので、それをまとめたものでございます。同じく結果のポイントの中の1ポツ目を見ていただきますと、2行目です。希望順位を登録した研修希望者が8,767人でございました。うちマッチングにより病院が内定した者が8,399人で、この割合が95.8%でした。昨年度のマッチングでの内定率が96.1%でしたので、0.3ポイント減少しております。
2ポツ目でございますが、同じく6都府県とそれ以外の道県でこの割合を比較したものが、6都府県以外が56.5%、こちらもやはり必修化以降、過去最大となっておりまして、めくっていただいて3ページ、同じようなグラフなのですけれども、緑色の6都府県以外の道県の割合が相対的にずっと伸びてきているという状況でございます。
以上でございます。
○田村医師臨床研修推進室長 引き続きまして本題でございます。平成28年度の募集定員の上限に関連いたしまして、資料1-1、1-2、1-3を使いまして説明をさせていただければと思います。
まず資料1-1をごらんください。「1.平成27年度の募集定員の見直しについて」というところにつきましては、昨年、本部会で御審議いただきました報告書に基づきまして行いました、都道府県別の上限の新しい算定方法の見直しの概要というところを簡単に記載したものでございます。
1ポツ目にございますように、22年度からの激変緩和措置を廃止して、都道府県別の上限の計算式を一部見直し、また、全国の研修希望者の推計に医学部入学定員が増してくるということを織り込みますとともに、新たに都道府県が各病院に配分できる都道府県調整枠を新たに加えたというような見直しを27年から行ったところでございます。
2ポツ目にございますように、全体の募集定員数につきましては、平成27年度につきましては研修希望者の1.2倍と設定し、研修医の地域的な適正配置を一層誘導する観点から、次回見直しまでに約1.1倍と下げていくことを基本としつつ、適宜修正していくこととしたところでございます。
「2.平成27年度募集の結果のまとめ」についての箇所をごらんください。ここの部分につきましては、今回の新しい算定方法によります平成27年度の募集の結果がどうであったのかをまとめて記載しているところでございます。
具体のイメージにつきましては、資料1-2の図がわかりやすいかと思いますので、横にそれを置きながら資料1-1の資料とあわせてごらんいただければと思います。
実際に平成27年度の募集の結果でございますけれども、実際と試算との間で2点ずれが生じている点がございました。
資料1-1の1ポツ目にございます募集定員についてでございますけれども、全国の都道府県の上限の合計は1万1,583でございましたが、地方を中心に20の県、20の県がどこかということはその下に※印で書いているところでございますけれども、これらの県で都道府県の調整枠を県内の病院に配分し切れないという現象が起きたところでございまして、その結果、実際の研修病院の募集定員の全国の合計につきましては、全国の都道府県の上限の合計1万1,583を361下回って1万1,222となったところでございます。
これは資料1-2の図で御説明させていただきますと、赤色のラインが上限、紫色のラインが実際の全国の研修病院の募集定員の合計になるところでございます。平成27年のラインのところで1万1,583より、紫色のラインが1万1,222と少し下がっているのが、このことをあらわしているところでございます。
次に資料1-1の2ポツ目でございます。研修希望者数についてでございますが、これは医学部の入学定員の増を勘案いたしまして推計した値は9,634人ということでございましたが、実際にはこれを428人下回りまして9,206人となっておりました。平成21年度の医学部入学生が全員平成27年に卒業する。すなわち6年生として今年のマッチングに参加してくると仮定しておったところなのでございますけれども、途中で留年等によりまして6年生の数が推計ほど伸びてこなかった。そういうためにずれていると考えられるところでございます。
これを資料1-2の図で御説明いたしますと、オレンジ色のラインが研修希望者の数でございまして、点線の推計値9,634よりも実線の実際の値9,206ということで、ここがずれているというような結果になったところでございます。
この結果、平成27年度の研修希望者に対する募集定員の倍率につきましては、平成25年度の1.237倍から1.219倍には低下したのですけれども、想定していた1.20倍は上回ったという結果になっているところでございます。
将来的な見通しに関してでございますけれども、資料には書いてございませんが、研修希望者については現在、留年等はしているけれども、退学者が増えてきているということは聞いていないところでございますので、最終的には1年か2年ずれて入学してきた人たちが卒業してくるのだろう。いずれこの点線のラインに大体沿ってくると想定されるところでございます。
また、赤い点線で示しております、それに対する都道府県の上限の試算についてでございますけれども、資料1-2の図でいきますと、それぞれ点線の研修希望者に対して28年は1.18倍、29年は1.16倍、30年には1.10倍にするということで、徐々にかけ合わせた数字をかけると、こんなカーブを描くような形になるわけでございまして、1回、平成28年には1万1,850ということで1回ふえて、その後、徐々に今よりも下がってくるというような形になるところでございます。
赤色のラインと紫色のラインは、現在361ぐらいずれているところでございますけれども、地方の県においても今後地域枠とか、いろいろ地域にも研修生が定着してくるというふうになれば、もう少し募集定員を拡張しようというような動きも出てくれば、この赤色の点線のラインと紫色のずれというものは、若干縮まってくるのかなと考えられるところでございます。
ただ、最終的に1.10倍としたときにも、依然として大量に余らしてくるような県が出てきた場合には、若干使えない県からほかの県に調整枠を再配分するような工夫をしないと1.10倍よりも少ない募集定員になってしまいますので、そういった工夫は将来的には必要かなと。ただ、今は地方がこれから努力してくる状況を見てくるというのが適当ではないかと考えているところでございます。
本題でございます平成28年度の募集定員の設定をどうしようかというところでございますけれども、資料1-1の2ページ目をごらんいただければと思います。
まず案の1につきましては、現行の算定方法どおりで設定を行う。すなわち全国の募集定員の上限を研修希望者推計の昨年は1.20倍としたところでございますけれども、来年は推計値の1.18倍ということで上限を出すということでございます。
若干繰り返しになりますけれども、1つ目のポツにございますように、そうした場合、研修希望者の推計値は平成27年度から408人増加して1万42人となり、全体の募集定員の上限は1万1,583から267増加して1万1,850となるところでございます。
ただ、これにつきましては2ポツ目に書いてございますけれども、平成27年度と同様に実際の研修希望者は、当面の段階ですとまだ卒業してこられないで途中で留年することによって推計値を下回り、また、20程度の県につきましても今年と同様に都道府県調整枠を各病院に配分し切れずに、募集定員が上限を下回るという形で試算とずれるという現象が起こってくることから、1.18倍から実際の倍率は乖離してしまうことは避けられないかなと思っているところでございます。
これに対して案の2につきましては、実際の募集定員の倍率をもう少しそれであれば1.18倍に近づけてはどうかという御意見がもしある場合の1つのやり方として示させていただいたものでございます。
1ポツ目にございますように、研修希望者と研修医総数の推計値、全体の募集定員の上限といったところを平成27年と同じにして計算を行う。それ以外の値については最新値に置きかえて計算を行うこととしてはどうかというものでございます。
この場合、2ポツ目にございますように、全体の上限は変わらないわけですから、都道府県が配分し切れないような調整枠の数も、大体平成27年度と同じぐらいだろうと推計いたしますと、募集定員は1万1,222と今年と同じ程度になるのかなと。それに対して3ポツ目でございますけれども、平成26年度の実際の研修希望者がどうなるかというところなのですが、平成26年度の医学部の5年次生、文部科学省の学校基本調査等によりますと、今年は5年生が昨年よりか342人増えているというデータがございまして、今年の研修希望者9,206人に342人、これは5年生が6年生に必ず上がってくるという仮定に立ちますと9,548人ぐらいになる。この9,548人に対する募集定員1万1,222の割合というものを計算いたしますと1.175倍と、多少きついかもしれませんけれども、地方の都道府県において調整枠をもう少し使い切ってくれるような努力をしていただければ、大体1.18倍ぐらいになるのではないかというようなイメージがあるところでございます。
資料1-3の図で一応そのことを簡単に図式して示しておりますので、それを案の2につきましては御参照いただければと思います。
以上、平成28年度募集定員の設定方法につきまして、現行どおりでいくというやり方。もう少し実際に近づけたほうがいいのではないかというやり方と、1.18倍にするに当たってのやり方を2つ提案させていただきました。御議論いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 それでは、御意見をいただきたいのですが、この募集定員については毎年度の入学者がそのまま100%卒業してくる、そして、その上の学年でもう一度試験を受けて、新たに研修希望者になる人がゼロ人だと、つまり全部国家試験を合格しているという前提であれば、毎年毎年ぴったりいくはずなのですが、それが国試のうまくいかなかった方々がまたリトライすることや、5年生から卒業のときに留年して卒業できなかった方や、非常に予測不可能な面があります。長い目で見れば多分ぴったり合うのでしょうけれども、予測不可能。
もう一つは、それを前提にして各都道府県に配った数を使い切れなかったというか、361だけポジションにならなかったので、実際は1.20と言っていたのだけれども、1.219になったということであります。ただ、そこはどうしても完全な予測は難しいので、ある程度予測値にならざるを得ないのですが、このやり方について何か御意見はございますか。
○小森委員 議論の前提としてお伺いしたいのですけれども、岡村先生と小川先生いらっしゃいますが、平成21年度と20年度の入学定員は、700人弱ふえていますね。しかしながら、研修希望者は500人弱という増。そうなると200人程度が留年をしていらっしゃる。留年者の数が増えつつあるということは仄聞しておりますが、それは非常に著しいのか、今後も続くのかということと、最終的にドロップアウトする方、これはほぼゼロと考えてよろしいのか。議論の前提としてそれをお聞きしたい。
○桐野部会長 もし御存じであれば教えていただけますか。岡村先生、どうぞ。
○岡村委員 具体的な数字は覚えていないのですが、全国医学部長病院長会議のアンケートで、やはり医学部の定員がふえてから、各大学の学生の質の低下がすごく顕著に言われておりまして、留年だけではなく休学、退学、そういったものが全国の80大学まとめて言うとふえております。
○小森委員 案の1、案の2どちらがいいかというのは一長一短でなかなかあると思いますが、案の1の欠点は今、桐野先生おっしゃったように入学定員でやっている。そこの前提ではほぼ留年がそんなに多くないといいますか、比較的そういう前提、ドロップアウトがなければずれるだけではあるかもしれませんけれども、ただ、今のお話等をお伺いしますと、より喫緊の数字を前提として計算をする。そのほうがその都度その都度微調整をするという意味ではいいのかなと。6年前の数字をもとにするというのは問題もあるなという気が私自身はしておりますので、まだ結論には至っておりませんけれども。
○桐野部会長 ほかに御意見ございますか。小川先生、どうぞ。
○小川委員 岡村先生がお話になったことですけれども、全国医学部長病院長会議の留年者の調査で、増えていることは確かでございます。
それから、定員から考えますと、定員増がそのままステイブルになっているわけではなくて、毎年定員が増えてきている。定員増の部分は毎年増えてきているわけでありますから、したがって、留年者が同じ割合でもし推移するとすれば、年々留年者は増えてくるという予測がつくわけでありまして、そうしますと今、小森先生がおっしゃったように入学定員をベースにして考えるというのは、かなり将来的にずれが生じる可能性がある。最終的にはかなりこの予測値に近づくのは確かでございますけれども、当面、6年間ぐらいに関しましては毎年毎年定員が増になってきておりますから、留年者も増になってくるので、入学生を母集団にして計算すると、かなりそこの差が出てくるのではないかということが予測されるのではないかと思います。
○桐野部会長 今、お二方から御意見をいただいたのですが、入学定員でやるのは、例えば5年次の現在数でやるのに比べると多分誤差が出てくるでしょうね。ただ、5年次でやればぴったりいくというわけでもない。それも一定の誤差を含みます。したがって、5年次で切ってしまえば、もう一遍下から上がってくる人たちのことは余り考えないというか、その次の年にまたリターンマッチで5年生になるわけですから、5年次の数を基礎にするというのは1つの考えですね。
小森先生、どうぞ。
○小森委員 それと、基本的にこの報告書の中で検討した事項の中で、やはり1.1に近づけていくというのは1つの理念だと思うのです。初年度から2年目のときに調整を加えなければ、万が一その幅が大きくなったときに、3年目のときに変える根拠がなくなってしまうということを少し心配していまして、万が一ずれが大きくなったときとそうでないときと、研修を希望される方の公平さが保たれるのかという心配を持つのです。そういう意味であれば5年次というのは各大学から正確なデータを出していただけるわけですから、常に最新の状況で見直していくというのがより公正な感じがいたします。
○桐野部会長 その場合に研修に参加できない可能性があるのは、国試でうまくいかなかった方だけれども、国試でうまくいかなかった方はその1つ上の学年で国試でうまくいかなかったけれども、今回はうまくいった人と大体似たような数であればほとんどぴったりいくということですね。
何か御意見ございますか。
○岡村委員 私も小森先生がおっしゃるのと全く同じで、今、私たちが持っている一番具体的な現実に近い、頼りになる数字が資料1-3の平成28年の研修希望者9,548人という予想が、一番近い数字ではないかと思います。
○桐野部会長 中島先生、どうぞ。
○中島委員 もう皆さんおっしゃられていることと同じなのですけれども、1.10倍に近づけていくという目標を堅持して、毎年その状況を見て微調整を行うというのは、経済と同じように、当たり前ではないか。だから案の2がよろしいかと思います。
○桐野部会長 これは基数、あるベースになる数が出るわけですね。それを今、入学時の総数ではなく、例えば5年次の数を文部科学省から提供していただいて、その数を使うわけですね。これはどこが5年次の数を調査することになるのですか。
○田村医師臨床研修推進室長 今回お示ししたデータは、学校基本調査、公表しているデータの中で学生が何人いるかというのは全学年出ております。それを使わせていただいたのと、あとは防衛医科大学だけその調査に含まれていないので、別途聞くという形での調整でございます。
○桐野部会長 その数にその年度の倍率をかければ全体の数は決まって、その全体の数に対して、それをどのように配分するかのメソッドは去年決めたとおりであります。まず全国の人口でいくか、医師の養成総数でいくか、案分して多いほうを各県がとって、その合計から残った部分については地理的要因で配分した上で、最後に残った部分を前年度の採用実績の比例案分で配分する。都道府県枠はどうするのでしたっけ。今のはもう少し詳しく言ってください。
○田村医師臨床研修推進室長 都道府県の調整枠というのは、基礎数算定が出た後に全体が1.20倍であれば隙間ができますので、その分を直近の研修の採用実績に応じて各県に配分するというやり方をとってございます。
もう一点だけよろしいでしょうか。研修希望者の数は例えば近づけると、そちらだけ操作していきますと、もう一つ、今ずれている要素に都道府県調整枠を各県が使い切れていない部分がありますので、単純に1.18倍を研修希望者について新しいやり方で出したものにかけてしまうと、逆にきつくなり過ぎて1.16倍とかになってしまう可能性がありますので、実際に本当に1.18倍にするのであれば、少し余裕を持って、例えばことしの1.20倍ぐらいの計算にしておいて360とか落ちてくるという前提にしたほうが、現実的には1.18倍に近づく。実際、案の2というのはそういうような考え方に一応なっておるわけでございますけれども、その点も御配慮いただければ幸いに思います。
○桐野部会長 今度は今、申し上げた全体の数が例えば1.18をかけると出ますね。その数をさらにいじるかどうかということなのです。
河野先生、どうぞ。
○河野委員 これは使い切ってしまった県に対しての2度目の再配分を、その隙間の中でするという意味ですか。
○田村医師臨床研修推進室長 いえ、その点につきましては再配分とかするのはこれから地方の県も採用実績を上げてくるだろうという前提に立つと、今は余りやらないほうがいいのかなと思っております。ただ、今1.18倍で計算してしまいまして、使い切れない県がたくさん出てきてしまうと、1.16倍とかもっと低い実際の倍率になってしまうおそれが高いと思うので、あらかじめ配る分も今年も余裕があった方がいいのではという話なのですけれども。
○河野委員 最初から多目にその分配っておいて、再配分というのはまた別の話ということですか。
○田村医師臨床研修推進室長 別の話でございます。
案の2というのは、実は2.0倍で計算したら27年度と同様というのはそういうことですので、それで361ぐらい落ちてくるというものを加味しておくと、ちょうど1.18ぐらいになりそうだというお話でございます。
○桐野部会長 ちょっと複雑なのですけれども、だから全体の枠を決めておいて、それに配り切れない部分を361だったのだけれども、その361なら361出るだろうと予測をして、あらかじめ少し増やしておく。最終的には配り切れない。だけれども、みんなまじめに配ってしまったら多くなります。
○田村医師臨床研修推進室長 それはそれであれば、翌年から計算式どおりにやればいいのだと思いますけれども、現実にはなかなか、これは地方の県の実態がわかっているところのほうがお詳しいのかと思いますけれども、募集定員をすぐに増やそうと思ったら指導員もちゃんと配置しないといけないという話ですので、いろいろな病院で、小さい病院とかで増やすというのはかなり大変なことなのだと思いますので、急に解消されるということはないのではないかと予測しております。
○桐野部会長 中島先生、どうぞ。
○中島委員 私が聞くのもおかしいのですけれども、配り切れないということはいろいろな理由で生じていると思うのですが、その中で解消されそうなことと、しばらくは到底解消されそうにないということを区分けされていますか。
○田村医師臨床研修推進室長 今回初めて新しいやり方で行って、こういうものが見えてきたところですので、確かに配り切れないのも1けたぐらいの県もあれば、結構たくさん余っている県もあると思いますので、少ない県はいずれは解消されると思いますけれども、多い県はなかなか解消されないのではないかと予測してございます。
○中島委員 お尋ねしたのは、配り切れなかったらまずいということで、来年は必死で配るのではないかというおそれがあったものでお尋ねしました。
○桐野部会長 多分、配り切れなかったという現象は1年だけですから、来年は頑張って配るのではないかと私は思いますけれども、事務局どうですか。
○田村医師臨床研修推進室長 繰り返しになりますけれども、そういう努力で指導員も配置して募集定員をもう少し増やそうということで解消できるところと、ちょっとやちょっとやってもなかなか解消できないところと分かれてくるのではないかと思っております。
○桐野部会長 山下先生、どうぞ。
○山下委員 コンセプトとして、要するに都会地に集まるのを制限しましょうというのがコンセプトなので、配り切れなかったというのはいわゆる地方の県ですから、足りないところは多分、大都市圏だと思うのです。そこは多分増やすと言えば簡単に条件は整えられると思うので、コンセプトとしてそういうものが最初から含み込んであるというのはおかしいのではないですか。桐野先生おっしゃったように、本当に来年もそういうふうに余るのかどうかもわからないですから、それを制度の中に入れるのはちょっとつらいかなという気がします。
○桐野部会長 神野先生、どうぞ。
○神野委員 今、私もそれを言おうと思っていて、山下先生と同じように、今までの結果として地方で増加し、大都市圏で減少してきたという結果が出ています。これはコンセプトがうまく通っているのかなと思っています。
この前のマッチングの県別のものを見ますと、配り切れなかったところは実はマッチ率が低いところなのです。この大都市圏は充足率が非常に高かったということがありますけれども、それがこれから効いてきて、大都市圏から地方へというものに流れてくるのかなと思いますので、余りここで触る必要はないと私も思います。
○桐野部会長 押淵先生、どうぞ。
○押淵委員 今の御意見は、地方におる私たちから見ても同じようなことが言えて、地方の努力目標としてこれから先、受け入れをしっかりやっていこうという気概を持ってもらうためにも、今のような制度を残しておいてもらったほうがいいと思いますし、まだ充足率が十分でないところを今、切ってしまうことはまだ早いのではないかと思っております。
○桐野部会長 岡村先生、どうぞ。
○岡村委員 もう一つ教えていただきたいのですけれども、参考資料4の結果のポイントに書いてありますが、平成27年度に研修を開始する人たちの内定率が95.8%ということなのですが、アンマッチになった人が370人もいるのですが、その人たちは最終的にどこで研修をするのですか。
○田村医師臨床研修推進室長 アンマッチになった人たちは、病院が募集定員100%になっていない、空き定員があるところがありますので、そういうところが大体2次募集をかけたりしていますので、そういうところを訪問して採用されるよう努めていくことになります。
○岡村委員 その場合に都市圏と地方というのは、どのようになっているのでしょうか。
○田村医師臨床研修推進室長 やはり都市圏のほうがマッチ率は高いですから、九十何パーセントは埋まってしまうという状況にはなっています。地方のほうが空き定員は結構多いので、選択肢はたくさんあるという状況でございます。
○岡村委員 ただ、選択肢は多いけれども、結果的に都心に流れているということはないでしょうか。
○田村医師臨床研修推進室長 これは今、やってきている都道府県の上限の関係が効いているのだと思いますけれども、徐々に都会の方は募集定員が下がってきていますので、一方で研修希望者が増えてきているということはきつくなっているということですので、なかなか流入できないような形にはなってございます。
○桐野部会長 今、岡村先生が危惧されたことは、マッチング率がだんだん低くなってくると、そういうおそれがあると思います。ですから、やはりアンマッチの状況というのは、今、5%弱でずっと安定していると思うのですけれども、それを何かの理由でがたがたに崩してしまうと相当大きな問題になるので、倍率を1.1に近づけていきますが、余りにも絞り過ぎて、例えば1.0にしてしまえば相当な数でアンマッチが出る可能性があって、その後の2次募集が非常に混乱する可能性があると思うのです。ですから倍率を下げさえすればいいという問題でも必ずしもないので、状況をよく見ながら御判断をいただく必要があるのではないかと思います。
今、事務局から出たのは、5年次の数に倍率をかけるのです。5年次の数がある一定の数で、それに1.18を今度はかける。そうすると総数が機械的に出るわけです。その機械的に出る総数を多少前年度に使い切れなかった枠があるので、多少動かして前年度の使い切れなかった360ぐらいを、それに足し算をして分配をしたらどうかという案なのですけれども、何人かの先生はそれは余り賛成できないという意見だったと思うのですが、いかがでしょうか。ぜひそうしたほうがいいという先生は。中島先生、どうぞ。
○中島委員 私たちはやはり半素人で考えていますから、一生懸命日々このシステムをどうやったらうまくいくかということを、寝ても起きても考えておられる人の意見を採用すべきだと思います。
○桐野部会長 小川先生、どうぞ。
○小川委員 背景から言うと、参考資料3で大都市部の募集定員の割合が63.4%で、結局、まだかなり余裕があるわけです。内定者の割合が56.5%ですから、この56.5%に募集定員を限りなく近づけていかなければ意味がないわけで、そういう意味で先ほどの多少よけいなことはしないでというのが一番いいのではないかと私は思うのです。
これはですから年々、また来年になりますと多少結果が出てくると、また修正をしなければならないことになろうかと思いますけれども、それはそれで少なくとも1年目のあれで1.2にするはずだったのが1.219までいってしまったということでありますから、これは修正はどうにでもしなければいけないと思います。
○桐野部会長 この数は非常に不安定で予測不可能なことがあって、年度によっては1.18を期待したのに、実はそれを低くなってしまうことだってあり得るのですね。
○小川委員 あり得ると思います。
○桐野部会長 あり得るので、ただ、もう少し正確に1.18を目指すのだったら本当にそれに近くしようという意味では、5年次のほうが正確ではないかということですね。
ただ、それで計算しても実際に使い切れなかったら、また動いてしまうので配分し切れなかった枠ぐらいを足して配分したほうがいいのではないかという意見なのですけれども、余り賛成の人はたくさんいない。
○小川委員 ですから、最終的には1.1にする予定で動いているわけですから、たまたま各年度で1.18を目標にしたのだけれども、1.75倍ぐらいになってしまったということがあっても、まだ1.1に関しては余裕があるわけですね。1.1のときにはきっちりとやらないと、先ほど桐野部会長がお話になったような混乱が起こる可能性があるので、その時には調整しなければいけないのですけれども、そこまでにはかなりデータが出てきますからどうでしょうかね。
○田村医師臨床研修推進室長 やはり1つだけ懸念を言うと、倍率が急激に下がると、アンマッチの率が急に上がるというのも懸念されるところで、今回1.219でしたので、1.18ぐらい、これが1.16とか1.15という世界になってしまうと、余り急にそういう状態にしてしまうとアンマッチとか出た場合に、どういう混乱が起きるのかなというのは若干危惧されるところです。大体募集定員が100下がると0.01倍率が落ちますので、360というのは0.35ぐらいずれるという計算になりますので、相当大きなインパクトのある数値ですので、そこは若干配慮しておかないと危ないのかなと。やはりだんだんに落としていくというのが一番安定的に行政的にはいいのではないかと思っております。
○桐野部会長 最終目標は倍率をぴたっと予測して、ぴったり合わせるのが目標ではなく、全国的に、適切に研修制度が運営されて、今まで研修医が来なくて苦しんでいたところにも、まあまあ研修がちゃんと行くようになっていくというところであればいいわけですね。ですけれども、1.20といったものが大分狂ってしまったということについては、今回については仕方がなかったと私は思うのですけれども、次回について、そうすると次回は各県が大変な努力をして、配分したものを一応配り終えたという場合は、その次の年にはつけない。
○田村医師臨床研修推進室長 そうですね。そういうやり方でよろしいかと思います。
○桐野部会長 それは1つの案ですね。配り切れなかったものが360あった以上は、次年度に360を加えるけれども、その次の年に全部配り切って有効に使われた場合は、もうそれはしないというやり方でいいですか。御賛同いただいているみたいですから、本年度は361を加える。ぴったり。四捨五入でもいいですけれども、そういうことでシナリオというか、配り方については、これまでは入学時の定員を基数にしていたわけだけれども、それはどうも不正確を生む可能性があるので、5年次の総数を出して、ただし、防衛医科大学の数は除いたものを基数にして、次年度はそれに1.18をかけ、その積に361を加えて、それを総数とし、それを昨年度やった方法で配分するというやり方、計算式でいくということでいいですか。
(「異議なし」と声あり)
○桐野部会長 それでは、どうもありがとうございました。
では、募集定員の上限についての御審議は以上で終わらせていただきまして、事務局より次の資料の説明をお願いします。資料2です。
○田村医師臨床研修推進室長 それでは、資料2の説明をさせていただきます。こちらは平成28年度の募集定員における他県の大学で養成されている地域枠学生の扱いについてというものでございます。
こちらにつきましては昨年の部会でも一度御議論いただいたところでございまして、現在21の県で他の都府県の大学で自県地域枠を設けているところがございます。
現在の計算式、算定方法によりますと、当該学生分の医学部入学定員は研修を行う地域枠の養成をお願いしている県ではなくて、実際に養成している大学が所在する他の都府県の募集定員に反映するという仕組みになっているところでございます。この点につきまして昨年の部会の報告書はその下にございますように、都道府県別募集定員の上限の算定の際に何らかの考慮を行うこととした上で、具体の方法は改めて検討を行うというふうになっておりましたので、今回お諮りするものでございます。
対応案といたしましては、他県の地域枠学生を養成している県において、特に本当に上限をふやす必要があるのかという必要性に応じて必要があるという場合には、その地域枠の学生分を養成先ではなくて、自県の医学部入学定員のほうに上乗せして、つけかえて計算を行うという形にしてはどうかと思います。
下の四角のところで分類をしているのですけれども、21県の他県で地域枠を養成している県の一覧でございます。そのうち一番上の段に福島、茨城、千葉、新潟、長野、静岡、兵庫、広島といった8県につきまして○がついていると思いますけれども、これはどういう意味かと申しますと、上限を算定する際に桐野部会長からお話がありましたが、人口の割合を使うか、医師養成の割合を使うかという2つのパターンがありまして、こちらの県については人口の割合を使っている。そちらのほうが多いから使っているので、ある意味、医学部入学定員のほうをいじったとしても、人口の割合を結局使うことになりますので、計算上、その県については上限が変わらないということでございますので、この県については調整を行う必要はないのではないか。
それから、新潟、山梨、鳥取、島根、岡山、香川、佐賀、長崎、宮崎といったところは調整枠をかなり余らしているという状況がございまして、この点につきましては将来的には頑張って解消するのではないかというお話はあるのでございますが、今の段階では十分調整枠に余裕があるところでございますので、これらの県につきましても上乗せ、つけかえを行う必要はないのではないかと考えているところでございます。
一番最後のところ、3段目の欄にある他県と相殺というところでございますけれども、これは鳥取と山口とか、香川と愛媛とか、同じ人数を交換して行っているということでございますので、つけかえても結果変わらないということでございますので、結果、残った富山、奈良、和歌山の3県だけが現時点で調整枠も使い切っていて、自県の医学部入学定員数に上乗せすることで県の上限が増えることになりますので、この3県だけ補正を行ってはどうかという案を示させていただいているところでございます。
その場合、気になりますのが実際に養成をお願いしている県の上限に影響があった場合、大丈夫なのだろうかということが心配されるところなのですけれども、一番下の○のところにございますように、奈良と和歌山につきましては大阪のほうで養成していただいているのですが、大阪府のほうは上限を算定する際に医師養成のほうではなくて人口に応じた数のほうを使っていますので、自分のところの入学定員が減って計算したとしても人口のほうを使うので変わらないという形になりますので、影響がありません。
石川県さんにつきましては、富山県さんにつけかえると上限が1程度減少する可能性はあるのですけれども、調整枠は今のところ大分余らしている状況にございますので、実際上、問題はないのではないかということで、この3県だけ調整を行ってはどうかという案にしたところでございます。御意見をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、この他県の大学で養成されている地域枠学生の扱いに関しましては、大阪府のように人口割の上限が非常に大きい場合は10人というような枠であっても大丈夫ということです。これはこのとおりでよろしいでしょうか。
神野先生、お願いします。
○神野委員 一応、毎年こうやって検討するということでよろしいのではないでしょうか。検討せずに、このまま毎年スルーするのはやめておいたほうがいいかなと思います。
○田村医師臨床研修推進室長 よろしいかと思います。
○桐野部会長 そのほかに。
この件については、それでは他県で地域枠学生を養成している場合には上限を増やす必要性に応じ、その地域枠学生分を養成先ではなく自県の医学部入学定員に上乗せするという、今までの前年度のやり方でやるということでよろしいですね。
では、その他に移らせていただきます。事務局から何かございますか。
○森医師臨床研修専門官 それでは、お手元の資料3-1をごらんください。臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループにつきまして、資料3-1で説明させていただきます。
今回、平成25年12月に取りまとめていただきました臨床研修部会報告書におきまして、到達目標とその評価については人口動態、疾病構造の変化等の観点から、その内容を見直す必要があるとの御指摘をいただいております。また、その見直しの時期に関しましては、今回の見直し、平成27年度適用の見直しではなくて次回の見直し、平成32年度適用の見直しに向け、別途臨床研修部会の下に検討の場を設けるということを報告書のほうに盛り込んでいただいたところでございます。
これを受けまして、厚生労働省のほうで到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループを設置いたしました。到達目標、その評価のあり方に関して報告書において指摘された方向性を踏まえ、検討を進めていくこととなりまして、開催要項及び構成員名簿につきましては、資料3-1の裏のほうにありますけれども、別添のとおり設置をしております。
また、構成員のほうにも部会の委員の先生に何名か御協力いただいております。
このワーキンググループのスケジュールに関しましては、資料3-1に示しておりますけれども、第1回を平成26年8月20日に開催させていだきました。この第1回では、まず今後の進め方を確認した上で、到達目標・評価のあり方に関する論点についてということで、報告書に示された論点について具体的にディスカッションいただいたところでございます。
また、このスケジュールの中にありますけれども、ワーキングとは別に行われております厚生労働科学研究というものがあります。これと適宜連携して今後進めていくということで、今年度にもう一回、ワーキンググループを開きたいと考えておりまして、研究班からの何かしらのデータが出てきましたら、その中間報告を踏まえてさらなる論点の議論をしたいと思っております。
また、平成27年の臨床研修修了者アンケート調査の内容も、こちらで一度検討したいと考えております。
来年度以降になりますけれども、研究班からの報告を踏まえ、ヒアリング等というものを行っていきまして、本格的に議論を開始したいと考えております。そして28年度中にワーキングにおいて取りまとめ、そしてこの臨床研修部会に報告をしていきたいと考えております。29年度から臨床研修部会にこの到達目標・評価を含め、臨床研修制度全体の議論を始めていただき、32年度の適用に向けて議論を取りまとめていきたいと考えております。
続きまして、先ほど申しました厚生労働科学研究でやっております内容につきまして、資料3-2で別途御説明をしたいと思います。
○松崎医事課長補佐 それでは、資料3-2をごらんください。到達目標とその評価のあり方に関する研究でございます。
今年度でございますが、1つ目の○ところ、平成26年度厚生労働科学研究「医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究」ということでして、研究代表者として聖路加病院の福井先生に、今年度26年度4月1日より27年3月31日までの1カ年の中で、以下の研究1~5の5つの研究をしていただく予定になってございます。
1つ目でございます。診療能力を踏まえた到達目標の設定のあり方に関する研究でございます。こちらは主に分担研究者の北大の大滝先生にお願いしているところでございます。
2つ内容がございまして、1つは研修医の診療能力の実態や現在の目標の過不足及び構成の問題点を把握するためということで、臨床研修指導医等に対するインタビュー調査、質問紙による調査を行いまして、診療能力を踏まえた診療目標について具体的なあり方と適用の妥当性について検討するものでございます。
なお、こちらのほうは5番目の評価指標と連携しながら行う予定でございます。
この1番目の研究につきましては、研修終了時の到達すべき能力としてコンピテンシーの概念の整理をさせていただく予定になっていることでございます。
2つ目が、人口動態や疾病構造、医療提供体制の変化等を踏まえた到達目標のあり方に関する研究でございます。こちらは分担研究者の聖路加病院の高橋先生が担当するものでございます。
2の2ポツ目のところに、臨床研修修了者のアンケート調査結果を用いてというふうに書いてございますが、そのアンケート調査の結果を用いまして解析をしていただく予定でございます。
3番目が、医師のプロフェッショナリズムを踏まえた到達目標のあり方に関する研究でございます。こちらは杏林大学の野村先生でございます。
2つ内容がございまして、臨床研修の基本理念にうたわれる医師としての人格の涵養を具体化させるとの観点から、プロフェッショナリズムを上記のコンピテンシーの1つと捉え、内外の取り組みについて情報収集、中間目標と方略の検討を行うものでございます。こちらに関しましては2つ目のポツに、学会や民間のキャリア支援に関する取り組みについても情報収集を行うというふうになっているものでございます。
4番目は、医師養成全体の動向を踏まえた到達目標のあり方に関する研究ということで、東京医科歯科大学の奈良先生に分担研究を行っていただきまして、4番目の1ポツのところにありますように、卒前教育におけるモデルコアカリキュラム、国試における出題基準、臨床研修における到達目標に関して比較可能な表を作成していただきまして、これらの連続性の観点から検討をいただくものでございます。また、新たな専門医制度についての情報収集を行いまして、これの連続性についても検討を行うものでございます。
ページ目をめくりまして、5番目が先ほど1番目のところの研究と連携して行うというふうに申し上げました、到達目標の評価手法の標準化に関する研究でございます。こちらは筑波大学の前野先生の担当でございます。評価手法や運用についての実態を把握するためのプログラム責任者・指導医、研修医等を対象にしたウェブないし質問紙における調査を行う予定でございます。対象、方法、調査内容につきましては、その資料に書いてあるとおりでございますので、発言のほうは割愛させていただきます。
以上、5つの研究を行いまして、先ほどのワーキングと連携いたしまして行っていく形でございます。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。
このワーキンググループには神野先生、小森先生、清水先生、中島先生が構成員として入っていただいておりますが、何か追加の御説明、御発言はございますか。
○中島委員 非常にマニアックに研究されていらっしゃいますので、大変尊敬のまなざしを持ってお聞きしております。
以上です。
○桐野部会長 ここで予定が書いてありますが、この調査研究が1年程度行われて、その後、取りまとめが平成28年度中に行われるのでまだまだ先なのですけれども、現在の進捗状況はこういう状況である。
何か御意見はございますか。山下先生、どうぞ。
○山下委員 今後この部会にも上げていただけるということなので、その時点でまた見せていただきたいというのが楽しみにしているのですが、福井先生の厚労科研の5つの目標の中で、これは研究ですから要望とか何とかというものではなくて、まず福井先生が思う存分やっていただいた上でということになるかと思うのですが、一応の要望を言いますと、1番目の基本理念の2番目のところで、コンピテンシーの概念を整理します。これと4番目の医師養成の全体の動向というものを勘案しますというものをうまくバランスをとっていただきたいと思うのです。
要するに臨床研修の時点で、こういうコンピテンシーを求めますとばしっと言われてしまうと、医学教育も専門医教育も全部吹っ飛ぶのです。はっきり言うと。要するに流れの中でそれは決まってくるものですということですということで、人によっては初期臨床研修の状況が専門医研修の中に入ってしまう人もいるでしょうし、前倒しでどんどんやっている人もいるでしょうし、要するに資格という感じでここで国家試験を受けます。ここで臨床研修のあれが終わって医籍登録します。ここで専門医をやります。全部分断されるのです。要するに、シームレスに教育をしましょうというときに、ここで余りにもコンピテンシーをびっちりとやられると、はっきり言って迷惑なのです。
要するに、1番目の2ポツのところと4番目のところのバランスをぜひうまくとっていただきたいというのが要望です。
○桐野部会長 これは重要なポイントです。何か御意見ございますか。
中島先生、どうぞ。
○中島委員 福井先生のところでは諸外国の卒前教育等も踏まえながら、非常に国際的な視野の中で日本の医学教育をどうしていくかという視点でやっておられると思います。私は精神科をやっていたので、常々感じていましたが、現在の精神科の教授の中では、コミュニケーション能力という観点から選ばれた人がちょっと少な過ぎると思うのです。だけれども、今、最も必要とされている能力はコミュニケーション能力です。
イギリスなんかでは全ての項目がよくても、それさえ悪ければ落とされるというふうになっているぐらいで、これからはコミュニケーション能力という点に十分配慮して進めていく必要があるのではないかと思っております。
以上です。お願いしておきました。
○桐野部会長 神野先生、どうぞ。
○神野委員 ワーキングの席でも申し上げさせていただいたのですけれども、同じ医事課で今、医師国家試験の見直しの検討委員会が動いていて、そしてこの臨床研修の委員会が動いていて、これは医事課ではないところですが、今、専門医制度の機構が動いている。この三者が情報を密にして、先ほど山下委員がおっしゃったように一連性を持たなければいけませんということをこのワーキングの席でも言わせていただきましたし、それがこれからの肝になってくるかなと思っております。
○桐野部会長 他にございますでしょうか。
後期の研修医のことを専攻医と呼ぼうというふうに言われているみたいですけれども、例えば外科の専攻医は初期臨床研修で必ず外科を選んでおくこととかいうことを定められてしまうと、非常に困る場面が出てくるので、関係はとても難しいと思うのです。完全ぶっちぎりで、学生は学生として100%やることが、初期臨床研修では100%ここでやることがあって、専攻医になったらまたそこでスタートだという考えもあるし、いやいや初期臨床研修のときにやった実績についてある程度評価しようという考えもあるのです。それはまだ定まっていないのではないかと思うのです。どちらにするべきかというのは。
ですから、そういう考えがあるので医学教育と研修と専門医教育というのは、相当連絡をとりながら考えていただかないといけないという感じがいたします。どう考えていただきたいと言っているわけではなくて、関係が深いのでその辺も十分、これは既に書いてあるので改めて言う必要はないのかもしれません。
ほかにございますか。小森先生、どうぞ。
○小森委員 先ほど少し中座をしたので聞き逃したのかもしれませんけれども、ワーキングはあくまで論点整理ということでよろしいのでしょうか。臨床研修部会で最終的な議論をする。その材料と問題整理をするということでよろしいですか。
○田村医師臨床研修推進室長 最終的な整理をするのはこの臨床研修部会ということでございます。到達目標というのは非常に膨大な項目等があるところでございますので、そこの整理とかのたたき台みたいな案をまずつくってもらうというのがワーキングの役割ということでございます。
○桐野部会長 よろしいでしょうか。そうすると具体的には平成28年度中にワーキンググループから報告が上がってきて、そして、この部会でそれを逐一検討した上で部会の案として、最終的には医道審議会で承認を受けてという形ですね。
○田村医師臨床研修推進室長 左様でございます。
○桐野部会長 という手順でこの到達目標、評価のあり方について検討が進んでいるということでございますが、何か追加で御意見ございますか。
いつもは時間がなくて困るのですけれども、きょうは随分早く終わってしまって。しかし、早く御審議をしていただいたのですから、早く終わってもよろしいかと。
何かほかに全体を通じて御意見があれば。よろしいでしょうか。
それでは、事務局からございましたらお願いします。
○田村医師臨床研修推進室長 本日御議論いただきました御意見を整理いたしまして、来年28年はこういう形でやるというのを次の会で御了承いただいた上で進めていきたいと思っております。次の会の日程につきましては、また追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 それでは、どうもありがとうございました。
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