ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(企業年金部会)> 第6回社会保障審議会企業年金部会議事録(2014年7月4日)
2014年7月4日 第6回社会保障審議会企業年金部会議事録
年金局
○日時
平成26年7月4日(金)15:57~18:00
○場所
全国町村会館 2階ホール
○出席者
山崎部会長 井戸委員 臼杵委員 小林委員 白波瀬委員 鈴木委員 |
○議題
(1)関係団体のヒアリング
(2)その他
○議事
○山崎部会長
それでは、定刻ちょっと前でございますが、ただいまより第6回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
本日、冨高委員、森戸委員、山本委員から御欠席の連絡をいただいております。
また、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方はここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○山崎部会長
今回は、前回に引き続き、関係団体からのヒアリングが主な議題ですが、ヒアリングの前に、まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○黒田課長
それでは、資料の確認をさせていただきます。
本日配付の資料ですが、
資料1 :社会保障審議会企業年金部会委員名簿
資料2 :関係団体からのヒアリング
資料3 :社会保障審議会企業年金部会ヒアリング説明資料【信託協会提出資料】
資料4-1 :今後の年金制度のあり方について【全国銀行協会提出資料】
資料4-2 :確定拠出年金制度に関する改善要望について【全国銀行協会提出資料】
資料5-1 :社会保障審議会企業年金部会関係団体ヒアリング説明資料【日本証券業協会提出資料】
資料5-2 :確定拠出年金の制度改善提案について【日本証券業協会提出資料】
資料6 :生命保険協会からの提言【生命保険協会提出資料】
参考資料1 :企業年金制度の現状等について
参考資料2 :社会保障審議会企業年金部会運営規則
を配付させていただいております。
資料の不備等ございましたら、お知らせいただければ幸いです。
○山崎部会長
本日は、関係団体からのヒアリングを主な議題とします。
今回は、信託協会、全国銀行協会、日本証券業協会、生命保険協会からの御意見を頂戴することといたします。
また、本日の進め方ですけれども、各協会10分程度で御意見を伺った後で、10分程度の意見交換といたします。
まず、信託協会より説明をお願いいたします。
○信託協会
信託協会の西川と申します。
本日は、こうしたヒアリングの機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。
早速ですが、資料の御説明に入りたいと思います。
1ページ、最初に「信託協会の概要」について御説明をさせていただきます。
信託協会におきましては、こちらの<目的>と書いてありますところにございますとおり、信託制度の発達を目的といたしました一般社団法人でございます。
<組織>のところにございますが、加盟会社は社員会社4社、準社員会社48社、合計52社で構成されております。
<信託業界の企業年金の受託状況>といったところをごらんいただければと思いますが、企業年金の資産で申しますと、加盟会社全体で厚生年金基金が29兆円、確定給付企業年金が40兆円、確定拠出年金(企業型)が資産残高で7兆円となってございます。
以上の資産をお預かりしているということでございます。
本日の説明につきましては、時間的な制約もありましたことから、協会での議論を踏まえた、会長会社みずほ信託銀行からの提言といたしております。
なお、協会内で、まずは現行制度の課題の洗い出し、整理を行うべきといった御意見が出ましたことを申し添えさせていただきます。
○信託協会
みずほ信託銀行の村上でございます。
本日は、信託協会会長会社としまして、みずほ信託銀行の考えを説明させていただきます。
既に本部会にて議論されましたとおり、老後の所得保障としての企業年金制度の役割はますます重要となっている状況でございますが、その企業年金制度を実施する企業の割合は年々減少する傾向になっています。
こういった状況のもと、年金制度の普及及び発展に資する対応につきまして、私どもの考え方をまとめさせていただきましたので、御説明させていただき、後ほど御質問を頂戴できればと思っております。
お手元の資料「新しい企業年金の提言」の目次をごらんください。
まず「企業年金の現状」で課題を説明させていただき、その解決策としまして「新たな企業年金の提言」を申し上げ、後段で「現行の企業年金への提言」とあわせて御説明させていただきます。
2ページ、左側に記載のとおり、現在の企業年金制度の普及に対する課題は「中小企業」「一般企業」「ライフコースの多様化」の3つの視点から考えられます。
1点目の中小企業の現状は、適格退職年金制度の廃止に際し、後継制度と位置づけられておりましたDBやDCを選択せず、企業年金制度を取りやめてしまった企業が多く、退職一時金のみの企業ないしは退職給付制度そのものをなくしてしまった企業が増加している状況でございます。
また、今後も総合型と言われるような厚生年金基金の相当数が解散の方向という状況下、解散後の後継制度を選択しないケースが発生することが見込まれております。
中小企業において、DB及びDCの導入が少ない理由としましては、制度上の制約が多いことが考えられます。
DBは毎年の財政検証によって、掛金の見直しの要否を判定する仕組みとなっておりますけれども、掛金設定のルールは詳細に定められており、企業の裁量が限定されたものとなっております。
DCでは脱退一時金の要件が限定的であり、企業及び従業員のニーズと合致せず、制度導入をためらう理由の一つとなっていると考えております。
また、導入及び導入後に当たっては、その対応コストがそれぞれ大きいと考えております。
DBにつきましては、従業員の同意を取得した上で、当局申請を企業みずから行いますし、制度発足後も毎年の行政への報告に加えて、退職金制度から変わった場合におきましては、年金規約の変更手続の負担が生ずる。また、運用環境が悪い場合におきましては、掛金の引き上げを迫られる状況に置かれていると考えています。
DCにつきましては、DBに比べて事務負担は比較的軽いと考えておりますが、従業員向けの投資教育やITなどの社内インフラの整備は必要になりまして、中小企業にとっては必ずしも負担は小さいものとは思っておりません。中小企業にとって、企業年金制度は人的にも金銭的にも負担が大きいものと受けとめられていると考えております。
2点目の大企業を含む一般企業につきましても、特にDBは新規に導入する企業が減少しておりますし、既存の実施企業につきましても、他の制度へ移行する傾向にあります。
この主な要因は、多くの御指摘にありますとおり、企業会計基準の変更であり、資産の増減が企業の財務諸表にダイレクトに反映するようになったことが考えられます。
一般企業における人的負担と金銭的負担につきましては中小企業と同様ですけれども、この企業会計の影響は大きな課題であって、制度が充実している終身年金制度等を設けている場合におきましては、企業会計の影響に加えて長期の受給者管理も発生することになります。
ライフコースの多様化の観点では、転職マーケットの厚みが増しており、または統合や分割といった企業再編の増加によって、企業年金の制度間の移転に対するニーズは増加している点が挙げられていますけれども、これらにつきましては、既に多くの御指摘があったとおりでございます。
資料の右側をごらんください。以上のような現状と課題を踏まえて、新たな年金制度につきまして、次の3点から提言を検討いたしました。
記載しておりますとおり「中小企業の労使にとって、取り組みやすい制度の構築」「企業会計や事業再編の動きを踏まえ、一般企業にとって取り組みやすい制度の構築」「現行制度間のポータビリティの拡充」の3点でございます。
検討の結果「年金給付特定口座の創設」「退職給付目的の信託の活用」「現行の企業年金への提言」とさせていただき、次ページ以降で説明させていただく所存でございます。
3ページ、1点目の提言としましては「年金給付特定口座の創設」でございます。
主な内容は、次の2点でございます。
1点目は、従業員が金融機関に年金給付のための専用口座を開設し、退職後の年金給付を受け取る仕組みとします。この口座には払い出し時等におきまして一定の制約を設けた上で、税制優遇措置を講ずることとします。
この口座で受け入れる資金としましては、図にありますとおり、退職一時金に加え、脱退一時金や中退共からの解約手当金、あるいは、今後、多く発生が予想される厚生年金基金解散に伴う分配金も想定しており、この口座開設によって、これらの資金を年金方式で受け取ることが可能になると考えています。また、現在のDB、DCからの給付金も想定しております。
従業員としましては、企業が用意する給付プランでは、必ずしも退職のライフプランに合致しないと考える人あるいはもっと運用して給付に厚みをつけたいと考える人がいらっしゃると思いますので、この口座によって、新たに運用し、その給付方法を選択することが可能になると考えております。
例えば、年金給付特定口座に一時金相当額を受け入れた上で、毎月分配のある投資信託などを購入して給付を受け取るようなイメージでございます。
2つ目としましては、定年退職までの期間については、ポータビリティの受け皿とすることでございます。
現行制度でも、制度間の資産移換は相当程度のパターンにおいて可能となっておりますけれども、例えば、転職の際に一時金が給付されると、その段階で課税されてしまい、退職給付の連続性が途切れるケースが散見され、制度間の移換の可否によって受取額に有利、不利が生ずる状況でございます。
この問題を解決するために、一旦、年金給付特定口座が受け皿となって、他の制度への橋渡しとなることを想定しています。
なお、口座の利用につきましては、税制優遇を与えることを想定しておりますので、万一、途中で一時金として払い出す場合におきましては、税務上のペナルティーを科す必要があると考えております。
以上のような選択肢をふやすことで、従業員の年金制度の関心が高まる一方、企業サイドの視点に立っても利点が見出されると考えております。
企業側では、年金受給者を管理し、給付事務を続けるよりも、年金給付特定口座を利用することで、一時金ベースで支給を完了させ、給付事務から解放される仕組みができ上がります。
さらに、一般企業の場合におきましては、受給者に係るPBOの削減効果が出てまいります。
この口座の提言におきましては、資金受入時や運用期間中及びポータビリティについての税制優遇措置を想定しておりますけれども、さらに高齢者の優遇措置として、次のことを想定しております。
現行税制では、万が一、御不幸があった場合に未支給の年金原資が残っている場合、相続財産として課税対象になりますけれども、この口座内に残る資産につきましては、相続税を軽減すること、あるいは、受給者の資金を口座間で生前贈与するといった世代間移転につきまして、税務上のインセンティブを付与すれば、一層の利用普及が見込まれると考えております。
4ページ、大きな2点目としましては、退職給付を目的とした信託の活用という提言でございます。
内容としましては、一時金給付を目的とした外部積立制度で、企業の退職金支払いの平準化を図るものでございます。
具体的には、企業が社内で留保している退職給付原資を定期的に外部へ拠出し、従業員の退職時に一時金として払い出す仕組みでございます。掛金拠出時におきましては、全額でなくとも一定限度まで損金算入を認め、拠出された財産につきましても税務上の優遇措置を講ずることを考えております。
従業員から見れば、退職金のための財産が外部で積み立てられる安心感につながりますし、会社と信託会社の間の信託契約によって受給権が保全されるメリットが生じます。
一方、企業サイドから見れば、退職金の支払いの平準化ができ、掛金については税務上のメリットがあることに加えて、一時金給付を前提としているため、給付事務の負担が少ない。また、現行の退職金規定を大きく変更することなく導入することができることから、普及が期待されるところであります。
図のとおり、一時金給付を目的としますけれども、1つ目の提言で説明しました、年金給付特定口座と組み合わせることで従業員が年金給付を選択することが可能となります。
5ページ、3つ目の大きな提言につきましては「現行の企業年金への提言」でございますが、主に2点でございます。
1点目は、DBを採用する企業において、年金資産が一定水準を上回った場合におきましては、その一部を事業主に払い戻すことを可能にする措置でございます。
現行のDB制度では、企業への年金資産の払い戻しは認められておりませんので、例えば、運用環境が良好で、想定した以上に年金資産が増加した場合におきましては、例えば、図のような一定の基準で払い戻しを容認するものでございます。
DB実施企業は、運用環境が悪化した場合には掛金見直しを迫られる一方、一旦掛金水準を上げてしまうと容易に引き下げることができない状況でございますので、常にキャッシュフローの負担の不安を抱えるのが現状でございます。実施企業の金銭的な負担を一定の場合に軽減することを認めてはどうかという提言でございます。
そういった意味では、2点目につきましては、財政運営の弾力化で、記載のとおりでございます。
6ページにつきましては、その他、DB及びDCについての提言でございます。特法税の撤廃を初め、DB、DCにおきまして種々書いておりますけれども、これらはこれまでの当協会を含め各方面から提言されている内容でございます。
以上、簡単ではありますけれども、みずほ信託銀行からの説明とさせていただきます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいま説明のありました内容につきまして、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
小林委員、どうぞ。
○小林委員
只今ご説明いただいた中で、最後の6ページ目に「現行の企業年金への提言」の一つとして「DBの支払保証制度の導入」が挙げられていますが、経団連を含め経済界といたしましては、確定給付企業年金法の創設時より、支払保証制度の導入に対しては、繰り返し反対を表明してきております。
そうした中で、各方面からの御要望とのご説明がありましたが、具体的にどのような団体からの御要望なのか教えていただけないでしょうか。
○信託協会
こちらの支払保証制度の導入につきましては、今は厚生年金基金制度は総合型と言っているものに代表されるように、相互扶助でいろいろな中小企業が集まってますが、その企業もDBと言われるような確定給付のプランをつくっている状況がございます。
残念ながら、現在いろいろな解散の方向に動いている企業がございますけれども、過去に厚生年金基金自体が財政上破綻してしまって、なかなか代行給付を返せない状況になった事業主もございました。
この場合、積み立てたお金が結果的には何ら返ってこない。支払保証事業の一定の仕組みがあるものの、給付を受けることはできませんでした。
今後、厚生年金基金を解散する企業が多くなりますが、各事業主がまたDBプランをつくりたくても、一つの事業所ではつくりづらく、また、一緒になってつくることも考えたいと言いながら、こういった一定の保証制度がないと、安心もなかなかできないという声が寄せられたと認識している次第でございます。
○山崎部会長
どうぞ。
○小林委員
経団連としては、確定給付企業年金と厚生年金基金ではそもそも制度の性格が違うと認識しております。
公的年金の代行部分を有する厚生年金基金と労使合意に基づく確定給付企業年金を同列に論じることは適切でないと考えます。
一方で、個社の立場からしても、自社の社員のために年金制度を維持運営するために懸命に努力している中で、他社の社員への分配となる支払保証を行うことには理解を得にくいものと認識しております。
○山崎部会長
ほかにいかがでしょうか。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
どうもありがとうございました。
2ページで、現状における問題の指摘をいただいていまして、特に中小企業のところで、DB、DCともに適年廃止以降、普及していないし、伸びていないということと、その理由を説明いただいたのですが、具体的な3ページ、4ページ、5ページ、6ページの提案で、DBでもDCでもいいのですけれども、特に中小企業における年金の普及を考えた場合に、有効であるとお考えになっているご提案はどれと理解すればよろしいでしょうか。
○信託協会
そういった意味では、3ページに記載させていただいている特定口座の創設と、4ページの退職給付を目的とした信託の活用といった意味では、違った視点での提言とさせていただいておりまして、なかなか2つを比較してということでは難しい部分があるかと思っています。ただ、中小企業から見た場合に、年金給付特定口座の創設は、ある意味では加入する、あるいは資金を受け渡しするだけということも想定しておりますので、導入の初期ないし導入後の運営コストという意味では、かなりわかりやすいですし、人的、経済的な負担も少ないということに資するものではないかと考えているという次第でございます。
○臼杵委員
そうすると、3ページの特定口座というのは、中小企業の場合、口座は企業に設けなくてもいいということですか。
○信託協会
一応、こちらの年金給付特定口座につきましては、いろいろな考え方があると思うのですけれども、民間の金融機関のほうに設けることによって、そちらでサービスの充実を図っていただく、ないしは、いろいろな運用商品等々を含めたところの競争力を競っていただくことを想定しておりまして、各加入事業所に口座を設けることは一応想定しないという状況でございます。
○臼杵委員
すると、そこに拠出は事業主がするのですか。
○信託協会
そういうことを想定しております。
○臼杵委員
個人年金に企業が掛金を払ってあげるという、イメージとしてはそういうことですか。
○信託協会
そうです。毎月の掛金負担というのも大変だという、金銭的な負担もあるかと思いますので、ポータビリティも含めて、入ってくるお金を一時金だとしても、そこに退職、老後までためておくという性格も兼ね備えていることをあわせて考えたいと思っております。
○臼杵委員
ありがとうございます。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
3点ほど質問をさせていただきたいと思います。まず、3ページの年金給付特定口座というのは、初めて聞いてイメージがいま一つよくわからないのですが、下の囲みの中の一番最後に「高齢者にとって、自由度の高い選択肢を設ける。(未支給のまま相続財産化、贈与による世代間移転等)」とありますが、退職金という性格からすると、こういう相続財産化とか、贈与による世代間移転というのはあるのかもしれないですけれども、年金ということで言うと、正直に言って、これについてはかなり違和感があります。こういうことについても税の優遇を受けるというのは、なかなかちょっと厳しい気がするのですけれども、それが1点です。
2点目は、4ページの左側の外部積立の制度と、具体的にこれを実現する仕組みと、今のDBと決定的に違うところがよくわからないのです点線囲みで「定額」「最終給与比例」「ポイント 等」と書いてあるのですけれども、こういうことで仕組むのであれば、今のDBと何が本質的に違うのかがよくわからないのが2点目で、これを教えてくださいということ。
3点目、5ページなのですけれども、先ほどおっしゃった積立水準を上げようと思って、十分な掛金を取って、運用がよかったらオーバーしてしまう。
そういうときに先ほどもおっしゃったように、掛金は一旦上げるとなかなか下げにくいみたいな話がありましたけれども、それを下げやすいようにする、あるいは、コントリビューションホリデイのように掛金をゼロにするというのが、普通、先にあると思うのですけれども、それを飛び越して、つまり、コントリビューションホリデイ等を飛び越して年金資産を返すとなっている、その提言の理由、この3点をちょっと教えていただきたい。
○信託協会
1点目のほうにつきましては、やや付加価値をつけたような考え方ではあると認識しておりますけれども、例えば、これまで適格年金で積み立てたお金というのは、確かに財産としてたまっておりますけれども、年金で支給されるというのは極めて少なかったと認識しております。
そういった意味では、何のための資金かとした場合に、年金給付で受け取るための資金と、いろいろなローンを返す等々の事情があるにせよ、安心してずっと年金給付で受け取って、それが仮に未支給のまま終わってしまっても、無税でいろいろと後世代に移転するという枠組みができれば、一時金で取ってしまってということもないのではないかと考えた次第で、こういった措置を設けたらどうかという提言につながっているということでございます。
2点目につきましては、今のDBと何が違うのかということでは、確かに御指摘のとおりでございます。ただ、DBは決まった掛金をずっと掛け続けなければいけないという仕組みが、受給権の保護の裏腹でございますけれども、きちんと設けられている。
その掛金はキャッシュフローの負担におびえながらということであって、結果的に制度自体が何もない、外部積立が何もないという状況よりは、弾力的に自分たちで積み立てる、ただし、外部に積み立てるという形で、一定程度、外にお金をきちんとためる仕組みがあってもいいのではないかと考えた次第でございます。
3点目の、コントリビューションホリデイを通り越してという状況というのは、これも全く御指摘のとおりではございますけれども、100%超を何でもかんでもということは申し上げるつもりはなくて、しかしながら、債務に対しかなりの水準まで達した場合におきましては、一定程度返ってくるような仕組みがあることで、きっちり中小企業が安心して掛け続けるという、そこまで思い切った枠組みを設けて、普及の促進を図る後押しになるのではないかと考えた次第でございます。
○鈴木委員
その3番目の話ですけれども、昔の適年のようにある一定程度を超えれば、マストで返さなければならないというのではなくて、欲しいと言ったときだけ返せるという話なのですね。
○信託協会
一応、そういう前提で御説明をさせていただいた次第でございまして、その辺の議論は検討の余地があるのではないかと思っております。
○山崎部会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
ありがとうございます。
3ページの「年金給付特定口座の創設」の関係ですけれども、これはDBとか個人型DC、一時金制度を含めて、同様の扱いで特定口座というものを設けていく形になっていますけれども、それぞれ税制上の扱いが違うので、どういうふうになっていくのかということが懸念されます。その辺の説明をお願いできればと思います。
あと5ページの「掛金を事業主に返還できる仕組みの導入」ですけれども、基本的に、退職金原資を使っての投資による実績を事業主に戻すという考え方が、率直に言って、果たして労働者側の理解が得られるかどうかというのはなかなか厳しいのではないかと思います。そもそも運用に関しては、リスクとリターンという形の中でやっていますので、単年度でたまたま一定水準を上回ったからといって、それを事業主に返還する仕組みが本当に可能であるのか。
また、事業主に返還といいましても、事業主の受け方はどういうふうな形になるのかがちょっとよくわからないので、もしそこまで考え方があれば、教えていただければと思います。
それと6ページの「加入者拠出掛金の上限の拡大・税制の緩和」ということですけれども、これが税制の考え方として、現実的に可能であるのかどうなのかということを教えていただければと思います。
以上です。
○信託協会
1点目の税制のところにつきましては、一応、今回、思い切ったいろいろな普及を促進するための提言と、それぞれの制度が税制もそれぞれ違うことを認識している中においては、当然、御指摘のとおり、具体的には検討を要する余地が多分に残っているということと認識しております。
2点目の労働者側の理解と具体的に事業主に戻すところにつきましても、一定程度、想定ないし構想の域を超えていない部分が多分にございまして、労働者側の理解につきましては、丁寧な説明のもと、対応する必要があると思っている次第でございます。
3点目につきましては、今、実際に事業主の拠出する掛金の2分の1、かなり導入している企業が少ないという認識ですけれども、DBプランが当行受託先約500のうちで数十という状況かと認識します。
現在、2分の1までという枠組みの中で運営しておることを考えると、こちらの分を引き上げることにつきましては、実務上可能ではないかと考えておりまして、今後、具体的な協議ないし実務の検討をできれば、私どもとしてもありがたいと思っている次第でございます。
以上でございます。
○山崎部会長
井戸委員、よろしいですか。
○井戸委員
平川委員と同じでした。
○山崎部会長
わかりました。
それでは、次に移りたいと思います。
続きまして、全国銀行協会より説明をお願いいたします。
○全国銀行協会
全銀協でございますけれども、今回は「今後の年金制度のあり方について」というお話をさせていただければと思っております。
お手元に、右肩に資料4-1というものと、資料4-2のA4の縦のものと2種類ございますが、きょうは資料4-1のA4横のほうの資料について御説明をしていきたいと思います。
私ですけれども、本日、発言させていただきます、全銀協でDC部会の業務委員長行をしております、みずほ銀行年金営業部の堀田でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、このような発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
では、1ページをごらんいただきたいと思いますが、これは皆様言わずもがなというところではございますが、まず、現状認識というところからお話をさせていただきます。
公的年金につきましては、やはり財政上いろいろ厳しい状況が続いている中、やはり企業年金を含む私的年金による自助努力というものが、これから老後を支えていく上で必要だと我々は認識しております。
その中で、やはり自助努力という中でも、2001年にスタートしました、この確定拠出年金は導入されてから12年半、間もなく13年たつと思うのですけれども、その部分の重要性がより高まっていると認識しております。
さらに、今後、持続的なインフレも見込まれる中、やはり貯蓄から投資という、いわゆる金融教育的な部分という観点からも、この確定拠出年金は重要な役割を担っているという認識でおります。
私ども全銀協の加盟行というのは、銀行でございます。銀行につきましては、運営管理機関を中心に資産管理機関といった業務をやらせていただいております。この十数年にわたっての業務を通じて、導入時からずっと引き続きいろいろな要望をさせていただきました。その中身につきまして、まだ課題として残っている点について、お話をさせていただければと思います。
2ページ「確定拠出年金制度の課題等について」ということでございますが、確定拠出年金のそもそもの目的というのは、老後の保証といった位置づけになっているかと思います。
その中で、実は確定拠出年金は、当初4省案といったものがあったのですが、そこから実際に出てきたものとの間で少し乖離がございました。そういったこともございまして、やはりその制限等によって、十分な給付水準というものが確保できているのかどうかといったところが1つ課題として挙げられます。
その対象範囲につきましても、実は範囲が決められております。
さらに、働き方の多様化ということで、2001年のときには、まだ60歳以降働き続けるというところはいわゆる方向的にはあったのでしょうけれども、2010年に入りまして、65まで働くというところもどんどん進んできております。そういった中で、そのあたりの手当も必要かと思われます。
では、具体的にどのようなことを御対応いただければ、よりよい制度になるのかといったことで、3ページ以降、お話をさせていただきます。
まず、よりよい老後生活のため十分な給付水準の確保ということですが、確定拠出年金運用益につきましては非課税でございます。ただし、企業年金という形でもございますので、特別法人税が課税対象になっております。
この特別法人税につきましては、2017年3月まで、現状ですと課税凍結という状態ではございますけれども、やはり幾ら経済環境が回復してきたとしましても、仮に復活すると1%超の金額が毎年残高から引かれることになりますと、いわゆる老後の給付を確保するという意味では厳しいものになりますので、まず、こちらの撤廃というのはぜひとも実現していただければと思っております。
ちなみに、この3ページの表で◎と○につきましては、◎がより重要な項目ということで分けさせていただいているものでございます。
2点目なのですけれども、拠出限度額のさらなる引き上げということで、こちらは特に企業型を中心になのですけれども、現状、企業年金のある企業の場合は、ことしの10月に引き上げていただきますが、2万7,500円ということで、これがキャップでございます。
御存じの方も多いかと思いますが、確定拠出年金の掛金というのは、給与ですとか、ポイントですとか、そういったものの比例でやっております。
その拠出限度額を超えないように設計するのが比較的主流でございまして、そうしますと、その部分が抵触しない割合で落ち着かせるような設計をせざるを得ないということでございます。
残った部分はどうするのか。退職一時金でいくとかということも考えられるのですけれども、そういったこともございますので、やはり制度設計の自由度という部分で、より老後の蓄えを確実にするということで、この拠出限度額の引き上げ、企業型年金については撤廃といったことを要望させていただいております。
さらに自助努力型といったところで、マッチング拠出制度の見直しは、特に従業員拠出限度額、事業主掛金は超えてはいけないという制限等もございますので、そのあたりの撤廃を要望しております。
4つ目は、やや今までの点とは違う観点ではあるのですけれども、現状、確定拠出年金の運用商品につきまして除外をすることは、保有者全員の同意が必要でございます。やはりいろいろ商品の見直しもされておる中で、従前の商品のままで残っている方も結構います。
結果的に、効率的にふやすことにもつながらない結果になりますので、そのあたりの除外の要件の緩和ということも要望しております。
大きな2点目ですが「より幅広い加入対象者の拡大」ということで、確定拠出年金対象者については限られております。御存じのとおり、例えば、1号被保険者と企業年金なら2号被保険者は個人型。企業型については、当然、企業が実施している企業型ということなのですが、そういった制限があります。
では、実際に確定拠出年金をやろうといった場合に、いろいろなお声が上がってきます。そういったときに、一つ上がってきますのが、例えば、企業型の場合ですと、60歳までどんな理由においても払い出せない。少額の場合に脱退一時金はあるのですけれども、それができないといったところが、一つネックになっております。
ということで、やはりその部分については、ペナルティーを課税してでも払い出せるようにしていただければ、自由度が増すということで、企業としてもどうしてくれるのかという社員の声にも応えられるということで、単純な脱退一時金の支給要件の緩和ではなく、追徴課税等も認めた形でのことであれば、制限もかけられるのではないかということで、この脱退一時金支給制度の新設を要望しております。
それ以外に、現状対象となっていない、例えば、企業年金のある企業の従業員、第3号被保険者の個人型年金加入の容認ということです。
女性の働き方ということについては、昨今より積極的にやっていきましょうということも言われている中で、一旦は仮に家庭に入るかもしれませんが、そういったときに積み立てて、また社会に出ていくといったときにも、継続的な積み上げというものは有効に働くと思います。
3点目の他制度からの資産移換要件の緩和は、少しニッチな話になってきますが、例えば、確定給付企業年金制度や厚生年金基金制度のうち、既に受給権がある方については、ポータビリティ制度というものはございません。
ただ、実際にはそこで受け取ってくださいという処理になっているものが多いと聞いています。例えば、企業年金と本人との間で受け取ったほうがいいという話もありますので、ここの部分は老後の蓄えということであれば、ぜひそのあたりも要件を緩和していただきたいと思います。
4点目の退職一時金制度からの資産移換方法は、退職一時金受給権の確保という部分で重要になってくるかと思うのですが、どうしても4~8年という、法律の分割移換での制限がございます。
より早期に受給権確保という部分で、本人にとって、加入者にとって進めていけるのではないかということで、4~8のところを弾力化していただきたい、短縮化していただきたいということを要望しております。
4ページでございますけれども、こちらは多様化した働き方ということで、例えば、65歳まで働くという状況になっている中で、例えば、60ちょっと前ぐらいから確定拠出年金が始まる方もいます。現状は、10年以上加入期間がないと、60からもらえないという制限もございますので、そのあたりの撤廃、改善。
2点目は、さらに少し細かい話になりますが、現状の資格喪失年齢の引き上げの法律では、例えば、60歳以降で同じ確定拠出年金の規約に入っているグループ企業に転籍した場合は、資格喪失とみなされて継続的に加入することが認められておりません。
そうした場合に、人事異動等にも弊害が出てきますので、逆に制度の拡充という部分でも活用できなくなっている状況があるので、そのあたりの改善を要望しております。
最後に、個人型年金加入者の資格喪失年齢の65歳までの引き上げで、企業型のみならず、65という部分が世の中の働く年齢になってきているかと思いますので、そういった部分も引き上げていただければと思っております。
最後になりますが、5ページ、私ども全銀協としましては、引き続き確定拠出年金制度の改善、拡充といった部分で、老後の給付の維持、改善といったことを進めていければと思っておりますので、こちらを中心に制度改善要望をさせていただければと思っておりますし、また、公的年金のいわゆる支給開始年齢の引き上げといったことになってくると、さらなる自助努力型の手当ても必要になってくるかと思いますので、米国のIRAですとか、そういった部分の類似制度の導入といったことも考えられるかとは思っております。
以上、御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま説明がありました内容につきまして、委員の皆様から質問等をいただきたいと思います。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
どうもありがとうございました。
1つはコメントですけれども、4ページ等に御指摘になっている、多様化した働き方とかに対応する制度設計が必要だというのは全く同意、賛成いたします。
公的年金のほうでも、支給開始年齢を弾力的に、例えば、繰り上げ、繰り下げを認めているわけですし、また、さまざまなライフスタイルに対応しようということですから、おっしゃるように、特に加入年齢が必ずしも若いときに始まるとは限りませんし、あるいは途中で掛金の支払いが中断されることもあるでしょうし、逆に、例えば、支給開始年齢もいろいろなニーズがあると思いますので、そういう意味では、そういう点にできるだけ対応していくべきではないかと思います。
もう一つは質問なのですけれども、全銀協さんだけではなくて、あちこちから出ている要望ですので、ちょっとここで取り上げるのがいいのかどうかはわからないところもあるのですが、3ページの上から3つ目のマッチング拠出制度の見直しという場合の従業員拠出限度額の撤廃ということなのですけれども、例えば、これは極端な話で事業主が1,000円で従業員が5万円ということも認めるということですか。
○全国銀行協会
今、御質問いただきました件なのですけれども、若年層並びに中年齢ぐらいのところまでは、事業主掛金が比較的低い企業さんが多くある中で、例えば、まだ子供が学校へ行かないぐらいで余力がある方もいらっしゃるものですから、そういった部分で出せるのだけれども、枠がないという状況が考えられますので、そういった部分で拠出限度額という、そもそもの枠はあると思うのですけれども、事業主掛金は超えても出せるということをしていただけると、若いうちに積み立てることができるかなということでの要望でございます。
○臼杵委員
ということは、今の私の質問にイエスかノーでお答えいただくとすれば、イエスですか。
○全国銀行協会
イエスです。
○臼杵委員
個人的な意見としては、それは私もイエスなのですけれども、ただ、反論としては、それをやると個人型の上限の抜け穴みたいになるのではないかという話が、事業主が100円出して、1,000円でもいいのですけれども、従業員が5万円ぐらい出すと、個人型は従業員個人ですと年間二十何万ですので、そこをどう説得するかがポイントになるのかなと思います。
個人的には、実際に出せるかどうかは別として、企業が出せないときに、自助努力をしようという人に対して、普通の、企業が出してくれる人よりも上限が低いというのは、かえって不公平なのではないかと私は思うのですけれども、ただ、その点は、多分、税の当局ほうからすると、ひっかかってくるのかなという気がします。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
今の臼杵委員とのお話について、これは感想というか、意見ですけれども、私は個人型の限度額を上げるべきだと。
○臼杵委員
私もそう思います。
○鈴木委員
その件はそういうふうに思いますが、私の質問は、最終ページの5ページに、米国のIRA等を参考に、拠出時課税とありますが、それで、運用時・給付時非課税という制度も確かにあって、ロスIRAとかいったと思いますが、普通のIRAはやはり拠出時非課税ではないですか。これはどちらのことを言われているのかがちょっとわからないのですが
○全国銀行協会
ここは、やはり拠出時非課税までというところはやはり難しいだろうといったところもございまして、拠出時課税で、あと運用時・給付時非課税といったことで、全部ノーロードというわけにはいかないということで、拠出時課税ということで置かせていただいております。
○鈴木委員
IRAは拠出時非課税で、運用時非課税で、給付時課税だと思うのですけれども、それを給付時を非課税にして、拠出時課税と言われているのですね。
○全国銀行協会
おっしゃるとおりです。
○鈴木委員
わかりました。
○山崎部会長
高崎委員、どうぞ。
○高崎委員
3ページの、退職金制度等の見直し時に障害となる脱退一時金の関係で、新しい制度を新設したほうがいいのではないかと御提案いただいているのですけれども、もう一つの資料のほうも読ませていただきましたけれども、ここで気にされているのは、個人的にはやはり確定拠出年金制度であっても、年金という性格のものである以上、将来の生活に必要な資金のための積み立てという性格は変わらないと思っていますので、事情があってどうしてもというケースに脱退一時金というのはあるかもしれませんけれども、やはり脱退一時金となるとその瞬間に手元に資金が来てしまうので、将来に備えられる方もいらっしゃると思いますけれども、年金という性格からいくと、基本は個人の手元には行かず、将来的に給付する、何らかの仕組みというものを前提に考えるべきなのではないかと思うのですけれども、ここでこういう制度を新設すべきとおっしゃっているのは、ほかの年金の仕組みに移れない方、資料に書いてある、外国籍の方が帰国されるケースというのはそうだと思うのですけれども、あとは手数料負担でせっかく積み立てた資金が目減りされている、そこのポイントを解消するための脱退一時金の新しい枠組みが必要という御趣旨でしょうか。
○全国銀行協会
どちらかといいますと、例えば、今、実例としてありますのが、退職金全てが確定拠出年金になっていらっしゃる従業員さんというのは実際にいらっしゃいまして、何らかの事情でしばらく退職をせざるを得なくなってしまった。
逆に、ある程度まとまった金額があるのですけれども、その間、極端なことを言えば、失業給付みたいなものを受けなければいけない、極めて厳しい状況に追い込まれるところでございまして、その場合に、多少目減りしてもいいから、すぐ欲しいという要望に対するものでございますので、一方で、手数料負担につきましては、既にやはり個人型の加入者になれない方は50万以下であればとかという制度が一応ありますので、そこのところは、例えば、いろいろと私どものコールセンターにも入ってくるお問い合わせとかにおいても、御納得いただける部分もあるとは思うのですけれども、ちょっと言葉があれなのですが、やはりある程度まとまっても、どうすればいいのかと、これ以上はサラ金に手を出せばいいのかというところまで言われる事例も実際にちょっとあるものですから、そこの部分で何らかのことを対応してあげられるようなことがあればいいのかなと思います。
○全国銀行協会
もう一つ、先ほど堀田のほうからも話がありましたように、やはり制度を検討する際の1つのネックになっているという部分も大きくて、もちろん、年金としての資産を確保するという観点では、この脱退一時金を受け取れてしまうというのは逆の動きになってしまう部分もあるのですけれども、ただ、これを適用したからといって、これがどんどん利用されるというよりは、むしろこれがあることで、例えば、退職一時金のみの会社が新たに年金制度をつくろうと思っても、やはりこれがあるがために年金制度が確定拠出年金を利用するほう、導入するほうに踏み出せないことも多いわけなのです。
そうしますと、もしかすると、導入すれば過半のほとんどの人が、確定拠出年金制度を本来ある確定拠出年金制度として、将来の年金として使っていけるにもかかわらず、やはり会社としておろせないということが、どうしても退職一時金との対比でネックになるがために、やはり確定拠出は入れられないという判断になるケースも多いものですから、そもそも制度を広げていくという観点で、この脱退一時金の要件を緩和するところが非常に大事なのではないかと、我々は思っております。
○高崎委員
ありがとうございます。
○山崎部会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
ちょっと基本的なことですけれども、1ページの「貯蓄から投資へ」の流れということでありまして、やはりこの部会のデータでも、確定拠出年金に入っている方について、元本確保型の商品を選択する方が大変多いという結果が出ています。
一見、元本確保型というのは安心感がすごくあるのですけれども、実際、運用結果が今の状況だと大変小さいということで、結局、将来の給付の減額につながってしまうおそれもあるのではないかと思います。
そういった意味で「貯蓄から投資へ」の流れという形の中で、やはり投資教育とかも含めてすごく重要なのですけれども、その辺がなかなか進まないということで、何かアイデアがあれば教えていただきたい。あと確定拠出年金が導入されて十数年経過していますけれども、これはほかの方にお聞きすればいいのかもしれませんけれども、全銀協さんので、もしそういうデータがありましたら、これまでの運用実績が全体的にどういう状況なのかということを教えていただければと思います。
○全国銀行協会
まず、投資教育の部分につきましては、やはり一つには、そのときの配分の割合で元本確保型の割合が比較的高いという時期と、比較的、元本確保型以外で投資をしている時期と分かれておりまして、経済環境によるところもあるかと思います。
導入時につきましては、やはりどの企業さんもセミナー等で積極的に投資教育というか、確定拠出年金制度の教育をして、その上で分散投資ですとか、そういったお話をさせていただいておりますので、そこの部分は十分に初期の段階では浸透しているのだろうと思っております。
結果的に、例えば、リーマンショック直後ですと、比較的安定型というか、元本確保に移るといったところもありまして、そういった方々がいろいろといるのですが、済みません、昨今の状況ではどれぐらいの利回りでというところはあるのですが、平均値的には2~3%ぐらいの年利で大体回っていらっしゃると思います。
ただ、正直に申し上げますと、いわゆるゼロ近辺のところに1つの山、数パーセント以上の後半のところにまたこぶが1つあるという状況で、二極化といったことが挙げられておりますので、これはみずほ銀行の話ではあるのですけれども、いわゆるゼロパーセント近辺の山をどうやって、こう向かせていくのか、このままでは、インフレになった場合に目減りする可能性があるとか、想定利回りに到達しないとかといったところを気づいていただくような形での継続教育というのもしております。
○山崎部会長
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
済みません。全然専門が違うので、すごく基本的な質問になってしまうのですけれども、2点あります。
1点は、4ページなのですけれども、ここで言う多様化した働き方、ほかの先生方もライフコースというか、ライフスタイルの多様性とかというので既に合意された基礎知識のようなのですけれども、ここでおっしゃっている多様化した働き方というのは、具体的にどういう状況を中心に想定されているのかというのが1点目の質問です。
2点目については、ちょっとこれもわからない、基本的なことなのですけれども、個人型年金の加入対象者の拡大の中で、第3号被保険者の個人型年金加入の容認ということも提案されているのですけれども、ここの背景となる考え方について確認をさせてください。
以上です。
○全国銀行協会
まず、多様化したといいますのは、60が定年ではある企業が多いのですけれども、その中で、60でおやめになる方もいれば、65まで継続雇用で働かれる方もいる。また、企業などがグループ会社化をしている場合もございますので、その間で60になると別の関連会社に移って働かれるという方もいらっしゃいます。
そういった部分で、まず、働き方といいますか、企業としてのいわゆる人事戦略というのもあるかと思うのですが、その部分に対応していただければといった部分と、やはり個人型という部分につきましても、企業でも個人という方も当然いらっしゃいます。第2号被保険者で企業年金でない方は個人型に入れますので、そういった方々ですと60でおしまいです。
まだ60から65まで公的年金の支給を待たなければいけませんので、そういった部分でも積み立てられるようにということも考えられますし、これは本当に想定なのですけれども、例えば、お子さんが大学を卒業したから、もう一回働こうかなという方も出てくるかと思うのですけれども、その方々が50過ぎから働こうと思ったら、60になったときにすぐにもらえないとか、そういった部分もいろいろ制約としてあると思いますので、多様化したという言葉を使わせていただきました。
もう一つ、第3号被保険者が個人型年金に加入できない背景は、恐らくなのですけれども、これはちょっと私どもの推測ではあるのですが、公的年金については、保険料をいわゆる第2号被保険者の部分から賄う形になっております。
いわゆる扶養者という形になっておりますので、そういった部分で厚生年金の保険料を払っていないので、確定拠出年金が対象外になっている、所得も比較的小さいということで排除されているのではないかと思われます。
○白波瀬委員
ですから、それを容認すべきということは、そこの背景に一体どういう理由があるのかと。
○全国銀行協会
第3号被保険者を入れてもらいたいということでございますね。
そこは、例えば、確定拠出年金の企業型に入っていた方がおやめになった場合に、100万とかお金を持っているとすると、その方がずっと専業主婦とかになった場合は、60までお金をおろすことができないといった部分で、最終的にその100万をずっと少しずつふやす、運用でふやす方法しか考えられないのです。
というと、例えば、手数料で目減りすることも考えられますし、場合によっては、もうちょっと後から働こうかなと思ったときに、今、年金なども分割できるような時代になってきておりますので、やはり自分の年金というものを確保する観点でも、こういった制度に加入できればいいなというのが趣旨でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
続きまして、日本証券業協会より説明をお願いいたします。
○日本証券業協会
日本証券業協会の小柳でございます。
きょうは、このようなヒアリングの機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
証券業協会は、金融商品取引法で認可を受けた証券業協会でございまして、証券会社のほか、銀行、郵便局、保険会社などの金融機関で組織をされております。
主な業務でございますが、自主規制機関として金融商品の勧誘、販売のルールの策定でございますとか、その遵守状況の監査というものを行いますが、そのほかに活力ある我が国の金融資本市場の実現に向けた取り組みでございますとか、国民各層の金融リテラシーの向上に向けまして、学校や一般の方を対象に、金融証券知識の普及啓発活動も行っているところでございます。
我が国の今後の社会保障制度や年金などの問題を考えますと、個人の自助努力による資産形成は極めて重要な課題であると認識しております。
証券業協会では、本年1月から導入されましたNISA、少額投資非課税制度の普及促進に向けた取り組みや、本日の老後の生活準備に必要不可欠な確定拠出年金制度の拡充については、喫緊の課題であり、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
協会では、こうした基本的な考え方のもとに、個人の自助努力による資産形成に関するワーキング・グループを設置しまして、検討、取り組みを進めているところでございます。
本日は、年金運用型商品の提供などの拡充に向けた5つのテーマにつきまして、ワーキング・グループの主査の野村証券の高平経営役より御説明をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
○日本証券業協会
野村証券の高平でございます。
本日は、貴重な機会を賜りまして、まことにありがとうございます。
早速ですが、資料5-1の資料を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
1ページ目、目次がございまして、本日は、この確定拠出年金に関する5つの項目についてお話をさせていただきますが、これらの項目に対して個別に御議論いただくものではなくて、これは5項目が密接にそれぞれかかわっている点を御留意いただけたらと思います。
日証協、当協会が従来から御要望させていただいてまいりました、限度額自体の拡大、それから、中途脱退の要件のさらなる緩和、特法税の撤廃等は引き続き要望させていただきますが、本日は、これらの項目については、お時間の関係もございますので割愛をさせていただきたいと思います。
2ページ目、これは昨今からの財政再計算の中で、公的年金を補完する部分を私的年金の役割、特に個人の自助努力の分野が非常に重要になってきていると思います。また、その中で健全化法の施行による、この4月1日から施行されている、厚生年金基金制度の見直し等も含めて、最近は厚生年金基金の解散等を含めて徐々にそれが増加しているという現状でございます。
それをしいて、次のページをおめくりいただきたいのですけれども、基本的に、特に中小企業の方々のDC制度の普及をどう促進をするかというのが、1つの課題だと思っています。
基本的に、中小企業型のDCの導入の運営に関して、規約申請等の手続の場合は事業主の方の負担が非常に重い。ここで見ていただいている、規約申請は約15項目ありますけれども、提出書類が非常に多数にわたって申請しなければいけないのが現状でございます。
その中で、中小企業に即した提出書類等の見直しというものが、まず、必要であるということと、それから、基本的に、右側に規約申請の簡便化に加えて、拠出金を基本的に大企業の場合は制度設計を含めてやるのですけれども、例えば、5,000円とか、1万円コースなどという、拠出金の定額の設計も現実化が必要かなと。
やはり投資教育についても、これは事業主の負担が非常に重いのですけれども、これもいろいろな工夫、例えば、DVDだとか、e-ラーニングを含めたいろいろな投資教育の工夫も必要かと思われます。
こういうインフラの整備が、中小企業、零細企業も含めて、DC制度の普及促進に非常に大きく貢献できるのではないかと思っています。
次、4ページ目は、先ほどからいろいろな議論が出ていますけれども、マッチング拠出の上限撤廃については、左側の図のブルーと赤とグリーンのところですけれども、特に若い方に関しては、賃金カーブに沿って、非常に企業拠出の分野が非常に小さくなる中で、将来、特に若い方が想定されるリスクとして、インフレだとか、公的年金の問題等も含めて、自助努力の分野をある程度緩和するといいますか、使い残しを使えるようにすることが必要かと思います。
次の5ページ目、先ほどから議論がありましたように、現在、確定拠出年金の資産の配分に関しては、非常に元本確保が、結果、約59%の比率になっているのが現状でございます。これはあくまでも加入者の方が選んだ結果でございます。ただ、その中でやはりいろいろな課題が考えられます。
1つは、外部環境としては、DBからのDCの移行の中で、想定利回りというものが、当然、設定されます。その想定利回りに加えて、デフレ脱却に対してのインフレというところも、特に若い方にはそういう配慮が必要だということで、要は、累加すればリターンを要求される。
リターンが要求されるのですけれども、当然そこにはリスクも伴うわけなので、基本的に加入者の方の金融リテラシーの向上とか、現実的に、今の金融商品が何個か並んでいるのですけれども、何をどう選んでいいかわからないとか、いろいろな形の加入者の方の悩み等、大きないろいろな課題が、この結果の59%の比率になっているこの配分については、裏方にはいろいろあるのではないかと思っています。
右側のグラフも、基本的に、若い方が極力リスクがとれる、リスクがとれなければいけないかもしれない、若い層がやはり60.6%の元本確保の比率になっているというのも、やはりそういう課題が、当然、見え隠れするのではないかと思っています。
それにつきましては、6ページ目、基本的に、先ほど申し上げたように、何をどうしたらいいかわからないという加入者の方に対して、投資アドバイスの導入をこのページではお話をさせていただきたい。
これは、簡単に言いますと、基本的に個別の商品をどうのこうのではなくて、当然このDC法で言われている自己責任で商品を選定することをベースにいたしまして、要は、商品を決定するまでのサポート、プロセスまでのサポートをするのが投資アドバイス。
あくまでも、この真ん中に「投資教育」と書いていますけれども、結果、継続投資教育の実施率も非常にまだ未実施が半分近く存在するわけで、そういう意味では、当然、老後の資金を自分みずからの判断によって運用していくわけなので、個別での各加入者一人一人に対する投資アドバイスということが必要ではないかと思っています。
下の「投資アドバイス(案)」のところを見ていただくと、基本的に、個別の商品の助言ではなくて、それまでのサポートとなっていまして、提供するエンティティーとしては、健全な投資家育成と投資家保護の観点が重要かと思っています。
次の7ページ、投資教育及び投資アドバイスにしても、提供側の限界を含めた制限も当然あるわけでして、加入者の方ができる限り負担を軽減するような、「年金運用型商品」という名前になっていますけれども、年金の運用にふさわしい商品ということですが、基本的に60、65というのはありますけれども、目的が退職のところをターゲットにいたしますと、それに対する機関、基本的に個人の方がスイッチングをしていく負荷を軽減していくための、いろいろな運用手法が包含されている商品などの開発を含めたものも必要かと思っています。
ただ、それらの商品については、きちんと十分なディスクロージャーが必要かと思いまして、投資家保護の観点からある程度の評価をする、4番のところですが「公的な主体」と書いておりますけれども、金融リテラシーの高低を含めた、非常に幅広い加入者の方が、当然、確定拠出年金を利用することを前提といたしますと、ある程度、商品についてもそれなりの公的な主体、または、提供する業者もこれからふえると思いますけれども、公的な主体のエンティティーが、こういう商品についてのいろいろな要件定義、または商品の評価及びいろいろなモニタリングを含めたものが必要ではないかと思っています。
5番ですけれども、運用管理機関については、これらの商品のコンセプトの考え方については、きちんと投資教育などを通じて説明をしていく必要があるのではないかと思っています。
商品の除外です。最近、企業の統合を含めて、AとBという企業が統合した場合に、それぞれ20本、20本で40本の商品が並ぶということもありまして、当然、加入者の方の混乱を含め緩和するためにも、商品の除外については、規制緩和が必要ではないかと思っています。
最後、5番目ですけれども、個人型DC、先ほどいろいろなお話が出ましたけれども、これも個人型DC、新しい制度を構築していくのではなくて、現実化、フィージビリティーを考えますと、現行の個人型DCの対象者の拡大を、当然、検討していく必要があるのではないかと。
専業主婦の方だとか、公務員の方、それから、非正規社員の方、最近は就労人口の約20%近い方が非正規社員と言われています。徐々にこれも広がっていく傾向もあると聞いていますが、こういう方々も含めても個人型DCを活用できるような枠組みが必要ではないかと思っております。
ということで、あとは参考資料でございますので、御参考にしていただければと思います。
以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいま説明のありました内容につきまして、委員の皆様から御質問等をいただきたいと思います。
井戸委員、どうぞ。
○井戸委員
御説明ありがとうございました。
この資料で思ったことを2つと、御質問を2つさせていただきたいと思います。
まず、3ページ目の書類を簡素化するという【規約申請時の提出書類の削減】というところなのですけれども、11番の退職金規定を必要というところを不要とされているのと、13番の従業員説明資料というのも必要とされているものを不要とされていますが、そもそも従業員の方の退職金をためるためのものなので、ここは非常に重要な書類ではないかと私は思っております。
次の4ページ、マッチング拠出の上限撤廃もすごく同意するところではあるのですが、若い人のニーズが、非常に使い残しの発生があるというお話を今、お聞きしたのですけれども、企業年金の現状という参考資料1を見ますと、要するに、若い人はまだお金がないので、入れたくてもそんなに入れられないという形があるので、したくてもお金がないのでできないというのが現状かと思います。
御質問に移らせていただこうと思いますが、6ページ目「運用改善:『投資アドバイス』の導入」というところでございます。
「投資アドバイス(案)」のところなのですが、個別商品を選ぶためのアドバイスを行って、個別の商品の推奨は行わないと書いてあるのですけれども、確かにそうなのだとは思うのですが、金融機関のかかわりのところで、勧誘との線引きとか、その辺のところをきっちりしておかないと、お聞きしたらそこに全部流れていくというのも非常に危険かと思いますので、勧誘との線引きをどういうふうに考えていらっしゃるのかというのが1つ目の質問です。
2つ目の質問なのですけれども、7ページにございます2のところなのですが、非常に気になるのですが「運用手法が内包されている商品」と書いていただいているのですけれども、退職に対するスイッチングが軽減されるようなものもすごくいいとは思うのですが、具体的にどういうふうな商品なのかということと、きょうは御説明が時間の関係で見ておいてくださいということだったのですが、スイッチングを軽減するということは、多分ターゲットデートファンドとか、ライフサイクルファンドのことだと思うのです。
これは、個人のライフスタイルによって変わってくるので、どういう説明をされるのかとか、なかなか理解するのにちょっと難しいところがあるのです。
もし「内包されている商品」というものがライフサイクルファンドのようなものであると、多分フィーが高くなると思うのです。
なので、そのフィーがどのぐらいになるのかと、ライフサイクルファンドが年金向けに対して運用されている実績がおありなのかどうかということと、従業員の方に、比較的難しい商品をどういうふうにライフスタイルに沿って御説明されるのか。
説明は物すごく大事だと思うのです。トラブルは全部労使に戻ってくるので、説明重視で進めていただければと思います。
よろしくお願いします。
○日本証券業協会
それでは、1番目の御質問でございますけれども、投資アドバイスのところですが、私も証券会社でございまして、基本的に勧誘とアドバイスの線引きとお話をされていたと思うのですけれども、基本的に、証券会社でも商品を選定すれば、お客様は自己責任のもとで商品を選定されるわけです。
その中で、商品を選定するまでのいろいろなサポート、支援というものが基本的な証券業といいますか、金商法にのっとった要望を、今、させていただいていると。
例えば、どういうことが投資アドバイスかと申し上げますと、基本的に投資方針、投資目的、これをよく言う適合性の原則、Know your customer ruleにのっとった、お客様の考えをきちんと考えた上で、いろいろな商品のところの御説明に入ることがベースになっております。
この投資アドバイスに関しても、加入者の方の基本的なリスクの考え方、リスク許容度、マーケットの考え方、今の年齢とか、いろいろな項目がございます。基本的には、その加入者の中では、なぜ商品が選べないかというのは、そもそもどういう形で商品を選んでいいかというのが、全くそういうリテラシーがない。
その中で、先ほど何点か申し上げた項目に対して、いろいろなこうした質問にのっとって、その方の恐らくふさわしいというポートフォリオといいますか、再配分を提示するようなツールを使ったアドバイスだとか、ある程度、再配分がその方の適正なポートフォリオになった場合に、それに対して、モンテカルロシミュレーションなのですけれども、過去のデータを引っ張ってきて将来を予測するシミュレーションも提示して、それがあらかじめ想定利回りにある程度合うのか、合わないのかを含めた、これらのツールを使ったようなアドバイスが、お話をさせていただいている投資アドバイスでございます。
もう一つは、年齢によっては、今、57歳の方が3年しかとりあえずリスクはとれないという方々に対しても、きちんとした、少しやはり安定型、元本確保というものがありますけれども、そういう商品に近いものにも当然アドバイスをさせていただくということでございまして、基本的にリスクとリターンの相関関係においてのいろいろな商品の選定していただくためのプロセスに対してのアドバイスになりまして、これはそもそも証券会社の社員等が、現実に日々行っているサービスとほぼ近いものでございます。
2番のところですが、基本的な考え方のベースは、DCに関しては、退職という一つのターゲットが明確に決まっていまして、当然、仕事を初めてから自分が何年後に退職するかがほぼ確定をされている中で、年齢が低い方が、今の30歳の方が30年後に退職をするという中で、30年間のリスクはとれるリスク配分に対して、これは非常に高いリスクはとれる。
リスクといいますのは、当然、皆さんも御存じのとおり、時間が軽減をしますし、資産配分が軽減していきますので、当然30年間の期間に対するリスクはある程度とれることを前提にお話をしています。
30歳が40歳、50歳になってくると、当然これは徐々にドローダウンといいますか、リスクを軽減していくことが加入者の1つの作業になってまいります。ただ、それをできるだけ軽減できる、ターゲットデートというのも「運用手法が内包されている商品」であります。
ただ、これについては、基本的なベースは、先ほど申し上げたように、60というターゲットに対してどれだけのリスクがとれますか、年齢に対するリスクをとれますかという、タイムホライズンの考え方のベースに、この商品がある程度基本になっていることが商品ですので、おっしゃられたターゲットデートという、よく海外でも活用されている商品というものが一部こういう商品の代表的な事例になるかと思われます。
以上でございます。
○山崎部会長
ほかには、よろしいでしょうか。
高崎委員、どうぞ。
○高崎委員
ありがとうございます。
私も6ページ目の投資アドバイスのところについて質問させていただきたいのですけれども、中小企業さんにとって投資教育の負担が重いというのは、ほかの御説明いただいた方々からも、日証協さんからも同じように出ていまして、そのために現在とは違う形で柔軟な形の投資教育ができないかとのご提案をいただいています。
投資アドバイスというのも、投資教育を補完するような、運用するというか、加入者側の個人個人にとっての、ある意味、アドバイスとして背中を押してあげたりするということだと思うのですけれども、これをやるに当たって、各加入者の個別のニーズ見ていくということで、ある程度システム的にツールを使ってできる部分もあるとは思うのですが、もう少しきめ細かくとなると、どうしても個人のアドバイザーが出てきてアドバイスを行うことになるかと思います。
その際に、運用成績を上げるというのは、一方で、コストをいかに下げていくか、この制度そのものにかかわるコストをどう下げていくかというのも、一方で課題としてあるかと思うのですが、個人的には、アドバイスを手厚くすればするほど、その部分のコストというのはかさんでいくので、例えば、逆に中小企業さんにその負担が行ってしまったりするのか、それとも加入者個人の負担になってしまうのか、ちょっとその辺が懸念されるかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○日本証券業協会
あくまでも投資アドバイスを提供する側のコストのことを、今おっしゃっていらっしゃると思うのですが、どこまで厚くやりますかという話です。
基本的に、相手が当然いるわけなので、コストの中ても、1人の対応できる人を、例えば、訪問にするとかというやり方もありますが、基本的にこれの加入者の方がある程度満足度を高めるような対応であれば、ローコストな、コールセンターでのオペレーターが対応するとか、基本的には、先ほどちょっとツールのお話をさせていただきましたが、ツールで、基本的に先ほど申し上げたリスク許容度、投資の考え方、投資経験、マーケットの動向の考え方、年齢、いろいろなクエスチョネアを、単純にイエス、ノーでボタンを押していくような仕組みがあって、それに対して最後にボタンを押すと、あなたのポートフォリオはこれではないでしょうかというツールを、例えばインターネットだけで提供するというのも、これも一つのアドバイス行為だと思います。
なので、提供に対してのいろいろな体制としては、当然コストのかけ方もありますけれども、ローコストで提供することも可能だと思っています。
○高崎委員
ありがとうございました。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
2点ありまして、実は私は昔このDCの仕事をやっていたことがありまして、そのときから思っていることなのですけれども、まず、1点目は5ページのところの資産配分の話です。
これで元本確保が6割だというのが、どうも余り好ましくないというトーンで皆さんはおっしゃっているわけですけれども、きょうはわざわざ資料をつけていただいていまして、ありがとうございます。
14ページが、前回、私が申し上げた話で、左側のDC以外の個人の金融資産というのは、もっと元本確保の方に行っていますという話です。
ですから、私自身は、投資教育は非常に大事だと思いますし、非常にいいことだと思うのですけれども、成果が上がっていないとは決して思っていなくて、なかなかDCは発足以来うまくやっていると、どちらかというと思っているわけです。それの一つの証明です。
その次の15ページに、これが先ほど全銀協さんも言われていましたけれども、確かにこうなっているのです。右側のグラフなのです。0%から1%のところに1つ大きな山がある。これはほとんど全て元本確保、預貯金に入れているのだということですよ。
その人たちがどうなのかということなのですけれども、これもまたいい資料がついていまして、21ページの4、元本割れは許容できないという人が、幾ら教育しても、絶対に株を買うのは絶対に嫌だと、私の経験上、そういう人もやはり日本人の中にはそれなりにいて、この1つの山は2通りあると思うのです。
本当に何も考えていないのか、それともリスクをとる商品で自分のお金を運用するのが嫌なのかという2通りあると思うのです。
だから、同じ1,000万なら1,000万というお金をためようとしたときに、そのリスクをとってパフォーマンスでためようという人もいるが、そうではなくて、貯金でいい、足らぬ部分は自分はマッチングで出す、ともかく元本確保で1,000万円に到達したいのだという人も、多分、日本人ではいるのですよ。
私はそのこと自体は悪くないと思っていて、もう少しゼロイチのところを分析することが大事かなと。
同じく、5ページに戻っていだたいて、20代のところで、リスクがとれるはずなのに元本確保、これも昔からこうなのですけれども、私の分析によると、ここは金額が小さ過ぎて余り興味が湧かないというものが多いと思います。
ですから、何を申し上げたかったかというと、今までDCの関係者でやられてきた投資教育というのは、決して結果が出ていないのではなくて、なかなかうまくやっているのだと思います。
その一つ、私がちょうどやっていたころなのでよく覚えているのですけれども、DCを導入したときは株が底だったですね。そこからずっと上がってきて、そういう運用環境だったにもかかわらず、元本確保の率が高いので、発足当初から今と同じような話があったのです。そしてその後、リーマンショックが起こったのです。
ですから、どちらかというと、今と同じようなムードで、元本確保だけで運用していたら届きませんよというトーンで言ってきたのですけれども、にもかかわらず、リーマンショックが起こったときに、私の経験ではほとんどDCの加入者からの苦情というのはなかったと記憶しています。
それはなぜかというと、やはりリスクをとって運用している人は、そういうことがあるのだということを理解して運用していたのであるし、そういうことが嫌な人は元本確保の商品を選んでいた。
非常にいい結果がリーマンショックのときに出ていたのではないか、これはDCの教育が成功している証左だと、そのとき思いました。
ですから、決して今の結果が悪いというのは、そういう評価ではないのではないかというのが、これは感想で言っているのですけれども、そこはどういうふうにお考えかということを聞きたいというのが1つです。
もう一つは、想定利回りの話がよく出ていますが、ここにあるように2%、想定利回りを御存じない方がおられるかもしれませんが、15ページにありますあれなのですけれども、退職金とかDBからDCに移すときに、この想定利回りというものをDCの掛金計算上で設定しまして、つまるところ、この想定利回りで運用できなければ、もとの退職金の水準にはなりませんということなのですけれども、ですから、これが2%前後が多いのであれば、この元本確保中心のゼロイチのところはもとの退職金の水準にはなりませんということを言われているわけですけれども、その想定利回りというのはいつまで言うのですかということなのです。
つまり、今、DCをやられている企業はかなりありますが、新入社員が入ってきたときに、昔、こういう退職金制度があって、それを想定利回り2%で換算して今のDCの掛金が決まっているのですということを、新入社員が入ってくるたびに言うのですかということです。恐らく言っていないのではないかと思うのですけれども。言わないほうがいいと思います。
つまり、想定利回りというものがないと、DBあるいは退職金からDCに移せない、計算上できないのは、それはそうですけれども、そんなことを言ってたら、もともと企業年金は退職金制度から始まって、それは最終給与比例であったのをベースアップを反映させないために
ポイント制にし、あるいはそれをキャッシュバランスにし、DCにしと来ているわけですけれども、それをずっとさかのぼって、もともとの退職金制度からポイント制に換算するときはどうでとか、そんな説明をしなきゃならないことになる。
そんな説明はしないでしょう。 一方で想定利回りというのをずっと言い続けると、今度は金利が上がったときに、経営者は、金利が上がったのだからDCの掛金を下げようと、想定利回り2%で計算していたけれども長期金利が3%になったから、DCの掛金を下げようみたいな話になりかねないかということも心配をし、だから、余り想定利回りというものをいつまでも投資教育の目標に置くのは、私は個人的にはいかがなものかとずっと思っているのですけれども、そこのお考えをちょっとお聞きしたい。
この2点です。
○日本証券業協会
あくまでも加入者の方が自己判断で選択をされるのは、このベースだと思います。
リスクはとれない、そもそもリスクをとりたくないというお考えで、結果、元本確保に投資申請されたというのは、それはそれで一つの、その方なりのリスクを多分とられたかもしれないと思います。
そこをとやかく言うこともできませんし、先ほどの想定利回りのお話がありましたけれども、こういうある程度のリターンが必要だということは、ある程度、加入者の方には説明をさせていただく、そういう事業主に対する責務もあるのではないかと。
あと、結果、今までデフレの時代ではございましたが、それを脱却しようという中で、非常にデフレ時代が長かったので、インフレというところもこの投資教育の中には入れていかなければいけない。その中で、全ていろいろなリスクも考えた上で、結果、御自分がリスクをとられて元本確保を選定されたというのは、これはやむを得ないと思っています。
ただ、まだそういうところの説明も余りされていない現状もあるかもしれませんし、きちんと加入者の方に対して説明をしていく必要があるのではないかと思っています。
想定利回りに関しては、当然、DCを導入する中で、労使合意の中で、当然、想定利回りの説明はあるわけでして、そこに対してやはりそれなりの説明というか、配慮といいますか、私は個人的には必要ではないかと思っています。
元本確保については、リーマンショックのときも、当然100年に一度というショックがございましたが、その2、3年後を含めて急激に海外からは、日本は、今、戻っている途上ですけれども、急激にマーケットも当然戻っていますし、反対にリーマンショックのときに売却をされた方がいらっしゃいまして、その元手がとれなかったという現状もやはりあり、この辺のところはスピーディーないろいろな投資の情報提供、運管の業務とする情報提供もやはり小まめな、加入者の方に対するいろいろなサポート、支援というのも必要ではないかと思っています。
○山崎部会長
簡潔にお願いします。小林委員、どうぞ。
○小林委員
7ページにあります年金運用型商品の提供について、1点確認をさせていただきたいと思います。
4にある、公的な主体が、加入者の年金運用に資するための基準策定、商品の評価と認定・公示、モニタリングなどを実施するという御提案に対して、DCを運営している立場から1点確認をさせていただきたいのですが、運用結果がマイナスになった場合、訴訟リスク等も想定されると思いますが、その場合に、DCの運営主体は免責される枠組みであると理解してよろしいでしょうか。
○日本証券業協会
これは、加入者の方及び事業主の方に透明性を担保したいということでの公的な主体ということでございまして、ある程度のセーフハーバールールを含めた免責等というのは、将来的にはそういう考え方もあるかもしれませんが、ここでちょっと申し上げたいのはそういうことではなくて、ある程度、加入者の方及び事業主の方が選定しやすいような、ある程度オーソライズという意味での公的な主体でありまして、基本的にここに書いてありますような商品を管理する要件定義を含めたものを、きちんとこういうところで定義をしていく。
この背景は、先ほど申し上げたように、加入者の方が非常にこれからも幅広く広がると、同時に提供する業者も非常に広がってくる中で、ある程度のこういう担保した形が必要ではないかという発想でございます。
○小林委員
わかりました。ありがとうございます。
○山崎部会長
簡潔にお願いします。
○平川委員
1点だけ、4ページの「マッチング拠出の上限撤廃」の関係ですけれども、使い残しが多い、特に若い方々に多くの使い残しが発生しているということで、これは実際の実績としてどうなのですか。
上限を撤廃すべきという要望というのは、かなり強いのか、実際問題はどうなのかということを、事務局でもしわかれば教えていただきたい。
また、12ページに「マッチング拠出の制約の背景」という記載があります。
なぜ制約されているのかの経緯が若干記載されておりますけれども、上限を撤廃すには、なぜ上限が設けられたのかという理屈を超えるような理屈が必要だと思いますけれども、何らかのものが考えられているのか、教えていただければと思います。
以上です。
○日本証券業協会
そもそもそういうニーズがあるのかどうかの答えで、先ほどの若い方はお金がないという考え方もあると思いますが、若い方も含めて、当然30代、40代の方も含めて、これから自助努力の分野が非常に拡大する中で、やはりまだまだ使える枠があることが、やはり最近では、これをぜひ使いたいという、加入者の方の声も非常に多いということでございます。
ただ、マッチング拠出に関して、非常に課題はございまして、利用率を含めて、今、徐々に上がってはきていますけれども、そもそもなぜ自助努力の分野での資産形成が必要かという必要性も含めて、こういう観点も今後の投資教育等、金融教育の中に当然包含していくべきだと思います。
単にここの上限を上げたからといって、では、それが使えるかといいますと、先ほどお話ししたように、いろいろな投資教育も含めた金融教育のサポート、支援が必要だと思っています。
○山崎部会長
事務局から、どうぞ。
○黒田課長
お尋ねのマッチング拠出の状況ですけれども、お手元の参考資料1の19ページに関連の資料がございます。折れ線グラフと棒グラフの組み合わせの資料です。
企業型の確定拠出年金の制度を導入されている事業主の中で、労使が合意をされて規約でマッチング拠出が可能になっている事業主の割合は、2割強、20.8%でございます。
できることにはなっているわけですが、実際にマッチング拠出、お金が入ってくるというところにはまだそれほど至っておりませんで、この資料の※2というところに実際の払い込みの状況等は付してあるということでございます。
現状としては、以上でございます。
○山崎部会長
まだ生命保険協会からのお話を伺わなければいけないので、臼杵さん、どうしてもということであれば、一言でお願いします。
○臼杵委員
では、1点だけ、済みません。
証券業協会さんの話はこれだけいろいろ質疑が出たという点を見ると、ある意味で現実的だったのかなという感じもしていて、それは多分税制のところの提言はあるのですけれども、税制と関係ないところも結構いただいていて、1・3・4は特に財務省と交渉しなくてもできるようなことで、そういう意味では、よかったのではないかと思うのです。もう一つ、制度を普及するためには、手続を簡素にすることも大事なのですが、これは必ずトレードオフがあるところで、実際に企業と同時に金融機関のほうにインセンティブがないと普及しにくい、これは別に金融機関をもうけさせたいと言っているわけではなくて、実際の担い手というのは結局金融機関なので、伺いたいのですけれども、3ページのところで、これだけ削減するということは、これだけ削減すると、運管ないし金融機関のほうで、事業主からはコスト削減であるけれども、やるインセンティブになるのかどうかということです。
同じことで、個人型DCが余り実際には普及していないわけです。これは逆に言うと、多分NISAがあれだけ一生懸命金融機関が取り組んでいるのに、個人型DCについては、ほとんど取り組んでいないと私は思うのですけれども、その辺について何か理由があれば教えていただきたい。
○日本証券業協会
中小企業の書類の簡素化を含めた、これはあくまでも案でございまして、今後いろいろ検討は必要だとは思いますけれども、基本的にやはり規約申請時に関しては、事業主等が行うわけですが、当然、運営管理機関がある程度サポート、支援をするということでございまして、事業主及び事業主をサポートする運営管理機関の基本的な負担を軽減できるという意味では、双方のインセンティブが当然出てくるのではないかと思っています。
個人型に関して言えば、当然、今、提供する業者としては、大手金融機関の含むところが中心になっていまして、これは私の個人的な発想ですけれども、NISAがなぜあそこまで普及したかといいますと、全金融機関が取り組んだわけなので、やはり確定拠出年金に対するサービスを提供する業者としても、非常に幅広い裾野の拡大が普及の一つのきっかけではないかと思っています。
○山崎部会長
どうもありがとうございました。
続きまして、生命保険協会より説明をお願いいたします。どうも長い間お待たせいたしました。
○生命保険協会
ただいま御紹介にあずかりました、生命保険協会の浅野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
改めまして、本日はこのような発言のチャンスをいただきまして、まことにありがとうございます。
生命保険業界は、相互扶助の理念のもとに、国民の福祉に貢献することを社会的な使命としてきました業界としまして、これからもここでの皆様の御議論に少しでもお役に立てるようなものがあればと考えております。
お手元の資料をめくっていただきまして、上が目次でして、下の右下に2と書いてある「はじめに」という資料でございます。
この図は【被雇用者の老後資産形成方法の俯瞰図】を示してございます。俯瞰図の中段にあります、企業福利により退職金制度の対象となる被雇用者にとっては、それが老後の資産形成の柱となることは今後も変わりないと考えてございます。これを衰退させないためにも、退職金制度を円滑に運営するために活用されてきた企業年金制度の利便性をさらに高めていくことが急務ではないかと思います。
次に、俯瞰図の上段にございます個人の自助努力は、個人型DC等の一部の方法を除きまして、国民全てに開かれた資産形成方法ということでございます。老後の資産形成を目的に御利用いただいております個人年金保険は、この区分においても今後も主要な役割を果たせることは間違いないのではないかと考えてございます。
本日、生命保険協会としましては、この企業年金制度と個人年金保険の2つにフォーカスしてお話をさせていただきます。
次のページに行っていただきまして、上の3ページ、既に御案内のこととは存じますが、改めまして「企業年金制度の役割」ということでおさらいをさせていただきます。
3ページは、企業にとっての導入メリットということですが、企業は制度掛金といたしまして拠出した給付原資を年金資産としてプールいたしまして、退職金にかかわるキャッシュフローをこの図にありますように平準化することができます。
企業経営の観点からは、キャッシュフローにおける退職給付の影響が比較的大きい中小企業こそ、御活用いただくメリットは大きいのではないかと考えてございます。
企業福利における老後資産形成の促進の観点からも、企業にとってこの導入メリットは重要ではないかと考えてございます。
下の4ページをごらんいただきますと、こちらは従業員側のメリットということでございます。
1点目は、何と申しましても、年金資産は加入者に帰属することが法的に約束されているということで、たとえ企業が倒産しても外部に積み立てられました年金資産は、必ず加入者に分配されることが約束されております。
2点目は、給付の受け取り方が一時金に加え、年金での受け取りも可能ということで、この図は一時金での受け取りニーズ、年金での受け取りニーズをそれぞれ示したものとなってございます。
例えば、図の左のAさんの場合は、老後生活に入る準備としまして、住宅ローンの返済などの債務の清算を行うために、一時金を選択していることを示してございます。一方、右のBさんは、老後の生活資金としまして公的年金に企業年金を上乗せしまして、より豊かな老後を送ろうということを示しております。
このように、企業年金制度が導入されることによりまして、老後生活のライフスタイルや、そのための準備の必要性など、各自の状況に応じて年金を選択するか、一時金を選択するかという、柔軟な選択が可能となるということでございます。
次の5ページ、下段に適格退職年金から確定給付企業年金等への移行の割合が出ておりますが、DB、DCへの移行割合が1割、2割となっていることを踏まえますと、DB、DCへの導入のハードルは高いものであったと私どもは感じてございます。
これに対応しまして、上のほうのオレンジ色の枠にありますように、3つの課題をこちらで記載させていただいております。次の6ページから、この一つ一つの課題について、少しお話をさせていただきたいと思います。
まず、下の6ページの3つの切り口のうちの1つ目でありますが「退職金制度との親和性」ということであります。
企業年金制度は、退職金制度そのものであるとも言えます。しかしながら、現在の法令などによる規制の一部が、労使によって形づくられました退職金制度の受給資格や給付設計になじまない場合がございました。
資料の中段には、退職金制度または適年からDB、DCへ移行を企業が検討する際に弊害となった点を例示しておりますが、例えば、そこにございますように、加入後3年以内に一時金受給資格を与えなければならないでありますとか、中脱の要件といったところがございます。
企業福利によります老後資産形成の促進の観点から、退職金制度の一部として設計しやすくなるよう、現行のルールの見直しを行い、自由な制度設計が行えることが重要ではないかと考えてございます。
2つ目の切り口は、次のページに行っていただきまして「制度設立手続きの簡便性」でございます。
これは先ほどの議論でも少し出ましたが、現在のDB等の制度の設立は、承認申請となっておりまして、地方厚生局を窓口に企業が左の表の資料をそろえて手続を主体的に行う形となっております。
かつての適格企業年金が、資料の右の吹き出しにありますように、段階を経て「みなし承認制度」となったことで、受託機関と事業主間のやりとりのみでほぼ手続が完結できるようになりました。
「みなし承認制度」の導入が適年の普及促進に貢献した経緯を踏まえますと、現行の手続におきましても「みなし承認制度」のような仕組みを導入することが必要ではないかと考えてございます。
下の8ページに行っていただきまして、3つ目は「財政検証の明瞭性」でございます。
労使によります年金制度ガバナンスを有効に機能させるための前提条件としまして、財政検証の仕組みは、制度の主体である労使が容易に理解できるものでなくてはならないと思います。
しかしながら、例えば、加入者保護の受給権の指標となります最低積立基準額は、大変複雑な計算を経て確定するために、一般的にはイメージが難しくて、労使のものとなっているかというと、そこは言いがたいものがあるかと思います。
例えば、最低積立基準額については、資料に記載のように「労使で定めた簡易で容易に理解しやすい指標」とありますが、具体的には、自己都合要支給額に一定率を乗じたもの、そうしたものを指標とすることが考えられるのではないでしょうか。
さらに、財政検証の目的でございます、年金財政の健全性確保のため、また、企業にとっての制度導入のインセンティブとするためにも、不足金解消のための追加拠出というのは、企業の任意のタイミング、任意の金額で行えることが望ましいのではないかと考えてございます。
以上、3つの観点で、課題について我々が考えている方向性を申し述べさせていただきました。
続きまして、もう一つの柱である個人年金保険ということについて、簡単にお話しさせていただきます。
次の9ページでございますが、生命保険会社が提供いたします個人年金保険の強みといたしましては、全ての国民に御利用いただくことが可能で、かつ、仕組み図にございますように、お一人お一人のライフスタイルに合わせて積立方法や年金の受け取り方を選択いただける点にあります。
終身年金については、公的年金を補完できる私的年金として重要な役割を持つものではないかと考えてございます。
下の10ページでは、現在の個人年金の状況でございますが、業界全体で1,690万件の契約が存在しまして、年金原資でいいますと90兆円を超える規模となっております。
生命保険会社には、日本全国をカバーする販売網があり、資産形成にかかわりますコンサルティングでありますとか、御加入後のアフターフォローも行えることが普及の原動力となっていると考えてございます。
11ページ、12ページでございますが、11ページには、個人年金保険料の保険料控除について記載をしてございます。
個人年金の保険料は、自助努力による老後の所得保障の支援といたしまして、生命保険料控除の適用対象となっておりまして、図表にありますように、御案内のとおり、所得税や地方税を軽減することが可能となっております。
12ページをごらんいただきますと、一方で、公的、私的年金を合わせた老後の準備につきましては、約7割の方が経済的な充足感を感じていない状況にございます。
したがいまして、ゆとりある老後に向けた資産形成のためには、さらなる政府の支援など、環境整備が期待されるところでございます。
最後に、13ページでございますが、今後の議論に向けてということで、公的年金の見直しとあわせまして、私的年金のあり方を検討する場合には、公的年金と同様の終身年金を選択できることや、公的年金の変化に応じ、例えば「つなぎ年金」などとして柔軟に受け取り方を選択できることが重要な条件ではないかと思います。
終身給付を含めまして、個人のニーズに応じました受け取り方の提供は、生命保険会社が担える、大きな役割であると考えてございます。
今回の議論につきましては、私ども保険業界で貢献できる範囲は非常に大きいと考えており、大変高い関心を持っております。
その意味で、本日このような場を与えていただいたことに改めて感謝を申し上げまして、私の御説明を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○山崎部会長
ありがとうございました。
予定の時間に近づいてきているのですが、簡潔に質疑したいと思います。いかがでしょうか。
臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員
ありがとうございました。
7ページで「みなし承認制度」、要するに設立認可申請手続を簡素化してはどうかということなのですが、実際、この「みなし承認制度」というのは、具体的にはどういうふうにすればいいというイメージがおありなのかということと、逆に、先ほどのお話のように、例えば、もう少し申請書類を少なくするとか、認可までに必要な時間を短縮するとか、ほかの方法もあるのかどうかということをお伺いしたいです。
○生命保険協会
適格年金でやっておりました「みなし承認制度」と申しますのは、税制適格にするために制度設計上に、御案内だとは思いますが、自主審査要領というものを設けまして、それを一つ一つチェックしていきまして、それに基づいて、それは受託機関がその自主審査に合っているかどうかを確認いたしまして、それで適格であるということであれば、そのまま適格年金ができるという形でございますので、そういう意味では、企業様と私ども受託会社が、そうした何らかのルールをつくりまして、それに一つ一つ合っているかどうかというものを確認することで、かなりの簡素化か図れるのではないか。
実際、御案内のとおり、適年についてはかなり小さい企業さんもやっていただいておりましたので、こうした入り口のところが大きなインセンティブになったのではないかと思います。
○山崎部会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
今のところですけれども、先ほどの証券業協会さんから提案されていた「提出書類の削減」の関係もそうですけれども、やはり「みなし承認制度」というところでいうと、余りにも簡便化されますと、労使の話し合いの内容が見えにくくなるのではないかという懸念があることだけ、申し上げておきたいと思います。
8ページの「財政検証の明瞭性」のところですけれども、今、頻度が毎年ということで、これを労使で定めた任意の周期にするということについても、確かにわかりやすい内容にするのは重要ではありますけれども、一方で、しっかりと原資が確保されているかということの確認は必要であると考えておりますので、その点とのバランスをどう考えるかが課題かと思います。
以上です。
○生命保険協会
ありがとうございます。
まず、1点目の御意見ということで、透明性が必要ではないかということにつきましては、まさにおっしゃるとおりだとは思いますので、それは適格年金ですと、自主審査要領ということで確保されておりまして、私どもも昭和38年から長く適格年金をやっておりまして、そのところは十分ノウハウを持って、大きな問題もなく運営できたということは、そうしたところも十分できていたのではないかと思っております。
2点目の継続基準、非継続基準について、労使の定めた任意の期間というものはいかがなものかという御指摘だと思いますが、まさに財政の健全性をしっかり確保していくのは大切だと思います。
しかしながら、制度によっては必ずしも毎年やる必要のある制度ではないのではないかというものがございますので、そこは制度のリスクによってチェックの期間というものを決めればいいかなと。何が何でも自由にやればいいということではないということでございます。
○山崎部会長
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
最後に個人年金のことをいろいろ書かれていまして、このことの中身について異論があるわけでも何でもないのですけれども、これは生保業界としてどういうふうにして欲しいとかという要望みたいなものはまだないという理解でよろしいですか。
○生命保険協会
個別具体的な要望という意味では、しておるわけではございませんけれども、あえて要望ということでいいますと、個人年金という非常に老後の資産形成に向けてすぐれたものがございますので、これについては、ぜひこの議論の中の中心の一つに据えていただきたいという趣旨で、今回、御紹介させていただいております。
○山崎部会長
ちょうど予定の時間で終了いたしました。御協力ありがとうございました。
次回の開催につきまして、事務局より連絡はございますでしょうか。
○黒田課長
次回の日程につきましては、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で、改めて御連絡を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
○山崎部会長
ありがとうございます。
それでは、本日の審議は終了いたします。御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございました。
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