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2014年8月18日 独立行政法人評価委員会年金部会(第46回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年8月18日(月)14:57~17:55


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

山口部会長、川北部会長代理、大野委員、引間委員、光多委員、安浪委員

○議事

(以下、議事録)

○山口部会長

 それでは、少し定刻より早いのですが、皆さんおそろいになりましたので、ただいまから、第46回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明いたします。お手元にお配りしております議事次第のとおり、10項目ございまして、(1)(4)の年金・健康保険福祉施設整理機構と、年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度財務諸表の承認、(2)(6)の平成25年度業務実績に関する(総合評価)(3)の年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標期間の業務実績評価、いわゆる最終評価、(7)(8)の年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標期間の業務実績評価と組織・業務全般の見直し当初案などを行うこととしております。

 簡単にこれらの内容について御説明しますと、(1)(4)の財務諸表の承認ですが、独立行政法人通則法第38条の規定に基づくもので、独立行政法人の財務諸表の承認に当たりまして、本部会の意見を頂くものです。財務担当の安浪委員から事前に実施しておりますヒアリングの結果などを御報告していただきまして、それを踏まえて各委員から御意見を頂く形になります。

 次に、(2)(6)の総合評価ですが、前回までに付けていただいた各委員の評定等踏まえまして、起草委員が作成した評価書()について御議論いただく形になっております。なお、各委員の評定及び本部会の評定につきましては、お手元にお配りしております評価結果集計表のとおりでございます。これは、現時点で頂いております評定を、S5点、A4点、B3点、C2点、D1点に点数化したもので、委員の名前は空欄として、各委員には御自身の名前しか分からない状態になっております。この資料につきましては、部会終了後に回収いたしますので、お持ち帰りにならず、机の上に置いたままお帰りいただくようお願いいたします。また、仮に今回の審議を受けて、評定の修正をされる場合には、お手元の赤鉛筆で修正をお願いいたします。

 次に最終評価ですが、平成25年度に中期目標期間が終了した法人の中期目標期間全体の業務実績について評価を行うもので、独立行政法人通則法第34条の規定に基づく評価となります。

 次に、(7)(8)の暫定評価と組織・業務全般の見直しについてですが、暫定評価については、本年度が中期目標期間の最終年度に当たる法人の、平成22年度~25年度までの業務実績について評価を行うものとなります。この後、御説明いたします中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しや、次期中期目標等の策定に反映することを目的としております。

 最後に組織・業務全般の見直しについてですが、通則法第35条の規定を根拠としておりまして、中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについてという平成15年の閣議決定に基づくもので、中期目標期間の終了時において、法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方、その他組織・業務全般にわたる検討を厚生労働大臣が行うものです。本日は、当該検討の当初案について本部会の御意見を賜るものとしております。なお、最終評価、暫定評価、組織・業務全般の見直しにつきましては、本部会での御議論を踏まえ、826日に予定されております委員会の総会の決議をもって、最終的に決定される事項となっております。

 このほかに、年金積立金管理運用独立行政法人の「年金積立金運用報告書」、「業務方法書の変更」、「役員退職金に係る業績勘案率の決定」等について、本日御議論いただくこととしております。事務局からは以上でございます。

 

○山口部会長

 それでは、議事に入ります。初めに「年金・健康保険福祉施設整理機構の平成25年度財務諸表」について、審議を行います。財務担当の安浪委員から御報告をお願いいたします。

 

○安浪委員

 机上配布資料の「財務諸表の適正性についての意見」に従いまして、御説明いたします。平成26723日に独立行政法人地域医療機能推進機構(旧法人名 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構)に対して、平成25年度の財務諸表全般について、質疑を行いました。同時に会計監査人に対して、監査の結果及び概要に関して、ヒアリングを行いました。その結果、監査時間は850時間とのことでした。主な監査手続は、実査と残高確認。後ほど出てきますが、運営委託先資産を受け入れ、それに際して、立会を行ったために、時間数は前期より増えているとのことでした。監査結果としては、会計上の問題点、内部統制上の問題点は特にないということです。監査意見は、平成26623日付けで、あずさ監査法人から以下の意見が出されております。

 利益処分に関する書類()は、法令に適合しており、決算報告書は、決算の状況、事業報告書は財政状態・運用状況を正しく示している。以上から私は独立行政法人地域医療機能推進機構(旧法人名 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構)の平成25年度の財務諸表は、適正に作成されているものと判断いたしました。

 財務状況の前期比較を簡単に御説明いたします。まず、貸借対照表関係ですが、大きな資産であります販売用不動産です。当期は委託先資産受入等による増加等と売却、病院6件と遊休不動産10件の売却と評価減による減少がございまして、期末残高は、1,488億円となりました。なお、平成264月以降、JCHO発足に伴い、これらの販売用不動産は、固定資産に振り替えられる予定です。預り金は、前期は契約保証金10億円が計上されておりましたが、引渡しによって、減少しております。

 国庫納付金は、当期は0.19億円の国庫納付をいたしました。その結果、累計額は、2,054億円の国庫納付金となっております。前期の国庫納付金は30億円でした。

 次に、損益計算書関係です。経常損益の部ですが、業務収入は販売用不動産の売却高158億円がありました。雑収入を加えて、業務収入は159億円でした。経常費用は業務費として、不動産売却原価136億円。病院の工事費等10億円が発生しましたために、157億円となりました。この結果、経常利益は、2億円となりました。前期は、経常損失34億円のマイナスでした。

 当期純利益の部ですが、臨時利益として、運営委託先の資産の受入益917億円がございました。先ほどの会計監査人が立ち会ったというのは、この分です。これは、病院経営に必要な資産を運営委託先から引き継いだものです。受入資産のうち、費用処理した臨時損失54億円がありましたために、先ほどの経常利益2億円にこの臨時損益を加えて、当期利益は866億円となりました。前期の純利益は11億円でした。大きな受入益917億円がありましたために、当期利益は、866億円となっております。私からは以上でございます。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、ただいま御報告を頂きました「年金・健康保険福祉施設整理機構の平成25年度財務諸表」について、委員の皆様から御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

 修正意見はないようですので、年金・健康保険福祉施設整理機構の平成25年度財務諸表についてはお手元の資料1-1の意見書()のとおり、本部会として了承したいと思います。よろしいでしょうか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、そのようにいたします。続きまして、年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価について審議を行います。この総合評価については、光多委員に起草していただいた評価書について、まず御報告をお願いしたいと思います。

 

○光多委員

 それでは、私から説明させていただきます。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構RFOの平成25年度業務実績の評価結果について、川北委員と私とで検討を行い総合評価書を起草しました。その概要について私から講評をさせていただきます。

RFOについては、平成24330日に中期目標が見直されて平成2425年度の2年度については、従来の年金福祉施設等の譲渡業務に加えて、新業務への改組に向けた準備を行うこととなりました。平成25年においては、病院等の譲渡業務として6病院の譲渡を行いながら、本年3月末までの限られた時間内に新機構への移行準備作業を完了した結果、大きな混乱を生じることもなく、本年41日をもって新機構である独立行政法人地域医療機能推進機構JCHOに改組されているものと評価をしています。

 新機構については、地域医療機能推進部会において評価をされることになるため、当年金部会においてRFOを評価するのは、今回平成25年度が最後になります。それでは、RFOの平成25年度の評価について具体的に申し上げます。

 従来は、委託先団体が運営をしてきた病院と新機構が、独立行政法人として直接運営することとなるため、新機構の使命や組織運営の姿を内外に示しながら独立行政法人にふさわしい統一した制度の下で移行をするために、各委託団体との高度な折衝や調整を行ってきており、心配されていた医師、看護師等の職員の確保についても改組前とほぼ同数約23,000人の常勤職員を確保した上で、本年4月以降は新機構が病院と直接運営をすることにより、地域に必要な医療機能等の提供がされているものと聞いています。

RFOについては、平成22年度までは施設の売却という非常に分かりやすい数値目標的なものが中心であったわけです。平成23年度から業務が変化をして平成24年度以降は譲渡指示があった病院の譲渡業務に対応をしながら、新機構への改組準備を行うという質的にも異なる多様な業務に対応をしなければならなくなり、平成25年については平成24年度からの改組準備をより着実に進めて、無事に新機構への改組を果たしたということが最大の特色だと思います。

 譲渡の実績という点からは、平成22年度までは福祉施設の譲渡があり量的な水準からも大変高い評価でした。平成25年度については譲渡の実績としては6病院と遊休不動産10件でしたが、一方で新機構への移行準備という大変困難な業務を的確に実施をされたことから、全体として高い水準の評価になっていることについては同じです。これが全体的な特徴です。

 それでは、資料1-3に基づき具体的な評価書について講評をさせていただきます。お手元の資料で見ていただくと、1ページの所で全体として平成25年度業務実績についてと、6ページの具体的な評価方法の2つに分かれています。

 まず、平成25年度の業務実績についてです。評価の視点があります。これまでの経緯について記載をしており、その中の3ページ目の下から3行目以降に本年度の評価に当たっての視点として3つの事項を掲げています。

1つ目は、新機構への改組に向けた準備、2つ目は、新機構の改組を念頭に置いた病院の財務、内部統制調査の実施といったことを評価の視点として掲げています。3つ目は、厚生労働省から譲渡指示があった病院の譲渡。これらについて、どの程度達成をされたのか、本年度の具体的な取組方法又はその取組における創意工夫について、中期目標等に定める事項が適切に実施されているかという点も考慮した上で評価を行いました。

 平成25年度の業務実績全般の評価については、4ページの下から4行目以降です。今申し上げた3つの評価の視点に即して申し上げますと、1つ目は、(2)を見ていただきます。先ほども申し上げたとおり、新機構への改組に当たっては、従来は委託先団体が運営をしてきた病院を独立行政法人が直接運営をすることになるため、新機構への使命や組織運営の姿、つまり説明責任や透明性などを分かりやすく内外に示しながら財務及び内部統制に関する対応を行っております。

2番目は新機構の中期計画等への対応、3番目は新機構病院の名称、組織等への対応、4番目は給与等への対応、5番目は職員の採用等への対応等について限られた職員体制の下で広範な業務を的確に実施し、本年3月末までの限られた時間内に移行準備作業を完了させ、大きな混乱を生じることもなく、本年4月の新機構発足を果たすことができたことは大いに評価していいことかと思っています。

2つ目の内部統制を含めた財務調査、いわゆる第4フェーズの実施についてです。5ページ上から5行目以降です。委託先団体の多くの病院の財務及び内部統制の水準に重大な問題があることが把握され、その改善をRFOが直接指導することを厚生労働大臣から命じられたことなど、準備作業を進める中で当初想定をされていなかった様々な困難な課題の対応を実施され、新機構への移行までの限られた期間内に必要な改善を実施されたものと評価をしています。

3つ目です。5ページ真ん中から下の厚生労働大臣から指示があった過去最多の6つの病院の譲渡については地域医療に配慮しながら、進捗完了を徹底して円滑な譲渡が行われたものと評価しています。

 また、新機構への移行に先立ち、今後利用見込みがない不動産を洗い出してRFOにおいて移行前に売却する方針を立てて、該当する10件の不動産について本年度末までに全ての売却が完了しています。

6ページ以降に具体的な評価方法として、効率的な業務運営体制の確立、2番目に業務管理の充実、3番目に業務運営の効率化に伴う経費節減、その他項目別の評価を記載しています。これについては、先ほど申し上げた所と重複するので省略します。

15ページ下の段落の所に平成25年度に係る国庫納付金について書いています。これについては、先ほど安浪委員からも説明があったとおりです。これまでの中での最高の国庫納付を行う予定であると聞いています。これも高く評価をしたいと思っています。

 昨年度の評価において、平成25年度においても引き続き改組事務に取り組んでいただいているところです。単に評価をするということだけでなく、改組準備の2年度目の取組に期待したいという形を申し述べさせていただいたところです。期待どおりに本年度末までに改組準備作業が完了し、新機構が発足して病院と直接運営しているわけです。

 是非、新機構においてこの改組準備作業での御苦労の中で得られたものを糧にしていただき、地域において必要な、よりよい医療機能等を提供していただければ幸いです。起草委員である私からのコメントは以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただいた評価書()について御意見、御質問等がありましたらお願いします。なお、今の最後の国庫納付額のところですが、これについては金額が前回の議論のときは、まだ分からなかったものです。これまでで最大規模のものとなることと併せて、評価できるという表現になっていますよね。

 これは現在の評価結果を踏まえた表現だということですか。

 

○光多委員

 そうですね。これについて少し言い過ぎたのかもしれません。機構のほうから御説明をお願いします。

 

○地域医療機能推進機構審議役(依田)

 前回もこの年金部会で御説明をさせていただきましたが、平成26年度に行われる国庫納付については、これまでの国庫納付プラス委託の終了に伴う清算金を含めた国庫納付になるということです。その金額については現在委託先団体との清算の過程です。厳密な金額については説明できませんが、ただ規模的なものを申しますと、従来の不動産の譲渡収入、これは平成25年度以前にもありますが、平成25年度にも譲渡収入があったわけです。

 そういうものの累計と清算金に伴うものとして清算委託先団体から現金で入ってくるものがあります。先ほどお話があったような施設関係、土地や建物などで引き継がれるものについては、この国庫納付の対象になるものではありませんが、私ども不要な資産についてはこれを事前に売却、譲渡するといったようなことをして、国庫納付額が少しでも多くなるようにしてきた経緯があります。

 それと併せて、総額の中からJCHOとして発足する上で立ち上がりにどうしても必要な人件費等の最低限必要な資金については留保することについて、これも財務当局とも協議をしながら進めてきたということがあり、具体的な金額の規模をここでは言えませんが、ただ、これまでも最大の規模のものが平成22年度に800億ぐらいのものがありましたが、それを上回るような規模のものを想定しているところです。以上です。

 

○山口部会長

 この報告書の表現は評価結果とリンクしていまして、SとかAについて、大いに評価できる、あるいは評価できるといったような書きぶりになっていたと理解をしています。したがいまして、今日の段階でこの評価委員会の皆さんの評定が仮に変更になって、その結果、評定が全体としての平均の評定が変わるという事態になった場合にはこの文章もしたがって一部変わることはあり得ると理解してよろしいですか。

 

○光多委員

 そこですね、この評価書1-316ページの所です。今部会長がおっしゃっている所だと思いますが、財務省と交渉をいろいろやりながら国庫納付額もこれまでで最大規模となることも併せて評価できるという非常にフラットな表現になっているわけです。

 多分、そういう点でいくと時点の問題がありますので、どうしたらよいかと思っています。委員の皆さん方の評価がもし変更されれば、このところは変更することになるかと思います。

 

○山口部会長

 分かりました。ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。

 

○光多委員

 私から一言、今部会長がおっしゃったように大体評価結果に応じて、行政用語で評価の表現があります。ただ、率直に申し上げてかなり評価をしていいのかと思っており、大いに評価できるのは、もう少し上のランクを検討して、5ページ真ん中にもありますが、ほかの独立行政法人にはない表現かもしれませんが、「極めて高く評価できる」という表現を使っており、これは多分独立行政法人の評価として従来でいくと、S評価が大体「大いに評価できる」ということで、極めて高く評価できるという表現はかなりレアなものだと思っています。

 

○山口部会長

 分かりました。ありがとうございます。ほかに御意見、御質問よろしいでしょうか。それでは特に修正意見はないようです。年金・健康保険福祉施設整理機構の平成25年度の業務実績の評価結果については、本部会として決定したいと思います。

 なお、この後誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合、あるいは先ほどお話があったように、評定の変更に伴う修正があった場合は、その対応について私に御一任いただけますでしょうか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。続きまして、年金・健康保険福祉施設整理機構の最終評価について審議をしたいと思います。

 最初に、法人から御説明をいただき、その後起草委員の光多委員から最終報告書()について御報告をいただき、最後に質疑応答を行うという順番で進めていきたいと思います。それではよろしくお願いします。

 

○地域医療機能推進機構審議役(依田)

 審議役の依田です。私から資料1-5に沿って御説明いたします。目次に評価項目115まで出ております。本日の説明は評価項目に沿った説明になりますが、この暫定評価期間というか、9年間の評価期間、各年の評価が出ております。評価とともに、その評価の基礎となる評点が併せて出ており、最終の平成25年度については、先ほど、現時点での委員からお出しいただいているもののトータル数の平均値がここに出ています。平成25年度が決まると、平成17年度から平成25年度までの9年間の平均値が最終評価の所に出て、評価については、毎年御説明があったと思いますが、それぞれの点数に応じて、SからABCといった評価がされ、4.5点以上がS評価となります。したがって平均点が出ると、自動的にこの評価が出てくるといったようになっています。その点で、現時点でのS評価として、評価項目1、評価項目2、評価項目9、評価項目15といったものが4.5以上ですので、S評価が取りあえず記載されているものです。では、評価項目1から順番に御説明いたします。

 評価項目1、効率的な業務運営体制の確立ですが、RFO、設立当初の組織体制は施設譲渡を中心とした業務でしたが、順次見直しをしながら、また平成244月以降は新たに地域医療機能推進機構の移行業務が業務の中心になってきたということから、業務の体制もそれに応じたものになってきました。先ほど、光多委員からもお話がありましたが、様々な新たな課題といったものが、この移行準備過程の中でも出ていて、的確な対応をしてきたということで、少数の職員体制の下で準備を進めて、平成264月からJCHOの発足を果たすことができたということが、まとめてここに記載してあります。

4ページの評価項目「業務管理の充実」ですが、データベースによる管理や会議等を通じた進捗管理、特に新機構に移行することになってからは、極めて広範かつ多様な業務を単期間で処理しなければいけないという中で、全業務をリストアップするとともに進捗管理を行い、適宜見直しを行ってきたといったようなことが記載してあります。

 次ページは、業務管理の充実の2枚目ですが、事業リスクの管理についても、特に譲渡に対しては、様々な法律上の問題が出てきたので、それに対する体制は法務文書課を設置するなどして築いてきたということもございます。それから偽情報が流れて、それにより被害を被るといったような話がありましたので、それに関する情報管理を行い、きちんと情報を提供するといったようなことをしてきており、事業リスクに対応してきたということもありますし、移行準備作業の中では、職員がきちんと新体制で整うようなところに意を注いだといったようなことを進めてきました。

6ページの評価項目3は、業務管理の効率化に伴う経費節減ですが、一般管理費については、政府全体で削減目標というものが示されており、平成17年度との比較で18%以上の節減が示されていましたが、私どもは64%の削減を達成したことで、調達の必要性とか、価格の妥当性の精査といったようなことを徹底して行った成果だったと思っております。また、常勤役職員の削減についても、これも政府全体としての目標、平成17年度に比べて8%以上の人員削減に対して、当機構は46%の削減を達成したことを述べさせていただいております。

 その他、契約、情報管理の徹底ですが、これは契約監視委員会の設置、随意契約等の見直し計画の策定や、一般競争入札の徹底等、様々な取組を着実に実施し、また併せて、情報セキュリティ対策の充実等もきちんと行って、情報網の徹底を図ってきたということです。

7ページの評価項目4は、各施設の経営状況等の把握と地方公共団体への説明ですが、まず経営状況の把握については、RFOが設立時に全施設を対象に不動産調査を実施して、譲渡計画を立案し、実行してきたということがあります。そのほかにも、政府からの病院等の出資時にはエンジニアリングレポートを作って、それを活用し、その後の経営状況の把握等に活かしてきたことや、また、私どもとして、平成22年度以降、4年間にわたり財務調査を実施して、新機構に移行することになる病院グループの財務状況の確認、あるいはそれに伴う、様々な課題の解決を新機構移行前に取り組むといったことをしました。

 それから、機構からの地方公共団体への説明ですが、自治体に対して、当該施設の取得に関する意向といったもののアンケート調査を行うことや、あるいはその後のマーケティング活動の中では、やはり自治体による支援策が有る無しによって、譲渡の可能性が広がるということ、あるいは譲渡価格が高くなるようなメリットがありましたので、そうした支援の取り付けについて自治体との間で調整を進めてきたという経緯もあります。

8ページの年金福祉施設等の譲渡又は廃止ですが、年金福祉施設等については、福祉施設は各事業年度ごとに年度計画を立案し、平成2284日をもって、年金福祉施設の全施設の売却を完了いたしました。また、病院等については、全部で8病院の譲渡を完了しました。そのほか、JCHOへの移行を控えた平成25年度において、病院跡地などの利用見込みのない不動産の洗い出しを行い10物件の売却を行って、その結果、売却額合計は2,380億円となり、売却原価比で182.2%。出資価格費で108.3%となり、RFOが目標としてきた「時価を上回り売却すること」「出資価格を毀損しない」といった2つの目標を達成したところです。

 なお、ここで大変申し訳ありませんが、この上の評価の点数ですが、最終評価の所を間違えた記載になっております。4.47は評価としては、計算上はAの評価になるものを、間違えてSと記載してしまいました。

14ページの評価項目6は、年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全ですが、ここでは譲渡対象施設に関する様々な支障を事前に解消することによって、譲渡しやすくするという部分がありました。接道敷地の購入や、境界線の調整・確定など、様々な事前の対策を講じたところがあります。

 一方で、年金福祉施設等の維持管理の点では、災害等による被害復旧や、あるいは施設機能維持のための熱源の更新や防水工事・改修などを適宜実施しました。

 次ページです。一方で病院等については財務調査を実施し、その中で、実態としての状況の分析を行い、また、平成24年度、平成25年度にかけては、様々な課題が出てきた問題で、財務上、あるいは内部統制上の課題については、その改善をしてきました。それらのことと併せて、病院の実態、経営の実態を踏まえて、平成26年度からの新しい各病院ごとの事業計画案を作成したことに触れております。

16ページの評価項目7は、買受需要の把握及び開拓ですが、年金福祉施設等については、まず現存する建物と、そこで働く人を活かすためには年金福祉施設の事業を継続することが有効であるという考え方のもとに買受需要を開拓し、あるいは様々な取組を自治体にも協力を得ながら行ってきたという中で、最終的には、譲渡時に事業を行っていた福祉施設のうち、74%において、事業を継続されるという結果を招いてきました。

 なお、ここも評価項目の最終評価結果の所が、4.44ですので、こちらの手違いでAとすべきところをSと記載してしまいました。申し訳ありませんでした。

17ページの評価項目8は、情報の提供ですが、運営に関する情報を可能な限り開示し、透明性の確保に努めてきました。また、譲渡価格に関する内部情報とか、入札者情報以外は、基本的に全て開示する姿で臨んできました。

18ページの評価項目9は、新機構への改組に向けた準備ですが、平成25年度の評価の中でも十分御説明させていただきましたが、先ほど光多委員からもいろいろと御紹介いただきましたので省略いたしますが、様々な課題を乗り越えて平成264月に無事に新機構の発足を向かえることができました。

21ページの評価項目10は、予算、収支計画及び資金計画、短期借入金の限度額ですが、予算決算については、平成17年度及び平成23年度を除き、予算額を上回る決算額となっております。不動産売却収入等の収入が計画を上回っていたことが理由です。また一般管理費については、収支計画に基づく予算を作成して、当該予算の範囲内で予算を執行しました。短期借入金については、初年度の平成17年度、まだこの段階では譲渡収入はありませんので、16,600万円の借り入れを行っておりますが、これのみでございます。

22ページの評価項目11は、人事に関する計画ですが、まず、人事の評価の方法として、一般職員については、実績の評価と能力による評価。譲渡専門員については、民間に準じて成果主義に基づく実績評価を行うということで、それぞれの実態、専門性に応じた人事評価を行ってきました。また、人員に関する指標として、行政改革の重要方針に基づいて、平成17年度の対比、8%以上の人員削減が目標として掲げられておりましたが、これを大幅に上回る46.3%を削減しました。

23ページの評価項目12は、国庫納付金に関する事項ですが、国庫納付金については、例年、譲渡収入というものを財源として、翌年度のRFOの業務に必要な経費として厚生労働大臣から示される金額を控除した額を算出して、譲渡収入があった翌年度に納付しました。これについては初年度である平成17年度、それから東日本大震災による被害を被った病院の災害復旧経費を考慮した平成23年度を除いて、毎年、国庫納付を行ってきました。なお、平成26年度に行われる国庫納付については、例年の施設譲渡に伴う収入に加えて、病院の運営委託先3団体との委託契約終了に伴う清算剰余金も含めたものとなっております。国庫納付金の納付については、決算終了後、速やかに納付しました。

24ページの評価項目13は、外部の有識者からなる機関に関する事項ですが、これについては、RFOの業務遂行に当たって、外部の有識者の意見を聞くために外部有識者からなる譲渡業務諮問委員会を設置し、いろいろと御審議を頂いてきました。その審議において出された御意見については、適宜、RFOの業務に反映させるとともに、審議内容については、ホームページで開示しました。

25ページの評価項目14は、保有する個人情報の保護に関する事項ですが、平成20年度に法務文書課を設置し、個人情報保護に関する適切な管理に努めたこと。また、毎年、総務省の研修会に担当職員を参加させてきたという中で、個人情報の保護を徹底しました。

 最後に評価項目15ですが、終身利用型老人ホームの譲渡に関する事項です。これは平成21年度と平成22年度にかかる評価項目として掲げていたものですが、厚生労働省からの指示により、終身利用型の老人ホームである厚生年金サンテール千葉の入居者について、入居時に締結した条件を将来にわたって確保するということで、そのために譲渡条件を付して譲渡を行いました。売買契約時に締結された地位承継に関する協定により、買受者に承継された入居一時金については、その後も定期的な確認を実施しており、現状、特段の問題は生じていないということです。以上です。

 

○山口部会長

 それでは続いて、光多委員から質問していただいた最終報告書()について、御報告をお願いいたします。

 

○光多委員

 資料1-6に関してです。独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、RFOの中期目標期間は、平成1710月から平成263月までの86か月となっており、平成25年度をもって、この中期目標期間が終了いたしました。独立行政法人通則法第34条の規程では、中期目標期間終了時に中期目標の達成状況の調査、分析を行って、業務全体の実績を総合的に表示することとなっておりますので、最終評価を実施するものであります。平成1710月から平成263月までの86か月間の中期目標期間の、これまでの評価結果については、川北委員と私が検討を行って、最終評価書を起草いたしました。

 その概要について、私から講評させていただきます。資料1-6は、全体として2つに分かれており、「中期目標期間の業務実績について」と、「具体的な評価内容について」です。最初に、最終評価を実施するに当たっての評価の視点について申し上げたいと思います。

1ページですが、1.中期目標期間の業務実績についての所で、まず評価の視点があります。これまでの経営について記載しています。

2ページですが、RFOは社会保険病院等を除く年金福祉施設等を譲渡又は廃止することを目的として、平成1710月に設立された5年有期の独立行政法人でしたが、平成228月交付の法改正により、存続期間が2年間延長され、平成236月、交付の法改正により、平成264月には、社会保険病院等の運営管理等を目的とした地域医療機能推進機構へ改組されることといった、特異な経緯をたどっていることを踏まえて、最終評価を行っております。

 まず、中期目標期間の業務実績全般の評価について申し上げます。3ページの最後の段落の辺りですが、年金福祉施設等の譲渡は、平成229月までに社会保険病院等を除く全ての施設の譲渡が完了しております。譲渡を進めるに当たっては、各施設の事業価値、不動産調査などのマーケティング活動や、地方公共団体からの支援策の取付けなど、資産価値向上のための取組の結果、5年間の限られた期間内で、社会保険病院等を除く全ての年金福祉施設等の売却の完了に結び付いたものと認められます。

3ページの下から2つ目の段落の所に、「次のとおり」の所で、「独立行政法人の特性を踏まえ柔軟な対応により高い業績を実現していると認められ、極めて高く評価できる。」これもかなりレアな表現ですが、最高級の評価の表現をしております。また、単に施設譲渡の目標を達成しただけではなくて、雇用と公共性への配慮も行って、施設譲渡時に業務を行っていた258施設のうち、74%に当たる192施設については、事業が継続され施設の従業員の雇用についても、施設譲渡時に従業員がいた施設で258施設のうち、72%に当たる187施設において、雇用の継続が図られております。更に、社会保険病院等の譲渡に関しては、国からの譲渡指示に適切に対応したものと認められ、4ページの10行目辺りですが、地域医療の継続に配慮しながら適切に行ったものと認められます。この結果、発足以来の譲渡実績は、売却額2,380億円、出資価格比は183億円のプラスで108.3%となっております。出資価格総額を上回る売却額を確保しており、RFOが目標としてきた時価を上回り売却すること、それから出資価格を毀損しないこと、の両方を達成したことは高く評価できるものと考えます。

4ページの下のほうですが、東日本大震災の対応については、資産価値保全の観点から、病院機能を維持するために必要な整備を行ったことについて、評価をすると記載しています。

5ページの上から8行目以降ですが、譲渡業務の進捗状況や機構の置かれた状況に応じて、継続的に組織人員体制の見直しを行って、効率的な業務運営体制を構築した点は、独立行政法人の特性を踏まえ柔軟に対応し、独立行政法人の模範となる取組といえ、高く評価できるものです。

5ページの上から12行目以降から6ページにかけて、平成24330日に中期目標が見直され、従来の業務に加えて、新機構への改組へ向けた準備を行うこととなり、平成244月に地域医療機能推進機構準備室を設置し、社会保険病院等の院長との会議や、委託先3団体との打ち合わせを通じて、様々な課題を乗り越えながら改組準備を行ったものと評価しております。

 具体的に申し上げると、委託先団体ごとに人事給与体系を含む、組織文化が異なるため、独立行政法人にふさわしい統一した制度の下で移行するために、各団体との高度な折衝や調整を行って、先ほどの総合評価の際にも申し上げたとおり、限られた職員体制の下で、広範な業務を的確に実施して、本年3月末までの限られた時間内に移行準備作業を完了させて、大きな混乱を生じることもなく、本年4月の新機構発足を果たすことができております。

 併せて、内部統制調査を加えた財務調査第3フェーズを通じて、委託先団体の多くの病院の財務及び内部統制の水準に重大な問題があることが把握され、その改善をRFOが直接指導することを厚生労働大臣から命じられ、平成263月までに必要な改善が図られたことなどを記載しております。

6ページの一番下の段落の上ですが、ここの所にも限られた時間内に移行準備作業を完了させて大きな混乱を生じることもなく、平成264月の新機構の発足を果たすことができたことは、極めて高く評価できる。という形の表現をしています。

7ページ以降に具体的な評価内容として、個別の内容の評価結果を記載しておりますが、これについては、先ほども申し上げたところと重複しているところもありますので、省略いたします。

 私からは以上ですが、先ほど来申し上げていますが、この8年間、2つのフェーズの中でそれぞれ非常に高い行動評価、behaviorを取ってこられた。それから実は、この評価の項目には無いのですが、評価への対応ということでいくと、私ども評価をするほうとしては非常にやりやすかった。要するに、評価に必要な情報を全て出していただいて、評価に対して真摯に対応していただき、この辺も実は、この評価の項目には無いのですが、併せて私から一言付け加えさせていただきます。起草委員の私からのコメントは、以上でございます。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告いただいた最終評価書()について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 法人に伺ってよろしいですか。資料18ページの最終評価が先ほどの御説明では、ミスプリになっていて、SではなくAということですが、これはすごくSの期間が長かったのですが、これはなぜAになるのですか。

 

○地域医療機能推進機構審議役(依田)

 私どもの理解としては、最終評価の評点が出ておりますが、平成17年度から平成25年度の中期目標の計画期間中における各年度の評価点数を足し合わせて、それを9で割って、平均値がこの点数になるということで、平成25年度の評価については先ほどお話がありましたが、現時点で、委員から事務方へ出されている点数を足し合わせると、この数字になるということです。それを平成24年度までの累計に足し合わせると、この評価になるということです。

 

○山口部会長

Sの数、Aの数という意味ではないということですね。

 

○地域医療機能推進機構審議役(依田)

 ええ。これは私よりも、むしろ評価官室の方からお答えを。

 

○政策評価官室長補佐

 総合評価の評定の付け方については、先ほど法人からも説明があったとおり、各年度の実績評価について、毎年度の頑張りを適切に中期目標期間の評価として評価するという考え方から、それぞれ点数化した上で足し上げて、平均を出す形としております。今回であれば、確かにSの数は多いのですが、下のほうに付いている評点を見ていただいたとおり、同じSでも5点満点のものもあれば、4.54点であるとか、そこまでASで分かれたものがあるので、それを総合的に評価して平均を出す形にすると、4.47ということでSにはとどかないということです。

 

○山口部会長

 ほかに御意見、御質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、修正意見がないようですので、年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果()については、826日の独法評価委員会総会に報告したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認、あるいは本日の委員会を受けた評価修正などによって、文言等の修正が必要になった場合の対応については、私に一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○山口部会長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 最後に、法人の理事長から一言いただければと思います。

 

○地域医療機能推進機構理事長

 本日で、RFO時代の業務実績の評価については最後ということで、長い間、委員の先生方には御審議を頂きまして、本当にありがとうございます。法人を代表して、心よりお礼を申し上げます。

 本日の委員の先生方の御議論にもありましたが、RFOからJCHOへの移行については、あえて比喩的な言葉を使わせていただければ、3つの組織、文化、歴史、給与体系などが1つになるというのは、ある意味で、社会実験という側面が私はあったというように考えています。大変難しいプロセスでありましたが、職員一同、本当に頑張ってくれて、新しいJCHOが立ち上がったわけですが、そのことについて、今回の委員の先生方の評価は、私としては、正当に評価していただいたという感じを持っております。本当にありがとうございました。

 この数年の審議の過程に、評価以外にも様々なアドバイスを頂きました。そのアドバイスを基に、これからもJCHOが国民の期待に応えるように頑張りたいと思います。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、次の審議の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入れ替えを行いますので、皆様、しばらくお待ちください。

 

(法人及び法人所管課入替え)

 

○山口部会長

 それでは続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度財務諸表について審議を行います。まず、財務担当の安浪委員から御報告をお願いいたします。

 

○安浪委員

 それでは、私のほうから財務諸表の適正性についての意見について御説明いたします。机上配布資料となっております。A4の資料にしたがいまして御説明いたします。この資料は、まず決算書の概要及び結果、2つ目としまして投資の種類別・四半期別収益前期比較。3つ目としまして、運用資産と運用寄託金の増減の前期比較という3部に分かれて記載しております。

 まず、決算書について平成26年の711日に平成25年の財務諸表全般につきまして法人と質疑を行いました。同時に会計監査人である有限責任あずさ監査法人に対しまして、監査の概要と結果に関しヒアリングを行いました。今年度の監査時間は1,100時間です。監査の重点項目としては、投資と評価の妥当性が監査重点項目となっております。主な監査手続は受託機関への残高確認。それから、内部統制報告書の入手、運用寄託金の残高確認という手続を実施されたということです。監査結果としまして、会計上の問題点、内部統制上の問題点は特にないということでした。平成26年の619日付で、監査報告書が出ておりまして、3つ意見が記載してあります。利益の処分に関する書類は法令に適合している、決算報告書は決算の状況を正しく示している、事業報告書は財政状態・運用状況を正しく示しているという監査法人からの意見が出ております。

 これらによりまして、私は年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度の財務諸表は適正に作成されているものと判断いたしました。

 次に、投資の種類別・四半別収益の前期比較をしておりますので、これについて御説明いたします。左側が前年度で右側が平成25年度の数字を記載しております。投資の種類としては、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産、財投債です。それぞれその横に各クオーターごとの収益額、年間合計額、その右横に期末の投資残高を記載しております。平成25年度、右側の数字について御説明いたします。まず、通期では、国内債券が1.8兆円減益です。去年が2.1兆円の収益がありました。今年度は、3,600億の収益でしたので、1.8兆円の減益となっております。外国株式につきましては去年が37,000億円、今年度が47,000億円ですので、1兆円の増益となっております。国内株式は、去年が3.3兆円で今年が3.2兆円ですので、0.1兆円の減益となりました。これらの結果前期の収益は11.2兆円でしたが、今年度は10.2兆円となりました。前期と比べまして1兆円利益が減少しております。今年度に関しましては第1Qで国内債券が0.9兆円の赤字となりました。これも含めまして、国内債券の収益は通期ベースで前期に比べまして、1.8兆円減少しまして、0.4兆円の収益となっております。これを見ますと、国内債券について去年と比べて大きく収益が低下したことがわかります。国債の金利低下等によるものだと聞いております。

 クオータリー別の収益ですが、第4Q全体で1兆円の赤字となりました。国内株式が1.5兆円の赤字となったことが理由です。財投債に関しましては残高が減少しておりますので、収益は前期と比べまして減少しています。全体の収益は今年度は10.2兆円、投資残高としましては126兆円の数字となっております。収益は去年と2期連続して10兆円の大台をキープされたということになっております。

 裏にまいりまして、運用資産と運用寄託金の増減をこの表で比べながら記載しております。下のほうの平成25年度分を中心に御説明いたします。運用資産につきましては、期首が120兆円、期末が126兆円、その増減を表にまとめてあります。今年度は、利益が10.2兆円ありました。今年度は、寄託金の受入れが5,000億で寄託金償還が2.4兆円ですので、差し引き2兆円の寄託金の償還ということになっております。それと国庫納付金が2.1兆円ありました。この2つで4.1兆円になるのですが、10.2兆円の利益がこの4.1兆円を、6.1兆円超過しておりますので、ほぼ運用資産が期首に比べて6.1兆円増加したという形になっております。国庫納付は去年が6,000億でしたが、今年度は2.1兆円、前期と比べまして1.5兆円増加しております。この表を見ますと、平成25年度末におきましては、運用資産が126兆円、厚労省から運用寄託されているお金が104兆円ですので、ほぼ21兆円のプラス、すなわち運用資産が運用寄託金に対して21兆円のプラスになっています。掻い摘まんで言いますと去年と今年10兆円ずつ利益が出ましたので、ほぼその分が運用資産が寄託金に対してプラスになっているということです。私のほうからは、決算書と財務内容の概要については以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告をいただきました年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度財務諸表につきまして、御意見、御質問等ございますでしょうか。それでは、修正の意見はないようですので、年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度財務諸表につきましては、資料2-1の意見書()のとおり本部会として了承したいと思います。

 続きまして、年金積立金運用報告書につきまして法人所管課より御説明いただき、これに対する質疑を行います。よろしくお願いします。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 運用担当参事官の森です。よろしくお願いいたします。資料2-3、年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価についてを御覧ください。この次の議事として、年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価があるわけですが、このGPIFについては、年金事業の安定的な運営が目的ですので、皆様方に行っていただきました個別評価に併せて、この年金積立金の運用が年金財政に与える影響について、厚生労働省で検証報告を毎年行い、その内容を考慮して総合評価を行っていただくことになっております。

 具体的に言いますと、下の参考で年金積立金管理運用独立行政法人法の28条がありますが、そこで厚生労働大臣は、厚生労働省の独立行政法人評価委員会に報告しなければならない。また、独法通則法、これは今の年金積立金管理独立行政法人法の第2項で読み替えておりますが、これにより総合評価については、皆様方からの中期計画の実施状況の調査・分析の結果並びに、この運用報告書の内容を考慮して行わなければならないとなっております。

 引き続き、平成25年度の年金積立金運用報告書、資料2-4を御覧ください。時間の関係もありますので、23ページに概要がありますので、ここを中心に説明いたします。年金積立金の運用実績は、GPIFで管理する積立金と、年金特会で管理する積立金それぞれ、126.6兆円と5.5兆円、併せて132.1兆円が、平成25年度の運用実績については、8.23%、10.2兆円のプラスでした。これは、昨年度126兆円で、そこから国庫納付等をキャッシュ・アウトもしましたので、10.2兆円分上がっているわけではなく、現在高について132.1兆円となっております。また、年金積立金の自主運用開始以来、平成13年度からの平均ですと、2.71%、累積で46.6兆円となっております。

3ページが、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価です。囲みの下を御覧いただきたいのですが、公的年金の年金給付額を長期的に見ますと、名目賃金上昇率に連動して増加しておりますので、この名目賃金上昇率からどの程度プラスになったかをALMといいますか、給付を勘案して評価しているところです。また、この名目賃金上昇率からどのぐらい上がったかについては、財政再計算若しくは財政検証の際、それぞれ内閣府の見通し等を基に数値をつくっておりますので、これを基礎に評価をしているという枠組です。平成25年度については、表を見ていただきたいのですが、1平成25年度、運用利回りが8.23%で、名目賃金上昇率が0.13%ですので、その差し引きで名目賃金上昇率を8.09%上回っております。平成21年度の財政検証のときには、マイナス0.36と内閣府の試算から計画を立てましたので、それと比べますと8.45%上回ったと。また、自主運用開始以来で考えますと、先ほど申しましたように名目運用利回りが2.71%あり、この間デフレもあり、名目賃金上昇率は0.44%低下しており、その差3.16%は平成21年度の財政検証から見ると0.32%の差ですので、それを2.84%上回っていると。ちなみに、独法の法人設立以来からですと、3の数字になっております。また、年金財政においては、長期的な運用利回りは名目賃金上昇率プラス1.6%という数値も平成21年度は示しているところですが、これについても上回っております。

4ページ以降は詳しい内容です。4ページは、積立金が賦課方式の中でどういう役割をしているのか。少子高齢化ですので、保険料収入だけですと、下の図を見ていただきますと、50%ぐらいの所得代替率を考えますと、2050年でそこから10%ぐらい保険料収入だけだと低減してしまう。若しくは、2100年ぐらいですと、5%ぐらい低減してしまいますので、その間積立金、若しくは積立金の運用収入が賄っているというような姿です。あとは、運用の仕組み若しくは実は年金積立金はGPIFで運用している部分、その中でも財投債の引受けの形でやっている部分、若しくは年金特会で運用している部分もありますので、その制度的説明があります。9ページから、平成25年度若しくは平成13年度以来ということで、細かく実績を書いたものです。15ページ以降は、それをグラフ化したものです。21ページからは、今申しました年金財政に与える影響について、区分して示したものです。30ページ以降は、国際比較等を含めての参考資料です。私の説明は以上です。

 

○山口部会長

 ただいま御報告いただきました年金積立金運用報告書について、御質問等ありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価について審議を行います。まず、引間委員から御起草いただきました評価書()について御報告をお願いしたいと思います。

 

○引間委員

 資料2-5を御覧ください。年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度の業務実績の総合評価書については、大野委員と私とで検討を行い、起草いたしました。起草委員を代表して、私から評価書()について概要を報告いたします。

 こちらの評価書()ですが、主に3部構成になっております。1ページが、平成25年度の業務実績について。4ページの2.が、具体的な評価内容についてです。それから、9ページの3.が、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価です。平成25年度の業務実績を評価するに当たっては、1ページの1.(1)にあります評価の視点に書いてあるとおり、平成223月に定められた第二期中期目標の4年度目ということで、昨年度までの評価委員会において指摘した事項等を踏まえて、評価を実施することにしております。なお、年金積立金の運用については、長期的な観点からの運用が求められますので、管理運用方針の評価に当たっても、長期的な視点で評価することが重要である点をこちらに付記しております。

 報告については、この評価書()の概要として、平成25年度業務実績全般の評価の中身について、ポイントだけ掻い摘んで報告いたします。アは、年金積立金の管理及び運用全般に関する事項についてです。こちらは、定量評価も含めて記述しておりますが、まず市場平均を示す指標でありますベンチマークと比較しますと、平成25年度は内外株式の価格の上昇に加え、外国為替市場において円安が進行した中で、国内株式、外国債券及び外国株式についてはマイナスの超過収益率となりました。一方、国内債券及び短期資産については、おおむねベンチマーク並の収益率となりました。

 他方、平成22年度から平成25年度の第二期中期目標期間においては、外国債券はプラスの超過収益率、国内株式はマイナスの超過収益率となり、その他の資産はおおむねベンチマーク並の収益率を確保しております。また、運用資産全体の収益率と複合ベンチマークとの比較で見ますと、プラスの超過収益率が上がっております。こういったことから、全体として堅実な管理並びに運用が行われていると考えております。

 それから、管理運用法人については、運用受託機関との定期ミーティング等、リスク管理のための適切な取組を実施しております。また平成25年度においては、国内債券が基本ポートフォリオの乖離許容幅を一時的に超過した状況の中で、市場に影響を与えることなくリバランスを実施し、適切に基本ポートフォリオを管理したということです。また会計検査院の報告に基づき、基本ポートフォリオについて各資産のリターンの検証あるいはリスクの見直しを行った結果、より効率的な基本ポートフォリオへの変更がなされたことも評価できます。さらに、平成26年の財政検証の結果を踏まえて行われる基本ポートフォリオの検証や見直しについても、今後更なる検討を期待したいと思っております。

 また、収益の確保や運用効率化の取組が行われてきたわけですが、特に国内外の機関投資家との共同投資協定に基づくインフラストラクチャー投資を開始するといったことなど、多様な運用手法の導入を行っていたことは、評価に値します。一方、新たに導入された運用手法のパフォーマンスについては、今後とも注視をしていく必要がある旨指摘しております。

 次にイは、管理運営体制全般に関する事項についてです。調査・分析の充実に関しては、「年金積立金管理運用独立行政法人における非時価総額加重平均型のベンチマークの活用についての調査研究」の委託調査研究を実施し、平成25年度に実施した国内株式のパッシブ及びアクティブ運用のマネジャー・ストラクチャーの構築に活用したことは、評価できます。また、業務運営の効率化とそれに伴う経費の節減に関して、管理運用委託報酬、委託手数料については、平成24年度に実施した国内債券のマネジャー・ストラクチャーの見直しに伴う手数料率の引き下げ等により、約11億円の手数料が節減されたと。また、オランダの株式配当金に係る過去の源泉税について、租税当局に対して返還を求めて交渉を重ねた結果、約48億円の返還金を受領したことは高く評価できます。

 次にウは、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響についてです。実質的な運用利回りについて管理運用法人で管理する積立金と、年金特別会計で管理する積立金を合わせた年金積立金全体の運用実績と、財政再計算及び財政検証における前提等を比較しますと、平成25年度の単年度、年金積立金の自主運用開始年度である平成13年度からの13年間。それから、管理運用法人が設立された平成18年度からの8年間のいずれの期間においても、運用実績が財政再計算及び財政検証上の前提を上回っており、年金積立金の運用が年金財政にプラスの影響を与えていると評価することができます。

 以上のことから、年金積立金の管理及び運用に関する事項については、必要なリスク管理を行い、全体としては管理運用法人の設立目的に沿って適切に業務を実施している。また、管理運用法人の管理運営体制については、調査・分析を充実させたことや、業務運営の効率化によって経費の節減に努めていることから、業務運営が適切に行われていると評価できます。報告書()の概要に関しての報告は以上です。なお、個別の評価項目については、評価シートのコメントあるいは前回の部会における議論を基に、おおむね評価を行っておりますが、今後更に積極的な取組を期待する事項については、その旨指摘しておりますので、御参照いただければと思います。私からの報告は以上です。

 

○山口部会長

 それでは、ただいま御報告を頂きました評価書()について、御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いします。

 

○光多委員

3点あります。2ページですが、これは実は前から随分議論がある所ですが、一応これは平成25年度の業務実績の評価結果であり、中期の結果ではないわけなのですね。したがって、ここの所が実際の運用結果ということで、平成25年度はベンチマーク、外国債券はプラス、国内債券、株式はマイナス、超過収益となっていますが、やはりベンチマークを下回ったのは1つの事実ではあるわけですよね。それが、この中で第二期中期期間ではベンチマーク並の収益率を確保しているので、それなりの慎重な運用がされたのは、これは前からなのですが、もちろん運用について長期的な運用の体制や評価の仕方が必要だというのは重々承知しておりますが、やはり平成25年度に絞ってそこの運用結果がどうだったのかという形は、第一義的にここで評価しておいたほうがいいのではないかというのが第1点です。

2点目ですが、基本ポートフォリオはかなりうまくやっておられると思うのですね。平成26年財政検証の結果を踏まえて行われる基本ポートフォリオの検証・見直しについても今後の検討を期待するというのは、ちょっとこれは評価としては今後検討されるのは確実なのでしょうから、今後検討されることを期待するということであれば十分な表現になっていなくて、例えばどういう形の基本ポートフォリオが見直される方向かという形を期待するとか、何かそういう形でないと、要するに平成26年度これこれ以降の見直しについても、今後の検討を期待するという表現は、ちょっと曖昧かなという感じがいたします。

3番目は、インフラ投資の新たなスキームについて前回かなりいろいろ細かく質問させていただいたのですが、その後の議事録を拝見しても、守秘義務があるということなので、なかなか全部内容を教えていただくわけにはいかないのでしょうが、私自身はまだ完全に理解しているわけではありません。そうすると、この中で新たな運用手法のパフォーマンスについて今後注視していく必要があるというのは、これは例えば誰が注視をするのか、独立行政法人が注視をするのか、評価するほうが注視をするのか、私自身は未だにインフラの新たな運用手法については十分理解しているわけではありませんが、やはり私は慎重な運用態度が必要であるとか、むしろ独法のこれからの運用の在り方について評価という形で述べたほうがいいのかなという感じがいたします。以上3点です。

 

○山口部会長

 ただいまの御意見について、委員の皆さんから何かありましたらお願いします。

 

○引間委員

 第1点目の、そもそもこちらは平成25年度の評価で、御指摘のとおり平成25年度に焦点を当てて評価書としては作成をしております。その絡みの中で、一部数字については中期目標についての記述もしております。この辺りも、中期の所の記述がもし必要ないということであれば、それは削除するのもやぶさかではないのですが、一応両方をにらみながら、平成25年度という単年度の数字をベースに評価しつつも、一応中期もしっかりにらんだ上で、全体的な評価を行っているという立付けにこちらの報告書はなっております。

 いわゆる平成25年度単独ではどうだったかですが、各資産クラスごとの結果でいいますと、議論にもありましたとおり、平成25年度については上回ったのが国内債券と短期資産で、それ以外はベンチマーク対比アンダーパフォームしたわけですから、必ずしも良い結果とはいえないわけです。ただ、運用資産全体に係る複合ベンチマークとの比較という観点で、最終的にはこの複合ベンチマークに勝つか負けるかが定量評価の大きな要素になるわけです。この複合ベンチマーク対比で見ますと、これは平成25年度についてもプラスの超過収益率が上がっていると。つまり、パーツの所では若干劣後したところもありますが、全体としてはやはり複合ベンチマークを上回っているということで、こういう表現になっております。

2点目の平成26年度の財政検証の結果を踏まえてという表現が、基本ポートフォリオの検証見直しについても今後の検討を期待するという表現がやや曖昧ではないかという御指摘だと思います。この辺りについては、今後どういった形の基本ポートフォリオの見直しになっていくかは当然この段階では分からない、見えない部分で、そこに踏み込んでより具体的に書くということがこの段階では難しいのかなと考えております。

3点目の新たな運用手法のパフォーマンスについて今後注視していく必要があると。これは、注視していく主体としては、第一義的にはもちろん独立行政法人そのもので、お話にもありましたとおり、定期的にしっかりモニタリングをしていただく。それから、運用機関等との面談も含めて、いわゆる丸投げではなくて、しっかりとモニタリングをしていただくことが大前提になると思います。それプラス年度等においては、私どものような評価委員会等で第二義的な評価をすると。ですから、GPIF内部での運用サイドのモニタリングと、いわゆるオペレーションの部分での評価をしっかり行っていただくことが極めて重要なのだろうと思います。実際に、これは十分精査をされて運用開始されたわけですから、正にこの評価委員会としてもそういった事後のモニタリング等がしっかりと行われているかどうかをこれからしっかり検証していくのが重要なことではないかと考えております。

 

○大野委員

 一番最初の点なのですが、光多委員からの御指摘で、平成25年度の評価と中期期間の評価を一旦分けて評価したほうがいいのではないかという御意見を頂きました。例えば、他方、平成25年度を含む第二期中期目標期間はという所で、その前に一旦平成25年度単年度の評価を書き終えてから、それから中期期間に関する評価を書くということで、同じ段落の平成25年度に関する記述がありますので、そちらを中期目標期間の前に持ってくるような形の書きぶりをすれば、その点についてはこれである程度は解決できるのかなとは思いました。

 

○山口部会長

 光多委員、いかがでしょうか。

 

○光多委員

 これについては、毎年意見を言っているのですが、今大野委員がおっしゃったこととわりと近いのですが、平成25年度についてはきちんとその区間を区切って評価をして、中期の所はなお書きではないかと思うのですね。これでいくと、何か複数年度の所がメインの評価のようになっているのですが、それはちょっと表紙と違うのではないでしょうか、ということを毎年申し上げています。そういう形で、何かめりはりを付けていただいたほうが表紙に合うのではないかと思います。

 それから、2番目の今後の検討に期待する、についてですが、やはりこのままですと検討することを期待するのか、では検討されればいいのであり、この評価書としては何か少しファジーな表現かなという感じがします。今後検討されることは確実ですよね。そうすれば、そこについて何かこのような検討をするという形を書かないと、ただ今後の検討に期待するのでは、検討さえすればいいという形になり兼ねません。

 最後ですが、もちろんスタートされたので、仕方ない面があるかもしれませんが、ただ我々評価する者としては、それについてきちんとした形で評価をしておくことは必要だと思います。もちろん、自己モニタリングが必要ですが、今引間委員がおっしゃったように丸投げではない形でいくと、今後注視していく必要がある、これが独立行政法人が主語だとすれば、何か正に人ごとのような感じで、私はもう少しインフラ共同投資というからには、主体性を持ってやっていくと。注視をしていく、それを見ていくというのは違うので、これについて私はもう少しデューデリが必要だと思っておりますが、制度、スキームについてまずければ少し変えていくことも含めて、きちんとした形でやっていくことが必要ではないかと思います。

 

○山口部会長

 ほかに御意見はありますか。

 

○川北部会長代理

 光多委員の2点目に関連するのですが、会計検査院の報告に基づいて見直しを行った結果、効率的な基本ポートフォリオへ変更がなされた。このため、それを評価するということなのですが、何かこれは非常に受動的な感じの報告書になっているようです。では、個別はどう書いてあるのかということで6ページの3を見ると、ここでは、会計検査院の指摘を受けて見直しを行い、より効率的なポートフォリオの存在が確認されたので変更を行ったと。もう少し積極的な、能動的な意味合いが入っているので、そういう書きぶりにしていただいたほうがいいと思います。その結果として今後についても、書き方は少し検討する必要があると思うのですが、能動的に見直していくのだという形にしないとと思います。単に言われたからやりました、それはよかったですねというのでは、ちょっと物足りないなという気がいたしました。

 

○山口部会長

 よろしいでしょうか。

 

○安浪委員

 この実質運用利回りを財政再計算及び財政検証上の前提の運用利回りとを比べられているのですね。この運用報告書の3ページに、平成25年度に関しては実質的な運用利回りが8.09%で、財政再計算上の前提となる実質的運用利回りがマイナス0.36%。差額が、8.45%となり非常に大きなプラスを出したのだというお話です。この2年ほど、運用環境が大分変わってきていますので、読む方が見るとこの差額の所に注目されるわけですよね。8.45%も上回ったのかということなのですが、この財政計算上の運用利回りは、平成21年度の財政検証における前提を使われているのですが、それ以降やはり環境が変わってきて、この8.45%がプラスになるというのは、数字として大き過ぎるので、読む方によるとちょっと誤解を招くような気もします。この記載に関しては、これでよろしいのでしょうか。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 運用報告書の関係ですので、法人所管課から説明いたします。運用報告書の2-423ページを御覧ください。こちらで、平成21年財政検証における予定運用利回りと名目賃金上昇率の前提が書いてあります。年金財政については、長期の前提について、平成21年もコブダグラス型の関数から平準的な姿を考えたわけですが、足下については内閣府で名目賃金上昇率と景気循環等からよく話があります。そもそも、長期の運用利回りというのは、確率論的にそれで平準的に取れるものですが、足下についてはこういう数字が出ておりますので、これを基に各年度の運用利回り等については出ております。今から見ますと、平成25年度の予定については、名目運用利回り2.23%。逆に名目賃金上昇率2.6%ということで、実質的な運用利回りがここではマイナスという形になっております。ということで、今、委員から御指摘いただいたように、この逆から見てみると、差は8.45になっているという話です。ただ、長期の運用利回りで見ましても、平成21年の財政検証では、先ほど申しましたように名目賃金上昇率プラス1.6ですので、そこから見ても大きなスプレット。ただ、年金財政については、景気も波はありますので、あくまで中長期的な観点から確実に経済の果実を取っていくという考え方ですので、平成25年度はよかったからということではありませんが、単年度で見れば大きなスプレットが出ております。

 

○山口部会長

 よろしいですか。

 

○安浪委員

 前提年度が違うと思います。この平成21年度の財政検証の数字は、平成21年度の財政検証に使われた前提の数字だということですよね。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 平成21年の段階で、そのときの内閣府の経済見通し等を基にして設定されている数字です。

 

○安浪委員

 今は平成25年度です。4年前の数字ですので、そこはちょっとタイミング的なずれがあると思います。比べるベースが年度が4年も前の数字を使っているところが大きな数字が出ている原因なので、そこをうまく工夫できないのかなとは思うのですが。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 年金財政の観点からで、年金財政については5年に一度財政検証ということで、今、委員のお話もありましたので、5年に1回年金の全体、向こう100年ですが、数字について見直し、平成26年についてはまた出させていただいたところです。

 

○山口部会長

 時間の関係もあるのですが、この平成25年度の評価書()については、いろいろ御意見を頂きました。したがって、頂いた御意見を反映する形で修正を加えたいと考えております。その上で、年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度の業務実績の評価結果を本部会として決定していきたいと思います。なお、具体的な修正については、私が起草委員と事務局と調整して決めさせていただいて進めたいと思いますが、御一任いただけますでしょうか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。では、先に進みます。続いて、年金積立金管理運用独立行政法人の暫定評価について、審議をしたいと思います。これについては、最初に法人から説明を頂き、そのあと起草委員の引間委員から暫定評価書()について報告を頂き、最後に質疑応答を行うという順番で進めてまいりたいと思います。それでは、法人から説明をお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 年金積立金管理運用独立行政法人審議役の青木です。資料2-7、暫定評価説明資料を用いて御説明いたします。評価項目1、管理、運用の基本的な方針、運用の目標です。平成22年度~平成25年度までの収益額、収益率はグラフに記載のとおりです。特に平成24年度と25年度は10兆円を超える収益額を挙げることができました。また、運用資産額は平成25年度末に約1266,000億円となっています。

2ページは、年金積立金の管理及び運用に関する具体的な方針を定めた管理運用方針の改正です。いずれの年度においても、この資料の記載のとおり、内容を見直して改正を行って公表をしてきました。

3ページ、評価項目2、リスク管理です。国内外の債券、株式への分散投資によるリスク低減を図っています。資産ごとにベンチマークの相対リスクの推移等を把握・分析しリスク管理を実施し、また、適切かつ円滑にリバランスを実施してきました。運用資産全体の収益率と複合ベンチマーク収益率との差については下のほうに記載してあります。表の所です。4年通期でプラス1.78%、年率換算でプラス0.38%となっていて、右の表にあるように、そのプラスの要因の大半は資産配分ということです。

4ページにあるように、各資産が基本ポートフォリオの乖離許容幅内に収まっているかどうかという点については、毎月確認をしてきました。

5ページです。資産全体、各資産、各運用受託機関、自家運用などについて、資料に記載のとおりそれぞれ的確なリスク管理を行ってきました。

6ページ、評価項目3、運用手法、財投債の管理・運用です。財投債については、四半期ごとに償却原価法に併せて時価による評価額も公表し、また、資産管理機関ごとに定期的に報告を求め、適切に管理されていることを確認してきました。

7ページ、運用手法です。各年度とも上のほうの表にあるように、79割がパッシブ運用でした。また、この4年間について、下の所に各年度の取組を記載していますが、外国債券、外国株式のパッシブ運用、国内債券、国内株式、外国株式のアクティブ運用のマネジャー・ストラクチャーの見直しを順次実施するとともに、キャッシュ・アウト等対応ファンドの設置と増額、エマージング株式運用の開始、インフラ投資の導入、物価連動国債の導入決定などを行ってきました。

8ページ、評価項目4、透明性の向上で、管理運用の仕組みの情報公開、運用実績の状況等の迅速な公表に努めてきました。平成23年度にホームページの全面リニューアルも行っています。さらに、平成226月には、運用委員会の議事録について7年後に公表することとしています。

9ページ、評価項目5、基本ポートフォリオです。第1期中期計画における基本ポートフォリオを第二期中期計画における基本ポートフォリオとして策定しましたが、その後、会計検査院の報告に基づく厚生労働省の要請もありまして、平成25年度初めから基本ポートフォリオの検証を実施して、10ページにあるように、平成256月に基本ポートフォリオの変更を行いました。

11ページ、評価項目6です。市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう配慮し、また、民間企業の経営に与える影響を配慮してきました。具体的にとってきた取組方針については、11ページ中程に記載しているとおりです。また、株主議決権行使については、運用受託機関に対し行使に係る方針の提出、行使状況の報告を求め、またミーティングを実施してきましたが、一番下の所にあるように、行使状況はおおむね良好な結果であり、改善も見られています。

12ページ、評価項目7、年金給付のための流動性の確保です。資料の中程に「体制・機能」と記載していますが、こういう体制・機能により行ってきました。平成22年度は資金業務を担当する課の創設等、平成23年度及び24年度はキャッシュ・アウト等対応ファンドの増設とその増額を行っていて、平成25年度は市場運用資産の売却によることなくキャッシュ・アウトを行うことができました。

13ページ、評価項目8、内部統制の一層の強化に向けた体制整備等です。平成23年度には内部統制の基本方針を策定し、これに基づいて体制を整備し取り組んできました。14ページは、内部統制等全体の概念図です。

15ページは、4年間の採用者数、研修の回数と参加延べ人数等を記載しています。

16ページ、評価項目9、調査・分析の充実等です。平成23年度から大学との共同研究を開始しました。委託調査研究については、オルタナティブ投資、基本ポートフォリオの検証方法やリスク管理、非時価総額加重平均型ベンチマークなどについて実施してきており、その成果を実際の運用に活用しています。また、リバランスなどに活かすため、市場動向に関する分析の強化も行ってきました。

17ページ、評価項目10、効率的な業務運営体制の確立です。これまで資金業務課新設、調査室の体制強化、管理部門の人員体制の縮小、オルタナ投資の専任体制の整備を行ったほか、高度専門人材を確保するための給与水準等の見直しの検討にも着手しています。

18ページ、評価項目11、業務運営の効率化に伴う経費節減です。一般管理費、業務経費とも節減目標を踏まえた予算を毎年度策定し、この予算に基づき執行を抑えることができました。平成26年度予算の額は、平成21年度予算額と比較して、節減対象外経費を除き一般管理費は12%、業務経費は4%の節減率を達成しています。

19ページ、給与水準です。学歴等を勘案したラスパイレス指数については、平成23年度以降100を下回って推移をしています。また、事務所借料、年金積立金、データ管理システムの保守・運用などの随意契約における価格交渉などにより、相当の節約を図ることができました。また、平成25年度には、オランダの株式配当金に係る源泉税について約48億円の返還金を受領することができました。

20ページ、管理運用手数料です。アクティブ・パッシブ比率や手数料率の見直しにより、4年間で約122億円、これを年平均にすると約30億円の節減を図ることができました。

21ページ、評価項目12、財務内容の改善に関する事項などです。2つの宿舎の売却を平成23年度までには完了し、この2つの金額を合わせると約54,000万円ほどの収益を得ています。以上、簡単な説明で恐縮ですが、暫定評価の対象期間である平成22年度~平成25年度までの4事業年度における事業概況について御報告いたしました。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。続いて、引間委員から起草していただいた暫定評価書()について御報告をお願いします。

 

○引間委員

 資料2-8です。年金積立金管理運用独立行政法人の第二期の中期目標期間の暫定評価書()です。先ほどの平成25年度業務実績の総合評価書()と同様に、大野委員と私とで検討を行い起草しました。総合評価書()に引き続き、私からこちらの暫定評価書()について概要を御報告いたします。

 暫定評価書()は、1ページの下の所に、(2)から始まる中期目標期間の業務実績について、それから、3ページの2.の所にある具体的な評価内容、この大きく2つの部分から構成をされています。評価の視点、これは1ページの頭ですが、こちらに平成22年度~平成25年度までの評価の視点を書いています。各年度の評価委員会において指摘した事項等を踏まえて評価を実施することにしています。なお、年金積立金の運用は、先ほど言いましたが、長期的な観点からの運用が求められていることから、5年間の中期目標期間の評価に当たっても、より長期的な観点で評価をすることが重要であると明記しています。

 報告については、暫定評価書()の概要として、主に1ページの(2)中期目標期間の業務実績全般の評価、こちらを中心に掻い摘んで報告いたします。年金積立金の運用実績、先ほどもありましたが、平成22年度~平成25年度において、経済状況が大きく変化し、市場も大きく変化する中で、管理運用法人の収益率は平成22年度においてはマイナスだったものの、残りの3年間はプラスの収益率となっています。また、市場平均を示す指標であるベンチマークと比較しても、暫定評価期間においておおむねベンチマーク並みの収益率を確保できています。管理運用法人においては、運用受託機関との定期的なミーティング等リスク管理のために適切な取組を実施しています。特に、平成24年と平成25年において、国内債券が基本ポートフォリオの乖離許容幅を一時的に超過したといった状況があったわけですが、市場に影響を与えることなくリバランスを実施し、基本ポートフォリオの適切な管理が行われています。また、先ほどもありましたが会計検査院の報告に基づいて、平成25年度により効率的な基本ポートフォリオへの変更がなされたことが評価できます。さらに、流動性の確保の取組として、キャッシュ・アウト等の対応ファンドを設置してキャッシュ・アウトに対応するといったところ、適切な対応を行ったことは評価できるということです。

 業務の質の向上に関する事項の取組です。内部統制の一層の強化に向けた体制整備等として、内部統制の基本方針を策定し、理事長による重要情報の適時適切な把握及び役職員への周知徹底のための体制の整備、あるいはまた、運用リスクの適切な管理及び法人運営リスクの洗い出しと自己評価等の取組が行われています。業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置としては、マネジャー・ストラクチャーの見直しの際に、管理運用委託手数料率の更なる引下げを図った結果、平成21年度と比較して4年度にわたり年平均で約20億円の管理運用委託手数料額の引下げが実現されています。また、一般競争入札等の実施、それから、随意契約における価格交渉等の見直しによってコスト削減に努めてきたことは評価できます。暫定評価書()の概要に関する報告は簡単ですが以上です。さらに、今後、積極的な取組を期待する事項についてはその旨を指摘していますので、御参照ください。私からの報告は以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただいた暫定評価書()について、御意見、御質問等ありましたらお願いしたいと思います。なお、先ほどの、平成25年度の評価書()の関連で修正する部分については当然修正しますので、それ以外の部分について御指摘、御意見を頂ければと思います。 

 

○光多委員

 細かなことも含めて少しいくつかお伺いしたいのです。1つは、今の評価結果()ですが、2ページの、要するに、先ほど御説明があった運用結果の話ですが、これは、中期の結果としては、「暫定評価期間においてプラス1.78%超過収益率を得ることができた」というのが、これが結論なのでしょうか。私は、我々評価する者としては、こういう形で資産構成別のベンチマーク収益率があるわけですが、何かやはり、プラスは低金利や円安等外的要因によるものが多くて、そういう点でいくと、これはこういうふうに書いてくださいということでは全くありませんが、例えば、収益率について、外的要因に依存することなく自己運用的な、自己運用と言うか、国内株式等のマーケット運用の面でもベンチマークをもう少し頑張って達成される形を望みたいとか、何か少しそこに対する評価的な表現があったほうがいいのかなという感じがします。

 それから、次の段落の、先ほど川北委員がおっしゃったのと関係しますが、例えば、会計検査院の報告に基づいてやったというのは、このようなものを評価するのかよく分かりませんが、会計検査院の報告を契機にとか、それをきっかけに見直しをしたのでしたら私は評価すると思いますが、何か言われたとおりに変更しましたという形はどうかなと思います。

 それから、2ページの最後の所の1行で、少し唐突にここが出てきているので意味がよく分からないのですが、ずっとあって、「年金積立金の運用についても、今後も効率的に実施されていくことを大いに期待したい」というのは、何か少しこの中で唐突で、逆にいくと、こういうことをあえて書くというのは、安全かつ効率的に実施されるということについて今ひとつまだ達成されていないということを言いたいのかという感じがします。

 それからもう1つ、最後です。先ほど言いたかったことは、4ページですが、「株式議決権の行使について運用受託機関の判断に委ねている」、これを評価しているとすれば、何かやはりそこについてもう少しいろいろ考えていただきたい。いろいろ検討されたのであればそれを評価していいと思うのですが、例えば、運用受託機関がどういう形で株主議決権に影響を与えているかという形を、そこを運用の受託の評価に入れるとか、そこについて、会社の人事に影響をするような議決権行使は駄目だと思うのですが、どういう議決権行使でしたらいいのかという、そういうことをいろいろ検討しているのでしたら私は評価に値すると思うのですが、何もやっていないから評価するのだというのは、少し表現としてはきついかなという感じがします。以上です。

 

○山口部会長

 ほかの委員の皆様、御意見ございましたらどうぞ。

 

○引間委員

 ただいま御指摘を頂いた事項についていくつかお話します。まず1点目のパフォーマンス評価についてですが、こちらの記述で、要するに、複合ベンチマーク対比でプラス1.78%の超過収益率、この辺りが外的要因も入っているのではないかというようなお話だったと思いますが、外的要因で作用するのは、基本的には絶対収益のところです。要するに、ベンチマーク対比ということでこれをやっているわけですから、そういう意味では、もちろん100%運用機関のスキルとは言いませんが、基本的にはここでベンチマーク対比で超過収益率を出しているという限りにおいては、外的要因という言い方は余りふさわしくないと思います。

2点目、先ほども出た会計検査院の報告に基づき云々というのが、これが受動的だというのは、紙面の関係でさらっと書いてこうなっただけの話なので、これは書き方をまた工夫したいと思います。詳細にはいろいろ法人サイドでやっておられるということなので、その辺りをより能動的に加えることは全然構わないと思います。

3点目は、余り実態のあることを言っているわけではなくて、「今後も長期的な観点から安全かつ効率的に実施されていくことを大いに期待したい」というのは、当たり前のことを言っているにすぎないわけですが、特段の意味があるわけではないと。要するに、基本方針として引続きこういうスタンスでやっていただきたいということを述べただけの話です。

 最後の議決権行使については、GPIFの組織の性格から言って、これは直接行わずと。ただ、完全にこれも運用受託機関の判断に丸投げということではないと思います。その間でいろいろなやりとりなり、ないしは運用受託機関がしっかりとそういう判断を行って、株主価値の向上に資するようなアクションをとるべく法人サイドでいろいろ働きかけを行っていると私どもは推察するわけですが、その辺りでもし法人のほうから補足していただくことがあればお伺いしたいと思います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 株式議決権行使の管理については、3つの柱で評価をしています。まず、各運用機関がきちんとしたガイドラインをもっているのかどうかという点。2つ目は、議決権行使に当たる体制がどうなっているか、専任者がいるのかという点で評価する。3つ目として、具体的な行使の状況ということでして、国内株については全部の議決権の結果をチェックすることはできませんので、これはサンプルチェックということで判断が分かれそうな議案を取り出して、そういう議案がガイドラインと平仄の合った行使がされているかどうかということで評価をしています。そして、その結果については、各運用機関、定性評価のポイントの一部としてカウントをして、運用機関の総合的な評価につなげているということでやっています。

 

○山口部会長

 ほかに御意見ありますか。

 

○大野委員

 先ほどの光多委員の一番最後の御指摘の所で、議決権行使の件です。これは評価できるのかどうかという御指摘ですが、単純に書きぶりの問題なのですが、あえて評価するということの表現は省いてここは記述するということで対応しています。今、御説明を頂きましたが、きちんとした手続を取ってチェック体制をとっているということで、適切に対応されているということで、これは事実ですので、事実を記載しているということで、そういう観点で書いています。

 

○山口部会長

 分かりました。

 

○川北部会長代理

 光多委員が指摘された2ページの一番上のパフォーマンスの所ですが、個々のアセットクラスに関してプラスかマイナスかというのは、これは多分そのとおりでいいと思いますので、それを変えろと言っているわけではないのですが、一言だけ言っておかないといけないのは、複合ベンチマークとの対比の箇所です。複合ベンチマークにおいてプラスが出てきたというのは、結構外的要因があると思うのです。今年度上がっている国内の株、それから海外の株、これを中心線よりもたくさん持っていたということが効いていると思います。そこをあえてその中心線に戻さなかったというのかどうか、そこの議論が必要で、その議論がない限りは、光多委員が言われるように外的要因があったのではないのかと言われても、明確には反論できないのではないのかと思いますので、この点について一言言っておきたいということです。

 もう1点あって、経費の節減を図っている、これは評価して私はいいと思うのですが、ここをずっと強調されていくと、例えば、今回出てきたようなインフラ投資をやるとか、いろいろな資産の投資をやるときに外部に対する委託料を払っていかないといけない場合が出てくると思います。また、人件費に対して、より積極的に良い人を採っていくのだという方針もやはりコスト増大の要因になってくるので、ここは次回以降の課題だと思いますが、少し書きぶりを考えていただいたほうが、若しくは評価の仕方を考えていただいたほうがいいのではないかという感想を持ちました。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 最初の点ですが、これは前回お話ししたように、昨年度は当初より国内債券の利回りというのは非常に低かったわけです。それを、中期基本ポートフォリオの中心線どおり持っていれば、本来それが基本ポートフォリオの役割だと思うのですが、これではやはりいくら何でも収益が大きく下ぶれしていくだろうということで、ここはあえて国内債券の比率を下がるままに放置し、その分国内株式や外国株式の比率が上がったままにしたということです。

 

○川北部会長代理

 そうであれば評価できると思いますので、少しそういう書きぶりに改めることを検討していただいたほうがいいのではないかと思いますが。

 

○山口部会長

 ほかに御意見よろしいでしょうか。いろいろ御意見を頂きましたので、先ほどの平成25年度の評価と連動する部分もありますし、頂いた御意見を反映させた形に修正を加えて、年金積立金管理運用独立行政法人の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果()を作って826日の独法評価委員会総会に報告したいと思います。なお、具体的な修正については、私が事務局並びに起草委員と調整して決めさせていただくという形で御一任いただけますでしょうか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。

 続いて、年金積立金管理運用独立行政法人の組織、業務全般の見直し当初案について審議を行います。最初に、法人所管課より御説明をお願いします。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 法人所管課、森から説明いたします。GPIFについては、本年度で中期目標期間を終了するわけですが、独法通則法の第35条におきまして、主務大臣は独法の中期目標期間終了時においては、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方、その他組織及び業務全般にわたる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとされております。

 具体的には、当初、見直しの当初案を、法人について出されてきた閣議決定等に基づいて策定して、それを皆様に御審議いただいた後、総務省の政策評価独法評価委員会へ提出いたしまして、見直しの方向性について勧告を頂き、その後に更に具体的な見直し案について、またこの場でも御審議いただく手はずになっております。

 本日は、GPIFの組織・業務全般の見直しの当初案について説明したいと存じます。資料2-10です。めくっていただきますと、GPIFの現在の概要ということで、事業の概要、役職員、設立年月日等、若しくはガバナンスの仕組みについて、ポンチ絵で書いてあります。

2ページです。事務・事業の見直しの方針。GPIFについては、年金積立金の管理運用ということで、私どもとしては、この業務については継続させる必要ありと存じております。

2段落目ですが、具体的な取組内容。これについては、後で紹介いたしますが、昨年末に独法の見直しについて閣議決定がありました。また、平成24年度の財政検証の経済前提に合わせまして、積立金運用の在り方においても専門委員会でGPIFの今後の在り方についても検討、若しくは本年624日ですが、日本再興戦略におきまして所要の対応を求められていますので、以下、それに基づきまして私どもが考えている具体的措置につきまして述べさせていただきます。

 どのようなことが閣議決定等で述べられているか、最初に5ページから説明いたします。日本再興戦略は624日に改訂されたものですが、そこの「公的・準公的資金の運用の見直し」です。GPIFをはじめとする公的・準公的資金については、引き続き有識者会議の提言、これは昨年11月に伊藤先生を座長としまして内閣官房でまとめられた御提言ですが、これに応じまして着実に所要の対応を行っていくのがまず1つあります。

GPIFの基本ポートフォリオについては、財政検証を受けまして適切な見直しをできるだけ速やかに実施する形になっております。また、先ほども議決権行使の関係で御議論がありましたが、金融庁から投資家の企業との対話ということで、日本版スチュワードシップ・コードが出されておりまして、GPIFについては受入れを表明した日本版スチュワードシップ・コードを踏まえた対応を速やかに実施する。ガバナンス体制については、フォワードルッキングな観点からリスク管理体制の再構築、運用委員会等の体制の見直し、若しくは先ほど御議論が出ましたが、高度で専門的な人材の確保等の話が書いてあります。

6ページは、組織改革に特化しました昨年末の独法の基本方針、7ページですが、先ほど申しました社会保障審議会の専門委員会の概要ということで特にポートフォリオの在り方については、ポートフォリオは年金資金の性格に照らし長期的な観点から設定。ただし、機動的な見直しを行うとともに、乖離許容幅の中で機動的な運用ができるよう明示。また、運用手法については、運用目標等に沿った具体的な運用手法については、資金運用について一般的に認められた知見に基づき、基本的にはGPIFに検討を委ねるという内容です。

 一番最後の8ページですが、被用者年金については、国共済、地共済、私学事業団等について、2階部分については共通の厚生年金の財源となることから、運用についてもモデルポートフォリオ等の手段により一元化することになりまして、この事務・事業が今後追加されることについて書いてあります。

 戻っていただきまして2ページです。事務・事業の見直しに係る具体的な措置については、基本ポートフォリオの見直し及び機動的な対応ということで、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など、長期的な経済・運用環境の変化に即して基本ポートフォリオについては、財政検証を踏まえて見直しを実施すると。必要に応じ、中期目標期関であっても機動的にポートフォリオの見直しを実施する。リスク管理については、従前からGPIFではリスクシナリオ等で検証していますが、より踏み込んで複数のシナリオで実施するなど、高度化を図る。先ほど申しましたように、一元化法の施行に伴いまして、モデルポートフォリオを参酌して基本ポートフォリオを定めることが書いてあります。

 専門性をいかした運用手法の見直しについては、運用対象の多様化については、被保険者利益に資することを前提に、資産の収益率の向上や流通市場の整備とかを踏まえた上で継続的に検討を行う、スチュワードシップ・コードについても、被保険者のために中長期的な投資リターンの拡大を図って、年金制度の運営の安定化に貢献すると。

また、こういう形で機動的な運用になりますと、調査・分析等の拡充が必要ですので、経済環境や市場を的確に把握したポートフォリオ管理を実施するために、調査・分析等の調査能力を向上させるとともに、国内外の最先端の運用手法についても、収集能力を向上させるということです。

 めくっていただきまして、今度は組織の見直しの当初案です。組織体制の整備については、また5ページに行っていただきたいのですが、今の独法の閣議決定によりますと、平成2741日からは独立行政法人の一類型の中期目標管理型法人になることになっており、それについて下のほうに書いてありますが、資金運用の観点から行われた有識者会議の提言を踏まえて、厚生労働省においてガバナンスの体制強化については、年金制度法人の組織論等の観点から、今後の法改正の所要も踏まえた検討を行うなど、必要な施策の取組を加速すべく必要な対応を行うこともありますので、今の段階では間に合いませんが、そのような検討も含めて私ども組織体制の整備については、ガバナンス体制の強化のために必要な見直しを行っていきたいのが、組織見直し当初案の1つです。

 支部・事業所の見直しで、GPIFについては、今、法律上、本拠地が神奈川県になっております。ただ、基本方針や再興戦略等を踏まえまして、これから人を採っていくとなると、今のスペースでは大体50人体制を前提としたオフィスですので手狭になっていることであります。主たる事務所の所在地を東京都とし、具体的な事務所について、人材の確保の要請を踏まえて検討していくことが必要だと考えております。

 専門人材の確保で、これは強く見直しが求められているところですので、職員数や給与水準の弾力化。これは先ほどの閣議決定で、GPIFにおいては認められたところですので、それを踏まえて高度で専門的な人材を確保するなど、職員体制の強化を図るということです。

4ページですが、運営の効率化及び財務内容の改善に係る当初案で、運営の効率化については、高度で専門的な人材の確保ができるよう、職員数や給与水準の弾力化を図っていく。これは第三期の中期目標期間についても、同じ措置が必要だろうと。

 システムの機能拡充で、GPIFについては、持っている銘柄等について日時ベースできちんと把握できるシステム、これは国際的にもかなり高度なシステムだと思いますが、ただ、アセットクラスごとになっているとか、使いづらいところもありますので、そういうところも含めた機能拡充が重要だと聞いております。そのような整備等を行うなど、リスク管理の高度化のための基盤整備を行う。

 財務内容の改善ということで、随意契約の見直し。GPIFについては、与えられた条件の中で一番安いものを選ぶという一般競争入札に必ずしも馴染まない、特に運用機関の選定などは一般競争入札には馴染まないところはあるのですが、これは政府なり公法人一般の要請ですので、できるものについては一般競争入札等に移行を促進し、あとは契約に係る透明性・公平性の確保を図る必要があるということです。GPIFの中に設けました契約監視委員会等におきまして、競争性のない随意契約や一者応札とか、一者応募になった案件につきまして、公正にできているのか、ずっと点検を実施するとともに、企画競争でやっているものについても総合評価方式で一般競争入札にできないか。

 あとは、もう少し一者応札や一者応募についても、公告期間を長くすれば何とかなるとか、仕様書をもう少し明確に書けば応募があるのではないかとか、そういうものについて見直しをしていくことはあります。当初案ですと大体この程度のレベルの記載ですので、今のような案を私ども法人所管課としては考えております。

 

○山口部会長

 ただいま御説明いただきました組織・業務全般の見直し当初案について、委員の皆様から御意見、御質問等がありましたら、お願いします。

 

○引間委員

1点質問ですが、スチュワードシップ・コードの受入れを表明されていますが、これは先ほども出た議決権行使と比べてもややハードルは高いと思いますが、特に個別、具体的な対応については、各組織、機関に委ねられていることだと思うのですが、今の段階でもし何らかのイメージがあればお伺いしたいのですが、それぞれ外部委託の部分とインハウス運用をやられている部分と、具体的にどういう対応をしていこうと考えておられるかお伺いしたいと思います。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 私どもがどうしてこのようなことを法人に要請しようと考えているかについて、当初、私から説明させていただきまして、具体的にどうやっているか補足がありましたら、法人から説明させていただきます。

GPIFについては、御指摘のとおり、市場影響に配慮するという御要請は、非常に図体も大きく、難しいものがあります。ただ、議決権行使、若しくは対話を通じまして、収益を上げていくのは、昔からカルパースをはじめとしてやられているところですし、今回、一般的な機関投資家の行うべき規範として、スチュワードシップ・コードが定められましたので、GPIFについても、できる取組についてはお願いしたいということで考えております。

 既にGPIFにおいては、今まではそういうものはつくっていなかったのですが、GPIFの基本的な受託機関に対する方針、スチュワードシップ・コードに関する考え方について、5月ですがホームページ等に出されまして、今後、受託研究、委託研究等を通じまして、それを更に拡充、若しくはより改善していくと聞いております。何か具体的なことがあれば。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 若干補足をさせていただきますと、私どもは5月末にスチュワードシップの受入れ表明をさせていただいております。私どもとしてその中で大事に思っていますのは、スチュワードシップは議決権行使と違ってかなり手作りなのだろうと。まず企業のことをよく理解して、その企業に合った提言なり対話なりをしていくことが大事であろうと考えておりまして、運用機関に対してスチュワードシップ、エンゲージメントも実施に当たっても、何回この企業を訪問しましたとか、そういう形式的な点数稼ぎというものはしないでくださいと。我々として重視するのは、企業との具体的な対話の中身ですということで、運用機関に対しては指示を出しているところでございます。スチュワードシップについては本当に今年が元年ということですので、運用機関も手探りの中でやっているわけですが、私どもとしてはそういう方向で対話の中身を重視するということで国内株式の運用機関にお願いをしているところです。なお、私どもではインハウスは債券だけでして、株式運用はありません。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 先ほど森参事官からありました調査研究ですが、私ども今現在、スチュワードシップ・コードをこれからどういう形で進めていくか、これをESGの話、もう1つは、今現在、政府ではコーポレートバランス・コードの議論も進み始めていますので、そういうものも踏まえながら、今年、今、ちょうど公募を掛けて選定をしていることですので、この結果を踏まえて、また積極的に取り組みたいと考えています。

 

○光多委員

 我々は実際、評価することをずっとやってきた者からすると、何か独立行政法人という組織で本当にいいのかをずっと考えているのです。もちろん国の金融財政政策との関係もありますから、完全に民間化というわけにもまいらないと思うのです。例えば、人員体制とか、給与とか、随契とか、こういう話はどうもなかなか、確かに独法である限りはそこに引っ張られてしまうのですが、ドラスティックな話は難しいと思うのですが、水面下ではそういう組織の在り方の見直しみたいな形も、どこかで検討していただく。例えば、特殊法人という案もあるかもしれませんし、我々がやっているほかの独法と評価しているものからすると、そこの中の同じ形は何か違和感があるのは率直なところです。

 

○山口部会長

 ほかに御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本件については特に修正意見はないようですので、年金積立金管理運用独立行政法人の組織・業務全般の見直し当初案については、826日の独法評価委員会総会に報告したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人の業務方法書の変更について審議をいたします。最初に事務局より御説明いただき、その後に法人から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 業務方法書の変更について説明いたします。独立行政法人の具体的な業務方法の要領を記載した業務方法書を、作成あるいは変更する場合につきましては、厚生労働大臣の認可を受けることとされておりまして、この認可に当たりましては、独立行政法人通則法第28条第3項の規定により、独立行政法人評価委員会の意見を聞くこととされております。本日、年金積立金管理運用独立行政法人から業務方法書の変更について申請がありましたので、御審議いただくこととしております。それでは、法人から説明をお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長

 資料は2-122-13ですが、2-13は新旧対照表ですので、2-12で説明をさせていただきます。なお、本件については、85日に開催されました当法人の運用委員会において既に審議済みです。

2-121つ目、被用者年金制度の一元化についてですが、先ほど2-10の資料で森参事官から御説明があった点でもあります。(1)概要、年金制度一元化に伴いまして、当法人の個別法が改正され、新たに年金積立金の資産構成の目標、すなわち、これがモデルポートフォリオですが、この目標を定めることが業務として追加されたことから、業務方法書の改正を行うものです。

 具体的な内容ということで(2)、変更の内容として、第5条第2項に「積立資産の構成目標を定める」ことを追記いたしております。(3)の施行日ですが、施行日は平成27101日ですが、施行日の前であってもモデルポートフォリオの準備行為を行うことができる形といたしております。

 続いて2つ目、国際約束に係る物品等の調達です。概要に示されておりますとおり、WTOで採択されました改正議定書を受けて、昨年末に国会でこれが承認されたことに伴いまして、業務方法書の改正を行いたいと考えているものです。

 変更内容としては、市場アクセスの拡大を主な柱としておりまして、それを業務方法書第13条に反映させることといたしております。ただし、我が国では既にこの内容については自主的に実施済みですので、具体的な変更が発生する項目ではありません。施行日ですが、本件については大臣認可を頂戴した日から施行する形を念頭に置いております。

 

○山口部会長

 質問ですが、最初のほうですが、新たに業務方法書に「資産の構成の目標を定めること」を入れるのは、以前はなかったということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長

 この項目は、去る7月に積立金管理指針が主務省から示されたことを受けまして、晴れてモデルポートフォリオをつくることができる枠組みが整いましたので、今回それを受けて当法人の業務として追加することに。

 

○山口部会長

 ということは、以前は当法人の業務ではなかったということですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画部長

 はい。

 

○山口部会長

 国から与えられていたということで、これは業務方法書の中には入ってなかったという理解でいいわけですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 従来はありませんでした。被用者年金の一元化に伴って私どものほかに国家公務員共済、地方公務員共済等、そういった所と一応共通の運用の基盤をつくる話になり、その共通の基盤として新しくモデルポートフォリオを4者が協議して定めなさいという形になりました。その法律自体は平成2710月から施行されるわけですが、その準備も含めてここの段階でそういった形で修正しておこうということです。全く新しいことです。基本ポートフォリオとは違いまして、基本ポートフォリオの前にモデルポートフォリオをつくり、それを受けて、基本ポートフォリオをつくるのが新しい考え方です。

 

○山口部会長

 モデルポートフォリオと基本ポートフォリオは、違っていてもいいわけですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 そこら辺はこれからモデルポートフォリオを具体的にどうするかということで議論していくわけです。私ども以外の3共済もそれぞれ従来の資産構成とは違っておりますので、モデルポートフォリオといってもある程度の許容範囲を定めて、各機関が多少の自由度は出るようにすべきではないかと私は考えております。これはまだ合意されたわけではありません。

 

○山口部会長

 ほかの委員、御質問はありますか。よろしいですか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 それでは、特に修正の意見はないようですので、年金積立金管理運用独立行政法人の業務方法書の変更については、本部会として了承したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正等が必要になった場合の対応については、私に御一任いただきたいと思います。続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率について審議します。最初に事務局より御説明いただき、その後に法人から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 独立行政法人役員の退職金について説明いたします。参考資料115ページを御覧ください。独立行政法人役員の退職金については、「独立行政法人、特殊法人、及び認可法人の役員の退職金について」という平成15年の閣議決定によりまして、在職期間に応じて算出した額に独立行政法人評価委員会が、02.0の範囲で業績に応じて決定する業績勘案率を乗じた金額とすることとされております。

 本日は、本年331日付けで退職した年金積立金管理運用独立行政法人役員1名に係る業績勘案率について、法人から本委員会委員長宛てに算定の依頼があったため、本委員会で定めております、次の16ページにあります「独立行政法人役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づきまして、事務局が試算した業績勘案率案について御審議いただくこととしております。なお、決定した業績勘案率については、後日、総務省政策評価独立行政法人評価委員会に通知し、同委員会から意見が付され、再審査会が必要な場合におきましては、本部会において改めて御審議いただくこととなりまして、意見がなく、再審議が必要な場合につきましては、事務局から部会長に報告し、最終決定をしていただく流れとなります。

 また、本議題の配布資料については、参考資料119ページ、別添11にあります厚生労働省独立行政法人評価委員会の会議の公開に関する規程第2条第1項に該当し、非公開としておりますので、机上に配布しております資料のうち「退職金見込額等の個人情報」については、御発言いただかないようお願いいたします。委員限り資料については、本部会終了後に回収いたしますので、持ち帰らず机上に置いたままお帰りいただきますようお願いいたします。

 試算した業績勘案率案について、資料2-14に沿って説明いたします。役員の退職金に係る業績勘案率ですが、先ほど説明いたしました評価委員会として定めた方法に従い計算を進めていきます。資料2-14の高島理事についてですが、在職期間が平成2241日から平成26331日までの48か月となりますので、平成22年度から平成25年度までの4年間の年度評価の結果に基づいて、各年度夏の評価委員会で委員の皆様に付けていただいたSABCDの評価を数値化し、まずはその平均を取ります。評価の数値化については、参考資料116ページ、別添10の表1にありますとおり、S2.0A1.5B1.0に換算し、平均値を算出していきます。具体的には、資料2-14の最終ページにある形になります。

 さらに、参考資料1の別添10の一番下の表2にありますとおり、この平均値が1.5以上の場合は1.50.511.49の場合は1.00.5以下の場合は0.5と置き換えます。今回の場合は、資料2-142-(1)の表の下段にありますとおり、平成22年度が1.50、平成23年度が1.54、平成24年度が1.50、平成25年度が1.50となっておりますので、いずれの年度も1.5に置き換えます。これに各年度の在籍月数を掛けまして、(2)にあります計算式のとおり在職期間48か月分の加重平均を算出した結果、業績勘案率は1.5になります。

 また、参考資料117ページの4にありますとおり、1.0を超える業績勘案率を算定する場合については、当該退職役員の在職期間における目的積立金状況等に照らして適切であるかどうかを考慮するといったこととなっておりますので、役員の在職期間における目的積立金の状況、及び退職役員に係る職責事項について勘案しますが、目的積立金は積んでおらず、職責事項についても特に法人から申出はありませんので、最終的には業績勘案率を1.0と試算しております。事務局からは以上です。

 

○山口部会長

 法人からお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長

 私から前監事の職務内容等について説明をいたします。前監事の高島健一氏は、先ほど御説明がありましたとおり、平成2241日から平成26331日までの4年にわたって監事として法人業務に係る関係法令、及び業務方法書、その他諸規程等の実施状況、各事業年度における中期計画及び年度計画の達成状況、予算の執行状況及び決算状況等に係る監査に御尽力いただきました。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

 

○山口部会長

 ただいま御説明がありました、年金積立金管理運用独立行政法人役員の退職金に係る業績勘案率について、御意見、御質問等がありましたら、お願いします。よろしいですか。

 

(各委員了承)

 

○山口部会長

 それでは、修正意見は特にないようですので、申請がありました年金積立金管理運用独立行政法人役員の退職金に係る業績勘案率については、原案のとおり決定することとします。最後に、法人理事長、法人所管課から、一言頂ければと思います。よろしくお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 本日はお忙しい中、私どもの平成25年度の業務実績評価、第二期中期目標期間の業務実績についての暫定評価、組織・業務全般の見直し当初案等について御審議をいただき、ありがとうございました。

 御承知のとおり経済再生担当大臣の下に設置されました公的・準公的資金の運用リスク管理等の高度化に関する有識者会議が昨年11月に報告書を公表し、その中で私どもを念頭に様々な提言がなされております。そのうちガバナンスに関する事項のような法律改正等を伴うものは、今後、政府において検討されるものと思われますが、私どもにとって特に大きいのは、他の独立行政法人と横並びでこれまで厳しく制限されてまいりました、職員数や給与水準の弾力化等が提言され、それが昨年末の閣議決定で認められたことです。

 私どもでは、これまでも退職者見合いで、民間金融機関での運用業務の経験者を中心に中途採用を進めるとともに、職員の能力向上のための研修などに努めてきましたが、職員の絶対数が制限されていることや、処遇面での問題から、運用の高度化、多様化等を進める上で、大きな制約になってきたところです。現在、外部のコンサルタント会社に、新たな給与体系の在り方等について調査研究、検討を依頼しているところですが、その結果も踏まえ、今後、高度で専門的な人材の採用を進め、運用の高度化、多様化、リスク管理の強化等にいかしていきたいと考えております。

 また、本年3月に社会保障審議会年金部会から示されました、年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する検討結果の報告や、6月に厚生労働省から公表されました平成26年度財政検証結果を受けまして、現在、基本ポートフォリオの検証、見直しを鋭意行っているところですが、そのほか有識者会議で示された様々な提言も踏まえつつ、年金積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から行われるものであるという目的に沿って、体制の整備や所要の対応を進めるとともに、分散投資を基本に経済運用環境の変化に即して適切なリスク管理の下で安全かつ効率的な年金積立金の管理運用に努めてまいりたいと考えております。

 来年度からは第三期の中期計画期間に入ることになりますが、委員の先生方におかれては引き続きよろしく御指導を賜りますようお願い申し上げて、私の御礼の言葉とさせていただきます。

 

○大臣官房参事官(資金運用担当)

 法人担当課の森でございます。本日は、御熱心な審議をどうもありがとうございました。今日、御審議いただきました平成25年度積立金運用報告書は、国民に対する情報開示という観点で重要ですので、これにつきましては私どものほうで公表させていただきたいと思います。

 あと、今、理事長からございましたが、GPIFにおきましては、平成26年度の財政検証を踏まえましてポートフォリオの見直しを検討しておりまして、これが変更案という形で私どもに申請がございましたら、これは第二期の中期目標、中期計画の変更という形になりますが、また皆様方にも御審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、先ほど御説明しました法人の組織・業務全般の見直し当初案は、繰返しになりますが、総務省の政・独委を経まして見直しの基本方針が来ましたら、また成案につきまして御審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○山口部会長

 それでは、本日の議事は以上です。事務局から、今後の予定等について連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、御審議いただきました年金健康保険福祉施設整理機構年金積立金管理運用独立行政法人の平成25年度の業務実績の評価結果については、この後必要な見直しを行った後で、法人及び総務省政策評価独立行政法人評価委員会へ通知するとともに、公表いたします。また、後日、委員の皆様には、決定版をお送りいたします。

 年金積立金管理運用独立行政法人の暫定評価書()、組織・業務全般の見直し当初案、年金健康保険福祉施設整理機構の最終評価案については、必要な見直しを行った後で、この後開催される独立行政法人評価委員会総会の審議に付されることになります。こちらも決定した評価結果については、後日、委員の皆様にお送りいたします。

 なお、正委員の皆様におかれましては、826()14時から、厚生労働省9階の省議室におきまして、「第36回独立行政法人評価委員会総会」が予定されておりますので、御出席のほどよろしくお願いいたします。

 なお、年金積立金管理運用独立行政法人の組織・業務全般の見直し当初案については、先ほど所管課からも説明がありましたとおり、委員会総会における審議後、大臣から総務省政・独委にお送りして、その結果を経まして、本年12月に再度、組織・業務全般の見直し内容として、本委員会及び委員会総会において御審議いただくこととなります。

 

 

○山口部会長

 本年、夏の年金部会の審議については、以上となります。長時間にわたり熱心な御審議をいただきまして、ありがとうございました。


(了)

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