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2014年7月18日 独立行政法人評価委員会年金部会(第44回) 議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成26年7月18日(金)16:00~18:04


○場所

労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

山口部会長、川北部会長代理、大野委員、引間委員、光多委員、安浪委員

○議事

(以下、議事録)

○山口部会長

 定刻になりましたので、ただいまから第44回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事等につきまして、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官

 先に御挨拶させていただきます。4月に政策評価官として参りました藤澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。議事に入ります前に、委員の方の交替がありましたので、御報告申し上げます。本年の220日付けで、これまでの竹原均委員と大出陽子委員が御退任し、新しく引間雅史委員がこの年金部会の委員に御就任されております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事について御説明申し上げます。本日の議題は、議事次第に書いてありますように、2つございます。1つ目が年金積立金管理運用独立行政法人の評価の視点等の変更について、2点目が平成25年度の業務実績に係る個別評価です。皆様御承知かとは存じますが、参考資料1を御覧ください。独立行政法人は、通則法第32条第1項の規定によりまして、各事業年度における業務の実績について、独立行政法人評価委員会の評価を受けなければならないとされております。厚労省の独立行政法人評価委員会におきましては、この評価を2つに分けて行っており、法人の中期計画等に基づいて設定した評価項目ごとにSD5段階の評定を付ける個別評価と、次のステップとして、業務実績全体の状況について、記述による評価を行っていただく総合評価と、2つに分けて実施いただいております。本日は最初の個別評価を実施していただきます。

 なお、議事2に入る前に、議事1についてですが、個別評価の視点等の変更について皆様に御了承をいただきたく、簡単に説明させていただきます。本年3月にGPIFの第2期中期目標・中期計画の変更について、委員の皆様方に書面で御意見を伺ったところです。参考資料32ページ目と3ページ目に付けてありますとおり、皆様の御意見を踏まえ、本部会で御了承いただいたことにより、325日付けで中期目標・中期計画ともに変更されたところです。この中期目標・中期計画の変更に合わせて、評価項目や数値目標についても、同様の変更をお願いしたいというのが本日の議事の1でございます。

 具体的には資料1-1と資料1-2を御覧ください。資料1-2が先ほど申し上げた、3月に変更された中期目標・中期計画の抜粋部分で、下線部分が変更部分です。資料1-1の四角で囲んだ部分にも書いてありますが、何が変更されたかと言いますと、一般管理費と業務経費に関する節減目標の対象外の経費に、資金運用の見直しのための高度で専門的な人材の確保、その他昨年12月に閣議決定された、独法改革等に関する基本的な方針に基づく施策の実施に必要な経費を追加するという変更でした。資料1-1にも書いてありますが、評価に当たっての評価項目の11の数値目標の部分と、評価の視点の部分も同じように修正をしたいというある意味形式的な変更案で、この場で御了承いただければ幸いでございます。なお、お配りしている資料1-5の評価シートでは、既に恐縮ながら変更案を盛り込んだ形のペーパーにしております。よろしくお願いいたします。

 

○山口部会長

 ただいま事務局から提案がありましたが、3月の中期目標・中期計画の修正に伴う評価項目、内容等の修正でございますので、よろしいでしょうか。では、そのように取り扱わせていただきます。

 

○政策評価官

 続きまして、個別評価の進め方について、和田補佐から説明申し上げます。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、個別評価の進め方について御説明いたします。まず、お手元に配布しております参考資料2「平成25年度業務実績に係る自己評定一覧表」を御覧ください。こちらの左端になりますが、グループ13のグループ区分がございますが、個別評価におかれましては、法人の評価項目をこのグループ区分に従いグループごとにまず、最初に法人から業務実績や自己評定について御説明していただき、次に、これに対する質議応答と、資料1-6への評定記入を繰り返していただきます。評定につきましては、SD5段階評定となりますが、各委員におかれましては、法人からの説明を踏まえ、中期計画どおりの実績であればB、上回っていればA、大幅に上回っていればS、下回る場合にはCあるいはDを記入していただきます。評定には原則として理由を付けていただきますが、特に計画を大幅に上回った場合のS、又は計画を大幅に下回った場合のDの評定を付ける場合は、そのように御判断した理由を具体的に御記載いただくようお願いいたします。法人におかれましても、自己評定でSを付けた項目につきましては、説明の際にその理由を明確に御説明いただきますようお願いいたします。また、参考資料2の、この表の右側の欄には、平成25年度の業務実績評価に係る法人の自己評定と、昨年度の委員会での評定結果及び法人の自己評定を記載しておりますので、こちらは評定を付ける際の御参考としていただきますようお願いいたします。なお、委員の皆様方には、評定記入用紙に評定と評定理由を記入しながら、議事を進めていただきますが、会議時間内に記入が終わらない場合につきましては、資料をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、あるいは本日評定記入用紙の電子媒体をメールでお送りいたしますので、電子媒体に御記入の上、御提出いただければと思います。なお、後日、提出いただく場合につきましては、大変恐縮ですが、723日水曜日までに事務局宛てに御提出いただきますようお願いいたします。事務局からは以上でございます。

 

○山口部会長

 議事に入ります。最初に、年金積立金管理運用独立行政法人の評価の視点等の変更についてです。冒頭における取扱いのとおり、本部会としては了承しております。まず、理事長から御挨拶と、平成25年度における業務実績のポイントをお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 理事長の三谷です。今回は、第2期中期計画期間における第4回目の実績評価となります。よろしくお願いいたします。

 まず、昨年度の運用実績ですが、いわゆるアベノミクスに対する期待や、欧州経済の底打ち、米国における緩やかな景気回復等を背景に、年度初めから内外の株価が上昇するとともに、為替円安も進行いたしました。第4四半期に入ると、消費税引上げ後の我が国の景気に対する懸念、米国での寒波襲来、ウクライナ情勢の緊迫化などから相場は一服状態となったものの、年度を通して見ると、外国株式、国内株式を中心に102,200億円と、一昨年度に続き10兆円を上回る運用収益を上げることができました。

 この間、国内債券の利回りが極めて低水準であったことから、昨年6月の基本ポートフォリオの見直しによる国内債券比率の引下げに伴い、約9,000億円収益が上振れ、また、その後も内外株式の時価上昇や、キャッシュアウトに伴い低下した国内債券の比率を、リバランスを行うことなく低目に維持していたことにより、1兆円強の増益となり、合わせて約2兆円の収益の上振れを実現させることができました。

 次に、昨年度における私どもの主な取組について簡単に御説明いたします。資料1-32ページを御覧ください。第1は、運用効率化に向けての取組です。まず、これまでの調査研究等を踏まえた、国内外の機関投資家との共同投資協定に基づくインフラストラクチャー投資の導入です。先進国の既存の電力発送電、ガスパイプライン、鉄道などから長期にわたる安定した利用料収入を目的としたものです。

 また、昨年度は一昨年度に着手した外国株式アクティブのマネジャー・ストラクチャー見直しの第3次審査、これが最終審査になりますが、及び国内株式パッシブ・アクティブについてのマネジャー・ストラクチャーの見直しを実施いたしました。アクティブ運用については、いずれもこれまでのように一定の運用スタイルを念頭にマネジャーを募集するのではなく、多様なプロダクトの応募を求め、その中から確信度の高いファンドを厳選するとともに、一部については運用実績に連動する報酬制度を導入したほか、次回見直しまでに解約等があった場合に備え、リザーブファンドをあらかじめ選定しておくなど、新たな対応を図りました。

 さらに国内株式については、直近の調査研究の成果を生かしつつ、パッシブ運用では、これまでのTOPIX型に加え、新たにJPX400等をベンチマークとするファンドを採用。またアクティブ運用では、スマートベータ型のファンドを採用したほか、J-REITへの投資も開始いたしました。

 加えて昨年10月から新たな商品性で発行が再開された物価連動国債について、発行及び流通の状況を見た上で、インフレリスクの軽減に資する運用手段として、新年度より購入を開始することとし、必要な準備を進めました。

 第2に基本ポートフォリオの見直しです。昨年、本部会でも御説明したとおり、直近までのデータを踏まえ、各資産の期待リターンを検証するとともに、各資産のリスク・相関係数を更新した上で、新たに効率的な資産構成の組合せを求め、様々なシミュレーションを経て、基本ポートフォリオを変更することが適当との結論に至りました。その結果、ここにあるように国内債券比率を67%から60%へと7%引き下げる一方、国内株式を1%、海外債券、株式の比率をそれぞれ3%引き上げることになりました。この新しい基本ポートフォリオは、厚生労働大臣の認可を経て、昨年6月より適用しております。

3ページで第3は、調査・分析の充実とその活用です。平成25年度は年金積立金の長期的な運用の枠組みについての基礎的な研究を大学と共同で実施、その成果は次期基本ポートフォリオの検討の中で活用していきたいと考えているほか、外部の2機関に委託した、非時価総額加重平均型ベンチマークについての調査研究の成果については、先ほどお話した国内株式のマネジャー・ストラクチャーの見直しの際、新たなベンチマークの採用や、スマートベータ型アクティブファンドの選定に活用しました。また、最初に触れた国内外の機関投資家との共同投資協定に基づくインフラストラクチャー投資は、平成24年度に4機関に委託して実施した、オルタナティブ投資スキームについての調査研究で示されたスキーム、考え方等を踏まえつつ導入したものです。

 第4に、業務運営の効率化による経費の節減です。当法人では、従来から経費の節減に努めておりますが、平成24年度に実施した国内債券の運用受託機関の見直しに伴う管理・運用委託手数料節減の平年度化により、平成25年度は更に113,000万円の追加的な経費の削減につながりました。また2011年まで、株式配当金に15%の源泉課税がなされていたオランダにおいて、オランダ法ではなくEU法等を根拠に、カナダの年金がその返還を提訴したところ、オランダ当局が請求を容認したという情報を得たことから、資産管理機関、法律事務所とともに、迅速にその内容を精査し、連携してオランダ税務当局と交渉した結果、約48億円の返還金を受け取ることができました。

 以上、私からの挨拶と、昨年の私どもの業務実績の主要なポイントについての説明を終わります。よろしくお願いいたします。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。3つのグループごとに、年金積立金管理運用独立行政法人の個別評価に入ります。まずグループ1です。これは評価項目の1から3について評価します。時間は、法人から15分ぐらい御説明を頂き、その後15分ぐらいでこちらからの質問、答えていただく質疑応答と、それと評定の記入も委員の皆様方は同時にやっていただきたいと思います。後半15分ということで、合計30分でグループ1を進めていきます。まず、法人から平成25年度の業務実績と自己評定についての御説明をお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 グループ1について御説明いたします。資料1-4「平成25年度業務実績評価シート説明資料」により行わせていただきます。1ページは「年金積立金の管理及び運用の基本的方針」です。第2期、すなわち平成22年度から平成26年度までの5年間については、厚生労働大臣から、第2期中期目標が示され、それに基づき表1のとおり基本ポートフォリオを策定しております。第2期中期目標期間当初の基本ポートフォリオについて、更新したリスク・リターン・データを用い、安全・効率的かつ確実であることを検証し、平成256月に、より効率的なポートフォリオに変更しております。また2のとおり基本ポートフォリオを長期的な観点から維持・管理するとともに、ベンチマーク収益率の確保に努めております。更に3のとおり、具体的な行動では資産全体について資産構成割合の維持管理など、各資産について運用した機関の見直しなど、各運用受託機関についてその選定・管理・評価という対応を行っております。

2ページは、管理・運用方針の策定、公表見直しです。評価の視点は、管理・運用方針について、毎年1回検討を加え、見直しを行ったかということです。管理・運用方針は左にあるように、積立金の管理及び運用に関し、具体的な方針を定めたものです。右に平成25年度の主な改正事項を記載しております。特に平成2512月の改正は、新たに外貨建て投資信託受益証券の管理及び運用方針を定めております。また平成263月はベンチマークにとらわれず、銘柄を厳選する投資を認めるための記載の追加、J-REITが運用対象であることの明確化及び物価連動国債ファンドに係る規定の変更です。

3ページは「運用目標1」です。評価の視点は、運用受託機関の選定・管理・評価は適切に行われているか。特にアクティブ運用については投資方法は、銘柄選択の方法等の運用手法及び運用体制について必要な評価指標を設け、定性評価が適切に行われているかということです。

 左の「運用受託機関の管理」についてですが、年1回総合評価のための定期ミーティングを実施しております。定期ミーティングで問題が残った運用受託機関については、再度リスク管理ミーティングという形でフォローアップをしております。また、月次で運用実績、リスク状況の報告を受けております。何か問題があれば随時ミーティングを実施し、確認をしております。これらのミーティング等を通じ、運用実績やリスクの状況、ガイドライン遵守状況等を確認しており、金融監督当局による処分を含め、問題が認められた場合は程度に応じ、警告から解約等の対応を取っております。

 右の「運用受託機関の評価」については、定性評価、定量評価に基づき、総合評価を行います。定性面では、投資方針、運用プロセス、組織・人材等に関し、有効あるいは明確な取組がなされているかという点等について評価を行います。定量面では、パッシブ、アクティブ運用それぞれ若干違いはありますが、超過収益率、トラッキングエラー等について評価を行っております。定性、定量両面を合計した総合評価の点数が一定水準に達しなかった運用受託機関には、解約、資金の一部回収、配分停止という措置を講じております。昨年度は解約は、外国株式アクティブは1ファンド、資金の一部回収、配分停止は外国債券アクティブは1ファンド、外国株式アクティブは3ファンドでした。一方、総合評価の点数が一定水準に達した外国債券アクティブは6ファンド、外国株式アクティブは3ファンドに資金の追加配分を行いました。

4ページは、「各資産ごとのベンチマーク収益率の確保」です。数値目標は各年度において、各資産ごとのベンチマーク収益率が確保されるよう努めるというものです。評価の視点は、数値目標に対してどういう管理に努めているかということです。左下に昨年度の実績があります。国内債券及び短期資産は、ベンチマーク並みの収益率でした。また国内株式、外国債券及び外国株式については、ベンチマークに対してマイナスの超過収益となりました。

5ページは、「ベンチマークの設定」です。評価の視点は、ベンチマークは市場を反映した構成であること等を勘案した適切な市場指標を設定しているかということです。ベンチマークは市場を反映し、投資可能な有価証券により構成され、かつその指標の詳細が開示されていることを勘案して設定しております。

6ページからは、「リスク管理」です。評価の視点は、資産全体の資産構成割合とポートフォリオの乖離状況を毎月1回把握し、必要な措置を講じているかということです。「評価の視点」の下に考え方等を記載しております。基本ポートフォリオの資産構成割合と、実際のポートフォリオの資産構成割合との乖離状況を把握し、リスク管理、リバランスは原則として、各資産の資産構成割合が基本ポートフォリオに定めた乖離許容幅を超えた場合に実施ということです。昨年度は、国内債券が基本ポートフォリオの乖離許容幅の下限を一時的に超過したため、リバランスを実施いたしました。また、基本ポートフォリオの見直しを行い、その後は乖離許容幅を各資産とも乖離することはありませんでした。リバランスは、乖離許容幅内にある場合においても、定期的に検討を行うこととしており、リバランスを行う場合には、足元の市場動向等の分析を行い、市場に特段の影響を与えることなく、適切・円滑に実施しております。

7ページは、「対複合ベンチマークの超過収益率の要因分析」についてです。評価の視点は、各資産の収益率とベンチマーク収益率、資産全体の収益率と複合ベンチマーク収益率を比較し、その乖離要因を分析し、必要な措置が講じられているかということです。基本ポートフォリオどおり運用した場合の複合ベンチマークの収益率と、実際の収益率の差の要因を分析しております。要因は資産配分です。この資産配分要因のプラス0.92%については、国内外の株式の上昇や円安の中で、内外株式の構成割合が参照値、すなわち基本ポートフォリオを基に計算された資産構成割合を平均的に上回っていたことなどがプラスに寄与したと認識しております。

8ページの上は、「各資産のリスク管理」です。評価の視点は、各資産ごとに管理すべきリスクを明確にし、定期的に確認し、問題がある場合は必要な措置を取っているかということです。国内株式及び外国株式については、トラッキングエラーやベータ値により、また国内債券及び外国債券については、トラッキングエラーやデュレーションをそれぞれ毎月モニターし、問題がないことを確認しております。また、信用リスク、カントリーリスク等についてもモニターし、問題がないことを確認しております。

9ページは、「リスク管理4」です。評価の視点は運用受託機関にガイドラインを示しているか、運用スタイルの異なる運用受託機関を適切に組み合わせるとともに、運用スタイルに対応した適切なベンチマークを示しているかなどです。左にあるように、運用受託機関へガイドラインを提示し、併せて各ファンドごとに運用スタイルに対応したベンチマークを設定しており、ガイドラインに示しているリスク管理項目等についてモニターしております。平成25年度は3件の軽微なガイドライン違反が認められ、口頭注意等を行いました。また、運用体制の変更についてもモニターしており、平成25年度は51件の変更がありました。

10ページは、「リスク管理5」です。評価の視点は資産管理機関にガイドラインを示しているか、また各社の資産管理状況を把握し、必要な措置を取ったかということです。資産管理機関についても、運用受託機関と同様にガイドラインを提示してモニタリングしておりますが、昨年度は問題等はありませんでした。

11ページは、「自家運用のリスク管理」です。評価の視点は自家運用において、運用ガイドラインを定めているか、また、問題がある場合は必要な対応を行ったかなどです。自家運用のリスク管理の観点から、債券売買の取引先、短期資産の運用先及び債券貸付運用先について定期的にモニタリングをしております。また運用状況等の確認については、運用受託機関と同列に、運用受託機関の管理あるいは評価を行っている運用部がガイドラインの提示をし、いろいろな状況を確認しており、言わば運用部が牽制機能を働かせています。

12ページからは、「運用手法」についてです。パッシブ運用を中心とした運用手法についてまず御説明いたします。評価の視点は、運用手法は各資産ともパッシブ運用が中心となっているかということです。運用手法については、各資産ともパッシブ運用が79割程度を占め、パッシブ運用を中心としております。評価の視点で、収益確保や運用の効率化のための運用手法の見直しを行っているかという点がありますが、平成25年度は主として4つの見直しに取り組みました。1つ目は共同投資協定に基づくインフラストラクチャー投資の導入、2つ目は国内株式のマネジャー・ストラクチャーの見直し、3つ目は外国株式アクティブのマネジャー・ストラクチャーの見直し、4つ目は物価連動国債の導入です。私どもとしては、これらの取組全体については、自己評価を今回はSとさせていただいております。

13ページは、「国内外の機関投資家との共同投資協定に基づくインフラストラクチャー投資」についてです。平成24年度に実施したオルタナティブ投資スキームについての調査研究において、流動性の犠牲に伴うプレミアムの獲得や、分散投資による効率性の向上が期待できること、投資信託に直接投資する方法が考えられること、また、運用実績を蓄積した国内外の機関投資家と連携することで、彼らの投資能力の活用や知見の吸収に資することから、検討に値する旨報告がありました。

 インフラ投資の特徴として主に3つが考えられます。まず、電力発送電等から、長期にわたり安定した利用料収入等を見込む投資で、海外の年金基金等では有力な運用手法となっていること。安定したインカムゲインが得られる点で、債券に類似したキャッシュフローを有し、利回りが一般の債券より高いこと。そして、株式市場等の価格変動の影響を受けにくく、一般的な債券や株式との分散投資により年金財政の安定に寄与し得ることです。調査研究の結果、また、このようなインフラ投資の特徴を踏まえ、実施に向けて検討を行い、更に運用委員会において実施の必要性等を十分御審議いただき、国内外の機関投資家との共同投資協定に基づくインフラ投資を開始いたしました。投資に先立ち、自家運用としての外貨建て投資信託受益証券ファンドの設定のほか、所要の体制整備を行いました。

14ページは、「インフラ共同投資のスキーム」の説明です。インフラ投資に当たっては、豊富な実績を持つ日本政策投資銀行及びカナダのオンタリオ州公務員年金基金と、先進国の電力発送電、ガスパイプライン等のインフラストラクチャーに投資する共同投資協定を締結しました。運用は投資信託を通じて行い、投資信託の運用者であるニッセイアセットマネジメントが、マーサー・インベストメンツ社の助言を得て、OMERSが発掘するインフラ投資案件への参加の可否を判断する仕組みです。

15ページは、「国内株式及びマネジャー・ストラクチャーの見直し」についてです。平成25年度に公募を行い、第3次審査まで実施し、パッシブは10ファンド、アクティブは14ファンドを選定しました。パッシブ運用では、JPX日経400を含む3つのインデックスを新たに採用し、市場インデックスの分散を図りました。アクティブ運用では、スマートベータ型アクティブ運用を、従来の伝統的アクティブ運用と別枠で位置付け、効率的かつ低コストでの超過収益を目指すこととしております。伝統的アクティブ運用においては、超過収益獲得を目指し、企業との対話により価値向上を目指す運用、いわゆるエンゲージ運用などを含む多彩な運用手法のファンドを厳選いたしました。

 また、リザーブファンドを複数選定し、ファンド解約時の収益の落ち込みを防止することといたしました。さらに運用受託機関のインセンティブを向上させるため、運用実績連動型報酬のファンドを一部採用しております。パッシブ、アクティブ共通ではJ-REITへの投資を開始しております。

16ページは、「外国株式アクティブに係るマネジャー・ストラクチャーの見直し」です。平成25年度においては、最終審査に当たる第3次審査を実施し、9ファンドを選定いたしました。特定の運用スタイルにとらわれず、ボトムアップで審査を実施し、確信度の高い多彩な運用手法のファンドを厳選しております。具体的にはベンチマークにとらわれず、綿密な調査に基づき、優良企業に厳選投資する手法や、株価の動きに注目し、効果的なリバランスを活用することで超過収益を目指す手法等を採用しました。また、新興国の成長を取り込むため、新興国市場の銘柄もオフベンチマークとして投資対象とするファンドを積極的に採用しております。さらに、リザーブファンドと運用実績連動型報酬については、国内外の株式を通じ、このとき初めて導入したものです。

17ページは、「物価連動国債の導入」についてです。物価連動国債は、運用委員会でもリスク管理の観点から、インフレリスクを軽減するため、投資の検討が以前にされましたが、しばらく発行が停止されていたということです。平成2510月に物価連動国債の発行が再開され、物価連動国債は物価の上昇に連動し、元本と利息が増えることから、インフレ局面では強い投資対象であり、今後のデフレ脱却を見据え、リスク管理の観点からもインフレリスクを軽減することが期待できるため、関係省庁との調整や情報収集を行った上で、運用委員会での御審議を経て、平成26年度から新たな投資対象としてその導入を決定しました。

18ページは、「運用受託機関の選定」です。運用受託機関の運用実績等を勘案し、運用受託機関を適宜見直しているかなどが評価の視点です。選定のプロセスについては、左の図に記載しているとおりです。

19ページは、「財投債の管理及び運用」です。評価の視点は、財投債の管理及び運用は適切に行われているか、時価による評価も併せて行い、開示しているかということです。財投債については、管理・運用を適切に行っております。資産の評価に当たっては、償却減価法に併せ、時価法による評価も実施し、平成25年度業務概況書及び各四半期の運用状況等において公表しております。簿価と併せ、時価も公表しております。グラフでお示ししておりますとおり、順次償還を迎えることで残高は減少している状況です。第1グループの説明は以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。委員の皆様は、評定記入用紙が資料1-6にありますので、こちらのほうに今の評定項目1から3について御記入をお願いいたします。今、御説明いただきました内容について、御質問等がありましたら適宜お願いいたします。

 

○引間委員

 御説明いただいた資料ではなくて、もう1つの詳細のほうの資料1-5を拝見しました。最初に細かい数字の確認なのですが、5ページでベンチマークに対する超過収益率の要因分析が書いてあって、その下の()に細かい字で書いてあります。マネジャー・ストラクチャーの見直しに伴う銘柄入替えの売買等による影響を除いた超過収益率ということで、アクティブ運用でマイナス0.41、パッシブでマイナス0.04となっています。これは4ページの生の数字の所が、国内株式アクティブがマイナス0.09で、売買コストの要因を差し引いたほうが悪くなるのはどうしてなのですか。ひょっとしたら、()の所のアクティブとパッシブの数字が逆だったりしませんか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 ここは、まず全体の話で申し上げますと、今回のマネジャー・ストラクチャーはかなり大規模なものでした。スマートベータとか、パッシブでも新しいインデックスを入れたり、また既存のマネジャーも大幅に入れ替えたということです。今回の国内株式については、銘柄を大きく入れ替えました。その結果として、全体の数字で申し上げますと、47ベースのうち、36ベースポイントぐらいが、この銘柄入替えに伴う売買等の影響で、少しベンチマークを下回ったということです。

()との関連ですが、マネジャーの入替えの前まで、すなわち既存のマネジャーというのはこれまでずっと成績が悪くて、入替えの直前までで計ると41ベースぐらいのマイナスが出ておりました。ところが、マネジャーの入替えで新しいマネジャーに入れ替えて、銘柄入替え作業をやっている間にアクティブは逆に大きくプラスになりました。結果として、通期で言うとアクティブ運用のアンダーパフォームが9ベースにとどまっています。これは、新しいマネジャーの力によってプラスになったということです。旧マネジャーだけでカウントすると、アクティブ運用は()のとおりマイナス41ベースになったということです。()の数字は、アクティブとパッシブが逆になっていることはなくて、正確な数字ということで御理解いただければと思います。

 

○引間委員

 売買コスト以外の要因も入っているからこうなるということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 はい、おっしゃるとおりです。

 

○引間委員

 私の質問はこの部分に集中していて、次は7ページの数値目標の所です。数値目標としては、「各年度において各資産ごとのベンチマーク収益率が確保されるように努める」と書いてあって、今期に限って言うと、実績としては短期資産を除く4資産としては、対ベンチマークで言うと13敗というか、国内債券だけ勝っています。その観点で、自己評価でAというのは、ベンチマーク対比でマイナスであっても、例えばある一定レベルのアローワンス以内であれば、ほぼベンチマーク収益率は確保されたとみなされるというような一定のガイドラインというか、考え方があるのでしょうか。私は初めてなので教えてください。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 この数値目標は、各年度ごとにベンチマークに対する超過収益を確保するように努力する。これがマイナスになっている部分については、御指摘のとおりでございます。ただ、高い評価を付けさせていただいた要因として、昨年度については外国株式、国内株式は大きなマネジャーの入替えの作業をやりました。また、インフラ投資という新しいものにも取り組み、物価連動国債の対応も進めていたということで、そこの努力の部分を自己評価させていただいて、こういう評価を付けさせていただきました。実際のパフォーマンス、我々が実際に昨年度1年間やってきたことを合わせてSという評価を頂戴できればということで付けました。

 

○引間委員

13ページのリスク管理の所ですが、こちらでやっておられるのは、参照ポートフォリオの推定総リスクと、実績ポートフォリオのリスクの乖離の要因を分析されていて、大体その両者の構成割合の乖離から生じているという御説明でした。それは、当然そうなるのだと思うのです。お伺いしたいのは、そもそものポートフォリオのトータルリスクの目標がどうなっているのかということと、そのトータルリスク目標に対して、実績ポートフォリオの、いわゆる実績ボラティリティみたいなものというのはトラックされているという形のリスク管理はやられているのかどうかをお伺いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 私どもは、毎月トータルのポートフォリオのリスク、それからベンチマークである基本ポートフォリオのリスク、トラッキングエラーの数字は毎月把握しております。おっしゃるとおり、このリスクの発生要因というのは、正にアロケーションの差によって出てくることは毎月把握しています。

 私ども、管理の基準としては、リスクの主たる発生要因が基本ポートフォリオと実際のポートフォリオの構成割合の差から出てくることを一番大事に捉えております。その乖離許容幅を超えた場合は戻すというルールで管理をしています。御質問のリスクのトラッキングエラーなり、トータルのリスクの総量で何か管理をしているかというと、そこに何か限度を設けているところはありません。あくまで継続的に時系列でウォッチしています。乖離許容を超えたら戻すという作業をしていると御理解ください。

 

○川北部会長代理

 説明資料の5ページで、ベンチマークに関して適切な市場の指標を設定しているのかどうか。これが評価の視点だと認識しています。その時に、これは後で出てくる新たなベンチマークとして、JPX400を採用しているということと関係しますが、この点において常にベンチマークとして何が適切なのかどうか、この点はどのように検証されているのか、若しくはその検証の結果どのような判断なり、行動なりを起こされているのか、まずその点をお伺いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 国内株式については、今回新しいストラクチャーの下で、個別のマネジャーごとのベンチマークについては、それぞれの運用スタイルに即した、例えばパッシブだとJPX400とかスマートベータのタイプであれば、それにふさわしいベンチマークを当てて評価をしています。ただ、5ページに記載しております、私どもの評価ベンチという観点で申しますと、国内株式の新しいストラクチャーの下でも、そのストラクチャー全体で私どもはTOPIXに対して超過収益を目指すということでやっております。評価ベンチについてはTOPIX、新しいストラクチャーの構築後もTOPIXで変更はないと御理解いただければと思います。

 

○川北部会長代理

 その点に関係するのですが、株であればJPX400、さらにインフラ投資を新たに採用するという決定をされています。実際にそれを採用するというように判断された根拠と言うと大げさすぎるのですが、その辺りをお聞かせいただけますか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 御指摘のJPX400は、あくまでもTOPIXをコアとしつつ、JPX日経400と、あとはMSCIジャパンと、Russell/Nomura Prime3つをサテライト的に、あくまでもパッシブという中で、いわゆるインデックス分散を図ったということが基本的な考え方になります。したがって、これはあくまでもパッシブですので、評価ベンチはTOPIXにしつつも、そこは新たにパッシブ、インデックスとしての今後の将来的な可能性も視野に入れた上で、取りあえずは少ない、かなり小さい額をアロケートしてやってみたということです。そこもウォッチしつつ、今後評価ベンチ全体、例えばJPX400のポーションをもっと大きくするということであれば、それは評価ベンチ自体の変更の可能性にもつながるという意味において、我々はこういう形にしたということで御理解いただければと思います。

 インフラについては先ほども説明しましたけれども、あくまでもこのインフラ投資の目的というのが、長期的に安定したキャッシュフローの獲得であるということ、もう1つは実際のアロケートするインフラプロジェクト自体が外国の資産になる、外国のものであるということを踏まえると、これは、いわゆる外国債券のアクティブ運用の一環として位置付けるという考え方の下に、今回はこういう形でやらせていただいたと御理解いただければと思います。

 

○川北部会長代理

 追加で細かな点になって恐縮なのですが、例えばJPX400の場合であれば、この8月に銘柄入替えが確かあると思います。JPX400の採用時点で示されている過去のシミュレーションの数値というのは、あくまでも仮想の銘柄入替え、仮想と言うと変ですけれども、実際の市場にさらされていない銘柄入替えの結果とTOPIXとの比較だと思うのです。これが、実際に銘柄入替えが行われたときに、結構インパクトがあるのではないかという心配もあるのですが、その辺りはどのように判断して採用しているのかを聞かせていただけますか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

JPX400については、我々のストラクチャーの位置付けの中でも、パッシブの中でのベンチマークの多様化と、流動性TOPIXなどに比べると非常に銘柄の数も絞られて流動性も高かったり、ユニバースも広かったりといった観点に着目して採用したということです。あくまでパッシブの中の1つのバリエーションです。インパクトについてですが、確かにJPX400はまだ歴史も浅いインデックスですので、この運用が銘柄入替えの際にインパクト等によって、どういうパフォーマンスを示していくのかというのは、今後我々もウォッチをしていかなければいけないと考えています。

 そういう新しいベンチマークであることも踏まえ、スタートは極めて少額で始めております。3社に対して500億円ずつ分けて配分し、そろりそろりと様子を見ながらやっています。その3社についても、TOPIX運用でこれまで実績もあって、TOPIXにおける銘柄入替え等にも注意をして採用・執行してきた運用機関にお任せし、そういう銘柄入替えに伴うインパクトが極力抑えられるように分散して執行するといった、そういう工夫にたけた運用機関にお任せしている中で、慎重に始めているということです。

 

○光多委員

 インフラ投資なのですが、14ページの絵がどうも分かりにくいのです。このOMERSというのが投資案件を発掘してくるのですかね。投資信託の所でそれを受けて、マーサーの助言を得て、それから「インフラ事業を行う企業の株式等への投資」と書いてあります。融資ではなくて投資ですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい。

 

○光多委員

 そうすると、これはエクイティですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 エクイティです。

 

○光多委員

 それでやった場合に、通常のレンダーではなくて、エクイティですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、そこはエクイティの投資という形になります。

 

○光多委員

 そうすると、一個一個SPCができるのでしょうけれども、そのSPCのエクイティ。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 おっしゃるとおりです。

 

○光多委員

 そうすると、短期的になりますよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 ここは、インフラプロジェクト自体は、既に稼働している、例えば火力発電所とか、そういうものを実際に供給しているような所になりますので、既にキャッシュフローといいますか、そういうものがある所に後で投資するということです。

 

○光多委員

 ニッセイアセットが、マーサーの助言を得てOKと言った場合に、上の3社のOMERSGPIFDBJはどういう比率でそこに対してお金を出していくのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 その具体的な比率については投資協定の中でのコンフィデンシャリティの問題がありますので、言える範囲で御説明いたします。全体の投資規模を、例えば1つのプロジェクトを100とした場合に、過去の例ではOMERSが過半数という形です。このプロジェクトについては、我々GPIFDBJ1つのパーティになっていますが、別に国内も含めた他の機関投資家が幾つか入っていて、残りの部分をそこでシェアするという感じの立て付けになっています。

 

○光多委員

OMERSGPIFDBJでお金の流れが違いますよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい。

 

○光多委員

 こちらは信託受益権証書の購入で、こちらは直接エクイティをやるのですかね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい。

 

○光多委員

 これは、どうしてこうなるのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 例えば、1つの火力発電所のプロジェクトがあると、この火力発電所に対して1つのSPCができます。そのSPCの株式をOMERSのほうは直接その株式の購入が制度的に許されていますので、そういう意味でSPCの株をそのまま持つのがOMERSです。ところが、我々のほうは実際にその法律上株式を直接持つことが禁止されていますので、ここは一旦投資信託が、実際にニッセイアセットの判断で、投資信託としてSPCの株を。

 

○光多委員

 分かりました、時間の関係もあるので。このスキームは全部説明できないとおっしゃっているので、多分いろいろあるのでしょうけれども、何かうまくいくのかなという感じのほうが強いのです。慎重にやってください。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい。

 

○光多委員

 もしこれを投資すると、それから先ほどのJ-REITの投資をしますよね。川北先生がおっしゃった、ベンチマークのところは入るのですか。例えば、国内債券のところに、J-REITのベンチマークは入っているのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

J-REITということで申し上げますと、今回新たに採用しているスマートベータとか、パッシブで言うとMSCIといったベンチマークの運用にはJ-REITが入ってまいります。それぞれのマネジャーのベンチマークにはJ-REITが入ったもので評価することになります。

 

○光多委員

 もう1つは、今回マネジャー・ストラクチャーの見直しをやって、そこで国内株式のパッシブが非常にマイナスになったと。やはり、これはまずかったわけですか。淡々とおっしゃっているのだけれども、今回はこれが一番大きいわけですよね。逆に行くとやらなければよかったわけです。平成25年度はマイナスのエフェクトだったのだけれども、中期的にはこうなるのだとか、戦略的にどうだと、その辺の説明がないと、何かまずかったことをやってしまったという感じに受け取れるのです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 その点につきましては、国内株式については過去数年間アクティブ運用が、これまでいろいろ御指摘を受けてきたとおり、成績が不振の状態が続いておりました。今回、私どもも新しい切り口でスマートベータ等の構造も組み入れて、大幅に組替えを行いました。既存のマネジャーを放置しておくと、多分毎年毎年損が積み上がっていく状況が続いたのではないかと考えております。その観点で、今回マネジャーを入れ替えて、超過収益が期待できるものに替えました。これは、その過程で一時的に銘柄入替えのコストが少しかかってしまいましたけれども、新しいスキームの下で運用を続けることで、そこは十分取り返していけるのではないかと期待しているものです。

 

○光多委員

 いいのだけれども、結果は結果ですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 はい、今年度の結果としては、それはおっしゃるとおりです。

 

○光多委員

 これが、中期的にどういう形でまた実っていくのか、その辺についてはどうですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 中期的な。

 

○光多委員

 平成25年度は、結果は結果ですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、結果は結果です。

 

○光多委員

 それが、こういう新しい効果があるから、こういうことが実を結んだという話があればいいのだけれども。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 実を結ぶかどうかというのは将来の話ですので、我々としては強い確信を持って期待はしています。ただ、実績は実績ですので、将来の予測はできません。

 

○安浪委員

 今年度の収益が10兆円で、去年が11兆円だったのです。全体として1兆円収益が減りましたと。その中で国内債券が去年は21,000億円あったのが、今年は3,000億円で、18,000億円ぐらい減っています。国内債券は18,000億円と大きく減少したのですけれども、説明資料の4ページでベンチマーク収益に対してプラスであると。国内債券はベンチマーク収益率に対してプラスであるというお話になっています。

 説明資料の5ページで、設定したベンチマークというのが、国内債券についてはNOMURA-BPI国債と書かれています。国内債券の中で、自家運用されているのがあります。それはBPIファンドとBPI国債ファンド、キャッシュアウト対応ファンドというものの合計で26兆円投資されています。これの収益率が概況書の16ページに、BPIファンドが0.56%で、ベンチマークの0.58%並みであるという説明が書かれています。要は、NOMURA-BPIファンドに投資していて、それの対比するベンチマークをNOMURA-BPIの数字を使うと、公正なベンチマークになっていないのではないか。数値はベンチマークと比べた場合、実績数値がベンチマークと近い数字になるのは当然のことではないかと思うのです。

 国債パッシブの中で、BPIファンド、BPI国債ファンド、キャッシュアウト対応ファンド以外に市場運用されているものがありますから、全体としての運用は少し変わるのかもしれませんけれども、ベンチマーク収益率と対比する場合に、BPIファンドに投資していて、BPIファンドの収益率をベンチマークとして使えば、比べるものが、同じものに投資していて、同じベンチマークで、その数字が若干プラスになっていますと言っても、果たしてそれはベンチマークとして対比していることにはならないのではないかという気がするのですが、そこはいかがでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 インハウスは基本的にパッシブの運用をしていますので、パッシブであれば基本的にベンチマークとほとんど同じような動きをすることになってまいります。ただ、その中でも取引の発注の工夫とかいろいろな工夫をしていて、いくばくかなりともベンチマークを上回るように私どもとしてはインハウスでも努力しています。

 

○安浪委員

NOMURA-BPI以外に、国内債券のベンチマーク指標は何か取れるものはないのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 国内債券のメジャーなベンチマークということになると、市場を大きくシェアを持っている野村証券の出しているNOMURA-BPIというものが、マーケット全体を幅広く押さえた、正にベンチマークの基準にふさわしいベンチマークということで、マーケットでも運用機関の間でも認知されていると理解しております。

 

○安浪委員

 国内債券のベンチマークが、今年は0.56%と非常に低くなりました。去年はもっと高くて3.7%ぐらいでしたか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 はい。

 

○安浪委員

 国内債券も私の感覚では、アベノミクスが1年強続いていて、国内債券が去年は3.7%で、今年が0.56%まで下がったというのは、相当大きな下落だと思います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 おっしゃるとおりです。

 

○安浪委員

 私の一般的な経済感覚からして、なんでそんなに差があるのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 去年とか一昨年は、まだ国内金利、国内長期金利が下がるプロセスにありました。去年3月の国内長期金利が53ページに書いてありますけれども、0.55まで下がりました。ところが、その後昨年度1年間では、むしろ金利が上がると。昨年3月では0.55だったものが、今年3月には0.65まで金利が上がりました。したがって、債券の値段は下がったということになります。これは、御理解いただけますね。

 

○安浪委員

 はい。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 平成24年度は手元に数字はないのですけれども、債券の金利がどんどん下がる過程にありました。その時には、債券の価格は上がるということで、債券の値上がり分プラス利息収入が運用収益として出てきます。平成25年度は、利息収入から逆に、債券の値下がり分が引かれてしまって、したがって運用環境としてみればそれぐらいの利益しか出なかった。運用利回りが大きく下がったことになります。そういう環境の中にあったものですから、冒頭に私から申し上げましたように、国内債券の比率を基本ポートフォリオ並みに持っていると、これは運用利回りの低い資産が増えるだけで、結果的には全体の運用利回りを下げることになるので、それを基本ポートフォリオから下のほうに乖離したものをそのままにしておいて、低収益資産のウエイトを減らし、その結果として昨年度1年間では、1兆円余りのプラスの収益が出ているということです。

 

○安浪委員

 金利と価格の関係で、去年が3.7%ぐらいで高いものが、今年度は0.56%ぐらいに下がったのが理由だということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 はい。

 

○大野委員

 インフラ投資の件等について伺います。この度新たな投資対象、スキームを導入されたということです。こういう様々な試みをされているということは非常に高く評価できるかと思います。平成25年度において、具体的にどういうことを進められたのかについて伺えればと思います。インフラ投資に関しては、平成24年度に調査を既に実施されていて、それを基に実際にこれを導入ということで実現にこぎ付けられたということです。そこに関しても、様々な御苦労等があったかと思います。

 光多委員からも御質問がありましたように、導入によって、いかにどの程度パフォーマンスが向上するかというところも大事なポイントかと思います。まだ始まったばかりで、そのリターンが実現されているような状況では全くないかと思いますが、現時点でどのぐらいのリターンを見込まれていて、あるいはこういうことを導入するに当たり、かなりコストがかかるようなスキームになっているのではないかと思います。どのぐらいのコストを見込んでいるのか。そういうことを平成25年度において、どういうことを具体的に御検討されていたのかについて伺います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 まずリターン目線ですけれども、実はこれも具体的な数字については、実際にはカナダの年金がどういうプライシングをするかということと密接に関係する話になります。なかなかきちんとした数字は申し上げられないのですが、大体1桁台の後半部分ぐらいが、キャッシュイールドの目線と御理解いただければということです。

 あとはコストですけれども、こういうインフラの投資をするに当たって、通常はオーストラリアとかでよくあるような、いわゆるファンド投資という形があります。そういう所に払う実際のフィーと比べれば、同じ年金という集まりの共同投資の枠組みを使っているということで、全体としても、かなりフィーの面でも安い形にはなっています。ただ、このフィーの水準についても、実は個別の運用機関のフィーと同じで、その数字はこの場では控えさせていただきます。かなり安い水準には仕上がっているということで御理解ください。

 

○光多委員

 これは投資信託ですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい。

 

○光多委員

 例えばこういう形でやって、受益権証書を買うだけという話になると、何もノウハウが出てこないわけです。GPIFのほうでは、年金基金のほうではこの案件がどうだということを、自分でフィージビリティスタディをやって、これは投資するかどうかとやる。信託を入れると、その辺が切れてしまうのです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 そこの部分については、正に私どもこの共同投資協定の中で、実際にはインベストメントコミッティという投資委員会みたいなものを、四半期に1回ぐらい、いろいろな所で開催する形になっています。私どもは、そこのオブザーバー参加という形で、個別の具体的投資案件についてきちんとウォッチをする。こういう形で、投信としてこのアセットマネジャーに全てお任せしているというような立て付けではないと御理解ください。

 

○光多委員

 どっちにしろ、今動いているもののエクイティを取得されるわけだから、通常の形でいくと余り良い話ではないわけです、良い話は来ないわけです。これから動くのであれば、いろいろな形で利回りも高くなっていくのだろうけれども、今動いているものの株式を代わりに取得していく、これは一種の投資ですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 おっしゃるとおりです。

 

○光多委員

 何かもう少しノウハウが蓄積するような仕組みがないかなという感じなのです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 そこについて、我々はこのような共同投資を通じ、OMERSはかなりこういう投資について経験豊富ですので、いろいろな意味での交流を通じ、実際にそのような専門知識を得ていく。そういう所としても考えていると御理解いただければと思います。

 

○山口部会長

 グループ1ばかりやっていると全体があれなのですけれども、評価に関わる問題で私のほうから1つだけ確認しておきます。資料1-527ページにある、「国内株式パッシブ運用及びアクティブ運用について、運用受託機関構成を一体的に見直すこととし」と書いてあります。アクティブ、パッシブを一体的に見直すというのはどういう意味ですか。もともと評価においては、パッシブ運用を中心にすることになっているわけですから、一体的に見直すというようなことをやり始めると、枠組みがグジャグジャになってしまうのではないか。まずはスタイルを選んで、そこから後でマネジャーを選ぶのが普通だと思うのです。これは、やり方が前とは全然変わっている話ではないかという感じがしました。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 私どものストラクチャーの考え方は、割合規模も大きいですので、アクティブの取れる規模にはやはり規模制約はあるだろうという考え方に基づいて、アクティブ運用でまずきちんと超過収益が取れる人を選ぶ。その残りはパッシブになるという、ボトムアップでアクティブを積み上げて、その残りがパッシブになるという考え方で、今回のストラクチャーを組んでおります。その結果として今の数字です。結果としては、国内株式のアクティブの比率はせいぜい12%ぐらいで、パッシブ中心という枠は全くぶれてはいないと考えております。

 構造の決め方が先見的にアクティブ・パッシブ比率を決め打ちしようということではなくて、ボトムアップで拾っていって、最終的に比率が決まってくるということです。そういう関係上アクティブ・パッシブを今回は丸ごと一体的に見直したということです。

 

○山口部会長

 今の説明ではよく分かりませんが。時間の関係があって、どうしても聞きたいことがあれば、また最後にグループ1に戻っていただいてもいいのですが、先に進ませていただきます。続いてグループ2、評価項目4から7について評価をいたします。所要時間が少し押しておりますので、法人からの説明もできるだけコンパクトにお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 それでは第2グループの御説明をさせていただきます。20ページの「透明性の向上1」の評価の視点は、基本ポートフォリオの考え方や具体的な運用体制など管理・運用の仕組みを理解しやすく情報公開をしているかということですが、分かりやすく説明した資料をホームページで公表しております。ホームページの全面的な見直しは平成23年度に実施し、以降、内容の充実を図っています。業務概況書及び四半期の運用状況報告についても速やかに公表しております。また、平成25年度においてはインフラ投資の開始において、記者会見を行うとともに、英語版のプレスリリースもホームページ上に掲載しております。

21ページは、「運用委員会」についてです。運用受託機関の選定について、その過程で運用委員会で審議等をしているかなどが評価の視点ですが、運用委員会は昨年度は12回開催しており、審議された事項は資料の右のほうに記載しているとおりです。議事録については、7年経過後に公表をするということで引き続き進めております。

22ページから基本ポートフォリオです。評価の視点は、この基本ポートフォリオが運用目標に沿った安全・効率的かつ確実な資産構成割合として策定されているか。その際、株のリターン・リスクについて、リスク特性に配慮し、慎重に推計を行ったかということです。第2期の基本ポートフォリオは、第1期の基本ポートフォリオが引き続き安全・効率的かつ確実であることを検証した上で、引き続き用いることとしていましたが、平成2410月の検査院の報告に基づいて、厚生労働省より、基本ポートについて定期的に検証を行うように要請がありましたので、平成25年度当初から検証作業に着手しました。

23ページは、検証についての説明です。1各資産の期待リターンについて、直近までのデータを踏まえ検証を行い、従前の期待リターンを引き続き使用することについて問題ないことを確認しております。資産別の具体的な検証内容と結果は、24ページに記載しております。各資産のリスク・相関計数は、直近のデータに更新したところ、全体にリスクの減少等が見られ、新しい値に変更しました。これについては具体的な内容は、25ページに記載しております。

23ページの2ですが、新たなリスク・相関計数の下で、有効フロンティア、すなわち、効率的な資産構成割合の組合せを求めたところ、国内債券並みのリスク水準で従前の基本ポートフォリオより高い期待リターンが得られる組合せが多く見られ、従前の基本ポートと見直し候補となるポートについて、25年後の損失予想額をシミュレーションした結果、資料記載のとおりの内容の基本ポートフォリオの見直しを、平成2567日に行いました。

27ページですが、今回の基本ポートフォリオの変更の効果について試算したところ、この下のほうですが、株高、円安の市場の動きもあり、平成25年、年度ベースで0.73ポイント程度のプラスの効果があったと試算されました。私どもとしては、今回の変更に至るまでの検証等、基本ポートフォリオに関する取組について、自己評価をSとさせていただいております。

28ページは、「市場及び民間の活動の影響に対する配慮1」について、評価の視点は資金の投入及び回収に際し、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないような適切な配慮がなされているかなどです。評価の視点の1つ目が、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないように配慮するということで、年金特別会計への寄託金償還等、いわゆるキャッシュアウトに必要な資金については、財投債の満期償還金・利金等を活用するとともに、計画的に市場から資金の回収を実施することとしております。平成25年度のキャッシュアウトについては、財投債キャッシュアウト等対応ファンドの償還金・利金を活用することによって対応ができ、市場で何か資産売却をすることなく、キャッシュアウトに対応ができたということです。2つ目の民間企業の経営に与える影響の配慮ですが、株式運用については、自ら個別銘柄の選択を行わず、個別名柄の指図も行っておりません。

29ページは議決権の行使状況です。運用受託機関に対し、議決権行使の方針や行使状況等について報告を求めているかなどの評価の視点ですが、左側のほうにあるように、私どもは民間企業の経営に影響を及ぼさないよう配慮するという、国の中期目標の考え方を基に、個々の議案に対する判断を法人としては行っていないということです。その代わり運用受託機関にガイドラインを整備していただき、その策定状況、あるいは行使状況を法人が評価をするということで、間接的に管理しています。右側にありますが、平成25年度においても、ガイドラインを提出していただき、行使状況等の報告を受けて、必要に応じてミーティングを実施しております。その結果については、右下ですが、基本的に平成25年度の議決権行使は、各運用機関ともおおむね良好な取組であったと考えております。

30ページですが、「年金給付のための流動性の確保」です。評価の視点は、年金財政の見通し及び収支状況を踏まえ、年金給付等に必要な流動性が確保されているかなど、この資料に記載のとおりです。年金給付のために運用資産を取り崩して国に償還し、年金給付に使われるという仕組みですが、中央の「体制」の欄に、これを適切に行うための4つの対応をしておりますので、それをお示ししております。平成25年度のキャッシュアウト資金について先ほど申し上げたとおり、市場で特に資産の売却を行うことなく対応できました。なお、短期借入の整備については、市場からのキャッシュアウト資金の調達が困難となる場合に借り入れて、その資金を捻出する枠組みを用意しておりますが、昨年度は短期借入が必要となる事態はありませんでした。第2グループの説明は以上です。

 

○山口部会長

 それでは、先ほどと同様に委員の皆様は、評定記入用紙の評定評価項目の47に評価結果及び評定理由を御記入いただきたいと思います。それと併せて、ただいまの御説明に関して御質問等ありましたら、適宜お願いいたします。

 

○引間委員

 基本ポートフォリオの見直しをされていますが、その際に国内債券並みのリスクで、より効率的なポートフォリオができたということですが、いわゆる一般的なリスクの計算の仕方で考えれば、このポートフォリオで国内債券並みのリスクというのはかなり無理があると思います。25ページの所の「リスク・相関計数の推計」を見ると、国内債権のリスク計算の仕方が、通常されているやり方と違うアプローチをされていて、結果として、国内債権のリスクが6.5%と非常に高いというか、運用期間なり、あるいは通常の年金が推定されている数字に比べると、国内債権の部分だけかなり突出して高いという気はするのですが。

 質問としては、ほかの3資産について通常の標準偏差をベースにしたリスクの出し方をしているのかということを、まずお伺いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 おっしゃるとおりです。国内債券並みのリスクということですが、25ページに書いてありますが、我々、かなり長い期間のデータを用いて国内債券についても、具体的にはBPI総合のリスクで測り、例えば前回では、5%ぐらいのリスク水準であるという判断をまずしています。ところが、過去、BPIはデュレーションも5年に満たないという状況もありましたが、現在は国債の発行政策、国債の長期化の観点から、デュレーション自体がかなり長くなっており、そう考えると、確かに計算で出てくるのは5%ですが、それの平均的なデュレーションは、ここに書いてあるような年数とはかなり現実と違うだろうということで、将来の国内債券並みのリスクを測るときにはデュレーションの部分を調整して、リスクを計算するほうがいいという考え方に基づいて、そのような数字にしております。

 それ以外の3資産については、単純なヒストリカルデータから計算していることを御理解いただければと思います。

 

○引間委員

 強いて言えば、債券については、デュレーションも考慮してリスクをはじくべきだという考えは分からなくもないですが、であれば、外債もそうやってよろしいのではないですか。要するに、リスクの計算の仕方について統一的なアプローチではなく、別々なアプローチではじいたリスクを基にアロケーションをはじいているところが若干、やや違和感があります。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 外債についても、デュレーションが過去から現在までどのぐらい追加しているのかも含めて、今後、検討課題とさせていただきたいと思います。

 

○山口部会長

 ほかに御質問等ありますでしょうか。

 

○川北部会長代理

 多分これは後のところとも関連すると思いますが、29ページに議決権行使に対する対応、管理が書いてありますが、運用機関に議決権行使のガイドラインを提出させて、それに基づいて評価をするわけですが、では、実際にその議決権行使のガイドラインが適切なのかどうなのか、かつどのぐらいのレベルというか、その辺りの評価はGPIF自身でやられているのかどうかをお聞きしたいのですが。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 議決権行使のガイドラインについては、私どもは基本的には、株式利益の最大化を目指して行使をしてください、それに当たって適切なガイドラインを自ら定めてください、という形でお願いしています。具体的な中身については、私どもがあれこれ言うことはないのですが、ただ、必要な項目がきちんとあるかどうか。例えば、買収防衛策に対する規定があるのか、その項目についてきちんと網羅してくださいというお願いはしており、そのチェックはしています。

 

○川北部会長代理

 逆に言うと、例えば議決権行使をするに際し、配当の水準を決定することに対して○×を付ける段階になって、配当の妥当性を評価するときに、例えばアナリストの充実度合いとか、その辺りはどうされているのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 評価基準として29ページにも記載しておりますが、行使の体制は、議決権行使をチェックする人たちの組織を各運用機関から提出させており、その中できちんとアナリストがいるかなどを見ております。

 

○山口部会長

 ほかに御質問等よろしいでしょうか。グループ2にまた戻っていただいても結構ですので、とりあえず次へ進めます。それでは、グループ3、評価項目812について、法人から説明をお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

31ページ以降を御説明します。「内部統制の一層の強化に向けた体制整備」です。評価の視点は、内部統制に係る取組を行ったか、年金積立金の管理・運用に当たり責任体制の明確化が図られているかということです。内部統制については、平成23年度に策定した内部統制の基本方針により、大きく5つの体制を確保し責任体制の明確化を図っています。

 すなわち、第1、業務の有効性・効率性を確保するための体制の整備については、業務を有効・効率的に行うため、理事長の意思決定を支える体制として、経営管理会議・企画会議を設置しています。また、中期計画等を確実に達成するため、年度計画を四半期ごとに分割して、設定した目標に対する実績を経営管理会議において四半期ごとに把握・評価するとしています。

 第2、法令等の遵守体制の整備については、幹部職員と有識者で構築する「コンプライアンス委員会」を開催し、審議を実施しています。また、内部通報制度も設置しています。第3、損失危機管理体制の整備については、当法人が当面するリスクとして、積立金の運用に関する運用リスクのほか、オペレーショナルリスク、運営リスクがありますが、この運営リスクに対処するため運営リスク管理委員会を設けています。第4、情報保存管理体制の整備については、情報セキュリティ管理委員会を設置し、情報の保護に努めています。第5、財務報告等の信頼性の確保のための体制の整備については、監事、監査法人、監査室が一体となって数字の確からしさを担保するという考え方で行っています。

32ページ、内部統制等の全体図と言いますか概念図です。

33ページ、運用機関に対する関係法令等の遵守の徹底です。運用受託機関等説明会、定期ミーティング、運用及びリスク管理の状況の報告書提出時等において、関係法令等の遵守の徹底と確認を行っています。

34ページ、内部統制の強化に向けた内部監査の充実です。理事長の直轄である監査室が行っていて、内部監査と情報セキュリティ監査を実施しています。

35ページ、「監事監査の取組実績」です。監事監査は、決算監査、業務監査、重点事項監査、経常監査を行っています。平成25年度においては、民間企業の監査役等の経験を有する常勤監事と非常勤監事の知見に基づく監査が行われています。また、監事監査方針を策定し、監事監査活動周知、監事監査の「見える化」を図り、監事監査年間・月次計画・実績表を作成し、予定実績管理を実施するなど、資料記載のとおり監事監査活動の充実強化の取組がなされています。

36ページ、「職員研修の実施」です。評価の視点は、研修計画を策定し、資産運用等の分野に係る専門的かつ実務的な研修を実施したかということです。内部統制の研修や専門資格取得の促進を行っています。

37ページ、職員研修の実施について、特に内部統制のうち、マネジメント基礎力向上研修と情報セキュリティ研修について記載しました。情報セキュリティについては、最近の不審メールによる攻撃の脅威と対策について、役職員に周知し情報セキュリティ対策の意識向上を図っています。

38ページ、毎年度御報告していますが、専門性という観点から証券アナリストの資格取得等を促進していて、平成24年度末と比べて平成25年度末で証券アナリストが2名増加し、30名が試験に合格しています。

39ページからは「調査・分析の充実」です。評価の視点は、大学等の研究機関との連携強化、先進的な事例等に関する情報収集に努め、年金積立金の管理・運用の高度化を進めるための調査研究について充実を図ったかなどです。調査研究の充実については、平成25年度から2年間、大学との共同研究を実施しており、研究テーマは長期的な運用の枠組みについての基礎的研究となっています。

 研究結果は、今後、基本ポートフォリオの策定方法等の検討で活用することを予定しています。委託調査研究については、テーマは毎年度変えて行っていますが、昨年度は40ページにも記載がありますが、非時価総額加重平均型ベンチマークの活用について調査研究を行いました。

 研究結果は、平成25年度に実施した国内株式の運用のマネジャー・ストラクチャーの構築において活用しました。また、41ページにも記載してありますが、一昨年度実施したオルタナティブ投資の投資スキームに関する調査研究について、その成果を活用してインフラ共同投資を開始しました。また、39ページの右のほうに記載していますが、リバランス及びキャッシュアウトのための市場動向に関する分析もあります。運用機関等からの情報収集、勉強会の実施等により内外の経済動向の把握を積極的に行っています。さらに、収集した情報を基に、市場動向の把握・分析を実施し、適切なキャッシュアウト等に活用するため役職員で情報を共有しています。当法人としては、調査・分析の充実等、評価項目9について今回、自己評価をSとしました。

42ページ、「効率的な業務運営体制の確立1」です。評価の視点は、中期目標期間中に組織編成及び人員配置を業務の実情に即して見直したかということです。独立行政法人改革等に関する基本的な方針、昨年末の閣議決定ですが、これを踏まえて、高度で専門的な人材を確保する観点から、給与水準や人員に係る中期計画・年度計画の規定を変更しています。そして、外部コンサルティング会社と契約を締結し、給与水準及び報酬体系の見直しの検討を開始しています。

43ページ、人事評価制度の運用です。評価の視点は能力・実績を反映した人事評価制度を実施しているかです。右側にあるように、昨年度は実績評価と能力評価の2つの評価をしていて、実績評価は結果をボーナスに反映させ、能力評価は昇級等に反映させています。

44ページ、「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。数値目標と評価の視点は、退職手当、事務所移転経費のほか、高度専門人材の確保等の施策の実施に必要な経費を除く一般管理費について、中期目標期間の最終年度において、平成21年度比15%以上の節減を行う。また、システム開発費等々の経費を除く業務経費については、中期目標の最終年度において平成21年度比5%以上を節減するということです。まず、経費節減に向けた取組を推進するために、法人内の組織として経費節減委員会を設置しています。

 次に、人件費、物件費等の一般管理費についてです。平成21年度予算に対し、中期目標の5年間で15%節減ということで、毎年度当たり3%節減としていて、平成25年度は4年目で約12%の節減をした予算ということで、これを踏まえた予算の範囲で執行を行っています。同様に、管理・運用業務に必要な経費である業務経費についても、予算については平成25年度4%の節減ということで、その予算の範囲内での執行を行っていて、一般管理費、業務経費ともに目標に向けて着実に節減を進めています。

 主な経費節減の事例として、右側にありますが、前回、競争入札を行い、1社応札であった年金積立金データ管理システムの保守及び運用業務の調達について、入札によって契約額が確定する競争入札より価格交渉が可能な随意契約のほうが有利と判断をして、公募も行って、応募者がいないことを確認した上で現受託者と価格交渉を行いました。これにより、対前年度比で19.1%減となる、年額で約4,200万円の引下げをすることができました。また、私どもが入居しているオフィスの賃借料についても、更新の際の引下げ交渉で、対前年度比で5.8%減となる年額約800万円の引下げをすることができました。なお、契約について言いますと、競争性のない、いわゆる随意契約については、ただいま言いました事例を含め真にやむを得ないものに限定をしています。人件費については下の所です。平成24年度から国家公務員給与特例法に準じた措置を実施してきました。それから、平成25年度の国家公務員との給与水準比較、いわゆるラスパイレス指数ですが、100を下回り、国を下回る水準となっています。

45ページ、管理・運用委託手数料の水準についてです。評価の視点は、手数料について、運用資産額の増減等も考慮に入れつつ引き続き低減に努めたかです。左のグラフを御覧いただくと、平成25年度は総額253億円となっています。平成24年度に国内債券の運用受託機関構成の見直しをして、その節減効果が平成25年度も約11億円、11.3億円でした。ただし、運用資産全体の時価評価額が増加したことによって約41億円の増加があって、実際のネットの増減額は前年度より約31億円の増加です。

46ページ、オランダの株式配当金に係る返還金についてです。オランダの株式配当金については、2011年まで15%の源泉税が課されていましたが、これについて資産管理機関等から情報収集を行った結果、カナダの年金基金がEU法等を根拠にオランダ税当局に返還を申請、提訴したところ、オランダ当局が返還に応じていたことが判明しました。さらに、資産管理機関等から詳細な情報収集を行って内容を検討し、資産管理機関、法律事務所と連携を密にし、2008年~2011年分の返還請求をした結果、検討着手から約10か月という短期間で、訴訟を経ることもなく約48億円の返還金を受領することができました。

4346ページにかけての経費節減については、評価項目11になりますが、自己評価をSとしました。評価項目12については、説明資料にはありませんが、業務実績評価シートに財務内容の改善に関する事項等ということで、自己評価をBとしています。説明は以上です。 

 

○山口部会長

 ありがとうございました。それでは、先ほどと同様、評定記入用紙に記入をしていただきたいと思います。併せて、御質問等ありましたらお願いします。

 

○川北部会長代理

39ページにある調査・分析ですが、ここにどの程度の予算を投じられているのかという点と、私の印象としては、市場がこれだけ大きく変化している中においては、更にここに重点を置く必要性があるのではないかと思っていますが、いかがお考えですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長

 すみません、手元に予算書を持参するのを失念していますが、大体1億円以内の金額で設定したかと思っています。

 

○川北部会長代理

 調査分析に職員の方を割かないといけないと思いますが、職員の方はどのぐらい調査研究にタッチされているのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 この調査研究関連ですが、幾つかあります。まず、大学との共同研究については、大体、今現在では3つぐらいの大学とそれぞれ研究テーマを設定して共同研究をやっています。それぞれの大学ごとに1名ないしは2名ぐらい付けて、実際に論文の執筆等も含めた形で共同の研究をやっています。また、委託調査研究については、これは全く任せきりということではなくて、1か月あるいは2か月に1回ぐらいきちんとミーティングをして、それを実際に法人内で議論をしてまたフィードバックすると。また、その中間報告等については、運用委員会の委員の方々にも参画を頂く形で、実際に報告を頂いてそれをまたフィードバックすると、このような形でやっている状況です。

 

○川北部会長代理

 今後の重点化に関してはどうなのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 特にこの3月の年金部会においても、調査研究機能の充実に関するような課題、宿題を頂いています。今年の調査研究についても、1つは、いわゆるフォワードルッキングなポートフォリオ運営という観点から、資産とその負債を一体的に見た形で、例えば、キャッシュアウト等の額をより実際に把握しながらポートフォリオ運営をするということ。あともう1つは、全体の経済環境についても、これは経済環境コンサルみたいなものを実際にお願いして、それを基に機動的な運営に結び付けていくと、このような感じの充実は図っている状況です。今ちょうど計画中ということです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長

 ただいまの調査研究の費用ですが、予算上はやはり1億円弱で予算設定しています。

 

○山口部会長

 その部分で、去年は調査研究の自己評価はAでしたね。今年は自己評定がSになっているのですが。今のお話ですと、論文などもたくさん出された、ですから、論文の量とか質とかそういうもので測ることができるのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 論文自体がアウトプットなのかというのは1つあるわけですが、私どもとしては、実際の法人の運用戦略に応用できたかどうかが多分ポイントになるという観点から、少し申し上げますと、平成24年度については、いわゆるオルタナティブのフィージビリティ調査という形で実施をし、調査が終わったということで、平成25年度はそれを受けた形で、先ほど御説明した海外の年金とのインフラストラクチャー投資を実際に実施しました。そういう意味で、平成24年度の調査研究結果が平成25年度にそれを基に実現したという趣旨において、それが1点です。あともう1つは、スマートベータ、非時価総額加重平均型ベンチマークについては、これは平成25年度の調査研究ではあったわけですが、ここの中間報告の部分を踏まえて年度中に、平成25年度中のマネジャー・ストラクチャーに反映させたと、こういうことをもってS評価と自己評価したと御理解いただければということです。

 

○山口部会長

 ほかに御質問等ありますか。

 

○安浪委員

 概況書の17ページ、外貨建て投資信託受益証券ファンドの評価の話ですが、これは将来的、来期以降増えていくと思うのです。来期の検討課題として考えていただきたいのは、この時価を2億円と書かれて、その下に注書きで、「運用上国際的な基準に従って適切に算出された時価により管理している」と。会計上はこの取得原価評価をやっているということですね。日本の会計基準も合理的な方法によって時価を算定したものについては、金融商品上も公正な評価額と認めるという考え方もあるので、金額が大きいものが取得原価のまま置いておかれるよりは、極力時価を把握して、毎期に時価評価をやっていくほうが、やはりGPIFの実態を表すのではないかと思いますので、そこら辺、時価のつかみ方について御検討していただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 今、現行の日本の会計基準のルールということで、いわゆる未公開株となるので、その原則的な取扱いとして取得原価という形でこういうような扱いになっています。これについては、監査法人の先生方と実際に意見交換をすることでこういうような会計処理になっています。

 

○安浪委員

 市場価格がないものでも、合理的な方法で算定された場合に公正な評価額としてみなすという考え方もあるのです。必ずしも未公開株の全てが時価を把握できないということではないと思うのですが。極力、投資金額が増えていくと、その資産の時価評価を把握する方向で検討していただいたほうがいいのではないかと思うのです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 了解しました。

 

○安浪委員

 検討課題として考えていただければと思うのです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、検討課題として考えたいと思います。

 

○安浪委員

 はい。

 

○山口部会長

 では、光多先生、失礼しました。

 

○光多委員

 聞き苦しくてすみません。先ほどのインフラ投資について、ちょっとどうもよく分からないもので。14ページ、まず、OMERSが投資案件の発掘ですね。これがやはりスタートになるわけですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、そうです。

 

○光多委員

OMERSが持ってこない案件は。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 投資しないと。

 

○光多委員

 しない形。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい。

 

○光多委員

 ニッセイアセットが信託なのですが、これは競争入札で選ばれたのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 このニッセイアセットについては、私どもはこういうオルタナティブ投資に関する知見というか経験もないので、共同投資協定の中で、このアセットマネジャーについてはDBJが彼らの知見をいかして選定するという立て付けになっていて、そういう意味ではDBJに、政策投資銀行のほうにアセットマネジャーのセレクションをお願いしたという趣旨です。

 

○光多委員

 実質、随意契約ですね。協定ですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 協定、そうですね。協定に基づいてこういうスキームになったということです。

 

○光多委員

 それで、ここのところから、一応こういう案件がありますよという形で、株式を購入してください、この信託受益権を購入してくださいと。このときに拒否できるのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 私どもということですか。

 

○光多委員

 はい。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 この投資信託については、これは正に一任、実質的には一任というスキームになるので、そういう意味においては拒否できないというか、例えば、カナダの年金が実際何かプロジェクト案件をソーシングして、その部分についてニッセイアセットマネジメントがこれはいい投資だと判断した場合には、我々は結果的に投資することになります。

 

○光多委員

 例えば、レーティングでAAAみたいなことをやるのでしょうが、レーティングが急に下がったり、実際に受益権を買ったときにどうも状況がまずくなってきたときには中途解除できますか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 ここについては、一応ロックアップの期間があるので、そういう意味において、これは非流動性の投資ですので、そういう立て付けにはなっていないと。ただ一方で、ニッセイアセットマネジメントがOMERSのプロジェクト案件を投資しないという判断は当然できるということですので、正に投資する、投資しないの判断をニッセイアセットマネジメントがマーサーの助言の下に実際に判断すると、そういう立て付けになっています。

 

○光多委員

 ニッセイアセットの信託手数料はどのくらいですか。これはやはりある程度競争をかけられましたか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 これも報酬の部分ですので、具体的な数字は。

 

○光多委員

 報酬ではなくて手数料。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 手数料、その水準についてこの場ではちょっと申し上げられませんが、先ほどと同様、かなり全体として低コストの形には仕上がっていると思っています。

 

○光多委員

 そうですか。下の2つ矢印がありますが、インフラ投資の所に「投資判断」とあって、「インフラBに投資」とありますが、これは何か違うのですか。OMERSは何か全体の四角に対して矢印が付いていますが。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 そうですね、これは少し御説明します。OMERSとしては、ここに書いてありますインフラABCに全部投資すると。彼らは自分たちが投資するもの、投資を決めたものについて、自分たちは投資するのだけれど、これは上乗せでどうですかという形になりますので、彼らはABCに全部投資することになります。個々のABCそれぞれについて、ニッセイアセットマネジメントのほうがデューディリを個別に行って投資の可否を判断して、例えばこれですと、インフラAの部分については合わないということで投資はしないと。BCについては投資をする形になる。ですから、そういう意味では、二重にチェックする立て付けになっていると御理解を頂ければと思います。

 

○光多委員

 何かOMERSを絶対的に信頼しているという形ですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 そこについては、OMERSも受託者責任をもっている年金ですので、まず、彼らのデューディリにかなったものしか投資しないという、そこはユニバースになります。更にそれに加えて、二重チェックとして、今度はニッセイアセットマネジメントが更にデューディリで行って、慎重には慎重を期していいものだけ投資をすると、そういう二重の構造と言いますか、そういう形になっているということです。

 

○光多委員

 もうこれでやめますが、要するに、基金が、先ほどから何回も申し上げていますが、これについてやはり自分でいろいろ調査研究をして、ノウハウを作って、まずければ場合によればこの投資はおかしいよと言えるぐらいの、そういうノウハウを作って自主的にやっていかないと、何か受動的にやって受動的に信託受益権を買いましたと。縁起でもないですが、もしまずいことがあったときに、これは受動的に買ったものですという話だとまずいものですから、やはり国民のお金を運用するわけですから。ちょっとこの仕組み図がものすごく日本的なと言いますか、間が空いているのです。ですから、もう少し。多分いろいろ実際にはかなりやっておられると思うのですが、そこのところをひとつよろしくお願いしたい。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、分かりました。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 そこはもう十分考えています。これは正に最初の自己案件で、トライアルみたいな部分も多少あります。ただ、先ほど清水から申し上げたように、OMERSは自分自身の投資としてまずは選定しているわけで、例えば、通常のファンドですと、人からお金を預かってそれを投資するという形ですから、それとOMERSの投資とは当然考え方が違ってくるだろうと。我々の受託者責任と同じような受託者責任を負っているOMERSが選定するほうが、これは儲かりそうだからちょっとやってみようかというファンドの投資とは少し性格が違うのではないかと私は思っています。

 

○山口部会長

 ほかに御質問等、よろしいでしょうか。元へ戻っていただいても結構なのですが、グループ1とか2とか。

 

○引間委員

 最後簡単に。市場への影響に対する配慮という項目があったと思いますが、お話を伺っている中で、リバランスに対する対応であるとか、あるいはキャッシュフロー対応であるとか、そういう面では市場へのインパクトへの配慮というのはかなり慎重にされていることはよく分かりました。今回も行われたような、例えば、マネジャー・ストラクチャーの変更に関わるようなときの市場インパクトに対する配慮というか、現物移管というような話もチラッと見たのですが、具体的にどういうことをされたのかと。例えば、トランジション・マネジメントみたいなことは使われたのかとか、どういう形で十分配慮がされたのかを少しお伺いできたらと思います。 

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 それについては、まず解約するファンド、それから新たに採用するファンド、それぞれ特定がなされます。それで、解約するファンドについては銘柄が既に明らかになっています。新たに採用するファンドについては、あなたたちはどういう銘柄に投資をするのだというウイッシュリストを全社取り寄せます。解約ファンドが持っているものとウイッシュリストをまずぶつけて、ウイッシュリストにあり、解約ファンドが既に保有している銘柄はそのまま移管をします。最終的には、引き取り手がない銘柄、旧のポートフォリオの中になくて新しいファンドが求めている銘柄だけをピックアップをして、要らないものを売り、本当に必要なものだけを買うというオペレーションをやって、マーケットに対する影響は極めて抑えるようにという努力はしています。TOPIX全体の数字で見ると、3月のTOPIX0.2%のプラスということで、月を通して見るとほとんど動きはなかったのです。そういう面で、確かに銘柄で見ると、私どもの売った銘柄は下がったかもしれないし、買った銘柄については上がったかもしれませんが、マーケット全体で見たときにはほとんど影響はなかったと認識しています。

 

○山口部会長  

 よろしいですか。それでは、本日の議事は以上となります。事務局から、今後の流れと次回の開催等について御連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、今後の流れについて御説明します。評定記入用紙の全ての評価項目の記入が終わっている場合については、評定記入用紙を部会終了後に回収しますので、机上にそのままにしておいてください。記入が終わっていない場合については、冒頭申し上げたとおり、評定記入用紙をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、あるいは、本日メールでお送りする評定記入用紙の電子媒体に御記入の上、723日水曜日までに事務局宛てに御提出いただくようお願いします。なお、御提出いただいた各委員の評定については、事務局で集計し、本部会の評定結果を確定させていただきます。その後、各委員の評定等を踏まえて、起草委員と所管課において調整を頂き、評価書()の作成を行います。こちらは818日月曜日に予定している総合評価を行う部会において御審議いただくこととしています。また、各法人の評価書()を起草いただく御担当委員については、参考資料1の別添5のとおり、本法人については大野委員と引間委員となっていますので、よろしくお願いします。

 続いて、本年3月に書面にて御意見を頂いた案件についての御報告です。参考資料31ページにあるとおり、年金・健康保険福祉施設整理機構の不要財産の国庫納付については、本部会において313日付けで了承されたことを御報告します。

 次に、次回の開催予定について御説明します。次回は728日の月曜日15時から、場所は厚生労働省12階の専用第12会議室です。議題については、年金・健康保険福祉施設整理機構の平成25年度業務実績に係る個別評価と農業者年金基金の平成25年度業務実績に係る意見聴取を行うこととしています。

 最後に、本日配布している資料の送付を御希望される場合については、事務局より送付しますので、机上にそのままにしておいて御退席いただくようお願いします。事務局からは以上です。

 

○山口部会長

 それでは、本日は以上といたします。長い時間にわたり熱心な御審議を頂きましてありがとうございました。また、私の進行の不手際で予定の時間を超過してしまい、申し訳ございませんでした。どうもありがとうございました。


(了)

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