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2013年5月23日 平成25年度第2回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録

○日時

平成25年5月23日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)
東京都千代田区霞ヶ関1-2-2


○議事



           医道審議会医師分科会医師臨床研修部会


                   日時 平成25年5月23日(木)
                      14:00~
                   場所 厚生労働省専用第23会議室(19階)

○臨床研修指導官 定刻より少し早いですが、先生方、皆さんお揃いでございますので、ただいまから医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催いたします。本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 なお、本日は、中島委員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。また、本日の議題に関連いたしまして、参考人の先生方にお越しいただいておりますが、後ほど、改めて御紹介させていただきます。また、文部科学省医学教育課から渡辺企画官にお越しいただいております。
 以降の議事運営については部会長にお願いいたします。桐野先生、よろしくお願いいたします。
○桐野部会長 今日から会場も少し広くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。まず、資料の確認をお願いします。
○臨床研修指導官 それでは、お手元の資料の確認をお願いします。まず、議事次第、委員名簿等の束でございます。ヒアリング資料-1は日本病院会さんの資料です。続いて、ヒアリング資料-2は全日本病院協会さんの資料です。続いて、事務局提出資料1「募集定員の設定等に関する論点」という束です。事務局提出資料2「各論点に係る参考資料の概要」です。事務局提出資料3「都道府県医師臨床研修に関するアンケート調査結果(概要)」です。事務局提出資料4「若手医師の動向について」です。事務局提出資料5「地域枠等の状況について」です。事務局提出資料6「今後のスケジュール(案)」です。なお、先生方には、左端に、水色の紙ファイルで参考資料を束ねてありますので、どうぞ御活用ください。不足等がありましたら、事務局にお申しつけください。
○桐野部会長 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、関係団体からのヒアリング。それから、募集定員の設定等について、御意見をいただきたい。その他となっております。議事を進める前に、参考人の取扱いについて、いつもこういう方法ですが、御了承をいただきたいと思います。本部会での参考人出席の取扱いについては、事前に事務局を通じて部会長の了解を得ること及び当日の部会において承認を得ることにより、参考人として参加し発言をいただくことを認めることになっております。
 本日の会議につきましては、日本病院会常任理事の福井次矢先生、それから、全日本病院協会医療制度・税制委員会の星北斗先生においでいただいておりますが、出席をお認めいただきたいと思います。よろしいですか。
                 (異議なし)
○桐野部会長 ありがとうございます。それでは、議題1「関係団体からのヒアリング」に入ります。まず、日本病院会の福井先生からお話をいただきます。一応お話を15分、質疑を5分というふうにお願いをしていると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○福井参考人 日本病院会常任理事で、臨床研修委員会の副委員長を務めている福井です。本来でしたら臨床研修委員会の委員長の岡留先生が御出席になられるのが当然なのですが、所用があって、私が代理で出席させていただきました。
 お手元のスライドの資料で、右下にページ番号が薄く振ってあって、28枚ありますが、15分もかからないと思いますので、簡単にお話させていただきます。
 「平成22年度の『見直し・弾力化』」の主な所は、2ページにあるような、目的とポイントだと理解しております。3ページを見ていただきますと、指定基準については、項目だけ挙げています。これらにつきまして、日本病院会では、常任理事会と臨床研修委員会でディスカッションをしておりますが、文書になったものがなくて、私が作った資料になりますが、それについて述べたいと思います。
 指定基準の一つひとつについては、細かくディスカッションしておりませんが、この中で今まで日本病院会の常任理事会、臨床研修委員会で話題になってきているのが、スライド4にある「年間入院患者数が3,000人以上」という項目です。この3,000人というカットオフポイントがどうも根拠不明でして、入院患者数でではなくて、研修内容、研修の質の評価をした上で、内容に基づいて指定基準を考えていただきたいということは議論されております。その他の項目につきましては、特段話題になっているとか、何か申入れをしたいとか、そういうことは今までありませんでした。
 もう1つの「研修プログラムの弾力化」についてですが、スライド5に挙げられたような弾力化が平成22年度から行われました。それにつきましては、結論的には、スライド6にあるように、臨床研修の理念と到達目標がそれ以前のものと同様に掲げられている以上は、弾力化する前のプログラムに戻した方が、臨床研修の理念と到達目標を達成する上ではより望ましいと考えています。そして、病院側の立場としましては、非常に狭いテーマ又は臓器別の問題しか見ないという医師は非常に困るという、病院からの意見が強いわけでして、できるだけ幅広いトレーニングを受けて、どんな病気でも取りあえず診ていただけるような医師であってほしいと、そのような意見が強いわけでして、できるだけ幅広い研修を受けていただく方向にしていただきたい。そして、2番目については、次のスライド7を見ていただきたいのですが、堀田先生を研究班長とする調査研究に私たちが参加して、調べた結果、決められたプログラムをやっていない研修医もいるのではないかというデータが出たことから、到達目標の達成度について、より厳密な評価を行うべきではないか、という2点です。
 基になったデータの所だけサッと説明します。スライド7と8の所ですが、これは平成23年度の2年次研修医を対象としたアンケート調査でして、回答者が5,025名です。継続プログラムとは、平成22年の見直しの前の、7診療科を必須としてローテーションをするプログラムを継続プログラムという言葉で表しております。そして、自由化された、7科より少ない診療科のローテーションをしているのを、ここでは「弾力化プログラム」と呼んでおります。
 スライド8を見ていただくと、研修制度が始まる前の平成14年度の研修医について、2年次が終わるところで調べたものです。例えば、「甲状腺の触診ができる」ということ、「自信を持ってできる」あるいは「できる」と答えた研修医の割合です。同じ項目について、継続プログラムのとき、平成17年度、18年度、19年度に、2年次が終わった研修医と、それから、弾力化された最初の学年、つまり、平成23年度に2年を終えた研修医、それぞれのグループの同じ項目についての回答をパーセンテージで示しています。すたがって、継続プログラムで、以前に比べてパーセンテージが上がって、そして、弾力化プログラムになっても更に上がっていることがわかります。
 同じように、スライド9、10を見ていただくと、皮膚の所見も同じような形になっています。それから、眼底所見についても、平成23年度のグループはずい分パーセンテージが上がっております。
 その次のスライド11、妊娠の初期兆候につきましては、平成23年の所を見ていただくと、弾力化プログラムは46.7と書いてあります。継続プログラムの方が55.5と、ここで2つのグループに分かれております。心電図の検査はスライド12にあるとおりです。
 スライド13、14もほぼ似たような形になっています。
 スライド15、16、腰椎穿刺、それから、術後に起こり得る合併症。そして、スライド17からは症例数でして、症例を経験した研修医の割合を示しています。スライド18は、心肺停止で、ほぼ100%。これは、研修が始まる前のデータはありませんので、継続プログラムの平成17年度からの3学年と、弾力化された平成23年度のグループの計4年分のデータとなっています。心不全もほぼ100%経験しています。
 そして、スライド19、20は、結核。それから、「妊娠・分娩」が、継続プログラムで99.8%になっていますが、弾力化プログラムで88.6%と低下しております。
 スライド21、22が、小児のけいれん疾患と小児の喘息です。小児の喘息も、弾力化プログラムの方がやや落ちてきている状況です。その次のスライド23、小児の感染症ですけれども、継続プログラムは更に上がってきておりますが、弾力化プログラムは下がっています。
 まとめですが、スライド24は臨床、知識・技術・態度の習得状況です。これについては、以前は大学病院と研修病院でずい分差があったのですが、最近では大学病院と研修病院の、それぞれの研修医の間で殆ど差がなくなってきています。差が出てきているのが継続プログラムと弾力化プログラム。このスライドの最後の3行ですが、継続プログラムと弾力化プログラムでは、継続プログラムの方が、弾力化プログラムよりも「よりできる」あるいは「自信を持ってできる」と答えた研修医の割合が、明らかに高い項目が14項目あり、その反対が2項目で、差が出てきています。
 その次のスライド25、経験症例数についても殆ど同じで、下の3行ですが、継続プログラムの方が弾力化プログラムよりも経験している、と答えている研修医の割合は高くなっています。もう1つ、このデータから得られたものですけれども、分析対象が24か月ではなくて、少々短いものですから、残りの4か月間でどうなっているかは把握していないので分かりません。弾力化されたプログラムでも、内科6か月以上又は地域医療1か月を要求しておりますが、研修機関20か月を対象とした時点で、内科6か月以上、地域医療1か月を満たしていない研修医が6.5%おりました。内科6か月以上を満たしていない研修医が2%、「妊娠・分娩」の経験症例数が0の研修医が10%、「小児ウイルス感染症」の経験症例数が0の研修医が5.1%でした。
 以上より、最後の、スライド27、28ですが、これらのデータに基づく限り、臨床研修の理念と到達目標を達成するためには、弾力化されたプログラムよりも以前の継続プログラム、7診療科を必須としたプログラムのときの方がよかったということになります。そして、終了要件の1つである到達目標と、内科や小児科の地域医療のローテーションなどを満たしていない研修医がいる可能性があるため、それらについてはちゃんと評価するべきではないか。結論として、スライド28にありますように、理念をこのまま維持して、到達目標もそのままであれば、弾力化されたプログラムよりも継続プログラムの方がより望ましく、継続プログラムに戻す方がよいと考えます。以上です。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。比較的短くお話いただいたので、時間がありますが、御質問や御意見はございますでしょうか。
○山下委員 2点お伺いします。検証するときに、当然病院会としてもその後にどういうキャリアパスを踏んで、いわば研修後に、後期研修や専門医研修など、自分の専門の分野につなげていったかということを検証されていると思いますけれども、そういうような検証をした上でもこういうような結論に達するのでしょうか。終わったあとのキャリア形成に関して、どういう検証をされたかということ、それが1つです。
 もう1つは、地域の偏在、診療科の偏在が、原因は議論があると思いますので別としまして、現在あることはもう確かなのですから、この状況をどのようにして解決するかということを一緒に考えないと、こういう議論というのはやはり現実に合わないものと思います。どのように考えておられるのか。
 我々としては小川彰先生が前からおっしゃっていらっしゃるように、やはり大学病院と地域の病院が一緒になって病院群を作っている。それはただ単に研修のためだけではなくて、卒前の教育もある、研修ももちろんやる、それから専門の教育もある、地域医療もやる。そういうような、岩手でやっておられるイーハトーブ病院群であるとか、山形での蔵王協議会の病院群を使ってすべてをいわばやっている。こういうような形でしか私は解決できないと思うのですけれども、そういう将来的なビジョンというのをどう考えておられるのか、それを質問したいと思います。
○福井参考人 なかなか難しい質問ですが、検証というのは研修を終えた先生たちがどうなっているかという点についての検証という意味でしょうか。
○山下委員 そういうことです。
○福井参考人 日本病院会として、例えばアンケートを取って、どうしているというようなことはやっておりません。ですから、病院会としての動向といいますか、それについては把握していないというのが正直なところです。ただ、委員会などでしばしば出てくる意見は、確かに3年目以降は、大学で専門医を取るためのコースで研修するのが当然望ましいという意見もたくさんありますし、そういう意味で、1年目、2年目は一般病院でプライマリーケア的なことをして、より多くの研修医が3年目以降は大学で高度な専門コースに入るという、図式が好ましいのではないかという意見はしばしば出てきております。ですから、どちらかと言うと、大学に1年目からたくさん誘導するよりも、3年目から大学に集まるようなそういう図式のほうがより好ましいのではないかという議論はしばしばされております。
○山下委員 その辺はエビデンスをもって是非検証していただきたいですね。大学は全国医学部病院長会議でどういうふうに計画をしてどのような専門医研修をしているかはずっとデータを持っております。やはりそういうところと是非協力していただいて、いいお医者さんをつくる。もちろん研修医は非常に大事なのですけれども、それからあとが大事なわけですから、そのために研修をしているわけでありますので、その辺のデータをエビデンスをもって是非御議論いただきたいというのが要望です。以上です。
○河野委員 1つ教えていただきたい。この回答者が、大学病院と研修病院が同等ぐらいの人数ということなのですが、この継続プログラムと弾力化プログラムのその病院の偏りというのはあるのですか。
○福井参考人 病院の偏り。
○河野委員 例えば継続プログラムというものを取っている大学がどのくらいか。言い方を変えますと、継続プログラムと弾力化プログラムで、大学でやった人と研修病院でやった人での違いはあるのか。ここでのデータはそれを区別せず、この結果は全体数ですよね。
○福井参考人 はい。
○河野委員 その研修をした施設によって差が出るかということですが。というのは大学などではどちらかというと専門性を主に売りにしてというか、その辺で差はどうなんでしょうか。
○福井参考人 すみません。そのデータを持ってきておりませんし、細かいところを覚えていないのですけれども、全体としましては、全研修医のうちの30数パーセントが継続プログラムです。ですから、70%足らずの研修医は7診療科より少ない診療科のローテーションをしている人たちです。その中で、しかも大学病院ではどちらかというと継続プログラムの人がより少なくて、一般病院のほうが継続プログラムの研修医の割合が高くなります。トータルすると30%ぐらいが継続プログラムという割合になっております。
○河野委員 はい。4つの組合せがあるのと、それから大学病院と研修病院だと良い点、欠点それぞれあると思うのです。研修医の指導医の数の割合等と含めてですね。その場合、私が知りたかったのは、大学病院と研修病院との研修施設の差ということが、この図に落とし込んだときどういうふうに出るのかということなんです。大学病院であれば、例えばその同じ研修内容であったとしても研修がいろんな多岐にわたっていて、診療科も多いし指導医も揃っていますから、そういうことで、同じこれらのアウトカムにおいてもできるできないという評価に違いがないか。
○福井参考人 できる、できないについては、少なくとも私たちが調べた限りでは、スライドの24、25にありますように、大学病院と研修病院という分け方はほとんど差がない。24の1番目のところですけれども、以前は随分差があったのですが、今回平成23年度の研修について調べたところでは、ほとんどなくなってきている。以前の平成17年度から平成19年度までの3か年について調べたときは、まだ差がありました。それ以前はもっと差がありました。したがって、大学病院と研修病院については、差が縮まってきているというのが実情です。
○河野委員 そうすると、施設による差ではなく、プログラムの差である。
○福井参考人 そうです。
○河野委員 そのプログラムの差が、先生が先ほどおっしゃられたように、大学と研修病院でだいぶ偏りがあると思いますので、その辺がどうバイアスがかかっているのか調べていただきたいと思います。
○福井参考人 偏りというのがちょっとよく分かりません。
○医師臨床研修推進室長 別にお配りしている紙ファイルの中に、福井参考人のおっしゃっている資料の細部が入っています。この中の青いインデックスで別添1~4とあるところの右肩を御覧いただくと、途中に小さく(別添3)「第7回福井参考人提出資料(抜粋)」というのがあろうかと思います。すみません、ちょっと大部な資料なものですから。この上のほうに対象等についてまとめていただいておりまして、先ほど河野委員から御質問がありました、例えば継続プログラムの大学病院と研修病院との割合については、括弧書きで小さく「全プログラムにおける継続プログラムの割合:23.9%(大学病院:14.3%、研修病院:32.7%」というパーセントをお示しいただいております。
○小森委員 私ちょっとお聞きしたいことがあるのですが、福井参考人の研究は以前もこの内容を拝聴させていただきましたが、一方で田中先生の研究、EPOCでのことについても、特に参加、それから承認の問題等については弾力化プログラムの到達目標の達成率が低いというデータが出ている反面、弾力化プログラムの達成率の高い項目というのもかなり多いのですね。このことについての評価はいかがかということをちょっとお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○福井参考人 全く違うデータソースを用いての分析ですので、どちらが真実なのか突き合わせができるようなものではなく、よく分かりません。EPOCのほうは日常的に入力したもので、私たちのデータはアンケート調査で答えていただいたものですので、全く別個に解析したものです。申し訳ありません。
○小川委員 先生のスライドの2枚目に、平成22年度の見直しの所がありまして、そこに2つの論点が挙げられております。医師不足・偏在への対応というのと、臨床研修の質の向上ということですが、先生の今日の発表では2番目しかありませんが、1番目に関しては一切触れられていないのですが、その辺に関してはどのように日本病院会ではお考えなのでしょうか。
○福井参考人 日本病院会会員全員の意見ではございませんが、臨床研修の評価は2番目のほうをメインで考えるべきである。医師の不足や偏在への対応というのは、他の要因と考え合わせて全体的な判断・決定をすべきであって、あくまでも、私たち臨床研修医委員会としては臨床研修という側面についての判断をしているわけです。医師不足・偏在というのは全く違った他の要因を考え合わせての判断になりますので、それはトータルとして別の所で考えていただく。臨床研修の制度そのものが扱うテーマとは違うのではないかと考えます。
○小川委員 もう1点よろしいですか。ですから5年前、「臨床研修制度等に関する意見の取りまとめ」を、厚生労働省と文部科学省合同でまとめたわけです。そこに明確に書かれているのは、募集定員が病院ごとには一定の基準によって管理されているけれども、総数、地域別にほとんど調整されていない。従って、募集定員の総数が研修希望者の1.3倍を超える規模まで拡大して、従って偏在が起こっているのだと明確に述べています。研修制度の枠組み、制度設計と地域偏在との間に明確に関連があるということが、5年前の意見の取りまとめで、明確に示されたものだと思っております。そうしますと、やはりそれは研修制度とは関係ありませんというわけには、絶対いかないと思います。
○福井参考人 日本病院会の臨床研修委員会として医師不足・偏在への対応を検討するということは行っていないというふうに取っていただければ結構です。
○福井参考人 日本病院会の臨床研修委員会としては、その委員会で医師不足・偏在への対応を検討するということは行っていないというふうに取っていただければと思います。
○神野委員 先生に直接質問ではないのですが、平成22年度見直しでもし小川委員がおっしゃるように、医師不足・偏在への対応ということで弾力化プログラムというものができたとするならば、もう少し大学にたくさん研修医が行ったはずなのに、現実問題としては弾力化プログラムを入れても変化はなかったという結果がどこかにありました。この資料の中に、今探しますけれども、出ていました。
○医師臨床研修専門官 今の資料の99ページ、すみません、見づらいのですけれども、「研修医の採用実績」というグラフがあります。こちらですと平成22年にプログラム変更をした後に、大学病院と臨床研修病院のそれぞれの研修割合の推移を見ていただきますと、大学病院は赤、臨床研修病院は青ですが、神野委員の御指摘のとおり、特に上昇は見られていないという結果になっております。
○小森委員 弾力化プログラムの採用、その功罪と評価を大学病院で研修する方の人数の多寡のみで評価をするというのは、私はちょっと乱暴な意見だと思います。それと福井参考人が中心となっておまとめになられた研究の結果ですと、ある意味、日本病院会の御主張も理解はできるのです。先ほど申し上げたかったのは、一方で、確かにソースも違うわけですが、EPOCによる田中先生の研究結果等も踏まえると、必ずしも弾力化プログラムであるから悪いという評価はちょっと難しいのではないかと思っておりますので、その辺りのことも他の研究の成果等も踏まえて議論するのがいいだろうという認識をしています。
○桐野部会長 それでは時間もございますので、次に星参考人の発表に移りたいと思います。福井参考人、どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
星参考人 それでは意見を述べさせていただきます。まず冒頭ですけれども、平成16年の新医師臨床研修制度が導入される際に、実は私は日医代表の席に座っていたのだと思うのですが、大変な思いをして産んだ制度だと私も認識しています。5年後の見直しがあって、また次の見直しを今しているということですので、我々のような小さな地方の病院がどんな苦労をしているのかというようなことを中心に、福井参考人のようにデータを示してというよりも情緒的になるかもしれませんが、意見を述べさせていただきたいと思います。
 その前に、先ほど来意見が交わされていますけれども、医師の偏在や地域における医師不足、医療崩壊の原因を、単にこの新しい臨床研修制度によるものだと、枕言葉として使われてしまっていることに、私は非常に不満を持っています。我々のような田舎の病院でも何とか医師の教育をしたい、あるいはそういう努力をして我々の病院のレベルも上げていきたいという、多くの病院が地方で歯をくいしばって頑張っているという現実を是非とも理解してほしい。そのことを冒頭に申し上げます。
 どういう資料がいいかと思って考えたのですが、こんなふうにやっていますというのを持ってきましたので、別にこれで私の病院の宣伝をしようという話ではないので、その辺は軽く見ていただければいいのですが。御覧のように、うちではいわゆる弾力化プログラムをメインに一応やっています。これはいろいろな議論をした上で、私どもとすれば様々な選択肢があっていいだろうということですので、もちろん小児科、産婦人科あるいは精神科を選んでくれる研修医の数も少なくありません。我々とすればできるだけ多くの診療科を経験してもらいたいと思う一方で、自分が進むべき道を見極めるためにマイナー科目も含めて研修したいという意見があるのも承知しておりますので、自由に選べるようにということですが、結果的に、今日はその資料を持ってこなかったのですが、多くの診療科に挑戦していただいているのが現実であります。
 では小さな病院のどういうところがいいのか、スライドで言うと?と書いてありますけれども、私どもの病院は病床数で言いますと430床でスタッフが600人ちょっとだと思いますが、非常に広い医局と研修医のスペース、そして事務職員あるいは他のスタッフの集まる場所がワンフロアに配置されておりまして、研修医がいろいろな研修の合間に様々な職種と交わって、診療科や診療内容だけではなくて、病院全体の仕組みや病院の活動そのものを理解するようなことにも役だっていると思っています。
 それからもう1つは、診療科同士が仲が良いというのが小さな病院の特徴で、仲良くしないとやれないというのが人数的にも当然でありますけれども、診療科の垣根を越えてある研修医がある診療科を回っている間に、実は他の診療科の先生達がその教育に大きく関わるというようなことも現実に行われておりますし、それは後で述べますけれども研修医達にとっても研修しやすい環境だと思われていると思います。
 次に行きます。この辺は金にまかせてと言われそうな気がしますが、海外に連れていくこともありますし、給与の話も後で書いてありますけれども、給与もそれなりに出しています。私たちはそれ以外にも、例えば様々な学会で是非1回は発表してくれということで、2年間のうち学会に1回だけ行かせるという意味ではなくて、希望があれば何回か行ってもらいますけれども、少なくとも1回は発表できるようにということで、それは現に研修をしている診療科に限らず、興味のある診療科の先生に2年間かけて指導を受けて、学会で発表するということを1つの目標にさせていただいています。
 6番のところですが、「地域医療の充実」と書きました。我々の関連病院に町立の病院がございます。86床の病院であります。回復期リハビリ病棟と、いわゆる一般病床ですけれども20日前後の入院期間を持っている、どちらかというと慢性期に近い地域の病院であります。ここで一緒に研修をする、行ったり来たりすることがあります。あるいはその下に書いてありますけれども、今度在宅のクリニックをこの4月に開設させていただきまして、在宅訪問診療なども研修医と指導医と、訪問看護ステーションあるいは看護師が同行するというような形で、看取りも実際にやらせていただいています。このことは我々の地域ではもう既に高齢化が非常に進んでおりまして、在宅での看取りは2025年問題を待つまでもなく、我々にとっては大変大きな問題になっておりまして、この経験を若い先生達に是非ともしてほしいということで、地域医療という枠組みにかかわらず、在宅での研修を重要視させていただいています。
 ややもすると田舎の病院は金にまかせて研修医を集めて、何も教えないでこき使っているのではないかと言われがちですが、勉強会やカンファレンス、あるいはCPCその他我々にできる範囲において、あるいは大学の協力を得たり、近隣の研修病院との協力の下に、様々な努力をし、質の向上、研修内容の向上に努めております。
 次のページ、県立医科大学との連携というのがあります。県立医大があります。後でマッチングの数をお見せしますが、必ずしも十分な数が医大に残るわけではございません。むしろ地域の研修病院が様々な工夫をこらす形で、医大の出身者を含めて私どもでお預かりするという形になっています。平成23年4月、実はあの年はうちはフルマッチをしましたが、入職予定だったうち複数名が福島では研修はできないと言って他の病院に移ってしまいました。これはやむをえないと思いますが、非常に辛い一年間を過ごしました。後でデータを見せますが、その後多くの研修医が残ってくれる状況になりつつあります。
 医大の努力ももちろんありますし、後期研修の先ほど議論のありました定数、数としては今日は私はお示しできませんが、少なくとも私どもで研修を終えた研修医は、99%近くといいますか、ほぼ全員がいずれかの大学、出身大学であったり県立医大であったり、様々な大学の医局に入局して、先ほど来話のある専門医の研修に移っております。ですので病院が高給にあかして研修医を3年目も4年目も引き続いて独り占めしているというような状況では、少なくとも私どもではありませんし、そういう状況を作ったところで研修医がそれを選択してくれるとも限らないので、私たちとすれば、是非とも一度大学に戻ってくれと。
 しかしながら在宅での看取りの経験や、救急で苦労した経験は一生の宝になるぞというような思いで、その後の実際の実働部隊として使える3年目にいなくなってしまうので、指導してもいなくなるという徒労感が一方ではありますけれども、現実にはそういう思いを持って送り出した研修医が、医局からの派遣という形で私どもの病院に来てくれることがままございます。今は派遣先を自分で選べるように、かつてのように教授が行けと言ったら「はい」と行くようではないですので、いい研修をしていればいい印象を持って研修医に受けとめられて、いずれ選んでもらえるだろうということも考えておりましたが、現実に私どもの病院に戻って来てくれた研修医達は、大変に懐かしいと、そしてきれいになっていいねといいながら病院で診療にあたっています。この雰囲気が好きなのだというようなことも言ってくれています。
 その下にあります研修病院ネットワーク、これは小川先生のところがそうであるのだろうと思いますが、我々のところはもう少し緩いアライアンスのようなことだろうと思います。福島県内の臨床研修指定病院が全部で18ございまして、医大とネットワークを組んで全体として臨床研修の内容や様々なことについて議論をしたり高めあったり、先ほど言ったように共同で指導医の研修をしたり、あるいは共同で研修医を集めてレクチャーをしたりというようなことを行っています。
 やはり福島県は研修医のみならず医師そのものの不足が深刻でありますが、何とかいい環境をみんなで作って、そして福島県内にどの病院とか大学とか言わずに、多くの人に残ってもらえるような環境を作ろうということで、いま必死に努力しているところです。
 大学病院との違いと書きました。これも数がどうこうではありません。研修の終了の時点でオーバーオールの評価といいますか簡単なレポートを書いていただいていますが、その中の話であります。1つは研修医の数が少ない。私どもの病院は430床で、平均在院日数が11日ぐらいですので、入院患者で言うとそのぐらいの数になると思いますが、実際は最初は8名の定員で始めました。それが一時5名に減らされたと言いますか、マッチングしなかったおかげで少し減りましたが、現在6名でありまして、この4月からの入職者は6名フルマッチで来ていただきました。
 6名ぐらいがちょうどいいというのは、先ほど申し上げたように、研修指導医の数が必ずしも十分でないということもありますが、補いながらできる。そして、きちんと面倒をみられる上限というのは6人、多くても8人ぐらいだろうと私は思っていますし、それは現実にそうであると同時に、当初平成15年の研修制度の前年に指定病院をいただきましたが、その時に出した定員も8名です。あの時は民間ではベッド100床当たり何人みたいな話をして、最大であれば20人ぐらい取れたのかもしれませんが、我々にできないキャパシティで風呂敷を広げても仕方がないという思いでやってきておりまして、それは我々にとっても良かったと思います。
 それから二次救急、私どもの地域は輪番制でやっています。したがって、来る日は80人とか救急車20台ということも、週に1回あるいは2回あります。その日は当然研修医、指導医や各科の専門医も泊まりますし、研修医が交代で二次輪番の当番日に当直をしてくれています。この経験が非常に良かったということが言われておりまして、診療科を問わず全科の二次輪番なので、かなり多くの症例を経験できたということで、一次も多く含まれておりますけれども、そういうことがあります。
 それから指導医は熱心ですし、指導医以外の事務スタッフや看護師その他、みんなで寄ってたかって指導しようというのが我々の基本構想ですので、寄ってたかって研修医の面倒を生活の面からなにから、これでもかというぐらい面倒を見させていただいておりまして、それは非常に評価を受けているということです。
 ここは先ほど言いましたけれども、大学病院での研修に比較するとプレゼン能力が低いということを言われがちでありますので、先ほど学会発表の話もしました。院内でも様々な発表のチャンスを作りまして、できるだけ多くのそういう機会を持つこと、あるいはプレゼンのための研修会やレクチャーなどもしておりますけれども、そんなことで努力をしているところです。プラスアルファということで、学会参加にはかなりの数行っておりますという話です。
 処遇についてはここに書いてあるとおりでありまして、子育てをしながらという経験も複数あったと思います。写真を少し付けておきましたので、御覧いただきたいと思います。それからその後に臨床研修をどんなふうな形でやられているか、関連病院がこれだけの病院のアライアンスと言いますか協力をしながらさせていただいていまして、私どもにない機械やあるいは診療科については、この多くの病院の協力を得ておりますし、これらの病院から短期間の関連病院といいますか、指定病院の協力施設として1か月程度の引受けをすることもままございます。
 資料を一応持って参りました。平成24年度のマッチングの結果であります。平成25年度はちょっと間に合わなかったのですが御覧のような数字で、資料の最後にグラフを載せておきました。平成23年度は県全体としても61人という、非常に少ないマッチ数、マッチ数ではないです。実際に入職した人の数です。これしかございませんでした。今年はまた多少元に戻りつつありますが、御覧のように県立医大での研修希望者はこのぐらいであります。実際は研修指定病院が様々な工夫をして、何とか県内に残ってもらえるような形で研修をすることによって、何とか福島県の医療の灯を消さないようにやっているところですので、是非ともその辺りを御理解いただきたいと思います。
 私どもは冒頭に申し上げましたが、弾力化プログラムが良いとか悪いとか、あるいは大学病院が良いとか悪いとかということを、ここで私が声高に言う必要はないと思いますが、少なくとも私たちのような地域の中規模病院あるいは小規模病院も含めて、私が今日お話したように多くの病院が、それぞれの個性やそれぞれの良いところを活かして何とかいい研修医を育てて、いずれは自分のところ戻ってくれるかもしれないという期待を持ちつつ、2年間の研修を必死にやっているというこの現実だけは、皆さまに是非御理解いただきたいし、そのことが福島県に限って言えば、医大が良くないとは言いませんが、医大だけでは抱えきれないといいますか迎えきれない研修医をこういう形で受け入れ、かつ医大その他の施設が協力をして実施しているこの研修の仕組み、あるいは研修のありようというのを少しでも御理解いただければありがたいと思って参りました。本日はありがとうございました。
○桐野部会長 どうもありがとうございました。それでは御質問、御意見ございますか。
○山下委員 私は山形大学にいますので、星総合病院がどれぐらい頑張っておられるか、よく存じているつもりでありますし、先生が示されたプランというのは私は価値観を共有できると思います。問題は、先生のところがこんなにうまくいっているのを、全国にどうやって広げるかということだと思うのです。要するに地域の病院と大学病院で人を取り合ってもしょうがないのです。私も山形ですから、大学病院と地域の病院が人を取り合うのではなくて、一緒にやりましょうというコンセプト、これは小川先生もそういうつもりだと思うのです。結局こういう良いシステムをどうやって、例えば全日本病院協会で各地域にこういうようなコンセプトで、みんなで育てていきましょうというシステムを作るかどうか、これが問題だと思うのです。先生は戦略とか病院協会でのディスカッションとか、いかがでしょうか。
○星参考人 実は私は医療制度・税制委員会の委員をしておりまして、よく分からないですがここでは臨床研修もやっているのです。指導医研修会をここ8年ぐらい毎年1回から2回させていただいていて、会員病院の指導医になる先生達に集まっていただいて、当初から私も参画させていただきました。その多くの研修指導医講習会がプログラムを作る、あるいはいろいろな勉強をするという場面なのですが、全日病の場合は、どうやったら臨床研修病院になれるか、あるいはどういうふうな工夫をしたら研修医が集まるかというようなことを、実は隠れテーマと言いますか1つの大きなテーマとして議論をして、ワークショップをするわけですけれども、その中でいろいろな意見が出ます。
 実際に研修病院になっている有名病院からも来ますし、一方では、この先研修病院にならないと医者が来なくなるかもしれないから、今のうちに何とかしておかないといけないという人たちも来ます。でも、共通の理解は、成功事例やあるいは失敗体験も含めてですけれども、何とか自分達も勉強して、自分のところの病院の質を高めていきたいという意味では意見が一致しますし、多くの成果を生んでいると思います。ただ、それが直接に多くの病院の質の改善や研修内容の改善にダイレクトつながって、それが制度として大きく広がっているかというと、もしかしたらそうではないのだろうと思います。
 その辺りは全日病本体での議論になるのだと思いますけれども、私たちからすれば、少なくともそういう機会を通じて研修病院の持っている意義や、頑張っている医療機関の紹介や、そういったことを非常に草の根的でありますけれどもさせていただいています。そういうことをベースに、既に卒業したワークショップ修了者指導医の証をもらった者が、かなりの数いますから、そういう人たちにグループ化を呼び掛けて、地域の中で、それぞれの都道府県で指導医のグループのようなものを作ってもらって、それぞれの病院の努力をエクスチェンジするみたいなことをしてみたらどうかというようなことも、研修のワークショップの中、あるいはワークショップの指導をしている人たちの間では話が出ておりますので、多分一朝一夕にと言いますか、これをやればこうなるということは私も思いつきませんが、少なくともそういう努力を今させていただいて、それはいずれそういう新しい制度につながっていくのではないかと思います。
○桐野部会長 そのほか御意見がございますか。
○小川委員 星先生のように地方にあっても非常に頑張っておられるところがあるわけです。先ほど福井先生のお話の中で、大学病院と市中病院では研修の質にほとんど差がないという話があったのですが、そうしますと都市部と地方の病院において、臨床研修のレベルに差があるのかどうかというのは、データがありますか。
○星参考人 申し訳ございませんデータは持っておりません。多分それはデータを取ろうにもすごく難しいと思いますので、申し訳ありません。
○小川委員 福井先生は持っていませんか。
○福井参考人 解析しようと思えば恐らくできると思いますが、現在までのところ解析はしておりません。
○小川委員 なぜこういう話をするかというと、先ほども申し上げたとおり、現在日本においては医師不足そして地域偏在というのが大変な社会問題になっているわけで、これは大きく臨床研修制度におけるマッチングのあり方に関係しているということが言われているわけです。従って、都市部でものすごく質の高い研修がされていて、地方ではされていないというのであれば別ですが、それが同じで差がないのであればマッチングのマッチ数すなわち希望者数と定員が大きく乖離があって、1.3倍も開いているので、都市集中が起こっているということです。これを是正するのであれば定員を変更するという方法もあるのかなということです。
○桐野部会長 いかがですか。マッチングの倍率は今1.23だそうです。1.3ほどは大きくないけれど。もしよろしければ先の議論に進んでよろしいですか。星参考人、どうもありがとうございました。それでは議題の2番、「募集定員の設定等について」に入ります。最初に事務局より資料の説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料1「募集定員の設定等に関する論点」です。これは、これまでと同様に、元はワーキンググループにおける論点整理をベースにし、前回の本部会において頂きました主な御意見を、アンダーラインを付して追記しているものです。時間の都合もありますので、今回御議論いただきたい論点の部分を中心に御案内いたします。
 11ページからが、今回御議論賜りたい部分です。4)「募集定員の設定」です。?募集定員の設定方法です。現状については、後ほど参考資料の御説明と併せて御確認いただきます。論点として、1つは各都道府県の募集定員ということで、地域医療への影響も踏まえ、各都道府県の募集定員の上限設定について、例えば新たに人口当たりの医師数や、高齢者割合等を加味することについてどう考えるか。激変緩和措置は、これは平成25年度末まで、募集定員の上限は前年度の受入実績の90%を下回らないようにする措置についてどう考えるか。
 各研修病院の募集定員という論点については、例えば医師派遣加算において、派遣先が医師不足地域である場合や、医師不足地域の協力型臨床研修病院と連携している場合を加味することなどについてどう考えるか。激変緩和措置は、同じ年度末までに、募集定員が前年度の内定者数を下回らないようにする措置についてどう考えるか。小児科・産科特例プログラム加算についてどう考えるかという論点があります。
 12ページで、この点については前回の本部会においても、研修希望者は、出身大学を通じて研修病院を調整・選定するとともに、都道府県ごとに関係者からなる合議体を設置して、全国ベースで研修希望者数とおおむね一致するような募集定員を設定するシステムを構築すべきであるという意見を頂いております。
 このページの一番下の方の?地域枠への対応です。現状は割愛させていただいて論点です。13ページの中ほどで、地域枠と都道府県の募集定員については、都道府県の募集定員には、地域枠も含まれていることについてどう考えるか。他県にかかる地域枠であっても、当該大学の所在都道府県の募集定員に反映していることについてどう考えるか。地域枠とマッチングについては、地域枠の学生とマッチングとの関係についてどう考えるか。地域枠をマッチングの別枠にすることについては、マッチングの公平性等の観点からは別枠にはせずに、弾力的な運用で対応すべきとする見方がある一方で、地域医療への従事を確実にする観点からは別枠にすべきとする見方があることについてどう考えるかという論点があります。
 14ページで、5)「研修医の処遇等の確保」についてです。論点として、給与・手当について、この状況をどう考えるのか。労働環境としては、研修医の労働時間の状況(当直回数や当直明けの連続勤務等を含む)についてどう考えるのかという論点が挙げられております。
 15ページで、6)「その他」です。この項目については、当初のスケジュールでは次回の検討対象としておりましたが、前回小川委員からの御指摘がありましたので、それを踏まえて今回繰り上げて御議論いただきたいと考えているものです。
 ?臨床研修病院群の形成です。現状については、現在研修病院の指定基準として、基幹型臨床研修病院は、協力型臨床研修病院、臨床研修協力施設又は大学病院と連携して臨床研修を行うこととされております。
 また、臨床研修病院群を構成する関係施設相互間で密接な連携体制を確保していることとされていて、臨床研修病院群の構成は、同一の二次医療圏内又は同一の都道府県内にあることが望ましいこととされております。
 この現状を踏まえて論点としては、この病院群の在り方についてどう考えるか。大学病院を含めた臨床研修病院群の形成を指定の要件とすることについて、臨床研修病院群の形成における地理的範囲(二次医療圏、都道府県等)については、例えば同法人内で派遣や被災地支援など必要に応じ全国的にも展開できるようにすることについて、臨床研修病院群の形成において一定の病院数を要件とすることについて、医師不足地域の協力型臨床研修病院との連携を推進することについて、それぞれどう考えるかという論点が挙げられております。
 16ページです。本部会においても、今申し上げた論点については、臨床研修病院群の形成は重要な課題であるが、現在、例えば隣の病院との2病院だけで群と言っているものや、協力病院が全国にまたがっているものなど様々であり、議論が必要ではないかという御意見を頂いております。
 同じページの中ほどで?第三者評価です。現状としては、現在、臨床研修の指定基準として、将来第三者による評価を受け、その結果を公表することを目指すこととされております。これについての論点として、第三者による評価の在り方について、第三者評価を無作為抽出での訪問調査により行うことについて、それぞれどう考えるかという論点が挙げられております。本部会においても、第三者評価については、義務付けはしないまでも、何らかの条件の1つとすべきではないかという御意見を頂いております。
 17ページの?都道府県の役割です。現状としては、現在、基幹型臨床研修病院は、地域医療の確保のための協議や施策の実施に参加するよう、都道府県から求めがあった場合にはこれに協力するよう努めることとされております。また、都道府県は管轄する地域における各病院の募集定員について、各病院の研修医の受入実績、地域の実情等を勘案し、必要な調整を行うことができるとされております。都道府県、臨床研修病院、大学病院等において、臨床研修に関して関係者が協議する場、いわゆる地域協議会を設け、臨床研修の質の向上、研修医の確保、研修医の募集定員の調整等について協議・検討することが望ましいこととされております。その上で論点として、地域協議会の活用の在り方を見直す等、都道府県の役割や権限の明確化を図ることについてどう考えるかという論点が挙げられております。
 18ページで?制度運用上の問題です。現状としては、研修医の受入実績が2年間なかったことにより、指定を取り消された病院が、翌年すぐに再申請することが可能となっております。また、指導医講習会については、翌年度の受講予定の段階で申請されている場合があります。その上で論点としては、基幹型臨床研修病院の指定に係る再申請ということで、研修医の受入実績が2年間なかったことにより、取消になった病院の再申請の在り方について、あるいは協力型臨床研修病院において、研修医の受入実績がない場合の指定の取扱いについてそれぞれどう考えるか。指導医講習会については、この受講と指定申請の時期との関係について、どう考えるかという論点が挙げられております。本部会においても、指導医講習会は、研修病院としての指定前に受講していることが必須ではないかという御意見を頂いております。今回御議論を賜りたい部分は以上の論点です。
 続いて、事務局提出資料2「各論点に係る参考資料の概要」です。別途紙ファイルで先生方にお配りしております参考資料のうち、今回の論点に関する部分の概要をまとめたものです。今回は、定員等の詳細な部分に関わるものですから、実際に資料を御覧いただきながら、改めて御案内いたします。
 紙ファイルの中に、青い付箋を入れております。付箋?は「都道府県別募集定員の上限の設定方法」です。現在、全国の研修医総数を??のように、人口の割合で按分したものと、入学定員の割合で按分したもののどちらか多いほうに、?として地理的条件、1つは面積当たりの医師数、もう1つは離島の人口を勘案した?を加えて都道府県別の募集定員の上限としております。ただし、下に書いてあるように、激変緩和措置として、この募集定員の上限は、前年度の90%を下回らないように平成26年3月末まで措置をされているところです。
 その下の「研修病院の募集定員設定方法」についてです。例えば、2つの病院をモデルにして試算した場合にどうなるかをお示ししたものです。A病院は医師派遣実績がある場合、B病院は医師派遣実績がない場合です。前年度の募集定員が30名だった場合がA病院です。過去の受入実績の最大値、過去3年の最大値が20名で、医師派遣の加算が10名とした場合で、かつ都道府県の上限との調整ということで、例えば病院の募集定員の合計が、その都道府県内で1,000名、都道府県の上限が900名だとすると、この分の900/1,000が30名に掛けられて27名となった上で、一番右側で激変緩和措置として、前年度の内定者が22名だったとすると、22名よりも27名は多いので、この27名がA病院の定員となります。
 B病院の場合には、医師派遣実績がありません。前年度の募集定員が12名で、過去の受入実績、最大値が10名だとすると、同じ募集定員、都道府県の上限との調整で900/1,000を掛けて9名となりますが、激変緩和措置として、例えば前年度の内定者が11名だったとすると、11名がB病院の募集定員になります。これについても下に書いてあるように、激変緩和措置として、募集定員が前年度の内定者数を下回らないようにする措置が平成25年度末まで取られています。
 右側のページは「研修医の募集定員・受入実績等の推移」です。この中では、特に紫色の募集定員と、オレンジ色の研修希望者の推移を御覧ください。平成25年度以降ずうっと推計した場合に、赤い線、都道府県の募集定員の上限との関係で見ると、現状のままで試算した場合に、今後、医学部の卒業者が増えますので、これと研修希望者を一時的に下回る見込みです。
 その下は「小児科・産科プログラムについて」です。募集定員が20名以上の場合に、必設とされているプログラムとして、小児科プログラムでは平成22年度の開始プログラム実績で見ると、定員が163名に対してマッチ者数は110名、産科プログラムは定員が144名に対してマッチ者数は74名、小児科・産婦人科プログラム、あるいは周産期プログラム等として、定員78名に対してマッチ者数40名という実績となっております。
 次のページで、「都道府県別の募集定員と受入実績の状況」です。都道府県ごとに見た場合に、募集定員、受入実績、各都道府県の上限を示したものです。仮に激変緩和措置がなくなった場合には、募集定員は各都道府県の募集定員上限程度となります。すなわち、募集定員という紫色の枠が、赤い線の各都道府県の上限まで下がってくることになります。以上が募集定員関係です。
 そのページの下の所で、「地域枠等の分類」です。地域枠と一口に申しましても、多様なバリエーションがあります。メルクマールとしては奨学金の有無、自主主体として大学だけではなくて、都道府県あるいは市町村等も考えられます。医学部入学定員増との関係が有るのか無いのかというメルクマール、勤務地の限定の有無がそれぞれあります。
 スライドの62ページで、「地域枠等の状況」です。これは文科省から頂いた資料です。定員増の有無に関わらず、平成9年度から漸次地域枠の導入が進んでいて、平成23年度時点では67大学で、1,292名が地域枠として入学しております。
 次のページで、マッチングとの関係です。「平成23年度研修医マッチング等」です。制度上、マッチング・システムに載る、載らないというのは任意になっておりますが、実際問題は研修医のマッチングとして、ほとんどの研修医がマッチングに参加をして、マッチング参加病院とマッチングをした結果、ほとんどの研修医はシステムに載って研修病院が決まっています。ただ、一部マッチング不参加者として、ここの中では2名ですが、マッチングに参加せずに研修病院を決めている場合があります。その外に、自治医科大学卒業者、防衛医科大学卒業者が、それぞれマッチング・システムとは別枠で研修病院が決まっている状況です。
 66ページで、「地域枠等と募集定員」との関係です。例えばA県、B県を想定した場合に、A県内大学の医学部入学定員数を100名とした場合に、一般枠とは別にB県の地域枠、あるいはA県の地域枠として、それぞれ10名、20名が設定されていた場合でも、B県の地域枠が含まれておりますけれども、募集定員としては、A県の募集定員の上限の算定に反映しているのが現状です。
 右のページで、「臨床研修医の推計年収」です。年収を平均してみると、1年次では435万円程度、2年次では481万円程度です。※3)として、研修医に対して年間720万円以上の給与を支払っている病院に対しては、補助金を一定割合削減する措置を取っています。下のページは、研修医の推計年収を、それぞれのカテゴリーごとに分けていった場合ですが、おおむね320万円から720万円の範囲内にあります。次のページの下の、「臨床研修医の当直回数」についてですが、当直回数は月4回が大学、研修病院の別に関わらず最多となっています。
 付箋?でページをめくると、「指導医講習会の現況?」とあります。現在までに講習会は延べ1,309回開催されております。講習会の修了者数は延べで4万3,701名です。
 付箋?の右側のページで、「臨床研修医の採用実績」です。6都府県と、その他の道県と分けて見た場合に、今の臨床研修制度導入後、都市部の6都県、すなわち東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡では減少傾向にあり、その他の道県では増加傾向にあります。最新では、緑色がその他の道県、紫色が6都府県です。その他の道県が53.3%、6都府県が36.7%です。
 そのページの下の部分で、「医籍登録後1~6年目の医師数の分布割合の推移」です。若手医師の勤務地について、制度導入後1~2年目、すなわち臨床研修期間中の医師は、6都府県に勤務する割合に大きく変化は見られないものの、3年目、すなわち臨床研修が終了後3年目から6年目の医師は、6都府県でやや増加傾向にあります。このグラフでいくと、青い部分の割合の増加傾向は、医籍登録後の1~2年目の臨床研修期間よりも、3年目以降、後期研修以降の医師に割合としては増加傾向が見られます。次のページ以降は、それを都道府県ごとに見た場合ですので割愛させていただきます。
 更に次のページは、先ほども御覧いただきましたが、「研修医の採用実績」が下のページにあります。研修医の採用実績として、大学病院と臨床研修病院と分けた場合の推移です。これについては、制度導入後、大学病院の採用実績は減少していて、最新の平成24年度で見た場合、臨床研修病院は青い線で55.6%、大学病院は44.4%です。
 付箋?は、「臨床研修病院群について」です。昨年度行われた厚労科研における、病院を対象としたアンケート結果をまとめたものです。問2-1は、臨床研修病院群を構成する医療施設ということで幾つか挙げていただきました。多い順に「自院の関連する大学の関連医療施設」「設置母体が同一等グループの医療施設」「院内の医師の知り合いの医療施設」で構成している場合が多いです。問2-2は、臨床研修病院群を構成する医療施設について、カテゴリー別、すなわち臨床研修病院と大学病院で分けた場合の割合の違いです。臨床研修病院の場合には、同一の医療圏内の近接の医療施設の割合が多いのに対し、大学病院については自院の関連する大学の関連医療施設の割合が多くなっています。
 付箋?は、同じ対象に対して「臨床研修病院の定員について」伺っています。問4-1は、研修医数については適当か、より多いほうがいいか、より少なくかを伺ったところ、「適当」が57%、「より多く」必要だが42%です。
 問4として、その研修医数についてカテゴリー別に評価した場合に、臨床研修病院と大学で分けた場合、大学病院の方が「今より多いほうがいい」とする割合が高くなっています。その右側で、地域別でそれを見た場合に、その他と6都府県で分けた場合に、「今より多いほうがいい」の割合については、6都府県の方の割合が高くなっています。
 問4-3は、臨床研修医の募集定員を決定する要素として、重要であると思われる項目を複数回答で挙げていただいております。多い順に、「指導医数が重要である」「教育指導体制の堅実性」「救急症例数」「年間新規入院患者数」「病床数」の順に要素として重要であると考えている病院が多いです。参考資料については以上です。
 次は、事務局提出資料3「都道府県医師臨床研修に関するアンケート調査結果(概要)」です。こちらは、厚生労働省から各都道府県の知事部局に対し、昨年11月に臨床研修に関するアンケート調査を行った結果の概要です。
 項目1は、都道府県の募集定員の上限設定の算出方法についてどのように思うかと聞いたところ、「概ね適切」という青の割合が28%です。それ以上に、「計算式を一部見直すべきだ」が32%、「計算式を抜本的に見直すべきだ」が6%です。
 次のページで、具体的にこの募集定員の上限を決定する要素として、重要と思われるものを最大3つまで複数回答ということでアンケートをしたところ、この棒グラフにあるような項目が挙げられております。例えば「県の人口」「県の65歳以上の人口」「県の離島人口」「県内の医学部入学定員」「県の面積あたり医師数」「県の必要医師数」等々が挙げられています。下から2つ目には、「人口あたり医師数」を挙げてきています。この中で、現在も加味している要素として、一番上の「県の人口」、3つ目の「県の離島人口」「県内の医学部入学定員」「県の面積あたり医師数」の4つは現在も加味しているものですので、現在加味していないもので多いものは「県の65歳以上の人口」と、「県の必要医師数」、「人口あたり医師数」が挙げられます。
 ?の上限等に関する主な意見として自由記載していただきました。例えば、募集定員と研修希望者数をおおむね一致させるべきである、地域間の格差是正のための調整係数を設定すべきである、入学定員は地域の医療需要等と相関はないため要素に入れるべきではない、激変緩和措置の廃止により定員が減る地域への配慮が必要、地域枠の定員数を単純に増加させるべきではない、病院の募集定員には過去の実績のみならず、指導体制や努力を反映すべきといった回答が寄せられております。
 次のページで、2「都道府県による募集定員の調整」については、実質的に調整できる定員がない、指定手続等は厚生局の方で行っているため、募集定員の調整のみを県で行うのは困難といった意見が寄せられております。
 3「地域枠学生とマッチング等」の関係についてです。これについては?と次のページの?で分けて整理しております。?同じマッチングの適否について、都道府県内の医療機関から自由に選択して研修する地域枠の場合です。「マッチング内であるべき」が48.9%、「マッチング外であるべき」が27.7%です。その場合の主な理由として、マッチングの枠内とすべきである理由については、現行制度でも希望順位の選択等の工夫で対応可能である、一般学生との公平性、マッチング外とすると本人の学習意欲の低下の恐れ、マッチング外とすると県が調整をすることになってしまう。一方でマッチング外であるべきとする理由として、アンマッチの恐れが挙げられています。その他の主な意見として、原則はマッチング内とし、アンマッチの場合などに例外的に定員を上乗せすべきであるという意見が挙げられています。
 ?として、地域枠のうち、その都道府県内の特定の医療機関が既に決まっている地域枠の場合には、「マッチング内とすべき」が14.9%、「マッチング外とすべき」が44.7%です。このうち、マッチング枠内とすべき理由として、マッチング外として扱った場合には学生のモチベーションやレベルを低下させるおそれがある、一般学生との公平性が挙げられています。マッチング外であるべきとする主な理由として、自治医大学生と同様に扱うべきである、アンマッチを防止するためにそうすべきである、マッチング内とすると、学生に自由な病院選択が可能であると期待されてしまうという理由が挙げられています。
 ?で、地域枠と定員との関係については、「都道府県上限に加算すべき」が48.9%、「指定された医療機関に加算すべき」が36.2%です。
 ?は、地域枠への主な意見として、地域枠学生の人数が多いので、マッチング外とすると事前調整も膨大になり馴染まない、マッチングの理念を尊重すれば、地域枠を例外扱いにする必要はないという意見が挙げられています。
 4「地域協議会」です。これについては、現在臨床研修の質の向上のために、関係者が協議する場として設置することが望ましいとされている協議会です。おおむね設置している場合が多いのですが、「地域協議会を設置していない」が25%あります。この場合でも、他の協議会等が同様の役割を果たしている場合が含まれています。一方、臨床研修病院が多数あって、協議会を設置することが現実的ではない、必要性に乏しいという理由で設置しない例があります。他の協議会等が同様の役割を果たしているということで「その他」が11%の内数として入っています。
 5.「その他」として、臨床研修制度全般についての主な御意見ということで、例えば都市部と地方、人気病院とそれ以外の病院との研修医数の乖離を解消すべきである、中小病院への配慮が必要、基礎医学への配慮、死因究明に係る解剖医の不足への配慮が必要、マッチ保証を継続すべきという意見が挙げられています。
 最後のページで、6「地域枠学生数の推移」です。臨床研修期間中の2年間のうちに、県内の勤務要件が課されている奨学金の貸与者に限った場合に、医学部の1年次から6年次までの入学年度と貸与実績について回答をまとめたものです。貸与実績としては、1年次から6年時まで漸次増加する傾向が明らかです。ただし、これは飽くまで都道府県の方で貸与主体となって把握している奨学生です。後ほど御案内いたしますように、市町村あるいは大学等が主体となっているものについては包含されていない点に御留意ください。資料3の説明は以上です。資料4、資料5については専門官の國光から御説明いたします。
○國光医師臨床研修専門官 事務局提出資料4は「若手医師の動向について」、研修医のアンケート調査から結果をまとめたものです。こちらは臨床研修の修了者、おおむね2年目の終わりの3月頃に、卒業医学部ごとに、高校等まで最も長くいた都道府県、いわゆる出身都道府県はどこか。それから、臨床研修を行った基幹型の病院が所在する都道府県、原則として1、2年目になります。修了後、3年目以降に従事する予定の都道府県の3つを尋ねて傾向をまとめたものです。
 結果は黄色囲みの所に書いてあるとおり、各都道府県の卒業医学部の人数を100として、その動向を見ると、多くの都道府県で一定の傾向が見られました。どのような傾向かというと、当該都道府県の出身者数に比べ、医師1・2年目及び3年目で、当該都道府県の医師数が増加する。つまり、卒業生は、当該都道府県の出身者以上に当該都道府県に定着している傾向が多くありました。
 もう1つは、医師1・2年目から3年目になるときに、当該都道府県出身の医師数が減少する一方で、東京都に移動する医師数は増加する傾向があります。ただし、これは約7,500人の研修医に対してアンケートを行ったところ、回答率が7割弱ということで、中には回答者数が非常に少ない都道府県があります。50人に満たないもの、ここで誤記がありまして「未たない」を「満たない」に変えていただければと思いますが、留意が必要だということになっています。
 具体的な例でお示しいたします。2ページからは、各都道府県の状況を図示しています。岩手県、宮城県、福島県の3県を例として、これは当該都道府県と、それから当外都道府県、つまりここでは東北地方と、東北地方以外、東京都という4つのカテゴリーに分けてお示ししております。特に福島県の動きが、各地域で同様の傾向を示しているので、こちらを御説明いたします。
 福島県内の医科大学、つまり福島県立医大1つしかありませんが、こちらを卒業した医学部を出た方を100%としていて、その方々がどこ出身であるか、それから臨床研修、つまり1、2年目はどこで過ごしていたか。3年目以降はどこに行く予定かということでまとめております。福島県出身者は39.1%です。東北地方は約5割います。その方々が臨床研修をしている数字ですが、福島県では出身県が39.1より多い数字を示していて53.1%の方が福島県に定着して研修を行っています。それを福島県以外の東北地方全体、つまり宮城県、岩手県、山形県等々を含めると約62.5%の方が東北地方で研修をしている結果になります。東京都は約1割強の方が研修をされています。
 これが3年目になると、福島県の青い所の幅がちょっと減って、53.1%から51%と2ポイントほど減ります。一方どこが増えるのかというと、東京都の12.5%から14%と2%程度増加する傾向があります。おおむねこれはほぼ多くの県で共通している傾向です。
 福島県以降のデータとして、4枚の図を1つのページで表現しているものは、それを各都道府県で見たときに、どこから来て、どこに行っているかが分かりやすくなるように、日本地図でマッピングしたものです。北は北海道から南は沖縄までお示ししております。以上が資料4の説明です。
 事務局提出資料5は速報値になります。今年の3月に臨床研修を修了した方に対してアンケートを行ったものです。急ぎ2か月ほどで集計したものです。地域枠は非常に幅広い種類がありますけれども、本人に聞くことによって奨学金の受給、どこから奨学金を受給したか、入学時の選抜枠の状況などを調査してまとめたものです。
 地域枠の分類として、本人が回答したベースですが、地域枠での入学者、つまり地域医療等に従事する明確な意志を持った学生の選抜枠で入学した方は101人でした。回収数が5,600でしたので、その中で1.8%が該当することになります。一方、奨学金の受給者は412名で7.3%となります。
 それを、ベンズの重複関係等で示すとこの図になります。55名が地域枠で入学され、かつ奨学金を受給されることになります。1方357名は、奨学金は受給する。ただし地域枠での入学者ではない、入学した後に奨学金を受給されている状況になります。
 下の図は、奨学金を受給された方が、その支給元はどこであったかを尋ねたものです。最も多いのは都道府県の61.7%、市町村が7.3%、大学が9.0%。大学以外の医療機関、これは具体的にどこの医療機関かということは尋ねておりませんが、大学以外の医療機関ということで10%、その他が10%あります。
 臨床研修中における地域等への従事の状況を尋ねたものがあります。特定の地域、あるいは診療科への従事の義務が臨床研修中に有りと回答した方が54%、無しが42%いました。有ると回答した方の内訳で、こちらは複数回答になりますけれども、実際にどういう要件になっているかを図示すると、最も多いのは、都道府県内の医療機関から病院を選択する。その次に大学以外の特定の医療機関、それから市町村内の医療機関から選択、特定の大学、特定の診療科4%ほどとなっています。
 次のページは、「医師不足地域への従事についての意識」を聞いています。こちらは、先ほどのいわゆる地域枠の方以外の一般枠と称される方々について、医師不足地域の医療に従事することについての意識を問うたものです。「条件が合えば従事したい」が55%います。「条件にかかわらず希望しない」が19%。「現在、医師不足地域の医療に従事している」が5%いました。
 条件が合えば従事したいと回答している方に対して、どういう条件があれば従事するのかを尋ねています。最も多いのは「一定の期間に限定されている」が43.9%、その次に「自分と交代できる医師がいる」「診療に関して相談できる上級医や他科の医師がいる」「給与がよい」という順に続いています。
 一定の期間に限定されているという約43%の方に、具体的にその一定期間について尋ねています。一定期間というのはどの程度かについて、最も多いのが「1年以上3年未満」で、2番目は「半年以上1年未満」と続きます。その一定期間が、医師のキャリア形成の中で、どの時期を具体的に希望しているのかに関しては、「卒後6~10年以内」、つまり専門医・専攻医の方が該当するかと思いますが44.3%、それから「卒後3~5年以内」が3割ほどいます。臨床研修中と想定される「卒後2年以内」が3.4%とやや少ない傾向を示しています。以上で事務局提出資料5の説明を終わります。
○桐野部会長 たくさんの資料がありましたので説明に時間がかかりましたが、本日これから仮に30分延長をお願いして、あと1時間弱、結構大きなテーマで御意見を頂くことになります。募集定員の設定、地域枠への対応、研修医の処遇、臨床研修病院群形成の問題、第三者評価、都道府県の役割、最後に制度運用上の問題、ここが今回の審議の対象となっています。
 時間も限られているし、とにかく一つずつやっていくということで、募集定員の設定の問題で、資料の付箋?に書いてあるやり方でこれまでやってきて、それに激変緩和が加わってきました。各県の都道府県別募集定員上限というのは、こういう形での定員の数を出して、それに激変緩和措置を加えて数を出してきました。仮に激変緩和措置は、平成26年3月31日までで終わるということですから、仮に終えるとすれば、人口分布、医師養成状況の2つが非常に主要な決定要因であって、この1と2のうちの多いほうを、各都道府県で採用する。多いほうを取る。その他に面積当たりの医師数や離島の人口などを加味し、総数を決めるというやり方できました。これまでは、このようにやってきたということであり、それに対していろいろ御意見があろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○山下委員 激変緩和措置はなくすとして、56ページの黄色の線と赤い線がクロスしていますが、これは結局、今のままの54ページのものをそのままやってしまうと必ずこうなるだろうということなのです。ただ問題なのは、そこで緩めてしまうと、先ほど小川先生がおっしゃったように、ギャップがあるのを埋めなければいけないのに、その後また開いてしまうのです。この開いてくるというのは、定員が増えてくるからということですか。
○医師臨床研修推進室長 はい。
○山下委員 分かりました。激変緩和措置については、前から河野先生が御主張のとおり、クオリティ・コントロール、評価をすると、福井先生の中にも研修病院の評価をしましょうと、それが大前提ですので、激変緩和措置というのは、そういう評価と外のシステムとして入ってきたものですから、これはやめていただきたいというのが1つあります。
 もう1つは、このギャップが平成27年、平成28年の問題をどうかするとしても、もう少し都道府県の定員というものを、受入実績はある程度評価するとしても、これを縮めていくようなスキームをしないと元へ戻ってしまって、やはり数百人の、先ほどの1.23倍を小さくしていくようなシステムを作らなければいけないと思います。
 実際に今すぐどうするかというのはないのですが、医師の養成数に関しては、地域枠の問題とかいろいろな問題が出てきますので、やはり人口の分布であるとか、高齢者のあれとか、そういうものをメインにしたようなスキームで、だんだんに募集数と受入実績がフューズしていくようなスキームを作っていただければと思います。前提として、クオリティ・コントロールしなければいけませんので、一つ一つということなのでここでは議論しませんが、やはり病院群をどうやって作っていくか、その定義の問題が前提になると思います。議論としてちょっと散漫になってしまうのですが。以上です。
○桐野部会長 このクロスする問題は、これまで大きく医学部卒業生が変動することは余り見込まないままずっとやってきているということが、ただずっと残っているだけであります。これは現実的でないので、やはり見込まれる卒業生というか、研修希望者数は大体測れるわけですので、その方に移行していかないと、現実的に全然無理です。それは、現実的に解決できるのではないかと思います。
 激変緩和については、以前より平成26年3月31日までということで、以降については今までのような激変緩和ではない、それは激変緩和措置という形ではやらないということで理解してよろしいでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 はい。
○桐野部会長 そうすると、募集定員の基本数を設定する方法です。小川先生も言われたけれども、マッチングということになったときに、マッチングの希望者と、マッチングで入れる場所は1.23ぐらいでしたか。
○医師臨床研修推進室長 1.23です。
○桐野部会長 現状では1.23、それは1.23より更に上に上げる、つまり1.3とか1.4にするという議論は多分余りないのではないかと思うのです。1.23の状態から、0.99というのはないのですから、1.0までいろいろバリエーションがあると思うのです。いくら何でも1.0というのは現実的にできないのだろうと思うのです。そこを1.0から現状の1.23のどこかに適切な所を考えていかないといけない。それは、この委員会において是非今後御意見を頂きたいのです。
 基数の計算について、今まではこのとおり???、?の地理的条件では、面積当たり医師数や離島の人口ということで、これについても決してごく少数ではなくて、場合によっては数十人の配分が起きるようなアジャストメントをしているわけです。さらに、これにもし加えるとすれば、高齢者、65歳以上の人口割合、人口当たりの医師数の問題を加えたほうが合理的かどうかという問題なのです。それは、たくさん係数を加えて、20項目ぐらいの足し算もないとは思いませんけれども、いかがでしょうか。これについて、今ここで結論を出すということではないにしても、是非御意見を頂いておいたほうがいいと思います。
○小川委員 今、議論された様なファクターをどれだけ入れ込むか。これには、シミュレーションも必要ですが、問題はそこではなくて、要するに希望者に対して、募集定員を何パーセントぐらいオーバーで設定するかというところが、最終的に一番大事なところになるのだろうと思います。
 事務局にお伺いしたいのですが、例えば平成25年度の東京都の募集定員は1,473人で、マッチ者数が1,299人で、マッチング率88.9%です。平成24年度の臨床研修医採用者数が1,327人ですね。
○医師臨床研修推進室長 すみません、今の資料はどこになるでしょうか。
○小川委員 ここの資料の中には載っていないのですが、厚生労働省のホームページから取ってきた数です。そのマッチ者数と、最終的な臨床研修採用者数が増える所もあるし、減る所もあるのですが、これはどういうことなのですか。
○臨床研修指導官 先生が御覧になっている資料が手元にないので大変恐縮ですが、おっしゃっていただいたことから判断すると、マッチングは御案内のとおり、一般的には医学部6年生の秋ぐらいにマッチングをやりますので、その時点で研修先が一般的には決まります。システムでいっせいのせで掛け合わせた時点の結果がマッチの状況として私どもは一旦公表を締めさせていただいております。その時点で一発でマッチしなかった学生は、その後個別に病院、就職先を探していただきます。場合によっては、その後病院によってはその数が増える場合もあります。
 冬になると国家試験がありますので、マッチしていても、残念ながら試験に落ちてしまった学生は、採用実績にはカウントされない場合もありますので、マッチングと採用実績の所での入り繰りというのは各病院ともあろうかと思います。
○桐野部会長 アンマッチが全体の4%ぐらいですか。
○医師臨床研修推進室長 4%です。
○桐野部会長 国試不合格者は全体の10%ぐらい、年度によるけれども。大体そういう形で動いていくと。ただ、そのマッチング自体は卒業見込みの方全員を対象にしてやることをしない限り動かないので、そういう形で行われているということです。マッチングの倍率の問題はかなり微妙なのですが、今の1.23よりは調整していく方向なのだけれども、あらかじめ到達点をどこに設定するというのはとても難しい。例えば、1.10を理想とするというようなことを何の根拠で言うのかということもあります。余り絞るとアンマッチの数がすごく多くなる、今でも4%。例えば1.03ぐらにして、ギリギリにすると、日本全国右往左往という状態になる可能性があると思うのです。そこは、あるモーデストな範囲で調整していかないといけないのではないかと思うのです。
 もちろん、現状よりは少し下げたほうがいいかなと。それは下げないほうがいいという御意見もあるかもしれませんけれども。全体で結構です、募集定員設定の問題で。
○小森委員 基本的に部会長の御意見に賛成です。激変緩和措置については、当初の予定どおり廃止をする。小川先生もおっしゃいましたけれども、特に西高東低という歴史的な事実を補正するということ、人口当たりの医師数等を入れるかどうかについては、やはり、しっかりとシミュレーションをされた上でと思います。
 私どもは、基本的には研修希望者数募集定員についておおむね一致させるということの主張をしておりますが、部会長がおっしゃるように、一方で1.0にしてしまうと、アンマッチの数が多くなるというのは確かにかなりの問題点がありますので、そこのところの要素については考える必要があるだろうということです。
○桐野部会長 上限の基本数の設定についてはいろいろな考え方があると思うのです。今までどおりではちょっとという御意見はありますか。今までどおりというのは、基本的には人口分布と医師養成状況、各県で医学生の出てくる数とその県の人口を勘案して、全国的に決めるという考え方です。
○小川委員 事務局からの参考資料の?の設定方法の次の58ページだと、例えば東京のような大都会のメトロポリタンでも、募集人員に対して、受入実績は下回っているわけですね。
○医師臨床研修推進室長 はい。
○小川委員 余裕があるということですね。
○医師臨床研修推進室長 そうです。
○小川委員 例えば、大都市のマッチング率は80%後半なのです。ところが、ものすごく人口の少ない所になると、当然募集定員も少ないのだけれども、それのマッチング率が50%台になってしまう。ということはどういうことを意味しているかというと、大都会は募集人員に対して、マッチングする率が80%から90%程度あるのに、地方でものすごく人口の少ない所だと、募集人員が少ないのに、マッチング率が50%ぐらいにしかならないわけです。要するに、今のやり方でやっていると、地方の人口の少ない所はどんどんマッチング率は低下して、大都会ではマッチング率は高いことになってしまうわけです。やはり、そこを埋める工夫をしないと、地域偏在は解消しないのではないかと思います。
○桐野部会長 恐らくそれは比較的人口の少ない地域で、マッチングが割に良い所があるかどうかという問題だと思います。それはありますか。県によって大分違うと思うのです。
○吉岡委員 和歌山、奈良は良いです。
○桐野部会長 和歌山、三重、奈良は良いですね。ですから、必ずしも人口が少なければ、マッチングがどんどん減っていくということは、その地域の違いがあるので一概には言えないけれども、人口だけではちょっと言えないのではないかと思います。
○吉岡委員 3県は例外ですよ。
○小川委員 例えば和歌山にしたって非常に周りは。
○吉岡委員 例外なのです。
○小川委員 例外的な感じなのです。
○吉岡委員 私もそれに近いことを申し上げたいのです。結局大都会と言われる所は、絶えずマッチング率からいうとベスト10に入っているわけです。何の企業的努力もなく確保できる。ただ、指向が都会に向いているからです。一方、数が少なくて苦戦している所は、極めて熱心な競争の中で、極めて過酷な議論をして、何とか高めようという努力をしたその結果で、たまたま高い所がある。しかし、それにもかかわらずなかなかうまくいかない所もある。これが現状だと思います。
 したがって、率からいくと小川先生がおっしゃったことが起こり得る。ただ、大都会のマッチング率が80%を超えるとしても、10数%が満たされない。この人数は大きいです。こういうところがヒントになって何とか調整ができないものかと思います。実数ですよね、率からいうと低い、高いというのはあるのですけれども、数からいうと圧倒的に東京や神奈川の方は多いです。そういう所が何とかヒントにならないかと思うのです。
○桐野部会長 研修制度が始まって以降、都市部と都市部でない所の研修医の総数は、持続的に大都市部が減少してきているのです。決して大都市部がどんどん独占しているわけではなくて、スタートの時点からどんどん減らしているので、都市部をそれでも多いとお感じになった場合に、更にそれを削減して少なくしていく必要があるかどうかの議論はよくしないと、都市部は都市部でそれなりの役割があるので、その辺についてはどうでしょうか。
○山下委員 58ページと56ページを見ると、結局激変緩和を廃止した場合が、58ページでは赤い線で、それが56ページでは黄色で、黄色の時点でもまだ23%増しということです。そうすると、23%分を圧縮するとなると、どこが圧縮する対象になるかというと、当然赤い線より、黒い受入実績が上に行っている所を下げなければいけないということになるので、吉岡先生がおっしゃったように、やはり都市部の受入実績よりもちょっと。これは良い悪いの問題ではなくて、そこを圧縮しないと、56番目の黄色を黒の実線に近付けていくというのは実質的には無理だと思うのです。
 今までは、どこにも痛みが来ないようにして制度設計をして、そうすると先生がおっしゃったようになかなか圧縮できないのです。23%より更に縮小しようとすると、やはり中途半端な所で止まるので、そこにどこかが割りを食う、完璧に公平というのは無理のような気がいたします。そうするといろいろなファクター、それが本当にいいかどうか分からないのですけれども、人口の分布とか、医療のニーズが多いという意味では、教育内容としていろいろな地域医療や高齢者の医療を経験できるという意味では、やはり65歳以上の人口を加味するような制度設計にならざるを得ないような気がします。ただ、これが本当にいいかどうかは分からないです。
○桐野部会長 恐らく激変緩和を受け入れれば、都市部はこれまでより更に減少することになると思います。それは、ほぼ間違いないと思います。
○神野委員 今お示しいただいた58のように、結局激変緩和を受け入れると、東京、大阪、兵庫、京都辺りが、今の実績よりも定員数が減ってしまうわけですよね。これで、今の偏在の話が随分解決すると言ったら、都会の方に怒られてしまいます。高齢化率とか、他の要素を入れるというお話もありますけれども、この激変緩和を取っ払うだけでも相当激変しますし、逆に医学部の学生は受験のプロですので、東京の有名病院の倍率がものすごく高くなることはあるかもしれません。ただ、この激変緩和措置を取ることがものすごい激変になる。これを一回外すだけでも相当のインパクトを与えるのではないかという気がいたします。
○桐野部会長 一方で研修というのが、初期臨床研修から、重要性が後期に今後移っていく可能性もあるので、作戦としては初期臨床研修よりも、後期を今後強化していく道を選ぶ方向を誘導する可能性もあると思うのです。どういう効果があるのか、私は一言では分からないのですが、激変緩和を平成26年3月31日をもってやめてしまえば、それはそれなりの相当のインパクトがあるのだろうと思います。都市部は我慢していただく必要が相当出てくると思います。
○神野委員 もう1点は、本日の事務局提出資料4で、各県別の資料が出ています。確かに今おっしゃったように、ほとんどの県は3年目以降は東京が増えています。ところが、愛知県、大阪府、広島県は1年目の初期臨床研修をやっている所は、みんな70%以上がその県に定着しているというデータがあります。大阪府は、3年目以降も東京に行かないというデータがあります。その辺のところの検証というか、具体的にどういう状況なのか。恐らく愛知県に関しては、清水委員は御存じだと思いますが、新臨床研修制度が始まる前から、名古屋方式で、1、2年目は全部スーパーローテートして、3年目は大学へ帰るという方式の伝統でこうなっているのだと思います。他の県で特異な所はどういう状況なのかを検証すべきなのかなと思います。
○桐野部会長 他にも検討すべきことは一杯あるのですが、募集定員の設定ということで検討すべきことは、激変緩和についてはどうするか。激変緩和は持続するべきであるという御意見は頂いていないので、激変緩和は予定どおり止めると。少なくとも今の御意見はそういうことだと思います。そうすると、相当な影響が出てくると思います。
 余りにも今度は激烈なる逆激変をしていいのかということについて、私は余り自信はないです。現状では、人口分布、医師養成状況を基本的なパラメーターとして、それに面積当たりの医師数、離島の人口を加えて基礎数を計算していると。それに当該年度の研修希望者数の、例えば1.2倍とか、1.18倍という数を加えて、何かの形で各県に按分するようなやり方になるのかと思います。
○小川委員 激変緩和措置を撤廃するだけでは余り効果はないのです。要するに、激変緩和措置が、ある段階で現在の定員が1万某で、これに対して最終的に臨床研修採用者数で割ると1.32倍なのです。定員に対して、実際に働いた数ということからすると1.32倍。激変緩和措置をやめると、全国で定員が516名減るだけですから、これで7,600某のマッチをして、そして採用された数を割ると1.26なのです。
 そういうことからすると、大都会で定員が減って、希望者数よりまだ定員の方が多いという状況です。激変緩和措置を撤廃するのは従来からのお約束ですから、これは絶対にやらなければなりません。それだけでは地域偏在の解消にはほとんど影響はないということだと思います。
○桐野部会長 地域偏在については、初期臨床研修医の分布だけを考えれば、都市部が減って、非都市部が増えているという現状です。岩手県は全体として研修医の数は増えています。研修医以降の数にまで、この部会では検討できないと。したがって、研修医の数については都市部、つまり東京、大阪、京都、神奈川、福岡の5県については著しく減っているのが実情です。決してそこが独占的に増やしているということは全くないです。
○小川委員 事務局提出資料4でも明らかですけれども、臨床研修になった方々よりも、臨床研修後で県内に残ってくれているほうが多いのです。それとこれとは別なのですけれども、やはり臨床研修制度というのはその一番入口の所ですから、ここで制度設計をきちんとやっておかないとまずいのではないかと思います。
○清水委員 意見というよりも質問なのですが、6都道府県以外の方たちが増えているというのは、スライドの92枚目のデータで、平成22年度にその定員の問題が設定されたと思うのです。それ以降でも、都市部以外に移っていく理由はどこかで把握されているのでしょうか。何かデータがあったら教えていただきたいのです。
○医師臨床研修推進室長 都市部以外に移っていくというか、その地域の臨床研修病院を選んだ理由ということですね。
○清水委員 はい。
○医師臨床研修推進室長 それに近いものは私どもも持っていたと思いますので、できれば次回までに整理をして御案内いたします。
○清水委員 そういうものが激変緩和措置以外に、地域偏在問題で役立つのであれば使ったらいいのかと思ったのでお聞きしました。
○山下委員 話がもう少しややこしくなります。先生がおっしゃったことなのですけれども、資料の94、95、96ページですが、要するにどこで動いたかということなのです。清水先生がおっしゃったように、まず研修の所で都会地へ行きます。もう1つの波は、いわゆる専門医研修、後期研修の所で強烈にまた動いているのです。千葉が増えて、東京が増えて、岡山が増えています。もし地域偏在をここでディスカッションするとなると、そこまでやらないと多分初期研修で動いて、そこからもう一回動きます。なかなかあれはないのですけれども、1つは大学病院群みたいなものを、ある程度外形基準を作るかどうかはなかなか難しいと思うのですけれども、小川先生が前におっしゃったように、北海道から沖縄まで協力病院があるというのはほとんど意味がないです。やはり、地域で二次医療圏とか、都道府県でのネットワークをずうっと。そうすると、そこに後期研修でも、ちゃんとそこで専門医も取れるし、学位も取れるし、専門的な勉強もできるというシステムを提供するというのが1つある。
 もう1つは小川先生がおっしゃったことなのだけれども、56の所で、問題は紫を下げるというのではなくて、紫から赤に行くのが激変緩和措置ですから、この状態でも受入実績よりはるかに多いわけです。ここのギャップが全然埋まっていないところが問題なのです。もし、そこで何らかのアクションを起こすとすれば、激変緩和措置でも結構減りますけれども、500人しか減らないと。例えば1.1を目指すとすると、はっきり言うと募集定員をあと1,000人ぐらい減らさないといけないわけです。そのスキームを作らないと、多分実効性は余りないのではないかと思います。
○桐野部会長 これでもって、非常に医師不足で困っている所に対してのことも考えないといけないけれども、逆の方向に行く、非常に激変させて、今度は非常に大きな混乱を起こすということはちょっとどうかなという感じがします。恐らく段階的に様子を見ながら変えていくことを考えていかないといけないのではないかと思います。先もあるので、募集定員についての細かいことは置いておいて、フレームワークは激変緩和措置無しで、人口分布と、医師養成と、地理的条件を加味した基本数を考えて、それでできる限り現状よりは、やや圧縮ぎみでそのマッチングを考えたらどうかというのが今の結論ということでいいですか。具体的数値についてはまた。それは、恐らく戻ってこないと駄目だと思うし、ある所で、皆さんに基本的なところを決めてもらった上で、最終的には数値を出す。数値を出してから議論をしたらどうにもならないので、それは是非最後にさせていただきたいと思います。
○小川委員 先生の言っているとおりで結構です。是非事務局にお願いしたいのは、例えば、平成24年度の実績をもとにして、激変緩和措置をやめたときにどうなるのか。その激変緩和措置をやめて、更にトータルの定員から0.95%ぐらい圧縮した場合、0.9に1割圧縮した場合にどうなるのかというシミュレーションを作っていただけませんでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 基本的には個々の数というよりは、参考資料の58の先ほどの、山下委員からも御指摘のあった、都道府県別の募集定員と受入実績の状況の中で、募集定員の紫色の枠が、激変緩和措置を廃止することに伴って、赤い線になるわけです。ですから、これで大体の傾向はつかめるということです。その数を全部シミュレーションするというところまで我々はやっておりませんので、それがもし必要ということであれば、いずれかのタイミングで間に合った段階でお出ししたいと思います。
○桐野部会長 先をちょっと進めていかないと、あと15分しかないのです。「地域枠」ですが、これはどうなのでしょうか。地域枠は、堀田先生の班でもいろいろな。
○山下委員 事務局からのお話にちょっとあったのですが、結局、ポイントはマッチングの中に入れるか、外に出すかですよね。外に出すということになると、いろいろな意味でのクオリティ・コントロールがやっぱりつかないのではないかと思うのです。非常に大きな問題がいっぱいあると思います。県とかそういう所は、自分の所に来てくれるということをきちんと意図してお金を出しているところがあります。ただ、いわゆる無試験でどんどんいろいろな所にも振り分けられる。ある意味でそれは指定席になって、例えば初期に県立中央病院で研修しなければいけないとなると、そこにみんなコンペティションの中で県立中央病院に行きたいという人が全部弾かれるという話になってきますので、基本的に、やっぱり中ではないかなとは思います。いろいろな条件はあるとは思いますが。
○押淵委員 いまの「地域枠」の問題については、同じような意見を私も思います。自治医科大制のようなスタイルを取るとなると、最初の教育の課程でそのようなシステムを取ってなくて、一般学生と同じような教育を受けている学生に、その進路を先に定めると、どうしても競争原理が働らかなくなっていくと思いますので、やはり地域枠はせめて県内だけの枠にとどまって、その枠の中で一般学生とのコンペティションが行われるという制度の枠が適正でないかと思っております。
○神野委員 全く山下委員、押淵委員と同じ意見です。もともと地域枠を設定しているのは、医師不足の地域で、そこで、いまの現状からすると、フルマッチはほとんどしない所で、医師不足なのですから。
 とするならば、例えば、先ほど山下委員がおっしゃいましたように、県立中央病院でアンマッチだとしても、その次の、あるいはその次の病院というのは、絶対にその県内でマッチするはずなのです。そういう意味では、競争をさせるべきなのかなという気がいたします。
 ちょっと、本来的には、この委員会で言う話ではないのですが、今、地域医療再生基金等でできた地域枠というのが、「ただし、公立病院に限る」とかいうのが付いてる、その辺はちょっと、あえて言わせていただきますが、いかがなものかと思います。その病院の機能によって、その県内で地域医療になっている病院に地域枠の学生は応募してもいいのではないかなという気がいたします。
○小川委員 簡潔に申し上げますが、都道府県内の微調整の仕組みが完璧にいくかどうかは、事前の検証をしておく必要があると思います。以上です。
○吉岡委員 基本的に同じです。最後に神野先生がおっしゃったところ、協議会がどれだけワークするのかによって微妙な調整はある程度できるのではないかと思います。私どもの県ではある程度の確信があります。
○桐野部会長 地域枠の学生を最初から最後まで特別エスカレータに乗せて上げていくとのが、どういう影響を及ぼすかということもちょっと心配と言えば心配で、結局、その研修のときは、イーブンに同じようなやり方でやって、研修を始めたよ、というのが健全ではないかという気もするのです。この件についでは地域枠を外ではなく、内でやる、十分やれるはずなのです。
 地域枠のほかに残っているのが「臨床研修病院群」、これはちょっとやらなくてはいけないので、小川委員、何か最初に一言言っていただけますか。
○小川委員 前からお話をしているように、一つひとつの研修プログラムを見ますと、かなりばらつきがあります。それから、近隣の中小病院だけで臨床研修病院群を作っている所もあります。全国区で、北は北海道から南は沖縄までを臨床研修病院群と称してやっています。これは実際にそれが実質的にやられているとは到底考えられないような仕組みになっています。ですから、そこのところを、どこまでをどういうふうにやっていただけるかということを、上手に指導しなければならないのではないかなと思っています。
 実は、岩手県では、すべての臨床研修病院は、大学病院も県立中央病院もその他の病院もすべてイーハトーブ臨床研修病院群としてタスキ掛けになっていて、すべての県内の臨床研修病院が、その研修病院群を作って、各基幹型の中に協力型で大学病院が入ったり、大学病院の中にその基幹型の他の協力病院が入ったりしていますから、そういうきちっとした仕組みを作ってやる必要があるのではないかなと思っています。
○清水委員 病院群の件についてですが、今のイーハトーブ病院群に、聖隷浜松病院は大変お世話になっているのですが、ちょっと事例として紹介したいと思っています。以前から思っていたのですが、2011年3月11日以降に、研修医たちが、自分たちもその被災地に行きたいというのが、強い希望としてありました。私たちも何とか出したいと思いましたが、今のこの枠組みの中では、なかなかうまくいかなかったのを、東海・北陸厚生局管内のモデル事業として、岩手県のイーハトーブ、それは、小川委員がおっしゃったように、とてもその教育システムが整っているのか、全県的に同等の指導が得られるということがあって、東海北陸厚生局管内の病院がイーハトーブ病院群に簡単な手続きで行かせていただくことができるようになって、うちの研修医もたくさんあちこちでお世話になっていて、とても素晴しい研修をしてくれているのです。
 そういうことを考えると、どういう内容の病院群であるのかということがとても大切で、地域とか小さい病院だけが駄目だとか、何かそういうことよりも、やはり内容がとても大切なのかなと思っています。
 このあとのお話になるかもしれませんが、研修体制の第三者評価にもかかわると思いますが、そういうことがきちんと評価されれば、ちゃんと病院群として成り立って、きちんとした検証ができていればいいのではないかなと思っている次第ですので、御紹介させていただきました。
○小川委員 東海・北陸から来ていただいて、本当に、いろいろな意味で刺激になっています。ありがとうございます。
○山下委員 実際に先ほど星委員におっしゃっていただいたような、ああいう内容できちんと、今、やはりいろいろな病院があることが大事なことで、大学病院があって、地域の病院があって、地域の中核病院があって、そこで診ている患者というのは、おそらく違うはずなのです。病院の機能が分化してきていますから。それを全部包含するようなものと。お互いに、小川委員がおっしゃったことの繰り返しですが、要するに、研修医を取り合ってもしょうがないので、いろいろなことを経験させて、いいお医者さんを作りますと。桐野部会長がおっしゃったように、そのあとの後期研修につなげていくことが大目的なのです。
 そうすると、外形基準としては、やはり私はいろいろなレベルの病院がミックスした病院群が必要ではないかと思います。それも、外形基準として、やっぱり入れなくてはいけないと思います。要するに、例えば地域のいくつかの病院であって、症例数がいくつかというような話ではなくて、やはり診療内容とか、何を研修させるのかをきちんと検証できるようなところで病院群を作らないと、結局、先ほどの「募集定員」のところの問題に返ってくるわけです。数で切っても、結局、レベルが下がったということになりますと、やっぱり国民の理解、支持は得られないように思います。
○桐野部会長 いかがでしょうか。今こういう研修病院群を形成することに対して、今の制度がそれを厳しく抑制しているようなところはないと思います。
○山下委員 ただ、外形基準をやっばり作ったほうがいいと思います。
○神野委員 そこは、先ほどあとのほうに出て来たようなのを、指導医講習会を受けた指導医がちゃんといるとか、基幹でなければ、プログラム責任者まではいらないかもしれませんが、できればプログラム責任者がきちんといて、指導医講習会を確実に受けた人がいる病院とか、あと、先ほど清水委員もおっしゃった、プログラムの評価というものをきちんとしている病院であるならば、とやかくいう筋合いのものではないのかなと思います。
○桐野部会長 「研修病院の評価」については、以前ちょっと話題になったことがあって、今までは「望ましい」程度であったのですが、やはり、かなり強い意味での「努力目標」にしていって、最終的には、研修病院としての評価を受けなければならないという方向にもっていく必要があるのではないかと思います。
 3,000例のことを福井参考人もお話になりましたが、3,000例を外すというのは、一方で、その裏側でちゃんと評価をきちっとすることが付帯条項としてあると、そう理解してよろしいですか。
○福井参考人 はい。
○桐野部会長 それでは、もう時間なので、「募集定員」と「地域枠」については、ある程度御意見をいただいたということと、「臨床研修病院群」については御意見をいただいたということですが、残りの問題については、十分時間をかけることができませんでしたが、また繰り返し議論することになると思いますので、重要な問題については後日議論していただきたいと思います。今日は、少なくとも「募集定員」と「地域枠」についてはある程度の御意見をいただいたと思います。
 それでは、事務局、お願いします。
○医師研修推進室長 ありがとうございました。次回は6月を予定させていただいています。詳細は、決まり次第追って御案内をさせていただきます。
 なお、まだ先なのですが、8月以降に十分な御審議をいただくために、月に1回ではなくて、2回程度の開催もあり得ると考えています。御多用中大変恐縮ですが、御協力を承りたくお願い申し上げます。以上です。
○桐野部会長 夏に向かって月に2回ぐらいにしていただきたいという希望なのですが、申し訳ないのですが、ちょっとそうしないと終わらないので、是非よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局医事課
医師臨床研修推進室

直通電話: 03-3595-2275

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