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2013年1月23日 第12回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録

社会・援護局

○日時

平成25年1月23日


○場所

グランドアーク半蔵門 華の間


○出席者

岩村正彦部会長代理 上田文雄委員(中村代理) 岡崎誠也委員
奥田知志委員 柏木克之委員 勝部麗子委員
櫛部武俊委員 小杉礼子委員 駒村康平委員
高杉敬久委員 武居敏委員 谷口仁史委員
野老真理子委員 長谷川正義委員 花井圭子委員
広田和子委員 藤田孝典委員 藤巻隆委員
堀田力委員 松井一郎委員(井手之上代理) 宮本太郎部会長
山村睦委員

○議事

○宮本部会長
 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第12回「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、今日も大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今日は何とか報告書をまとめていきたいと思ってございますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
 本日も前回に引き続き、桝屋厚生労働副大臣にお忙しい中、御出席いただいております。議事に入る前に一言、御挨拶をいただけるでしょうか。

○桝屋厚生労働副大臣
 委員の皆さん、おはようございます。皆様方におかれましては、新たな生活困窮者支援体系、また国民の信頼に応える生活保護制度の構築に向けまして、毎回精力的な御議論をいただき、心より御礼を申し上げたいと存じます。
 前回の皆さん方の議論を聞かせていただきまして、私も地元で福祉事務所や社会福祉協議会、あるいは先日17日に、新宿の福祉事務所やNPO法人等の取り組みを視察させていただきました。現場での熱心なお取り組み、支援の様子を拝見させていただきまして、こうした支援がどれほど重要かということを改めて認識させていただいたわけでございます。
 本日は今、部会長からもお話がありましたように、議論が取りまとめの方向に向けて大詰めの段階だと認識いたしております。委員の皆様方におかれましては、報告書の取りまとめに向けまして御尽力をいただきますよう、改めてお願いを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 次に、事務局から委員の出席状況について報告をお願いいたします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日の出席状況でございます。
 石委員、岩田委員、宮本みち子委員の3名が御欠席でございます。
 また、上田委員の代理といたしまして中村札幌市保健福祉局総務部生活保護担当部長、松井委員の代理といたしまして、井手之上大阪府福祉部長に御出席いただいております。
 出席委員につきましては、委員総数25名の3分の1を超えておりますので、開催の要件を満たしております。よろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。

○宮本部会長
 それでは、今日の議事に入らせていただきます。
 前回の特別部会では、本特別部会の報告書案を提出させていただきまして、委員の皆様に御議論をいただいた次第であります。思い起こせば半年間、今日を除いて11回、皆さん大変な時間と労力をかけて、一歩一歩議論を積み上げて今日に至ってございます。
 そして、前回も大変建設的な御議論をいただいたと受けとめております。1週間という短い期間ではございましたけれども起草委員会及び事務局で、1つでも多くの御意見を酌み上げ、反映させるべく努力をいたしてまいりました。同時に、これまで積み上げてきた議論は積み上げてきた議論でございますので、そこから大きく逸脱するということも、この本特別部会に対して失礼に当たるとも考えて、そのバランスを考慮してきました。
 結果として皆さんの御意見も8割以上は酌み上げることができたのではないかと思っております。
 それでは、事務局から前回の報告書案からの修正点について、御説明をいただけるでしょうか。

○古都社会・援護局総務課長
 それでは、御指示に従いまして修正点を御説明いたします。
 資料1が前回のものに修正をしたものでございます。もう一つ、席上配付の資料に、資料1のどこがどう変わったのかを記載しておりますので、席上配付資料の方をご覧いただければと思います。
 まず、資料1の2ページに相当するところでございます。上から4つ目の○、生活困窮に陥る人が増える原因といたしまして、「失業、病気など」ということでございましたが、これにつきまして花井委員から、家族の介護というのも大きな要因であるということで御意見いただきましたので「家族の介護」を明記いたしております。
 5ページ「3.生活支援体系の基本的視点」。前回、堀田委員からこの総論については評価をされておられたと思いますけれども、その中でさらにつながりの再構築というところにつきまして、本人の力では厳しく、地域の力というものを包摂すべきではないかという御意見をいただきました。そこで、「新たな生活支援体系は、地域社会の住民をはじめとする様々な人々と資源を束ね、孤立している人々が地域社会の一員として尊ばれ、多様なつながりを再生・創造できることを目指す。そのつながりこそ人々の主体的な参加を可能にし、その基盤となる」というふうに整理をさせていただいております。
 7ページ、先回「生活支援の具体的なかたち」の3つ目の分権的・創造的な支援について、堀田委員からはインフォーマルな地域組織の幅広い支援を強調するようにという御意見と、小杉委員から社会的企業という文言につきまして解釈がいろいろ分かれているので、定義を明確にすべきという御意見がございました。そこで、「社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO、社会貢献の観点から事業を実施する民間企業などのいわゆる社会的企業」という定義を置かせていただいております。それから「民生委員・児童委員その他様々なインフォーマルな支援組織など、民間の柔軟で多様な取組が活かされ」という表現で、定義及び不足分を加えたという案でございます。
 また、その下の2つ目の○、2のところで、ここに関連いたしまして「公共職業訓練機関、福祉事務所、社会福祉法人、NPOや社会貢献の観点から事業を実施する民間企業などのいわゆる社会的企業」という形で言葉を整理したということでございます。
 9ページ、勝部委員からご意見いただいた、特に新たな生活困窮者支援制度の基本的な考え方、特に国と地方、官と民の協働による体制づくりのところでございます。各自治体において生活困窮者支援体系が体系づけられることは必要で、例えば地域福祉計画にも位置づけられるべき等々の御意見がございましたので、ここにつきましては新たな○を起こしまして「各自治体が新たな生活困窮者支援制度を実施するに当たっては、本制度の実施主体として、地域の実情を踏まえた必要な支援を主体的に体系化し、計画的に実施していくことが必要である。その際、各自治体は、地域の中の社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO、民生委員・児童委員等と連携・協働しながら計画の策定や支援を進めていくことが適当である」という表現にしております。
 10ページの最初の○でございます。こちらにつきましては上田委員の代理の中村代理あるいは岡崎委員、松井委員の代理の井手之上代理から、国の責務というものをもっと明確にすべきという御意見がございましたので「国は、困窮状態からの脱却に関する自らの役割と責務を十分に認識し、新制度が全国において円滑に実施されるよう、制度の企画立案、人材養成、制度運営に関する情報提供、財源確保など、必要な支援を行っていく必要がある」ということで1項立てたということです。
 11ページの図はいろいろな見方がございます。堀田委員あるいは勝部委員などからさまざま御意見をいただきました。あるいは野老委員からも、この中には民間企業等が欠けているではないかという御指摘もございまして、できるだけ多くの意見を組み込みました。インフォーマルな地域団体などを加えて広がりがある図にならないか、あるいは地域に貢献する企業としての取り組みがどこに位置づけられているかわからないので、わかるようにしてほしいというお三方の御意見を踏まえて修正をしております。
 例えば相談支援事業の周囲に友人・知人などの仲間あるいは住民、町内会、商店等が入りますし、外側のところについては例えばインフォーマルな支援組織あるいは商工会議所と民間企業でありますとか、幅広いネットワークをイメージしたものに今回修正をしてございます。
 12ページの5でございます。11ページの図の中に「必要に応じ、社会資源を開発」とありますが、奥田委員から、本文中に出てこないのではないかという御意見もございました。そこにつきましては12ページ(2)に5を追加いたしまして「対社会への創造型支援を行っていくための早期発見や見守りなどを可能とする地域社会づくりや社会資源の開発」ということで整理をしたところでございます。
 堀田委員から、その下のフロー図で相談支援の流れについては、もっとアウトリーチを行うことがわかるようにすべきという御意見がございましたので、生活困窮者が支援事業に至るまでに、来所だけではなくて訪問するという形ではっきりさせたということでございます。
 13ページ、上田委員からアウトリーチを行うに当たって、申請を行う前段階の人の個人情報を関係機関で共有できる仕組みを担保してほしいということでした。それから、広田委員から支援に当たって個人情報が漏れることに懸念があるという御意見がございました。どこにどう入れるかということでございますけれども、まず上田委員の関係機関での情報共有の観点につきましては、上から3つ目の○「なお、特に訪問支援に当たって、個人情報を保護しながら、関係機関において必要な情報を把握し、共有することができる仕組みを検討していくことが必要であるとの意見もあった」ということでございます。当然これは今後、運営に当たっては配慮していかなければならない事項だと思っています。
 16ページ、下から3つ目の○のところに、先ほど広田委員のお話がございましたが「また、新たな制度の法制化を図る場合、相談支援事業の従事者等に守秘義務を課すことが適当である」ということで、制度的な担保を明記したところでございます。
 14ページで櫛部委員から、新たな相談支援事業の対象者は経済的困窮者に加え、子ども、若者も位置づけるべきで、将来投資を考えると早いうちから支援を行うことが効果的ということでした。これにつきましては33ページで子ども・若者の話がございまして、33ページの下の2つ目の○のところで、経済的に困窮している若者の相談支援のところに、新たな相談支援事業が若者や子どもの支援にもかかわることとあわせてという形で、こちらに付記させていただいたところでございます。
 15ページにつきまして、この相談支援事業が新たな水際作戦のツールにならないような歯どめをすることを明記すべきではないかということで、前回、藤田委員から御発言がございました。「就労可能な人が可能な限り生活保護を利用することなく」は削除して、仮初めにも新たな相談支援事業の存在によって、制度利用資格を有する者がそれを利用できない事態が生じることのないように、運用上の配慮を徹底することが必要であるという御意見でございました。これにつきましては何度かこの場でも水際作戦の有無については御議論されておるところでございまして、両論あるところでございますが、当然のことながら生活保護の受給が必要な方については、この相談支援事業は適切に生活保護につなぐという趣旨は既に明記されているところでもございますので、それらも踏まえまして最初の○のところに、ある意味ここのところではむしろ早く支援をするというところを明記することが、水際ではない趣旨もある程度出るのではないかということで「生活保護受給に至る前の段階から早期に支援を行うことで、就労を実現するなど社会的経済的自立が可能になるように支援をする」としました。今回の制度改正の目的を踏まえると、新たな相談支援事業の対象者は、生活保護受給に至る前の段階にある経済的困窮者を中心に検討すべきであるということでございます。
 後段の「至る前」のところは、岡崎委員、花井委員から御意見がありまして、その範囲についてきちんと整理をすべきだということでございましたので、一歩手前という表現ではなくて「受給に至る前の段階」という形で修正をさせていただいたところでございます。
 15ページの下のほうでございますが、松井委員の井手之上代理から、生活困窮者の個々の課題に対し、きめ細かな対応をするためには、実施主体が住民に最も身近な基礎自治体とすることが考えられるため、市町村と十分に協議を行うとともに、広域自治体である都道府県の役割を明確にすべきだということでございました。そこの2つの○でございますけれども、前段のほうは「福祉事務所を設置している自治体を中心とすることが考えられる。一方で、きめ細かな対応をするためには、住民に最も身近な基礎的自治体が実施主体となることが適当であるとの意見もあった」と明記しております。
 その下につきましては「事業の実施にあたっては」ということで「また、都道府県、市町村、社会福祉法人、社会福祉協議会等との連携・協力の体制構築が必要である」と整理したところでございます。
 16ページ、藤田委員から福祉事務所のケースワーカーの資質について、ソーシャルワークの考え方を取り入れるべきであるという御意見がございましたので、この点についても明記をし「なお、福祉事務所におけるケースワーカーの支援について、地域の関係者と連携して対応するなどのソーシャルワークの考え方をもっと取り入れるべきとの意見があった」ということで、御意見を明記したところでございます。
 次に、小杉委員から16ページ(6)で新たな相談支援事業に係る人材育成につきまして、国の役割として単に研修カリキュラムの標準モデルを示すにとどまらず、専門性の担保などの仕組みをきちんと書くべきだということでございましたので「支援の専門性が担保されるよう人材育成の制度化が必要であり、国において研修カリキュラムの標準モデルを示すことなどが必要である」と整理をさせていただいております。
 17ページ、これはここの時点では直っておりませんけれども、(2)の一番最後の○で「なお、ハローワークと一体となった就労支援や若者向け相談支援との役割分担、重複排除を徹底することが必要である。」とし、これに類似の記載が26ページ、33ページとありましたが、これはこの1箇所で言えば十分でございますので、26ページ、33ページからは削除をしたということでございます。
 先ほど松井委員の井手之上代理からございました、地方自治体、基礎的自治体の件につきましては、関連するところには同様の趣旨で、例えば(3)にありますように「一方で、きめ細かな対応をするために」という意見もあったということで、これは文言上の整理をさせていただいております。
 19ページにつきまして、花井委員から、(7)の就労準備支援事業のところで宿泊型による支援も検討すべきとの意見があったという表記に対しまして、宿泊型による支援については利用者の処遇が適切に確保されるようにすべきであるという御意見がございましたので、ここで「なお、宿泊型による支援を行う場合には、宿泊を伴うという事業形態も考慮し、利用者の処遇が適切に守られるための仕組みを確保すべきとの意見があった」と明記いたしたところでございます。
 22ページの(6)、中間的就労の事業形態でございますが、小杉委員から御意見いただきました、社会的企業の定義付けといたしまして言葉の整理をいたしております。
 それに関連いたしまして23ページの下から2つ目の○でございますけれども、こちらも「民間企業での受入れ、生活困窮者の支援を主な目的とする『社会的企業』」という表現で、できるだけ定義が一本化するようにしておるところでございます。
 23ページ、藤田委員の御発言に、中間的就労については悪質業者排除のための認定制度、監視制度をしっかり整備すべきだということでございました。これにつきまして(7)の1つ目の○で、ステップアップに資するよう支援の適正性の確保だけではなく、「また、利用者に対する不当な取扱がなされないよう、中間的就労による支援を実施する事業者に対する認定制度や、事業の透明性を確保するための情報公開等、支援の適正性の確保のために十分な措置をおこなっていくことを検討することが必要である」と整理したところでございます。
 23ページの監視の仕組みについては勝部委員、花井委員からもございましたので、これらも含めて今のような整理をしたところでございます。
 26ページの下は、先ほどの17ページとの調整で消えたところでございます。
 27ページ、家計再建について花井委員から、家計相談支援事業者や生活困窮者向けの貸し付けを行う金融機関の参入が図られるよう、国が後押ししていくことを記入すべきだという御意見がございましたので、27ページの一番下の○に「また、こうした生活困窮者向けの貸付や相談を行う期間の参入が促進されるよう、国は、関係機関とも連携しつつ、これに向けて必要となる広報や、地方自治体による地域のネットワークづくりの支援等を積極的に実施していくことが期待される」という表記にしたところでございます。
 28ページの下の修正は、先ほどの井手之上代理のご意見に伴い、表現での統一的な整理でございます。
 30ページ、居住の確保についてでございます。こちらは上田委員代理の中村代理から、求職者支援制度の職業訓練受講給付金と住宅手当の併給を認めるとし、それが無理であれば住宅手当の支給額を上げてほしいとの御意見がございましたので、これは意見の中に「家賃を補助することや住宅手当の充実も検討すべき」という御意見があったということで明記をさせていただいてございます。
 31ページ、上から3つ目の○、(3)の給付金の対象者というところですが、前回、離職により住居を喪失した生活困窮者という表現につきましては、中村代理あるいは花井委員から、おそれのある者が当然必要であろうということでございましたので「またはそのおそれのある生活困窮者」ということで明記いたしたところでございます。
 32ページで奥田委員から、シェルターというのは単なる住居、食事の提供では不十分で、ケアつきのシェルターとすべきであるという御意見がございましたので、ここについては「また、緊急的・一時的な居住等の支援において、ケアの視点を取り入れるべきとの意見もあった」ということで明記したところでございます。
 次に、子ども・若者の部分でございます。33ページ、駒村委員から上から3つ目の○のところでございますが、貧困の連鎖防止について、児童養護施設入所者の将来を広げる政策の充実を図ってもらいたいという御意見がございましたので、ここにつきましては「さらに、児童養護施設に入所する子ども等が自立する際に経済的困窮に陥らないよう、その将来の可能性を広げるための取組を引き続き進めていくことが重要であるとの意見もあった」ということで、御意見を明記したところでございます。
 その下のところは先ほどコメントしましたので、割愛をさせていただきます。
 34ページは(2)の表題と内容が合っていないという花井委員の御指摘を踏まえまして「経済的に困窮している」は削除したということでございます。
 35ページの一番上でございますが、子どもの学習支援や社会性を育むための支援ということで、これは岡崎委員の御発言であれば「準困窮世代」という表現を使っておられましたけれども、要は生活保護世帯に限定するのではないという御意見だと承りまして「生活保護世帯を含む貧困家庭の子どもに対する学習支援」ということで明記させていただいたところでございます。
 次に、生活保護制度の見直しでございます。まずは「切れ目のない就労・自立支援とインセンティブの強化」につきまして、上から2つ目の○、花井委員から就労場所を広げることについては本人の意思を十分に尊重しつつということで、その本人の意向を踏まえるべきだということを明記すべきということでございましたので「取組に加えて、本人の意思を尊重しつつ、職種・就労場所を広げて」という形で整理をしているところでございます。
 38ページで前回、藤田委員から「まずは就労」という記載というのは、寄り添う支援と矛盾するということでございました。そこで(2)につきましては「なお、運用に当たっては、継続的支援を旨とする伴走型支援の考え方に配慮する必要がある」ということと、その次に表現を工夫しまして「また、生活保護については補足性の原理があるので、最低生活費に足らない部分を国が補助することは大原則である」という基本原則を言った上で「フルタイムの就労はできないが、月3万円でも、5万円でも働くことができるということは、むしろ社会参加の機会が広がったと考えるべきとの意見があった」ということで、まずは就労という表現を改めて、ここに運用に当たる配慮等を記載したところでございます。
 38ページの下、就労開始段階での取り組みについて、これは藤田委員から特別控除の見直しは削除すべき。少なくとも基礎控除を充実することなく特別控除を廃止することがないようにするべきであるということでございましたので、これにつきましてはあくまでこれに合わせてということで、勤労控除の見直しとセットであることを明記したということであります。
 一方で、39ページの積立制度につきまして、広田委員、花井委員からいろいろ御意見をいただいたところでございますけれども、これについては脱却の取り組みとして実施すべきとの御意見もあり、また、内容的には仮想的に積み立てるということでございまして、積み立てて最後に給付するという形になることを想定しておりますので、そういう趣旨を改めて御説明した上で、これについては原案のとおりとさせていただいたところでございます。
 42ページ、上から3つ目の○でございますけれども、前回、中間就労のときに合せて、花井委員から貧困ビジネスへ警鐘を鳴らす書きぶりを追加すべきということでございましたので、ここのところは「さらに、本人の意に反して劣悪な処遇をしつつ保護費を搾取する事案への対応も必要である」という形で加えさせていただいております。
 43ページ、藤田委員からの御発言の中で支出の状況を対象とすることは、過度の干渉ではないかということでございましたが、これにつきましては事務局からも御説明しておるところでございますけれども、例えばライフラインの使用状況を確認する場合とか、どういう居住実態なのだろうか等々でございまして、みだりに行うものではなく、保護費の適正支給の観点から必要なものと考えておりまして、また、いろいろな地方自治体からも意見がございましたので、ここについてはこのままとさせていただこうということでございます。
 その下で、藤田委員から調査権限の評価は保護の申請を躊躇させるおそれがあるので、表現が強すぎるのではないかという御意見をいただきましたので、43ページの上から3つ目の○「なお、この場合、保護の申請が抑制されるおそれがあるとの懸念が示されたことに十分配慮することが必要である」ということで、その趣旨を書いたところでございます。
 照会の回答義務につきましては、あくまでも刑事訴訟というよりも、実際の資産要件等々の調査ということでもございますので、こことの官公署の回答義務については、地方自治体においていろいろ困難を持っているというところでございますので、ここについて地方自治体のほうからもこのとおりやるべきであるという御意見もあったところでございます。ここについてはあくまでも要件を明確にするということでございますので、このところの官公署の回答義務の創設ということは、このままにさせていただくということです。
 それから、その下の場合も、あくまでも不正受給が疑われる場合に限定される事実確認でございますので、これもこのままで表記しております。
 その上で、次に保護費との調整について藤田委員から差押禁止規定があることを踏まえるとやるべきではない。少なくとも本人同意や任意かつ真摯な同意でなければならないということでございまして、ここについては委員の御意見の趣旨も踏まえながら「事前の同意の取り方も含め丁寧に議論をする」ということで、今後よく検討するということで表記したところでございます。
 44ページ、藤田委員から、稼働能力があるにもかかわらず就労の意思のない方への対応は絶対的欠格条項とした時代に逆戻りではないか、削除すべきではないかという御意見がございました。ここにつきましては、原案の方向で進めるべきとの意見もありましたので、若干言葉の整理をいたしまして、就労の意思がないと判断する際、44ページ下から2つ目の○ですが「ケースワーカーの恣意的判断を懸念する意見があるため、運用にあたっては、この案が、保護の要件や、真に支援が必要な者には確実に保護行うという制度の基本的考え方を変えるものではないことへの留意が必要である」と表現を整理させていただいたところでございます。
 47ページ、医療費の一部負担という御意見については、岡崎委員、花井委員から両論併記ではないのではないかという御意見がございましたので「医療扶助の適正化に関し、医療費の一部負担を導入することについては、行うべきではない。なお、額が小さくとも一部負担を検討すべきという意見があった」という記載に改めております。
 48ページの一番下は言葉の整理でございまして、健康保険制度等の連携については連携という表現ではなくて、両制度間で関連性を持たせて対応するようにという花井委員の御発言もございましたので、これは表現を整理したということでございます。
 49ページ、先回に上田委員の中村委員代理から生活保護全額国庫負担の意見ということを明記すべきとの御意見がございましたので「なお、生活保護費の全額国庫負担について検討する必要があるとの意見があった」ということで御意見を明記したということでございます。
 以上、全体を御説明いたしました。

○宮本部会長
 御説明ありがとうございました。
 このように修正をさせていただきました。皆さんの御議論で、最終盤で報告書がよりブラッシュアップされたと思っております。御発言された皆様からすれば100%満足のいく修正ではないかもしれませんが、そのあたりは御高配いただくということで、さらにまたもし御意見があれば承っていきたいと思います。いかがでしょうか。

○岡崎委員
 それぞれ発言の趣旨を酌みとっていただきまして、修正もしていただきましてありがとうございました。
 特に一番最初の前回の案で、国の責務というもののトーンが少し下がっていたような感じがしましたので、先ほど御説明いただきましたように10ページに国の責務ということをしっかり入れていただきました。
 特に、この報告書がまとまった後の大まかなスケジュール、例えば法案の成立とか、いつからいつまで例えばモデル事業でやって、本格実施がいつなのか、というのは少し御説明いただいたらと思いますが、我々地方公共団体が全面に立つということで、この報告書はまとめられておりますので、国と地方との財源の問題が後に残ってまいりますので、財源の確保ということも国の責務の中で入れていただきました。この点は非常に重要なところですので、あえて発言させていただいたところでございまして、文言は今の段階ではこれでよろしいと思います。
 それと、前回は時間がなくて発言できなかった部分がありますので、少しだけ触れさせていただきます。今日の会議では資料は配付されておりませんけれども、前回、社会福祉協議会、地区社協、各市に市社協がございますし、代表者の方々が出られております。全体の本部会でまとめられました報告と、全国には組織的に各地域に地区社協がございます。これは1つの大きな社会資源でありますので、全国津々浦々組織があります。それが機能しているか機能していないかは非常に濃淡がありますけれども、今後、例えば市の社協とか、各地域の社協の活動内容というのは非常に重要になりますので、例えば今回の部会でまとめられた報告と、各地域の活動を我々は線ではなくて、地域を全体の面で預かっていますので、市町村の場合は重層的にいろんな政策を組み合わせていかないと、どうしてもマンパワーが足りません。
 例えば、それぞれ内容が書かれていますけれども、地方公共団体ではマンパワーは足りないので、そういうところとの連携、そして今日御出席の皆様方のようなそれぞれの地域の団体と連携をしていかないと、書かれていることはこの方向でいいと思うのですが、恐らく絶対的にマンパワー不足になると思います。その意味で前回資料も出していただいたところでございますので、国としてもいろんな意味で連携できる。例えば社協の活動。これは地区社協も含めてでございますが、そういうことも企画立案、バックアップをしていただくこともお願いを申し上げたいと思います。
 せっかく地区社協という組織は全国的にありますので、ここをうまく活用し、機能していただいたほうがいいというのは強く思っておりますので、いろんな意味で時間がかかるかもしれませんが、それを使わないと、ここに書いている内容を実施できない部分もあるのではないかと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。いろいろ意見を盛り込んでいただきまして、ありがとうございました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 報告書を実行していく段階での、特に地区社協等とのつながり、示唆に富む御教示ありがとうございました。今、岡崎委員から、もし今日うまく報告書がまとまった後に、スケジュールの問題がありましたけれども、事務局から大体の見通しをお話いただければと思います。

○古都社会・援護局総務課長
 今後のスケジュールとしては、この報告書を受けて、政府として具体的な制度創設の案、制度見直し案をつくることになろうかと思います。当然それは政府部内で定め、次には与党と協議して、そして法制度であれば国会の提出を目指すことになろうかと思います。
 実際、実施に当たりましては、骨格を法律でつくるといたしましても、運用に当たっては細目、いわゆる省令ですとか告示、通知などさまざまなものを決めていかなければなりませんし、実際、先ほど岡崎委員の言われましたマンパワーの養成も一朝一夕に進むものではないと考えておりますので、我々としては通常、新しい制度であれば少なくとも2年程度の施行準備を経て実施することになろうかと思っております。その間にはモデル事業費などをしっかり確保して、自治体でどんどん取り組みを進めていただいて、そして、その結果を踏まえながらいろいろな仕組みをつくり、そして、実際に完全施行につながっていくというイメージでございます。
 なお、そういう法案をいつ、どう提出するかとか、その内容で与党に御了解いただけるか、施行の時期をどのぐらいにするか等々につきましてはこれからの協議でございますので、大ざっぱには今のようなことでやっていく。その間、実施主体の皆様方ともよく協議する必要があると認識しております。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 では、長谷川委員お願いします。

○長谷川委員
 今までずっと拝見をしておりまして、私たち民生委員の立場から言わせていただきますと、やはりこうした生活困窮者対策ということとともに、それには情報の共有化をしていくことも避けられない問題だろうと思っておりましたが、今日の資料の中でも10ページでもって情報の提供なり、財源の確保なり、必要な支援を行っていく必要があるんだという表現でもって明記していただいたことに関しまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
 1つお願いなのですが、29ページの中で生活福祉資金等による重層的な金融セーフティネットの構築についてという表現でもってあるわけですけれども、特にその中でも償還率に課題があるんだということなのですが、21年だったと思うのですけれども、税制改正によりまして、今まで民生委員がかかわってきた生活福祉資金の中に総合支援資金という表現があったのですけれども、そういうところ等に関しましては民生委員とのかかわりが薄くなってきたことがあったからどうこうということではありませんが、今の償還率を考えると総合支援資金では約40%を切っているのと思うのです。37~38%ぐらいではないかと思いますし、一方では教育資金に関しましては反対に60%を超えているような償還率があるわけですけれども、そういう中でもって資金の制度をつくるのは厚労省ですが、実際に運営なり運用をしていく窓口でもって対応するのは社会福祉協議会が対応している。そういうところで一方では支援をしなくてはいけないし、その反面、貸し出したものに関しては回収してもらわなくてはいけない。このようなことに問題があるわけですから、どうか1つ今後ともそうした問題に関しましても円滑な貸付制度をお互いに知恵を出し合って、そして利用される方の期待に応えるような努力をぜひひとつお願いをしていきたい。文言の訂正などではなくて、お願いをしておきたいと思います。
 もう一つは33ページで子どもの貧困の防止の中でもって、一番下のところで総合的な取組は学校教育段階から進めるべきだという表現なのですけれども、全くそのとおりかもしれませんが、学校教育ということになってくると文科省の範疇ではないかと思いますけれども、お互いにそういう意味で文科省とか厚労省とか、どちらがリーダーシップをとるということではなくても、5ページの一番下にありますように、子どもは国の宝でもあるし、地域の宝でもあるわけですから、子どもたちが夢と希望に満ちて、次世代が可能な限り公平な条件でもって人生のスタートを切ることができるように、そういう意味でぜひひとつこれに関しましても変わらぬ、双方でもってお互いに知恵を出し合って、子どもたちのためにも御指導願いますようにお願いだけ申し上げたいと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、井手之上代理お願いします。

○井手之上代理
 前回、全国知事会としての意見を述べさせていただきました。今回示されました報告書を見させていただきまして、自治体の問題でありますとか、国の役割とか責任について意見を反映していただいて、どうもありがとうございました。
 今後、具体的な制度設計をどうするかというステージになろうかと思いますけれども、先ほど今後のスケジュールのお話もございまして、地区社協の問題のお話もありましたが、地方としっかりと協議をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。特に事業実施に当たりましての財政措置について、特別の御配慮をお願いしたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 武居委員、どうぞ。

○武居委員
 先ほどの長谷川委員の意見に関連した話ですが、前回も行政側から個人情報のお話が出ましたし、広田委員からは利用者側からの個人情報の話があって、今日は民生委員の立場から個人情報の話が出ました。サービス提供側から個人情報に関して一言お話をさせていただきたいと思います。
 従来ですと、生活保護に関する利用者対役所の情報は、非常に閉鎖的な対応がなされてきたので問題はなかったのですが、今回は生活困窮者に対してもっと広く、包括的支援にしようと言っているわけですので、さまざまな機関がこれにかかわっていかないと問題解決につながりません。そう考えますと、個人情報の取扱い、とりわけ情報の共有化ということについては非常に微妙な問題が出てくるのではないかと思います。我々が互いに協力をし、対象の方に対しての支援を十分にしていこうとすると、どうしてもこの問題が出てくるので、サービス提供者としても何とか解決していかなければならない大切な問題ではないかと考えています。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 花井委員、お願いします。

○花井委員
 前回述べました意見を大方取り入れていただいたことに感謝申し上げます。
 その上で、できれば修正していただきたい部分がありますが、無理だったら結構です。
 3ページですが、2つ目の○です。この特別部会が始まったときに、生活困窮者とともに社会的孤立ということが問題になっていて、孤立死ということに対してどうしていくのかという議論もされたと記憶しております。そのため2つ目の○ですが「また」というところで「家族などのつながりをなくして孤立化する人々が少なくない」ということと、孤立死に至るケースもあるというようなことも、状況認識として可能であれば追加いただきたい。修正ができないということであれば、共通の認識にしていただければと思います。
 その関係で11~12ページの図です。これを修正するとかではないですが、孤立死を防止するために電気事業者、水道とかガスの事業者が連携して、孤立死を防止していこうという取り組みがあります。例えば私のお隣にいらっしゃいます長谷川委員が横浜市で行われているとも伺いました。そういうことが自治体によって進んでいるところと進んでいないところがあるかと思いますが、生活困窮とともに社会的孤立というものが今、大きな問題ですので、商工会議所の中に民間企業とかありますし、先ほど来の説明で友人・知人など云々というここも、さまざまな地域のネットワークを意識した項目が書かれておりますので、お互いに孤立死を防ぐための支え合いがこの中に含まれるというふうに読み取ってよろしいでしょうかという確認をさせていただければと思います。
 その上で、札幌で起こった兄弟の死亡事件というのは、お姉さんが病気で、妹さんが障害者で生活困窮、そして社会的孤立ということがあったわけです。そういう意味で言うと、この生活支援戦略の制度化が大変急がれるのではないかと考えております。
 先ほど2年の準備期間が必要だという説明がありました。そのことは理解しつつ、今、行われているモデル事業も確実に推進し、この制度化を図って、できるだけ早くスタートしていただくよう強く要望しておきたいと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 広田委員、どうぞ。

○広田委員
 村木社会・援護局長はおいでになりますか。村木さんにお話することがあります。

○古都社会・援護局総務課長
 大変申しわけないのですが、公務でいろいろ説明を求められて出ている場所がございまして、間に合わないかもしれませんので私のほうから伝えておきたいと思います。

○広田委員
 国民にも伝えられます。議事録が残るから。
 精神医療の被害者である精神医療サバイバーとしてなぜ私がここに出ているかというと、私はよそ者ですから、非常に異色な発言を続けている。「何だあの人は」。「お母さん」と言う人もいるし、「お姉さん」と言う人もいる。
 それで率直にこれを見ると、前回はマスコミが戦争中のファッショだという発言をさせていただきますけれど、まさに国防婦人会。愛がない社会。それを全て制度でやろうとして、今の孤立死も。花井さん、私はひとり暮らしです。元旦からショートステイというか駆け込みに泊まりに来ていますし、この間は6歳児が泊まって近所の5歳児と遊んでいましたが、もっと社会を知ったほうがいい。日本社会の実態は物すごいです。体罰がいけないと言えばみんな一斉に文科省も流れるけれど、子どもたちを誰が叱るか。いわゆる頑固おやじをマスコミがいなくした。それから、マスコミが教師を叱れなくした。神奈川県警のお巡りさんが何を言われているかと言ったら、補導されたガキンチョたちから「俺たちのことはいいから、お前たちしっかりやれよ」言われて、本当に傷ついている神奈川県警の人はいっぱいいるし、全国都道府県の課題は恐らく鬱だろうと思われます。神奈川県警の課題は、不祥事騒動騒動が出てからたたかれっぱなしで、うつという状態です。
 そういう中でこれを見させていただいたときに、図があって、自分が真ん中の御利用者様になったつもりでどうですか。いろんな議員の方がおいでになるけれど、先日から維新の会の秘書さんもがしょっちゅうお見えになっているけれど、この話ではなくて聞いたのです。「あなたが誰かに何かちょっと困ったことがあって話をしたときに、みんなが連携して解決しようとしたらどうする」と言ったら「僕が広田さんに相談したことは広田さんの胸の中でとめてほしい。それで解決できることを望む」。私もそうです。もし古ちゃんが何か困ったことがあって、何か問題が起きたときに奥さんまで出てきて、子どもまで出てきて、上司まで出てきて、桝屋さんも出てきて、私も委員として非常に力がありそうだからって、下世話なことに対しての力ですよ、だからって呼ばれてみんなでごちゃごちゃやるという構図が左側の、いわゆる11ページだと思います。本人不在というのはそこです。
 本人が1人、この人だけは信頼できるという人がいれば、ある意味では火をとめられる。それを誰が信頼できるのかわからなくなっていってしまいます。特に鬱っぽくなっている場合、認知症っぽいのもそうですけれど、人を信頼できないところからスタートするのが鬱とか認知症の特徴です。多くの方が。寝られないというところも鬱の場合もちろんそうです。それをみんなで寄ってたかって、近所も入り友達も入り、守秘義務やってくださいでやっていただくのはいいけど、守秘義務を課せられたほうがそれに耐えられない。今の時代やわですから、何でも人権と言わなければ守れない中で。やわだから守秘義務課せられたほうがストレスがたまってということですね。そういうふうなことを率直に言って、この11ページ、12ページは感じています。
 それから、貧困の連鎖は本当にどうぞ法案でも何でもつくってください。よそ者だから言っておきますけれど、絶えず日本のマスコミがたたくと、それに乗っかって何か物をつくらなければいけない構図になっていて、本来ジャーナリズムはいつ、どこで、誰が、何をしたとか、何が起こったかということを報道して、そしてやがて取材を深めていって、何でそういうことが起きたのかということが報道だと思うのだけれど、裁いてしまって徹底的に問い詰めて、追いつめてしまって自殺に追い込む。これだけ自殺の騒ぎを報道で一方しながら。マスコミ報道で自殺していった例えば宮崎勤さんのお父さんとか、古ければ芸能人のお母さんとか、そういうようなことを全く検証しないことがずっと何十年も続いているのです。今、本当にその極みがいっぱいでていると思うのです。
 そういう中で、私はこの委員会に出てNHKの7時のニュースに出たときに、たまたま、全国の精神障害者の大会の実行委員長で、この会議後、直行するため紺の服を着て、パールのネックレスをして出ていたのです。そうしたら「痩せてきれいになってパールのネックレスでNHKに出ていた」と言われて、私は今、高齢者のお話相手ボラと、はまっ子スクールという横浜市内の小学校のお遊び相手ボラを休んでいるのです。「テレビに出たあの人だ」ってなると、一住民として平穏に暮らしていて、これ以上有名になりたくないということがありますから。
 今、子どもたちに何が必要かというと、学習よりも遊びなんですよ。横浜市内の私の家の近所でも、私の家の前に来ていただければわかります。路地があるけれど、子どもが遊べない。大人が子どものきゃーとか、わーって騒ぐ本来一番健康な部分を受け入れられないような社会全体の風潮があって、遊び場がないのです。勉強以前です。そういうことを御存じになったほうがいいです。そういう中で子どもたちいっぱい病んでいるんです。
 大阪のあの痛ましい自殺だって、もしあの子がクラブ活動を辞めていれば、親が「辞めなさい」と言ったり、本人が辞めるような決断を持つ力が家庭の中であれば、あれは回避できたかもしれない。そういうことは全くなしに「やった教師が悪い」ってばーっと、何と言うのかしら、報道機関ではなくて北町奉行所までやってしまって極刑、獄門、張りつけまでしている。すごい状態にマスコミがなっている中で、何でも決めていかなければいけないということは、本当に厚生労働省当局も大変だということは十分認識しております。それがまず1点。
 先ほど長谷川さんに言われて33ページを見ていたのです。「こうした連鎖を断ち切るためには」と書いてあって、その際には教育分野、精神保健分野と出てくるのですけれど、何で子どもの問題に精神保健分野が出てくるのか。私は必要ないと思います。私は精神医療の被害者として。この国の精神障害者が数字をとり始めて108万人からスタートし、やがて157万人、204万人、258万人、304万人、323万人と、3年ごとの統計が増え続けているのです。そういうふうな治せない精神医療の世界にいわゆる子どもを誘導するような精神保健分野、またはよく精神障害者の業界の福祉の関係者が「早期支援」と言います。でも、申しわけないけれど、既存の精神障害者を社会復帰させたり、自立させる力を持たない、そういうふうな精神障害者福祉領域に何も子どもを委ねることはない。
 もっと子どもは遊ぶ、寝る、食べる、安心して大人と話せる。うちの近所の子どもが私の寝室に入ってきて、2階で、ふとんの上で大の字になって「広田さん、ここで寝てるの」「そうよ」と言うと「僕も寝たい」と言うのです。これを25歳が言ったら、あらそんな歳の差の恋愛となるような会話。子どもの世界で本当にほっとできる大人が必要なのです。ほっとできて遊べる大人が必要なのです。ほっとできる報道が必要なのです。
 中国の留学生が留学を終えても中国に帰らない理由は、「中国には選挙権がない。中国共産党しかない。日本は自由だ。だから日本で働いている」という30歳ぐらいの女性にいっぱい会いますけれど、全世界の滞日の外国人が「日本は世界一安全で暮らしやすい」と言っている。けれど、日本のマスコミが反日だから本当に不安をあおる。不安をあおった結果できたのがこの特別部会。そこになぜかよそ者の私が入ってきてこんなことを言っている。こういうことですが、よそ者でないと言えないのです。
 駒村さんなんか本当にこれから基準のことで大変だと思いますけれど、応援していますからね。時間がある限り来て傍聴して、日本は民主主義国家ですから駒村さんが刺されてはいけない。私は「生活保護の問題で発言すると共産党に殺される」とここの傍聴者たち等から聞きました。先日、畑野君枝さんという元参議院議員が近所で遊説していましたので、言いました。「殺さないでくださいね」と。そしたら「日本共産党は殺さないわよ、よその共産党のことでしょ」と言われましたから、ぜひ言論の自由を守っていきたいということと、それから、くれぐれも学習ではない。いろんなところで子どもが小さいのに、何でそんな塾に行くのというような、子どもの幸せではなくて、この国の宝ではなくて、親の自己満足のようなことが起きている。そういう現実をしっかり忙しい人も目をあけて、子どもと遊んでみる。そういう場がどこにあるかということです。
 39ページ、広田委員と花井委員は反対されましたがという、ここですけれど、確かにそうです。生活保護制度が終わるといきなり国民健康保険の請求がどさっと来たり、税とかいろんなことがあります。そこのところでこのお金を充てるというのは全般的に反対はしません。でも前回も言っているけれど、金は人を殺します。その人の人柄を。慎重にやることです。くれぐれも慎重に。それ以外のところへ出さないような形で持っていかないと、その人が結果的にもう一回生活保護に戻ってきます。還流ではないけれど、そういうふうな人たちが、ここで言えないようないろんなことを考えます。
 「○○の理由で入院して、そして日用品2万3,760円を稼ぐ」とか、いろんなところでいろんなことが起こってきて、それはそれは厚生労働省の上品にお育ちになった方たちと違って、生活保護制度を使って物すごい、もうプロだというふうな小説が書けるぐらいのいろんなことを考える方のいらっしゃるから、それがいいほうに行けばいいけれど、それが御本人もだめにする場合もある。そして国や岡崎委員が言ったようにお金がないから地方自治体。だから「国が100%やって」って。それは対馬に行ってくればすぐわかることですけれど、そういうことなのです。
 それと、医療費の助成のところで病気の予防の話が出てくるような気がするのです。私は今日の夕方も最終便で長崎に行ってきますが、とても忙しくて、目が悪かったりしていろんなものを読み取れていないと前回も言っているのですけれど、御心配して下さった方々ありがとうございます。目は治りつつあります。それでぜひ最初の予防です。生活習慣病の予防だけではなくて、ここで私が資料を出した鬱の予防、先ほども患者が増え続けている、人数が出てから3倍になってしまっている、鬱の予防。それから、桝屋さんも私も認知症予備軍。40過ぎれば誰もが認知症予備軍。それの最大の防止は恋愛だそうです。それは認知症になった方が言っていました。警察の現場で。ですからそういうことで、何でも制度にするのではなくて、愛をどこかに入れてください。
 孤立死も私は近所の人にお願いして弁護士を入れて契約書をつくって鍵を預けようと考えているんです。そういう形にして、相手は男性ですから、「恋愛対象に生涯ならないですよね」という形でお願いをするのですよ。日本人って下世話だから異性にお願いすると怪しい関係とすぐやるんです。ワイドショー的に。そういうふうな本人ができる自己努力をいっぱいする。そして牛乳屋さんや新聞屋さんって、牛乳なんてとっている人が少ない時代、新聞だって日本の報道はパパラッチというか「マスゴミよマスコミじゃなくて」という主婦がいっぱいいて、新聞もとらない時代。テレビも何だか不安をあおるだけだからFMで音楽を聞いていればって。そういう時代だから、朝起きたら隣近所に声かけをする。そういうふうな習慣をここにいる、この空間を共有している中だけでも一緒にやりませんかということです。村木さんの話は後ほどということで、よろしくお願いします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。

○藤田委員
 いろいろ修正いただいてありがとうございました。宮本先生おっしゃるとおり100%ではないと思いますけれども、かなり御配慮いただいて、文言が修正されてきたのではないかと思っております。本当にありがとうございました。
 まだ若干危惧している部分は、扶助を照会するというところがまだ懸念が残されているのですが、そこも引き続き文言が変えられないか御検討いただけたらと思っております。
 さらに先ほどの広田委員のお話ではないですけれども、18日に生活保護基準部会が行われておりますので、そこでどのような議論があったのか、少し議論の内容を聞かせていただきたいと思いますし、実はここの最初の報告書の総論だとか「はじめに」を読ませて、ずっと見ているのですけれども、やはり生活支援に必要な根幹というのは、特に生活保護を受けている方は生活扶助費だと思うのです。これだけ生活支援が必要だという報告書が出されている一方で、別のほうでは基準が引き下げられようとしているというところと考えるとするならば、これは整合性がとれないのではないかと思っておりまして、基準部会のほうでどのような議論があったのかということとあわせて、こちらの特別部会では基準の引き下げについては基本的には反対をずっと各委員が表明しておりますので、総論だとか「はじめに」のあたりに基準部会で難しいことであれば、こちらの部会で何とか、宮本部会長の御判断かもしれませんが、基準の引き下げに反対という文言をどこかに明記していただきたいと思うのです。それは基準部会でどのような御議論があったのか、駒村先生から少しお伺いできたらなと思っております。いかがでしょうか。

○宮本部会長
 本来、2つの部会は所管が違うわけでございまして、そこは厳密に言えばここで議論するべきことかどうかはいろいろ議論の余地があるとは思いますけれども、そこは委員として参加されているということもありますので、もし駒村委員から議論の御紹介があれば。

○駒村委員
 極めてかいつまんで。報告書とかは厚いものが出ておりますが、同時に概要が発表されていると思いますので、概要に基づいて非常にエッセンスだけ申し上げたいと思います。
 基準部会は全国消費実態調査を使って統計的に現行基準についての検証を行う。これは5年に一度ということでございます。そういう意味では基準を決めるという立場ではなくて、統計データに基づいて検証するという性格のものでございまして、いろいろ当事者の方のお話も聞いたほうがいいのではないかというお話もありましたけれども、あくまでも基準部会の設置の目的がそういうことでございますので、統計データに基づいての検証とさせていただきました。
 分析に当たってはいろいろな御意見がありますけれども、下から10%の世帯の方との実態との比較において分析をするという考え方を、従来どおりの考え方ですが、使った。ただ、今回は消費実態の構造的なところまで踏み込むということで、この辺は従来とややアプローチが違ってきています。その結果、年齢の効果、世帯人員の効果、級地の効果に分類して、どのくらい基準と現行の扶助の状態と低所得者の方の消費実態の間にずれがあるのか。
 この基礎数字は実は30年ぐらい前につくられたものが多く使われているので、実態にずれがあるのではないかというところで、従来から指摘されていた部分をかなり細かく検証したことになります。
 この結果わかってきたことは、年齢のカーブについては少しフラット化してもいいのではないか。あるいは地域差においてもフラット化してもいいのではないかということ。ただ、世帯規模については1類については少しフラット化する一方で、2類についてはもう少し世帯の人数について給付額の指数を上げたほうがいいのではないかという結果が出てきたので、まとめると多人数世帯については少し引き下げるようなパラメータが出る一方で、高齢単身世帯については若干上げたほうがいいのではないかという結果が出た。そういう意味では一方的に下げるとか上げるとかいう結果は、基準部会は出していないと理解しています。
 ただし、経済指数がさまざまこの間、例えば基準部会は平成21年のデータを使っておりますので、そこで既に25年の水準との新しい扶助の決定の間にタイムラグがある。そういうように経済的に変動がその間あるので、その辺については政府のほうで考慮していただきたい。合理的な根拠を示した上で考慮していただきたいということでありますので、あくまでも基準部会で行ったのは検証である。先ほど広田委員から非常に刺激的なお言葉をいただきましたけれども、応援いただきましたが、そういう意味では一方的に方向を示したわけではないと理解しております。
 以上です。

○宮本部会長
 藤田委員、どうぞ。

○藤田委員
 ということは、一律で生活保護基準を引き下げるべきではないということでよろしいですね。それは引き続き生活支援には財源が必要ですけれども、もともと外から新たにつけるというよりも、生活保護受給者の方にしっかりと丁寧に従来どおり、今も従来どおりと言ってもそれでも不十分な支給額だと思いますが、それが引き下げられないようにということで、何とか駒村先生もそうですけれども、宮本部会長もそうですが、何とかこの特別部会でそういった方向にならないようにという文言を一言でも加えていただけたらありがたいなと思うのですが、それはいかがでしょうか。駒村先生、どうですか。

○駒村委員
 今のお話は私、もう少し正確に基準部会の役割を申し上げますと、検証したということで、これがこうすることが望ましいので、ぜひそうしなさいということまでは書き込んでいないわけです。
 さらに言うと、基準部会自身は2つの方向があるということを申し上げましたけれども、一方で経済指数の部分については、その間の数字をどう、合理的な数字を政府が示すかというところによっては、また違うファクターが入っていますので、そこについてはこちらで縛っていないという形になっています。

○宮本部会長
 よろしいでしょうか。

○藤田委員
 よろしくないのですけれども、宮本部会長、何とかこの文言に基準部会の案と考慮して、生活保護基準の引き下げにならないように、その文言を一言だけでも何とか加えていただけたらありがたいと思っているのですが。

○宮本部会長
 基準部会でさえ上げる下げるということを言えない議論ですので、ここでそういう話をするというのは難しいと思います。

○藤田委員
 なので、一言だけ「なお、そういう意見があった」ということだけでも考慮していただければと思います。

○岩村部会長代理
 私の理解するところでは、この特別部会というのは生活保護の基準についてを議論することは所管事項に入っていないと思っております。したがって、基準を下げるどうのこうのということについて、この報告書の中に記載することは当部会の所管に属さないことについての意見を表明することになりますので、それは不適切であると考えます。
 また、基準についてどのようなお考えを持っているかというのは、それぞれ各委員の個人のお考えでありますので、それを部会として取りまとめるということ自体も私は不適切だと考えております。

○宮本部会長
 ほかにいかがでしょうか。勝部委員、どうぞ。

○勝部委員
 違う話にさせていただこうと思うのですけれども、今の基準の問題というのも新たな生活困窮者を生み出さないためのというところで考えれば、必然的にそういう支援戦略を今、立てているわけですから、予防していくというところでそういうところに陥らない人たちをつくっていくというところで、これからこの施策がしっかり根づいていくことが重要だということが、この部会での1つの考え方なのだろうと思います。
 いろいろとたくさん意見を出させていただきまして、反映していただいたことに本当に感謝しております。最後に50ページの「おわりに」を改めてまじまじと読ませていただいたのですが、一番最後の○で「生活困窮者に関する問題は社会全体で取り組むべき重要課題である」ということで格調高い言葉で締めくくってあるのですけれども、先ほどの岡崎委員のお話にありましたように、社会福祉協議会というのがこれまで地域のつながりをつくることをやっておりましたが、そのことがつながりの再構築ということで、まさに今、問われているということ。それが今回の総合相談窓口のような解決力を持つことで発見力というものがさらに生かされていくことを、この戦略はうたっていただけていると確信をしております。
 ぜひそういう意味ではこれまでの地域づくりをしてきました社会福祉協議会というものと、ぜひこの相互相談というものがうまく連携をしながら、発見力と解決力がしっかり二本柱でやっていければいいなと思っております。
 それと関連しまして、随分いろいろと御配慮いただいたのですが、私も基礎自治体で実際に相談に当たる現場の一ワーカーとして考えた際に、こういうものが例えばおりてきたときに自治体がどう判断して動いていくのだろうかということを考えたときに、例えば11ページ、12ページの図というものが一番皆さんにとっては目に飛び込んでくるといいますか、細かい文章を読み取るところまでなかなかし難い中で、こういうところがぱっと目に飛び込んできたときに、前回のときに私が申し上げました計画づくりをしっかりしていただくということで、それぞれの団体やいろんな機関の連携というものが明確になっていくことはとてもありがたいので、入れていただきまして本当に感謝しておりますが、このイメージの中で、例えば文章に入っております包括的伴走型支援であるとか、アウトリーチということが相談支援事業の丸の中にもう少し入っていれば、これを見ただけで少し理解ができるのではないかとか、その周辺にあります友人・知人などの仲間、近隣の地域住民等のところに、ここの輪の中に下に丸をつけていただいて、つながりの再構築という言葉が入っていると、地域全体でそういう人たちを守っていくということと、相談機能がよりこういう機能を持ってやっていくということが、この絵を見てある程度理解ができるのではないかという気がして、もし修正可能であるのでしたら、そういう言葉を少し文章に書いてあることをこちらのほうに少しつけ加えていただくことで、このイメージというものが、イメージですので書き切ったら切りがないというのは十分承知した上なのですけれども、よりこれが精度が上がるような気がしてやまないなと思っています。
 この12回、いろいろと大変勉強させていただきましてありがとうございました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 中村代理、どうぞ。

○中村代理
 前回、意見を述べさせていただいた中で積極的に取り入れていただきまして、まず感謝申し上げます。
 それから、政令指定都市市長会からの意見も出しておりますけれども、基準の引き下げに全員が反対しているということではございませんので、それは誤解のないようにお願いしたいと思います。現場のケースワーカーの立場で申しますと、私は上田委員の代理として出ておりますので、逸脱しますのでこの場では控えますが、岩村部会長代理のおっしゃったことが全てだと思っております。
 以上です。

○宮本部会長
 奥田委員、どうぞ。

○奥田委員
 本当に長い委員会で、いよいよ最後になったのでたくさんの議論がある中で最後まとめができたこと、本当に感謝いたします。
 1つは非常に具体的なところなのですけれども、修正箇所の42ページ。これは大事な一言が加わったので趣旨は大賛成なのですが、文言として42ページの上から3つ目の○なのですが「さらに、本人の意に反して劣悪な処遇をしつつ保護費を搾取する」という、この「本人の意に反して劣悪な処遇をしつつ」というのが日本語としておかしいのではないか。本人の意に反してようが反してまいが、劣悪な処遇で保護費を取ったらいかんということでいいので、それはすんなり書いたほうがいいのではないか。逆に言うと、本人の意に即していても劣悪な処遇はだめだということを書いたほうがいいのではないかということで、これは文言のことです。
 あと、先ほど広田委員がおっしゃったことで、私は伴走型支援のイメージがここの場においてもまだ実は何というか、全員がこれというところまで少しいっていないだろう。ただ、ここに書き込むとなると、まだまだ時間がかかることになるので、ぜひこれは意見として残したいのですが、運用の段階の実際、相談事業所をどうしていくかということの中に伴走型支援という概念、理念、システム、そこにおける危惧も含めて明確にしないと、例えば1人の人の情報を一気にこれだけの人が集まって全員で共有するとは私は考えていないのです。どちらかと言うと伴走型支援はまさに広田さんおっしゃったとおり、まずは1人の人が横について、愛を持ってついて、そこで本当の信頼というものを勝ち得た中で必要な資源につなぎ、戻すということがなされていく。コーディネート支援が基本的にはあるということなのです。ですから、それはフォーマル、インフォーマルも含めて、もしくは地域性そのものも含めてあるということです。だからそうなると伴走型支援というのを新しい相談支援の概念として入れている割には、少し言葉がまだまだ煮詰めなければいけない。
 人材育成が特に大事だと思います。ここの相談支援員という人が何をする仕事なのかということを理念においてもきちんと押さえないと、従来型の相談支援と何が違うのかという話が早速出てくる。この絵だけ見て始めると広田さんおっしゃったとおりで、まず本人の同意もとらないで、まさに本人主権なんて犯してしまって、みんなで共有してしまうみたいな勘違いも起こり得る。だから運用段階でのガイドラインを相当丁寧に書かないと絵に描いた餅になるし、地方主権でやっていくということなので当然のことだと思いますけれども、ただ、ふたを開けたら中身が各地でばらばらになってしまって、何とか型、何とか型というのがいい意味であらわれるのではなくて、悪い意味であらわれるのではないかという気がいたします。ですので、そこのところは運用段階で伴走型支援の概念もしくはシステムを明確化すべきだということは意見として残したい。
 それと保護に関しては藤田さんのおっしゃることもわかります。私も実はいろんな面で危惧があると思っておりました。しかし、今回44ページであるとか43ページで相当はっきりと危惧があることを書いてくださったので、これはきちんと書いていただいた。
 基準に関する考え方は先ほど駒村先生おっしゃったとおりで、そもそも全体として下げる上げるという議論ではなくて、検証しているんだということなので、ここでの議論というのはなかなか難しいかなと思いますが、私は44ページの真に必要な人には保護を行うという制度の基本的な考え方は一切変わっていないんだということとか、43ページの抑制されるおそれがあることを懸念するということ等々、このあたりはきちんと書かれたということは、私は評価すべきだろう。
 いずれにしても、もう一つつけ加えで言うと、ここから先は我々現場の勝負だと。どれだけ書いても申しわけないけれども、それを守らない事業所や守らない部分も出てくる。それを現場でどう検証し、どう闘っていくかということは私は現場におるので、ここにどう書かれたとしても、ある意味、会議をしているし、どう書かれたとしても、ある意味、今までどおりきちんとやっていくというように思って読みました。
 まとめてくださった皆さん、本当にありがとうございました。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 櫛部委員、どうぞ。

○櫛部委員
 4ページの生活保護に関するところにかかわってになります。風邪をひいているので申しわけありません。2004年、平成16年に市議会の福祉部会の専門委員会でいろいろ提案があって、それに基づいて私たち釧路では自立支援に取り組んできました。あれから約10年となります。あそこで出された課題というのは、そういうことだけではなくて、例えば住宅の扶助や住宅手当など、生活保護そのものにかかわる問題を実は提起していたと思います。それから10年たってこれに対応できているのかということに今、なっているのだと私は思っています。
 私の22年、それから、岡崎委員や桝屋副大臣、中村代理もそうなのですが、皆さんケースワーカーをされてきて、生活保護の歴史は増えたら減らす、増えたら減らすということでずっと来ているわけです。これはわかっていることです。問題は言わばミーンズテストといいますか、資産活用型で来る生活保護の限界も一方では示したのではないかと私は思っています。
 岩田先生がよくおっしゃいますが、丸裸にして着替人形のようにするというのが現行の生活保護です。さまざま今、不正受給の問題、0.4%なのですが、質的にはなかなか10年前よりももっとおおらかではないものになってきています。それを資産活用型の生活保護のこれに全て押し込めて、ワーカーやそこで何とかしろよということ自体が相当限界なんだということを思わなくてはいけないと思っています。
 そういう意味ではインカムといいますか、もっとそれは国の全体の所得の補足の問題になると思いますけれども、そういう形の中で切りかえていかないと、1人生活保護をたたいてこの問題が済むということではないということを改めて明らかにしたというのが今回の裏の意味合いでなかったかと私は思っております。
 したがいまして、基準部会も5年に1回の見直しということですが、今、100円ショップで暮らせている人がこれから物価が上がるとして200円なり300円ショップに行かなければいけないとなったときに5年後に追いついていけるのかということもありますから、そういう見直しとか、それから、今回は国交省や文科省などさまざまな方たちが入っていただいているわけですが、まさにそれは横断的な仕組みをつくらなければだめだということでありますけれども、それにどれほど近づいたか私もまだよく核心は持てておりませんが、そこのところが例えばパッケージでやっている生活保護でいいのか。今、医療の単級ぐらいなのですが、それを住宅も含めてやる。あるいは子どもを家庭にのみ扶養だということで縛りつけていますけれども、ひょっとしたら偽造世帯として組んでいくようなことだって将来的にはあるのかもしれないので、それほどの仕組みをもう一度これを契機に実践しながら見直していただくということが、実は出てきたのではないかと私は思っております。地元で頑張ってやっていきたいと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 谷口委員、お願いします。

○谷口委員
 大変難しい議論です。これをさまざまな配慮に基づいてまとめていただいた起草委員会、事務局の皆さんに感謝申し上げたいと思います。支援現場としてもかなり踏み込んだ内容まで組み込んでいただいているので、これから実現に向けてしっかり頑張らなければと思いを強くしているところです。
 そこで2点ほど、運用面での留意点というところでお話させていただきたいのですが、奥田委員が先ほどおっしゃったように、支援のイメージ、その具体論というところにいくと、相当ばらつきが出てくるのではないかと危惧をしています。特に結果を残すという観点からいくと、その支援のあり方、今回の伴走型という点一つとっても当事者との信頼関係が強い一人の支援者が強力なリーダーシップをとって関係機関を動かしていくのか、各機関の支援者がチームを組み提案型の対応で寄り沿っていくのか。多くの地域は後者になってくると思うのです。
 そういった点でいくと、やはり関係機関が同じ認識、共通認識を持って支援をしていかないと結果が出ないので、まずアセスメントの部分に関しては関係機関が基礎的な情報、考え方をしっかり共有できるような、共通のフォーマット的なものも開発をしていかなければいけないのだろうと思います。
 また、地域の実情に応じてということになると、熱心なところとそうでないところが出てきます。そういった地域の取り組みの格差を是正するという観点からも全国的にもある一定の共通認識の下での評価が行えるよう、共通のフォーマットを活用していく必要があると思います。
 もう一つ、柏木委員とこの間お話をさせていただいているのですが、柏木委員のようなところの社会的企業としてのノウハウと我々のようなNPOにおける引きこもり、ニート等の自立支援のノウハウをうまく両者でシェアすることによって、まずはそういった地域格差をなくしていこうと考えています。その際の留意点としては、先ほどマンパワーの不足という話が出てきましたが、地域を見てみると民間側でも専門的な人材が限られてしまっている。行政側も配置できる人数も少ないし、ノウハウも不足している。こういった実情からは、専門的な人材を確保ししっかりと育てて行く必要があるわけですが、そのノウハウが一朝一夕で学べるものではないことを考慮すると長期のインターンシップ、例えば1年、2年単位で、地域も釧路と佐賀といった従来の枠組を超えて行き来できるような制度も検討する必要があると思います。そうすることで地域格差をうまく是正していく。そうしないと生まれたところで受けられる支援の質も量も変わってくるということであれば、さらなる不幸ということになりますので、そういった検討も進めていただきたいと思います。いずれにしても我々現場の人間としてはより良い支援ができるように、発言した分はしっかりと責任を持って実行していきたいと考えているところです。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 駒村委員、お願いします。

○駒村委員
 基準の話は先ほど終わったので、これ以上言いません。先ほど櫛部さんから、もしデフレからインフレ局面に急に変わった場合については、当然政府が経済指数を機動的に見て反映するのではないかと思いますので、そういうことが考えられているのだろうなと思います。
 これは事務局に対するお願いなのですけれども、今後モデル事業を自治体で行っていく際には非常にきめ細かい仕事の協力をお願いしたいと思っています。設計からフォローアップ、データベース、評価づくりまで、2年間あるいは3年間試行実験をやるわけですけれども、そのときが一番幅のある解釈をされてしまうような内容もありますので、こういうことを意味しているんだということを見せなければいけない。それに基づいてガイドラインも並行してつくっていくと思いますけれども、そのモデル事業について丁寧にかかっていただきたいと思います。

○宮本部会長
 岡崎委員、どうぞ。

○岡崎委員
 だんだん出ておりますように、12ページの先ほどの表から見ましても、今、駒村委員もおっしゃられましたように、最初の制度立ち上げの段階で地方自治体の責任、役割というよりも責任がかなり重いのです。重いというのは、それだけやらなければいけないという意味なのですが、ただ、我々高知とか代表的な1つの地方都市ですけれど、まだまだここにおられるような民間のNPO団体はまだ高知とかにはないので、地方都市には多分ないところが多いのです。日本全体を見ても。そうすると、ある意味非常に画一的な、例えば最終的に支援調整会議などがあって、行政のほうで支援計画などを策定するという流れになっていますけれども、事務的に言うとそうかもしれませんが、多分、今のこういう実践的な方々の具体的な活動を知らないと、非常に画一的な支援計画しかつくれないということが当然考えられます。
 だから今、ちょうど駒村委員おっしゃられたように、何をやるかというのは非常に立ち上げのこれから、これは報告書がまとまった後ですが、実際に動かすときに、特に我々の責任は非常に重いし、やらなければいけないので、その点はいろんな意味で広く情報提供をいただかないと、1つのマニュアルに沿ったものしかできないようなことに陥ると、多分、先ほどおっしゃっていましたように、お一人お一人コーディネーターがおって、それぞれのお一人お一人に応じた支援計画が当然要ります。一人一人のオーダーメイドができないといけないのですが、多分、事務的にやるとそうならないのです。そこが一番大きいところなので、それぞれ出ている意見というのは非常に重要なところなので、いろんな意味で情報提供含めて地方公共団体のバックアップもよろしくお願い申し上げます。

○宮本部会長
 広田委員、どうぞ。

○広田委員
 基準でしたっけ。基準は私はたまたま1類の多家族のところを下げた方がいいという意見と、高齢者のところを上げたほうがいいという意見を、意見書で出しているのです。11月14日です。それと同じことが新聞に大きく出たから、それが現実だと再認識しています。そういう現実からすると、基本的に基準は下げないほうがいいということです。
 それと、100円均一で生活ができようが何ができようが、もっと女性が、最初に冒頭言って、TBSの委員に「そこがたたかれるかも」と言われた、「家庭の中に母性がない」と思います。私は来る人にみんな手づくり料理を出して、この間も法務省の人が来たし、いろいろな人が食べていますけれど、中には感極まってしまう人もいるのです。手づくりだけで。きょうは村木さんが見えていたら言わなければいけなかった。村木さんはキャリアで素晴らしいことは尊敬するけれど、主婦の子育ても大事だという認識を持って、家庭の中に愛があって、男は外に出れば7人の敵がいるという時代は古いけれど、そういうことで女性自身が女性の持つ特性で、男女共同参画時代の前から、同性愛も認めるけれど、女性自身がもっとまろやかになってエレガントになって、そうすると社会がやさしくなって、子どもももっとゆったりと暮らせると思っているのが1点です。
 それと、基準を下げないほうがいいと思います。例えばお風呂に入ることは2類に入ります。家にかかる費用だから。けれど、私ですと、この部会が今日あるから健康保全のためスーパー銭湯に600円払って行っているのです。850円のところ割り引いて。そういうお金は1類に入るぐらいのやり方をしないと立ち行かないのではないかと思うようなところが出てきますから、生活スタイルが昔と違って変わってきています。もともと生活保護ができたのは何度も言っていますけれど、GHQがつくってくれた。アメリカではもったいない、この国の税制ぐらいの負担で世界一の制度だと思うから、そこの根幹は揺るがさないほうがいいと思います。
 母子加算は桝屋さん、民主党政権がつけたのだけれど、朝日新聞の新聞に乗っかって、給料の高い朝日新聞ですからね、日本の各社は高い。産経はちょっと安いですが、そういうようなことをニューヨークタイムスの東京支局長が本で書いていますけれど、一挙にこの多家族のところを減らして母子加算をとると、大変かもしれないけれど、段階的にやれば、商店やスーパーに行って、安いものを買ってきて「おいしいものをつくろうね」って家庭になる、ピンチはチャンスですから、今回とは言わないけれど、母子加算は外していく方向で、障害者加算も何度も言っているけれど、「障害者加算をもらうために働かない」精神障害者も残念ながら現状ではいます。だから加算全体も見直したほうがいいということを国民に向かって発言させていただきたいということと、生活困窮者自身がいろんなところでスタッフとして働けるようにしていただきたい。資格がどうのこうのではなくて、経験が大事です。
 それと、障害者の世界ではスウェーデンではダイレクトペイメントという障害者自身がお金をもらう。そしてサービスを買う。これももしかしたら生活困窮者は、「あなたたちのような役に立たない相談員よりもお金をもらったほうがいい、そのほうが自立できる」という考えがあるということを認識して、相談機関をやらないといけないと思います。
 ここに来て改めて国も地方自治体もどこへ行っても、いわゆる仕事が欲しい事業者のハローワークだなと感じているところです。
 村木さんに言いたかったのは、村木さんは不幸な冤罪事件を体験したけれど、人間挫折はチャンスでもあります。世の中には死刑囚というふうになって、何十年間もいわゆる自分の望まないところにおられた方もおられる。そういう人に発言のチャンスがない中で、やたら村木厚子さんだけがスポットライトを浴びて、そして国の局長にカムバックしているわけですけれど、私はいつまでも反検察の広告塔をやっているのではなくて、きっちりと社会・援護局長を専念していただきたいと思います。
 検察官全て悪いわけではない。障害者の殺しがあったときに、私は検察官に「求刑をきちんと出してください」ということを言って、それが御本人が自殺しないで罪をつぐなってもらわなければいけませんという要望書を出して、横浜地検のイワキ検察官とかヤブキ検察官にお会いしていますけれど、本当に立派な方たちがいらっしゃる。いつまでも国の局長が、いかに個人とは言え、反検察の広告塔をやらないほうがいいと国民としても、また、精神医療の被害者として命を懸けて国の委員会で発言している者としても思います。桝屋さん、精神障害者の隔離収容は、私は自立支援法の与党側の参考人で衆議院で意見陳述したときにも言っていますが、国が謝罪すべきだと思います。お金をつけるという謝罪ではないけれど、これからは精神障害者も地域の中で安心して国民の一員として暮らすというふうな方向転換を高らかにやっていく中で、今日は山崎さんもお見えになっているけれど、内閣府、国土交通省、厚労省もみんなで手を組んで、いわゆる住宅施策を打ったり、精神科救急を自殺対策基本法ができて自殺未遂者をどうしようかと言いながら、一方では自殺未遂者が警察の現場にいるというこの国の現実があるのです。そういうところに手をつけなければいけない。また、いわゆる相談よりもむしろにうちに来てくれて、一緒にお料理をつくったり買い物に行ってくれるホームヘルパーを精神障害者は望んだりしているのです。そういうものをやらなければいけないところの責任者が村木厚子さんです。くれぐれも、議事録に残りますから、反検察の広告塔をやめて、しっかりと社会・援護局長の職務を務めていただきたいということです。
 以上です。

○宮本部会長
 ほかにございますか。

○柏木委員
 去年から最終的には5人のひきこもりニートの方を私個人が支援しておりまして、その方とおつき合いしながら、その人たちの可能を探ってきました。うちは6次産業を中心に障害者の方々の仕事を起こしていきまして、この6次産業の中で職業訓練をやっていただいたのですが、5人の方は1人も脱落することなく、これになじんでくれました。だから6次産業というのは1つの分野だなと思っております。
 もう一つ、介護事業を考えておりました。私は介護事業は全く素人なので、介護事業の実習を受けました。これも補佐とかサブのような感じでいけばいけるのではないかと思っておりまして、私は今、これが私どもの仕事なのですが、中間的就労、社会的企業というものを具体的にモデル事業を計画してきております。
 1つは私どもの社会福祉法人麦の郷と、高齢者生協組合、これは介護事業をやっているところで、私どものような和歌山の田舎で6次産業と介護事業を連携して、いろんな小さな仕事をいっぱいつくっていく。なおかつ県のほうからも依頼があって、水産加工業もおたくらのような法人で手がけてくれないかと言ってこられたので、このようなものも全部入れて今、計画を立てております。この中で引きこもりの方々は6次産業の中では農水産、加工製造業、農業、直売所、飲食店、宅配事業。高齢者福祉事業の中では介護ヘルパー、デイサービス、サービスつき高齢者向け住宅の運営、営繕事業。こういうものを連携させて、むしろこういう本流にある人たちが地域で必要なところを担って底上げしていく、そういうものにこれから計画を出して進めていきたいなと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 小杉委員、お願いします。

○小杉委員
 みんな卒業で一言みたいな感じなので、少しだけしゃべらせていただくと、今回のこの会議にさせていただけたことは大変ありがたかったと思います。位置づけとしては櫛部委員のおっしゃっていたことがすごく共感するのですが、丸裸にする前の仕組みがここでできるということが非常に価値があることだなと思っています。
 かつ、私は若者支援を専門に研究している者なのですが、ここに入れさせていただいて、その一歩手前の方々をどう支援していくかという仕組みに、若者支援で培ってきたことが使われることができることが大変うまく結びついてよかったなと思っています。
 その上で1つ危惧しているのは、若者支援の現場でも谷口さんのような方々が活躍するのですが、ある意味では手いっぱいといいますか、かなり社会的資源をさらってしまった感じがするのです。その段階で今、そこをどう立て直すといいますか、どう拡充していくか。専門性をきちんと確立して、専門家を育てる仕組みをつくっていかなければならない。そういう議論をしている最中です。それが全くこの話にも重なるんだなということで、改めて専門性をきちんと確立していって、その人たちの人材を育成する仕組みを、個々の自治体というよりは、国の主導で考えていただきたいなと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 それでは、最後に山村委員、お願いします。

○山村委員
 ここで書かれていることが、これから実際に全国レベルで実行されることをもちろん期待されているわけでありますけれど、本当にそこはうまく機能するという意味では、何と言っても官民共同の中で地方自治体、直接的には福祉事務所、そこがどういうふうに機能するか。福祉事務所の機能もいろいろ本文の中に新たに書かれているところであるわけですから、それをどういうふうに担えるかというところを本当にしっかりと具体的に考えていただきたい。
 その意味では49ページ、一番最後のところで地方自治体、その体制整備はこれからだと思うのですけれど、その具体的な策を真剣に考えていただきたい。当然、効率性ということもあると思います。財政問題を含めた上で、本当にこの書かれてあることを実行するんだということをまずは自治体が先頭に立って考えていただきながら、いろいろとその地域にあるいろんな機関が応援をするという仕組みがきちんとつくられることを期待したいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。たくさん貴重な御意見をいただきまして、御意見の多くはこの報告書案の修正というよりは、この報告書をこれからどうきちんと実行していくのかということにかかわる御提言であったと思います。
 また幾つか報告書の修正にかかわる御提案もいただきました。ただ、その報告書の趣旨、骨格と大きく矛盾するものではなくて、基本的には字句上の小さな修正で十分酌み上げることができる御意見であったかと思います。
 あるいはまた例えば広田委員から11ページの図についてのお話がございましたけれども、これは恐らく私が理解している限りでは、一つ一つのケースに、周りに並べているアクターが全部首を突っ込むということでは決してなくて、その事案に一番最適の社会資源が動員される、そのオプションを広げる。そのことによって広田委員御懸念の不必要な情報漏えいも避けられるのではないかと理解してございます。
 藤田委員から基準の引き下げについての文言を盛り込むというお話もございましたけれども、これは恐らくこの部会の役割からしても適切ではないという御意見があったと思います。ただ、奥田委員からもお話がございましたように、藤田委員おっしゃるように支援の中身において給付が非常に大事な役割を果たしているということについては、委員の皆さん意見が一致していると思いますし、そのことについては表明されていると思います。
 社会的、経済的な自立に資す限り、そして国民の理解を得ることができる限り、その支援は手厚いものであるべきだということについては異論はないだろうと思ってございます。ただ、これまでの生活保護制度をそのままの形で、これは櫛部委員からもお話がございましたけれども、堅持をしていくということではなくて、これをより一層、自立の支援という方向に資源を配分していくことこそ、制度の持続可能性を高めていくことになるということも、また一致した議論ではないかと思ってございます。
 そこで、今日いただいた修正にかかわる御意見も、私ども起草委員のほうで事務局とも相談しながら最終的な報告書の取りまとめに生かしていく。しかし、もう一度この特別部会を開いて御議論いただくということではなくて、基本的に私に御一任いただくということにさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

○宮本部会長
 ありがとうございます。そのようにお認めいただいたと思います。
 それでは、事務局から今後の報告書の取り扱い方等にかかわってお話をいただきたいと思います。

○古都社会・援護局総務課長
 どうも熱心に御議論ありがとうございました。
 先ほど部会長が整理されましたように、最終的に案がまとまりましたらば、委員の皆様方には部会長一任後で完成されたものを送付させていただきます。その上で厚生労働省のホームページにも公表させていただくという取扱いにしたいと思います。当然それは、今後、先ほど途中に申しましたけれども、私どもの中で制度化に向けては具体的な議論を進めたいと思いますし、さまざまな留意点についても十分斟酌していきたいと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、本特別部会の終了に際しまして、桝屋厚生労働副大臣から一言いただけますでしょうか。

○桝屋厚生労働副大臣
 それでは、一言お礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
 本日も熱心な御議論いただきまして本当にありがとうございます。宮本部会長初め、皆様方のおかげで生活困窮者の生活支援に関する特別部会の報告書は、おおむね取りまとめていただいたということでございまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては本当にお忙しい中、昨年4月以降、大変充実した議論をいただき、ありがとうございました。特に宮本部会長におかれましては、私ども事務局、何かと行き届かない点もあったと思いますが、部会の円滑な運営に大変御尽力をいただきまして、ありがとうございました。また、起草委員の皆様方におかれましても、心から感謝を申し上げたいと思います。
 先ほどから委員の皆さんから卒業に当たる一言のようなお言葉をいただいているわけでありますが、一応これで一区切りを迎えることになります。今後、厚生労働省といたしましては、本日取りまとめられました報告書をしっかり受け止めて、生活困窮者対策あるいは生活保護制度の見直しに取り組んでまいりたいと決意をしております。
 その実施に当たりましては、先ほどから委員各位からお話がございましたモデル事業の具体的な進め方でありますとか、さまざまなお話をいただきました。私個人的な思いでありますが、ここは大きな国民運動として進めていかなければいけない大きな我が国の公的扶助の転換期だと思っておりまして、そういう意味ではどうぞこれからも委員の皆様の御協力、御指導、折に触れていただきながら作業を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げたいということでございます。
 御礼の御挨拶にさせていただきたいと思います。皆さん本当にありがとうございました。感謝申し上げます。

○宮本部会長
 それでは、私からも一言だけ最後に申し述べさせていただきたいと思います。
 皆様の本当の御尽力のおかげで、特別部会の報告書がまとまりつつあるということだと思います。思い起こすとこの半年間、先ほど卒業というお話がありましたけれども、非常にほっとしているような、名残惜しいような、そういう特別部会であったかと思います。
 ただ、この間、社会・援護局長も交代する。さらにその後は政権も交代する。ダブル交代でありまして、本当に報告書を取りまとめられるのかなと不安になったこともありますけれども、逆にその分より多くの方の思いや力が結集した報告書になったと思ってございます。
 全ての人が100%満足する報告書というのはなかなか難しくて、この生活支援という分野、理念も方法もさまざまでございます。しかし、その生活困窮に陥った方々あるいはその子どもたちが自立をしていく、社会とつながっていく、力を発揮する場を見つけていく、そのために大変大きな出発点になる報告書になったと思ってございます。
 ただ、これはあくまで出発点でございまして、この報告書の本来の趣旨から逸脱することなく、この報告書のメッセージが地域でそれぞれの自治体の事情に応じてきちんと実現していく。実はそのためにはこれは先ほど委員の方からもお話がございましたように、これからの私たちの取り組みにかかっているんだということになろうかと思います。同時に桝屋副大臣あるいは政府の皆さんには、ぜひ国民の皆さんにこの報告書の趣旨を説明していただきながら、これを制度、法律に結びつけていただきたいとお願いしたいと思います。
 私の不手際もございまして、いろいろ御迷惑をおかけしたと思いますけれども、委員の皆様のおかげ、ともかくこれだけ困難な問題に取り組んでいる皆さんならではのある種の明るさに私も大変救われた思いがあります。あわせて関連諸団体の皆様の御協力、それから、忘れてはいけないことですけれども、事務局の皆さん、社会・援護局の皆さん、このようにほとんど利権などとは関係ない分野の仕事でしたが、身を粉にして尽力されたのを目の当たりにしました。本当に御苦労様であったと申し上げたいと思います。
 また、何かの機会でこの中の皆さんとお目にかかる、あるいは皆さん同士がお会いすることもあろうかと思います。これも1つの何かの縁でございますので、日本社会が本当にみんなが参加できる、みんなが自立できる社会をつくっていくためには、この縁を生かしていきたいと思います。
 どうも半年間ありがとうございました。これで特別部会を終了させていただきます。


(了)

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