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2012年12月19日 社会保障審議会年金数理部会(第52回)議事録
○出席者
山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員 |
○議題
1.平成23年度財政状況について
-厚生年金保険・国民年金(基礎年金)・国家公務員共済組合-
2.年金関係法改正の内容について
3.その他
○議事
○清水首席年金数理官
定刻になりましたので、ただいまより、第52回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
私、7月の異動で首席年金数理官に就任いたしました清水でございます。よろしくお願い申し上げます。
前回の部会開催以降に、年金局関係で異動がございましたので、御紹介させていただきます。
年金局長の香取でございます。
年金局年金課長の度山でございます。
年金局数理課長の山崎でございます。
大臣官房参事官(資金運用担当)の森でございます。
それでは、審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
座席図、議事次第の他、次のとおりでございます。
資料1は「平成23年度財政状況-厚生年金保険-」でございます。
資料2は「平成23年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」でございます。
資料3は「平成23年度財政状況-国家公務員共済組合-」でございます。
資料4は「年金関係法改正の内容について」でございます。
配付資料は以上でございます。
次に、本日の委員の出席状況について御報告申し上げます。
本日は、翁委員が御都合により御欠席とのことでございます。また、牛丸委員が少し遅れて御出席との連絡を受けております。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願い申し上げます。
○山崎部会長
それでは、委員の皆様には、御多忙の折、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保に関し、毎年度財政状況の報告を受けることとなっております。
本日は、はじめに、厚生年金保険、国民年金、国家公務員共済組合の平成23年度財政状況についての報告を聴取いたします。
カメラの方はここで退出をお願いします。
まず、厚生年金保険の報告を聴取いたします。
(厚生年金保険・国民年金(基礎年金)関係者着席)
○山崎部会長
それでは、説明をお願いいたします。
○山崎数理課長
よろしくお願い申し上げます。
まず、厚生年金保険の平成23年度の実績につきまして御報告申し上げます。
基本的に、財政関係につきましては、私、数理課長の山崎から御報告をいたしまして、受給者、被保険者の実績に関しましては、事業企画課調査室長の真鍋から御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
それでは、平成23年度財政状況厚生年金保険ということで、おめくりいただきまして、1ページでございますが、まずは収支状況というところでございます。
上の欄が収入ということでございますが、収入総額の時価ベースという鍵括弧付きのところをご覧いただきたいと存じますが、収入総額が42兆6,579億円ということで、右側の欄、前年度との比較で申し上げますと、2兆8,110億円、7.1%の増ということになっているところでございます。
順次、主要なものについて見てまいりますと、保険料につきましては23兆4,699億円ということで、7,446億円、率にいたしまして3.3%の増ということでございますが、この増の要因といたしまして、一番主要なものといたしましては、保険料率が引き上がっておりますので、3.3%のうちの2.2%相当分は、この保険料率の引上げということに起因するものと分析しております。その他、被保険者数も若干増加しておりまして、また、1人当たりの標準報酬額も増加している。さらに、保険料の収納率も若干増加している。こういうものが幾つか寄与いたしまして、全体として3.3%の増ということになっているところでございます。
次に、国庫負担でございますが、これは時系列で見ていただきますと、平成20年度から21年度にかけまして大きく伸びている。これは、国庫負担割合の2分の1引上げによるものでございまして、その後、22年度、23年度と、20年度以前よりはかなり高い水準で推移しているところでございます。23年度につきましては、8兆4,492億円ということで、667億円、0.8%の増ということになっているところでございます。
運用収入でございますが、時価ベースのところで見ていただきますと、2兆4,201億円ということでございまして、これは前年度はマイナスでございましたので、今年度はプラスに転じたということでございます。
それから、基礎年金交付金でございますが、これは、60年改正以前の旧法期間のうちの基礎年金とみなされる部分につきまして、基礎年金勘定から交付金を受けるということでございますが、これは基本的には逐年減っていくものでございますが、今年度につきましては1兆9,639億円ということで、813億円の増となっているところでございます。
ただ、こちらには、2年前の精算額というものが0.8兆円含まれておりまして、確定値ということでは減少しているわけでございますが、基礎年金の関係は、このように概算・精算という関係で、決算数値だけで見ますとなかなか動きが見づらいところがあるところでございますが、決算数値としてはこういうことになっているというところでございます。
積立金より受入でございますが、5兆5,772億円ということで、前年度に比べまして7,659億円の減ということになっているところでございます。
その下の欄、支出でございますが、支出総額が39兆7,473億円ということで、前年度に比べまして3,678億円、率にいたしまして0.9%の減という状況になっているところでございます。
支出につきましては、給付費と基礎年金拠出金というふうに大きくは2つに分かれているところでございますが、給付費につきましては23兆7,342億円ということで、対前年2,751億円の減、基礎年金拠出金につきましては15兆9,002億円ということで、878億円の減ということになっているところでございます。基礎年金拠出金につきましても、精算額が前年度に比べて減少したという要因によりまして、若干の減ということになっている状況でございます。基本的には将来に向けて伸びていくものということでございますが、単年度を見ますと、こういう事象も起こるということでございます。
収支残でございますが、時価ベースで見ていただきますと、2兆9,106億円ということでございます。積立金から受入ということで、積立金を取り崩したものが5兆5,772億円ということでございましたが、この積立金の取り崩し分は減少するということでございまして、その上で2兆9,106億円の収支残がある。その他、すぐ下にございます業務勘定から積立金への繰入の124億円を反映しまして年度末積立金の対前年度の差になるということで、時価ベースのところを見ていただきますと、前年度との比較ということでマイナス2兆6,542億円となっておりますが、これが23年度末を22年度末と比べた場合の時価ベースでの厚生年金の積立金の減少ということになっているところでございます。
積立金そのものは、時価ベースで見ていただきますと、111兆4,990億円という数字になるわけでございます。よく財政検証での積立金の数字に比べて、かなり少ないということで、その分、財政が悪くなっているのではないかと誤解される向きがあるわけでございます。後ほど御説明いたしますが、財政検証における厚生年金の積立金というのは、厚生年金基金の代行分も含めた数字ということでございますので、単純にこの数字と比べられて何十兆少ないと誤解される方がおられるのですが、その辺を御注意願いたいというところでございます。
運用利回りにつきましては、時価ベース2.17%という利回りになっているところでございます。
次の2ページでございますが、今申し上げましたことを図表で整理したものでございますので、御説明は省略させていただきたいと存じます。
○真鍋調査室長
それでは、実績につきまして、昨年度と変わった点などを中心に簡潔に御説明申し上げたいと思います。
まず、3ページでございますが、受給権者数全体の合計で言いますと3,303万人強ということでございまして、昨年度と比べまして3.3%の増になっております。そのうち老齢相当、原則20年以上の加入期間がある老齢年金の受給権者数は1,484万人、前年度から3.0%の増ということでございます。
その下の年金総額につきましては、厚生年金合計で27兆8,741億円、老齢相当で19兆5,962億円ということで、率で言うと1.5%の伸びとなっております。先ほど、受給権者数の伸びが3%と申し上げましたけれども、次のページで出てきますが、平均年金額は下がっておりますので、受給権者数の伸びほど年金総額は伸びていないということになります。
4ページでございます。ちょっと飛ばしまして、下の枠の男女合計の老齢年金平均年金月額でございます。一番上の11万41円という数字は、厚生年金として支給されている平均年金額でございます。それから、3行下の老齢基礎年金月額を加算した平均年金月額は14万9,687円ということで、平均的にどのぐらい支給されているのかというのを見ていただくときは、こちらを見ていただければいいかと思います。
話を戻しまして、老齢相当の平均年金月額は11万41円でございますが、平成22年度に比べ1.4%減少しております。平成23年度は年金額が0.4%引き下げられたということもありますし、老齢年金の失権というのは基本的に死亡ということなのですけれども、高齢の方々の平均年金月額の方が当然高いわけでございまして、そのような関係で、平均年金月額は年々ダウンしているところでございます。平均年金月額につきましては、8ページ、9ページで男性・女性別、年齢別に見ていただくと、どのぐらいの額なのかというのがわかりやすいと思いますので、8ページをご覧いただきたいと思います。
8ページが男性の年齢別平均年金月額でございます。現在、男性も定額部分の支給開始年齢が引き上がっている途中でございますので、20年3月末ですと62歳と63歳の間で大分ギャップがございますし、23年3月末以降は、63歳と64歳の間でギャップがあるわけでございます。直近で言いますと、64歳の17万2,693円というのは定額部分も入った平均年金月額ということで、定額部分と報酬比例部分が支給されますと17~18万円代、報酬比例部分だけですと10万円前後といった水準になるということでございます。
9ページが女性でございますけれども、女性は支給開始年齢の引き上げのスケジュールが若干遅うございますので、20年3月末、21年3月末ですと60歳と61歳の間でギャップがございまして、22年3月末以降は61歳と62歳の間で差があるわけでございます。女性の場合は、報酬比例部分だけですと大体4万円代、直近の24年の3月末の60歳ですと4万7,216円といった水準でございますし、定額部分も支給されますと9万円代、直近の24年3月末の例えば64歳で言いますと9万4,137円と、これぐらいの水準でございます。男性と女性で大分差もありますし、定額部分があるかないかで大きな差があるということでございます。
10ページでございますが、老齢年金受給権者の年齢構成というところでございます。大きな変化はございませんが、平均年齢という意味で申し上げますならば、男性も女性も昨年度より0.2歳平均年齢は上昇しております。
11ページが被保険者の状況でございます。被保険者数につきましては、直近で3,451万5千人ということで、10万人ほど増加しております。公的年金全体の加入者数というのは、今、減っているわけでございますが、厚生年金の女性だけが唯一増えているといいますか、男性も若干増えていますけれども、ほとんど横ばいでございまして、女性は10万人ほど増えていますので、厚生年金としては全体で0.3%ほど増えているということでございます。 それから、被保険者の平均年齢は42.5歳ということで、これは年々高くなる傾向にございます。
標準報酬月額の平均でございますが、24年3月末で30万4,589円ということで、昨年度末に比べて0.4%低下しております。ただ、これは年度末数値ですから3月末の水準ですけれども、年度の4月から3月の平均値で言いますと、全体では0.1%の減ということで、微減といったところでございます。
その下の段、順々に見ていただきまして、標準報酬月額年度累計、これは前年度に比べまして0.3%の増となっております。つまり、被保険者数が0.3%増えて、年度平均で言いますと標準報酬月額の平均が0.1%減っていて、その結果として標準報酬月額の年度累計は0.3%増加しているということでございます。
その下の標準賞与額年度累計は1.8%の増となっております。それらの結果として総報酬ベースの標準報酬額の年度累計が0.5%増ということになっております。
一番下の1人当たり標準報酬額です。上限、下限はございますけれども、いわゆる総報酬ベースの月額でございますが、35万9,455円、年収にすると431万円ということなのですが、昨年度に比べて0.2%増加しているということでございます。つまり、月々の給与は微減していますけれども、賞与がやや増えたので、全体としては増えているということで、総報酬ベースの標準報酬額につきましては、この表の範囲で申し上げますならば、毎年度減っていたのですけれども、今年度は微増しているということでございます。
12ページからは被保険者の年齢分布等でございます。12ページは男女合計ですが、13ページが男性ということでございまして、一番右の割合を見ていただくと、これがいわゆる年齢分布になるわけでございますが、一番多いのは35歳~40歳までの30代後半ということでございます。ただ、その次の40代前半が14.1%と増えていまして、昨年度までは30代後半が一番多かったのですけれども、第2次ベビーブーマーの方々が40代に足がかかっていますので、40代前半も大分増えてきたといったような分布に変化しているというところでございます。
14ページの女性の年齢分布を見ていただきますと、従来と同じで、20代後半が一番多いという結果になっております。
15ページが標準報酬の分布ということですが、これも昨年度と余り変わっておりませんで、一番多いのが22万円の等級でございます。
以上でございます。
○山崎数理課長
引き続きまして16ページでございますが、積立金の運用状況についてということでございます。
年度末積立金111兆4,990億円の内訳でございますが、預託金に4.8%、市場運用分が83.9%、財投債が11.2%ということでございまして、市場運用分の運用の内訳というのは特記事項にあるようなポートフォリオになっているということでございます。時価ベースでの運用利回りは2.17%という状況でございました。
続きまして、17ページでございますが、財政検証における将来見通しとの比較ということでございます。一番上の段の実績は基金代行部分は除かれたものになっているわけでございますが、これを将来見通し、平成21年財政検証結果と比較するに当たりましては、この将来見通しとベースをそろえた実績値に補正するという必要がございますので、その下の段の実績推計、これは基本的に時価ベースで比べるということになろうかと思いますが、そちらを比較対象として作成しているということでございます。
特記事項にございますように、実績推計の作成に当たりましては、まず、基礎年金交付金を収入支出の両面から控除するということ。保険料に厚生年金基金に係る免除保険料を加えて、給付費にはそれに対応する厚生年金基金の代行分の給付を加え、職域等費用納付金を控除するというようなことを行う。それから、主だったところといたしましては、積立金に厚生年金基金の最低責任準備金等23.7兆円を加え、あと、国庫負担繰延約3.5兆円を加える。さらに、運用収入には基金分の運用収入1.3兆円を加える。このような補正を行いまして実績推計というものを出しているところでございます。
こちらと平成21年財政検証の結果とを見比べますと、まず、保険料でございますが、実績推計で24.2兆円、それに対しまして将来見通しは26.2兆円ということで、見通しに比べまして実績は2兆円ほど少ないということでございます。
この差の主な要因といたしましては、賃金上昇率が財政検証の見込みに比べて低かったということでございまして、具体的には、21年度以降の累積の賃金上昇率が、見通しでは6.2%上昇すると見ていたのが、逆に3.6%の低下という状況になっております。これに起因いたしまして、保険料の収入の見通しに2兆円くらい差が生じているという状況でございます。
運用収益でございますが、実績推計は、時価ベースで3.7兆円ということでございまして、将来見通しの方は2.7兆円でございますので、約1兆円実績の方が上回っているという状況でございます。
これは、運用利回りそのものも、見通しでは1.92%。これは、4.1%ではなく、時系列で毎年前提がございますので、平成23年度に関しましては、財政検証で1.92%という見通しだったということでございますが、実績は2.17%ということで、これも若干上昇しているということと、もう一点、厚生年金基金の最低責任準備金に関しましては、1年以上前の利回りがずれて適用されていることがございますので、実際上、23.7兆円の最低責任準備金に対しまして、算定される運用収入が1.3兆円相当。運用収益に関しましては約1兆円将来見通しを上回っているという数値になっているところでございます。
その他のところ、これは主として国庫負担ということでございますが、実績推計が8.9兆円、それに対しまして将来推計は7.8兆円ということになっているところでございます。
全体といたしまして、収入の方は将来見通し36.7兆円という見通しに対しまして、実績推計の方は36.8兆円という数値になっているところでございます。
支出の方でございますが、給付費につきましては、将来見通し23.8兆円に対しまして、給付費の方が実績推計で22.9兆円ということで、一見かなり下回っているところでございます。これは、基礎年金交付金2.0兆円を実績から控除するということで実績推計をつくっておるところでございますが、平成23年度単年度での確定値は1.2兆円でございまして、0.8兆円分は、その2年前の精算ということで入っている部分がございまして、それによって引かれる交付金の分が少し大きくなっておりますので、実績推計の数字は小さくなっている。これは、元に戻した確定値のベースで言いますと、22.9兆円というのは、23.6兆円に相当しますので、将来見通しの23.8兆円とほとんど差がないということになるところでございます。
基礎年金拠出金につきましては、将来見通し13.9兆円に対しまして、実績推計15.9兆円ということでございますが、こちらにつきましても精算の影響というのがございまして、確定値で申しますと14.5兆円ということで、大分差は小さくなるわけでございまして、それでもなおかつ6,000億円ぐらいの差があるところでございます。その要因といたしましては、拠出金按分率の増加と書いてございますが、財政検証では、国民年金の第1号被保険者の方の保険料の納付率を80%ということで見込んでいたところでございますが、実際には6割程度ということでございますので、その分、第1号被保険者の方が負担する分が少ない。そうしますと被用者の方の拠出金按分率は増加するということで、それによるずれが6,000億生じているというような状況になっているということでございます。
支出の計で見ますと、実績推計38.9兆円ということでございますが、確定値ベースで申し上げますと38.3兆円という数字でございまして、将来見通し37.8兆円よりも5,000億円ぐらい大きくなっている。これは、今申し上げました基礎年金拠出金の部分の拠出金按分率の増加に起因するものと考えられるところでございます。
全体の収支残でございますが、実績推計ではマイナス2.0兆円ということでございまして、一方で将来見通しでも平成23年度につきましては、マイナス1.1兆円と見込んでおりましたので、それと比べますと0.9兆円、若干悪いということになっておるところでございます。
年度末積立金でございますが、先ほど申し上げましたように、実績は基金代行分を除くということで111.5兆円だったわけでございますが、基金の代行部分等を加えたもので将来見通しと比較するということになりますので、実績推計のところで見ていただきますと138.7兆円ということでございます。一方、将来見通しでは141.6兆円と見込んでおりましたので、この差の2.9兆円分が将来見通しよりも名目額で悪くなっているというところでございます。
後ほど御説明申し上げますが、国民年金の方でも0.2兆円ほど差があるということで、両方足しますと、概ね3兆円ぐらい財政検証の見通しに比べて、積立金が少なくなっています。
時系列で見ますと、平成21年度には財政検証よりも実績の方が4兆円ぐらい上回っております。運用利回りが非常に好調だったということでございます。
一方で、平成22年度は運用利回りがマイナスでございましたので、これは下に振れまして、逆に2兆円ほどマイナスという状況だったところでございます。平成23年度につきましては、運用利回りが若干プラスということでございますが、基本的な収支のところでのマイナスの部分もございますので、この差はマイナス約3兆円に拡大したということでございますが、一部言われておりますように、財政検証の見通しに比べてどんどん積立金が減ってしまっていて、年金財政が危ういというような状況には全くないというところでございます。年々の運用実績によりまして、多少上に出ることもあれば、下に出ることもあります。そういう状況の範囲内かなと考えておるところでございます。
続きまして、18ページでございますが、被保険者数及び受給者数ということで、これは基本的に年度平均ベースということになるわけでございますが、被保険者数で3,480万人という見込みに対しまして、実績の方が平成22年度末と平成23年度末の平均ぐらいをとるということで見ますと、実績の方が若干少ないという感じではございますが、ほぼ一致していると言える程度の状況かと存じます。受給者数についても同じような状況と考えられるところでございます。
次に、19ページ、財政指標の比較ということでございまして、お時間の関係もありますので、簡単に御説明申し上げますと、まず、年金扶養比率でございますが、これは、括弧内のところ、受給者ベースを見ていただくということで、平成23年度につきましては実績が2.50ということだったわけでございますが、平成23年度につきましては財政検証結果が2.5ということで、これは全く乖離がないという状況でございます。
次に、20ページは参考ということで省略させていただきまして、21ページが総合費用率でございます。いわば賦課方式の保険料率のようなものでございますが、これも見ていただくところといたしましては、実績は23年度の*がついております一番下の欄のところの20.1。この数字が比較していただく数字ということでございますが、それに対しまして平成21年財政検証結果では、平成23年度は18.7と見込んでいたところでございまして、差が1.4ポイントあるというところでございます。これは賃金上昇率の見込みと実績の違いに起因するものと考えているところでございます。
続きまして、22ページが独自給付費用率。これも見ていただくところは平成23年度*のところで、14.8というのが実績でございますが、財政検証の方では平成23年度14.4ということで、差は0.4ポイント。これにつきましても、賃金上昇率の見込みと実績の差というものが影響しております。ただ、独自給付費用率につきましては、基礎年金交付金の精算額が大きいことの影響で、差はやや小さく出ているということで、先ほどの総合費用率に比べると差が小さく見えているという状況でございます。
23ページが保険料比率です。こちらにつきましては、平成23年度実績*の80.1に対しまして財政検証結果は87.0だったということで、差が7ポイントある。これにつきましても、要因は同じく賃金上昇率の見込みと実績の差ということでございます。
続きまして、24ページが収支比率でございます。これにつきましては、平成23年度実績がやはり*のついた数字で108.2。財政検証の方が104.2と見込んでいたところでございまして、これは、数字が低いほど財政状況がいいということになりますので、若干見込みよりも悪いということでございます。これは、先ほど収支の説明で申し上げました1.1兆円取り崩すと見込んでいたのが、実際には時価ベースで2兆円取り崩しということになった。その差を反映してのこの数字になっているということでございます。
25ページが積立比率でございます。*が付いているところの平成23年度実績4.7に対して、将来見通しの方も4.7ということで、これはちょうど一致しているということでございます。
時間が押して恐縮でございますが、御説明は以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か質問等ございますでしょうか。
野上委員。
○野上委員
ありがとうございました。
17ページについて質問といいますか、もしお答えいただけるのであればお願いします。
まず、保険料のところは、将来見通しよりもかなり減っているということで、これは賃金上昇率の見通し・仮定が変わったということで、これは今後累加的にこの差がどんどん広がっていくという認識でございます。加えて、支出の方でも基礎年金拠出金は、若干の調整はあるにしても、マイナスになっている。こちらは、いわゆる国民年金の加入率というか納付率が減っているということで、他の制度に負担が行っているという認識でございます。
総じて言うと、年金を支える側の力が財政検証のときよりもかなり弱っているということだと思うのですが、そうなると、年金財政自体は健全性を保っているということで、それはそうかもしれませんが、その前提として、マクロ経済スライドが効くということになってくると思います。そうすると、逆に、もう一つの指標である給付水準の50%はかなり危うくなっているのではないかという認識なのですが、その点についてはどのように見ておられますでしょうか。
○山崎数理課長
年金財政の長期的な見通しにつきましては、法律により少なくとも5年に一度検証を行うということになっておりまして、次の検証は平成26年2月までに行われるということになっております。もう既にその基礎となります人口推計というものは出ております。一方で、今ございましたように、長期的な経済の見通しをどう見るかということがかなり結果に影響を与えるということでございまして、こちらにつきましては、年金部会のもとに設置されております専門委員会で精力的に御検討、御審議をいただいているという状況でございます。
今回、総選挙がございまして、経済の運営のあり方につきましても、またこれからいろいろと新しい政策も打ち出されたりということはあろうかと思いますので、そのような諸情勢を見極めて、専門の先生方に十分に御審議いただき、平成26年2月に行う次期財政検証におきまして、その時点における最も的確な将来の長期見通しを専門家の先生方に御議論いただきまして、それと、当然、国民年金の納付率等も実績を反映いたしまして、年金部会にも御相談しつつ、より的確な見通しを出していきたいと考えているところでございます。
○野上委員
ありがとうございます。
厚生労働省全体の動きはそういうことになろうかと思うのですが、年金数理部会の検証の目的の一つが、所得代替率が50%を維持できるかどうか危うい場合は早めにウォーニングを出すという機能があったかと思うのですけれども、その点について御質問させていただいたつもりでございます。
その点に関しては、いわゆる支える側が弱ってくると、かなり危ういのではないかと。年金の財政自体は、マクロ経済スライドで健全性を保つという仕組みがビルトインされていますので、その点に関しては、問題ないとは言いませんけれども、何とかなるという見方もできると思うのですが、50%を維持できないということになると、現在、国民会議等でいろいろな制度議論をされている中で、我々年金数理部会としては、その辺りについて、もしウォーニングを出すのであれば早めの方がいいのではないかという意見もあるかと思いますし、私はどちらかというとそう思うのですが、その辺りについて御質問したのですけれども、いかがでしょうか。
○山崎数理課長
所得代替率50%ということにつきましては、法律ではマクロ経済スライドを続けていって、次の財政検証の時期までに50%を下回る見通しになるようであれば、その時点におきましてマクロ経済スライドの停止を含め、給付と負担の両面にわたる措置を政府として検討するということを義務づけているという状況でございます。今は逆に、足元の所得代替率はむしろ高止まりしている状況でございまして、そういう意味での義務的検討が生じてくる時期というのは、少し先になり得るわけですが、ただ、将来の見通しを踏まえて、制度のあり方を議論すること自体は別に妨げられているわけではございませんので、そのような議論はあり得ると思うのでございますが、いずれにしましても、ある程度将来の経済の見通し等も専門家の方々の御議論を受けて、きちんと見極め、出生率も若干回復しているとか、そういうものをしっかり織り込んだ形できちんとした財政検証を行った上で御議論いただくようなことかなと考えておるところでございます。
○山崎部会長
改めて年金数理部会としてもまた検討させていただきたいと思います。
その他に。
佐々木委員。
○佐々木委員
ちょっと誤解かもしれませんが、1ページ目と今の17ページ目のところを比較すると、保険料収入が3.3%伸びて、この大半が保険料率の引き上げだと。これは確かにそうだと思うのですが、下の方の給付が約1%減少している。通常は、成熟化を辿りますと給付も増えてくるのだろうと思うのですが、それはどうなのかという財政構造の給付面を御質問したいのと、それから、積立金ですが、平成19年度の一番下のところの時価ベースで、130兆円ですね。平成23年度が111兆円で、これを対比しますと、19兆円減少しているわけです。先ほど、財政検証では3兆円ぐらいのギャップしかないということで、これは財政検証でも19兆円ぐらいの減少が見込まれたという考え方でいいのかどうか。それが2点目です。
それから、先ほど調査室長から御説明のあった標準報酬月額の平均ですが、年度平均では微減ということで、年度末数値と年度平均の違いはどういう原因なのか、わかったら教えて下さい。その3点です。
○山崎数理課長
まず、1点目でございますが、給付費が減少している点に関してでございますが、支出の総額は大きく給付費と基礎年金拠出金に分かれておりまして、基礎年金拠出金というのは、将来に向けて基本的には増えていくものということでございますが、ただ、先ほど御説明いたしましたように、精算額の変動によりまして、単年度では減少していると。一方で、給付費というのは、いわゆる独自給付分の給付費ということでございまして、これは増えていく要素と、一方で、基礎年金交付金で見てもらういわゆる旧法分の給付、こちらも給付費には入っているので、減少していく部分の要素もあるということがございます。
もう一点、特殊要素といたしまして、時効特例分の一時的に出る給付が過年度分に含まれていて、これは出てしまえば減少しますので、それによる要因の減というものも同時にございましてこのような事象を生んでいるということで、確かにおっしゃいますように、将来に向けて給付というのは基本的には増えていくものだということです。
ただ、1点、先ほど調査室長からの説明にもありましたが、現在、もちろん受給者数は増えていくわけでございますが、むしろ高齢の方で年金額の高い方が亡くなって、だんだん乗率や単価は落ちておりますので、新しく裁定される方がむしろ年金額はちょっと低いというような現象が生じますので、ある意味で伸びが折れてきている面ということはあるわけでございまして、これは昭和60年改正以降の逐次の改正によりまして、構造的な給付水準を調整してきているという効果が実績の面でも表れてきているということでございます。
○山崎部会長
真鍋調査室長。
○真鍋調査室長
標準報酬月額の動きについてということなのでございますが、標準報酬月額につきましては、4、5、6月の3カ月の報酬月額の平均を基に定時決定した額を9月から1年適用します。随時改定もあるのですが、通常の年で言いますと、4月からどんどん平均が下がってきて、6月が底になって、定時決定の影響もあり9月に一番高くなって、また少しずつ下がっていくというカーブを描くことになります。ですから、要するに年度の中で変化があるので、その平均をとったものと、年度末の3月だけとったものとはずれが生じるということで、伸び率も異なるという結果になります。もし必要であれば、グラフ等でまた御説明したいと思います。
○佐々木委員
積立金についてもお願いします。
○山崎数理課長
失礼しました。積立金のところでございますが、平成19年度で130兆円ぐらいのものが、平成23年度で111兆円ということでございますが、これは、間に21年の財政検証というのが新たに入っておりますので、19年度のときはまだ16年再計算との比較という世界だったわけでございまして、21年の財政検証というのは、新たな、そのときの出発点からスタートしておりますので、そういう意味では、そのときのスタートの積立金に基づいて、20年度で116兆6,000億円ですか、そういうようなことをベースといたしまして見込んでいるということで、平成23年度につきまして、見通しとの差というものがそれほど大きくないということでございます。
○山崎部会長
では、田中委員。
○田中委員
それでは、3点ほどお伺いしたいと思います。
1点目は非常に単純な質問で、わからなかったので教えていただきたいのですが、先ほどの1ページ目の平成23年度の給付費ですが、23兆7,000億円ぐらいの数字が出ております。3ページのほうで受給権者の年金総額というのが27兆8,700億円という数字が出ているのですが、この差はどういうことなのか、それを教えていただきたい。
2点目は、16ページ目の市場運用分と財投債、市場運用分はGPIFでの運用だと思うのですが、財投債は基本的に財投債のまだ残っている分ということで、国債の利回りと大体同じ、それぞれ2.17%という運用利回りですけれども、それぞれの利回りがどうなっているかというのをちょっと教えて下さい。
3点目は、国庫負担が2分の1に引き上げになったのですけれども、復興財源等で確か一般財源に貸し付けをしていたと思うのですが、それがこのバランスシートに反映されていないように見えるのですけれども、その影響は果たしてどういうことになるのかということを教えていただきたいということです。
それから、ついでに、現在、厚生年金基金の廃止というような議論もあると思うのですが、先ほどの収支状況の比較においては代行部分を考慮していたと思うのですが、もし廃止された場合はどういう影響が出てくるのかという点についても教えて下さい。
○真鍋調査室長
1点目でございますけれども、3ページの受給権者といいますのは、受給権を持っておられる件数でございまして、例えば老齢年金と障害年金であれば、2つになるのですけれども、ここで言う年金総額はその方々の各々の年金額を足した総額になっております。一方、実際に給付されている額というのは、全額支給停止があったり、あるいは在職老齢年金で一部支給停止なんかがございますから、そういったものは給付費としては支給停止後の額になりますので、その差が出てきているということでございます。
○山崎数理課長
利回りの分解ということでございますが、2.17%の運用利回りのうち市場運用分の方は、厚生年金につきまして2.44%、財投債引受分が1.42%、あと、特別会計で管理している預託が0.03%という数字になっているところでございます。
それから、復興資金への貸し付けということでございましたが、貸し付けということはやっておりませんので、そういうことはございません。
○田中委員
以前の返済されない部分がまだ残っているというような話を聞いていたような記憶があるのですが。
○藤原総務課長
総務課長でございます。
恐らくお尋ねの件は、復興の関係で一度私どものほうで臨時財源で年金差額をいただくはずだったのが、復興のほうに充てられたという経過がございます。その後、平成23年度、また補正予算が組まれまして、復興債のほうで調達されるところに年金差額の部分もその枠の中に位置づけられまして、結果、一般会計のほうから年金差額はちゃんと来るという形の補正予算がその後組まれておりますので、平成23年度につきましては、2分の1が一般会計からちゃんと手当をされたという経過でございますので、補足をさせていただきます。
○山崎数理課長
最後に1点、厚生年金基金制度が仮に廃止されたら、厚生年金本体の財政への影響はどうかということでございますが、基本的には、基金制度は仮に廃止になるとしても、当然、財政上、本体と中立性を保つべく、最低責任準備金というものが本体の方に返還されることになるということでございますので、そういう状況のもとで考えますと、当然影響はないということになるわけでございます。仮に、そこのところにつきまして何らか棄損するようなことがあれば、その棄損した分だけの影響が生ずるということかと存じます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
時間を大分超過しておりますので、次に移ります。
以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了します。
引き続き、国民年金の報告を聴取いたします。
それでは、説明をお願いいたします。
○山崎数理課長
引き続き、数理課長より説明させていただきます。
国民年金の資料の表紙をおめくりいただきまして、まず収支状況でございますが、平成23年度の収入総額は23兆9,171億円。1ページ目は、国民年金といいましても基礎年金勘定の収支状況でございまして、23兆9,171億円ということで、約4%の伸びとなっているところでございまして、それに対しまして支出総額が20兆9,008億円ということで、これは1.8%増ということになっているところでございます。
こちら、収入が支出よりもかなり大きくなっているという状況でございますが、その他のところにございますもの、これは基本的に前年度の収支残がその他に計上されるという構造になっております。年度末積立金7,246億円ということで、毎年同じ額が計上されてございますが、これは、60年改正のときに、それまで任意加入だった第2号被保険者の妻の積立金というものがこちらに計上されて、これは将来的には拠出金と相殺するような形によりまして還元することになっていたわけでございますが、具体的な方法が決まらない状態でこちらに積まれていた。これの運用利息というものがあるわけでございますが、これはその積立金に組み込まれることはなく、収支残のほうに残っているということがございまして、これで収支残が膨らんできています。その他、基礎年金に関しましては、これもやはり精算に当たることが、概算と精算の差の分が収支残のところに2年後に積まれるということでございます。その両方の要素がございまして、このくらいの額の収支残が毎年その他の収入のところに計上されるという形になっているというところでございます。
基礎年金につきましては、むしろこういう概算・精算というものを離れました確定値というもので見ていただくほうがより状況がわかるということで、次のページ、2ページを説明させていただきたいと存じます。
給付状況、平成23年度確定値ということで申しますと、基礎年金給付費の本来分、これが一番上の左にございますが、これが17兆4,316億円ということでございまして、これは基礎年金という名前で本当にその名前で払われているもの。その右側に旧法分の基礎年金相当給付費とあるのは旧法の給付で出ているもののうち、費用として基礎年金に相当する部分ということで、基礎年金の勘定から交付金が交付されている部分でございますが、これが2兆6,298億円ということで、全体で20兆615億円という状況になっているということでございます。
これに対する負担でございますが、まず、合計は、これを分担するということでございますので、20兆615億円となっているわけでございますが、この中で特別国庫負担、二十歳前障害基礎年金の部分でございますとか、免除の部分でございます。こちらに関する特別国庫負担が3,233億円となっておりまして、これを引いた残りの19兆7,382億円、これをこの下にございますような拠出金算定対象者の人数で按分するということで、それぞれの制度に対して基礎年金拠出金というのが決まってくるという構造になっているところでございます。
次の3ページでございますが、今度は、これは国民年金の中でも第1号被保険者の方々の保険料収入を収入とし、支出としては第1号の方の拠出金、その他独自給付というものを支出とします国民年金勘定の収支状況でございます。こちらで申しますと、平成23年度の収入総額、これを時価ベースで見ていただきますと、4兆8,378億円ということでございますが、内訳で見ていただきますと、保険料収入が1兆5,807億円ということで、前年に比べまして910億円、5.4%の減となっているところでございます。
この減少の要因でございますが、まずは第1号被保険者の減少ということで、約2%分減少しているということでございます。あと、納付率の減でございます。こちらで1.1%減少している。さらに、保険料額そのものがマイナスの物価スライドによって低くなっておりまして、これが0.5%程度寄与している。さらに、免除の数がちょっと増えておりまして、これの影響がマイナス2%程度。これらはすべてマイナス方向に作用する要素でございますので、それを全部合わせまして5.4%の保険料収入の減少というのを生んでいる。こういう状況ということでございます。
次に、国庫負担でございますが、これが平成23年度、1兆8,660億円ということで、対前年度で見ますと1,761億円、10.4%の増とかなり伸びているところでございます。これも概算と精算の関係というのがございまして、実は確定値で見ますと、平成22年度の数字のところ、これがそもそも数値として1兆6,898億円とかなり決算数字は低くなったようでございますが、これを単年度で見た確定値で申しますと、平成22年度は1.99兆円だったわけでございまして、平成23年度は確定値1.94兆円ということで、むしろ若干下がっている。この国庫負担というのは、そもそも基礎年金の拠出金に対してつく。あと、特別国庫負担がございますが、この特別国庫負担以外の部分につきましては、拠出金の算定対象者が減れば、当然それで減る要素がありますので、そういう意味では、単年度ベースで見るとむしろ若干減っているのでございますが、決算数字は概算・精算の影響によるイレギュラーな数字の動きが生ずるのでこういう結果になっているというところでございます。
あと、基礎年金交付金でございますが、これが1兆1,529億円ということで、1割強の減少。こちらは旧法の給付というものですので、長期的には減っていくものということになるところでございます。
支出の総額でございますが、これが4兆6,398億円ということで、3.9%の増ということでございますが、このうちの給付費のほうが1兆1,884億円、11.2%の減と。これは基礎年金交付金とほぼ対応している部分でございまして、それから、基礎年金拠出金、これは特別国庫負担の分を含んでいるわけでございますが、これが3兆3,152億円ということで、これも今申し上げましたように、概算や精算というものが影響している部分がございまして、確定値で申し上げますと、22年度より減っているものが決算数字で見ると増えているという状況にある。これはむしろ22年度が一時的にかなり決算数字は小さくなっている、こういう状況だということでございます。
積立金の運用利回りは2.15%ということになっているところでございます。
次の4ページは説明を省略させていただきます。
○真鍋調査室長
それでは、5ページから国民年金の実績でございます。ここで言う国民年金とは、新法の基礎年金と旧法の国民年金を合計したものでございまして、先ほどお話が出ていました被用者年金のみなし基礎年金は含んでおりません。
5ページですけれども、受給権者全体では2,965万人ということで、2.7%の増ということでございます。
老齢年金が2,650万人ということで、3.4%の増になっております。
年金総額は、全体では3.1%の増、老齢年金では3.5%の増ということでございます。要するに、老齢年金で申し上げますならば、受給権者が3.4%伸びて、国年につきましては、平均年金額は若干ですけれども伸びていますので、次のページで申し上げますけれども0.2%伸びていまして、年金総額が3.5%伸びているという結果でございます。
6ページをめくっていただきまして、下の表が老齢年金平均年金月額ということでございます。平成23年度末で5万4,612円ということで、昨年度に比べて0.2%増加しているというところでございます。
8ページが老齢年金受給権者の年齢構成ということで、余り大きな変化はありませんが、男女ともに0.2歳ぐらい昨年度より平均年齢が上がっているというところでございます。
9ページが被保険者の状況でございますが、第1号被保険者が1,904万人ということで、昨年度に比べまして1.7%減、男性、女性問わず、第1号については減少傾向ということでございます。
第3号被保険者でございますが、男性につきましては11万人ぐらいで、昨年度までは増えていたのですけれども、今年度につきましては、若干ですけれども減っているというところでございます。女性は年々減っておりまして、全体で2.7%減っているというところでございます。
被保険者の年齢構成につきましては、国民年金の被保険者が20歳から59歳ということですので、団塊の世代は抜けきって、平均年齢は年々低下傾向にあるというところでございます。
それから、一番下が免除等の状況でございますが、まず、法定免除者130万6千人ということで、3.4%の伸びになっております。生活保護等の受給者も相当増えておりますので、そういったこともあって年々増えているという状況でございます。
それから、申請全額免除者が230万人ということで、昨年度に比べまして8万5千人増えております。23年3月11日に東日本大震災がございましたが、平成23年度の被災免除者というのがわかるわけで、2万4,555人ということです。被災の免除者というのは、その前年度末で169人だったのですけれども、そこで2万5千人近く増えているということで、8万5千人のうち2万5千人ぐらいはその方々による増、残りはその他の申請免除者の増ということでございます。
10ページからは被保険者の年齢構成でございますが、男女別に見ていただいて、まず、第1号の男性が11ページです。第1号につきましては、男性、女性問わず、20代前半が一番多うございます。学生が多いのですけれども、そこが一番多いというところでございます。
それから、第3号につきましては、14ページが男性でございますが、第3号の男性が一番多いのは50代後半といったところで、約3割を占めております。15ページが女性でございまして、一番多いのが、一番右の年齢分布の割合を見ていただきますと、40代前半の18.9%ということです。昨年度まで一番多かったのは30代後半だったわけですが、ここは40代前半にシフトしています。これも第2号の男性のところで申し上げましたように、第2次ベビーブームの方々が40代に大分足がかかってきたので、そういった影響で若干変化があったということでございます。
以上でございます。
○山崎数理課長
16ページでございますが、積立金の運用状況ということでございまして、国民年金につきましては、預託金が5.2%、市場運用分83.1%、財投債11.8%という構成割合になっておりまして、運用利回りが2.15%となっておるところでございます。
特記事項のところは、これは厚生年金と同じポートフォリオということで、同じものとなります。
続きまして、17ページ、財政検証における将来見通しとの比較ということでございます。
まず、収入の保険料のところでございますが、これは将来見通しで2.2兆円と見込んでいたのが1.6兆円ということで、かなり差があるわけでございます。これは納付率の見通しが80.0%であったのが58.6%とここでかなりの乖離が生じているということでございます。
厚生年金のときと同じように実績推計と比較するということでございまして、基本的には基礎年金交付金の分を収支両面から控除するというものと、あと、国庫負担の繰延べの分を年度末積立金に加えるということで、実績推計ということをやっているところでございます。
次に、その他のところ、基本的に国庫負担ということでございますが、これは将来見通しで2.5兆円という見込みに対しまして、実績推計は1.9兆円ということでございます。こちらの国庫負担というのは、基本的に基礎年金拠出金につく部分が主要な部分でございますが、拠出金というのは、当然、保険料を払う人がいれば、その人が拠出金算定対象者になっているということでございますので、納付率の見通しが実績よりも低くなると、それに連動して、拠出金も少なくなり、それに対応する国庫負担も少なくなるという関係にございますので、むしろ支出のところで見ていただきまして、基礎年金の拠出金のほうが将来見通しでは4.5兆円と見込んでいたものが、実績推計では3.3兆円となっている。要するに、こちらの基礎年金拠出金が減ったのに対応して、収入のところの国庫負担も減っているという関係にあるというところでございます。
あと、給付費でございますが、これは、決算では1.2兆円となっておりますが、この給付というのは、基本的に交付金で見てもらえる部分ということでございますので、基礎年金交付金を差し引きますと、実績のところは0.0兆円となっております。これは精算等が入っていますので、0.0となっておりますが、確定値ベースですと0.1兆円ということでございまして、こちらの方は将来見通し0.1兆円とちょうど合っているという状況になっているところでございます。
基本的には納付率の見通しが将来見通しと比べて実績が低い分、保険料収入も少なく、それに対応して基礎年金の拠出金も少ない。それに対応して国庫負担も少ないということで、収支両面につきまして将来見通しよりも小さい姿になっているということで、収支残で見ていただきますと、実績推計のところではプラスの0.2兆円、時価ベースでございます。将来見通しではプラスの0.1兆円と見込んでいたということで、結果的に収支残は見込みどおりです。
年度末積立金につきましては、実績推計では10.1兆円、時価ベースということでございますが、将来見通しは10.3兆円という見込みだったということで、先ほど厚生年金の御説明の中で、厚生年金の分と足すときに、国民年金の分は0.2兆円見込みより少なくなっていると申し上げました。その数字がこちらということになっているわけでございます。全体としてはそれほど見込みと大きくずれていないという状況かと存じます。
次に、18ページでございますが、被保険者及び受給者数の見込み。これも今のところ大きな乖離は生じていないという状況でございます。
財政指標の比較でございます。年金扶養比率のところでございますが、こちらの数値を見ていただきますと、平成23年度が、括弧内の数値で見ていただきますと、2.35というのが実績でございまして、財政検証のほうでは2.3という見込みでございましたので、ほぼ合っているということでございます。
次に、20ページでございますが、保険料比率、国民年金勘定分ということでございますが、この保険料比率というのは、数値が大きいほど財政状況がいいという性質の数字でございますが、平成21年財政検証では、平成23年度101.8と見込んでいたものが、実績では106.5ということでございまして、実績の方が見込みよりも若干財政状況がいいということになっているわけでございます。ただし、これは、分子も分母もそれぞれはかなりずれている。納付率の見込みと実績の違いによってかなりずれているということで、結果的には実績の方がこの指標で見れば若干よかったということでございますが、余り大差はない結果というふうに見ていただいた方がよろしいかと思います。
次に、収支比率でございます。こちらにつきましては、数字が小さいほど財政状況がいいという見方になるわけでございますが、平成23年度時価ベースのところで見ていただきまして、85.0という数字ですけれども、見込みは90.2だったということで、これも今御説明申し上げましたものと同じく、単年度で見ると実績の方が見込みよりも若干財政状況がいいということになるということでございます。
最後、22ページでございますが、積立比率は大きいほど財政状況がいいという性格の数字でございますが、決算の実績を見ていただきますと、一番下の平成23年度*というところでございますが、これが積立比率6.7。それに対して財政検証の平成23年度の見込みは4.7ということでございましたので、これは実績の方がかなりいいということになるわけでございます。
これはどうしてこうなるかといいますと、財政検証のベースは納付率80%ということで見ておりますので、実績よりも収入も支出も大きいということでございますが、積立比率というのは、支出に対してどれだけ積立金を持っているかということでございますので、現実よりも大きい支出を見込んでいるのであれば、当然積立比率は低いものとして推計される。ただ、実際には納付率が低いことによって、収入は見込みより低いので、積立金はそんなに変わるものではありませんので、比率で見ると積立比率は高いものになるという現象が生じているということでございます。
ちょっと時間が押して恐縮でございますが、御説明は以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
佐々木委員。
○佐々木委員
1つだけ御質問したいのですが、16ページ目の積立金の運用状況についてということで、先ほど御説明があった厚生年金とポートフォリオとか運用構成は同じ思うのですが、先ほどの厚生年金の利回りを見ますと、ほぼ同じなのですが、19年度、20年度、過去に遡って恐縮ですが、この辺はちょっと乖離があった。何か方針の違いとかが、出てきたのかどうか、わかりましたら教えていただきたい。
○山崎数理課長
運用自体は、厚生年金分、国民年金分、合同で運用しておりますので、そういう意味では、ポートフォリオは全く同じなのです。ただ、預託金、市場運用分、財投債への振り分けは微妙に違いますので、それで全体を総合すると、運用利回りが2.17と2.15というふうに微妙に違ってくるのは、そこの比重の違いが影響している。それは各年度同じ状況でございまして、市場運用分のポートフォリオそのものは、両方一緒にして運用しておりますので、両者に差があるということはございません。
○佐々木委員
過去の20年度など結構差があった、それが今の御質問です。
○山崎数理課長
差というのは、ポートフォリオではなく。
○佐々木委員
運用利回りです。今年であれば、ほぼ同じなのですが、見ていまして、例えば20年度ですと、国年ですとマイナス7.29ですね。厚生年金は6.83で、結構差があったので、ほぼ同じということは、今、数理課長の御説明でわかったのですが、過去、見てみますと、ここは差があったので、その振り分けでこういう差が出たのかどうか、何か方針の変更があったのかどうかということでちょっとお聞きしたのです。
○山崎数理課長
預託金がまだある間は、預託の時期によって利回りが結構違ったりする面があるので、そういう影響かなとも思うのですが。
○森大臣官房参事官
後ほど調べまして御報告いたします。
○山崎部会長
駒村委員、どうぞ。
○駒村委員
確認になるかもしれませんが、17ページの納付率の影響で、去年の数字、去年の状況報告は62.1%、今年は60%と報告されていて、この60%はどう選ばれたのか。先ほど御説明があったかもしれません。変更されていますので、その確認と、それから、これも確認ですけれども、先ほどの説明だと、納付率は財政検証の前提80%ではなく60%で、違う部分が、支出の拠出金の実績と見通しの1.9兆円を発生させているということですね。1.9兆円の基礎年金拠出金の発生の原因が、1.2兆円か、1.2兆円の差が、拠出金がまず発生しているわけですね。支出の基礎年金拠出金の3.3兆円と4.5兆円の差が1.2兆円。それで、支出分が、差が生まれていると。一方、収入の方では、保険料がマイナス0.6兆円、それから、その他でマイナス0.6兆円と、これでほぼキャンセルアウトしているということで、納付率の低下は、国民年金勘定の中では影響は出ていないと。ただし、納付率の低下というのは、別の年金の方に影響を与えていて、それはさっきの厚年のほうではどこを見ればよかったのでしたでしょうか。すみません、そのお金の流れのところを一応確認させてください。
○山崎数理課長
まず、今の御質問ですが、結局のところ、厚生年金の方にどうしわが寄っているのかということでございますね。
○駒村委員
はい。恐らく厚生年金の17ページを見ればいいのでしょうかね。1つは、納付率の見通し、60%の設定は。
○山崎数理課長
60%とおっしゃっているのは、基礎年金拠出のところで納付率の低下で予算上の見込みと書いてある60.0%とあるところが昨年度は62.1%で、これは要するに予算の見込みがそういう数値を用いたということで、結局、予算で見込んだもので拠出金の概算は算定されます。予算の積算基礎がどうなっているかというのは、基本的に実績をベースとしつつ、事業計画で見込んでいると理解しておりますが、そういうお答えでよろしゅうございましょうか。
○駒村委員
はい。
○山崎数理課長
それから、厚生年金のところのどこに反映しているか。厚生年金の方の17ページを見ていただきますと、これの支出の基礎年金拠出金のところで、15.9兆円が実績推計で、将来見通しが13.9兆円だと。ただ、15.9兆円と申し上げましたけれども、これは精算の影響があるので、確定値は14.5兆円だということで、14.5兆円と13.9兆円の差と。ここの部分が、下に拠出金按分率の増加というふうに要因のところに書いてございますが、これはまさに国民年金の納付率を80%と仮定していたのが、実際には6割ぐらいだったということで、その分、被用者年金制度の側が分担する割合が多くなるので、それによってある意味しわが寄った部分が、13.9兆円と見込んでいたのが確定値で14.5兆円だと、ここに反映している。こういう御説明でよろしゅうございましょうか。
○駒村委員
結構です。
○山崎部会長
よろしいでしょうか。
それでは、時間が押しておりますので、次に移りたいと思います。
どうもお疲れさまでした。
(厚生年金保険・国民年金(基礎年金)関係者退席)
○山崎部会長
続いて、国家公務員共済組合の平成23年度の財政状況について報告を聴取いたします。
本日は御説明のため、お忙しい中、財務省主計局給与共済課の土谷課長に御出席いただいております。ありがとうございます。
それでは、御説明をお願いいたします。
(国家公務員共済組合関係者着席)
○土谷給与共済課長
財務省の土谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、国家公務員共済組合連合会からの担当者を同席させていただいておりますので、あらかじめお断り申し上げておきます。
それでは、早速、資料の説明に入らせていただきます。
まず、1ページ目でございます。国共済の収支状況について、直近5年間の推移を記載させていただいてございます。国共済では、従来からいわゆる簿価ベースでの会計処理を行っておりますが、当部会からのお求めによりまして、幾つかの項目につきましては、参考値として時価ベースの数値も記載してございます。
まず、平成23年度分を御説明いたします。右から2番目の欄でございます。
まず、収入でございますが、収入総額は2兆218億円ということで、前年に比べマイナス394億円、マイナス1.9%となってございます。また、時価ベースにおきましては、2兆542億円という数字でございます。簿価ベースの収入総額が減少する一方で、時価ベースの収入総額が前年度に比べ382億円増加しておる理由でございますが、これは、平成23年度に株式相場の上昇によって評価損が改善したこと、これが主な理由だと考えてございます。
収入内訳ごとに見ますと、保険料収入は1兆535億円でございまして、前年度に比べ2.3%の増加となっておりまして、これは保険料率の引き上げによるものということでございます。
次に国庫・公経済負担でございますが、2,903億円ということで、7.4%の増加。これは、先ほどから説明があったと思いますが、基礎年金拠出金の増加に伴う国庫・公経済負担の増加が主な要因でございます。
追加費用につきましては、4,077億円ということで、これは年が経過すればするほど対象者が減少していくことでございますので、まず、その傾向に沿いまして、前年度に比べまして4.4%減少ということになってございます。
運用収入についてでございますが、1,534億円ということで、前年対比では9.5%の減少となってございます。国共済の場合につきましては、有価証券の売却損という運用にかかる費用が支出項目の方にその他の部分に含まれるということでございますので、これを除いた正味の運用収入のベースで見てみますと、下に括弧書きさせていただいてございますが、1,293億円ということになります。さらに、これに評価損益を加味いたしますと、さらにその下の括弧ですが、1,617億円ということになります。これをそれぞれ利回りベースで見ますと、簿価ベースで1.63%、時価ベースでは2.06%ということで、一番下の箱のほうに入っているところでございます。
次に支出でございますが、支出総額は0.6%の増加ということになってございまして、給付費の方でございますが、0.9%の減少、一方、基礎年金拠出金につきましては6.0%の増加となってございます。
この結果といたしまして、収支残につきましては2,372億円のマイナスということでございまして、積立金のほうは減少してございます。時価ベースの収支残につきましては、2,047億円のマイナスということでございますので、それに応じた積立金の姿となってございます。
次の2ページ目につきましては、同じことを概念図として記させていただきましたので、説明は割愛させていただきます。
次に、3ページ目でございます。給付状況でございますが、右から2番目の列をご覧いただきますと、平成24年3月末の国共済の受給権者数につきましては、合計で121万人となってございまして、前年度対比で2.7%の増加ということになってございます。一方、年金総額につきましては1兆7,876億円ということで、こちらの方は0.1%の微増という姿になってございます。
次、4ページ目でございますが、減額支給と増額支給、上の表でございますが、その姿を表したものでございます。足元、減額支給につきましては、10万2,000人で、その年金総額が1,770億円。一方、増額支給につきましては、共済年金は20年度より増額支給者が発生してございまして、平成23年度ではまだ443人ということで、6億円という数字でございます。
4ページ目の下の方の表は、退職年金の受給権者に係る平均年金月額及び平均加入期間となりますが、平均年金月額につきましては、一番上の右側にございますが、15万5,871円ということで、前年度対比で1.4%マイナスになってございます。その下、3つ目の欄でございますが、退職共済年金では、65歳に達しましていわゆる本来支給の受給権者となりますと、日本年金機構からもちろん老齢基礎年金が支給されるわけでございますが、この平均年金月額には、今説明申し上げたものですが、老齢基礎年金は含んでおりませんので、その額を加えた数字は、この3つ下の箱でございます。それによりますと19万4,782円ということで、前年度対比マイナス0.5%ということになってございます。
5ページ目につきましては、今の内容を男女別に記したものでございますので、ご覧のとおりということでございます。
6ページ目でございますが、これは、組合員期間が20年以上の退職年金に関しまして、新規裁定分につきまして平均年金月額をとらせていただいたものでございます。
右から2つ目の欄でございますが、こちらの数字は12万3,437円ということで、0.5%の増加ということになってございます。
次、7ページ目でございますが、これは退職年金相当受給権者の給付状況を年齢別にお示ししたものでございます。ちょっと細かい姿になってございますが、60~63歳の方につきましては、平成22年度に定額部分の支給開始年齢が64歳に引き上げられたことによりまして、定額部分が支給されませんので、定額部分について63歳までと64歳で段差が生じる姿になってございます。
8ページ、9ページ目は、同じものを男女別に分けたものでございますので、説明は割愛させていただきたいと思います。
10ページ目でございます。この表につきましては、退年相当の受給権者数につきまして、年齢階級別の分布状況と平均年齢をお示ししたものでございます。平均年齢につきましては、男性73.6歳、女性75.4歳ということで、女性のほうが1.8歳高い姿となってございます。
11ページ目でございます。ここから組合員の状況でございます。右から2つ目の欄でございます。組合員数につきましては105万9,000人ということで、前年度に比べまして0.4%の増加ということになってございます。男女別をご覧いただきますと、男性が82万人、女性が24万人ということでございまして、全体の8割を男性組合員が占める姿になってございますが、最近の傾向といたしまして、徐々に女性組合員の割合が増加してきてございます。組合員の平均年齢は徐々に増加しているところでございますが、足元41.0歳という姿、男性42.0歳、女性37.3歳ということでございます。
標準報酬月額の平均でございますが、対前年度比で0.5%の微増ということでございます。
さらに、それに賞与等も加えました一番下の箱の部分でございますが、総報酬の組合員1人当たり月額、一番下の部分でございますが、こちらの方をご覧いただきますと、52万7,000円ということで、こちらの方、国家公務員の場合につきましては、平成23年度、賞与の部分が減少しているということもございますので、むしろ対前年度比でマイナスになっている。1.0%のマイナスになっているという姿でございます。
12ページ目でございますが、こちらは組合員数の分布を示したものでございます。一番右側の割合が男女合計での分布となりますが、階級別でご覧いただきますと、35歳以上40歳未満が16.2%と一番高くなってございまして、続いて40~45歳ということで、この10年付近に集中しているところでございます。
全体として年齢階級ごとの加入期間の分布を見ていただきますと、対角線に集中する形となってございまして、要するに、10歳代後半から20歳代に公務員になった方が、現在まで引き続いて公務員でいらっしゃると。そういう割合が非常に多いというのが組合員の分布の特徴ということでございます。
13ページ目、14ページ目は、同じものを男女別に見てみたものでございますので、時間の関係もございますので、説明は割愛させていただきたいと存じます。
15ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらにつきましては、標準報酬月額等級の分布を示したものでございます。男性の場合につきましては、一番割合が高いのは62万円、一番下のところでございますが、12.2%という形で最も多い姿になってございまして、続いては44万円の方が山をつくる形でもう一つのピークということになってございます。一方、女性の場合でございますが、30万円、32万円、この辺りが8.1%ということで、ピークとなってございます。
16ページ目から積立金の運用状況についてでございます。
まず、簡単に積立金の構成だけ右側の構成割合の方で触れさせていただきますと、固定資産が全体の98.3%ということでございますが、そのうち預託金が52.5%と半分を占めてございます。有価証券につきましては40.2%、不動産が2.2%、共済組合でございますとか、福祉経理に貸し付けている貸付金がございまして、その部分が3.4%という構成になってございます。
有価証券につきましては、全て包括信託という契約形態をとらせていただいてございますが、ちょうどその委託運用の分が全体の4割のうちの16.2%、自家運用分のほうが若干多うございまして、24%という内訳でございます。委託運用につきましては、主に国内株式及び外国株式による運用でございまして、自家運用につきましては、全て国内債券による運用となってございます。
下の特記事項の欄でございますが、有価証券等の残高を4分類別でご覧いただきますと、国内債券につきましてはご覧のとおりの数字ですが、割合で申し上げますと、国内債券が年金積立金総額の25.5%、国内株式が8.1%、外国債券が1.2%、外国株式が5.4%という姿になってございます。
17ページ目でございます。将来見通しとの比較でございます。概ね傾向としては厚生年金の説明と同じような姿でございますが、まず、左側の保険料の方から申し上げますと、将来見通しは1兆1,099億円でございましたが、実績の方はこれを下回ってございます。これについては、賃金上昇率の実績が将来見通しの前提を下回ったということが主な要因でございます。
次に運用収益についてでございますが、これは若干下回った姿になってございますが、1つ注意を要しますのは、冒頭申し上げましたが、費用の部分がこの1,534億円に含まれているということでございますので、その費用の分をネットいたしますと1,534億円の数字が1,293億円ということになります。ただし、その評価損益の分も含めた時価ベースでご覧いただきますと1,617億円ということで、見通しの数字は上回った姿になってございます。
その他の部分につきましては、実績が見通しを上回ったものもございますが、ここは基礎年金拠出金の増に伴う、それの裏打ちとなる国庫・公経済負担の増加ということになります。
給付費の方につきましては、ほぼ横ばいでございますが、次の基礎年金拠出金につきましては、厚生年金の方の説明にあったのと同じでございますが、基礎年金拠出金の按分率が将来見通しの前提よりも上昇したことを背景に拠出金が増えているわけでございます。
次に18ページ目をご覧いただきますと、組合員数と受給者数の比較でございます。組合員数につきましては、実は将来見通しが101万人ということでございましたが、実績は106万人ということで、これを上回る姿になってございます。将来見通しでは相当の保守的な考え方に立って公務員の見通しというものを立ててございましたので、それが一つの要因ではないかと考えてございます。
受給者数につきましては、将来見通しは127万人の一方で、実績は117万人。左から2つ目の欄でございますが、こちらは実績の方が逆に下回っている姿になってございます。これにつきましては技術的な理由で、全額停止者が含まれているとか、あるいは将来見通しにおきましては、当然受給要件を満たせばこれを受給者としてカウントしてございますが、実際の裁定にはタイムラグがあるということが主な要因だと考えてございます。
新規加入者、新規裁定者については、今と同じような傾向ではないかと思ってございます。
脱退者数、失権者数については、概ね将来見通しどおりという姿でございます。
続きまして、19ページ目以降、いろいろな財政指標の説明でございますが、年金扶養比率につきましては、実績、上の表の左の一番下でございますが、1.52という姿でございます。下の財政再計算のときの平成23年度分、左側でございますが、1.49ということでございますので、実績のほうが0.03、こちらはむしろ高くなってございまして、これは今御説明したとおり、組合員数の実績が将来見通しより多かったということによるものだと見てございます。
20ページ目は飛ばさせていただきまして、21ページ目、総合費用率でございます。こちらにつきましては、実績が21.2。先ほどと同じ部分の比較でございますが、財政再計算のときは19.5ということで、1.7ほど総合費用率の実績が高くなってございます。この主な要因でございますが、一番大きな原因は、標準報酬総額、これが見通しよりも減っているということではないかと見てございます。
22、23、24ページは、それぞれ総合費用率を、共済の場合、職域部分がございますので、そういった形でいろいろ分解したものでございます。時間の関係がありますので、説明は割愛させていただきたいと存じます。
続きまして、25ページ目、保険料比率でございます。こちらも実績の方、平成23年度74.1ということでございますが、財政再計算のときは80.7ということでございますので、実績の方が低い姿となってございます。
同じような傾向でございますが、次のページ、26ページ、収支比率につきましては、時価ベースで117.0、財政再計算のときは108.8ということでございまして、収支比率は実績の方が財政再計算の結果を上回る姿となってございます。
最後、27ページ、積立比率でございます。平成23年度の実績は、左側上の表の左下でございますが、5.8ということでございまして、これが対前年度比で0.4低下した姿になってございます。財政再計算時の姿と比較いたしますと6.0ということで、若干下回った姿になっているということでございます。
私からの説明は以上とさせていただきます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
野上委員。
○野上委員
ありがとうございます。
16ページ、運用の方についてお聞きしたいのですけれども、先ほど御説明がありました厚生年金の運用よりも利回りとしては時価ベースで若干下回っておりますが、過去5年間の運用実績を見ますと、順調といいますか、比較的安定して運用されておりまして、5年間の累計で、暗算した感じでもプラスに運用されていると。一方、厚生年金の方は、かなりリスク資産をいろいろな意見も踏まえて入れた結果、残念ながら5年間の累計では運用がマイナスになっているということかと思います。
ちょっとお聞きしたいのですけれども、ここの預託金がかなり大きいということで、この辺はかなり厚生年金のポートフォリオと違う一番の違いかなと。結果的にはデフレの中でこういう安全な運用をするというのは大正解なのですけれども、そういう仕組み的にこういうものが許されているといいますか、そういう適切な判断をできた背景みたいなものがもしあれば。
○土谷給与共済課長
当然、全体としてポートフォリオの方針を定めてございますが、公務員の年金ということでございますので、第1に、もちろん利回りの追求というのもございますけれども、安定した運用というものを最優先という方針でやってまいりましたので、それが預託金5割という数字と、あと、有価証券の中でも債券の割合というのは極めて高くなっていると思いますが、結果として見れば、この5年、もしくは10年遡っても同じだと思いますが、運用方針としては正解だったと思います。
厚生年金との違いにつきましては、それぞれの運用指針でございますので、何とも。
○長谷川資金運用部長
国共済で運用を担当させていただいております。
国共済につきましては、平成17年度のタイミングで、ALMの手法によりまして基本ポートフォリオの構築をいたしております。これは他の制度に比べまして成熟度が非常に高いといったところを踏まえて、負債に重きを置いた基本ポートの構築をやったということでございます。
それで、負債サイドのデュレーションが当時15年程度というふうに推計いたしました。デュレーションマッチング、すなわち金利リスクを実質的に中立化するという観点で、超長期投資をすすめていくに際しまして、預託金というのは非常に有効な投資商品だったということでございます。これは30年までの年限で投資ができるということでございまして、主に預託金でデュレーションの長期化を進めていったというところでございます。
結果といたしまして、17年度に構築いたしました基本ポートは、預託金を含めました国内債券の比率が当時は78%、21年財政再計算の結果でこれを8割にしているというところが、非常に市場変動が厳しいというか、激しい中にあっては幸いしたということでございます。
○野上委員
まさに大正解だと思うのですが、厚生年金で同じことが言えるのではないかなというのが疑問だったので、先に聞いておいた方がよかったかもしれませんけれども、そういうわけでございます。
○山崎部会長
牛丸委員。
○牛丸委員
今、野上委員からの質問に対して、運用方針というか、大体御説明がありましたが、それと関係するかもしれません。本日の御説明の最初にもありましたように、年金数理部会の要請で時価で出している。ということは、年金数理部会関係の資料には時価は出しているけれども、内部では時価は考えていないで、全て簿価でやっているのか。その辺は、今の運用の方法がありましたが、その中で、内部でやる場合にも時価を考えていないのか。だとするならば、それはどうしてなのか。簿価にこだわるというか。大体世の中は時価というものを頭に置いて運用をやっていますけれども、こちらの年金数理部会の要請でやってくださってありがたいのですけれども、中でどうしてそういうふうになっているのかを教えていただければ幸いです。
○長谷川資金運用部長
中の管理は、当たり前のごとく時価でやっております。会計が簿価であるからこそ、正式な決算はこういう格好で表示をさせていただいておりますが、運用の世界は時価がスタンダードでございますので、時価で管理をいたしております。
○牛丸委員
それをあえて会計では出さないということですか。
○長谷川資金運用部長
会計は法定されているものでございますので、各共済とも恐らくそうじゃないかと思うのでございます。もう一つ、ここだけ時価で表示しているわけではございませんで、我々はホームページでは毎年運用の状況の資料を開示させていただいているのでございますけれども、これは全て時価で開示をさせていただいてございます。
○山崎部会長
よろしいでしょうか、事務局の方。何かありますか。山本共済計理官。
○山本共済計理官
こちらの会計方針の方は、まさに先ほど申しましたとおり、法定になっておりまして、簿価、取得価格を基準に会計処理をするということでやっております。もちろん、若干市場運用するという前提にはなっていない可能性もありますけれども、会計上は簿価で会計処理をするということでやっているというところでございます。
○山崎部会長
佐々木委員。
○佐々木委員
今、御説明があった部分でちょっとお聞きしたいのですが、運用の方針でデュレーションで15年のマッチングをするために、委託の運用を預託金の運用に切りかえられたという。預託金が5割と多いというのはわかったんですが、国債も30年はありますね。有価証券で国債とか。そこで国債がなくて預託金という分に着目されたその理由をちょっとお教えいただきたい。国債のほうが流動性が高いのではないかなと思うのですが、あえてデュレーションにマッチングさせるために預託金を活用されたその理由は何だったのか、そこを教えいただきたい。
○長谷川資金運用部長
その前に、若干舌足らずで恐縮でございました。預託金だけでデュレーションの長期化を図っているわけではございません。自家運用の国内債券でも、おっしゃるとおり20年債、30年債の購入をいたしております。したがって、超長期投資は債券も利用しているということなのでございますけれども、預託金がなぜいいかという点におきましては、先ほど触れずに恐縮でございましたが、今、法令では34%までは義務預託という格好で預託金を積まなければいけないというたてつけになってございます。それが従来あって、そのベースの延長線上に考えたときに、超長期債もかなり厚みが出てまいっておりますけれども、我々のような規模のものを一挙に投資いたしますと、これは少なからずマーケットインパクトに留意する必要がございまして、マーケットインパクトを気にすることなく、一定のボリュームを投資することができるという利点が預託金にはあったということでございます。それを平成17年度にALMの方針で基本ポートを見直したときに、うまく活用していこうという御意見を資産運用委員会でちょうだいいたしまして、活用させていただいているということでございます。
○佐々木委員
34%は義務預託であるということなのですね。
○長谷川資金運用部長
おっしゃるとおりです。
○佐々木委員
わかりました。
○山崎部会長
駒村委員。
○駒村委員
去年の資料と比較しながら見せていただいている中で、収入のその他のところが、去年は財政調整拠出金収入というのが主要要因として書かれていて、今年は国庫・公経済負担の増だと書かれているのですけれども、この説明文章をなぜ変えられたのか、ここをちょっと御説明いただきたいのと、あと、基礎年金拠出金のところ、これは去年は恐らく拠出金按分率の増加があったのだろうと、そのギャップの要因としてあったのだろうと。ただ、去年は書いていなくて、今年から書かれたのだと思いますけれども、ちなみに、率の増加というのは大体どのくらいか、数字は教えてもらえますでしょうか。
○山本共済計理官
まず、17ページのところだと思いますが、収支状況の比較のところで、その他のところで国庫・公経済負担の増、収入のところですけれども、昨年も今年も財政調整のところにもちろん影響ございますけれども、大きさ的に、国庫・公経済負担の増の方が大きいということで、主な要因の説明のところは、その代表的なものを書かせていただいたというところでございます。
○駒村委員
去年も本当は国庫・公経済の方が多かった。
○山本共済計理官
そうですね。すみません。むしろ、昨年のところなのですけれども、財政調整の影響というのはございましたが、実は方向が逆で、むしろ昨年のほうが国庫・公経済負担の増と書くべきだった。それが1点です。
それから、基礎年金拠出金の按分率について、手元に詳しい数字は持っておりませんけれども、後ほどお答えさせていただきます。
○山崎部会長
いかがでしょうか。
それでは、以上で国家公務員共済組合の財政状況についての報告の聴取を終了します。報告者の方々、どうもありがとうございました。
(国家公務員共済組合関係者退席)
○山崎部会長
それでは、以上をもちまして、厚生年金保険、国民年金、国家公務員共済組合の報告の聴取を終了します。
続きまして、今般の年金関係法改正の内容につきまして、年金局より資料の説明をお願いいたします。
○度山年金課長
後ろから失礼いたします。年金課長の度山と申します。
お手元の資料4、年金関係法改正の内容についてという資料をご覧ください。
時間も押しておりますので、簡潔に説明をいたします。
ページをめくっていただきまして、1ページ目「社会保障・税一体改革(年金分野)の経緯」という資料がございます。これに基づいて御説明をさせていただきます。
昨年来、社会保障・税一体改革ということで、社会保障と税制全般にわたる検討がなされておりますが、本年の2月17日に社会保障・税一体改革大綱ということで閣議決定されました。この中で年金に関しましては一番左側の箱になりますけれども、最初の○にありますような中身の法案を提出するということで整理をされ、その下にある5つぐらいの項目は引き続き検討するという整理がなされました。
この整理に基づきまして、2月から4月にかけて、先の通常国会に3本の法律を提出いたしました。1つが国年法等改正法案ということで、基礎年金の国庫負担2分の1、それから、物価スライドをかつて止めたことに伴います特例水準になっていますが、その解消というのが中身でございます。それから、3月に出しましたのが年金機能強化法案ということで、これは諸々の項目がございます。それと、4月に被用者年金の一元化法案というものを出しました。通常国会で、御案内のとおり、審議の過程で当時の与党・民主党と当時の野党・自民党、公明党の3党によります協議というものが行われて、立法府におけるいろいろな検討がなされて、修正が講じられてございます。
それで、下から申し上げますと、被用者年金一元化法案に関しましては、形式的な修正はあったのですが、内容的な修正はほとんどなく、8月に他の法案と一緒に成立をしてございます。
それから、真ん中の年金機能強化法案ということでございますけれども、内容的に言うと、低所得者等の年金額の加算に関しましては、年金ではない福祉的な給付として別立てのものとするという整理がなされて、別の法案に移りました関係で、この部分は削除されました。
それから、高所得者の年金額の調整、交付国債の償還ということに関して、これは3党合意の内容に基づきまして、この規定から落とす。
それから、残りの項目につきましては、一部修正の上で8月10日に成立をしたというところでございます。通常国会はここで時間切れで終わっております。
先の臨時国会、大変会期の短い国会で、厳しい状況ではございましたけれども、残りました一番上の国年法等の改正法案と、その下に機能強化法案から独立いたしました年金生活者支援給付金法という2本の法律が継続の審議ということで残っておりまして、タイトな日程の中で審議をいただきまして、国会の解散になる最終日に2法とも成立をするという形になってございます。
ただ、年金額の特例水準の解消につきましては、当初、本年の10月から解消の第1弾目がスタートするという予定になっておりましたが、期日を徒過しておりましたので、当初のスケジュールより1年遅らせて施行する。その分、財政影響を小さくするために、3段階の刻みを変えて、やや前倒しをして解消を図るという内容の議員修正を経て成立をしているというところでございます。
それから、当初、年金機能強化法案にございました交付国債という形での2分の1と36.5%の差額の負担ということに関しては、3党合意で交付国債ではない形にするということになりましたので、消費税の引上げを前提とした年金特例公債という、いわゆるつなぎ国債を発行することで、今年度、来年度の差額をファイナンスをするという形の修正、これは実は通常国会の間に案中修正という形で行われておりましたが、その2つの修正を経た形で成立をしておるということを御報告させていただきます。
以上、簡単ではございますが、一連の法案について御説明しましたが、この部会に影響の大きい被用者年金一元化法案の中身につきまして、担当の三木のほうから御説明させていただきます。
○三木年金課長補佐
では、駆け足になりますが、被用者年金一元化法案の説明をさせていただきたいと思います。こちらは今年の8月10日成立、22日に交付されております。
資料の5ページをご覧ください。主要項目の(1)ですけれども、従来の厚生年金保険法では公務員や私学教職員を適用除外としておりましたけれども、こちらの規定を削除しまして、厚生年金に公務員及び私学教職員も加入するということにしております。
主要項目(2)以降の項目については、それぞれの資料を見ながら説明させていただきたいと思います。
6ページをご覧ください。制度的な差異の解消についてですけれども、厚生年金と共済年金では、制度的な差異というものが、表に示しておりますとおり幾つかあります。ただ、こちらについては基本的に厚生年金に合わせて解消するということにしております。
それぞれの説明については割愛させていただきます。
次に、7ページをご覧ください。保険料率の統一についてでございます。
厚生年金の保険料率は、こちらのグラフの一番上の太線の部分になりまして、現在16.766%となっております。これは毎年0.354%ずつ引き上げて、平成29年に18.3%で固定するということにしております。
公務員共済は厚生年金の少し下にある太い実線になっておりますけれども、こちらは現在16.216%でございます。平成21年財政再計算では、こちらは0.354%ずつ引き上げて、平成35年、19.8%になったところで固定するとしておりましたけれども、被用者年金一元化ということで、平成30年に厚生年金と同じ18.3%になったところで固定するということにしております。また、私学共済については、現在13.292%ですけれども、こちらも公務員共済と同じように0.354%ずつ引き上げて、21年財政再計算では平成42年で19.4%で固定としていたものを、平成39年で18.3%に固定ということにしております。
今の説明ですと、ちょっと共済の保険料率が下がるようなことと思われるかもしれませんけれども、そうではなくて、現在の共済の保険料率というのは1~3階の保険料率となっております。共済の1・2階分の保険料率というのは、太線の下にそれぞれ細い点線で示させていただいております。平成27年の10月に被用者年金一元化法が施行されますと、保険料の性質が1~3階の保険料率から1・2階分の保険料率というふうに変わります。1・2階分の保険料率で言いますと、平成27年の線を引いております被用者年金一元化法施行のタイミングのときに、細い点線の部分から太い実線の部分まで引き上がるということになっております。私学共済で約1.2%、公務員共済で約1.6%引き上がることになっております。そして、最終的な保険料率についても、私学共済も公務員共済も、1・2階の保険料率は平成21年財政再計算では17%台で推移するとしていたものを18.3%にするということなので、こちらについては保険料率は上げているということになっております。
8ページの表については、今御説明したことを表にして記載しておりますので、割愛させていただきます。
9ページの積立金の仕分けについて説明させていただきます。
厚生年金と共済年金を一元化するということで、共通財源として積立金を仕分けるということが必要になりますけれども、こちらは、年間の支出に対してどれだけ積立金を持っているかという基準で合わせることとしております。厚生年金では、現在の見込みでは4.2年分を持っているということになっているので、共済年金も4.2年分の積立金を共通財源として仕分けるということになっております。仕分けた残りの共済に残る積立金というのは、これまで保険料が支払われた職域部分の処理に充てるということになっております。
続きまして、10ページですけれども、こちらでは、厚生年金の事業の実施については、共済組合や私学事業団といった機関を活用すること、あるいは財政状況の開示や財政検証といったことが一元化された厚生年金全体として行うこと、あるいは積立金の運用というのも実施機関ごとに行いますけれども、それに伴う基本指針の作成や評価の公表といったものは、厚生労働大臣と各共済所管大臣が協力して行うということを記載させていただいております。
続きまして、11ページになりますけれども、職域部分の廃止についてでございます。従来、共済年金では、報酬比例の約2割を職域部分として加算することとしておりましたけれども、こちらは平成27年10月で廃止ということになっております。これに代わる新たな年金給付については、24年中に検討するとされておりまして、先の臨時国会で各共済法の改正法案が成立しまして、27年10月からそちらの新たな年金というものが創設されるということになっております。
12ページの追加費用の削減についてでございます。共済年金が発足する前の恩給期間に係る給付については、一定の配慮措置を設けた上で減額するということにしております。
駆け足でございましたけれども、説明は以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。
駒村委員。
○駒村委員
資料の10ページに書かれている一元化が今度完成することを受けて、年金数理部会の役割というのは何らかの変化があるのか、新しい役割が加わるのか、この辺はどういうふうに考えられるのか、また次回でもいいかもしれませんけれども。
○山崎部会長
とりあえずお願いします。
○清水首席年金数理官
年金数理部会の事務局という立場からお答えさせていただきますと、一元化は平成27年10月ということでございますので、それまでは、通常どおり毎年こういった財政状況の報告を受けていただいて、分析・評価をしていただくといったこともございますし、平成26年財政検証・財政再計算につきまして、年金数理部会においてレビューをしていただくといったことがあろうかと思います。
それから、農林年金が厚生年金に統合した平成14年のときには、移換金の計算の仕方は法令に規定されていたわけですが、具体的な額の検証を年金数理部会においてやっていただいたという経緯がございます。そういうことから、閣議決定の要請を踏まえれば、3年後になりますけれども、そういった課題も出てくるかもしれないと思っている次第でございます。
それから、一元化につきましても、年金財政の安定性、公平性の確保に関しまして、第三者である年金の専門家等によって数理的な検証を行うという年金数理部会の役割というものは、引き続き大変重要なものだと認識しておりまして、この役割については、年金数理部会において引き続き担っていただくことになるのではないかと考えている次第でございます。
○山崎部会長
牛丸委員。
○牛丸委員
今、もうお話がありましたから、繰り返しのお答えになってしまうかもしれません。年金数理部会の設立というか、目的が、御承知のように二つあったわけです。一つは財政検証です。もう一つが、被用者年金制度の一元化の具体的な措置が講じられる際の具体的な費用負担のあり方等について、年金数理的な観点から検証するということです。今回、2階部分の一元化に関して、もう決まってしまったわけですが、ここに年金数理部会がどういうふうに役割を果たしたのか。今後、今お話があったようなことでやり方があると思うのですが、年金数理部会として存立のそもそも大事な一つの事柄だったわけですから、何らかの形でそれなりの役割を果たしたいと思っておりますので、事務局もよろしくお願いいたします。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、本日の審議は終了します。
次回の日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○清水首席年金数理官
次回の年金数理部会でございますけれども、明後日12月21日の15時から厚生労働省の専用第22会議室、これは18階でございますけれども、開催し、地方公務員共済、私学共済から報告を受けていただく予定になっております。
○山崎部会長
本日はこれで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
※照会先
厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室
(代)03-5253-1111(内線3382)
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