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2012年11月14日 第10回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録

社会・援護局

○日時

平成24年11月14日


○場所

グランドアーク半蔵門 華の間


○出席者

岩田正美委員 岩村正彦部会長代理 上田文雄委員
岡崎誠也委員 奥田知志委員 柏木克之委員
勝部麗子委員 櫛部武俊委員 小杉礼子委員
駒村康平委員 高杉敬久委員 武居敏委員(浦野代理)
谷口仁史委員 野老真理子委員 長谷川正義委員
花井圭子委員 広田和子委員 藤田孝典委員
藤巻隆委員 堀田力委員 松井一郎委員(土屋代理)
宮本太郎部会長 宮本みち子委員 山村睦委員(青木代理)

○議事

○宮本部会長
 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから「第10回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を始めていきたいと思います。
 大変お忙しい中、今日もお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、事務局から委員の出席の状況について御説明をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日の委員の出席状況でございます。
 石委員が欠席でございます。また、武居委員の代理といたしまして浦野全国社会福祉施設経営者協議会措置施設経営者委員会委員長、それから、松井委員の代理として土屋大阪府福祉部福祉総務課総括補佐、山村委員の代理といたしまして青木公益社団法人埼玉県社会福祉士会会長に御出席いただいております。
 出席委員につきましては、委員総数25名の3分の1を超えておりますので、開催の要件を満たしております。
 なお、本日、国会では、厚生労働委員会を開催中でございまして、西村副大臣、梅村政務官は国会審議に出席しております。また、当局の村木局長も国会での質疑がありまして、後ほど参るかと思いますが、御容赦いただければと存じております。
 もう一点、上田委員は飛行機が若干遅れているということでございまして、後ほどお見えになるということでございます。広田委員も後ほどお見えになるということでございます。以上でございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 恐縮ですが、カメラ撮影はここまでということになっております。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。
 第8回、第9回の特別部会で、皆さんから、事務局から出していただいた「生活支援戦略に関する主な論点(案)」について、大変活発な御議論をいただいております。その際、事務局あてに幾つか質問もございました。前回もその幾つかについては御回答いただいているわけですけれども、少しまとめた形で事務局から御回答いただきたいと思っています。よろしくお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 それでは、資料1の「生活支援戦略」に関する主な論点(案)の補足ということで、これまでの資料も含めて4枚ほど提出しております。少し補足説明をさせていただきたいと思います。
 第8回特別部会で堀田委員から、総合相談体制については、地域のネットワークを構築して情報が入るようにしたらどうか、とのご発言がありました。それから、生活保護から脱却するための支援について、就労支援などの新しい仕組みを活用してはどうかといった御意見がありました。また、勝部委員からは、総合相談におけるアウトリーチに当たって、行政と民間の関係については地域の代表者や行政関係者からなる運営委員会をつくってはどうかなどの御意見が寄せられています。
 全体としては、1枚めくっていただきまして、総合的な相談と「包括的」かつ「伴走型」の支援では、基本的にアウトリーチが大変重要であり、その旨、論点(案)でもお示ししたとおりでございます。その上で、人的にも一定の限界がございますので、ここのイメージでは官民協働の支援態勢として、各機関の連携によるチーム支援が重要であり、論点でも書かせていただいているように、既存の社会資源とのネットワークをしっかりつくってやっていくということが考えられると思っております。
 それから、生活保護受給者について、新たな総合相談体制と福祉事務所の関係については、この場でも十分御議論いただく必要がありますが、生活保護受給者については、一義的に福祉事務所が責任を持ってやっていただくということです。ただし、例えば中間就労の支援等の就労支援のメニューについては、福祉事務所と連携しながら活用していくというイメージで、この資料をつくっております。
 それから、勝部委員からございました行政と民間の関係ということについても、行政の責任として、こういう仕組みをどう考えるかがここの論点でもありますし、各機関の連携によるチーム支援が重要なので、多様な機関が入って支援していただくというイメージで書いております。そういう意味では、官民協働という言葉の背景には、行政と民間の意思疎通あるいは連携ということが重要であって、両者によるさまざまな取り組みができるように工夫していく必要があるということで、このイメージを出させていただいております。
 それから、山村委員から、こうした態勢について、国が人員配置等についてしっかり示すべきという御意見がありました。この業務内容については、本部会でも御議論いただいておりますし、実施に当たって具体的にどのようにするのかということについては、モデル事業などの実績も踏まえて対応していこうと考えております。そういう意味では、第9回特別部会に松井委員の代理であった古川大阪府福祉総務課長から、地方自治体でやっているコミュニティソーシャルワーカーなどの実践的な仕組みが生かされるように、柔軟な制度設計にすべきという御発言もございました。
 これは、この場の議論のとおりでございます。この絵そのものが、ここでも御報告させていただいたさまざまな自治体の取り組み、例えば野洲市とか富士宮市とか東京都を参考にしてつくっております。こうした取り組みが発展するようにやることが重要ではないかと思っておりますので、そういうことにも留意して御議論をお願いできればと思っております。
 それから、家計の再建については、社会福祉協議会が地域で実施している生活福祉資金貸付制度との関係について、勝部委員からも御指摘がございました。2ページ目をごらんいただきますと、生活福祉資金貸付制度というものがございます。これは昭和30年代から行っていただいておりまして、低所得者あるいは障害者・高齢者を対象に、生活意欲の助長あるいは社会参加促進などを支援するための制度となっています。実施主体は都道府県社会福祉協議会であります。資金の内容のうち、総合支援資金は生活支援あるいは一時生活再建の資金として、リーマンショック後の平成21年度に創設されています。それ以外は、福祉的な資金として、生活に必要なものとか、事業を起こす費用、あるいは教育支援資金などがあり、そのうち教育支援費というのは、かなり活用されています。
 先程の御意見は、そういう中で民生委員さんの役割はどうなっているのかということでもございました。ここに記載されていますように、福祉資金あるいは教育支援資金につきましては、現在、地域を把握しておられる民生委員の御協力を得て、貸し付けあるいは具体的な相談を行っております。総合支援資金等につきましては、社会福祉協議会に直接お申し込みをいただくということになっております。
 今後、家計再建の相談をしていくことになれば、さらに御議論があるところですが、既存のものをいろいろと生かしつつ、具体的な仕組みを検討していただくことになろうかと思っております。
 それから、勝部委員から、社会福祉協議会が行っている日常生活自立支援事業と生活保護との関係において、被保護者に対する家計管理と日常生活自立支援事業はどのような関係かというご質問がございました。
 3ページにございますように、日常生活自立支援事業そのものは、平成11年、地域福祉権利擁護事業というモデル事業に端を発して、いわば福祉サービス利用援助事業として国でつくられました。地域で日常の金銭管理、特に認知症や知的障害あるいは精神障害など、判断能力の低下した人たちに対する支援事業として創設したものが源流でございます。したがいまして、これは認知症高齢者等の判断能力が不十分な方に対しまして、福祉サービス利用の援助を行うということでございます。
 具体的には、都道府県社会福祉協議会等が中心になりながら、基幹的社会福祉協議会、すなわち地域での中核的な社会福祉協議会などに委託してやっており、24年末の利用者数は3万7,000人ぐらいです。実際、福祉サービスの自己負担分を払ったり、新聞代を払ったりということなどを利用者との契約の下で行っている事業でございます。
 したがいまして、生活保護の家計管理と、この日常生活自立支援事業との関係は、生活保護受給者の中でも判断能力の低下した方については、こういう事業を活用しております。むしろ、生活保護の家計管理で考えているのは、自立に向けたステップはまず家計からということだろうと思いますので、日常生活自立支援事業とは別に、家計を支援した方が自立に向かうだろうと福祉事務所が判断した方について行うなど、ある意味すみ分けて行っていくことになろうかと思います。
 それから、堀田委員から、生活保護受給者同士がお互いに相談したり情報交換したりすることで自立を促す仕組みが有効ではないかという御意見がございました。
 参考までに4ページをご覧いただきますと、生活保護受給者の「社会的な居場所づくり支援事業」というのがございます。特に生活保護につきましては、日常生活自立、社会的自立、経済的自立ということを平成17年の自立支援プログラムの中でやってきております。特に社会的な居場所、家にこもっていたり、孤立するのではなくて、地域の中で居場所をつくって出てきていただくための事業です。
 こういうところには、生活保護受給者の中ボランティアとして自立を図っていく方々も含めて、こういう事業が活用できるのではないかと思っております。そういう意味で、こういう場を活用して、居場所あるいは社会貢献活動などの拡充を図る必要があるということでやっております。
 それから、藤田委員から、伴走型支援と就労支援の強化は矛盾するのではないかというお話がございました。
 当然のことながら、就労による自立か、保護かという二者択一ではなくて、支援を行うに当たっては、ニーズを把握した上で、自立に向けたいろいろなサービスを活用しつつ、多様な就労の機会を確保していくということが基本だろうと考えておりまして、そのような提案をさせていただいたということです。そういう中で、実際に就労が可能な人については、低額・短時間でも就労していただくことは、本人の自立に向けた一歩になるのではないかと思っております。
 もう一点、これも藤田委員のから、プライバシーの問題、家計や健康状態をケースワーカーへ提示すること等について、むしろ窓口が閉められてしまうことにつながるのではないか、それから、調査指示は最小限にしなければならないことと矛盾するのではないかという御指摘がありました。
 確かに自立していただく上で健康管理というのは非常に大切なことではないかと、基本的に考えております。それから、保護費の適切な金銭管理も、自分の自立とかきちんとした生きがいを持っていただくためにも、上手に使っていただくということが大切ではないかと思っております。そういうことで、適切な支援をきめ細かに行うことを大前提に、整理したものでございます。
 その上で、必要な人には必要な保護をする観点から、どういうことが必要なのかということを検討した上で行っていくということですので、調査指示はこれまでどおり慎重に行っていく必要があると思っております。
 もう一点、藤田委員から、最低生活費が支給されている保護費から返還金を求めることについてどのように考えていくべきか、丁寧な議論が要るのではないかというご指摘がありました。まさに、不正受給にかかる返還金と保護費の調整ということにつきましては、最低生活の保障という保護費との関係も含めて整理しなければいけない課題は当然ありますので、丁寧に検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

○宮本部会長
 どうもありがとうございました。質問を出された委員の皆さんを中心に、今の事務局からの説明に対して、いかがでしょうか。もし何かあれば。藤田委員。

○藤田委員
 質問に御回答いただいてありがとうございました。
 生活保護法の29条があると思うのですが、必要最低限の指導指示というところで、これまでの生活保護法の中で、健康管理なり金銭管理といった指導指示というのは可能だと思うのですが、これはあえて案として出すことにどういう意味があるのかという、質問はそういう趣旨だったのですけれども、もう少し踏み込んだ御回答をいただけたらと思います。

○宮本部会長
 いかがでしょう。今、可能な範囲で御回答いただけたら。

○古都社会・援護局総務課長
 健康管理は、歴史的に見て、健康増進法とか、いろいろな法律に出てきています。健康増進法には、国民は健康増進に努めなければならないという責務も位置づけられています。当然、扱いについては丁寧に行っていかなければいけないと思っておりますが、生活保護法は昭和25年の法律でありまして、割と包括的に書いてあるところもあって、現代的に言うと、法律は明確に書くようになっているので、そういう他法の流れも見つつ、運用も丁寧に行いながらということになると思っております。

○宮本部会長
 ほかに。勝部委員。

○勝部委員
 たくさんの質問にお答えいただいて、ありがとうございます。
 総合的な相談のところでは、官民協働の支援態勢を組み入れていただいたということなのですが、この民の中にNPOとか社会福祉法人というものも入るのですが、早期発見のところで言いますと、住民の方々の協働というあたりも含めたイメージでぜひつくっていただきたいということ。最終的には、包摂の考え方となりますと、住民の方々の協力とか発見力ということが問われますので、このあたりもこの中には含まれているという理解で進めていただけたらと思います。
 貸し付けについては、体制が不十分でありますと、幾ら貸し付けだけをしましても、お金を貸すだけではフォローアップできないという話をこの間も繰り返しお話させていただいていますので、今回のプランの中で、お金を貸すこととサポートをしていくことは一体的なものだという提案で、さらにもう一度お願いしておきたいと思います。
 日常生活自立支援事業につきましては、一定の整理をするということで、判断能力が乏しくて、いわゆる保護をする方々への支援については日常生活自立支援事業で、それから再建に向けての考え方に対しては家計再建というプログラムで、別メニューを持つという理解でいいということでしょうか。もしそうであるならば、それも含めて生活保護の対象者の家計再建のところでは、いずれも大切な部分ですので、別物であるとは言うものの、それぞれに対してきちっとした支援体制を考えていただきたいということもお願いしておきたいと思います。

○宮本部会長
 事務局から。

○古都社会・援護局総務課長
 最初のネットワークの件につきまして、社会福祉の基本的法律であります社会福祉法第4条の中に地域福祉の推進という条があり、地域住民あるいは社会福祉事業者あるいはボランティアの人たちが地域福祉を推進することが定められています。いわゆる国民の皆さん、地域の住民を含めて、地域福祉を進めていかなければならないということであり、基本理念はそこにあると思いますので、まさに困窮者支援等につきましても、そういう理念に沿って具現化していく必要があるだろうと思っております。
 最後のところは、当然一人一人に応じてサービスを提供していくということですから、判断力が低下した人には日常生活自立支援事業で対応していくことになるわけですし、ある程度判断力があって、もうちょっと背中を後押ししてあげればいい人もいるということだと思います。この前も岩田委員から御発言がありましたように、かつてケースワーカーが家計の支援を行えていた時代もあるということを聞いておりますので、そこを今日的に少し強化するということではないかと思っております。どのようにしていくかは、さらに御意見をいただきながら、具体的に考えてまいりたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。はい。

○岡崎委員
 1点だけですが、これからいろいろな形で生活困窮の方々の就労支援を含めて生活支援を行うときに、行政だけではなくて、社会福祉協議会の役割というのも、話が出ているように、だんだん重要になると思います。
 それで、全国社会福祉協議会、全社協のほうで、これからの社会福祉協議会のあり方の論議をずっとされていたと思いますが、報告書が出てきたのかどうか、確認しておりませんけれども、全社協としてのこれからの役割を、例えば都道府県社協、市社協、地区社協という組織がありますので、それらの方向性の取りまとめを多分されたと思います。
 それで、ここで論議している論点と、実際に活動をしていて、これからは地区社協が重要になるのですが、それぞれの地区社協は力の濃淡がありまして、活発に活動しているところと、マンパワー、財源が不足しているので活動できていないところとが、当然あります。ただ、地区社協を強化しないとうまく連携できないので、その辺の課題があると思っています。
 それで、資料をできれば整えていただきたいのは、全社協のこれからの方向性と、今ここで論議していることが、「どこがクロスして、どこがクロスしていないのか」がわからないので、そういう資料があれば、出していただいたらと思います。多分大事なところだと思います。それぞれがお互いに機能しないと、前へ進まないところがあるので、そこはお願いしたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございます。これは事務局にお願いした方がいいのか、あるいは今日は浦野さんがお見えですけれども、社協に関連している委員の方から何かコメントいただいた方がいいのか。勝部さんもそうですね。いずれにせよ、事務局で取りまとめていただくことになるのか。もし今あれば。

○古都社会・援護局総務課長
 私どもの方で、全社協からよく話を聞きたいと思います。全社協でも、福祉ビジョン2011を定め、アクションプランをつくっておられるのを我々も承知しております。特に、今回の仕事は、社会福祉協議会やNPOをはじめ、あらゆる人がかかわって、地域住民もかかわって進めていくことでございますので、地域でのいろいろな取り組みともうまく合わせて行っていけるようにしたいと思いますので、資料をまた整えて御報告させていただきます。

○宮本部会長
 勝部委員。

○勝部委員
 全国社会福祉協議会の方でも、この11月6、7日に全国会議が開催されまして、その際に社協の生活支援活動の強化方針というものが出されました。これは、生活支援戦略の中間まとめを踏まえた形で、社会福祉協議会の今後の方向性というものを取りまとめをされています。これについても決議を上げられたということですので、次回、また資料として御提供できるのではないかと思いますので、相談しておきたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。岡崎委員よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。事務局からの回答に対する議論は、ここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、今日の議案1になります。これまで二度に分けて「生活支援戦略」に関する主な論点(案)について議論を行っていただきました。これについての議論を整理したものを事務局の方に作成してもらいました。これは事前に委員の皆様には届けられていると理解しております。
 この資料は、項目に沿って皆さんの意見をまとめているわけですけれども、これから起草委員会で報告書を作成していくに当たって、まさにこの議論こそが素材になると思いますので、本日はこの資料の項目に沿って、こうした議論のまとめ方でよいかどうか、御意見をいただきたいと思います。
 まず事務局の方から、このまとめに当たっての観点を御説明いただきたいと思います。

○古都社会・援護局総務課長
 お手元の資料2でございます。これは、今日もお配りすればよかったのですけれども、9月28日にお示しさせていただいた「生活支援戦略」に関する主な論点という資料の中で、新たな生活困窮支援体系に関する論点と、生活保護制度見直しに関する論点を出させていただきました。それを先ほど部会長からもございましたように、9月28日、10月17日に本部会で御議論をいただき、あるいはいろいろな意見書もご提出いただいております。
 1枚めくっていただきますと、左の方に新たな生活困窮者支援の基本的な考え方があります。あるいは2ページを見ていただきますと、総合的な相談支援の在り方(谷間のない相談支援体制の構築)や、次のページでは、新たな相談支援の対象者など、こういう事項ごとにいろいろな論点があって、その論点の中には、かなり詳しいものもあれば、どういう方向性か御検討くださいといった、いろいろな論点があったかと思います。それで、前回までの御議論を総ざらいしまして、委員からの御意見を基本的には右の白丸で整理した形で入れさせていただいております。
 その上で、前回までの御議論につきまして、御意見が少ない論点もございました。例えば14ページ、15ページあたりでございます。ハローワークとの連携については、強化すべきという御意見があったかと思いますが、例えばハローワークが全国の福祉事務所を視野に入れて出ていって、常設の窓口を置く等々の提案もさせていただいております。
 これについては、具体的に触れることはなかったと思いますけれども、皆様方から一定の方向性を御理解いただいているのではないかということで、そこについては、例えば14ページ、15ページあたりにその論点をそのまま整理して入れさせていただいております。
 一方で、委員からの御意見もなく、論点(案)でも明確に方向性を示せていない部分。例えば、19ページの居住の確保を支援する対象者。2つ目のカラムにありますけれども、居住支援について、どういう対象者にするのかといったことについては、特に明確には書いていません。離職後の期間など対象者の設定をどう考えるかという論点設定だったのですが、ここについては、これから方向性を御議論いただきたい部分でしたが、御意見がなかったかなと思っております。こういうところは米印で、論点に記述した内容をそのまま記述させていただいておりますので、本日は御意見をいろいろいただければということです。
 こういういただいている意見があるところ、おおむね同じような認識をいただいているところ、それからこれから御意見をいただきたいという3つで主に整理いたしておりまして、この点も含めまして全体を通じて追加の御意見等をいただければという意図で、この整理(案)を作成させていただいたところでございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から、以上のまとめの資料に沿って、今、総務課長から要請もありましたように、追加の意見をいただくところ、さらにはこうした議論のまとめ方についての御意見も含めて議論いただきたいと思います。効率的に議論を進めていきたいと思いますので、おまとめいただいている論点を幾つかくくって、その枠ごとに議論させていただきたいと思います。
 それから、今日は複数の委員の方から資料も提出されてございます。ただ、残念なことに、後でまとめて資料の御説明をいただく時間を確保できませんので、今の議論の枠の中で資料を御活用いただいてお話をいただければなと思っております。
 それでは、お手元のこれまでの議論の整理(案)に沿って議論を始めたいと思いますが、1ページ目、新たな生活困窮者支援体系についてというところから議論したいと思います。1ページ目から6ページ目あたり、基本的な考え方、総合的な相談支援の在り方について御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。まず、堀田委員からお願いします。

○堀田委員
 整理していただいて、全体がよく見えるようになりましたし、いろいろといい意見が出ていることもよくわかりました。全体について、新たな生活困窮者支援体系と生活保護についてが1と2に分かれておりますけれども、これは両方を通じた一つの改革の理念、考え方というものに筋を通す必要があるのではないか。
 生活困窮者支援、自己決定、自立ということを理念に打ち出しておられます。それはそれでもちろんいいわけですが、それを含んで、私は生活困窮者あるいは生活保護受給者、全ての人を通じて、それらの方が人間として尊厳を持って暮らしていけるように支援する。その支援の一つのタイプが生活困窮者支援であり、さらにそれが経済的な支援に重きを置くと生活保護となるけれども、両者は同じ目的を持って総合的に機能していくべきものであるという考え方を、まず冒頭に打ち出す必要があるのではなかろうか。
 そういう基本の理念を打ち出しますと、今まで議論された点はほとんど自立を考えてやっておりますので、そのまま維持できるのでありますが、例えば生活困窮者支援と生活保護を分けるというのではなしに、前にも申しましたように、生活保護者についても困窮者に対するいろいろな支援をして、それぞれの人がその人らしく生きていただくように、この両者を最も有効に組み合わせる。
 生活保護というのは、経済的にどうしても自立できない方について支援するけれども、そういう方も尊厳を持って、精神的に自立して生きていただけるように支援しなきゃいけないし、できれば経済的自立もやがて達成するように、頑張っていただくという共通の考え方で両方をしっかり整理していただければ、すっきりした体系になるのかなと思いました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。厚労省案の1部と2部を包括する基本理念ということですね。恐らく総論などでどう書き込むかということになるかもしれません。前回、櫛部委員からも、1部と2部の温度差について御指摘がございましたけれども、そのあたりの整理も含めて、理念として統一的に打ち出していくということになるかもしれません。ありがとうございました。
 では、藤田委員。

○藤田委員
 私の資料7をごらんいただきたいのですが、今日お出ししているのは、私たちが創設しようとしている総合相談支援センターの法的な位置づけをどうするのかということ。あとは、そもそも相談支援センターにどんな権限を与えていくのかということを主に提案させていただきたいなと思っております。提出資料の要旨としてお出ししているところに、検討している相談支援センターには、例えば生活保護法による保護の決定権とか、何か法律の枠組みで支援していく枠組みがない。
 実は、このまま何も権限が与えられないまま、行政との協働でとかパートナーシップでということで、そのまま進んでいってしまえば、今のNPOの枠組みと変化がない。既存のNPOなり社会福祉法人が今、何をやっているかというと、行政に対してちゃんと保護をしてくださいというお願いなり要請なり交渉なりをしてきています。また同じようなセンターができて、ある部分保護の決定権が与えられなかったり、支援の決定権が与えられないとなると、今のNPOと既存の枠組みとさほど変化がない。
 なので、ここにお出ししているのは、既存の福祉事務所が、私たちがなぜこの方を保護してくださいとか支援を一緒にやっていってくださいとお願いしていかないといけないのかという現状が、こちらで新聞等の資料でまとめられています。本当に保護が必要な方たちに対して、保護は必要ないということで、支援の枠にそもそも乗せてもらえないとか。
 それは、熱心な厚生労働省さんの指導なり監査によって、それはやめてくださいということも言われているのですけれども、現状の福祉事務所がしっかりと支援の枠組みに乗せていけるような体制をとっていかないと、既存のまま、これは保護の決定権なり支援の決定権が与えられないまま進んでしまうと、現状と余り変わらないようになってしまうのではないかという危惧を持っております。今の福祉制度が、生活保護もそうなのですが、支援メニューと言われるものが福祉事務所とか社会福祉協議会に張りついていますので、NPOなり、権限がないものはそこに要請しないといけないことになっています。
 資料の1枚目をめくっていただくと、このまま法的な決定権がないまま進めるのであれば、福祉事務所の機能を上げていかないとどうにもならないのではないかと感じています。例えば現場では、水際作戦と言われるものが現にこれだけあるのだと、新聞報道等でも明らかになっておりますし、それ以降も、自治体の名前を出していて申しわけないのですけれども、不適切な改善指導が現場でなされていたり。
 支援というよりは、福祉制度から排除するといった自治体は、特殊な自治体ではないかと思われがちですけれども、特殊なことではなくて、私たちが日々かかわっている福祉事務所でも、日常的に支援ではなくて、排除が実際に行われています。そこでNPOがやっていることは、一緒に支援してくださいということなのです。なので、この福祉事務所の現状を改善することなくして、支援センターの創設ということはあり得ないのではないかと個人的には思っています。
 こういった形で、市民団体も抗議文なり、改善を求めていろいろやってきておりますので、権限をどうするのかということとあわせて、ぜひ福祉事務所の機能強化を、専門職の採用等も社会福祉士会さん同様に提言していますけれども、すすめていただきたい。現場ではこういう悲惨な状況になっていますので、なるべく早く福祉事務所の機能強化をぜひお願いしたいと思っております。
 私からは、以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。福祉事務所の機能強化というのは、この部会でも恐らく一致した望ましい改革の方向性ではないかと理解しています。その機能の中身について、これから調整が必要ということになると思っております。
 では、谷口委員。

○谷口委員
 4ページの最初の丸をごらんいただきたいのですが、「新たな相談支援機関は、直接のサービス提供を行うのではなく」という記述に関しては、再度検討する必要があると思っています。
 まず、話を聞くだけであれば既存の相談窓口で十分だと思いますし、新たに設置するわけですので、これまでの窓口とどう違うのかを意識しながら、この部会では論じていく必要があると思います。また、支援対象となる方々が生活困窮に至った経緯・状態を考えると、直接のサービス提供がなく単に聞くだけの窓口だと、そこを活用する動機としても弱いのだろうと思います。
 実際、若者の自立支援分野において成果を上げている相談窓口がどういった運営を行っているのかというと、相談機能だけでなく、そこにはアウトリーチや居場所機能、困難を解消するための体系的なプログラムといった直接的な支援サービスの提供が可能となっているか、最低でもそういった施設が併設されています。こういった実情から考えると、そもそも貧困等で生活が困窮し、そういった相談窓口に通うための交通費すら捻出できない人たちもいらっしゃることを考慮すると、新設される総合相談窓口には、最低限の基礎的な支援はそこで受けられるという方向性で整理していく必要があると思います。
 先ほど藤田委員が危惧されていた水際の実態があるということは、支援現場では共通の認識であると思います。特に生活保護の申請という段階では申請者側と決定者である行政側の意見の相違は少なからず起こることですので、それを前提として窓口の在り方を考える必要があります。つまりは、その間に立つ可能性のある総合相談窓口の役割としては、実際に緊急的な支援が必要なのにもかかわらず、それを受けられない方がでないよう、その日のうちに提供できる緊急的な支援、例えばフードバンク的な、直接的なサービス機能を付加しておくことを検討いただく必要があると思っています。

○宮本部会長
 ありがとうございます。総合相談窓口について、どこまではっきり書き込んでいくのかというのは、他方で自治体の規模とか取り組みの多様性を尊重しながら、フレキシブルな形にしていくことと、どう折り合わせいくかということでございます。折り合わせ方について、類型化というのもあると思いますけれども、委員の皆さんのお知恵を拝借したいところでもございます。
 それでは、勝部委員。

○勝部委員
 先ほどの藤田委員のお話と関連しますが、この総合相談はいろいろと議論されていますが、皆さん、もう一つイメージがわかないということが、いろいろなところでよく言われています。本質的なところで言うと、福祉事務所が福祉事務所の機能をただただ強化するということだけ窓口に置くのであれば、水際作戦の強化になる可能性もあります。今、展開しようとしているのは、そういうことではないというのは共通認識であると。
 その総合相談というのは、権利擁護の視点があって、先ほど堀田委員のお話でいけば、尊厳を持った支援をしていく。福祉事務所が尊厳を持っていないという話ではありませんが、そういうことで言うと、民の側にしっかり掘り起こしをして、アウトリーチをしていくという側をつくっていって、そこが福祉事務所と対等に今の生活困窮についての議論がいろいろできる場をセットしていくことがなければ、水際作戦とかでいろいろ問題が起きていることを、今まではNPOの方々が個別にやっていたような問題を、しっかりそれぞれの自治体のところで議論できるような場を持つことが、先ほどの官民協働の支援体制につながるのかなと思います。
 できれば、そこで、今、谷口委員がおっしゃったような緊急的かつ必要なサービスを開発していく。例えばフードバンクのようなものが必要だとか、小口の資金が必要であるというものについては、自治体で必要な支援について生み出していくような総合的なことができるような窓口になっていかなければ、従来の形とは何ら変わらないのかなと思います。
 そう考えますと、公的な事業としてきちんと位置づけをされないといけないのですけれども、余りがんじ絡めの事業体になっていくと、そういう柔軟な対応ができないことになりますので、そのあたりがこの窓口の生命線になるのではないかなと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。はい。

○山村委員(青木代理)
 私、埼玉県社会福祉士会の青木ですけれども、総合窓口が保護の決定権を持つことは問題があると思います。それは、官民がお互いにパートナーとして、それぞれの専門性を発揮しながら協働して生活困窮者を支援していくときに、民の方が巨大な権限を持ってしまったらば、そこがまた一つの利権構造というか、権力構造の中に取り込まれてしまって、本来の自分たちの専門性を発揮するチャンスがむしろ減ってしまうのではないかと思います。
 そういう意味で、先ほど意見があったように、緊急的な意味でのさまざまな即応的な機能を持つ必要があるかと思いますけれども、例えば小口のお金のこととか食べ物のこと、あるいはシェルターとか。その辺を総合相談を担うところが受けとめるということでいいのではないかと思います。

○宮本部会長
 岡崎委員。

○岡崎委員
 幾つか整理をしなければいけない点がそれぞれ御意見で出ております。例えば、厚労省からは、総合窓口でどこまでやるかという絞り込みの資料がまだ出ていませんので、幾つか大事なところとして論議しておかなければいけません。
 例えばカラー刷りの資料1で、先ほど御説明がありました総合窓口センターのイメージがありますが、ここで何を持ち込むかというのは、我々行政が窓口の主体になる可能性が非常に高いので、もう少し細かく整理していただかなければいけない。マンパワーの問題と財源の問題、また範疇までやるかというのを後で整理しなければいけませんが、今、論議があるように、資料のグリーンの部分をそれぞれやろうというイメージになっています。緊急的な支援施策、それから福祉事務所の権限と相談窓口センターの権限は、もちろん権限区分しておかないといけません。
 生活保護の決定は、福祉事務所が行うべきであると法律上も当然に考えますが、この相談窓口センターから、生活保護が必要な方は福祉事務所へきちんと連絡がとれて、そして生活保護が適用されるという連携は保障されていないといけませんので、フロー図を書くとフローが分かれるわけです。生活保護が必要な方は、福祉事務所へきちんと連絡が行って生活保護を適用する。一時支援的なもののメニューでカバーできる場合は、そのメニューもどのぐらいあるかということで、相談窓口センターが判断して、その緊急的な支援でカバーできるものはそちらでやる。
 それから、各種民間のNPOとか支援団体でご協力願うものは、そちらの方にフローとして流れていくというふうに、権限区分しながら適切な対応というものをとっていかなければならない。まだ細かく資料が出ていませんので、少し漠然としていますが、法的に言うと、行政の方で一定の相談窓口センターをつくらなければいけなくなるのではないかと判断しております。
 前回も言いましたが、ザクっとしていますので、今後絞り込みをしながら、我々のマンパワーがどれぐらい要るか。それから、財源の問題はかなり後になると思いますが、どのぐらいの財源が地方負担で要るのかということも後々論議しなければなりませんので、その権限の部分と福祉事務所の連携部分というのは、入口として大事な部分ですので、きちんと押さえておいた方がいいと考えます。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 では、岩田委員。

○岩田委員
 ちょっと前に戻るのですが、最初の目的、基本的な考え方のところです。最初は、自立ということだけではなくて、参加と自立という表現で書かれていたのですけれども、参加というのが全部落ちてしまっていて、供給側の視点という感じが非常に強いですね。
 例えば、2つ目の丸に、生活困窮者の参加と自立には多様な形があるということとか、それから最初の丸のところでも、自己決定を最優先にということがなぜあるかということについて、先ほど堀田先生もおっしゃいましたけれども、最初の理念をもうちょっとはっきりさせないと、おしりをたたいて、ともかく自立させるというニュアンスになってしまうかなと思います。
 そして、本人の能力が地域社会の中でも発揮できる支援のあり方ということのプロセスの中に、さっき尊厳という言葉がありましたけれども、困窮者自身が自尊感情を非常に失ってしまっていることがしばしばあるわけですね。ですから、現場で支援されている方は、そこの回復ということを非常に重く考えていらっしゃると思うのですけれども、そういうプロセス等を含むのだということを、どこかに書かれた方がいいかなと思います。
 こういうフローチャートを書いて、今、細かく詰めていくと、私が元ホームレスの人で、今、地域に戻った人へのインタビュー調査をやったとき、全部メニューがあって、自分の知らないところで決められていって、私はここにいるというお任せなのです、と述べていたことが思い起こされます。そうなりますと、地域社会の中で構成員として生きていくという方向づけが、自覚されなされなかった。よそ事なのです。だから、これも下手するとそうなるかなという不安がありますので、最初のところをきちっと書いた上で、それに沿って、こういうプログラムをつくっていくことが大事かなと思いますので、ぜひ参加ということを加えていただきたい。

○宮本部会長
 ありがとうございました。それも、恐らく総論部分で受けとめるべき事柄かなと承っておりました。
 実は、1コーナー、10分から15分ずつぐらいの割り振りで設計していたのですけれども、議論が相次いでございまして、本来ならばもう一回ぐらい会議を設けるべきなのかもしれませんけれども、私の理解では、28日にこの議論を踏まえた報告書の素案を出す必要があるということで、今日の段階で全体について議論をくぐらせておく必要がございます。御協力をいただければと思います。
 どうぞ。

○奥田委員
 すみません、2の相談支援のところなのですが、今回、新たなシステムをつくるということで、今までの相談とは何が違うのか。今、岩田先生がおっしゃったところと絡むのですけれども、自立支援のためにこちらがいろいろ処遇を考えて、それを提示してどんどん進めていく。そうではなくて、伴走型支援という言葉を今回重んじたと思うのです。その割には、伴走型支援とは何かということが余り書いていないのです。
 ですから、本人主体であるとか、プランにしても、相談員がプランを勝手に書いてしまうのではなくて、本人が私はという主語でプランが書けるとか、伴走支援とは何かとか、寄り添い型の支援とは何かということの概念が、それは参加ということも含めて、まだ明確ではないのではないか。このまま行くと、今まであった相談窓口と、さらにもう一つふえてしまうという感じがちょっとします。ですから、本当にこれは今までの福祉の体系もとても大事だったけれども、もう一歩進んで、本人主体とか伴走型支援とか。
 そういう意味では、私は、さっき谷口さんがおっしゃったことはそのとおりだと思うのです。緊急支援的なものが必要だと思うのですけれども、一方で、伴走しながらコーディネートして、社会資源をどれだけつくれるか。ですから、この伴走支援というのは、本人と伴走するとともに、対個人という働きとともに、社会に対してどうアプローチするかというと、伴走支援というのは、私は2本目の戦略で、何回も同じようなことを言ってすみませんけれども、個人に対して寄り添いながら伴走する。
 そして、プランを立てながら本人主体の中で選択を本人がしていく。そこを寄り添い型でやっていくとともに、本人が選択できる選択肢を地域でどうつくるかというコーディネート、もしくはそこを起こしていく担当者でもあると思います。ですから、伴走支援というのは、対個人であり、対社会である。社会に対しては、社会資源の創造までできるという踏み込みがないと、カードが切れない。だから、結局はお話を聞いても、カードが切れなかったら気休めなのです。
 そこの足らない社会資源のニーズの発掘と、それを誰がするのか、それをどういうぐあいに社会資源同士がアプローチしながら、協力しながら積み立てていくかということをコーディネートしていくのが、私は伴走型支援員だと想像しているのです。ですから、伴走支援とは何かという概念をぜひ盛り込んでいただきたい。そこが新しい一歩になるのではないか。特に、対社会です。個人に問題があるだけじゃない。社会に問題があるから個人が苦しんでいるわけだから、社会が生み出したものを社会自体が解決しないと、その社会に戻すだけだったら同じことの繰り返しになる。
 社会自体をどう創造的に変えていくかというのが、この伴走支援の新しさだと思うので、その辺を踏み込んで書いていただきたいし、そういうことをサポートできる制度にしていただきたいと思っています。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 では、櫛部さん。

○櫛部委員
 先ほどの藤田さんの意見で、そういう思いをされているのだなということと、ちょっと違和感と、両方ありました。
 憲法25条は、国家責任と国民の権利を明記したものであることは御承知のとおりですね。つまり、公的扶助ですね。先ほど、民間が決定権を持つという形というのは、公的扶助を解体したいのかなと思われてもしようがないと思います。多分、そういうことではないと思うけれども、官民協働の溝といいますか、どう埋めるかということが重要で、先ほど堀田先生以下、ずっとおっしゃられました、人としてというところの基本的な理念が貫かれるようなことになっていかないと、そこの協働の踊り場をつくることがなかなかできないのかなと思います。
 センターをつくった、福祉事務所にお願いしたというだけじゃなくて、その間に協働の踊り場みたいなことを何かつくっていかないと、文化的な差を埋めていくことはなかなかできないのかなと思います。
 それから、資源ということになりますけれども、社会福祉協議会のお話もありました。勝部さんの豊中市社協も尊敬しますし、秋田の4,000人の町で100人の引きこもりを支えている藤里町の社協も私は高く評価するけれども、それは少ないわけですね。だから、新しい公共と言われた時点で、既に社協は何だったのだという話なわけですから、単純に仕事をください、これをやりますという話ではないはずだというところで、社協を含めて可視化されなきゃいけないわけですね。そういう踊り場をつくらないと、それが1つ。
 それから、先ほど奥田さんがおっしゃったように、いろいろ相談を受けても、岩田先生がおっしゃったように、地域に出ていく場がなければだめなのですね。また、家計簿調査も昔からずっとワーカーもやっていました。それは教育的にやっていくわけで、決して何か剥がしていくためにやってきたわけじゃないのに、今はそういう使われ方をもしするとすれば本意じゃないなと思っていまして、その辺、理念全体として貫いていってほしいなと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、次に7ページから13ページになりますけれども、3.就労準備のための支援の在り方と、4.中間的就労の在り方について議論をお願いできればと思います。いかがでしょうか。広田委員。

○広田委員
 人身事故で遅れて来て、よく見えないのと、これが昨日届いたのでほとんど読めていないのですけれどもね。
 さっき福祉事務所の話が出ていたのですけれども、読み上げませんけれども、マスコミの記者たちもジャーナリズムがないのでやめたいということで悩んで鬱になったりしている、このマスコミ報道が変わらない限り、神奈川県警をたたき過ぎたり、心中事件なのにストーカーとかと大騒ぎしていますから。そうですよ、心中ですよ。男が殺して死んでいる。そういうことをはき違えちゃって、愛も何も全然わからない人たちが大騒ぎして、この日本のマスコミの流れが変わらない限り。
 昨日もハローワークに行ってきたのです。その帰りに「海ゆかば」をカラオケで歌ってきたのですね。この国の平和と、自分の恋人や家族のために死んでいったとうとい英霊たちがまだ70年もたっていない中で、こんな体たらくの論議をしなきゃいけない日本になってしまったのかと。ここにも書いていますけれども、今、日本が愛の欠乏社会時代だと思います。それを全部制度で補おうとしても、それはできない。
 私は、堀田先生や岩田先生がおっしゃるように、本当に1人の人間が尊厳を持って、この国で生きていく。そのためのこの会議でありたいけれども、なぜ入ってきたかと言えば、近所の子ども、今朝もいっぱい電車で会っています。あの子たちに現在1,000兆円の借金を負わせているこの国が、これ以上借金を積み重ねてはいけないということで、今日は西村さん、タレントの方、見えてないのですけれども、私は母子加算が何でついているのか、さっぱりわかりません。あの時点から反対だけれども、民主党政権のもとで責任を持って廃止するぐらいの、そういう抜本的な気概がなくて、民主党政権になった意味もない。
 精神の方では、今日お見えになっていないけれども、津田さんという前政務官がおいでになったことで、本当に政権を交代されたなという、保護者規定が外れるという歴史的な一瞬に検討委員としてかかわらせていただいています。
 私は、岡崎さん、社協の宣伝マンのようなことをおっしゃるけれども、地方自治体は大変ですよ。みんな、国がこれ以上、何か新しい制度をつくったら、どうするのだと。例えば対馬の市役所の中に包括支援センターを置かなきゃならない現実があるわけですよ。全国津々浦々、小さな自治体、大変ですよ。統廃合してくれ。そうしないと、我々は立ち行かない。そういう声をそれぞれのアイデンティティーに基づいて発言なさらないと、私はたまたま全国あちこち出歩いているから、そういう話を聞いてきますけれども、そういうことです。
 それから、この委員会自身がそういう生の声を背景に成り立っている。これもまた、世論に押されて成り立っていると思いますよ。そういう中できちんと真摯にやらないと、障害や精神の方の国及び地方自治体の委員会と同じように、みんなが仕事くださいで、その人たちの心の中に、藤田君も私も生活困窮者になる可能性があるから、これをくださいという前言葉があると、すごくわかりやすいのですけれども、そういうことです。
 それから、前回出したけれども、全然話すチャンスがなかったのですけれども、鬱とか認知症がマスコミ報道もあるし、まさに愛のない、現在の日本社会ですよ。堀田先生、今度うちに来てください。うちはドアをあけて、オープンザドア、オープンザハート、そして駆け込み寺をカンパでやっている。何でもかんでも制度でやるというのではなくて、ニューヨークタイムズ支局長が言っています。アジアで唯一の先進諸国日本、そこがもっとボランティア精神を発揮しないで、全て制度で賄おうとするから1,000兆円の赤字なのです。私たちも社会貢献しなきゃいけないし、ここに来ている宮本太郎さんも、昨日毎日新聞に出ていましたけれども、忙しくて読めませんでしたが。
 そういうことで、地域社会と言ったときに、行政が地域を何かするなんていう戦争中の隣組じゃいけないのです。新しい時代の日本にふさわしい、もっと心を開いてマスコミもたたかない、生活保護の人を見張っていない、そういう社会にしない限り、どんな制度をつくっても魂は入らない。
 それと、ハローワークに行ってきました。全く使い物にならないと、みんなから苦情ががんがん来るから行ってきたら、そのとおりです。村木さんがちょうど帰ってきたからよかったのです。何年か前に村木さんが労働に行っているときに、合同面接会に精神障害者だけ医師の意見書を出さなきゃいけないと言われたのです。それで、私は村木さんに電話しておかしいと言ったら、じゃ、偉い人に会う、担当者に会うと言うから、私は担当者ということで、撤回していただいたら、何と、今度は就職するときにハローワークに意見書を出さなきゃいけない。
 高いところは、意見書は1万円です。安くても3,500円。患者の負担になる。医者は嫌がっている。医者は病気を治療するのであって、就労がどうのこうのまで見たくないという声。すぐ撤回していただきたい。何のために使っているか。企業に見せるのではないのです。あくまでもハローワークが自分たちのために、この人はどういう人かという判断基準にするのです。そこにPSWが張りついて50分も面接しながら、やれ就労支援センターと連携するとかいって、自分が受けとめられない。櫛部さんのように受けとめられないのです。受けとめられない日本人が多過ぎて、判断能力もなきゃ、危機回避能力も、全部警察に安全を守ってもらっているこの国で、どうやってこんなものをつくって、誰がやるのと。
 村木さんがこの間福祉新聞に出ていて、いいなと思ったのはちょっとだけです。資格がない人も相談員になった方がいい。私もそう思います。私、アメリカまでピアカウンセリングの研修に行った。私の人生経験の方が豊かだったわと思ったのですけれども、そういうことで抜本的に考えないと、国にかわって言えば、お金はない中でどうやって地方自治体のあえいでいる声に応えたり、そしてこの国に産業がない限り、どんなにいい相談員があらわれたって、仕事がないのに就労に結びつかない。精神障害者の雇用率がまだ義務化されていない、この国ですよ。
 そういうものをいっぱい整備した上で、いろいろなことを本当に同時進行に、これからだとならなきゃいけないのでしょうけれども、そういうことです。つまり、ハローワークは使い物にならないから、きちんと仕事を求める人が来たときに使えるようなハローワークにして、さらに精神障害者の生活保護のコンシューマーとかが多いわけですから、そこはきちんと働けるような環境整備をする。精神障害者が働きやすくなれば、企業の中はもっと緩やかな優しい企業になる。
 そして、マスコミが今日少なそうですけれども、来ていたら、すぐチキンレースという特ダネ合戦をやめて、本来のジャーナリズムに立ち返らない限り、どんな制度をつくっても、こういう問題はいつまでも起こるし、この間言いましたけれども、234億円の自殺対策もNHKの清水君に言われてつけているのではなくて、マスコミの人に言われたらつけるのではなくて、取って、自殺報道とかいじめ報道をやめない限り、どんなにやったってみんなその連鎖で苦しんでいる。私自身も自殺の遺族ですけれども、本当に報道を見るたびに嫌な思いをしているということです。
 だから、原点に立ち返って、お金がない中でどうやって本来のアジアで唯一の先進国である日本らしく暮らしていけるかという視点でやっていかない限り、だめだと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。ほかに。はい。

○柏木委員
 就労支援について少し述べさせていただきます。
 まず、中間的就労の雇用の場づくりを普及させていくために、社会福祉法人が先駆けて成功事例をつくっていかなければならないと考えておりまして、できるだけこういうものに取り組んでいきたいと思っているのです。しかし、法人数が圧倒的に多い一般企業が参加しなければ、全国的な広がりはないと考えております。私、企業で長く勤めていたものですから。
 中間的就労の形態について今まで御議論があった中で、労働市場全体に悪影響を及ぼさない配慮や、地域の代表者も参加した運営委員会の設置や、認証の仕組みを入れるという御議論があって、それは必然だと私は思います。しかし、このような部分を強調すると企業は参加しづらいです。私は、企業が中間的就労の場を一番つくってくれる可能性があると思っております。企業にとってメリットのあるものを入れることが必然だと思っております。それは、税制の面で優遇するとか、いろいろあると思います。
 景気が後退局面に入ったとも言われていて、雇用状況は悪化していると思います。地方におると、それを物すごく感じるのですけれども、中間的就労や社会的就労の取り組みが、新しい事業を生み出し、労働市場に活力を与えていけるものにしていきたいなと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 ほかにこの第2のパートについて。では、上田委員。

○上田委員
 今の御意見には賛成なのですけれども、結局、中間的就労が出口のない中間就労、いわゆる一般就労にステップアップさせるための中間就労ということではなくて、社会的なハンディを負った方が現にかなり固定的におられるという状況について、就労者を教育するのではなく、社会がそれを受け入れられる体制をつくっていくことが今、一番大事なことだと思います。
 税金でこれから何ができるかということについては、広田さんが言われるように、1,000兆の国債、国の債務がある中で、これ以上追加的にすることはなかなか難しいと思いますけれども、今、使っているお金の使い方の方法を変えることによって、例えば公契約です。今、契約するときの一般競争入札という方法を、政策的な入札制度に変えていくということを主導的にやっていけるような提言をする、あるいは法的なバックアップをすることによって、今、使っているお金を民間の中で工夫し合いながら、就労者をふやしていく、就労の場をふやしていくという出口をつくることが最も大事なことだと私は思います。
 何度か社会的企業ということでお話、議論がございますけれども、このペーパーの中でもおまとめいただいている資料2でも1カ所か2カ所ぐらいしか出てこない。ここは、私はもっと議論をし、そしてどういう制度があり得るのかということについて、たくさんの知見を皆さん方が持っておられるので、その知恵を出していくべきであると思っております。
 指定都市市長会から、資料4で意見書を出させていただいております。この中で細かい点もございますけれども、中間よりちょっと下のところ、支援の担い手として協働する社会福祉法人やNPOなどの民間支援団体を育成することが必要不可欠である。社会変革を求めるためには、やる気のある企業あるいはやる気を起こすような団体をつくっていくことにいかに心を砕くかということが、今、求められると思いますので、その点の柱をぜひ太くして意見書をまとめていただければ大変ありがたいと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。はい。

○野老委員
 うまく話せないから、ずっと黙っていたのですけれども、私は、民間企業として、税金を納めること、雇用を増やすこと、いい仕事をすることを頑張ってきました。その上で、211万人の生活保護がいる。それが税金を物すごく使っていると受けとめて、自分たちのできることでそこに関与することがあればということで、ずっとやってきました。
 例えば、私たちが企業として1,000万円の税金を一生懸命働いて納めようとしたときに、生活保護の人たちがそれで増えてしまったら、意味はあるのでしょうけれども、自分たちがかかわる生活保護世帯の人たちが自分たちとのかかわりを持って、1年、2年、3年かかって税金を納める側になったとしたら、そこから50年、60年、生活保護を受けっ放しになる人の累計の1億円近く使われるお金が、自分たちの努力でできたとしたら、その税金を納めたのと同じぐらいの価値があるじゃないかということで、社員さん同士で励まし合って、公的なお金を使うことじゃなくて、自分たちの努力でやってきています。
 ついこの間も、ケースワーカーの方から御紹介された、30歳、60歳の方がごみ屋敷の中にいる。ケースワーカーの人たちが5人、我が社の社員が10人。それでも片づかなかったから、別のときにケースワーカーの人が6人、我が社の社員が15人入って、やっと何とかごみは片づいた。私たちの中では、これって誰の仕事なのだろう。もしこの人が社会の一員になったら、うちの本当にいい助っ人になってくれるかもしれないし、税金を納めたことと同じような価値が出るじゃないかという励ましの中で、何とかやれることをやる。
 これは、広田さんが言った気持ちと同じでして、制度を幾ら積み上げても、実際はできないだろうという思いがあって努力していることなのですけれども、そういう民間の持っている力、問題意識をちょっと頼ってもらったり、問題を提起してもらったりして、シャッター通りの人でも、税金を納めることはできないけれども、1人面倒を見て、その子に今やってきた仕事を教えることとかで、できることはあるのです。そういう広がりみたいなものを、私は仕組みにはできないのですけれども、話の中で一番ぴんとくるのは、広田さんの発言がいつもそうだ、そうだと思える企業家としての思いがあるので、中間的就労というところで自分の役割があるなと思っているのです。
 そんな思いで仕事ができて、かかわることができて、そしてそれを評価してもらえて、なるべくお金を使わないように努力して、未来の借金をつくらないというのは大賛成で、そんなやり方をつくれたらいいなと思っています。すみません。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 では、谷口委員。

○谷口委員
 1点だけ。前段の就労準備のための支援のあり方の部分に関して言うと、本人支援がメーンに打ち出されていると思うのです。しかしながら、所属する家庭環境へのアプローチがすごく重要なケースも実際にはあります。例えば家族が妄想性の高い精神疾患にかかっているとか、あるいは自殺企図を繰り返している、認知症で徘回するとか、DVを受けて非常に苦しんでいる方などもいらっしゃるわけです。その状態で幾ら支援対象となった本人だけ準備支援や職業訓練をしたところで、フルタイムで働けというのはとても困難なわけで、逆に苦しめてしまうことにもなり得る。
 そういった意味でいくと、関連の施策が十分に機能していない部分をフォローするという観点も必要で家族支援、環境への支援というのも、この就労準備のためには必要であることも打ち出しておくべきではないかと思います。

○宮本部会長
 花井委員が先に。

○花井委員
 7ページの一番下の就労準備支援事業の実施期間と、11ページの中間的就労の支援期間についてですが、いろいろな意見があります。
 例えば、無期限にしてしまうと、そこに滞留してしまうのではないかという懸念も当然あることは承知しております。ただ、本人の意欲とか意思に関係なく、例えば経済の状況によって就職したくても就職できないとか、あるいはやむを得ない病気にかかったとか、さまざまな事情が考えられます。ですから、この期間につきましては、もちろん間にアセスメントを入れることが条件なのですが、最初から期間を設けない形で検討する方がいいのではないかと考えております。
 それから、先ほど中間的就労をめぐりまして、都道府県の認定あるいは認証という言葉も出ておりましたが、私たちは都道府県の認定が必要だろうという意見を出しております。今、実際現場でされている方々は本当に献身的に支援されていると思っております。さまざまな方と相対されていろいろな支援をされていることは十分承知の上ですが、いざ制度化すると、必ずそこに貧困ビジネスが入ってくるという懸念も一方で強くあります。したがいまして、そういう仕組みはどうしても必要ではないかということを、ここで述べさせていただいたということです。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 では、藤巻委員。

○藤巻委員
 先ほどから民間企業も中間的就労を実施した方が良いのではというお話なのですけれども、その趣旨はよく理解できます。一方で、今、若い人たちがなかなか就職できない時代です。それから、企業も経営環境が非常に厳しいため、人員削減を検討している企業の方も多いのではないでしょうか。
この部会で事例を発表させていただきましたけれども、当社は、ジョブ・カード制度を利用して、一旦就職したけれども離職した方、あるいはフリーターをやっていた方々を採用させていただきました。連合の花井委員のご発言や、今日の資料に訓練という言葉が出ていますけれども、ジョブ・カード制度を利用した経験から、中間的就労は、訓練という言葉が本当にぴったりだなという印象を持っています。そう考えると、一民間企業としては、ノウハウの問題、コストの問題があります。コストには、人的な問題もございますし、今、置かれている経済環境、さらに若い人の雇用に配慮しなければならない等々の問題を考えますと、中間的就労の実施は、非常に厳しいなというのが実感でございます。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。申しわけございません、二度目以降の発言はできるだけ一言でお願いいたします。

○櫛部委員
 中間的就労がどうしてもうるかし場のように見えている。もっと本当は積極的だと。先ほど上田市長もおっしゃいましたけれども、自尊心の回復とかみんなとコミュニケーションをとってとか。そういう意味では、受給者も困窮者もいわば地域の担い手といいますか、人材だという発想がもうちょっと、人が人を育てるといいますか、そういう循環として貫かれないと、どうも対策だと、こうなってしまっているのだと思うのですよ。中間就労をそういう当事者性で見ていくと、積極的なものに見える。
 社会的就労という言葉がいいのではないかというのは、まさにそういう意味なのだと思うので、そこが抜け落ちていくと非常にまずいと思いますし、私はハローワークが福祉事務所を支援するというのは、逆じゃないかと思っているのです。福祉事務所がハローワークを支援すべきだと。あるいは、ハローワークで中間就労の場もありますよということを紹介するということが先々必要になってくるのではないかなと、思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 3回目ですね。半言ぐらいでお願いします。

○勝部委員
 総合相談と今の就労のところに関連すると、今回の相談窓口というのは、こういう就労や社会参加の出口づくりをメニューとしてつくっていくことが提案されていない。それも、お金をつけて何とかするという話だけじゃなくて、市民を含めて、そういう協力していく体制をつくっていくことが大切なのだろうと思いました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、予定よりくくり方を大きくさせていただきますけれども、13ページから23ページまで、項目としては、ハローワークと一体となった就労支援の抜本強化、家計再建に向けた支援の強化、居住の確保、「貧困の連鎖」の防止。やや項目が多いですけれども、進行の都合を御理解いただいて、この部分についてはいかがでしょうか。
小杉委員。

○小杉委員
 「貧困の連鎖」の防止のところで。ここで、地域若者サポートステーションのことが書かれております。後で時間があれば多分発表があると思いますが、地域若者サポートステーションの在り方検討委員会で中間まとめを行いました。、地域若者サポートステーションは、これまで社会参加がうまくいかない若者たちへの支援をしてきており、専門性もつきまして、かなり力のある支援になってきたと思います。これをこの中でしっかり位置づけていただくというのは、大変よかったなと思います。
 その上で、これからのことを考えますと、まず若者向けの相談支援センターの専門性というところに福祉と病気の話だけ書かれていますが、若者の場合、就労への支援が非常に大きな、特に地域若者サポートステーションはその部分が特に大きいのですが、そういう労働市場の状況とか訓練の制度という労働に関する知識が非常に重要な柱になると思います。そういう意味で、この専門性というところが非常に重要で、それがもっと幅広い専門性であるということを、1つここに書き加えていただきたいなと思います。
 それと関連するのですが、実は労働への接続が非常に大きな役割を持っておりますので、この設置主体をどこに考えるかというときに、労働との接続を考えると基礎自治体を離れるというか、基礎自治体を越える労働市場圏になると思うのです。そういうことで、基礎自治体からもうちょっと広い立場から、この若者向けの相談支援センターの設置というのは考えていただけないかなと思います。
 3番目に、22ページに書かれております実施主体のところで、役割分担の話が出ています。今回、今まで議論されていないので、ここでぜひということだと思いますが、これは最初の議論にありましたとおり、役割と権限をどうするか。相談総合窓口の若者の部分について、地域サポステが担っていくとしたら、そこで全く同じ議論があると思います。その辺はきちんと整理して、権限のない相談だけの役割だけではなくて、もう一歩踏み込んだところで、福祉の担当者の方とある部分では対等に相談できるような関係性がぜひ欲しいなと思います。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 では、宮本委員。

○宮本みち子委員
 今の子どもの貧困の連鎖の防止の点で、ちょっと一言。検討会の方でも私はメンバーになっておりますけれども、気になっていることが、生活支援戦略の親会議はここですけれども、1つは、生活保護世帯の学習支援と、もう一つは、高校生の中退問題という2つの柱に分かれていて、そのことが強調されるがために、抜け落ちる部分がかなりあるのではないかという気がしております。
 結局、一言で言ってしまうと、後期中等教育を受けられない状態にある人たちの学習の問題であり、就労の問題ではないか。もう少しそういうスタンスで捉え直しをして、文言等に注意をしないと、高校生年齢ですと中退問題に全部フォーカスしていく。では、中学を卒業したまま社会に出た人たちについてはどうなのかということが、議論になりにくい状態にあります。これは親会議のところできちんと位置づけていただかないと、まずいのではないかという感じがしております。基本的には、後期中等教育を全ての若者たちに保障する。
 それは、高校の卒業資格を必ずとるという固定した考え方ではなく、そのレベルの学力保障ですね。あと、就労支援をきちんと入れるという形で、最初のところの書きぶりを変えていただく必要があるのではないかと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。はい。

○山村委員(青木代理)
 19ページの居住確保を支援する対象者についてというところで、議論がなかったということで、これについて発言してよろしいですか。
 私ども埼玉県の社会福祉士会では、県からの受託事業で住宅支援を行っています。主には、無料低額宿泊所に入っていて、非常に劣悪な環境にいる人たちを何とか地域の一般の生活ができるように支援するということと。それをやっているうちに、福祉事務所から、さまざまな住宅に困窮している人たちの支援を依頼されるようになってきました。現在は、立ち退きを迫られている人。
 立ち退きといっても、古くなった建物を取り壊すということで迫られる人はまだいいのですけれども、家賃を滞納していたり、自分の家でもローンを払わなかったりして、競売にかけられて強制的に退去させられる、あるいは契約更新ができないで家を失っていく方々。あるいは、会社の寮に入っていて、けがをしたりして仕事がなくなって家もなくなるという人。あと、刑期を満了して出てきたのだけれども、住むところがない方。それに、病院に長期に入院しているうちに、元いた自分の家、アパート等がなくなってしまっていて、帰るところがない。そういう人たちがかなり多くいます。最近は、世間の目が厳しいことから、高額家賃のところから基準内の家に移るという支援も行っています。
 その場合に、そういう条件だったら誰でもやるということではなくて、多くは保証人もいない、緊急連絡先もないといった方々。さらに成人病等の何らかの疾患を抱えている方ですと、自分の力で家を探すことがとてもできない。そんな方々を現実に支援をしています。
 そんなことで、一般的に誰もが簡単に、誰か身内がいるでしょうと言われても、そういう人ほど長年の間縁を切ってしまっている。そういう利用者に連絡先等の必要性を説明していくと、どういう人のことを緊急連絡先と言うのかと聞かれます。要するに、あなたがそこで亡くなったときに、これはこいつに間違いないと首実検してくれる人だよと話すと、そうか、金の要らない保証人かと言って納得する人が中にはいて、一生懸命友達等に当たったりする。緊急連絡先があれば何とか家を借りられることがありますが、その両方ともない場合に非常に苦慮しています。その点については、それぞれの地域の不動産屋さん等々と連携をとりながら支援をして、何とか探しているという実情がございます。

○宮本部会長
 一言でお願いします。

○広田委員
 住宅です。今日は内閣府の山崎史郎さんが見えている。何をしているか、よくわかりませんけれども、内閣府と国土交通省と厚生労働省が音頭をとって、この国の住宅施策を打たなければ、ハローワークの委員会ばかり、あっちへ行ってもこっちへ行ってもやたらあるのですけれども、今おっしゃった社会的入院の精神障害者、国内の拉致被害者ですけれども、それを解消するためには、例えばサンフランシスコですと、500戸のアパートメント、日本で言えばマンションを借り上げて精神障害者に貸し出している。
 いろいろなバリエーションのある住宅施策を打たない限り、人ばかり幾らつけても、ホームレスに支援ばかりしてもだめです。ホームレスを自己決定でしている人もいると、私、前に言いましたけれども、この前もそういう女性にお会いしました。でも、私は精神の被害者として多量の薬を飲まなければならない生活を強いられていますけれども、宮本太郎さんも来ていただければわかります。すてきな、快適なうちに暮らしたことによって、また交通事故のリハビリでスパに通ったことによって、薬を少しずつ減らせてきているのです。
 そういうことで、衣食住の住宅は抜本的に国を挙げて、これが精神障害者の社会参加と自立です。人間としての尊厳を持って、鍵と鉄格子の中に置いてはいけない。それが世界の先進国で恥ずかしくて、この間、外人がいるところで言えませんでしたから。ぜひ、史郎ちゃんと村木厚子さん、手に手を携えて、今日は民主党さん、いないのが残念ですけれども、よろしくお願いします。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 次に、大くくりの2ですけれども、生活保護制度の見直しに関する論点の議論に移りたいと思います。24ページから26ページまで、基本的な考え方、それから切れ目のない就労・自立支援とインセンティブの強化の項目について御意見をお願いいたします。はい。

○藤田委員
 すみません、手短に。私からは、福祉事務所は公的責任をぜひしっかり果たしていただきたいということが趣旨で、先ほどの資料をお出ししました。
 2点目で、基本的な考え方になると思うのですが、生活保護受給者の方はもう210万人を超えていて、日本で最も命を救っている制度であると思っているのです。これは基本的な考え方のところに、ポジティブな側面をぜひ書いていただきたいと思っていて、日本でこれほど命を支えている制度は、生活保護法以外に私はないのではないかと言っても過言でないくらいだと思っています。
 マスコミ等で不正受給の問題等が明らかになると、とんでもない人が受けているという報道がどうしてもされがちですけれども、私は当事者の方、何千人とかかわっていますが、この制度で命を救われた方たちがたくさんいますので、この制度が果たしている役割をしっかり明記していただきたいと思っております。
 あと、これは宮本部会長とも共通するところだと思うのですが、生活保護に対する正しい情報が適切に国民の皆さんに伝わっていないということを私は強く懸念しております。不正受給の割合は0.4%なのです。ここでも、24ページの3つ目の丸に書いてありますが、制度の信頼性、国民の納得感を高める制度にしないといけないという基本的な考え方になっているのですが、そもそも信頼性を築くための正しい情報なり、適切なデータなりが示されていないと思っていますので、ぜひポジティブに生活保護制度を捉えるところを全面に打ち出していただけたらありがたいと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員
 私たち民生委員の立場といたしましては、総体的なまとめというか、考え方といいますか、そういうことで意見を、資料5という1枚のペーパーにまとめてみましたので、ごらんいただければと思います。
 地域の最前線にありまして、住民の立場に立った相談支援活動を進めております。そうした中で、各委員は日々多様かつ深刻な社会問題化した今日の課題等にも向き合ってきております。そうした地域の現実を踏まえまして、今後の生活困窮者支援の検討に関しまして、6つほど集約的にまとめてみましたので、御紹介して意見を述べさせていただきたいと思います。
 1つは、生活保護受給世帯等においては、私たち民生委員が心の支えとなるように、あるいは見守りや支援をすることを拒否するケースが非常に見受けられるところであります。こうした世帯の自立を目指すには、私たち民生委員のみならず、本人との信頼関係を築いた上で、個別的かつ継続的な支援を続けていくことが不可欠だと思っております。
 2つ目には、さまざまな課題を抱えている方々が自立していくためには、何より本人の自発性が不可欠であります。したがいまして、本人がその気になってもらわなくてはいけませんので、やる気と申しますか、本人の意欲を喚起させていく支援の仕組みづくりが重要なことではないだろうかと考えております。
 3つ目には、今まで何回も申し上げてまいりましたけれども、私たち民生委員活動の大きな課題といたしまして、個人情報保護問題があるわけであります。包括的かつ伴走型支援を目指していくためには、民生委員・児童委員を含めまして、公私にわたる多様な関係機関の密接な連携とか協働が重要だと思います。そのためには、特に市区町村段階での個人情報の共有に関する実効ある環境整備が不可欠であると思います。厚生労働省からは、各都道府県とか指定都市へ通達が出されておりますけれども、出された通達が末端まで対応し得る環境整備の御指導を今後お願いいたしたいと思います。
 4つ目は、地域におきましては、厳しい経済状況にあっても、公的な支援に頼らず、そのはざまで努力している世帯があるわけでありまして、生活困窮者対策を考える上では、ワーキングプアとか非正規労働者、無年金高齢者問題等、総合的に検討していく必要があると思います。
 5つ目には、「貧困の連鎖」の防止ですが、これは国の将来を担う人材を育む上で重要な問題であるわけです。生まれた家庭の経済状態の中で、その子どもの将来や人生が決まるようなことは、決してよろしくないことであります。子どもは国の宝であり、地域の宝でもあります。教育支援の拡充を初め、地域全体の課題として多様な取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。
 6つ目に、生活保護制度の運用に当たりましては、真に保護を必要とする人々の受給が抑制されないような配慮をすることが必要だと思います。同時に、市民感覚に照らして理解が得られる適正な制度運用が重要であると思いますし、不正受給には、厳格な対応や、いわゆる貧困ビジネス等については、適正なルールの整備が必要だと思っております。
 以上、6点申し上げましたけれども、生活困窮者の支援を含む民生委員・児童委員活動の充実のためには、欠員の補充とか委員の研修の充実あるいは行政からの協力依頼事務の整理など、民生委員が活動しやすい環境づくりを一層進めていくことが重要だと考えております。
 まだ、このほかいろいろ問題がありますけれども、民生委員活動に関する諸事項は、別途、村木社会・援護局長さんあてに御要望させていただきたいと考えておりますので、今後とも変わらぬ御指導をお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。はい。

○高杉委員
 日本医師会の高杉です。
 この委員会に出てつくづく思うのは、日本はいろいろな症状が出ている。それも治しがたい症状がいっぱい出ていると診断いたします。その処方せんはといいますと、国がちゃんとしなければいけない。景気をよくする、経済をよくする、これは基本中の基本で、それで解決できることがいっぱいある。例えば景気が悪いから離職者が再就職できない、若者たちが就職できない。ここで幾ら論じてもどうにもならないことがいっぱいあります。堀田先生が言われましたけれども、人間の尊厳ある生、尊厳ある心というのは、踏みにじられたらどうにもならない。ここを治さなければどうにもならないわけであります。
 もちろん、そうじゃない人は助けていかなきゃいけない、いろいろな支援をしていかなきゃいけないのは当然ですけれども、私もこの委員をしている関係か、いろいろな団体の人から困窮者や生活保護のカットが非常に気になるという言葉がいっぱい届いています。そういう意味で、切り捨てるのは簡単だし、額を減らすのは簡単だけれども、果たしてそれでいいのだろうかと思います。では、若い人たちをどのように就業させるか。例えば、この冬、どうせ豪雪になりますから、その雪おろしに頑張って、喜ぶお年寄りの顔を見ると若者たちは元気が出るのかなということも思います。
 28ページから、医療について書かれておりますけれども、カットする面ばかりあって、一番健康が大切なのですね。予防して健康を保たないと、その次は自立につながる行動は絶対生まれません。したがって、堀田先生の言われる基本は健康を保つことですから、それができない仕組みも困るし、弱みのある人をきちんと治して社会に出すことも大切だと思います。
 それから、終始一貫流れている思想は、どうしてこんな国になったのだろう。私は、基本中の基本は教育だろうと思います。どんな環境にあろうと、教育をきちんと届けることが基本だろうと思います。色々な対策の書く順序を変えてください。

○宮本部会長
 ありがとうございました。高杉委員の御発言は、事実上、医療扶助の適正化についてのところにも入ってございますので、一気呵成に今の2の1、2も含めてですけれども、27ページから31ページまでも含めて御議論いただければと思います。はい。

○藤巻委員
 資料2P25からの「自立支援とインセンティブの強化」のところに書かれていますように、自立とは、最終的には経済的自立を目指すことだと私は考えております。そのため、勤労控除、就労収入積立制度などについて検討することは、非常にいいことだと思います。
 一方で、高杉委員からもありましたように、本当に若い人が就職できない。それから、堀田先生がいらっしゃるところで恐縮ですが、弁護士や公認会計士の資格を持っているけれども、就職口がない人がいるというのが実態だと思います。そんな中で、過度のインセンティブの付与により、若い人あるいは低所得層の人たちが勤労意欲をなくすようなことがあってはならないと思うのです。その点を踏まえてインセンティブを考える必要があるだろうと思います。
 もう一点は、インセンティブを一律ではなく、就労意欲を持っておられる方に、重点的という表現が適切かどうかわかりませんけれども、配分を多くするような仕組みが必要ではなかろうかと思います。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 花井委員、どうぞ。

○花井委員
 26ページの一番下に、更新制ということが記載されております。生活保護受給者に対しまして、自立支援ということで、就労支援やさまざまな支援を行っていくことは大変重要だと思っております。その上で、生活保護制度に更新制を入れるというのは、憲法なり生活保護法が規定する趣旨からすると、適当でないのではないかと考えております。むしろ、さまざまな理由があって生活保護受給者になっていると思いますし、支援のあり方もさまざまであろうと思いますので、そのことを切れ目なくやることで、生活保護からの脱却のインセンティブをつくっていくような方向性を模索すべきではないかと考えております。
 それから、2つ目は、貧困ビジネスにこだわりますが、余りにもひどい貧困ビジネスがいたちごっこのように出てきて、制度のすきを狙うというようなことが非常にふえていると考えております。そうした貧困ビジネスを規制する法的な制度がつくれないかどうか、ここで今申しあげても仕方がないとは思いますが、そういう意見があったということも、ぜひとどめておいていただければと思います。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。はい。

○広田委員
 生活保護の見直しですけれど、さっき高杉先生が、人ごとではなくて、日本医師会をアイデンティティーで診断していただきたい。レントゲン、MRI、CT、人工呼吸器、薬の多投与など、医療提供者側が生活保護だということで手軽に使っていないか。コンシューマーも無料だということで、安易に医療に関することを使い過ぎていないか。これはまちの人の声です。例えばスーパー銭湯とか銭湯。生活保護の人を医者が何十人か抱えていれば、それだけで生活が成り立っているというのが、ちまたで話されているのです。事実かどうは別として。
 それと、入院したいと言ったときに、あなた、3割負担でも入院するの。タダだから入院するのだったら、国民は納得しないわよ。それは、信頼関係があって、相手を知っているから、そう言えば彼女は2年間働きに行ったということがあるのですね。
 そういうことで、本当に日本の税負担では世界一の生活保護法だと思っています。それがきちんと担保できていくことが、世界の先進国の日本だと思います。それと、前にも言っていますが、生活保護1類の見直しを。多家族については0.何とかというのは高過ぎると思います。
 それから、2は、年齢が上がるとき。例えば49歳から50になると1類を2,000円下げている。59歳から60歳で2,000円下げている。69歳から70歳で何と4,000円下げている。初老になっても、もっとおいしいものを少し食べて、医療機関をサロンにしないで、あなたらしく、これまでどおり尊厳を持って暮らしてくださいという生活保護であってほしいと思います。
 それから、生活保護コンシューマーの親族に扶養義務を課さないこと。理由は前にも言っています。家族関係を壊しますから。その方の家族が社会貢献してお金を何倍も寄附すればいい。
 それから、生活保護基準部会に主婦など生活のプロを入れてほしい。そういう人がここにも入っていますかということをまちの人に聞かれていますから、ぜひいろいろな立場の人の意見を総体的に入れて、さすが国の委員会だなという立体的なものにしていただきたいということです。
 それから、福祉事務所と生活保護コンシューマーの人間としての信頼関係が大事で、これが今、欠落しています。そうした努力を怠り、安易に警察OBを雇用するのはおかしい。何でもかんでも警察頼みはおかしい。ある意味では、福祉事務所と警察という機関同士は緊張関係ぐらいがふさわしい。そして、人間関係としては、全て人間は対等で信頼関係ですけれど、これは本当におかしいと思います。全ての行政、地方自治体が警察権力を使い過ぎています。依存しておきながら悪口を言っています。
 それから、生活保護コンシューマーにしても障害を持つ人でも、人は本来、みんな社会貢献を望んでいる。居場所づくりじゃないのです。そうした夢が実現できる社会づくりにお金をかける必要はありません。これは機運です。
 最後、もう一つのこの国の課題は、愛の欠乏社会からの脱却であり、孤立死などを全て制度で補うのはおかしいのです。隣の人が孤立死したと、テレビに出て騒いでいるのもおかしいのです。隣の人はこんにちはと声をかければいいのです。
 それから、日本社会は今、ピンチですけれど、お金がないということは愛を出せばいいのだから、チャンスだということです。そして、厚生労働省の課題も警察庁も財務省も朝日新聞も、いつも言っていますが、日本国の課題は鬱。そして、ここにいる誰もが認知症になりそうだから、そういうものを予防することが医療費抑制であり、何よりも国民の健康保持であり、幸せだということで、以上です。よろしくお願いします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。この特別部会に関する限りは、極めて多様な意見が反映されていると思いますけれどもね。

○広田委員
 多様な人という意味で言っていますから。

○宮本部会長
 多様な人という意味も含めてでございます。
 それでは、半言でお願いします。

○勝部委員
 生活保護の見直しの件に関しまして、私、先週たまたまNHKの女性の貧困という番組に出させていただきまして、800通からのFAXが届きました。一般で生活されている方も、ぎりぎりの生活をして大変不安に思って暮らしておられると。その中で、特に生活保護に対する誤解というのもかなりあります。不正受給の問題も取り上げられていることによって、本当に困っていてもなかなか声が挙げられない人たちがたくさんいる。そこの観点をしっかり制度づくりのところで考えていかないと、本来のところを見失ってしまうということを強く感じました。
 生活保護の問題というのは、行政の施策の中でも余り知らせないで、水際でぎりぎりで、言ってきたらちょっとずつ教えるみたいな形ではなくて、本当に必要な人たちはいつでも受けられるのだ。そのかわり、すぐに脱却して生活再建できるのだというポジティブな制度として、ちゃんと紹介していくようにしなければ、一度しがみつくと逃げられないという今の発想から変わらないと思いますので、そこはマスコミの方も今日、おられると思いますけれども、そういう啓発も含めてしっかりやっていけば、不正受給につながらないのではないかと思います。

○宮本部会長
 ありがとうございました。はい。

○奥田委員
 保護に対する基本的な考え方のところですけれども、制度として絞るかどうかという話だけじゃなくて、日本の社会は空気の支配が物すごく大きい。例えば身内の責任論にしても、実際身内に対して請求するかどうかだけじゃなくて、特に私、このごろ路上で出会っている若者たちは、どこか本音のところで親にこれ以上迷惑をかけたくないというところがあったり、親の方にも子どもたちに迷惑をかけたくないという空気がある。だから、この空気の醸成ということについても相当気を使わないと、実際に制度として手を打つかどうか以前のところでとまってしまうところがあると思います。だから、基本的な考え方にそういう危険性が大きいということが1つ。
 もう一つは、間口に関しては広くしておくべき。生活保護を使わないでほかのものでということではなく、最大の制度なのだから、生活保護を利用しながらやる。ただ、生活保護制度の問題点は、流動性がなくなっていることだと思っています。流動性の欠如ということが生活保護制度の一番の問題であって、入った後にどれだけの選択肢があるのかが弱いのではないかということ。
 これは、別にお尻をたたけという意味ではありません。水際作戦に対して、硫黄島戦略とか、昔、北九州市、言われましたけれども、硫黄島を私は知りませんけれどもね。そうではなくて、人間の尊厳からいくと、選択肢がどれだけあるか。それは、先ほどの社会資源も含めてですね。だから、そのポイントが2つ目。
 3つ目は、お金の問題が相当言われていますけれども、これは国際基準からして生活保護制度のカバー率がどうかとか、いろいろあります。ただ、私、ホームレスの現場で言うと、手おくれになればなるほどお金がかかるのです。例えば、路上で風邪薬で済んでいるときに手を打てば数千円で終わっていた話が、緊急事態まで行ってICUに運ばれると、何百万円という単位の医療費を払うわけです。ですから、いずれ困窮者は生活保護制度に来ます。タイミングを幾らずらしても、困窮したら最後に頼るところは生活保護しかないので、困窮状態が深刻化すればするほど、最後に来るのは生活保護しかないのです。
 そうすると、後になればなるほど、当然費用負担も大きくなる。もしくは自立の可能性が低くなる。これ全体で考えると、保護の費用対価、社会的コストというものは、瞬間値で見ないで、ある程度スパンで見なければいかぬ。当たり前のことで、これは昔からみんなが言っていることでしょうけれども、この基本的な考え方の中にその辺を反映して、予防的なもの、手前でやればもっと楽だったのに、結局は空気の支配も含めて、遅くなればなるほど手遅れになる。そのことをどう手を打つかという議論をちゃんとしないと、単なる目先のお金だけで物を考えていると、10年後に100倍になって返ってくる。私は、そっちの方がよほど問題だと思います。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 では、一言でお願いします。

○岡崎委員
 関連します。手短に申し上げますが、先ほどから、就労支援のときに健康が大事だというのは当然でございますが、相当生活に困窮して医療機関に行けない場合に、制度上は無料低額診療ということで自己負担をすることなく病院に行ける制度があります。現に高知市内の病院もそれを活用しています。
 ただ、厚労省の事業の中で、もともと低額診療の中には薬剤費も無料にできる規定があったのですが、医薬分業で薬局を分離したときに薬剤が抜け落ちてしまっているのです。そこが問題で、結局、医者にかかるのは無料だけれども、前の薬局へ行って薬をというときにはお金が要るシステムになっており、薬が抜け落ちてしまったのです。
 我々は、今、それを市の予算で単独で見ています。制度上、おかしいので、そこをきちっとやっていただきたいと思います。制度上、抜け落ちてしまって薬が出ないということがあるので、そこは申し上げておきたいと思います。

○宮本部会長
 特別部会、あと何回かございます。発言の機会はもちろんございます。ただ、ステージとしては、そろそろ報告書の作成に入らなければいけません。
 報告書の取りまとめに当たっては、以前も委員の皆さんに御相談申し上げたように、起草委員を決めて作成していくことになります。部会長として、当然、私は起草委員を務めさせていただくことになるかと思いますけれども、加えて、その他の起草委員は私が指名することになってございます。それで御了解をいただいております。いよいよそういう段階に来ましたので、ここで指名させていただきたいと思います。
 起草委員としては、岩村部会長代理、岩田委員、駒村委員にお願いしたいと思います。したがって、次回は、と申しましても2週間しかございませんけれども、私を含む4名の起草委員で報告書案を何とか作成し、そして委員の皆様の御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、この特別部会での議論とも深くかかわって、先ほど小杉委員からもお話がございましたけれども、地域若者サポートステーションの事業のあり方に関する検討会が中間まとめをいたしました。この点についてだけ、事務局から簡単に御報告をお願いします。

○浅野職業能力開発局キャリア形成支援室長
 資料3をごらんいただきたいと思うのですけれども、時間もありませんので、基本的な考え方のところ、それからこれを受けて具体的な方向性のうちの下のところをごらんいただきたいと思います。
 地域若者サポートステーション事業は、ハローワークへの橋渡し、キャリア形成支援、ネットワーク構築等の機能に加えまして、中退者支援、さらに「貧困の連鎖」の防止等の観点から期待が高まっているということで、検討会の方でいろいろ検討しまして、幾つかまとめたところでございます。
 真ん中あたりに学校との連携の強化ということを掲げております。
 それから、一番下でございますけれども、生活支援戦略、こちらの方で、若者の相談支援センターが議論に上っていることから、現在のサポステの機能である就労支援機能、キャリア形成支援機能にプラスして、経済的に困窮する若者のために必要な機能を付加することが考えられるのではないかという話が出ました。「これを設ける場合には、利便性・効率性等の観点から、サポステの権限と責任を明らかにした上で、」とありますが、これは経済的困窮者のための機能を付加するのであれば何を、どこまでするのか整理する必要があるといった意味合いでございます。
 これについては、8ページ目にイメージ図をつけております。こちらをごらんいただければ、今のサポステの機能に経済的困窮者に対応するための機能を付加するイメージということで、おわかりいただけるかと思います。
 あと、いろいろ書いてございますけれども、時間の方の制限もございますので、説明の方は以上にさせていただきたいと思います。こちらの特別部会の議論の動向等も見ながら引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。時間がなくて申しわけございません。時間の関係で、次回、もしこのサポステについて御質問等あれば、受け付けたいと思います。
 それでは、私の不手際で今日は若干延びましたけれども、本日の議論は終了したいと思います。
 次回の開催について、事務局から連絡をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日もありがとうございました。
 次回は、11月28日水曜日の10時から開催を予定しております。会場は、航空会館大ホールでございますので、よろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 本日の議論は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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