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2012年10月15日 第15回社会保障審議会社会的養護専門委員会 議事録
雇用均等・児童家庭局家庭福祉課
○日時
平成24年10月15日(月)10:00~12:00
○場所
中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第23会議室
○出席者
委員
柏女委員長 |
相澤委員 |
犬塚委員 |
今田委員 |
大塩委員 |
高田委員 |
伊達委員 |
坪田委員 |
林委員 |
平井委員 |
栗原委員 |
藤井委員 |
卜蔵委員 |
星野委員 |
宮島委員 |
吉田委員 |
渡井委員 |
事務局
石井雇用均等・児童家庭局長 |
鈴木大臣官房審議官 |
大鶴家庭福祉課長 |
太田児童福祉専門官 |
○議題
「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために」について
平成23年度における被措置児童等虐待への各都道府県市の対応状況について
その他
○配布資料
資料1 | 児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために |
資料2 | 平成23年度における被措置児童等虐待への各都道府県市の対応状況について |
資料3 | 平成24年度の各種ワーキンググループ等における検討について |
資料4(参考資料) | 平成25年度厚生労働省家庭福祉対策予算概算要求の概要 |
資料5(参考資料) | 社会的養護の課題と将来像への取組 |
資料6(参考資料) | 社会的養護の現状について |
資料7(参考資料) | 第一回「ことな」の語り場 意見表明文(渡井委員提出資料) |
○議事
○大鶴家庭福祉課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第15回「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」を開催させていただきます。
私、このたびの異動によりまして、家庭福祉課長を拝命しております、大鶴でございます。どうぞよろしくお願いします。
本日は委員17名全員の御出席をいただいております。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、厚くお礼申し上げます。
初めに厚生労働省におきまして人事異動がありまして、新たに着任しました雇用均等・児童家庭局長の石井と、大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当)鈴木からそれぞれ御挨拶申し上げます。
○石井雇用均等・児童家庭局長 雇用均等・児童家庭局長になりました石井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○鈴木大臣官房審議官 審議官を拝命いたしました鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○大鶴家庭福祉課長 議事に入ります前に、平倉秀夫委員が退任され、新たに栗原博委員、東京都福祉保健局少子社会対策部育成支援課長が御就任されておりますので、御報告します。
それでは、議事に移りたいと思います。柏女委員長、よろしくお願いします。
○柏女委員長 皆さん、おはようございます。
ちょっと電車のトラブルでのっぱなから遅れてしまうのではないかとひやひやいたしましたが、何とか間に合うことができました。
今、御挨拶にございましたように、事務局の新しい体制のもとで、いわばこの専門委員会の次のステップがきょうから始まるのかなと思っております。これまで委員の皆様方には社会的養護の充実のために、本当に積極的かつ精力的に御議論を賜りまして、本当にありがとうございました。
一定の方向性を出した上で、今後はこれを定着させ、かつ、次のステップに向けていく大事な始まりではないかと思っておりますので、ぜひまた皆様方の御協力、御尽力をよろしくお願いをしたいと思います。
それでは、まず初めにきょうお手元にお配りしております資料の確認を事務局よりお願いをいたします。よろしくお願いいたします。
○大鶴家庭福祉課長 それでは、配付資料につきましてお手元の御確認をお願いいたします。
まず、資料1でございます。「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために」ということで、縦の資料でワーキンググループが取りまとめをいただきました資料でございます。それとあわせまして、それの概要版を横紙でつくっておりますので、2分冊となっております。
資料2「平成23年度における被措置児童等虐待への各都道府県市の対応状況について」となっております。
資料3「平成24年度の各種ワーキンググループ等における検討について」でございます。
資料4「平成25年度厚生労働省家庭福祉対策予算概算要求の概要」。
資料5「社会的養護の課題と将来像への取組」。
資料6「社会的養護の現状について」。
参考資料ということで、資料の5、6はバージョンアップしておりますので、後ほどごらんください。
資料7は「第一回『ことな』の語り場 意見表明文」ということで、渡井委員から提出いただいた資料でございます。
以上でございますが、お手元の資料が何か足りなかったら、挙手をお願いします。
○柏女委員長 いかがでしょう。大丈夫でしょうか。
それでは、きょうは大きく3つの議題ということになるかと思いますけれども、皆様方の御協力によりまして、効率的かつ効果的に進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、最初に議題(1)ですが「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために」に入っていきたいと思います。
これにつきまして、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大鶴家庭福祉課長 「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために」の資料について御報告します。
まず、この「児童養護施設の小規模化及び家庭的養護の推進のために」については、「社会的養護の課題と将来像」に掲げられました、児童養護施設と、乳児院における小規模化及び家庭的養護の推進を実現していくために、施設の小規模化の意義や課題、措置費や整備費の活用方法、人員配置、小規模化に対応した運営方法、小規模化の計画の策定方法などについて、施設関係者あるいは自治体関係者に向けてマニュアル、参考資料として取りまとめたものでございます。
作成に当たりましては、6月にワーキンググループを立ち上げまして、当専門委員会の委員でもある宮島委員に座長をお願いし、また、伊達委員にも御参加いただいて、児童養護施設関係者、乳児院関係者らで6月、7月、8月と精力的に御議論いただき、取りまとめていただいたものでございます。9月に都道府県などに事務連絡で出しておりますけれども、皆さまにも、既にごらんいただけているところかと思います。
それでは、内容につきまして、横書きの概要資料をごらんいただければと思います。
表紙のほうでご覧のとおり、ローマ数字で?、?、?と大きく3部構成になっております。
1つ目が児童養護施設における推進のあり方。
2つ目が乳児院における推進のあり方。
3つ目が各施設や自治体での計画的な推進について述べられております。
この資料の1ページは「社会的養護の課題と将来像に掲げた児童養護施設の小規模化」での記述を整理したものでございます。
2ページ「児童養護施設の小規模化の意義と課題」について、意義として「家庭的養護と個別化」を行い、「あたりまえの生活」を保障するということで、具体的な意義をそれぞれ並べて、改めて皆様に小規模化の意義の理解をお願いしたいということであります。
2ページの下のほうに、「小規模化に当たっての課題と対応」ということで、これも議論いただく中で課題が浮かび上がってきております。
こうしたものについては、「小規模化・地域分散化に対応した運営方法をとる必要がある」ということで、後ほど、どのような運営方法で工夫をされているかということを紹介させていただいております。
3ページ目は「児童養護施設の小規模化を推進するための予算制度」ということで、これは現在の予算でどのように小規模グループケア、あるいは地域小規模児童養護施設その他につきまして、措置費や施設整備費で制度がつくられているかということを知らせようというものであります。
5ページを見ていただきますと、「児童養護施設の小規模グループの人員配置と応援職員の配置」ということで「1グループの標準的な人員配置」あるいは「必要人員の確保」、6ページにかけまして「多様な配置方法」「応援職員の配置」ということで、人員配置と応援職員の配置のやりようなどについて、具体例を示しながらごらんいただくものでございます。
8ページが「小規模化した児童養護施設の全体の構成」ということで、これも例1「標準的な姿」あるいは例2、例3、9ページに例4、例5と、それぞれさまざまな例示を、小規模化を進めるための参考にしていただきたいということで挙げております。
11ページが「児童養護施設の小規模化・地域分散化に対応した運営方法」について具体的な知恵を挙げさせていただいております。
大きく「職員を孤立させない組織運営」としてこのような工夫がある、あるいは「自主性を尊重したホーム運営」としてこのような工夫があるということを挙げております。
12ページは小規模化のステップ例ということで、例1としては「まずグループホームを整備し、その後、順次、本園の大規模修繕をして小規模ケア化」を進めていくというケース。
13ページは「まずグループホームを整備し、その後、本園を改築して小規模ケア化」を進めていくケース。
例3、例4とそれぞれ挙げております。
16ページから「乳児院における小規模化及び家庭的養護の推進」となります。
16ページは「社会的養護の課題と将来像に掲げられた乳児院の小規模化」の中から抜粋した内容でございます。
17ページも「乳児院の小規模化の意義と課題」について整理をしております。
乳児院の場合「小規模化に当たっての課題と対応」として、1つは「1グループの配置職員数が少ないため、グループの職員のみでは、緊急の対応などが難しいことから、施設全体で」の体制が必要という指摘などがされております。
18ページは「乳児院の小規模化を推進するための予算制度」でございます。
20ページから、先ほどの「乳児院の小規模グループケアの人員配置と応援職員の配置」について、乳児院のケースでの検討ということで書いております。
23ページも「小規模化した乳児院の全体の構成」ということで例示を挙げております。
25ページは「乳児院の小規模化に対応した運営方法」ということで、これもさまざまな具体事例を挙げて参考にしていただくということであります。
26ページは「乳児院の小規模化のステップ例」。これも例を幾つか挙げまして、参考にしていただこうとするものであります。
29ページ、最後に?つ目の柱として「計画的な推進」ということで、1つは各施設が家庭的養護推進計画をつくるということで、各施設の事情に応じて、外形的な小規模化の計画にとどまらず、質的な変革を伴う計画をつくっていただきたいということであります。
それを受け、都道府県計画でも社会的養護を必要とする児童数の見込み、あるいは里親等委託率の引き上げのペースと調和を図りながら、全体の調整をしていただくという計画づくりをお願いするということであります。
以上がこのマニュアルの内容ですが、そのほか30ページに統計数字が上がっております。例えば「地域小規模児童養護施設の推移」は21年度の合計で実施数が190だったものが24年度は244。
「小規模グループケアの実施状況の推移」、児童養護施設で21年度に403であったものが24年度は686。
乳児院につきましても、21年度は実施数が46であったものが、24年度は90と進んでいっている状況が出ております。
以上が資料の御説明でございます。
○柏女委員長 ありがとうございました。
とてもよいものをおまとめいただいて、ワーキンググループの皆様方には心より感謝し、かつ、敬意を表したいと思います。
このペーパーは、まだ今の段階では事務連絡という形で都道府県に流れているだけではございますけれども、今後はこれから新法である「子ども・子育て支援法」に基づいて、都道府県あるいは市町村も含めてですけれども、それがつくっていく都道府県の事業計画の中で、どのようなかたちでこの社会的養護の整備を盛り込んでいくのか、それをひとつ考えていただくための重要なマニュアルとしてこれが機能していくという形になるので、恐らく今後、厚労省としては通知等として啓発していくという形になるのだと思います。
この中身等々につきまして、何かございましたら、御意見をお願いをいただければと思います。今ほどお話がございましたように、新ワーキングの座長をしていただいた宮島委員あるいは伊達委員もいらっしゃいますので、何か補足的に申し上げたいこともあるかと思いますので、ぜひ御意見をいただければと思います。
では、宮島委員、お願いいたします。
○宮島委員 座長という大任をさせていただきましたが、まことにふさわしくない者が務めさせていただきましたけれども、本当に意味ある働きに参加させていただいて感謝しています。
参加させていただいて、とても大事だなと感じていることが何点かありますので、それを大鶴課長さんの説明の後で恐縮ですけれども、こういうことが大事だと感じたところを8点ほど、ちょっと多いのですけれども、述べさせていただいてよろしいでしょうか。
まず、1点目としては、この児童養護施設、乳児院は、児童福祉法ができてから間もなくのところでコンセプトができて、もう70年近くたっている。この基本形を変えるということなのではないか、これはすごいことなのだなと感じました。だからこそ、とても難しいことであると感じました。
2点目です。児童福祉施設最低基準で施設の内容が決められている。名前が変わりまして、設備と運営の基準となっていますが、これが僅かな前進はあったものの、約40年近く据え置かれることになってしまっていたわけです。その基準のもとで、現場で工夫に工夫を重ねて現在の運営がなされている。だから、この現在の基準のもとで安易に進めることは危険でもある。そのことを痛感いたしました。その危険なところをきちんと課題としてとり上げてまとめる必要があった。だからこの課題が述べられているまとめになったと理解しています。
3点目ですけれども、ただ、だからといってこの改革をやめてしまってはいけない、何としても進めなければならないという目標のもとで委員の乳児院の先生方や、児童養護施設の先生方、また厚労省の方々が取り組まれた。夏休みなどは無かったはずです。委員会は3回だけでしたけれども、その前、またその委員会の最中も現場に足を運んだり、さまざまな緻密な計算を重ねたりした大変な作業の裏付けがあってここまで来ている。それはこれからも必要だということが3点目です。
4点目として、当初は児童養護施設と乳児院の規定を並行してまとめるという予定でした。しかし、実際にやってみると、児童養護施設の事情と乳児院の事情は必ずしも同一ではないので、まとめに当たってはそれぞれ区分けする形でまとめることになったという点です。これが4点目です。
5点目ですけれども、児童養護施設については将来像にも示されているように小規模化と地域分散化を行うことを前提として案を描いている。ただ乳児院については、課題と将来像でも小規模化は明確に打ち出しているけれども、地域分散化についてはまだまだ難しい面がある。そのために、このまとめでも地域分散化を前提としたまとめにはなっていないということです。これは現時点ではということで、将来にわたって必要でないということではありません。
そして、先ほど児童養護施設と乳児院の2つを別々に区分けした形でまとめたということを申し上げましたが、もう一つ区分けしてまとめたことがあります。それは、現在の設備と運営の基準で着手できることと、設備と運営の基準がもう少し現実的なものといいますか、きちんと改められたときに行うべきもの、子どもと家族のニーズにマッチした基準ができて、初めて実現可能なものを区分けしてまとめたというものになっている。この点が6点目です。
7点目としては、先ほど、もう柏女先生が言ってくださったように、これをまとめて文書化して、現在は事務連絡通知ですけれども、公文書として発出されるということは非常に意義のあることだということを改めて感じている。ぜひそれを達成してほしいという希望を持っているという点が7点目です。
8点目で最後ですけれども、長くなって申し訳ありませんが、ただ、できるところからまず始めるということが大事で、その後計画的に進めていくということが大事だという視点で、施設と自治体の皆さんが、これを実務的な参考として用いていただきたい。そういうものとしてのまとめになっているということです。
以上、申し上げた8点が、私としてはとても大事なことだと感じながら作業に参加させていただきました。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
とてもすっきりと8点の意義と特徴ということでおまとめをいただきました。
それでは、伊達委員、お願いいたします。
○伊達委員 ワーキンググループ作業の一員に加えていただきまして、ありがとうございました。全養の立場も含めながら、私のほうからは3点ほどお話しさせていただきたいと思います。
まず1点目は、児童養護施設に関することということになります。
ただいま宮島委員のほうから御発言がありましたけれども、今、進めております作業は、戦後からの長いスパンの中で社会的養護のあり方を基本的にどうしていくかということを基本の課題として進められてきたと認識をしております。
そういう意味では、この小規模化及び家庭的養護の課題というのは、児童虐待対応が始まる2000年以前に、できれば片づけておきたかった課題ではなかったかなと感じています。このことが今日まで持ち越されてしまったことに対して、私ども施設のほうも一抹の責任はあるかもしれないとは思っておりますけれども、大事なことは、今日、私たち社会的養護が対応している一番中心的な課題は児童虐待問題対応だということになると思います。そうすると、従前の対応の仕方とは大きな開きがあるという共通認識を持った上で、議論が進むことが必要であったと思っています。
平成15年4月に全養協は「子どもを未来とするために」というタイトルで近未来像パートツーをまとめております。そこの中で、今日、児童養護施設のおよそ7割が大舎制。これは現場の側が好んで採用したというよりも、児童養護施設最低基準や措置費交付基準等が長らく低水準に押しとどめられてきたために、他に選択の余地のないまま仕方なくとってきた形態と書かれております。
そうすると、既にそれから10年たっておりますけれども、最低基準や措置費の水準はほとんど変わっておりません。変わったのは職員の勤続年数の低下、バーンアウトの増加、職員確保の困難化などの人的要素と、虐待やネグレクトによって子どもの常態像の重篤化という、この2つが大きく変化をしております。
今般の「小規模化及び家庭的養護の推進」には、この職員という人的要素をどうしていくのか、本当に小さいときから傷つけてしまって、育ち直りが必要な子どものケアをどうしていくのか、この2点についての十分な対応策が必要になるだろうと考えております。
まず、人的要素では社会的養護の課題と将来像に記されたように、1対4の職員配置基準が実現されないと小規模化や家庭的養護への移行は困難でございます。取りまとめ案では、現行の1対5.5で何か移行が可能であるかのような誤解を与えてしまうことも懸念されますので、この部分をしっかりと議論をしながら小規模化と家庭的養護を推進していくべきだという考え方になっております。
また、子どもの常態像の重篤化を踏まえると、オールユニット化という考え方も一律に進めるべきではなく、特に本体施設におけるユニットのあり方には、柔軟性、可変性、専門性の観点からさまざまな策が講じられるべきであるという考え方に立ちます。
第2点目、児童相談所に関することです。
児童福祉施設や里親では子どもの状態像の重篤化という状況を受けて、子どもの育ち直りに大変腐心をしております。子どもの育ち直りには、施設職員や里親だけでなく、児童相談所を初めとして多くの関係者の連携が欠かせません。
しかし、措置あるいは委託された後での児童相談所の継続的な支援が余りにも少な過ぎるのが現状です。せっかく小規模化・家庭的養護を推進していくのであれば、この部分を一緒に加えて社会的養護のあり方を組み立てていただきたいと思います。
それから、本年3月「児童相談所長又は施設長等による監護措置と親権者等との関係に関するガイドライン」が示されました。
保護者との間で、大変多くのトラブルが発生しております。双方にとって残念なことです。これは、保護者の入所同意を得るために虐待を不問に付してしまったり、入所ないし委託のために保護者及び児童との合意形成が極めて不十分なことから生じている現象だと捉えております。施設や里親さんのもとで保護者とのトラブルは、その前の児童相談所とのアセスメントを含めて保護者本人との合意形成という過程の中から、その法問題解決が図られていかなければ、なかなか難しいことだろうと思っております。
3点目です。都道府県に関すること。
第?部の「計画的な推進」では都道府県による計画の策定が示されておりますが、国ではそれと「各施設の『家庭的養護推進計画』の策定」とどのようにすり合わせを行うのか、いま少し見えてきていないところがあります。
従前から、施設の許認可要件の中に施設の形、施設の定員規模というものは含まれておりました。ということは、施設の定員規模等について大きな権限を持っているのは、都道府県でございます。私の知っている限り、全国的にも施設側は定員規模を下げようと施設の建てかえ計画を立てていたところ、行政のほうでさらに定員をふやさないと建てかえを認めませんよということで、定員を大きくされてきた施設もございます。
ということは、今後、地方自治体と施設とがよく協議をしながら、この懸案をクリアしていかないと前に進ませることができないのではないかと思います。
そういう意味では今度の「子ども・子育て支援法」の中で、計画の義務化が都道府県に課せられたことについては大きな進歩だと思いますが、その中身の扱いについては十分議論をしながら進めていくべきだという考え方に立っております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
今後、こうした計画を進めていくに当たっての幾つかの留意点と今後の大切な課題について、御指摘をいただきました。本当にありがとうございました。
ほかに、今田委員、お願いします。
○今田委員 今田でございます。
今、児童養護のほうからのお話がございましたが、非常に乳児院も共通した課題を持っていると再認識いたしたところでございます。ワーキンググループにおかれましては、非常にいいまとめ方をしていただきまして、本当にありがたく、感謝を申し上げます。
乳児院の立場として、若干ではございますけれども、意見を申し述べさせていただきます。
言わずもがなでございますし、報告書にも当然記載されているところではございますけれども「小規模化及び家庭的養護の推進」ということにつきましては、乳児院そのものがやはり、生まれたての子ども、へその緒のついたまだ生後5日目、7日目の子どもから、主として3歳ぐらい、一部入学までということになりますけれども、養育しているという現実があります。つまり、子どもの命を守るということが非常に難しいと言いますか、一番大切なことになってまいります。言語手段を持ちませんし、意思表示もままならない子どもたちをいかに評価、観察していくかというのは、非常に高い専門性を要するということでございます。
そういった中で小規模化をしていきます。これは総論的には私自身も非常にいいと思いますし、私の施設にも一部ではございますけれども小規模化をしてございます。客観的に見ますと、効果としては非常に高いものがあるということは理解しておりますけれども、ただ、その中で、先ほど申し上げたように対象の子どもたちが非常に小さいといった上で、いろいろな乳児院特有の問題も出てくるわけでございます。
御承知のように、現在、乳児院に入っている子どもたちの50%を超える子どもたちが、病児ないし何らかのハンディキャップを負っているという現実が一方ではございます。
そういった中で、一部には緊急対応、緊急一時保護といったものも乳児院に課せられた大きな役割ということになっております。これが小規模化をする上で、現在の体制のままで小規模化が果たして十分できるのかといったことになってくると、非常に疑問を感じざるを得ない部分がございます。
特に夜間の問題です。子どもはしばしば病気を起こしますし、引きつけを起こしますし、嘔吐を起こしますし、下痢を起こします。緊急の対応が必要になってまいりますときに、その中で果たして今の最低基準の人数で十分な対応ができるのかどうかといったようなこと。
あるいは、昨年のああいった災害時に言語手段を持たない子どもたちをいかに安全に確保していくかということを考えますと、現在の人数ではとても足りない。このままの人数あるいは体制のままで、小規模化だけがどんどん進んでいくことには、一定の危惧を感じざるを得ないというのが現実でございます。
一人一人のオーダーメイド的な養育、医療、保育、監護といった面で努力をしているわけで、そういった面では小規模化というものは非常にメリットだと思います。ただ、今、申し上げたような問題点も、十分議論されたかと思いますけれども、もう一度、提案させていただきたいと思います。
したがって、特に夜間の問題は非常に乳児院では重要なファクターでございますので、夜間のフレキシビリティーといいますか、人員配置の柔軟性というものを十分担保していただいて、自治体への周知に当たっては、そこのところを特に御配慮いただきたいと思います。例えば、どうしても昼と夜で1つの単位に1人の人間ということになってきますと、トイレにも行けないといったことも現実的には起こってまいります。トイレに行っている間に何が起こるかわからないといったことがありますと、非常に問題になってきます。
先ほどから申し上げているように、乳児でありますので突然死も2,000人、3,000人に1人というのは必ず起こってまいります。これは事故とは別に、致命率の高い病気ですので一定の頻度で我が国でも起こっている。特に乳児院でお預かりしている子どもはハイリスクの子どもだということも御理解いただきたいと思います。そういうわけで、5分、10分ごとのチェックを必要とするということであれば、とても今の人数では難しいということをもう一度、くどいようですが申し上げたいと思います。
とりあえず、小規模化に関しては以上の問題点を御指摘させていただきたいと思います。
ちょっと長くなりまして申しわけございません。
○柏女委員長 ありがとうございました。
乳児院のほうから、このマニュアルに書かれていることを実施していく上での留意点についての御意見がございました。
そのほかにはいかがでしょうか。
大塩委員、?田委員、吉田委員、平井委員、お願いいたします。
○大塩委員 失礼いたします。大塩でございます。
この「小規模化及び家庭的養護の推進のために」をワーキングチームの方々がまとめられたことに、敬意を表したいと思いますし、今本当に我が国の社会的養護が、小規模化や家庭的養護にかじを切ったという気がいたしております。
先ほどの伊達委員からの御意見でもありましたように、小規模化が実際に行われるのは「社会的養護の課題と将来像」が実現されたときに動いていくものだと思っております。今はまだ、最低基準の職員数はほとんどふえておりませんから、そのような状況の中で移行期間として小規模化にかじを切っていくということは、この中の11ページ、17ページにもありますように、運営方法とか児童養護施設における課題、乳児院における課題がかなり上げられておりますが、まさにその課題のとおりだと思います。
小規模化は、家庭的養護を目指す上では基本的で大切なことだと思いますけれども、職員配置などの基盤ができていないのにかじを切っていくと、ますます児童養護施設、乳児院で働く職員がバーンアウトしてしまうという現象が起こってくるのではないかと危惧しております。
11ページに「職員を孤立させない組織運営」ということで、いろいろ書いてございますが、組織だけではなく、さらなる職員体制を支援していく取り組みを強化していかなければならないと思います。それは1つの組織だけの問題ではなく、都道府県単位、そして国単位できちんと一つ一つの施設を援護射撃をしていく、支援をしていく体制を整えていかなければ、ますます職員の孤立化は進んでいくのではないかなと危惧しておりますので、ぜひ職員体制を支援していく仕組みの構築をお願いいたしたいと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
それでは、?田委員、お願いいたします。
○?田委員 情緒障害児短期治療施設で働く者の経験からちょっとお話しさせていただきます。
情緒障害児短期治療施設は、今回、小規模化の推進のほうには入っておりません。それは協議会としても、特別な配慮が必要なお子さんたちの治療、養育に関して本当に小規模化が向いているのかという結論が出せない。少なくとも現行の最低基準では無理だろうということははっきりしている。
先ほど伊達委員もおっしゃいましたけれども、やはり問題の大きなお子さんたちを本体でうまく見ていけるような柔軟性が必要だと、私は全くそのとおりだと思っております。
この小規模化の人員配置を見ると、3人で回すことになっていて基本的には1人職場になっているわけですね。ところが情緒障害児短期治療施設で私たちが経験してきたのは、少なくともトラブルは起きるものだということを前提に人員配置をしなければいけない。そうすると1人では絶対足りないということですね。いくつか応援の手段が書いてありますけれども、即応性があるかどうか、緊急時にきっちり人が集まるかということに関しては、若干の疑問がある。
もう一つ、職員のことを考えると、1人で子どもたちを見るということは、かなり精神的に負担ですね。複数の人で見るほうが少なくとも安心感が得られる。その安心感がグループ全体の雰囲気をつくっていきます。緊張した状態の生活空間を職員1人で見ていくということは、本来は望ましくないとはっきり思っております。
この小規模化がかじを切られていくと思います。ただそうすると、今、建てかえる施設がどんどんふえてきている中で、どんどん中をユニット化してしまうと、ユニット同士の応援が行けないような建物の構造になってしまったり、つまり、壁があって隣のユニットに簡単に行けないというような構造になってしまうと、後からはどうしようもない。幾つかそういう問題が起きている施設を知っていますので、この辺は少なくとも本体に関しては柔軟な建設、設計も含めた考え方をしていっていただいたほうがいいと思っております。
あとは職員に関しては、本当に新人職員が何カ月かで1人でそのホームを見ていかなければいけないというのは相当過酷だと思います。子育てを終わった方が行くわけではなく、大学を終わってすぐの方が行かれたりするわけでしょうから、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますかね、誰か先輩の後ろ姿を見ながら仕事を覚えていくという体制をつくらないと、志を持って入った職員がすぐにつらくなって、疲弊していって、もしかしたら事故が起きてしまうかもしれないということを、懸念しているということをお話ししておきます。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
それでは、続いて、吉田委員、お願いします。
○吉田委員 今回のこの取りまとめで、課題であれ対応であれ、大変丁寧にまとめられているということで敬意を表したいと思います。
私の気になっていたところだけ二つ、三つお話ししたいと思います。今回の小規模化というものは、とりもなおさず子どもの生活の場という観点で、もう一つ言えば、子どもの権利をどう実現するかということで、そのための小規模化というものが目標となっていると思うのです。ただ、懸念されているように、小規模化によって子どもの権利が害されるということも同時にあるのだ、また、小規模化に伴う特有の状況が生じ得るのだとすれば、そうした意味で子どもの権利ないし権利擁護の視点を、理念として盛り込むということがあってもよかったのではないか。単に技術的な問題だけに終始しないで、方向性を明確にするということは必要ではないかと思います。
それから、今、?田委員がおっしゃったことと同じなのですけれども、職員の方の疲弊が大変大きなものになるおそれがある。しかも、経験年数が短くなる、早期の退職という残念な状況がある中で小規模化が進行していくということは、子どもにとっても、また不幸な事態になりかねないのだとすれば、こうした社会的養護における経験を共有できるとか、また承継できるような仕組みもやはり必要だろうし、そういう条件整備がなければ、これは本当に絵に描いた餅に終わりかねないというところで、ここがやはり肝になると思うのです。
それから、もう一点は細かいところですけれども、地域との関係だと思うのです。施設の地域開放ということがずっと言われていますけれども、特に地域の小規模に関しては、御近所づき合いがとても大事になってくる。それを大学を出たばかりの若い人がやっていくわけです。
ということで、この中にも書かれていますけれども、地域からの誤解を招かないようにとか、地域とのいい関係を持つようにというのは当然なのですけれども、もっと踏み込んで地域の力をかりるというか、学校も含めた地域資源をどう活用して地域小規模を実現していくのかという、積極的に地域とのつながりというものにもっと踏み込んでもよろしいのではないかと思った次第です。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
それでは、平井委員、お願いいたします。
○平井委員 皆さんが言われたとおり、小規模化を進めるに当たって、このまとめは運営方法とかをしっかりまとめられていると思っております。しかし、やはり計画的に柔軟性を持って進めていくということが必要だと感じております。
2点ほどなのですが、一応このまとめの中でも小規模グループケアですね。本体を小さくしていくとなされておりますが、また一つの方法としては、分園の小規模グループケアを外出しで考えてやっていく。あともう一つは地域小規模施設がある。
今のところ地域小規模施設は本体につき2軒まで、3軒目からは協議が必要だとなっていますが、分園型でグループホームを行うのは、地域小規模と同じような感覚なのですね。でも条件は違ってくるわけですね。措置費についても違いますが人の配置も、小規模児童養護施設は常勤職員2人、外出しの小規模グループケアは1人ですね。2人プラス非常勤、1人プラス非常勤的な部分。ですから、個人的な意見ですが、地域小規模児童養護施設と分園型小規模グループケアがあって6人という定員は一緒ではないかというその辺を何かうまく考えてやっていけないかなということが一つ。
もう一つは、これから小規模化を進めるに当たって、各施設もいろいろ取り組みをしていくわけですが、現状で地域小規模児童養護施設、もしくは、先ほど言った分園のグループケア、あともう一つはファミリーホームを含めて、ある意味、職員の数的にどうしても1人勤務が多くなってきて、かなりきつい状況。言い方は悪いですけれども、私も自立援助ホームの経験から、大体6名の定員が全国でも多いのですけれども、一人勤務ですとやはりお互いの逃げ場を失ってしまう、かなりきつい状況に陥る。
だから、そういった意味では連携というものは必要だと思います。元に戻しますが、これから進めていくに当たって、男女構成とか年齢構成、措置理由、どういう子どもたちがそこで1つのグループとして集まっているのかというデータがもしあれば、お示ししていただければ、これから進めていくに当たって少しわかりよくなってくるのではなかろうかなと思っております。
以上でございます。
○柏女委員長 ありがとうございました。
以上、貴重な御意見を頂戴しましたけれども、ほかにございますでしょうか。
では、星野委員と相澤委員、お願いいたします。
○星野委員 里親会として、きょうのテーマは余り言うことはないかと思うのですけれども、こうやってワーキングでまとめてくださったということは非常に敬意を表しておりますし、これが少なくともこのぐらいは順調に進むようにと願っております。
今まで御発言いただいた中で、私も非常に気にしているのは、?田委員がおっしゃっておられましたけれども、トラブルが起きたことを前提にして計画を進めるべきだということで、まさにそれは非常に大事なことだと思うのですね。
昔の話ですけれども、私は化学関係の会社にいましたけれども、人件費節約のためにどんどん社員を減らしていく傾向があるわけですね。結果的にどうなっているかというと、コントロールルームの中に一日中いて、温度計、圧力計、流量計とかいうものを見ているだけなのですね。ところが昔は違ったのです。
昔は何かがあったら、これだけの人員が必要だからということで社員を確保していったのです。ですから、当然、普段は余っている人間がいるわけです。でもそういう人がちょっとした休憩時間か何かにとんかちか何かを持って、その辺をぶらぶら歩いている。それで何かちょっとおかしいなと思うところがあるとトントンとたたいて、ちょっと音を聞いてみるとか、異常をそのときに発見できているわけですね。ですから、修理のときにも非常に的確に修理ができる。だから、昔に比べて今は結構、化学会社の大きな事故が起きていますね。
最近も大きな会社で大きな事故が起きましたけれども、そういう意味では、こういう児童を相手にするものは、やはりトラブルが起きたときにどうするかということを前提に計画を立てていけるようになってもらいたいなと思います。
それから、もう一つは、吉田委員もおっしゃっていましたけれども、地域の力をもっとかりるべきだということで、結局こういう公的な計画を立てているというときには、なかなかそういうボランティア的なものというのは計画には入れにくいとは思うのですけれども、最近、神奈川県とか一部大分県でも始まるのですが、乳児院や里親へのボランティア活動をやっている市民団体があるわけですね。乳児院も一生懸命、職員の人が働いておられるのですが、例えば、昼食が終わってお昼寝の時間の間にやはりどうしてもほかの作業があるわけです。その間子どもは泣いているわけなのです。それを見かねて、その間だけでもだっこさせてくださいということでボランティア活動を始めたということです。
もちろん、その方法がいいかどうかは別です。結果的にどうなっていくのかは、まだ始まって1~2年だと思いますので、成果は注意深く見ていきたいのですけれども、そういう意味でも地域の力をかりる、先ほど吉田委員は学校の先生とかそういう力もかりるというもっと大きな話をされましたが、そういう小さな単位でもいいから、もっと国民全体が子どもを育てていくのだという啓発をしていただきたい、また、するべきではないかなという気がしております。
○柏女委員長 ありがとうございました。
それでは、相澤委員、お願いいたします。
○相澤委員 先ほど宮島委員が8つのポイントを言ってくださいましたけれども、基準のもとで工夫を重ねて運営がなされている。もちろん人員配置基準が充実されることは大切なことですけれども、できることから始めることが大切ということを考えますときに、地域小規模児童養護施設等は運営されて10年以上たっているわけでございまして、その中できっとモデル的なケースがあるのではないか。そういうケースを集めて具体的にどういうふうに工夫をしたら、先ほど吉田委員が言っておられた地域とのつながりをどのようにしてうまく持てているのかとか、そういう情報や資料を収集して、それをお示ししていくことが、今、必要なのではないか。
このワーキンググループは、今、ここで一応報告書を出されましたけれども、次の課題としては、そういうマニュアルを作成していくことが課題ではなかろうかと思います。
以上でございます。
○柏女委員長 ありがとうございました。
卜蔵委員、渡井委員、藤井委員、そして、総括的に宮島委員ということでよろしいでしょうか。
お願いいたします。
○卜蔵委員 卜蔵でございます。
ファミリーホームの立場から何点か感想を含めて御意見を言わせていただきたいと思います。
一つはファミリーホームと里親の支援ということで、横書きの2ページに「小規模化に当たっての課題と対応」ということで、養護施設が小規模化していくときに課題が出てくるというようなことが書かれていますけれども、よくよく考えてみればファミリーホームなり里親というのは、既にこういう状況を抱えているということがあります。そして、児童相談所の支援がなかなか十分でない中で、養護施設が地域の里親やファミリーホームを支援しているということが打ち出されておりまして、それがきちっと有効に機能していただくことを大変願っているところであります。
今年度から里親支援専門相談員が配置されて、まだまだ始まったばかりの制度ですので、設置が進んでいないというところもあるかと思います。また、施設長さんとかと話をする中で、実際にどういったことをするのかというイメージがまだつかめていないということがあります。
また、支援を受ける側も、養護施設の里親支援専門相談員が一体何をしてくれるのだろうとか、そういったところがお互いにまだでき上がっていないところがあると思うのですけれども、例えば、大分県のように既に非常に効果的に活動しているようなところもあって、そういう具体例を、何カ所か既に動き始めているところのモデルとしてぜひ挙げて、それを周知していくようなことをやっていただきたいということが一点です。
それと、先月あたりからの私たちの会のほうに養護施設とか自治体から、児童養護施設が法人としてファミリーホームを設置しているところがあったら教えてほしいというお問い合わせが何件か来ました。それは、その養護施設が地域小規模化に合わせず、ファミリーホームを設置する、ファミリーホームを2カ所持つというところで、設置を検討しているところもあるかと思うのですけれども、2カ所持つということの意味が、必ずしも開設するということではなくて、支援先として、その地域のファミリーホームを持つというところが、まだこれが情報として出たばかりですので、十分に伝わっていないところもあると思うのですけれども、自治体についても十分周知されていくようにお願いしたいと考えています。
それと、ファミリーホームが今後、十数年かけて1,000カ所という数字が一応掲げられていて、その前提として恐らくファミリーホームを児童養護施設が設置していくということが、一つは考えられると思うのですけれども、地域小規模があって、先ほどのグループホームがあって、そしてファミリーホームがあってという中で、措置費の面でファミリーホームは地域小規模と比べると、措置費の差が随分あると思うのですね。それを前提にしたときに、例えば実際に養護施設がファミリーホームを設置していくというときに、その辺の問題はどうなのだろうということが外から見て率直に思うところで、夫婦型の地域小規模とかファミリーホームというものは非常に近いところにあって、そこで児童養護施設が夫婦型で、例えばファミリーホームをやっているときに、措置費の違いの大きさということがどう映るのだろうというところですね。そこを御意見をお聞きできたらいいかなと思っています。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
では、渡井委員、お願いします。
○渡井委員 取りまとめお疲れ様でした。
もう既に大塩委員と相澤委員がおっしゃっていることなのでけれども、要するに、この小規模化を進めていくに当たって、養育者の人たちの養成ということが同時並行で行われていないところに危惧というか、皆さんの懸念があるのかと思います。それで何度か、大学を出たばかりの人がというお話が出てきて、ちょっと若者の立場でお話しさせていただくと、社会的養護に従事したい若い方は大勢いて、子どもたちのために一生懸命取り組みたいと思っているけれども、きちんと養成してもらえない環境下で、いわゆる対応の難しい子どもたちのことを十分に養育できない。そういう若者たちがバーンアウトしてしまっているということは、日本全体においても大きな損失だと思います。
これまでの大舎制が培ったものも大きなものがあると思うので、きちんと職員の養成の仕組みだったり、確保が難しいという部分でやはり社会的養護の認知されていないというところもあるので、そういった啓発や養成ということに、都道府県にも計画を立ててもらうということが、並行して行われるべきなのかなと感じています。
済みません。私の理解不足で申し訳ないのですけれども、資料の6ページの応援職員の配置について、白丸の2つ目に配置について御説明いただいているのですけれども、私の理解不足で具体的にどのような配置になるのかが見えないので、宮島委員にでも教えていただければなと感じています。そのレベル1の個別対応職員が1人つくとかというものなのか、そういう配置がされているところに何名つくとか、わからなかったので教えていただきたいのですけれども、応援職員の配置ということはすばらしいお考えだなと思って、乳児院さんのほうも詳しいことは書かれていなかったので、あわせて知りたいのですけれども、これは、それぞれの職員さんが安心感を持って相談することができる人、相談までいかなくても、何とかさんがいるから安心して子どもに対応ができるという役割の方なのかなと思うので、非常勤であってはその役割は果たせないと思うので、常勤としてということで検討が進んでいるのかなということを確認させていただきたいということが、要請と含めてあります。
これで最後なのですけれども、小規模化をしていく中で懸念されることのもう一つとして、いわゆる対応の難しい子たちが外に出されてしまうということが大いに起こり得る。もう現在、起こっていて、そこに自立援助ホームをふやしていくという方向性は、その延長線にあるように感じているのですけれども、でも本当に、いわゆる対応の難しい子ほど児童養護施設や情緒障害児短期治療施設や児童自立支援施設など、専門性の高いところでしっかりと、育ち直りという言葉が出ていましたけれども、親には愛してもらえなかったけれども、私にはこの人がお父さん、お母さんだと思える、まぶたの母と思える存在というものが必要だと思いますので、決して小規模化していく中で、いわゆる対応が難しいというお子さんたちが外に出されてしまう、自立援助ホームに放り出されてしまうということがなきよう徹底をお願いしたいです。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
それでは、藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員 どうもお疲れ様でした。中身はよくまとまっていて、本当に御苦労されたなということを感じます。
私は3つほどなのですが、1点は児童養護施設の職員でもある立場からの話でございますが、現実的に私のところは10年の準備をして5年前に全部小規模にして、小舎制養護を展開し始めたのです。5年たったのですけれども、今、地域小規模が分園として5カ所、本体が8カ所ありまして、94名の子どもを13グループに分けて見ているという状況なのですね。
5年間でやはり現実的に非常に職員の定着率が下がったということが実態としてございます。現実の問題として、1グループ8名以下の子どもにしても、3名の職員をつけるという基準で動かす。それもやはり実態を考えていきますと、1人の職員は月に10日宿直となっていきます。そこに管理宿直者が入ってきて、何とか緩和されてという状況ですが、それで回しているという実態を考えると職員の苦労がおもんぱかられるわけで、やはり大変な状況でやっているなと感じながら、どうやって定着率を上げていくかということが最大の課題になっているということが、私たちの現状です。
3名の配置では間に合わないというようなところでは、うちの体制は直接処遇職員45名ほどですが、フリーの職員が3名おりまして、その3名が全体のどこにでも動けるという支援体制を組んでいます。でも、そのほかに心理担当職員とか加算配置でつけられる看護師も含めて、里親専門相談員も含めて、フリーで動ける人たちを多くして、支援体制を二重三重にするということをやらないと、どうしても追いつかないということが実態なのですね。それでも、一たび問題が起これば休みの日も出ていかなくてはならないという現実があるわけですね。ですから、この支援体制を二重三重にできるような仕組みを考えていただきたいなと思います。
それと、伊達委員のほうからお話がありました児童相談所の中身ですね。児童養護施設の存在とか小規模化へ向かっていったときの中身の中で、虐待の問題と子どもの権利を守るのだという問題と両方の側面があるというお話が、きょう出されたのですけれども、まさにその両方の側面があって、今、児童相談所との連携のとり方というものが、まさにその2つの点で連携しているのだと思っているのです。
ただ、児童相談所は虐待の専門機関ですから、どうしても、預けたら施設のほうにたびたび来るとか連絡をとるとかというは回数が減っていくということが現状なのですね。
ですから、先ほど言った二重三重の支援体制にプラスして児童相談所が施設を支援する体制を組む。それは虐待を受けた子どもたち、あるいは、措置した子どもたちを中心にということでいいと思うのですね。そこの体制をうまく組む方法を考えられないのかなというところは提案したいと思っています。児童相談所の機能が虐待に専門特化する以上、施設に預けた子どもたちの支援の中身も検討する方法があるのではないかなと思っています。
最後です。ファミリーホームからの意見が出たところで、小規模グループケアを6カ所まで設置できるようにしたということで、おととしの制度改正で私の施設は5カ所まで広げて、今年度6カ所まで持ってきたのです。ですから、このままの状態でいくと、来年度末にはファミリーホームは2カ所設置しなければならないという条件を与えられているのですね。これが一番早い児童養護施設の取り組みの状況なのだと思うのです。
ですから、ファミリーホームを児童養護施設が設置しなくてはならないという施設が、少なくともこの制度の流れの中で、3~4カ所はあると思うのですね。そういうところのファミリーホームを具体的にどういうふうにするのでしょうかというところを詰めていかないといけないと思うのですね。果たしてできるのかとか。卜蔵委員からもありましたけれども、制度的に本当にそれを適用しようとしたら、いろんな問題があるので、具体的な中身を詰めていかないといけない時期に来てしまっているかなと感じました。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
またいろいろな御意見もあるかもしれませんが、この議題だけでいるわけにはまいりませんので、ここで一応切らせていただいて、渡井委員からの御質問もありましたので、それらも含めて宮島委員のほうから少し総括的に、もしできればと思います。
○宮島委員 改めて、このテーマですと議論が熱くなるなと感じています。今年の夏は暑かったのですけれども、ワーキンググループの議論も熱かったなと思い出します。
やはり本当にぎりぎりの中で必死に頑張って運営をしてきていますので、あれも大丈夫なのか、これも大丈夫なのか、あれもあるではないか、これもあるではないかという雰囲気にワーキンググループでもなりました。それは一つ一つきちんと丁寧に扱わなければいけないけれども、ただ、現状が子どもの権利が守られている状況で、変わらなくていいのかということを再確認し続けなければいけないということを、ワーキンググループに加えていただいてずっと思っておりました。
そしてワーキンググループの途中でも、そのことを再確認するということを議論の中でも行う場面がありました。当初、事務局からはざっくばらんに話しましょうと、全然ざっくばらんではなくて、かなり厳しいやりとりがなされていたなと思います。
ただ、ぜひこの中身をもう一度委員の方々に見ていただきたいなと思うのですけれども、出された懸念についても、既に検討されてこの記述の中に盛り込まれているものもございます。例えば、地域小規模と地域型の小規模ケアとどう整理がされているのかとか、ファミリーホームを持つという表現の中身は一体何なのかとか、あるいは、施設整備を一旦つくったものをもう一度柔軟にニーズに合わせて変更していくときに助成制度なども柔軟に対応する仕組みを用意しているとか、かなり踏み込んだものもこれに書かれている。これは本当に事務局のほうで、いろいろなところで調整した上でここまで書き込んでくださったものと私は理解しています。
これはアクセルだけのマニュアルではなくて、ブレーキをきちんとかけるためのマニュアルであると思います。もちろん、アクセルの部分もブレーキの部分も十分でないものはいっぱいあると思いますけれども、でも両方が盛り込まれているマニュアルであると私は申し上げなければならないなと感じています。
そして、実際、できるところから始めるために、実際に始めているところ、モデル実施が行われているところをぜひ取り扱うべきであると、相澤委員が言ってくださいましたけれども、まさにその作業を現在進行している、始めている。今、それをまとめて記述するという作業を行っているということを御報告いたします。
あと、ちょっとこれは包括的というか、個人的なことなのですけれども、やはりワーキンググループでも、今、小規模化すればするほど、ソーシャルワークの役割が重要になってくる。あと分散化しているものの全体をどうまとめ、理念とか考え方や技術を共有していくかということが重要であるということが出ました。本当にそのとおりだなと思いました。同時にただ、児童相談所がだめだという言い方はちょっと私は抵抗がありますと申し上げまして、児相がだめだという表現ではなくて、ソーシャルワークが重要で、それがなければこういうことは進めていけないのだという扱い方でぜひ議論をしていきたいと、そこでも申し上げましたし、ここでも申し上げたいと思います。
先ほどの応援職員の件も、実はどういう職員を充てなくてはならない、その応援の中身は何なのかという点も、この中の本文のほうにはある程度書き込まれておりますので、ぜひその辺もごらんいただきたいと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
時間の関係で渡井委員には後で御確認をいただくという形でよろしいでしょうか。また事務局のほうで終わってから、御説明いただければと思います。
ありがとうございました。
議論は尽きないわけですけれども、皆様方の御意見は、内容的にはおおむね御了解をいただいたかと思います。その上で、これを実施していくに当たってのさまざまな留意点、あるいは、これを本当に生かしていくための今後の方向性の議論等々について、さまざまに貴重な御意見を頂戴をいたしました。一つ一つまとめることはいたしませんけれども、まずはこの「課題と将来像」を着実に実施していかない限り、小規模化や地域分散化は進めていくことはできない、安易に進めていくことは危険だという話は、私も率直にそのように思いますし、また、行政の意識や体制の強化、都道府県や児童相談所といった行政機関の体制強化ということ、あるいは、意識変革という、大きな権限を持つ、そうした行政庁の改革ということも大切だという御意見もあったかと思います。
それから、支援機能をしっかりと強化していく。そのために本体施設のフレキシブルなあり方について、ちゃんと念頭に置いておくということが大事だということもありました。
小規模化というものは、施設の小規模化だけではなく、里親やファミリーホームを支援することによって、小規模化を図るという方向性を忘れてもらっては困るという御意見もあったかと思います。
好事例集を発刊すべきだといったこともございました。
一つ、私のほうからも、今、渡井委員がおっしゃいましたけれども、職員のことについて、いわば職員の人材のことについて、私も大きな懸念を持っておりますので、そのことも個人的な意見として申し上げたいと思います。職員のことについては、今、その配置の数を上げるということと、それから、キャリアアップできていく、あるいは、キャリアパスがしっかりとつくられていくという体制と研修の必要性、さらには保育者の養成のあり方という意見が出ておりました。この4点はとても大切だと思います。
特に私は養成校の現場におりますので、保育士がこの社会的養護の課題にあまりかかわることがなくと言っていいかと思いますけれども、卒業をしていく。そして社会的養護の現場にいきなり出ていく形になります。そこで思いがけない厳しい現実にたくさん出会って退職をしていく。こんなことが続いています。
「子ども・子育て支援法」の中で、保育士資格のあり方について今後検討するということが附則で検討事項として盛り込まれております。そういう意味では、保育士の資格をどう考えていったらいいのか。社会的養護の充実を念頭に入れた保育士養成の必要性、そんなことも社会的養護の側から発信をしていくことも大切なのではないかと考えた次第であります。
このほかさまざまな御意見、留意事項等が上がっておりますけれども、内容的にはおおむね御了解をいただいたと思います。これを専門委員会として了解をするということで、御確認をこの場でいただければと思います。
なお、専門委員会報告として、これを出していくという場合には、今、ございました幾つかの貴重な御意見、本体部分には含まれていない幾つかの御意見を追記した上で専門委員会報告という形にしていくということで、その中身につきましては恐縮ですけれども、何回も会を開くわけにはまいりませんので、委員長と事務局のほうに御一任を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○柏女委員長 よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。
それでは、そのような形でこの報告については扱わせていただきたいと思います。厚生労働省のほうにおいては、今後に向けた作業をぜひ進めていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、次の議題の(2)に移りたいと思います。
「平成23年度における被措置児童等虐待への各都道府県市の対応状況について」、これについて考えていきたいと思います。事務局より資料の説明をお願いをしたいと思います。
○大鶴家庭福祉課長 資料2になります。平成23年度の被措置児童等虐待の調査結果でございます。
施設におきます被措置児童等への虐待については、都道府県等が受け付けた通告・届出の状況、都道府県が児童福祉審議会の意見を聞きながら確認した虐待の事例の状況、あるいは子どもや施設に対するケアや指導の状況を毎年度取りまとめて委員会に報告しております。
前回の御議論で、委員から施設の対応例などの提示の仕方について御発言がありまして、事案の概要と施設の対応、あるいはこれまでの対応を並べたほうがわかりやすくなってよいのではないかという御指摘がございました。
今回の集計に当たりましても少し検討してみましたが、事案によって都道府県の公表なども含めまして、具体的な事例や対象となっている子どもが特定されてプライバシーを損なうおそれもあるということもありまして、前回の御指摘についてどのように対応させていただくかについてはさらに事務局で検討させていただきたいと思います。
今回は前回と同様の内容での資料の整理をさせていただいております。
それでは、1枚目の概要の中ほどをごらんいただきたいと思います。
○のところでございますけれども、通告・届出の件数は193件ございました。そのうちの都道府県市が虐待ありとしたのが46件になっております。うち1件は23年にわかったという事例でございます。
施設のタイプですけれども「児童養護施設」が28件「里親・ファミリーホーム」等が6件という形になっております。
虐待の種別では「身体的虐待」が37件ということで8割を占めております。そのほか、「心理的虐待」、「ネグレクト」、「性的虐待」という順で出ております。
2ページから詳細を挙げております。
詳細は後でごらんいただきますとして、5ページに各施設での対応状況なども挙げておりますので、ごらんいただきますと、従来の取り組みと基本的には同様の取り組みをそれぞれなされておりますけれども、若干新しい事例で申し上げますと、5ページの一番下の「地域小規模児童養護施設の孤立化を防ぐため、施設長等が会議に参加」したというようなことが挙げられています。
先ほどの議題の中でも小規模化のマニュアルで、小規模化の課題としてホーム内の出来事が周囲に伝わりにくいとか閉鎖的であるとかいうようなことが課題としての指摘がございまして、対応としましてもグループホームを含めた職員会議の開催、あるいは施設長や基幹的職員がグループホームに泊まったり食事をするなど運営方法の工夫をするというようなことを御議論いただきました。こうした対応事例の1つということで今回報告が出されております。今後こうした取り組みも周知を図っていきたいと思っております。
次のページ、少し新たなところで掲示しているものとしては、下の「児童への対応例」ということで、下の2つですけれども、これまで被虐待児童への謝罪あるいは心理ショックへのケアというような、虐待を受けた児童への対応というのを中心に挙げておりましたけれども、今回、下のほうの2つでは加害した児童への対応あるいは子どもと施設職員での問題解決ということで、虐待を受けた児童以外の施設全体での取り組みの報告がありましたので挙げております。
7ページからはどのような事案であったのか一覧表にして掲げております。
こうした事案をしっかり挙げて各関係方面に知らせることで、どういうものが虐待と判断されているかはっきりと認識していただいて、養育のあり方あるいはどのような対応をしていっているのかというのを現場で検討していくための材料になればと思っております。
以上でございます。
○柏女委員長 ありがとうございました。
これは毎年年1回御報告をいただいておりますけれども「平成23年度における被措置児童等虐待への各都道県市の対応状況について」、御報告をいただきました。
委員の皆様から何か御意見、御質問等がございましたらお願いをしたいと思います。
林委員、お願いいたします。
○林委員 先ほどの小規模化のテーマとも整合性を持ってこのデータが使えるように、3ページにあります児童養護施設の形態別の件数というのがもしおわかりならお願いしたいということと、今後そういう形態の中で小規模化の課題というのもより明確化する根拠になるのではないでしょうか。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
事務局のほう、これはわかりますか。御回答いただいた上で今、わかれば。
○尾高家庭福祉課長補佐 わかりません。
○柏女委員長 それでは、今後こうした報告があったときにどういう形態の中で起こっていった事案なのかということについてもとっていただけると、今後小規模化を進めていくという形になりますので、どの場で起こったのかということも1つの統計の中に入れていただくように御検討お願いできればと思います。
よろしいでしょうか。
どうぞ。
○尾高家庭福祉課長補佐 先ほど、課長のほうから打ち出し方、プライバシーの確保だとか個別特定性という話も我々は懸念しているところでありますので、そういうものを踏まえながら先生たちと相談しながら進めていきたいと思います。
○柏女委員長 わかりました。では、よろしくお願いいたします。
では、吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 この状況ですけれども、1つの視点はどの都道府県で何があったか、どういうケースがあって、その対応の内容を知らせる、事実を知るということもとても大事だと思うのですけれども、私はもっと大事なのはこの仕組みがきちん動いているかということかと思うのです。
前回も言いましたけれども、都道府県での虐待の事実が認められた件数、3ページにありますけれども、果たしてこれが人口比で見てどうなのだろうか。それから、地域によって随分違いがあるなということなどが懸念として出てくるのです。
というところで、事務局のほうに1つお願いなのですけれども、もう少し詳しいものが出てこないだろうか。もちろんプライバシーの問題は配慮するということでありますけれども、例えばここで載っているのは虐待の事実が認められたのが都道府県別で載っていますけれども、通告が都道府県別で何件あったのかということですね。これは運用状況を知る上で大事だと思うのです。これを載せていただきたい。
それから、2ページに戻りますけれども、届出・通告者の内訳というので、誰が、どういう機関が通告しているかとありますが、これが先ほどの林委員のご意見と関連しますけれども、施設別でどうなのだ、どういう種別の施設で誰から通報が来ているのかということです。例えば里親さんの虐待が載っていますけれども、これなどはどういうルートで来たのか、一時保護所はどうだったのだということはとても気になるところなのです。
それから、通告に関しては通告者とのクロスでいいますと、施設内虐待の類型別のクロスも欲しいところだなと思います。やはり気のつきにくい部分もありますから、このあたり、この制度の周知がどの程度徹底しているのかという手がかりになるのではないかということです。
3点目ですけれども、この資料は分析の対象が虐待の事実が認められた事例とされていますけれども、その元になった通告と虐待との関係ですね。虐待に当たらないとした事例が全部ここでカットされていますけれども、本当にそれで大丈夫なのかということです。つまり、虐待というところまでの事実はないにしても、極めてそれに近いとかそのおそれがあるとかという事柄を、この届出事例の中から見つけ出せるのではないかということなのです。
というので、私はこの制度ができて、これがきちんと運用されることが大事なので、その運用につなげるような資料をつくっていただきたいということを事務局のほうにお願いしたいと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
とても貴重な御意見ではないかと思いますけれども、今の段階で事務局のほうでいかがでしょうか。
○大鶴家庭福祉課長 個別にいろいろと御提案いただきましたけれども、そうした御意見も踏まえまして、資料をどのように整理していくかというのは考えていきたいと思っております。
○吉田委員 ぜひお願いします。
○柏女委員長 大塩委員、お願いいたします。
○大塩委員 失礼いたします。
この被措置児童に対する虐待の件数なのですが、措置をされている児童の割合を考えてみると、児童養護施設が28件で、里親・ファミリーホームが6件という、措置児童に対する割合からすると、里親・ファミリーホームはかなり高い割合だと思います。
ここをどう考えるかということなのですが、2ページにありますように、届出・通告者の内訳のところで通告者が「児童本人」が31.5%、「児童本人以外の被措置児童等」が6.4%となっていますが、子どもたちが自分たちで「虐待を受けました」ということを申し出られる環境が整っていることが大事なのだと思うのです。
今後、小規模化が進んでいくときに、生活を共にする子どもたちの人数も少なくなって、大人の数も少なくなってきたときに心配するのは、子ども達が「虐待を受けました」ということを発言することができるかどうかということです。子ども達が児童相談所から措置をされるときに自分を守る権利としてきちんと伝えてもらいたいということをお願いしたいのです。
施設内虐待防止の取り組みについては児童相談所でもきちんとされてはいると思いますけれども、各都道府県でどういうような取り組みがなされているのか。施設職員に対しても子どもたちの権利を守るためにどのような研修体系を組まれているのか、新人職員に対して、あるいは定期的にどのような取り組みがなされているのかなど、それぞれの都道府県での取り組みも明記しながら、当然ですが施設職員・里親には子どもたちに対して虐待をしないこと、それから子どもたちが虐待を受けたときに申し出ができるような仕組みを徹底していただきたいということがお願いです。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
とても大切な御指摘ではないかと思います。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、相澤委員、お願いいたします。
○相澤委員 吉田委員の御指摘を、統計的な解析をしている上には、単年度の解析ではなくて、21年度からとっておりますので、今度24年度もとることになると思いますけれども、そういう意味では総合的に全ての年度を含めて分析すると少し傾向が出るのではないかなと思います。その辺の分析をお願いできればと思います。
○柏女委員長 宮島委員。その次が渡井委員ですかね。
○宮島委員 昨年も一度申し上げたことの繰り返しになるのですが、数字の分析、解析も重要ですけれども、事例検討もとても大事だと思います。虐待を受けて入所してきて、その再現性があるということも指摘されているわけで、そういった構造の中で被措置児虐待も当然起こっているわけですから、どういう構造で施設内虐待、被措置児虐待が起こっているのかという分析が不可欠だと思います。それは個別事例ですから公開できないものだとは思いますが、検討の場を設けていく必要はあるのではないかと申し上げたいと思います。
○柏女委員長 ありがとうございます。
では、渡井委員、お願いいたします。
○渡井委員 皆さん御存じかと思いますが、9月7日号の『週刊金曜日』で被措置児童等虐待について詳しく取り上げられていて、特に恩寵園の元お子さんたちが座談会でお名前もお顔も出して語られているということに、私たちは重くその声というのを受けとめる必要があると思うのですけれども、なので、とにかく当事者の声から何を私たちが大切に思うべきかという部分をお伝えしたいのですけれども、特にこちらの記事を読ませていただくと、すごく傷つけられたけれども、こういった場で語られることができるようになったという経緯は、助けてくれる人がいた、あきらめの悪い大人もいるんだとうれしかったというお話があるのですけれども、そういう、人に傷つけられたという部分は人でしか傷を癒やすことはできないかと思うので、この方々はたまたまそういう人に出会うことができましたけれども、そういった存在と出会うことができずに苦しい思いをされ続けている方もいらっしゃる。
また、そういった部分ともう一つ、この座談会で大切な声だなと感じているのは、施設長は謝っていないというコメントがあるのですけれども、本当に純粋に、そのときしたことが悪かったということをきちんと謝罪してほしいというシンプルな気持ちというのが満たされないというか、なぜかかなえられないまま、そういう状態で自立しろと強いられている子どもたちがいるということを、私たちはそういう観点から被措置児童等虐待の撲滅に向けて考える必要があるということが1点。
残念ですけれども、社会的養護に限らずどの福祉分野も教育や医療も、パワーバランスが対等でない関係性というものは、どうしても力を強く持っている人が、人に対しての見方というのは性悪説であるべきだと感じるのです。密室で孤立化してしまっている環境の中で弱い立場の人たちが、子どもたちが、特に子どもの場合は措置されていてほかに逃げ場もないですから、そういった子どもたちがきちんとSOSを出せる仕組みがあるのかという部分で、資料の13ページに「被措置児童虐待対応の流れ(イメージ)」とありますが、まずこの一番最初の部分をどれだけの子どもたちが知っているか。市町村、福祉事務所、そういうところにも、児相以外にも相談するところがあるんだ、施設によっては第三者委員とか設置されていると思うのですけれども、そういった第三者委員などが子どもたちにとって本当に身近な存在として機能しているかどうかという、とても地道なところから対策を練っていく必要があるのかなと感じています。
くどいようなのですけれども、子どもたちは未来を担う大切な子どもたちで、そういう子どもたちについて、もっとわが身に置きかえて、自分がこんな思いを受けたら生きていけるだろうかという視点で、私たちこの審議会でもじっくり検討していかないとならないなと感じています。
長くなりましたが、以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
そのほかにはよろしいでしょうか。
では、星野委員、お願いいたします。
○星野委員 たしか厚労省で施設内虐待防止ガイドラインを作成したのは3年前でしたかね。私のいる神奈川県ではそれを受けて、その翌年に防止のためのハンドブックみたいなものを委員会をつくって作りました。そのときに最初の会議のときにある施設の方が「こんなものつくったって職員に読ませる暇はないんだよ」と、そういうふうにおっしゃっておられたのです。
だから、各都道府県で独自にどのぐらい検討されておられるのか、それをまたどのぐらい施設の職員、もちろん里親も含めて、どのぐらい末端までその教育が行き届いているのかということをちょっとウオッチしていかないと、せっかくガイドラインができてもまた元に戻ってしまうのではないかという気がしています。
○柏女委員長 ありがとうございました。
いろいろな貴重な御意見を頂戴いたしました。
この件については昨年度の検証委員会のほうでも今、相澤委員のほうからもお話がありましたデータベースを作成する必要性等々についての御意見もございましたし、それから、しっかりと中身についてまで検証をすべきだ、あるいは都道府県がどういう体制をとっているのか、そこについても検証すべきだという御意見もきょうはございました。
この場は公開の場でございますので、なかなか個別の事例まで議論をしていくことは困難なわけですけれども、家庭内虐待の死亡事例については別の専門委員会も設けられておりますので、そうしたことも参考にしていただきながら、今後、被措置児童等虐待の対応システムや改善策等についての検討をどのようにしていくのか、その場も含めてちょっと事務局のほうで御検討を続けていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
議題の2につきましては、よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、議題の3「その他」に移りたいと思います。「その他」は大きく2つございます。1つは現在進められております各種ワーキンググループの現在の進捗状況につきまして報告をしていただくという形になります。
まずは事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。そしてその上で、当委員会の専門委員であります宮島委員、犬塚委員、星野委員、相澤委員、?田委員を座長にお願いして、それぞれ取りまとめに御尽力をいただいておりますので、資料の順番に補足をお願いできればと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○大鶴家庭福祉課長 それでは、資料3につきまして御報告します。
課題と将来像を踏まえまして実務に即したマニュアルとか事例の検証ということで、今、ローマ数字で5つの分野でそれぞれ委員会あるいは研究会などを進めていただいております。この中でも4番目は施設種別ごとに指針、手引書をつくっていますが、ここの中には5つのワーキングが入っております。これらを今、同時並行的に進めていただいております。
順次見ていただきますと、2ページ目でございます。まず「全国里親委託等推進委員会」の状況です。これは星野会長に座長をお願いして進めております。
内容としては2番目の「?里親養育の手引書の作成」というのをやっていただいております。里親等があるべき里親養育をみずからの養育に引きつけて考えるために活用できるよう、また、乳児院・児童養護施設の里親支援専門相談員、里親支援機関、児童相談所の職員など関係者の参考となるように手引書をつくるということであります。
スケジュールのところで、第1回は7月2日に上げまして、原稿を今、つくっていただいているというところで、第2回をこの10月に、中間報告・検討ということをしようと考えております。第3回で年度内にまとめられればということです。
2つ目の作業としまして、次の3ページ「好事例調査報告書の作成」というのをやっていただいております。これは地方自治体の中でも里親委託率が大きく伸びている自治体、福岡市と大分県でございます。ここについて調査しまして、調査の実施を6月~8月にやりまして、今、調査内容の検討、報告書案の検討ということで進めているところであります。
4ページ目ですが、先ほどの宮島座長にお願いしておりました「施設の小規模化及び家庭的養護推進ワーキンググループ」でございます。
「進捗状況について」はごらんのとおりですけれども「第4回以降 事例集について議論し年内を目途に発出」というのが次の目標ということで作業を進めていただく予定になっております。
5ページ目が「親子関係再構築支援ワーキンググループ」ということで、これは犬塚先生に座長をお願いしておりまして、社会的養護の施設の方向性として地域支援の役割を高めていくことが示され、施設による親子関係の再構築を図っていくこととされたことから、取り組み事例の収集、留意すべき点の整理などを行って、24年度に事例集を作成、25年度にガイドラインを作成するということを目標としています。第1回を7月、第2回を9月に開いて事例発表と様式、内容の検討などをしており、11月以降に第3回と進めていく予定としております。
6ページ目が「施設運営の手引書編集委員会」ということで、これは5つの施設の種別ごとにそれぞれワーキンググループをつくりまして、?田先生と相澤先生にも座長をお願いして進めていただいているところであります。
9月から各グループごとに調整して、会を開催していただいているところであります。
7ページ目が「社会的養護第三者評価推進研究会」で、これも柏女先生に座長をお願いしております。
内容として24年度は「評価調査者向けテキスト」と「施設向けテキスト」をつくるということで、下のスケジュールに書いておりますけれども、8月にそれぞれ検討しまして10月は「評価調査者向け」テキストの検討で、今、各委員の手直し作業中ということであります。
こうしたテキストをつくりまして、その後、第三者評価基準の見直しの方法の検討も進めていければと思っております。
以上が各ワーキングの現在の進捗状況でございます。
○柏女委員長 どうもありがとうございました。
それでは、時間も押しておりますので、各ワーキングに所属をしていらっしゃる代表の方にごく簡潔に、また、全体にわたることで何か紹介をしておかなければいけないことが特にありましたら、それを中心に御紹介をいただければと思います。
まずは1番ですが、先ほど来御報告をいただいております宮島委員のほうから何かございましたらお願いしたいと思います。
○宮島委員 先ほどもう申し上げさせていただいておりますので特にありません。現在では好事例集をきちんとまとめるということが使命だと感じております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
それでは、続いて?の親子関係のほう、犬塚委員はいかがでしょうか。
○犬塚委員 今、紹介していただきましたように、2回が終わっているところです。
施設での親子関係再構築支援というのはまだまだこれから取り組まなければいけない分野で、これは家庭復帰に限定しているものではありません。非常に広く捉えて、施設の種別も養護施設だけではなく地域支援の児童家庭支援センターも、あるいは母子生活支援も含まれています。子どもたちが虐待的な養育環境などのそこで一緒に暮らせない状況の中で、多くは分離して、あるいは母子生活支援施設などのように親子で生活する中で、親への回復への支援と、子どもの、先ほど来出ています育ち直りの支援、あるいはいろいろな傷つきの回復への支援、そして親子関係を改善する支援を受けることによって、必ずしもそれは家庭復帰に結びつかないことも多いと思うのですけれども、子どもがその中で、自分自身について自尊感情をきちんと確認できて、将来生きていく上での力を得るということを目標とした支援を親子関係再構築支援と呼んでいます。現時点でどれだけできているかということで、まだまだこれからの取り組みになると思うのですが、とりあえず今、それぞれの施設でどういうことができているのかということとこれから何ができるのかということを事例を集めてやっているところです。
以上です。
○柏女委員長 どうもありがとうございます。
それでは、ちょっと順番が前後して申しわけなかったのですが、星野委員から全国里親委託等推進委員会の検討状況について補足的に何かございましたらお願いをいたします。
○星野委員 ここに書いてございますように、各先生方の御協力を得まして順調に進んでおります。
ことしは福岡市、大分県といったところを調査いたしましたけれども、来年ももし継続できれば、同じ県の中でもかなり落差が激しいのです。各里親会というのは小さなブロック単位で動いていますから、同じ県の中でも非常によく活動しているところと、ただ養子が欲しいだけという里親がいっぱいいてそのためにこういう活動が余りうまくいっていないというところがあるので、その辺のところも見極めていけるようになるといいかなと思っております。
○柏女委員長 ありがとうございます。
それでは、?の施設運営の手引書編集委員会と、?の社会的養護第三者評価推進委員会については連動しておりますので、私のほうから簡略に説明をさせていただいて、その上で相澤委員、?田委員のほうから補足的にお願いをできればと思います。
施設運営の手引書編集委員会については、今年度中に、いわば骨子を作成することになっておりまして、来年度にそれぞれの分野で手引書を作成するという形で進んでおります。
そして、第三者評価の推進委員会、この委員会がいわば親委員会として全体の調整を図るという形で進めておりますが、内容についてはそれぞれの施設種別ごとの特殊性がございますので、そちらを尊重してやっていこうという形で今、進んでおります。その中身についてそれぞれ2人の委員から御説明をいただきたいと思います。
続いて、社会的養護第三者評価推進委員会につきましては、今ほど御説明がありましたように、現在は施設向けテキストについては既に事務連絡等で報告をさせていただきまして、現在は評価調査者向けテキストの編集に当たっております。もう間もなくことしじゅうにはできるように最後の調整というところに入っております。
そんなところでございます。
それでは、手引書編集委員の相澤委員のほうからお願いしたいと思います。
○相澤委員 今、柏女委員長から御説明をいただいたとおりでございますが、児童自立支援施設のほうといたしましては、指針に基づいて指針の解説書というよりも、これまでつくってきましたハンドブックなどを参考にして手引書を作成したいと考えております。
今後の運営に非常に影響を及ぼす手引書になると思いますので、25年度末の完成に向けてじっくりと取り組んでいきたいと、このように考えております。
以上でございます。
○柏女委員長 ありがとうございます。
それでは、?田委員、お願いいたします。
○?田委員 情緒障害児短期治療施設のほうは、今後も情緒障害児短期治療施設をふやしていきたいと思っておりますので、新設を検討される自治体、法人さんに役に立つように、まさに新設のための手引書、建物とか日課とか人員配置とかそれぞれに少し具体的な例を盛り込んだ手引書をつくりたいと思っております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
今、かいつまんで御報告をいただきましたけれども、ほかの委員の方から何かございますでしょうか。
林委員、お願いいたします。
○林委員 限られた時間の中で、手短にちょっと1点だけお願いがあります。
?の里親委託推進のところで、一番最後の行に「里親支援の取組事例」という表現があります。今、ほぼ里親支援という言葉が定着化したがゆえの問題というのが私自身感じられるようになりました。それはどういうことかといいますと、里親は支援の対象なのか主体なのかというのはまだ十分に検討されておりません。
そういう中で、今、起こっていることは里親さんを支援することで、子どものケアを丸投げするというふうな状況があるかと思います。本来的には里親さんはチームの中で子どもの養育のケアの共有ということを要請されていると思うのですが、実際のところ里親さんは支援の対象として捉えられ、実際の子どものケアが里親さんに丸投げされる。
恐らく、里親支援機関事業を見渡しても、その中のプログラムの中、事業の中に、子どもの支援とか子どものケアということが非常に不十分なように思えます。子どものケアを介してどうつながり合うかという視点、それから、この事例でいいますと里親家庭における子ども支援に関する好事例集というような表現にするとか、あるいは里親さんとの愛着形成を除いた子どもの自尊心あるいは自己達成感とか高揚感を目的としたプログラムなども、今後、支援機関事業の中で捉えていかなければならないのではないかという思いを持っておりますので、子どものケアの視点というのを明確に今後打ち出していただくことと、里親支援という言葉に対しての再検討もお願いしたいと感じます。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
議論の途中でこれから里親を支援していくということを、言葉を不用意に使っていたことを反省させていただきましたけれども、とても大切な御指摘をいただいたかと思います。これは施設でこれから里親やファミリーホームを応援していく体制をつくっていく上でもとても大切な御指摘、御視点だと思いましたので、ぜひ皆様方にも御理解を賜ればと思います。
ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 漠然としたことで申しわけないのですけれども、第三者評価に関してですけれども、ここに載っているようなことを検討するということですが、きょうの最初の議題に絡めて、施設小規模化等に合わせて現在の施策の進捗状況というか、それが果たしてどういうふうに影響しているのかという、そこまで踏み込んだ第三者評価というのは今の段階では想定されていないのですか。
○柏女委員長 私のほうからお答えしたいと思いますけれども、あくまでもこれは第三者評価の完成形は、つまり全てがA評価になるというのは、この社会的養護と課題と将来像が実現をし、いわば政策の目指す方向性が完成した段階でのことという形になりますので、そこに至るプロセスについては、今は恐らくはB評価が標準という形になるのではないかと思います。そして、そこからAを目指しながらステップを踏んでいく。そこは自己点検、自己評価というのが3年に2回ありますので、それの中でA評価に向かってどのような歩みをしてきたのか、それを自己点検、自己評価しながら報告をしていくという流れで考えて構成されています。
○吉田委員 個々の評価はそれでよろしいと思うのですけれども、全体を見た中で、第三者評価を総括するに当たってこういう変化が出ているとか、施策に基づく状況の変化とかまでの分析というのがされると私としては意味があるのではないかなということです。
○柏女委員長 ありがとうございます。
データベースをつくろうという形にしておりまして、例えばそれぞれ100項目近い項目があるわけですけれども、それらについて全国の1,000カ所程度の施設が評価を行いますので、それらについて3年後ぐらいごとにどう変わっていったか、つまり、BからAになっていたか。そのデータベースをつくりながらそれを検証していくという方向で今、検討を進めております。
ありがとうございました。とても貴重な御意見だったと思います。
ほかにはよろしいでしょうか。
では、星野委員、お願いいたします。
○星野委員 林先生の貴重な御意見に反論するというわけではないのですけれども、確かにおっしゃるとおり子どもの支援ということをもっと前面に打ち出していってそのための対策をもっとクローズアップするべきだと思うのですけれども、里親の支援というものも何らかの形で、この中に織り込むのではなくて、別の視点で考えていかないと、やはり里親としては身がもたないというか、里親による虐待がふえているということ、パーセンテージからいくと多いわけですけれども、その虐待予備軍のような里親もかなり多いと思うのです。
要するに子どもがおかしいのか自分がおかしいのかもうわからなくなってしまうという状況に追い込まれてきている里親さんがかなり多いので、こういった調査とはまた別にその支援を考えていかなくてはいけないのではないかな。だから、アン基金プロジェクトをやっているような里親メンターみたいなものも非常に重要なウエートを占めてくるのではないかなという気がしております。
もちろん林先生の意見を否定するわけではありません。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ぜひこの全国里親委託等推進委員会の中で御議論を深めていただいて、またこの専門委員会でも議論をしていきたいと思っております。
ありがとうございました。
それでは、最後になりますけれども、冒頭事務局のほうからお話がありましたとおり、渡井委員から提出資料がございますので、それにつきまして御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○渡井委員 貴重なお時間ありがとうございます。もう時間が差し迫っていますので、本当は全てじっくりお伝えしたいのですけれども、なるべく手短にと考えております。
資料7に「第一回『ことな』の語り場 意見表明文」というものを用意させていただいております。
まず「ことな」の語り場というものが何かということに関して、めくっていただきますと、毎日新聞の記事が出ております。「施設の経験生かし活動」、「『一人じゃない』伝えたい」という見出しがありますが、こちらは今、施設で暮らしているお子さんたちや退所された方が同じ境遇の高校生と進学や就職、親への気持ちなどを語る場が欲しい、自分が退所したときしんどかった、これからの子どもたちにそういう思いをしてほしくない、そういう思いを持った方々が集う場をつくろうということで、8月の末に2泊3日で行った、入所中の子どもたちを主体としたキャンプです。
資料の1ページ目に戻っていただきまして「ことな」の語り場というキャンプに参加してくれた子どもたちは、入所中の高校生が10人、里親家庭で暮らしている高校生1人、施設などを巣立った人たち7人、そのほか、計30人の人たちでこのような機会を持ち、ぜひ一番の社会的養護の当事者である生の子どもたちの声を皆さんの審議に生かしてほしいということでまとめさせていただきました。
本当は全てをお読みしたいのですけれども、まず、項目の1つ目に「施設や里親家庭でよかったこと、嬉しかったこと」として、
?衣食住が確保されて、安心して生活できた
?自分が取り組みたい事を否定せずに、一緒に応援して動いてくれて頼もしかった
?ちゃんと怒ってくれた(理不尽な理由で怒らない・無関心じゃない)
?甘えさせてくれた(旅行に連れて行ってくれた・自分のことを必要としてくれた)
そういったとても素朴な声が出てきています。
これまでの議論を決して否定するわけではないのですけれども、本日の前半は小規模化に向けてじっくり議論が交わされたのですけれども、子どもたちの語り合いの場では決して小規模化がどうのこうのや里親優先がどうのこうのという声は一切出てきませんでした。それはどうしてかというと、子どもたちが選択肢を与えてこられていないというところから来ていると思います。自分たちが選ぶという権利があるということを知ることができていないということもこの「ことな」の語り場から浮かび上がりました。
また、もう一つは、この後もお話しさせていただくのですけれども、子どもたちが一番求めているものは、規模などの改善ではなく、養育者の方のかかわりの質を大切に感じておられるというのは、2007年の社会的養護専門委員会のときにもお話しさせていただいて、私自身が感じていたことと、今、暮らしている子どもたちの感じていることというのは変わりがないのだなということを感じております。
柏女委員長が最初に節目というふうにおっしゃったのが、まさに本当にケアの質というのを考えるところに来ているのではと感じています。
そういうことを共有させていただいた上で、次の項目「2.施設や里親家庭で嫌だったこと、こうして欲しいこと」の?に「高校生の門限が18時というのは早すぎる」とあります。「遅くなる時などは書類での申請ではなく、口頭や電話連絡を入れるなど、自然なやり取りにしてほしい」。
本当にごくごく自然な生活をしたいということを望んでいるということが感じ取っていただけるかと思います。
「?職員・養育者による格差・施設内格差(ユニット・フロア・ホームによる格差)・施設間格差の是正→子どもが納得できる基準・指標を示してほしい」。
決してあれもこれも自由にさせてくれとか、お小遣いをいっぱいくれとかそういうことを言っているわけではなくて、きちんとだめなことがある場合は、御家庭でもそういったことはあるでしょうから、納得ができる基準、施設だからだめなんだ、集団生活だからだめなんだ、お預かりしている大切な子どもだからだめなんだということではなく、子どもたちが納得できる説明をしてもらわなければ、人として対等に扱われていないので、そんな中で自立しろと言われることも子どもたちにとっては酷なことです。
「?不満を諦めずに済む仕組みを作ってほしい→ルール作りなどの運営に、子どもも参加させてほしい。困ったときに相談できるように、日ごろから苦情解決委員や当時者団体など第三者との交流も持ちたい(権利擁護の確立)」と挙げさせていただきました。
私見なのですけれども、あるアメリカのケースワーカーの方から保護者のいない13歳以上の子どもたち、養護児童には、13歳以上になったら弁護人と一般のボランティアがつく仕組みがあるということを教えていただいたことがあります。日本でも社会的養護を真に社会的なものにするためにも、吉田委員が社会の地域の力をかりてというお話をされましたが、まさに地域の市民の方々の普通の感覚で子どもたちとかかわっていただくということが必要だと感じております。
ページをめくりまして「(2)養育者に対して」。皆さん、意外に思われるかもしれないですけれども、養育者に対しては不満という声がそれほど出たわけではありませんでした。ちょっと御承知おきいただきたいのが、このような当時者団体が主催する第1回目のキャンプに参加をすることができる施設や里親家庭さんからだったので、養育者に対する不満がなかったかもしれないということがあるのですけれども、日ごろ第三者委員で施設などを伺うときも、お子さんたちの不満を私はお聞きに伺っているのですけれども、子どもさんからは施設職員さんが大変そうだから職員の給料を上げてほしいというような声が聞かれることもあります。それほど子どもは身近な養育者の方のつらい姿などを敏感に感じ取っています。
要するに何が言いたいかというと、養育者の方々が生き生きと養育に、人間としてということがきちんと保障された上で子どもたちと相対できなければ子どもたちも幸せになれないということで、きちんと養育者に対しての教育や研修、スーパービジョン、レスパイトケアの仕組みを確立してほしいということを改めてお伝えします。
(3)自立を控えて
?自立する前に、自分の生い立ちの整理をしたい→入所中に自分のアルバムを作って欲
しい
?年齢や能力相応の社会的な経験を通じ、常識やマナー・モラル、失敗体験・成功体験
から自信やコミュニケーション能力を身につけたい
ということが出ています。
アルバムに関しては、国立武蔵野学院で設置されている研究会でも、育てノート、育ちアルバムというものが実践の場、各施設種別を超えてつくられております。ぜひこちらももっと活用されたいですし、子どもたちは本当に今、民間のNPOさんなどが講義形式で自立支援などをしてくださっていますが、本当に実体験で経験をして失敗して痛い目を見たりしないと得られないので、退所してから全て初めてのことばかりで大変ということにならないように、日々の営みの中で子どもたちが巣立ちに対する自信を持てるようにしていただきたいです。
「3.児童相談所への意見」として、?に、そもそも子どもにととって児童福祉士さんがどのような存在なのかをきちんと説明し、日ごろからきちんとかかわってほしい。
「?措置変更の基準や妥当性、その理由をきちん示してほしい」。これは日向ぼっこの勉強会でもよく退所者の方から聞かれます。本当は自立援助ホームという仕組みがあった、それを知らなかった。自立援助ホームというところがあるのだったら自分も利用したかったということや、どうして措置変更になってしまったのか、いまだに納得がいかないというような声を聞いています。
「?親への支援をきちんとしてほしい」というのがあるのですけれども、お子さんからは、退所してからも親との調整をしてほしいという声も聞かれました。
「4.制度・社会の問題」。
「?アルバイトをしないといけない→退所に備えたい気持ちもあるが、部活や趣味などに没頭できるのは今だけという葛藤もある。子どもらしく過ごしたい」これは本当に18歳での措置解除というのが果たして現状、社会と照らし合わせて妥当なものなのかというのは改めて考える必要があるかと感じます。
「?身元保証人がいない」ということで、身元保証人確保対策事業があるが、こちらは先般改善されて申請期間が長くなりましたが、それでも1年ですし、施設長が保証人になってくれない場合もあります。子どもたちの前では決してお伝えできなかったですけれども、日向ぼっこに上げられている相談の中には、保証人不要の賃貸物件を利用した方が不動産業者から性被害に遭うということも1件ではなくお聞きしています。
この問題は本当にずっと横たわってきたもので、サイレントマイノリティーの子どもたちをずっとそのままにしてしまっていて、結局貧困の連鎖や社会的養護の世代間連鎖というものをつくってしまっていると思うので、今までずっと子どもたちの素朴な声を上げさせていただきましたが、制度の面ではぜひこちらのことも検討を重ねていっていただきたいと感じております。
最後に「?『少年院に入っているんじゃないか』と誤解されたことがある」ということで「難しいかもしれないが、差別や偏見を持たずにありのままをわかってほしい。自分たちで頑張るには限界があるので、もっと大人たちに啓発してほしい」。
本当にお子さんが、高校2年生の男の子が自分たちで頑張るのには限界があるとおっしゃいました。社会の問題として、片やもうあきらめているお子さんもいたのです。なので、掲載するのはどうかなとためらったのですけれども、何の悪いことをしたわけではない子どもたちが生きづらさを抱えさせられていて、それをあきらめようとしているというのは社会の問題として改善していきたいと考えております。
最後に、東京都や大阪市は退所者調査を実施されましたが、制度の改善には実際にケアを受けた人たちがどういうふうにいい状態になったのかとか、もっとこういうケアが必要だったという当事者の声を踏まえてでなければ意義のあるものにはならないと思いますので、子どもたちが望んでいるものは決してぜいたくなものではないという観点もよく御存じいただきたいのです。
今後もこういった場で子どもたちの声を代弁させていただきたいという気持ちがありますけれども、国でもっと大規模に退所された方々の実態などを把握するという調査を行っていただきたいなと切に感じています。
どうも貴重なお時間をありがとうございました。
○柏女委員長 ありがとうございました。
とても大切な御報告をいただいたかと思います。
委員の皆様方、何かございますでしょうか。
平井委員、お願いいたします。
○平井委員 1つだけちょっとよろしいですか。
子どもの措置の関係でちょっと早急に御検討していただきたいことがございます。これまでも何件かあるのですけれども、通常18歳で高校3年生、それで全日制高校に通っていまして、ここで差が出てくるというのは早い生まれ、4月、5月と2月、3月とでは、児相にもし性虐待とかで女の子がかかった場合、児童養護施設では18歳未満の子は児相が措置してくれるのですが、18歳を超えている高校生は措置できませんと言われます。
そこの年齢のちょうど年度末までというのであればいいのですけれども、今の法律上はそういうことになっておりまして、気の毒だなと思って、私は自立援助ホームも児童養護施設もやっているものですから、年度末まではいいじゃないのと言うのですが、そこはやはり法律的に無理だということで、自立援助ホームが、二十歳まで措置ができるようになりましたので、自立援助ホームに受け入れて全日制の高校に通わせています。
一応自立援助ホームも特別育成費は出るようになったものですから何とかカバーできますが、ある意味自立援助ホームも働くことを前提としていますから、高校については定時制とか通信とかを今までやってきたわけです。でも、今のその話の中で全日制の高校をやめさせるわけにはいきませんので、その子を受け入れてずっと面倒を見るわけですけれども、最終的には児童養護施設にいたほうがその子のためにはプラスになるというのは、そういう養育の部分でもそうですし、これから将来に向けても、自立援助ホームは就職支度費も進学支度費も出ませんね。そうなると、本人がそういう気持ちがあって頑張っていこうというのであれば、そこら辺の年齢の境目を、法で縛るのではなくて、子ども自身が18歳で高校生という立場は同じですね。同じ立場でただ早く生まれたか遅く生まれたかで何でそんな差をつけなければいけないのかというのは、私は日ごろからすごく思っておりまして、ですから、どうしてもそこら辺の御検討を早急にしていただきたいなというのをちょっと言わせていただきました。
○柏女委員長 ありがとうございます。
今すぐ事務局のほうで何か御回答できますか。
○事務局 いいえ。
○柏女委員長 わかりました。
この間、ロケット方式といって、第1弾、第2弾、第3弾、やれることからやろうというこの2年間の方針の中で、そうした制度の谷間の問題についてはかなり改善をしてきたとは思うのですけれども、やはりまだ、今、平井委員の御指摘等にもございましたような、幾つかの制度の谷間というものがまだまだいろいろなそれぞれの部会のところ、業界のところでもあるのではないかと思います。
ぜひ、これまでやれることは、将来的に向かって大きな課題と将来像を実現していくということも大事ですけれども、目の前の現在の制度の隘路にあること、これも一つ一つ解決をしていくということをぜひ進めていければと思っています。
今、平井委員の御発言にあったことをぜひまた事務局のほうでそれぞれの施設種別等とも話し合いを続けながら改善に向けて動いていっていただければと思います。
ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
当事者の声に学ぶということは本当に大切なことではないかと思います。私どもの大学でも先週の金曜日ですけれども、実習の事前学習の時間に児童養護施設の卒業生の方においでいただいて発言もしていただきました。そうしたことをこれからもそれぞれの場で続けていかなければならないし、また、施設の方々あるいは里親家庭の方々も地域の中に子どもたちとともに地域の中で歩んでいくという姿勢そのものが社会的養護を社会、地域に開いていくということにつながっていくのではないかと思います。
ありがとうございました。
皆様方の熱心な御議論で2時間を超えてしまいました。これで議事を終了させていただきたいと思います。
次回の予定については後日事務局のほうから御連絡を申し上げたいと思います。各委員におかれましては、大変お忙しい中お集まりをいただき、また、熱心な御発言をいただきまして、本当にありがとうございました。
以上をもちまして、専門委員会を閉じさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
<照会先>
雇用均等・児童家庭局家庭福祉課
措置費係: | 03(5253)1111内線7888 |
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