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2012年7月12日 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会(第57回)議事録

○日時

平成24年7月12日(木)9:31~12:07


○場所

専用第14会議室


○出席者

真野部会長、大島部会長代理、平井委員、浅野委員、松原委員、橋田委員、石渡委員、五十嵐委員

○議事

(以下、議事録)

1.開会

○真野部会長
定刻になりましたので、ただいまから「独立行政法人評価委員会医療・福祉部会」を開催いたします。本日は、個別評価の2回目で、医薬品医療機器総合機構の平成23年度業務実績に関しての評価を行います。よろしくお願いします。

2.審議
(1)医薬品医療機器総合機構の個別評価

○真野部会長
それでは、医薬品医療機器総合機構の個別評価に入ります。最初に、近藤理事長からご挨拶と、平成23年度の取組(概要)の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事長
皆様、おはようございます。大変お忙しい中、当評価委員会にご出席賜りまして誠にありがとうございます。委員の皆様方におかれましては、PMDAの業務について平素より多大なご支援、ご鞭撻をいただきまして、厚く御礼申し上げます。本日は、平成23年度の業務実績について評価いただくわけですが、その詳細は後ほど担当部長から説明させていただきます。私は、この1年間のPMDAをめぐる動きや、今後の重要課題について少々お話させていただきたいと思います。
PMDAは、健康被害救済、審査、安全対策の3つの業務を行っているところです。医薬品医療機器などの開発から使用までの全般にわたる国民の健康を視点においたセーフティ・トライアングルという日本独自のすばらしい仕組みを持っています。この仕組みの下で、PMDA職員全員で策定しましたPMDAの理念に基づいて、国民の命と健康を守るという絶対的な使命感を持って、職員が常に心を1つにして日々の業務に取り組んでいるところです。
業務運営にあたりましては、業務の科学性、透明性を高めるために、特にレギュラトリーサイエンスの推進に力を入れております。その一貫として、平成23年度においては、連携大学院の拡充であるレギュラトリーサイエンス研究に関する基本的な考え方を策定しました。それから、研究成果等を基準やガイドラインとしてまとめまして、さらなる審査の迅速化、開発促進につなげるための企画基準部の設置などの取組みを行ったところです。
現在、政府をあげて医療イノベーションの推進に取り組んでいるところですが、PMDAにおいても平成24年度の話になりますが、東京大学の薬学部の入村教授を委員長とする科学委員会を設置しまして、全国の大学などの第1級の研究者を委員としてお招きし、一層の科学的判断情報の強化を図っていくこととしました。また、がん研究会研究所より、矢守審査センター長を専任として任命しました。それから、東京大学工学部より医療機器担当として佐久間副センター長、国立生育医療センターから再生医療、バイオ医療担当として梅澤副センター長をそれぞれ新たなポストとして任命させていただきました。こうした取組みにより、日本がこの分野でのレギュラトリーサイエンスを強化し、世界の最前線へ出ていくための体制を整えたところです。
また、国際化の取組みと強化として、今後5年間から10年間を見通して、PMDAが目指す姿を明確にするものとして、PMDA国際ビジョンを策定しました。規制当局としての世界トップレベルの実力の確保と、アジア各国との緊密なパートナーシップ、それから基準等の国際調査への積極的な貢献を目指すこととしました。
次に、平成23年度の主な実績などについて申し上げます。まず第1に、法人全体に共通する部門については、引き続き無駄の削減、一般競争入札の促進などによって、大幅な一般管理費や事業費の削減を達成しました。次に救済業務ですが、事務処理のさらなる迅速化を進めるとともに、救済制度の周知に努めてまいりました。3番目に、審査業務ですが、新医薬品については、優先品目、通常品目ともに総審査期間に関する年度目標をクリアし、米国との審査ラグの解消に目処がついたところです。一方、医療機器については、一部改良医療機器、特に臨床なし品目については、年度目標には届くことができませんでしたが、そのほかはほとんどの分野で総審査期間に関して年度目標をクリアできるようになってまいりました。また、医療機器は承認件数も増加傾向にあるところです。今後は、後発医療機器を中心に、審査全体のパフォーマンスを上げるため、計画的な増員と研修の強化による審査の質の向上などの体制整備を行う予定です。
最後に、安全対策については、平成23年度から大学院等の診療情報を基に、大規模データベースを構築し、医薬品等安全対策に活用するための事業に着手しました。このようなPMDAの取組みは、私自身が国際会議において折に触れてお話しているわけですが、海外の規制当局等からは、実にオリジナリティーのある改革であり、それに伴って確実な成果が出ているとして、高く評価をされています。本年初めより、日本で認可された医療機器は、メキシコでそのまま認可されるというすばらしいことになっています。つまり、世界は日本の認可制度に客観的に高い評価と関心をもっている状況であることがわかります。今後は、薬事に関わるあらゆる分野で日本の認可を世界のブランドにする方向で強化していく方針です。今後とも、PMDAの理念、特に国民の命と健康を守るという理念に基づいて、より有効で、より安全な医薬品・医療機器をいち早く国民に届けるため、役職員が一丸となって努力していきたいと考えておりますので、ご指導ご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、私からの挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

○真野部会長
ありがとうございました。それでは、早速、個別評価に入りたいと思います。例によって、グループを4つに分けていますので、グループごとで時間を切らせていただきますので、よろしくお願いします。
最初に、グループ1「法人全体の関係」の項目について評価を行いたいと思います。法人は20分の持ち時間になっていますので、よろしくお願いします。
最初に、法人から説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長
企画調整部長の平岩と申します。よろしくお願いします。本日は、資料1-1から各種配付させていただいていますが、資料1-1を使って説明させていただきたいと思います。この資料ですが、1頁当たり2つのスライドが付いている構成になっています。そのスライドの右下に、小さい字で頁番号が振ってありますので、この頁番号をお示ししながら説明させていただければと思います。
パート1の法人全体については、8頁をご覧ください。こちらについては、5つの項目で評価をいただくことになっています。1-(1)目標管理による業務運営、トップマネジメントですが、自己評価としてはAを付けさせていただいています。平成23年度の取組内容については、10頁をご覧ください。[1]として、目標管理による業務運営ですが、年度計画に基づいた業務計画表を作成して、これを職員が計画的に業務を遂行してきました。また、年度の途中においては、幹部によるヒアリングを実施し、年度中間時点までの業務実施状況を把握して、必要な方向性を指示するというようなことを行っています。[2]の業務管理体制の強化、トップマネジメントについては、毎週「幹部会」等を開催しまして、理事長の経営判断を迅速に業務運営に活かせるための仕組みが整えられているところです。こうした議論を経て、平成23年度においては、「PMDA国際ビジョン」を策定して、職員のグローバルマインドを醸成したり、レギュラトリーサイエンスの研究を推進するためにルールを定めるということで、「基本的考え方」を策定しました。また、審査基準等を効率的に作成するために、規格基準部を新しく設置したところです。こういった取組みをしてきました。
12頁が、審議機関の設置による透明性の確保です。こちらについても、自己評定はAを付けさせていただいています。取組みの内容ですが、13頁にありますように、学識経験者や医療関係者、関係業界の代表や薬害被害の代表の方々から構成されます「運営評議会」をはじめとして、その下にあります「救済業務委員会」「審査・安全業務委員会」を公開で開催しまして、業務の公正性や透明性を確保しているところです。内容をホームページで公表することはもちろんですし、この中では毎回、企業出身者がPMDAの中でどのような就業状況にあるかとか、科学的なアドバイスをいただく専門委員の方々がメーカー等から寄付を受けているかどうかの状況についても報告をさせていただいています。
14頁は、審議会以外にも外部の専門家の方々のアドバイスをいただくということで、「理事長特別補佐」を設置したり、さまざまな分野の専門家の方を専門委員として委嘱をさせていただきまして、既に1,000名以上にわたる方々にいろいろなアドバイスをいただいている状況です。データベース化の推進ということで、審査業務を効率的に進めるために、過去の承認申請に係るいろいろな資料をデータベース化して、検索等が可能な工夫を行ってきています。そのほか、業務システムの最適化計画等に基づく取組みなども進めているところです。
2.-(1)の各種経費節減ですが、こちらについては自己評定Sを付けさせていただいています。16頁が取組みの内容ですが、左上に削減目標があります。これは、中期計画の目標ですが、一般管理費については、5年間で15%、事業費については5年間で5%ですので、1年ごとに割り振った年3%、年1%の削減を見込んだ予算額をそれぞれ設定しているところですが、実績として、この予算額に比べて平成23年度は一般管理費が16.7%の節減、事業費については7.8%の節減を達成できたところです。また人件費については、1人当たりの人件費を平成17年度と比べて8.4%削減したところです。3カ月に1回開催されます「契約監視委員会」において、調達案件すべてについて点検を行っています。この結果、随意契約から一般競争入札への移行が進みまして、これによる効果もかなり表れてきているところです。
2.-(2)各種拠出金の徴収及び管理です。こちらの自己評定はAを付けさせていただいています。中期計画上の目標数値ということで、収納率99%以上が定められています。その下をご覧いただきますと、平成23年度は副作用拠出金が99.8%、感染拠出金は100%、安全対策等拠出金は99.6%と、いずれも目標を達成できています。これは、システムの活用はもちろんなのですが、薬剤師会等関係者の方々のご協力によるところが非常に大きいということで、18頁に各種方策について書かせていただいています。
19頁からが、相談体制の整備、業務内容の公表等についてです。自己評定はAを付けさせていただいています。取組内容については、20頁をご覧ください。「PMDA広報戦略」に基づいて、各種の周知と広報に努めているところです。いちばん上のニュースレターは、内定者の方々に向けたPMDAの紹介ですが、これをメールマガジンという形で毎月発行しています。その内容を、ホームページにも掲載しまして、国民の皆様にも知っていただこうという取組みを続けてきています。また、「薬と健康の週間」とありますが、この前後に広報を集中的に行うことで効果を高めるというようなことや、薬害被害者の方々が開催されています薬害根絶フォーラムにおいてパネル展示等の参加もさせていただいたところです。そのほか、薬全般に関する一般相談窓口を開設していまして、年間2,000件近い相談、ご意見、ご質問等をいただいています。それから、外部監査、内部監査についても、適切に実施をして、ホームページに掲載等をしています。
4.予算、収支計画及び資金計画の関係です。こちらについても、自己評定はAを付けさせていただいています。内容は、その下の「特記事項」をご覧いただければと思います。随意契約等の見直し等により、経費削減を達成しています。下の2つの○ですが、会計上審査業務と安全業務は1つの勘定になっていますが、審査セグメントについては手数料の見込みが上回ったことや、調達コストを削減したということで、当期利益が22.1億円と出ています。また、安全セグメントについては、拠出金収入が見込みを上回ったことと、調達コストの削減により、当期利益は4.8億円ということで、安定的な財政運営がされているところです。22頁は、いわゆる金融資産についての話ですが、PMDAが持っています重要な資産としては、金融資産のほかに専門的な人材である人的な資産や、企業秘密や先端技術といった情報資産があります。
23頁の5.には、そのほかの資産関係ということで、人事に関する事項と、セキュリティーの確保をまとめて挙げさせていただいています。こちらについても、自己評定はAを付けさせていただいています。24頁をご覧いただきますと、人事に関する事項です。人事評価制度については、平成19年度から試行的に導入して、いまは本格的に実施をして、既に定着してきています。この結果を昇給等に適切に反映するなど、着実に実施をしているところです。また、採用した方の研修も一般体系コース、専門体系コースと分けて、系統的に実施をしてきています。特に、製造施設や企業側の開発の現場を見るような実地研修に力を入れてきていますし、当初は新任者の研修にかなり力を入れてきたわけですが、中堅職員がかなり多くなってきていることもありまして、そちらにも力を注ぐようにしてきているところです。
人材の確保については、審査、安全部門を中心に、公募により有能な人材の確保に努めています。その結果、25頁は、これまでの職員数の推移ですが、平成23年度に比べて30名増えた678名ということで、平成24年4月1日現在の数字になっています。そのほか、企業の秘密などをPMDAではたくさん所有していますので、セキュリティーの確保が非常に重要になり、こちらにも気を配っています。IDカードによる入退室を管理するシステムを作り、またそもそもカードがないとエレベーターが止まらない階もかなり多くなっています。そのほか、電子メールの暗号化など、さまざまな工夫をして、セキュリティーの強化を引き続き実施してきました。パート1の説明は以上です。

○真野部会長
ありがとうございました。いろいろ方向性が示されたかと思います。委員の方で、ご質問はいかがでしょうか。最初に理事長のお話にもあったのですが、例えば国立がん研究センターや国立生育医療研究センターなどからお呼びする方は、非常勤で専門委員とはまた別のポストを用意されたということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事長
これは、非常勤です。

○真野部会長
非常勤で、副センター長ですね。

○医薬品医療機器総合機構理事長
はい。

○真野部会長
わかりました。ありがとうございました。

○平井委員
事業費の節減に非常に努力されていて、目標を大きく上回っていて、大変ご苦労されていらっしゃると拝見しました。よくわかっていないので教えていただきたいのですが、全体の予算規模は年々縮小しているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
PMDAには3大業務がありますが、会計区分でいいますと、さらにいろいろ分かれています。その分かれた会計区分ごとに区分経理をしていまして、例えば医薬品の適正な使用に関わらず、健康被害、副作用被害をお受けになられた方に給付を行う事業ですと、その区分経理の中の収入は、企業からいただく拠出金です。その拠出金収入というのは、一定のルールの下で前年度にメーカーが出荷された許可医薬品の数量をもとにした額を算定しています。このように、いろいろな性格の収入のもとで多様な区分経理をしていますが、あえてシンプルに予算規模全体の傾向で申し上げるとすれば、縮んでいることはありません。ただ、ここで説明させていただいたのは、そういった給付関係費用など一定の費用を除いたうえで、節約努力、合理化努力が可能なものについて、中期計画上努力をしなさいという課題があるものですから、それについての実績を書かせていただきました。

○平井委員
去年もたぶん質問をしたように思うのですが、人件費を削るばかりというのは、職員の方の志気が低下するのではないかと思っています。たぶん、そこで研修などに力を入れてサポートしているので、一方的に削るばかりではないというようなお話を去年伺っていたと思います。数字だけを見ていますと、どんどん皆さんの給与が削られていっているのではないかと思うと、我々国家公務員も非常にがっかりしているところもあります。何か費用節減ということだけを書かれるよりも、これは別の所でやっているというようなこともちょっと書いていただいたほうが、お金だけ低くなると、ちょっとがっかりするなと思いますので、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事
大変ありがたい、勇気が沸いてくるご意見を頂戴しました。私どもの辛いところは、大臣から中期目標という形でご指示をいただき、それを受けて法人として中期計画を作る、それを受けて、また各年度の計画を作るという大きなスキームの中で、やはり人件費については平成18年度以降5年間で5%以上削減するという大きな枠組みの宿題自体は、努力して取組む必要がありますので、その辺りを中心に資料の上では書かせていただいています。やはり、現実問題の悩みとしては、審査、安全、救済それぞれの業務で非常に優秀な職員を必要数確保したいという強い希望、必要性があります。そのような中で、メーカーさんなどと張り合う形で、競合する関係がある中で、優秀な職員を確保していくうえでは、社会的に大変意義のある仕事なのだということももちろん強調していきますが、給与などをはじめとする処遇の面でも、競合するメーカーなどに遜色のない形での条件を示して良い人材を確保したいという希望を持っています。
政府全体の独立行政法人の見直しが進んでいると聞いています。今年1月の閣議決定の中では、PMDAは新しい独立行政法人制度の中の法人ではなく、固有の法律に基づく法人という新しい法人に、平成26年4月の移行を目指して準備を進めるということが閣議で決定されていますので、新しい法人の内容を詰めていく中では、是非いまご指摘のあったような点なども、私どもなりに厚生労働省にはお願いをして、良い形で新しいスタートが切れればありがたいと思っています。

○真野部会長
ご説明ありがとうございました。まさに、そのような話で、収支計画もよい法人ですので、本来独立行政法人なのですが、さらに独立性が強まると良いなというのは、前からの意見かもしれません。ほかにいかがでしょうか。

○橋田委員
全体を通して、非常に充実した業務を行っておられるということで、結構だと思います。お聞きしたいのは、1.-(2)の審議機関の設置による透明性の確保というところなのですが、12枚目のスライドです。こういう視点から、「運営評議会」をお作りになって、その下にさらに「救済業務委員会」「審査・安全業務委員会」という構造を持って公開もしておられるということで、この目的に対しても非常にきちんとした体制を取っておられると思うのです。お聞きしたいのは、その次の頁なのですが、14枚目の[2]、[3]、[4]が、例えばいまの審議機関の透明性の確保とどのような関連でお考えになっているのでしょうか。それから、例えば[2]に審査及び安全対策業務に関わる専門委員を委嘱とありますが、これはどちらかといいますと審査のレベルアップなどの意味で非常に大事なことだと思うのですが、これが効率的な業務運営体制への取組みという位置付けになっているのは、どういう意味でお考えになっているのでしょうか。それが、さらに審議機関という話と、全体としてどのようにお考えになっているかを少し説明いただけたらと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
お尋ねいただきました点は、私どもの資料の作り方の不手際かとも思いますが、横に長い資料1-2「実績評価シート」に、実際の中期計画や年度計画に対応した私どもの昨年度の取組みを整理した形で書かせていただいています。その4頁からが、資料1-1のスライド12から14辺りまでの所です。何を申し上げたいかと言いますと、資料1-2の4頁以降の「効率的かつ機動的な業務運営」には、盛り沢山の内容があります。最初のほうには、外部の有識者にもお入りいただく審査期間のことがあり、5頁のイのいちばん左をご覧いただきますと、業務の電子化等を推進して効率的にやっていくことなどがあり、このようにいろいろなものが合わさった中でのものをコンパクトにまとめ過ぎたので、いまお尋ねがあったようなことに結びつくのかなと思います。背景としては、そのようなことだとご理解を賜わればありがたいと思います。

○橋田委員
わかりました。ありがとうございました。

○真野部会長
ほかにいかがでしょうか。

○浅野委員
目標管理による運営と、トップマネジメントによる運営が目標という形になっていたと思うのですが、これを引き続きいろいろやってこられて、そろそろ3年ぐらいになるのでしょうか。自己評定がAということですので、この目標を上回る成果を発揮されるようなことになったということなのですが、組織として努力をされた結果、当初の想定以外に目標を上回るようないい結果が生まれたというようなことが、もしあれば教えていただきたいと思います。それから、PMDAは国内の行政という形で、国内の製薬会社、あるいは外資系の製薬会社と国内市場に向けた承認審査をいろいろやったり、副作用の救済をやられています。ここに、PMDAの国際ビジョンがありますが、これが具体的に項目としてどういうものなのかと、とかく業務をしている国内的な問題だけに終始してしまうのではないかと思いますが、職員の方たちに国際的な潮流の中で仕事をしているというようなモチベーションが沸くように、日常、どのように情報を伝えていらっしゃるかを是非教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事長
お答えいたします。目標を上回るという感じで申し上げますと、例えばレギュラトリーサイエンスという言葉自体が我が国固有の発した言葉ですが、実は、世界でいま医薬業界の中で、これが広まってきています。その根源が日本であるということは、よく知られるようになってまいりました。それを世界に広めたことは大きな仕事だと思います。つまり、日本がそういうところで最先端に立っていることを先進諸国に対して示したことは事実だろうと思います。ただ、これはまだまだ言葉として生きているのですが、内容としては3つあるということを一生懸命やっているところです。欧米は、このレギュラトリーサイエンスという言葉をそのまま取って、実はトランスレーショナルリサーチをサポートする仕組みとして考えているわけです。私たちはそれだけではなくて、もっと審査の基準やリスクベネフィットのバランスの取り方や、もっと広い意味で我々は伝えていこうと思っているところです。これは今後、各国とも折に触れて会議でディスカッションしていきたいと思っているところです。
また、先ほど申し上げたように、意外に我々のやっている審査が、国内向けの仕事であると日本国民の方も思っていらっしゃると思いますし、我々組織の中でも思っています。1月に、先ほど申し上げたように、メキシコで日本で認可された医療機器がそのまま通用するという一方的なことが出てきました。つまり、意外に日本のことは世界で評価してくれていたのだなと。これは逆に言うと、もっと私たちは国際性をもってこの業務を示していかなければいけないと。おそらく、今後私たちが絶対目指していかなければいけないことは、日本で審査された内容が世界でそのまま通用することがわかってきたわけですから、日本で最初に認可させる、日本で最初に申請して、また世界で最初に勇気をもって認可していくという審査体制をもっていかなければいけないのではないかと。これは、我が職員にとって最も大事なことでして、能力が高くなければそれはできないわけです。そういう意味で、先ほどいろいろ申し上げた科学委員会や審査の基準のより良い改善に努めているわけです。ドメスティックではなくて、インターナショナルにこういう活動をやっていこうということで、徐々に職員の中でモラルアップされていくのかなと思うところです。これは、間違いなく、医療イノベーションの大きな支えにもなるところで、私としては今後スタッフの能力を高めることと、同時に人員増で世界に向かって活躍する人を意識して職員が頑張っていくように仕向けているところです。

○浅野委員
日本で最初のものを認可して、そのやり方が世界にアピールできることは非常に勇気づけられることなので、是非今後も努力していただければよろしいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○真野部会長
ドラッグ・ラグの話も、むしろ申請のラグ、つまり審査のラグというよりも、いま言われたように日本で最初に申請をしてもらうような申請ラグの問題に徐々に論点が移ってきていると思いますので、そういう意味も含めたご発言かと思います。どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○石渡委員
いろいろなことに意欲的に取り組んでいらっしゃることを、とても実感させられる報告で、ありがとうございます。お聞きしたいことは、相談について書いてあった部分で、資料1-2の17頁辺りになるのかと思うのですが、具体的な相談の中身を少し教えていただきたいと思います。17頁に書いてあるものですと、「苦情」が1件しかないということで、意外に少ないのだなと。「意見・要望」の辺りとどのように振り分けていらっしゃるのかをお聞きしたいのが1点です。
それから、具体的な照会や相談の中身は、例えばこういう疾患についての相談が多いなど、その辺りで何かおわかりでしたら、教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
私どもPMDA全体の中で、いろいろ相談の窓口を設けています。いま直接お尋ねがありましたのは、資料1-2の17頁の表の数字かと思います。これは、私どもの広報室で日常的に電話相談を受け付けているものの内訳です。ほかにも、救済制度について知りたいのだがとか、申請しようと思うのだがという方には、また別のダイヤルがありますし、医薬品医療機器関係ですとまた別のダイヤルがあるという枠組みの中での部分的な数字です。一般相談で言いますと、やはりテレビの広告でこういうものをやっていたのだがどうなのだろうかとか、まさに一般的な種々さまざまな多様な相談と聞いています。

○真野部会長
ほかにいかがでしょうか。最後に私から質問というか雑談的なことですが、セキュリティーなどで第三者認証で、例えばISMSなどの情報セキュリティといった認証などもあるのですが、独立行政法人の中にはISOなど第三者認証を積極的に受けられる所もあると聞いていますが、そういう第三者認証のようなものを今後受けられる予定はあるのでしょうか。いまのISMSでなくても結構なのですが。

○医薬品医療機器総合機構理事
審査や安全対策業務については、国際的なハーモナイゼーションの中でやっています。それから、ISOの認定などについては、基本的にはアメリカ、ヨーロッパとの連携の中でやっていますので、いまのところそういう業務に関してのISO基準ということは考えていません。また必要に応じて、例えばほかの機関の査察のようなものがあればどうするかは、今後の課題ではないかと思っています。

○真野部会長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
続いて、グループ2「健康被害救済給付業務関係」について、説明をお願いします。説明は20分ということで、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長
Part2です。資料は26頁からですので、そちらをご覧いただきたいと思います。救済給付業務の関係ですが、4つの項目に分けて評価をいただきたいと思っております。
1つ目ですが、救済制度の周知に関するものです。自己評定は、Aを付けさせていただいています。数値目標につきましては、一般国民の方々の確実認知度です。名前だけ知っているということではなくて、中身も含めてご存じという認知度を平成25年度までに10%以上にするという目標が掲げられています。
この目標に向かって平成23年度に取り組んだことですが、28頁をご覧いただければと思います。[1]としては、給付事例等を公表して中身を知っていただく活動は引き続きやっています。[2]広報活動にも積極的に取り組んでいます。個別に医療関係団体等を訪問して、救済制度の研修を実施していただくということで協力をお願いしております。医療関係者の方から患者の方々に伝わっていくというルートです。
その他にも、医療関係者、一般国民にダイレクトに訴えかけられるように、親しみやすいオリジナルキャラクター「ドクトルQ」を創って積極的な広報を進めております。
あと、「薬と健康の週間」を含む前後の期間に、集中的に広報を行っています。散発的にやりますと効果が上がりませんので、集中的に行うということで工夫をしておりますほか、広報の内容についても、一般の国民の方向けと医療関係者向け、それぞれどのような方法でやるのがいちばん効果が上がるかを考えながら、工夫をこらしながら広報に取り組んでいます。
その結果ですが、29頁に認知度調査を示しています。ここに一般国民の認知度、医療関係者の認知度がそれぞれ平成23年度の数字として出てきているわけですが、平成22年度と比べて、一般国民の場合については5%増加の23.9%になっておりまして、少しずつではありますが、取組みの効果が表れてきているということです。[4]の相談窓口の円滑な運営を確保するといったことにつきましても実施しています。相談件数は、平成22年で一旦減ったりしている部分がございますが、それは、案内のガイダンスを導入したことが影響しているところです。
30頁は、2.業務の迅速な処理及び体制整備です。これにつきましては、四角囲みのいちばん下に、平成23年度計画上の数値目標ということで2つございます。年度内に決定をした総件数のうち、70%以上を8カ月以内に処理するということです。この70%以上ということなのですが、実績のところをご覧いただきますとお分かりいただけますように、平成23年度については73.3%ということで目標を達成しています。もう1つの平成23年度の目標として、6カ月以内に処理する件数を対前年度と比べて10%増加させるというところですが、これは実績をご覧いただきますと、対前年比で23%増ということで、これも目標を達成しています。平成23年度はこうなのですが、その1つ上の中期計画上の5年間の平成25年度までの目標というところで、全決定件数のうち60%以上を6カ月以内に処理できるようにするという目標がございます。これとの関係で、実績のところですが、現在48.4%ということで、対前年度で6%アップです。このパーセントを維持できれば何とか目標が達成できるのではないかということで、引き続き努力を進めていきたいと考えています。
31頁は、救済業務の実績ですが、請求件数が1,000件を超える中で、適切な処理を頑張ってやっています。
32頁は、3.部門間の連携及び保健福祉事業の実施です。こちらについても自己評定はAを付けさせていただいております。
取組みの内容は、33頁です。[1]が部門間連携の話です。救済給付の請求があった事例についての情報を、安全対策部門等に情報提供させていただいています。例えば添付文書などで注意喚起しているにもかかわらず繰り返されている事例などについては、「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」としてホームページに掲載して、さまざまな呼びかけを行っています。ということで、救済部門で得られた情報を安全対策部門でも活用するという取組みを行っています。その他、個人情報に配慮しながら毎月の各種情報等を安全対策部門等に提供しています。
[2]が保健福祉事業の実施です。重篤とか希少な健康被害を受けた方に対するQOL向上のための調査研究を行ってきていますが、これも対象を広げるなど工夫をしながら継続して行っているところです。健康被害を受けられた方、またその家族の方々に対して、「精神面などに対する相談事業」も、常勤の福祉の専門家を配置して取り組んでいます。
また、いちばん下ですが、健康被害を受けられた方々については、希望者に対してということで、医療機関に正確に情報提供ができるように受給者カードをお配りしています。受給者カードの案内文ですが、これについて、実は昨年12月に開催された救済業務委員会で内容が分かりづらいというご指摘をいただきまして、そのご意見をいただいた上で案文の見直しをしました。こちらについては、審議会を活用した例としてもご報告させていただければと思います。
次の頁は、各種受託支払業務等の関係です。中身につきましては、スモン患者の方々に対するもの、HIV感染者等に対するもの、特定C型肝炎感染被害者の方々に対するものということで、各種の給付については、適切に実施しているところです。それぞれの支払業務に関する支払状況につきましては、35頁に書いてあるとおりです。説明は以上です。

○真野部会長
委員の先生方、何かご質問等はございますでしょうか。

○大島部会長代理
あまりよく分かっていないのですが、説明のプリントの29頁に、医療関係者の認知度で、「知っている」が半分となっていますが、それほど急速に、この部分の認知度が高まっているようには受け取れないのです。例えば、医療関係者だけではなくて、大学教育の中とか、薬学部とか、医学部とか、看護学部とか、そういうところとの連携とか、もっと若い世代から注目するような努力がこの中に入っていても、50%なのかということで、非常に低いと思うのです。一般国民がそこまで到達するまでは時間がかかると思うのですが、専門家がこれでは、非常に暗いのではないかと思って、その辺はどうなっていらっしゃいますか。

○医薬品医療機器総合機構理事
恐縮ですが、資料1-2の29頁が、いまお尋ねのあったサマリーに対応する詳しい記述の部分です。資料1-2の29頁が、救済制度を広く国民の皆様に、医療関係者を含めて国民の皆様に知っていただくための努力として、どういうことをしているかが、いちばん右の平成23年度の欄です。
申し上げたいのは、逐一触れませんが、いろいろやってはおりますが、いまお尋ねのあった若い世代ということで関係するかと思いますのが、31頁のいちばん右の欄の[14]に、これは昨年度からなのですが、厚生労働省で全国の中学生向けの副読本、教材の中に触れていただくことが初めて実現したのが、1つございます。あと、いろいろ冊子を配布している中には、薬科大学とか、大学の薬学部、臨床研修病院、看護師養成施設などにも、私どもなりに資料をお届けしています。29頁の[3]に少し触れています。お答えになりましたでしょうか。

○大島部会長代理
まだまだ必要だということですよね。

○真野部会長
ちなみに、アンケートは今年初めてでしたでしょうかね。

○医薬品医療機器総合機構理事
平成21年度からです。

○真野部会長
経時的にどの程度増えてきているかというデータはございますか。

○医薬品医療機器総合機構理事
そこは大事な点だと思うのですが、昨年から質問の細かさといいますか、ちょっと変更しておりますので、では、管理役から。

○救済管理役
調査自体は平成21年度から実施しているのですが、質問形態とか対象者を変えたりなどしておりまして、単純比較はできないというところです。ただ、数値的には一般国民については、確実認知と言われている「知っている」というところについては、5%程度ということであまり変化はないのですが、曖昧認知と言われている、「名前は聞いたことがある」というのは徐々に増えているという認識をしているところです。
あと、医療関係者につきましても、これは単純に比較できないのですが、「知っている」という部分と、「名前を聞いたことはある」という部分では、医師・薬剤師等については、8、9割の方々が救済制度はご存じであるという数字が出ておりますので、そのあたりは変わっておりませんので、認知としては医療関係者についてはそれなりの数字が出ているのかとは考えておりますが、それをいかに繋げるかというところを今後やっていきたいと考えております。以上です。よろしいでしょうか。

○真野部会長
大島先生のご意見だと、たぶん医療関係者も、まだ認知がすくないではないかというご意見だと思いますが。

○大島部会長代理
中学生だけではなくて、特に医学の勉強をしたり薬学の勉強をして、私は自分自身がものすごく副作用で悩まされたことがたくさんあって、死ぬ一歩手前だったり何度もしているので、1回も言われたことがないので、そういうことがまだまだ足りないのではないかと思います。

○救済管理役
先ほど石井理事からもご報告させていただきましたように、大学の医学部生の研修先である大学病院にも、あと薬学部、薬科大学等々にもリーフレット等を提供させていただいておりまして、それをご活用いただけるようなことで救済制度の認知度を上げていきたいとは考えております。若手についてはそういう状況です。

○浅野委員
認知度については、なかなか難しいのかなという気がしていて、この調査自体での精度がどのくらいあるのか、いまのような議論が、本当に知っているのか、知ってないのかと分かりかねるところもあります。もしかすると聴き方も、「知っている」というか、例えばプロの先生でかなり知らないと駄目だから、名前は聞いたことはある程度だろうとか、手続をしたことがないのでと遠慮がち答えの方もいる。その辺はどうなのかということを正直思います。例えば、手続は知っているとか、名前だけは知っているというより、内容についても聴くと、もしかしたら実際にもう少し認知度があるのかもしれないということも伺えるかというところもあります。
ただ、実際の目的は、副作用制度が円滑に動くということなので、みんなが知っていても、それを使わなければ仕方がないと私は思うのです。例えば、むしろ医師会の先生であれば、地区の医師会の理事の先生方に尋ねるかもしれません。副作用救済制度については私はこれは専門でやっているからというコアの方をつくって、その方たちに普及していくとか、何かあったら、その先生が中心となって動いていただけるとか、あるいは町の調剤薬局であれば、調剤薬局の中にそういう専門の人がいるとか、患者団体の方の中でもそういうコアになる人を育成するという方法で何か広げていくのも、実際的なのかとも思っています。いかがなものかと思いまして、ご意見まで述べさせていただきました。

○救済管理役
ご意見、ありがとうございます。実は救済業務委員会においても、アンケート調査の聴き方についてご意見をいただいております。それについては今後見直す方向でいくということでやっておりますので、次回のアンケート調査においては、もう少し分かりやすく答えられるように設問を検討しているところです。
あともう1点、医師等に向けての広報ですが、今年1月末に医政局医療安全推進室と医薬食品局医薬品副作用被害対策室との連名で事務連絡が出ておりまして、医療機関の従業者に対する研修において副作用等が発生した場合の対応に関する事項があります。それについて、PMDAの資料の活用とか研修をするのであれば、PMDAの職員の派遣の相談に応じるという事務連絡を出していただいております。それに含めて、私ども医療関係団体、医師会を含めて病院団体、公的病院団体を回らせていただき、是非この事務連絡を活用して欲しいということでお願いをしております。そこで医師会を経由して資料の要請も受けておりますし、病院で研修をするということで、いま講師の派遣をしております。ただ、人的なことがありますので、相談にすべて応じられるわけにはいかない場合もありますが、そういうことで進めさせていただいていることをご報告いたします。

○真野部会長
重要な問題なので深く議論しましたが、定性的な話で恐縮ですが、個人的には少しずつ認知は上がっているような印象は持っております。ほかはどうでしょうか。

○橋田委員
部門間の連携に関して質問させていただきます。例えば救済部門と安全対策部門の連携といいますか、両方の交換も非常に大事なことだと思うのですが、具体的にどういうタイミングで情報が共有されているかとか、その辺りについていかがでしょうか。請求の時点なのか給付決定後なのか、頻度とか、その辺りを教えていただきたいと思います。

○安全管理監
安全管理監の森です。救済部門との連携について、具体的なケースでいいますと、基本的には救済の交付の決定等を行った以降に、特定の医薬品での副作用の給付ケースが多い場合に、これは既知の副作用に対する対応がもう一つ弱いのではないかと考えられるので、そういう呼びかけをするということでやっているものが最近ございます。
もう1つは、給付にならなかったケース、この中には適正とは言い難い使用というケースがいくつもあって、せっかく救済制度はあるのですが、例えば必要な検査を適正な間隔で行っていないために、残念ながら不注意な使い方とされた例がありました。そのため、残念ながら救済制度がこのような場合に使えないというケースがあります。これはむしろ正しく検査を行って副作用を早く発見し、早期に対策を取ってくださいと、こういう話をするべきなのです。そういう事例も複数あがってきているので、私も安全対策部門として適正なタイミングで早期に副作用の発見をしてくださいと、そういう資料を作りまして、それをホームページに載せるとともに、企業に対してもそういう呼びかけを現場に行うという要請をしました。昨年ぐらいから何件かやるようになっておりまして、そういう取組みを最近始めているという状況です。

○石渡委員
いまの橋田先生のご質問の箇所のすぐ下に、精神面のケアとか、福祉情報の提供を行う常勤の福祉職がいらっしゃるとありますが、具体的にはどのような形で相談に乗っているのか、電話なのか、対面なのか、あるいは訪問的なことなどもやっているのか、関係団体との連携みたいなこともあるのかという辺りをお願いいたします。

○救済管理役
精神面の相談につきましては、電話相談で、精神福祉士等を2人置きまして対応しています。

○石渡委員
やはり電話では限界があることも多いかという気がするので、何か違う方法が考えられないかという気もいたしますが、またご検討いただけるということで、お願いします。

○救済管理役
はい、ありがとうございます。

○真野部会長
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。では、委員の先生方、テンポはいいですが、記入のほうもよろしくお願いいたします。
それでは、かなり前倒しになっておりますので、5分ほど休憩を取らせていただこうかと思います。ですので、40分から再開させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(休憩)

○真野部会長
再開します。次はグループ3「審査等業務関係」の項目です。法人の説明は20分、そのあと15分の質問となっていますが、時間もありますので多少の長い質問は構わないと思います。説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長
資料は36頁です。審査等業務については、医薬品・医療機器各種調査、信頼性の向上という形で評価をいただきたいと思っております。
1.-(1)「業務の迅速な処理及び体制整備」です。自己評定はSを付けています。こちらの四角にあるように、中期計画上、平成23年度の目標が定められています。総審査期間について、それぞれ区分ごとに目標が定められています。平成23年度については、それぞれの目標をクリアできていまして、ドラッグ・ラグの解消に向けて目処が付いたと言えるかと思います。
次の頁の「特記事項」です。3つ目の○です。目標は基本的にすべてクリアできたと申し上げたいのですが、細かく見ていきますと、新医薬品の通常品目について、総審査期間というのは行政側の期間と申請者側の期間の両方があるのですが、申請者側の期間について、目標が達成できなかったということがあります。PMDAとしては、いちばん大切なのは総審査期間の目標達成だと考えているのですが、申請者側期間を短縮することも重要なことだと思っています。この点については承認申請前の段階で治験相談等に来てくださいという要請を企業に対して行ったり、国際的に見て、FDAとか外国のほうの審査に集中してしまって、なかなか日本側の体制整備が企業の中でできていないという状況もありますので、国内においても十分なリソースを確保していただくように、開発本部に要請をするといった取組みをやっておりますし、さらに行っていきたいと考えています。
39頁から平成23年度の取組内容について説明させていただきます。審査部門については、審査員の増員を行っていますが、特に迅速処理が困難な分野について、審査員の増員を図り、体制を強化してきています。平成20年度から始めているプロジェクトマネジメント制度についても、推進してきているところです。その他、例えばいちばん下にあるように、電子化の促進等によって業務を効率化するなど、さまざまな工夫を進めてきているところです。
40頁です。「新しい審査方式の導入等」ですが、平成21年度から試行的に開始していた「事前評価相談制度」を平成23年度から本格的に実施しています。また、先ほど安全部門と救済部門の連携という話がありましたが、こちらは安全部門と審査部門の連携になりまして、「リスクマネージャー制度」ということで、治験の段階から市販後まで医薬品の安全性を一貫して管理する仕組みです。これについては、平成22年度に9審査チームで対応していたのですが、12審査チームに拡充しました。
これらの取組みの結果ですが、41頁から新医薬品について、審査期間の目標と実績を紹介させていただきます。平成23年度の目標については、総審査期間をご覧いただければと思いますが、優先品目は9ヶ月のところ実績は6.5月となっています。通常品目については、目標は12ヶ月のところ11.5月ということで、それぞれ目標を達成しています。実績の横のほうですが、平成19年からの推移が載っています。平成19年と平成23年度の数字を比べますと、大体5年かけて半分ぐらいにまで短縮してきたことがわかります。
42頁は、国際的な関係です。1つ目の矢印のところで、欧米・アジア諸国、諸国際機関などとの連携強化ということです。すべては説明いたしませんが、いちばん上の欧州に派遣しているliaison officerですが、平成23年度までの期限ということで、初めてliaison officerの方を派遣していたのですが、初代の方の活動、先方のEMAへの貢献が先方に評価され、また来てほしいということで、現在は2代目の方を派遣しています。そのほか、FDA、中国のSFDA、EC/EMAといったところとバイの会議を開催して、活発な意見交換を行うというような取組みを行っています。そのほか各種会合を行っていますが、資料にあるとおりです。ハーモナイゼーション、国際調和の関係ですが、ICHを中心に、引き続き積極的に参加をしています。
国際的な情報発信、広報というところですが、PMDAのパンフレットや英文でのニュースリリースはもちろんなのですが、審査報告書等についても英語版を作成して、随時ホームページで公表しています。レギュラトリーサイエンスについても、論文を執筆して掲載することによって、国際的なプレゼンスも発揮しているという状況です。共同治験についても、引き続き積極的に推進しています。
44頁は、治験相談の状況です。治験相談については、受付けをしてから対面助言を行うまでの期間を2カ月程度やることを目標にしていますが、これは堅持しているところです。特殊なものを除いて、すべての治験相談について、平成23年度は対応できたということです。それから、治験の相談から記録確定までの期間を30勤務日以内で行う案件を全体の80%以上にしようという目標がありますが、これについても平成23年度は92%ということで、達成をしています。
45頁の下の矢印のところですが、有望なシーズを持つ大学、ベンチャー企業を主な対象として、「薬事戦略相談事業」を平成23年7月から実施しています。最終的な対面助言というのは、平成23年度は36件実施していますが、対面助言にたどり着く前段階で、事前面談、個別面談というプロセスを経て対面助言になりますので、それらの実施状況については、45、46頁をご参照いただければと思います。その流れについては、47頁に書いています。
48頁は、一般、後発の医薬品の関係です。[2]に目標と実績を書いていますが、こちらは行政側の期間ということで、後発については10ヶ月、一般用は8ヶ月、医薬部外品については5.5ヶ月と目標を定めているところ、平成23年度の実績では、それぞれの目標を達成しています。そのほか、こちらについても治験相談は工夫を重ねながらやっていますが、業界団体からの意向も踏まえまして、平成23年度からは後発医薬品の品質相談及び生物学的同等性相談も実施しています。
49頁からは医療機器に関するものです。医療機器については、自己評定をAとしています。この四角の中に、中期計画上の数値目標を、医薬品と同じようにそれぞれの区分ごとに確認させていただいています。審査期間(中央値)ということで、平成23年度のそれぞれの目標値を書いています。医療機器については、医薬品の一歩後ろを歩んできた感がありますが、こちらも体制の充実等により、だんだん目標をクリアできる項目が増えてきた状況にあります。
50頁の「特記事項」です。個別に見ていきますと、上から4つ目の○をご覧ください。改良医療機器の臨床なし品目については、総審査期間で見て目標が10月のところ、13.3月ということで達成はできませんでした。一方で、これを細かく見ていきますと、内訳の行政側期間が今回(第2期)の中期計画の中で、初めて年度目標を達成できたという明るいニュースも一部含まれています。
その下の○の後発の医療機器については、承認件数が前年度より減少してしまったという面があるのですが、5.0月という平成23年度の目標については達成できました。そのほか、医療機器については理事長から話がありましたように、メキシコが日本で承認を受けたものをメキシコ国内で使ってくれることになったことなど国際的な評価が高まってきているということも踏まえて、自己評定はAとさせていただいています。
51頁です。平成23年度の取組内容です。まず、Buddy制の導入、医療機器審査第三部の創設ということで、後発医療機器の審査を専門で行う体制を作ったということがあります。そのほか、さまざまな工夫をしながら審査を進めてきているということですし、新しい審査方式の導入ということで、「事前評価相談制度」を継続して試行的に実施するなど、工夫をしながらやってきているところです。
52頁から個別の目標の数字、実績の数字が掲げられています。こちらも総審査期間のところをご覧いただければと思います。新医療機器の優先品目の目標が15ヶ月のところ、4.3月です。件数が6件ということで少ないものですから、毎年の推移をご覧いただきますとばらつきが大きくなっていますが、目標を達成しているところです。通常品目については、20ヶ月のところを9.7月ということで目標を達成しています。
53頁が改良医療機器・後発医療機器の関係で、目標はこちらにあるとおりですが、基本的に目標は達成できていますが、先ほど申し上げたように改良医療機器の臨床なし品目のところが、10カ月の目標のところ13.3月ということで延びてしまっています。他方、内訳を見ると、行政側期間のところは今の中期計画で初めて目標を達成できたという面もあります。
54頁です。こちらは国際関係ですが、連携強化に努めています。6月にFDAとバイの会議を開催しています。メキシコの関係は先ほどご紹介したとおりですし、アジア諸国との関係でも、AHCのWorkshopについて取組みを紹介したりということで、関与しています。国際調和活動についても、それぞれIMDRF、GHTFの関係で、積極的にかかわっている状況です。
[5]治験相談等ですが、これも医薬品と同様に、基本的にすべての治験相談に対応できる体制を整えています。治験相談から記録確定までの期間を30勤務日以内に行える案件を全体の60%以上について達成しようという目標がありましたが、平成23年度は92.6%ということで達成しています。実施状況については、表にあるとおりです。
56頁からが、各種調査ですが、自己評定はAとしています。信頼性の適合性調査ということで、添付された資料の根拠となる試験などが適切かつ正確に行われているかどうかといったことを調査しておりますが、この調査については、中期計画上の数値目標として、50%以上を企業訪問型の書面調査で行うようにという目標が立てられています。これについては、平成23年度は101件中76件ということで、75.2%で目標を達成しています。そのほか、GMP/QMS調査についても、審査事務処理期間に影響を与えないように調査を実施していまして、年間2,000件以上の調査を行うという調査件数もかなり多い状況で、適切に対応ができているということです。実施の具体的な件数等については、58頁、59頁に処理件数、実施件数等を書いていますので、ご参照いただければと思います。
60頁が、信頼性の向上ですが、自己評定はAを付けています。平成23年度の取組内容については61頁からですが、[1]研修の充実ということで、医療機器の審査、安全対策業務について、医療機器を使用した手術に立ち会うとか、大学研究機関での研修を行うということで、実習形式の研修を充実しているところです。GMPやQMSの調査担当者の教育研修、臨床現場等における研修、製造施設への見学といった形で、実地の研修を充実してきているということです。
そのほか、?外部研究者との交流及び調査研究の推進です。レギュラトリーサイエンスの推進については先ほど述べたとおりですが、とりわけ平成23年度においては連携大学院協定に基づきまして、新たに5つの大学と協定を締結して、拡大を図っているところです。そのほか、規格基準部の設置、レギュラトリーサイエンス研究推進のための基本的な考え方を策定したというのは、先ほども説明したとおりです。
そのほか、62頁にあるように、ゲノム薬理学等への対応及び適正な治験の推進ということで、各種プロジェクトチームを設けてやっていますが、とりわけ2つ目の矢印のところにありますように、6つのPMDA内に6つの横断的な基準作成プロジェクト・ワーキンググループを作って、国の評価指針の作成に協力を行っていることをご報告します。そのほか、審査報告書等の情報提供の推進等にも努めていくという状況です。Part3についての説明は以上です。

○真野部会長
ありがとうございました。

○政策評価官室長補佐
一応、これからご審議していただくPart3の部分なのですが、すでに委員の方はご承知だと思うのですが、昨年末に政・独委から二次評価意見がきていまして、その評価意見の中で、新薬の総審査期間について、当然、審査側と申請側とに分けて目標を立てていまして、法人から申請側のほうの短縮というのは難しいのですが、「申請側の期間の短縮が目標どおりいっていないところについて、きちんと議論をしないといけないのではないか」という意見がきていますので、そういったことも踏まえて、この場でご議論していただければと思います。よろしくお願いします。

○真野部会長
わかりました。申請側は対応しにくいかもしれませんが、せっかくの機会ですので、委員の方々あるいはPMDAの方々と意見交換するという理解でよろしいですね。その辺も踏まえてご議論いただければと思います。

○松原委員
申請側の話の前に自律認識で教えていただきたいと思います。まず、審査期間を大幅短縮ということで、本当におめでとうございます。普通は数値を使うときに、中央値と平均値の両方平均することは一般的だと思うのですが、ここでは中央値だけを計算しているのですが、これが欧米などで世界標準の示し方なのでしょうか。
それから、審査期間については、すごく短縮されているのはわかったのですが、例えば欧米では平均または中央値はどのぐらいなのかということもご存じであれば、参考までに教えていただけるとありがたいです。

○医薬品医療機器総合機構理事
審査担当理事の内海です、私からご説明させていただきます。いま中央値と平均値という話が出ました。審査においては、欧米ともに中央値を使うということでやっております。なぜ中央値がいいか、平均値を使わないことの背景からお話をさせていただくと同時に、平均値に相当するようなものも目標設定をこちらでやっていますので、そういう点からご説明申し上げます。
申請の内容においては、申請の内容が、いろいろな形でまだ十分な資料が揃っていないような状態で甚だ期間がかかるようなものも、1、2件、中にはあるのです。平均値を使うと、そういうものが入ってきてしまいますので、そういう意味では、きちんとできているものに対してどれだけ対応できているかということで、中央値を使うことにしております。いまご指摘のところは、それでは中央値以外のところはどうかということになると思います。それが80%を全部審査するのにどれぐらい要しているかという形で設けていて、いくつかの例外が入ってくるときに、それをきちんと評価する形で、中央値を設けています。中央値については、いま申し上げましたように、米国、FDAからも出ていまして、それについて、日本で審査側の期間というのは、ほとんど遜色ない状態にきているということです。

○真野部会長
諸外国でも、審査側と申請側という切分けはあるということでいいですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
はい、同じように行っています。それはどういうことかと申しますと、それぞれの期間をきちんと目標を定めて短くしていくことが必要であり、そしてその総審査期間の中身について、例えば照会して帰ってくるというやり取りもきちんと見ていかなければいけないものですから、申請者側の期間と審査側の期間で、それぞれきちんと、どこの段階でタイムクロックが相手側にいった、こちらに来た
という形で、全部管理する形で諸外国も進めています。

○橋田委員
審査チームのことについてお聞きします。医療機器のほうでBuddy制度というのがありまして、若い人を育てるのに有効なシステムだと思います。これは医薬品の審査側でも、たくさん新人の方を入れていると思うのですが、そちらはどうなっているでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
Buddy制を入れた部分と、医薬品のほうということですが、もともと新医薬品の中の新薬について議論させていただいて、途中で一般薬についてお話をさせていただきます。
Buddy制、医療機器のほうも新医療機器の体制と、後発医療機器の体制を分けていまして、Buddy制を入れたのは後発医療機器についてです。従来、審査をしていくときに後発医療機器の場合には、個人個人の審査員がずっとやっていくのですが、企業側からいろいろな形で指摘があった中で、個人個人で差があることについては問題があるだろうという指摘がありましたので、そういう審査の質、あるいはばらつきをなくすということで、Buddy制を後発医療機器について取り入れたということです。
一般薬については、先ほどの新薬並びに新医療機器ともに、チーム制でやっていますので、医薬品については10名程度、医療機器については数名が、それぞれの専門性を活かしながら対応しているということです。

○橋田委員
そういった意味では、実質的なBuddy制度に相当するものが医薬品のほうでも、実質的に機能しているということでよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
そういう意味では、それぞれの医薬品について、きちんと審査しながら実質的なBuddy制度で審査しなければということで、さらに審査を進めているところです。

○橋田委員
あと医薬品のほうですが、リスクマネージャー制度を作られたということです。マネージャーというか、これも人を決めて、担当を作られたという制度だと思いますが、1つはその制度の中身をご説明いただけたらと思います。
それから、9審査チームから12審査チームになったということですが、これは、担当がおられるチームもあればおられないチームもあるのか、全体のチームの数がそのまま増えたという話なのか、その辺の関係を教えてください。

○医薬品医療機器総合機構理事
それに対応する部分は、人員の状況がどうかということからお話させていただきます。先ほどの表で、25頁のスライドをご覧ください。この中に審査部門の人員増の変化が書いてあります。平成19年以降、平成20年から、このようにずっと人員が増えてきて、審査の体制が強化されてきました。同じように安全部門についても、このような推移をしております。
そういう中でリスクマネージャー制度については、安全担当の者が審査のほうに入って、審査の現場から、例えば添付書類についてどう考えなければいけないとか、そういうことを審査の段階からやるという形で、リスクマネージャー制度を設けました。当初から全部のチームに配属、設ければ、もちろんそれがいいのですが、当然ながらリソースのほうの関係もあって全部はできなかったので、やっとすべてのチームに対して配属できるようになったという状況です。

○橋田委員
あと外部からの専門委員が来られて、専門家協議を経てということです。最初に私がお聞きしたときに、「業務の効率化」というところで入っていましたので、それとの関係で、先ほどの被害者救済のところもありましたが、ここには特に挙がってきていないような感じがするのですが、外部の方の参画はどこかにあるのでしょうか。その辺の外部委員の位置付けというか、審査全体の中での役割等を簡単にご説明いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
専門委員については、審査をする関係で、どうしても私たちが中で審査をしていくのですが、医療現場でどのように使われているのかということも含めて、専門家の先生方に、途中の段階で専門協議という形で審査に加わっていただいています。
そして、その専門協議を経て、私どもPMDAの審査が適切であったかどうかについて、ご判断いただきながら最終的に審査を行うという形です。その専門協議にご参画いただく専門委員の先生方は、1,000名程度の先生方にお願いしながら進めているということです。この専門委員の先生方の場合には、どうしても個別の審査を行いますので、利益相反の問題をきちんとするという格好で、それぞれの先生方が企業等との関係について、きちんとご説明いただきながら進めるということにしています。
それをさらに、先ほど理事長から話がありましたが、今年度から科学委員会というものを作りました。最先端の科学技術を応用した製品になりますと、多くの最先端の研究をやっている先生方の場合には、どうしても企業といろいろな形で関係のある先生方が多いものですから、そういう先生方に適切なご助言をいただくことが、私どもPMDAがこれからグローバルにやっていくときに非常に必要になるということで、別の仕組みとして、もう少し緩い形で、個別審査はしないのだけれども、最先端の科学技術がどのようになっているか、それを承認審査する過程で、私たちがどのように考えたらいいかという部分について、ご助言、ご議論をいただくという場として、科学委員会があります。それが専門家の外部委員ということで、今年度からは新たにそういう形の外部委員のご意見をいただく制度を作ったということです。

○橋田委員
これはコメントかもしれませんが、まさに審査部門というのは非常に大事ですし、それは質の高い審査をスピード感をもってという、両方の条件を前提にしてやっているわけで、大変なことだろうと思います。いまお聞きしまして、いろいろな新しい仕組みを導入されて、質を高める努力をしておられると思いましたので、非常に参考になりました。ありがとうございます。

○平井委員
諸外国での申請側の期間の中央値はどのぐらいなのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
例えばFDAですが、正式に期間の中央値について、例えば2011年度ということでは明確になっていないのですが、2、3年前のものは公表されていまして、その際は13ヶ月でした。

○平井委員
申請者側はいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
申請者側とそういうところというものは。

○平井委員
そういう分け方はしていないのですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
申請から一定期間内にFDAが申請者に意見を出し、申請者は一定期間内に回答するという方法が明確に示されており、トータルでは13ヶ月になっていると理解しています。
ただ、日本の場合は、必ずしも一定の期間に意見を出すというところまでは詰まっていませんので、そういう意味で、行政側期間と申請者側期間がぶれているところは否めないところはございます。
もう少し補足させていただきますと、アメリカでも日本でも、中央値ということで公表はされていますが、実態を申し上げますと、例えば先ほど80パーセンタイル値ということがありましたが、アメリカですと、ほぼ50%の中央値と80パーセンタイル値がほぼ同じぐらいなのですが、日本の場合は80パーセンタイル値のほうは長くなっているという現状はございます。

○平井委員
日本の場合は、特別長い時間のかかるものがあるということですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
アメリカは、一定の期間内に白黒付けるという考え方ですが、日本の場合は、申請いただいたものについては、相手側とディスカッションをしながら必要な内容を取り揃えていくというような考え方の違いがありますので、必ずしもピッタリはしないのですが、総審査期間の中央値という意味では、アメリカ、日本では共通の指標になっていると理解しています。

○平井委員
考え方の違いなので、どちらも一長一短があると思うので、そういうことを勘案しますと、例えば申請者側の期間が非常に長いからという、単にそこだけを見ても評価はできないのかなと思いました。
私がわかっていなかったので教えていただきたいのですが、申請者側の期間のスタートはどこになるわけですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
申請がありますと、通常はPMDAの内部のチームで、申請内容についてどのような問題があるかをディスカッションしまして、申請者側に質問事項を投げますので、質問事項を投げたときから相手方の持ち時間になって、回答が来たときに、また移ります。回答に対する質問があれば、PMDAの回答に対する検討時間はPMDAの持ち時間ですが、相手方に質問を投げたときに向こう側になるというやり取りになります。ですが、アメリカに関しては、その期間というのは、もう少しやり取りの頻度が日本よりは少ないところがあろうかと思います。

○平井委員
だから、結局はそこの期間が短いということは、申請を始める事前に、どういう内容かを申請者側が十分に把握できていて、こうなったらこう返す、こうなったらこう返すというのが周知されていると理解したらいいわけですよね。そうしますと、結局申請者側の方に、どういう手順なのかをよく理解した人がいるとか、あるいは先ほど事前相談という話がありましたが、そういうことを徹底することによって、全体にかかる時間を短縮することが可能になると理解していいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構理事
いまのご指摘のとおりですが、もう1つ短くすることに関して、先ほど少しこちらから説明させていただきましたが、日本の企業の場合には、こちらから照会事項を出したあとの対応がきちんとできるのですが、グローバルな企業で、例えばアメリカのファーマ関係のところになると、照会事項について、最終的にアメリカの本社に問合せをして、それから戻ってくるということになります。そこにかなり時間がかかる場合があります。そういうことについては、基本的に日本のブランチ自身が、いかに本社に対してどのように話を持っていけるか、それに対して本社側がどれだけきちんと対応するか、そういうところがあるものですから、この間もファーマの委員会に行って、日本の支社の方々がアメリカの本社に対して、そういうことを強く言えるような体制を、是非これから作ることが重要ではないかとお願い申し上げながら、進めているところです。

○平井委員
ありがとうございます。外資のいろいろな治験などを我々も受けたりするのですが、ここでこのようなことを言っていいのかわかりませんが、ひどいです。それで、日本は大きな市場であるにもかかわらず、非常に嫌な言い方をすると、下に見ていると。重視してくれていないような印象、これは私の個人的な印象かもしれないのですが。それで、また日本人の遺伝子のデータなどはどんどん取って行くというようなこともあって、非常にこの辺も何年か前から腹立たしく思っていて、外資はなるべく入れたくないなどと思ったりするのですが、新薬はどうしても外国のものが多くて、そういう辺りを親委員会のほうではちゃんと理解してくださっているのかなという、一方的に期間だけを見て責めるというのもどうかなと思うところもあります。
それと、先ほどFDAに派遣された方が、向こうで活躍されたということなのですが、それで持ち帰って来られたもので、例えばこういうところを変えた、あるいは今後このように変えていくということがあったら、教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
liaison officerのことだと思うのですが、アメリカの場合にはFDAには派遣していません。ESPに派遣しています。ヨーロッパについてはEMAに派遣しています。
その人たちが、いま非常に大きな役割を果たしている中には、審査の途中の過程でいろいろな問題点が起こる、あと安全性の情報、そういうことを日々情報をやり取りしながら審査を進めていますので、制度のずっと前の段階で本当に大きな機能を果たしています。
FDAがどうなっているかということについては、情報を集めておりますが、もともと申請をする前の段階から、それからその後の段階まで仕組みが大きく違いますので、日本のPMDAはPMDAなりのやり方で進めています。それが、申請者側の問題をどうするかというときに、基本的にはその前の治験相談のところから、どういう形で進めるか。治験相談になりますと、いちばん最初の相談から最後の申請まで、10年ぐらいの期間を要するようなところをずっと相談していくわけです。そういうところが的確にできるように、いまも進めているところです。

○真野部会長
整理しておきたいのですが、先ほどの政・独委からの申請ラグの話は、企業が申請してからの持ち時間の話ですよね。申請に至るまでの広い意味でのラグを問題にしているのですか。どちらを議論してほしいということでしょうか。

○政策評価官室長補佐
申請期間です。

○真野部会長
申請してからの話でよろしいのですね、わかりました。

○大島部会長代理
いまの議論はよろしいですか。

○真野部会長
これは全体の話なので、また戻します。

○大島部会長代理
例えば、いまの中で、12カ月という目標のところで、実績を見ても、待てない患者はたくさんいると思うのです。その場合に個人輸入を行っているというのは随分聞きますが、個人輸入をしているような薬をもう少し優先的にできないかとか、あるいは企業側が採算が合わなければ取り合わないような、非常に難病であるとか、稀少な病気は、採算を度外視して、独立行政法人から、今度平成26年度という話もありましたが、いますぐに待っている方に採算度外視で、どこかの会社が付いていなくても、国としてやっていこうという姿勢が、何も感じられないところが非常に残念だと。そこの部分は直結できるような開発なり、個人輸入のものの審査を優先的にするなり、とにかく待てない患者はいるわけですから、その部分を何とかできないかというのが1つです。
それから、漢方薬に関してですが、副作用が非常に多くなって、私も被害を受けたことがあって死ぬ一歩手前でした。これでも3度ぐらいやりました。そういう情報というのは本当に少ないのです。ですから、漢方薬を使っている日本の人はたくさんいるので、そういう漢方薬に関する審査、あるいは情報の公開とか、もし公開できないのでしたら、そこでの研究は、もっとここの中に出てこないと、科学的な薬品だけを審査しても、現実には合わないのではないかと思いますので、その2点について教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
ご指摘いただきました個人輸入の関係、待てない患者がいるという関係ですが、これに関しては制度的にどうするかということが、厚生労働省の本省側で制度改正の部会等で検討されてきている状況で、例えば個人輸入の関係、待てない患者には、アメリカの場合、コンパッショネート・ユースという取扱いがありますが、日本でも同様の制度はできないかとか、そういう制度改正ができないかという検討がされていると聞いております。
一方で、こういう医薬品が必要ではないかという話が多々ありまして、それも厚生労働省では未承認薬・適応外薬の検討会というのがありまして、第1回目が370件ぐらいの要望がありましたし、2回目の要望でも290件ぐらいがありました。その中で、精査して必要なものについては厚生労働省から開発を要請するという取扱いをさせていただきまして、要請された品目については、できるだけ審査開発が進むように、PMDAも体制を整えて対応させていただいているという状況です。

○大島部会長代理
それは、いまから体制を整えるということですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
未承認薬・適応外薬の取組みについては、3、4年前から始めておりまして、すでに要請した品目の中でも、かなりの品目は承認に至っております。
それから、難病等の問題に関しましては、いまでも稀少疾病の優遇措置、開発のための資金を提供する、あるいは優先審査にするという取組みを進めていますが、先ほど申し上げました、厚生労働省の制度改正の取組みの中では、もう1つさらにそれを強化するようなことも検討していると伺っています。

○大島部会長代理
検討中ということですか。

○医薬品医療機器総合機構理事
さらに開発を促進するための制度作りは検討されていると聞いております。
それから、漢方薬の問題ですが、漢方薬も先生のご指摘のとおり、副作用がかなり報告されておりまして、それに関しては適宜、安全性情報ということで情報提供はさせていただいているところではあるのですが、それに関しては、もう少し情報提供のやり方等も含めて、検討はさせていただきたいと思っております。

○真野部会長
未承認薬に関しては、資料に取組みが少し出ていましたね。ですから、もうすでにある程度されているということだと思います。

○医薬食品局総務課長
いまのご指摘がありましたところですが、成田理事から概要をお答えしていただいたとおりですので、あまり補足する内容はないのですが、1つは、未承認薬・適応外薬についての検討会議はすでに動いていまして、1回目の要望で300を超える品目についてご要請いただき、200を超えるものについて、いま国内にないわけですので、国内で作っていただくように企業に要請している状況で、要請は企業に受けていただいているということです。
第2回目の要望についても今年やっておりまして、引き続き同じように、海外で使われているけれども、国内では使われていないような医薬品について、国内で使えるように、企業に製造販売の要請をしています。
そのほか、制度改正の内容については多岐にわたっているのですが、1つは医政局と保健局が、高度先進医療の制度の見直しを行われていまして、すでにどちらも動いている制度なのですが、より簡便化し、よりスムーズに海外で使われているような技術に基づくものについて、医師主導治験を加速し、しかも、それを保険で裏打ちを取りながらやっていこうということをしています。
一方、薬については、先ほど少しご紹介いただきましたが、コンパッショネート・ユースという言葉をご紹介いただきましたが、それに近い制度で、一定の医薬品について、国内でまだ使われていないけれども、例えば治験が始まっているときに、治験というのは誰でも参加できる仕組みになっていませんが、治験には入れないけれどもどうしても使いたい、この場合には国内でも十分その薬についての情報が医師たちにも共有されていない薬を使っていただくということがあるので、その場合にそれなりの対応ができる医師や、医療機関に使っていただくことを前提として、同じように保険でちゃんとした裏打ちが取れるような形で、臨床研究の外側で、医療の現場で一定の範囲の方について使われるような仕組みは、これまで国内には全くありませんでしたので、次期薬事法改正の中で、これは進めるようにしたいと思って現在検討中です。
個人輸入に関してですが、これに関しては一定の数量の範囲内は、パーソナルユースという個人使用の範囲内については、審査をしないで個人のリスク負担の下でやっていただくことになっていますし、一定の数量を超える部分については、薬監証明制度というもので、これは薬事法の中で例外的措置になるわけですが、税関である程度の数量のあるものについても、例えば、医師が使いたいという証明をしていただければ通す形で、海外で使用されている薬が国内にまだ到達していないというラグの解消の一部として使っていることがありまして、この審査は税関の手続きの中でやっていることですが、税関と医薬食品局でも連携を取りながら、そこの事務手続きがスムーズになるような、もし問題があれば常に連絡を取りながら、そこに目詰まりが生じないような体制は取っているところです。

○大島部会長代理
1つお願いですが、採算度外視して、そういうところをやっていただきたいと思います。それから、本人の自己負担が非常に多くて諦めざるを得ない患者もたくさんいることも聞いていますので、その辺の救済も含めて、ご検討いただければと思います。これは個人的な意見です。

○医薬食品局総務課長
一定の範囲内で、どうしてもご負担をお願いしなければならない部分が残るとは思うのですが、100%ご本人に負担していただくという制度ではない形は、我々も検討したいと思っています。ただ、個人輸入に関しては、先ほど申しましたが全く患者のリスクなり、使われる方のリスクテイクをしていただくということを前提としていますので、ここは公費で負担するのは難しいと思っていますが、制度としてコンパッショネート・ユースの日本版のようなものとか、高度先進医療といった形の枠を広げる形の中では、個人負担についても考慮はしたいと思っています。また、採算度外視というのは、企業に求めるのは難しいのですが、そこは臨床研究として進めるという余地もあるということとか、オーファンドラッグ制度がありますので、それを拡充することについては、引き続き検討していきたいと思っております。

○浅野委員
先ほどの審査期間の話ですが、PMDA自体は平成16年のときを見ますと、審査員の人数は非常に少人数でやってこられて、154人でスタートして、現在は438人ということで、3倍近くの新しいスタッフが活躍されて、そういうところで申請期間が短くなったと。評価すべきところは、私は評価していいのだと思っています。
これは個人的なことですが、当初3倍近く人数を増やすような計画で、果たして業務が円滑にいくのかということを危惧していました。いろいろなトラブルが起きたりするかもしれませんし、そういうことも危惧していたのですが、非常に画期的なところだと評価できると思うのは、そういう量的な拡大をする中で、さらに期間が短くなるという質的な達成もしたと。2つの条件をクリアしたということでは、評価できると思っています。
もう1点ですが、先ほど評価官室から話がありました企業側の申請期間の問題です。こちらも一律に期間がいくつという話に議論が進んでいるのですが、これは非常に情報を明らかにするのは難しいかもしれませんが、1つは薬効別、疾患群別に、薬の種類によって申請期間が長くなっている要因があるのか、申請側のメーカーによって、陣容とかいろいろな問題があって長くなっているのか、そういう企業的な問題と、逆にPMDA側からの改善の余地があるような問題、こういう2つの問題があって、それを整理していかないと、申請側の期間は短くなる努力は方策が立てにくいと思っているのですが、実際にそういうところでお感じになっているところがあれば、教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
1つは、薬効的なところで申し上げますと、例えば日本とアメリカでの評価が難しい、例えば精神神経用薬については、そういうところがありまして、そういうところはディスカッションを密にするというところもあるのですが、そういうところが1つはあります。
それから、生物系の薬剤についても、かなり長期化する傾向はあるかと思っています。もう1つは、内資系と外資系の問題がありまして、外資系の場合は、基本的にこちらから照会した事項については、それを英訳して外国の本社にいって、本社から回答が来て、それを日本語訳して、うちに来るということもありまして、長引く要因になっているのではないかと思っています。
ただ、私どもはトータルとして、実質的に早くなるというのがいちばん重要だと考えておりまして、申請者側の審査目標値が長くなっているからといって、それほど問題視していただくこともないのではないかと思っているところで、トータルとしていかに短くしていくか。先ほど申し上げていると思いますが、トータルとして短くするためには、申請前の相談の体制をさらに取っていただくことをお願いするとか、国際共同治験をどんどん進めていただくとか、そういうところでトータルとしての期間が短くなればいいのではないかと思っておりますし、そのための取組みはさらに進めていきたいと思っています。

○浅野委員
確かにそういう点では、審査側と申請側の共同の努力が必要になるのではないかと思っています。ただ、いままではどちらかというと審査する立場なので、あまり申請側に介入するのは、PMDAの役割のイメージとしては難しいところがあったのではないかと思っています。
そういうところで、今後のことなのですが、もし1つの案として、申請をしたら、これはいつまでに互いに承認を出すのだということを、メーカー側とPMDAがお互いに共有して、途中の審査の時期でも、ここまで時間を使っているというような見える化をして、互いに目標達成する努力は必要なのではないか。これは、いままでメーカーとPMDAが一緒になって進むということはやってこなかったし、これがPMDAの機能として馴染むかどうかはわからないのですが、それと付け加えますと、いま医療イノベーション戦略の中で、PMDAの役割が非常に高まっていて、1つは産業振興という形からもPMDAが率先してやっていくような位置付けが内閣府の医療イノベーションの中に位置付けられていますので、そうなってくると、これまでとは少し変わっていて、メーカーと一緒になって推進することもできるのだと思うのです。その一方では、先ほど大島先生が言われたように福祉医療に近い部分で、必要な薬は別の手当てをして、別の枠組みでいくというような、福祉医療の面と、医療産業振興という2つの面があるのですが、それを共にうまく推進していただければいいのかなという意見を持ったところなので、コメントさせていただきました。

○医薬品医療機器総合機構理事
補足させていただきます。いまのご指摘は私どもも共有しておりまして、それに対して前向きに検討していくということが重要だと思っています。そのためにレギュラトリーサイエンス研究というものを推進していまして、先ほどの評価をどうするかという問題、あるいは部会長代理からもお話がありましたが、高齢者に対してどう考えるかについて、適切な情報を私どもがきちんと把握しながら、整理して研究をするということで、いま動いておりますので、そういう形も含めて、いろいろな枠組みをしながら適切に、またアンケートを企業ともやりながら、ワーキンググループの中で見える化をしなくてはいけないということで、どこのステップまでをどれぐらいの期間でやるという、大まかなこともお互いに協議しながら進めておりますので、また成果がおいおい出てきましたら、その場でご説明させていただきます。レギュラトリーサイエンス研究はすでに動いておりまして、これからますます審査全体あるいは安全を通して、新しい形あるいは積極的に対応できるようにしていきたいと考えております。

○浅野委員
お願いいたします。

○医薬食品局総務課長
いまご指摘のありました点は、私ども医薬食品局、PMDAは、安全性という構成をチェックするという意味では、規制側にいますので、ご指摘のように、これまでメーカーとの距離はある程度取らなければいけないという問題を常に強く意識していましたが、一方で、必要な医薬品や医療機器などを迅速に医療の現場に投入するというか実用化すると、そこも厚生労働省の中においては、医療の質を向上させるという観点から必要なことだということは認識しておりますので、決して産業政策ということをやるつもりはないのですが、言葉尻を捉えるようで恐縮ですが、一方で、いま申しましたように医療の質を上げていくという観点から、規制のあり方をどうすればいいのかという点で、先ほどご指摘のありました点についても、十分に認識しながら制度作りはしていきたいと思っております。

○浅野委員
特に、時代の流れによって、こういった新しい制度も変わってくる時代になって、それが保守的と言われた医療の世界にも影響が出てきたので、是非、柔軟にいろいろ対応していただいて、日本の産業の再生に資するようなこともやっていただければと思います。
それから、国民の健康の維持というのは、メーカーも行政の区別には関係がありませんので、それがお互いに共有できるようにPMDA側、あるいは厚生労働省が是非、努力していただければいいのではないかなと思います。

○真野部会長
最後の点も非常に重要なご指摘だったと思います。政・独委にも、ある程度報告できそうな内容も議論できたかと思います。
最後にグループ4「安全対策業務関係」について、もう1つの非常に大きな柱ですが、そちらの説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長
Part4ということで、安全対策業務の関係で説明させていただきます。資料は63頁からとなっていますが、64頁に3.-(1)ということで、副作用や不具合情報、こういったものをできる限り収集しまして、それを評価分析していくということについてのご報告です。
これについては自己評価Aということを付けさせていただいています。平成23年度に行った取組みですが、65頁の[1]をご覧ください。とりわけ平成23年度においては2つ目の矢印ですが、患者から副作用報告をホームページから直接受け付けるシステムを開発して、平成24年3月から試行的に開始しています。いただいた情報等を評価するためのチームを8チームから12チーム体制ということにしましたし、いただいた情報と副作用等の因果関係を評価する15日報告ですが、これを99.8%を翌営業日中に実施しました。こういった評価を踏まえまして、厚生労働省に添付文書の改訂が必要ということで報告した件数については65頁の表にあるとおりです。
さらに、66頁においては、こうした報告を受けて、必要な安全対策措置を採った件数がこちらに掲げられているとおりです。そもそもの副作用・不具合情報が挙がってくる件数ですが、これについては67頁、68頁に書いてあるとおりで、非常に多くの件数が挙がってきているところです。こうした挙がってきた情報をきちんと分析評価するために、安全対策の高度化ということが必要になってくるわけですが、従来から行っております「MIHARIプロジェクト」を平成23年度も引き続き実施しておりますし、2つ目の矢印にありますように、平成23年度からは厚生労働省の事業ですが、「医療情報データベース基盤整備事業」を開始しております。将来的に1,000万人規模の医療情報データベースを作り、安全対策に活用していこうということです。
平成23年度においてはPMDA側のシステム開発を行ったほか、まず、いちばん最初の協力機関の1つである東大病院のシステム開発を開始しています。
70頁をご覧いただきますと、今回の事業においては、10カ所の大学に協力をいただくということにしておりまして、東京大学のほか、こちらの地図に書いてありますとおり、10の大学病院、グループ病院等に協力をいただく。東大病院でまずシステムを開発しますが、それについては順次ほかの機関にも広げていくということで、2015年には1,000万人規模のデータを利用可能にする目標を立てています。
戻っていただきまして、69頁ですが、いただいた情報については、膨大なデータがありますので、その中から規則性を探り出すということでデータマイニングを用いた手法を採っています。この高度化について引き続き検討を行っているところです。
また、医療機器に関しては、トラッキングすべき医療機器ということで、現在まだ項目は限られていますが、埋め込み型の補助人工心臓について、市販後データ収集の枠組みを検討しているところです。
また、冠動脈ステントに関する試行調査の継続実施をして、平成23年度には中間報告を取りまとめたところです。
71頁をご覧ください。3.-(2)安全情報の提供については、企業、医療関係者に対するものということで書かせていただいております。自己評定はAを付けさせていただいています。ここの項目については、この四角囲みにありますように、中期計画上、平成23年度それぞれについての数値目標がいくつか定められていますが、平成23年度の状況については72頁に書いてあるとおりです。副作用報告からホームページにおける公表までの期間については4カ月という目標を維持しています。
添付文書改訂指示については、指示発出の2日以内にホームページにも掲載ができているということです。そのほか、医薬品医療機器情報提供ホームページのアクセス件数については、平成23年度には9億4,900万回ということで、着実に回数が増えてきています。
また、PMDAのメディナビについても、登録件数を一生懸命に増やしているところですが、こちらについては5万5,000件ということで、目標にほぼ到達しています。
次の73頁は患者の方々、一般消費者の方々に対する安全性情報の提供です。こちらについても自己評定はAを付けさせていただいています。平成23年度の取組みは74頁をご覧ください。[1]情報のフィードバック等による市販後安全体制の確立ということで、添付文書の改訂、患者向け医薬品ガイドの作成等に関する企業からの相談に対応していますが、各種相談への対応件数は、平成23年度はこちらの表にあるとおりです。
また、副作用・不具合等の報告については、報告を受けてから公表まで4ケ月以内にやるということですが、4ケ月を維持しながら、平成23年度末までに副作用については21万件、不具合報告は6万件を超える件数を公表してきています。添付文書の改訂指示を2日以内にホームページに掲載する件についても、平成23年度の件数を書かせていただいています。
また、重篤な副作用の疾患別対応マニュアルというのを作っておりますが、これについては平成22年度に63疾患だったものを、75疾患に係るマニュアルということで、件数を増やしてきています。「患者向け医薬品ガイド」についても、平成22年度は330成分だったところを、363成分についてホームページに掲載しています。ホームページのアクセス、メディナビについては先ほど申し上げたとおりですが、新たなこととしては一般の方々も登録したくなるような工夫として、平成23年6月から「マイ医薬品集作成サービス」を開始しています。平成23年度のメディナビで配信した内容についてはこちらに書いてあるとおりですので、ご参照いただければと思います。
76頁は、医療安全情報の提供です。財団法人「日本医療機能評価機構」が公表しているヒヤリ・ハット事例等、医薬品の名前が似ているということで間違ってしまうことが多いようですが、そうしたものの評価検討をPMDAで実施して、厚生労働省に報告しています。その下に平成23年度の評価件数の表があります。そのほか、繰り返し報告された事例とか、添付文書を改訂した事例については、医療従事者向けに解説した「PMDA医療安全情報」を提供しています。
77頁は医薬品相談・医療機器相談の実施です。一般消費者の方、あるいは患者の方々が安心して使えるよう、電話による相談を受け付けておりまして、その相談者数については表に書いてあるとおりです。資料の説明は以上です。

○真野部会長
ありがとうございました。それではご質問はどうでしょうか。お願いします。

○松原委員
「医療情報データベース基盤整備事業」というのは、本当にいままで日本が医療データについては他国に遅れているところだったので、非常に素晴らしい取組みだと思っております。他の公的機関などに、このデータを出してほしいと頼むと、「いや、それはIT業者に頼まないと出せない」とか、自分たちで出せないようなソフトを使ってしまっていることが多々ありますので、そんなことにならないように、是非、もっと充実させるためにも情報投資をうまくしていただきたいなと思っております。指摘したいことは2つありまして、1つは、これは素晴らしい事業ですので、今後こういったデータを使いやすくするような情報整備、そのための情報投資を積極的にしていただきたいと思っております。それは資料の質とか、投薬方法の質の改善とか患者のためということ、もう1つは、もしかしたら新たなビジネスソースになるかもしれないという可能性も大きく秘めている事業なので、是非そこは積極的に投資していただきたいと考えます。
もう一方で、最近はよく公的機関の利益譲与金の問題がありますので、そういった意味でもいい活用方法を取っていただきたいと考えています。

○医薬品医療機器総合機構理事
ありがとうございます。1,000万人のデータベースをいま構築中で、その中でも各大学によって使い方がだいぶ違っていることが分かってきまして、そういう意味で、いま東京大学をまず標準にということでやらせていただいています。ただ、さらに先生がおっしゃるように、その基となるデータの質をよくするということが非常に重要で、これに関してもそういうことをやっていただくことによって、さらに副作用情報とか、フィードバックも将来的には考えられるので、そういうことも含めまして、情報化の取組みについてはやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○平井委員
これはここで言うことかどうかちょっとわからないのですが、病院の医療情報システムがあまりに不備で、電子カルテが使いものにならない、いま松原委員がご指摘になったようなことでも、なかなか情報がとれない。これはうちだけかもしれませんが、そうではないというような話も聞きますので、医療情報、電子カルテのシステムというのはまだ発展途上なのだろうとは思うのですが、例えばいろいろなベンダーさんがあって、ベンダーによって使い方がばらばらとか、そういうのを何とか改善しているような動きがあるように聞いたこともあります。いつごろそれができるのかということを知りたいです。また、先ほどの医療情報のデータベースをどう使うかといえば、やはりいろいろな有害事象を予測できるかどうかということに私たちは使いたいと思うので、もちろんそこから研究の必要な部分もあるのだとは思うのですが、そういう少しでも予測が可能になるような使い方ができるようなものにしていただきたいと思います。

○医薬食品局総務課長
いま先生から出ました電子カルテのベンダー、レセコン業者さんのお話については、いま医政局で、政府全体で医療情報をどう活用するかという検討のご指示もいただいていますので、時期も含めて私どもは詳細な情報は持っておりませんが、検討作業を進めているということだけで恐縮ですが、ご報告させていただきます。

○真野部会長
この委員会でもときどき議論になったナショナルデータベースみたいな話と安全情報のデータベースは、一応日本の場合はならんで進んでいるという理解ですね。ほかはどうでしょうか。

○橋田委員
安全対策業務は非常に重要な業務だと思います。先ほど被害者救済と安全対策の連携の話が出ましたが、そういう意味でPMDAの全体の業務を見ますと、もちろん、まず審査があって、それから市販されて、いろいろな安全情報が出てきて、場合によっては救済というところに進むわけですが、そういった意味で全体を通して、例えば安全性というか、全体のことですが、何か情報を共有されるシステム、場合によってはいろいろな問題が出たときに審査そのものをもう一度再評価したり、見直したりというようなことも必要になると思うのですが、何かそういうことに関するシステムをいまお持ちかどうかというのが1つ。
それから、人事のことも先ほど来、人数の話が出まして、研修等をいろいろ進めているという話も出ましたが、場合によってはそういう業務間の交流とかも大事な要素かと思うのですが、その辺りの現状はどうなっているかという点を、教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
PMDA内では、いまご指摘いただきましたように審査から市販後の安全対策、場合によっては救済というところになるわけですが、PMDAの成り立ちから言って、いままでそれぞれ別の組織でやってきたものですから、いまあるITシステムというのはその寄せ集めです。そういうこともあり、いま最適化ということで、もう少しまとめて共通に見られるような形にしたいということでの取組みを進めておりまして、平成23年度から始めまして平成25年度末を目途に作業を進めております。審査の最適化、安全と救済の最適化というところで組ませていただいていますので、その中ではできるだけそういうことがスムーズに、後からいろいろお互いに検証できるような形のシステムにしたいと思っております。
審査、安全、救済の中の部門間の人事交流の人事の問題ですが、お蔭さまでPMDAで人材をかなり多く採用させていただいております。そうではありますが、医薬品という全体から見ますと、最初の開発の段階から、市販後も含めまして、また救済副作用のところまで一貫した見方をしていただける人材が必要ではないかと考えております。キャリアパスという取扱いで、同じ部門で数年間居て、いろいろな部門を経験して、ステップアップしてというような考え方をお示しさせていただいているところです。ということで、できればその辺りをもう少し着実に進められるような取組みもさせていただきたいと思っております。

○橋田委員
ありがとうございました。

○真野部会長
ほかにはよろしいでしょうか。ではお願いします。

○浅野委員
医療機器に関して、たぶん一部の医療機器でこれがトラッキング医療機器という形で市販後調査をされるようになってきていると思うのです。これはまだ医療機器の分野ではこういった市販後調査というのは始まったばかりなのでいろいろ課題もあるのではないかと思いまして、その辺の課題をお伺いしたいということと、例えばこういういろいろな機器だと、もしかすると消費者庁にいろいろな情報があったり出ていたりするのではないかと思うのですが、その辺りの連携について、何か現状について教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構理事
医療機器については非常にいろいろな医療機器がございます。その中で医療機器の場合は医薬品でもそうなのですが、もともと医療機器に起因するものと、手技とか経過によって消耗という感じのものもあり、それを全部含めて不具合みたいな形になってきていると理解しております。その中でそこら辺が、何が問題かということを識別できるようにということで、1つはトラッキングもありますし、ステントを例にとって、いま試行させていただいているところです。そういう意味で、もう少し市販後の見方をいかに着実に充実させるかというところは、さらに進めさせていただきたいと思っております。消費者庁のほうはいまのところは直接的には。

○医薬食品局総務課長
消費者庁についてはPMDAではないのですが、私ども厚生労働省医薬食品局と消費者庁事務局、あるいは消費者委員会の先生方と定期的ということではありませんが、何か問題があったときにはそこで安全情報交換をしながらというルートは確立して、問題があればそこのルートを活用するようにしております。

○浅野委員
ありがとうございました。わかりました。

○真野部会長
よろしいですか。時間も迫ってきました。まだ別にご質問がありますでしょうか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。そうしますと、これですべての項目の評価が終わったことになります。時間もちょうどいい時間になってまいりまして、非常に活発な議論だったと思います。やはり繰り返し出ていますように、PMDAに対して委員の期待も、もちろん国民の期待も非常に高い、その表れだろうなと思っておりますので、今後とも是非よろしくお願いいたします。
それでは事務局から細かい取扱いについてお願いします。

○政策評価官室長補佐
お配りしております資料の送付をご希望される場合は、部会終了後に、事務局宛にお申し付けください。また、評価の記入が終わっていない委員の方がいらっしゃいましたら、記入用紙をお持ち帰りになって記入していただくか、事前に電子媒体版をお送りしていると思いますので、そちらにご記入いただくということでお願いいたします。その場合の締め切りですが、19日の木曜日までに事務局宛にお送りいただくか、当日医療福祉部会がございますので、その場にお持ちいただければと思います。

○真野部会長
ありがとうございました。

(2)役員給与規程の変更について

○真野部会長
次に役員給与規程の変更のご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
医薬品医療機器総合機構理事長から厚生労働大臣に対し、役員給与規程の変更について届出がございました。
独立行政法人通則法第53条第1項で「届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知する」ということが記載されていまして、同条第2項に評価委員会は、その通知に係る報酬等の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、意見を申し出ることができることとされております。つきましては、この度の役員給与規程の変更が、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、ご意見を伺いたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○真野部会長
この件に関しましてはどうでしょうか。

○政策評価官室長補佐
内容について法人のほうからご説明をお願いします。

○真野部会長
お願いします。

○医薬品医療機器総合機構企画調整部長
それではご説明させていただきます。資料が2-1と資料2-2です。資料2-1は、給与規程新旧対照表となっています。本件については、本年の3月に国家公務員の給与について、平成24年4月から平成26年3月まで減額支給措置を講ずるための国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律が成立しています。今回の給与減額支給措置については、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災に対処する必要から講じられたものであるということで、公的部門全体に対応する必要があるということで、独立行政法人に対しても適切な対応をとることが求められました。PMDAにおいては、給与の支払いは国からの運営費交付金や補助金という国費以外の財源もありますが、行政の趣旨等も踏まえ、まず役員の給与等を今年の6月から減額支給することといたしました。
内容については、資料2-1にあるとおり、これは役員給与規程ですので、役員に相当する国家公務員との並びを考え、それに相当する減額率で実施しました。また、期間についても、国家公務員は平成24年4月から平成26年3月ということで、こちらの給与規程の改正が6月からということなのですが、4月、5月分に相当する分についても6月に調整するということで、詳しくは触れませんが、そういう形で対応させていただきます。役員以外の職員についても、必要な措置をとるべく、現在準備を行っていることを申し添えさせていただきます。説明は以上です。

○真野部会長
ありがとうございました。この件はよろしいでしょうか。
先ほどからの話で、非常に厳しい話なのかもしれませんが、是非よろしくお願いいたします。
それではこれは意見なしということで承ります。
(了承)

3.閉会

○真野部会長
それでは、ちょうど時間になりましたので、本日の議事は以上です。
次回の開催について、事務局からお願いします。

○政策評価官室長補佐
次回の開催は、7月19日(木)9時30分から、場所は省内の専用第22会議室(18階)です。議題については、福祉医療機構の個別評価になります。よろしくお願いいたします。

○真野部会長
それでは、本日は終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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