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2012年6月15日 第5回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成24年6月15日


○場所

砂防会館 別館会議室 淀・信濃の間


○出席者

委員

岩田正美委員 上田文雄委員(渡部代理) 岡崎誠也委員(門吉代理)
奥田知志委員 柏木克之委員 勝部麗子委員
櫛部武俊委員 小杉礼子委員 駒村康平委員
谷口仁史委員 野老真理子委員 長谷川正義委員
花井圭子委員 広田和子委員 藤田孝典委員
松井一郎委員(井手之上代理) 宮本太郎部会長 山村睦委員

○議事

○宮本部会長
 時間となりましたので、第5回になりますけれども、「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を始めさせていただきたいと思います。
 ほとんど毎週になっていますが、皆さんどうもありがとうございます。
 今日は津田厚生労働大臣政務官もお見えでございますので、最初にお話をいただけるでしょうか。

○津田厚生労働政務官
 皆さん、こんにちは。
宮本部会長から話がありましたように、本部会も第5回を迎えたわけでございます。皆様、本当に多忙な中で活発な御議論をこれまでしていただきまして、心より感謝を申し上げる次第であります。
 本日は、国会におきましては社会保障と税の一体改革の実質的に大詰めの日でございます。御案内のように、修正協議が行われているわけでございます。特に修正協議の中では子育て支援あるいは年金のみならず、生活困窮者対策を含む社会保障改革全般にわたっているわけでございまして、私ども政府としましてはこの一体改革を実現するために引き続き努力をしてまいりたい、そのように思っているところでございます。
 皆様方には、生活困窮者支援の柱であります生活支援戦略を今年の秋に策定をできるよう、引き続きその具体的な制度設計に向けて精力的な議論を行っていただきたい、そのように思っているところでございます。
 本日も多くの方々に事例を発表していただくことになっておるわけでございます。精力的な議論を心よりお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 一体改革はまさに正念場でございますけれども、そうした中で政務官においでいただいて、大変感謝申し上げたいと思います。
 それでは、事務局の方から委員の出席状況について御説明をお願いします。

○古都社会・援護局総務課長
 本日の委員の出席状況でございます。
 石委員、岩村委員、高杉委員、武居委員、藤巻委員、堀田委員、宮本みち子委員の7名が御欠席でございます。
 また、花井委員が所用により若干遅れるとの連絡をいただいております。
 また、本日は、上田委員の代理といたしまして渡部札幌市副市長、岡崎委員の代理といたしまして門吉高知市福祉事務所長、松井委員の代理といたしまして井手之上大阪府福祉部長に御出席いただいております。
 出席委員につきましては、委員総数25名の3分の1を超えておりますので、開催の要件を満たしております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 それでは、早速議題に入りたいと思います。
大変インテンシブに委員の皆さんからヒアリングを進めています。前回は勝部委員の方から社会福祉協議会の見守り力をいかに解決力に結びつけるか、同じように地域社会の潜勢力を生かすという点で堀田委員から地域通貨についての問題提起もございました。あるいは高杉委員から健康弱者を支援するといった枠組みを生活保護の再編の中でどう進めるのか、あるいは武居委員から施設と地域の2分法ではなくて、施設で行う居住に関する自立支援の話がございました。それから、宮本みち子委員から若年層の就労支援、通常のルートでは難しい層にどう対応するか。それぞれ非常に重要な論点が提起されておりまして、これは聞きっ放しということではなくて、着実にこの部会のまとめに生かしていきたいと思っております。
 今日もまたその延長で、まず奥田委員、小杉委員、長谷川委員、松井委員の代理になりますけれども井手之上部長、山村委員、広田委員の6名の委員の方からお話を伺うことになります。
 前回も一つひとつの御報告が大変リッチであるだけに、議事の進行には苦労いたしましたけれども、事務局の皆さん、1報告何分くらいという見当をおつけですか。

○古都社会・援護局総務課長
 お1人15分程度でお願いしたいと思います。

○宮本部会長
 15分以内に何とかフィニッシュできるように御配慮いただくと助かります。議事進行に御協力いただけると助かります。
 6名の委員からのお話を伺いますので、お3方ずつ区切って質疑応答を挟んで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、まず奥田委員からお願いいたします。

○奥田委員
 皆さん、こんにちは。
 私は、主に北九州、福岡で活動しておりますNPO法人で、北九州ホームレス支援機構というホームレスの方々を主に支援してきた団体の代表であります。今日は発表の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。もう本当に優れた現場の事例の御報告がこの間続いておりますので、私の方は考え方というか、北九州ではこう考えてきましたというところを若干説明申し上げたいと思います。
 最初の資料1をごらんください。
 私たちは1988年に活動を開始しまして、2000年にNPO法人化しました。NPOの登録メンバーは150名、現在専従スタッフが70名という体制で動いております。自立の総数は、福岡の事業が2年前から始まりまして、今、2,000名を超えたところであります。おかげさまで自立率も90%を超えていますし、何よりも大事なのは自立後の生活の維持なのですが、生活の維持率は95%で、アフターケアをずっと続けてやっているところであります。
 1枚目をめくっていただきますと、すみません、時間がないので大分早口で申し上げますけれども、よろしくお願いいたします。24年前からホームレス支援をずっと取り組んでおりまして、困窮者支援はどこでもそうですが、私たちの現場は見立てが一番大事。何をポイントとするかというところですが、私たちは従来から、今回まさにこの委員会でも話題になっております困窮かつ孤立という2つの概念で二十数年前から取り組んできました。
すなわち一般的にはホームレス問題と言われますが、野宿状態の方々の抱える問題をハウスレスという部分とホームレスという部分の2つに区分をして対策を立てるというやり方でやってまいりました。
 ハウスレスはハウスに象徴される物理的・経済的問題で、再就職やアパートの設定等々です。
 しかし、一方で、アパートを設定しても、アパートを訪ねていくと、アパートの中で本当に1人でぽつんと座っている姿が非常に気になります。その姿は路上におられたときの姿とほとんど変わらないという現実を、アパート支援を始めたころに感じました。路上のときは畳の上で死にたいとおっしゃっていますけれども、アパートに入ってから次におっしゃるのは、これで安心かというとそうでもなくて、自分の最期はだれが看取ってくれるだろうかという話に必ずなります。
 ですので、ハウスレス問題と、ホームと呼べるものがないというもう一つの関係の問題、この2つを同時にどう解決するかというのがホームレス支援の現場の長年の課題でありました。ですので、支援の両輪としては、ハウスレスに対しては何が必要か。アパートが必要であるとか、保証人が必要であるとか、家財道具とか、就労のためのさまざまな準備。しかし、同時にホームレスということに関してはだれが必要かという、この2つの組み合わせが非常に大事だったということであります。こういうことはもう既にこれまでの委員の皆さんの御報告の中で同じようなテーマが繰り返し語られているように思っております。
 2ページ目に行きます。
 そうなると困窮概念を少し言い方を変えると、私は戦後社会の社会保障制度等々を考えていく中で、困窮概念の基本にあったのは経済的困窮と身体的困窮という2つの困窮だったのではないかと思っております。それぞれハローワークとか病院、皆国民健康保険制度等々をつくりましたけれども、従来の社会においてはやはり困窮者の周りに人がいたというのがまず前提になっていて、地縁・血縁・社縁とよく言われますけれども、そういうものが既存のこういう社会制度に結びつけてくれた。
 しかし、ここが無縁化していく中でどうするのか、だれがそこをカバーするのかということで、第3の困窮概念としての関係的困窮。経済的困窮、身体的困窮、更に関係的な困窮。社会関係資源とかいう言葉もこのごろよく使われるようになりましたけれども、まさにこの辺りが非常に大きな問題。
 しかも昨今身内の責任という議論が非常にありますけれども、そういう法的責任があるかないかという議論は別として、なかなかどっこい現実としては身内に戻すという方向性で果たして対応できるのだろうか。地縁・血縁・社縁は、どの縁も理由のある縁です。血がつながっているとか、一緒のところに住んでいるとか、同じ会社にいるとか、そういう理由があるというところで結びつけていこうとするのですが、思い切って言うと、全く無縁、全く関係ない者たちがどう次の関係をつくるかという仕組みをつくらない限りは、社会が社会にならないと考えています。そういう意味で第4の縁だと。
 更に次の3ページに行きますと、では北九州でやってきました、福岡でもやってきましたホームレス支援における伴走支援をどう構築したかということで、これは理念型です。モデルとしての家庭・家族ということを仮説として想定しました。私は別に過去の家庭に戻ろうという復古調の話をしたいわけでは一切ありません。ただ、ものの考え方として家庭とか家族が何を果たしてきたのかということを考えたわけです。
 家庭が受け持った3つの機能ということで仮説を立てたのが、1は受け皿的機能で、サービス提供です。具体的に食べるとか、寝るとか、看病するとか。
 2番目は記憶と私は置きました。これは非常に大事だったように私は思うのです。1つは自分のことを覚えていてくれる人がいるとか、そういう心情的な問題もありますけれども、一方で、記憶がいざというときにさまざまに作用しているわけです。過去から、子どものころからずっと家庭はその人の生育を見ているわけです。そういう中で、今、起こった問題に対して、この子は過去こういう病気を持っていたとか、そういうことが記憶ということで蓄積されてきたのが家庭ではなかったのか。
 3番目が持続性のある伴走的コーディネートで、何か事が起これば必要な手当てをするというコーディネートをしていく役割。子どもが病気になったら病院につなぐ。ただ、もう一つ大事なのは、後でも言いますが、戻すという作用が働いたということです。福祉の分野で結構つなぐということは前から言われていたのですが、家庭が優れていたのは、ここはだめだと思ったらすぐ戻した、そして次につなぎ直したという継続性のあるつなぎ戻しがあったのが非常に強みだった。
 4ページに行きますが、しかし家庭が崩壊するわけです。受け皿やサービス提供に関してはどうなったか。これはまだまだ不十分ですが、私は社会的資源でカバーするしかないと。例えば単身社会ということがずっと言われてきておりますけれども、その中でコンビニエンスストアが単身世帯用のいろいろなものを売り出した。いいか悪いかは別ですよ。でも、そういう実際のことが社会的な資源で補われた。介護保険制度は最たるものだと思います。家庭内労働だと言われてきたものを社会的なものに変えたということは非常に意義が大きかったと思っています。しかし、2と3です。記憶の部分とコーディネートの部分が脆弱なままに来ているのではないか。こういう想定の下でホームレス支援における伴走型支援を構築しました。
 5ページに行きます。
 北九州において北九州市と共同で行いました、実際には2003年から協働が始まったのですが、2004年に支援台帳をつくりました。当然ご本人の承諾の下、セキュリティコード等々をつくってやりました。
 1の自立支援台帳は野宿時代のデータベースです。
 2の生活相談台帳が、自立支援センターに入られた後のデータベースです。
 3の生活サポート台帳は、地域生活に入られた後のアフターケアをしていくための台帳です。
結局記憶を記録へと置きかえる。これが家庭だったら一定の範囲でずっと蓄積されていくのですが、言わば無縁の縁ですから、赤の他人が関わっていく上でデータベースは非常に大事でありまして、先ほど言いましたように、北九州のホームレスの方々は2,000人くらいが自立をされていて、95%が生活維持をしているという背景には、このような1つの記憶の蓄積、もしくは記録の継続性が非常に大きかったということであります。
 6ページ目に行きます。
 データベースを活用することの利点ですが、支援者はもともと一緒に暮らしているわけではありませんので、情報供給ができるのは当たり前のことです。それから、複数の人数がチームを組んでケアができる。
 また、必要な情報の抽出が、コンピュータが非常に発達しましたので可能になりました。
 対象者全体の傾向把握等も可能になりました。
 何よりもデータベースが必要だったのは、段階的・発展的なケアプランの作成。すみません、これは後でサポートプランという言葉に変わってしまいます。最初ケアプランと呼んでいたのですが、介護事業と紛らわしいのでサポートプランという名前に途中で変えました。プランができるということが非常に大きかったわけです。ワンストップ型で考えると、どうしてもそのときそのときの一つひとつの事柄に対してつなぐだけで終わっていくので、つないだ後、次にどうするのだということを想定して第1のつなぎを行うことで、段階的・発展的にできる。
 5番目、これはうちは実際まだやっていません。最低北九州、下関、福岡ではできているのですが、最終的には困窮者支援において、当然本人承諾やセキュリティの問題をクリアーした上で、全国規模のデータ共有がやはり必要になってくるだろう。それは困窮者が単身化して、流動化していくという傾向が強いからです。どうしてもそうなると事業所ごとの連携だけではなくて、全国的な連携が必要だろうと思っております。
 7ページ。
 そういう中で北九州ではデータベース、サポートプラン、パーソナル・サポート・パーソンという3本柱で困窮者支援、伴走型支援をする。データベースはもう説明したとおりです。そしてここにプランが入ってくる。そして普通パーソナル・サポート・サービスというのですけれども、やはり支えるのは人間だという、そんな思いが私たちは強いので、わざわざパーソナル・サポート・パーソン、PSSではなくてPSPというふうにひねくって考えております。
 8ページ目。すみません、もう時間がそろそろないですね。
 関係的困窮・経済的困窮・身体的困窮という3つのグループがあって重なっているという図なのですが、複合的困窮状態だと。単一の困窮ではない。この複合的困窮に対して、当然複合的サポートが必要です。ただ、社会資源としては、こういうものを一体化してサポートするという資源はなかなかありません。やはりそれぞれの専門があるわけです。そうなると複合的トータルサポートをだれがコーディネートするかというところが必要になるということの図です。
 9ページ。
 これもまた理念的な話で申し訳ないのですが、今までの福祉の現場でいうと、私は処遇という言葉をよく聞いてまいりました。この人の処遇をどうするかということです。私は余り好きな言葉ではなかったのですが、けれども処遇の支援と。けれども、一方で、伴走型支援というのは実は存在の支援だと。家庭はサービス提供しているというけれども、実際には日ごろは一緒におる人たちなのです。だから日常ということの意味が非常にあって、日常があるからこそ急場のときにサポートが効くわけです。日常生活を一緒にしているからこそ、おまえ、これしたらあかんでと言われたら、やめておこうかなと思うわけです。だからそこのところでいうと、存在の支援という枠づけを今後の支援体系の中でどう形にできるかというのも1つのチャレンジかなと思っています。
 10ページ。
 伴走型支援、伴走型コーディネートのポイントですが、本当は17くらいあるのですけれども、今日は時間がありませんので7つだけ抜粋してきました。
 私は原則受け皿とコーディネートは分離して考えるという立場です。コーディネートの中にどんどん受け皿的機能を入れてしまいますと、やはりすぐにもう満杯になって動かなくなります。それと社会資源が育たなくなります。ですから、あくまでも相談とサポートプランなりを立てて、あとコーディネートしていく。そういうところの部分と、一方で社会資源の受け皿をきちんと構築していく。宿泊の支援であるとか、家計支援であるとか、そういう社会資源をどこまで構築できるかが今回の議論のもう一つの山場だと。相談伴走型支援と、もう一つは社会資源をどうつくれるか、そこのところは分けてある程度考えなければならない。
 それからつなぎ・戻しです。この戻しが利くかというのが伴走型支援の肝です。これが利かないと、貧困ビジネスなり何なりという悪いと言われている施設に入って、それきりと。そこで問題が起こっても、全く次のブレーキが利かないという状態になります。
当然制度またぎ型である。
 11ページに行きますと、受け皿内のコーディネートの限界を超える。これは余り悪く言うとあれですけれども、あくまで発題なので議論として聞いていただきたいのですが、多くの場合、制度内のコーディネーターは制度に固着してしまいます。ですので、1例を挙げると、これは全部ではないです、単なる例ですからそうしておいてください。例えば病院の医療ソーシャルワーカーは、やはりどうしても退院促進が1つの課題になってしまう。そうするとどこまで患者本位なのかという話になってしまうのです。これはある意味では仕方がないと思います。もしくはほかのケースワーカーさんもそうです。けれども、制度外のコーディネートをつけることによって、ここにある一定の緊張関係をつくる。そういうことによって制度内のコーディネートを乗り越える、もしくは同時に受け皿チェックができるということです。
 それから、総合的・段階的なケアプランがつくれるということ。
12ページに行きます。
 6番目、伴走型支援員のプロ化ということですが、伴走型支援員はある程度専門的知識がなければならないとは思います。もう時間がないのですが、「しかし、最後は情熱かなあ」と書いてあるのは、私はもう浅くていいと思うのです。情熱があったらいい。例えば子どもが病気になったときに、お父さんが、今からおまえを絶対治すと。でも、今から医学部に行くから待っとけよとは言わぬわけで、いい医者を探してくるから待っとけよと言うわけで、だから医学の専門知識などは要らないわけで、いい医者を探せるかという情熱があるかどうか。
 それから、もう一つ、自尊感情と自己有用感という、これが実は非常に大事だと思います。自尊感情は自分が大事にされているという思いです。しかし、それだけの支援をしてしまうと立ち上がれなくなると私は思います。多くのホームレスを見てきてそうでした。そうではなくて、自己有用意識、自分が何かの使命に生きている、もしくは役に立つ。これは意味があるというところくらいまでも含めての話でありますが、この2つをコーディネートできるかというのが非常に大事です。
 次の13、14ページは何のグラフかというと、ホームレスの人に対して行った北九州市立大学の調査なのですが、13ページは支援する前と後では孤独感が極端に減少します。孤独意識がなくなります。
しかし、14ページは何かというと、自己有用感の変化なのですが、何と驚くべきことに、ホームレス状態であったときに、「まあそう思う」まで含めて約3割の人が自分は存在意義があると思っていました。しかし、自立支援センターを出た後に調査すると、何と減ったのです。自分は孤独ではない、1人ぼっちではないという自尊感情は非常にうまくいったのだけれども、自己有用意識に達しない、つまり助けられっ放しという状態をつくり出してしまった。これは私にとって非常に大きな調査結果でありまして、過去を反省させられた調査でありました。今回の伴走型支援はやはり自己有用意識をどこまで達成できるかが非常に大事です。
 時間がありませんので、あとはごらんください。伴走型支援は、私たちは個別型伴走支援、1対1の関係と、もう一つ、総合型伴走支援といって関係者が集まって一緒にケアプランを作るという形をとってまいりました。
 ちょっと飛ばします。17ページを見てください。
 そこにおいて、では地域に戻していくというか、伴走型支援で急性期のところをぐっと詰めた後で、ではどう地域生活に行くかというところで、キーパーソンということを今、相当議論しております。キーパーソンも、キーパーソンと、ライト・キーパーソンズというちょっと軽目のというか、そういうことを考えておりまして、やはり家族のようにはならない。ですから、もうちょっと広い範囲でライト・キーパーソンズをどうするか。
 18、19ページは精神科医の中井先生が書かれた同心円的拡大とオリヅルラン型拡大という関係の概念です。私たちはオリズルラン型と中井さんがおっしゃったものを採用していまして、これがライト・キーパーソンズというところでありますが、かつての関係は同心円に広がっていった。これからはオリズルランになる。オリヅルランは、枝が伸びたらそこにまた根が張って、また枝が伸びるという幾つかのキーポイントがあるという。
 これが19ページで、行きつけのレコード屋のおやじさんとか、いろいろな人がその人のライト・キーパーソンズとして存在する。そこを結びつけていくのがパーソナルサポーターだという概念をつくりました。
 20ページはサポートプランをつくるという話です。これは御本人には基本は余り見せません。お医者さんでいったらカルテみたいなものですね。そして、その上でパーソナルプランをもう一方でつくります。これは御本人と共有するプランです。ですので、パーソナルプランは、御本人が私は何々しますとか、私は何々したいですということを基本に書く。その背景にもうちょっと体系的なサポートプランをPSが持つというようなことをしております。
 最後22、23ページですが、私はこれからの伴走型支援を中心とした困窮者の取組みとして6つの仕組みが必要だと。
 1つは相談の仕組み。特にアウトリーチが可能かどうかというのが1つの肝になります。
 2つ目は伴走型支援そのものの仕組み。
 3つ目は支援決定承認の仕組みです。どこで支援決定するのか。
 4番目はスタッフの育成をどうするのか。
 5番目は社会資源の確保が本当にできるのか。
 6番目は一連のシステムの検証の仕組みをどうするか。
 この6つのことについて今後構築していくことが必要なのではないかと思います。
 最後に全体のイメージですが、非常に雑駁なイメージで申し訳ございません。真ん中にあるのが総合相談及び伴走型支援センターみたいなもので、ここで相談を受け付けてアウトリーチも行い、アセスメントし、データ作成し、サポートプランをし、伴走型支援を行い、リプランをする。しかし、ここは直接のサービス提供はしません。伴走する、コーディネートするわけです。ですから、右側の社会的資源群がどうしても必要で、ここがつくれるかどうかが本当は勝負だと思います。例えば社会的就労の話が前回から出ていますけれども、本当にできるのだろうかというところにすごく私は興味関心があります。例えば住宅支援、居宅支援においてもそうです。そして、左側は支援決定の機関で、ここは行政もしくは第三者機関が必要だろう、関与するだろう。あとはスタッフ育成の機関である。
 すみません、ちょっと延びました。以上です。

○宮本部会長
 どうもありがとうございました。
 奥田委員はこの後、次の用務で中座されると伺っておりますけれども、質疑応答の時間までは大丈夫でしょうか。

○奥田委員
 大丈夫です。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 それでは、次に小杉委員の方からお願いいたします。

○小杉委員
 労働政策研究・研修機構小杉と申します。
 今日お話ししたいのは、私ども労働の方の研究所でやってきたことは、若者の中で孤立した若者たち、社会的関係を失った若者たちの支援として、労働行政の方では若者自立塾や地域若者サポートステーション事業などをやってきました。ただ、そういう支援を受けても、一般労働市場に出るだけの能力はまだまだ時間がかかるというタイプの人がたくさんいます。そういう人たちが支援の後、一体どういうところで力をつけていっているのか、その実態分析をしました。その過程で、今、社会的就労が課題だというお話がございましたけれども、そういう問題にぶち当たりまして、そういうものを社会的企業と名づけて、その存立条件は何か、どういう条件が必要かということを研究しましたので、ここでひょっとしたら使える私見ではないかということでお話しさせていただきたいと思います。
 まず社会的企業という言い方でいろいろな方がいろいろおっしゃっていまして、実はここの中では大体共有されていると思うのですが、共有されていない場合もあります。もともと社会的企業の議論の中にはアメリカ型の議論とEU型の議論があって、アメリカ型の議論の場合の社会的企業は、株式会社に近いような、課題を自分たちで見つけて、これまでにはないところを開拓していく、そういう起業家というようなことが注目される議論なのですが、それに対してEU型の議論はここでの議論と非常に共通しています。社会的排除層をどうやって包摂していくか。そこでの1つのやり方としての社会的企業という考え方です。
 ここでいうのはEU型ということになります。そしてEU型の中には実は2つ種類があって、1つは直接に社会サービスを行う事業体をそういっていますし、もう一つは排除された人たちに就労とか、訓練とか、そういうものを提供する事業体としての社会的企業と大きく2つに分けられます。その中でこの後ろの方だけをここでは社会的企業と取り上げてお話をしたいと思います。
 私たちはそういう若者たちを社会的企業型で包摂して、いろいろな機会を提供している事業体にインタビュー調査をしてきました。そのインタビュー調査から出てきた、何を果たしていたかというのがここに上げた5つのことです。居場所から教育・訓練、柔軟な就労機会、そして一般就労への移行、更に全体を通しての中間的支援をやっているところもございました。この辺はこれまでここで発表された事例にかなり重なるものだと思います。
 居場所から一般就労の橋渡しまでということで、実際に社会的企業で何らかのビジネスを行って、そこで仕事をつくって、そして就労体験の機会をつくったり、最終的には一般就労との媒介を図っているケースもある。ここで中間的労働市場と表現しておりますのは、一般労働市場と福祉的な市場との中間という意味です。移行的という意味では使っていません。
 実態として、その中で個々の若者の当事者の状態やニーズに応じて、それぞれ個々にデザインされた形で、就労体験から少し有給労働までさまざまな機会が提供されています。
 組織そのものは、常勤スタッフと言われるような有給の、最低賃金以上の賃金をもらっているスタッフと、有償・無償のボランティア層、そして当事者である若者たち、大体この3層構造ででき上がっていて、当事者の人たちは段階を踏んでボランティアに移行することもあるし、常勤スタッフになるケースもある。こんなような形の組織というふうに一般化できると思います。
 中には運営スタッフになってかなり中心的になっている当事者もいましたし、あるいは一部の事業体は多くの人を一般就労へ移行させている場合もありました。ただ、それは社会的企業のやっている事業のモデルが特殊なものだからとか、優れたものだからというよりは、もともとの当事者の状況にかなり左右されていまして、このモデルでやれば一般就労に近いとか、そんな形には要約できません。
 この辺は具体的な事例なのですが、ほとんどこれまで皆様の事例で語られたことと重なりますので飛ばします。
 こうした就労支援をしている事業体がどうしたら持続可能になるかということが私たちの考えたテーマでした。存立構造と考えているのは、お金のやりとりがどこでどういうふうに起こっているかという話です。
 確かに社会的企業はビジネスをやっているのですが、このビジネスがどういうビジネスかというと、一般市場に対してものを提供するというビジネスはほんの少ししかやっていません。多くのビジネスは公共部門からの受託です。この公共部門からの受託が非常に大きな課題を持ちます。民間取引という部分もあるのですが、同じような社会的企業間での取引だったり、非常に狭い限定的なものだったりします。そういう構造でかなり課題がある。今の公共部門から受託は基本的には競争入札の中で、その結果として各事業体は経営が非常に不安定になりますし、経営が悪化する構造を実は持つわけです。なかなか会費とか寄附という形も十分広がりませんで、ある意味では限られた範囲というところにどうしてもなってしまう。
 もう一つの問題点がスタッフです。スタッフの報酬、キャリアパスがやはりなかなかつくりにくい。それぞれの事業体の中では非常に公平で透明な配分ルールを持っていて、お互いに納得できる配分の仕方をしているという事業所内、事業体の中では、大変民主的な経営がされています。ただ、実際には非常勤スタッフが少なくないこと、常勤スタッフも多くは家庭にもう一人主たる収入の保持者がいて、最低賃金レベルで働いても家計そのものは成り立つのだというタイプの、家庭のパートナーがもう一人いる人が働いているというような感じが多い。一部にはワーカーズ・コープさんなどでは新卒採用をしていて、そこで一般労働市場水準の賃金上昇もある部分もあるのですけれども、そこはやはり組織の中では非常に限られた部分です。非常に責任も大きいし、ワークロードも多い、そういう部分もあるのですが、全体としては水準は高くない。かつほかの企業にそこから移れるかというところの問題です。専門職として確立しているという状態ではありませんし、ここでの経験が外部労働市場に評価されるかというと、なかなか難しい。そういうことでキャリアパスと報酬、ここに大きな課題があるというのがこういう組織の特徴です。
 場合によっては被支援者に研修費用とか、授業料とか、そういう負担を求めなければ運営できないような場合もある。そういう場合にはやはりどうしても必要な人に支援が届かないという事態を生んでしまうということです。現存している支援者の課題はこういうところが見られました。
 持続可能な仕組みとなるためには、やはりまず公的な仕事の受注の仕組みをどうするか。まず質をコントロールして、安かろうという方に流れないようする、特段のいわゆる社会的条項をいれる、こうした公共の仕事を受託するルーがある程度必要かもしれません。
あるいはスタッフの専門性をどう高めていくか。支援スタッフと、事業を継続させるための受注をしたり、助成の仕組みを活用したりというスタッフの持つ専門性は違います。そういう経営スタッフの知識をどういうふうに広めるか。
 そして、支援者のキャリアをどういうふうに確立したものにしていくのか。この辺は大きな課題があると思います。
 もう一つは、下の方は事業自体の特殊性です。被支援者の状態によっては年単位の支援、長期的な支援が必要だ。
 あるいは中にありましたけれども、何をするかというか、仲間関係を保つとか、維持するとか、だれと働くとか、そういうことが重要な側面もあります。
 そういう孤立した人たちへの支援は、もう一つ、支援の内容の特殊性があります。そして、個々の状況が非常に多様なために、働き方もかなり柔軟性を持って多様な形にアレンジできなければしようがない。こういう課題をどこかでクリアーする必要があります。
 ここで参考にするのは海外の事例なのですけれども、ヨーロッパ型の社会的企業政策はかなり長くやられていますが、ここではヨーロッパの経験を踏まえて、比較的最近に法律化した韓国の事例が今回は参考になるのではないかと思って、今日はちょっと紹介したいと思います。
 韓国は社会的企業育成法を2007年に成立させました。
 社会的企業はというので、社会的目的を優先的に追求する、そして製造・販売というようなビジネスを行う、そういう組織として位置づけます。
だれをというところ、韓国の場合には脆弱階層という言い方をするのですが、基本的には貧困層、平均収入が一般平均の100分の60というような定義ですけれども、そういう層を対象に雇用の場を与え、あるいは社会サービスを提供するようなタイプの企業と定義します。
 利害関係者の参加、あるいは利潤収益の社会的目的の再投資といった規定をつくります。
 こういう規定をつけた組織なのですが、今回なぜ参考になるかといいますと、社会的企業の背景には、それ以前に国民生活基礎保障法という貧困対策の法律ですけれども、こういう社会的扶助を全面的に展開したときに自活支援事業、ワークフェア政策を同時に入れています。それがベースにあって、稼働能力のある層に対しては、こうした基礎保障法に基づくような生計費を受けるためには自活支援事業に参加しなければならないというルールをもって国民生活基礎保障法を施行したというかつての経緯がございます。
 この中で生まれてきた自活支援団体、自活事業団という言い方をされたりしていますが、そういう自活のための貧困層を中心とした共同体、自分たちで何とかしようということに火をつけるような仕組みを導入しています。こういう形で自活共同体があっちこっちにできていった。それをベースにして、それを組織化してもっと多くの成果を上げようということでつくられたのが社会的企業法です。
そういう中で法律をつくって社会的企業を認証して、その社会的企業に対してさまざまな支援をするという仕組みをつくっています。そこで認証というのが非常に大事なプロセスで、先ほど言いましたような目的とか、利潤の配分とか、そうしたことをきちんとする企業だけを認める。認証は基本的には労働部の長官による認証です。労働側の認証が入ります。
 この辺もちょっと飛ばしますけれども、人件費の補助、あるいは法人税・所得税の減免、そして専門労働者といっているのは、企業経営のための先ほどのノウハウを持ったような専門職をある程度雇うだけの一時的な資金です、こうした資金を提供しています。
 こういった法律化するときの大事な考え方について、まず目的、何を対象にしたのか。社会的目的を追求するというような組織の目的をしっかり定めること。利益配分について制限する。ある程度の範囲、利益は必ず社会的目的のために再投資しなければならないというような制限をつける。そして、当事者とか、あるいはその他のステークホルダーが経営に参加する。そうした条項を大抵のところでは入れます。
 これから日本の中で社会的企業というようなものをエンデュアラブルにしていくために大事なこととしては、やはり認証の仕組みは必要なのではないか。その認証の中で利益配分とか、ガバナンスとか、説明責任とか、こういうことをきちんと仕組みにしなければならない。そうしないといわゆる貧困ビジネスが入り込む可能性が随分ありますので、これをきちんとするということが大事なことになっています。
 あとそうした認証された組織に対しての社会的条項などで公共契約での優位性を持てるようにするとか、能力開発や、先ほどの専門スタッフの育成とか、そういうところを支援していく対象とする。
もう一つ、そこの中での働き方として、柔軟な働き方を可能にするということなのですが、公共サービス受注などの場合は、こうした社会的企業とくくられるものと一般の企業とがそれこそ競争入札になるわけです。そこでいわゆる最低賃金より低いような、ボランティアレベルの形で人をたくさん使っている企業とそれ以外の企業とがもし競争するとなれば、結果として一般企業の入札ができなくなるという事態が起こる可能性があります。つまり一方でこういういわゆる労働者ではない形で働く人が出てくると、一般労働者の市場を荒らしてしまう。低賃金市場を引き起こしてしまう可能性があります。そういう事態にならないためにも、ある一定の枠の中でこうした社会的な働き方の領域を決めて、その中だけである程度完結させないと、中間的な働き方ができることで一般労働市場の質を悪くするということにならないように、その辺の線引きをきちんとするためにも制度化して認証していく必要があると思います。
 以上です。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 第3回の特別部会のときに中間的就労についての議論がありましたけれども、あの議論と重ね合わせて小杉委員の報告を整理すると立体的に理解できると思います。
 それでは、次に長谷川委員の方からお話をお願いしたいと思います。

○長谷川委員
 それでは、民生委員の立場として生活困窮者の支援の在り方についての考え方といいますか、私の思いを申し上げたいと思います。
 資料3をお取り出しいただきまして、1ページを開いていただきますと、民生委員の現状ということで、全国には22万5,000人余おいでになりますし、そのうちの2万人余りが児童問題を専門的に担当する主任児童委員さんになります。性別では男性が40%、女性が60%なのですが、昭和の時代では男性が上回っていたのですが、平成7年に逆転をいたしまして、現在ではこのような状況でもってお務めをいただいているところであります。
 参考までに、4のところで在任期間とありますが、1期、2期の方々が大体61%強ということです。都市部では常勤者が非常に多いわけでございまして、平素の活動に対してなかなか休めないということから、1期3年もたずに途中で退任される方が非常に多いというのが特徴でもあるかと思います。
 2ページの方では民生委員の活動内容ということで、「7つのはたらき」ということであります。これは昭和62年に民生委員制度の70周年の際に作成したものでございまして、こうして1番~7番までこのようなことを思いながら日々活動しているわけです。
 そうしたような活動をまとめたものが、3ページをごらんいただきますと、これは平成22年度の状況でございます。全国的なことをまとめますと、相談・支援に関するものが700万件余でありますし、その他サロン活動とか、地域福祉活動とか、学校行事とか、地域の町内会等の催し物への参画とか、こういうことを含めますと2,400万件余ということでありますし、1人当たりでは約111件くらいとか、このようなことが集計として上がっているところであります。
 訪問活動に関しましては、見守りとか、高齢者と障害者の家庭とか、そういうところを訪問するのが約3,400万件余ということであります。お互いに連絡調整をしたり、行政あるいは社協とか、施設とか、学校との連絡業務が1,500万件余であります。
 一番下の5というところで、活動日数が1人平均で約129.7日ですから約130日、3日に1回は何らかの形で民生委員に関わる業務を扱っている、また主任児童委員の方でも112.1日というようなことでの集計がされているところであります。
 4ページの方をお開きいただきますと、これは平成19年に90周年に当たりまして私たちの気持ちを1つにしようということで、「広げよう地域に根ざした思いやり」というスローガンをつくりまして、民生委員活動については上の5つの項目、下の3つに関しましては、児童委員活動として主任児童委員さんをも含めまして児童問題に対する考え方として上げたところであります。
 5ページの方では、具体的にどんなことをやるのか、こういうようなことなのですが、1つは、気がかりな人や身近に頼る人がいない地域住民を発見した場合には進んで声をかけたり、相談に乗ってあげたり、福祉サービスにつなげて見守るなど、継続して支援をします。
 2つ目には、地域住民の立場に立って個人の秘密を守り、誠意を持って活動してまいります。
 3つ目には、地域福祉の担い手といたしまして、地域を耕し、専門職や福祉の実践者等とともに協働していきます。
 これら具体的な細かなことはまた後ほどごらんをいただければと思っております。
 6ページの方では、参考までに事例としてこのようなことがあってということでありますので、これにつきましてはお目通しをいただければと思います。
 7ページの方では、支援をしている世帯の状況とか、委員の我々が感じている課題ということで上げさせていただきました。我々の相談・支援は、より高齢者に関するところが非常に多いわけでありますけれども、その内容といいますのは多種にわたっておりますし、複雑な、また複数の課題が融合している、複合している、こういうようなケースが多いような状況でありまして、数字的にはこの表のとおりでございます。
 下の方の相談支援内容ですが、日常的な支援の中で買い物も代行しますと書いてあるのですが、これには申し合わせをしておりまして、金銭に関わることは絶対に1人で行わないでくださいと。やはり複数の委員さんとか、民児協ということで、お互いにグループでもって対応するようにということで、金銭では決して問題が生じないようにというような申し合せもしているところであります。
 8ページの方では、これは横浜の状況なのですけれども、民生委員活動の中で大変だと感じるのはどんなことなのかという問いかけに対しまして、なかなか行政等から情報を教えてもらえない、あるいはまた見守り活動は我々が中心にやっているのであって、必ずしも地域全体で取り組んでいるとは言えないのではないのか、やはり地域としても考えていくべきではないのかというような思い、また孤立死とか、一昨年問題になったのですが、そうした所在不明等がいつ発生するかわからないので絶えず不安感を抱えている、このようなことが言えますし、地域の行事も非常に多いわけですから、どこまでが我々の民生委員活動なのかわからない、こういうような声も上がってきているところであります。
 9ページの方では、この表にもありますように、市区町村から民生委員に対する情報の提供は高齢世帯が中心でありまして、障害者の世帯とか、あるいは一人親世帯の情報は余り提供されていないのが実態として上がっているところでございます。
 10ページの方では、支援が難しいと感じる課題とその内容はどうなのかというようなことに対しまして、やはり高齢者の孤立の問題が難しい対応をしなくてはならないということで上げられておりますし、経済的困窮者の関係も含めてこの表のとおりでございますが、主任児童委員に関しましては、その下のその他の中での児童・生徒のひきこもりとか、不登校の問題がやはり一番多いと言えるところであります。
 11ページの方をごらんいただきますと、対応が難しいと感じたケースの中では、何といっても定期的に訪問活動をしながら、それも継続的に関わりを保つことが大切ではないのか。今年に入りましてから、孤立死とか孤独死が社会問題になっているわけなのですが、お手元に横浜市の黄色いチラシがあるのですが、こうしたチラシを我々民生委員も持っておりますし、滞納等でもってガスが止まり、電気が止まり、最後は水道がということになってくるわけですが、水道局の職員もこれをいつも携帯しながら、対象になるような、心配するような家があれば、直接本人に渡したり、相談に乗ったり、ポストに入れてくるというようなことであります。もう一つ、お手元に小さな名刺代わりの書類があるのですが、これを3つに折りまして、訪問した際に、もし御本人と会えないとかいうことがあれば、このようなことを名刺代わりに置いていきながら、心配事があればいつでも相談しますので電話をくださいとか、このようなことでもって対応をしているところであります。
 12ページの方では、面識のない世帯を訪問する際にはどうなのかというようなことなのですが、非常に心配をして悩んだり、またそういうようなことがないとか、そういうところがあるのですが、左の方で「あまり悩んだことはない」というのは、民生委員ですからと告げることによって相手の方も理解をしてもらえる。あるいはその反対に「悩んだことがある」という方では、行政からの配布物等も何の目的で訪問するのか意味がわからない、あるいはなかなか存在が知られていないとか、こういうところが上げられているところであります。
 そこで13ページの方では、生活保護制度について私たちが日ごろから感じていることを4つほど上げさせていただきました。
 まず第1点に関しましては、生活保護受給者の受給世帯層の特徴と変化ということで、高齢化の進展とともに、核家族化の進行などによりまして、高齢者の生活保護受給世帯が増えている。特にこのところでは単身の高齢者が非常に多くなっていると言えるのではないかと思いますし、無年金とか低年金の生活保護世帯が増えている。これは生活保護制度が年金制度の肩代わりをしているのではないのか、そのような気がいたしますし、同時に失業を契機として、就労可能な年齢層の受給者が今日増えているわけですが、これもやはり労働施策の肩代わりをしているのではないか。こういうところから最後のセーフティネットであるべき生活保護制度が最初のセーフティネットになってしまっているのではないのかなという思いがするところであります。その一方では、受給を知らせたくない、知ってもらいたくないという人もおいでになるわけであります。
 2つ目の、就労可能年齢層において生活保護からの脱却が非常に難しいところでありますけれども、非正規労働者ではフルタイムで働いてもなかなか生活保護から脱却するだけの賃金が得られない現状である。また、生活保護から脱却しますと、税金とか保険料等、そうした負担が一気に増えるわけですから、なかなか難しい。そしてまた、それが長期化すれば余計労働意欲も低下いたしますので、ますます就労が困難になる。こういうことが言えるのではないかと思います。
 3つ目には不正受給の問題ですが、昨今のワイドショー的な事案は別としましても、日中から飲酒をしたり、パチンコをしているというようなことでは、生活保護受給者に対する市民の見方からも非常に批判の声があるというのも事実でありますし、医療機関への重複受診とか、医薬品をめぐるところの薬の横流しとか、こういうような課題もあるのではないのか。これも行政が返還を求めても、本人が開き直ってトラブルになるケースもあるわけですから、この辺についての対策はなかなか難しいのかもしれません。
 4つ目には、生活保護受給者をターゲットとした貧困ビジネスがあるという事実でありますが、ホームレスを対象としまして無届の施設とか、法的位置づけのない施設が多くなってきておりますし、横浜でも41か所くらいあるような状況であります。ホームレスの方を県外から、あるいはまた市外から連れてきて、月に1度生活費を支給されますと、そのうちから1万円か2万円を本人にお小遣いとして与えて、あとはピンはねするような行為が成り立っているのが事実でございまして、何とかしなくてはいけないのかなという思いがするところであります。
 14ページの方で、生活困窮世帯への支援を民生委員、我々が行う上で課題としてはどうかということで、これまた3つほど提起をいたしました。
 1つは個人情報保護の問題でありまして、地方公共団体におけるところの個人情報保護法への過剰な配慮があるのではないのか。また、我々に必要な要援護者の情報がなかなか提供されていないという実態があるわけであります。この辺に関しましても厚労省は通達は出していますからとおっしゃるのですが、都市部では通達どおり末端までそれがなかなか下りてこないし、民生委員までは勿論来ないというのが現実でありますので、是非ひとつお考えいただければありがたいと思います。
 言葉の上では我々は特別職の地方公務員というような位置づけがされてはおりますけれども、そういうことを考えれば、もう少し私たちを信頼してほしいし、信用してもらいたいというような思いもするところであります。
 2つ目の、民生委員の我々が訪問しても、なかなか相手が会ってくれないし、会えないという状況にあるということでありますが、それは私たちの存在が知られていないということもあるかもしれませんし、また一方では、他人や社会と関わりたくないと思っている人がおりますし、迷惑をかけたくないと思っている方もおいでになるわけであります。特に戦前教育を受けたお年寄りは人に迷惑をかけたくないという思いの方が多いわけですから、そんな方々に対してどうこれからアプローチをしていくのかということが問題ではないかと思います。
 3つ目には、生活保護受給者世帯との関わりにつきましては行政の方で認定をするわけですが、それを私たちに対しましては保護を開始しましたよという旨の1枚のペーパーが来るのみでありまして、通常訪問はしなくてもいいということにはなっており、ただ周りから見守っていればいい。しかしながら、その一方では、そうしたペーパー報告書も来ないところもあるわけですから、この辺についての改善が必要ではないのかなという思いがいたします。
 その一方で、一番下に書いてありますように、生活保護の受給を知られたくないという人がありますので、こういうような方々に対する体制をどうしたらいいのかということも課題ではないでしょうか。
 最後15ページの方では、これからの生活困窮者の生活支援に向けてということで、御提案と申しますか、思いを5つほど記載をさせていただきました。
 まず第1点は、民生・児童委員と行政との連携の強化と情報提供の緊密化ということで、私たちに対するところの要援護者等の情報の円滑な提供と情報共有の推進ということでありますが、何とか保護を決定する前に行政と民生委員で情報を共有化することができないものかどうか、是非ひとつお考えいただきたいものだなと思っております。
 多様な課題が複合する生活困窮世帯に対しましては、やはり行政の窓口を一元化する必要があるのではないか。
 あるいはまた、福祉事務所等と民生委員との連携強化と適切な役割の分担ということを、お互いがその辺についてこれから考えていくべきではないでしょうかと思います。
 2つ目の民生委員への理解の促進ということで、地域住民に対しまして民生委員がここにいるんだよという、相談先とか、支援者がここにいるんだよというような周知をする。これはやはり我々も今、一生懸命取り組んでいるのですが、活動しやすい環境づくりをどうしたらいいのか、行政と一体となって考えていく必要があるだろうし、PRも必要だと思っております。
 多様な課題に対応するための民生委員・児童委員の資質や技量の向上ということでは、私たちの方も自ら研修を積み重ねて、その辺についての資質の向上に取り組んでまいりたいと思っております。
その次の、民生委員を支える民児協機能の強化のための支援策の充実ということで、組織強化と併せて、財政的な負担も併せて、お互いにひとつ機能強化に努めてまいりたいと思っておりますし、御支援願いますようにお願いをいたしたいと思います。
 3番目には、生活保護制度の在り方をめぐる課題であります。これは国による積極的な就労促進策の整備をきちんとしっかりやってもらって、地方自治体におきましては就労支援の取組みを強化してもらいたいし、そうしたような財政支援も含めてお願いをしたいと思っております。
 就労可能な生活保護受給者に対しましては、保護受給期間の更新の在り方について、私は検討すべきではないのかと思います。毎年やればいいのかもしれませんが、なかなかそういうわけにもいかないでしょうから、3年~5年くらいを1つのスパンとして見直しをして、そこから毎回更新をしていくような制度の導入をしていったらいかがなものかと思っております。
 ワーキングプアと生活保護受給者以外への対応の充実、そしてまた非課税世帯への負担の軽減ということですが、はざまで苦しんでいる非課税世帯の対策をどうするのかということを私たちは非常に重く受け止めております。生活保護は受けたくないのだ、したがって歯を食いしばってもしっかり頑張っているような方々に対して、私たちは目を向けてあげなくてはいけないし、どうこたえていくのかということが一番の課題ではないのかなと。生活保護を受ければそれなりのちゃんとした、安定したといいますか、保護があるわけですけれども、そうでないはざまの方々に対するところの物の見方をこれから考えていく必要があるだろうと思います。
 市民感覚に即した不正受給防止の取組みの強化。悪質な事案についてはやはり警察と連携をする必要があるだろうと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、生活困窮者をターゲットとした貧困ビジネスへの規制も強化する必要があるだろう。
 4つ目の関連制度を活用した支援の充実ということで、貧困の連鎖の防止に向けまして給付型の奨学金の拡充をしていただいたらどうなのか。貸付制度はあるのですけれども、育英会も同様に、返済できないでもって困っている子どもたちがあるし、家庭があるわけですから、この辺についての給付型が可能なのかどうなのかということを是非ひとつお考えいただきたいものだと思います。
 生活福祉資金貸付の活用も自立支援の取組みの充実も図ってまいらなければいけないだろうし、無年金者となることの防止に向けた国民年金給付率の向上に向けた取組みも必要ではないか。
 最後5つ目としまして、地域の課題としての取組みの促進ということで、今日のような専門的機関だけではなくて、地域でもって対応する課題として理解の促進が大切ではないのかなと思いますし、地域の実情を踏まえた実効性のある取組みの具体化ということで、要は地方や地域でこうした貧困対策等について関心を持って検討する場が必要ではないのか、このような思いがするところでございます。
 若干経過いたしましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 若干時間は押しておりますけれども、ここで今のお3人の委員の方からのお話に対して質疑応答に入っていきたいと思います。いろいろな新しい考え方や言葉が行き交っているわけでございまして、交通整理も必要なのですけれども、非常に大きくくくれば、今日の言葉でいうならば、伴走的コーディネーターとか、民生委員とか、この前までに出た言葉でいうならば、コミュニティ・ソーシャル・ワーカーとか、パーソナルサポートとか、そうした支援の主体に関する議論と、社会的企業とか、中間的就労とか、今日の奥田委員の言い方でいえば、社会的資源といいますか、支援の場に関わる議論も、新しい公共絡みのところと、もうちょっと伝統的な官に近いところと、いろいろなレベルがあると思いますけれども、こんな構図があるというところ。それぞれの主体についての議論を整理しながら、場についての議論まで併せて整理していくという形で、少し私たちの頭をクリアーにしていく必要があるのかもしれません。どこからでも結構でございますが、いかがでしょうか。
 櫛部委員。

○櫛部委員
 奥田さんと、多分これから山村さんがお話になることとも関係はすると思うのですけれども、今、先生がおっしゃったように、ずっとこの間一貫して議論されて、個別性と地域性をくっつけた形でどうやっていくのかというのが1つの議論の柱だと思っているのですが、先ほど奥田さんが制度内専門職と制度外のコーディネーターということですね。釧路もやはり役場と地域の素人の皆さんと一緒にやってきたからうまくいったというところもあるわけなので、例えば寄り添いホットラインで電話を聞いていても、居場所に行かないのです。だから居場所をつくっただけではだめで、ではPSだけでもいいのかという問題もあって、そこにつながらない人たちが大量にいるのです。それが今日の問題の底流なので、やっていますとか、頑張っていますと私たちは言ってしまったりしているのだけれども、そこの功罪、これは後で山村さんにお願いするのだけれども、福祉事務所をどう見ていらっしゃるのかという功と罪を含めていかないと、専門職だとうまくいくとか、そういう話ではきっとないと私は思っているのです。つまり制度と専門職で今の地域のつながる問題が解決するはずはないわけなので、それはもっと排除の問題とか、見過ごされてきた貧困の問題とか、そういう観点でいかないと、結果包摂というふうにもいかないわけだと思うのです。その辺で今、制度外コーディネーターと専門職でやらせたかったことはどういうことなのかなと、もっとお話を、説明をしていただきたいなということが1つ。
 小杉さんと、前回も花井さんのお話で最賃の問題がありました。これは現役世代においてはそうだと思うのだけれども、例えば中間就労、あるいは私はもう少しで前期高齢者なのですが、つまり前期高齢者が後期高齢者を支えるという仕組みも絶対これからあるはずで、そのときに同じ最賃でいくと、まだ元気な私たちが介護などの関わりとか、いろいろなことをしていったりして一定の有償性が発生するときに、そういう考え方ではきっとくくれないだろうと思っています。それは中間就労も同じなのですけれども、そういうところをどういうふうに考えていくかという柔らかさといいますか、そこもすごく論点だろうと思っておりましたので、それは山村さんにお聞きしたいところであります。

○宮本部会長
 2番目は小杉さんですね。

○櫛部委員
 小杉さんです、ごめんなさい。

○宮本部会長
 どうもありがとうございました。2つとも大変大事な論点でございまして、奥田委員と小杉委員に伺いますけれども、要するに個別性と地域性、つまりいろいろなベストプラクティスがここで紹介されているわけなのですけれども、結局それは櫛部さんがいたからだとか、奥田さんがいたからだとか、勝部さんがいたからということになるのかもしれない。つまりそこを引き離して、あえて普遍的な教訓とでもいうべきものを奥田委員のお話から抽出するとというふうに理解してよろしいでしょうか。

○櫛部委員
 はい。

○勝部委員
 今のことに関連してなのですが、先ほどのお話の中で制度内と制度外の緊張関係というお話があったと思うのです。これから制度設計の中で例えばこういう総合支援的なワーカーをどこに置くかという話も大変大事なことだと思っているのですが、制度内、いわゆる公のところに置いてしまうのか、あるいは近所関係ということはやはり民の側に置くのかというこの辺りも先ほどの言葉に含まれているのかなと思いましたので、そこも併せて御説明いただきたいと思います。

○宮本部会長
 では、お2方から。

○奥田委員
 その辺りは非常に難しいところで、ある意味これを普遍的に全体でやるのはどうしていったらいいのかということなのですが、その中に私はやはり最後の23ページのところでいうと、社会的資源群と伴走型支援の間に総合型伴走支援会議みたいなものを置いているのですけれども、ここのところのつくり方は相当大事かなと思っているのです。そこには例えばパーソナルサポーターなり、もしくはこういう伴走型支援の支援組織ができたときの権限の問題も非常に大きいと思います。例えばこういう総合型の伴走支援会議を招集する権限と言っていいのかわかりませんが、そういうものを持っているのかどうかという。テーブルの中では制度内の話と、それを包摂的に考えている伴走型支援のところで、やりとりの緊張感はあると思うのです。それはあって当然だろうし、かつて家族が、病院の都合を言われても困ります、うちの家はそんなのできませんから退院してくれと言われても困りますというのをやっていたのと同じような場面はあると思うのです。
 しかし、問題は、地域で社会資源が集まって、全体でどうしていきますかという調整会議みたいなものはもう開かれていると思うのですが、総合型伴走支援会議はもっと個別で、この人をどうするかというサポートプランをここで共有していくという、このステージ設定が肝かなと思っていまして、ここのところがちゃんと伴走型支援の側に、ケースワーカーさん出てきてください、ハローワークさん出てきてくださいというところの権限がある意味持てているのかというようなことが1つ大事かなとは思う。
 ただ、個別ケースに関してはそれぞれの立場とか、それぞれの組織、それぞれの制度の中からの意見が出てくるわけですから、当然そこではある一定の緊張みたいなものがあるでしょうけれども、先ほどの話でいうと、まさにデータの部分とサポートプランなりの部分が社会資源群、つまり制度内ケースワーカーというか、制度内のコーディネーターとの間で共有ができるのかというところが非常に私にとっては期待するところであります。ここを分かれてやってしまうと、PSはPSだけで勝手なことを言っている、受け皿は受け皿で自分のところで話を個別にしているとなりますから、ここのところの話がちゃんとできるかなと思っております。
 全体的にだれだれさんがいたからできたんだという話にはならないように、標準化をどこまでするか。標準化するときの1つのイメージとしては、先ほど上げましたデータベースとサポートプラン、伴走型支援の仕組みというこの3つは最低全体のイメージとして統一しておかないとまずい。個別の力量の問題はあるでしょうけれども、この3つは当然全国的に共通していかないとまずいだろうと思っています。ちょっと答えになっていないかもしれませんが、そんなことを思っています。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 次に小杉委員への質問です。ここでもちょっと問題を整理させていただきますと、櫛部委員からは最賃の枠の外でというお話がありましたけれども、今日小杉委員からも紹介があったように、ソーシャルエンタープライズ、社会的企業というのも非常に輪郭があいまいな言葉でございまして、それぞれが勝手に定義をしている場合があるのですけれども、大きくいえばアングロサクソン型とEU型、アングロサクソン型の場合は勿論最賃を前提に経営をしていく。日本のこれまでの議論でも、「新しい公共」円卓会議の中で提起された社会事業法人などというのはどちらかというとアングロサクソン型です。今日は、EU型は中間的就労型が大きな役割になっているというところですけれども、韓国の社会的企業の場合は両方の要素があるように思うのです。小杉委員の場合は、今日は最賃とは別の次元で中間的就労をと。だからこそきちんと輪郭を制度として枠づけることが必要だというお話だった。そういう意味で小杉委員は、この部会で議論するべき社会的企業の1つのタイプを限定されてお話をされた。そこに櫛部委員からの質問があったと理解をしていますが、そういう整理を踏まえてお話をいただけますでしょうか。

○小杉委員
 整理していただいたので、多分回答の必要がもうなくなったと私は理解しました。

○宮本部会長
 すみません、余計なことをしたでしょうか。

○小杉委員
 いえ、そういうことです。

○宮本部会長
 ほかに。

○駒村委員
 奥田さんの方にまず質問なのですけれども、支援台帳というお話だったでしょうか、それから、書いてありますようにケアプラン、サポートプランを標準的につくっていく、データに基づいてきちんとエビデンスベースで標準的なものをつくっていくという趣旨だと思うのですけれども、支援台帳には現在どういうデータを載せていて、何があったら望ましいと考えておられるのかということと、サポートプランですけれども、もし可能であれば具体的なサンプルを見せていただくと、なおイメージが湧くかなと思います。それが1個目です。
 2つ目は、お2人、小杉さんと奥田さんのところに共通する質問の部分なのですけれども、小杉さんからは受託の際に質の評価ができる仕組みが大事ではないかというお話があって、更には認証制度みたいな話もあったと思うのですけれども、私はいろいろなほかの国でも聞いてきて、なかなか質の評価は難しいと思うのですけれども、何かいいアイデアがあったり、実際にできている例などが内外であれば教えてもらいたいなと思いました。
 もう一つは、こちらのお2人に共通するわけですけれども、支援スタッフの専門性に関して若干言及があって、高い専門性は必要ないというのが奥田さん。ただ、何らかの専門性があるのだろうと。それに対して小杉さんは専門性という言葉に言及されているのですけれども、パブリックセクターの例えばケースワーカー、ケースワーカーがどういう専門性があるかというのもあるわけですけれども、ケースワーカーとの役割分担という意味で支援スタッフに求められる専門性はどういうものなのだろうかというお話が何かあればお聞きしたいなと思います。
 最後ですけれども、民生委員の長谷川さんのお話は、私は余りまとまってお話を聞く機会がなかったのですけれども、これは事務方へのお願いなのですが、民生委員の実態とか、要望とか、こういったものは全国ベースでの調査とかアンケートみたいなものはここに書いてあるだけなのでしょうか。これがもしあればと思います。

○宮本部会長
 では、最初にお2人への質問、事務局には最後の質問について整理をしておいていただいて、後でお話を伺いたいと思います。
それでは、奥田委員、お願いします。

○奥田委員
 ここでアセスシートの中身の項目とか、それを全部言っていると多分ものすごく、私も記憶があれなので、次回もしよければこういうものをつくっていますとか、サポートプランシートはこうだとか、あと本人と作っているパーソナルシートはこうだとか、リプランはどうしているとか、その辺をペーパーベースで出させていただいて、よければそうさせていただきたいと思います。
 2つ目、専門性が要らないというのはちょっと語弊があったかもしれませんけれども、1つは社会資源に対する広い知識が当然必要だと思います。ただ、非常に個別の深さは要らないという意味において専門性は要らないということです。最も高い専門性は、私は特に最近の若い路上世代の支援の中で最も困るのは、コミュニケーションそのものです。ですから、これが全国研修で身につくのかと言われると、パーソナルの部分も非常にあるのですけれども、実はしかしコミュニケーションそのものが支援の大事でありまして、先ほど処遇の支援だけではなくて存在の支援が必要だというのは、実は存在の中にはコミュニケーションもとれているということが当然あるのです。そういう意味でいうと、何をどう研修したらいいのかというのはこれからだと思うのですが、私としては、座学でだーっと何百時間もやるというイメージは全然ありません。もっと実践的で、例えばサポートプランが作れるかという能力です。サポートプランを作れるかということになると何かというと、この人は一体何を困っているのかという問題の抽出能力です。洞察力というか。そういうことをコミュニケーションの中でちゃんと聞き取れるか。また一方で、それは単なる傾聴ではだめだと思うのです。単に聞いているという話ではなくて、ある意味引き出せるかとか、やりとりができるかという、そういうことが非常に大きいので、この人材育成の部分は非常に新しい1歩を踏み出さないと、今までにそういう体系はあったと思うのです。例えば社会福祉士にしても、非常に高度な勉強をされているし、たくさんの時間やっておられる。でも、そういう知識は当然要るとしても、そこまでの座学の時間がとれるかどうかわかりませんが、そこを実際相手と共有できるかの能力性は実はものすごく専門性が要る。ここのところをどう鍛えるかというのが、このプランが成功するかどうかの問題だというか、課題だと思います。
 それから、先ほどの審査のところですけれども、私に対する質問ではなかったのですが、私は実は事業所の伴走型支援をするにしても何を成果とするかということにおいて、例えば単純にいうと、就職できたかできなかったかみたいなところで今まで結構成果を見てきたと思うのです。生活保護においても例えばそういう有料職業紹介事業所が請負って大卒云々で何人就職できたかという、それのパーセンテージで翌年の契約がどうこうするという審査制度みたいなものがあったと思うのですが、そこも含めてプランがベースだと。プランというのは本人との同意の中で作ったことですから、そこがどこまで達成できたかできないかというところが審査基準でありまして、社会に合わせて規準を作ってしまって、社会の都合で基準を作って、無職の人に仕事をさせる、それによって保護費を減らすみたいな、それは社会のニーズであって、本人との合意の中で本人が私はこれがしたいというそこのところをどこまで達成したかが私は事業所の1つの判断基準になっていくと。そのためにも本人との間で目標設定するだけではなくて、事業所の審査基準としてもサポートプランの作成は非常に大事だ。そこをどこまで達成したかということを審査基準に置くのは非常に大事だと思っております。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 1つだけ確認ですけれども、サポートプランの作成というのは当事者も当然参加し、署名でもするのですか。

○奥田委員
 うちの場合はサポートプランは実は支援側が作っていまして、そこの部分を時間を設定して、例えばこの2か月の間にこれをしましょうというのをパーソナルプランという形で本人に提示するのです。本人がそのリクエストを聞きながら、パーソナルプランを本人が書くという作業を続けている。

○宮本部会長
 それも含めて資料をお出しいただくということになるかと思います。
 それでは、小杉委員、いかがでしょうか。

○小杉委員
 専門性の話は多分今のお話の中でも専門性はあるというお話だったと思います。私が考えているのは、社会的企業の中での専門性という話になりますと、受け入れる当事者の背景や、その際に何を考えなければならないかというような専門性と、もう一つ、社会的企業の特徴は、やはり社会的課題を見つけ出して、それを解決するというユニークネスがそこにあるわけです。そういう社会的企業としての物の見方、考え方をきちんと理解しているという専門性がプラスアルファであるのではないかなと思います。
 それから、質の評価は非常に難しい。まさにそのうちのどこがうまくいっているという話はないと思います。一番根源的にあるのはやはり公共サービスの質をどう評価するかという公共サービスの質の評価そのものが十分されてこなかった、あるいは公務員制度そのものの問題かもしれないと思うのですけれども、そこの部分はもし公務員時代に行っていたサービスの質をきちんと評価する仕組みがあれば十分できた話なのですが、それがなかったということが一番根源にあるだろうと思います。
 あり得ると考えているのは、受注側と発注側の対等性をどう作っていくかということだと思うのですが、そこで多分お互いの事業の相互交流のような形で1つの専門性を同時に作っていく学び合いみたいなものが、私はひょっとしたらキーになるかなと。ここでやっているこの仕事はこのくらい力が要ることなのだということを受注側、発注側が共通理解する、そういうベースをつくっていくことが必要ではないかなと思います。ちょっと答えにはなりませんが。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それから、長谷川委員からのお話にもあったように、民生委員というこの国の地域と社会に根づいた制度をいかにきちんと発展させていくかという視点も大事だと思います。
 事務局の方から。

○矢田社会・援護局地域福祉課長
 地域福祉課長でございます。
まず、民生委員の調査の関係でございますけれども、毎年福祉行政報告例という調査をやっておりまして、全国規模で集計をしております。この中ではまずは実態ということで、年齢構成、男女別等、こういった実態を調査をしておりますし、活動の内容ということで、先ほどの資料の中でも御紹介がございましたけれども、例えば相談・支援事業にどれだけ回数をかけているかというようなこと、実態調査・実態把握にどのくらいの件数をかけているか、研修等でどのくらいの実績が出ているか、あるいはいろいろな証明事務というようなものもやっておりますので、そういった証明事務をどのくらい担当していらっしゃるかというような活動例と活動の状況というようなものもこの調査の中で把握をいたしております。
 それから、要望につきましては民生委員、児童委員の連合会がございまして、そちらの方からとりまとめたものをいただいております。そういったことである程度実態、要望の状況はつかんでおります。今後この検討会の中でもいろいろと制度設計について御議論が進んでまいると思いますので、必要に応じて御提供してまいりたいと思います。

○宮本部会長
 後でもう一回全体の議論の場を設けますので、もう20分くらい押していますので、第2ラウンドに入らせていただいてよろしいですか。
 それでは、次の3人の委員の方にお話をいただくことにしたいと思います。第2ラウンドのトップバッターということになりますけれども、松井委員代理の井手之上部長からお話しいただきたいと思います。

○井手之上部長(松井委員代理)
 大阪府福祉部長の井手之上でございます。全国知事会の代表としての立場がございますけれども、本日は大阪府の生活保護と生活困窮者対策について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、大阪府の生活保護の実態をデータを交えましてお示しした上で、生活保護制度の見直しにつきまして、それに続きまして、生活困窮者対策では支援策、課題を整理した上での支援の在り方を踏まえた取組みについての御提言とさせていただきたいと思います。
 まず、大阪府の生活保護の状況でございますが、2ページをお開きいただきたいと思います。
 赤のグラフは大阪府の保護率でございます。紫のグラフは全国の保護率、緑のグラフは大阪府の被保護人員、青のグラフは大阪府の被保護世帯数をあらわしておりまして、平成24年1月現在で見ますと、被保護人員は約30万人、保護率は全国の約2倍の3.39%になっております。被保護世帯数は22万世帯という状況でございます。生活保護費は平成22年度で5,248億円となっておりまして、各市町村歳出の大きな割合を占めているという状況でございます。
 大阪全体の保護動向を見ますと、昭和45年度までは大阪万博開催等、好景気を維持しておりましたけれども、オイルショック後の影響で経済情勢が悪化したことによりまして、昭和50年度に大阪府の保護率は全国平均を上回ったという状況でございまして、その後、昭和59年をピークに、平成4年には1.09%まで減少しましたけれども、それ以降は増加に転じ、現在、過去最高値で推移しているという状況でございます。
 近年の保護の増加の要因はいろいろありますけれども、高齢化の進展、あるいは地域雇用情勢の社会的要因等々ありますけれども、とりわけ厳しい雇用情勢による影響が表れているのかなと思っております。
 3ページでございますが、大阪におけます生活保護の状況を世帯別に見ますと、高齢世帯44%、傷病者・障害者世帯30%、母子世帯10%、その他世帯で16%ということで、全国の構成比とほぼ同様の傾向でございます。
 平成7年度以降の保護動向を世帯類型別に見ますと、増加率が最も高いのは高齢世帯でございます。平成7年度に2万9,000世帯でありましたけれども、平成22年には9万世帯と3倍以上になっているという状況でございます。
 平成20年度以降につきましてはその他世帯が急増しておりまして、平成20年度には1万4,000世帯でありましたものが、平成22年度に3万3,000世帯ということで、2倍以上増加しております。急激に増加している状況でございます。
 4ページでございますが、これは第1回の会議におきまして厚生労働省さんから提出のあった資料でございます。平成24年1月の保護率を比較しております。大阪の位置づけを赤の枠で囲っておりますが、全国平均の保護率1.63%に対しまして、大阪府はその倍の3.38%と最も高い水準でございます。大阪市を見ますと、全国平均の3倍強の5.73%と最も高くなっております。堺市でも2.99%、東大阪市で全国平均の2倍を超えます4.12%と高い水準になります。
 5ページでございますが、大阪府内の市町村の保護率の状況をあらわしております。大阪市が5.72%と最も高い水準にございますけれども、この大阪市に隣接します市町村におきましてやはり保護率が高い傾向があらわれております。このように保護率が高いこともありまして、大阪府内の各市町村におきますケースワーカー数を見ますと、社会福祉法に定めました標準数に比べますと約7割程度の充足率になっておりまして、多くの市町村におきましてケースワーカー数が標準数を満たしていないという状況にございます。
 6ページでございますが、生活保護制度の課題につきましては、高齢者世帯の増加でありますとか、生活保護基準を下回る老齢基礎年金の支給額、あるいは生活保護からの早期脱却を促す仕組み等々が上げられております。
ページ中段に書いておりますのが、実は大阪府の方で大阪府の歳出・歳入改革や国への制度提言を行うということで、平成22年10月に大阪府財政構造改革プラン(案)をとりまとめまして、御提言をさせていただいております。その中で生活保護制度につきましては、ボーダーライン層が生活保護制度に移行しないような就労支援、あるいは生活安定に必要な種類の支援を行う新たな制度の創設、こういったものの御提言をさせていただいています。それと稼働年齢層に対する新たな就労支援制度の導入、更には高い割合を示します医療扶助の見直しとして、例えば償還払いの導入といったものについて提言させていただいているということでございます。
先ほども貧困ビジネスの関係のお話もございました。参考までに大阪府の取組みとして御紹介させていただきたいと思いますが、7ページのところでございます。実は「貧困ビジネス規制条例」を大阪府独自で制定いたしました。大阪府の方で特に被保護者を対象としまして不当な事業活動が多発しました。それを規制するということで、正式名称は「大阪府被保護者等に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例」でございます。我々は「貧困ビジネス規制条例」と呼んでいるのですが、これを独自に制定しまして、平成23年4月から施行しているということでございます。
 平成21年ごろから大阪府内で居住と食事等の生活サービスをセットで提供しまして、サービスに見合わない利用料を徴収する、こういった事案が多発しました。いわゆる住居囲い込みという不当な事業活動が確認されたことでございました。それに対する規制ということで条例をつくりまして、具体的には被保護者の権利を擁護するということで、事業者に対しまして事業開始前の届出、契約書面の交付、契約の解除条項盛り込みを義務づけしました。それとともに条例違反に対しましては罰則等を科すということで規制いたしました。実は実際には罰則とか、そういう形で科すことは実績としてございません。こういう条例ができることによって一定の抑止力が発揮されたのかなとは感じております。
 次に9ページでございますが、ここからが生活困窮者に対する支援策についてでございます。生活困窮者対策としましては、生活保護1歩手前のボーダーライン層に対しましてのセーフティネットを更に機能強化することで、生活保護への移行を防ぐということが必要でございます。
 まず、大阪府におきまして実施しております生活困窮者に対します支援策の例を整理いたしました。非常に粗いもいので、これがすべてではございませんが、一定議論のたたき台ということで整理しました。ただ、支援を主たる目的にしていないものもございますので、生活困窮者支援機能を持つものを幅広く盛り込んだものでございます。発見と相談、生活・就労支援の3つの切り口から整理しておりまして、左の民生・児童委員、CSW、これはコミュニティ・ソーシャル・ワーカーなのですけれども、それの頭文字でCSWと呼んでおります。これと社会貢献事業、これは発見、相談の2つの機能を兼ね備えています。その下の生活福祉資金貸付事業は専ら生活・就労支援のジャンルに入るものでございます。それから、中央の右側に就労を目的として整理したものでございまして、大阪パーソナルサポートモデルプロジェクト事業につきましては、発見、相談、生活・就労支援すべての機能を兼ね備えた事業でございます。そのほか中央に書いておりますのは地域包括支援センター等、それぞれ個別の相談・支援策が用意されているということを表したものでございます。
 10ページを見ていただきたいと思います。発見、相談、生活・就労支援の3つの切り口ごとに生活困窮者に対します支援の課題について御説明をいたします。
 まず発見でございますが、地域コミュニティの希薄化が進行していることから、社会が生活困窮者を発見する力が低下しております。それへの対応に加えまして、積極的に支援を求めてこなかった方をどう発見していくかという仕組みの構築が必要であると整理しております。
 次に、相談でございます。生活困窮者はさまざまな複合・複雑化した問題を抱えているケースが少なくございません。そういったことからそういう複雑な課題を抱えた相談者を受け止めまして、適切に支援を行える体制の構築が必要であるという整理をしております。
 3つ目の生活・就労支援でございますが、これは、生活困窮者に対します支援策は既にさまざまに用意されております。しかしながら、ニーズの多様化でありますとか、あるいは制度のはざまに陥っているケースも多々存在いたします。先だっての勝部委員からの御紹介もあったように、ごみ屋敷という新たなニーズへの対応も1つの例かと思いますけれども、そういったケースがございます。こういったことから生活困窮者の個々の実情に応じたきめ細かな支援が必要であるということでの課題整理をさせていただきました。
 11ページでございますが、こういう生活困窮者支援の課題を踏まえまして、支援の在り方、考え方につきまして整理させていただきました。
 まず、発見でございますが、地域コミュニティが希薄化していく中で、生活困窮者を社会の中でまず発見することが大事でございます。これは公的機関だけでなく、地域住民あるいはNPO、さまざまな人々がそれぞれの立場で取り組んでいくということが必要でございます。
 積極的に支援を求めてこない生活困窮者、こういう方々に対してこちらからのアプローチ、いわゆるアウトリーチ、こうしていくことも必要であろうと思います。
 次に相談でございますが、相談窓口や支援メニューを積極的に情報提供して、気軽に相談できる体制が基本でございます。
 これまでの分野ごとの相談体制の機能強化だけでなく、包括的な相談体制も必要ではないかと考えます。具体的には例えば前回の勝部委員のプレゼンでもありましたけれども、社会福祉協議会の中に福祉何でも相談窓口といった包括的な相談窓口の設置という実態のお話があったと思いますが、こういったことでありますとか、介護保険制度の定着によって地域の相談窓口が大きな役割を果たすようになってきております地域包括支援センター、こういった既存の相談窓口を機能強化することによりまして、ワンストップの相談窓口の創設が必要ではないかと考えます。
 更に相談を通じまして明らかになった個別ニーズに対応できますように、必要なサービスをつないでいく。このつなぎが重要ではないかと思います。そのための仕組みが重要ではないかと思います。
それから、生活・就労支援では、生活困窮者の個々の状況に応じた支援と、支援後におきますフォローアップが大事でございます。
 それと制度のはざまにある生活困窮者支援のための新たな制度や仕組みの構築、就労へのインセンティブの付与でありますとか、住まいのセーフティネットの確立といったものが必要ではないかと整理しております。
 12ページでございますが、府内で実施しております生活困窮者支援の独自の取組みについて簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、大きく分けまして要援護者の発見・相談・つなぎの分野でございますが、この事業としまして我々はCSWと呼んでおりますが、CSW機能配置促進事業と社会貢献事業、これにつきまして御紹介させていただきたいと思います。CSWというのは、見守り・発見・相談・つなぎの機能を担う地域福祉のコーディネーターの役割の者でございます。また、次の社会貢献事業につきましては、既存の対応では救済に間に合わないような急迫した状況にある方々に対する迅速な経済的援助を行うことによって問題解決をするというところの事業でございます。
 それから、雇用・就労の促進という事業の中でパーソナルサポート事業(PS事業)と行政の福祉化が我々としてございます。PS事業につきましては個々のニーズに合わせて継続した就労支援が行える事業でございます。行政の福祉化といいますのは、府政のあらゆる分野におきまして福祉の視点から総合的に総点検するという考え方で進めているものでございまして、就職困難層の雇用・就労機会を創出しまして、自立を支援する仕組みでございます。
 最後に住まいのセーフティネットに関する取組みとして、低所得者向けの住宅バウチャーといった家賃補助を支給する仕組みも御提案させていただきます。
 それぞれの事業につきまして、13ページ以降に掲げさせていただきました。
 13ページの1つ目のCSWでございます。これはコミュニティ・ソーシャル・ワーカーの頭文字でございまして、おおむね中学校区単位で地域におけます見守り・発見・相談・つなぎの機能を担う地域福祉のコーディネーターの役割を果たす者でございまして、左下の図にございますように、これは地域福祉のセーフティネットのイメージ図でございますけれども、まず福祉課題を抱えます要援護者、これは小学校区に配置されました民生委員でありますとか地域コミュニティの中で発見されて、適切な支援が行われることになります。
 しかし、複数分野にまたがるとか、あるいは専門性が必要なケースにつきましては、中学校区に配置されますCSWが中心となって、要援護者との相談・支援のコーディネート、必要なサービスへのつなぎが行われます。更に市町村にも働きかけるなど、新たなサポートシステムを構築しているところでございます。
 CSWにつきましては、このような重層的な地域福祉のネットワーク、セーフティネットの構築に当たって中核的な役割を担っていただいているということがございまして、大阪府では平成16年度から全国に先駆けまして実施しております。24年度現在で154名配置しているところでございます。
 14ページでございますが、これは社会貢献事業でございまして、府自らというのではなしに、大阪府社会福祉協議会の事業でございます。制度や社会のはざまにある生活困窮者に対しまして、発見・相談・つなぎとともに救済を図るということでございます。とりわけ社会福祉施設の方が資金を拠出しまして、社会貢献基金を造設しております。これを活用しまして、対応が間に合わないような急迫した人々に対して迅速な金銭給付を行う。こういったことでの当座の問題の解決を図るという仕組みで生活困窮者レスキューということでの事業を行っているものです。
 15ページでございますが、こちらの方ではおおさかパーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業(PS事業)を掲げさせていただいております。これは厚生労働省のモデル事業でございますけれども、さまざまな就労阻害要因のある就職困難者に対しまして、要因に応じた専門家、パーソナルサポーターが支援を行いまして、一人ひとりにふさわしい出口の開拓と創造を目指すということでございまして、大阪府内では豊中市と吹田市と箕面市と八尾市と柏原市の5市と共同提案しまして、府としましては運営主体でございます推進協議会と連携しまして、市事業のバックアップという役割を果たしております。都道府県と市町村と共同提案するというのは例がないとお聞きしております。今、ここで示している図は、豊中市のモデル事業のイメージ図でございます。
 16ページでございますが、これは大阪府独自に取り組んでいるものでございます。行政の福祉化でございますが、行政資源を活用して就職困難層への支援を行うところに特徴がございまして、具体的にはこの下に書いておりますものでございます。時間の関係上、はしょりますけれども、1つは総合評価入札制度、それから、公の施設における指定管理者の選定に対しまして就職困難者の雇用提案を審査基準に加えるといったことでありますとか、庁内の清掃業務とか、会議室の準備、文書配送などの軽作業を行うことでの就職困難者の雇用・就労機会を提供するということで、例えば右から3つ目のハートフルオフィスという形で府独自でそういうような場を設定したり、庁内のスペースを活用して「まちのパン屋さん」を開設して、障害者が授産施設で製造したパンの販売の機会を提供した、そういったもので行政全体が福祉の取組みを進めるというところで取り組んでいるものでございます。
 大阪府では障害者の雇用促進と職業の安定を図るということで、右端にあります「ハートフル条例」を制定しました。これは大阪府と契約を締結、または大阪府の補助金の交付を受けました指定管理者あるいは指定管理者の指定を受けた事業主に対しまして、障害者の法定雇用率の達成に向けた取組みを誘導、支援しているというものでございます。具体的にはこの条例の対象となる事業者に対しまして、障害者の雇用状況の報告でありますとか、法定雇用率の未達成事業者に対しまして障害者受け入れ計画の作成を義務づけるというような仕掛けをしているものでございます。
 17ページは住宅という視点で、住宅セーフティネットとして参考までにつけさせていただいております。これは民間賃貸住宅に入居する低所得者に対しまして家賃の一部を補助する住宅バウチャーの検討につきまして、厚生労働省さんと国土交通省さんに対して制度提案を行ったものでございます。
 このようなきめ細かな取組みを進めることによりまして、生活困窮者の自立を支援してまいりたいと考えているところであります。1つ御提案ということで参考にしていただければと思います。どうもありがとうございました。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
大阪の経験と取組みはとても興味深いわけですけれども、後でまた質疑応答をさせていただきたいと思います。
 次に、山村委員の方からお願いいたします。

○山村委員
 日本社会福祉士会の山村でございます。今日は報告させていただく機会をいただきましてありがとうございます。
 資料5でございます。順に説明をさせていただきたいと思います。
 最初に、日本社会福祉士会の概要でございますけれども、1ページ目でお示しさせていただきます。日本社会福祉士会は47の都道府県社会福祉士会を会員とする職能団体でございます。各47の都道府県社会福祉士会に約3万5,000人の個人の会員が登録されているということで、各地域で生活支援の第一線のいろいろな取組みの実践を担っているということです。
 2ページに、会員がどういう構成でいるのかということで掲載をさせていただいています。現在、社会福祉士の資格を持っている登録者数は15万4,000人ということで、社会福祉士会に加入をしている会員数が3万4,895人、約3万5,000人という構成になっています。22.7%と決して高い加入率ではございません。
 次の3ページをごらんいただいて御説明させていただきたいと思いますが、3万5,000人の会員が勤務して実践しているそれぞれの領域別の職場が掲載されております。約9割が社会福祉士を活用した業務に就いているということで、実践されている方が会に入って、いろいろ会の支援を受けながら、あるいは会に協力しながら活動するということでございます。こういう構成をまずごらんになっていただいて、御提案として今日報告をさせていただきたいと思います。
 4ページ、「社会福祉士によるスクラム型支援の活用モデル」ということで、実は昨年23年度に社会福祉推進事業で取り組んできた調査研究事業の中で、1つ埼玉県の社会福祉士会が埼玉県から受託をしている事業についてヒアリング等を行いまして調査をいたしました。その内容について報告させていただくと同時に、これをモデルとした提案を申し上げたいと思います。
 5ページをごらんいただきたいと思いますが、これが推進事業で狙いとしました事業モデルということで考えているところでございます。この推進事業で一番下に「調査仮説」と書きまして、社会福祉士がどのようにスキルを使って活躍をしているか、その結果がどの程度有用性があるかということを狙いにしております。昨年始まった事業ですので、まだ途中段階でございまして、継続的により具体的な結果が得られればということで、できれば今年度も継続してやっていきたいと思っているところです。
 6ページをごらんいただきたいと思います。
 先ほど御紹介させていただきました埼玉県と連携した生活困窮者への支援体制でございます。この図にあるような形で公益社団法人埼玉県社会福祉士会が埼玉県より受託をしまして、主に3つ下に掲載させていただいております。自立支援専門員事業、住宅ソーシャルワーカー事業、ホームレス巡回相談事業ということです。社会福祉士会の中に社会福祉士事務所を器としてこの事業に携わる者は、自立支援専門員事業が8人、住宅ソーシャルワーカー事業が50人、支援員35人相当ということでございます。ホームレス巡回相談事業は50人の登録者がいて担っているところでございます。
 次の7ページをごらんいただきたいと思います。
 これは事業の中で1つの事例として御紹介させていただきたいと思います。支援事例でございます。ホームレス巡回相談員から、生活困窮者の発見というところから、その間、社会福祉士が関わりまして、最終的に地域包括支援センター、地域での継続的な見守りにつなげたという事例でございます。
 1つは、まず関わってシェルターを利用。30日以内となっておりますが、シェルターを利用の後、物件契約、住居の関係です。そして、転居した後のアフターフォロー、これを原則6か月間と考えておりまして、その後、継続的な見守りに移っていくという考え方です。
 下の表がありますのでごらんいただきたいと思うのですが、この事例の中で関わった支援内容です。主なところだけ申し上げたいと思うのですが、まず福祉事務所と同行をした、3回ございます。それから、下の方に担当のケースワーカーさんとの協議、これは3回ということで、いろいろな関係する機関あるいは個人が関わりながら、社会福祉士が関わっている中で動いてきております。
 その次の8ページをごらんいただきたいと思います。
インタビュー調査結果でございます。左側が福祉事務所の方のインタビュー、右側が利用者の方へのインタビューの結果でございます。
 福祉事務所のインタビューのところを何点か抽出して申し上げたいと思いますが、1番で、見立てに不安があるときに、社会福祉士に相談する。2点目に、ケースワーカーの目が届かないところに、やりたくても手が届かないところに入ってくれる。そして、社会福祉士は突っ走っていくのではなく、いろいろと協議や提案をしてくれるということで、福祉事務所側から見て、協力しながら進めるというところでいろいろよい結果であるというお話をいただいております。
 利用者からのインタビューは右側に掲載されているとおりでございます。
 その次の9ページをごらんいただきたいと思います。
 社会福祉士がケースワーカーと協働する利点ということで6点上げさせていただいております。何点かございますが、3番目にケースワーカーのOJT的な機能ということで上がっております。他部署から配転となったケースワーカーさんの場合、最初の段階ですぐにお1人で動くことは大変難しい。例えば社会福祉士と同行訪問する等によって、被保護者の方の理解、支援の仕方について一緒に確認していただきながら、よりスキルを高めていただくという部分があろうかと思います。
 10ページをごらんいただきたいと思います。
 この事業を見てまいりまして、1つ提案ということで申し上げたいと思うのですが、スクラム型の支援の活用モデルと申し上げたらよろしいのかなと思います。職種の異なる者が強固な一体的なチームをつくってクライアントの支援を行う支援形態、1つは社会福祉士会が組織として、その中にある社会福祉士が実際に支援に当たる。それによって支援に当たっている人たちが孤立することなく、支援をしている人を組織で後方支援と申し上げたらよろしいのかなと思うのですが、支援者が孤立する例もよく見られるのですけれども、孤立しないように、特に困難事例等に遭遇したときに協働して当たっていく等の体制をスクラム型支援というところできちんと整備できるのではないかなと思います。
 一番下、専門職能団体が責任を持つことで、一定水準以上の成果が常に可能だと思います。
 次に11ページ、今、申し上げましたスクラム型支援の1つの活用モデルということでごらんをいただきたいなと思います。
 上にケースワーカーと社会福祉士が一体的なチームをつくって支援とありまして、(1)(2)(3)と3つ上げてございます。最初に同行訪問、これはアセスメントの部分で関わるところが大きいだろうと思います。2点目が合同カンファレンス、これは支援目標・計画の策定。3点目に支援計画の協働実施とその後の情報の共有というところで、一体的なチームをつくっての支援体制。
 右側に後方支援によるメリットということで、社会福祉士会が後方支援ということで1~5を上げさせていただいております。基本的なスキルは、社会福祉士はソーシャルワークのスキルでございますが、その中に倫理綱領、守秘義務を遵守しなければいけないということも併せてスキルの中に入っております。1つはその業務を使命として、ある意味熱い心と申し上げてもいいのかなと思うのですが、学んだ冷たい頭と同時に、専門職が温かい心を持っていないということは決してなくて、専門職だからこそ熱い心を使命として持ちつつ、利用者の方に利用者中心の支援を行っていくということを会が全体で担保したいという考え方が、ここでいう後方支援とお考えいただければと思います。
 その下にスクラム型支援によるメリット、右側にそれによるスクラム型支援の効果・特徴ということで書かせていただいております。
 最後の資料でございますが、12ページです。福祉事務所の自立支援機能の強化に向けた提案でございます。
 1点は、まず第1番に自立支援機能に視点を置いていかなければいけないのではないか。生活保護からの脱却を目標に据えながら取り組んでいくことは大変重要な部分であろうと思っております。
 それを進めるときに問題意識として左側に3点、ケースの複雑化と社会福祉主事の専門性の限界、2点目、ケース数の増加、ケースワーカーの増員は大変難しいだろうと、3点目に、最後のセーフティネットは公的責任。
 そこで求められるところとしまして、社会福祉士など、専門性の高い者の対応が必要。マンパワーの確保が確実に必要であろうと思います。そして、ケースワーカーの適切な判断が必要。これは福祉事務所に代わって行うということではなく、福祉事務所の機能の専門性の必要な部分を担いつつ、最終的に福祉事務所の権限と責任、これは確実に実施をしていただきたい。言わば後方支援で、福祉事務所があるべき本来の機能をより発揮できるように、全体のシステムを構築する必要があるのだろうということでございます。
 それに向けて、その下に第1段階、第2段階と上げさせていただいておりますが、全国でケースワーカーさんが2万人おられるということで、一時に専門職の方を配置ということは非常に難しいと考えられると思います。
 第1段階としてスクラム型支援の普及ということで、福祉事務所が公的責任を担いながら、左側の高い専門性とマンパワーの確保という部分を双方で共有しつつ、協働の体制をまずつくっていただく必要があるのではないか。
 そして、第2段階として、やがてはケースワーカーさんへ社会福祉士の方がより多く任用される必要があるのかなと。どのくらいの期間が必要かということは一概に申し上げられないと思うのですが、ある一定期間の中でこうした流れの計画を持っていただいて、将来的にはその地域で専門職が必要なだけ担えるところは担えるような形にしていただければと思っています。
 これは自立支援機能というところで我々は考えておりまして、最近マスコミ報道の中で生活保護が過剰とも言える内容はやや懸念するところがございます。むしろ支給要件のところに非常に偏っているのではないかなと。我々はまず第1番に自立支援機能に着目をして、その上で生活保護の本来、それから、あるべきところを堅持しつつ考えていく必要があるのかなと思っております。支給要件に余りに偏っていきますと、本当に生活保護を受給される方の権利がどこまで守られることになるのか、大変懸念する部分があるだろうと思います。しかしながら、不正受給は根絶しなければならないし、不正受給の抑止と支給要件の強化は分けて考えていただくことによって整理されるのだろうと思います。ただ、扶養義務者の扶養能力の調査は大変なマンパワーが必要だろう。それを今後どういうふうにだれがどこで担うのかということも大きな課題ではないかなと思います。いずれにしても早期発見と早期支援、そして早期の生活保護からの脱却を推進する、それは扶養能力の調査・強化というよりも、まず最初に自立支援機能の強化をされた方が推進の早道になるのかなと思います。
 今、地域の中で社会資源がどれほどあるのかと考えていきますと、十分ではないのかなと思います。社会福祉士がすべて担うということでもないのだろう。地域にあるあらゆる資源がうまく機能するように活用する形をつくる。その中で社会福祉士の、当然直接支援に当たるというスキルをどのように活用していただくかということをうまく考えていただければと思います。いろいろたくさんの資源があるのだろうと思うのです。そのときに地域の中のプラットフォームをまずつくっていただく。それによってそれぞれの資源がうまく活用・機能されると同時に、それぞれが連携・協働できるような仕組みが大切ではないのかなと思います。そうした方向に向けて、今、このモデルの提案として試みていきたいと思っております。埼玉県で既に実績を上げております。また、他の地域においても同様の形での実践が可能ではないかなと思います。先ほど専門性のお話がございましたけれども、やはり資格を持っている者はそれだけの学びと訓練と実践経験がございます。明らかにソーシャルワークのスキルにおいては高い優位性を持っていると申し上げてよろしいのかなと思うのですが、是非その資格を活用するという観点でお考えいただけるとありがたいと思います。
 ちょっと時間が超過しましたが、以上で終わりにいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございました。大変具体的な経験に基づく御提案だと思います。
 それでは、最後になりますけれども、広田委員の方からお願いします。

○広田委員
 広田和子です。何か疲れてしまって。皆さん、ちょっと肩でも回して。うつ列島で集団うつになって、何度も言っていますが、3,000万人のうつ検診をやらない方がいい、全員うつだと診断されて、精神科に行くよりも、肩でも回しましょう。
 昔全家連さんという、不祥事でつぶれた団体があったのですが、北原ミレイショーでお金を集めようとして、実は赤字になったのです。そのショーで今のように男性が次々と「すぐ戻ってくる」と言いながら、延々とあいさつして、私もあいさつを頼まれたのですけれどバンドをやっていまして、オリジナルの歌をアカペラで歌ったのですが、今日は世の中の生活困窮者の歌を歌います。
 「貧しさに負けた いえ世間に負けた この町を追われて いっそきれいに死のうと」ということで、だからといって生活困窮者の制度を盛りだくさんにという話ではないのです。マスコミが騒ぎ過ぎだから。貧しさに負けたのではなくて、マスコミに負けた。
 日本のマスコミの報道は、いつどこでだれが何をしたという報道ではなくて、だれが何をした、例えば津田さんだったら政務官だからやられる、山崎史郎さんだったら厚生労働省の高級官僚だからやられる、神奈川県警もやられる。
 そういうふうなことで、本当にパパラッチ報道と何度も言っています。日本のマスコミ、新聞でいえば日経新聞が一番給料が高く、次が朝日、読売、東京、毎日、産経。最初と最後はもう倍くらいの開きがあります。いろいろな生き方があるということです、記者も。日経に行っている人も、産経に行っている人も、別に記者として給料で優劣があるわけではない。社風が好きで行っているのか、ほかが落ちて行っているのか、いろいろな考えがありますけれど、そういうことです。
 私が11年前厚生労働省の委員になったときに、朝日新聞はA記者が「ひと」欄に書いた。A記者が去年うつになって、SSRIといううつで有名な薬、抗うつ剤。それを飲んで、「辞めたい」と言ったのです。私は「一千何百万を棒に振って辞めない方がいいよ」と言ったけれど、A記者はこう言いました。「200万でもいいから辞めたい」。それで辞めたのですよ。そうしたらうつが治ったのです。「何で」と聞いたら、「組織社会が病ませた」と言っていました。
私は、本人より奥さんが偉いと感じました。つまり一千何百万が、まさか200万では暮らせないけれど、たくさんの退職金をもらったのでしょうけれど、そういう収入ダウンしても暮らせる奥さんがいい。それがいわゆる家庭の愛ということだと私は思いました。
 ここは非常に格調高い大学院に行っているような感じです。私は来年から横浜国大教育学部人間学科に行こうと思っています。聴講生です。私の資料は皆さんとは全然違っていて、先ほど山崎史郎さんが、「自分の写真なんか出している人いないよ」という言い方をされたのですけれど、別に女優になるつもりもないし、吉本興業に入る予定もありませんが、こういうふうな精神医療サバイバーの遍歴です。資料6です。
 一番右に30歳くらいのかわいい私がいて。88年医療ミスの注射を打たれ、そのとき医者がスキャンダルのような状態だったそうですが、その人に医療ミスの注射を打たれた結果、薬漬けでなければ眠れない体になって、真ん中の30キロ太った写真の私になってしまいました。
 9年前にラッキーにも足を骨折し、それでスパに行きました。
 そうしたら安眠できて、睡眠時間も半分になって、薬も減ってきて、それでも音がすると眠れませんが、やがてミストサウナで「ダイエットをする」と、中国にしょっちゅう出張に行っている人に話したら、「寝る前と朝起きたときに体重計に乗るように」と言ってくれて、3年間で14キロ落としました。そして今の駆け込み寺付きの快適なうちに引っ越すときに、毎日12分くらいのところを洋服を担いで歩いていたら1日1キロ落ちて、7日間7キロ、合計21キロ落ちたまま今に至るということです。ところが、どこでもそうですけれど、横浜市もお金がないからということでここをつぶしてしまう。大局的に見てこれは削らない方がいいと思います。
 左側は、日の丸が嫌いな方もいらっしゃるかもしれないけれど、こころの健康相談センターの私の講演録を読んでいただくとわかりますが、昔米軍基地の中で警察に保護された私が、今では地元の警察署の武道始式に、区民として、2,100円のアンサンブルを買って着て写真に撮っているということです。昔の着物は30キロ太ったときに人様に差し上げたので。
 右の下は、私のような被害者を出したくないということで精神医療人権センターの相談員として病院を年中回って、左側は十何年か前に撮ったある病院の精神科ソーシャルワーカーです。
 今日私は不正とか、いろいろなことをお話しさせていただこうと思っていますけれど、例えば先ほど長谷川さんのお話を伺っていてふと気がついたのですが、生活保護の受給者という言い方をされていますけれど、憲法25条の生存権と幸福権に基づいた、生活保護制度のコンシューマーという言い方が私はいいと思っています。厚生年金であれ、国民年金であれ、議員年金であれ、生活保護であれ、個人情報だと思っていますから、御本人に「この人が民生委員だから行けばいいのではないの」という情報はいいかもしれないけれど、民生委員に「この人が生活保護になりましたよ」という情報が知らない間に行っていることが多くの被害を生んでいる。民生委員さんが長谷川さんのような見識と人格のある方ばかりだったら問題は起きないけれど、おしゃべりな方もいらっしゃるから、そういう中で本人が誰が民生委員になっているかを知らないのに民生委員が他者に話していたということもありますし、「突然民生委員から屋外で声をかけられて傷ついた」ということもありますから、そこはこれから慎重にしていかなければいけないと思います。
 就労の件ですが、この間湖南市長谷畑さん、仲良しです、厚生労働省の委員を一緒にやっていました。お電話して、「生活困窮者の方に出ている」と言ったら、谷畑さんが、落選していないでまだ市長をやっていました。「うちの市役所は市役所の中にハローワークをつくりました。特に母子家庭とか、いわゆる福祉事務所関係のためのハローワークをつくりました」。「近くていいですね、わざわざハローワークまで足を運ばなくていいですね」という話が出ました。そんなことがあります。
 それから、生活保護は今、209万人。先ほどの貧しさに負けたではなくて、つまり世間に負けた、マスコミに負けた209万人の生活保護の人たち、税金で暮らしている人たちは、私はみんな公務員と同じだと思います。そうではないですか。津田さんだって税金です、山崎さんも税金です、そのお隣の保護課長の古川さんも税金です。年金も税金です。補助金も税金です。つまりもらっているお金は一緒です。国から出ているか、大阪さんのように「全体を国でやってくれ、地方自治体は持たない」という意見がいろいろありますが。
 何が大事かというと、どれだけ社会貢献できているか。そのお金に見合った仕事ができているか。国会でかんかんがくがくやっていらっしゃるけれど、では生活保護のレベルはどれくらいかとか、そういうことを知らないのです。それを知らないだけではないのです。私の地元、選出議員は自民党は菅義偉さん。元総務大臣。私は、いろいろな人からお知らせが来ると、国政報告会等に行きます。手を挙げて言ったのです。「日本の議員は現実を知らない。市会議員も来ていますから、何々君や何々さんもそうです。横浜市は例えばこうです」と。本当にそう思います。そういう中でいろいろなものが決まっていく。今、消費税賛成・反対いろいろありますが、率直にお話すれば、生活困窮者に一番打撃を与えるのは消費税です。
 それから、不正の温床のような話があります。私は精神障害者ですので、作業所というところにも、1年間精神医療の被害者になったとき行っています。そこでいろいろなことを体験しているのですが、かつて生活保護の基礎控除、いわゆるお給料をもらって、自分の手元に全て入る基礎控除ラインが4,000円に下がったときがあった。そのときに横浜の作業所が4,000円以上を本人に現金で渡さないで、お昼御飯を食べて、それで調理研修費。宿泊訓練費と称してみんなで泊まり込みで行く。そういうふうな形にして、作業所によっては、例えばパーマ代をとっておいて、衛生管理費とかいう形で本人にお金を返さないで、現物支給をしたわけです。
 こういうやり方をすると、まず本人が働く気をなくします。だって働きに行って、何万円も働かなければ作業所並みの基礎控除をもらえない。働きに行ったら食事代は高い。そこで働くことの意欲を忘れてしまったりしている。または若年で発病して就労体験を持っていない人もいる。そして、きちんと厳密に申告することを知らないままになっている。これは精神障害者の場合です、ほかの障害はわかりません。私はおかしいと思って、横浜市障害者施策推進協議会で公式に発言しましたが、国と違って議事録は抜粋ですから情報公開できないで、いまだにこうしたことが続いているところもある。これは誰が悪いというのではなくて、「きちんと正規の申告をするような形にしなければいけない」ということを、公式発言してきました。しかし社会資源の支援者の呼ばれる側が「そうですね」とは言っていません。
 それとこの前、「民主党は大ぶろしきで母子加算」と言ったのですけれど、生活保護法、またの名を離婚支援法ですよ。私はタクシーの運転手さん、並んでいるところとか御利用させていただくのでいっぱい親しい方が多いですけれど、タクシーの運転手さんと結婚して子どもが2、3人いるよりも、離婚して生活保護制度を使った方が、収入が多い場合もある。下手な夫より、別れたふりをした方が得。つまり当然ながら偽装離婚がはやりますよ。いない方が高いのですから。そういうことの温床になっている。それをみんな見直した方がいいと思います。母子加算についても、障害者加算もそうです。他障害はわかりませんが。
 精神2級の加算は1万7,890円です。これをもらおうと思って働かない。「働いてしまったら手帳も年金もが2級にならない」そういうことで就労意欲をなくしている。例えば精神のグループホームに入っている。私はグループホームの運営委員をやっているときに驚いたのです。グループホームは夕食が500円です。朝が300円です。昼間はどこか社会資源に行かなければいけないから、作業所で250円とか300円で食べるわけです。先ほど言ったように、工賃から払うからただなのですよ。3食付きです。それで何と管理費は電気代とかを入れて当時5,000円ですから、2万9,000円だけ払うのです。生活保護の1類、例えば41歳~59歳だと3万8,180円です。そして2類、全体にかかる費用は4万3,430円。8万円以上もらうのです。これを足していくと、そこに障害者加算が入る。2万9,000円を引く。3食食べて7万円手元に残る。私はこれはおかしいと思いました。
 更にもっとおかしいのは、支援者と称する人が社会福祉協議会の助成金をもらいに来ているのです。そのグループホームで「旅行に行くから」と。「そんなのおかしい」と言ったのです。「だから広田さん、みんながここまで高くなればいいのよ」支援者と呼ばれる人は言っていました。これは何年か前のことですが、今どき7万円きっちり毎月お小遣いをもらえる人はいませんよ。そういうようなことが起こっていることをずっと「おかしい。おかしい」と言っても、日本の現場は不祥事で叩かれるまでは何もしないということです。ここは是非私は見直した方がいい。横浜市以外でもこんなことがあるとしたら、こういう議事録を通してやめていただきたいと思っています。
 それから、いわゆる厚生労働省も含めて、天下りキャリアと騒がれましたけれど、60歳前と国民は知らない。60歳過ぎて天下りだと思って、みんな叩いていた。私がフィットネスで、「いや、あれは55歳くらいの人もいるわよ」と言ったら、「そうなの」と。これくらい何も知らないで、報道によってみんな叩いている。ところが地方公務員の天下りは70歳過ぎでもいるのですね。社会資源にいたりして、私が、辞めてほしい、若手が育たない」と会議で発言し続けても辞めない。私の方が逆に評議員を辞めました。相手が辞めないから。
 それから、不正があったときに警察を頼もうとすぐ言うのです。でも、警察官は犯罪とか事件を解決する人で、福祉事務所の中に入って仕事するのはおかしいと思います。事件が起きたら警察に告発する。何でもかんでもおまわりさんを呼んでくることはない。この間も新聞に出ていました。ペット業者にペットを飼っている人は持ち込めないと。今だって犬や猫やカラスや迷い鳥をみんな警察が保護して、それこそ「どこで御飯代を出すの」と言ったら、「当直の人が出している」のです。そこへペット業者が回収しなくなったら、警察は、今よりもっと捜査力が落ちる。今でさえ子どもの保護、認知症の保護、そして精神科救急が整っていないから患者が警察の保護室でかつて保護されていました。そこで事故が起きないように、取調室に2、3人おまわりさんがついて保護している。そういうふうな状態で、寝ない、食べない、トイレも行けない、そこにまたペットまで来る。私は神奈川県警のおまわりさんに「私たちもたまには警察官らしい仕事をさせてください、こちら神奈川県警とメーデーに出た方がいいわよ」と言っているくらいの状態なのです。
 私の危機介入相談活動は、環境のいい駆け込み寺付きのうちに住んでいて行っていますので、この前日本精神科病院協会という話をしたのですけれど、あそこは敵ながらあっぱれなくらい発言しているのですが、会長から「日本の精神医療のジャンヌ・ダルクになって」ということで、アドバイザリーボードに彼に推されて入っています。会議に出るとお金をもらいますが、国及び地方自治体の住宅施策がないので、駆け込み寺家賃に充てています。私よりお金のない人の場合、私はお金をいただけない。私よりお金のある人等は会費をいただいて、御飯をつくったりして、私が疲れたときにはこの間も1泊2日で休息入院してきました。
 厚生労働省村木さんに橋渡しされて、津田さんとは反対側の、かつての与党側の自立支援法の参考人に出たのです。支援費を使い過ぎて、それまでボランティアとして頼んでいた送迎者まで有料支援者に転出してしまったから、国庫が赤字になって、それで自立支援法にいった。私は、精神障害者の社会的入院、その人たちに福祉が必要だと思って市町村に義務づけた自立支援法の、与党側に立ったのですが、結果として福祉が増えても社会的入院は減っていない。住宅施策のない福祉専門家のハローワークだったこともある。ここに出ていると、先ほど守秘義務という非常に格調の高いお話で、私たち精神の業界はレベルが低くて、守られていない。あいかしただただここで聞いていると、精神と同じように、いわゆる供給側のお話で、生活困窮者の姿が見えないで、何かサービスを供給する側のハローワークというような、そんな感じに聞こえてくるということで、もしこれをまとめていくときには、私が、どうなっているのよ、本当に困っている人はどうなっているのよということをさんざん言わなければいけないために入っているのかなと感じています。
それから、自殺の問題も、こころの健康相談センターの講演録に出てきますが、これも報道が行き過ぎで、今日も人身事故で一時電車が通っていませんでした。自殺の報道をリアルにし過ぎると、自殺が増えるということです。それは私が自殺未遂者としても危機介入相談員としても言えることです。
 私はお会いした女性の中で曽野綾子さんと桜井よし子さんを尊敬しています。曽野綾子さんに、「精神障害者の犯罪なんてしょせん孤立した人が起こすんです」と言ったときに、曽野さんが、「孤立していない人間なんていません」と言うから、「あら、曽野さんも孤立されているのですか」と言ったら、「私も立派な孤立です」と言われて、「そうだ、人間は孤立に強くなければ生きられない」ということで、この中で多分私がひとりぼっちかもしれないけれど、孤立に強くなって、この会場で笑っている人もいるから、少しはみんなの健康が上がればいいのではないかという感じがするのです。
国はいろいろな制度をつくればいいというものではない。例えば障害者基本法ができて社会参加促進センターというものをつくったら、社会福祉協議会のお金をごっそり持っていかれて、社協が人手も金もなくなって、今やここに社協の彼女がまるでハローワークのように来なければならないということだから、そういうふうなあっちを立てればこっちが少なくなってというような真実をここに来て知ったということです。
 いろいろなことがありますけれど、生活保護の見直しを抜本的になさって、それからこれは民主党のヒアリングを受けた帰りに、ある議員にも言いましたけれど、1類の、個人にかかる費用が、4人以上が0.90とかは高過ぎると思うのですよ。例えば1人で御飯をつくったのと4人でつくったのは違いますから、そういう意味でそういうところを減らしていくとか何とかして、本当に健全な生活保護、そして生活保護の中で暮らしているときに、国民に対して道義的に、常識的に、良心を持って、幾ら権利と言えども、国民から税金を借りているくらいの気概を持って、社会貢献するんだという気持ちが起こるようなことが大事ですが、見下した言い方をするケースワーカーもいっぱいいます。ここに来ていると「ケースワーカーは大変大変」と言うのだけれど、「私が行けば100人くらい持ってやる」、行きませんけれどそういうふうな気概は誰だって持てるわけです。
 だから人間はもっと笑顔を持って、心豊かに、富士山から灯油は降らない、横浜港から灯油は湧かないけれど、愛は湧くから。ちょっと私が話しただけでこんなに笑顔になったわけだから、愛は湧くわけだから、家の中で山崎史郎さんも愛を振りまいて、津田さんもみんなそうです。
 そして隣近所の人、今も出てこようと思って、「私がお子様天国幸せ通り」と言ったら、「お子様天国幸せ通りじゃないのよ」と言うから、「どうしたのと」言ったら、「こうやって男の人が見せようとした、広田さんの家に行ったんだけれど、いないからおまわりさんを呼んだ」と言うから、「これからも私を呼んでね」ということです。温かく見守っていく社会をつくったときに、生活困窮者も減っていく。
 この前3月11日に仙台まで25歳の青年と御一緒して、私は泣きながら行きました。「基本的には全く復興されていないです」と伺っていました。だから原子力の問題も、それはそれでいい。大きな問題だから。それも大事だ。それよりと言ったら叩かれますから、それも大事。だけれど、生活の基盤である、きちんと暮らせるように整備するために、かつて古い時代にはニコヨンという日雇い労働者がいました。今はフリーターをすごく悪く言うような空気がありますが、フリーターも立派です。そういう人たちが行って一旗揚げるのもいいし、そういうところに行って働けるようなことをやったり、いろいろなことが考えられるから、ピンチはチャンス。みんなでいろいろ考えて、今日は私はまだ非常に多忙で過労で心神耗弱状態ですから、皆さんとは違って早目に、宮本太郎さんに注意されないうちに終わらせていただこうと思います。
 それと相談相談というけれど、相談する前に考えたいわけですよ。私は1泊2日の入院だったけれど、医者が「血液検査をしますか、尿検査をしますか」というときに、心神喪失のような状態だったので、「するわ」と答えてしまったんですが、1泊したら何かリラックスして、昔私は看護師さんが怖くて、ほかの人にどなり声を上げているときに私は傷ついて12年間休息入院をやめていたのですけれど、今回行ったら優しい看護師さんもいました。そしたら思い出しました。そうだ、私は2年前に胃潰瘍を患って、そこからはがきが来ているから、胃の内視鏡に行くから、そこで血液と尿の検査をすればいいんだと。日本の相談支援は思い出させる時間もくれないくらい、「何かしましょうか」と行ってしまうから、是非待って、本人の可能性を信じて、本人の健康度と向き合って、そして信頼関係を一番に。何も山崎さんがホームレスになっても私は史郎ちゃんと呼ぶからさというくらいの気概でみんなで日本を明るくして前向きに生きたいということで、これから9月だか、10月だか、11月だか、ハローワークにしないで、本当に生活困窮者のためなのか、生活困窮者とこちら側が勝手につけていて、相手からすれば、朝日の記者ではないけれども、「一千何百万が200万にレベルダウン。でも、おれは心が貴族になったよ」と思っているのに、心が貴族のところに行ってしまって、仕事探しでは困りますということで終わらせていただこうと思います。
 それと1つ、保護課長、精神障害者の犯罪では殺人の被害者は圧倒的に家族です。だからそこで「世帯分離をしてほしい」ということを、今、ワシントンの日本大使館に行っている精神障害保健課の野崎補佐と5時間やりあった結果、生まれた施策が世帯分離です。ですから世帯分離ができて、自立して、そしてその人が働けるようになることもあるということも大事なことですから、是非。そこだけはお金が持ち出しの話です。
 以上です。皆さん、これから楽しくやりましょう。

○宮本部会長
 どうもありがとうございました。どきどきして聞いていて、おかげさまで目が覚めました。それまでが退屈だったというわけでは決してないのですが。
 それでは、どこから議論していいかわからないところもありますけれども、どこからでも議論していただければと思います。いかがでしょうか。
 岩田委員。

○岩田委員
 大阪府の御報告で、最後に住宅、住まいのセーフティネットにお触れになったわけですけれども、これと多分セットでお考えになっているのだと思いますが、貧困ビジネスへの対応ということでかなり条例を制定して規制していく方向をはっきり打ち出していらっしゃると思うのです。これまでの経緯は、ちょっと言い方は変なのですけれども、必要悪といいますか、特に福祉事務所にとってそのようなビジネスがないと生活保護の開始ができないとか、あるいは申請の期間の間にさまざまな検診とか、そういうことができないということで、悪いことはわかっているんだけれども使うというようなことがあったと思うのです。それを片一方で規制しておいて、住まいのセーフティネットは府だけではできないので、特に抜本的な、例えば財源としては政府の住宅扶助のほか、府営住宅資産の活用とか、つまりこれまでの公営住宅制度の見直しといいますか、そういうものを含んでいるように思われるわけですけれども、こういうものができる間にタイムラグがありますね。その辺りはどういうふうなお考えでなさっていらっしゃるのかなという質問です。

○井手之上部長(松井委員代理)
 住まいの関係での御質問だと思います。説明の方でもさせていただきましたけれども、貧困ビジネス規制条例につきましては当時、特に大阪でございますけれども、住宅と食事サービスとか、セットで囲い込むというのが多発したのが平成21年ごろでございました。そのときに特に当時の橋下知事、今の大阪市長でございますけれども、これは何とかせなあかんのではないかというようなことがありまして、実は国の方でも検討するというお話もあったのですけれども、まず我々として何ができるのか1回整理しようよということでこの条例をつくらせていただいたというのが1つです。
 ただ、実は先ほど言いましたように、実績として発生したけれども、この条例ができることによって、撤退していくと言ったらあれですけれども、結局は別のところに行ってしまうというような結果になったのかなという感じはします。ですから、先立ってといいますか、抑止力というか、我々としては条例ができることによってそういうことが防げたのではないかと思っています。
 ただ、貧困ビジネスは、今、言いました住居と生活サービスだけではございません。いろいろなビジネスがこれからも起こり得ると思いますので、それに対してどういう形でやっていくのかを我々はこれからも考えていかなければと思っています。
 最後につけています住まいのセーフティネットということで、住宅バウチャーという形で御提言はさせていただいています。これは非常に基本的といいますか、住宅政策の根本的な問題を一応問題提起させていただいている中身でございまして、今までの公営住宅の在り方、やはり箱もので住宅サービスを提供していくというところから、ソフトといいますか、それを変えて家賃補助といいますか、住宅バウチャーという形で平等感を持つような形で制度設計したらどうかということでの住宅扶助の環境をどうするかという問題提起でございます。これは生活保護の中のサービスである住宅扶助の関係をどうするかとか、いろいろ整理しなければいけない問題は多々あろうかと思いますけれども、1つの提案という形でこういうことも踏まえていろいろ議論をしたらどうかというような御提言ということで、これがすぐに何かできるかというと非常に難しいと思っています。これは先ほども言いましたように、根本的な問題、基本的な問題ですので、すぐにできると思いませんけれども、こういう視点でも考えられるのではないかというような問題を御提示させていただいたものでございます。

○宮本部会長
 岩田委員、よろしいですか。
 では、勝部委員。

○勝部委員
 山村委員にお伺いしたいのですけれども、社会福祉士会の参加メンバーのところで9割方が何らかの仕事に就いておられるという中で、こういう機能の提案というお話だったかと思うのですけれども、兼職みたいな形になっていくのか、あるいは現在いろいろお仕事に就いていない方たちを中心にこういう機能を果たしていくというお話なのか、その辺りの具体的なところを少し教えていただきたいのが1点。
 それから、最初の長谷川民生委員さんと今の広田委員さんのお話のところに関連するのですけれども、個人情報と民生委員の関係は、今、もう日本国中が議論しているところではあるのですけれども、本当に個人情報を全部開示してもらって、民生委員さんが全面的に地域を把握するということが現実的にどうなのか。地域のつながりが弱まっていて、やはり限界性みたいなことをすごく感じる部分が日々のところではあるのですけれども、厚労省が開示をせよと言って開示をしたところで、本当に現場の問題では今のような、「どこから私のことを知ったの」みたいなお話が当然出てくるという時代の中で、その辺りの限界もあるのではないかなという感じも強く思って、そこで豊中では重層的に見守れるような体制づくりをと思っているのです。その辺は現場のところで長谷川委員の方から率直な感想といいますか、教えていただきたいなと思います。

○宮本部会長
 それでは、最初の質問は山村委員、2番目の質問は長谷川委員の方からお願いします。

○山村委員
 転職と退職が半々くらいで、専任でやっている方と、兼務といいますか、非常勤の方もいらっしゃるので、ここで書いてあるのは50人いるのですが、実質専任として換算するのは35人というのが住宅ソーシャルワーカーの人数です。
 ただ、今後は毎年1万人以上合格者が出ております。その中で3,000人くらい会の方に新規入会されています。若い方もスーパーバイザーがいる中でいかれれば、そういう初心者の方も入りながら育てていくことも想定しながらいけば、相当な人数が見込まれるのかなと思います。
 以上です。

○宮本部会長
 それでは、長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員
 個人情報は非常に難しいと思うのです。今のお話のように、すべてを開示してくれ、これはちょっと無理な話だと、私も全くそのとおりだと思うのです。でも、必要なことは何とか教えてもらえませんかと言っているのですけれども、それがなかなか伝わってこないというのが実態なのです。
 例えば今、市民の方が一番関心のあるのは防災、あるいは生活上の防犯です。防災のことになっても、ではどこにどういう人がおいでになるのか、例えばいろいろな民生委員の方でも防災マップ等をつくって、あるいはまたグッズ等もお配りしながら、確認をしながらそうしたような活動をしているのですけれども、では認知症の方が、それに対して介護保険を受けている人がどういう人で、どのようなランクでどこにどんな人がいるのかとか、あるいはまた障害手帳を発行した人はどういうふうな方々でどういうところにいるのか、最低限でもそういうところの資料を教えてもらえませんかというような申し入れはするのですけれども、すべての個人情報、すべてのことをとは、私は全く思ってはおりません。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、個人情報保護法が平成15年でしょうか、できて、それでもって今まで役所の方から我々に教えてもらっていたいろいろなことが、今そこが全くないような状況になっているということを何とか考え直してもらえないのかと申し上げているのであって、すべての情報ということではないことは御理解いただきたいと思うのです。
 今、一番関心のありますのは、先ほど言いましたような防災上のことなのですけれども、有事の際にはすべて出しますと言うのです。でも、有事の際にもらってもパニックを起こすだけで何もならないわけですから、そのためにも日頃からそのようなことを少しずつでも我々に提供してもらえませんか。ところが、役所の方でも考えがありまして、民生委員にはこれを出しますよ、でも町内会はだめですというようなことです。地域の中に入ると、我々と町内会との関わりもあるし、町内会長さんはその資料が欲しいわけですから、でもそれはだめですよというようなことになってくると、先ほど広田さんがおっしゃったように、何でもかんでも開示するとやはりいろいろと支障があるのではないかというのですけれども、そういうところもあるかもしれませんが、その辺の整理も必要ではないのかなという思いがいたします。

○宮本部会長
 ありがとうございます。
 駒村委員。

○駒村委員
 山村委員の提出された資料の11ページは大変おもしろい、興味深いモデルなのですけれども、これは現時点ではアイデアということですね。これは現行制度上、こういう関わり方は可能なのかどうなのかというのが1つの質問です。
 それから、12ページの方なのですけれども、2段目のところが非常に気になっていて、社会福祉士の方に今後どういうふうに活躍してもらうかのところなのですが、今日自治体の方がいらっしゃるわけですけれども、専門職の方はやはりその分野にこだわりがあると思うのです。公務員の人員のかなり厳しい状況の中で、福祉職という形で専門職採用がきちんと期待できるのかどうなのかは、私はやや疑問でありまして、そうだとするとこの2段目のところは少し引くというか、それよりは、ここに書いてある「業務契約に基づくため継続性に課題が残る」の部分を何とか解消できるようなフレームを、いろいろな今まで議論があったNPO法人とか、社会的企業とか、藤田さんのところはある種そういう形でもやっているのだと思いますけれども、その辺は工夫の余地はないのかなという点の2つが質問です。

○宮本部会長
 第1の質問、現行制度上、ここが可能なのかというのは。

○駒村委員
 11番のようなことが可能なのかどうなのかという。

○宮本部会長
 11ページのすべてですね。

○駒村委員
 そうです、こういう形が可能なのか。

○山村委員
 埼玉県の実際にやっている事業をモデルにして11ページができ上がっておりますので、埼玉県の今の事業に関してこのモデルで行っていると申し上げていいと思うのですが、今後福祉事務所と社会福祉士会が業務契約というところはどういう形でしたらいいのか、かなりしっかりとそこの枠組みは作らないといけないだろうと思いますが、今、埼玉県の委託事業ですから、いずれも公の事業として動いているわけでございますけれども、今後それぞれの役割分担を明確にする中では、契約というところを明確にしていくことが、より継続的にやっていくことを考えたときに重要ではないかなと思っています。
 12ページなのですが、これは既に専門職採用を行っている自治体さんもかなりあるわけで、どのくらいの割合でそれが進捗していくのかということがまだ見えないのですが、それなりに専門職を採用して、その部分の機能をより強化していくというふうにお考えになっている政令市あるいは市等が見受けられております。そこは今、我々の大きな課題なのですが、では廃止されたときにどのような役割を果たしているのか、その結果、どういうような効果を生み出しているのか、そこの評価の部分をきちんと客観的に見定めないといけないのかなと。それが先ほどちょっと申し上げた推進事業で少しでも表われてくるところがあればと思っておりますが、それが根拠としてもう少し積極的に配置が必要であると申し上げるときが来るのではないかと思っております。

○駒村委員
 数字の話、客観的とおっしゃったので、今、ケースワーカーで社会福祉士を持たれている方はどういう状況になっているのかというのが、もし行政の方で資料があれば、それがどういうパフォーマンスの差が出ているのかがわかればいいなと思います。

○宮本部会長
 もし資料があれば後で、後日ということでよろしいでしょうか。
 相当時間が押していますので、できればこれを最後に。

○櫛部委員
 今のお話を聞いていまして逆にちょっとがっくりしているというか、これが専門性かと。私は違うと思っているのです。私もそのはしりでずっと来ました。問題発見型で、してあげるワーカーでずっと来たのだけれども、違うなと思いました。この資料の中の利用者の声でも、望むことはないですと言うまで追い込むような支援であっていいのかなと。その人にも、まさに今、エンパワーメントの話が出たのだけれども、そこがどう出てくるかというのではなくて、してあげる一方向性の支援がもし専門職としての支援だと考えているのだとしたら、私は違うと思っております。
 役場的にいうと、やはり3分の1福祉事務所は福祉士、3分の1はやる気のある経験を積み上げてきた人、もう3分の1はローテーション、大体そんなものがバランスがいいのではないかということで、専門職のはしりで私は採用されたのだけれども、やはり行政としては専門職の方はわがままだと。それから、余り信頼感を得られなかったなという自分の思いも相当あって、役所は結構上からよく見ているなと思っているのです。だからそこら辺はいろいろバランスがあるわけで、売り込むのはわかるのだけれども、私は正直言って、どこかの法務事務所みたいな一定水準の成果が常に可能などというフレーズは出してほしくないと思っています。

○山村委員
 事例の表現からそういうふうに思われたのならまずかったのかなと思うのですが、基本はしてあげるということは絶対あり得ない。これは我々の業務があくまで利用者中心ということが大前提でありますから、多くはその視点でやっていると申し上げることができると思います。それが数字等、根拠を早い時期に何とか申し上げることができればと思っておりますので、いわゆる一面的なところで評価するのはなかなか難しいので、この事例を取り上げておっしゃっているのは一面的な部分ではないかと思っております。

○宮本部会長
 最後に広田委員。ポイントを絞ってお願いします。

○広田委員
 私だけいつも言われている。キャラクターで言われていますから、時間の長さではない。
 扶養義務の話ですけれど、私の母校は美空ひばりさんが小学校の先輩で、ゆずが中学の後輩。高校の同期生が民主党副幹事長の斉藤君。何が言いたいかというと、美空ひばりさんのきょうだいとして生きたために弟さんたちは大変だった、なかにし礼さんはお兄さんのことで大変だった、私の仲間で精神障害者同士結婚して、生活保護です。お兄さんは一流企業の部長。そこへ福祉事務所が手紙を出した。援助しない。そうしましたら福祉事務所が一流企業の会社へ電話をしたら「縁を切る」と言われたのです。その後お嫁さんが亡くなった、知らせたのです。「縁を切ったのに何で知らせてきたんだ」ということで、お嫁さんが亡くなったというショックと、もう一度縁を切られたというショックで立ち直れないほどの衝撃を受けた。自殺まではいかなかったけれども、これを扶養義務の話に持っていってしまったら、明治の憲法になってしまうわけですよ。ですからそこは本当に何党が政権の時代であろうと、きっちり考えて、国家は国の家ですから、困っている人は社会が見る。そして、この前も言ったけれど、吉本興業の話、その分援助していますから是非生活保護課に社会貢献をしてくださいという、いわゆる振込先を送るくらいの形で、もっと日本国民が欧米のように社会貢献しなければ、ただ単に家族主義に頼っていく時代に逆行していくのは家族関係を不幸にするということです。本人の一斉調査もあなたを信頼していないよということだから、そこは本当に何党の何々様がおっしゃっても慎重になさっていただきたい。このことはまた後日にゆっくりですね。
 それと長谷川さんの個人情報が行き過ぎるのは私も反対です。だけれど、うちの町内会がすごくいいやり方をやっているし、私も孤立死対策をやっていますから、それはまたいつか折を見てということで、終わらせていただきます。

○宮本部会長
 ありがとうございました。
 それでは、もう既に事務局の方に皆さんからたくさんの宿題をいただいておりまして、7月17日の第6回の会議のときに事務局の方からまとめて宿題を提出していただくということにしたいと思いますけれども、これまでの議論を踏まえて、加えて何か事務局に御要望等があれば、お伺いいたします。

○櫛部委員
 先ほど医療費の問題もちょっと出て、適正化ですが、厚生労働省の医療扶助実態調査という書類はあるのですか。その中で国保料が高いところと保護率が高いところは何か相関があるのかという説があるのです。その資料はあるのか。

○宮本部会長
 医療扶助について、国保の保険料が高いところとの相関関係についての。

○古川社会援護局・保護課長
 では、ちょっと調べさせていただきます。

○宮本部会長
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。最後御協力をいただいて、何とかほぼ時間どおりに奇跡的に終わりつつあります。
 次回は先ほど申し上げたように、これまで委員の方から御要望のあった資料等を事務局から提出いただく。それについて改めて意見交換をします。それから、恐らく次回までの間に、これは厚労省が基本的には責任を持つ形で、国家戦略会議で生活支援戦略の中間まとめが報告をされると思いますけれども、その中身について報告いただくと同時に、基本的に別建てで走ってはきましたけれども、これまでかなりインテンシブにこの部会で議論を積み重ねてまいりました。是非、生活支援戦略の中間まとめをいただく場合は、この部会におけるこれまでの議論を反映させていただきたいと改めてお願いをしたい。また、同時にこの問題が国民の関心を呼んでいる中ですので、是非国民にわかりやすくメッセージが届く中間まとめをお願いしたいと思います。その中身についても7月17日のこの会議のときに御報告をいただいて議論していきたいと思います。
 それでは、次回の会議について事務局の方から御説明をお願いします。

○古都社会援護局・総務課長
 本日は長時間ありがとうございました。
 次回は7月17日火曜日の16時から予定しております。場所は第3回会合と同じ場所でございまして、KKRホテル東京瑞宝の間になっております。よろしくお願いいたします。

○宮本部会長
 それでは、本日の会合はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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