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2012年5月30日 第3回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録
社会・援護局総務課
○日時
平成24年5月30日
○場所
KKRホテル東京 瑞宝の間
○出席者
委員
石操委員 | 岩田正美委員 | 岩村正彦部会長代理 |
上田文雄委員 | 岡崎誠也委員(門吉代理) | 奥田知志委員 |
柏木克之委員 | 勝部麗子委員 | 櫛部武俊委員 |
駒村康平委員 | 高杉敬久委員 | 武居敏委員 |
谷口仁史委員 | 野老真理子委員 | 長谷川正義委員 |
花井圭子委員(伊藤代理) | 広田和子委員 | 藤田孝典委員 |
藤巻隆委員 | 松井一郎委員(井手之上代理) | 宮本太郎部会長 |
山村睦委員(青木代理) |
○議事
○宮本部会長
おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第3回「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を始めさせていただきます。
委員の皆様、大変お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、津田厚生労働大臣政務官が御出席ですので、議事に入る前に冒頭ごあいさつをお願いできればと思います。
○津田厚生労働大臣政務官
おはようございます。社会保障と税の一体改革の関連法案の国会審議が開催されている真っ最中でございます。この一体改革の内容や必要性について、今、さまざまな議論がされているわけでございますし、国民の皆様の関心も大変高まってきていると思っております。私どもとしては、この一体改革というのは待ったなしであるという認識の下に取り組んでいるところでございます。
本日のヒアリングにおきましては、社会福祉法人や一般企業、労働組合といったさまざまな立場から支援に携わってこられた方々の御報告を伺うことになっているわけでございます。
今後、検討してまいります生活困窮者対策、それから今メディア等を含めていろいろ話題にもなっておりますけれども、生活保護制度について冷静なる見直しについて、是非とも御自身の経験や知見を踏まえて、見えてきた課題や今後の制度、検討への御提案などについて積極的な御報告を願いたいと思っているところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
○宮本部会長
ありがとうございました。政務官がおっしゃったように、生活保護の在り方についていろいろな議論がされているわけですけれども、ある意味ではこの部会で御議論いただいている自立のための生活支援の重要さというのが一層浮き彫りになっているようにも思えます。どうかよろしく御議論をお願いしたいと思います。
それでは、事務局の方から、委員の出席状況について御報告いただきたいと思います。
○古都総務課長
本日付で全国知事会の松井一郎大阪府知事に新たに委員に御就任いただきましたので、御紹介申し上げます。
なお、本日は代理として井手之上大阪府福祉部長に御出席いただいております。
委員の出席状況でございますが、本日は小杉委員、堀田委員、宮本みち子委員の3名が御欠席であります。また、上田委員の代理といたしまして渡部札幌市副市長、岡崎委員の代理として門吉高知市福祉事務所長、山村委員の代理といたしまして青木埼玉県社会福祉士会会長に御出席いただいております。
以上、出席委員につきましては、委員総数25名の3分の1を超えておりますので、開催の要件を満たしております。
以上でございます。
○宮本部会長
ありがとうございました。今日はテレビカメラはないとは思いますけれども、もし、カメラ撮影の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきたいと思います。御退室をお願いいたします。
それでは、早速議事に入らせていただきます。まず、前回、駒村委員からの御依頼のあった件ですけれども、求職者支援制度について、それから社会保障としての住宅施策について、これについて事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○熊木生活困窮者自立支援室長
では、私、生活困窮者自立支援室長、熊木より一括して御説明申し上げたいと思います。
今、部会長からお話がございましたが、駒村委員から2点の御質問が前回ございました。1点目は、求職者支援制度を使っている生活保護受給者の数ということでございましたが、この点につきましては、ハローワークでの把握状況ですとか、いろいろ検討をしてきたところでございますが、その数を一定の精度で把握してお答えできるようなものが現時点においてございませんでしたので、その点、御報告させていただきます。
もう1点の御質問でございますが、社会保障としての住宅施策でございます。これについては資料を用意してございますので、ご覧いただければと思います。資料1でございます。これは、社会保障としての住宅施策につきまして、全体像を国土交通省と一緒に作成したものでございます。
まず、政策手段といたしましては、全体的には現物と現金とに分かれるというふうに考えます。現物でございますが、左から2つ目の欄に公営住宅制度というのがございます。低所得者の方に対して低廉な家賃で賃貸等をすることによって居住の安定を確保するという公営住宅制度が住宅供給の中心、中核となって機能してございます。戸数を書いてございますが、217万戸の管理戸数の実績がございます。これは自治体が事業主体となっているものでございまして、対象につきましては自治体が条例で規定をしてございます。ただ、参酌基準を国が示しておりますので、おおむねそれによっているということでございます。例えば、収入分位25%以下という方が入居をされている。実際には収入分位10%以下の方が7割強になっているということでございまして、その意味では低所得者に対する住宅供給として大きな機能を果たしているということでございます。
ただ、留意点といたしまして2点ございます。1つは、これはもともと複数の方が同居しているということをモデルにつくられておりまして、現在におきましては、高齢者ですとか、障害者の方は例外となっておりますが、基本的には、同居親族がいるというのが原則ということでございます。
もう一つは、応募倍率8.9倍ということでございますけれども、戸数はずっと増えてきましたが、近年横ばい、ないしはやや減少という形になっておりまして、頭打ちになっている状況でございます。
そういった中で、これを補完するものとして、その下、あるいはその左側になりますけれども、これらの取組がございます。まず、下側に「公的賃貸住宅」と書いてございます。括弧して「地域優良賃貸住宅等」としてございますが、これは要は公営住宅を補完する形で地方公共団体と民間事業体が連携をいたしまして供給をしているというものでございます。対象は高齢者世帯、障害者世帯、子育て世帯になっておりまして、戸数としては約125万戸になってございます。
更にこれを補完する形で左側、これは民間賃貸住宅でございまして、民間賃貸住宅におきまして、低所得高齢者、障害者などの円滑な入居を促進するために、政策手段といたしましては、市場環境の整備ですとか、市場の誘導といった緩やかな形で行われているものでございます。
以上申し上げました3点は、国土交通省の所管している分野でございまして、次に、右側の2つの欄は厚生労働省の所管している分野でございます。厚生労働省では、現物の支給という意味では福祉施設等の供給ということがございます。
まず、低所得者の方に対しましては、無料低額宿泊所というものがございまして、社会福祉法人等が生計困難者のために無料または低額な料金で宿泊等を利用させる施設がございます。ただ、この入所者数は全国で1万4,964人ということでございますので、左側にありますような公営住宅ですとか、そういったものと比べると、シェアとしては小さい状況でございます。
もう一つは、ホームレスの方につきましてはシェルター事業というのがございまして、これも地方公共団体が事業主体となっておりますが、定員としてはホームレスの方を対象に2,166名という状況でございます。その他、それぞれのニーズに対応した福祉施設というものは、御案内のとおり、特別養護老人ホームですとか、グループホーム、ここに書き切れないものも多々ございますが、いろいろとあるということでございます。
次に、現金給付でございます。まず、やはり大きいのは生活保護、これは127万世帯に対して、住宅扶助と括弧付で書いてございますけれども、要は資産・能力等、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方に対しての最低生活の保障であると。言わば、住宅政策というよりも最低生活を保証するという切り口でございます。所得、資産につきまして、厳格な審査、調査を行った上で、法定受託事務ということでございますので、公営住宅につきましては実は自治事務でございますが、そういう意味ではこちらの方は国として責任を持ってやっているということでございます。
その下にございますのが住宅手当でございますが、これは離職者の方が対象になります。離職された方が安心して就職活動ができるように、その費用を支給するということで、平成21年10月から始まっている制度でございます。対象者は現在約9,000人と推計をしてございますが、これは今年度、平成24年度までの事業、基金ということでございますので、この点は留意点でございます。
以上、まとめますと、日本の低所得の方を中心とする住宅供給は、公営住宅という現物を中心に行ってきた。それは一定の頭打ちとなっておりまして、現在、それを民間が補完するという構図になってございます。そのほか、低所得者の方に網羅的に対応するというよりも、特定のニーズに対応した施策の組立てがなされておりまして、公営住宅もその意味では原則は同居親族がいる方を対象にしているということでございます。
最近のトピックとしては、リーマンショック以降、離職者の方への住宅手当というものが設けられた、ただしそれは今年度までの基金であるということでございます。
その他、2枚目以降は、1枚目のそれぞれの制度を説明する資料になっておりますので、本日の説明は省略させていただきます。
以上です。
○宮本部会長
ありがとうございました。今の事務局からの御説明に何か御意見、御質問があれば、お願いいたします。
○駒村委員
ありがとうございます。生活保護を受けている方で求職者支援を利用されている方はどのぐらいいらっしゃるかということで、これは不明ということでありましたけれども、前回も配付された資料の1の中では、就労自立支援プログラムの拡充の次、自立支援プログラムへの参加、求職者支援制度の利用・活用と書いてあるわけですから、今後はどういう状況になっているか、やはり把握していただいて、どういうサポートを組織だってやっているのかをきちんと情報を集めないといけないのかなと思います。
それから、2つ目の住宅政策の方でありますけれども、ありがとうございます。いろいろと今も最後にまとめがあったように、現金と現物でカバーはしているものの、やはり単身の低所得者をカバーするというところは、結局、市場誘導のところでしかないというところがやはり網羅的ではないと思いますので、この市場誘導の部分は、低所得者の単身という視点から見て、現状、課題はどういう状態になっているか、もし補足の説明があればいただきたいなと思います。
○宮本部会長
今の駒村委員の御質問はいかがでしょうか。
○伊藤住宅総合整備課長
国土交通省の住宅局でございます。先ほど厚生労働省の方から御説明がございましたとおり、もともと住宅政策の方は、戦後とにかく住宅が足りないというのから始まっているものですから、とにかく市場の中で供給されないものを供給するという形になっておりまして、結果的に、もともと若年単身者なんかは、例えば住み込みだとか、寮だとか、あるいはアパートとかで、比較的市場で供給されていたものですから、余り供給されないファミリー向けですとか、あるいは障害者、高齢者、そういった人たちの単身向けというものを公共の方では主に受け持つという形になっていますので、今、先生から御指摘いただきましたとおり、若年単身者に関しましては、正直申し上げて、住宅政策において大きな施策対象になってきていないという状況がございます。
ただ、世帯構成も単身者が非常に増えて、若年の困窮者が非常に増えているものですから、資料1を1枚めくっていただきまして、公営住宅の次に公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅というのがあると思うんですが、それの下側に、民間賃貸住宅の活用について、[民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業]というのがあるのですが、これは今年度から3年間試行的にやらせていただこうと思っておりまして、民賃を耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修といったものをやって、ただ、低所得者だとか、住宅弱者と言われている人たちにとにかく供給してくださいと。そういう場合には、改修費の一部を国から直接補助しますというような制度を今年から3年間やらせていただきたいと思っております。
とにかく市場の中で非常に劣悪なものにそういう人たちが追い込まれているという状況がございますので、こういったことを通じてもう少し質のきちんとしたもののところに住まいが提供できるように、あるいは民間事業者の方にも御協力いただけるような方向のことを試行してみようかなと思っていまして、ちょっと試行的にやってみるという感じが強いんですけれども、そういうことを踏まえた上でどうするかということを考えていきたいと思います。
公営住宅についても、条例で同居親族要件は外れて、地方公共団体がやろうと思ったら若年単身者は入れられるんですが、何分にも倍率が非常に高い状況なのと、もともとのストックが、先ほど申し上げたような形、市場にないものを供給する格好になっているものですから、そんなにたくさん若年単身者向けがあるわけではないというところもあって、なかなか公営住宅へたくさん入れるというふうにならないものですから、どう民間を使っていくかというのが今後の課題ではないかなと思っております。
○宮本部会長
ありがとうございます。駒村委員、よろしいでしょうか。ほかに何か御質問、御議論はございますか。どうぞ。
○長谷川委員
今御説明いただきまして、低料金の宿泊所とか、ホームレスのシェルター事業というようなものの御紹介があったのですが、横浜あたりを見てみますと、法的な位置付けのない無届の施設が非常に多いんですね。近年、特にホームレスを対象としました無届施設が増加しておりまして、これがホームレスだけではなくて、生活保護受給者も含めまして、そうした方々をターゲットとしたビジネスが成立しているというのが実態なんですね。
したがって、無届施設におけるところのそうした拘束力のない実質的な野放し状態であるわけですから、やはりホームレスを対象としたこうした施設についての規制というものがあってしかるべきではないのかなと思うし、また、住宅付与の在り方についても検討する必要があるのではないのかなと。裏にはそのような状況があるということは、是非ひとつ御認識をいただきたい。
○宮本部会長
住宅政策にかかる貧困ビジネスに対する対応について。
○古川保護課長
今の点について御報告をさせていただきます。いわゆる貧困ビジネスにつきましては、御指摘のような問題があり、幾つか過去にも事件などがあったということも踏まえまして、現在議員立法でこのような事業をする方については、都道府県に届出をするとか、あるいは金銭管理については原則廃止をして、極めて限定的に条件を満たした場合にできるとか、さまざまな規制を設け、入居される方の安全を確保しつつ、必要なサービスが提供されるための議員立法が今準備されている聞いているところでございます。
○宮本部会長
ありがとうございました。長谷川委員、よろしいですか。ほかによろしいでしょうか。
それでは、次の議題になりますけれども、委員の皆さんからのヒアリングを行いたいと思います。前回も3人の委員からお話をいただきまして、生活支援の在り方についての大事なポイントというのが見えてきたように思います。生活困窮者や孤立者の早期把握の必要、それからNPOなどの力を生かした伴走型の支援の必要性だとか、あるいは釧路の御経験などは、いわゆる中間的就労を含めた多様な形の就労支援の大事さというのを明らかにしていたのではないかと思います。
今日も引き続いて、柏木委員、野老委員、花井委員からそれぞれお話をいただきたいと思っております。
今日のヒアリングの進め方ですけれども、3人の委員の方に順番に御報告いただいて、今回まとめて御報告をいただいた後に、まとめて質疑応答をしたいと思います。
それでは、柏木委員からよろしくお願いいたします。
○柏木委員
皆さん、おはようございます。和歌山県の障害者施設、社会福祉法人一麦会の柏木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、企業に22年間勤務した後、御縁があり、障害者施設に転職しました。障害のある人たちの仕事おこしを12年間やってきました。障害者年金と作業所の給料で経済的自立を実現することを最優先にして、活動してきました。この審議会のタイトルである、生活困窮者の生活支援については、社会福祉法人はこの課題に対してもっと活躍、活用できると考えております。
私は和歌山県出身ですので、地方における仕事おこしから説明させていただきます。
地方の経済状況は非常に厳しいです。生活困窮者や障害者の方々の雇用機会が少ないです。経営体力のある企業が少なく、福祉的側面から支援する余力がありません。特例子会社などは1つしかございません。
しかし、農林水産物等の資源は豊富にあり、農業は後継者不足です。平成12年より、この年に障害者施設に移ったのですが、地域農業を中心に6次産業化の推進で雇用創出の機会をつくってまいりました。
まず、2次産業、農産加工製造業から手がけました。それはなぜかというと、1次産業の農業は、農業を習得する必要な技術は短期間では無理であり、自然相手の産業なので、年間を通じて安定した仕事の確保が非常に難しい。夏の炎天下の中で、障害者の方々が昼間の作業は難しいです。なお、1年間安定して農作物があるということはありません。これから、野菜工場とか、そういうものも考えていきたいと思っております。
農産物を販売しても、相対的に単価が安く、相場の変動に大きく左右されます。収益が少ないんです。そこで、2次産業の農産加工製造業から事業を開始しました。農産物に付加価値をつけていこうと思いました。
農産加工製造業の有利性ですが、まず、農産加工製造業の事業の立上げは、比較的軽装備で始められます。物凄い設備投資とか、技術とか、そういうものがなくても始められるものが多いです。特殊な専門的知識、技術、資格がなくてもできる。ほとんどの人が携われる業種が多いです。ここのところが障害者の方の支援をしている私にとっては非常に大事でした。
なおかつ、最近はコンパクトな加工製造器具が開発され、小規模の加工場でも操業できる業種が増えてきております。例えば、レトルト製品とか、こういうものは10年前であれば何千万円もかけて工場をつくり、設備をしなければいけなかったのですが、最近は洗濯機ぐらいの大きさのものでもできる。そういう器具が非常に増えております。これは追い風です。
そして、食料品は消費頻度が高く、景気に大きく左右されません。だから、安定した仕事量と収益が確保できます。食料品の中でも、嗜好品よりも基礎食品。不景気になってくれば、嗜好品は節約しますが、基礎食品は節約できません。基礎食品に重点を置いております。
そして、商品の原材料を地域でとれる農産物に特化し、地域のこだわり、ブランド商品で大手企業の商品と住み分けができる。大手企業の商品は全国津々浦々まで出ております。その中で、我々が地域でつくる商品は大手企業の商品と住み分けができる、そういう商品をつくっていかなければならないと思っております。
そして、この12年間つくってきたいろいろな仕事でございます。この農産加工製造業、納豆、豆腐、パン、惣菜、生菓子、焼き菓子、粉末製品、いろいろございます。これは障害者の方々、知的、精神、身体、また引きこもりの方、そういう方々がこの小さな作業場で働いております。そして、たくさんの作業工程をつくってきました。たくさんの作業工程をつくってきたのは、その方の障害特性に応じられるようにつくってきたわけでございます。
この中で焼き菓子をつくっている、せんべいをつくっているところは、知的障害者方が責任者として、職員なしでも回しているところもございます。
2番目に、1次産業の農業へ参入したわけです。地域農業へ参入しました。それは、我々がつくっている農産加工品の原材料の確保として、農産物の栽培を始めたわけです。大豆は4年前に本格的に耕作放棄地を開拓して大豆栽培し、その大豆で納豆をつくり、きな粉をつくり、きな粉あめをつくり、せんべいをつくり、枝分かれ式にいろいろな仕事を多くしていっております。
トマトは、最近企業さんからトマトケチャップの原材料として栽培の依頼を受けております。こういう小さな地元に根付いた仕事がたくさんできていっております。
地域は小規模の高齢者農家が多いです。65歳以上の人がほとんどです。そして、人手不足、後継者不足であり、作業所に農作業の応援が来ております。私のところにも農作業の応援が来て、障害者の方々が挑戦しております。
農業生産者の農家の方の指導を受けながら農作業はできますが、収益は余り上がりません。福祉的就労・中間的就労としては参入は可能だと思います。
そして、今、和歌山でもすごく増えておりますが、耕作放棄地化を防ぎ、地域農業を守り、食料自給率の向上に寄与し、地域社会に貢献するためにも農業への参入は必要だと思っております。
これは、障害を持っている人たちや引きこもりの青年たちと一緒にやった農作業です。大豆の種まき、脱穀、それからモロヘイヤ、ホウレンソウ、大根の収穫、そして計量・パック作業、これに付随したいろいろな作業もできてきております。こういうものも、私は福祉施設で働くかたわらでやっておりますが、本格的に参入しなければいけないなと思っております。
3番目に、3次産業として直売所を去年の8月につくりました。これはいろいろな要望がございました。まず、地元小売店が閉店し、食料品や日用品等の生活必需品を購入できるところがなくなり、独居高齢者を中心に買い物弱者が発生している。これは和歌山県の各地に出ております。この直売所をつくったときに、地方の町長さんとか、町会議員さんがお見えになって、買い物弱者さん対応をどうしようかと相談に来られたことがございます。
この実態を踏まえた上で、直売所の開設は地域が緊急に必要としている社会資源であると考えていました。また、地域の農業生産者の方々も、近隣での農産物販売所を要望しておられました。
そして、地域が必要としているものは仕事になります。ニーズがあるものは仕事になります。もともと、ここは地元のスーパーさんが採算が合わなくて閉店した後です。民間では採算が合わなくなり撤退したものは、社会福祉法人が引き受けるべきだと考えています。
具体的に、障害者や引きこもりの成年の人たちが直売所でどういう役割を担っているか。まず、地域とのコミュニティーの場所です。引きこもりの方には、人と会うのが嫌な人もおります。障害を持った人や引きこもりの成年の地域社会との交流の場になっております。
そして、買い物弱者を支援する業務、これはニーズがあったので去年少し始めて、今年本格的にやります。これをやるために、短時間ですが、引きこもりの方を4人雇用いたしました。この地域の買い物にも来られない、また買い物に来ても持って帰られない、そういう方々のために配達サービスを行います。それをやっていく中で、お客様と関係ができます。だから、独居高齢者の方でお客様になった人は安否確認ができると思っております。
そして、これは地域における6次産業化の関連図で、1次産業の地域農業、2次産業の加工製造場、これは作業所がやっておりますが、そして3次産業の直売所、この3つの事業体が相互協力しながら、いろいろな仕事が興せます。今まで障害者の方たちを中心にやったのですが、ここに引きこもりの方、また地域の生活困窮者の方で失業されている方、こういう方々のためにもこの事業は拡大していかなければいけないなと思っております。
この6次産業化を生活困窮者の方々の雇用事業として成功させるためのポイントですが、経営は企業的手法を用いらなければならないと思っております。目標数値を明確にし、売上、粗利益、利益、そして適正な利益を追求する。初めから利益を出さなくてもいいというような考えでやると、事業は続かないと思っております。
そして、2番目、製造・流通・小売業等の業界での経験を持つ人材が必要です。特に、企業で現場の管理職を経験した人材が適していると思います。長く福祉の職員の方々に事業経営を私なりにいろいろ教えてきました。その中で育った方もおられますが、なかなか時間がかかるし、無理なことが多かったような気がいたします。特に、商品の営業・販路の拡大ができる人材が必要です。そして、この商品が一般市場で企業と対等に渡り合えるには、商品のこだわりを明確にする。地域ブランド化を目指しております。
これは、生活困窮者の方に実務的な職業訓練が必要だと思っております。「農産加工技術研修(障害者も含む)」と書いておりますが、これは障害者の方を対象で、職員が含んでいたという状況でございます。和歌山でたくさんとれる農産物をジュースにする勉強を専門家を呼んでやりました。このような技術研修というのはちょこちょこやります。これはすごく生きてきます。
そして、福祉・農業・製造業・小売流通業・営業販路拡大等、全体の現場を把握し、調整できるコーディネーターが必要になってきます。
今後、地方においては公共投資や企業誘致による雇用創出は難しいと考えております。そして、地域資源を最大限生かした、小規模ながらも地域に根ざした事業が各地域で生まれてくるように、成功事例をつくって発信していきたいなと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○宮本部会長
ありがとうございました。示唆するところが多いお話で、御質問はあろうかと思いますけれども、これは後でまとめて扱わせていただきます。
それでは、次に、野老委員の方からお話をいただけますでしょうか。
○野老委員
皆さん、こんにちは。大里綜合管理の代表取締役、野老真理子でございます。本日は、私たちの会社でこれまでに取り組んできたこと、その取組みを通して感じていることなどを話させていただきます。
1.大里総合管理(株)について。
私たちの会社は、千葉県九十九里浜のほぼ中央にある人口5万人の町、大網白里町にあります。周辺の市町村も含めたエリアを商圏に、不動産業、建築業、管理業を生業にし、今年で38年目になる会社です。売上規模は大体4億から5億ぐらい、スタッフは約30名、私は2代目経営者として19年目を迎えます。
私たちの会社には2つの大きな特徴があります。1つは、気づく訓練として環境整備を毎日1時間やっていることです。ある事故がきっかけになり、気づく訓練として始めたものですが、掃除をすることや整理整頓を通して気づいたことを改善する積み上げを16年やってきました。
もう一つは、たくさんの地域貢献活動を本業と一緒にやっていることです。学童保育を初め、駅や階段の清掃活動、コンサートやコミュニティーレストランなど、社内を開放し、地域の人たちに参加してもらいながら取り組んでいる地域貢献活動は200あります。毎月100人近くの人たちに来てもらって開催している講演会「ねっと99夢フォーラム」は60回を超えましたし、クラシックやジャズなど、コンサートは100回を超えました。
気づく訓練をしている私たちは、社内の業務改善は勿論ですが、お客様や地域の方々の声にも気づくようになりました。問題を持った人たちが真の解決者だと気づき、課題や問題点を政治や行政だけのせいにして押しつけるのではなく、できる人ができることをやり始め、企業としての強みを生かし、積み上げてきました。
その一つひとつはとてもユニークだと言われています。子どもが先生になる学童保育や、地域の主婦が日替わりでシェフになるワンデーシェフレストラン、団塊の世代の人たちが先生になる地球塾など、課題を抱えた人たち自らが課題解決者となるやり方で、出番と居場所づくりをしています。
3.11の震災でも、停電になった5つの信号機のある交差点で交通整理をしたことから始まって、新たに5名のスタッフが免許を取り、自社のマイクロバスを利用して東北支援ボランティアバスも5月末で95回、述べ1,500名を超える地域の方々にボランティアに行っていただきました。
私たちは、さまざまな地域貢献活動を、直接の収益にはならないけれども、地域にとって、世の中にとって、だれかがやらなければならない大事な仕事と位置付け、スタッフ一人ひとりが本業とのバランスをとりながら活動しています。それぞれの日常の仕事を100ととらえると、現在では収益のある仕事が60%、ボランティアが40%ぐらいの割合です。大里の経営は決して楽ではありませんが、収支を保ち、赤字は出していません。
2.生活困窮者の民間企業での就労に向けた取組みについて。
ホームレスの就労相談がT市役所職員からありました。明らかに知的障害を伴う60歳を超えた方でしたが、あと4年年金を払えば受給資格ができるとのことでした。限られた期限でのことと受けとめ、スタッフたちに事情を話し、社員として受入れ、我が社が保証人になってアパートをあっせんし、ごみ拾いや草取りなどの地域貢献活動をやってもらいました。
貸した家の中はごみだらけ、給料を渡すと一遍に飲んでしまい、2回も救急車騒ぎになるなど、大変でしたが、私たちの側も学習し、時間の経過とともに駅のごみ拾いや花の水やりなどをやれるようになり、地域の人たちに喜ばれ、晴れて一月6万円の受給者になることができました。
6年間引きこもっている3人の兄弟の就労支援相談も役所からのものでした。お父さんは目が見えず、両手両足がなく、週に3回の透析、お母さんは6年前に蒸発。それ以来、ごみ屋敷の中に引きこもった3人。出会ったときは22歳、20歳、17歳でした。いきなりの就労は無理と断り、研修生として最初は2人、その後1人と受け入れました。約束した3か月では時間が足りず、でも本人たちのやる気を引き出すために給料を出す形で継続し、3年たった現在では、3人とも税金をもらう側から税金を払う側へ立場を変えることができました。その1人が今年我が社で働きながら定時制高校に通っています。朝起こすことや送り迎え、ごみ屋敷の掃除などなど、一口では伝えきれませんが、全社一丸となって関わってきた結果としての今があります。
生活困窮者の支援はこのほかにもたくさんあります。市役所からだけでなく、知り合った地域の方々からもたくさんの相談を受けます。やれることは限られていますが、「できることはする」の思いで、障害を持った人たち、不法就労の外国人、母子家庭など、生活弱者の就労支援もたくさんやってきました。現在も5人の就労支援をしています。
3.集合住宅での孤立化予防について。
孤立化予防のために取り組んでいる事例を紹介します。12世帯のアパート「ひまわり荘」です。3か月の車生活、がんで余命3か月と診断された60歳の御夫婦の相談、その入居がきっかけになって手に入れたアパートには現在10世帯が入居しています。母子家庭が1組、高齢単身者が4名、就労独身者5名と、ほとんどが一人住まいです。その中に生活保護受給者も2人います。
賃貸の契約時に渡す重要事項説明書に、大家さんが家賃を安くする分、借主は自治会費を払い自治会に入ること、毎週金曜日早朝には必ず集まりボランティアをすることなどを記入し、実行しています。重要事項に記入したからといって、すぐにみんなができるわけでなく、3年経過した現在でやっと当たり前にできるようになりました。
朝6時半にラジオをかけラジオ体操で体を動かし、アパート周辺のごみ拾いや草取り、その後集まって情報交換をします。「今日から入った○○です」とか、「上の音がうるさい」とか、「自治会費を早く払ってほしい」、「夜中には洗濯機を回さないで」など、赤裸々な話をしっかりと伝え合います。
余命3か月と言われた人が去年亡くなり、早朝みんなで彼の思い出を一言ずつ言いながら、一杯のお茶ですてきなお葬式ができました。「もし、だれかが亡くなったら、これからもこうやって思い出を語り合おう。だから、余り変なことをしたら変なことを言われるよ」なんて冗談を言って全員であいさつをし合い、自分でできることはどんどんやり、困ったことは相談し、というアパートになりました。
そんな中、母子家庭の中2の子どもが引きこもりだと相談を受け、みんながその状況を心配し、その子が中心となってボランティアで新しい学習塾がつくれました。
意識的に顔を合せることや一緒に行動することで知り合い、関心を持ち合うことで孤立化を防げていると思います。
ひまわり荘は気づいたこと、必要だと思ったことを行動に起こすことを大切にしてきた我が社の取組みの一つですが、とてもほほ笑ましくすてきだと思っています。
4.これらの経験を通して感じていることをお話しします。
1.たくさんのボランティア活動を本業と一緒にしている我が社だからこそ、就労支援として受け入れた人たちがやれることをたくさん持っています。そして、それらのボランティア活動に参加を促すことを通して、地域の人々と出会い、喜ばれ、社会参加の自覚を促すことも就労への準備をすることもできるのです。
しかし、受け入れた人たちすべてに労基法に基づく給料を払うことはできないし、研修として受け入れても、お世話する大里の努力も限界があります。真に就労できるまで、生活保護として支払われている費用を給料として支払うことができればよいのではと思っています。また、最低賃金か無料研修という選択だけでなく、研修費として少しでもお金が出るとやりがいにもつながりますし、もらったお金がすぐに生活保護の減額につながることで続かなくなった人もあり、保護費の内容を理解してもらうことや準備期間も必要だと思っています。そんな対策があることで、我が社のような取組みが増えていけばいいなと願っています。
2.一人の生活困窮者が自立していくには、就労支援の前にも生活支援・精神支援など、たくさんの支援が必要であり、時間がかかるということです。一人ひとりの自立には真正面から真剣に取組み、総合的に長期的に関わらねばならないということです。一つだけ支援した、一月だけ支援したで自立できるという単純な事例はありませんでした。真剣に、そして多面的に、継続して関わりながら、時間をかけることでやっと自立の意味もすばらしさも理解できるのではないかと思っていますし、大変でもそう関わっていかなければ、5年、10年、何も変わることはないのです。縦割りを超えた行政と市民の定期的な情報交換も含めた本気の協働が大切です。
3.一人でたくさんの案件を抱えている役所のケースワーカーさんたちや、民生委員の方々は、課題は見えていても、忙しくて、手がなくて、時間がなくて、相談できる集団がなくて、意に反する行動をしているように思います。調査も、支援も、十分に見識を持ち、問題解決能力のある訓練された人たちによる集団指導や集団対策が必要だと思っています。そして、それはゆだねられた私たち民間人が関わる場合も同じです。そのための配慮ある方針が必要だと思っています。
以上、我が社のこれまでの取組み、及び取組みを通して課題に思っていることをお話しさせていただきました。御静聴、ありがとうございました。
○宮本部会長
ありがとうございました。野老委員の会社は、株式会社ではありますけれども、事実上、中間的就労を担う社会的企業なんだなというふうに伺っておりました。
それでは、最後になりますけれども、花井委員の方からお話をお願いします。
○花井委員
おはようございます。連合の花井と申します。私どもは労働組合で、今のお話のように具体的な取組みをしているわけではありませんが、この間、どのように考えてきたのかということについて、考え方をお話しさせていただきたいと思います。
まず、1つ目ですが、連合の目指す社会像として、一昨年の12月に、「働くことを軸とする安心社会」を決定いたしました。
「働くことを軸とする安心社会」とは、働くことに最も重要な価値を置いて、だれもが公正な労働条件の下、多様な働き方を通じて社会に参加でき、社会的・経済的に自立することを軸とし、それを相互に支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティーネットが組み込まれている活力あふれる参加型の社会であるというように定義いたしました。そして、1)から5)に記載していますように、このような項目立てで内容が構成されております。
そして、この「安心社会」を支える基盤として、社会保障と税制の改革はどうあるべきかについて、一体のものとして検討しまして、昨年、「新21世紀社会保障ビジョン」と「第3次税制改革基本大綱」を決定いたしました。
後ろの方をお開きいただきたいと思います。「社会保障を巡る現状と課題」ということで、私どもがどのようにこの間の現状を認識して、課題は何かということをまとめたものです。
1つ目の○は、既に皆様御認識されているかと思いますが、少子高齢化、そして人口減少に、グローバル化、世界経済の危機、そして経済停滞等々が拍車をかけているということが1つ目です。
2つ目が、不安定、低賃金の非正規労働者の増大、それから賃金の低下が雇用、生活、将来不安を増大させ、国内消費が低迷し、更なる物価下落とデフレ経済、この悪循環をもたらしているのではないかということです。
3つ目が、家族・地域の機能低下をカバーする社会的支援、これは子育て、介護サービス、就労支援などが不十分で、若者、女性が良質な就労・雇用に結びついていかない。
最後に、加えて社会保障の機能不全が貧困と格差を拡大させて、社会保険の支え手の減少、税収減による財政悪化をもたらしているということです。
次のページでございますが、機能不全に陥ったセーフティーネットということで、雇用や社会保障のセーフティーネットから排除された者が多く発生し、生活保護が受けられないために犯罪を繰り返す人も少なくないということで、すぐその右下に「刑務所が福祉の『最後の砦』か?」と書いています。次に左の方をごらんいただければと思います。家族・地域の支え合いということで、家族環境、これは核家族化、貧困、一人親、孤独死、孤立死等々が今起きているわけです。それから、学校教育を見てみますと、登校拒否、いじめ、中退、教育格差、これは貧困から来る教育格差ということもあるかと思います。
そして、その下が雇用ネットというふうになっております。現在、正規労働者から非正規になる労働者が多く、35%を超えたというに統計が出されています。正規から非正規への矢印、そして右が自営業者から廃業ということで、正規の場合は多くはその下に社会保険ネットとありますが、雇用保険ですとか、年金等々、労災もあるわけですが、非正規、あるいは廃業した方たちがそのネットから、落ちてしまうという言い方は悪いのですが、その下の生活保護に行ってしまう。生活保護も適用にならなかった方たちが刑務所。この一番下に刑務所と書いていますが、高齢者、心身の疾患者、外国人、累犯者等が増大しているということで、現在、知的障害者が3割近く刑務所に入っている、そして犯罪を繰り返しているとも指摘されております。このように社会的なセーフティーネットが危うくなっているということで、私どもはこの第2のところに何とかネットを張りたいと取り組んでまいりました。
次が、「連合がめざすべき社会像」として、雇用を中心に、家族、教育、失業、退職、ここに橋をかけていこうというものを策定いたしました。
次の4ページでございますが、「社会保障の現状と連合がめざす社会保障の姿」ということで、現状は先ほどお話ししました。その上で、連合が目指す社会と社会保障の姿というのは、まず、ソーシャルインクルージョン、次が人間の安全保障と社会保障の機能強化、積極的社会保障政策と積極的雇用政策の連携、全世代支援型の社会保障体系の構築、そして社会連帯を基礎に社会保障の安定的財源の確保というものです。
最後のページがセーフティーネットということで、先ほどの最後が刑務所という図がありましたが、この第2のネットを張らなければいけないということで、数年前から求職者支援制度を創設すべきということをずっと主張してまいりました。昨年10月から、津田先生に大変御尽力をいただきました求職者支援制度がスタートいたしました。そしてここにもう一つ、若年層等へのパーソナル・サポートとありますが、生活を支援する第2のネットが必要ではないかと考えております。
1ページにお戻りいただきたいと思います。2.に「連合の取り組み」とありますが、ここはお読み取りいただければと思います。いろいろな労働相談等々をやっていますということを記載してございます。
2ページのところで、「特別部会に対しての考え」ということを記載しております。労働組合ですが、生活保護を必要とする生活困窮状態と、そこは余り想定されておりませんでした。しかし、リーマンショックを機に社会的セーフティーネットの対象者と労働組合員は重なりつつあるということで、そのセーフティーネットの再構築を検討するこの部会の議論は非常に重要であると考えており、積極的に参加していきたいと考えております。
4.が「ヒアリング項目に対する考え方」でございます。生活困窮者対策、生活保護の見直しのところです。
まず、1つ目は、3行目ですが、1回目で示されております施策につきましては、いずれも重要なものであると考えております。市場原理主義、自己責任を強調し、社会的セーフティーネットはお金の無駄遣いだとか、あるいはモラルハザードを招くんだという考え方がずっと強調されておりまして、その結果が下に書いてあるような、最後は自殺者が毎年3万人を超えている、そんな社会になってしまったというふうに考えております。これらを早急に、政策転換というよりも社会を立て直す必要があるのではないかと考えております。
今週に入ってから、自己責任をまた強調するようなことが政治の世界で出てきているということに対して大変危機感を持っているということを付け加えておきたいと思います。
2つ目は、働くことに多くの人が参加できるように工夫が必要であるだろうと思います。生活保護制度も人々の生存権を保障する最後の砦であり、すべての人々の命に尊厳を与え、どんな困難な環境の下で生まれ育っても、どんな失敗をしても生き続けられる、そんな安心のセーフティーネットとして、これからも非常に社会に不可欠な制度であるというふうに考えております。
不正受給者防止は当然強化すべきですが、生活保護を含む社会的セーフティーネットを、人々が安心して社会参加を行い、さまざまなチャレンジを行うための条件として積極的に評価していくことが必要ではないかと考えております。この不正受給だけが今強調されており、生活保護を削減すべきという声もだんだん出てきていることについても危機感を持っております。もう少し存在を評価すべきではないかと思います。
(2)は、生活困窮者や孤立者の早期把握のための課題ということですが、3ページに入っていただきまして、1は現状を書いております。そして、3行目ですが、これは私どもの中で議論したときに出てきたこととしまして、水道事業者ですとか、電気、ガス事業者と福祉事務所、あるいは民生委員の方々、地域包括支援センターなどが連携を強化しまして、孤立死にならないような、その前で防げるような、そんな仕組みをつくることができないだろうかということです。
2つ目は、行政内の連携を図っていただきたいという要望です。
3つ目が、個人情報保護法に関する課題。
そして、4つ目が民生委員の課題です。地域の中で中心的な役割が期待されておりますし、大変御苦労されていることも承知しております。ただ、高齢化していること、そのため民生委員になられる方が少なくなっているということも伺います。また、大変忙しいのに、この仕事に対して無給であって、交通費が年間6万程度というのは余りにもひどいのではないか、もう少し民生委員の報酬について検討すべきではないかと考えております。
(3)は、就労機会の確保です。先ほど、社会的就労、中間的就労という実際の取組みが御紹介されました。その取組みについては大変敬意を表したいと思いますが、一方でそのことが悪用される場合が必ずあって、知的障害者や生活保護の方を雇って、悪く言えばピンはねしてしまうようなケースが一方であると聞きます。そこに対しては最低賃金より更に低い賃金で雇う、そういうことがないような仕組みも同時に考えていく必要があるのではないかと思っております。
(4)は、生活困窮者にとっての住居です。冒頭、住居、住宅の説明を受けましたが、私どもは住宅扶助というものを生活保護制度から外しまして、恒久的な住宅手当制度として再編することができないだろうかと考えております。そのことをもって、公営住宅、あるいは民間アパートの家賃の補助にできないかということです。
(5)は、生活困窮者の健康管理の在り方。これは具体的に提案されてますが、そのときに是非とも、当然と言われるかもわかりません。何のために健康になるのかということを探っていただきたいと思います。
と言いますのは、私の身近に福島から避難された80歳を超えたおばあさんがいらっしゃいまして、もうほとんど引きこもりの状態だったのですが、デイサービスに通うようになり、デパートでもう1回自分の足で買い物をしたいと、その意欲で歩く訓練を始めて、大分歩けるようになりました。ちょっと驚いたのですが、そういう意味で、何のために自分が健康になるのか、清潔な生活を営なむのかということが重要かなと思いましたので書かせていただきました。
最後のページが、生活困窮世帯の子ども、高校中退者に対する在り方についてということです。これは1回目の会合でもお話しさせていただきましたが、定年退職をしたまだ若い退職者、高齢者と言うと失礼になるかもわかりませんが、そういう方たち、とりわけ今団塊の世代の退職が続いておりますが、能力、技術、技能をお持ちの方がいらっしゃいます。それから、先生をやっていらっしゃった方もいらっしゃいます。こういう方たちの力を使うというと失礼かもわかりませんが、社会的に生かすことができないだろうか。そのために、何か人材バンクのようなものをつくって、登録して、お互いにそれを生かし合うというようなことができないだろうか。そのことが高齢者の孤立化を防ぐことにもつながるのではないかということを考えております。
(7)は、生活保護受給者の自立に向けた方策についてですが、とりわけケースワーカーの問題について、先ほども御指摘がありましたが、抱えているケースの数が大変多い。人が絶対的に足りないと聞いていおりますし、是非ともそのことは充実していく必要があると思います。
そして、ケースワーク業務の外部委託の推進ということが提案されておりますが、ここにつきましては職権保護など公権力の行使を伴うということがありますので、十分留意する必要があるのではないかと考えております。
最後は、生活保護受給の適正化の問題です。今盛んにマスコミ等で指摘されておりますが、そういう部分も全くないと言うつもりはありません。ただ、そのことが余り強調されると、生活保護受給者の生活を脅かすことにもなりますので、そこは十分な配慮が必要だろうと思います。
1つ目は、医療扶助の適正化について、自己負担をとるべきだという話も出ておりますが、ここについては反対です。
2つ目は、これも医療の関係ですが、医療機関や介在するブローカーによって不正受給する、あるいは過剰医療する医療機関とか、ブローカーによる発意であって、被保護者が主導することは考えにくいと思います。したがって、医療機関による医療扶助の不正受給に対する厳罰、あるいは取締りの強化を是非検討していただきたいと思います。
以上でございます。御静聴、ありがとうございました。
○宮本部会長
花井委員、ありがとうございました。広い視点から、目配りのきいた御議論をいただいたように思います。
それでは、3人の委員の方からのお話をいただきまして、質疑応答に入っていただきたいと思います。質問の場合は、どなたに対する御質問かということをはっきり言っていただくとよいかと思います。いかがでしょうか。お願いします。
○藤巻委員
藤巻と申します。野老委員にお伺いさせていただきたいのですが、資料を拝見して、またお話をお聞かせいただいて、特に最後のページの4番、実は私も民間企業ですから、この大きな項目、4ページ、こちらの御発表に、民間企業のこういう就労支援をした場合のいろいろな問題点、ある意味では限界、あるいは問題提起と申しますか、この4ページに集約されているなということで、非常に参考になりました。
1点お伺いしたいのは、3ページに現在も5人の就労支援を行っていますと。それから、最低賃金法等々の問題があって、研修として受け入れているというようなところが、私は特に興味を持ってお伺いしたんですけれども、この就労支援の現在の5人というのは、毎年何人か受け入れられて、いわゆる有期でやっておられるのか。有期という言葉が適正かどうかわかりませんが、それをお伺いしたいんです。それから、研修生の扱いといいますか、会社さんとの雇用関係がどうなっているのか、その辺をお伺いできればありがたいなと思います。よろしくお願いします。
○野老委員
ちょっとわかりにくいかもしれないのですが、会社そのものは、例えば8時間の就労時間ということでなく、30人の社員さんは場合によっては朝の5時から夜の11時まで、地域貢献活動と仕事がぐちゃぐちゃになった状態の中で、自らの地域をよくするんだということと、仕事を一緒にやるんだということで、会社そのものが管理されていないような形でもあります。
そんな中で、いろいろな地域の方から相談を受けて、大里で働けないか、きちんと雇用ができる方だとしたら、よかったら何部にということになるんですけれども、明らかに収益を伴う仕事ができないというところでは、研修生として、お給料は出せないけれども、よそさんに行って、例えば大学に行って、専門学校に行って、授業料を払って学ぶ、お金を出して学ぶということが通常だけれども、我が社に来ればお金は払わなくていいけれども、勉強はいっぱいできるよということで受け入れます。そのときに、あらかじめ週に2回とか、週に5回というふうにして、その人の働ける時間で、何をするかというと、メモ用紙をつくってもらったり、掃除を一緒にしたり、私たちがやっている地域貢献活動に一緒に行ってやったりということです。
具体的に、例えば5人が何月から何日までやりましょうということはありません。地域の中の課題をたまたま地域の会社として、どうぞと。知らないうちに来なくなったり、ずっといる人もいるし、どこまでということではなしに、会社がある程度公民館みたいな役割を果たして、年じゅう人が出入りしている。片一方で不動産の契約をしながら、片一方では地域の人たちが会議をしている。こんなような状態の中にそういう方たちも多数いるという形です。
だから、うまく説明できないのですが、雇用契約書があるわけでもない。でも、あらかじめ最低の抵触するところがありますので、親御さんを呼んで、お給料を払えませんよ、強いてはこうですよということをはっきりさせてやっています。就労支援の方が介在する場合には、その支援の方に介在してもらってやっていますけれども、そのことでお金をいただいて何かすることは我が社はないのですけれども、このやり方は、わざわざつくるということではなしに、何かヒントになることがないのではないかと思っています。うまく答えられているかどうか。
○藤巻委員
いえ、ありがとうございました。もう1点、スタッフは専門に置いていらっしゃるのでしょうか。
○野老委員
何をもって専門にするかといったときに。
○藤巻委員
専従といいますか。
○野老委員
地域に生かされている会社ですから、地域で起こることは我が課題になるわけですね。その専門じゃないとできないということは一切ありません。
例えば、私たちのボランティア活動に、花を植えたり、通常だと、そこは許可を取ったのかなんていうようなことが出てきますが、一切許可を取っていなくて、きれいにすることを積極的にやっていることで、やがて市民権ができていくというやり方ですべてやっています。
ですから、こういうことでも専門職を置くとか置かないとか、例えば学童保育で言っても、18年やっていますが、一切専門の職員はいません。私たちができる、私たちがやれることでつくり上げてきましたから、そのことで嫌だと思う人は来なければいいわけですから、こんなような形で物事をつくっていくということも片一方であるのではないかと思っています。みんなの資格を並べてみたら、いろいろな資格があるかもしれません。でも、そんなことは必要ないと思っています。
○藤巻委員
大変勉強になりました。ありがとうございました。
○宮本部会長
藤巻委員の御質問のフォローですけれども、研修費は低額で出していらっしゃるということでしょうか。
○野老委員
1,000円出すとやりがいを持つ人がいるんです。無料だと嫌だという。最初は2週間は無料だよと言っていて、でも2週間ではまだまだだといったとき、その人に「1,000円できるようになったよ」というふうにしてやる気になったときはポケットマネーで出します。そんなことでその子が自立に向かうなら、何ということはない、そんなやり方でずっとやってきました。
○宮本部会長
わかりました。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どなたに対する御意見、御質問でも構いません。
○松井委員(井手之上代理)
大阪府の井手之上でございます。柏木委員にお伺いしたいと思います。非常に興味深く聞かせていただきました。我々も行政に携わるものとしましては、障害者の方々の就労支援は非常に重要な課題でありますが、なかなか進まないという現状でございます。その中で、興味深くと言いましたのは、柏木先生のところでは非常に幅広くやっておられるのがポイントかなと感じました。製造から加工、流通、小売等々、広がりのあるといいますか、そういう形の展開というのが非常にポイントになるのかなと感じたわけです。
どうしても、障害者の方の就労とかを考えますと、事業所なんかもそうですけれども、パーツパーツでの作業といいますか、そういうところの展開、つくるならつくるだけという形が主になっていると思うんですけれども、先生のところはトータルということで、障害の方、特に知的の障害と精神の障害というふうに理解させていただいたらいいんですかね。
○柏木委員
身体の方もおられます。
○松井委員(井手之上代理)
ですから、3障害すべてという形で対応しようと思うと、それぞれの仕事をどうつくるかというところで、広がりのある展開というのがそれぞれの障害特性に応じた形の仕事の当てはめという形になっているのかなと私自身感じたんです。それがそうなのかどうかということ。
それと、農業に着目された、これはやはり障害特性ということを考えられてそういうことをお考えになったのか。
それと、身体障害と知的障害につきましてはある程度今までの蓄積がありますけれども、精神障害についてはこれからという分野だと私自身思います。その中で、特に精神障害の方についてのフォローといいますか、特に気をつけておられること。
我々、大阪で精神障害について取り組んでいるNPO団体なんかのお話を聞きますと、やはり医療との連携といいますか、それがポイントになってなかなか進まないという話も聞きますので、そういったところについてのお考えということをお聞かせいただきたいなと思います。
○宮本部会長
いかがでしょうか。
○柏木委員
まず、いろいろな仕事を興してこれたというのは、1つは私の前職はスーパーで店長をやっておりましたので、食料品は大体ほとんど手がけたことがございます。それがまず初めにある。そのときに培った人脈があって、そういうものが生きて、食品、食料品製造をするに当たっていろいろなアドバイスをいただけたというのが一つあります。
それから、地元の中小企業家同友会、こういう方々と交流を結んだり、農業関係では農文協という『現代農業』という月刊誌を出版している会社があるんですが、農業の専門家、そういうふうな各分野の専門家の方々といろいろな連携とか、御指導を仰いでやってきたというのが一つあります。
それから、和歌山というのは農産物が豊富ですので、農業は仕事を興す有力な地域資源ですね。その当時、和歌山は小規模で事業を興すに当たって、ほかにはなかったですね。だから、農業を選んだ。農業だけではどうしても事業にならないので、そこで農産加工業をひっつけて、そして農産直売所をひっつけて、6次産業というのはストーリーになるので、そういう全体として事業を興してきました。
その中に、私は知的障害の方と一番御縁があって、知的障害の方は重い方から軽い方までございますが、割と毎日出勤してきていただけるし、頑張れ、頑張れと言ったら頑張ってくれるし、結構張り合いがあったんです。
精神の方は、私は今年になって本格的に精神の方とお付き合いしております。この方々は頑張れとかは無理ですね。その方に合った仕事を組んでいかなければいけませんので、私は今すごくそこで勉強しているというか、知的の方と一緒にはいかないなと思っております。障害特性に応じた仕事をつくり、障害特性に応じた勤務状態をつくり、そしてそれが事業として成り立たなければならないので、これがもう一苦労、二苦労でした。
あとは。
○松井委員(井手之上代理)
特に医療機関等との連携。今のお話の精神について、かなり難しいと思うんです。その中で、特に身体障害とか知的障害との違いというと、やはり医療との関係というところでいろいろ工夫なさっているとか、御苦労なさっているとか、こういうことをやらなければいけないのかなというお考えがあったら聞かせていただければと思います。
○柏木委員
我々を支援していただいているお医者さんもおられます。それから、看護師さんもうちの職員さんの中におられます。そういう方々と連携してやっておりまして、精神の方にはそういう方々の専門的なフォローが要ります。その上で、私どもは現場でそういう人たちの専門的な指導もいただきながら、慎重にやっていかなければならないと、今慎重にやっております。
○宮本部会長
よろしいでしょうか。今の井手之上部長の御質問の2番目の質問に関連すると思うんですけれども、柏木委員のお話は農業そのものではなくて、農業を第6次産業化した上で、加工の局面で迎え入れるということだと思うんですけれども、やはり農業そのものは迎え入れの場としてはややハードであるという理解でよろしいでしょうか。
○柏木委員
日本型の農業というんですか、これだけではなかなか事業にはなりにくいと思います。だから、委員さんの中にやっている方がおられたと思いますが、野菜工場とか、こういうのであれば組めると思いますが、農業だけで事業というのは非常に難しいと思います。
○宮本部会長
わかりました。ありがとうございました。
○武居委員
柏木委員に。同じ社会福祉法人として大変興味深く聞かせていただきました。1点、私ども社会福祉法人は制度の枠の中で本業といいますか、社会福祉事業というのが本業としてあるわけでありますが、その社会福祉事業と、今、御発表いただきました内容との関連のあたりを少し整理をして教えていただけるとありがたいのですが。
○柏木委員
まず、今発表させていただいた事業は、就労継続事業A型、B型の中に入ります。そして、うちの法人に働くことを目的に来ておられる方は166人おられまして、A型で働いておられる方が50人ぐらい。この50人の方々は大体経済的自立をしておられます。だから、社会福祉法人の制度の中でやっているのがほとんどです。ただ、そこを一歩飛び出して、いろいろな団体さんと事業を試みたり、そういうのはしょっちゅうやっています。
○宮本部会長
武居委員、よろしいですか。では、岩村先生。
○岩村部会長代理
やはり柏木委員にお尋ねですが、もともと障害者の方からスタートされていて、今日のお話ですと、引きこもりの方というのも受け入れていらっしゃるということですが、先ほどの御質問にありましたように、知的の方と精神の方と違うのではないかというお話もありました。知的障害者、あるいは精神障害者の方と、更に引きこもりの方とで、対応していく上でとか、あるいは仕事をしてもらう、作業をしてもらう上での違いというか、考えなければいけないことの差とか、そういったものはあるのでしょうかということをお伺いできればと思います。
○柏木委員
今、引きこもりの方を私のいる直売所に、短時間ですが、4人雇用させていただきました。その方たちは週2回勤務です。週2回で5時間。それ以上はちょっとしんどいということなんです。その方々は24歳から34歳の間ですが、知的水準は高いです。大学を出られた方も2人おられる。ただ、人と接するのが苦手だとか、非常にプレッシャーに弱いとか、そういうふうな説明も受けたし、そんな感じもいたしました。ただ、すごく人間が純粋ですね。どろどろした世の中の汚さに染まらないとか、私はそのように思っております。だから、その人たちをしっかり鍛えて、一般企業に行ってもらいたいという気持ちはありますが、その人たちに合った仕事、生き方があると思うので、そういう意味での社会的企業をつくっていきたいと思います。引きこもりの方はいろいろ可能性を探っております。
精神の方は、今申し上げましたとおり、お医者さんと看護師さんと連携しながら、これは長いお付き合いになるなと思っております。
知的の方は、星飛馬の星一徹のような感じでやっても十分通じました。食料品製造に関しては、知的の方は熱心です。物を書いたり、しゃべったり、計算したりするのは苦手でも、物づくりに関しては健常者並みの可能性を持っておられ、できる人はたくさんおられます。
○宮本部会長
ありがとうございました。柏木委員が星一徹になる場面というのはなかなか想像しにくいですけれども。ほかに。
○勝部委員
お3人の大変興味深い御発言、ありがとうございました。今、柏木委員のお話があったのですが、私たちも今、ちょうど引きこもりの方々の就労ということに取り組んでいる中で、たまたま出会っているところが農業の問題と、それから商店街とか、いわゆる小売業の方々の人材不足のところでの買い物支援というところでコラボをしている事業がありまして、そういうところで言いますと、必要とされる、人手不足でありながら今まで目を向けてこなかった部分に可能性をすごく実感しているんですけれども、やはりそういうところで同じように動いているんだなということにすごく関心を持ちました。
もう一つは、高齢化した公営住宅の管理の問題なども、若い人たちの力が必要なんだけれども、なかなかそういう人材がいないとか、高齢化して難しいというところにも彼らなんかは求められているということがあって、まだまだシェアがあるなというふうな気持ちでおりました。ありがとうございました。
幾つかそれぞれの委員さんにお聞きしたいのですけれども、まず野老委員さんの本業の部分で、不動産のことですけれども、先ほど会社が保証人になってというようなお話があったのですが、私たちも生活困窮者の方々の住宅設定を考えるときに、民間のお家を借りるときは、大家さんが民生委員さんであったりとか、それなりに御理解をいただける方というところにお願いをするということもあるんですけれども、やはり保証人問題でかなり引っかかってしまうことがあって、こういうことが不動産全体の中でどんなふうにとか、特にいろいろと影響力もおありだと思うんですけれども、そういう業界の方々にはどんなふうなお話になっているのかなというのが、もし参考になることがありましたらお聞かせいただきたいのが1点。
それから、中間就労の問題ですが、まさに野老さんがおっしゃっていました、少しでもお小遣いがある方が、プチバイトというふうな形で私たちは引きこもりの人たちの支援を中間的な就労というイメージでやっていますけれども、ただでやるとか、訓練をするとか、福祉的な活動に参加してもらうということではなかなか動機付けが難しいところが、お仕事に近いことをしてもらっているというところでは、やはりすごく動機付けになると思うんですけれども、そこが花井さんのお話のところと、結局、最賃制のところの問題はいつもジレンマになるあたりですけれども、その辺についてのお考えをもう少しお2方からお聞きしたいなと思っています。
それから、花井さんには、ケースワーカーのところをもう少しお聞かせいただきたいなと思ったんですけれども、職権保護など公権力の行使を伴うという、このあたりのことをもう少しわかりやすく御説明いただけたらなと思っております。
○宮本部会長
7のところですね。野老委員と花井委員にそれぞれ御質問だと思います。野老委員の方からよろしくお願いします。
○野老委員
今、住宅は余っているんですね。地方でもそうです。ですから、生活保護の人たちの住宅をきちんと供給するということは、取りっぱぐれがないということで、大家さんがしっかりと意識して役割を持ったらいいと思って、そういう大家さんはちゃんと保証人の問題も自分で覚悟してということはあると思います。やはり大家さんの教育というか、大家さんに対して情報をしっかり知らせて、大家さんにもこの課題を解決する側に立ってもらう、こういうことは私は大事だと思っています。私たちはそういう努力をしている。
それから、2つ目の労基法が足かせになることが本当にあります。悪意ではないのに、安上がりの労働力を使っているんじゃないかというふうに言われる。そうすると、企業が協力できなくなる。企業はいろいろなマネジメントシステムも含めて、物事を目標を立てて遂行していくという優れた部分がいっぱいあると思います。そういう企業にも、今こういう課題があるから、どうか一緒に協力してほしいという側に立って、その中に1人、2人の研修生を入れることは恐らくできると思う。企業には、福祉的なやりとりではなくて、生のお客様が、それから地域の方が出入りしてそのやりとりの中に入りますから、その研修効果というのは全然違うと思います。そういう意味で、ここに課題として私が書いたところをどなたか少ししっかりとしてもらえたらいいなと。
農業のことでは、我が社も農業をやっていますので、例えばダルクという生活保護を受けながら社会復帰している薬物中毒の人たちが我が社の農業をやっているところに来てくれている。これも、そういう意味では安い労働力として受けていると片一方ではありますが、彼らの本当の自立を願いながら関わっている私たちの気持ちは本当に純粋だと思います。これをどう受けとめるかというところを、悪意として受けとめられると手が出ない。やらなくていいことはやらないぞという側に立ってしまうというときに、地域の農業の人手不足にそういう人とやっていこうとしたときに、すごくいい案だというふうに思っているんだけれども、何せそういうものが一つ出てきていて一歩踏み出すことができないというところがあって、私の会社は、私たちはそれより世の中をよくしていくことの方が大切なんだということで、覚悟を持ってそれを越えようとしています。そういう意味での成果は出ているので、いいのではないかなと思ってやっています。
○宮本部会長
今の点について、勝部委員の方から花井委員にもコメントを求めていたように思います。
○花井委員
私も大変悩むところで、野老さんのような、あるいは柏木さんのようなことを実践としてやっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃることも十分知っております。ただし、一方で、悪用されるケースも必ずあって、そこをどういうふうに分けていくのか。社会的就労、あるいは中間就労というものが制度としてまだ日本にはなかなか定着していない、イギリスのようにはなっていないということがありまして、絶対だめということを言うつもりはないのですが、そこは非常に私たちも悩んでいるところです。その悪い人たちをどういうふうに排除することができるのか、もう少し知恵を出していく必要があるのかなと考えております。
ですから、野老さんの御苦労も悩みも十分理解した上でどうしていくかということを是非御理解いただきたいと思います。
それから、職権保護など公権力という、正確な法的な文章は多分事務局の方が御存じだと思うのですが、例えば命が危ないということがわかっているときに、強制的に保護する、その行使の力というのは他人がやれば拉致か誘拐になってしまいますけれども、そうではなくて、行政という権力をもってやるということで、この職権保護という場面が、例えばケースワーカーの方たちが生活保護の家庭に行ったとき、子どもが虐待されているときに行使できるものというふうに理解しております。もし違っていたら、是非説明をいただきたいと思います。
○宮本部会長
ありがとうございました。特に事務局からはよろしいですか。中間的就労と最低賃金の問題、これは最低賃金による中間的就労というのも勿論あると思いますし、また最低賃金から外れる場合、積極的な事例とそうでない場合をどう峻別するか、これはこの部会で知恵を絞っていかなければいけないところではないかと思います。奥田委員、お願いします。
○奥田委員
3人の方、御発表ありがとうございました。本当に勉強になりました。社会的就労とか中間就労のことで少し質問ですが、私は中間就労にせよ、社会的就労にせよ、アンペイドワークもあるだろうと。まさに生活とか、気持ちとか、そういうものととらえていくということで、もうちょっと社会参加的なものもあっていいだろうと思うんですね。一方で、ちゃんと給料をもらってやる。ここがやはり一番難しい。
それで、柏木委員のお話をお聞きしても、今、日本では言わば他法利用ができる部分で社会的就労ってやってきたと思うんですね。主に障害分野だと思います。A型とか、B型とか。今回テーマになるのは、そういう他法利用できない、生活保護ベースになっていて、いわゆる生活困窮というレベルでの社会的就労ということを、ビジネスモデルとして成功すれば、そこで給料をきちっと出せますけれども、多分実態的にはそのもうちょっと手前の層だと思うんですね。だから、もうちょっと手前のビジネスでうまく回っていくかどうかというぎりぎりのあたりで単価をどう出すか、ここが非常に難しくて、花井委員がおっしゃったとおりで、私はやはり安上がりの労働力に落としてしまったら、これは労働意欲も含めて逆効果になるかもしれない。ある程度の単価を障害福祉分野以外のところでどうつくるかと。
障害福祉分野も実際には単価は余り出ていないと私は思うんですが、それにしても運営の方には出ますよね。運営が採用に関してはある程度の保障がある。これが今のところ何ないところのいわゆる生活困窮者レベルというところで社会的就労、しかもペイもできて、団体側というか、事業主体の方も回る。そういうときに、先ほど野老委員がおっしゃった最後のところで、生活保護費として支払われる費用を給料として払うことができればいいんだがということをおっしゃったんですが、もう少しそこのところを、私も実は近いようなことも考えていまして、果たして就労可能層の若年層に対して現金給付という手段しかないというのは、現物給付を極端に今度はフードスタンプをやるとか、お米を渡すとか、そういう話ではなくて、労働そのもの、就労そのものを現物給付というような形でもう少しうまく回せないのかなという話を昔から考えていましたので、このあたりをもう少しできれば説明していただきたいんですが。
○野老委員
私は企業家ですからお金をつくっていく、サービスをして、売上をつくって利益を上げていくということは一つ持っていますが、利益が上がらないけれども、大事なことというのはずっと見てきました。例えば道の掃除、土手の草が伸びていること、こんなことをそれは役所の仕事なんだというようなことで待っているよりも、そこをきれいにすることで環境が整っていくということをたくさんやってきて、この部分には、では一体幾らなのか、だれが担当すればいいのかということより、お金にはならないけれども、世の中にとって大切な仕事というのがたくさんあって、この部分をお金にならないからやらないできたのが今だと思います。
このお金にはならないけれども、大切な仕事、農業の担い手も恐らくそうだと思います。この担い手のところを、働きたいけれども働く場所がない人たちに提供するということで、収益こそ上がらないけれども、世の中をよくしていくために大事な仕事としてやってくれているんだということで、国がそれを生活保護としてではなくて、それをやってくれたお礼としてというふうに払っていく仕組みがあれば、やりがいも、その人の役割としての在り方もあると思うんですね。
ついこの間もそうです。大変な中で研修としてうちに来ていた人が、生活保護がもらえるようになったということで、もう来なくなってしまう。これは、私たちにもまだ努力不足があるんですけれども、それを私たちを介して「よく頑張ったね」と渡せるような仕組みがあったら、それはその人の成長過程に寄与しきれていくと思うんですよね。うまく伝えられなくて申し訳ないんですが、そこのところです。
○奥田委員
追加で。
○宮本部会長
どうぞ。
○奥田委員
それを保護という枠でやるか、別の枠でやるかというのは、保護は最後のセーフティーネット云々ですから、そこの問題は難しいと思うんですけれども、逆に今度は柏木委員にお聞きしたいのですが、今、就労A型、B型の枠でされているけれども、この6次産業モデルをいわゆる生活困窮者というところでできるかというのを率直に聞いてみたいんです。
○柏木委員
それが最大の課題なんです。福祉事業収入で私たちは法人運営して、障害者の方々に就労支援事業でもうけたお金は障害者の方に全部お配りしていたんですけれども、職員の給料とか法人の運営費は福祉事業収入でやっていたわけです。これがなくて事業を興して、社会的企業として中間的就労というような感じで、経済的自立できるお金を払えるかどうか。これが私の今の最大の課題で、それをやろうと思っております。それは、1つは企業のできないこと。すき間です。6次産業の中にすき間はいっぱいあります。もうからないから企業がやらないとか、もうからないから製造拠点を中国へ移したとか。水産も一緒なんです。企業がやらなくて、しかし生活に絶対必要な必需品、この辺でこれから研究していきます。
○宮本部会長
では、岩田委員、お願いします。
○岩田委員
関連してですけれども、今の議論は少々難しい議論だと思います。つまり、生活保護を仕事として給付するというのは、救貧法時代の労働能力がある人に対して行った方法を彷彿とさせます。、何の媒介もなくこの議論が進むと、歴史の針を戻してしまうように危惧を感じるわけです。
生活保護の一部を仕事を通しての報酬に転換させる、これは授産事業という形で、恐らく柏木委員のところの障害者の作業事業などのルーツになるかと思いますが、授産という言葉がもともとあるわけですね。そして、これは低所得者対策の一つの内容だったわけですね。大変古くさい名前なので、今の社会でそれを使いにくいところがあると思うんですけれども、いずれにしても幾つか媒体を入れないと、ストレートに仕事を給付するという形に転換する議論は非常に難しいところがあると思います。
それで、一つ柏木委員に伺いたいんですけれども、こちらで働いている人の方から見たときに、働いている人の生活はどのように組み立てられているんでしょうか。つまり、障害年金とここでの収入で暮らしが成り立っているんでしょうか。これは通所でやっていらっしゃるんでしょうか。
○柏木委員
ほとんど通所です。私たちの目指すのは、福祉的就労ですけれども、障害者2級年金をいただいている方が多いんです。1か月が6万6,000円です。作業所で1人平均5万円を目標にしているんです。そうしたら、5万円と6万6,000円で11万6,000円ですね。和歌山だったら生活できます。東京とか大阪は無理かもわからないですけれども、私もその水準で生活しているんです。
166人おられて、経済的自立を実現している人と可能性の人が大体58人ぐらい。あと、99人は保護者と住んでいて、生活保護を受けている人が9人おられて成り立っているんですが、とにかく現実的には1人5万円を目指して、とにかく親なき後、保護者なき後、生きて行ける体制をつくるというのが1つです。
現状、うちの法人のすごくいい給料をいただいている人から、本当に障害が重くて少ない人からいろいろあるんですが、一番直近の資料で平均が3万7,000円です。物すごく重い方が5万円になるというのはなかなか難しいんですけれども、とにかく5万プラス2級年金6万6,000円で何とか生きていける体制をつくるというふうに決めています。
○宮本部会長
岩田委員、それから更にさかのぼって奥田委員、よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。では、勝部委員。
○勝部委員
もう1点、さっき聞き忘れたんですが、民生委員さんの話が出てきまして、職業化するという感じなのかなと思ってお聞きしたんですけれども、今日は民生委員の方もお見えになっていらっしゃるので、今の発言をどう思われたかなというのがすごく関心があるのですが、有償化していくということで職業化していくことの意味と、住民の中にいることの意味と両方あるのかなと思ったんですけれども、連合でこういうお話が出た経緯というのは、過重な仕事があるからお金を追加していくことが大事だというお話になったのか、どういう経緯かというのをもうちょっと花井委員に聞かせていただきたいなと思ったのが1点。
それから、私たちが今中間就労的なことをやっている中で意識しているのは、仕組みの中では透明性の問題があって、いいことをしていても、例えば外から見たら、あれは安上がりで使っているのではないかとか、ただ働きさせているんじゃないかという見え方にならないためには、運営委員会をつくっていくとか、地域の代表者の方々にも参加をいただいて、こういうふうなお金の回し方をしているということを全部公開するということをしているんですが、そういうことがきっと今の議論の中にも仕組みとして参考になることがあるかなと思って追加で発表しました。
○宮本部会長
花井委員と長谷川委員のお2人にですね。
○花井委員
私どもの中で、例えば介護のことを考えたときに、地域で見守りをしている民生委員の方が大変多くて、とりわけ高齢の女性なんかもいらっしゃいまして、そういう方のお話を聞く機会があります。本当に忙しくて、私が知っている川崎市なんかだと、せいぜい無料のバス券とか、それしかないんですね。そこを職業化するというところまでは話し合ってはいませんが、せめてもう少し、報酬を出せないかということです。自治体によっても違うと思いますが。ただ、幾らなんでも今のままというのはひどいのではないでしょうか。そういうところから、もう少しやりがいが持てるような保障がつくれないものかということで、ここに記載させていただきました。
○宮本部会長
では、長谷川委員から率直にお願いいたします。
○長谷川委員
連合の花井さんからそのようなお話をいただきまして、本当に恐縮しますが、確かに私たちは無給であり、そして年間交通費と電話連絡代等で約6万ぐらいの実費弁償的なことはいただいていますが、やはり無給であるがゆえに、我々は言いたいことも言えるし、ああでしょう、こうでしょうということを行政に対しても、場合によっては社協に対しても、お願いするときはちゃんとお願いできる。そこに私たちはそのよさがあるのだろうと思っていますので、報酬をもらえばどうか、もらってしまうと、かえってそこに遠慮ができてしまって、本当に見守り的なことの要素が欠けてくることになってくるのかなと、私個人としてはそのような判断をしております。
○宮本部会長
ありがとうございました。もらってなお言うというのもあるかと思いますけれども。
○広田委員
安定剤を最近飲んで、睡眠薬を飲まないで眠れる日があるんですけどね。引っ越して住宅がよくなって。ところが、昨日何か寝つけずに、夜中の2時ごろにお風呂に入って、寝るバージョンにしてやっと寝つけて、さっき最初の人の話は寝ていたんですよ。済みません。
それで、お話を伺っていて、精神障害者の話が盛んに出てくるんですけれども、大阪府さんと柏木さんのお話しされる精神障害者というのはどういう人のことなんでしょうかということです。いろいろな精神障害者の定義がありますが、それは私が後でお話ししますけれども、どういう人を精神障害者と言っていますかということをまずお2人に伺ってからと思いました。
○宮本部会長
定義をまず言っていただいて。どうしても先に言ってほしいと。
○広田委員
そうそう。その方がいいです。
○柏木委員
まず、私は本格的にお付き合いしだしたのは今年です。そういう意味では素人です。統合失調症とお聞きしております。今、私の直売所にお見えになっているのは、精神障害というふうにお医者さんに言われている方は2名です。引きこもりの方はまた別です。2人とも統合失調とお聞きしておりますが、お1人の男性はなかなか出勤ができないです。お休みが多くて、何か月に一遍来て、やはり眠れないとか、不安を感じるとか、そういう感じで欠勤されています。
もう一人、女性の方は非常に気分が高揚したり、沈んだりするんです。沈んだときはお休みになりますが、高揚されるときはすごく高揚して、店の中で高揚してすごくお話をされて、なかなかつらいところがあって、それで農業に一緒に行ったりするんです。その方が落ち込んだときは私たちも心配しますが、高揚しているときは農作業をやって、その人は一日じゅう、農作業をてきぱきやっていただいて、この人はこういう作業が組めるのではないかと主にしているんですが、私は今、そのお2人の方しかお付き合いしておりません。申し訳ございません。
○広田委員
手帳か何かをお持ちなのかしら。
○柏木委員
手帳を持っておられるみたいです。
○広田委員
ありがとうございます。大阪府さん。
○松井委員(井手之上代理)
定義というと非常に難しい。
○広田委員
あなたのおっしゃる精神障害者とは。
○松井委員(井手之上代理)
先ほどありました統合失調症の方というのが代表的な方だと思いますけどね。それ以外にもいろいろ範囲がありますし、法律で定義された精神障害者というような理解です。そういう面で、特に精神障害の方、手帳の話がありましたけれども、手帳を持っておられる方、手帳を持っておられない方も当然幅広く扱うということです。
○広田委員
ありがとうございます。精神障害者というのは、1つには精神の病で精神科とか心療内科とか、そういうところにかかっている人です。これが私が最初に知った数字が108万人で、次に知った数字が158万人、そして厚生労働省さん、厚生省の時代から3年ごとに統計をとっていますが、11年に204万人、14年に258万人、17年に303万人、そして20年が323万人なんですね。物すごい勢いで増えているんですよ。私が知ったときから3倍ですよ。
それは、社会が、最初の自己紹介のときに言ったかもしれませんが、日本のマスコミの報道が精神障害者を増やしていますよね。不安をあおっているから。こういうことをやっていること、すなわち、不安な会ですよ。
聞いていると、何かお金がかかる話はどうなってしまうのと。民生委員まで有給にしちゃうのと。ごめんなさいね。
私、本当にケネディの言葉が好きだと言いましたけれども、お金をもらう話は、もらわなければいけない人はもらうんです。でも、なるべくもらわないでボランティアでやろうという話が出てくるのかなと思って楽しみに来ていたら、お金が次から次に出ていきそうなんですね。
それで、津田さんは前回途中で退席されましたけれども、今回お見えになっているけれども、いわゆるメンタルヘルス健診をやれば精神障害者が増えるという話ですよ。5大疾病に入りましたから。日本の病気でナンバーワンは精神疾患ですから。多くは治せない精神科医療、いじくり回しの状態の中で薬、お2方が統合失調と言われましたが、統合失調症は何と全世界で売上が1位ですよ。普通の薬局が私に聞きましたよ。何でこんなに多いんですかと。人口が世界一多いわけでもない。何で日本の統合失調症の売上がナンバーワンなんですか。これが実態なんですね。
そういう中で、今日の話に戻してきますと、私はお金がなくても、この人こそ民生委員になってもらいたいという方が町の中にいらっしゃる。それへのお金を払えばいいかもしれない。だけど、お金があって民生委員をやったらこの人こそという方はたくさんいらっしゃるわけでしょう。長谷川さんのような。そういう人はお金をあげなくていい。応能負担というのが、自立支援法、日比谷で何度も何度も厚生労働省はたたかれまして、いわゆる今度は総合何とか法と、私はそこの内閣府の委員に入りましたけれども、そういう時代ですから。
ある人はお金を、ぶっちゃけた話、なぜ吉本興業の河本準一さんは何で大騒ぎになっているのかなと思うんですよ。あれは民主党と自民党の闘いにしてほしくない。政争にしていただきたくないんですけれども、お母さんが御本人がお金がない時代に生活保護制度を使っていた。お金は今あるらしいです。年収5,000万。でも、柏木さんは11万で生活なさっているでしょう。私もそれより低いですけれども、そういうふうないわゆる私たち庶民の生活の5,000万といったら一生残りますよ。でも、ああいう人というのは、飲みに行けば。私みたいに、「ちょっと山崎さん、ご飯、一緒に」といったとき、山崎さんは私にごちそうしますよね。津田さんもね。どう考えたって。ところが、ああいう方だったら、やはりその辺にいる人にごちそうするわけですよ。そういう観念が違う人の話を盛んにするんだけれども、私はもう吉本興業さんの広報だったら、むしろああいう方がたくさんいるとしたら、厚生労働省の保護課長の古川さんに言って、すぐに厚生労働省保護課からお金が出ていたと。あと、いわゆる地方自治体から4分の1出ているわけだから、両方にそういうふうな口座を出してくださいと。そこにもらった以上の何倍かの寄付をさせていただきたいという形で、何でもかんでも家族は生活保護にさせないで扶養義務だとか、ある一部の新聞に出ていました。扶養義務の預金通帳まで洗い出すとか言っているんですが、そうではなくて。
○宮本部会長
広田委員、そろそろまとめの方向へ。
○広田委員
今一番、この世の中の騒ぎはこれですよ。
○宮本部会長
わかりますけれども、順番に議論していきたいと思いますので。
○広田委員
ごめんなさい。では、精神障害者を増やさないでという話を津田さんに前回言いました。メンタルヘルス健診をやめにしてと。そういうふうに増えていく精神障害者1点です。
前回、私は最後のところで、精神障害者の世界は当事者不在と言っていますが、いわゆる柏木さんのような方と医療の連携はとんでもないんです。本人に対する医療側のインフォームドコンセントです。私は精神医療の被害者でここにいますけれども、私の情報が、私にインフォームドコンセントされることなく、作業所に保健所を経由して流れたんです。それで、精神医療の被害者であると同時に、作業所のサバイバーなんですね。物すごい社会的不利益を受けた。同じ情報が精神保健福祉センターに病院の側から流れて、それで厚生労働省と法務省がやった11年前の、いわゆる重大な犯罪を起こした精神障害者の処遇に関する合同検討会の参考人を断念せざるを得ないぐらい大変な被害を受けているんですね。ですから、医療と連携するというのは、本人の頭越しにあっては、私は現状の精神科医療の状態ではとんでもないと。やはり本人が主体。この会も本人が主体で話が進んでいくということで、是非、柏木さん、いい人だから後でお話ししましょうということですけれども、そちらもそうですけれども、以上です。
○宮本部会長
ありがとうございました。本人主体というのは、この部会でもずっと大きなテーマとして挙げられていると思います。それでは、櫛部委員。
○櫛部委員
花井さんにお伺いしたいんですが、7番目の「生活保護受給者の自立に向けた方策について」という1と2ですが、基本的に現行のケースワーカーにぶら下げる形といいますか、そういう形はやはり望ましいという前提でお考えなんでしょうか。
もう一つは、専門性というのをどういうことで、これはずっと前回からも議論になっていて、今回も、つまりそれを言った途端に安心で、花井さんのお話ではないですが、一般的に常に、貧困ビジネスじゃないか、では規制だ、そういう素人がやっているんだからやはり専門性の高いというと、何となく私たちは納得してしまうような話でいくんだけれども、実際、先ほどの野老さんの実践もみんなそうですけれども、当事者の側からつくっていると、例えばロールダンピングとか、そういう発想からはやっていないんですよね。悩みではあるけれども。
だから、結局、そういう地域が支えあっていく取組みを支援していくときに、ここが不十分だから、発展するのではなくて、そこが成熟しないうちにそういうふうになっていくのは進まないと。結局、生活保護世帯の方は給付だけ受けて云々というふうな、あるいは「あんた働けるんだから、そっちへ行け」という従来のパターンになっていくのではないかと。
そこら辺で、地域には宅老も含めて、子育てのグループもいっぱいあるんだけれども、ひとたびそういうふうになると、いろいろな規制があって、平米がなんぼでなければいけないという話になっていくと、とてもじゃないけれども、なかなかできていかない。そこら辺もあるわけで、ケースワーカーの問題を含めて、ちょっとお伺いしたいなと思います。
○宮本部会長
いかがでしょうか。
○花井委員
ケースワーカーの問題につきましては、ここに専門性というふうに書きましたが、低所得者、あるいは生活困窮者、あるいは生活保護を受けている方の抱えている問題というのが非常に複雑で、そういう意味でそこに対応できるという意味合いでの専門性と使ったととらえていただければと思います。
それから、先ほどの社会的就労とか、宅老所というお話ですが、本当に規制があるとなかなか進まないということも十分思います。ただ、やはり一番心配なのは、ここにいる方たちとか、本当に献身的にやっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃることも十分知っておりますし、そういう方のお話も私たちは聞いておりますが、そうではなく悪用する人たちが余りにもいるので、そこを私たちは問題にしているということで、献身的にやっている方たちに対してということではないんです。ただ、結果としてそのことが進まない要因になるとしたら、そこは問題の出し方を考えなければいけないなとは思いますが、そういう意味合いです。
○櫛部委員
あと、もう一つはケースワーカーにぶら下げるという現行の形は、やはりこれはベストだということですか。
○花井委員
すみません。ぶら下げるというのはどういう意味でしょうか。
○櫛部委員
要するに担当ですね。1人のワーカー80世帯という標準数があるんですけれども、現実には130だとか150、いろいろありますけれども、つまりそういうケースワークというやり方で所管をしていくという今のスタイルがいいのでしょうか。
これはずっと長い間、一体化論と分離論というのが相当この分野ではあったんですけれども、最近はNPOから支援は任せないというぐらいまで言われている新しい公共という評価もありますので、その中でその辺をどう考えられているのかなということですね。勿論、職権保護というのはわかります。それと、分離というのは違うとは思っているんですけれども。
○花井委員
質問の意味が、分離とかぶら下がりとか、よくわからないのですけれども、私たちが思っているのは、ケースワーカーが抱えている件数が余りにも多くて、ケースワーカーの方のお話を聞いても、それゆえに十分なケアができないと。その辺のことを言いたかったということです。言葉の意味合いがよくわからず申し訳ありません。
○櫛部委員
要するに、お金を給付するのと支援というのを両方一体握っているケースワークというのがずっとあって、いろいろな議論の中では支援と給付は分離すべきだという議論も一方ではあります。どちらかはまた岩田先生にお話しいただければいいんですが、いずれにしても、分担をしていくという流れは間違いなくあるだろうと。そうでなかったら、先ほど言った社会的企業とか中間的就労というのをケースワーカーが担えるのかというと、そうはいかないだろうと思うんですね。だから、そこら辺をどうお考えなのかなと。
○花井委員
私たちがお話を聞いたケースワーカーの中から、その辺は余り出てこなくて、それよりも数が足りないという話が多かったものですから。そこについてはもう少し検討させていただければと思います。
○櫛部委員
逆に言えば、数が足りればこの問題は解決するのかということでもあるんですよね。
○宮本部会長
ありがとうございました。大分時間も進行しています。どうぞ。
○高杉委員
日本医師会の高杉です。先ほど精神障害者のお話が出ましたけれども、長期入院の精神病患者を地域に出すという運動があるんですね。広島県のモデル事業でやったんですけれども、これは非常に大変な仕事です。要するに、支援をしていかなかったら、すぐ生活困窮者になるし、一人ぼっちになる。家族は放ったらかしなんですね。むしろ縁を切りたいぐらい。そういう人たちをどのようにしていくかなのです。ここも非常に重大なテーマなのです。働ける場、あるいは社会で生きる場が先ほどの柏木さんのお話のようにあれば、それはすごくいい。そういうものをつくっていかないと、とても社会には出られない。そういう人たちももう一つこの困窮者の中のグループにいるということを忘れないでほしいと思います。
○宮本部会長
ありがとうございます。今の高杉委員のお話は、どなたかに対する質問ということではなくて、コメントということでよろしいでしょうか。
○高杉委員
質問ではなくて、ここのテーマのもう一つの課題なんだろうと思います。私が何か話すときに、またそれを出します。
○宮本部会長
ありがとうございました。それでは、そろそろよろしいでしょうか。
○藤田委員
NPO法人ほっとプラスの藤田と申します。
最後に、事務局の方にお願いが1点あります。今回、連合さんの方でお出しいただいたセーフティーネットから排除されてしまう方で犯罪を繰り返してしまう方が少なくないという資料があるんですね。これは全く私も同じ意見を持っていまして、私たちのもとには、実はホームレス状態にある方の中でも、刑務所出所者の方とか、あるいは刑事事件を起こしてようやく問題が発見されて、それが課題として浮き彫りになって、その後の生活支援ということになっています。これは生活困窮者イコール犯罪者という見方でされては非常に危険なので、そうではない形で是非配慮をしていただきたいと思います。
次回の資料としてお願いをしたい点は、1つは、こういう犯罪を犯してしまった、要はセーフティーネットの漏れだと思うんですが、もしわかれば、そこから漏れてしまって犯罪を犯してしまった方たちの世帯の類型だとか、収入、資産状況であるとか、あるいは知的障害、精神障害のある方、あるいは身体障害があって、本来は福祉の手当が必要だったのではないかというようなものがわかるもの、あとはこれはどうしても難しい点もあるかと思いますけれども、刑務所を維持するための社会的なコストというんですか、それは1人当たりどれぐらいかかってくるのかというところがもしおわかりであれば、お出しいただけたらありがたいと思っております。
要は、セーフティーネットをこれから議論する上で、セーフティーネットから漏れてしまう、網からこぼれてしまうと、どういった事態になってしまうのか。現状としてはそれは起こっているんですが、漏れてしまう方たちの実態というんですか、そういったものももう少し浮かび上がらせていただけたらと思っています。
そこで、法務省の方はずっと1回目から参加されていないんですけれども、今後、法務省の方に参加に参加いただける機会がもし御検討されているのであれば教えていただけたらと思っております。
○宮本部会長
では、総務課長、お願いします。
○古都総務課長
どうもありがとうございます。今の刑務所など、矯正施設から退所された方については、私どもで地域生活定着支援センターによる定着促進をまさに社会・援護局でやっております。今の御質問等について、全部お答えできるかどうかはわかりませんけれども、法務省とは連携してやっておりますし、我々自身の仕事でもございますので、よく法務省とも資料を協議して、私どもから説明をさせていただこうかと思っております。もし可能であれば、法務省にお話しして、法務省もここで話をするということであれば、そういうこともよく相談して、出ていただけるかどうかも協議したいと思います。
○宮本部会長
それでは、よろしくお願いいたします。
それでは、以上で本日のヒアリングを終了させていただきます。3人の委員の方、大変示唆に富んだ御報告をありがとうございました。
最後に、私からの御提案ですけれども、この部会はリアルな現実としっかり結びつき、それを踏まえて議論を進めていかなければいけないなというふうに思ってございます。リアルな現実というのは、一方で、例えば生活保護について大変いろいろな議論があるというのも現実の一つですけれども、他方ではやはり何よりも現場といいますか、生活困窮者の方々が暮らし、またそれに対する多様な支援が行われている現場をしっかり見ていくということだろうと思っています。
したがいまして、この部会でもそうした現場を、勿論現場で御活躍の委員の方はたくさんおられるわけですけれども、またいろいろな現場があるということで、現場を訪問して意見聴取を行う機会を設けていったらどうかなというふうに思っています。
具体的には、幾つかのコースを設けて参加者を募る。旅行のツアーみたいですけれども、そうではなくて、きちっと現場をみようということでありまして、そんな形があるのかなと思っています。
詳細については、事務局とも相談をして、改めて委員の皆さんに御提案をするということにしたいと思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、本日の議題に限らず、今、藤田委員からもお話がございましたけれども、同様の御意見、御質問、依頼等があれば。では、谷口委員。
○谷口委員
1つは、まず訂正ですが、前回発表させていただいたときに、実は我々のさが若者サポートステーションの利用者の中に被支援困難者、独自資料ですが、経済的事由で必要な支援が受けられない、交通費すら出せないような、そういった若者たちの割合というところで、誤って5割~6割という話をしてしまったのですが、実は2割~3割ということで、前回配付していただいた資料の一番最後の方に正確な数字は載せてありますので、緊張の余り言い間違ってしまったということで訂正させていただきます。
実は、そこで言おうとしていたことは何かというと、我々のところに来ている若者たちの大きな特徴の一つは、複数の公的支援機関を受けたにもかかわらず、実はニートの状態に陥った、引きこもり状態に陥った、これが5割~6割いるということです。
実は今日の部会でもお話が出ていましたように、実はこれまでのやり方ではだめだという若者たちがそれだけ多くいる。それで、社会的に陥っているというところを考えると、一つ危険だなと思うのは、例えばよくありますが、太鼓が若者たちにいいとか、農業なら農業がいい、こういうことでどんと外枠だけ出てしまって、実はそこを利用する層というのはどういう方々なんだろうかと、こういう対象者に対する認識というのがかなり異なっているのではないかなと思うんですね。
先ほど柏木さんの取組みは非常にすばらしい、我々も是非参考にして取組みを進めたいと思っているところですが、例えばそこに出てきた引きこもりという若者に関しても、果してその状態で引きこもりなのか、もう既に外に出ているということですから、実は出られない若者たちというのが引きこもり問題と大きくあるわけですし、引きこもりも、例えば自己表現が苦手なタイプ、対人関係が苦手なタイプと。実は対人関係はうまくいくんだけれども、いろいろな社会に対する認識であるとか、社会性の欠如というところからなかなかなじめないという若者もいるわけであります。
また、ニートの状態もしかりでありまして、実はその対象者というのは状態別でしっかりと分類して見ていかないと、実は対策を誤ってしまうのではないかという危惧をしているところです。
もしよろしければ、そういった生活困窮者と大枠で括られていますけれども、果してどういったところが困っているのか、経済的な部分だけでなくて、それプラス虐待の経験者が何割がいるのか、更には引きこもりの状態でもどういう困難を抱えているのか、そういったところがある程度数字的に見えるような形で議論というのが進められたら、より具体的な案というのが提案できるのではないかなと考えているところです。
以上です。
○宮本部会長
今、谷口委員からお話のあったことは、私も部会長として同様の考え方をしていまして、事務局とも相談をしている最中でございまして、また御相談をしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、以上で本日の議事は終了とさせていただきます。次回も引き続きヒアリングを行いたいと思いますけれども、次回は勝部委員、武居委員、高杉委員、堀田委員、宮本みち子委員の5名の委員の方にお願いをして、お引受けをいただいておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、次回の開催に関して事務局の方からお願いします。
○古都総務課長
本日もありがとうございました。次回は6月6日水曜日の10時からを予定しております。場所は別の場所でございまして、航空会館の大ホールということになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本部会長
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
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