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2012年5月8日 第9回社会保障審議会生活保護基準部会議事録
社会・援護局
○日時
平成24年5月8日(火)15:00~17:00
○場所
厚生労働省専用第12会議室
○出席者
駒村 康平 (部会長) |
岩田 正美 (部会長代理) |
阿部 彩 (委員) |
庄司 洋子 (委員) |
栃本 一三郎 (委員) |
林 徹 (委員) |
道中 隆 (委員) |
山田 篤裕 (委員) |
○議題
・生活保護基準の検証について
・その他
○議事
○駒村部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第9回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について、事務局よりお願いいたします。
○古川保護課長 本日の委員の御出席の状況ですが、本日は全委員御出席の御連絡をいただいております。
なお、栃本委員におかれましては、若干遅れると御連絡をいただいているところでございます。
それでは、以後の議事進行につきましては、部会長よろしくお願い申し上げます。
○駒村部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
初めに、前回の部会でも申し上げましたが、全国消費実態調査の特別集計の状況について、事務局より簡単に御報告お願いいたします。
○伊沢保護課長補佐 全国消費実態調査の特別集計の状況につきまして御報告させていただきます。
現在、民間のシンクタンクに作業を委託し、鋭意進めているところでございますけれども、個票まで戻った集計が必要なことから、取り扱う標本数が5万7,000世帯と膨大な数となります。かつ、誤りのないようデータの確認にも慎重を期す必要があり、まだ現時点では数値をお示しできる状態とはなっておりません。申し訳ございませんが、もうしばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。
○駒村部会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の報告のとおり、現時点で数値に基づいた検証はできませんが、実際に具体的な検証を行う際に、例えば対象サンプルをどのように設定するのかといったことを事前に整理しておく必要はあると思います。本日の部会では、こうした点について後ほど事務局から資料の説明をしていただき、皆さんに議論をしていただきたいと思います。
それでは、まず、本日、事務局より提出された参考資料1、2及び3について報告をお願いいたします。
○伊沢課長補佐 それでは、参考資料1について説明いたします。
「東日本大震災に伴う被災者からの保護の相談等の状況把握について」という3枚ものでございます。こちらは、平成24年3月分及び、1年たちましたので、その累計をとりまとめたものでございます。
平成24年3月の1か月では、生活保護の相談件数は全国で157件、申請件数は全国で66件、保護の開始世帯は43世帯となっております。
資料の下の方にこれまでの月ごとの推移を記載させていただいておりますが、今年に入り伸びていました相談件数、申請件数及び開始世帯数が、3月に入り若干減少しているという状況でございます。震災発生から1年たちましたので累計で見ていただきますと、相談件数は全国で4,489件、申請件数は1,701件、保護開始世帯数が1,193世帯という状況でございます。
参考資料2でございますが、24年月分の生活保護の動向(速報)でございます。被保護人員につきましては、昨年7月に過去最高であります昭和26年の204万6,646名を超え、増加傾向は衰えることなく推移し、過去最高を更新し続けております。厳しい社会経済情勢の変化や高齢化の進展を反映しているものと考えられます。
参考資料3でございますが、先月の4月26日に開催されました社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会(第1回)の資料の抜粋を添付させていただいております。
生活保護制度の見直しにつきましても、特別部会で検討が予定されております。その方向性等について記載がございますので、情報共有という観点からお配りさせていただいております。
参考資料につきましては、以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの事務局の説明について質問があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。特段なければ続けたいと思います。
続いて、事務局より本日の本体資料について御報告をお願いいたします。
○伊沢課長補佐 引き続きまして、本体資料につきまして御説明をさせていただきます。
先ほど、部会長からもお話がございましたとおり、現時点ではまだ数値に基づいた検証ができないということでございます。今回は、具体的な検証を行う上で事前に整理が必要となる事項につきまして、この場で御議論いただけるように簡単な資料を準備いたしましたので説明させていただきます。
資料では、先回までの御議論を踏まえ、水準、体系、級地と大きく3点に分け、前回平成19年の検証方法及びそれぞれの論点を列記する形で資料を整理しております。
最初に、2ページから6ページでございますが、生活扶助基準の水準検証方針についてまとめております。論点といたしましては、集計対象世帯の属性、生活保護受給世帯と考えられるサンプル等の取扱い、及び検証結果の解釈等の3点を挙げさせていただいております。
まず、2ページでございますが、集計世帯の属性についてです。前回の平成19年の検証時では、上段の方にございますように、有業者がいる夫婦と20歳未満の子1人の年間収入階級第1・十分位の世帯を対象世帯といたしております。
下の方にございますように、今回の検証では、集計対象の世帯の属性につきまして4つの観点から整理が必要ではないかと考えているところでございます。
1点目でございますが、夫婦と子1人で構成される世帯が、現在でも一般世帯の標準的な世帯像と言えるのかという点でございます。
2点目でございますが、世帯構成員としての子どもの年齢でございますが、前回は20歳未満ということでございますが、この20歳未満で適当かという点でございます。
3点目でございますが、有業者の有無をどう考えるか。
4点目でございますけれども、年間収入階級第1・十分位での比較を今回変更する必要があるのかという点でございます。
これら4つの観点に立って御検討いただきたいと考えます。
また、参考資料といたしまして、3ページでございますが、国勢調査の結果から、一般世帯の類型別の構成割合の推移を昭和55年から平成22年までのスパンで一表にまとめたものを載せております。
ごらんいただきますと、左の方の核家族世帯、夫婦と子どもから成る世帯ですが、昭和55年に44.2%であったのが、平成22年に27.9%に減少しております。平成22年単年で見ますと、やはり夫婦と子どもから成る世帯が単身世帯を除きますと最も多い状況です。標準的な世帯を検討する上では、この点を勘案する必要があると考えられます。
同じく4ページでございますけれども、総所得に占める所得の十分位階級別の所得構成割合を水準均衡方式導入の昭和59年から全国消費実態調査の直近データが出ております平成21年までの推移について添付しております。ここで使用しています等価年収ですが、こちらは各世帯員の実質的な所得水準を求めるということで、世帯規模の効果を考慮いたしまして、1世帯当たり平均年間収入を平均世帯員数の平方根で除したものを用いております。
5ページでございますが、水準の2番目の論点といたしまして、生活保護受給世帯と思われるサンプルの取扱いをどうするのか。また、全国消費実態調査の調査対象期間が3か月に限定されることから、全国消費実態調査の結果が1年間の平均となっていない点をどう考えるのか。更に、平均から大きく乖離しているサンプルの取扱いについて、検証の上でどう取り扱うべきかといった点について御議論をお願いしたいと考えます。
ちなみに、前回の検証の際には、生活保護受給世帯を除去いたしております。
また、特異なサンプルについて特段の除去という形のことはやっていないという状況でございます。
続きまして、6ページでございますが、前回の19年検証では、過去の検証を踏襲いたしまして、モデルとして設定されました世帯の消費実態と、その世帯が仮に生活保護を受けた場合の生活扶助基準額との間で検出されます差の程度をもちまして、その均衡状態を評価するといった手法をとっておりました。そもそも消費実態と基準の間に差が生じる場合、さまざまな要因が考えられますが、これらの要因分析は必要ないのかという点の御議論をお願いいたします。また、過去の検証でそれぞれ個別に検証しました結果、現行基準と消費実態との間に差が認められていました体系や級地、地域差ですが、これが全体水準にどう影響しているのかといった分析につきましても、この場で御議論をお願いしたいと考えております。
続きまして、7ページ及び8ページでございますが、要因の一つと考えられる体系について論点を整理しています。前回検証時には、世帯人員別、また、年齢別で消費実態と基準額の差を検証しており、その結果、多人数世帯ほど基準額が割高になること、また、第2類費のみならず第1類費でもスケールメリットが働いている傾向が認められたところでございます。
今回の検証では、検証手法といたしましてどういった方法が適切なのかを御議論いただきたいと考えております。資料では、前回検証の方法を踏襲する方法といたしまして、マル1を掲載させていただいております。また、多様な世帯構成にそれぞれ対応した消費実態と生活扶助基準額を算出し、結果を比較する方法といたしまして、8ページのマル2として提示させていただいております。
これらの検証結果を踏まえて、現在、標準3人世帯を基軸とし、年齢別または世帯人員別に基準額をセットしている現行の展開方法につきましても、その適否について御議論をいただければと考えております。
最後の9ページをお開きいただきたいと思います。もう一つの要因であると考えられます級地、地域差について論点を簡単に整理させていただいております。
前回の検証時には、各級地間の一人当たりの消費実態の格差と、各級地間の一人当たりの生活扶助基準額の格差を比較しております。この方法を今回も踏襲することの適否につきまして御議論をいただければと考えます。
また、基準の級地間格差の在り方についてもあわせて御議論いただければと考えております。
簡単ではございますが、本体資料についての説明は以上でございます。
○駒村部会長 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえて御議論していただきたいと思います。
まず、2ページ目の集計対象世帯の属性について御議論をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
道中委員、お願いいたします。
○道中委員 論点1の検証時の方法で、冒頭ですが、「夫婦と20歳未満の子1人」となってございます。20歳未満という暦年齢で刻むことに関しまして、今、いろいろ法制審議会でも成人18歳という切り口で既に答申がなされている。これは2009年だったと思いますけれども、20歳を18歳というところで成人という形で、ほかにも関連の法律関係が随分出てくるかと思うのですけれども、この20歳未満の子というとらえ方をしますと、2点疑問があります。
1つは、18歳を超えますと、勿論、稼働年齢層でちゃんと働いておられる層が対象になるということであります。もう一点は、大学生等でアルバイトをするという子どもさんもおいででしょうけれども、一応大学生に相当する年齢が入っておるということであります。そう考えますと、例えば生活保護を受給する場合には、そういった大学生等という子は想定されないという考え方があるわけです。その関連で、2ページの下のマル1からマル4の関連にも出てくるわけですけれども、そこのところの年齢というか、そういった属性のとらえ方について少し議論をしてもいいのではないかと考えております。
○駒村部会長 ありがとうございます。子どもの年齢のところがまず1つコメントがありました。
ほかにいかがでしょうか。岩田委員、お願いします。
○岩田委員 世帯属性は、先ほどの3ページを拝見すると、モデル世帯がもっと少ないのかなと思ったのですけれども、たしかに減っていますけれども、まだ夫婦と子どもから成る世帯というのが3割弱ありますので、全くこれを標準にできないというほどでもないかという感じがします。勿論、単独世帯は両方足すと非常に増えているわけですけれども、今までのやり方を全部崩して、1人世帯モデル、2人世帯モデルというのは、そこまでいかずにもできるかもしれないという印象は持ちます。
それから、もう一点。マル4ですけれども、これも相対比較をする場合に全体の所得分布がどうなっているかということが非常に大きな意味を持つわけで、一番下の第1と第2・十分位が昭和59年で足しますと全体の所得の7.8%がここに分布していると。それが平成21年になると6.9%に下がっていますから、1ポイントぐらい下がってしまったということになります。これも今後もっと下がれば、第1・十分位と比較するというこれまでのやり方でできるかどうかというのは非常に大きな問題になると思いますが、これはかなり微妙なあたりかとは思います。
例えば、最下の10%の世帯という考え方と等価所得の構成割合の最下10%といいますか、10%を得ている階層と考えると、ここでは第2・十分位まですっぽり入ってしまうので、第2・十分位のところで見るというやり方もあるいはあるかという感じがします。
以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
1つ目が、夫婦と子ども世帯が、今、一般世帯の中で一番構成比が大きい。これが1つ根拠になっているわけで、単独世帯が今後どんどん増えていくことになると、この差がどんどん縮まってくる可能性はあるわけですけれども、現時点では夫婦・子ども世帯が一番多いというところでひとつ基準としていいのではないか。
それからもう一つは、資料の4ページの方はちょっとわかりにくいのかもしれませんけれども、構成比、一人頭の調整した後の取り分のシェアみたいなものを見ているわけですけれども、これがほぼ安定しているけれども、しかし、この一人頭に変換したときの下位10%に着目してもいいのではないか。そうなってくると、紫と赤の部分ぐらいはすっぽり入ってくるというお話だと思います。
ほかに御意見いかがでしょうか。山田委員、お願いします。
○山田委員 私もこうした公表統計を見せていただきまして、まず、夫婦と子から成る世帯類型について見ますと、やはり昭和55年に比べれば少なくなってはいますけれども、平成22年でも夫婦と子どもから成る世帯が比率的にはまだ多いということを考えれば、夫婦と子から成る世帯類型から外れる必要はないのかと考えています。
これも同じく、岩田委員が御指摘されていた4ページの所得十分位階級別でどういうふうに考えるかですけれども、私も、第1・十分位の構成割合がもっと下がっているのではないかと思ったのですけれども、少なくともこの公表統計を見る限りはかなり安定的です。所得第1・十分位の構成割合がどんどん小さくなっていれば、差が開いてきたということで非常に懸念すべき状況で、また参照ポイントも違ってくると思うのですけれども、少なくとも赤と青、第1と第2のところは安定的なので、何か大きな差が開いてきているということは見られないということで、参照ポイントを何か積極的に変えるということはここからは言えないのではないかというふうに考えました。
以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
栃本委員、お願いします。
○栃本委員 先ほど来の3ページ目の一般世帯の昭和55年から平成22年に至る世帯類型別の状況で、なるほど、夫婦と子どもから成る世帯が引き続き、すべて横並びで見ると、27.9だからメーンであるということであるので、これを基準に参照ポイントというのはそうだと思うのです。
それはそれでいいのですけれども、その上でのことですけれども、したがって、今から申し上げることは、それによってこういう形に変えてくださいということを申し上げているのではなくて、私が素人なものだから、皆さん方は専門家なので常識的であり、なおかつ、家族社会学者であるとかそういう方々は御存じのことなのであれなのだけれども、やはり今さらながら見て驚くのは、平成22年度では、いわゆるワンペアレントファミリーが、これは、行政は昔からおっしゃっていることなのだけれども、8.7になっているところですね。だから、ノーマルファミリーという言い方は変なのだけれども、この8.7というのは、核家族世帯の(1)から(4)の並んでいる数字と核家族以外の世帯の0.4、1.4、1.8、2.9、0.2等の数字並びに非親族を含む世帯の0.9などと見ても、やはりワンペアレントファミリーというのが8.7あるというのは大変重たいものだと思うのです。
もう一つは、単独世帯で現在のところ、若年層、若年者というか、65歳未満が21.7なのでこれは上がってきて、高齢者も65歳以上になっているけれども、この部分も単独世帯ではあるので、この部分の動向について注目しなければいけないのだけれども、いずれにせよ、高齢者の部分も9.2ということで、先ほどのワンペアレントファミリーが8.7ということから見ると、この部分についてもう少し、今回は別にどうこうしろというわけではないのだけれども、やはり注目していくべきだと思うし、それともう一つは、一般世帯の類型別構成の状況ではこういう形になっているのだけれども、これも既に先行研究や、今日、御出席の先生方の研究成果であるとか調査とかで発表されているわけですけれども、所得十分位階級別で見たときの世帯類型別の比率というデータも仮にあるとしたら大変おもしろいものになっていると思うので、今回は別にこれでいいのですけれども、やはりこういう部分についてもしっかり認識しておくべきだということだと思います。
以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
○岩田委員 もう一つちょっと。
○駒村部会長 岩田委員。
○岩田委員 追加ですけれども、4ページの所得十分位階級別が2人以上世帯でだけとってあるわけですが、単独世帯が入っていない、これは現実的に昭和59年との比較ができないからということでしょうか。
○駒村部会長 事務局から技術的な問題、確認お願いします。
○西尾課長補佐 この等価年収につきまして、2人以上世帯だけでとしている理由につきましては、公表統計からは、2人以上世帯につきましては十分位の数字がとれるわけでございますが、単身につきましては十分位の公表統計がございません関係で、2人以上世帯のみの計上とさせていただいております。
○岩田委員 単身は十分位がないのですか。
○西尾課長補佐 単身は十分位の公表資料がございません関係で、2人以上を対象としております。
○岩田委員 そうすると、特別集計ではできるわけですね。
○西尾課長補佐 特別集計すれば可能でございます。
○岩田委員 念のため、要するに、最終的にはそれを使うので、同じデータでやったときにどんな感じになっているかというのはわかっていた方が安心な感じがします。通常の収集の中にはないわけですね。全世帯で十分位階級がないのですか。
○西尾課長補佐 後ほど確認いたしますが、古い年代のものでは分析していなかったかと思います。
○岩田委員 そうでしたか。
○西尾課長補佐 なお、今回の平成21年のデータにつきましては総務省から借り受けをしておるわけでございますけれども、昭和59年とか平成元年といったデータは借り受けておりません。
○岩田委員 わかりました。平成21年だけでいいと思います。トレンドはこれでわかるので、平成21年ので確認しておけば、なお安全かと。
○西尾課長補佐 承知いたしました。
○駒村部会長 先生、ただ、その場合、傾向の比較はできないですね。動向はチェックできないですね。
○岩田委員 そうですね。だから、単独を入れるとどうなるか。
○駒村部会長 これがどのくらい変わるか。単独が入ってくるとこの構成がどのくらい変わってくるかの確認ですね。今のところ、このデータの見方からすると、2人以上に限定している場合、傾向としてはやや10分の10のウェートが確かに上がってはいるけれども、それほど急に上がっているわけではない。あと、傾向としては、確かに10分の5あたりが少しずつ落ちているようには見えるけれども、しかし、現時点では基準を見直すほどの幅が砂時計のように広がってしまっているわけでもないだろうと。ただ、では、それで本当に大丈夫なのか。そこのところを確認するために単独世帯を入れて特別集計のときにもう一回チェックをするという考え方でいいですか。
○岩田委員 繰り返しになって申し訳ないのですけれども、10分の1というのは一番下の10%の世帯を考えるわけですけれども、別の考え方として、今、よく言われているように、これは、上位何%が99%、あとが1%みたいなものなのですね。だから、例えば全体所得の最下10%に全部入ってしまっているような世帯を比較基準にするという考え方はもうないわけです。そうすると、これは第2・十分位までもすっぽり入って、第3・十分位の真ん中ぐらいになっていますね。だから、そういう考え方もあるかと。
ただ、それは今までそう言っていたわけではないので、突然それが大変合理的だということになるかどうかは勿論わかりませんので。ただ、これまでも第1・十分位と第1・五分位を使って慎重にやってきたと思うので、今回もそういうやり方をすれば、これもクリアーされると。
○駒村部会長 傾向はそれほど変わっていないということで、一応確認したけれども、特別集計のときに実際に使うデータでもう一度再チェックということだと思います。
ほかにいかがでしょうか。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 マル3の「有業者のいない世帯も含まれる」というところですけれども、比較対象としては、やはり前回と同じように有業者ありの世帯に限った方がいいのではないかと思います。というのは、有業者のない低所得世帯は、恐らく一般世帯の中ではかなり、もう年金生活をしていらっしゃるような世帯というのが多くなってくるかと思いますので、モデルとして想定されるのは、そこから働くこともできるような世帯ということで勤労世帯をモデルとして使っておりますので、それとは合わなくなってしまいますので、ここでは、やはり有業世帯というのを限った方がいいのではないかと思います。
○駒村部会長 今のところは大事な確認点であろうと思いますけれども、基準にする世帯は有業者がいる世帯に限るという従来どおりの方針を再確認。この点についてはいかがでしょうか。
○栃本委員 事務局の方で、その理屈は何でしたか。
○駒村部会長 今の有業世帯に限ると。
○栃本委員 失礼。事務局ではなくてもいいです。
○駒村部会長 一番御存じの岩田先生がいいかと思います。
○岩田委員 あくまで公的扶助論の教科書ふうに言えばのことにすぎないのですけれども、モデル世帯は最初は無業世帯、未亡人世帯がモデルになっていたわけですけれども、日雇い世帯で夫婦と子どもの世帯に変更していったのですね。そのときに篭山先生たちは、つまり、国民最低限という意味で言うと、無業をモデルにしない方がいい、有業をモデルにした方が国民全体の最低限のモデルになるというふうに解釈をしていらっしゃいます。実際そうだったのかどうかはわかりませんが。
つまり、無業世帯をモデルにしてしまうと、生活保護法のいう無差別平等といいますか、要するに労働能力のない人だけの制度ではないので、そうすると国民最低限になり得ないという反論が当時あったわけです。ただし、勿論高い収入を上げている人が生活保護の対象になるわけではないので、一応、日雇いをしているというモデルを。
○栃本委員 わかりました。昔からいうエーブルボディーとアンエーブルボディーの区別をどう考えるかという根本問題ではあるのだけれども、やはり大昔のこの議論の、最初の資料でもあるように、実際の被保護世帯の類型というか、あと、その他の部分とかを見てみると、アンエーブルとエーブルというのは古典的な言い方ではあるのだけれども、その部分というのが、これはイギリスにおける歴史研究上の概念として、今はアンエーブルとかエーブルボディーと申し上げている。誤解のないように申し上げます。そういう部分が増えているから、そこら辺も今回とは関係ないのだけれども。
事務方に振ったのは、運用と解釈ではどう書いてあったのかとか、どういう理屈になっていたかというのを確認しようと思ったということで、理論武装というか、そういうことではどう考えるべきかということでお尋ねしたわけでございます。失礼しました。
○駒村部会長 ありがとうございます。
庄司委員。
○庄司委員 やはり、この国勢調査結果は、先ほど栃本委員がおっしゃったような面にも当然目を向けていかなければいけないわけですが、一体どのぐらいまで、夫婦と子どもから成る世帯が減るまではこれでいけるのかという、まさにもうそういうところに来ている話ですね。
しかし、仮にそこに着目するとすれば、平成22年データですけれども、平均世帯人員で言うと、例えば夫婦と子どもから成る世帯は3.6ですから、子どもが2人の世帯も相当数存在する。その中であえて子ども1人を使うかとか、一人親の方、(3)(4)ですけれども、これも2.3とか2.4とかで、親1人に子1人ではない世帯が相当数ある。しかし、そういう中でどれかをとるとしたら、本当に子1人という世帯でいくのかどうかも少し考えてみる必要があるのかという気がします。
それから、20歳未満は、冒頭で道中委員がおっしゃったように、大学だけではなくて、その他、専門学校や関連の高校以上の学校に進学する人たちも非常に増えている中で、この20歳未満を子とするということですね。これももう少し丁寧な議論が必要なのではないか。ちょっと微妙なのですけれども、国勢調査でいう夫婦と子という、この「子」は20歳未満ですか。私の記憶では18歳ではなかったか。どうでしたでしょうか。
○阿部委員 家族世帯での「子」のところは、年齢制限はないと思います。
○庄司委員 年齢制限がない。そうでしたか。
○阿部委員 そうです。
○庄司委員 国勢調査の基本的なところを、今、余り正確に「子」というのがどうだったかというのはわからないのですけれども、いずれにしても、20歳未満で今までがそうだったので、比較という点では十分20歳未満をとる意味もあるのですけれども、世の中全体の状況の変化からいうと、ほんとうにこれでいくのかどうかももう少しいろいろな先生方の御意見を伺ってみたい気がするのですけれども、どうでしょうか。
○駒村部会長 先生は、20歳よりも上ではない。
○庄司委員 いいえ。
○駒村部会長 下ですか。どう考えられているのですか。
○庄司委員 私は、今、進学率、高学歴化のことを申しましたが、扶養対象としてはどんどん20になっても30になっても自立しない子どもが増えているということで言うと、20歳未満より上もあり得るのですけれども、一般的に子どもの養育というところを考えたときに、例えば、先ほどの議論にありましたように、アルバイトができるとかできないとかいろいろなことを考えると、むしろ20歳は少し高過ぎて、もう少し低いところでとった世帯イメージの方が私自身にはフィットするのですけれども、その辺、皆さんはどうなのでしょうか。
○駒村部会長 確かに、18歳が20になると、この2年間で世帯のばらつきというのでしょうか、多様性は広がってきてしまいますね。
○庄司委員 そうなのです。
○駒村部会長 この辺はいかがでしょうか。従来のように20で考えていくのか、18で考えていくのか、この辺は。
阿部委員。
○阿部委員 ここでは生活保護基準と比較をする際に適当なサンプルというのはどういうサンプルかということを考えなければいけないわけです。そうしますと、一般世帯の中で18歳以上のお子さんを持っていらっしゃる方というのは、半分ぐらいは大学進学なさっているようなお子さんを持っていらっしゃったりするわけですので、その家計構造というのが、子どもがあまり大学進学していない生活保護世帯と家計構造が違うと思うのです。そこを一緒にしてしまうと、やはり比較対象として少しずれが出てくるのではないかというところで、私は、庄司先生のおっしゃるように18歳以上の子で切るというのも一つの考え方としてあるのではないか。そうした方が、より比較対象として適切なのではないかと思います。
○駒村部会長 サンプル数はその分だけ減るけれども、しかし、ばらつきが減って、より対象群としては明瞭になってくるという考え方です。
ほかの委員は、いかがでしょうか。
○道中委員 マル2に、具体的に阿部委員がおっしゃったような構造的な違いみたいなところの記述が少しございます。仮に世帯が生活保護を受けることを想定する場合にということでございます。ここでは受給層では18歳以上の子どもの大学進学費用は給付対象としていないということなのでありますけれども、平成17年度に高校進学が、世帯内就学は従来から認められていたのですけれども、17年度から世帯内就学プラス高校の就学費用に要する経費について生業扶助として認められたという経過があるのです。現行では、大学進学については、当然まだまだ国民全体のコンセンサスが得られないという状況が、54.4%の大学進学率でございます。だから、半数ちょっと超えたぐらいが大学の進学率です。
そこで、ここで書いてあるように、大学進学費用までは給付対象としないということで書かれますと、それでは世帯内就学はいいのかという読みが出てくるのです。今のところ、世帯に貢献する、高校を卒業すれば、その子どもさんは一応、世帯に貢献して稼働能力を活用していただいて、その収入を家計に入れていこうという、要するに稼働能力を活用するという前提があります。その前提が基本的な考え方ではあるにはあるのですけれども、子どもがどうしても家計に負担をかけずに大学に行きたいという世帯が最近随分増えてきております。自分がアルバイトをやって、あるいは奨学金とかを活用しながら世帯にとどまって、同一世帯認定をされた上で世帯分離をされ、実態上はそこの家庭から大学に行っておられるというケースも最近とみに増えてきているというのがあります。これは実態の話ですけれども、原則は稼働能力を活用するということです。一応、世帯分離という方法なのか、稼働能力を不活用ということなのかは、理由は別にいたしまして、そこまでずっと広げていくというのは、まだまだ大学等の進学率が全体の54.4%ということからすると、国民感情を参酌するとまだ尚早のような気がいたします。
何が言いたいかと言えば、要するに、実態で言えば、18歳以上の子どもというのは、そういった大学に行ったりするわけですから、実態にかなうということになれば、やはり20歳ではなくて18歳ぐらいでこの検証時の方法を使われる方が、より現実的な実態に即した形になるのではないか。同時に、阿部委員の言われるように、構造的な問題でマッチングするのではないかと考えます。
○駒村部会長 大学進学は不可能ではない。それを考慮しつつも、やはり18歳まででいいのではないかというお話ですね。わかりました。
ほかに、この点についていかがでしょうか。特になければ、また戻ってくることも可能でございます。
今の御議論を踏まえると、マル1については、従来のような考え方で夫婦と子ども1人、有業ありがメーンになってもいいのではないかという話があったわけですけれども、幾つか留意点があったかと思います。この辺については、後でまた事務局に留意点について検証時にも十分留意しなければいけない点が指摘されていますので、留意するということで、とりあえず作業方針としては、マル1については夫婦と子どもから成る世帯類型、将来の課題として、この類型はどんどん減っていってしまって、単独世帯が一番多くなってしまう、それはそのときにどう考えるかという問題はあるかもしれませんけれども、現時点では従来どおり。
2番目の年齢については、18歳でいいのではないかというお話が多かったかと思います。
あとは、有業者ありについては、これまでの歴史的な経緯もあって、有業者ありということでいいのではないか。ただ、再度、事務局の方には、この考え方について、一応過去の議論も含めて資料を整理しておいていただきたい。次回には確認のできるように資料を用意していただきたいと思います。
4番については、今後、更に単身世帯を含めた形でもう一回チェックする必要はあるものの、作業を進めるために、とりあえず4ページに表があるように、どうも極端な上下のばらつきが発生してるわけではないようだという見方で作業を進めていきたいと思います。年齢のところを20歳ではなく18歳ということで、勿論20歳の分析を残しておく余地もあるかもしれませんけれども、一応、18歳がメーンだったのではないかと思います。
では、次に5ページに行きたいと思います。今度は、サンプルのデータの使い方について御議論をお願いしたいと思います。きちんと透明性があって再現可能な検証を行うためには、どういうサンプルを使っているかというのは非常に重要なテーマでありますので、この5ページにあるサンプルの処理の方法について御意見がありましたらお願いいたします。
道中委員。
○道中委員 生活保護の受給世帯は除去されているということですね。あと、特異なサンプルということですけれども、5ページの一番下のマル2のところとも関連があるのですが、特異なサンプルの事案というのは、具体的な想定というのがあるのでしょうか。要するに、統計上のメディアン値からの大きな逸脱があって、そこの部分の逸脱度が余りにもひどいというものは具体的に考えられるのはどのようなものが。あるいは、ノームをどの辺に置くかという議論にもなるかもわかりません。その逸脱の度合いの部分です。どの辺のところにノームを設定して、メディアン値からの大きな逸脱等を見るのかというところを考えますと、具体的な想定されるような統計上の危険率といった事案というのはどういうことが考えられるのか、どなたでもいいのですが、教えていただければと思います。
○駒村部会長 この前回検証の議論では、1つは生活保護受給世帯と考えられる、これは、前章の中に生活保護を受給しているというフラッグは立っていないので、何らかのルールに基づいて、この世帯は生活保護をもらっているとし、もらっている世帯でまた比較すると、トートロジーになってしまうようになりますので、そういう作業を除く。除くためにどういう条件をつけるのか。
2つ目としては、特異サンプルというのをどういうルールで定義していくのか。5ページ目の下のマル2に「大幅に乖離する」という一文がついている。ここで別の人間がこのルールに従って同じ作業をやっても同じ結果が得られるように透明性がなければいけませんので、その処理のルールも明確にしておこうという趣旨でございます。
道中先生の今の御意見に対して、ほかの委員の皆さんからいかがでしょうか。意見がありましたらお願いいたします。
山田委員、お願いします。
○山田委員 特異なサンプルというのをどう考えるかというのは、この検証の透明性を確保する上で非常に重要なことだと思います。特異なサンプルというものを考える場合、多分2つの考え方があると思うのです。1つは、事務局の資料で既に御指摘いただいているように、統計上の外れ値といったものがある。実際にどういう外れ値を設定するかというのは、例えば、標準偏差シグマの倍数を、3シグマ、4シグマ、5シグマ、6シグマとかいろいろな基準はあると思うのですけれども、何らかの形で置いて、それから外れたものをそうした特異なサンプルと定義して、どういったサンプルかというのをきっちり明確にしつつ除去する、ということがやり方としては考えられます。
2つ目としては、特異なサンプルとして、この場合には消費実態調査であるので、総務省の方できれいにしてあるとは思うのですけれども、それでも消費実態を見ると特異なサンプル、例えば光熱費が非常に小さいといったもの、ゼロだとかを考えられないかということです。
つまり1つは、統計的に機械的な方法でそうした特異なサンプルというのを見つけるという方法と、2番目としては消費実態に注目して何らかの支出が、これは家計行動としてどうだろうというのがあればそれを明確にして除去するという方法が、一応、所得と消費を研究してきた身としては考えられるのではないかと思います。
以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
ほかの委員の皆さんからは御意見いかがでしょうか。
お願いいたします。
○岩田委員 これは、ひとえに全国消費実態調査というデータを使うということが1つ大きな留意点としてあって、サンプル数からいって当然妥当な家計調査ですけれども、調査月が9月から11月、単身はもっと小さくて2か月であって、比較的物事が余りない月なのでいいだろうと設定されているわけですけれども、家計調査のように通年の調査ではないので、通年平均で、その1か月分というのが出るわけではないということが1つある。
例えば、11月に七五三とかで祝い金とか晴れ着を買ったというのが出てくるとか、そういうことがある場合もあるし、逆に非常に小さい支出しかしなかったということも当然あるわけですけれども、そういうものが通年で、しかも大量にあると平均化されて見えなくなるものが出てきてしまうということが1つあるわけです。これはしようがないといえばしようがないのですけれども、生活保護の場合、特別なニーズに対しては一時扶助みたいな出方があるので、通年でなくてもいいという考え方も成り立つかもしれませんけれども、そのことは常に念頭に置いておく。つまり、パーフェクトな比較はできないということだと私は思っているのです。だから、常にデータの制約ということを考えなければいけないし、先ほど来の議論のように、一般とは何かということも、一般所得世帯との比較といっても、一体それをこのデータの中でどういうふうにモデル化できるかという非常に難しい問題があるので、完全な比較というのはできないということですね。
○駒村部会長 ほかにいかがでしょうか。
栃本委員、お願いします。
○栃本委員 特異なサンプルについて除去するということと、生活保護受給世帯と考えられる世帯を除去するというのはまた別の意味だと思うのです。
それで、先ほど、岩田部会長代理からお話があったように、年間を通してまでやるものでもないし、それと、僕は昔言ったのだけれども、フィクションというのは悪い意味ではなくて、ある種のフィクションとして考えて想定して設定するというものだから、その部分で余り厳密さばかり探求してもしようがないと思うのです。
例えば、名古屋であれば、名古屋だけではないのですけれども、結婚したら家具とか必要になってどかんと消費するというのはあるかもしれないし。例えばの話ですよ。だから、1つは、そういうこともあるので、余りそういうのを厳密にしてもしようがないということはあると思うのです。
もう一つは、生活保護受給世帯と考えられる世帯を除去するというのは、今の特異なサンプルを除去するというのとはまた別の意味だと思うのだけれども、そもそも生活保護受給世帯を入れてもしようがないという意味は、先ほど同義反復であるというお話があったけれども、実際に入れてみても全く何の意味もないということなのですか。本当はどんなものなのですか。
生活保護世帯と考えられる世帯は除去するということが、前回もそうだったし、それが基本だったわけでしょう。その理屈は、そもそも最低生活費というのをちゃんと計算して出してしているわけだから、そういう人たちの消費実態調査をしてみても、結論は、その数字は出すまでもないということですか。そういうのとは全く別の理屈で除去しているのでしたか。理屈は何で除去しているのですか。
○駒村部会長 阿部さん、お願いします。
○阿部委員 理屈といいますか、生活保護世帯は生活保護基準の中で家計をやりくりしている家計構造を持っているではないですか。その生活保護基準が高いか低いかということを見極めるための比較をするわけです。そのときに、低所得者世帯というのを持ってくるにしても、その低所得世帯の中で半分が生活保護世帯だったら、生活保護世帯の方は、その生活保護基準に規定された家計をしているわけですので、それは、やはりぐるぐる回るといいますか、何を比較しているのかということになってしまうと思うのです。
生活保護基準の中で生活しないでもいい低所得世帯がどういう家計構造を持っているかというのと生活保護世帯を比べてみて高いか低いかという議論をしているわけなので、やはり比較対象の中に比較する相手を入れてはいけないと思うのです。
○駒村部会長 実際にやれば2%弱ですから、その影響というのはたかだかだと思うのですけれども、極端な例、5割だと、あるいは90%だとなったら、何と何を比較しているかわからなくなってしまうという話なので除去しましょうと。
○栃本委員 一応念のためにどういう理屈になるのかという、先ほどから理屈を常々確認しているわけだけれども。
もう一つは、生活保護世帯の場合、生活保護基準とかそこに出される扶助の中でのやりくりということだけれども、前々からの話でいうと、例えば住宅関係というのは使い切りというか、上限額まで使うというのではなくて、自分たちの想定したもので活用するということで、それ以外のものについてはある種の上限額というとあれだけれども、一定の額を使い切ってしまう世界でもあるわけですね。一般世帯も使い切ってしまう世帯もいるし、そうではない世帯もあるからなかなか難しいことではあるのだけれども。というので、頭の整理をするためにお聞きしたことだけですので、よくわかりました。
○駒村部会長 では、林先生。次、庄司先生、お願いします。
○林委員 今の比較対象の議論ですけれども、私もそれは強く疑問に思っています。というのは、比較対象の中に比較対象が入るという説明だったのですけれども、そうではないのではないですかね。消費実態というのは過去ですね。何を申し上げたいかわかっていただけると思うのですけれども、過去のデータに基づいて支給されたものを消費しているわけですから、それを基準として採用するかどうかということですので、消費の性向が変わっているかどうかを明らかにするためには、やはり含めるべきだと私は単純に考えます。いかがでしょうか。
以上です。
○駒村部会長 ちょっと議論を整理しなければいけないのですけれども、我々がやっている作業というのは、先ほど栃本さんがおっしゃった相対的な水準の検証をすると。先ほどの話だと、前のページに戻りますけれども、相対的というのは、国民のある種、標準的な生活水準の何%のところを考えるのか。その標準と言われたときに、では、だれが標準なのでしょうかという人をピンポイントで考えることはできない。もしかしたら、国民各層皆さん、自分が標準だと思われているかもしれない。したがって、一番メジャーなグループをまず標準と考えましょうということで、先ほど2ページ目の議論があった。
ただ、栃本さんが先ほどおっしゃったように、そういう標準もフィクションにすぎなくて、これは岩田先生も先ほどお話があったように、場所とか時期とかも含めて、ある種フィクションで、この委員会の中で丁寧に議論をしていきましょうというお話で、今、話が進んでいて、そこで、先生の御指摘というのは、そこからつながると消費性向という、その年にもらった所得で消費行動が決まるわけですけれども、その比較の議論においてどうつながってくるのかよくわからなかったのです。
○林委員 今、例えばスマートフォンみたいなのがわっと急速に普及しているわけですね。だから、どういう事柄に消費を当てるのかという濃淡というのはずっと同じではないと思うのです。急激に変わるかどうかは勿論わからないですけれども、分析するのであれば、やはり含めて考えないと、支給されているから消費性向は変わっていないはずだという考え方はちょっとおかしいのではないか。恐らく、何年ごとにやっているかわからないですけれども、1年なら1年前に定められた基準で支給されたとしても、そのとおりに消費しているかどうかはわからないのではないですか。だから、丁寧に加えて分析するのが筋だと思います。
○駒村部会長 いまひとつ私もよくわからないのですけれども、費目の使用制限はなくて、総額が与えられているわけですから、別にスマートフォンを買ったらいけないのでしょうか。そういう制限はつけてはいない。
○庄司委員 関連があるところで。
○駒村部会長 お願いいたします。
○庄司委員 林先生がおっしゃりたいことと私も共通したことを考えていると思うのですが、1つは、やはり比率が低いので余り大きな影響がないかどうかという問題ではなく、生活保護の受給世帯を外すということの方が論理的には意味があると思うのですけれども、実態で考えますと、今ちょっとおっしゃりかけたように、受給者は、例えば1類費がどうで、2類費がどうで、だからこれに合った形で生活しようとか、そういうふうにはしないわけですね。トータルで幾ら入ってきたか、あるいは小分けに受け取ったか、そういうことに合わせながら一定の判断とか習慣とかで消費生活の実態を営んでいるわけですね。
ですから、私は言ってみれば、お金の出どころがどうであるかは問わず、要するに、国民一般がしている生活をきちんととらえると、その過去というのと合っている話かどうかはわかりませんけれども、現実に受給世帯であってもなくても、どういう暮らし方をしているものなのかということを知ることによって、それを反映させて新しい基準を検討していこうという方が現実的な考え方のように思います。だから、理論的には今回は受給世帯を外して、それ以外のところ、比較群になるわけだからそちらでいきましょうということですけれども、生活保護受給世帯と考えられる世帯は除去するといっても、そもそも厳密を欠いているわけですね。これは、どうやらそうらしいという判断ですから。そこまでやらないで、逆の論理で、要するにトータルで幾らかもらっている人たちが、実態としてはこういう使い方をしているというのでよいのではないか。上限がこれだけであれば、その中で一定の判断をしながら、低所得なりの生活の仕方をしていくということが組み込まれているわけですから、私はこれを除去するというのがいいという感じが実はしないので、林先生がおっしゃっていることと似たようなことを気にしているのかと思いました。
その辺はどうなのですか。やはり、これを何%かの生活保護世帯を除去したという形にしないと、この調査の目的からすると筋が通らないという話になりますか。
○駒村部会長 幾つかの議論において整理しなければいけないと思うのです。1つは、そもそも入れるべきなのか、入れないべきなのかというべき論です。これは、阿部さんが先ほどおっしゃったように、非常に多くの生保対象世帯がいて、その収入範囲の中でやりくりをして、それをまた基準にして生保基準を決めるというのがトートロジーになってしまうのではないかという整理で、ここはそうなのかどうなのかというところが1つある。ここは、もう一回きちんと整理しておいた方がいいと思うのです。
2つ目としては、恐らくいたとしても2%ぐらいでしょうと。その人たちが与える影響というのはどのくらいのものなのだろうかというのがある。
それから、3つ目としては、事実的にらしき世帯と言っているわけであるから、であるかどうかはわからない。つまり、ある種、憶測でこういう条件を満たしているから恐らく生活保護を受けている世帯ではないかと推測してデータから抜くということの正確性がどうなのか。この3つぐらいの話があると思うのです。
どういう基準で抽出するのかというのは、また再現性の問題がありますので、事務局に作業に入るときには明示してもらわなければいけない。それから、そのことによって実際にどのくらいの影響があるのか。これが3,000サンプルのうちの10サンプルぐらいなのかどうなのか。その影響を入れたときと入れないときでどうなのかということを検証してもいいかもしれない。
先頭については、ここで議論をずっとやり続けていくとなかなか終わらなくて、制約の中で生活保護を受けている世帯なりの消費パターンがあるのだから、それも考慮したらどうなのかという見方についてお二人から議論がありました。
ほかの委員の方はどうでしょうか。
○栃本委員 もともと私が出発点としてお話ししたのは、要するに、生保世帯を外すという理屈をちゃんとつくっておかないといけませんよと。その確認をしておいた方が、別に今回はいろいろな調査を、これを変えるとか、先ほどの18歳とかそういう部分はかなり重要なポイントなのであれなのだけれども、それ以外のことについては、今回はそれで見なければいけないとかそういうのではないのだけれども、一応、理屈というかそういうものをきちんと確認しておくということはすごく大事で、それは研究者としてもそうだし、あと行政の方からしても、なぜそれを外すのかというロジックというのを整理しておかなければいけないのではないか。
例えば、先ほどのワンペアレントファミリーでも、一般世帯が9割、一般世帯の全体類型の中で1割ぐらいを占めるような状態で、なおかつ、通常の2人世帯が二十何%で子を持つ、そうなると一体という議論もあるわけで、だから、そういうことを含めて、今回の調査は基本は基本としていいのだけれども、確認すべきことというか、ロジックとしての組み立てという部分については、きちんとしておくことがやはり大事ではないかということを申し上げただけです。
○駒村部会長 岩田委員。
○岩田委員 この一般低所得世帯というのは、通常、これは消費行動の比較ではなくて水準比較なのです。それで、水準比較をするときに、理論上、生活保護は国民最低限ですので、それ以外の人の中には、勿論自発的に申請しないという理由はありますけれども、ここではミーンズテストを除外して考えますと、所得だけで考えれば、生活保護世帯はいないとかんがえるしかない。そうすると、生活保護と比較するのは、その人たちを除去した一般低所得と比較するという理論武装をしておいた方がすんなりするというのにすぎないのです。現実には、そんなにたくさんデータの中に入っているとは思えないし、現実に国民最低限であるかどうかという問題もあるので、そこは非常に難しいのですけれども、この一般低所得世帯というのは、ずっと今まで言われてきたのは、言い方を変えると生活保護以外の世帯という意味なのです。だから、そうだとすると、以外の世帯との比較なのに入っているのではないかという批判が当然出てくる。
消費行動をやる場合は、林先生がおっしゃったように、履歴効果みたいなのがありますので、当然、行動比較というのをもう少し違うやり方があるわけですけれども、それはもう一つ違う段階で生活保護世帯の家計調査もあるわけですから、その家計調査との比較をしていくとか、そういういろいろなやり方がこれまでもなされてきているので、ここでは、一応、生活保護と生活保護以外の低所得世帯を比較してみましたという方が世の中にはわかりやすい。
○庄司委員 そうですね。
○駒村部会長 今の理屈をもう一度整理していただいて、たしか文献で、栃本さん、ドイツにはお詳しいと思います。ドイツでも水準の話を聞いたときにデータに生保世帯が入っているかどうかというのは問題になったという。
○栃本委員 そうですよ。
○駒村部会長 だから、よく御存じのわけだから。
○栃本委員 こういう場だから、そういうことできちんとロジックをつくっておかないといけないねということを。
○駒村部会長 わかりました。では、事務局に今のやりとりも含めて、きちんと整理した記録を残しておいていただきたいと思います。
入れることによって最終的にどのくらいの影響があるかどうかということはあるかと思いますけれども、除去するプロセスを明確にしていただいて、何サンプルをどういうところから除去したのかというのをわかるようにしておいていただきたいと思います。
そうしましたら、次の6ページの検証結果の解釈について御意見がありましたらお願いいたします。
○伊沢課長補佐 部会長、今の5ページのところでございますが、季節性の観点のところはどういう整理でしょうか。
○駒村部会長 この季節性については、先ほども岩田委員からお話があって、ある種、資料のデータの限界というものは頭に入れておかなければいけないですねと。相対的な基準ですので、時期も場所もイメージする世帯類型も、ある種この中で合意がとれたものだと思うのですけれども、留意しながら、しかし、これについては従来どおりの処理でいいのではないかと。
岩田先生、これは季節性を考慮して何か修正作業をやれということをおっしゃっているわけではないですね。
○岩田委員 これは、例えば統計局が必要ではないと言えば、いいかなと。統計局は家計調査も両方やっていらっしゃいますので、それと比較して、特にそれをしなくてもいいということであるというのが1つあって、もう一つは、一時扶助とか期末手当とか、そういう存在があるので、通常期が9月から11月で代表できるというのを統計局にお墨つきをもらっておく作業があればいいかなという感じがします。
○駒村部会長 では、平穏な秋の落ち着いた時期であろうということで、一応このままで、統計局にはこれで季節性についてそれほど影響ないかどうかも確認していただいた上で使うということでお願いします。
では、6ページの方について御意見をいただきたいと思います。
○岩田委員 ちょっとわかりにくいので、ここの言い方の確認なんですけれども、「集計対象とした世帯の消費水準と生活扶助基準額に差があるとすれば」という言い方ですけれども、例えばここで、モデルの3人、夫婦プラス子世帯の消費水準と一般低所得世帯の消費水準の比較をして、いわゆる差が出ました。それは、そのモデルにおける差にしかすぎませんので、展開をしましょうということになって、幾つか違うモデルをつくるというニュアンスになりますでしょうか。
例えば、前回のように高齢単身だとか、一人世帯とか、あるいは級地に置き直したときにどうなるかという意味でしょうか。
○駒村部会長 お願いいたします。
○西尾課長補佐 資料がわかりにくくて恐縮でございますが、趣旨としましては、特段、標準3人世帯のモデル以外に新しいモデルをつくるといった趣旨ではございませんで、こちらは、まだ体系の議論、級地の議論をしていただいていない段階で出てきますとわかりづらいところがあるかと思います。仮に標準3人世帯で見て消費実態と基準の間に差があれば、それは体系に起因する差なり、級地に起因する差も含まれているということでございますので、そういった体系や級地の検証結果も踏まえて具体的に検証すべきではないでしょうかといったニュアンスでございます。
○駒村部会長 これは、確かにつながらない部分があって、(2)で「この検証の結果をふまえて、水準のあり方」の「あり方」というのが、その級地や年齢別の水準、あるいは人員数における展開も含めた話だという理解でいいですか。
○西尾課長補佐 級地や体系の検証と切り離さずに水準の検証を行ってみてはということでございます。
○駒村部会長 わかりました。
岩田先生。
○岩田委員 私、まだよくわからないところがあるのですけれども、現実の生活保護の生活扶助基準の決め方は、例の展開という方法を持っていますね。それから、その中で1類と2類の比率についても、一応いろいろ問題点はあるのですけれども、それがなされている。それから、ここで級地があると。そういうのがこちらにあるわけですね。
今、ずっと、先ほどの年収もそうなのですけれども、等価尺度を平方根でつくってやっていますね。私は、そこの落差がもうひとつすっきりしないのです。つまり、これで検証したとして、でも、展開はもとのままとかいうふうになるのでしょうか。
○駒村部会長 これは、去年のうちに議論をした展開の係数の根拠が本当に合っているのかどうなのかという話で、あれは何回でしたか。たしか資料の中に、すぐに見つからないのですけれども、今、岩田先生が御指摘された話までさかのぼると。第何回の何ページだったかわかりますか。
○西尾課長補佐 前回の世帯人員数とか年齢の検証ということでございます。例えば体系でございますと、第2回の資料の中に生活保護基準の体系等について、これは第2回の資料3の6ページに現行の相場、3人世帯からの展開の方法というのを載せております。
それから、前回の検討手法としましては、同じ資料のちょっと後ろの方になりますが、39ページなり41ページといったあたりで、前回は体系の検証結果を載せてございます。
○岩田委員 わかりました。そういうことですね。
○駒村部会長 大丈夫ですか。
この意味としては、こういった係数自体ももう一回考えていきましょうということですね。
○岩田委員 はい。
○駒村部会長 ほか、いかがでしょうか。
一応、議論は進めておかなければ、時間もありませんので。もし気づいたら戻ることも可能ということで、それについては、体系や年齢に応じた給付基準、委員の先生方は何を指しているかというと、先ほど事務局から説明があった第2回の資料3の6ページ、7ページのところに、基準を決めた後の展開についての数値、いわゆるパラメータが出ているわけですけれども、こういったものも含めて検討をしていくということであります。6ページの一番下に書いてあるような、こういう要素を考慮した上で、このパラメータ自体はまた検証しましょうということでよろしいかと思います。
何か気づきましたらコメントいただくとして、次の論点に移っていきたいと思います。
次が、7ページ、8ページは検証方針です。ここについては御意見ありますでしょうか。
岩田先生、お願いします。
○岩田委員 2回目の前にやったのを拝見すると、単身を1にして指数で見るというやり方だったと思うのですけれども、ここの基準が3人だとすると、3人を基準にして指数にされる方が素直な感じがしますので、そういうふうにつくっていただいた方がいいかと思います。
これは、先ほどの一人世帯というモデルをつくるということになりますとちょっとまた別になると思うのですけれども。
○駒村部会長 世帯モデルが今のところ3人標準でいくと。別途、単身をつくることに今のところなっていて、2つ基準ができてしまうと、どちらが支点かわからなくなってしまう。先生の今の御指摘は、一人世帯を支点に考えるのではなくて、3人世帯を支点に考えていけばどうなのかという話ですね。
○岩田委員 そうです。勿論、個々別々にモデルはつくったのだけれども、今、その展開自体を検証するために全部の世帯類型についてやりましょうということになれば、またどれからやってもいいのかなという気もしなくもないのですけれども、始点が3人にあるとすれば、3人のうち何を1にしておくと、どの世帯類型への展開が一番不利になるとか有利になるとか、そういうことがわかるように。その展開方法の矛盾といいますか。
○駒村部会長 事務局は、今回は比較の対象のスタートラインを1人ではなくて3人で考えていくということで作業を進めていただきたいと思います。多様な世帯の構成について考慮するという方法もあるのだけれどもということについては、8ページで限界があると。細かくすればするほどサンプル数が少なくなってしまうというのはあるようであります。この辺についても何か別のやり方があるというのがあれば意見をお願いします。
○阿部委員 前回の検証方法では、年齢別のスケールの方には単身世帯のみで集計して、60歳代の単身世帯と20歳代の単身世帯のスケールというのを見たりしているわけです。やはり、標準世帯の中のというか、何人かで構成される世帯の中での60歳と20歳の比較の第1分類のところの比較のスケールというのと、単身世帯におけるスケールメリットというのはかなり違うところがあるかと思いますので、さまざまな世帯構成というのを、マル2は緩和する必要があるのではないかというところで、確かにクロス集計というのは難しいのですけれども、ここにありますように、統計的な処理をすることによってそれは可能ですので、それは是非やってみる必要があるのではないかと思います。
○駒村部会長 この辺もクロス集計はマトリックスが多くなればなるほどサンプルが減って不安定になってしまうわけですから、何らかの統計処理で要因を抽出するような手法を使っていただければいいのではないかという意見であります。
ほかの委員、いかがでしょうか。
特段御意見がなければ、7ページの下段に書いてあるような、あるいは8ページに書いてあるように、今まで御議論がありましたけれども、検証方法としてはそこで使われているさまざまなある種パラメータみたいなものの意味、評価を行うというのと、多様な世帯類型についても考慮するために統計的な手法で分析をして効果を検証するという形で進めさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 山田委員、お願いします。
○山田委員 私も阿部委員がおっしゃるとおり、こうした形で統計的な処理がもし可能であれば、いろいろとサンプル数もあって可能かどうか慎重に判断しなくてはいけませんし、こうした統計的な処理というのは単に検証方法の一つであるという限界も認識しなくてはいけないのですけれども、こうした統計的な手法がとれるとするならば、展開の方法と水準といった話を一体的に議論することができて、やり方としては新たな検証方法が1つ増えるという意味では良いのではないかと、賛成いたします。
○駒村部会長 よろしゅうございますか。では、こういった方向で作業を進めたいと思います。
そうしましたら、次に9ページでございますが、級地の検証方針について御議論願いたいと思います。よろしくお願いします。
○阿部委員 級地の前回は。
○駒村部会長 では、事務局から級地に関して前回の考え方を少し整理してください。
○西尾課長補佐 級地につきましては、第3回の資料2でございます。「生活保護制度における地域差等について」という資料がございまして、前回の検証手法につきましては、資料の9ページ以降に前回やった検証の結果を載せてございます。
○駒村部会長 これについては、以前の議論の中で、今日の資料の9ページの下段にも、これは、たしか山田委員からの御指摘でしたでしょうか、平均値の出した方についても十分留意する必要があるのではないかという話がありました。ちょっと確認を、そのときの議論をもう一度お願いします。
○山田委員 平均値の確認をするときに、多分、世帯人員数の平方根で割ってというところが、もう一つ検証方法を加えるとするならば、それ以前で出てきたパラメータでウェートづけするというのがつけ加えてやるやり方なのかなというのが1つです。
あと、この資料が出たときに考えたのは、両方ともを100と置くポイントを、それぞれ生活扶助相当支出額と基準額おのおのに100と置いているわけですけれども、これについては、1つどちらか片方に100と基準化して見るというのも一つの方法ではないかということを考えております。
○駒村部会長 前の話というのは、ルートnではなく、生活保護で使われている規模の経済性みたいなものに近い数字を使えばいいという意味ですか。
○山田委員 世帯人員数の平方根で割るというのは、よく国際比較でも使用される方法なので、これを使用するということは一つのやり方としてはいいと思いますが、もう一つこれに加えて、生活保護で現在使われているものではなくて、いろいろな検証の結果出てきた世帯人員ごとのスケールメリットというのが、多分これがいいのではないかというのがいろいろな全消での検証の結果出てくると思いますので、それを使ってウェートづけするというのも一つのやり方ではないかというのが私の発言の趣旨です。勿論、生活保護の現在のスケールメリットでつくるというのも一つのやり方ですけれども、いろいろな方法で見てみて、どれほど頑健な結果が出てくるのかというのを確認するというのは一つの方法ではないかと考えております。
○駒村部会長 これは、各級地によって世帯人数が違うと、どの調整方法を使うかによって効果が違ってきてしまうわけですから。
○山田委員 可能性があります。
○駒村部会長 その辺を慎重に見ておいた方がいいということですね。
○山田委員 はい。
○駒村部会長 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 それと同時に、やはり級地間によって世帯の人員の構成員の年齢が大分違うと思うのです。これは2人以上世帯全世帯ですので、人員別のウェート以外にも年齢ウェートをつけて計算した方がというやり方もプラスしてやっていくべきだと思います。
○駒村部会長 単純に人数ベースでやるのではなくて、級地別の世帯構成の違いもちゃんと考慮して比較しないといけないということですね。
○阿部委員 そうです。
○駒村部会長 そうですね。これも先ほどの話に更にもう一段階細かくなっていきますので、どういう分析手法が一番いいのか、何種類かの検証をやって、確かに級地間の差について大きな変化が起きているのか、いや、それは世帯構成の地域間の違いによって生まれているものなのか、展開方法によって生まれているものなのかというのは、もうちょっときめ細かく検証しましょうということだと思います。
ほかの委員、いかがでしょうか。まだ少し余裕がありますから。
では、道中委員。
○道中委員 直接は関係ないと思うのですけれども、級地間格差が3級地、更に枝級地を含めて6級地という形になりました経過が、もう10年、20年近くなると思うのですけれども、その間で実際、平成の大合併があったりで基礎自治体の部分がこれまでとは全然違う状況が出ているということがあるのです。基準とは直接関係ないと申し上げたのは、実は、自治体によってはひょっとしたら級地が上がるのではないかとか、下がるのではないかというのは検証結果でそういう影響が出てくるであろうと思うのです。
級地設定に関しては、上がるということはその基礎自治体のグレードがちょっと高くなるみたいなイメージがあるのですけれども、いろいろなところへの波及的な影響というのが実際はあるものと考えます。とりわけ、当の基礎自治体部分については上がることに関しては、要するに自治体負担が大きく増えるということですね。だから、そこではかなり財務負担が上がることによって保護費が上がってくるわけです。全体の財務の負担というのは大きく上昇することとなります。そういうことも粛々と基準設定をするということであればやむを得ないことだと思います。うのですけれども、そこらの調整というのが、それぞれの首長さんとか、そういう政治的な問題が出てくるのかと思うのですが、級地が上がる、下がるということに関して、ほかにどういう影響があるのかというのを少し教えていただければと思うのです。どういうところに級地の基準というものが影響していくのか、わかりましたら教えていただきたいと思います。
○駒村部会長 事務局、お願いします。
○伊沢課長補佐 他制度への影響ということでございましたら、住民税の非課税基準は級地によって違ってきていると思います。国民健康保険の保険料、保険税の減免基準に関しましても、たしか生活扶助の基準額を活用しているのではないかと思います。
○道中委員 国保の料ではなくて、税の方ですね。料体系ですか、税体系ですか。
○伊沢課長補佐 地方税の方は確かだと思います。国保の方は多分税だったと思いますが、もう一度確認したいと思います。
○道中委員 ありがとうございます。
○駒村部会長 ほかにいかがでしょうか。
岩田委員、お願いします。
○岩田委員 私は知らないのであれなのですけれども、全消で貸し出しされる個票データで級地できちっと当てはめられるようなものを貸してくれるのですか。
○駒村部会長 事務局、お願いします。
○西尾課長補佐 全消のデータでは、市町村コードというのがついておりますので、それがどの市町村なのかがわかれば、それを通じて現在の級地とのひもづけは、調査対象市町村に限りますけれども可能でございます。
○道中委員 現在、町村が高くて、市の自治体の方が低いという級地のところは結構あるのでしょうか。
○駒村部会長 どうなのでしょうか。
○伊沢課長補佐 調べさせていただきたいと思います。
○道中委員 結果としてそうなっているということでしょうね。唐突なことを申し上げて、済みませんが、後日回答をお願いします。。
○古川課長 なくはないということです。あとは実態として、ひっくり返っていないまでも、それほど生活水準に差がないのに級地の差があるというところが不明なところ、見にくいという話を現場でもお聞きすることはございます。
○駒村部会長 いかがでしょうか。もしなければ、今日、分析の方針をある種決めておかないといけないわけでありますが、それで確定というわけではなくて、また出てきたものを見ながら検証を続けなければいけないわけであります。
級地につきましては、前回のようなやり方は1つ押さえつつも、ただ、一方では今日ございましたように、単純な平均値の比較ではどうもまずかろうと。やはり構造をきちんと、地域間で住んでいる世帯構造が違うわけですから、単に人数平均というか等価尺度による平均ではなくて、もう少しいろいろな側面を考慮して慎重に評価をしましょうという議論だったと思いますので、今後そういう方針でというふうに思います。
林委員、お願いします。
○林委員 ちょっと教えてほしいのですけれども、今日の最初の方では、夫婦と20未満を18歳未満にするかどうかというお話があったのですけれども、今の級地の格差に関しては、この夫婦と子どもで比較するということはされないのですか。
要するに、先ほどばらつきがある、地域によってどうのこうのという議論があったと思いますけれども、そうすると、これを基準としようと最初に属性を定めましたね。そうすると、何か矛盾してしまうような気がするのですけれども。
○駒村部会長 事務局から説明していただいてもいいと思うのですけれども、これはこの基準としてあって、でも、この中でも更にばらつきがあるのだと、それを考慮しましょうという話だと思いますけれども、今の御質問に対して何か事務局から説明ありますか。
○西尾課長補佐 勿論、技術的には夫婦・子1人世帯に限定して級地間の検証をすることは可能でございますけれども、一方で、例えば体系のところで世帯人員が3人以外のところも見にいくわけでございまして、そういった意味では、標準3人に限らないデータの上で検証ということもあり得るということでございます。
○駒村部会長
級地については、先ほどまとめましたような形で進めていただきたいと思います。
ちょっと時間にも余裕がございますけれども、特段委員の皆様からこれ以上議論がございませんようでしたら、これで終わらせていただきたいと思います。
最後に、次回の開催について事務局から連絡をお願いいたします。
○栃本委員 済みません。
○駒村部会長 栃本委員。
○栃本委員 今日はデータが出ていないので、基本原則というか、データが出る前の基本的な考え方についてきちんともう一度確認したというか、それで、先ほどの20歳というのと18歳、その他、データが出る前なのだけれども、こういうことについて留意しなければいけないということの確認と、ロジックをきちんと準備しておきましょうということで、本番はデータが出た後、けんけんがくがくの議論になるという理解をしています。
○駒村部会長 ありがとうございます。今のデータで、今の段階できちんと方針と分析の透明性、説明性を高めておこうと。この後、データ分析に基づいて基準の在り方、先ほど言った体系についての議論もしてきめ細かく影響を検証していくという流れだと思います。
ありがとうございます。よろしければ、これで終わらせていただきたいと思います。
事務局から次回の連絡をお願いいたします。
○伊沢課長補佐 次回でございますが、まだ調整中でございますので、追って御連絡をさせていただきたいと考えます。よろしくお願いいたします。
○駒村部会長 では、これで本日の基準部会を終わらせていただきたいと思います。
御多忙のところ、どうもありがとうございました。
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