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2011年12月19日 第18回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会 議事概要
医政局研究開発振興課
○日時
平成23年12月19日(月)13:00~15:00
○場所
厚生労働省 20階 医政局第2会議室
○出席者
(委員)
永井委員長 | 青木委員 | 春日井委員 | 貴志委員 | 木下委員 |
小島委員 | 島崎委員 | 中畑委員 | 中村委員 | 前川委員 |
松山委員 | 水澤委員 | 山口委員 |
(事務局)
厚生労働省医政局研究開発振興課 |
○議事
議事概要
すでに厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた金沢大学医薬保健研究域からの2件の申請、北野病院、先端医療センター、京都府立医科大学からの申請、あわせて5件について審議された。
その結果、継続審議の先端医療センター、京都府立医科大学からの申請は了承され、次回以降の科学技術部会に報告することとされた。北野病院からの申請は持ち回り審議となった。金沢大学医薬保健研究域申請からの2件の申請については、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。
(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1~5参照。)
(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年12月19日審議分
研究課題名 | 自己脂肪組織由来間質細胞を用いた再生医療に関する臨床研究-虚血性心不全に対して- |
申請年月日 | 平成23年2月17日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:金沢大学医薬保健研究域 金子 周一 |
対象疾患 | 虚血性心不全 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒト自己皮下脂肪組織由来間質細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 承認日から3年間、6症例 |
治療研究の概要 | 急性または陳旧性心筋梗塞による低左心機能患者に対して、自己脂肪組織由来間質細胞を経冠動脈的に投与し、その安全性、ならびに有効性についての検討を行う。 全身麻酔下に、腹部、臀部、または大腿部の皮下脂肪から脂肪組織を吸引し、脂肪細胞分離装置を用いて脂肪組織由来間質細胞を採取する。2x107個の細胞を冠動脈造影施行後に、3分間かけて動脈注入する。主要評価項目は安全性で有害事象の評価、その他心筋シンチ、MRIで心筋の活動性を確認する 。 |
その他(外国での状況等) | 本研究で用いる脂肪組織分離装置はヨーロッパではCE markを取得しており、急性心筋梗塞に対するAPOLLO試験および、冠血行再建施行慢性虚血性心不全を対象としてPRECISE試験が実施され、安全性を評価したところ。有効性確認試験を予定している。 |
新規性について | ヨーロッパでは急性心筋梗塞を対象とした検討がなされている。自己脂肪組織由来間質細胞群を用いた虚血性心不全に対する冠動脈内投与による再生療法の検討は我が国では新規。 |
(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年12月19日審議分
研究課題名 | 肝硬変に対する自己脂肪組織由来間質細胞の経肝動脈投与による肝再生療法の臨床研究 |
申請年月日 | 平成23年2月17日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:金沢大学医薬保健研究域 研究責任者:金子 周一 |
対象疾患 | 肝硬変 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒト自己皮下脂肪組織由来間質細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 承認後3年間、4症例 |
治療研究の概要 | 本臨床研究では、肝硬変患者を対象として、自分の脂肪組織より分離された間質細胞を、肝動脈より投与して直接肝臓へ運搬し肝機能を改善させる肝再生療法を行う。自己脂肪組織由来間質細胞の分離には、脂肪組織分離装置を用いて、完全自動無菌密閉式の自己脂肪組織由来間質細胞を分離、脂肪組織分離装置を用いて分離された細胞を、カテーテルを総肝動脈まで挿入し30分かけて投与する。 |
その他(外国での状況等) | 脂肪組織由来間質細胞を用いる試験として、ヨーロッパでは、急性心筋梗塞、虚血性心不全を対象に、本邦では九州大学において、乳がん術後の組織欠損患者に対する乳房再建の臨床研究が実施されている。 |
新規性について | 肝硬変を対象としては、骨髄由来間葉系幹細胞の経静脈投与による臨床研究が本邦を中心に報告されているが、脂肪由来間葉系細胞を用いる臨床研究は本邦では新規。 |
(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年12月19日審議分
研究課題名 | 骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷に対する第I-II相試験 |
申請年月日 | 平成23年6月28日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:財団法人田附興風会医学研究所北野病院 鈴木 義久 |
対象疾患 | 受傷後3週~1年の脊髄損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自家骨髄単核球 |
実施期間及び 対象症例数 | 登録期間(試験開始から2年間)、10症例 |
治療研究の概要 | 6ヶ月間の観察期間で治療の安全性、有効性を評価することを目的とする。局所麻酔下に、腸骨より骨髄液を100ml採取し、比重遠心法にて単核球を分離する。腰椎穿刺の手技にて脳脊髄液を2ml吸引後、骨髄単核球を含む液を髄液腔に注入する。 |
その他(外国での状況等) | ヒトに対して嗅球由来細胞,骨髄由来細胞等を脊髄損傷部位へ移植し機能回復を得たとする報告がある。2010年には米国でES細胞を用いた臨床試験が開始された。当グループにより急性期脊髄損傷に対する培養自家骨髄間質細胞移植による脊髄再生治療の検討が2005年より実施され、2010年6月までに5例に実施されている。 |
新規性について | 本研究は、骨髄単核球を用いている点で新規性がある。 |
(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年12月19日審議分
研究課題名 | 難治性角結膜疾患に対する培養自家口腔粘膜上皮シート移植に関する臨床試験 |
申請年月日 | 平成23年8月26日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:先端医療センター 外園 千恵 |
対象疾患 | 難治性角結膜疾患 |
ヒト幹細胞の種類 | 口腔粘膜上皮細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 平成26年9月30日まで、30症例 |
治療研究の概要 | 患者の口腔粘膜を採取して、CPCにてディスパーゼ・トリプシン処理の後に羊膜基質上で上皮細胞を培養する。フィーダー細胞NIH3T3を用いて培養口腔粘膜上皮細胞シートを作製し、手術室にて移植する。半年後に視力改善あるいは上皮欠損の修復あるいは眼表面癒着解除の程度をみて有効性を評価する。京都府立医科大学との共同研究。 |
その他(外国での状況等) | 本治療法は京都府立医科大学において2002年から72症例以上の実績があり、有効性、安全性についてある程度確立している。大阪大学と東北大学は温度応答性培養皿を用いた培養にて2011年に自家口腔粘膜上皮シート移植の幹細胞指針の承認を受けている。株式会社セルシードは同様の温度応答性培養皿を用いて作成した上皮シートに関する治験をフランスで実施し、2011年6月に欧州医薬品庁に販売承認申請を提出した。 |
新規性について | 培養自家口腔粘膜上皮シートの作成方法に新規性がある。更に高度医療を目指す。 |
(別紙5)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年12月19日審議分
研究課題名 | 難治性角結膜疾患に対する培養自家口腔粘膜上皮シート移植に関する臨床試験 |
申請年月日 | 平成23年8月31日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:京都府立医科大学 木下 茂 |
対象疾患 | 難治性角結膜疾患 |
ヒト幹細胞の種類 | 口腔粘膜上皮細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 平成26年9月30日まで、30症例 |
治療研究の概要 | 患者の口腔粘膜を採取して、先端医療センターに移送後、CPCにてディスパーゼ・トリプシン処理の後に羊膜基質上で上皮細胞を培養する。フィーダー細胞NIH3T3を用いて培養口腔粘膜上皮細胞シートを作製し、京都府立医大に移送し、手術室にて移植する。半年後に視力改善あるいは上皮欠損の修復あるいは眼表面癒着解除の程度をみて有効性を評価する。先端医療センターとの共同研究。 |
その他(外国での状況等) | 本治療法は京都府立医科大学において2002年から72症例以上の実績があり、有効性、安全性についてある程度確立している。大阪大学と東北大学は温度応答性培養皿を用いた培養にて2011年に自家口腔粘膜上皮シート移植の幹細胞指針の承認を受けている。株式会社セルシードは同様の温度応答性培養皿を用いて作成した上皮シートに関する治験をフランスで実施し、2011年6月に欧州医薬品庁に販売承認申請を提出した。 |
新規性について | 培養自家口腔粘膜上皮シートの作成方法、搬送のスキームに新規性がある。更に高度医療を目指す。 |
厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿
氏 名 所 属 ・ 役 職
青木 清 上智大学名誉教授
阿部 信二 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師
位田 隆一 京都大学大学院法学研究科教授
春日井 昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
貴志 和生 慶應義塾大学医学部形成外科教授
木下 茂 京都府立医科大学眼科学教室教授
小島 至 群馬大学生体調節研究所所長
島崎 修次 杏林大学救急医学教室教授
高橋 政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
戸口田 淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
○ 永井 良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
中畑 龍俊 京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野教授
中村 耕三 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局長
前川 平 京都大学医学部付属病院輸血部教授
松山 晃文 先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループグループリーダー
水澤 英洋 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
湊口 信也 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
山口 照英 独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査第一部
(敬称略)
○:委員長
<照会先>
医政局研究開発振興課
電話:03-5253-1111(内線)2587
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