ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会)> 第5回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会議事録
2011年10月24日 第5回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 議事録
年金局年金課
○日時
平成23年10月24日(月)
10:00~12:30
○場所
全国都市会館 3階 「第1会議室」
東京都千代田区平河町2-4-2
○議題
1.開会
2.議事
事業主団体及び労働組合等からのヒアリング(2)
・日本チェーンストア協会
・日本スーパーマーケット協会
・日本百貨店協会
・全国生活衛生同業組合中央会
・全国介護事業者協議会
・日本人材派遣協会
・全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟
(UIゼンセン同盟)
・特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ
3.閉会
○議事
○遠藤部会長 皆様、おはようございます。
定刻にそろそろなりますので、ただいまより第5回「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」を開催したいと思います。
皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
本日は、小宮山厚生労働大臣に御出席をいただく予定でございましたけれども、政務のためやむを得ず欠席となりましたこと、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
次に、本日の委員の出欠状況でございますが、岩村委員、岡崎委員、貝谷委員、久保田委員、福田委員からは御欠席の御連絡をいただいております。
また、佐藤委員、白波瀬委員は途中で退席される御予定でございます。
なお、貝谷委員の代理として篠原参考人、久保田委員の代理として藤原参考人、福田委員の代理として浜野参考人の御出席につきまして御承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、配付資料につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。お願いします。
○藤原年金局総務課長 おはようございます。
配付資料について、お手元の資料をご覧いただきたいと思います。
まず、議事次第、座席図、委員名簿とございます。それに続きまして、資料1-1~1-7まで枝番を振ってございます。
資料1-1、日本チェーンストア協会・日本スーパーマーケット協会・日本百貨店協会の連名でお出しいただいた資料でございます。
資料1-2、日本チェーンストア協会からお出しいただいた資料。
資料1-3、日本スーパーマーケット協会からお出しいただいた資料。
資料1-4、日本百貨店協会からお出しいただいた資料。
資料1-5~1-7は3つの協会に対しまして、本部会の方から事前にお送りをしたペーパーでございます。
資料2-1、2-2でございますが、2-1は全国生活衛生同業組合中央会からお出しいただいた資料、2-2は部会から同中央会に事前にお送りしたペーパーでございます。
資料3-1、3-2でございますが、3-1は全国介護事業者協議会からお出しいただいた資料、3-2は同協議会に事前にお送りしたペーパーでございます。
資料4-1、4-2でございますが、4-1は日本人材派遣協会からお出しいただいた資料、4-2は同協議会に事前にお送りしたペーパーでございます。
資料5-1、5-2でございますが、5-1はUIゼンセン同盟からお出しいただいた資料、5-2は同同盟に事前にお送りしたペーパーでございます。
資料6-1、6-2でございますが、6-1は特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむからお出しいただいた資料。なお、しんぐるまざあず・ふぉーらむからは、追加の提出資料ということでホチキスで綴じました2枚の紙を追加でお配りしておりますので、御確認ください。資料6-2は、しんぐるまざあず・ふぉーらむに事前に部会の名前でお出ししたペーパーでございます。
資料7「事業主団体・労働組合等への追加のヒアリングについて」というペーパーが最後にございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
お手元の資料は、よろしゅうございますか。
それでは、カメラの頭撮りはこれぐらいにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(カメラ退出)
○遠藤部会長 それでは、議事に入らせていただきます。本日は事業主団体・労働組合からのヒアリングの第2回目を行います。本日、ヒアリングをお願いいたしましたのは、日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、日本百貨店協会、社団法人全国生活衛生同業組合中央会、全国介護事業者協議会、日本人材派遣協会、UIゼンセン同盟、しんぐるまざあず・ふぉーらむの合計8団体の皆様でございます。どうも本日は、ありがとうございます。
できるだけ多くの団体からのヒアリングをしたいという趣旨で、本日は多くの団体にお越しいただいております。その結果、審議時間の制限が大変厳しくなっておりますので、大変申し訳ありませんけれども、各団体からの御出席者におかれましては御意見を簡潔に述べていただきたいと思いますし、また各委員のおかれましては質問を簡潔に、かつわかりやすくしていただくようにお願い申し上げます。
それでは、最初に日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、日本百貨店協会の流通3団体からのヒアリングを行います。
各団体からの御出席者を御紹介いたします。本日、お越しいただきましたのは、日本チェーンストア協会から、清水信次会長、井上敦専務理事、労働委員会の伊藤聡委員。
日本スーパーマーケット協会から、大塚明専務理事、株式会社ヤオコーの濱地敏夫常務取締役人事総務本部長。
日本百貨店協会から、業務推進部の岡部一郎部長です。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、御提出いただきました資料に基づいてお考えを時間が短くて申し訳ないんですけれども、10分程度、10時15分程度を目途に御説明いただければと思います。その後に意見交換、質疑をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○日本チェーンストア協会 御紹介いただきました日本チェーンストア協会の専務理事の井上でございます。時間も限られておりますので、まず、私の方から手短に質問1に答える形で資料1-1に基づきまして、私たちの意見を述べさせていだたきます。
まず、私たちは適用の拡大反対ということでございます。本件、制度全体の抜本改革の在り方、その中で議論をすべき課題だと考えておりまして、そうでありませんと現行制度の下での部分的修正は悪影響が大きいと憂慮しております。
まず、パート労働者でございますけれども、パート労働者の多くは日々の家計のやりくり、あるいはお子様の塾のお金をどうするんだと、こういうことで日々、頭を悩ませている主婦層が中心だと推測されます。年金制度をよく理解してくださいという注文の方が無理と言われるぐらいの複雑、難解な制度になってきております。そういう中でパート労働者が適用拡大というものを望んでいるのか疑問であります。また、その適用拡大は多くのパート労働者に負担増ということにもなります。家計の圧迫、消費への悪影響は避けられないところだと思います。
一方の企業、デフレが長く続いている中で追加的なコストを価格に転嫁できる状況では全くありません。そうかと言って負担を吸収する余力も無くなってきております。倒産して潰れるということを避けるためには、就労調整あるいは採用の抑制といった自己防衛を行わざるを得ません。こういうことが複合化して大きな負の影響になるのだと考えます。また、事務負担の増もバカにならないということでございます。
勿論、老後の所得保障あるいは気の毒な方々、この方々はどうするのだというのは本当に日本の安心社会というものを築いていく上で重要な課題だと思います。適用拡大というパーシャルな視点ではなくて年金制度全体の改革あるいは未納問題、こういう解決を通しまして年金制度全体への信頼回復。更に言えば、生活保護とか、あるいは福祉政策と産業政策との融合、そういったものを含めて介護サービスをどうやっていくのかという生活者視点の観点から、全体の議論について正面から取り組んでいく話だと思っております。
最後に、健康保険でございますけれども、パート労働者にも企業にも負担増になりますし、これも医療政策の在り方、そして、その中での負担の在り方、こういうものの全体的な議論こそしていく問題だと感じております。そういうことでございまして、この適用拡大という部分的なものの検討については反対、悪影響が大き過ぎるのではないかというのが結論でございます。
続きまして、スーパーマーケット協会から。
○日本スーパーマーケット協会 日本スーパーマーケット協会の大塚と申します。
私の方からは、質問2以降を掻い摘んで御報告させていだたきたいと思います。
特に食料品を中心としたスーパーマーケットにおきましては、売上変動が大変高い業種でございます。年間でも例えば12月と8月は高く売れますし、一ヶ月のうちでも週によっての動き、あるいは1週間においても曜日による動き、もう少し申し上げますと、1日のうちにおいても大変売れる時間が変わってくる。売れる時間が変わるということは、お客様の来店の数が変わるということでございまして、それに基づいて作業が発生しているわけでございます。
そういう観点から申し上げますと、私どもの業界としては短時間のユニットとしての労働単位を必要な時間に、あるいは必要な日にどれだけ積み上げるかということが大変重要なことでございます。また、パート労働者イコール女性の就業のチャンスと考えると、女性はどうしても育児の問題あるいは介護の問題等々がございまして、長い時間働きたい、あるいは働きたいけれどもその時期は働けないという問題があるわけでございます。この両方がうまくマッチングしたビジネスモデルとして出来上がっているのが、食品流通を中心とするスーパーマーケットであるわけでございます。
勿論、最近は能力という観点においては、パート労働者たちの能力を活用するという方向にどんどん移っているということは事実でございますので、そういう意味では、なお必要なところに必要な時間を投入するということを進めて参りたいと思っているわけです。
ただ、今回のことに関しましては、1つは、余りにも企業に対する負担が大きいと言うことです。このことは、しっかりと捉まえて行きたい。現実的に私どものパート労働者は50歳以上の人たちで、およそパート労働者全体の半分の構成を持っているということでございますので、このまま進めて参りますと、年金制度そのものが例えば保険料をもっと上げる、あるいは支払う保険料を下げる、ないしは開始時期をずらすということになってしまうと考えたときに、抜本的に原資を含めた見直しということを是非お願いしたいというところでございます。
以上でございます。
○日本百貨店協会 日本百貨店協会事務局の岡部と申します。
お手元の資料1-4をご覧ください。基本的なスタンスは御一緒でございますので、質問2と3のポイントだけ御説明させていただきます。
質問2-(1)、当業界のパート労働者の方々はあくまでも有期の短時間勤務者でございます。正社員と同様の業務ということではなく、定型的な業務、補助的な業務です。業界内の現状は、フルタイムに近い契約社員を除き約2万6,000人弱の中で、90%以上が女性でございます。
質問2-(3)、そのパート労働者の方の5割程度はヒアリングによって厚生年金に加入しているということを把握しております。残る5割の方々のほとんどが第3号被保険者であるということから、生計の中心ではなくその家庭における補助的な役割であるということでございます。
質問3-(1)、第3号被保険者が中心でいらっしゃるということで、配偶者の扶養から外れることを避けるために、労働時間を抑える調整をされる可能性が大きいものと思われます。
また、これは最近の傾向でございますけれども、60歳を超えた社員の方々が、短時間勤務で再雇用されている実態が多くなっております。ようやく軌道に乗って来た現役社員と再雇用の高齢社員の役割分担に非常に大きな支障を来たすのではないか懸念をしております。
質問3-(2)、より長く働くことを希望されないパート労働者の方々には育児期間中の世代が多く見られます。その理由としては託児・育児施設不足や経済的負担増が挙げられております。更に流通業に従事する方々の場合、土日祝祭日・夜間の受入れ先には大変困窮している状況がいまだに続いているということでございます。
○日本チェーンストア協会 日本チェーンストア協会会長の清水信次です。
私は日本チェーンストア協会の会長の他に流通業界4団体の名誉会長あるいは副会長を務めています。日本小売業協会の副会長も務めており、経団連の理事も務めております。それから、国策研究会とかいろいろな国の団体の理事長も務めております。御承知のように中曽根内閣のときの売上税導入には、中曽根さんとは盟友であったけれども、反対して売上税は廃案となりました。
本件、この短時間労働者の社会保険適用拡大について、最初に30時間の導入をやったときは、厚生省年金局の一課長の地方自治体に対する通達で始まって、そのときに差止め訴訟を私はやろうかと思ったのですけれども、政府と役所の方のいろいろな説明、願いで、そのときは今後2度とこういうことはやらぬという誓約のもとに取り止めました。
平成15年、同じ20時間の短時間労働者の問題が提起されて、そのときも反対したけれども、どうしても厚生労働省がやる、政府がやるというので、私は反対運動の先頭に立って流通18団体を組織して全国で反対運動をし、国会陳情をして、これを差し止めました。
ところが、その4年後の平成19年、ここで第2回目、また同じ20時間の短時間労働者に対する今回と全く同じ要求が出されて、それをわずか1時間半の問題で強行しようとした。私はやはり反対運動の先頭に立って、それも全国で反対運動を展開し、当時、自民党でしたから自民党の総理以下、各大臣、局長にも話をして、これを差し止めました。
これで今回、3回目ですよ。一体、何を考えているのでしょうか。大体、年金問題というのは、その大本である国民年金の保険料が現在、幾ら徴収できているかというと、58%しか徴収できていない。未加入の者を入れると、半分も徴収できていない。だから、年金制度というのは国民の理解と支持がなければ成立しないのです。それが一番大本の国民年金の保険料が実質上、半分しか徴収できていない。
その他に御承知のように、5年前の安倍晋三内閣のときに発覚した社会保険庁の管理不手際で延べ5,000万人の年金の記録が散逸したり消失したりしています。しかも、職員の不正問題、横領問題が発覚して、この問題も1~2年は騒がれたけれども、社会保険庁が消滅して、社会保険機構に変わって、あれは昔のことだったということで終わっています。
今回、これをどうしても厚生労働省年金局でやるというなら3回目になりますが、私は先頭に立って、また全国の流通団体を糾合して反対運動に立ちます。720名の衆議院、参議院議員に対して実情を文書や口頭で訴えて潰してみせる。こういう決心で今日、ここへ来ております。
だから、皆さんの御苦労はわからないでもないけれども、日本の1億2,600万人、この人たちの生活、年金をどうするかということは、もっと根本的な問題であります。パートタイマーの人たちは自分の生活時間を調整して、そして、住宅ローンの支払いのため、あるいは自分たちの子どもの学費、塾に通う費用のため、あるいは御主人の生活費の不足部分を補うために、本当に一生懸命に働いておられる。私のところにも3万4,800人の従業員がおりますけれども、この80%は女性のパートタイマーですよ。この人たちが働き日々接していて、この人たちにそんな負担をかけるなど、もってのほかだと思います。
もっと根本的な年金制度の見直しをやらなければ、もし短時間労働者の問題をどうしてもやるというならば、及ばずながら売上税を潰したとき、大規模小売店舗法を潰したとき、あるいは容器包装リサイクル法で6省庁相手に訴訟を3年間やって、これのアップを差し止めたのですけれども、同じことをまたやろうと思っています。
私は85歳ですよ。太平洋戦争に2年間従軍して、最後、特別攻撃隊で9月1日に出撃命令を受けていた。8月15日に終わったから助かって、ここにいる。今日、死んでもいい、明日、殺されてもいいという思いで今日まで私は闘ってきた。私は戦犯の救護をやろうとして、GHQに占領政策違反で拘束されたこともある。いつ死んでもいいから、今度の問題は3回目、許すことはできない。だから、やれるものならやってみなさい。私は闘ってみせます。
以上で私の意見を終わります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
限られた時間ですので、御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの流通3団体の御意見につきまして御質問、御意見はございますか。30分程度、10時45分ぐらいを目途にと思っておりますけれども、どなたからでも結構でございますので、御質問、御意見をいただければと思います。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 大変ありがとうございました。
簡単な質問なのですけれども、日本百貨店協会様の方から出ています回答の2ページ目なのですが「現役社員と再雇用高齢社員との仕事の役割分担等に支障をきたす恐れがあると思われる」ということが中ほどの質問3、(1)の最後の行にあるのですけれども、この点について御説明をお願いいたします。
○遠藤部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
○日本百貨店協会 企業内で世代交代をしていかれるという中で、60歳以上の方々の意識改革、また現役の方々の意識改革が進んでいる今、60歳以上の方が、現在の仕組みの中で短時間勤務されることによりうまくマッチングをしています。これから更に60歳以上の方々の職務開発等を行っていく中にあって、制度改革が行われると、支障を来たすのではないかということでございます。
○遠藤部会長 白波瀬委員、よろしいですか。
ほかに御意見、御質問は。
中島委員、どうぞ。
○中島委員 幾つか質問をさせていただきたいと思います。
パート労働者の属性については、百貨店協会の資料にはデータがありましたが、チェーンストア協会とスーパーマーケット協会の資料には特に数字がありませんでした。パート労働者イコール主婦層と仮定して、御説明をいただいているように思いますが、主たる生計維持者あるいはシングルマザーで御自分のために働かなければならない方と主婦層との割合などのデータがありましたら、数字を教えていただきたいと思います。それが1つ目の質問です。
それから、今回の課題は、年金制度等の抜本的な見直しがないと根本的に議論に値しないという御意見が何度かあったかと思いますが、抜本的な見直しというのは具体的にどのようなイメージをお持ちであるか教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ただいまの2つの御質問ですけれども、最初の御質問はデータの要求でございますが、チェーンストア協会さんとどちらでしたか。3団体とも全部でよろしいですか。
では、ただいまの2つの御質問について、どなたでも結構でございますので、お答えできる範囲で結構ですが、よろしくお願いします。
どうぞ。
○日本チェーンストア協会 パート労働者のいろいろな属性やあるいは家計の事情のファクトとしてのデータはプライバシーの問題もあり把握はしておりません。ただ、会員からの聞き取りあるいは会員の皆様方に日々接しているという中での実感として主婦層が多いということでございます。更に踏み込んで補助的なものなのか、生計を維持するものなのか。そこは心情の問題でもありますし、なかなか掴みづらいということでございます。
2番目の御質問、これは本当に難しい質問だろうと思います。いろいろな考え方があります。従いまして、私見を述べるのであれば幾らでも述べますけれども、組織としてはというのは御勘弁いただきたいと思います。ただ、言えることは経済成長と社会保障をどう考えていくのかということが大きな1つの視点です。それから、これだけグローバルになっている中で中国等の新興国の台頭、こういう中で日本が今後、何で飯を食っていくのか、これは大事な視点だと思っています。
もう一つは、先程申しました給付の方について行政とプライベートカンパニー、そういったところからどう提供していくのか。これは年金の話というよりは、むしろ保育であるとか介護とかの話かもしれませんけれども、こういう福祉政策と産業政策をどう考えていくのかということです。
もう一つ、年金の話になりますと、給付等の負担です。負担の問題として、これを個人なのか、あるいは家庭なのか、企業なのか、国民なのか。これを仮に一元化としたときには、そこをガラポンにして、先程申し上げました経済成長との関係において、どのぐらい企業の負担にしていくのか。その辺りをきちんと議論するということが論点だろうと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、引き続きお願いいたします。
○日本スーパーマーケット協会 スーパーマーケット協会でございます。
委員の最初の質問は、先程井上専務理事が答えたようなことでございまして、働く中身でどういう状態なのかということを一つ一つは把握しておりません。
ただ、同じような感覚で、限られた企業の数値あるいはニュアンスになってしまいますけれども、例えば103万円問題、ないしは130万円問題でそこで線を切っている方が大変多いということは補助的な勤め方をしているという推測もできるかと思います。この件に関しましては、今日、出席させていただいております会員のヤオコーという会社の人事部長がおりますので、後でお話をさせていただきたいと思います。
それから、抜本という意味合いは制度そのものも問題もあると思いますし、制度をどうやって維持するかという問題もあります。あるいは制度変更に伴う、例えば直接負担が増加するなどの問題もありますし。あるいは取り巻く経済環境の問題もあります。様々なところから考えなくてはいけないと思っております。これも私見に近い形で恐縮なのですけれども、一番の問題は制度維持という問題において、今のやり方で30年後、50年後、本当に維持できるのだろうかということを心配するものでございます。
私どもの業界に勤めている多くの人たちは、積立てのような感覚で理解をしている方が多いのです。これだけ積んだのだから、もらえる。でも、そうではないぞというところから、いろいろな意味で議論を深めて、いわゆる維持可能なのかどうかという問題と少子化に対してどうなのか。あるいは経済が安定的に成長すれば全然問題がないのでしょうけれども、そうではない時にどういう形になるのかということも含めて御審議といったらいいでしょうか、そんなチャンスがあったらいいなと思うわけです。
○株式会社ヤオコー 私は協会に加入している一企業ですので、協会としての相対的な数字をお示しできませんが、今、御質問にありましたパート労働者が主たる生計維持者かどうかということのデータについては、なかなか個別に把握し切れていませんが、仮に既に保険に加入している方と今、保険に加入していない方の分布を見ますと、32歳ぐらいまではほぼ半々です。パート労働者の50%ぐらいの方が保険に加入されています。加入されてない方が約半分です。
三十数歳から65歳までは、少し見づらいのですけれども、赤が保険に加入していない方、青が加入している方ということで年齢をとっていますが、圧倒的に保険に加入していない方が多くなっているという状況です。
実態として、もう一つだけ。103万円の対策がありまして、我々は12月が大変忙しいのですが、パート労働者は1月から自分の累計を計算していまして、12月の給与が年末調整なものですから、11月になると、労働時間の調整をかなりの方がされます。要は103万以内でということで業務に支障を来すほど、それが多発するということですので、相対的には補助的な生計維持をしている方が大半だと理解をしています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
清水会長、どうぞ。
○日本チェーンストア協会 先程年金制度の抜本的改革というのは、どういうことかという御質問があったのですが、この日本国をどうするかという大きな課題の中の1つの大きな案件であって、現在、日本の国政を見ると、国会議員720名、永田町で本当は日本国の10年、30年、50年、100年先の在るべき姿を衆知を集めて研究し、努力して、その結果を霞が関の世界一優秀と言われる官僚に、これの実現化を指示するという体制でないのですよ。
そして、私に言わせると、大体国家というのも企業と一緒で経営なのですよ。企業経営も国家経営も一緒。ところが、この国家経営という大事な経営に当たる衆参両院議員、与党、野党含めて本当に企業経営をやったことがあるかというと、そういう人はいないんですよ。この日本国をどうするかという大きな視点の論議が未だかつて、なされていない。
戦争が終わったとき、日本は焼け野原で150都市が全部焼き尽くされて、あの戦争で400万人の人が殺されて、750万人が海外から陸海軍の兵隊、在外邦人が帰ってきて、日本が海外に持っていた資産は全部没収されて、しかも、この焼け野原になった日本の火災保険など国家は一度も払っていない。それから、亡くなった戦死者、その生命保険も一度も払っていない。戦争中に出した国債の償還もしていない。これはアメリカ占領軍のマッカーサーが戦時補償を一切打ち切るという通知を出したためにそうなった。
その焼け野原で何もない。15年戦争して、そして飢えて、本当にマッチ1本ない、食べる物もない。政府は配給もできない。米の配給も魚の配給も肉の配給も何もない。その中でみんなが必死に政官民で力を合わせて、そして、這い上がってきて、戦争が済んでわずか23年目に世界193か国の中のアメリカに次いで2番目の経済大国になった。それが昭和43年。それから、今日まで42年間、平和が続いて反映が続いて世界一贅沢な生活をして、その間に緩んでしまって全部がおかしくなっている。その中で、これからこの国をどうするというのですか。アジア諸国はどんどん猛ってくる。
財務省は借金の話ばかりしている。九百何十兆、国債残高がある。地方の借金を入れる、あるいはいろいろな借金を入れると、国は1,200~1,300兆円の借金がある。その借金があるのは確かでしょう。私もその勘定の内容をよく知っておる。ところが、資産勘定を言ったことがない。資産が幾らあるか、内閣府の調査では8,016兆円ある。これは帳簿価額と償却済みの価格。そのことを言わずに、今度の東日本大震災の復旧についても財源がない、復興税を導入するあるいは消費税を上げる、そんな話ばかりしている。そこへ、この年金の問題もそうである。
だから、抜本的と言われれば、この国はどう在るべきかということを根本から国会で議論して、その結果を霞が関の官僚に下げて、そして、政官民が戦争が終わったときの気持ちでもう一回、努力しなければいけない。今、我々が知っている戦前の日本、戦争中の日本、戦後の焼け野原の日本から見たら本当に国を挙げて贅沢過ぎる。明治維新では2,750万人だった、それが1億2,770人まで増えて、今、減りだしています。一体、この国の国土と資源と人口、適正人口は幾らかと、国会でそんな議論もしたことがない。
だから、今、年金の抜本的改正について、どういう案があるかという御質問ですけれども、この国家がどう在るべきかという議論から始まって、そして、年金の問題をやらなくてはだめだと思います。戦後、日本はいろいろな厚生福祉、厚生省の役人が北欧へ行って、人口が500万人か1,000万人の福祉国家を見て、それを日本に持ち込んだのですけれども、人口1億2,600~2,700万人の日本が、あの北欧の福祉国家のまねをしたって出来ないし、もたない。だから、基本的に厚生労働省も国家もこの国をどうするかという議論をもう一回、真摯にやってもらいたい。
今日、こういう機会を与えていただいて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
先程、お話の中で株式会社ヤオコーのお名前が出ましたけれども、何か御説明があるわけですか。
○日本スーパーマーケット協会 会員企業として出席させていただいております。
○遠藤部会長 失礼いたしました。
他に御質問ございますか。
小島委員、どうぞ。
○小島委員 ありがとうございます。
清水さんにおかれましては3度目のお話だということでしたが、私ども労働組合としても3度目の挑戦ですので、是非よろしく御議論をいただきたいと思います。
今、社会保障制度全体あるいは国の在り方をどうするかという話がありました。そういう視点から言いますと、日本は人口減少社会に入り、既に人口が減ってきています。今後、10年、20年経ちますと、労働力人口も減っていきますので、女性も含めてきちんと社会に参加して働いていただくということでないと、日本の社会全体がもたないということは、共通した認識だと思っています。そういう観点からしますと、今、パート等で働いている女性の方々もしっかりと社会に参加して、働き手として頑張っていただくということが必要だと思います。
今、雇用労働者のうち4割近くが非正規、パート労働者と、非正規雇用の比率が高まってきておりますので、働き手を増やすということと、併せて社会保険制度を支える、「支え手」を増やすことが必要だと思っております。
今回の社会保険の適用拡大という視点、また、日本のこれからの社会をどうするかという大きな観点から、確かに個別企業で負担増になるというはあると思いますが、今後の大きな方向として、社会全体で社会保障あるいは社会保険制度を支えていく、そのために「支え手」を増やしていくことが必要であると思います。まず、このことについて、どうお考えなのかをお聞かせいただければと思います。なお、必ずしもパート労働者の皆さんが、全員第3号被保険者ということではないと思います。
2つ目は、支え手を増やすということに関連しますが、仮にパート労働者の方に第3号被保険者が大勢を占めたとしても、第3号被保険者の保険料を誰が負担しているかを考えますと、今後、第3号被保険者で、保険料負担をしない方が増えていくと、第3号被保険者の保険料は、厚生年金に加入している第2号被保険者が負担することになっていますので、その分、第2号被保険者の厚生年金保険料が増えていくということになります。
そのため、1番目に質問した、社会保険料を負担する支え手を増やしていくという観点も必要になってくるのではないでしょうか。そうしないと、年金制度自体がもたないということになります。社会保障制度の中の年金制度をどう維持していくかという点も含めて、各3つの協会の皆様がどうお考えなのか、是非お聞かせいただけますか。
○遠藤部会長 それでは、よろしくお願いします。
○日本チェーンストア協会 今、年金がもたないというお話と人口減少のお話がありましたが、先程申し上げたように国民年金の保険料は、実質半分しか徴収できていない。それから、企業の厚生年金の保険料も、もう払えていない中小企業もたくさんあります。だから、今、人口減少の問題を言われておりましたけれども、一体この国の適正人口は幾らかということを議論したことが国家としてあるのかどうかということです。
徳川時代は徳川家康が江戸開府をして、徳川慶喜の江戸城明け渡しまで265年間続いたけれども、日本の人口は2,760万人以上になったことは1回もない。それから、下限が大体飢饉が続いていた時で2,500万人、この人口の年間総計は各大名からとった調書が現在も江戸城の中の御文庫に入っていますよ。
明治5年に戸籍法ができて調査してやって3,000万人、それから、どんどん殖産振興、富国強兵で人口が増えていって、私が生まれた大正15年は人口6,000万人。そして、あの戦争、国民が何も望んでいないのを総理大臣を5人も暗殺して、大正10年原敬を暗殺、昭和5年に濱口雄幸を暗殺、昭和7年に犬養毅総理を官邸で海軍将校が暗殺。その後、昭和11年には齋藤實と高橋是清総理大臣をやり、内大臣、大蔵大臣現職を暗殺。5人も総理大臣を暗殺して、あの戦争へ持っていって、それで戦争が終わったときの昭和20年の人口は7,200万人。それから、帰って来た兵隊さんなどが一生懸命に子供を増やして1億2,700万人。世界人口で10番目ですよ。この国はもたないですよ。
だから、少子高齢化と言われて人口を減らさないようにとか経団連の諸君、大企業の人が移民を入れろと言っているけれども、大反対。本当に世界193か国で日本ほどいい国民、いい国家は世界中を五十何年か歩き続けたけれども、こんないい国はない。この国をもっと政治も行政も我々民間も大事にしなくてはいけないのに、どうもそういう方向性が見えない。
だから、御質問のあった人口減少は大賛成。ただ、その過程の痛みをどう分かち合うか。そういうことをもっと大きな立場で議論すべきで、そんな第3号被保険者がどうの、あるいは労働時間20時間のパート労働者がどうの、そんな議論をするときではないのですよ。だから、これには私は大反対。絶対に潰してみせる。
以上で終わります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
小島委員は各団体と言われましたので、それでは、他の協会からも私見になってしまう可能性もあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
○日本スーパーマーケット協会 日本スーパーマーケット協会でございます。
御発言のとおりだと思います。これから女性の労働力という言葉がいいのかどうかわかりませんが、たくさん社会に出て活躍の場を広げるということは極めて大切なことだと考えています。しかしながら、そのことがイコール年金問題なのかということではないような気がしております。
例えば育児であるとか介護に関するサービスを社会全体がどうやってつくるのかであるとか、あるいはなかなか外に出にくい人たち、つまり出産、育児、介護などのために仕事を辞めざるを得ない女性などの生涯教育の場をどうやってつくるのかということも含めて、総合的な意味での社会保障が極めて大事になってくるという認識をしております。
もう一つは、だからこそ根本的に見直すチャンスをいただきたいとお願いしたいのは、第3号被保険者の問題が解決したら、この年金そのものがしっかりと磐石なものになるのかどうかという、その辺りの疑問が多少あるということでございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
引き続きお願いします。
○日本百貨店協会 1点だけお話しさせていただきますと、女性の働き方の現状として、先程も申し上げましたけれども、託児・育児施設不足については、流通業に携わる方がいまだに土曜、日曜、夜間について非常に困っているわけです。先般の節電対策で、ある業界さんが土日操業されて、子供さんの預け先に大変困られたということをお聞きしました。ようやく気付かれたのかなというところが流通業界の思いです。こういった育児支援等も含めた一体改革ではなく、パート労働者への年金適用拡大の部分だけが先行されると、歪みが出るのではないかと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
まだ議論を深めたい気持ちはあるのですけれども、予定していた時間になりましたので、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
それでは、これにて日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、日本百貨店協会、流通3団体からのヒアリングを終了したいと思います。各団体からの御出席の皆さんにつきましては、本日は本当にお忙しい中、貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、引き続きまして全国生活衛生同業組合中央会からのヒアリングを行いたいと思います。同中央会からの御出席者を御紹介いたします。
本日、お越しいただきましたのは、全国料理業生活衛生同業組合連合会会長の藤野雅彦副理事長、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会会長の青山亨理事、全国飲食業生活衛生同業組合連合会会長の加藤隆理事、同中央会の小宮山健彦専務理事です。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、先程と同じように御提出していただきました資料を基に、お考えにつきまして5分程度で恐縮なのですけども、今から10時55分ぐらいを目途に御説明をいただいて、その後、質疑で議論を深めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○全国生活衛生同業組合中央会 全国生活衛生同業組合中央会の副理事長をやっております、藤野でございます。本日はヒアリングの機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
我々の業界は零細という上に「超」が付く超零細企業の集まりで、事業体としては約115万事業所、就業人数としては約660万人。こういう超零細企業の集まりでございます。バブル崩壊、リーマン・ショック、3.11大震災、こういった大変な厳しい経済状況の中、デフレ不況が続いております。ここでの廃業は2~3割に達しておりまして、大変な厳しい業界でございます。
そんな中で1つだけ皆様方に御理解をいただきたいのは、本当に社会保険料を払えるのか、払えないかという瀬戸際の企業がたくさんございます。社長の給料、または店主の給料を削って何とか社会保険料を払っている。この負担が大きくなれば廃業するしかないということも起こり得ると思います。こういった大変厳しい状況でございますので、我々としては国民皆保険や全員の年金制度については在るべきだと思っております。全体としては大賛成でございますけれども、是非、我々の業界の窮状も汲み取っていただきたい、こういうことでございます。
詳しくは専務理事より説明をいたします。
○遠藤部会長 お願いいたします。
○全国生活衛生同業組合中央会 では、資料に基づきまして時間が限られておりますので、手短に説明をさせていただきます。
1ページ目、生活関係営業の概要でありますが、国民生活に必須のサービスである飲食店、理・美容等の16業種。それから、国民に身近な対人サービス、1日、1人1回は関与するであろうと言われております。
ただし、衛生規制を受けているということでありまして、具体的には下の法律によりますが、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律で16業種が指定をされておりました。この法律の目的は衛生施設の整備あるいは経営の健全化、営業の振興を通じまして衛生水準の向上、確保を図る。併せて消費者、利用者の利益の擁護を図るという目的でございます。一番下に食品衛生法、ほかに理容・美容・クリーニング業法等、衛生規制を受けているというのが特徴であります。
2ページ目、特徴でありますが、先程説明いたしましたとおり115万か所、20%を全事業者のうち占めています。661万人もの従業者が就労しているということであります。
ただし、下段で、従業員5人未満が70.4%。10人未満を見ますと86.1%という極めて超零細な事業規模がほとんどであります。
3ページ目、他の産業と比べて人手によって成り立っているもの。上の表の右側のクリーニング、理容、美容で48.7%。その左が一般飲食業35.5%。他のブルーのところと比べて非常に人件費率の割合が高い。
下に参ります。これは総務省の経済センサス平成21年でありますが、全産業においてはパートタイマーが35.8%に対しまして、生活衛生関係営業はパート率が67%。特に飲食店でいきますと、77%という極めて高い率になっております。
4ページ目、就業実態でありますが「主に専門的な知識・技術を要しない」と書いてはございますけれども、実は接客業等、なかなか大変な仕事もございますが、ここに書いてあるようなことに従事しておりまして、年齢的には学生から高齢者までの幅広い層の人々が事業者側と本人の都合に照らし合わせながら、学費や家計費の一助となるよう就労しているのが実情であります。
2番目、1日当たりの勤務時間は概ね3~6時間。1週間当たりの勤務日数は2~5日間程度であり、16業種ございますので、それぞれのお店の事情あるいは業種の事情によって、かなり多様化しているというのが実態であります。
給与の支給額は他業種と比べて低い実情にあります。また、パート労働者自らの選択により、社会保険の適用対象とならないような配慮がされているケースも多いと考えられます。
5ページ目、表がありますが、これは料理業、飲食業、クリーニング業でまとめたものでございまして、そう多くの調査ではありませんけれども、特徴を申しますと、料理業の一番下、主婦が中心、学生パート雇用が35%であります。年齢的には50歳程度です。
真ん中の表ですが、飲食業。30~40代の主婦、学生が中心でありまして、お昼どきは主婦が中心、夕方以降は学生が中心ということであります。
クリーニング業、何といっても衣替え等、季節あるいはお店によってまちまちでありますけれども、季節によってかなり変動があるということであります。工場作業については衣替えの時期に多数のパート労働者を雇用する。それ以外は余り要らないということであります。
6ページ目、それぞれの業界の意見の例でありますが、食堂経営者の方は、勤務割について、パート労働者が前週までに次週の就労可能日を店長に提出して、それによって勤務予定を作成している。このため年間の収入予測が極めて困難でありまして、正社員と同様に厚生年金を適用することは、馴染まないのではないかと思います。
2つ目でありますけれども、リストラや倒産に追い込まれるなど景気は非常に厳しいものとなっています。先程申し上げましたとおり、営業者自身が年金の保険料を払えない状況です。特に飲食業は廃業率も高く、経営に与える影響が大きいです。
クリーニング業は先程申し上げましたけれども、年間を通じて仕事量の差が極めて大きいです。こういったことであります。ただし、パート労働者の比重が極めて大きいということでありますが、一方で人手不足は慢性化しており、厚生年金適用拡大等が行われれば、働き手が集まらないばかりか経営者の負担増と相まって、かなりの業者が瀬戸際に追い込まれるということでございます。
7ページ目は、私ども中央会の基本的な考え方でございますが、パート労働者への社会保険適用拡大については、労働者に対し労働者の保険を適用する原則論には賛成であります。ただ、零細な生活衛生関係営業者の経営は非常に苦しいと思いますし、景気に非常に左右されやすいという特徴があります。
したがって、パート労働者への適用拡大には以下の懸念があるということで3つ書いてあります。
なんといっても零細事業者に重い保険料負担がのし掛かるということであります。就業時間の短い被扶養者の労働者については保険料負担が不要となる。結果として、経済的に超短時間労働者を雇用しようとする気運が高まる。超短時間労働者の場合、技能の蓄積が進まない。したがって、サービスの質の低下の懸念ということでありまして、適用拡大については生活衛生関係営業の経営に非常に大きな打撃を被る。あるいは廃業に追い込まれることが余儀なくされる等のことで賛成はできないという立場であります。
8ページ目は、私ども中央会の概要です。連合会が16連合会、その下に各都道府県に573組合。600未満の組織があるということであります。
資料の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見、御質問がある方、御自由にどうぞ。
小島委員、どうぞ。
○小島委員 ありがとうございます。
まず、説明いただきました資料のデータの読み方ですが、2ページに従業員規模別の比率が出ておりますけれども、この中で事業所数は115万か所とあります。現在、社会保険の適用を受けている強制適用事業所は、どのぐらいの比率を占めているのでしょうか。5人未満の個人事業所や旅館業、サービス業関係では、強制適用ではなく、適用除外になっているところもありますので、衛生関係営業の事業所の中で適用事業所がどのぐらいの比率か教えていただきたいというのが1つ目の質問です。
もう一つは、3ページにあります下の右の円グラフ「生活衛生関係営業における常用雇用者の構成割合」で、約3分の1、33%が正社員ということでありますが、その正社員のうち、社会保険、厚生年金にどのぐらいの方が適用されているのでしょうか。
この2つについて、お聞かせいただきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
○全国生活衛生同業組合中央会 細かい部分はわかりませんが、大体2割程度ぐらいかなという感触ではおりますけれども、精査してみませんとわかりません。法人格を有するか、あるいは有しないかという点では、そのような理解をしております。
○小島委員 2割ぐらいが強制適用事業所ということでよろしいでしょうか。
○全国生活衛生同業組合中央会 あと、業界によっても非常にばらつきはあります。
○小島委員 2点目の方はいかがですか。3ページの正社員の方の適用状況についてはどうでしょうか。
○全国生活衛生同業組合中央会 同じような状況でございます。
○小島委員 2割ぐらいでしょうか。
○全国生活衛生同業組合中央会 はい。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
他にございますでしょうか。
佐藤部会長代理、どうぞ。
○佐藤部会長代理 最後のところで原則適用は賛成だけれどもということで、ただ、以下のような懸念があるという御指摘がありますけれども、そうすると、例えば非常に短い方で働くという選択をするのではなくて、ある面ではもう少し長い方を選択し、もう少しスキルを高めていく方向に回る仕組みができるとか、あるいは短期的には企業に対する負担が軽減されるという仕組みがあるということがあれば、受け入れられるお話と理解してよろしいでしょうか。
○全国生活衛生同業組合中央会 働く方も制限以内で働こうという意識が非常に強いです。経営者の方は、そういう人たちを前提にして企業の負担を減らそうという考えですから、その辺りの仕組みがどう変わるかによって違ってくると思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
ありがとうございます。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 ありがとうございました。
1点だけ、教えてください。この業界が大変苦しいという状況も浮き沈みが激しいという状況も存じ上げているのですけれども、現時点で廃業に至った場合の主な理由は把握されておりますでしょうか。
○全国生活衛生同業組合中央会 一番多いのは不況でございます。お客様が来ていただけない、そういうことでございます。
○遠藤部会長 どうぞ。
○全国生活衛生同業組合中央会 年齢が高齢者で跡継ぎがいないということも主な理由で、息子がいて帰ってきてやるかといっても、やっても自分の将来の見通しがつかないという、それほど飲食業の状況は厳しいわけでございます。
何を削るかといえば、人件費を削る、パート労働者を削るということで材料費を削れば、お客は来ませんので、その辺りの飲食業の苦しさは外食産業の大手の狭間とコンビニの中で、自分の今までやってきたシェアを守るには大変な苦労があります。何としてでもそれを守るには、どうしてもパート労働者を使いたくても使えない状態がございます。
この中で御承知のように、我々飲食業の場合、今の状況は大変厳しい状態でございます。その辺りを御理解いただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、引き続き、どうぞ。
○全国生活衛生同業組合中央会 全国クリーニングでありますが、経営者の高齢化と後継者難、これが第一であり、あと、過当競争による料金競争で経営難に陥っていく方が多いということが大半を占めると思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
他によろしゅうございますか。
それでは、どうもありがとうございました。
これにて全国生活衛生同業組合中央会からのヒアリングを終了したいと思います。御出席の皆様、どうもありがとうございました。
引き続きまして、全国介護事業者協議会からのヒアリングを行います。同協議会からの御出席者を御紹介いたします。
本日、お越しいただきましたのは、株式会社日本医療事務センター福祉事業部長でいらっしゃいます、協会の佐藤優治副理事長です。よろしくお願いいたします。
それでは、これまでの報告と同じように御提出いただいた資料を基に、お考えを述べていただきたいと思います。時間は5分程度でお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○全国介護事業者協議会 ただいま御紹介に預かりました民間事業者の質を高める全国介護事業者協議会副理事長をしております、佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、今日は専務理事も同行しておりますので、よろしくお願いいたします。
御提出させていただきました資料は、御質問に沿って回答書という形で提出させていただきました。
その前に当団体について若干、御紹介させていただきたいと思いますが、介護事業全体の団体ということではございません。加盟企業は450社程度の団体でございます。社会福祉協議会様や農協様、生協様等々の各団体がある中で、本日、こういう御機会をいただいたということを大変光栄に思っております。
当団体に加盟している企業は冒頭にありますとおり、全てが民間企業でございます。その成り立ちは、ほぼ3割が介護保険制度以前の開設企業の加盟になっています。7割が介護保険開始後の加盟、あるいは創設、創業の企業という形になっております。
その事業規模につきましては非常に小規模の事業者が多くなっておりまして、100~50名の企業が大体2割、50名以下の企業が5割という状態になっております。更に10名以下の企業が7%というのが当協会の構成になっております。500名を超える大企業等々については6%しかいないという状態でございます。
そういうところから当団体の各会員、理事から意見を求めて回答いたしましたのが回答書になっております。冒頭、まず、問1~4というところで全体というよりは、掻い摘んで回答書について御説明させていただきたいと考えております。
問1の「パート労働者への社会保険適用のあり方について」という、お問い合わせにつきましては、私どもとしましては正規雇用、非正規雇用にかかわらず、労働者が年金、保険等々に適用され、老後、社会的な不安が緩和される形で拡大されることについては大きく賛成と思っております。しかし、今、この時期にパート労働者だけ20時間に拡大という議論は果たしてどうかということを1つ問題提起させていただきました。
働いている労働者につきましても、収入が非常に少ないのです。既に常勤者対比4分の3以上の労働者に対しては、適正に保険がかかっております。しかし、今回の御議論の題材になっておりますのは、20時間以上30時間未満という極めて所得が少ない層の方々の議論と受け取っています。これについての適用拡大については、理想はそうであっても慎重に御議論いただきたいと考えております。
この中で私どもが把握しております数字としましては、問2の方に回答しましたが、約4分の3稼働の人たちの保険適用者を考慮した上で15%ぐらいが第1号被保険者に該当するような保険者群ではないかと感じております。第3号被保険者の方々が非常に多いという判断をしているというところでございます。
その中で今、厚生年金は9万8,000円という1つの標準報酬の設定がありますが、この枠内にどれだけの人が入るのかということが、非常に我々としては疑問に感じております。国民年金の第1号被保険者になれば、1万5,000円相当の保険料で基礎年金がきちんと支給されるという状況がある中で15%の第1号保険者に見合うような方々が果たして、どの程度この給付を受けるにふさわしい所得層になるかということは非常に疑問だと考えています。
また、第1号被保険者と第3号被保険者の中での企業負担の問題が発生する中で、国民年金保険料で1万5,000円を正規でお支払いの方と、そうでない半額が企業負担という中での不公平も実は出てくるのではないかと感じております。
また、国民年金の良さもありまして、問2の中段に書かせていただいておりますとおり、国民年金は保険免除制度があるという中で、厚生年金に入った場合には逆に低所得労働者の負担増を増すのではないかという考え方もあるのではないかということで問題提起させていただきました。
問1の最後の(6)で、私たちとしましては、非常に労働集約型の産業の1つだと思っておりまして、日本の中で雇用をかなり担っているのではないか。多くの企業が特に電機、自動車等々の産業が海外に労働者を雇用して、コストダウンをかけて国内の雇用についての責任を多く我々が担っているという状況を踏まえていく中で、こういう産業にだけ負担が入ってくるということについて、どのように我々としては対応したらいいか。逆に、それはお聞かせ願いたいと思っております。
また、そういうことを是とするならば、そういう産業に対する税的な部分も含めた対応を是非、御検討いただきたいし、データもありますけれども、一部の企業の試算では営業利益で4割程度がこの負担増に対して減益するという試算も出てきております。二極化すると私たちは思っておりますが、100%保険に加入するということ前提の試算ではありますけれども、こういう企業負担が国のために発生するということに対しての緩やかな導入と緩和措置、税的な配慮等々を含めた産業の中での対応を是非お考えいただきたいと考えております。
また、1サービスだけをとらえた場合、介護の訪問介護事業所というのは、そもそも収入が介護保険では時間単価で単位という形での保険の収入になっておりまして、当然そこの中で、特定社員という非常勤者のパート雇用が約9割近くそこに発生している。こういう中で生計を勿論、きちんと維持される方は保険適用の社員として、バリバリお働きになっていただいておりますが、多くが時間雇用の社員の中に入ってきます。
先程申し上げた数字がそういう中で反映されるわけですが、そういう中で時間の範囲の中で、時間を給与として稼がれていて、なおかつ負担がまた増えてくるということに対しての保障と負担についてのバランスを是非、介護事業をやっているこの業界の中では、もう少し御提示をしていただけることが、我々にとってのいろいろな判断材料になるのではないかと考えておりますし、事情についても御勘案いただければと考えております。
問3の(1)で回答書に誤字がございまして「加盟事業所のケース」と書く予定が「仮名事業所のケース」と誤字がありました。修正させてください。
パート労働者はM字型で、それにもれなく私どもの企業試算のところでもM字型に、ちょうど子育てのときにパート比率が高まり、また、50代過ぎてからまた高くなる。そのM字型の雇用状態が発生しておりまして、この導入に当たっては恐らく20時間未満での調整をする社員と、常勤でバリバリあるいは4分の3まで含めて収入のバランスと負担のバランスで損をしないように働こうという労働意欲が生まれてくるかなという、両極端になるのではないかと我々は考えております。
それから、(9)でこの部分についての回答は我々の事業の場合、介護報酬が公定になっておりますので、我々自身がそこを動かすということができない状態になっております。よって、この負担についてのしわ寄せ、あるいは企業努力はどういう形になるのかということになると、自費の領域の拡大であり、つまり、保険以上のサービスの領域や保険以上の量のサービスは混合介護が今、介護の世界では認められておりますので、その領域の中での拡大を執行しなければいけないのか。あるいはダイレクトに給与という問題に手を付けざるを得ないのか。そういうことが1つ、この事業の中での特徴としてございます。
よって介護報酬についての御議論も是非、御考慮いただけるようなことができるならば、産業全体としての負担についてのいろいろな意味での配慮も我々はできるかと考えております。
最後に問4についての回答ではありませんけれども、我々自身としましては費用負担について労働者と企業が日本の年金制度を含めた財政難のところで、応分な負担をすることについては我々としましては是と考えます。しかし、それが企業と労働者だけの損では我々としては納得ができない。やはりそれを行政なり国全体も負担があるというところを、きちんとお示ししていただく中で三方一両損ではございませんが、そういう施策を是非お考えいただきたい。
国民である以上、負担に対して我々は適正に対応したいと考えておりますが、それによって事業が継続できなくなる、あるいは働くことができなくなる環境をつくることは逆に国にとってマイナスであると考えておりますので、そういう視点も是非、御考慮いただきながら御議論をいただければと考えております。
以上、団体を代表して発言させていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、時間も押しておりますので、早速、質疑応答に入りたいと思います。大体10分ぐらいを予定しておりますけれども、何かございますか。
小島委員、どうぞ。
○小島委員 ありがとうございました。
2つほど質問をさせていただきます。
1つは、介護サービスの分野につきましては、これからますますニーズが高まる分野であり、そこを支える人材をどう確保するかが極めて重要な課題だと我々も認識しているところです。この分野は人手不足と言われており、なかなか人が集まらない。これは賃金を含めた処遇の問題も1つ大きな課題だと思います。
その処遇改善の視点から言いますと、社会保険をきちんと適用することは、この分野で継続的に仕事をしていくことになり、必要だと思います。そういう観点から見て、社会保険の適用拡大について、どう考えられてますでしょうか。
それとまさに今、お話がありましたように、この介護サービス分野は基本的に介護報酬で賄われているという点です。介護報酬は、半分が介護保険料、それから、半分が公費・税金が入っています。これから、ますますニーズが高まれば、介護費用が増えていく。そうすると、それを負担する保険料も引き上げざるを得ないことになります。
そうしますと、介護報酬で賄われている業界としては、介護保険料を払っている被保険者を拡大するということも併せて考えないと、この分野に人材を集めるためにも適正な賃金を払えないということにならないようにしなければなりません。社会保険、介護保険も含めた保険を支える支え手を増やしていくという観点から考えても社会保険の適用拡大は必要ではないかと思いますが、これについてはどうお考えなのか。これが1つ目の質問です。
もう一つ、もし仮に今回適用要件である就労時間を30時間から20時間に引き下げたときに、経営的には相当厳しくなるというお話がありました。これに対して、具体的にこういう支援策があれば負担が緩和されるというものがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
以上質問はこの2点です。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
○全国介護事業者協議会 非常に難しいご質問なので、まず、介護サービスの人材確保の処遇改善の問題について御指摘がありました。処遇改善の要因となるか、ならないかということについては、余り処遇改善にならないのではないかと判断しております。
それは、そういう待遇を望まれる方は、最初からそういうことを望んで就労できる環境ができ上がっております。今、一番足りないのはパート労働者、つまり、特定の形で雇用する、そういう人たちが少なくて我々は苦慮しておりまして、常勤者であれば雇える環境が実はそろってきております。
ところが、非常勤のパート労働者はなかなか雇用できないという1つの要因は収入の問題です。やはり時間で拘束されますから、130万円という1つの枠が第3号被保険者の場合はありまして、先程申し上げましたとおり、85%ぐらいはそういう方々がその労力を担っていただいております。今の日本の就業環境というのは、どちらかというと扶養ということに対して世帯主ということを非常に重視した給与設計を企業もしておりますので、扶養手当や扶養に関しての待遇、控除も含めて企業がかなり考慮しています。
それを外れることに対して収入が落ちることを非常に懸念されています。勿論、税制についても社会保険についてもそうですが、130万円を超えて、どこまで突き抜けたらいいかというと、160万円ぐらい働かなくてはいけないのではないかということは大体通説で試算できているわけです。そういう状況がありまして、この130万円を外すことについて、我々は大賛成でございまして、それは税制的なものも含めた御配慮をいただきながら130万円を外すことついて御議論いただけるとありがたいと考えております。
パート労働者の場合、年末になると必ず就業調整をせざるを得ない。パート労働者が少ない中でパート労働者を働かせられない環境が今の政策の中にありますので、そういう意味では私たちはその点について大賛成であり、処遇改善になると思っております。
それから、30時間を下げると経営はどうなるかということでしたね。
○小島委員 その場合、経営が厳しくなるというお話でしたので、どういう支援策が必要かという質問です。
○全国介護事業者協議会 大変失礼いたしました。
これについては、先程私もお話しいたしました税の問題は1つあるのかと考えています。いろいろな産業があるので、我々が言うべきではありませんが、労働集約型の産業は人件費率が非常に高い。利益率も低い。そういう経営の利益が低いという状態もあります。労働者がそれほど多くない方で高収益の企業もたくさんあるわけです。そういう産業と、またここで費用負担が発生する労働集約型の産業とが同じ状態で投網にかけられるような税制は果たしていいかどうか。そういうものの考慮を是非お願いしたいということを私どもの中では議論されております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、藤原参考人、どうぞ。
○藤原参考人 ありがとうございます。
1点だけ技術的な話を伺いたいと思いますが、資料3-1の最後のところに複数事務所勤務の場合というのが危惧されるということが書かれておりますけれども、今、実態として自分のところで抱えているパートの方でも正規の方でも結構なのですが、複数の事業所で働いているということを把握することは可能なのでしょうか。
○遠藤部会長 お願いします。
○全国介護事業者協議会 健康保険の場合は可能です。それは収入合算で主たる事業所の方で負担をしますので、簡単ですが、隠して働いている場合はわからないですね。個人が保険に入らないで、国民保険に入っておられて複数の事業所から給与をもらっているという状態は今、はかりかねていますけれども、ただ、後段に書きましたとおり労働時間20時間の話が出てくると、労働者が20時間未満で抑えた雇用調整を行い、複数の事業者から収入を得て、労働時間40時間の就労状態に戻ってくるような労働者も多数増えてくるのではないかと思います。
今の私たちが入っているような健康保険であれば、主たる事業者の方できちんと納付する、保険料を払うという形をとっていきますけれども、そういう管理が事務的にも非常に難しくなるのではないか、あるいは手続的にもそれを事務処理する手間も、かなり大変になるのではないかということは非常に感じているというところでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐藤部会長代理、どうぞ。
○佐藤部会長代理 就業調整がなくなることの方が人材活用しやすいという点については、御指摘をいただきありがとうございます。
1つ伺いたいのは、介護報酬で経営が成り立っているわけですけれども、介護報酬の算定で労働保険、社会保険の加入も含めて当然、算定していると思うのですが、それが適切であるとすれば、事業主によって30時間未満の人を沢山雇用した方が得になる。つまり、介護報酬に労働保険、社会保険が入っていれば、そういうことはあるのかどうかです。
現状、介護報酬に含まれていれば、社会、労働保険の費用が多分そうでないとおかしいと思うのですけれども、そうすると、30時間以上でヘルパーさんを雇用する事業者さんと全部30時間にすると、全然経営上、違ってきます。そういうことがあるのかどうか、その辺りをお伺いしたいです。
○遠藤部会長 お願いします。
○全国介護事業者協議会 今、佐藤部会長代理がおっしゃられたデータは取っていないので、即答できませんが、感覚的な話として申しますと、今、特に我々としては、それはないのではないかと思います。と申しますのは、訪問介護の場合、非常勤者も常勤者も基本的には常勤雇用も時間数の中での支給の中で保険適用に入っていますので、時間単価では常勤だから、非常勤だからということで差を付けていません。ですから、ここについては特に個人の中で得、あるいは企業によって得というところはありません。
○遠藤部会長 よろしいですか。
では、続けてどうぞ。
○佐藤部会長代理 つまり、もし介護報酬単価が、きちんと社会保険料、労働保険料を込みで計算されているとすれば、30時間の人を経営側が負担しないわけですから、その分はメリットになっていると普通、外から見るとそう思えるのですけれども、適用拡大すると経営上負担だというのは、どういうことなのかなと思いお伺いしました。
○遠藤部会長 どうぞ。
○全国介護事業者協議会 私の認識が間違っているかもしれませんが、負担がちゃんと入っているという説明を聞いた記憶がございませんので、もしそうでしたら佐藤部会長代理がおっしゃられる部分はあるかと思いますけれども、現実的には単純に今の状態よりも負担が増になるというコメントしかできないので、適切な発言ではないかと思うのですが、企業負担が増えるというのはそういう視点でお話したということです。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、中島委員、最後ということでお願いいたします。
○中島委員 1つお伺いします。介護の場合は、対人サービスであり、しかも、訪問介護の場合は短時間であれ常勤であれ、在宅で一対一でサービスをするということがありますから、スキルや経験が非常に問われると思います。つまり、労働者の質イコール、サービスの質ということなる業界です。
その意味で少しでも長く働いていただくということが非常に重要なのではないかと思うのですが、業界としては、長く働いていただくためのインセンティブはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
以上です。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
○全国介護事業者協議会 ありがとうございます。
まさにその点は大変大きな問題でございまして、それには短時間労働者が望むならば長時間に移行できる、常勤に上がれる、あるいは資格を取得できる、奨励する、そういう機会を与える。あるいは研修を行う、技術を高める、技術を磨く。そういうものはキャリアパスという形で今、幸い一昨年から処遇改善交付金ということで国を挙げて国費を投入していただきまして、これについてはキャリアパスを必ずということで各企業とも知恵を絞りながら、職員の待遇改善、処遇改善について今のような視点に立った、そういう行為を行ってきております。
そういう形で何としても技術力や、あるいは勤続を評価できるような仕組みが、このサービスを維持し、より質を高め、国民の皆様が信頼できる事業としていくという視点では、とても大事な要因だと我々も認識しておりまして、それを進めております。
特に介護資格につきましては、ヘルパー2級の問題。当初はヘルパー3級の問題がありましたが、3級はなくなりまして2級になりましたけれども、次は介護福祉士の問題が発生して参ります。多くの介護福祉士の資格については、最終的にはサービス提供責任者であったり、あるいはその所長であったり、そういうところでの必要最低限の資格という認識を今、国の方でもお考えで、そういう議論がなされていると聞いております。私どもとしましても、より多くの社員がそういう資格を取得できるような環境を整えていくことに努力したいと考えております。
また、ケアマネージャー等の居宅介護支援事業者等への本来の介護サービスを自ら行うところから、また少しステップアップした段階への資格のグレードの奨励、これも各企業がそれを奨励して、そういった人たちが受けられる環境を整えるということにも努力していると聞いております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
中島委員、よろしいですか。
それでは、これにて全国介護事業者協議会からのヒアリングを終了したいと思います。本日は、お忙しい中お越しいただきまして、どうもありがとうございました。
次は、日本人材派遣協会からのヒアリングを実施したいと思います。同協会からの御出席者を御紹介いたします。本日、お越しいただきましたのは、同協会の松田雄一事務局長です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これまでと同様に御提出いただきました資料に基づきまして、お考えを大体5分ぐらいをめどに御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○日本人材派遣協会 人材派遣協会の松田でございます。よろしくお願い申し上げます。
まず最初に、私どもの団体からのヒアリングの機会を設けていただきましたことについて、御礼を申し上げたいと思います。
皆様恐らく御存じのことと思いますけれども、人材派遣というのは通常の事業所の雇用形態とは違いまして、雇用と使用が分離しているところに大きな特徴がございます。その特徴を踏まえつつ、今回お示しいただきましたヒアリングの個別の項目につきましては、回答書で細かくお話を差し上げておりますので、私の方からはごく簡単に5分以内ということですので、サマリー的に少し意見を述べさせていただければと思います。
社会保障の在り方に関して、時代に即した形で将来を見据えて継続できるための改革を検討するということについては、私どもとしても大賛成でありまして、協力を惜しまないと思っているところでございます。ただし、その改革の根幹となる考え方が公平という観点に加えまして、経済、雇用との関係も含めて持続可能性を高めるという視点でしっかりと設計をされまして、国民からの支持も得られた段階で個別の施策や対象範囲を見直すことで検討すべきだと考えております。
したがいまして、現段階で短時間労働者への社会保険の適用拡大のみについて意見を求められるということにつきましては、非常な違和感があって、保険料を負担する現在及び将来の働く側あるいは企業側の活力を削ぐことになりかねないという危惧を持っておりまして、賛意を示すことについては難しいのではないかと考えております。
特に派遣ということで申し上げますと、今は派遣法の改正がずっと国会の審議にかかったまま宙ぶらりんという状態でいるわけですけれども、これからの日本の労働市場の在り方をきちんと議論をしていただいた上で、その合意に基づきましてパート、アルバイトあるいは契約社員、加えて派遣という有期雇用の働き方を、労働市場の中でどう位置付けるのかということをお考えいただいた上で、きちんと社会保険問題の適用という議論をしなければ、きちんとした答えは出てこないのではないかと思っております。
そもそも今回の適用拡大の対象として、今検討が進んでいる20~30時間の就業。こういう時間帯で就業される方の属性を見ますと、これまで対象であった30時間を超える、あるいは30~40時間の属性とは大きく異なっています。すなわち、他の団体でも出てきているのだろうと思いますけれども、扶養枠を活用している配偶者層、年金受給とのバランスの確保を目的とするシニア層、学生といったものがこれらの20~30時間という時間帯の働き方をする方の主軸だと見ております。
こうした属性に加えて、このぐらいの時間なら働ける、このぐらいの距離のところなら行ける、このぐらいの技能が使えるからこういうところで働きたいといった、自分でワーク・ライフ・バランスを考えて就業を選択するという労働者も、最近非常に増えてきていると考えております。
すなわち、将来の社会保障を考えるということにおいて、これらの方々というのは既に他の社会保険の対象になっている、あるいは自らの意思を持って現在の適用基準を認めているという方々が主力であると思っておりまして、そこで適用拡大をしたからといって、既に他のセーフティネットがかかっていると思われる人であれば、それほど何が大きく影響するのだろうと思っているということであります。労働時間20時間という形でもし制限をすると、似たようなことを他の団体もおっしゃっておりましたが、その時間に合わせて加入要件の範囲内で働くであるとか、短時間の労働者を増やして使うというような企業側の動きが出てきて、保険料負担を軽減するとお考えになっているような意図が実現できなくなるということは、確実ではないかと思いますし、一方で産業、企業が欲する労働力の確保がきちんとできなくなるということではないかと思っています。
企業経営の中でも、社会保険のコスト負担の増大、そして事務負担というのがかなり増大することになると思っておりまして、それによる多大な影響というのは避けられません。特に中小企業においてはその影響が大きいということでありまして、こういうグローバル競争の時代に我が国の企業の競争力の低下が生じて、ますます海外移転その他を含めて、そういう動きが加速されるのではないかと思っていますし、今、問題になっていますような新規学卒者の就職においても、影響が出てくるのではないかと思っています。
特に今、申し上げた事務コストの増大という部分については、週30時間未満の就業をする短時間労働者の属性を考えると、これまでとは比較にならない。先程使用と雇用が分離していると申し上げましたけれども、派遣事業者側の事務コストが大幅に増加をしていくということであろうと思っております。つまり、20~30時間の短時間で働く方々というのは、30~40時間ぐらいですと大体7時間で週5日みたいな形で、割とコンスタントに働いてくださっている方というのが結構いらっしゃるわけですが、20~30時間という部分で見ますと1年未満の短期の雇用契約が非常に多いということと、入退社が繰り返される、あるいは月、週によって就業時間が異なるということで、常時基準に適合するということでない人が結構たくさん出てくるのではないか。こういうことで変更が繰り返されると、莫大な事務手続が必要になるということでありますので、もしお考えいただくのだとすれば、非常にシンプルな基準をおつくりいただかないと、これは我々としては対応することは不可能であろうと思っているところでございます。
質問の1~4までで細かく回答を差し上げていますが、とりあえずそれをサマリーとして申し上げると以上のようなことでございますので、よろしくお願い申し上げます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。資料で御提出いただいたものについては、委員はきっちり読んでおりますので、ありがとうございます。
それでは、御質問、御意見ございますでしょうか。
○小島委員 派遣業界では、派遣労働者を対象にした健保組合・「派遣健保」がありますが、今、派遣健保に加入されている方は派遣労働者の中ではどのくらいいらっしゃいますか。30万人近くおられるのでしょうか。
それと、その人たちは基本的に厚生年金に加入しているということでしょうか。
○日本人材派遣協会 お答えします。派遣健保の被保険者というのはおっしゃるとおり、若干減っているかもしれませんが、ほぼそのぐらいだと思っています。
社会保険の適用率のお話が今、出てきましたけれども、派遣の場合は平成21年3月に派遣先の指針という派遣法の告示が変わりまして、その中でお使いいただくクライアントの側も、きちんと派遣労働者が社会保険に加入しているかどうかを確認し、加入していなければ、派遣元に対して社会保険に加入してから派遣してくださいということを言えという話になっていまして、また、派遣事業者もかなり一生懸命、加入促進の努力をしております。
そうした中で、おっしゃられた厚生年金あるいは健康保険さらには雇用保険の適用率というのは、パート、アルバイト等に比べて非常に高くて、ほぼ80%前後の適用率になっています。
○遠藤部会長 小島委員、よろしいでしょうか。
他に何か御質問ございますか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 先程、事務量増に係る事務負担のことに触れていらっしゃいましたが、既に現在税の源泉徴収や雇用保険加入の事務処理はされていると思います。その作業に上乗せさせるとしても、物理的にそれほどの負担になるとお考えでしょうか。
○遠藤部会長 お願いします。
○日本人材派遣協会 申し上げましたように、働く形が変わるのです。今も例として申し上げましたが、5×7=35みたいな形でコンスタントに働くという方では20~30時間はない。つまり月によって、あるいは週によって働く時間が変動することになると、社会保険について言うと適用基準を満たす、満たさないということが、その度毎に変わったりすることが出て参ります。
そのことで企業側のみならず、労働者にとっても脱退と加入を繰り返すという話が出て参るということでありまして、単純に今の制度の仕組みの中でそういう適用に関する事務作業はしておりますが、加入と脱退の繰り返しみたいなことになると、そのための事務手続等が、例えば日本年金機構にしても届けがあって受け付けてみたら、またすぐ脱退だみたいな話になるかもしれませんし、とにかく事務負担は、ものすごい膨大な量になると私どもは予想をしています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
他にございますか。白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 ありがとうございました。
確認なのですけれども、最後の結論のところでシステムを単純化してほしいというお話があったのですが、その内容がわからなかったのですけれども、今の事務負担との関係もあるのですか。もう少しご説明いただけるでしょうか。
○日本人材派遣協会 結局大きな括りで、例えば1年以上の雇用見込みがあって、常時週20時間以上の労働契約があるというような形で、できるだけシンプルであり、判断が分かれてしまわないような解釈で、きちんと透明性のあるような適用基準を設けていただくということになれば、企業の事務コストというのは一定軽減されるのかなと思っております。
○遠藤部会長 それでは、予定していた時間になりましたが、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。それでは、これにて日本人材派遣協会からのヒアリングを終了したいと思います。本日はお忙しい中お越しいただきまして、どうもありがとうございました。
次に、UIゼンセン同盟からのヒアリングを行います。
同組合からの御出席者を御紹介いたします。本日、お越しいただきましたのは政策局の中村善雄局長、西尾多聞部長、流通部会の木暮弘副事務局長です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これまでの御報告と同じように御提出いただきました資料に基づいて、お考えについて5分ぐらいをめどに、まずは御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○UIゼンセン同盟 UIゼンセン同盟でございます。貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
まず私どもUIゼンセン同盟は労働組合の団体でございまして、正式には全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟で、非常に多くの業種から組織されている組合でございます。およそ今は組織人員110万人ということでありますが、とりわけ流通サービス関係の短時間労働の組合員は50万人。特に流通関係、とりわけチェーンストア等を中心にした小売の部分の関係でいきますと、30万人強といった実態であるということだけ、予め補足をさせていただきたいと思います。
そして私どもUIゼンセン同盟は、労使間の信頼関係をベースとした職場の労働組合員の権利並びに労働条件の向上をベースにいたしまして、職場組合員の権利の擁護も併せまして、同時に労使の信頼関係による労使協議を軸とした労働条件の向上、更に近年ではいわゆる企業としての社会的責任も含めた部分をテーブルに上げながら、取組んでいるところであります。
2つ目として大きな特徴は、実はパートタイマー、私どもは短時間組合員と申し上げますが、近年相当多くなってございます。実はおよそ110万人のうち、5割弱は短時間の組合員という構造になってきているということで、このような中で労働運動をやっております。
御質問いただきましたペーパーについて資料をお出ししておりますけれども、基本的なことだけ時間の関係もありますので、述べさせていただきます。
基本的には私どもは働く者の立場に立つということでいきますと、いわゆる業種とか規模といったものによって、働き方が左右されることは好ましくないということを基本的に述べるところでございます。
今般、質問1にあります適用拡大の必要性、在り方についてということでありますが、そういう意味ではすべての労働者に年金・医療を始めとする社会的セーフティネットの保障はされるべきであり、その観点から必要と考えます。
適用基準については、原則すべての労働者の適用を目指すべきであると考えますが、しかしながら激変緩和として当面は労働時間要件・収入要件を設けることは必要である。同時に社会保険の適用拡大に併せ、第3号被保険者・被扶養配偶者の認定基準の見直しを行うことについても、年収要件を65万円未満に引き下げ、将来的には適用要件の撤廃を目指すべきであるということも考えております。
また、完全適用という面ではパート・派遣・請負・契約労働者のみならず、現在非適用となっている5人未満の事業所の労働者にも、適用されるよう取り組むことが必要であろうと考えております。
就労促進・就業調整の観点でありますけれども、基本的に私どもは働くことを希望する人たちに、就労促進という効果が出る方がよいと考えています。ただ、実態を見ますと多分、むしろ事業主によるいわゆる就業調整が発生することを懸念しておりまして、就業調整自身は基本的に制度変更によって発生する過渡的なものであると考えるので、直接、間接的に労働者に不利益が発生することがないような措置をとることが必要であると考えています。特に今回20時間等の議論で心配をしておりますのは、いわゆる適用逃れのための新たな基準以下に労働時間を抑えようとする事態が懸念をされます。労働者保護措置のために企業負担も併せて緩和することが必要だろうと思っております。
就労促進に当たっては、対象者に対する社会保険加入の意義、メリットについて十分な周知を行うと同時に、社会保障についての信頼性を担保していくことが重要であると考えております。
私どもの加盟組合では、基本的に多くのところでは現行の社会保険適用対象範囲という方で見ますと、ほとんど加入していらっしゃるということでありますし、企業等の考え方につきましても、当然加入するべきものは加入させていますというのが基本的なスタンスになっているということではあります。しかしながら、今回のところでは非常に負担が出てくるということであります。具体的な実態等は、御質問があればお答えをしたいと思っております。
とりわけ質問3の雇用・企業経営への影響であります。若干、自らの就業調整の部分は現状の実態からすると、勿論否定はできないという可能性がありますが、むしろ働くことの希望から言うと、時間を長くする者が多くなるのではないかと想定をされます。この場合、事業主の都合による就業調整につきまして、若干当然想定をされるということであります。これは下の(2)に書いておりますが、短期的にはコスト維持のために企業負担分の社会保険に見合った就業調整を行うことが想定されるということで、パート比率の高さに比例して人件費負担が増加する。当然、今の状況で価格に転嫁をすることは極めて考えにくい状況でありまして、事業主としては自らコストを吸収しようとするか、あるいは場合によっては人件費等を含めたコストを削減することに走らざるを得ない状況だろうとなっておりますので、全体で負担を吸収するような形で労働者に間接の不利益が発生することは、防止すべきであるということを考えております。
特に事業主の費用負担については非常に膨大なものがあると思います。したがって、短期的にこの費用負担がものすごく発生いたしますので、これはきちんと緩和することが必要だろうと思っています。
最後に適用拡大による影響を緩和する方策ということであります。労働組合としては負の側面の影響を極力抑えたい。具体的には雇用を確保し、収入水準(労働時間及び単価)を確保することを前提に、社会保険制度を支えるメリットを享受できる環境づくりをしたいということを基本にしております。
この部分についていくと、どうしても短期的なコストということがありますので、きちんと社会保険に加入するということを前提にした上で、企業負担を緩和する激変緩和及び適用逃れの新たな基準如何で労働を抑えようとする事態が起こらないよう、保護措置が是非必要であるということを考えます。
具体的には5年程度減免措置を講じることが必要であると思っております。この期間というのはいわゆる年金制度全体の中で労働者も含め、きちんと腑に落ちるということ、税・社会保障制度の一体改革の姿が見えること、そして社会保険の適用拡大の意義とメリットを周知しつつ、労働者の生活設計、企業としての受入れ準備、行政のサポートが必要であると考えます。
基本的に5年後に正規とイーブンの社会保険料負担が発生するという形を想定していますが、それはそういう形になることを前提に、その間に向けて5年間の5分の1ずつがいいのかわかりませんが、きちんと社会保険制度の部分を免除しながらランディングできるようなことを行い、短期的に企業負担の増加を緩和するものだと考えています。
また、適用以下に時間を抑えようとすることはどうしても経営の中で出てくるということでありますので、このような社会保険の減免というか、そういう部分におきましては、そのようなことが行われないことを担保するような仕組みも、御検討いただけたらと思っております。
実態等を御説明する時間がありませんでしたが、御質問等があればお答えしたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見、御質問を承りたいと思います。
○小島委員 ありがとうございました。
UIゼンセン同盟では、基本的なスタンスとして、すべての働く者について社会保険を適用とするという考え方に立った上で、適用拡大による激変緩和の具体的な要件として、5年ぐらいの保険料減免措置を講じるべきといった建設的な意見も出されました。これについては、今後更に十分な検討が必要だと思います。
質問については、この回答書の12ページに補足がありましたが、この具体的な設問の中で、現在、短時間労働者の内、若年フリーターや母子世帯の母親等の老後の所得保障について、社会保険についてどう考えるかという設問であります。補足の中では、現在、UIゼンセン同盟の組合員は、フルタイムに近い働き方をしているような人については、基本的には、きちんと社会保険適用を行っていると認識されております。
現行の労働時間30時間以上、4分の3以上については、原則社会保険をきちんと適用させている、そういう取組みをしているという御回答だと思います。今後は更にそれ以下の短時間労働者についても、基本的な方向としては社会保険の適用拡大していくという考え方でした。
質問は、そういう観点から見て、加盟組合員のうち5割近くが短時間労働者ということでありますので、UIゼンセン同盟としては、常日頃から各企業の労使交渉を通じ社会保険については、きちんと適用すべきということで取り組んでおられると思います。連合が2007年に短時間労働者等有期契約労働者に対する社会保険適用調査を行ったときに、UIゼンセン同盟にも御協力いただきました。その中の集計では、週労働時間が30時間未満でも厚生年金に適用しているという比率が極めて高い結果でした。特に30時間未満でも組合員の方の厚生年金に加入している比率は、5割近いという結果が連合の調査から出ております。
組合に入っていない方との差が大分あるのです。30時間未満で組合に入っていない方は厚生年金の加入率が3割程度でした。一方、組合員の方が5割近い比率ですので、組合員であるか組合員でないかで20ポイントぐらい差があります。この結果から私は、労働組合が、常日頃から職場における労使交渉を通じて、短時間労働の組合員に対する社会保険の適用拡大についての取り組みを行っている結果ではないかと思います。具体的にそういう取組みを行っているかどうかについてお話いただければと思います。
現在の適用要件の「4分の3以上」もありますが、個別企業の労使協議の中では、その労働時間が30時間以下でも、適用を拡大させる取り組みを行っているのではないかと思いますが、その辺りの実態があればお聞かせください。
○UIゼンセン同盟 基本的には今、お話をいただいた部分のことに取り組んでいるつもりです。具体的には流通部会よりチェーンストア、労働者も含めてお話をさせていただきたいと思います。
○UIゼンセン同盟 UIゼンセン同盟流通部会の木暮と申します。今日はありがとうございます。
先程の御質問の件でございますけれども、私ども流通部会の6割ぐらいがパートタイム労働者でありますし、現実に組合員になっているということでございますから、個別の労働組合とすれば有期雇用でございますが、1年に1回あるいは半年に1回の契約更改がございます。その際に労働組合は関与しますので、そのときの個人の事情あるいは過去に就業していた会社で厚生年金に入っていて、今、働いているけれども、まだ採用直後のときは20~30時間で採用されたときに、最初厚生年金に入っていなくても、実はそういうことでニーズがあるということを聞いて、個別に対応すること現実にしています。そうすることが結果として、その次に今度は30時間以上の契約に変更するということになってくる。そのような取組みは半年に1回あるいは1年に1回都度行われているということであります。
グレーゾーンと言われるところについては、やはり入れるべきであろうという考え方はゼンセンの方針と一緒でございますので、各組合でそういう人というのはニーズがありますから、就労を長くしたい人については能力促進も含めて、労働組合からも企業と労使で話し合って、そういう人に持ってくるということは当然やっています。ですから、そこのところが組合として、なかなか痒いところに手が届かないという状態だと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、杉山委員、どうぞ。
○杉山委員 ありがとうございます。10ページにつきまして、前回実施されたヒアリングの中でも、企業への負担や事務負担等影響が非常に大きいという話が出ておりましたが、10ページ(2)の「当面の負担が大きくなる業種や企業に対する雇用政策、産業政策として取り得る方策」という部分の中に、産業政策としては人事管理システムなどの導入など、関係する経費に対する助成を検討することが、1つの解決策になるのではないかという回答があります。これについて、詳しくお教えいただければと思います。
○UIゼンセン同盟 UIゼンセン同盟の西尾と申します。よろしくお願いします。
私の持っている資料とページ数が違うかもしれなくて、なかなか見つけられないのですが、例えば人事管理を今度契約時間を適用拡大によって基準を変えていくようなことがあれば、契約時間の変更ということも大分行われていくのではないか。そうしますと、当初チェーンストア協会さん、流通3団体さんからも話がありましたように、短いユニットの方々を積み上げていくという雇用形態もかなり沢山ありますから、そうしますとそこのところが大分変っていきますので、そこを管理する仕組みを入れていかなければならないと思います。そうなりますとコンピュータで大体管理していますから、かなりコストがかかったりであるとか、そういったことが生じます。
それだけではないと思うのですが、他にもそういった関連のコストがかかるのではないかと思いますし、これからみんなで社会保険の仕組みを支えていこうというときに、大変負担がかかって、そして私どもの立場からすれば、そのことのしわ寄せで労働者に負担がかかるのであれば、そういったこともソフトランディングのためには御検討をいただければありがたいと思います。そういった意味合いで記載をさせていただいております。
そういう形で基本的に規模等いろいろございますが、とりわけ社会保障の減免等を導入するというのは共通のルールでやることが重要だと思っておりますが、そうしますとどうしてもシステム的に対応するという部分のところで、産業差、業種差、規模差というのがあるのだろうと思います。この部分を避けて議論をするのではなくて、きちんと同様のシステムを入れられるようなところで補助を考えるべきだと考えます。
先程1点、急いでいて言い忘れましたが、いわゆる年金と医療、社会保険では基本的に働く者の立場から言えば、要するに社会保障の部分とセットでということが一番納得性がある話でございまして、様々な問題があると思いますが、基本的には揃えていく方向でやるべきではないかと思います。
ただ、1点気になるのは、医療保険の場合は、いわゆる高齢者医療を含めた財政調整の問題がありまして、健保組合を含めていろいろなところから財政調整が流れておりますが、この基準は、今は頭割りがかなりのウェートを占めておるのだろうと思っております。そういう意味でいきますと、仮に頭割りで人数が増え、新たにこれから多くの方を適用していくのは、産業にとってそこの部分がいわゆる過大な負担になることは十分考えられることでありますので、経過措置等におきましては、ここの部分はきちんと措置をすることがとても重要なことであると思います。これも産業的な絡みかもしれません。
たまたま過去の産業の経過から流通産業はパート労働者が多いですし、別に違法なことをやっているわけでも何でもないわけでありまして、きちんとやっています。これを全体の部分で支えていこうという考え方に、例えばこれから新たに加入していく方が増えるということでありますので、きちんとした中でルールを定め、経過措置も短期的な負担も緩和する措置も設け、イーブンな形で産業業者に関わりなく適用できる仕組みをつくっていくことが、信頼感にとって重要だと思っております。この辺りが産業的な意味です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
杉山委員よろしいですか。他にございますか。
○加藤委員 4ページのパートタイム労働者の対象調査に関して、対象者のプロフィールというのが、ややパートタイム労働者の中でも労働時間が長い方の方が多いのかというところをお伺いしたいと思います。厚生年金に既に加入されている方が64%ということですから、どういうプロフィールなのかというのをお伺いしたいということと、あと1点、加入したくない、加入したいということでパーセンテージを出されておりますが、この理由みたいなものがもし調査で把握されているようでしたら、お聞かせいただきたいと思います。
○UIゼンセン同盟 基本的には今、申し上げたような部分のところで2.(4)のお答えの部分だと思っています。その形でいくと、勤続高いという部分があります。実は今回、その部分のところでいくと20~30時間という時間のウェートは少し、これは産業の実態で高いですが、ここで絞ると若干部分のところがあります。緊急に週20~30時間という方の部分で若干労働組合としても流通部会にお願いいたしまして、ヒアリングさせています。
この層のサンプル数は大体600ぐらいなのですけれども、大手7~8社ぐらいですが、非世帯主が85%といった形でございまして、この層で就業調整をしている人は大体7割ぐらいです。そこだけピンポイントに絞ればそうなります。そういうことでありますが、よく聞いてみますと、実はその層の方たちは適用拡大ということについて49.7%はわからないというようなことの回答でございまして、反対、賛成それぞれ大体20%ぐらいずつのウェートということでございます。
そういう意味では、先程申し上げたようにきちんと制度を、全体の年金制度の在り方という部分のところを理解させていくという取組みが必要であり、重要なのだろうと思っております。
ちなみに、わからないの中でも年金制度について何となく漠然と不安に思っていますというのが、この方の層でも2割弱ございますので、そういうことも含めた対象層ということで御理解いただきたいと思います。長時間の方が多くなってきた部分のところでは基本的な制度、そういう部分についてきちんと周知というか、だんだん理解が進んでいる傾向にございますが、やはりその辺りの差というのは実態のところではあるのだろうと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
加藤委員、よろしいでしょうか。
○加藤委員 その調査で加入したくない、加入したいと答えられた理由みたいものがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○遠藤部会長 お願いします。
○UIゼンセン同盟 加入したくない理由、具体的な理由は推測になりますが、103万円以下で働きたい、あるいは103万円以下で自発的に働きたいと答えていて、いわゆる第3号被保険者である方がよいと判断している方が、先程ほど私どもの中村が申し上げました調査でいきますと、4割強の方がそのような理由となっています。そういうことから加入したくないという理由になっていることが、今回の調査ではわかりましたということです。
その辺りの関係で、先程わからないと回答された方が半数いるということと、今回の件で自分たちがどういうふうに雇用形態が変わるかということについては、先程業界団体の方が言われたように、いろいろなところで就労調整については、今のパートタイマー労働者そのものについて言うと、そこまでのことが予想されていない。実際にそれを聞いていくと、今のまま働きたいという方は3割ぐらいいるのですが、多くはわからない、あるいは家族と相談をするというふうに答えているのです。それは先程言われたように第3号被保険者に入っている、いわゆる主たる生計者の人と相談をする層が、私ども流通の関係の組合員には大変多い。わからないと答えた方と、家族と相談をすると答えた方を合わせると8割程度となっています。このような実態であります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
加藤委員よろしいでしょうか。
○加藤委員 加入したいと答えられている方の理由みたいなものも、もしありましたらお聞かせください。
○遠藤部会長 お願いします。
○UIゼンセン同盟 それについては余り押さえていないのですが、働く動機の中の調査でいくと、いわゆる就職先がなくて今の働き方を非自発的にされている方の層だと思います。そういう方が今回の20時間、30時間の調査でいけば、1割程度の回答になっています。
○遠藤部会長 大体予定した時間ですけれども、他に何かございますか。よろしゅうございますか。
○UIゼンセン同盟 先程私どものパートタイマー労働者30万人の組合員さんの当事者として、今回もいろいろヒアリングあるいは加盟組合の皆さんに協力いただいて調査させていただいた結果、先程言ったように全体として私たち働く者の立場としては、総論は賛成なのですが、いわゆる各論でいろいろと懸念される事項が大変多いです。
先程業界団体の方の言われたことが、労働組合になれば、まさにそれが逆の立場で懸念材料になるわけでありますので、大変失礼な言い方になるかもれしませんが、税金であろうと医療保険であろうと年金であろうと、民間企業あるいは個人の生活で言えば財布は1つでありますので、そういう負担をしなければいけないということについては何となく理解はあるものの、どのような負担の割合がいいのかということを、是非全体像で示していただくことをお願いして、私どもが直接組合員に説明できる状態をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 貴重な御意見ありがとうございます。
それでは、これにてUIゼンセン同盟からのヒアリングを終了したいと思います。どうも本日はお忙しい中、お越しいただきましてございました。
それでは、次にNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむからヒアリングを行いたいと思います。
同会からの御出席者を御紹介いたします。本日お越しいただきましたのは同会の赤石千衣子理事です。赤石さんには第1号被保険者に多い母子家庭、シングルマザーの立場からの御意見を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
御提出いただいた資料に基づいて5分程度でお考えをまず御説明いただきまして、その後、ディスカッションに移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 今日はお招きいただきまして、大変ありがとうございます。こういった機会を与えていただくのは本当に珍しいことだと思いますので、感謝しております。
私は社会保険の適用拡大については、基本的には賛成の立場で意見を述べさせていただきたいと思います。
追加資料から少し御説明させていただきたいと思います。母子世帯というのは近々の調査がまだ出ていないので、2006年調査の120万世帯で、そのうちの半分近くが非正規で働いております。近年の状況の中で非正規率が上がってきているということです。その中の3割ぐらいの方が社会保険に入っていらっしゃらないということなのですが、実際に事例をお探しするのは結構困難でありまして、私たちの会員の中では少ない方たちではあります。でも、深刻な状況だと思います。
まず加入状況例のAさんですけれども、都内の商工会議所にお勤めで、週4日1日5時間で働いていらっしゃいます。雇用保険は加入していらっしゃるのですが、国民健康保険で国民年金は免除にしていらっしゃる。社会保険は入っておられないということです。月7~8万円の収入なのですけれども、是非厚生年金、社会保険に加入したいと強くおっしゃっておられました。お子さんお二人でこれからの生活を考えると、当然かなと思います。
Bさんはシングルマザーではないのですが、同じ業界にはシングルマザーの方がたくさんいらっしゃいますよということで、官製ワーキングプアと言われる方だと思いますけれども、都の臨時職員でA職場2か月、B職場2か月、A職場2か月、1か月休み、また2か月、2か月というように交代していき、雇用保険だけ入っているのですが、社会保険の適用逃れの制度で臨時職員として働いておられます。非常にこういう例をどう考えるかというのは難しいことだと思います。
Cさんの例ですけれども、この方は雇用保険にも入っていらっしゃらない、ある東北の県の大手菓子メーカーの関連レストランのウエイトレスで、もう11年目だということです。時給800円でシフト制なのですけれども、盆、暮れ、正月には多く入る。他の方が入らないところに入っているから毎月入る時間が違う。雇用保険にも入っておられない。その限度内で何とか時間をやるようにというふうに強く言われている。しかし非常にベテランであるということなのです。こういった方が限度以上に、30時間で働けたり20時間以上で働けば、もう少し収入はいいかと思うのですが、本当に信じられないような収入の中で暮らしていらっしゃるということが言えると思います。しかし、こういう方が社会保険適用拡大になったときにどうなるのかというのは、配慮が必要かなと思います。
Dさんは明らかに違法かなと言っているのですけれども、ここにいらっしゃる方も一度は必ず食べたことがあるだろうという、パン製造販売会社の直売店でパン製造をしていらっしゃいます。自給950円のパート勤務なのですけれども、1日9時間働いておられて月17万円。しかし雇用保険も社会保険も何も適用がないという事例でございます。このようなことがあります。
本論を見ていただきたいと思います。基本的には社会保険というのは適用拡大していただきたい。私は母子家庭の立場からそういうふうに思っております。パート労働者が社会保険の適用外である理由というのは、被扶養の立場で社会保険に入るよりも第3号被保険者になったり、夫の社会保険に配偶者として入る方がメリットがあるということで言われております。でも、少ないかもしれないけれども、パートの中にはシングルの女性もいらっしゃるし、シングルマザーの方、要するに生計を独自に維持していらっしゃる方たちがいらっしゃるということなのです。その人たちは国民年金も免除にしていらっしゃることが多いので、老後にもらえる国民年金の額がすごく少ないのです。それでいて国民健康保険料の負担は大きいのです。
先程のCさんの場合にはお子さん5人で20万円です。それを減額で6万円とおっしゃっていましたので、非常に負担は大きいと思います。給与所得が年間100万円以下で6万円はすごいと思うのです。
あと、主婦の立場の方、被扶養配偶者の方は、今は望んでおられないということが先程来何度もお聞きしました。でも、私どもが離婚時に御相談を受ける方は、ほとんどは被扶養の配偶者であり、別居でも今まで専業主婦だった方の御相談を受けています。
その方たちは離婚後に非常に経済的な困難を抱えることになります。それで、もしもその前から社会保険に適用されていたならば、もう少し激変が緩和できると思うのですけれども、第3号被保険者で被扶養であることでいろんなデメリットを抱えておられると思います。
被扶養配偶者でずっといける方はいるかもしれませんが、日本では75万組ぐらいが結婚して、25万組が離婚する時代に入っております。離婚はそもそも珍しいことではなくなっておりますので、ずっと被扶養配偶者でいられる可能性はありません。夫が第1号被保険者になるということもあります。リストラになることもあります。DV夫に激変することもありますし、非常に社会が変化しておりますので、いろいろな変化があります。そのときにこの社会保険に適用しておられることは、今、被扶養でいられると思っていらっしゃる方に対しても、メリットがあると考えていただいた方がよろしいかと思います。
就業調整も同じことなのですけれども、本当に30代のM字型カーブで就業を抑制しているとき、あるいはその後もパート就労で非常に就労を抑制していることによって、女性の能力というのは本当に抑制されております。それが社会全体にとっても多分マイナスになっていると思いますので、社会の支え手を増やすということは非常に大きな意味があると思います。
業種とかあれなのですけれども、母子家庭は例えば雇用の就労支援として、例えば介護ヘルパーになりなさいというようなことで、就労訓練がたくさん実施されております。そうすると、やっぱり介護の仕事で訪問ヘルパーになりますと非常に低賃金、短時間で働いていらっしゃる方もあるということで、女性が働ける業種というのは一旦結婚、出産してから戻ると本当に限られているなということを感じております。それで不安定な働き方になっていると思います。
あとは先ほども言ったように、母子はパート、アルバイトの方の平均年収が109万円とか100万円前後でありまして、非常に限られたところで、ただ、微妙な数字かなと思っております。
30時間を超えないようにしていらっしゃる方がどのくらいいらっしゃるのかというのは、残念ながら私どももクロス統計をとらなかったので、今は言えないところでありますが、先程言ったように国民年金の加入をしていらっしゃる方が全国の母子世帯調査でも17.2%。しかも未加入が17.5%という悲惨な数値をどうしたらいいのかというふうに思っておりますし、国民健康保険は44.6%と非常に大きな数字になっているということです。この方たちが社会保険に加入できることは、社会の安定につながり、老後、生活保護を受けるしかないような方たちを増やさないということで、非常に大きな意味があると思います。
なぜ短時間の就労をしているのかということは、離婚直後のファーストステップであったり、子どもが小さいので長く働けない、病気がちであるということもありますし、保育時間が短くてそれしか働けないということもあります。Cさんのような場合には仕事がないということなのだと思いますけれども、そういうことがあると思います。
結論としては、社会保険の適用拡大については基本的に賛成であり、母子世帯に2階建て部分が増えるということですので、生活の安定につながりますし、国民健康保険料の負担も軽減されるということです。基本的に賛成なのですが、就労抑制がどのような形で起こるか。Cさんみたいな方が増えてしまうということでは、またそれはある種困ったことになりますので、そこについては勘案していただきたいと思います。
専業主婦であって、今は被扶養配偶者である方にとっても、長いスパンで見ればメリットがあるということを強調したいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御発言につきまして御意見、御質問ございますか。
○小島委員 1つ質問いたします。
基本的な考えにつきましては、母子世帯の母親としては社会保険適用拡大が必要だという御意見でしたが、現在、母子世帯は極めて収入が低く、困難な状況に置かれているということでしたので、社会保険の適用拡大とともに、母子世帯への支援策として何が必要かということについても、御意見を伺わせていただければと思います。現在、社会保障の全体の改革に向けた取組みもされていますので、この社会保険の適用拡大と併せて、今、母子世帯の皆さんに対して、どういう支援が必要かということについて御意見があればいただければと思います。
○遠藤部会長 いかがでしょうか。
○NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ いつも削られることについて反対しているので、そのような質問を受けたことがないので一瞬戸惑うのですが、現金給付の面で言いますと、今、児童扶養手当と子ども手当がございます。この部分を手厚くする。例えば多子世帯の場合の児童扶養手当の加算というのが満額支給4万1,550円なのですが、2人目5,000円、3人目以降3,000円でございます。しかし、多子世帯は非常に困窮になりますので、ここの加算を1人分ずつあれば、こういうことを言っていいということが余りないのであれなのですけれども、そういうふうになれば本当にありがたいなと思います。
あと、意見を述べていいということですので、子ども手当なり児童手当なり名前はどうでもよろしいのですが、あれが18歳の年度末までだとよろしいかなと思います。
現金給付の面はそういったことですけれども、教育費の部分というのは非常に困難がありますので、そういった面でも費用のかからないような教育の在り方。今、私的な教育費の部分が非常に大きいのでございます。ですので、そういうものがあるといいと思います。
なお、私は子ども手当、児童手当どちらでもよろしいのですが、低所得の方だけがもらうような制度では、しっかりとした制度にならないと思いますので、所得制限がない方がいいなと、低所得世帯の代表ではございますが、思っております。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
○中島委員 私からも1つ御意見を伺いたいと思います。先程被扶養でいることのリスクという表現を使われたと思います。離死別や夫が離職をして第1号被保険者になり、急に負担が増えるということが現実にあると思います。社会保障改革の中でも、できるだけ性やライフスタイルに中立な制度にしていこうという議論をしていますが、そういう点で被扶養のリスクについてどのようにお考えか、少しお話をいただければと思います。
○遠藤部会長 お願いします。
○NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ ありがとうございます。
1985年に第3号被保険者制度ができまして以来、もう26年も経ってしまいましたので、そういう専業主婦世帯の誰にメリットがあるのかというのはなかなか議論の余地があると思うのですが、そういう片働き世帯への優遇があることは非常に女性の就労を抑制してきて、結果としてそういう世帯でなくなった人々、シングルの男女、若年の方、母子世帯も含め、それへのデメリットの崖のようにそこが違うということが、女性の生涯にとっても大きなデメリットがあると思います。
このようなことを言う場ではないのかなと思っていたのですが、先進国の中で日本だけがM字型雇用のMのへこみが今もある国でございます。やはり子育て、就労との両立を早くして、皆さんが自分で働いて、社会保険料を払って、自分の人生のリスクを自分でとる。他人に委ねない。そういうことがあると離婚時の御相談も随分楽になるのではないか。本当に皆さん、この先どうしていこうかということと、子どもたちを連れて離婚せざるを得ないという悩みと、両方で主婦だった方は非常に悩まれます。そのことをお伝えしたいと思います。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
大体予定した時間になりましたけれども、他にございますか。よろしゅうございますか。本当に貴重なお話をどうもありがとうございました。それでは、これをもちましてNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむからのヒアリングを終了いたしたいと思います。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。
以上で本日のヒアリングはすべて終了いたしました。次回も引き続きヒアリングを行うこととなっておりますが、次回の日程等につきまして事務局から連絡をお願いします。
○藤原年金局総務課長 どうもありがとうございました。
本特別部会の次回の開催日時ですが、10月27日木曜日の10時から予定してございます。
本日お手元に資料7ということでお配りさせていただいておりますが、ヒアリングの対象団体が追加になってございます。資料7の1ページ目で全日本自治団体労働組合がヒアリングの対象として追加になりました。
資料7の裏面をご覧いただきまして、10月27日は追加になりました全日本自治団体労働組合と、前回資料を出させていただきましたときに日本在宅介護協会の日時が決まっておりませんでしたが、そちらも10月27日ということで、そこにございます5つの団体のヒアリングということでよろしくお願いをいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ということで、追加があったということです。よろしゅうございますね。それでは、このとおり事務局には準備を進めてもらいたいと思います。
それでは、本日の審議は終了いたします。御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。
<照会先>
厚生労働省年金局年金課 企画法令第2係
電話番号: | 03-5253-1111(内線3336) |
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会)> 第5回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会議事録