ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(歯科口腔保健の推進に関する専門委員会)> 第1回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会議事録
2011年12月8日 第1回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会議事録
医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室
○日時
平成23年12月8日(木)13:30~15:30
○場所
厚生労働省専用第12会議室
○議題
○歯科口腔保健の推進に関する専門委員会の在り方について
○基本的事項の検討項目について
○その他
○議事
○歯科口腔保健推進室長 定刻になりましたので、ただいまから第1回「歯科口腔保健の推進に関する専門委員会」を開催させていただきます。委員の皆様にはご多忙の折お集まりいただき、誠にありがとうございます。私は、厚生労働省医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室長の小椋です。よろしくお願いいたします。本日は、最初に藤田政務官からのご挨拶を予定しておりましたけれども、国会業務のために遅れてまいります。挨拶については、政務官到着次第とさせていただきます。
当専門委員会にご就任いただきました委員の皆様方のご紹介をさせていただきます。秋田県健康福祉部健康推進課長の石塚共實委員、愛知県知事の大村秀章委員、明海大学学長の安井利一委員からはご欠席の連絡をいただいております。欠席の方以外の委員をご紹介させていただきます。
昭和大学歯学部教授の井上委員です。滋賀県衛生科学センター副所長の井下委員です。日本医師会常任理事の今村委員です。日本大学歯学部教授の植田委員です。新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の大内委員です。本日は大村委員の代理として愛知県健康福祉部技監の柴田参考人に出席していただいております。日本歯科衛生士会長の金澤委員です。荒川区健康部長兼保健所長の金田委員です。日本口腔衛生学会理事長の神原委員です。日本歯科医師会常務理事の佐藤委員です。国立保健医療科学院長の林委員です。新潟県立看護大学准教授の藤田委員です。富山地方鉄道健康保険組合保健事業推進担当の堀井委員です。国立保健医療科学院統括研究官の三浦委員です。読売新聞医療情報部長の南委員です。大阪大学歯学部附属病院長の森崎委員です。
続いて事務局のご紹介をさせていただきます。大臣官房審議官の唐澤です。医政局歯科保健課長の上條です。健康局生活習慣病対策室長の野田です。本日オブザーバーとして出席していただいております文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課教科調査官の森調査官です。医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室長の小椋です。本日はどうかよろしくお願いいたします。
配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表。資料1として4頁もの、資料2として7頁のもの、資料3として7頁のもの、資料4として3頁ものを配付しております。参考資料として84頁ものを配付しております。
本日の議事に入る前に、この専門委員会の根拠、あるいは設置に至るまでの経緯について事務局からご説明させていただきます。参考資料の1頁に、「厚生科学審議会の構成について」という資料があります。いちばん上に厚生科学審議会が、2頁の厚生労働省設置法第8条に基づき設置されております。この厚生科学審議会の中に、四角で囲っているところが中ほどよりちょっと下にありますが、「地域保健健康増進栄養部会」があります。この部会の中身としては「地域保健の向上、国民の健康の増進、栄養の改善及び生活習慣病対策に関する重要事項を調査審議すること」となっております。
3頁は「厚生科学審議会令」です。第2条で「委員及び臨時委員は、学識経験のある者のうちから、厚生労働大臣が任名する」となっていて、皆様方は厚生労働大臣から任名された委員及び臨時委員となっております。4頁の第6条「審議会及び分科会は、その定めるところにより、部会を置くことができる」となっております。
5頁に「厚生科学審議会運営規程」があります。6頁の第8条は「委員会の設置」ということで、「部会長は、必要があると認めるときは、部会に諮って委員会を設置することができる」となっております。8頁に「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会委員名簿」がありますが、部会長として永井良三先生にお願いしております。永井良三先生にお諮りいたしました上で、こちらの委員会を設置しているということです。この委員名簿の中で佐藤保委員と三浦宏子委員には本委員会にも出席していただいておりますが、部会の委員としても参加していただいております。
委員会の構成については7頁で、「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会運営細則」の第2条は委員会の構成となっております。「委員会は、厚生科学審議会の委員、臨時委員又は専門委員の中から部会長が指名する者」ということで構成されております。10月14日に行われた厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、7頁の運営細則とともに、本専門委員会の設置について了承されました。その後、先ほどご説明いたしました部会長が臨時委員、専門委員の中から皆様18名を指名し、本日の第1回専門委員会の開催となっております。いままでの大まかな流れについては以上です。
続いて資料1の1頁が、「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会歯科口腔保健の推進に関する専門委員会設置要綱」です。設置要綱については目的、検討事項、構成、委員会の運営等で構成されております。
3番目の「構成」ですが、(1)として、専門委員会の委員は公衆衛生学や歯科保健に関する研究者、行政関係者等から構成するとし、委員の方々については別紙のとおりとするということで、次の頁に名簿が記載されております。なお、専門の事項について検討を行うため、必要があるときには委員会の下にワーキンググループを置くことができる。(2)委員長は、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会運営細則第3条に従い、専門委員会委員の中から部会長が指名することになっております。(3)委員長に事故があるときは、専門委員会委員のうちからあらかじめ委員長が指名したものがその職務を行うとされております。
2番の「検討事項」について。こちらの専門委員会の検討事項として、歯科口腔保健の第12条第1項に基づく基本的事項に盛り込むべき内容、盛り込むべき目的や理念です。そのようなものに加えて、歯科口腔保健法第7条から第11条に関する方針、目標、計画などに関する基本的事項の検討に向けた作業を行うとされております。その法律の第7条から第11条については、下の小さい丸ポツで示しているところです。第7条として、歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発等について。第8条は、定期的に歯科検診を受けることへ等の勧奨等について。第9条は、障害者等、この障害者等の中には寝たきりの高齢者なども含まれますが、定期的に歯科検診を受けること等のための施策等について。第10条は、歯科疾患の予防のための措置等について。第11条は、口腔の健康に関する調査及び研究の推進等についてです。
3頁に、この専門委員会の位置づけみたいなものが記載されております。厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会で、先ほどご説明いたしましたとおり、10月14日に右側の「歯科口腔保健の推進に関する専門委員会」を設置することについてご承認いただきました。同日に、それとともに健康日本21の次に続く「次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会」の設置も承認されております。こちらの専門委員会の委員としては、この専門委員会の中にも委員として参画していただいております保健医療科学院の三浦委員が含まれております。
4頁は、先ほどご説明いたしました「歯科口腔保健の推進に関する法律の概要」です。法律の概要ですが、いちばん左下の「基本的事項の策定等」のところが、法律の第12条第1項になっていて、国としては施策の総合的な実施のための方針、目標、計画その他の基本的事項を策定して公表するとなっております。第13条として、都道府県は基本的事項の策定の努力義務になっております。基本的事項については先ほどご説明いたしましたとおり、第7条から第11条までの事項を記載してくださいということで、その上の四角に書かれている?から?まで、先ほどのこの専門委員会の中でご検討いただく事項になっております。
本日の議事については、議事次第にあります議題を用意しております。以上大まかではありますが、本専門委員会設置の根拠や経緯等についてご説明させていただきました。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
本専門委員会の委員長は、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の運営細則第3条に基づき、委員長はその委員会委員の中から部会長が指名するとなっております。先ほどの部会の永井部会長より、林委員を専門委員会の委員長にとの指名を受けておりますので、委員長は林委員にお願いいたします。林委員は、委員長席へ移動していただき、以降の議事進行をお願いいたします。
(林委員は委員長席へ移動)
○林委員長 国立保健医療科学院の林です。どうぞよろしくお願いいたします。本委員会では、法律の成立を受けて、ポスト健康日本21の具体的な方向を、この専門委員会で策定するような説明だったと私は認識しております。そういう意味では大役ですので、是非委員の先生方のご協力を得て、この専門委員会を円滑に進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
先ほども出ておりましたように、委員長代理の件ですが、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会運営細則第4条第4項にありますように、「委員長に事故があるときは、委員会委員のうちからあらかじめ委員長が指名した者がその職務を行う」となっております。この委員長代理の件ですが、国立保健医療科学院の三浦委員を指名させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○林委員長 ありがとうございます。三浦委員、よろしくお願いいたします。もう1つお諮りしたいことは、委員が欠席の際に代わりに出席される方の扱いです。事前に事務局を通じて、委員長の了解を得ること、及び当日の専門委員会において承認を得ることにより、参考人として参加していただき、かつ発言をいただくことを認めるという取扱いにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○林委員長 ありがとうございます。本日の委員会に、大村秀章委員の代理として、愛知県健康福祉部技監の柴田和顯参考人のご出席を認めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○林委員長 ありがとうございます。議事に入ります。議題(1)は「歯科口腔保健の推進に関する法律第12条第1項に基づく基本的事項について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○歯科口腔保健推進室長 皆様方に、基本的事項をご議論いただきます前提といたしまして、我が国の人口動態、加えて歯科疾患の推移、歯周疾患検診の実施状況等を含めてご説明させていただきます。
資料2の1頁は、「人口ピラミッドの変化」です。2005年、2030年、2055年ということで、人口ピラミッドの変化を示したグラフです。2005年については、いちばん下に赤い字で書いてありますが、65歳以上の人口と64歳以下の人口を比べると、3分の1という状況だったものです。それが2030年には大体1.7人に1人になっております。さらに変化していき、2055年には1.2人に対して65歳以上の人が1人に変化するという推計です。こちらを基に、今後の歯科口腔保健の推進に関する基本的事項をご検討いただく際の参考にしていただけたらと思います。
2頁は、1歳半の1人平均むし歯の本数と、むし歯がある者の有病者の割合になっております。いちばん左側は平成1年から平成21年まで、青い棒は1人平均のむし歯の数です。むし歯の有病者の割合は赤い折れ線で示しております。こちらは、両方とも平成1年から平成21年まで減少傾向になっております。
3頁は、「3歳児一人平均むし歯数等の年次推移」です。青い棒グラフが1人の平均むし歯の数、赤い折れ線グラフがむし歯の有病者の割合です。こちらも1歳半同様、3歳児についても減少しています。
4頁は、「20歯以上の歯を有する者の割合の推移」、歯科疾患実態調査の結果です。縦が20本以上の歯を有する者の割合で、横が年齢階級になっております。40歳から44歳では、白、黄色、オレンジ、緑の棒グラフが付いておりますが、こちらの棒グラフは、白が昭和62年の歯科疾患実態調査、黄色は平成5年の歯科疾患実態調査、オレンジは平成11年の歯科疾患実態調査、緑は平成17年の歯科疾患実態調査です。ちなみに歯科疾患実態調査については、6年毎に行われている調査で、平成17年が直近の調査になります。6年毎ですので、平成23年度がいちばん新しい調査になりますが、11月に行われておりまして、結果は来年になります。これで昭和62年、平成5年、平成11年、平成17年を比較していただきますと、いずれの年齢階級層においても、平成17年のほうが20本以上の歯を有する者の割合が高くなってきている現状です。あとは健康日本21の目標である80歳から84歳のところを見ますと、平成17年に20%を超えていて、目標値を達成している状況です。
5頁は、「歯周疾患検診の実施市区町村数及び検診実施率の年次推移」で、平成17年から平成21年までを比べております。実施市区町村数については、市区町村の合併等がありましたので前後しておりますけれども、次の検診実施率も50%台になっております。
6頁は、先ほどの歯周疾患検診の続きです。検診を受診した者の数になっております。平成17年から平成21年度にかけて、数字は増加してきている傾向が見て取れます。
7頁は、先ほどの表を図にしたものです。以上です。
○林委員長 これから、事務局が用意した資料3に論点整理メモが書いてありますので、これに沿って議論をしていきます。まず、事務局から論点整理メモについて説明をお願いいたします。
○歯科口腔保健推進室長 資料3の1頁、歯科口腔保健の推進に関する法律第12条第1項に基づく基本的事項です。四角で括ってある「参考」をご覧ください。歯科口腔保健の推進に関する法律の抜粋です。第12条において、厚生労働大臣は、第7条からその前条、第11条までの規定により講ぜられる施策につき、それらの総合的な実施のための方針、目標、計画その他の基本的事項を定めるものとする、と記載されております。
下のほうの健康増進法の抜粋です。健康増進法第7条第2項は、健康増進法の基本方針を定めることになっているのですが、健康増進法の基本方針は次に掲げる事項について定めるものとする。1番目は国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向、2番目は目標に関する事項とずっとあって、7番目まで健康増進法の基本方針については、法律上で目次的なところが記載されております。
それに反して、歯科口腔保健の推進に関する法律は、先ほど説明させていただきましたとおりですが、方針、目標、計画、その他の基本的事項を定めるものとするという記載だけしかありませんので、まず全体的な大まかな枠組みについて、先生方にご議論いただけたらと考えております。
それから、歯科口腔保健の推進に関する法律の四角の「参考」のところで第13条です。都道府県は、基本的事項を定めるよう努めなければならないと記載されております。こちらも第12条と第13条を合わせて、骨子案を事務局のほうで提案させていただきたいと考えております。
1)基本的事項の骨子案について、骨子案を次のようにしてはどうかということです。1番目は前文で目的とかを含めたもの、方針、目標、計画、その他の基本的事項。最後に法律の第13条で都道府県の基本的事項も策定するように努めなければならないとなっておりますので、都道府県の基本的事項を作るときの留意点を記載してはいかがかと考えております。
この骨子案を大体イメージしたものが後ろのほうに付けてあります。6頁と7頁です。一応こんな形で「前文」、第一「方針」、第二「目標」、第三「計画」、第四「その他の基本的事項」、第五「次条(第13条)第1項の都道府県の基本的事項」という形で骨子案とさせていただいてはどうかということですが、先生方にご議論いただけたらと思います。
○林委員長 以上の説明でおわかりのように、この法律に定められております条項に沿って中身を議論していくことになると思います。論点整理メモの1の1)から5)、2の1)と2)を合わせて7題ありますが、1題ずつ説明をしていただきながら議論に入っていきます。1番目を事務局から説明をお願いいたします。
○歯科口腔保健推進室長 法律には「第7条から前条までの規定により」と書かれておりますので、並べ方としては先ほどからご説明させていただいているとおり、第7条から第11条までを続けて記載するというような書きぶりもあろうかと思いますが、そのようにすると、全体的な方針であるとか、そのようなものが記載しにくくなるのかと考えておりますので、方針、目標、計画を大きく抜き出して、その次にそれぞれの法律の条文の第7条から第11条までを記載してはいかがかと考えております。
○林委員長 事務局にお尋ねしますが、資料3の6頁から7頁にわたっていますが、その最初の1題目で「前文(目的等)」とあり、○○○というのがあるわけですが、これについて議論していただくことになりますか。
○歯科口腔保健推進室長 資料3の2頁をご説明させていただきます。前文については、次の四角の「参考」のほうが、健康日本21、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針になっております。これが前文の部分の抜粋です。こちらの方針については、下線部の「壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現することを目的として、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な事項を示すものである」と書かれております。
こちらの目的については、先ほど部会の下にポスト健康日本21の専門委員会も同時に設置が承認されて、そちらのほうも開催しております。そちらでも、目的についていまご議論いただいております。壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸、生活の質の向上に加え、もう1つの専門委員会については、健康格差の縮小についてもいまご議論いただいております。そちらの専門委員会としては、健康寿命の延伸、健康格差の縮小、生活の質の向上、社会環境の質の向上も含まれております。当然そちらの動向も踏まえていく必要はあると思いますが、歯科口腔保健法に特化した目的が何かありましたら、皆様方からご意見をいただけたらと考えております。
○林委員長 ただいま説明がありましたように、法律のほうはマクロ的な表現になっております。例えば健康寿命の延伸等々とか、プリマチャーデスの話があるようです。法律は法律なのですけれども、この専門部会として具体的なプランを作るときに、そういうマクロの表現でいいのかどうかということが1つはあろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○大内委員 個別の内容の議論に入る前に、1つ確認させていただきます。今回策定する基本的事項というのは、誰を対象にしたものなのか。この個別に挙げられている項目の頭には「国及び地方公共団体は」云々となっております。国、地方公共団体を対象にしたものに限定するのか、あるいは法律のほうの第3条から第6条にあるような国民、歯科医療等業務従事者、健康増進事業の関係者も対象にしたものとして考えていくのか。これは、ここで議論するのか、事務局にお答えいただく内容なのかはわからないのですが、その辺をはっきりさせておいたほうがいいのではないかと思います。
○林委員長 法律は法律なのだけれども、この専門委員会の立場として、どこをベースにして考えればいいのかという対象の問題です。
○歯科口腔保健推進室長 「厚生労働大臣は定めるものとする」という記載になっています。あとは健康増進法の基本方針については、「すべての国民が」という書かれ方をしております。すべての国民を対象にするのか、ある限られた歯科医療従事者を対象にするのか、そのようなものも含めて先生方にご議論いただけたらありがたいと考えております。
○今村委員 いま、手元にそもそもの歯科口腔保健法の全文がないので、私も記憶は定かではないのですが、歯科口腔保健法の中には、いまお話のあった国の役割、地方の役割、関係者の役割がみんな書かれていたと思うのです。したがって、ある何かを対象にするということを、この委員会で議論することになるのでしょうか。基本的に大元の法律は、すべての関係者、国民を含めてということで役割が書かれていたように思うのです。
○歯科口腔保健推進室長 参考資料の15頁にあります。
○歯科保健課長 いま、どちらを対象にするかというお話もありましたけれども、参考までに健康増進法で作られている基本的な方針を、参考資料の46頁に示しております。歯科口腔保健法の場合も参考資料に入れさせていただいておりますが、地方公共団体向けということであれば、いままでの通知で、64頁に「都道府県及び市町村における歯科保健業務指針」が定められております。地方公共団体はこういう業務指針に基づいて、いままでは業務をやっている実状があると考えております。
○林委員長 地方公共団体の役割について述べてあるから、対象は国の役割もありますけれども、地方公共団体を対象にしていると理解してよろしいですか。
○歯科保健課長 そこのところはご議論だと思います。実際は、ここにある健康増進法で定められている基本的な方針は、もちろん国民向けを踏まえつつ、そして地方公共団体の役目もという形でブレンドされているように見られますから、あまりここだけと限定されるものではないだろうと思いますので、ご議論いただければということではないかと思います。
○今村委員 再度確認なのですが、この委員会というのは、いまお話のありました健康増進法はもちろん国の大きな法律だとは思いますけれども、今回新たに「歯科口腔保健の推進に関する法律」ができたことによって設けられている委員会だ、という理解で私は参加しています。そうすると、参考資料の中の15頁に、そもそも歯科口腔保健の推進に関する法律には、国の役割、地方公共団体の責務、歯科医療関係者及び医療関係者の責務、国民の責務ということで、すべての役割がちゃんと法律の中に書かれているので、改めて何かを対象にということをここで議論する必要があるのかどうか、私はそこがわからないのです。法律に書かれているように、すべてが対象ではないのですか。
○歯科口腔保健推進室長 基本的にはすべてが対象だと考えておりますが、先生方からの意見がありましたので、そのようなものも含めてご検討いただければいいのかと考えました。ただ、健康増進法に関しては、そのようなものがブレンド・ミックスされている状況も踏まえた上で、こちらのほうに国及び地方公共団体の責務が第3条、歯科医師等の責務が第4条、国民の健康の保持増進のために必要な事業を行う者の責務が第5条、国民の責務が第6条に記載されております。
○林委員長 私個人の理解なのですけれども、いままでは歯科口腔保健に関する法律がなかったのが、具体的に1つの形になった。なったとはいえ、読んで理解できるように、いままでやってきた事業内容から考えて大きく発展したものができて、新しいものができてきた、というわけでもなさそうな気がするのです。しかし、法律の裏付けがあるのとないのでは、アクションの取り方が違うだろうと。いままでは、健康増進法の中にチラチラ出てきたり、ほかの部分で出てきたりしていることもあるので、さて、これを今度新しい法律の中でまとめたのですが、これで疎漏はないだろうか、もし何かあればもう少し踏み込んで言及してもいいのではなかろうか、そういうスタンスから始まっているように私は理解しましたけれども、そういう理解でよろしいのですか。
○歯科口腔保健推進室長 あくまで第12条については、「施策につき」という記載のされ方をしていますので、基本的事項の施策の実施について、実際にはその施策をどこまで実施していくか、あるいはどういうものを対象にしていくかということについてご議論いただければいいのかと考えております。
○佐藤委員 噛み合わない部分がちょっとあって、いまのお話の中で私も1つ確認したいのは、資料1の3頁にある、この専門委員会の進め方のイメージです。厚生科学審議会、ポスト健康日本21の委員会とこの委員会がそれぞれ調和しながら、お互いにこのような関係を示しております。一方で、先ほど来お話になっている健康増進法のみならずというか、この歯科口腔保健法に関連する法律だけいっても、健康増進法にしても、高齢者の医療確保にしても、安衛法にしても、地域保健法にしても、学校保健法にしてもという部分があって、それぞれとどう調和を図っていくかという、法律間の調和のイメージもあると思うのです。これは、各検討会の場の問題としての調和の問題として示されています。
それぞれの法律との調和の問題、例えばここの中で議論しても、それぞれの法律に関して言えば、それとの整合性が合わないという問題は当然出てくると思います。そういう議論になってきた場合には、当然他の法律との問題は出てくる可能性もあると思われます。その辺の整合性、調和はどのように考えているのかをお聞かせください。
○歯科口腔保健推進室長 その調和については、いま佐藤委員がおっしゃられましたように、さまざまな法律との調和が基本的には考えられると思います。ただ、歯科口腔保健の推進に関する法律については、さまざまな法律と調和をしていく際に合致する部分もあろうかと思いますし、あるいははみ出している部分もあろうかと思います。そのようなものについて、実際には省庁内で関係各局、各課と調整はさせていただきます。基本的には先生方が思っているご意見を述べていただいて、その際に最終的にはこちらのほうで調整をさせていただく方法になるのかと考えております。
○神原委員 いまの議論を聞いていて、どうも噛み合っていないというか。基本的にこの歯科口腔保健の推進に関する法律の意味といいますか、なぜいま出てきて、この法律がどういう意味を持っているのかをやはり前面に出すべきであろうと。特に歯科疾患構造が変化してきて、口の中の健康が非常に進んできた。そういう中で、ここの目的のところに書いてあるように、「国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効である」。歯科疾患予防であり、健康増進であるということが表に出てくる。それは、当然すべての国民相手であろうと思います。いま言われている議論が、何か意味のあるものかどうかというのは全く意味がわからないです。
逆に、こういう新しい法律が歯科のポジションを上げていく、あるいは職務を拡大していくということ。例えば、全身の健康とのつながりであるとか、そういうことがもうちょっと新しい視点で出てこないと、この法律の意味が出てこないのだろうと思うのです。もう少し前を向いた議論をしていっていただきたいと思います。
○井下委員 この法律の第1条「目的」の下から3行目のいちばん最後のところに、「歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進し」ということが記載されています。総合的に推進することを目的としているわけですから、それに関係するそれぞれの人たちが対象となると理解したほうがいいのではないか。
先ほど神原委員が言われたように、以前の歯科という捉え方ではなくて、糖尿であったり、脳卒中であったり、それぞれのいろいろな疾患の中で、歯科というもの重要性がかなり出てきていることも含めての総合的な施策、ということができればいいのかと考えます。
○林委員長 単なる歯とか口腔という範囲内で考えるのではなくて、もっと全身システマティックなことも含めて考えていくのが、この法律の中に内含されている意味だろうというご発言かと思います。
○大内委員 開いた質問にしてしまったので、かえって混乱を招いたみたいなのですが、要するに確認したかったのは、今回の検討の対象になっている基本的事項が第12条で、「第7条から前条までの規定により講ぜられる施策につき、それらの総合的な推進のため」となっていて、実際に第7条から第11条は全部「国及び地方公共団体は」となっているので、それだけではないですよね、という確認をしたかっただけなのですが、皆さんそういう方向で賛成だということなので、基本的には「国民」とか、「歯科医療等業務従事者」とか「健康増進関係者」も含めた指針として作っていく、ということでご了解いただけたということで理解したいと思います。ありがとうございました。
○三浦委員長代理 まさしく井下委員がおっしゃったように、この法律は「総合的に推進し」というところに意義があると思います。いろいろなステイクフォルダーが絡んでくるということで、単に自治体だけが対象というわけではなく、広く対象とするというところの議論の方向性で非常にいいかと思います。
あとは、次期国民健康づくり運動プランにおいても、個人の健康づくりプラスアルファ地域の健康づくりというところにもウエイトが置かれているという流れを考えると、そういう方向性は非常に合致しているのではないかと思います。
○林委員長 おそらく、この前文のままではそれほど大きな問題は生じないと個人的には思っています。事務局のほうとしては、委員の皆さんが日ごろの活動の中で、もうちょっと踏み込むようなニュアンスを今後持つことが必要であれば、それに関する意見を具体的に出していただきたいと受け取れるような気がいたします。事務局はあくまでも事務局ですので、専門家の皆さんから発言があれば、それは考慮してほかの部会に報告をするという立場だと思います。
日常よく見かける、歯科医師が糖尿病のことに言及していいのかどうかよく議論があります。禁煙のことについても、果たして歯科医師が行うことのできる限界はどこまでなのか。本来は、歯科医師が禁煙のプライマリーケアのフロントラインに立つほうがいいのではないかという発想もできるのではないかと思うのです。従来ですと、なんとなく制限されている側面はなかろうか。そういうこともあろうかと思いますので、それについて専門家の皆さんが何か思いつくことがあれば、表現上意見が出てくればありがたいという趣旨かと私は理解しております。
○今村委員 まったく皆さんのお話のとおりだと思うのです。前提として、いま先生がおっしゃった禁煙や糖尿病に対して、歯科の先生がどう関与するかというようなレベルの話は、医科側から見ると当然のことと受け止めています。いま糖尿病対策については、糖尿病対策推進会議という大きな会議を中心に動いています。これは糖尿病学会、糖尿病協会、医師会、歯科医師会、健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、腎臓学会、眼科医会等で構成されており、国民運動を医療界側からつくろうという中で、歯科の先生たちの役割というのは、糖尿病についても非常に重要だという認識のもと、啓発用のポスターも作ったりしていこうという取組を既にやっています。
歯科の先生のお立場の中で、そういうことに関与していいのかどうかというようなお話があるとすれば、改めてこの中でしっかりと書き込む必要は逆にあるのかと思っています。これは、当然連携の中でやるべきことであって、その連携の仕組みなしに、歯科の先生だけが何かこれをやればいいという話では全くないと思っています。改めて申し上げます。
○林委員長 大変貴重なご意見かと思います。細かい具体的な事例を挙げていくと、前文の中で盛り込むのは難しいかと思うのですが、そのニュアンスとしては、歯科医師あるいは歯科衛生士も含めた歯科関係者が、国民健康づくりの中でほかの分野と連携しつつ、さらに重要な役割を果たしていく必要があるのではないか。今村委員のお話は、そのようなニュアンスでしょうか。
○今村委員 はい。
○林委員長 ありがとうございます。前文でそれ以上の具体的な話をするのは困難だと思います。またご意見があれば、もう一回振り返って議論したいと思いますが、時間の関係もありますので、2番目の論点について説明をお願いいたします。
○歯科口腔保健推進室長 3頁には「方針」「目標」「計画」について全部一遍に載せてありますので、全体的にご議論いただければいいのかと考えております。方針について、今回の対象は国民全部とか、すべてを含んだ上の対象にして、基本的事項を作っていく上において、柱となる全体的な方針をまず記載したらいかがかと考えております。例えば、方針はこうあるべきであるとか、目標はこうあるべきであるとか、計画はこうあるべきであるというような、基本的な方針みたいなものを記載してはどうかと考えております。
法律に、第7条から第11条に関する事項を記載するとなっておりますので、方針、目標、計画ごとに第7条から第11条に関する事項を記載していくというやり方もあるでしょうし、全部が書けなければ、ある一定のところは除いて書くような書き方もあるでしょう。実際に項目立てをしないで、バラバラに書くというやり方もあるでしょう。そのようなことに関して、できたら先生方のご意見をいただけたらと考えております。
あとは方針、目標、計画に、その他どのようなことを記載していくべきか。これが具体的な話になっていくと思いますので、ここは個別に先生方のバックグラウンドあるいはご経験から、今後総合的な施策の推進を図るためには、こういうものを記載したほうがいいのではないかということをご議論いただけたらと考えております。
最後は、基本的に各都道府県でも既に健康増進計画みたいなものを作っていて、その中に歯科のものも含まれている所もあります。あるいは歯科のものだけ特出しで、都道府県の歯の健康増進計画みたいな形で作られている所もあります。そのようなものは、大体ライフステージごとに目標などが記載されていると思います。法律第7条から第11条に関する事項と、ライフステージとの関係については、どのように考えられるかということについても、併せてご議論いただけたらと考えております。以上です。
○林委員長 方針について、7条から10条を参考にしながら考えればよろしいということでしょうか。いかがでしょうか。何か追加すべき方針というのは、考えられるかどうかということですよね。既存の施策の中に何か漏れがあるかどうか、ということと考えたらよろしいですか。
○歯科口腔保健推進室長 既存の施策に何か漏れがあるかという考え方もあるでしょうし、全体的な方針として、例えば健康増進法では、目標値を作るときはエビデンスのある目標値にしましょうとか、大まかな基本的な方針みたいなものが書かれていたり、そういう大きな方針。それと、あとは1個1個の方針。目標計画に書いていく具体的なこういう施策が足りないのではないかとか、こういうようなものを強く押していったらいいのではないかというようなものをご提示いただけたら、事務局としてはありがたいかなと考えています。
○歯科保健課長 参考資料の9頁以降に7条から10条に示されている施策について、いま国で行われているものを一覧表にして示しています。
○井下委員 いわゆる7条から11条までの個別のものの前に、基本的な方針を述べるということであれば、キーワードとして考えてみたのですが、例えば総合的な施策の推進の中にそれぞれの都道府県の協議会の設置とか、それの客観的な評価。それから先ほど今村委員がおっしゃられたように、多様な関係者との連携も必要だと思います。もう1つは、科学的な根拠に基づく施策の推進。最後に、これは書けるかどうかはわかりませんが、我々歯科保健専門職の確保と関係者の資質の向上。これだけのキーワードがあれば、まず縦串でガサッと貫いて、あとはそれぞれ横で7条から11条までのことが言及できれば、結構形になるのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○神原委員 基本的には井下委員のいまの考え方でいいと思いますが、もう1つの視点は、いちばん最初に資料2で説明をされましたように、特に歯科疾患というのはどんどん動いてきている、どんどん健康になっている状況にある中で、この法律で設定をどこにするか。例えば10年後の予測をして、それに対して耐え得る口腔保健施策というものを構築できるのかという視点も大事だと思います。ですから、いま現状できることと、10年後を想定したときに、例えば12歳児のむし歯が1本ぐらいになる。そうしたときに、こういうパブリックヘルスとしての対応はどういうことができるのか。あるいは、歯科医療としてどういうことができるか、そのときに国民一人ひとりがどう対応するかも大事だろうと思うわけです。
もう1点は、いまの現状の中で医科と歯科連携で特定健診というものがありますが、その中に歯科がどう入れるかということをもう少し具体的に入れてほしい。それは、すぐにできるのではないかと思います。だから、すぐできることとサイエンスに裏づけされたようなことで今後取り組んでいくことと、いろいろなことがあるだろうと思いますので、そういうことを踏まえて。それが総合的に考えるということかなと思います。
○林委員長 ありがとうございます。
○三浦委員長代理 いま神原委員から、10年後を見据えてというキーワードがご紹介されましたが、まさしく10年後を見据えてどうしていくのかというのを、次期国民健康づくり運動のところでもやっていて、そこでの議論の一端をご紹介します。一次予防にいままでウエイトをかけていたのを、重症化予防という概念を入れる方向性が議論されているところです。結局、ご紹介がありましたように高齢化が進んでいく枠組みの中で、いままでのような健康観のままですと、これからの健康づくりが対応できない可能性があります。一病息災というような概念に基づき予防のあり方を考えるということを歯科の分野で適応しますと、高齢化の進行に伴って口腔機能低減の抑制とか、そういったような概念をどこかに入れる必要はあるかもしれません。そして、先ほど井下委員からご紹介があった協議会の設置等、地域での健康づくりで1ついい切り口になるのではないかなと思っています。以上です。
○森崎委員 いまの三浦委員長代理の意見とも重なると思いますが、先ほど格差の縮小という言葉が出たと思いますが、地域あるいは年齢といったことによっての歯科口腔保健の格差をどういうふうにして縮小していくかということは、これから大きな問題になってくるのではないかが1つ。もう1つは先ほどおっしゃったように、歯科口腔保健というときに、今回出されているデータもむし歯だったり歯周疾患だったりと、非常に限定的なものしか出ていないという意味では、もう少しいまおっしゃったような口腔という機能の点をいかに増進するか、あるいは保っていくかという視点での考え方を盛り込んでいって、即簡単に達成できるかどうかは別にして、文言としてはこの機能の増進、保持ということを入れておくべきではないかと思います。
○林委員長 よく理解できます。老健施設を見ていますと、大体加齢に連れて認知症が進み、80歳ぐらいになるとかなりの人が認知症になる。そのときには、嚥下困難がかなり出てきますし、そのあげくは肺炎になって亡くなるというのが、老健施設の先生に聞くと大体9割ぐらいのパターンだそうです。そういうことは、いままでたしかあまり強く意識されなかった。専門家の間ではわかっていても、国民運動として、あるいは全体を推進するという立場で。
○井上委員 3年ぐらい前だと思いますが、厚労省で「歯科保健と食育の在り方に関する検討会」がありました。そちらでライフステージについての方針を出したのですが、そのときに、小児期の口腔機能の育成と高齢期の機能低下の防止が非常に大きなキーワードだと。咀嚼をうまく育てて維持しようという方向も出していますので、そういう方向で検討いただくと幸いかと思っています。
○今村委員 協議会についてお二人の委員からお話があったと思いますが、歯科の課題はライフステージごとにたくさんある。例えば小さなお子さんだったら、ひょっとしたらネグレクトの問題を歯科の先生が見つけることもあるかもしれないし、高齢の方だと介護のお話までつながる。それぞれの分野は都道府県の中で個別に会があって、その中で歯科の役割みたいな話をいままでは議論しているのだと思いますが、歯科という切り口で全体を見ることをしていなかったのであれば、そういう協議会は必要だと改めて思います。ただ、現実には我々もそうですが、次から次へといろいろな協議会ができて縦割りになって、あっちでこの議論、こっちでこの議論ということにどうしてもなりかねないので、そこを歯科で統一するかどうかが1つの課題だと思います。
もう1つは事務局にお聞きしたほうがいいのかもしれませんが、佐藤委員から他の法律との関係というお話がありました。先ほどから、何度も糖尿病のお話を申し上げていますが、都道府県は4疾病5事業で医療計画を作らなければいけないということです。今回の試案の中にも、県が歯科に関して計画を作るといった場合の他の連携との間で、どう整合性を持って進めていくのかのイメージがいまひとつわからないので、今後の議論の参考にさせていただきたいので、事務局としてお考えがあれば教えていただきたいです。
○林委員長 いかがですか。
○歯科口腔保健推進室長 都道府県での計画の策定について、歯科の統一した計画を作る、あるいは健康増進法の中に本計画を入れ込んで作ることもあり得るでしょうし、そこはわかりません。あるいは県の中で、健康増進とはまた別の医療計画とか、がんの計画というのは、例えばがんの計画を作るときにも、医療計画と調整・調和を図るような作り方をされていると思いますので、おそらくそういう計画の作り方と同様な形で、調整を保たれていくようになるのではないかなと考えています。
○今村委員 都道府県ごとに任せると、歯科の先生の糖尿病における役割みたいなものを、気づいて書き込まれるかどうかは極めて疑問があって、この会でしっかりと議論し、歯科の役割、連携ということをはっきりと書くべきではないかなと思って、改めて申し上げました。
○佐藤委員 今村委員のご指摘のとおり、第五次の医療計画で国が示している4疾病5事業の中で、歯科の役割というのは記載されてはおりません。ほとんどという状況でした。ですから、都道府県計画でも、それがなかなか記載されなかったというのが1つの事実です。今回の医療計画の見直しの中では、5疾病になるところも含めて、それぞれの歯科の役割というのがだいぶ記載されていますので、おそらく第五次に比べれば都道府県計画もその役割が明確になってくるのではないかなと思っています。ですから、第五次の部分から議論していくと、都道府県でも全然これが見えてこないだろうなというのは、都道府県の関係者であれば実感だろうと思います。
先ほど来、先生もおっしゃっていただいたように、連携の部分というのは非常に重要で、今回の方針、目標、計画の中の視点として1つはあるのかなと。今回示していただいた5つが、結局、普及啓発と検診と障害者並びに調査研究という話になっていますから、いわゆる医療連携という切り口。あとは確実なのは、都道府県が計画として持っていく。例えば神原委員がご指摘になった5年後、10年後という話になってきたときには、その地域格差が依然としてあったりする中で、それをより有効にするには都道府県の計画を策定していこうという方向を示すことが大事であろうと思います。
また個別の話をさせていただくと、3に「障害者等」と書いてあります。先ほどのご説明で、障害者の中に要介護者を含むという話がありましたが、障害者と要介護者は別々に記載すべきではないのかなと感じます。障害者に関して言えば、今回の4疾病、5疾病になった精神疾患の問題が記載されるわけですし、要介護者は要介護者としての視点として進めるべきだと思いますので、これは「等」には含みづらいようなそれぞれの特性があるのではないかなと感じました。
○林委員長 いろいろ議論が出てきました。先ほど井下委員から出された中で、科学的なエビデンスについては、歯科口腔保健に関する調査研究というような項目は方針として考えられるような気もします。それから、スキルをアップするということで言えば、人材育成という柱もあるのかなという気がしたのですが、いかがですか。
○三浦委員長代理 いま、人材育成の必要性ということのご発言があったのですが、まさしく人材育成というのは非常にキーになるところかと思います。実際に、いろいろなプログラムを入れて成功している所もあり、佐賀県等はこの数年でう蝕罹患率を急激に下げています。官民一体になって取り組んだという背景要因はありますが、そういった活動を支えてくれた従事者を育成したというところが成功の隠れた要因として挙げられるので、その地域で実際にそういった活動をするスキルある人材を養成するというのは、重要な視点であると考えています。
○林委員長 ありがとうございます。そのほかにご意見として出たのは、ライフステージの格差、子どもの食育に絡んだ話と高齢者の話ですね。そのほかに、もう1点あったような気がしたのですが、二次予防の問題がありますよね。いま出てきたようなお話を私は代表して、皆さんのご意見をまとめさせていただいていますが、今日の議論の中では、とりあえず方針の中にそういうことも盛り込んでいただきたい、というご要望かと思います。事務局のほうでテイクノートしていただければと思います。
○歯科口腔保健推進室長 皆様からいただいたご意見のほうは、方針、目標、計画に該当するところには、次回以降にご意見として書き込んでいきたいなと考えています。それと、先ほど委員から10年後を見据えてというようなこともありましたが、そちらも踏まえてご議論いただけたらと思っています。
最後の5頁をご覧ください。2「その他」として、次期国民健康づくり運動プラン策定の専門委員会が、こちらと同時に進行していますが、そちらのほうではプランの時期の設定という形がありまして、平成25年4月から10年間となっています。こちらのプランも同様なものとするのか、歯の口腔保健でまた別な時期を設けるのかについても、できましたらご意見をいただければと思っています。それと、関係学会とか関係団体、自治体からの意見聴取を向こうでは行っていくことになっていますが、こちらとしても今後どういう形で関係学会とか関係団体、自治体から意見聴取を行っていくかも含めて、ご意見をいただけたらと思っています。
2)の「その他」ですが、都道府県あるいは市町村でも、歯の健康、歯科口腔保健に関する条例というものを既に作っている都道府県もあります。この法律の中で第13条には、都道府県には基本的事項を作りなさい。努力義務という形で作ってはどうでしょうかとなっていますが、その都道府県の条例と基本的事項の整合性について、どのように考えるべきかもご議論いただけたらなと考えています。
最後は、歯科口腔保健支援センターというものが法律の第15条にあって、都道府県等が設置することができる規定になっていますが、口腔保健支援センターの有すべき機能についてどのように考えるかも、先生方からご議論いただけたらと考えています。以上です。
○林委員長 ただいまのご説明というのは、本日の議論の7題の中のどの部分に当たるのでしょうか。
○歯科口腔保健推進室長 5頁になります。
○林委員長 これは、どのように議論すればいいですか。当然といえば当然のことですが。
○神原委員 先ほどの次期のプラン設定を踏まえると、健康日本21のファイナルレポートが出ていまして、それに対して歯科が非常にいい結果が出ている。メディカルに比べて達成されているところも多い。ということは、逆に言うとそれに対して、なぜ達成したのか、どこがどう効果があったのかということを、一度整理をしておくことが必要だろう。
例えば12歳児のむし歯が1本前後という目標があった。それがほぼ達成されたとしたときに、次に何を設定するかという具体的な方向性があろうかと思います。学会とのつながりということから言うと、私は口腔衛生学会の理事長をしていますが、この間の秋の学会で学会の政策声明として、この歯科口腔保健法というものを、技術的あるいはサイエンスとしても支援していくことの声明を出したい。もう1つは、12歳児の1本ということを超えて、カリエスフリー社会を目指したいということを明確に声明としてこの学会が出す。そういう方向性が、この歯科口腔保健法の健康づくり、口の健康を目指した方向性になっていくのかなと思っていて、我々の学会は基本的に全面的に、この法律というものを支援したいと思っています。
○林委員長 そのほかに何かご意見はありませんか。
○大内委員 とりあえず期間についてですが、国の支援を受けて都道府県とか市町村といったところが、いま現在も歯科保健独自の計画とか健康増進計画の一部としてとか、医療計画の中でも歯科を位置づけたりということをやられていますので、基本的にはそれらに歩みを合わせて平成25年からの5年ないしは10年。10年とするのであれば、5年で中間評価をやるということを明確に規定しておく必要があると思います。あまり大臣告示で時限を切ったものを見た記憶がないですが、そういうことをきちんと指針の中に書き込んで、中間評価とか10年後の見直しをやれるようにしておくというのは重要かなと思っています。
あと、一つ質問ですが、2番目の提起の関係学会、団体、自治体からの意見聴取を行うべきかというお話は、この検討会で関係者の方に来ていただいて、ここでお話を聞くというイメージでしょうか。
○歯科口腔保健推進室長 説明が不足しておりまして、申し訳ありません。もう一方の次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会については、関係学会、関係団体はこちらに来ていただいてプレゼンをしていただくということではなくて、意見をいただきたいということで、おそらく郵送にて何か意見をいただくような形になろうかと考えています。いまの段階では、関係学会だけと伺っています。
○金澤委員 この法律の趣旨のところ、目的とか基本理念を改めて見てみますと、疾病に対応することは予防への取組みということで押さえてありますが、生き甲斐とか生き生き生活するという点は、「口腔の健康が健康で質の高い生活を営む上で」というところで最初に書かれていて重要な視点だと思います。特に高齢社会ということになりますと、老いて疾病をさらに予防する、重症化を予防することも大切ですが、口腔の機能を十分に使っておいしく食べたり、お話をしたりということが、きちんと確保されるような口腔保健ということも目指していると思います。その辺が少し明確に出てくることで、新たな口腔保健をイメージすることができるのではないかと思います。
それと、基本理念で見ていきますと1番目が個人ということで、2番目はライフステージに対応して、3番目の総合的な推進というのは、保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他ということで、そこに具体的な場が書かれてありますので、それぞれのところでそういうことに触れた施策というか指針が出てくると、わかりやすくなるのではないかと思います。
それと人材育成ということが出てきましたが、第15条の口腔保健支援センターにそういう機能をきちんと付加して設置するかどうかというところは、これから検討されることだと思いますが、是非この口腔保健支援センターの機能についても、具体的に触れていただいたほうがいいのではないかと思っています。
○林委員長 ありがとうございます。口腔保健から見たQOLのことを提起されたように受け取りましたが、たしかそちらのほうからのアプローチというのは、いままであまり聞かなかったような気がします。
それと、自治体に落ちていったときに、結局はその地域のプラン、企画、運営、評価というのを歯科保健単独でやったほうがよろしいのか、それともほかの分野の方、一般医療の方その他と一緒にやられたほうがよろしいのか、という問題もあるような気がします。
○金田委員 ここに口腔保健支援センターということで第15条に書いてありまして、できる規定で「都道府県、保健所を設置する市及び特別区」とありますが、その下に書いてある中身は非常に漠然としていて。今回の事務局からのこれも、機能をどのように考えるべきかということで、こちらにもしかしたら投げかけられているのかもしれませんが。人材がいないただの口腔保健支援センターというのは、はっきり言えば、ただありますよと。なおかつ、都道府県のどこにもありますよというのではほとんど意味がないので、どちらが先かということはありますが、そこに口腔保健支援センターをうまく、機能と一緒になると思いますが、そこに相応しい人がいなければ意味がないと思うので、歯科口腔保健に専従するような職員とか人とか、どういう専門職がいいかということも含めて議論していかないと、なかなか難しいのかなと。
それから、実際に私は特別区の保健所で、「じゃあ、しろ」と言われて「じゃあ、できるのか。いまのスタッフで」というのは、はっきりそういう話で。都道府県レベルだとまた違うと思いますが、しっかりこの法律の中に書き込んであるので、たぶんこれから議論していかなければいけないところだと思いますが、結構課題が大きいなと感じています。
○林委員長 その場合、どういう人材というか人材のイメージ。どういう技能あるいは資質が要求され、そういう人がリクルートをどうやってして、自治体がどうやって配置して、どういう人材育成をしていくという一連の話がずっと絡んでくると思いますが、いかがでしょうか。
○金田委員 はっきり言えば、例えば特別区の中でも23保健所がありますが、歯科衛生士は必ずいても、歯科医師がいる区は5区ぐらいしかないです。私がいる荒川区の保健所ですと、歯科医師の専門職は歯科医師会の先生しかいらっしゃらない。大学がある所はまた別だと思いますが。歯科関係の専門職という形を見ても、非常に少ないのかなと思っています。
○林委員長 例えば、ほかの職種の人にもそういう技量というか、付けていただいて、それで配置していくことも視野に入ってくるのでしょうか。
○金田委員 そういう人も含めて、特に口腔保健支援センターというのはどういうイメージにしていくのか、というのが要るのではないかなと思います。
○藤田委員 私も、いま23区のある区の行政評価委員をやっていて、医科系、歯科系のいろいろな施策を見ていますが、まだまだ東京23区であっても、最新の情報とか最新のエビデンスみたいなものというのが、きちんと把握できていない状況です。だから、依然として古いような、5年前、10年前の知識というのを行政のほうが持っていて、それを政策として行っている。例えばコレステロールというと、一般の人は低いほうがいいのではないかということですが、実際エビデンスから見ると240ぐらいあったほうが長寿ですよね。200以下の人はがんにかかりやすかったり、各種疾患にかかりやすくなって死亡率が高い。実は、東京都下の23区の区役所の職員の方々とか区民の方々でも、そういうことまではよくわかっていない部分があって、ここで良い議論をしていただくことになるのでしょうけれども、それをどういうふうに地方のほうまで下げていくかは、人材の育成も含めてかなり問題が山積している感じがしています。
○林委員長 ありがとうございます。実は、地域保健検討委員会で似たような話が出てきます。いままで我々のこの委員会でも、今日議論しているように、どちらかというとサービスのサプライサイドから始まっていることが中心かと思いますが、ある市では情報を集めて分析して、それを住民と共有することによって、住民の中からそういう方面の健康についての意識を高めて積極的に参加していただく。いわゆる、1つのソーシャルキャピタルをどうやって作っていくかという視点が述べられてあったのです。なるほどなとは思ったのですが、いままで歯科口腔保健の分野で、いまおっしゃったとおりだとすれば、その部分が抜けているのではなかろうかという気もしたのです。私の勘違いかもしれませんが、先生方はいかがでしょうか。
○堀井委員 私は現場で40年ほど保健事業をしてまいりまして、最初健康診断のときにはこのままやっていてもいいのかなと思ったところに、ちょうど歯科も入れてもらうようになって非常によかったなと思います。医科歯科共同作業をしているわけですよね。歯科健診当初より同じ先生に来ていただいていますが、以前は健診後磨き方を指導されたのですが、最近では歯の健康と全身の健康、糖尿病のことと、短い時間の検診ですが、一人ひとりに丁寧に説明をしておいでなのです。
医科と歯科の共同作業をやってよかったなと思っています。私は歯科が虫歯治療だけでないということに気づいたのは昭和58年ころからですが、なぜ、歯医者さんに10年も15年も通院しなければいけないのかわかりませんでした。長期通院者は7名もいました。歯周病という病気を私自身理解していなかった為です。歯科は歯が痛くなったら治療に行く所と思っていたからです。平成3年に実施したパノラマ健診がその疑問を解いてくれました。予防の大切さを教えてくれたのです。今は歯と全身の健康のかかわりを重視しています。
歯科の先生は「糖尿病の人は積極的に受けさせてね」と病名を指示されるわけです。うつの人がいたら「うつを入れてください」と。健診を終えてから先生は「うつはやっぱり磨かないよね」と言われます。歯科検診でも受ける人は自分の歯に自信がある人。診てもらってもいい人は受けますが、少し悪い人とかは遠慮されます。歯科健診は毎年200人ずつ検診をしていますが、自ら申し込んで受ける人は1割です。あとは、当日の呼び込みで受けてもらっています。受診動向については、以前だったら年代別に受診結果を拾っていくことができたのですが、最近は途中採用が多いものですから、健診結果もいびつになってしまっています。そしたら先生は、「そうだよな。何も検診をやっていない人はこうなんだよな」とおっしゃいます。職場で35年、40年と皆さん働くわけですし、歯科健診事業がしっかりできれば自分で磨く習慣が身に付いたりとか、歯の健康が大事だとか、そういうことが理解できるようになります。
当健保でもHbA1Cをずっと取り入れて20年ほどしていたり、クレアチニンを入れてずっとやっていたら透析は1人もいないのです。糖尿病の重症化になる人もいないのです。これらを踏まえて医科と歯科が予防の観点から相乗効果を持ち共同作業をやっていけたら、健保でももう少しやれるかなと思います。ただ、歯科健診が法定化されると負担増となるので、それは困りますが、増進法等のほうで接点があればありがたいなと思っている次第です。
○植田委員 いまの話と関連して、むし歯の本数だけを数えている検診ですと人は集まりませんし、どんどん検診は寂れていきますが、いまおっしゃっていたような生活の視点に立っていくような指導をしたり、森崎委員から口腔機能という話がありましたが、その辺の視点でもって検診とか指導となると、どんどん人は集まってくる構図はあろうかと思います。
ただ、目標設定をするときに、機能に関する目標設定をなんとかしてもらいたいなと思いますが、むし歯の本数と違って機能に関する目標設定は非常に難しくて、それは今後の各検討委員会で機能に関する目標値みたいなものを位置づけてもらえたらいいかなと思います。ただ、その前段として障害者、脳卒中だの認知症だのという次元になりますと、そういった障害者のむし歯の本数すら実態調査はされていないのです。例えば8020が達成できたとは言いますが、80歳以上の人の中に脳卒中や認知症の患者の口腔内はカウントされていないと思います。そういう方々をもし入れたとしたら、決して8020は達成できたとは思っていません。ですから、まずはその辺りの部分をボーダレスという発想でやっていいのか、ということも考えていただきたいと思います。
もう1つは、もっと前提にいきますと健康感。三浦委員長代理からもお話がありましたが、果たして脳卒中にさせない、がんにさせない、いいですが、仮に全部この世の中から脳卒中や認知症やがんを撲滅したら、人間はどうやって死んだらいいのかという話です。要するに、果たして脳卒中になってはいけないのか。いけないという言い方が……かもしれませんが、むしろなるものなのだという前提の下に、でも脳卒中になっても健康に暮らせるのだ、認知症になっても生き甲斐は持てるのだ、という発想の健康感があっていいのではないかなと思います。
○今村委員 堀井委員から大変大事なご指摘をいただいて、私も先ほどから申し上げているように、日本レベルでいえば医科と歯科の連携は、当然のものだという前提で話が進んでいる。おそらく都道府県レベルでも、医師会と歯科医師会はみんなそういう共通認識の下に、日頃から交流をしていると思っていますが、現場に下りていったときに温度差があるのは間違いないので、今後もいろいろな活動の中で、歯科の先生と医科の連携というのは図っていきたいと思っています。堀井委員のところは相当熱心な所だと思います。これは医科も温度差があるし、歯科も地域によっていろいろな差があると思っています。
もう1点、検診についてです。冒頭で事務局からご説明をいただいた中にもあったのでお聞きします。歯周疾患の検診というのは、自治体の何パーセントが行っているかというデータは出ていますが、私なりの印象で、全部の人数が22万人しか受けていないというのは極めて少ないのではないかということです。ここの分母、そもそも対象者が誰であって、何パーセントがこの検診を受けているということがないと、今後の検診の目標値は出てこないのではないかなと思っています。先ほどから特定健診とか事業主健診と、いろいろな健診の場がいま日本国民には設けられているけれども、こういう歯周疾患については、対象者に対してどういう場があるのかというと、極めてそれは限られていて、根拠法が地域保健法なのか健康増進法なのかよくわからないのですが、そういったものの中で義務でもないし、受けたい人が受けてくださいという状況ではなかなか数値が伸びていかないと思います。この辺もしっかりとした施策をとりながら具体的な目標を設定していただければ、ありがたいなと思っています。
○林委員長 ありがとうございます。ただいまのご発言の中に、重要な点が2つあったかと思います。後半の検診率の件は、昨日、別の生活習慣病関係の議論がありましたが、その中でも特定健診の健診率が低い。一方、がん検診の検診率も低い。そういう状況の中で歯科保健、歯科検診というのがあるわけですが、検診率を高める方策として、どういうことを考えればよろしいのかというのが1つ大きな課題かと思いますが。
○佐藤委員 今村委員ご指摘の、数は少ないのはそのとおりで、特に市町村が行う検診に関しては、最初から母数を少なくしている事実があります。例えば節目にするとか、対象者を絞り込むとか、それを実施すればその市町村は実施したことになりますので、そういうそもそもの。ですから、いま委員長のご指摘のとおり、検診の受診率が低いとか高いという前に、最初から母数を絞り込んで対象化しているというふうな。これは老人保健法の時代からそういう事実がわかっていましたので、割合が高いにもかかわらず数が少ないというのは、そういう背景がかつてあったということになります。ですから、ここの本来あるべき母数というのをどう拾っていくのかの部分の、検診自体が広く行われているかというと、その根拠がないというのが事実だと思います。
○歯科保健課長 事実関係ですが、現在こういった節目健診というのは健康増進法に基づいて実施していて、歯科の検診については40歳から70歳までで10歳刻みで行っています。40、50、60、70です。ですから、自ずとこの対象者数から割れば、それほど高くはない状況になっています。
○藤田委員 受診者数のことですが、これはたぶん行政と研究者といわゆる地域の受診者の方々との三者が協力関係にあることがとても大事で、私は東京都の老人総合研究所にかつておりまして、いまでも関係していますが、秋田県の南外村という所に疫学調査に入りました。そこで口腔保健も含めて、内科検診から聴取調査から、いろいろなことをやったのですが、それをやることによって研究者側はデータがほしいということが本音としてあります。一方で、それを研究者側だけで独占するのではなくて、行政に返してあげる。行政は、それを基にして施策が立てやすくなるわけです。行政を通して、今度は一人ひとりの受診者にそのデータをフィードバックしてあげるということで、非常に三者の関係がうまくいきました。
秋田県の南外村は大仙市に変わりましたが、秋田県は平均寿命が低い県なのですが、そこの地域の平均寿命がガッと伸びた現実があります。そこは小さな村でしたので、そこと大都市圏と中都市圏という所では、またやり方も変わってくるのかもしれませんが、研究機関あるいは大学、行政、地域の人たちの三者が利益というか、得るものがあるような形に持っていくのが、いちばん受診者を増やすうまい方法だと、そこから学んだような気がします。
○井下委員 いわゆる成人を対象とした歯周疾患検診ですが、各自治体、滋賀県でもいろいろやっている所はありますが、多くの受診率がなぜか知らないけれども4~8%の枠内に入ってしまう。そのぐらいの方が来られるということですが、この年代の方というのは「年に1回歯医者さんに行ったことはありますか」という質問で見ると、大体40%ぐらいは行っておられます。ですから、4~8%の歯周疾患検診の受診率を上げることにエネルギーをかけるよりも、例えば糖尿病を持っている方を検診にするとか、妊娠をされた方の歯科検診をするとか、そういうターゲットを絞った戦略もこれから必要になってくるのではないかなと考えています。
○井上委員 各論になるのかと思って今日お話しなかったのですが、妊産婦の歯科健診に関しては、妊婦健診のほうは14回法定でできる状況の中で、歯科健診は地域に任されている。非常に地域格差が大きいのです。そういう意味からして特定の時期ですが、この時期の口腔の健康が妊婦自身にも、子どもの健康にも、特に胎児の健康に大きく関係する部分から考えると、ここら辺の戦略が必要かなと考えています。
○林委員長 疾病ごとの、あるいは対象特性ごとの戦略化ということ。
○金澤委員 いまの歯周疾患の数字から見ますと、40歳以上ということで健康増進法で行っている歯周疾患検診の受診者数が出ていますが、実際に歯科の事業に関しては堀井委員の所もそうですが、事業所とか健康保険組合で法定ではないけれども、自主的に実施している実態があります。そういう数字がここに出ていない。歯科健診とか歯科保健指導とか、いろいろな場面で行われている事業がありまして、妊産婦検診もそうですが、トータルではもっと多いのではないかと思います。その辺が有機的に連携されていないところにも1つ問題があって、歯科口腔保健法が生涯にわたって有機的な連携をして総合的に推進するということがうたわれたことは、大きな意味があることですので、その辺の実態も含めて把握し、推進していく必要があるのではないかと思います。
○林委員長 いろいろ貴重なご意見が出たような気がします。皆さんのご意見の中で1つ一貫しているのは、歯科は歯科のみの自己完結せずに医の分野と連携することと、そういった人材・情報等々、あるいはそれを推進するための方法論についてもいろいろ意見をいただいたかと思います。実際に例えば地域に下りてしまうと、住民レベルでどれだけ同じような感覚というか、そういう認識を持っておられるかどうかはだいぶ差があるような気が、皆さんの議論の中から窺えたと思います。そういう意味で、本日、南先生もいらっしゃっておられるわけですが、啓蒙という意味でマスコミの立場として、歯は歯だけの話としていままで捉えられていたかと思いますが、何かご意見はありますか。
○南委員 ご指名いただきましたのでひと言述べさせて頂きます。あまり具体的なことは考えていなかったのですが、留意すべきこととして、今日の社会状況が非常に深刻であることが背景として大きいと思います。長引く不況や社会的、経済的格差の拡大などが深刻であるということです。今日の議論は、どれも本当にそのとおりであり、施策としては望ましいこと、進めるべきことです。徹底して国民の保健増進に寄与するような口腔保健のあり方を標榜するべきであることは言うまでもありませんが、現実的に今、一般の国民が生活の中でどれぐらい口腔保健に心することができるのか、を考えると、厳しい状況にあることも事実です。そうであればこそ、公の制度でそこのところをきちんとしないといけない、とも言えるのだと思います。
いかに口腔保健が健康全体に重要なものであるかということを、いろいろな局面をとらえて啓発していかないといけないのだということを、今日の議論からも痛切に感じました。
○柴田参考人(大村委員代理) 自治体からの意見聴取のことで、元に戻って申し訳ないですが。今回、基本的事項を定める対象となっているのが法の第7条から第11条で、この中には主語には全部「地方公共団体」などが入っています。主語に「地方公共団体」と明記されている以上、何らかの形で自治体にも意見聴取をすべきと思いますので、その辺のご配慮をよろしくお願いします。以上です。
○林委員長 ご意見を承りました。事務局から提案されたような内容について、皆さんのご意見をお伺いした印象からすると、特に反対というものはないとは思いますが、むしろこういうことを追加すべきだ、こういうところを強化すべきだという意見が多数、しかも具体的に出てきたような気がします。これは一旦、また事務局のほうに整理していただく必要もあろうかと思います。この委員会の中では規定によってワーキンググループを作ることができるという規定がありますので、本日まで気がつかなかったような課題あるいは述べる機会がなかったかもしれないようなことについて、改めて事務局にご連絡いただければ、ワーキンググループでさらに詰めて検討させていただくことになりますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○林委員長 ありがとうございます。本日の議論は当初、一時どういう方向で進めたらいいかと戸惑いましたが、結果的にかなり建設的な意見が出されたというのは大変よかったかと思います。本日、政務官も出席していただいておりますので、何か一言頂戴できればなと思います。
○藤田政務官 大変遅くなって出席ということで申し訳ございません。この度、政務官に就任して、かれこれ4カ月近くになるわけですが、旧厚生労働行政、そして子ども子育てといった分野を担当している衆議院の藤田一枝です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。本日は、委員の皆様方には第1回の専門委員会、お忙しい中にご出席をいただきまして、そしてまた熱心なご議論をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。
近年、お口の中の健康の大切さは少しずつ関心が広がっているのではないかと感じていますが、先の通常国会、8月2日に「歯科口腔保健の推進に関する法律」も成立をしたところです。これを受けて、厚労省としても歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の策定に向けて、これから検討を行っていくために本専門委員会を設置をし、本日第1回の会合を開催したところです。委員の皆様方には、どうぞ今後とも忌憚のないご議論をいただきますようにお願いを申し上げますとともに、この基本的事項の策定に向けて特段のご助力をいただきますようにお願いを申し上げ、大変簡単ではございますがご挨拶とさせていただきます。どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
○林委員長 ありがとうございました。最後に、事務局としてワーキンググループを組織する上に何かお考えがあろうかと思いますが、いかがですか。
○歯科口腔保健推進室長 資料4は、林委員長ともご相談させていただいた結果、1頁の委員の先生方にワーキンググループの委員という形で、今後ご議論いただけたらと考えています。3頁はワーキンググループの日程、この専門委員会の日程も含めて、今後の日程を記載しています。次回の専門委員会のワーキンググループについては、12月27日を予定していますので、よろしくお願いします。
○林委員長 そういう手順で進めさせていただきたいと思います。本日は司会の不手際で皆さんにはご迷惑をかけましたが、活発なご議論をいただきまして本当にありがとうございました。本日は閉会とさせていただきます。
<照会先>
医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室
連絡先: | 03-5253-1111(内線4141、2583) |
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(歯科口腔保健の推進に関する専門委員会)> 第1回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会議事録