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2011年11月15日 第19回 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会
職業安定局建設・港湾対策室
○日時
平成23年11月15日(火)15:00~
○場所
厚生労働省 職業安定局第1会議室
○出席者
公益代表
鎌田座長、内藤委員、渡邉委員 |
労働者代表
伊藤委員、糸谷委員、玉田委員 |
使用者代表
安部委員、鶴岡委員、花島委員 |
事務局
黒羽職業安定局次長、福士建設・港湾対策室長、百崎建設・港湾対策室長補佐 |
○議題
指定法人のあり方について(公開)
港湾雇用安定等計画の施行状況等について(公開)
○議事
○百崎建設・港湾対策室長補佐 皆さんお揃いですので、ただいまから「第19回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会」を開催いたします。
建設・港湾対策室長補佐をしております百崎でございます。本日は委員改選後第1回目ですので、冒頭は事務局であります私が進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず配付資料の確認をお願いいたします。資料は、資料1~資料8、あと参考資料1~参考資料3です。お手元にもし足りない資料がありましたら、申し入れていただければと思います。
最初に、今回新たに選任されました委員の方々のご紹介をさせていただきます。資料1が最新の港湾労働専門委員会の名簿です。平成23年4月27日付で、征矢委員、田付委員、土井委員に代わりまして、東洋大学法学部教授の鎌田耕一委員、慶応義塾大学法学部教授の内藤恵委員、東京海洋大学海洋工学部教授の渡邉豊委員が公益代表委員としてご就任いただいております。また、中谷委員に代わりまして、東海海運株式会社代表取締役社長の鶴岡純一委員が使用者側代表委員として就任されております。それぞれ一言ずつご挨拶をお願いしたいと思います。まず、鎌田委員からお願いいたします。
○鎌田委員 東洋大学の鎌田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○内藤委員 慶応大学の内藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○渡邉委員 東京海洋大学の渡邉です。よろしくお願いいたします。
○鶴岡委員 東海海運の鶴岡でございます。よろしくお願いいたします。
○百崎補佐 次に、事務局であります厚生労働省職業安定局におきましても異動がありましたのでご紹介させていただきます。まず次長からお願いいたします。
○黒羽職業安定局次長 局次長の黒羽でございます。4月に着任したのですが、この審議会は年に1回ぐらいということで、挨拶が大変遅くなってしまいまして申し訳ございませんでした。
今日はお忙しいところ、どうもありがとうございます。通常の議題に加えまして、これまで議論されておりました指定法人の在り方についてもご意見を頂戴するということになっておりますので、活達なご議論をお願いしたいと思います。
それからお詫びでございますが、私は国会での対応が求められておりますので20分ぐらいで退出させていただきますけれど、ご審議の中身につきましてはあとで事務局からゆっくり聞かせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○福士建設・港湾対策室長 建設・港湾対策室長の福士でございます。よろしくお願いいたします。
○百崎補佐 改めまして、百崎でございます。よろしくお願いいたします。
続いて、本日の委員の出欠状況の報告をさせていただきます。本日は委員全員のご出席をいただいております。
次に、当専門委員会の座長の選出につきましては、「港湾労働専門委員会の設置について」において、専門委員会に座長を置き、専門委員会に属する公益を代表する委員又は臨時委員の中から、部会長が指名することとされております。平成23年9月12日に行われました雇用対策基本問題部会において、鎌田委員が当専門委員会の座長に指名されております。
それでは、鎌田委員から、座長就任ということでもう一言お願いいたします。
○鎌田座長 それでは、もう一言ということで。私は実は港湾労働にさほど詳しいわけではありません。ただ、厚生労働省の労働力需給制度部会という派遣に関する部会がありまして、そこで少し長く労働者派遣制度について議論をしておりまして、その中で港湾労働に関する議論も多少した覚えがあります。そういったことで今回このような大役を仰せ付かったというように理解をしております。しかしながら、先ほど申しましたように、不慣れなことが多いかとは思いますが、皆さんのご協力を得まして、会議の円滑な進行に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○百崎補佐 それでは、以後の進行は座長からお願いいたします。
○鎌田座長 それでは議事に入ります。まず、議事次第に3つほど本日は議題がありまして、1つ目は「指定法人の在り方について」、2つ目は「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」、3つ目は「港湾労働者派遣事業の許可について」です。3つ目の議題については、個別事業主にかかる許可の案件ですので、「審議会等会合の公開に関する指針」の「審議会等会合の公開に関する考え方」の「個人に関する情報を保護する必要はある。」及び「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある。」場合に該当すると考えられますので、非公開の取扱いとさせていただきます。したがって、傍聴していただいている方につきましては、この議題の前にご退出をいただくことになりますので、よろしくお願いいたします。
1つ目の議題の「指定法人の在り方について」の説明を事務局からお願いします。
○百崎補佐 指定法人に関する議題について説明いたします。資料2の、「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書を受けた指定法人の見直しについて、資料3の(財)港湾労働安定協会の概要、資料4の港湾労働法における指定法人制度に関する論点(案)、これらについて説明いたします。
まず、資料2の「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書を受けた指定法人の見直しについての1番目の項目です。昨年行われた整理合理化委員会の中で議論されたものですが、法人を指定して業務を実施させるという指定法人制度については、指定された当時とは社会的ニーズや状況が変化する中、業務内容について逐次見直しを行ってきているところですが、業務内容の見直しもさることながら、指定法人制度自体を検証する必要があると指摘されました。この検証については、各政策と密接にかかわることもあり、整理合理化委員会ではなく、それぞれの関係する審議会で行うべきとされたことから、本日、この議題としております。
ポイントについては、後ほどまた説明させていただきますが、まず項目1として、指定法人制度の是非が問われています。次に、指定法人制度を継続する場合には、指定先選定理由の情報公開、プロポーザル方式を含む参入要件、新たな指定基準など「新ルール」の制定などが挙げられています。項目2は、雇用対策基本問題部会で取り扱う法人を記しております。その中に(財)港湾労働安定協会が入っておりますが、いちばん下の※にありますとおり、港湾労働安定協会については港湾労働専門委員会で検討をし、その結果を雇用対策基本問題部会にお諮りするとされております。
資料3では、港湾労働安定協会の概要、指定法人制度に関する事項、指定法人としての活動実績などをまとめております。1頁は「(財)港湾労働安定協会の概要」を記しています。協会の目的は「港湾運送事業に従事する労働者の職業能力の開発向上、雇用及び生活の安定のために必要な事業を実施することにより、港湾労働者の福祉の増進と港湾運送事業の近代化に資することを目的とする」としております。役員については、理事25名、監事3名、いずれも非常勤で、港湾労使により構成されております。現在、国家公務員出身者はおりません。職員は50名で、うち本部が18名、豊橋にある港湾技能研修センターに14名、6大港の各支部に18名となっており、職員における国家公務員出身者は12名です。平成23年度予算については、法人予算として38億7,000万円、うち国費が3億1,000万円です。ちなみに国からの出資は21年度からの2年間で約25%の削減をしているところです。いちばん下に、主な事業として3点記していますが、今回の議論となりますのは、?の「指定業務」の部分です。
次頁は、指定法人制度についてです。指定法人制度の根拠については、港湾労働法第28条にあり、法人の指定基準、そのほか指定に付随する事項が規定されております。指定基準については、先ほどお話をしたポイントの1つである新ルールの制定にも関連するところですが、現在の「指定基準」として3点挙げております。?事業の目的に合致した一般社団・財団であるということ、?港湾労働者雇用安定センターとしての業務の実施に関する計画が適切であり、かつ、その計画を確実に遂行できる経理的及び技術的な基礎を有している法人であること、?業務の運営が適切かつ確実に行われ、港湾労働者の雇用の安定・福祉の増進に資するものであることとされています。
次の3頁は「指定業務の内容」です。?から?までが港湾労働法第30条に記載があり、その下の※にある、アからオまでが第31条に規定されています。第30条と第31条の関係については、?雇用安定事業関係業務(※)と入れておりますが、この第30条の?を受けて第31条に規定がされているというものです。内容としては、事業主に対する相談、援助、また労働者に対する訓練、労働者派遣に関するもの、研修に関することが規定されています。
4頁は「指定法人制度の必要性」と「港湾労働安定協会が指定されている理由」についてです。指定法人制度の必要性については2点挙げています。1つ目としては「港湾運送事業の特徴」です。委員の方々は既にご承知のことと思いますが、港湾運送事業の事業活動には波動性があるということ、労働力需要が日々異なること、労働力需給の状況が各港湾によって大きく異なり、更にその必要となる労働力を個別の企業の常用労働者のみでは対応できない、ということが挙げられるかと思います。2つ目としては「需給調整の実施主体」ということです。こちらについては、国が一元的に行うよりも、各港湾の実情をよくわかっている公平・中立な法人が行うほうが効率的・効果的な業務運営ができると考えられます。以上の理由により、指定法人制度が必要であると考えております。
次に、港湾労働安定協会が指定されている理由についてです。1点目は、港湾労働安定協会がもともと港湾労使による自主団体として発足したという経緯をもっており、業務運営に当たっても、港湾労使による相互のチェック機能が働いているという状況があります。また、研修実績に基づくノウハウが蓄積をされているということも踏まえ、昭和64年1月1日付けで指定がされております。2点目として、港湾労働法が施行されて20年以上経過していますが、港湾労働者の派遣件数は一定水準にあり、そのあっせん成功率も概ね8割以上で推移をしているなど、指定法人として期待される役割は果たしているものと考えております。
5頁は「六大港の港湾労働の概略図」です。港湾運送事業主数や労働者関係の数字については、平成22年度の数字を記載しております。また、左下の注意書きに、労働者の雇用・需給調整の優先順位として、図の中の矢印に?から?まで記載しています。?自社の常用雇用、?港湾労働者派遣制度を活用する他社の常用雇用、?は安定所の紹介による日雇い、?直接雇用の日雇い、この順としているところです。指定法人の関係については、右側の?他社常用雇用、いわゆる派遣の部分に関して、派遣就業についての相談・援助や派遣契約のあっせん等をセンターに担っていただいております。
6頁は、6大港における各事業所数・常用労働者数の推移を表しており、それぞれ12月末の数字です。常用労働者数、港湾労働法の適用事業所数、派遣許可事業所数ともここ数年大きな変化はありません。
7頁は、港湾労働者の派遣あっせん事業についてです。左側が6大港における港湾労働者の就労状況ですが、常用労働者、派遣、日雇労働者のそれぞれの就労延日数と、その合計です。右側はそのうち、港湾労働者派遣に着目したもので、港湾労働安定協会におけるあっせん状況を表わしています。先ほど概ね8割以上のあっせん成功率と申し上げておりますが、右側の?派遣元申込数の数字の下の括弧書きがあっせん成功率です。なお、右・左両方の表ともに各年度の月平均の数値で表わしております。
8頁は「各種研修事業」についてです。左側が港湾労働者に対する研修の実施状況で、右側が派遣元責任者・雇用管理者に対する研修実施状況です。数字は、おおむね大きな変動はありませんが、左側の港湾労働者に対する研修実施状況の中で、平成22年度の港湾荷役科及び情報科の対21年度比較での減少については、コースの削減がその減少原因となっており、継続している研修については、おおむね前年同様の実績となっております。こちらについては次の議題のところでも詳しくまたご説明させていただきます。
9頁は「相談援助事業」です。6大港については各支部に対するものです。相談内容としては、派遣あっせんに関するものと、派遣元責任者及び雇用管理者に対する研修に関する内容が主なものです。
最後の10頁は「(財)港湾労働安定協会における事業運営の効率化等に向けた取組」としております。港湾労働安定協会は指定法人である以上、一定の取組みが求められるものであり、これまでの取組みと今後の課題として整理しております。これまでの取組みについては、支部長会議や業務担当者会議、職員研修会の実施など、さまざまな会議・研修をやっていただくのと併せて、毎年度、各支部に対する業務の実地指導や会計士による監査を実施しております。下の枠は、これまでの取組みに加えて、更なる内部管理体制の充実策として、統括的責任者による支部等に対する内部監査の計画的な実施、これは2年または3年に1度の形で計画的な内部監査を行うというものです。2点目は、国家公務員OBのポストの後任者補充の際の公募採用の継続実施を挙げております。今年度はすでにこれにかかる公募を行っておりますが、引き続き継続的な実施を求めるというものです。なお、1点目の内部管理体制の充実に関しては、今年度に会計検査院が初めて港湾労働安定協会を検査したということもあります。今後も引き続き定期的に検査されることも考慮しますと、事務局としても必要なものと考えております。資料3については以上です。
次に資料4です。資料4は、本日各委員にご議論をいただくに当たりまして、事務局で論点を整理したものです。1頁は、資料2の中の整理合理化委員会の報告の部分のみを抜粋したものですので、説明は省略させていただきます。
2頁の上の枠は「指定法人制度の在り方について」です。2点項目を挙げておりますが、1つ目は指定法人制度を廃止するか否かです。これは効率的・効果的な業務実施という観点から、国による直接実施が可能かが論点になるかと思います。2つ目はプロポーザル方式についてどう考えるかです。これは1年ごと、もしくは複数年ごとの競争入札によって指定法人を決定することが妥当か否かということになるかと思います。競争入札のメリットは、企画面や経費面から相対的に優秀・安価な団体などに業務を行わせることができるという反面、蓄積されたノウハウを最大限活用できなくなるというデメリットがあります。また、切り替え時期においては、そのノウハウ不足や事務的な引継ぎ等の関係から混乱が生じる可能性なども考えられます。また、そもそも競争が成り立つか、ほかに入札してくる団体があるのかということもあるかと思います。以上のような点を考慮した場合に、定期的な検証などが必要であっても、基本的に1つの法人を指定し続けることがノウハウを最大限活用する方法であるというように考えることもできるかと思います。
次に下の枠の「指定基準の在り方について」です。2点項目を挙げておりますが、1つ目は、現在の指定基準を見直す必要があるかどうかです。現在は一般社団法人、財団法人を対象としていますが、他の法人類型、例えばNPOや派遣業者などを含めた民間の営利企業を加えることができるかどうか。これにつきましては、港湾関係労使の理解を得つつ、円滑に労働力需給調整業務などを実施していただくことができるかということになるかと思います。2つ目は、指定基準や指定法人の妥当性に関する定期的な検証や、指定法人の指定理由に関する情報公開についてです。指定法人に対して求められるものが、時代や状況の変化によって変わっていくということもありますので、それに合致しているかを定期的に検証することと、あと、情報開示の観点から指定理由について積極的に公開する必要があるのではないかという点です。
次に最後の頁は、指定法人として指定されている港湾労働安定協会そのものについてです。ここでは項目を3点挙げていますが、1つ目は、港湾労働安定協会を指定法人とすることが妥当かどうかです。これについては、現在指定している理由になるわけですが、もともと港湾労使によって発足した団体であるということ、いま現在も労使による相互のチェック機能や、ノウハウ、各種実績などをどのように評価するのかという点になるかと思います。2つ目は、港湾労働安定協会としての事業運営に関する情報開示が十分かという点です。現在協会が開示しております情報としては、寄附行為や役員名簿・評議員名簿、事業計画書、財務諸表等が公開されております。これは現在、公益法人として求められる情報としては十分具備しているものと考えております。この項目では国家公務員OBの後任者補充の際の公募選考についても記載しておりますが、これは厚生労働省が関係各団体に対して昨年度に一斉に要請したもので、先ほどご説明したとおり、安定協会においては今年度からすでに公募採用を実施しております。3つ目は、指定法人にふさわしい効率的な業務運営がなされているかという点です。港湾労働安定協会は、6大港と研修センターという計7カ所の業務の実施場所があるわけですが、これが本部と離れていることから、内部の業務管理体制をさらに強化する必要があるのではないかということです。また、先ほど説明しました資料3の最後の、内部管理体制の強化にも繋がる部分であります。以上が議題1「指定法人の在り方について」の資料のご説明です。
○鎌田座長 議題1の指定法人制度にかかわる見直しについて、ご議論いただきます。資料4の論点に整理されていますので、できればこの論点に即した形でご議論いただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○伊藤委員 今回こういう指定法人制度の見直しということで議論になっているわけですが、本来この港湾労働法で、港湾はもともと派遣が禁止されているという業務です。それにもかかわらず、同じ業界内の港湾運送事業者間で派遣を行おうということで、特別な立法として港湾労働法が存在するわけでして、その中で、その機能を有効に、単に個々の事業者間での派遣ということではなくて、港全体を見ながら、公平に派遣業務を進めるという意味合いにおいて、この安定センターの果たしている役割というのは、重要な役割だと認識しております。
そういう意味で申しますと、指定法人制度を廃止すべきかということで問題提起がなされておりますが、これは廃止すべきではないと考えていますし、プロポーザル方式についてどう考えるかと提起されると、競争入札など、そういうものに馴染む問題ではないと思っておりますので、このプロポーザル方式についても必要ないだろうと思います。
また、指定基準の在り方ですが、一般社団なり財団法人以外の法人が参入することになれば、まさにこれは一般の派遣業と変わらなくなってしまうということでして、本来港湾労働法の持つ趣旨に反することになるだろうと考えております。
指定法人の妥当性に関する定期的な検証なり、指定理由に関する情報公開の在り方というのは、時の状況に合わせて、それなりに法人に対する指導があるだろうと思いますので、それはそれで、この法人としての役割を果たしていけばいいのではないかと思っています。
そういう意味合いからいたしますと、情報公開、内部監査なり、いろいろとやらなければいけない点があるのかもしれませんが、安定協会そのものを指定法人とするということは絶対に必要なのだと考えていますし、この法律ができたときからいままで労使で話し合ってきましたし、単に港湾運送事業者間が相互にやるということだけではなくて、安定協会を通すことによって、港湾労働法の制度がはじめて機能しているということですので、引き続き港湾労働安定協会を指定法人として、港湾労働法の運営を進めていっていただきたいと考えております。
○鶴岡委員 我々としても、昭和64年以来指定されているわけですし、当然、港湾労働法に基づいて、港湾労働法を遵守して枠組みの中でやっていますので、何ら指定基準を逸脱するものではないと理解しております。そういうことで、細かい点は伊藤さんのおっしゃっているとおりなので、業側としてもそのように考えております。よろしくお願いいたします。
○鎌田座長 いまのお話で、労使双方ほぼ同じご意見のように伺いましたので、それで先に進めばいいのですが、私のようなよくわかっていない人間に少しお教えいただきたいと思います。派遣において港湾労働が禁止業務になっているというのはわかっておりますが、それに対して、港湾労働市場における需給調整について、このような制度を発足させたというのは、労働市場の波動性といったものが一つの大きな要因として考えられるということでよろしいのでしょうかね。
あと、港湾の6大港というか、それぞれの港の特徴もあるのかと思いますが、こういった港の中の実情を踏まえて、公平で中立な立場にある法人が、労使で直というよりは、企業間で直というよりは、こういった機関を通して、公正・中立な需給調整が可能となるといったことで理解してよろしいのでしょうか。
あと情報公開の点につきましては、いま労使の方から、そういったような必要性については理解できるので、それぞれの現在置かれている状況の中で、さらに一層積極的に可能であるものについては公開していくというニュアンスで受け取ったのですが、そういったようなことでよろしいでしょうか。
もちろんご意見を言っていただくのが私の役割ですので、遠慮なくいろいろな意見をいただきたいと思います。
プロポーザル方式を含む参入要件の見直しということですが、これは法律で定めている部分というのは、先ほどのご説明ですと、指定基準については第28条で定めていますが、それに基づいてどのような指定を行うのかという方式については、特段規定はないということなのですよね。
○福士室長 そうです。
○鎌田座長 そうすると、少し分けて考えたほうがいいかもしれませんね。指定基準についてどう考えるか、先ほど一般法人以外の、とりわけ民間ということになると、直に派遣法との問題が出てきて、これは無理かなという感じがするのです。つまり、ここだけの問題ではなくて、まさに本体というか、派遣法にかかわるものではないかと。NPOであっても、それは似たようなところがあるのではないかと思うのです。もし違っていれば、また事務局でご説明いただきたいと思います。つまり、指定基準については法律で定めているので、もしこれを変えるということになると、港湾労働法自体に手を付けるということになるのですかね。
○福士室長 なります。
○鎌田座長 それだけの必要性があるかということですね。プロポーザル方式についてはね。
○福士室長 そうです。
○鎌田座長 あとプロポーザル方式については、特に規則など、そういったようなもので指定しているわけではないのですか。
○福士室長 ないです。
○鎌田座長 これは法改正を伴わないでできるということですが、いま労使のご意見をお伺いしていますと、長く安定協会が行ってきているということでありまして、一般競争入札自体を正面から否定するというのは、なかなか難しいとは思うのですが、しかしこの特殊性の中で、労働市場の特殊性と各港湾労働の様々な知見、経験といったものが、非常に網の目のように必要となっているということが、いわば入札方式というもの、入札方式は当然1年か数年ごとにガラッと変えなければいけないので、果たして効率性、的確性ということで、うまく機能するかどうかは疑問になるというお話だったと思います。違っていたらご意見をいただきたいと思います。
○伊藤委員 そういうところのノウハウはこの安定協会が労使の間で培ってきたということだと思いますので。
○渡邉委員 私も労使の皆さんと全く同感で、指定法人は廃止すべきではないと思います。プロポーザル方式について、国の上部から「何で港湾だけすんなり仲よくまとまったのだ」と言われる恐れがあるのですが、これはここに書いてあるノウハウの部分で、いろいろな労働分野の中の安全です。港湾の安全の担保というのは、お金に換えるとすごく額が大きくなるので、お金に換算しがたいのですが、その部分の担保が、きちんとした労働者を同業他者から融通し合うということで、もしプロポーザル方式になって、1年やったら、あまり儲からないからもうやめたという感じでやられてしまうと、労働者の安全性、技能の面で一気に下がるので、それは怖いなという、これは本当に実質的な問題だと思います。補足です。
○鎌田座長 流れとすれば、おそらく指定法人制度を維持、安定協会に今後も委託をするということだろうとは思うのですが、ほかに補足などございますか。
安定協会については、情報公開も然ることながら、内部管理体制の充実と、公務員OBである、役員のみならず職員の後任者補充においても、人事の透明性、採用の透明性を確保する意味で、現在も公募でやっているのですよね。
○福士室長 今年度から公募しております。
○鎌田座長 公募をさらに継続するということだと思います。何かさらに安定協会の在り方について、何か注文があればよろしくお願いいたします。
○糸谷委員 これは注文ではなくて、説明にあったように、もともと労使が必要だということで出てきて、港労法の労働力の需給にも適当だろうということで、結果として法人になって指定されたというところなので、全体の業務はもっと大きい業務が別にあって、業務が一部なので、切り離すなら別ですが。先ほど伊藤委員からご意見があったように、これを少しでも変に拡大解釈をすると、派遣業者がすき間を縫って出てくる可能性があります。それで、港湾運送事業者の皆さんとバッティングする部分が出てくるので、もちろん我々ともいろいろと対立するだろうと思います。これはその種のところまで手を伸ばす余地がないように、ある面でいうと、民間事業者がこういうところに参入してきたら、必ず利潤を追及をするとそうなるので、非常に危険だということを申し上げたいと思います。
○鎌田座長 そのほかにいかがでしょうか。
○渡邉委員 ここの議論を少し超えてしまいますが、豊橋の研修センターのような機能を持つようなところが、もう少し増えたほうがいいと思います。豊橋に近い所はいいのですが、ガントリークレーンはあそこしかないので、遠くから来られる方には旅費の面で不公平だということです。
もう1つは、日本各地にある程度あると、港湾労働に対する理解が、地域に根差す形で促進できると思います。情報公開とも関連します。
豊橋には私も行ったことがあるのですが、非常に優れた施設です。しかし、あそこにしかないというのはもったいないと思います。この安定協会がもっと発展して、そのような機能を徐々に広げられたらなというのが個人的な意見です。
○鎌田座長 豊橋のセンターの運営経費はどのくらいですか。
○渡邉委員 お金もかかりますよ。
○福士室長 運営経費は一部は国からの委託費と、あとは自前です。ですから、協会の自前収入で運営しているということです。逆に言えば、国からの委託費はそんなに多くはないですから、安定協会がかなりの経費を出しながらやっている状況です。
○鎌田座長 安定協会自体は、予算規模的にはいくらか削減しているのですか。
○福士室長 平成23年度から今年度要求はあまり削減していないのですが、その前は委託費の部分を削ったということです。ですから、訓練関係であまり行われていなかった科目を若干整理したということになります。
○鎌田座長 先ほどコースの削減というお話がありましたが、どういったコースを削減されているのですか。
○福士室長 情報関係のものがいちばん多いです。
○鎌田座長 港湾労働というのは、コンピュータを含めた情報技術、テクノロジーの需要があまりないのですかね。
○糸谷委員 そういう理由ではなくて、当初はコンピュータに携わること自体が数少ないし、ある程度そういう教習設備を揃えているところもなかったと。OJTでやるにしても、企業がいまほど進んでいませんでした。ところが、いまはそういうハードウェアがどんどん下がってきて、もう1人に1台になってきたときに、改めて何かをやるという普遍的なことを教えるより、社内の特殊なシステムに合うような教育でないと間に合わないので、いまさらここに出して基本的なことと言っても、いまは小学生も習ってくる時代になったので、私たちのときは、いきなり天から降ってきたようなところで入ったから、もうそれはプログラミングの言語から習わなければいけませんでしたが、ああいうときはこういう施設が必要だったということで、時代の変化です。もう需要がなくなってきています。各社それぞれシステムがあって、自前で構築していくようになったら、この辺で習っても、もう1回家へ帰って勉強しなければいけないということで、需要と供給のバランスが悪くなったということです。
○鎌田座長 情報技術に対する需要全体が少なくなったのではなくて、このコースの存在意義が低くなったということですね。
○福士室長 あとで業務のところで説明があると思うのですが、情報といっても大体パソコンの入門とか、excelとか、言語の入門の部分が多いので、ある程度そこは訓練というか、能力開発の部分は、ある程度一定期間やってきたので済んだという判断もあったのだと思います。
○糸谷委員 渡邉委員にせっかくおっしゃっていただいたので、私も少し話をさせていただきたいと思います。本来、安定協会ということで、港湾労働者の技術の向上も然ることながら、労働力の需給関係といった意味で、熟練とまではいかないのですが、基本的な港湾技能者、技術者として必要な技術を教育すると。それは豊橋のセンターで1週間なり10日というのはあるのですが、それはあくまでも就職した上で、企業が推薦して来るという流れになっているわけです。
私は、逆にいろいろな意味で、離職者を対象に、ここにポリテクカレッジなどの状況も載っているのですが、そういった港湾の技能を、まず取っ掛かりの基本的な技能は、こういうことをやるというカリキュラムを、安定協会がきちんと構築して、各地域でそういう教育を行って、離職者でそういう教育を受けた人を港湾に導入する。あるいは新卒の人を対象に、どういう教育機関がいいかは別にして、そういうところへ安定協会が売り込むと。そういうことをやってきたら、普通免許とは言いませんが、港湾技能者初級でもいいし、2級でも1級でもいいのですが、それでステップを踏んでいくと。その種のものの国の関与は難しいらしいのですが、各業種に技能士というのがありますが、ああいう制度を安定協会がコントロールできればと思っています。世界でも、そういう動きは若干あるのです。
○鎌田座長 お聞きしていて、なるほどと思ったところもあるのですが、研修制度の運営費用というのは、企業のほうでも出されているのですか。国からも出ているということですが。
○福士室長 国は一部、国としてやらなければいけない部分を委託しています。あとは、その企業の中で、自分の社員を教育していくという部分は、そういう中で安定協会のほうで、ある程度その運営をしているというのはあると思います。当然、受ける人から受講料的なものは取っていると思うので、それが自前収入となります。
○鎌田座長 よく話題になるのは、特に最近の非正規の若い方たちで、雇用保険に入っていない方が、公的な職業訓練にと。ご存じのように、公的な職業訓練は雇用保険会計でやっていますので、誰がお金を出すかという問題です。いま少しお話に出ましたが、例えば離職者、若い方でこれから入職する方に対する研修は本当に必要だと思うのですが、問題は研修費用をどう出していくか。
企業とすれば、当然自分たちで雇っている方たちについては、企業会計の中でやってもらうということでいいのでしょうけれども、そうでない方ということになると、もう1つ別の枠組みを考えなければいけなくなるのかなと。糸谷委員はそういうことも十分におわかりの上で、1つの問題提起としておっしゃっているのかなと思っております。使側から、そういったことで何かご意見はございますか。
○鶴岡委員 本来、資格は本人のものですから、会社側としては当然、費用は出しておりますが、あくまでも資格制度というのは本人のものです。企業を離職する場合でも、離職して資格がなくなるわけではありませんので、資格そのものは継続すると我々は理解しております。ですから、離職するために資格を取るという論理ではないと。
○糸谷委員 それはほかの職業を離職した人を対象にですからね。いま鶴岡委員がおっしゃったように、離職するときも、本人固有の資格だから、雇用主側でも、個人で取ってこいというところと、その資格を得れば資格に伴う給与、労働条件のアップはある、工場は出すわけだから、それは自前で取ってこいと。これは企業が業務をこなす上で必要だから、会社の経費で取らせる。この辺によってちょっとあるのです。ですから、私はそういうところに、この安定協会がきちんとしたカリキュラムを組んでやるようなシステムがあれば、そこに乗っていかれるかなと。これは安定協会の存続のためにも、大きな業務の一環になるのではないかなとは思うということで、我々働く側の需要としては、そういう資格制度、単に国家資格として、クレーンだとか、機器類の資格だけではなく、港湾技能士という資格制度も考えていただきたいということを、この安定協会の業務の中でやってはいかがかということは、前々から言っているのです。それは世界にもあるということです。
○鎌田座長 そういったご意見もいただいたのですが、とりあえず指定法人の在り方についてですが。
○糸谷委員 そういうこともこなせば指定法人としても存在理由が大きくなると。
○鎌田座長 もちろんわかっております。それで、いまいろいろご議論も出たのですが、私のほうでまとめのようなことを申しますと、まず指定法人制度の存続については、港湾における事業活動の波動性などの特殊性に鑑み、各港湾の実情をよく知っている公平・中立な立場にある法人に実施させることが、効率的・効果的な業務運営になろうかと思いますので、引き続き指定法人制度を維持することが必要であるということは、第1点だろうと思います。
指定先選定理由の情報公開については、さらにその情報公開を進め、透明性を確保する観点から、情報公開していく必要があるだろうというのが、第2点ではないかと思います。
それから、プロポーザル方式を含む参入要件の見直しや新たな基準などのルールの制定については、港湾労働法については、先ほどご意見がありましたように、派遣法で港湾を禁止業務にしているという中で、的確な需給調整の在り方について、より公正性が必要となるということから、一定の制約が出てくるだろうと。しかし、その中で、迅速・的確な需給調整が進められていくといった、二面性のある要求が出てくると思います。そういったことを踏まえますと、数年ごと、あるいは1年ごとに変わるというのは適切ではなく、ある程度継続的にノウハウを蓄積することが、制度を円滑に進める基盤ではないかと考えるところです。このようなことではないかと思います。
このようなことから、指定法人としては、港湾労使の自主団体として発足した経緯を踏まえ、また労使による相互チェック機能が働いていること、それから長くこの事業実施をしてノウハウを蓄積しているということ、そのほか各種相談業務、援助業務をやっているということから、港湾労働安定協会を指定することが妥当であるというようなご意見だろうと思うわけです。
ただ、港湾労働安定協会については内部管理体制の一層の充実と、公務員OBの役職員の後任補充という問題もありますので、公募採用を継続的に行っていくと。こういったようなことが、いま議論の中でまとめられるのではないかと思っています。細かな文章については、私と事務局にお任せいただきたいと思うのですが、要点はいまのとおりです。
先ほど言い忘れましたが、とりわけ安全と技能の問題についてのご指摘もありましたので、この点について、さらに視点を加えたような文案を考えたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○鎌田座長 ありがとうございます、そのように進めたいと思います。来週の22日の基本問題部会にこれをまとめたものを報告するという手はずになっておりますので、その点もご留意いただきたいと思います。
次に、2つ目の議題である「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○百崎補佐 資料5「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」、参考資料1「港湾雇用安定等計画概要」です。概要の項目に沿って資料はセットさせていただいておりますので、併せてご説明いたします。
まず参考資料1です。1番の「計画の基本的考え方」については、「計画のねらい」「計画の背景と課題」「計画の期間」とあります。「計画のねらい」についてですが、この計画については6大港における港湾労働者に係る労働力需給調整、雇用改善、能力の開発・向上に関して、国・都道府県・センター・事業主及び事業主団体が講ずべき措置の指針を示すもので、計画の期間は平成21年度から平成25年度までとしております。
2番の「港湾労働者の雇用の動向に関する事項」として、資料5に数字を付けておりますので、ご覧ください。3頁です。こちらは港湾運送量の動向と雇用の動向ということで、上のグラフの(1)「六大港における港湾運送量の推移」をご覧ください。平成22年度の数値については、いま現在公表されているものがございませんので、直近の平成21年度のものとなっています。赤の折線グラフが船舶積卸量で、5億7,600万トンです。これは平成19年度をピークにして減少しているところです。
また、この頁の下のグラフは(2)「六大港におけるコンテナ貨物量の推移」です。折線グラフがコンテナの割合で、平成21年度で67.9%です。こちらは平成19年度に一度割合が落ち込んでおりますが、その後また上昇を続けている状況です。
4頁の上のグラフです。(3)「六大港における港湾労働者数及び就労形態別就労状況の推移」です。直近は平成22年度ですが、上の折線グラフが港湾労働者数で、年度末の数字を載せておりまして、平成22年度は約3万2,000人となっております。その下の棒グラフですが、赤い部分が企業常用労働者、緑色が港湾労働者派遣、青の部分が日雇労働者で、それぞれの就労延日数となっています。日雇労働者については、安定所と直接雇用が合算された数字です。これはグラフにはありませんが、全体に占める企業常用労働者及び港湾労働者派遣による就労延日数の割合は97.4%、日雇いが2.6%です。割合としては、平成19年度から97%台で推移しているところですが、ここの数字をご覧いただくとわかりますように、昨年に比べて人数は増えております。比率としては、平成21年度、平成22年度の比較で、0.4ポイントの日雇いの増加となっております。
次に、計画では3番に「労働力需給調整の目標に関する事項」ということで入れております。労働力需給調整の目標として、「港湾における荷役作業については、今後とも、各事業主に雇用される常用労働者による対応を原則とし、企業外労働力としては港湾労働者派遣制度による他の事業主に雇用される常用労働者による対応を原則とすることについて徹底を図ることにより、港湾労働者の常用化を更に推進するとともに、常用労働者の雇用の安定に一層努める」とされているところです。
その中で、参考資料1の計画の2頁の(2)として、「労働力需給調整に関して講ずべき措置」です。まず、ここでイ「国及び都府県が講ずる措置」として、1つ目は、港湾労働法の趣旨・目的のさらなる周知の徹底、2つ目には、港湾労働者派遣制度の適正運営・活用促進や雇用維持対策による常用労働者の雇用の安定の確保、3つ目として、日雇労働者の公共職業安定所による適格紹介に向けた機能の充実・強化、また日雇労働者の就労日数の減少に努める、4つ目に、人付きリースの抜本的な解消を目標として、人付きリースの実態調査を行った上で、具体的解決策の検討、実施等、5つ目に、港湾労働法遵守強化旬間等を通じた遵法意識の一層の高揚、雇用秩序連絡会議の積極的開催、港湾労働者からの申告への迅速な対応、効果的な現場パトロール・立入検査の実施などによる違法就労の防止、また、労働者派遣法、職業安定法違反事案への是正指導、防止の徹底、6つ目に、公共職業安定所の紹介による必要な労働力の確保、などが示されているところです。
次にロ「センターが講じる措置」として、あっせん機能の充実強化、相談援助が示されております。
次に、ハ「事業主及び事業主団体が講ずる措置」です。1つ目に、直接雇用の日雇労働者の利用が例外的になるように努める、2つ目には、人付きリースの関係、3つ目には、届出、報告等の手続きの適正実施、4つ目には、センターのあっせんへの協力などが示されております。
これらの施行状況として、資料5の4頁の下のグラフをご覧ください。こちらは港湾労働者派遣の状況で、青の棒グラフが派遣の成立の件数です。平成22年度の月平均は2,042件です。派遣元申込みに対する成立の割合が上の折線グラフで、平成21年度は大きく数字が落ちているところですが、平成22年度は84.9%ということで、前年に比べて回復し、平成20年度の数字にほぼ拮抗するものとなっております。
5頁の上のグラフで、日雇労働者の状況です。日雇いの就労人日が棒グラフで出ています。平成22年度の月平均で約1万4,000です。ここでは、各港湾ごとに色分けしていまして、特に横浜が大きく数字が増えているところです。
細かなそれぞれの数値をグラフには入れておりませんが、それぞれ各港湾すべてにおいて、数字的に比較をすると、平成21年度、平成22年度では、すべてが上昇しているところです。特に大きく伸びているのが横浜と神戸です。神戸については、平成21年度が減少していまして、それが戻してきているという状況です。
ちなみに、各6大港の上昇の割合ですが、東京が3%、横浜が約21%、名古屋はもともとの母数が小さいので数字が大きくて、57%です。名古屋については、平成21年度の母数が28人日で44人日に増えたことによる数字の比較です。大阪が約30%で、これももともと120人日から150人日になったというものです。神戸は38%増となっておりますが、先ほど申し上げましたとおり、平成22年度の数字でいくと、約1,560で、平成21年度が大きく数字が落ちていまして、平成20年度を見ますと1,677ということで、平成20年度に比べると平成22年度はまだ少ないという状況です。関門は約20%増ですが、こちらも神戸と同様で、平成21年度が少し落ちておりまして、平成22年度は約1,170で、平成20年度は1,450でしたので、その分では2年前と比べれば減っているという状況です。
次に下のグラフの「派遣の許可」です。左の表のいちばん下ですが、直近では293件となっております。
次に6頁の上の表で、「現場パトロール等の実施状況」です。平成22年度の合計を見ていただきますと、実施事業所数が2,561事業所となっております。下の表は「事業所訪問指導・立入検査の実施状況」です。同じく平成22年度の合計で見ると、実施事業所数は1,182事業所です。これについては、一度にパトロールなどを行う事業所の数の変動、要は一度に複数、どれだけ効率的に回るかというところでの変動が出ているところです。
次に7頁で、「公共職業安定所・港湾労働者雇用安定センター連絡会議の開催状況」です。平成22年度は153回ということで、概ね前年同様の数字となっております。
次に8頁で、「港湾労働法遵守強化旬間の実施状況」です。旬間については、毎年11月の終わりを予定しておりまして、今年度はまだ時期がきておりませんで、申し訳ございませんが平成22年11月が最新のものとして、資料を付けております。
次に、9頁の「小型フォークリフトの人付きリースの状況」です。東京、横浜、それぞれですが、直近は平成23年度の第1四半期までになっております。月平均の運転手付きの借受け台数については、東京で54台、横浜で35台。小型フォークリフトの総借受け台数に占める割合としては、東京で1.6%、横浜で0.6%で、いずれにおいても減少傾向にあることがわかるかと思います。
次に、10頁の「港湾労働者の雇用改善・能力開発を促進するための方策に関する事項」です。それについて、労災の関係で、上下のグラフとも、青の折線グラフが港湾、赤が全産業となっています。いずれも、統計的にほぼ前年同様なのですが、全産業については減少傾向であったところが、平成22年度は平成21年度に比べて若干上昇しています。これに対して、港湾は対前年度についても減少しているところが特徴かと思われます。
次に11頁の「港湾労働者雇用安定センター関係」です。先ほど指定法人関係の資料で少しお話をさせていただいた雇用管理者研修、派遣元責任者講習や相談実施状況の、それぞれ6支部及び研修センターでの数字について、記載しているところです。
次に12頁の「能力開発関係」です。12頁は、公共職業能力開発施設での訓練実施状況です。施設については4カ所ですが、港湾短大の横浜校と神戸校、中部のポリテクの名古屋港の分所、関西ポリテクの大阪港の分所、それぞれで行っているものです。概ね前年同様の数字になっております。
13頁は豊橋の港湾技能研修センターの訓練実施状況です。平成22年度では、各コース合計で1,104人の訓練が実施されております。先ほど話に出ましたが、訓練コースの見直しについては、平成22年度のそれぞれのコースの欄が「-」になっている部分が、平成22年度は未実施の部分です。資料5については以上です。
○鎌田座長 港湾雇用安定計画の施行状況等について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○糸谷委員 人付きリースの話ですが、このデータは本当ですか。東京はまだ50ぐらいずつ4半期ごとにありますから200ですが、横浜はゼロに近いです。一気に行ってしまいました。
○花島委員 その代わり日雇いはちょっと増えていますが、徐々に切り替えますから。
○玉田委員 この表に、港湾労働者数及び就労形態別就労状況とありますが、折れ線グラフは平成20年から平成21年に落ちて、平成23年に少し戻っています。この折れ線グラフが常用港湾労働者数ですね。
○百崎補佐 そうです。
○玉田委員 これはそれぞれどのように見るのですか。
○百崎補佐 下は人日です。折れ線が人数です。
○玉田委員 そうすると、結局、常用のところが人日数で、ずっと復活しないままで、ほとんど日雇いでカバー、調整しているという考え方ですか。
○百崎補佐 人日としては、一応、常用労働、派遣、日雇い、数としてはそれぞれ増えてはいるのです。ただ、増え方と言いますか、元の母数の関係で、先ほど述べたとおり、日雇いの割合が0.4ポイント増えているのは、まさにその部分になってこようかと思います。常用も約3,000人日増えてはいます。
○糸谷委員 48万からスタートしているから、比率としてはおかしいなと思ったのですが、下にずっと48万人日が付いて回っているのです。
○福士室長 玉田委員が言われたように、常用はほとんど現状維持というか、少し伸びたという状況で、日雇いは多少伸びたと。
○鎌田座長 いまの点については、よろしいですか。
○玉田委員 はい、結構です。
○鎌田座長 グラフの読み方と言いますか、データについてのご質問があればお願いいたします。
○糸谷委員 このデータは調査されたのでしょうからね。能力開発を促進するための方策というのがもともとの港湾雇用安定等計画の概要に載っているのですが、これが先ほど言ったような話で、本来ならば国が講ずる措置の中に、その種の財政の裏づけもお願いしたかったのですが、現下の状況ではなかなかそうはいかないので、致し方ないかなと思っております。しかし、お金のかからない分野で言えば資格制度などは、安定協会が委託を受けて、1級技能士か2級技能士か、あるいは1級クレーン運転士などといった資格制度があれば、日本人というのはその種のところは非常に熱心にやりますから、技能向上を図る上ではそのような動機づけがいいと思うのでお願いしたいのですが、ただ、現在の規制緩和の中では、その種の資格を認定すること自体というか、公的資格はあまり増やさないようなところがありますが、やってほしいのは、そこなのです。
○鎌田座長 それについて事務局から何かあればお願いいたします。
○糸谷委員 安定協会は委託を受けて、その件の委員会をやったのです。
○鎌田座長 そうですか。
○糸谷委員 その結果が全然反映されていないのです。
○鎌田座長 それはいつごろですか。
○糸谷委員 つい2、3年前です。3年間ぐらいやったでしょうか。
○福士室長 高度化のやつですね。一応、高度化で議論を得て、それを反映していく部分にはなっているのですが、港湾の交付金、委託費とも雇用保険二事業で支出しているという状況で、財政的には二事業は赤字ですから、失業給付のほうから借り入れているという中、毎年20%削減をしていけという予算措置になっております。我々としても能力開発を一緒にやっていきたいのですが、そこの中で増額していくというのは非常に難しい状況にありまして、叶えることはなかなか厳しいというのが現状です。一応、検討会は行い、今後の方向は出ているのですが、そこになかなか沿っていくことができないというのが現状です。
○糸谷委員 雇用保険も震災の対応で手一杯でしょうから、わからないことはないのですが、意見を言わせていただければ、そういうことになります。
○鎌田座長 その他何かあればお願いいたします。
○伊藤委員 今日ご説明いただいたデータとは直接関係ないのですが、港湾雇用安定等計画を策定する段階において、労働側からは適用港湾なり、適用職種の拡大ということを主張していたわけです。本来であれば、6大港に限らず、全国的に雇用安定のため、また港湾労働者の福祉増進のために、この法律を適用すべきだと言っていたのですが、今日はそのことを直接的に申し上げるつもりはありません。ただ、今回の東日本大震災に関係して、こういう大震災のときに、港湾労働法という制度があって、労働力の有効活用があれば、地方港においても、より良かったのではないかと考えましたので、その点を申し上げたいと思ったわけです。
と言いますのは、平成20年において港湾法が改正されて、いわゆる広域災害、県をまたぐような災害が起きたときに、どのような対応をするのかという議論がありました。国会の議事録を読んでみると、広域災害が発生したときに、広域命令と言いますか、港湾運送事業法第18条により、国土交通大臣が命令をして、そのような作業をやらせることになっているのですが、いままで国土交通省はそのような命令を発動したことはなかったですし、今回もそうした発動はなかったと聞いております。ということは、港湾運送事業者に協力を要請して、港湾運送事業者が災害復旧のための救援物資の荷役を担っていくということで行われたと聞いております。
国会質問の中で、このようなことがありました。港湾広域防災区域で行われる港湾運送事業が、事業者の事業許可を受けた港湾の範囲を越えて行うことはないでしょうねという質問に対して、国土交通省は、迅速かつ円滑な荷役を行うためには地元の港湾運送事業者の協力をお願いすることを考えていると答えております。そのようなときには、港湾運送業務を担う労働者の数を、港湾ごとにあらかじめ一定数確保しておく必要があるのではないかという質問に対しては、地元の港湾運送事業者に労働者の確保を含めて協力をお願いするということで、国土交通省としては労働力確保ということもお願いしたいということでした。
港湾運送事業者が雇用する労働者がそれでも足りない場合はどうしたらいいかという質問に対しては、港湾運送事業者の労働者のみでは対応ができない場合は、港湾労働法の規定によって、事業者間の労働者の派遣ができることを活用して、災害時においても労働力の確保をすると、当時の港湾局長が国会で答弁しているのです。そのような意味からすると、港湾労働法の目的の1つは、港湾労働者の確保であることが第1条の目的の中にあるわけでして、災害時においても港湾運送事業者にお願いするという前提に立つならば、災害時における労働力の確保の問題も含めて、やはり港湾労働法というものを全国的にきちっと適用して、労働力確保という観点である法の趣旨を活かすべきだと思うわけです。いままで我々が申し上げてきたこととは少し違った観点で問題提起させていただきましたが、今回の大震災における経験を踏まえながら、港湾労働法の目的をどう達成していくか、またご検討いただければと考えております。
○鎌田座長 これは国土交通省の答弁だったと思うのですが、それについての連絡や内部での打合わせなどはなかったのですか。
○福士室長 私どもそれは記憶しておりませんので、ちょっと。
○鎌田座長 ただ、答弁の中で、被災をした地方港についても港湾労働法の制度を使って云々というのは、港湾労働法の仕組みでいくと、制度的には対応し切れないわけですね。
○福士室長 我々が思うには、それは6大港に限定されると。
○伊藤委員 この法案を作ったときは関東大震災を前提としておりまして、東京地域でしか地震はないという前提で法案が提出されているのですが、そもそも他府県にまたがった広域災害が起きたときにどうするかという法律なので、その点も踏まえれば、東京湾でしか地震は起きないということではありませんし、やはり、今回の経験も踏まえて、地震立国の日本における港湾機能をどのように維持するかという新たな観点で議論していただきたいと思っております。
○糸谷委員 答弁に書いてあることですから、私ではなく、伊藤さんが言ってもいいのですが、私が強調しておきたいのは、港湾運送事業者に協力を求める、あるいは日ごろから連携を密にするということです。港湾運送事業者がいない、それなりの地域もあるわけですから、この辺は国土交通省に然るべき地域には港湾運送事業者が存在するような法律の適用をきちんとお願いしないと、いざ災害が起きたときに、そこには港湾運送事業者がいない、あるいは港労法も適用がないから、港湾労働者の確保も問題があるということになってしまう。今回の大震災を見てもおわかりのように、海上輸送は復旧のための物資輸送という非常に重要な責任を担っているわけですから、港労法を所管する室長も、港湾運送事業法を所管する国土交通省さんにもお願いしたいということです。
○鎌田座長 使側のほうでそのような答弁をされたのをご存じかどうかわからないですが、何かご意見はありますか。
○花島委員 いつも団交とか、そういう中で出る話で、簡単に言うと、6大港と地方港の間には業務量とか経済力の差があり過ぎるので、私どもとしては、地方港に負担を負わせるという適用拡大には反対だということです。今回の地震でも、言われれば横浜だろうと、東京だろうと、港湾業者は応援に行く態勢にはなっているのですが、要請がなかったから行かなかったわけです。ただ、会社によっては、応援を求めているところには応援しています。
○鎌田座長 私などはよくわかっていないのですが、微妙に論点が結び付いているのでしょうか。
○花島委員 永久の課題ですから、今日、明日で解決する問題ではないのです。
○鎌田座長 いま伊藤さんと糸谷さんが言われたのは、おそらく、新たな観点から従来のご主張を補強されたのだろうと思います。
○糸谷委員 震災対応というか、広域防災への対応の中にこのようなものがあったということを踏まえると、3月に既に起きているという意味からも、港労法の全国適用なり、然るべき地域には港湾運送事業法を適用するという考えは、単純に経済問題だけで仕切れるものではないだろうということを言いたかったのです。使用者側の代表の方々は6大港中心ですから、既に港労法の適用を受けた労働者を雇用しているわけです。確かに、6大港以外の地方港は負担が大きくなる部分もあるので、なかなか円滑にはいかないですが、いまの状況を見ると、経済的なコスト負担だけを理由にやっていては、広域災害に対していかがなものかということが、すべてではないけれどもありますということです。これは1つの例です。
○鶴岡委員 その議論の前に、はっきり言って、港労法自体が現代に適合していない部分がたくさんあるのです。ですから、この論議は組合などでもしていないのですが、一部問題が出たときに議論しております。ただ、もともと沖荷役が前提の時代の法律で、接岸荷役になってから改正はされているのですが、何点か改善されていない部分が多々あって、いろいろな問題が起きております。港労法適用全港全適種という問題の前に、港労法自体を一度検証し直していただきたいと我々は思っております。もう1点、国交省さんがいらっしゃっているので申し上げます。港湾運送事業法と港労法という同じエリアの、これは労働者保護と業側の規制法ですが、これにおいて整合性がないということです。この2点は、是非申し上げたい。矛盾がたくさん生じております。
○鎌田座長 話が根本問題というか、かなり広がっているのですが、根が少し深い問題かなというのが私の印象です。
○糸谷委員 基本計画のときにも、いままでは3年で改定していたものを、これからは5年というのは長過ぎるのではないかと。今お互いの立場をちょっと言っても、業界全体をコントロールするための問題点が明らかになってくるようだから、毎年やってくださいと無理無理お願いしたのです。そのような経過もあるのです。
○玉田委員 いま鶴岡委員が言われた事業法と港湾労働法の関係、とりわけ、港湾の現場では間々目にすることです。この計画の4項の(1)では、「違法就労の防止の観点から、港湾倉庫など港湾区域における港湾労働法等の適用関係を港湾運送事業の業務形態」云々とあって、「それらの運用の斉一化を図るとともに、関係者に対する周知徹底」云々となっているのですが、議論だけではなく、是非ここを1歩でも2歩でも前に進めていただきたい。とりわけ、現場などで、これはおかしいということで地方労働局に来てほしい、これを見てほしいと言ったら、時間がないとか、私は港労法を知りませんとか平気で言う人もいるのです。
これを見る限り、パトロールなど行われているようですが、ある意味では即応態勢のようなことで、随時、意識の高揚を図らなければ前に行かないので、そのような日常的なチェック体制というのを、是非強めてもらいたいと思います。できれば、ここにいらっしゃる皆さんが、私たちと、そして業の皆さんも一緒に現場を見て、これはどっちなのか、ヘルメットは同じだが、グッドウィルの人がいるのではないかといったことは往々にしてあるわけですから、具体的に物を見て、解決するようなことを考える計画の実施であってほしい、このようなことを要請しておきたいと思います。
つまり、人付きリースの問題もそうです。業の皆さんの努力もあって、ガァーっと減るわけですから、やればやれるのです。背景にはいろいろな事情があるかもしれませんが、いずれにしても結果的にはこうなっているわけです。これを労使の努力に委ねるだけではなく、雇用全体をどう安定させるかという観点からいう労働行政の役割というのはあるはずですから、そのような点からも、是非1歩でも2歩でも進めるような計画にしてもらいたいと思います。言っていただければ、いつでもお連れいたします。、
○鶴岡委員 単純な例を申し上げますと、港湾労働者という港労法上の名前の従業員が、その雇用主が港湾運送事業者でない場合もあるということです。
○糸谷委員 それが問題だと言っているのです。これは労使一致しますね。
○鶴岡委員 はい。これはなかなかご理解いただけないと思うのです。
○糸谷委員 そうですね。
○内藤委員 港湾労働に関する知識が豊富でないので確認させていただきたいのですが、港湾労働法の適用対象が日本における6大港だとするならば、逆に言うと、先ほどから話題になっている地方港においては、その範疇から外れるということですか。そうであるならば、通常の派遣業法では港湾関係へは労働者を入れてはいけないことになっていますから、港湾運送以外の事業者は一体どこへ入ってくるのでしょうか。
○糸谷委員 そこは先ほど鶴岡委員が言ったように、港湾労働法と港湾運送事業法が一体ではないため、それぞれ別々に解釈されているからです。所管の官庁が違うのだから当然なのですが、我々としては港湾運送事業者が雇っている人が港湾労働者だと考えております。座長も当然そうだと思っていると思います。港湾運送事業免許の許可を持たない事業者が職安に申請しても、港湾労働者証をくれるわけです。あまり大きい声を出したら嫌がるだろうけれども、そこが問題だと言っているのです。なぜ、出すのか。
その前に鶴岡委員が言われたように、沖荷役のときは、確かにそれしかなかったのですが、今はコンテナの時代だから、箱になったら内陸でもどこでも行ってしまうのです。そして、行った先でやるのは誰の業域か、職域か、ここが揉めるわけです。本来ならば、その種のものは1回港で降ろして保管して、ここから先は荷主さんなり、陸上の運送事業者が扱ってもいいというのがもともとだったのですが、コンテナ化によって、今はその境界線がグチャグチャになってしまっているのです。それを、せめて港湾の港頭地帯というか、エリアですが、税関構内ぐらいは俺らの商売じゃないかと言うと、メーカー系列の物流業者などいろいろな人が入っていて、港湾運送事業免許の許可を取っていないにもかかわらず、それに類する行為をやっているわけです。港湾労働者しか駄目だと言うと、職安に行って港湾労働者証の申請をするわけです。
○鶴岡委員 以前出た審議会のときの資料ですよね。
○糸谷委員 ですから、それを解釈を1つにしたほうがいいだろうということもあるのです。そうなると、全国適用の話も出てくるわけです。
○鶴岡委員 そのときは、また議論が違いますからね。
○鎌田座長 今ご議論いただいたのは6大港以外、そのほかの港湾についても、港湾労働法の適用を拡大してはどうか、それについての新たな視点ということで震災の問題を提供されたわけです。それとは別だと思うのですが、事業法と港湾労働法の適用関係について乖離があるというお話でした。
○鶴岡委員 先ほどの話は乖離があるわけではなくて、私が言いたいのは、全港全職種をどうのと議論する前に、そのような問題を解決しないと、広げるかどうかの議論もできないのではないかということです。決して関連のない話ではないのです。
○伊藤委員 それは同感です。
○鎌田座長 お聞きしただけで申し訳ないのですが、事業法と労働法の適用関係というのは、実はなかなか難しい問題なのです。なぜかと言うと、私は国土交通省のタクシー関係の審議会に入っておりまして、道路運送事業法と労働法の適用で散々議論になり、実は裏表の関係にあるからなのです。要するに、タクシー運転手さんの労働者性と、いわゆる個人オーナー的な、本当の個人運転手は別ですが、ある種独立したような働き方をしている会社の運転手さんというのもいる。そのようなこともあって、そもそも何を規制するかということでは法律の趣旨、目的が全く違うので、いま一緒に議論すると言っても、なかなか難しいと思います。単に縦割りだけの問題だけではなく、そこにおいてはいろいろな問題が出てくるのは事実だとは思いますが、これは一朝一夕に何らかの方向が出るようなものではないと思います。その審議会にも、もちろん厚生労働省の担当者は出ているわけですが、本当に大きな問題で、いわゆる事業法をどうするかという話と、労働者の保護をどうするかという話ですから、これは似て非なるものなのです。ここでその辺の議論を深めるというのはなかなか難しいので、お聞きしておくということでよろしいですか。
○玉田委員 お聞きしておくでは困るのです。なぜかと言うと、計画にあるからです。斉一化に向けて、明記しているわけですよね。一昨年の計画の中で書き込んだのは初めてです。お聞きしたのは、その前の計画です。そのときは入っていなかったのです。
○鎌田座長 玉田さん、どの部分を言われているのですか。
○伊藤委員 事業法と港湾労働法の適用範囲の違いの問題です。特に、港湾倉庫を巡る問題です。前回、斉一性を図るということで計画をいただいたので、そこはかなり明確になってきたのですが、そもそもの法律の適用が違いますので、はっきり申しますと、それ以上もう前に進まないという状況にまで来ているのです。現在の状況の中で、港湾労働法の適用範囲はどこまでかということについては、ご努力いただいたと思うのです。ただ、実際問題、それ以上の話になると、先ほど鶴岡委員が言われたように、港湾運送事業者以外の者でも港湾労働者届けができるという、ここはもう法律問題ですから、状況は変わらないということです。
○糸谷委員 参考資料1の3頁、4の(1)のイの3つ目の○です。ここは港湾労働法等の適用関係と港湾運送事業の業務形態について、それらの運用の斉一化というのは、できるだけ乖離がないようにということになります。あなたたちの職場なのかと我々自身が言ったとしても、うちは港湾運送事業免許はないが、港湾労働者証は取っているとさばかれてしまうわけです。誰が出したのだと言っても、職安に行ってもらってきたと。
○鎌田座長 まずはこの計画が立てられて、いわば実現に向けて進めるということで、行政としては、この点についての理解というのはどうでしょうか。
○福士室長 あくまでも、この計画は平成25年度までかけて、これらを一つひとつ進めていこうということなので、3つ目にもあるように、変化等に応じて明らかにして、それらの運用の斉一化を図っていこう、また周知徹底を図っていこうということです。平成25年度までかけて、この場でそうした意見があればお聞きして、少しでも前に進んでいくということです。
○伊藤委員 既に壁に突き当たったのではないですか。
○糸谷委員 せっかく室長がそのように言うのだから、ここは一番、信頼して。
○福士室長 先ほどから言っているように、そうなると法改正を本当に考えていかなければいけないと思います。
○鎌田座長 どのような経緯でこの文章が入ったのか、いま言った事業法との問題というのは、そう簡単なことではないです。
○鎌田座長 港湾労働法の中身をどう変えるかという議論はできると思いますが、事業法との関係で斉一化を図るなどというのは、そもそも立法の趣旨も違うものですから、おそらく、簡単には同じ土俵には乗らないような気がするのです。
○伊藤委員 この斉一化というのは、はっきり言いますが、港湾倉庫の適用範囲が港ごとにバラバラだったので、行政的にそこの考え方を統一していただき、現時点の法律解釈からすると、こうであるというのを出していただいて、そこがオーソライズできているのです。しかし、基本的なところの事業法と港湾労働法の適用関係が全く違っていますので、そこが解決できないのです。逆に、それをきちっとすればするほど、港湾運送事業者以外の人が港湾労働者を使って、作業させているという現実が、より明確になってきたというわけです。
○鎌田座長 法律家の立場としては、それについて言いたいことはたくさん出てくるので、タクシーのときもそうで、確かにおかしくなっているのです。おかしくなっているのですが、労働者の立場で整理しましょうということと、事業者の立場で整理するということは全く違うことです。要するに、3頁の(1)のイの3つ目の○の趣旨が、どのような認識で計画に盛り込まれて、どのようなことを実現目標としているかということについて、もう一度整理し、議論していただきたいと思います。大変申し訳ないのですが、今おっしゃっているような趣旨での事業法との斉一化というのは、そう簡単には目標にならないような気がするのです。国土交通省がどう思っているかよくわかりませんが、その辺のところの整理を初めからしていただいて、議論していただければと思っております。そういうことで、よろしいですか。
○糸谷委員 ちょっと引っかかりますけれども、時間も迫っているようですから。
○鎌田座長 「運用の斉一化」というのは何を言っているのか、要するに、言いたいことはそういうことですね。
○糸谷委員 6大港の中で一つにするというのと、一つにする際にばらつきがないように、こういうものはこうだということを出すということで、それらしいものは一度は出たのです。ところが、いろいろリアクションがあって、この解釈ではないということで、また大揉めに揉めたのです。そういう経過があるのです。
○鎌田座長 そうでしたか。
○糸谷委員 座長もそう思われるでしょう。港湾労働者は何ぞやと定義づけたら、「港湾運送事業者に雇われている人」と言うか、「港湾で働く人」と言うか。ところが、そこに港湾事業者でもなく、港湾と言ったら港湾だろうけれども、港頭地帯にはあるけれども、荷役サイドに近いような倉庫が、この状況の変化によってどんどん出てきたわけです。そうすると競争関係にあるわけです。我々は組織化されている労働者だから、労務委員長のお蔭で労働条件は整備されていますが、そういう所はどのような労働力を導入しているかわからないわけです。そうすると競争関係にあるわけですから、同じような仕事をやっているところで、一方がこんな条件だと言うと、こっちも割を食うから排除するというか、適用法の適用を受けろと言うのです。そのときに、申請さえすれば、無差別に港湾労働者証は出しますなどと言われたら、こちらとしても怒るわけです。何をもって出す基準としているのか、ということです。
○安部委員 糸谷さん、わかりやすくいうと、浜町オリックスが品川で仕事をしたら困るのでしょう。
○糸谷委員 はい、困ります。
○安部委員 本当のことを言えばわかりやすいけれど、なかなかそれは言えないですね。
○鎌田座長 さらに根が深いということが、よくわかりました。文言についての理解の齟齬というか、私も齟齬があるかないかもよくわかっていないのですが、そういったことは整理して、もう一度議論していただければと思います。それでよろしいでしょうか。
○糸谷委員 はい。
○鎌田座長 聞き置くというのではなくて、議論を整理していただければと思います。
○鎌田座長 もう1点、これは従前からこのような取扱いをしているということですので、改めて明文化というか、それも既に前回ご了解いただいているということでして、こういったことで進めたいということですが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○鎌田座長 ありがとうございます。以上で本日の議題は終了いたしました。最後に、本日ご出席いただいております糸谷委員におかれましては、本年9月の役員改選によりまして、日本港湾労働組合連合会の中央執行委員長をご退任されると聞いておりますので、次回の専門委員会では新たな委員がご出席されるとのことです。糸谷委員が出席されるのは、今回が最後ですので、一言ご挨拶をお願いしたいと思います。
○糸谷委員 全部を退任するわけではないので、私の意見が新たな委員を通じて、またこの委員会に反映されるようお願いいたしまして、いろいろと言いたいことを言いましたけれども、何かの折には、今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○鎌田座長 お疲れ様でした。以上で、本日の会議を終了いたします。本日の会議の議事録署名委員として、労働者代表は玉田委員、使用者代表は花島委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。
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