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2011年9月21日 第2回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 議事録
年金局年金課
○日時
平成23年9月21日(水)
16:00~18:00
○場所
中央合同庁舎第5号館 厚生労働省
12階 専用第15・16会議室
○議題
1.開会
2.議事
短時間労働者の社会保険適用を巡る現状及び論点
3.閉会
○議事
○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第2回「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」を開催いたします。
皆様、お忙しいところ、また台風が接近している中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
本日は、小宮山厚生労働大臣が御出席でございます。初めに大臣からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小宮山厚生労働大臣 こんにちは。台風の中お集まりいただいてありがとうございます。この度厚生労働大臣に就任をいたしました小宮山洋子でございます。本当に御多忙の中、この部会に御参加いただいたことを感謝申し上げます。
現在の野田内閣では、社会保障と税の一体改革について、6月30日に成案をとりまとめておりますけれども、これを実現することを最重要課題だと考えております。私も厚生労働大臣といたしまして、震災の復興ですとか原発の対応とかございますが、普通の仕組みの中で最も大事なことが社会保障の改革だと思っておりますので、しっかりと皆様方にこれからの超少子高齢社会の中でこういう安心をつくっていくということをお示しできるように、今日は政務三役そろっておりますけれども、努力をしていきたいと思っております。
その中でも、本当に公平な働き方、それに対する社会保障という意味で、短時間労働者に対する健康保険や厚生年金の適用拡大、これは、他の配偶者控除の問題ですとか第3号被保険者の問題ですとか、トータルに考えなければいけない問題がございますけれども、ここの特別部会で御審議いただくことが大変重要な課題だと考えておりますので、私ども政務三役も可能な限り出席をさせていただきたいと思いますが、どうぞ皆様方の御審議、心からお願いを申し上げます。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。本日は大臣のほかに辻副大臣、藤田政務官も御出席ですので、一言ずつご挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○辻厚生労働副大臣 この度小宮山大臣の下で副大臣を拝命いたしました辻泰弘でございます。国民の幸せのための厚生労働行政の前進のために頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○藤田厚生労働大臣政務官 大変お疲れ様でございます。この度政務官に就任をいたしました、衆議院の藤田一枝でございます。小宮山大臣、辻副大臣とともに社会保障制度の再構築に向けて力を合わせて参りたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。小宮山大臣、辻副大臣、藤田政務官は、政務のため途中退席される可能性もございますけれども、それまでの間、議論に参加していただきます。よろしくお願いいたします。
次に、本日の出席状況でございますけれども、前回御欠席の久保田政一委員が御出席でございます。よろしくお願いいたします。
また、岩村委員、岡崎委員、小島委員、坪田委員、福田委員からは御欠席の御連絡をいただいております。なお、坪田委員の代理として佐藤参考人、また福田委員の代理として浜野参考人の御出席につき御承認いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。それでは、配付資料につきまして事務局から連絡をお願いしたいと思います。事務局、どうぞ。
○藤原年金局総務課長 配付資料について確認させていただきます。お手元の資料に資料番号が打っておりますものが資料1~4までございます。
資料1、縦長のペーパーですが、「想定される主な論点」。
資料2、横長で、「説明資料」と題している資料でございます。
資料3、同じく横長の資料で「適用拡大に関する考え方」という資料。
資料4、これは霜鳥委員の方から御提出いただきました、健康保険組合連合会の報告書に関する資料でございます。概要と本文ということで、報告書の本文につきましては大部となりますために委員の皆様のお手元のみ配付させていただいております。
以上が本日の配付資料でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。それでは、カメラの方々はこれで御退室をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 それでは、議事に移らせていただきます。まず、事務局から資料1「想定される主な論点」と資料2、説明資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○梶尾年金課長 それでは、資料1、2につきまして御説明申し上げます。説明者を交代しながらになりますが、順次申し上げます。
資料1は、第1回のときに「想定される主な論点」としてお示しした資料の修正でございます。
1枚目につきましては、一体改革「成案」での表現について正しく書いた方がいいのではないかという御指摘があったという点と、3つ目のポツについて、やや誤解されがちな表現でしたので、その家計における役割は補助的なものであるようなパート労働者ということで、パート労働者がすべて補助的だと思われにくいような日本語に修正したところでございます。
2ページ目の上の半分までは前回御説明したところですけれども、前回の議論の中で、年金についてはこういった論点があるのだけれども、医療保険の関係は独自の論点があるのではないか。その辺りの漏れがないか事務局の方でも整理をしてほしいというような御指摘もございましたので、2ページの下の方から医療保険関係にどういう論点があるのかというのを整理しているところでございます。
○西辻保険課長 保険課長でございます。2ページ目の中ほど以下「医療保険関係(一部再掲)」と書いておりますが、今ほど御説明申し上げましたように、前回の議論でも医療保険固有の論点として整理すべきではないかということで、年金と重なる部分もあるのですが、ここで医療保険の切り口で改めて提示させていただいております。
最初が、医療保険では、被扶養配偶者の認定基準、これは第3号被保険者の基準と同じで130万円ということでやっているわけでございますが、前回、貝谷委員から御質問いただいたと思うのですけれども、この考え方は、従来医療保険では被保険者の方だけではなくて、その被扶養者である家族の方の疾病についても健康保険の方でカバーする。それでもって被保険者の生活の安定に資するということで、ずっと被扶養者の認定基準は引き上げてきたという経緯がございますので、認定基準を今回見直すということであれば、この経緯をどう考えるのかというのが1つ論点としてあるのではないかということでございます。
これに関連して、資料2の1ページ目は、これまでの被扶養配偶者の認定基準の経緯の推移を示してございます。昭和61年までは税の方の課税基準、つまり給与所得控除と配偶者控除の限度額の合計額とこの被扶養配偶者の認定基準額が一致するような形で順次改正が行われて参りましたが、昭和62年からは税との連動という考え方をやめております。いろいろな指標、例えば収入ですとか可処分所得ですとか、決まって支給する給与ですとか、そういったものの伸びを参考にして被扶養者の認定基準額を決めている。つまり、同じような働き方をずっと続けているにも関わらず、賃金の伸びによって収入が上がっていく。そういった場合に、ある年は被扶養配偶者になり、別の年はまた国民健康保険に行ったりということがないように、医療保険の適用関係を安定させるという観点から所得水準の伸びに応じて認定基準額を改定してきたという考え方でございます。
また資料1に戻っていただきまして、2つ目の論点ですけれども、2以上の事業所で働くパート労働者の適用、徴収に与える影響ということでございます。成案で例えばと書いておりました、20時間まで適用を拡大した場合に、2つの事業所で働いて、両方の事業所で適用基準を満たすという方が当然従来よりも沢山出てくると思われますので、仮にその方々の就職や離職の頻度も多いということですと、適用あるいは徴収の業務量というのは相当増えるのではないのか。年金も同じ事情がありますが、特に医療保険の場合は、保険証を必ずどちらかの事業所に着目して出すということがありますので、保険証をどちらでも出さなかった、あるいは両方で出したりということがないように、この適用の部分というのが非常に重要になってくるのだろうと思っています。
3ページ目は、適用対象となる者の範囲をどのように定めるのかという点に関して2つ書いてございます。最初のところですけれども、医療保険では、どの制度に加入しても3割負担という同じ給付でございますが、1人の人が2つの公的医療保険制度に入るということはございませんので、いずれかの制度に加入したら、加入した制度で24時間365日の医療保障を行っていただくことになります。被用者保険が適用される、つまり、その保険料について、御本人だけではなくて、事業主の方も一定の費用負担をするという視点で考えたときに、果たして適用拡大というのはどの辺りまで広げることが適当なのかというのが1つ。
もう一つは、また書き以降のところですけれども、これも前回の議論でも、主たる稼ぎ手ではないパート労働者の方であっても、今は家計を維持するに当たって非常に重要な役割を果たしているケースが増えているのではないかという御意見があったかと思うんですけれども、特にそういうパート労働者の方にとりまして、けがとか出産で働けなくなった場合の所得保障、具体的には傷病手当金、出産手当金、これは健康保険に特有のものでございますが、このようなものを受けられるようにすべきという観点も論点としてあるのではないかということでございます。
1つ飛ばしていただきまして、最後に、保険者の負担増をどう考えるのかということですけれども、適用拡大によって新たに適用される方というのは、相対的に見ると所得の低い方が多いのではないかと考えられますけれども、特にパート労働者の方をたくさん雇用している事業所でつくっている健康保険の保険者、健康保険組合、こういったところでは、新しく入ってくる保険料だけでは新しく出ていく支出をおそらく賄いきれないということが想定されますので、その場合には保険料率を引き上げる、つまりその保険集団に入っているほかの被保険者や事業主に負担を求めざるを得ないということになるのかと思います。
現在、医療保険はどの保険者も財政状況が悪化して毎年保険料を引き上げているという厳しい状況の中で、この適用拡大による保険料の引上げを行うということをどう考えるのかということが医療保険の固有の論点としてあるのではないかと考えております。
○浜谷国民健康保険課長 国保課長でございます。続きまして、地域保険関係について御説明させていただきます。資料1の今お開きいただいております3ページの下から2つ目のポツでございます。地域保険に、本来被用者保険に加入すべき被用者が多く加入している現状をどう考えるかとございますが、前回の御議論の中で、パート労働者を含め、そういった被用者保険に加入すべき者が多く加入していることによって国保財政を圧迫しているのではないかという御議論がございましたけれども、そういった論点でございます。
現状でございますけれども、資料2の2ページでございます。市町村国保の世帯主の職業別の構成割合の推移でございます。昭和40年、左端を見ていただきますと、かつては自営業者・農林水産業で約6割、被用者が約2割、その他無職者等という構成であったわけですけれども、徐々に被用者、無職者の割合が増加しておりまして、平成21年直近でございますと、自営業者、農林水産業者が約2割、被用者の方が3割と逆転している状況でございます。
このような方々の所得の状況でございますけれども、3ページでございます。市町村国保、協会けんぽ、組合健保、共済組合、それぞれの加入者1人当たりの平均所得などを比較したものでございます。市町村国保の被用者の欄の上から2つ目、加入者一人当たりの平均所得を見ていただきますと104万円。これは給与所得控除後の所得でございます。市町村国保の中では平均より少し高い層でございますけれども、協会けんぽの同じような加入者1人平均所得の139万円、組合健保は195万円、共済組合は236万円というものと比較いたしますと、やはり低い層が加入しているという状況でございます。
また、4ページ目は、被用者の一世帯当たりの分布状況を見たものでございます。所得なしが8.1%、0~100万円が26.8%、100~200万円が28.8%と、やはり比較的低い層に分布しているということでございます。この中でパート労働者については、所得なしあるいは0~100万円といった、より低い層にいるのではないかということが推定されるわけでございます。
以上でございます。
○梶尾年金課長 続きまして、5ページでございます。厚生年金の標準報酬月額下限に関する論点ということです。
資料1の2ページ目の「その他」で、上に3つ標準報酬の下限ですとか、国民年金保険料との関係という論点を前回御説明しましたけれども、口頭でいろいろ申し上げたので多少図解したもので補足を資料の5ページ以降で申し上げたいと思っております。
5ページには「標準報酬月額とは」ということで、切りのいい金額というのを決めまして、それで保険料を算定し、等級をつくっておるということですけれども、健康保険は5万8,000円~121万円ですが、厚生年金は9万8,000円~62万円と等級が分かれております。したがって、実際の月収が35~37万円だったら36万円とみなしていろいろ計算をするというのが月額の標準報酬という考えです。
今、厚生年金と健康保険で標準報酬月額の上下限が違うと申しましたが、厚生年金については、高所得であった人は余り年金額が高くならないように、あるいは低所得であった人に対しても一定以上の給付を確保できるようにということで上下限が健康保険に比べて狭い範囲で設定されているということです。したがって、厚生年金については、実際の報酬月額100万円の人も62万円に対する保険料を払い、62万円に対する年金をもらえる。8万円の報酬月額の人も9.8万円の保険に対する保険料を払い、9.8万円に対する年金をもらうという形になっております。というのが現在の仕組みでございます。この9万8,000円の下をつくるかどうかということが論点ですということを申し上げました。
具体的にはどういうことかと申しますと、6ページ目になりますが、9万8,000円を下回る場合には、9万8,000円だということで保険料や年金給付を算定する。ということは、例えば8万円の方であれば、実際の所得に対して見れば割高な保険料を払う。年金給付の方も多少割高にはなるということです。その絵を下に書いてありますけれども、8万円の人も少し高めの保険料を払って年金もやや高い。8万円の人に対して7万8,000円という月額を定めれば、保険料もそれなりになりますけれども、年金も少し少ない額であるということであります。このようなことをするかどうかというようなことです。
これは低い保険料なのだからそうすればいいのではないかということが自然になるわけですけれども、その場合に何を考える必要があるかというと、1つは年金額もその分少なくはなりますというのが1点と、7ページにいきまして、厚生年金のほかに国民年金というのがあります。国民年金の第1号被保険者である人が適用拡大の結果、第2号被保険者、厚生年金に入るという形になるわけですが、現在は国民年金は1万5,020円の保険料を月々払って、将来の給付は基礎年金の満額から6万5,741円ということになります。
これで8万円の方について7万8,000円というのを設けますと、労使合わせて1万2,802円、本人負担分ですと6,400円の保険料に対して将来の給付は基礎年金プラス7万8,000円に対する年金を受給できるという形になるということで、これが国民年金の保険料の負担と給付の関係と考えてどうかということが議論としてあるんだろうと。9万8,000円ですと労使合わせて大体1万6,000円程度でありますので、厚生年金の方が多少高い負担になって高い給付になるのですけれども、低い負担になるけれども、高い給付になるというのをどう考えるかという論点があるということです。
ただ、これはその分を国民年金の側から厚生年金の側にお金が移転しているわけではなくて、厚生年金の大きなグループの中で所得の高い人の分から所得の低い方に当てるという構造なので、別にそれを切り分けて考えられるのではないかということも理由でありますけれども、ここをどう考えるかという話。
この方に被扶養配偶者がおられた場合にどうなるかというのが8ページでありまして、右側の図でありますけれども、7万8,000円に対する1万2,802円の保険料負担によって、本人の基礎年金+厚生年金に加えて、被扶養配偶者分の基礎年金というのもあるということで、これも給付と負担の関係でどう考えていくのか。それはそういう厚生年金全体で第3号被保険者を負担しているという構造に由来するもので、別に短時間労働者だからどうこうという話でもないのではないかという考え方で勿論整理できるということですが、不公平感は生じるかもしれない。こういった辺りをどう考えるかという論点はあるということでございます。
こういう問題について、過去、パート労働者の適用拡大のときにはどういう議論の経過があったかということを9ページで紹介いたしますと、平成16年改正の際は、平成15年秋までに当時の年金部会で議論し、案はつくりましたけれども、実際に国会には出なかったわけですが、このときには比較的賃金が低いわけだから標準報酬の下限を引き下げて、その報酬に応じた形での負担にしてもらう必要があるだろうと。それは国民年金とのバランスは議論があるけれども、それは同等に考えられないという意見もあったというような形です。
その上で被扶養配偶者への給付は行わないというようなことも考えるべきではないかというのがありました。ということでしたけれども、このことは法案化されなかったということになります。
次に、平成19年に被用者年金一元化法に労働者の一定のルールの下に適用拡大がありましたけれども、このときには賃金が月額9万8,000円以上であるパート労働者を適用するということでしたので、そうすると、9万8,000円より下の階層をつくるという話にならないものですから、この論点についてはこれ以上の詰めは行われていないというのが過去の2回ということでございます。資料1の2ページの論点の上の3つに書いてあるのがそういうことでしたという説明をいたしました。
10ページは事業主負担の意味ということで、前回の会議で小島委員の方から事業主負担との在り方をどう考えるか、誰が負担しているのかというような論点も議論してほしいという指摘がございました。その材料として、政府におけるこれまでの報告書の例ということで、平成14年の社会保障負担との在り方に関する研究会というところで整理した文章を紹介しております。
アンダーラインを付けておりますけれども、事業主負担の意味としては、賃金の支払いの一部だとか、健康保険では健康増進や疾病の治療による早期の職場復帰を通じての事業主の利益、あるいは年金で言えば高齢者の退職促進や人材確保による事業主の利益などの説明が意味としてはなされてきているということですとか、負担の帰着については価格に転嫁されて消費者が実質的に負担だとか、賃金として受け取れない分、労働者が実質的に負担ですとか、企業が実質的に負担しているというような考え方があるということで、そういった社会保障制度があるということで事業主にも利益があるという一定の整理がされているということで、こういうような考え方が整理されていることを御紹介申し上げたところです。
○中村事業管理課長 続きまして、年金局の事業管理課長でございます。資料の11~13ページにかけまして、未適用事業所に関する資料を用意させていただきました。社会保険の適用範囲を御議論いただくに当たりまして、現在、既に適用対象になっている事業所あるいは対象者についてどのような取組みを進めているのか、現在どんな状況にあるのかということをご覧いただく意味で御用意した資料でございます。未適用事業所や未加入者の適用対策を進めるということは大変大事であるという御指摘も前回いただいたところでございます。その状況について御報告を申し上げます。
まず11ページでございますけれども、今、厚生年金、健康保険の適用についての業務のフローということで御用意いたしておりますが、厚生労働省ないし日本年金機構が保有するさまざまな情報あるいは外部機関、ハローワークであるとか、あるいは運輸局、こういったところからの情報等に基づきまして、本来は厚生年金等に入っていただかなければいけない事業所であろうということが想像されるような事業所を把握した場合には、ここに書いてあるような様々な形での取組みを経て適用につなげていくということを進めているわけでございます。
具体的に申し上げますと、順に矢印を下の方にご覧いただきますと、文書・電話による勧奨、あるいは訪問による勧奨、ここは主として外部委託という形で実施をしているところでございます。
それでも加入いただけないという場合には、年金事務所の職員による来所要請による加入指導、更には実際に事業所を訪問しての加入指導、こういったことを取り組むということでございまして、最終的には立ち入り検査を行った上で、いわゆる職権による適用を行うというような段階までいく場合もあるということでございます。
右上の方から少し矢印が出てございますけれども、事業所としては厚生年金適用事業所になられているというケースについて、特定の従業員の方が保険に加入していない、こういった情報が、御本人あるいはいろんなルートで情報が得られたような場合に、これについても事実確認をした上で最終的には適用につなげていくといった取組みを進めているということでございます。
12ページをご覧いただきますと、昨年度の実施状況についてのデータをまとめてございます。左側の各項目、大きい太めの文字が22年度の実績ということでございまして、かぎ括弧の中がその前年度、21年度の実績ということになってございます。
昨年度未適用事業所の中で適用を行ったのが4,808事業所ということでございまして、そのうち職権適用したのが71事業所ございます。被保険者数で申し上げれば、1万7,516名という状況になっているところでございます。
一方、こうした取組みにも関わらず、日本年金機構として厚生年金等に加入していただかなければいけないということを把握しながらまだ入られていない事業所、いわゆる未適用事業所というのが10万事業所を超える規模で存在しているというところがございまして、順次こうした事業所への働きかけを進めているという状況がございます。
既に厚生年金に加入している適用事業所に対して事業所調査を行い、被保険者の適用漏れについて、被保険者に適用した人数というのがその下の段でございますが、1万2,453名ということでございまして、平成21年度と比べれば大体3倍ぐらいの実績にあるということでございます。
平成22年度の実績をご覧いただきましたが、もう少し長いスパンで見ていただいた資料を13ページに用意させていただいております。右側に平成22年度が載ってございますけれども、厚生年金の適用事業所が今約175万事業所ございまして、3,441万人の方が厚生年金の被保険者になられているということでございまして、未適用事業所として把握しているのが10万7,935事業所というのが先程申し上げたような状況でございます。
例えば適用対策の中で戸別訪問による取組みというところを見ていただきますと、昨年、平成21年度が3,390戸別訪問して指導したということに対して、平成22年度は1万戸を超えるような取組みをしているというようなことで進めてきているわけでございます。残念ながら左側の方の平成18年度をご覧いただきますと、この頃は例えば戸別訪問は6,700戸でございましたけれども、一番下の事業所調査を見ていただいても46万事業所に対して実際に事業所調査を行い、適用対策を進めていたというようなことに比べれば、まだまだ平成19~21年度にかけての落ち込みが回復途上にあるというのが現状でございます。
日本年金機構が平成22年1月に発足いたしまして、厚生年金の適用対策に力を入れて取り組むということで進めているわけでございますが、まだ過去の実績と比べれば回復途上にあるということではないかと考えているところでございます。
御参考までに今年度の4~6月までの3か月間の実績を掲げてございますので、大体ざっくりと4倍していただければ平成23年度の状況を見ていただけるのではないかということで御参考までに入れているところでございます。
以上でございます。
○梶尾年金課長 最後に残り6ページですけれども、様々な実態に関するデータをできるだけ出してほしいということが前回ございましたので、今回準備できる範囲で御用意いたしました。今後も準備でき次第、提示して参りたいと思っております。
14ページは、社会保険適用に伴って、パート労働者が1年間加入した場合の負担と障害の給付がどう変わるかというイメージということでモデルを設定してみました。
前提として月収10万円、標準報酬月額9万8,000円の方で、1年間加入した場合に保険料がどうお支払いいただくか、将来得られる給付はどうなるかということで、そこに記載してあるようなことで現在46歳の女性でモデル設定をしております。
表の方の説明を申しますと、まず14ページにあります表は、現在国民年金であれば第1号被保険者、あと市町村国保に加入していらっしゃる方が社会保険適用を受けた場合、年金で言えば、今は月額1万5,000円払っているものが月額労使で1万6,000円、本人分8,000円ということになりますので、月額7,000円の保険料が減で、年額で8万4,000円の減になるということです。
1年間加入することによって、将来の厚生年金がその1年の加入の分で月500円程度ずつ増えていく。これは2年加入すれば保険料分に応じて2倍分、1,000円余り年金額として増えていくという話になります。そこで1年間という単位で出していますが、現在46歳の方であれば64歳から支給開始で、64歳時の平均余命が27年余りということですので、約17万3,000円将来の給付として確保される形になるということです。
医療保険の方は、保険料については健康保険に入った後の保険料は皆さん同じで、46歳の方ですので介護保険の保険料分も含めて11%の保険料を労使折半で払っていただくということですけれども、国民健康保険で単身であるか自営業であるか母子家庭であるか等によって現在の保険料が違うものですから、上がる人、下がる人がいるということで、自営業の場合については月額900円増になっていますけれども、あとの3パターンは保険料負担が国保に比べて社保加入の方で健保の方も減るということです。給付の方は医療保険の給付は7割給付ということで同じですけれども、現金給付があるというようなことでございます。
14ページは国民年金の保険料、国民健康保険の保険料を払っていらっしゃる方の場合ですけれども、15ページは、現在年金は第3号被保険者である、医療保険は被扶養配偶者であるということで、御本人には保険料負担がないという方について言えば、それは保険料の負担というのは年金、健康保険に入った分だけ増えるという形になります。1年間加入したときによる生涯の給付の変化は先程のものと同じことが記載されているということになって、このモデルですと、年金、医療保険を合わせて16万2,000円の保険料負担増です。将来の給付は1年間加入したことによって27年分で17万3,000円の給付になるということです。
注に書いてございますけれども、16万2,000円負担が増えますけれども、これは社会保険料控除の対象になりますので、所得税を払われる層でありますと、その分だけの税制上の負担軽減というのもあります。これは1ページで言えば保険料負担が減になる方はその分だけ社会保険料控除を受けるのが小さくなるというのは勿論逆もございます。
一定のモデルという形で個人で見た場合どうなるかということを申しました。これが全体でどうなるかという形についても出してほしいというお求めが前回ありましたけれども、本日は準備できておりませんけれども、議論に提示したいと思っております。
16ページは成案で雇用保険並びであれば400万人という数字があって、これの根拠を示してほしいということが前回ございました。これにつきましては、上のマルに書いてありますように、平成16年の改正の際あるいは平成19年の議論の際にも、そのときには310万人という数字を申し上げておりました。それを今回400万人としたわけです。
そのような経緯もありますので、平成16年のときに平成13年の公的年金加入状況等調査をベースにして、それを使っておりましたので、その後の調査によるパート労働者の常用雇用指数がどう変わっているか、これが点線の(3)の中にありますように1.31733倍になっているということを用いまして、左側の(1)(2)(3)を使いまして、元々が第1号被保険者である人、元々が第3号被保険者である人、あるいは元々が二十歳未満あるいは60歳以上である人というのがそれぞれ厚生年金適用事業所でどれだけ勤めているのか、それがどれだけ増えているのかというので一定の仮定を置いて、右の(1)×(2)×(3)で試算をし、数字を出しまして、そのうち20時間以上の方というのは平成18年のパートタイム労働者総合実態調査で、これは第1号被保険者、第3号被保険者、非加入というのは20歳以下60歳以上の者の20時間以上割合というのがありましたのでそれをかけまして、下の箱にありますような合計400万人となります。
したがって、現在、国民年金の第1号被保険者として保険料を払っている方から入るのが140万人、現在、第3号被保険者である方から180万人、20歳未満あるいは60歳以上である方から入るのが約70万人ということで、端数はありますけれども、400万人という試算を出しているということでございます。
17ページ以降は実際どういう時間をどういう年収でやっているのかという辺りもデータが欲しいということでございました。こういったさまざまな形でのものについて、今日はまだ不十分だと思いますけれども、順次準備をしていきたいと思いますが、これは平成13年のパートタイム労働者実態調査を以前特別集計したもので、これで今、平成18年の調査というのもございますのでそれの作業はしておりますけれども、こういった形で時間と年収のマトリックスをお示しできないか準備を進めております。平成13年のときはこういうことで、20時間と30時間の間に35%ぐらいの方がおられます。その年収は90万~110万円ぐらいのところに多いというようなことを以前示したことはございますということです。
18ページは、これも統計の制約で15~29時間ということになりますけれども、どういう業種に多いかというと、卸売業、小売業ですとか、宿泊業、飲食、サービス業、医療、福祉といった業種に多いということですとか、その業種の中の雇用者全体にそういう時間帯の人が多いのはどうかというのが最後のページで、そうすると、宿泊業、飲食業、サービス業においては3割ぐらいがそういった時間の方が占めているという形で最も多い。2番目は小売業というような形になっているということで、これらに限らずもっと様々な資料をという求めがありましたので準備、努力をしていきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。前回第1回目に、想定される主な論点ということで皆様から御意見を承ったわけですけれども、1つは論点の中で特に年金につきましては過去の御経験がありますので、ある程度論点は絞られているわけだったのですが、医療保険の方は新しい課題だということなので、もう少しその辺を詳しくという御要望があったということで、事務局はそういう意味で医療保険の方についての論点を新たに説明したということと、具体的な議論をする上での数値データが必要ではないかということで、そのうち現在用意できるものについてデータを出していただいたというのが今の状況でございます。
ただいま報告された内容あるいは想定される主な論点の中に入っていることそのものでも結構でございますけれども、御質問、御意見ございますか。論点はいろいろ絞られますけれども、今の段階ではまず全体、どこの議論をしてもいいと考えますので、余りカテゴリーで分けずに御意見を承りたいと思いますが、どなたでも結構でございます。
霜鳥委員、どうぞ。
○霜鳥委員 健保連の霜鳥でございます。今回資料を提出していまして、ポイントだけ説明させていただきます。
資料4、これは研究会ということでこのようにまとめたのですが、ポイントだけ申し上げますと、まず3ページ目「5.適用拡大による健康保険制度への影響」ということで、私どもが集計したところ、約477万人ということでございました。
先程の数字を聞きますと、10年前の平成13年の数字を基本に使っているのは、今の時期本当にいいのか。私どもはなかったので平成18年の数字を使っているんですけれども、リーマンショック後の影響あるいは私どもの調査は去年の調査でございますので、震災後はどうなっているかわからないということがございますので、きちんとした調査をやっていただきたいということがございます。
5の一番下のマルですが、それに基づいての推計を見ますと、下から3行目、健康保険制度全体では約2,460億円のマイナス。これは支援金等のいわゆる拠出金が増えるためにこのくらいの増加が出る。私どもとしては、高齢者医療制度の見直しがどうなるかということもあるのでございますが、今のを前提にするとこれだけの負担となります。6番にそれぞれの業態別のことを書いてございまして、小売業が179万人で4割近く。次いで飲食、宿泊業ということで、一定の業種に非常に負担が強まるということがわかったわけでございます。
4ページ目、7番、被用者保険の適用になりますので、特に労使折半の原則によりますと事業主がその中でも約2,830億円の増加ということになっておりまして、企業アンケート調査でも6割の企業が適用拡大に反対となっています。ただ、このときはまだ震災がないときでございますので、今の状況はもっと厳しいのかなという感じがしております。
5ページ目、今後の課題等を2つだけ申し上げますと、マルの2つ目でございます。先程言ったような拠出金額等の計算方法で影響を受けますのが、女性のパートタイム労働者が多い小売業や外食産業、こういう場合には非常に負担が大きくなりますので存続が困難な健保組合が多数発生することが推測されるというところでございます。
一番最後、非常に短期の場合、手続きの数が増えるということが予想されますので、業務負担あるいは制度を前提にしている常用雇用というのをどこまできちんとした形でやるのか。私どもの健保組合の設立の認可は、700人あるいは3,000人という1つの保険集団と言いますか基本の人数で決まっております。これは、やはりある程度一定の保険集団としてそれが常態化するというのを前提にした仕組みでございますので、余り移動が激しいことになると、制度の安定性が欠けるのではないかという疑問を持っております。
こういうことで、一応の調査、研究を私どもの立場で出したものでございます。厚生労働省にも当局としてどういう数字で計算したのかこの前要望いたしたところでございますが、是非きちんとした数字を出していただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。健保組合として独自にされた調査あるいはシミュレーションについての概要を御説明されたわけです。今の御説明も含めまして御意見、御質問はございますか。
それでは、齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 今、霜鳥委員の方からいろいろな資料が出ましたけれども、まず、一体改革の成案では医療・介護に関する項目では、保険者機能の強化を通じてセーフティネット機能の強化を図るということで、被用者保険の適用拡大と市町村国保の財政基盤の強化がセットで挙げられております。
今回、先程の資料にもありましたように、国保加入者の3割は被用者でありまして、そうした方々は、本来、定義では被用者保険に加入するのが基本的に筋だろうと思いますが、国保の側から言うと、この層というのは比較的所得が高く、余り病気をしない層であると言えると思います。きちんと議論しようとすると実際の財政的な影響を踏まえないとなかなか議論が具体化しませんので、そういう点で、今、霜鳥委員から財政影響の試算が出ましたが、厚労省から市町村国保を含めた制度毎の財政影響の試算をきちんと出していただきたいと思います。こういうことをしないと具体的な議論になかなかいけないだろうと思います。
同時に、国保の保険者でも、これは都市部と農村部では所得の分布状況は全然違いまして、同じ国保でも実は影響が違うということが想定されますから、そういうことも踏まえていただきたいと思います。
実際、私は医療保険部会にも出ておりますが、医療保険部会では高額療養制度の見直しと受診時の定額負担の導入がセットで提案されております。この間議論したばかりでありますけれども、この医療保険部会との連携をきちんとやっていただかないと、国保は最終的なセーフティネットだという観点からいけば、国保の強化をどのように実現していくのかということまできちんと示していただかないと、バラバラでは、結局全体として国保の財政基盤強化にならず、最後のセーフティネットの役割を果たすことができなくなるのではないかと危惧しております。ですから、この辺りを是非議論するようにしていただきたい。
先走るわけですけれども、一体改革の成案では医療介護の部分には被扶養配偶者の適用に関しては全然記載されておりません。年金の部分で第3号被保険者の見直しとありますので、ここで議論されていると思いますけれども、これは先程出たように、従来、所得水準の伸びに応じて金額を改定してきた経緯があります。下がったから下げるという議論も成り立つかもしれませんけれども、どうも余りピンときません。短時間労働者への適用拡大とは議論を離さないと、このことは逆に言えば、後期高齢者医療制度をやったときに混乱したようなことが起こり得るのではないかというような感じがいたします。
以上です。
○遠藤部会長 幾つかの論点をおっしゃられたわけでありますが、制度毎の財政影響については前回事務局としても対応するというお話であったわけで、多分時間的に今回間に合わなかったということだけだと思いますので、それは粛々とやっていただくということになるかと思います。
医療保険部会との関係についても前回少し出ましたけれども、勿論、連携をとりながらやるということになると思いますが、ただ、このテーマに関しては、主たる議論はこの特別部会が中心になると理解しております。全く同ウェートでやってしまいますと、意見が一致しない場合どうするんだということになりますので、幸いにして私は医療保険部会の部会長でもありますので、その辺は調整しようかなと思っております。
その他、もう少し幅広い議論をしなければいけないと総合的な視点からということもおっしゃられましたので、より具体的なところをもし事務局が議論として整理できるようなことがあれば少ししていただきたいと思いますが、物によっては医療保険部会マターになりますので、そちらの方で議論するということになるかと思います。
では、事務局、対応できる点についてはひとつよろしくお願いいたします。他にございますか。
貝谷委員、どうぞ。
○貝谷委員 同じようなお願いになりますが1つございます。部会長からもお話がございましたように、まだ出されていない財政試算についてです。
その財政試算の前に、前回もお願いしたのですが、各制度がどういう適用関係になっていくのかということについて、やはり我々は個別の保険者の関心というよりは医療保険全体を考えたときに、それが一体、公平・公正なのか、そういう異動関係を持った方がよりいいのか、そういうことを見ながら考えていく必要があるのだろうと思います。
そういう意味で当然財政試算を行う際には適用関係の異動というのは前提になりますのでセットでされると思いますが、是非適用関係がどう変わっていくのかということを今の被用者の方々の実態と合わせて御説明いただきたいと思います。それは恐らく複数のシミュレーションということになると思いますけれども、是非そこはお願いしたいというのが1点目でございます。
もう一つ付け加えさせていただくならば、これも前回お話ししましたし、今日、論点の中で医療保険の固有の議論として130万円認定基準の話を入れていただきました。大変ありがとうございます。医療保険者としてはこの問題は大きく影響してくると思いますので、ここの論点にも整理されておりますけれども、恐らく今までの経緯なり考え方から離れるということをしないと、年金サイドでいろいろお考えのような基準を下げていくということにはならないだろうと思います。年金としての要請は勿論あるのですけれども、医療保険としてどういう考え方があるのか、そしてその考え方が加入者あるいは国民に対してわかりやすいものであるかどうかということも検証しながら議論していきたいと思いますので、是非その点の整理を次回以降お願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。事務局へのお願いというような側面が強いかと思いますけれども、特にシミュレーションをする過程において適用関係の変化といったようなものについても、当然計算する過程ではやっているわけですけれども、そこのところがはっきりわかるようにしてほしいということと、あと130万円を今回も少し触れているわけですけれども、もう少し考え方を整理して原案でも出していただければというお話だったと理解いたします。
他にございますか。では、中島委員、どうぞ。
○中島委員 適切な資料を提供いただきましてありがとうございます。私からも幾つか意見と感想を申し上げたいと思います。
1つは財政試算の話ですけれども、結果としての財政影響の話と、制度や仕組みの公平性の問題とは少し分けて議論しないと、議論の順番が逆になるような気がいたします。特に公平性という観点で、前回も少し触れさせていただきましたけれども、現在の例えば医療保険制度で言えば、医療保険制度間の構造的な矛盾というのがあると思います。そこをまずどう考えるかということをはっきりすることです。
やはりライフスタイルによっての矛盾も医療保険の場合にも出てきておりますし、なおかつそれに働き方が加わっているということで、当事者にしますと非常に複雑な不公平感があるというのが実態でございます。ですから、少しそこの考え方を制度間の在り方も含めて対比できるような資料をつくっていただけるとありがたいと思っております。
1つ質問も含めてですけれども、先程、保険者の負担増というところで、適用対象を拡大することによって増加する保険者の負担をどう考えるかという視点が示されましたけれども、これはダイレクトに保険者負担ということと本当に言えるのかどうかというところがよくわからないのです。
具体的に言いますと、いわゆる非正社員の方を入れるといった場合に、今まで被扶養に入っている方がシフトするということが想定されますから、シミュレーションをするときに必ずしも全く新しい適用対象者がそこに生まれるということではなくて、むしろ今まで被扶養に入っていた方がシフトするという考え方もできるのではないかと思います。
したがいまして、そういうところの想定がどんなふうに前提を置けるのかというか、考え方なども含めて今後少し検討できる資料をいただけるとありがたいと思います。直感的に私たちが考えますと、現在、結果的に被扶養という立場を選択しながら働いていらっしゃる方が、被用者になるということですから、むしろたとえわずかでも自ら負担する方が増えるということで、給付の方を別にすればそんなに大きな変化が本当に出るのだろうかというのが疑問としてございます。その辺りも何かエビデンスがあればと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。もし事務局、ただいまの御要望について、テクニカルなところもありますので、何かコメントがあればお聞きしますが、どうぞ。
○西辻保険課長 保険課長でございます。最後の中島委員からの御質問でございますけれども、またこれは今後具体的な試算を出す中でご説明することになるのかと思っております。
被扶養者の方、今まで保険料を負担していない方がこれから適用されて保険料を負担するということになるので、当然その分保険料の収入が増えるというのはそうだと思うんですが、問題は保険者毎にパート労働者の方がたくさんいるところといないところというのがありますので、個々の保険者ベースで見たときには、今まで別な保険者の被扶養者だった方が、パート労働者をたくさん抱える事業所で構成する保険者の今度は被保険者になるということで、保険者単位で見たときの影響というものが出てくるのではないかと見ております。いずれにしてもそれはまた試算をお示しする中で御説明させていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
では、関連ということで、久保田委員、少しお待ちください。
○佐藤部会長代理 42ページを見ていただくと、被扶養からの移動も含めて推計はしているので、健保組合全体の話と、国保から来る部分と被扶養の方から被保険者になる部分も一応移動は計算して推計したものです。
ですから、健保組合全体での議論と、今度は一個一個の健保組合の影響はまた違うわけですね。プラスになるところもあればすごくマイナスの影響を受けてしまうところもある。全体の影響と個々の健保組合毎の推計は両方やっている。ですから、その辺りも厚生労働省で考慮してやっていただけるのではないかなと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、久保田委員、お待たせいたしました。
○久保田委員 ありがとうございます。先程事務局の方から資料2でいろいろ御説明いただきまして、例えば2ページのところでも市町村国保の世帯主の職業別構成割合について出ていますけれども、もう少し短時間労働者の属性についてきめ細かく分類した資料を是非出していただきたいということで、前回の法改正の議論のときにも適用拡大の対象となる310万人の労働者の属性について具体的に内容が示されていたのですけれども、今回もそのような資料を是非出していただきたい。特に我々の観点からしますと、独身のフリーターとか、あるいは母子家庭の母、現行制度で比較的セーフティネットの薄い部分の人たちがどの程度存在するのかというところを非常に関心を持っていますので、そのようなことの実態を把握するということが必要ではないかと思います。
2点目でございますけれども、セーフティネットをきちんと張っていくということ、公平性というようなことを理念に今回制度改正をしようとしているわけですが、経済実態というか、特に産業あるいは業種の実態をよく把握して進めていただかないと、理念を持って意図した政策と実際の効果が逆方向にいく可能性がある。私どもも、いろいろヒアリングを始めていますけれども、逆に雇用を削減する方向に行ってしまうということもあり得るということで、この辺りもきめ細かく慎重に検討していただきと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。そのようなことは議論すべき論点の中にも含まれている話でありますので、その議論ができるような、可能な限り丁寧なデータがあればいただきたいということでありますので、ひとつよろしくお願いいたします。
他にございますか。加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 論点の2番目のパート労働者への雇用の影響をどのように配慮するかは少し気になっておりまして、特にパート労働者が保険料の負担を避けるために新たな基準以下の就労、ここでは20時間ですけれども、移行するのではないかというところがパート労働者の立場として非常に気になると思います。ですから、ここで実際どれぐらいの人数の方が何時間ぐらい移行する可能性があるのかといったような試算を出してもらえないのかなと思っております。
資料2の15ページでお示しいただいたように、第3号被保険者から第2号被保険者に行く方はかなり負担が増えてくるというようなことになっておりますので、こういったような状況で自ら時間を制約するということも考えられますし、16ページで実際に400万人の中で3号の方が45%、180万人を占めるというような非常に大きな数字になっていますので、どれぐらいの影響が出るのかというのを予め定量的に把握しておく必要があるのかなと思いますので、是非御検討いただければと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。具体的にそれがどこまで精度を高くできるかどうかというところは、また少し検討する必要があるかと思いますけれども、そういう御要望があるということで、事務局、何か御意見ございますか。よろしゅうございますか。では、そういうようなことで、できるだけ御対応いただければと思いますので、よろしくお願いします。
どうぞ。
○佐藤部会長代理 後で事務局からそういう既存調査の報告をしていただいて、今、配っているものの74ページを見ていただくと、これは1つの例です。健康保険ですけれども、20時間まで適用拡大したときにあなたはどうしますかというのを74ページは聞いていて、確かに短くする人もいるのですけれども、それほど多くはない。まだわかりませんけれども、一定の条件で質問すると、今の時間を変えない、増やしたいという人は結構いて、健康保険の適用状況別に時間が20時間になったときにどうするかということを個人に聞いたのですけれども、短くする人もいますがそんなに多くない。他の調査でも意外にそれは出ている。これはまた後で議論していただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 そこのところはいろいろな意見があることは承知しておりますので、実際に時給換算で考えて、下げた方が実際に定量的に金額面でどれぐらい収入を下げても負担増と見合うのかといったような観点だけで試算をいただければいいのではないかと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 基本的なことですけれども、昭和40年から時系列的な変化が資料2で提示されていますが、誰がパートタイマーかを見るために、ここでの被用者カテゴリーを取り出して、パートタイム割合や無業者割合を見ることは難しくありません。既に提出いただいているデータで若干加工していただけますと、また少し見えてくるのではないかと思います。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○浜谷国民健康保険課長 即答できませんので、持ち帰って検討させていただきます。
○遠藤部会長 御検討いただければと思います。大体よろしゅうございますか。
佐藤参考人、どうぞ。
○佐藤参考人 坪田委員の代理の日本商工会議所の佐藤です。質問と意見が合わせて3点ございます。
まず1点目でございますが、資料1の論点の中の一番上でございます。例えば雇用保険並びまで拡大ということで御説明をいただいた部分でございます。これまでこの短時間労働の方の適用範囲について、経緯としては雇用保険との整合性というのは取られてこなかったということでございますが、今回雇用保険と関連付けられている理由、あるいは背景について教えていただければというのが第1点でございます。
2点目はそのすぐ下、2つ目のポツでございますけれども、雇用保険では要件を31日以上の雇用見込みとしているがどう考えるかということで、ここについては雇用保険と同じように31日以上にするという考え方もあるのかと思いますが、そういうことについては慎重に議論をしていただきたい、慎重に考えたいと思っております。
厚生年金の被保険者の最低加入期間が1年であることですとか、あるいは医療保険の場合、被扶養者の方がいらっしゃいますので、その分、事務手続が大変になるという側面もあると思います。そういった理由からです。
最後、3点目でございますけれども、資料1と資料2の5ページ以降に関わりますけれども、標準報酬月額の下限の引き下げの話についてであります。こちらについては、7ページのところで御説明もいただいた話でございますけれども、引き下げをした場合に、国民年金保険料よりも低い保険料の負担をした方が、より多くの年金を受け取るという逆転した現象が生じますので、こういった制度設計が可能なのかどうか、国民の理解、合意形成が得られるのかどうかといった観点からの議論が必要だと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。論点についての御意見といいましょうか、御主張といったことだったと思いますので、今後その種の議論は幾らでも出てくると思いますので、承りました。
他にございますか。杉山委員、どうぞ。
○杉山委員 今回、資料3ということでお付けしている部分というのは、特に説明等はこれからですね。
○遠藤部会長 これはこれからということですね。それでは、論点につきましては、今後ずっと継続的に議論していくという話になりますので、新たな宿題も出ましたので、事務局の方で御対応をよろしくお願いします。
それでは、ただいま御指摘がありました「適用拡大に関する考え方」ということで資料が出ております。これはそもそも論、適用拡大する理由は何なのか、説明責任があるのだからもう少しはっきりするべきだというようなお話、何人かの委員からも御指摘が出ましたので、それに対する宿題返しのようなものでございますので、御説明をお願いいたします。
○梶尾年金課長 それでは、資料3につきまして、この資料をつくりました趣旨は、今、部会長からお話がありましたように、前回そのようなをしっかり整理することが必要ということで、事務局としても素材として用意させていただいたところでございます。
1ページ目は、適用拡大が必要な考え方が3つあるのではないかということで整理いたしました。1つは、被用者には、被用者にふさわしい年金・医療保険を確保すべきではないかということ。2つ目は、社会保険制度における、働かない方が有利になるような壁というのを除去して、就労促進型、少なくとも中立なものに転換していくということが必要なのではないか。3つ目は、企業の社会保険料負担を業種ですとか雇用形態によって異ならない公平なものとすべきではないかというようなこと。こういった3つの考え方が挙げられるのではないかと整理いたしました。以下、それぞれについて資料等を付けております。
2ページ目は、被用者には、被用者にふさわしい年金・医療保険を確保すべきではないかということに関してですが、グラフを4つ付けております。左上から非正規労働者が雇用者全体に占める割合は特に若年世代を中心に増えて高まっておりまして、その右のグラフですけれども、一般労働者とパート労働者の1時間当たりの所定内給与額を見ますと、差が出てきているということであります。
左下で、最近母子世帯というのが増えてきているわけですけれども、右下にありますように、母子世帯になる前には働いていなかった母が、今、母子世帯になってからどういう働き方をしているかというと、51.6%が臨時・パートで、常用雇用は37%というような状況です。一度退職した女性が正規労働に就くことは困難であり、多くが臨時・パートといった非正規労働に従事しているというような現状があるということです。
3ページ目は、こうした非正規労働者というのは厚生年金、健康保険に入っていなくて、被扶養配偶者でなければ、国民年金、国民健康保険に加入ということで、これまでの資料にお示ししましたように、国民年金の第1号被保険者の39.4%、国民健康保険の被保険者の32%余りを被用者が占めている状況になっているということです。
特に年金に関して言うと、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めて将来の給付が基礎年金だけというのは、一般労働者に比べて賃金が低い非正規労働者にとっては負担が重いということで、グラフが2つありますが、一番左が総数で真ん中辺りに常用雇用、臨時・パートという被用者がありますけれども、総数よりも常用雇用、臨時・パートといった被用者の方々で滞納者が多く完納者、全部納めている方の割合が少ない。こういった方々が若い世帯に多いというのが右のグラフです。
この結果、下のマルにありますように、パート労働者として就労している若年者のうち、多くのものが将来無年金あるいは低年金になることが懸念されるということで、被用者というのは老後には稼得能力を喪失するということで、基礎年金だけではなくてそれに替え得るような年金というのが用意されているわけですけれども、そういったパート労働者の老後の所得保障を確実にしていくためには、できる限り所得比例型で事業主負担も入って将来の給付が手厚くなる厚生年金の対象にしていくべきだろうということです。
4ページ目は、これまで年金の話をしてきましたけれども、医療保険の面で見ても、被用者保険においては傷病手当金や出産手当金という現金給付が働けなくなったときにあるわけですが、市町村国保は任意給付可能ではありますけれども、行っているところはないということですし、被用者保険には、本人が育児休業等を取得している場合の保険料の免除措置があるということで地域保険にはない給付だとか負担面の配慮が乗せられているということですから、被用者は被用者保険でカバーされることが望ましいということが言えるということでございます。
5ページ目は、2つ目の考え方で、働かない方が有利であるような壁を除去して、就労促進型にという、少なくとも中立なものにということです。5ページのグラフは前回も示しましたが、パート労働者の中には、130万円という基準を意識して就業時間を調整している者が平成22年で言うと25%いる。また、調整していない者が66%で3分の2おられますけれども、調整しているという方が25%いて、その際には103万円であるとか130万円といったところを意識はされているというようなことです。
6ページ目は、就業調整というのをどう考えるかなのですが、こういった就業調整の発生については、女性を中心としたパート労働者の能力の発揮を妨げた結果として、人口減少社会において貴重な労働力である女性の社会進出の阻害といった批判がございます。
左上、企業がパート労働者の職業訓練を行い、訓練を受けた労働者がレベルの高い仕事に配置されて処遇が改善されていくという矢印があるのですが、就業調整を行うということから言うと、労働者の方で労働時間を短縮するということですから、企業としても訓練をやりにくい、活用が難しいということで就業の改善がためらわれ、職業能力の向上が妨げられるというようなことになってしまうということです。
6ページ目の下にありますのは、現在の就業者数というのが労働市場の参入が進まないと減っていくわけですので、就業率を高めるという目標を置いているわけでございます。このようなことを実現するために、80%の就業率というのを達成していくという中には、右側の下に4つ箱がありますけれども、25~44歳女性のところで見ますと、2009年に66%の就業率を73%に上げていくということで考え方を示しているわけですが、このようなことが実現されていくような社会にしていく必要があるということになります。
7ページ目は、先程加藤委員からの質問があり、佐藤代理からも補足がございましたけれども、それに関連する資料の1つですが、パート労働者が厚生年金の適用ということについてどう意識があるか、また実際になった場合にどういうふうに行動するかということについての調査の1つです。
左側にありますのは、厚生年金に加入したいかどうかという率直な質問で、4つグラフがありますが、実際、今厚生年金に入っている方で言えば8割が引き続き加入したい。国民年金に入っている方だと約6割が厚生年金に加入をしたい。ただ、配偶者が加入している年金の被扶養配偶者になっている方だと4割が加入したいで、加入したくないが6割という形になっています。
一方で、適用拡大され20時間になるとなった場合にどうしますかというのが右のグラフです。そうしますと、一番上の主婦の欄で言いますと、それだったら働く時間を減らすという方が2割で、手取り収入が確保できる程度に時間を増やすという方が24%、大幅に時間を増やすとか現在と働く時間は変えないといった、特にそんなに調整する気はないというのが8%+28%で36%というようなことが主婦です。一般ですと、一番左が小さくて真ん中の方が大きくなっているというような調査もございます。
このような適用拡大があった場合、様々な方がおられて就業調整を更に行う人もいるとは思いますが、適用拡大というのを望むパート労働者ですとか、適用拡大が行われるのだったら労働時間を増やすといった方は適用拡大による処遇改善を受けて、より長い時間、長い期間に渡り企業活動に貢献するというようなことが考えられるのではないかということです。
もし適用要件が変われば、事業主側がパート労働者の就業時間を調整するという可能性の指摘も一応あるわけですが、これは企業サイドの意識調査、右に参考で付けております、以前雇用と年金に関する研究会でのヒアリングでもそうですし、今日配布しております健保連の調査の後ろの方に意識調査の自由回答もございますが、そういったものを見てもコスト増というのもありますから、限定的なものになるのではないかということも考えられるということでございます。
8ページ目は、被扶養配偶者の認定基準について、もし収入制限をする必要が無くなったらどうしたいかというと、時間を増やしたいという方が4割、44%ということも調査としてはございますし、右に付けていますのは、OECDからもこういったところは改善が必要だと、改革を行うべきだという勧告がなされているということもここで紹介させていただきたいと思います。
9ページ目は、最後に考え方の3として、企業の負担ということに関して、特に業種や雇用形態によって異ならない公平なものとすべきではないかということで、事業主がなぜパート労働者を雇用するのかということを調査しますと、右の方にありますけれども、社会保険料負担というのが軽くなるということも実際挙がっているわけですけれども、そうしますと、パート労働者を雇用する業種の事業主というのは、フルタイムを中心に雇用する業種に比べて社会保険料の負担が軽くて、人件費が相対的に低く抑えられているというようなことで、どういう業種かというのは左側に先ほどと同じグラフを付けております。
10ページ目は、「4分の3要件」があることで、社会保険の適用を受けないパート労働者がいることで、業種間でパート労働者の雇用率に大きな差があるという中で、企業・産業間での競争に対する非中立的な側面が生じているのではないか。ここをより公平な負担の実現を目指す必要があるのではないかということが言えるのではないかと考えております。
一方で、企業の保険料負担の増大に関しては、適用拡大というのは企業にとって必ずしも悪影響だけを及ぼすものではないのではないかということで整理しておりますが、まず短期的な話で言うと、総合的に見れば、必ずしも企業にとって悪影響になるとは限らないのではないかということで、平成19年3月のパート労働者のWGの報告書の中で、適用拡大に伴う課題で「(2)企業経営への影響」というところの記載を抜粋しております。
事業主団体からはこういった意見があるということを踏まえた上で、短期的には確かに保険料負担分のコスト増が生じますが、反対に適用拡大によって就業調整のための時間管理のコストですとか、パート労働者と正社員の間の軋轢など、これまで事業主が目に見えない形で負担してきたコストが減少することから、短期的には事業主にとってコストの増加と減少の両面があるということ、また同じ業種について等しく適用されるのであれば、特定の事業主だけが競争上不利ということではないのではないかということをWGの報告でまとめておりました。
以上が短期的な課題で、中長期的な課題についても11ページ目に整理しております。中長期的に見たときに、様々ありますけれども、例えば企業の労働生産性を向上させるという可能性もあるのではないか。現在、正社員に比べて職業訓練ですとか教育は重視していないわけですけれども、その要因の1つとして、企業への貢献が短期間となるという恐れから、企業側が職業訓練・教育に対して積極的ではないということが考えられるということです。
適用拡大によって処遇が総合的に改善されるということを通じて、長期間、長時間にわたり企業活動に貢献するというパート労働者が増えれば、企業側の就業訓練、教育へもより積極的になって、労働生産性の向上に通じて企業の競争力も向上する可能性が考えられるということで、一番下のところに現状でパート労働者に社会保険を適用しないというサイクルで就業調整が発生し、教育がなかなかなされないということでの社会全体の人材活用が非効率になっているというものを、適用拡大することによって、より社会全体の人材が有効活用できていくようなサイクルに変えていくということが必要なのではないかということをここでは整理いたしました。
適用拡大に関する考え方は何のためなのかということについての議論の素材として準備をさせていただいた資料の御説明でございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ただいまこのような考え方で適用拡大するべきではないかというような事務局案が出たわけでありますけれども、いかがでございましょうか。先程、中島委員がおっしゃられた公平性の問題なども考え方3というところで述べられているということでありますが、公平性はこの問題を考える上で大変重要な課題であって、3番目に出すのがいいのかどうか、むしろ1番ではないかという議論があるかもしれませんが、いずれにしましても、このようなコンセプトで適用拡大を考えていく。御意見、御質問いかがでございましょうか。
それでは、瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 以前にも適用拡大について議論されたということで前回お聞きしているんですけれども、この適用拡大に対する考え方1、2、3とございますが、これはその時からの視点として取られているものなのかどうかということを確認したいんです。
○遠藤部会長 以前というのは、この当特別部会の第1回目という意味合いですか。
○瀬戸委員 平成19年であるとか。
○遠藤部会長 年金をやったときの話ということですね。わかりました。その辺はどのような状態だったのでしょうか。では、お願いいたします。
○梶尾年金課長 1、2、3というような形で整理したものはございませんけれども、パート労働者の適用拡大、WGでの問題意識にせよ、あるいは成案においてこの問題が必要だということの意識としてあるのを左右するとこういうことなのではないかということを今回こういう形では初めて整理している。ただ、ベースとして初めて考え方を出したということではなくて、1、2、3という整理の仕方はしていなかったということで御理解いただければと思います。
○遠藤部会長 瀬戸委員、よろしいでしょうか。
他に何か御意見、御質問はございますか。白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 個人的にはこの3つの考え方そのものについて異議を申し立てるつもりはありませんが、説明理由としては少々後付け的な感じを持ちまして、正直、なかなか納得できないところがあります。制度改革というところで公平性の問題が大切だと部会長もおっしゃいまして、私もそれは勿論大切な問題だと思います。ただ、現実問題として働き方そのものがそもそも公平でない、という根深い問題があります。
働き方そのものの公平性を実現するところまでを見越した適用拡大をやるつもりなのか。あるいは、労働者、被用者全体の立場を中立的にとらえるかという、非常にある意味では単純化したようなモデルの中で今回の制度改革を進めようとしているかは、やはり考えておくべきかなと思います。そこで、私はもう少し現実的な理由付けがあってもよいのではないかと思うのです。適用拡大にあっては、財源の問題は避けて通れません。事実、社会保障と税の一体改革の中で何が最終的な落とし所かというと、やはり財源が限られているというところではないでしょうか。それなのにもかかわらず、労働者としての公平性のところだけで、適用拡大の理由付けを求めるのは無理があるのではないかと思うのです。
ですから、そういう意味では中立とか公平性というのをこの時点で出すことの是非というのは、少し考えておいた方がよくて、そうでないと、結局、短時間労働者のみなさんになかなか納得してもらえないということがあるのではないかという気がいたしました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。要するに、少しきれいな文章が並び過ぎていると。もう少し現実的な要請といったものが多分あるだろうから、それをきちんと出した方がいいのではないかという御意見だと理解させていただきます。
それに関連しても結構でございますし、そうでなくても結構でございますけれども、御意見ございますか。
それでは、霜鳥委員、どうぞ。
○霜鳥委員 今の資料の10ページ目に年金部会の報告書があるんですが、医療の面から申し上げますと、平成20年4月から高齢者医療制度ができて状況が少し変わっているんです。それが医療については非常に大きな違った面があると理解しておりますので、その辺は趣旨を議論していただければと思います。
○遠藤部会長 高齢者医療制度ができたことによって、ここで議論されている内容と少し状況が違うというようなお話だったように理解しますけれども、例えばどういう視点でしょうか。考えを共有する意味でお教えください。
○霜鳥委員 例えば今ここで言うと、企業経営には余り影響がないということだったのですけれども、実際先程も我々の試算も含めて拠出金の持ち方が頭数できますので、標準報酬が低いところは非常にいいですけれども、その負担がいってしまうわけです。そういう制度が20年4月から出てきてしまった。そういう中で、この制度を拡大してしまうと、そういうところに非常に影響を与えて、そこの企業の負担増を含めてきれいごとでは済まなくなっている、違ってきているというのが今の状況ではないかと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
そういう御意見であったわけですけれども、他にございますか。杉山委員、どうぞ。
○杉山委員 一巡目の議論ということもございます。年金制度の原則論及び改革の方向性について意見を述べさせていただきたいと思います。今、資料3ということでお出しいただきましたけれども、まず雇用労働者には基本的には定年退職がありまして、高齢期における稼動所得が見込めません。一方で、自営業者は定年がなく、資産を活用しながら生活ができます。こうした違いが国民年金と厚生年金の制度の原点であり、そこに立ち返り議論を行うことが必要だと考えます。
資料3の2ページの左上に表が出ております。非正規労働者が雇用者全体の占める割合を示したグラフがあります。これを見ますと、平成7年辺りから非正規の若年世代の割合が急激に増えているのがわかります。働き方の多様性という指摘もありますが、この時期に高校や大学を卒業した世代は、正規社員になりたくてもなれず、仕方なく非正規になった人がほとんどであります。
更に資料にも記載されていますけれども、こうして非正規で働かざるを得なかった人たちは、正規労働者へと転換できていないのであります。非正規労働者が長い間厚生年金に加入できずに国民年金だけであれば、やがて高齢期において生活が困窮する可能性は高く、ましてや国民年金保険料を納付できていない非正規労働者は基礎年金すら満足に受け取ることができないことになります。
負担が増える、増えないといった論点も必要ですけれども、そもそも厚生年金、国民年金の制度をつくったときの原点を振り返りつつ、経済、社会情勢なり労働情勢の変化に対応した制度へと変革する必要があると考えます。
制度を守って国民守らずでは、社会保障制度は誰のためにあるのか、非正規労働者への社会保険適用は国民のための社会保障制度とする原点回帰への改革の1つだと考えます。
またもう一点、前回の会合の中で、企業が人件費抑制のために正規雇用社員から非正規へのシフトを図ったことにより、パート労働者の業務量は拡大し、業務の役割は高まっている。つまり、職場における役割も確実に変わってきているということを申し上げました。私ども連合が2010年6月にパート派遣等の労働者に対して行った生活アンケートでは、非正規で働く本人の収入が世帯収入の半分以上を占めていると答えた人の割合は4割強となりました。これは家計の主たる担い手が非正規労働者であることを意味しています。
家計では主たる担い手として、一方、職場では基幹的な業務に従事している非正規労働者が年々増える中、その多くが安定した雇用と適正な能力評価に基づいた処遇を求めています。
資料3の11ページの下段に、悪循環から好循環へという資料が付いております。これまでの議論におきましては、企業の負担増や非正規労働者自身が社会保険の適用を望んでいないとのことが取り上げられていたようですけれども、社会保障の一体改革の必要性とともに、この資料にある好循環な社会にするといった前向きなメッセージを発信していくことがこの議論においては必要だと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御主張は非常によく理解できます。ここの3つほど出ている考え方についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
○杉山委員 改めてこの考え方で、今の時点ではよろしいのではないかなと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
他にどなたか御意見ございますか。久保田委員、どうぞ。
○久保田委員 先程の論点に絡むのですけれども、ここでの考え方は非正規より正規の方がいい、保険も国民健康保険あるいは年金も国民年金より被用者保険の年金がいいという理念的な考え方だと思うんですが、我々としては雇用のところはフレキシブルにして、本当に必要なセーフティネットのところをきちんと張っていくという考え方からすると、ここはやや理想的というか、理念先行のような感じがするんです。
もう一つ、セーフティネットの張り方についても、やはり企業負担というのは国際的に競争していますので、これはまた雇用に直接関係してきますし、セーフティネットの張り方の負担のところも保険でやるのか税でやるのか、税でやるとしたらどういう税でやるのかという全体的な議論の中でやらないと、経済実態を無視して理念先行でつくった制度は逆方向の結果を招く、逆に雇用が減っていくようなことになりかねないという懸念を私もしております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。当然こういう議論になるかと思いますので、杉山委員が御発言されたので久保田委員も発言されたという関係だと思います。
他にございますか。平田委員、どうぞ。
○平田委員 平田と申します。今回の資料の例えば7ページとか8ページに、パートタイマー白書というところから引用があるかと思いますが、これを実施した者でございます。これはパートさんに実際に聞いている調査ですけれども、これを見るときに少し注意が必要かなと思っています。と言いますのは、自由回答の回答状況を見ていると、例えば就労調整であるとか、103万円の枠、130万円の枠というものを余り理解しないで回答しているのではないかなと思われることが多いので、注意をしながら見なければいけないという思いを持っております。
また、今回、適用拡大になる短時間労働者ですけれども、今までの意見の中にもありましたが、3分類ぐらいにして考えた方がいいのかなと思っています。大きくは2分類なのですが、1つは、フリーターであったりですとか母子家庭の母であるというような、その人自身が家庭あるいは自分の生活を支えている人。もう1つは、いわゆる被扶養者というところで、主婦の方というところなのですが、その主婦の方の中でも、実際に私は、主婦パートのインタビューを非常にたくさん行っているのですが、いろいろだなと思っています。
そのいろいろだと言うと終わってしまうので、それを2つに分けますと、本当に結構逼迫をしていて、朝から晩まで座ることもなく一杯々働いて、でも100万円に至らないというような感じで家計を支えている人。今こういう状態にあっても、これは高齢の方に多いですけれども、割に裕福な人というのがあって、その差がどこにあるかというと、これはアンケートでも出ているのですけれども、やはりお子さんを育てている世代かどうかということが大きく影響しているようです。
これは、ここだけではなくて税金とか全体の中でのことになると思うのですけれども、そこの本当に困窮しているところを支えるような形で130万円の枠であるとか、いろいろなことを考えていければいいなと思いました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。他にございますか。
それでは、瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 先程霜鳥委員の方から、高齢者医療の拠出というようなお話が出たかと思いますけれども、それの関連です。
多くの中小企業は、協会けんぽに加入していますが、先程の話のように被扶養者から被保険者になれば、勿論、保険料収入としては増加することではあるのですけれども、やはり医療費が増加したり、高齢者医療の拠出は更に加入者割等でやっているのですが、ここら辺が非常に協会けんぽを例にとれば、財政的にも逼迫した形になってくる。国の方から補助金を得ていますけれども、それでも今の中で十分な補助金ではないというようなことで、ひいては前回も発言させていただきましたが、ここ2年連続して保険料が上がって、事業主の負担も増えているし、従業員の方の負担も増えているというような状況があるわけでございます。
そのようなことで、必ずしもセーフティネットとして完璧なものかということになると、若干そこら辺が非常に懸念されると思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
他に御意見ございますか。中島委員、どうぞ。
○中島委員 私から幾つか意見を申し上げたいと思います。
考え方の3つの点については基本的に妥当ではないかと思います。その際に、やはり働かない方が結果的に有利になるような壁を取り払うというのは、公平により多くの方がきちんと働いて税金を納めるあるいは保険料の拠出者になるということは大変重要なことではないかと思っております。
特に短期、中期のことを考えれば確かに財政上の負担増の議論は避けられないのはよくわかっているのですけれども、もう少し長期的な目で見ると、生産年齢人口がこれだけ減っていく中で、就業人口を増やすということを社会戦略として本当に考えていくというところが重要な論点になるのではないかと思っております。
女性も必ずしも被扶養の範囲で働きたいと思っている方ばかりではないというのは、この間のいろいろな調査ではっきりしていると思いますし、先程御指摘がありましたけれども、若い方などでは必ずしも非正規を望んで選んでいるわけではない。そういうことを考えますと、少なくとも働き方に応じて不利益が生じるようなことがないように、やはりそこのバランスは十分に見た上で、将来の就業人口をきちんと増やして、経済的に自立できる中間層を膨らませていくということと、個別の保険者とかそれぞれ私どもが抱えている個々の問題というのは当然ありますけれども、双方を見てどちらが社会的に妥当なのかという議論はどこかできちんとする必要があると思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
他にございますか。高岡委員、どうぞ。
○高岡委員 3つの点からまとめている本日の資料はとてもわかりやすくて非常によいと思います。ただし、気になる部分もあります。例えば7ページは、パート労働者が適用拡大が実施された場合に自分で就労調整するか否かということと、企業側が雇用調整をするか否かという2つの視点から描かれています。後者の点に関しては、週20時間で切った場合、管理コストがかさむから雇用調整を企業側が行わないだろうというのがヒアリングの結果から導き出されていますけれども、これは多分、企業の規模によっても業種によっても、全く違ってくると思います。今回、影響が大きく出ると言われている、飲食業や小売業という産業の中でも企業毎にかなり違ってくると思います。
コンビニエンスストアなどでは、1店舗当たり15名前後のパートアルバイトを雇っていますし、スーパーはその数倍雇っています。
その中で基幹パート、アルバイトさんは既に週30時間を超えて雇っている。パートさんの中のとりまとめ役をやられている方というのはもともと適用されている方。もちろん、今回適用拡大とならなくてもはずれる20時間未満の方もいますが、その中間に入っている方、つまり、20時間以上30時間未満で今回はじめて適用となるであろうと想定される方々というのは、実際に今回適用されたら自らどちらに動くのか、また、企業側からどのように取り扱われるのか。週30時間以上働き今まで基幹パートとして扱われていた人たちの下限ラインが20時間に下がって、基幹パート側に入れるのか、あるいは20時間未満で働いて欲しいと雇用調整されてしまうのかというのは、もう少し個々の店舗の方に光を当てて、店舗の中でのパートの数や使い方とか働き方、果たしている役割・機能に焦点を合わせて分析しないといけないのではないでしょうか。理念はいいと思います。母子家庭の保険も非常に大事だと思います。でも、その方たちが万が一調整されて20時間未満の方に入ってしまうようなことがあったらどう責任をとるのかというか、どうなってしまうのかなというのが怖いなと感じるので、もう少し実際の現場の方に焦点を合わせてヒアリングをするなり分析をした方がよいのではないかなと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。実はこの後申し上げようかと思いましたけれども、有識者であるとか業界の関係者にヒアリングをしようと御提案をしようと思っておりましたので、そういう中で今のような御質問等々もぶつけるもこともできるのかなと思います。事務局としては余り細かいデータは現在は持っておられませんか。どんな感じですか。
○梶尾年金課長 もう少し上のレベルに行くとなかなか難しいのですけれども、店舗の中でという話になると難しいと思いますので、そこは実際どうですかというのをその方々にお伺いするとか、もしそういうのを詳しい方がいらっしゃったらお話を伺うとかそんなような形ではないかなと思います。
○遠藤部会長 大変重要な御指摘だとは思うんですけれども、なかなかそれを事前に検証する、予測をするというのは、技術的にあるいはデータ的に難しいので、ヒアリングをするときにお聞きするレベルの話にならざるを得ないのかなと思います。
新たに調査をするというのもなかなか時間的にもコスト的にも難しいのではないかと思いますので、そういう対応に基本的になりますね。できるだけ前向きな御対応をするようにしていただければ。
○梶尾年金課長 そういうものを持っていらっしゃる方もおられるとか、何か努力はしてみたいと思います。
○遠藤部会長 では、よろしくお願いします。
高岡委員、どうぞ。
○高岡委員 補足ですけれども、これは別の見方をすると、パート、アルバイトの中の二極化が進む、それを促進するようなことにもなりかねないと思うのです。能力のあるパート、アルバイトさんはいいです。でも、企業が全くこれで雇用調整をしないということはあり得ないと思うので、そういった場合に切られるパートさんと、能力があるので上のランクに入れるパートさんの二極化を促進するようなことが本当に社会的な公正の実現に資するのかというところをもう一度データを基に、データがないのでしたら丁寧にヒアリングをしてそれを基に、検証すべきではないかと思います。
○遠藤部会長 重要な御指摘だと理解しております。ありがとうございます。
他にどうぞ。白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 ありがとうございます。実態は確かに大切だと思うのですけれども、前回でも議論にあたってどの程度越境してもよろしいのかを尋ねたように、ここは適用拡大を検討する部会なのですけれども、最終的には短時間就労とかパートタイマーというのをこれからの少子高齢化の中で積極的な働き方としていかに転換できるかという視点も忘れてはならないと思います。短時間雇用の積極活用という観点も、若干抱き合わせた形で、適用拡大について議論をした方がよろしいのではないでしょうか。つまり、現時点でのパートとフル、あるいは先程パート内の二極化というお話も出ましたけれども、そういう現実を所要のものとして適用拡大を実現したとしても、多分そこでは制度改悪という状況が避けられないかもしれないのです。
ですから、負担ではなくて将来に向かってあなたはどんなに得なのかという議論もいいのですけれども、やはり雇用政策、労働政策の中で、パートタイムとフルタイムの間の格差の縮小、あるいはパートタイムという形でのフレキシブルな働き方で自らのキャリアを上げていくということを可能にするような労働政策という点についても、同時進行的に抱き合わせで議論を進めていけると有益なのではないかと思いました。そうすることで、適用拡大導入への理解を促すことに通じるのではないかと思いました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。重要な御指摘をいただいたと思います。
では、佐藤部会長代理、どうぞ。
○佐藤部会長代理 白波瀬委員が言われたのは大事なことだと思います。一応これから雇用均等分科会の方でパート労働法の改正の議論が始まるということで、勿論、パート労働法は今あるわけですけれども、もう少し、短時間の方とフルタイムの方の間の不利益、合理的でない処遇差の改善が進むような形で法改正の議論、まだどうなるか分かりませんけれども、審議会で議論が始まるので、勿論、そういうものを他方で進めながらやっていくのは非常に大事な点だろうと思う。それはある程度議論がまとまればこちらでも説明していただくというのはやった方がいいと思うのですけれども、同時にパート労働法の見直しの議論は進む。基本的には論点整理は研究会で報告書が出ていますので、その辺についてはもう公開されているものですから、御提供できるのではないかと思います。
あともう一つは、高岡委員が言われた、20時間に拡大したときに、今、適用されている人たちについてどう影響するかということだと思います。母子家庭の方は割合30時間以上の方には多いと思います。ただ、フルタイムでは働けない、残業があったり、でも、比較的収入も必要ですから、これはデータを確認しなければいけないのですけれども、30時間未満よりも30時間以上のところに多いかなと思っています。
現状で言うと、ここの30時間がまだもっと低い方にするかという、私はそれはないかなと思う。ただ、今、問題になっているのは、30時間未満の人たちのところの就業調整が、先程説明してありましたように、30時間以上の人のパートの人の処遇も引っ張っているということなんです。ここはわからないんです。
ですから、母子家庭の人たちで、今は40時間は働けないけれども、フルタイムより少し短いところで、能力も高いと思うんだけれども、なかなかここの処遇改善をしないということがすごく問題で、ですから、そこのことをきちっと理解していかないと、今、就業調整する人たちが本当はもっと処遇改善を求めている人たちがなかなか上がらないというところを公平性というのもその部分はもう一つあるかなと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。よろしいですか。
それでは、瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 申し訳ありません。先程もどなたかが、この論点の初めのところにも出てくる雇用保険並みの20時間云々という根拠みたいなことで確認されたところがありました。議論を聞いていますと、20時間というものを前提にしながら議論がなされているやの感じがするのですけれども、ここのところでの論点として出てきている以上、ここのところも議論されるということでよろしいのでしょうか。
○遠藤部会長 勿論、論点でありますので、ここのところも議論の対象に当然なるという理解をしておりますけれども、事務局もこれは論点という形で整理されていますが、そういう理解でよろしいわけですね。確認します。
○梶尾年金課長 一応、成案においても、適用拡大はする、その際に雇用保険並びだったら400万人ということで出しておりますので、そこも一応論点という形でございます。方向性としては拡大をということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。そういうことでございます。
それでは、お待たせしました。佐藤参考人、どうぞ。
○佐藤参考人 最初に、今お話いただいた「雇用保険並み」の点についてです。先程の発言のところで恐縮なのですが、私は質問のつもりで申し上げたのですけれども、雇用保険並びという考え方の理由なり背景がもしあれば事務局から教えていただければと思います。
資料3に戻りまして、2点ございます。1点目は、前回、示していただいた資料の中で、非正規労働の方が全体で1,700万~1,800万人おられて、半数超の900万~1,000万人の方は厚生年金や被用者保険の適用を現在受けておられる、という点に関してです。雇用保険並みにした場合に最大で400万人適用拡大というデータを示していただいたかと思うのですが、この関係で申し上げたいことは、適用拡大を議論するに当たりまして、可能な限り既に適用を受けておられる方とそうでない方について区別したデータを示していただきたいということです。
例えば先程申し上げた11ページの職業訓練、教育について幾つかデータが出ていますけれども、これは、既に厚生年金ですとか被用者保険の適用を受けておられる方とそうでない方がもし両方入っているということであれば、社会保険の適用範囲の拡大の話と、ここで言う職業訓練、教育との関連は必ずしも高くないのではないかと思ったのが1つでございます。
もう一点は、9ページのところでございます。表を使って、事業主がパート労働者を雇用することの利点として社会保険料負担が軽くなることを挙げていますが、ここで気になりましたのは、なぜパートで働いていただくかという理由が、1つの理由に絞られ過ぎているのではないか、ということです。例えば9ページの左側のグラフで、雇用者全体に占める割合の業種別で一番高い宿泊、飲食、サービス業について、右側の、事業主がパート労働者を雇用する理由で、飲食、宿泊のところをご覧いただくと、「人件費が割安なため」が78.5%で一番多いのは事実でございますけれども、複数回答で同じく7割超は「1日の忙しい時間帯に対処するため」という回答です。
企業の側から見たときの話になりますが、なぜパートという形態で働いていただきたいかということについては、もっといろいろな側面があると思います。それに対して、ここの書き振りが気になりましたので、指摘させていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ある意味、すべて事務局からのレスポンスが必要な内容だと思いますので、お答えできるものについてはお答えいただければと思います。
○梶尾年金課長 まず2点目と3点目、2点目についてはそういったデータをということだったかと思います。かなうものは今後準備をしたいと思います。
3点目については、ここでは保険料負担ということに着目した資料ということで、なぜ企業はパート労働者を雇用するのかということの分析ではなくて、社会保険料負担を業種や雇用形態ではなく公平なものとするという文章であるということで、一応資料は全体を付けて今のような御指摘もいただけるようにはなっているということで御理解いただきたいと思います。
1点目については、雇用保険並みというのはこれまで必ずしも違ったのではないかということだったかと思いますが、前回、経過を御説明しましたけれども、昭和55年に4分の3という社会保険が出した時期は雇用保険も4分の3ということでございました。その後、雇用保険に関しては、確かに24時間とか短時間被保険者とかつくって、社会保険と変わっていなかった。そこは違いがあったわけですけれども、そういうことでそれは問題ではないかという問題意識で平成19年のときは雇用保険が24時間であり、また期間が1年以上という条件であった時代において、平成19年のパート労働者の適用拡大は24時間と1年以上というのが定義されていたということで、従来は違っていたという整理だったのではないかというのは、どこを従来と言うかによりますけれども、そこはそういうことではなくて、ちゃんと合わせていくべきではないかという議論も従来からあったということではないかと考えております。
○遠藤部会長 佐藤参考人、よろしいですか。他に何かございますか。
それでは、適用拡大に関する考え方でございますけれども、事務局原案が出たわけですけれども、さまざまな御指摘がされたということでありますし、余り入口のところで時間を取っても仕方がないと思いますし、恐らくは今後、個別の議論をしていく中で、常にこれは何のためにやっているのかという議論が出てくると思いますので、これはある意味、最初に方針を決めておくのはきれいなのですけれども、どうもそうはなりそうもありませんから、やりながら固めていって、最終的に恐らく報告書を書くときにこの目的とか何とかという文章が出てくると思いますので、その中で整理をしていくというようなアプローチが一番生産的ではないかと思うのですけれども、そんな方向でよろしゅうございますか。特にそもそも論、説明責任が必要だとおっしゃられた委員が何人かいらっしゃったのでこういう対応になっているわけですけれども、今のようなやり方でさせていただくという形でいくのが現実的かと思いますので、そのようにさせていただきます。
本日はそういう意味では非常に参考になる御意見を多々いただいたと思っております。それでは、そろそろ予定の時間になりますし、台風も迫っておりますので早めに終了したいと思いますけれども、何か最後にどうしてもという方がいらっしゃればあれですが、よろしゅうございますか。
1つ御提案なのでございますけれども、とりあえずこれまでの社会保険の適用拡大に関する論点、一通り確認をすることを行ったわけでありますが、一通り確認はできたのかなと思いますが、まだまだ議論しなければいけない点は当然あるのですけれども、委員の皆様から提示された論点とか質問につきましては、引き続き事務局にも整理をお願いして対応していただくというふうに考えております。
次回でございますが、先ほど私、申し上げましたけれども、これらの議論を踏まえまして、短時間労働者の働き方の実態や関係業界の状況について、関係者、有識者からのヒアリング行っていきたいと思っておりますけれども、皆様いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。それでは、次回以降、ヒアリングを行うことといたします。事務局には対応をよろしくお願いします。
次回の日程等につきまして、事務局から連絡はございますか。お願いします。
○藤原年金局総務課長 本日はありがとうございました。次回の開催日時でございますが、9月30日金曜日、来週でございますが、来週金曜日の10時からということで予定させていただいております。詳細は追って連絡させていただきます。
○遠藤部会長 そういう非常に厳しいスケジュールでございますけれども、よろしくお願いいたします。
本日は本当にお忙しい中、また台風も迫っている中、ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。どうもありがとうございました。
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