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2010年11月26日 社会保障審議会 年金数理部会(第43回)議事録
○日時
平成22年11月26日(金)9:58~12:00
○場所
東京會館 ゴールドルーム(11階)
○出席者
山崎部会長、宮武部会長代理、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員 |
○議題
(1)年金数理部会における財政検証
・国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の財政再計算結果等の聴取について
(2)その他
○議事
○石原首席年金数理官
定刻少し前ですが、委員の先生方もおそろいですので、ただいまより「第43回社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。
資料1は、「平成21年財政再計算結果等について—国家公務員共済組合—」でございます。
資料2は、「平成21年財政再計算結果等について—地方公務員共済組合—」でございます。
資料3は、「平成21年財政再計算結果等について─私立学校教職員共済組合制度─」でございます。
資料4は、「委員より要求があった資料〈厚生年金保険・国民年金〉」でございます。
なお、資料1と資料2において訂正がございましたので、資料の訂正に関する別紙が2枚ございます。
配付資料は以上でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、牛丸委員と翁委員が御都合による御欠席とのことでございます。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
また、年金局長は、国会用務のため若干遅れて参る予定でございます。それと、審議官ですが、同じく国会用務のため、本日は欠席させていただいております。
それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。
○山崎部会長
おはようございます。御多忙のところ、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
本日は、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の平成21年財政再計算結果等についての報告を聴取いたします。財務省から重藤課長が所用で出ておられるとのことで、鎌田共済計理官から御説明いただくことになると思いますが、よろしくお願いいたします。総務省から高原課長、文部科学省から戸松室長に御出席いただいております。ありがとうございます。
また、今回の財政検証のために、財務省、総務省、文部科学省にお願いして、以前、当部会で決めた事項に従って、検証・分析に必要な資料を作成していただきました。お忙しいところ作業していただき、ありがとうございました。
それでは、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合の平成21年財政再計算結果等についての報告を聴取いたします。
どうぞ着席してください。
(国家公務員共済組合関係者、地方公務員共済組合関係者着席)
○山崎部会長
それでは、説明をお願いいたします。
○鎌田共済計理官
おはようございます。財務省主計局給与共済課で共済計理官をしております鎌田と申します。私から、国共済の財政再計算について説明させていただきます。
資料1について説明いたします。
国家公務員共済組合の財政再計算につきましては、国共済法の第99条第1項及び国共済法施行令の規定に基づき、少なくとも5年ごとに、財務大臣の定める方法により行うこととされており、昨年の8月に国共済連合会において、長期給付に要する費用の再計算が行われたところでございます。
全体像が資料の42ページに載っておりますので、ちょっと飛んで恐縮ですけれども、お開きください。
42ページにフローが載っております。「将来見通しの推計方法に関する資料」ということになっております。これで左に国共済連合会、右に地共済連合会が並んでおりまして、どういうことをしているかといいますと、国共済連合会の方で説明いたしますけれども、直近のデータ、あと将来傾向に基づいて計算基礎率などを作成します。左の最初の枠です。そこで、財務大臣の定める算定方式によって、保険者から見た場合の収入のもととなります将来の総報酬額、それと、保険の支出となります年金給付額の将来分までを推計いたします。
地共済連合会でも同時並行で同じ作業をしておりまして、双方の将来の総報酬額、年金給付額をお互いに提供します。それをそれぞれ合算いたしまして、将来の年金給付額を賄うための一本化した保険料率の算定、それと、財政見通しの作成をそれぞれ行うと。ここは、要は同じ数字になるわけです。それで運営審議会の議を経て、掛金率等について定款変更。
こういった流れになっておりまして、要は国共済の財政再計算を行うに当たっては、国共済連合会のみでは行うことができず、地共済についても同様と。要は、お互いの情報提供がないと成り立たないという仕組みになっております。ですので、本日の説明も、若干変則的ではありますが、私の方から最初に保険料率の設定の手前、財政の手前まで最初に説明させていただいて、その後、地共済から同じところまで説明と。それを足した後で、また私から財政の見通しについて説明させていただければと思います。
それでは、資料の1ページ目にお戻りください。表紙があって、目次があって、紙で言うと3枚目に当たります。
「財政再計算の基本方針」ということで幾つかありますけれども、まず、経済前提の考え方ですが、これは、国共済制度は公的年金の一環ということで、全制度が共通の経済指標によりスライドを行うと。また、こちらの年金数理部会で過去に行われた報告書においても、経済前提については全制度共通にする必要があるということですので、先週、厚生労働省から説明がございました財政検証と同じ扱い、同じものを使っております。ですので、中身についての説明は、本日は省略いたします。
組合員数の前提についてですけれども、これはポイントが3つありまして、1ページ目の真ん中からちょっと下のあたりですが、国共済の組合員数と生産年齢人口との過去の関係を見ると、組合員数の生産年齢人口に対する割合は、約40年前より一貫して減少してきたが、ここ数年はほぼ一定で推移しているということです。ですので、ポイントが3つありますが、そのうちの1点目は、まず、生産年齢人口を基礎として、それに対する組合員数の割合がほぼ一定だと見込んだという点でございます。
先週、厚生労働省から厚生年金の被保険者数を見込むときには、更にその労働市場へ女性とか高齢者が出ていくんだとか、そういった労働力率まで見込んだ推計をしていると話がありましたけれども、国共済につきましては、そこまでは見ておりません。
ポイントの2つ目が、その少し先にある「ただし」というところですが、基本的には、生産年齢人口に対する率が一定と置いておりますけれども、直近において、例えば平成21年5月に新たな定員合理化計画が指示されたということですので、これを受けまして、平成21年度末定員の10%相当を5年間均等に削減しております。これがポイントの2つ目。
もう一つは、女性公務員の採用・登用を拡大するという各省庁人事担当課長会議申し合わせがありますので、これを踏まえまして、平成20年度より50年間かけて30%まで引き上げることとしております。
これを図表で示したものが3ページ以下になりますので、1枚おめくりいただいて、3ページをごらんください。3ページにグラフが縦に3つ並んでおりますけれども、上が生産年齢人口、真ん中が国共済の組合員数、下が国共済の組合員数の生産年齢人口割合ということですので、?を?で割ったものになります。これを見ますと、元号が変わったあたりからなだらかになっておりまして、特に最近は、一定とみなしても差し支えないということで、ポイントの1点目ということで、生産年齢人口に対する割合を一定と考えたところです。
1枚またおめくりいただきまして、これが国共済組合員数の見込み方になっております。基本は割合を一定としておるのですけれども、定員合理化計画を踏まえまして、平成22年、西暦で言うと2010年ですけれども、そこから5年間定率で落としまして、22年は生産年齢人口に対する組合員数の割合が1.2662%ですが、26年に1.2338%になり、その後一定としております。これがポイントの2つ目で、定員合理化計画を踏まえて若干落とすということでございます。
また1枚おめくりいただいて、こういうやり方で組合員数の総枠を決めた後で、その中の男女比をポイントの3つ目、女性公務員の登用拡大ということで、足元の平成19年度、女性の割合が20.0%、線を引いているちょうど上ですけれども、20.0%でしたが、これを50年かけてですので、6ページの下の方ですが、平成69年(2057年)で30%になるまで定率で増やすといった見込み方をしております。
ですから、厚生年金は労働市場への参画といった要因で決まっているのですけれども、そのようなロジックで公務員の枠は決まっておりませんので、定員管理という観点からこのような算定方式としたところでございます。
また少し戻っていただいて、財政再計算基本方針ということで、2ページ目ですけれども、財政方式につきまして、今回の財政再計算は、このあたりは厚生年金と同様ですが、2つ目のパラグラフです。具体的にはどうやっているかというと、厚生年金と同様、平成21年度以降平成117年までの95年間で財政の均衡を図るとしております。均衡期間の終了年度における長期給付の支給に支障が生じないということで、厚生年金は積立度合いで1倍の積立金を保有としておりますので、国共済と地共済を合わせて積立度合いが1倍となる場合について推計を行っているということでございます。ここは厚生年金と同じ考えです。
4番目が、このあたりから厚生年金と違うことになるのですけれども、給付水準や保険料率設定の考え方ということで、給付水準の考え方としては、2階部分は厚生年金と同じ仕組みにしております。3階部分は、職域というところがありまして、2階部分の2割という従来の考え方を踏襲しております。
保険料率設定の考え方ですが、平成16年の制度改正において、厚生年金の保険料率を毎年9月に引き上げることになったので、国共済も地共済も併せて9月に保険料率を引き上げることとしております。厚生年金と国共済、地共済の仕組みが異なるところがありまして、2ページの真ん中あたりですけれども、保険料率の設定の考え方ですが、厚生年金は、先週説明がありましたが、保険料率を最初に固定しておいて、ほぼ100年後に積立度合いが1になるようにすると。では、どこで調整をするのかというと、マクロスライドの調整期間を調整することによって、その2つの制約条件を満たすようにするというやり方になっています。
それに対して、国共済、地共済はどうしているかというと、そうやって厚生年金できめられたマクロ経済スライドの率と、いつまでやりますというところをそのまま直輸入してもらって、あと100年後に積立度合いが1になるという条件を満たすように保険料率を決めるというやり方をとっております。そこが厚生年金との違いです。ですので、保険料率を設定するということが再計算の目的となる、そういう理屈になっております。
2ページの真ん中からちょっと下あたりですけれども、平成21年財政再計算における保険料率の設定については、地共済と財政単位の一元化の枠組みのもとということで、これも厚生年金と同様ですが、引き上げ幅を0.354%ということで再計算を行ったところです。
基本的な考え方の最後、(5)です。国共済及び地共済の財政単位の一元化を図るための財政調整制度を前提として、財政再計算を行っております。
以上が基本的な考え方になります。
次に、7ページまで説明いたしましたので、8ページ目、「再計算に用いた基礎数・基礎率とその作成方法」です。
基礎数につきましては、現在組合員の方と、現在年金受給者の方、それと、将来もらえるけれども今は組合員でないという年金待期者、この3つのカテゴリーに分けて、それぞれ必要なデータを把握しております。基礎率につきましては以下のとおりあるのですけれども、厚生年金との違いで申しますと、公務上というものを把握しているところが厚生年金と違いまして、あとは大体厚生年金と同じようなものをとっております。
資料も大部ですし時間もあれですので、これから先は少し端折りながら説明させていただければと思います。
8ページ目が基礎数・基礎率の概観ということになっておりまして、12ページが、例えば、今、受給権者が年齢階級別にどうなっているのか、それと、その平均年金額をお示ししたものです。先週、障害年金が結構な規模いるんだよというお話があったかと思いますけれども、国共済でも同じように、40代前半までは遺族よりも多いという感じなのですが、それ以降は遺族年金の方が桁違いに増えるという形になっておりまして、これは厚生年金と同様の傾向となっております。
基礎数の次は基礎率ですけれども、基礎率のもととなる統計の概要と算定方法が17ページに記載されております。これも前回と違うところだけ説明いたしますと、18ページ目、左から3つ目ですが、報酬年額に対する期末手当等の割合ということで、ここは、前回がちょうど人事院勧告の関係で少しイレギュラーな年、期末手当で調整ということがありましたので、今回それをしなくなったのでノーマルな方式に戻したというところが前回との違いになります。
21ページ目以降が、その主な基礎率についてビジュアル化したものです。21ページの総脱退率を見ますと、先週の厚生年金との違いで申し上げますと、男子の53歳と54歳あたりで1つ山があって、63歳でまた山があるというところが厚生年金との違いなのですけれども、最初の50代前半の山は、自衛官等の勧奨の者によると思われます。それと、公務員は職種により定年が様々ですので、そういった影響が63歳のもう一つの山に現れているのではないかと思っております。
1枚めくっていただいて、22ページの下のグラフ、標準報酬指数ですが、公務員は、厚生年金との比較で言うとなだらかに上がっていくのですけれども、厚生年金と違ってがくんと下がるといった傾向は見られません。そこは厚生年金との違いかと思います。
以降、同じようなグラフが載っておりまして、26ページ以降は、そのグラフのもととなった数字がそれぞれ掲載されています。
これが基礎数・基礎率になります。
42ページは、先ほど説明いたしました将来推計の全体構造ということになります。
44ページ以降は、細かい算定式レベルの計算過程ということですので、これも説明は省略いたします。
これがずっと続き、60ページまでで国庫負担の推計と書いておりまして、61ページに保険料の設定というところがあるのですけれども、ここから先は、先程御説明しましたように、一度、地共済の説明を受けて、それが終わってからまた説明させていただければと思います。
質疑の時間は最後にとりたいと思っておるのですけれども、今の時点で特に何かありましたらお願いします。
○山崎部会長
後でまとめてにします。
○鎌田共済計理官
それでは後程お願いします。
○村上数理官
総務省の福利課数理官の村上でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、地方公務員共済組合の平成21年財政再計算の内容につきまして、お手元の資料2になりますが、これに沿いまして御説明させていただきます。基本的に、主に国共済と違う部分に絞って御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、1ページ目をごらんいただきたいと思います。「財政再計算の基本方針」でございます。
(1)の経済前提の考え方につきましては、国共済と同様でございまして、(2)の組合員数の前提についてでございます。地共済の組合員数は、近年は、定員適正化に向けた取組みなどが進められていることなどによりまして減少傾向が続いております。共済組合において、将来の組合員数を見込むに当たりましては、将来における行政改革、市町村合併などに伴いまして、公務員数の削減がどのように行われるかが不明確である中で、極めて長期間にわたる見込みを立てなければならないということでございます。近年の組合員数の減少傾向にも十分配慮しつつ、特に将来推計人口との整合性に留意して見込むことが、必要かつ合理的な方法であると考えております。
地共済の組合員数と15歳から64歳までの生産年齢人口との具体的な過去の関係につきましては、3ページの下のグラフをごらんいただきたいと思います。こちらにありますように、組合員数の対生産年齢人口に対する割合は、地方公務員共済年金制度が成立して以後の期間におきまして、その前半、約20年ですが増加傾向にありまして、その後においては減少傾向にあるという一定の関係が認められますことから、共済組合の将来の組合員数を見込むに当たっては、平成18年12月の日本の将来推計人口における出生中位死亡中位推計による将来の生産年齢人口を基礎として見込んでおります。
1ページにお戻りください。一番下の段落のところですが、地方公務員数の具体的な見込みにつきましては、過去一貫して増加または減少しているわけではないことや、地方公務員は、住民に身近なところで直接サービスを提供していることなどを踏まえると、今後100年間を見通して、地共済の生産年齢人口に占める割合が一貫して減少するという見込みをすることは困難でございます。したがいまして、基本的には、地共済の生産年齢人口に占める割合は一定であるという仮定を置くこととしておりますが、現に直近5年間は、地方公共団体の集中改革プランなどによりまして、組合員数が減少傾向にあることや、また、更なる行政改革などにより、足元の見込みとしても更に減少すると見込まれることなどを勘案しまして、今後5年間は、この減少傾向が続くものとして組合員数を見込んでおるところでございます。
具体的には、4ページをごらんいただきたいと思います。直近の平成17年度から19年度までの3年間の地共済の組合員の対前年減少率の平均が1.3%ということでございまして、その減少率が今後5年間続いて、その後は対生産年齢人口比が一定率のまま推移するということにしております。
組合員数の関係は以上でございまして、次に、5ページでございますが、これは、財政再計算に用いました基礎数・基礎率でございます。
(1)はその種類でございまして、次の6ページでございますが、特記すべき事項でございます。基礎数につきましては、再計算時点で確定しておりました平成19年度末の実績値を使用しております。基礎率につきましては、給料指数は直近の数値により算定しまして、その他の基礎率につきましては、平成17年度から19年度の過去3年間の状況により算定しているところでございます。
年金失権率につきましては、将来の平均余命の伸びを勘案して、平成67年まで毎年改善するものとして見込んでおります。
そのほか、経済的要素やスライド調整率等につきましては、厚生年金と同様の前提にしております。
また、その基礎年金拠出金単価等につきましては、厚生労働省作成の数値によっております。
7ページでございます。基礎数のもととなる統計の概要と算定方法でございます。基礎数は、地方公務員共済組合連合会が毎年行っております組合員等現況調査において、現在組合員数の状況においては抽出調査、年金受給権者、年金待期者については全数調査により把握しております。
次に8・9ページですが、基礎数をもとに作成した資料でございます。8ページは、被保険者数を年齢階級別加入期間別に分類したもの、平均被保険者期間、平均標準報酬額を男女別に記載しております。9ページは、各年金種別の受給権者の年齢階級別人数と平均年金額になります。
10ページから14ページまでは、基礎数の具体的な数値を一部抜粋して掲載しております。
15ページから18ページですが、これは基礎率の元となる統計の概要と算定方法でございます。前回の再計算からの変更点としましては、16ページの期末手当等の割合、それと17ページの所得停止者の割合などが、制度改正に伴い実績を把握することができるようになったことから、基礎率の作成方法を変更したところでございます。
19ページから23ページまでは、その基礎率をグラフ化したものでございます。
24ページから33ページは、基礎率の具体的なデータとなっております。資料が膨大となるため、一部を抜粋して掲載しております。
34ページですが、こちらは、「将来見通しの推計方法に関する資料」でございますが、これは先ほど国共済の方から御説明がありましたので、省略させていただきます。
35ページから52ページは、算定式レベルでの計算過程でございます。
53ページ、54ページが、推計方法に関して特記すべき事項でございますが、こちらも国共済と同様の内容でございます。
とりあえずはここまでのご報告とさせて頂きます。
○鎌田共済計理官
資料1の61ページから説明したいと思います。
資料の61ページ目、保険料の設定ですけれども、これは、先ほど説明いたしましたとおり、平成16年の制度改正で厚生年金と同様に導入されました有限均衡方式によっております。
財政見通しの作成につきましては、そこにあるような項目を作成しております。
ページをめくっていただいて、62ページ、具体的な推計方法ということですけれども、?国共済・地共済の財政調整の仕組みの適用方法ということですが、繰り返し申し上げているのですけれども、共済の財政再計算は、国共済と地共済の財政単位の一元化を前提としていますので、1つの財政の中での額のやりとりにつきましては、財政再計算には全く影響しません。ただ、参考推計として、国共済、地共済ごとの財政見通しを作成しておりますけれども、そこでの財政調整については次のように行っております。
財政調整というのは2種類ありまして、四角の上の・が1つ目ですが、費用負担の平準化のための財政調整ということで、この四角の中のとおりですけれども、○アの共済の独自給付費用率が小さい場合には、独自給付費用率がその隣の○イの共済の独自給付費用率と同じになるようにαという拠出をするということになっております。
独自給付費用率につきましては、今日、差し替えで入っておりました資料の訂正という紙の裏の「別添」とあるものをごらんいただければと思います。
財政調整拠出金の算定ということで○が2つありますけれども、1個目が、先ほどの説明で、費用負担平準化のための財政調整ということで、要は、単純に言いますと、給付のうち保険料で見ている部分を算出しまして、それが総報酬に対してどのくらいの割合にあるのかというのが独自給付費用率ですので、それが同じになるように、片方が片方に拠出するというのが、財政調整の1つ目、費用負担の平準化のための財政調整、62ページの四角囲みで説明してあるところになります。
2つ目が、年金給付に支障を来さないための財政調整ということで、これは、あとは片方の黒字の範囲内で片方の赤字を埋めてあげるという拠出になっております。あくまでも埋めるのは片方の共済の黒字の範囲内ですので、両方が赤字の場合は、これが働かないという問題点がありまして、これは適宜・適切に今後検討すると規定されております。
財政調整については、以上です。
65ページから先が将来推計の結果になっております。65ページを見ていただきますと、組合員数ということで、右肩に小さく「国共済+地共済」と書いてあるものがあったり、「国共済」のみのものがあったりします。注意していただければと思いますが、まず65ページ、組合員数がどうなるのかということを見てみますと、最初、2010年で約400万人ですけれども、だんだん減ってきまして、ほぼ100年後、2105年には100万人程度になると。4分の1強ぐらいといった推計になっております。
1枚めくっていただきまして66ページですが、これは国共済単独のものですが、これは、今、頭が100万人ですけれども、これが将来28万人ぐらいになると。これは、最初に説明しましたとおり、生産年齢人口がこのような感じで減りますので、同じように減る。その結果によります。
67ページは受給者数の見通しですが、これも、最初の2010年は390万人とほぼ先ほどの組合員数と同じような数字なのですが、これは、組合員数と同じように減るというわけではなくて、2040年ぐらいまで増加、530万人ぐらいまで増えまして、以降また減ると。最終的には280万人弱、そういった推計になっております。
1枚めくっていただいて68ページですが、これは国共済単独。これも同じような感じで、足元120万人ぐらいですが、2042年、43年ぐらいで170万人程度になって、その後減っていくという推計になっております。
71ページが財政見通し、これは両方足したもので推計しております。一番左端、西暦の次が保険料率になっておりまして、足元が15.508%からだんだん上がっていきまして、2023年で19.8%という率、その後一定になります。それぞれ左側が収入、右側が支出ということになっております。財政調整の欄が空欄なのは、先ほど説明したとおり、同じ財政単位の中ですので、これは影響ないということで空欄になっております。
積立度合いを見ていただきますと、足元が6.2ですが、ほぼ100年後には1.1となっております。こういった財政見通しとなっております。
この先、厚生年金と違うところに絞って説明させていただければと思いますが、74ページ目が恩給等相当分ということで、給付費のうちの追加費用分、国共済でいいますと34年10月以前、10月を挟んで勤めていた方の34年10月以前の部分については、従来、恩給がありましたので、その分は全額国が負担ということになっておりますので、その部分を特出したものでございます。
それと、同じように部分ごとで出したものがありまして、89ページ目、飛ぶのですが、給付水準の見通しというものがございます。これは所得代替率が一番右端に出ているのですけれども、厚生年金だと60幾つからだんだん下がっていって50.1%とありますが、国共済でいいますと、最初は58.2%、将来48.1%という推計になっております。これは50%切ってもいいのかという話があるかもしれませんが、これは最初に説明いたしましたとおり、厚生年金と同じマクロ経済スライドの率で、同じ期間を適用しますので、そういったこともあり、それと、平均の手取り年収が違うといったこともありまして、こういった結果になっております。
もう一つ違うのは、所得代替率5割切るかどうかというのは、別に共済では特に重要な項目ではございませんので、こういった結果となっております。
以下、年金扶養比率の見通しが92ページに載っておりまして、定義はそこにあるとおりでして、年度末の被保険者数を年度末の老齢退職年金受給者数で割ったものですので、現行1.55となっておりますものが、将来ちょうど1になるという見通しになっております。
またしばらく飛ばせていただいて、110ページ、保険料率の見通しがあります。繰り返しになりますが、厚生年金の場合は、保険料率は固定ですので、先週の資料でもここは何も変化なしだったのですが、共済年金は、マクロ経済スライド、厚生年金をそのまま直輸入して、その整合性を保険料率ではかるものですから、それぞれの前提によって必要となる保険料率が変わるという結果になっております。
これを見ていただきますと、わかりやすいのがB.死亡の動向が変動した場合ということで、アの死亡高位、要は、寿命が短くなるケースですが、その場合は保険料率が20.1%、寿命が長くなる場合ですと保険料率は19.6%、基本係数は19.8%ですので、寿命が短い方が保険料率が高くなるというのは、一見少しパラドキシカルな結果になっておりますが、これは、マクロ経済スライドが、死亡高位の場合は早目に終わると。ということは、給付水準の抑制というのはさほどしなくても済む。そういうことになると、余計に支出しなければならないということで、逆にこちらの方が保険料は上がってしまうという結果になっておりますが、これは前回の再計算でも同じような結果が出ております。
148ページが職域部分を除いた場合の保険料率の将来推計ということで、厚生年金の2階部分に相当する保険料はどの程度かを出したものが一番左の端になります。
推計結果については以上です。
150ページが、「年金数理担当者の所見」ということで、まず、制度の健全性についてどう考えているのかということですけれども、国共済と地共済については、平成16年制度改正によって、財政単位の一元化を図り、マクロ経済スライドによる給付の自動調整の仕組みを導入しました。このことは、平成21年財政再計算においても、財政の安定化に寄与するものと考えておるところです。
財政再計算に当たり今後留意する点ですけれども、ここは人事院勧告の際における人事院総裁の談話にあるように、高齢期の雇用問題について、雇用と年金の連携を図ることが課題と認識されている。それと、昨今、公務員制度改革というものも議論されておりますので、そういったデモグラフィックな少子高齢化の一層の進展に加えて、そういった社会経済情勢の変化が、組合員数や給与等の動向を左右し、年金財政にも多大な影響を与える。それで、そういったものについては、今後、留意する必要があると考えております。
最後に、「情報公開について」は、そこに記載されているとおりです。
以上です。
○村上数理官
地共済の方の資料の55ページ以降でございますが、これは、ただいま国共済から説明のありました資料の国共済と地共済を足したもの、それと、その後ろに地共済分がございますが、説明は重複する部分が結構ございますので、時間の関係もありますので、説明は省略させていただきたいと思います。
ただ、79ページをごらんください。こちらは、地共済の給付水準の見通しということでございますが、これは、厚生年金の見通しを使用して推計しているものでございまして、所得代替率、2010年度は年金が28.6万円、所得代替率が56.7%となっておりますが、マクロ経済スライドが終了します2038年度には、年金月額は47.5万円、所得代替率が47%になるというような見込みになっております。
あとは、重複しますので省略させていただきたいと思います。
説明は以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問がありましたらどうぞ。駒村委員。
○駒村委員
ありがとうございました。少し細かいところで確認させて頂きたいのですが、国共済の資料の42ページには考え方が整理されていて、将来の値については、算定方式が両大臣から定められているということが書かれています。実質、一体的なことになってくるわけですが、教えて頂きたいのは、地共済の資料の15から18ページ、国共済だと17から20ページに基礎率の計算がありまして、今見ただけですぐには比較ができないのですが、基礎率の計算については、何か考え方をすり合わせているのか、その辺りは、よくよく見ると何か違うようなところもあるので、この基礎率の計算については、両共済で考え方を共有しなかったのか、それとも何か実質ほとんど差がないと見ているのか。なぜ計算方法が違うところがあるのかを教えて下さい。
○鎌田共済計理官
基本的な考え方は同じでございますが、調査で完全に同じデータが取れるわけではないので、その辺りは多少違っていると思います。基本的には同じものを取るということにしております。
総務省から何かあれば。
○村上数理官
同じです。
○駒村委員
では、これはデータの問題であって、共通データがある部分は、同じ計算方法で行っているということですね。
○鎌田共済計理官
はい。
○駒村委員
わかりました。
○山崎部会長
他にございますか。では、野上委員。
○野上委員
ありがとうございました。3点ほどございまして、よろしくお願いいたします。
まず、基礎年金の拠出金でございますが、標準報酬は比較的、若干高いということもあって、定額で負担されている基礎年金拠出金について、厚生年金と比べて負担が軽いのではないかと思うのですが、その辺り、財政面への影響はどの程度あるかというのをお教えいただきたいと思います。
2点目は、少し細かい話で恐縮ですが、欧米等の状況からしますと、標準報酬が高いと死亡率の改善がそうでない場合に比べて若干違ってくるという面があるのですが、過去の実績に照らして、厚生年金における死亡率の改善と国共済、地共済におかれる死亡率の改善とは、同じという前提を置かれたときに、その辺りの改善が過去でどうだったかという検証をされているのかどうかという点が2点目です。
3番目は、これは年金数理部会で質問していい状況かどうかわかりませんが、2ページのところに、3階部分は2階部分の2割ということでずっと行くということですけれども、民間の方はかなり、例えば厚生年金基金ですとか、いろいろな大改正が行われておりまして、その辺りも踏まえて、今後も今までと変わらないというのは、果たして前提として妥当なのかなと。もし考え方ということで法定されていないのであれば、その辺りの考え方等を御教示願えればと思います。
以上3点です。
○鎌田共済計理官
まず、3点質問いただいたうちの拠出金の負担が軽いのではないかという話ですが、これは、拠出金単価につきましては、厚生労働省からいただいたものをそのまま使っております。
○野上委員
単価はそうですけれども、要は、保険料は標準報酬に比例して入ってきますので、それに比べて若干、いわゆる担税力のような考え方がもしあるとすると軽いかもしれないなと。
○鎌田共済計理官
そういった考えもあるかとは思いますが、頭割りという制度にのっとって、払うべきは払っているということになろうかと思います。
2点目の死亡率の改善につきましては、私ども国共済の資料1で言いますと36ページ以降にあるのですが、ここに書いてあるとおりの改善をしています。少々お待ちください。厚生年金の方はどうやっているかを、今確認いたします。
○荒井審議役
地共済連合会の荒井と申します。
この死亡率の改善につきましては前回から取り入れてございまして、自分たちの制度の実績を踏まえて、日本の将来人口推計における死亡率の改善をそのまま適用しているという状態でございまして、そこの中に、お互いのそれぞれの制度の実績は入っておるというような状況になってございます。
ただ、厚生年金とその実績同士を比較してどう改善したのか、例えば5年前と比べてどう改善をしたのかというところまでは、ちょっと分析はしておらないというような状況でございます。
○野上委員
いわゆるスタートラインは一緒で、今後の改善については、国民全体といいますか、厚生年金に合わせたという理解でよろしいでしょうか。
○荒井審議役
はい、そのとおりです。国民全体のものしかなかなかああいう非常に難しいところは出ませんので、そのまま、日本の人口推計を使用したということです。
○野上委員
これはアドバイスですけれども、結構報酬といいますか所得水準とかによって改善が違うというのは、実績としてありますので。
○鎌田共済計理官
3点目の職域に関してですが、これは廃案になってしまいましたが、被用者年金一元化法では、職域は廃止して新しい3階をと。ただ、具体的な設計までには至らず、廃案になってしまったという経緯があります。
この再計算のときはどうだったのかと言われれば、とりあえず現状の制度を前提にということですので、このまま2割ということでやっております。それは、先ほど申しましたような公務員制度改革等いろいろございますので、今後どうなるかは、ちょっと注意して見ていかないといけないのかなとは思っております。
○野上委員
ありがとうございます。
○山崎部会長
田中委員、お願いします。
○田中委員
大変細かい質問で恐縮ですが、地公共の資料の5ページ目(注1)に標準報酬月額を給料月額の1.25倍ということにしておられるようですが、これはデータが取れないということなのか、仕組みが違うのか、わかりませんので、教えていただきたいということが1点。
もう1点は、先ほどの野上委員の質問に関連してですが、この死亡率について、厚生年金あるいは国民年金と平均余命との比較において、国共済あるいは地公共は、若干長いのではないかと思われるのですが、その辺りの分析はされているでしょうか。
この2点です。
○村上数理官
1点目の5ページの件でございますが、これは、昭和60年の改正のときに取り入れられたものですが、地方公務員の場合は、全国の地方公共団体でいろいろな手当がございまして、それをそのまま反映させると不公平が生じるということで、全体の給料に対する手当の割合を掛けるというような方法をとってこのような形になっております。その割合が大体1.25倍ということでございます。
○田中委員
総報酬制に変わったときに、いわゆる期末手当というかボーナスの部分はどのように取り扱っていますか。
○村上数理官
ボーナスの分は、期末手当はそのままという扱いですね。厚生年金と同じです。
○荒井審議役
2点目の平均余命の関係ですが、やはり私ども地共済の退職年金を例にとりますと、平均余命は、日本全国の平均よりも長いというような状態でございます。なかなか各年齢ごとに定めるようなことなので、一体どのくらいなのかなというところははっきりは言えないのですが、おおむね死亡率の関係でいくと7割から8割ぐらいの死亡率の状況ではないかと思われております。
○田中委員
国共済も同じような状況でしょうか。
○鎌田共済計理官
国共済は、そこまでの分析はちょっとしておりません。すみません。
○山崎部会長
佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員
これは前回申し上げたのですが、改めて申し上げますが、例えば国共済の資料で言うと110ページの経済の前提等を、やはりどう考えても疑問だと思うのは、国共済の資料で言えば110ページの一番下のところです。経済的要素の前提ということでもう一度ちょっと申し上げたいと思うのですが、2020年以降の部分は、これが高いか低いかというのはちょっと別にしても、やはり足元からの推計方法にはちょっと疑問があるのではないか。というのは、例えば運用の前提が4%程度というのが高いか低いかは別にして、足元から徐々に上がってきていると思うのですが、例えばこの賃金上昇だけは、足元が非常に高くて、下がってきているというのは、やっぱりこれはいかがなものかと思います。同じ前提を使っておられるのでどうかということはありますけれども、今の実感とか実態からしても疑問だというのが、これは前回もちょっと申し上げたことなので、特に御回答は要りませんが、そういう疑問です。
質問は、1つは、先ほどの所得代替率で厚生年金との対比があったのですが、厚生年金が、今日は資料がないですが、足元が62.3%あるのですが、今日拝見すると、それぞれ58.2、56.7、57.9と、大体厚生年金よりも数ポイント下回っているわけですね。これの原因、特に地共済なんかでは56.7ですから6ポイントぐらい下回っているということですね。この差というのはどこから出てきているのかということです。2点目は、先ほどの50%切るというのは、共済組合にとって重要なことではないということをおっしゃったわけですが、逆にどういうことが一番重要な運営基準になっているのか、その辺りのところを御質問したいと思います。
○鎌田共済計理官
国共済の所得代替率についてのお尋ねですが、89ページに国共済の所得代替率を載せてあります。これが低いというお話をいただいたのですけれども、これは、1つには、所得代替率の1つ左隣の手取り年収が厚生年金よりも高目になっている。これは、資料の説明で標準報酬指数が厚生年金と違って、だんだん上がっていってフラットになる、それと、年齢構成とかが影響しておりまして、要は分母が高いので所得代替率が低くなると。ここは職域部分も含んでおりますので、若干分子も増えるのですけれども、それよりも分母の方の増えが大きいので、所得代替率としては低目になっていると。構造としては、そのようになっております。
2つ目の質問ですけれども、所得代替率を見ていないのなら何を見ているのだという話ですが、それは、マクロ経済スライドの率を、同じものを同じ期間充てると。要は、年金給付の総枠の伸び方を厚生年金とそろえる、給付水準を厚生年金とそろえるというところに主眼を置いていますので、そこで整合性を取っているということになります。
○山崎部会長
では、宮武委員、お願いします。
○宮武部会長代理
毎回のように出るのかもしれませんし、またお聴きしても、お答えにくいことで恐縮ですけれども、国共済と地共済で今390万人おいでになって、先行き、100年後は100万人になってしまう。生産年齢人口との比率で言えばそうならざるを得ないでしょうけれども、国共済に至っては、100万人が28万人になってしまう。一体これで公務員の仕事ができますかという、常にそういう疑問が出てくるわけです。逆に言えば、公務員の定数を今、直近では抑制をしている。将来的には、生産年齢人口とそのままの比率で減らしていくということには、実際上はなかなかならないわけで、どんなに人口が減っても一定数の職員が必要な職場はいっぱいあるわけでございますね。そういう議論はなさっていないですか。いないですよね。
○鎌田共済計理官
ちょっとこれは主観も入るのですけれども、基本的には、そういった御意見は確かにありました。KKR(国共済連合会)の議論でも、例えば、年金とはちょっと外れてしまうのですけれども、自衛隊の方等も同じように減って大丈夫なのかという議論もありました。
ただ、その一方で、やはり公務員制度改革ということで、人件費2割削減というところもある。要は、これはあくまでも年金の財政再計算のためということで、今わかっていることを将来に投影するということですのでそういった計算をしております。ですから、御心配は大変ありがたいと思っておるのですけれども、要は、将来4分の1ぐらいに減っても、年金財政は何とか運営できますという趣旨で作成したものですので、将来公務員がこんなに減るんだということを積極的に出したというわけではないということで、了解いただければと思います。
○宮武部会長代理
それは重々承知の上で、野暮は承知で聞いているのですけれども、逆に言えば、年金数理担当の所見というのが、国共済、地共済とも、全く判で押したように書いてございますが、単に、「将来の組合員数及び給与等の見直しについては留意することが必要である」とか、そういうところあたりで、きちんと御意見をお書きになったらどうかと思いましたので、申し上げました。
○山崎部会長
ほかにございますか。
それでは、以上で、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合の財政再計算結果等についての報告の聴取を終了します。
報告者の方々には、お忙しい中をありがとうございました。
(国家公務員共済組合関係者、地方公務員共済組合関係者退席)
○山崎部会長
それでは、次に、私立学校教職員共済制度の平成21年財政再計算結果等についての報告を聴取いたします。
(私立学校教職員共済制度関係者着席)
○戸松私学共済室長
おはようございます。文部科学省私学共済室長の戸松でございます。
本日は、日本私立学校振興・共済事業団の方も同席しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、資料3に基づいて御説明させていただきたいと思います。
私学共済の財政再計算の基本方針について。初めに、2枚めくっていただき、1ページから御説明させていただきたいと思います。
(1)経済前提の考え方でございます。
賃金上昇率、物価上昇率、運用利回り等の経済前提につきましては、ここに記載しているとおり、私学共済としては、厚生年金等との整合性を図るために共通のものとしております。
また、私学共済年金の給付水準につきましては、従来から厚生年金の給付水準との均衡を維持してきたという経緯を踏まえ、マクロ経済スライドに係るスライド調整率及び調整期間について、厚生年金と同一のものとしております。
(2)の加入者数の前提についてでございます。
ここについては、かなり私学特有な部分があります。加入者数の将来見通しにつきましては、厚生年金等と同様に、「日本の将来推計人口」における中位推計を基本としておりますが、これに児童及び生徒数を指標とした学齢対象人口の推計を出しまして、それを基礎としているところです。具体的には、前回の再計算と同様になるわけですが、各学校種毎の加入者数を各年度の学齢対象人口の減少に応じて減少させる方法をとっております。
ただし、既に学齢対象人口は減少しているにもかかわらず、平成21年度現在、私学共済の加入者数は、これとは反して増加しておりますので、加入者数の実績を加味したうえで、これに学齢対象人口の減少に応じて計算しております。このことについては、また後ほど、5ページのところで説明させていただきたいと思います。
なお、平成22年3月現在の加入者数は47万8,214人で、前年同月の加入者数と比較して6,200人ほど増加し、今年度においても増加傾向は続いている状況でございます。
この要因につきまして、私どもも、これが正しいかどうか、統計で明らかにされているわけではありませんので明確に言えるものではないのですが、まず1つは、各大学において学部学科を設置する際に、大学設置基準による認可を受けることになるわけですが、学則上の収容定員に基づいて教員数が定められております。ですから、単純に学生数が減少したからといって、即教員数、いわゆる加入者数の減少につながるということではないということです。例えば、ある学部の入学定員100名で、実際の入学者が定員より10名少ないというような状態で90名となったとしても、収容定員で考えますと、4年間で考えていくということで400名に対して390名。それに伴う教員数が必要ということですので、必ずしも加入者数減少につながるわけではないということです。
また、大学については、18歳人口が減少しておるわけでございますけれども、新しい学部の増設や新設の大学増があります。特に薬学とか看護学といった保健関係学部の学生数が伸びてきております。その影響で教職員数が伸びていると考えております。さらに、大学病院での看護基準の見直しによる看護師等の医療スタッフが伸びているという状況、また、幼稚園においては、就園児童数はかなり減っているわけですけれども、それに対する少人数学級の増加というようなことも教職員数の伸びに関係しているということで、全体として加入者数が増加しているわけでございます。
平成22年度以降における具体的な加入者数の算定は、資料の5ページをご覧いただきたいと思います。
表の下に加入者数の見通しの推計方法を記載しております。これにつきまして説明申し上げます。平成22年度以降の加入者数の考え方については、男女別に平成21年度における学校種別加入者数の当該学校種の学齢対象人口に対する割合を算出して、その割合を平成22年度の当該学校種の学齢対象人口に乗じていく。この方法で毎年毎年掛けていくようなやり方をし、各年度の各学校種別加入者数を算出しております。
表につきましては、今回使用しました学校種別の学齢対象人口を記載しております。学校種別の対象年齢については、この表の学校種の下のところにあります、例えば大学であれば18歳~21歳、短大であれば18歳~19歳としております。これをもとに算定した男女別の加入者数の見込みの結果が、4ページの表になっております。上段が男性の見通しでございまして、下段が女性の見通しとなっております。
1ページに戻りまして、(3)の財政方式についてでございます。
前回の再計算と同様な段階保険料方式としております。この方式を採用することで、掛金率の引き上げ幅と最終掛金率の組み合わせの設定が複数可能になっているわけであり、平成13年3月の閣議決定事項の保険料率引き上げの前倒しに対しても対応することができたところです。
仮に、引き上げ幅をこれ以上大きくした場合は、最終掛金率が下がり将来の加入者の負担は低下するわけですが、現加入者の負担は急激に大きくなってしまうという懸念もあり、他制度との均衡も踏まえ、掛金率の引き上げ幅については、前回の0.354%を維持しているところです。
また、私学共済年金の給付水準については、マクロ経済スライドを採用する等、厚生年金の給付水準の調整と同様な措置を講じておりますが、元となる将来推計人口において、少子化の傾向がより強く反映されており、私学共済の加入者数の見通しを厳しくしているような状況です。このため、加入者全体の総報酬額が減少し、前回の再計算において18.5%であった最終掛金率が今回の再計算では19.4%と見込んでおります。このため、今後とも従来どおり原則5年毎の財政再計算を行い、掛金率は必要に応じて見直すということにしております。
加えて、前回再計算と同様に、財政再計算時以降おおむね100年間の財政収支の均衡を図ることを前提とした有限均衡方式により計算を行い、他制度と同様に、最終年度の積立度合は1を下回らないように計算しております。
次ページ、2ページの(4)給付水準や掛金率設定の考え方についてでございます。
先ほど説明した(1)の経済前提、及び(3)の財政方式を反映したものとなっておりますので、若干繰り返すような形になって恐縮ですが、掛金率については、私学共済年金には厚生年金相当部分に加えて、職域年金部分が設定されていることを勘案した合理的な範囲で、厚生年金よりも最終掛金率が高くなるよう掛金率の引き上げを計画していくことにしております。
今回の財政再計算結果に基づく掛金率の設定については、後世代の負担軽減、私学共済年金財政の安定性の確保、他の年金制度との均衡等について考慮した結果、前回再計算における引き上げ幅と同様、毎年0.354%引き上げることにしております。
これらの考え方に基づき算定した最終掛金率は、平成42年度に19.4%となる見込みです。この最終掛金率は、前回再計算の最終掛金率18.5%と比べて0.9%高くなっている状況であります。
なお、先の説明のとおり、原則として5年毎に財政再計算を行う予定であり、その結果を踏まえて、次期財政再計算時以降、掛金率を見直すこととしております。
また、私学共済は、制度創設当初から、加入者、学校法人の御理解と御努力によって高い掛金率を維持してきた経緯があります。その結果、今現在、安定した財源の基盤を構築することができたと私学関係者が一様に考えているところであり、更に、大学教員全体の定年年齢がおおむね65歳から70歳程度と高いことや、幼稚園教諭や看護師の割合が多かったこと等も、現在の掛金率の設定につながっていると考えております。
6ページに移りまして、「2.財政再計算に用いた基礎数・基礎率とその作成方法」の(1)基礎数・基礎率の種類については、一覧として掲載したものでございますので、説明は省略させていただきます。7ページの(2)基礎数・基礎率に関して特記すべき事項としましては、それぞれ性別に作成しております。また、ここに記載したとおり、加入者、年金者及び待期者などに関する基礎数については、平成20年度末における実績を基にしております。
待期者については、年金定期便・特別便の送付等により年金請求勧奨が徹底されることを織り込んだ上で、支給開始年齢に達した者を全員年金受給者とすることにしております。
なお、待期者については、退職後に死亡したと推計される分を予定死亡率により除いております。
給与指数、年金者消滅率等の基礎率については、直近の3年間、平成17年度から19年度の実績等を基にしております。
年金者消滅率については、平成19年度末基準で作成した消滅率に、将来生命表における平成19年の死亡率に対する将来の各年の死亡率の割合を乗じて、算出しております。
8ページ、(3)基礎数でございます。
?基礎数の元となる統計の概要と算定方法等については、平成20年度末における全数統計実績を基にしており、加入者数のア欄には、性別、初任年齢グループ別、加入年数別に記載しております。初任年齢グループとは、右のイ欄にありますとおり、おおむね5歳刻みで全体を10グループに区分したものでございまして、私学共済の場合、初任年齢が幅広く分布しております。といいますのも、国公立大学を定年退職後に大学教員へ採用される場合、更には、昨今の若手研究者の流動性、幼稚園や看護師の再就職など、広範な採用機会があることの特徴があるためです。
総脱退力や給与指数などの基礎率が初任年齢グループ毎に異なる特性を持っていることから、加入者関係の基礎数や基礎率については、初任年齢グループ毎に作成し計算しておりまして、年齢別に行っている他制度とは少々異なっており、この点については、私学共済独自の考え方で行っているところでございます。
なお、御参考までに、掛金率の引き上げ時期につきましても他制度と異なっておりまして、他制度が9月であるのに対して、私学共済については、学校の年度計画に合わせて4月に行わせていただいております。
具体的に、10ページの?基礎数の元となる統計の概要と算定方法等については、基礎数の数値として、年度末加入者の初任年齢グループ別、加入年数別分布を記載しております。
26ページに移らせていただきます。(4)基礎率でございます。
?基礎率の元となる統計の概要と算定方法等について、私学共済特有の部分について御説明させていただきます。一番上の初任年齢分布ですが、私学共済制度に新たに加入する者が、どの年齢層の初任年齢グループに属するかという割合に応じて振り分けており、36ページの?基礎率の具体的な数値として、初任年齢分布を記載しております。これを見ますと、男性の新規加入者の場合、27歳グループから37歳グループに多く分布しております。これについては、大学、短大等における教員の流動化が考えられます。例えばある研究機関で研究成果を上げ私学へキャリアアップしてくる方や、国公私立の大学院等の出身者のいわゆる若手研究者を受け入れているということ等も反映されているものと考えられます。一方、職員採用につきましては、民間企業での勤務経験者についても広く門戸を開き、有能な人材の採用を進めております。このため、上記の年齢グループの割合が高くなっていると考えられております。
また、下から2行目、63歳グループも12%近く占めております。これは、国公立大学を退職し、私学に再就職する教員等が多いことが要因ではないかと考えております。
その右の女性の新規加入者は、22歳グループから32歳グループに全体の4分の3が分布しております。その主な要因として、幼稚園教員の採用と昨今、大学附属病院による医療スタッフの充実が図られておりますことから、看護師の採用増加ではないかと考えております。
更に、37歳と42歳グループを合わせた結果、全体の1割強となっております。これは、民間企業や私学に勤務していた者が、結婚や配偶者の転勤など、やむを得ない事情などにより退職された方々が、例えば幼稚園教員や看護師などで再就職先として私学に勤務されているのではないかと考えているところでございます。
次に、48ページ、「3.将来見通しの推計方法に関する資料」でございます。
(1)将来推計の全体構造がわかるレベルのフローチャートを記載しております。
点線で区切った左欄の加入者関係では、データ年度末の加入者数に新規加入者数がプラスされ、脱退者数がマイナスされ、計算初年度末の加入者数となっております。給与についても同様の方法で加入者の給与を算出したうえで、前年度末に支給された給与をベースに計算初年度末における給与を推計し、その給与から掛金収入等が算出される仕組みになっております。
右欄の年金者・年金待期者関係では、データ年度末の年金者数に先ほどの脱退者からの新規裁定者数がプラスされ、また消滅者数がマイナスカウントされることにより、計算初年度末の年金者数となっております。
年金額も同様な方法により算出し、これに基づき給付額等が算出される仕組みとなっております。2年度目以降は、この繰り返しで、今回、2105年度まで計算しています。また、年金待期者も、年金者関係と同様な流れで計算しております。
49ページにつきましては、(2)年次別推計の算定式レベルでの計算過程の骨格を示しております。
次に、56ページになりますが、(3)具体的な推計方法についてでございます。
?有限均衡方式の適用方法では、他制度と同様に、財政再計算時以降おおむね100年間の財政収支の均衡を図ることを前提とした有限均衡方式による計算を行っております。
?については、私学には該当しておりませんので、省略します。
?離婚分割の取扱いについてですが、既裁定部分については、分割後の年金者数及び年金額を実績データとして使用しております。また、将来見通しにおける新規裁定分については、分割せずに、年金者数及び年金額を計算しております。これは、主として離婚分割の実績発生件数が平成21年度実績で200人と少なく、その年金額が1億6千万円で年金総額の0.05%ということもあり、財政面での影響が比較的小さいと考えているためでございます。
?その他、特記すべき事項についてですが、基礎年金拠出金単価、基礎年金交付金及び年金保険者拠出金については、厚生労働省より提供された数値を用いて計算しております。退職関係の年金者については、他制度と同様に、加入者期間が25年以上・未満で区分し、経過的に20年から24年の者を含め、退年相当、通退相当を区分して計算しております。
次に、57ページ、「4.将来見通しの推計結果に関する資料」、(1)には、加入者数、被扶養配偶者数、標準給与総額の見通しを示しております。
次に、58ページの(2)年金種別別の受給者数及び年金額の見通しについてでございます。私学共済特有の状況として、何度かご説明させていただいておりますが、国公立学校の退職者が私学に再就職し、数年で退職する者が多いということや、幼稚園の教諭等比較的若年での短期間退職者が多く、その者が支給開始年齢に達し、年金者となることから、通退相当の受給者数が各年度とも非常に多く、退年相当を大きく上回っております。ただし、通退相当の1人当たりの年金額は低いということもあり、次ページ、59ページの年金額ですと、通退相当が退年相当を下回っているという状況でございます。
60ページの(3)財政見通しについてでございますが、収入、支出等の詳細については、基本ケースの財政見通しを記載しております。表のすぐ上にスライド調整期間終了年度時点の所得代替率が47.9%と、職域部分の年金があるにもかかわらず、厚生年金を下回っていることを示しております。これについては、私学共済の場合も所得代替率を算定する際の手取り総報酬総額が比較対象である厚生年金より高くなっていることが要因と考えております。
70ページに飛びまして、「5.安定性の検証に関する資料」についてでございます。
(1)財政指標の見通しのうち、71ページの?年金扶養比率の見通しについてですが、加入者数の減少に伴い低くなっていくものの、退年相当の年金者数が2052年度以降減少するため、2065年度からは逆に高くなっている状況であります。
次ページ、72ページの?総合費用率につきましては、加入者数の減少により分母の総報酬の伸びが小さくなるのに伴い高くなり、その後、年金者数の減少に伴い支出の伸びが小さくなっていくこともあり、低くなっております。
次ページの?独自給付費用率の見通しについても同様な傾向で推移しております。
次に、74ページの?収支比率の見通しです。掛金率の引き上げによる収入増で2029年度まで低下していくものの、最終掛金率到達後は、支出の増加により高くなっております。
次ページ、75ページの?積立比率の見通しについては、おおむね収支比率とは逆の傾向になっております。
飛びまして、78ページ、(5)私学共済年金の財源と給付の内訳についてでございます。
給付合計は25兆5千億円、うち過去期間に係る部分が13兆2千億円、将来期間に係る分が12兆3千億円となっています。財源は、基礎年金拠出金等の国庫負担3兆6千億円、積立金から得られる財源3兆4千億円、掛金収入は18兆6千億円となっております。
102ページに飛びまして、「7.職域部分を除いた場合の掛金率の将来推移」についてですが、左から3段目の?が掛金率であり、このうち職域部分を除く掛金率を左欄に記載しております。
また、?は基礎年金拠出金相当の掛金率で、この表のとおりとなっております。
103ページは「8.年金数理担当者の所見」についてでございます。
全体で3点記載しております。1つ目は、将来にわたって給付費や基礎年金拠出金等の費用を確実に支払い、年金財政の長期的な健全運営を図っていくためには、段階保険料方式に基づく掛金収入の確保はもとより、積立金やその運用収入の確保も重要であり、金利の上昇が見込めない中で、安定性を配慮しつつ、より一層の効率運用に努める必要があると考えております。
2つ目は、私学共済制度への再加入者の取扱いについては、実績データを統計上把握しているものの、基礎率の作成方法の修正やプログラム修正が複雑であり、大規模なシステム開発となることから、今回の財政再計算では修正を見送っております。
今後、公的年金制度の年金記録の情報共有などを活用し、基礎率作成のためのデータの処理、具体的な推計方法などの検討を踏まえ改善していきたいと考えております。
なお、再加入者の実績データについては、再加入前の期間を年金待期者分として、再加入後の期間を現役加入者分として取扱い、従来どおり将来見通しを計算しております。
3つ目は、私立学校の教職員数の動向については、私学共済の年金財政に与える影響が大きいわけであり、財政再計算における将来の加入者数の見通しに当たっては、十分な注意を払っていく必要があると考えております。
特に、私学共済は昭和29年1月に制度が創設され、当時、私学共済を安定させ、国共済、地共済と同様な形で運営していかなければならないことから、当時の私立学校や、加入者が、高い掛金率を掛けて基盤を安定させてきたという経緯もありますので、そういう背景をもとに、今後とも私学関係者、私学団体とよく話し合いながら検討していくことを考えております。
最後になります。104ページ「9.情報公開について」です。これも3点記載しております。
1つ目は、財政状況については、毎年度、決算数値を官報に公告するとともに、加入者向けの広報誌に掲載し、関係省庁、私学団体、各私立学校、各都道府県に対し送付するとともに、併せて財政状況等を掲載した私学共済制度統計要覧についても、同様な形で配付させていただいております。
2つ目は、今回の財政再計算結果及び掛金率の改定につきましても、全加入者向け及び学校法人向けの広報誌に掲載及び配付するとともに、事務担当者会議を開催し周知を図っています。
3つ目は、ホームページについてです。日本私立学校振興・共済事業団のホームページに掲載することにより、決算数値等の財政状況や財政再計算結果を私学共済加入者のみならず、一般の人々に対しても公開しているという状況です。
以上で説明を終わらせていただきます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。駒村委員。
○駒村委員
どうもありがとうございました。大変わかりやすい説明をいただいたと思います。
質問が2つほどありまして、1つは、5ページの加入者の見通しで、これは学齢対象人口に対する割合を一定に置いて、そのままずっと伸ばしていくというご説明で、なかなか不確実な要因もあり、様々なファクターで決まると。確かに、大学も進学率等で動くのかなと思う一方で、高校、中学、小学校というのは、これまでのデータを振り返っても、こういうことで説明が十分であるのか、安定した数字なのかどうか。この辺りは余り動かないのではないかという気がしますので、この指数が過去のものと大体同じような傾向が取れているのかどうか、この辺りを確認させて下さい。
もう一つは、これは比較になるのですが、情報公開についてです。先程の2つの共済は、具体的に何回、何号でこのぐらい財政再計算については情報を提供していますという具体的なリーフレットの掲載回数、内容が出ているのですが、こちらは漠然としているのが1点目です。もう1点は、組合の代表者に対する説明というのでしょうか、先ほどの2つの共済は、運営審議会というものも置かれているようでございますけれども、こちらの方ではそういう加入者とのコミュニケーションといいますか、ガバナンスにかかわる問題というのでしょうか、この辺りはどうなっているのでしょうか。その部分が、先ほどの2つの共済と比較すると説明が少ないかなと思っておりますので、教えていただければと思います。
○戸松私学共済室長
私学の学校種ごとに考えていったときに、大学の学生数の7割を私学が占めており、さらに幼稚園につきましては園児数の8割を私学が占めているという状況でございます。小学校・中学校・高等学校については逆に公立学校の学生が多くを占めている状況でございます。この大学と幼稚園につきまして加入者数が伸びている状況が起きております。この伸びている状況というのは、新しい学部の増設や新設の大学の増が起きておるわけでございまして、特に保健関係の大学が最近は伸びておりますし、幼稚園につきましては、少人数学級が増加しているというのが1つの要素と考えております。一方で、高等学校では私学の割合は2割から3割ぐらいという形になっておりまして、児童及び生徒の年齢の推移にある程度影響を受け、加入者数は若干減少する傾向にあります。また、小学校・中学校については、高等学校と比較して私学の割合が少なく同様に、減少傾向にあります。
一方、情報公開につきましては、大変申し訳ございませんでした、もう少し記載すればよかったのですが、勿論、私学事業団では共済運営委員会というものを年3回開いておりまして、特に年金の財政状況の関係については、それぞれのタイミング毎に説明しております。
また、共済運営委員会は、私学事業団の共済業務の適正な運営を図るため加入者代表、学校経営者の代表、それと有識者の3つのグループからそれぞれ大臣任命で選んでいるわけでありまして、委員会できちんと説明した後に、広報等で周知しております。しかし、それでも加入者に対して十分な周知がされないということもあり、広報等以外の内容を具体的に記載したというのが、今回の状況であります。
○山崎部会長
ほかに。では、野上委員。
○野上委員
ありがとうございます。4点ほど質問させていただきたいのですが、まず、先ほど国共済にお聞きした点ですが、基礎年金の拠出金で、例えば定率負担というような考え方をもし適用したときに、財政上どのくらい影響があるのかという点について、もし数字をお持ちでしたらいただきたいというところです。
それと、財政状況は大変いいということで御同慶の至りなのですが、その前提として、過去の掛金が高いというのは置いておくとして、幼稚園の先生の影響、それと70歳定年という2点について、今いろいろな制度の見直しがあらゆる方面でかけられているのですが、例えば幼保一元化とか、あるいは大学に対しての補助金を絞るというような動きもあるやに聞いておりますが、その辺りで、例えば大学によっては70歳定年を見直しているという動きもある中で、こういう長期のシミュレーションをするときに、その辺りの前提でリスクシナリオを置く必要があるのではないかという気がいたします。
もう一つは、これは逆に、将来の制度見直しの中で、例えば総報酬という把握で、対象の総報酬額という中で、例えば大学の先生とかでテレビによく出ておられる方の収入とかは、多分入っていないと思うんですよね。その辺りは、大学によって取扱いが違うのかもしれませんが、ある程度把握されておいた方がいいような気もいたします。
以上、4点です。
○戸松私学共済室長
それでは、私の方で説明させていただきますが、不足する部分は私学事業団から補足させていただきたいと思います。
拠出金につきまして、財政状況的には、拠出金と交付金との関係を考えたときに、制度がまだ完全に成熟していないというのが私学共済の現状と考えれば、拠出金の割合というのは、全体を見込んだ中でのそれぞれの数に応じてやっているわけでありまして、やはり年金受給者の数が少ない分、交付金の額も少ないということもありますから、拠出金を定率負担にする影響は、私どもそんなに大きくなるとかということは考えていないところですが、後ほど事業団の方からも御説明させていただきたいと思います。
更に、幼稚園では、幼保一体化とか、大学の70歳の定年の見直しをしているのではないかと。国立大学法人の定年年齢を見ますと、法人化後に60歳定年がかなり変化してきていることは事実でありますけれども、大学全体から見たときに、私学としてもよりよい先生に来ていただきたいという気持ちも強いわけですので、やはり、国立大学法人等で頑張られた教員や研究者等に私学でも是非研究成果をというようなこともあり、この傾向は多分変わらないのではないかと考えております。
○野上委員
いや、立派な先生に来ていただくというのはいいのですけれども、要は、お金がないと来ていただけないわけで、お金の方が絞られるのではないかと。
○戸松私学共済室長
確かにおっしゃるとおりでありまして、私立でも大学は500校以上あることから、各々の財政状況にも違いがありますので一概には申し上げられませんが、平成19年度と比較した場合に、トータルでは少し定年年齢が若返っている状況でございます。今後とも、各大学において財政状況に応じて対応していくことになると思います。
○野上委員
申し上げているのは、どうなるかわからないという場合は、リスクシナリオのような考えで、もしこれが、前提が変わったらどのぐらい影響があるかというのは、見ておく必要があるのではないかという趣旨です。
○戸松私学共済室長
わかりました。検討させていただきます。
それから、将来、総報酬を把握すべきではないかと、先生のおっしゃるとおりなのだろうと思いますが、しかし、私学は、民間企業的な部分もあるわけでして、そこまでできるかどうか、必要なのだろうとは思いますけれども、鋭意検討させていただくということでお許しいただければと思います。
○野上委員
民間企業は、実質、兼職禁止ですよね。
○松澤数理統計室参事
私学事業団の松澤でございます。基礎年金拠出金の定率制について補足説明をさせていただきます。
資料の102ページをごらんいただきたいのですが、こちらの?の欄に基礎年金拠出金を掛金率に直すといかほどになるかというような数字が並んでおりまして、こちらを見ていただきますと、先ほどの定率制で負担したらというのが大体の見当がつくのではないかということで、こちらを見ますと3%から4%で安定しているということで、定率制になったとしても、この程度で財政的には運営できるのではないかというようなことが言えるという数値です。
以上です。
○野上委員
私が言っているのは、全体の率を、例えば厚生年金の負担率というのは、多分同じような数字が、若干高いかもしれませんが並ぶと思うので、それに合わせたらどうかという話です。
○松澤数理統計室参事
わかりました。すみませんでした。
○山崎部会長
林委員。
○林委員
この資料の5ページでございますが、先ほど学齢対象人口ということでお示しになりまして、これは、要するに在学中というような意味でございますね。それでちょっと驚きましたのが、右から3つ目ぐらいに特別支援というものがございまして、これは昔、養護学校と言っていたものですね。これが2,200万人もいるのですか。
○松澤数理統計室参事
特別支援の下の欄をごらんいただきたいのですが、対象年齢が3歳~21歳と幅広く取っているために、母数が大きいという形で表示しております。
○林委員
しかし、いずれにしても、国民の5分の1が養護学校に。
○松澤数理統計室参事
この年齢にいる方がこの人数だということで、あくまでも特別支援の生徒というわけではありません。将来推計人口の年齢別の中から、3歳から21歳までの合計を持ってきているだけで、特別支援の生徒の数字ではないということであります。
○林委員
数字ではないと。横の方とバランス、ほかの数字とバランスが取れていないわけですか。
○松澤数理統計室参事
ただ、横のバランスは、結果として出てきたものを集計しておりますので、横の関係は、この推計の上では、学種ごとにやっておりますので関係ないということで、こちらを基礎としております。
○林委員
更にちょっと、物の本では、特別支援というか、いわゆる障害者という人は、特に若い人は結構今、いじめとかが増えているというような話を聞いたんですね。これは、恐らく今後の推計は、人口が減るに従ってかけていくものですけれども、その辺りのお考えはいかがでしょうか。実際これはデータがないのでしょうが。
○松澤数理統計室参事
おっしゃいますようにデータがありませんので、なかなか見込むのが難しいということで、単純にこちらの比率で落としております。
○林委員
わかりました。
○山崎部会長
では、田中委員。
○田中委員
2点ほどございます。1点は、現在私学共済に加入している大学あるいはその他学校ですが、すべての私立大学が加入しているわけではなく、例えば慶應とか早稲田などは入っていないと聞いておりますが、新設の私立学校というは必ず加入しなければいけないのか、あるいはしなくてもいいのかとか、あるいはその他の私立で中・高もあると思いますが、どういう加入要件になっているかということを教えてほしいということです。
その理由は、今後、組合員数がどうなるかということと密接に関係すると思いますので、強制ではないとすれば、それをどういうふうに見込んだらいいかということについてのお考えをお聞きしたいということが1点です。
それから、2点目は、7ページですが、年金定期便・特別便の送付等ということで、これは、厚生年金については元の社会保険庁の時代から実施されているのですが、私学共済としては独自に何か取組みをされているということなのでしょうか。
この2点です。
○戸松私学共済室長
まず、私学共済に私立大学が全部入っているかという話でありますが、確かに制度ができた昭和29年、更には昭和49年と、それぞれ私学共済に入ることについて、全私学に対してお声がけはしております。ただ、そういう中で、先生が今おっしゃったような、早稲田、慶應等の私学については、入っていないところも確かにあります。早稲田にしても慶應にしても、厚生年金に入っており、またその他に学内年金という形で運営しているというのは、多分御承知と思いますけれども、そのような状況であります。
ただし、この法律の施行以降につきましては、法律ですべての私学が共済制度に強制加入するということになっておりますので、これからできる私学で入らないということはあり得ないという仕組みをつくっているということです。
○田中委員
それと、年金定期便はどうですか。
○戸松私学共済室長
年金定期便につきましては、私学共済も60歳到達前の方、更に58歳の方と、それぞれ年金定期便という形で対応させていただいているというのが現状です。
○田中委員
その場合、厚生年金からも来る、両者から来るような格好になるのでしょうか。チェックというか。
○佐藤私学共済室室長補佐
そのとおりであります。
○田中委員
わかりました。
○山崎部会長
では、佐々木委員。
○佐々木委員
1点だけ御質問ですが、数理担当者の所見で、最終ページに、運用の面で「安全性に配慮しつつ、より一層の効率運用に努める必要がある」とあります。これはおっしゃるとおりだと思うのですが、この再計算というか、こういう契機に具体的な検討点が何かありましたら、コメントをいただければと思います。
○戸松私学共済室長
私学共済でも積立金の運用につきましては、やはり基本ポートフォリオを策定しておりまして、運用利回りは2.1%で設定しておりました。ただ、運用にあたっては、運用そのものがリスクが高いものについて手をつけない形で安全な運用を行っているところでありまして、特に昨今、デリバティブ運用とかを行っている私立学校がありましたが、そういう形については一切やらないということと、併せて、それぞれ運用機関に対しては適切にその都度評価しまして、その評価結果に基づいて運用そのものを見直すなど、安全性を確保して行っているところです。
○山崎部会長
それでは、以上で私立学校教職員共済制度の財政再計算結果等についての報告の聴取を終了します。
報告者の方々には、お忙しい中、ありがとうございました。
(私立学校教職員共済制度関係者退席)
○山崎部会長
最後に、前回の部会で委員より要求のあった資料につきまして、厚生労働省で資料を作成していただいておりますので、その説明をお願いします。
○安部数理課長
年金局数理課長でございます。
前回のこの部会で御要望がありました資料などにつきまして、2点ほど、追加資料として資料4ということで提出させていただいておりますので、簡単に御説明いたします。
まず、1番目でございますが、「労働力率の見通し」ということで、今回の平成21年財政検証の前提となっている労働力率、これは年齢別にどういう見込みになっているかということについて御質問がございましたので、1ページ、2ページにグラフ、そして3ページには、そのもととなりました数字をお示しいたしております。
1ページ目の男女別に分けておりますが、男性で見てみますと、高齢層、それから若齢層のところで上昇していくと見込んでおり、女性につきましては、下にございますが、全年度にわたって上昇を見込んでおります。
また、女性につきましては、2ページ目には有配偶、無配偶別のグラフもお示ししておりますけれども、それぞれ上昇していくということを見込んで財政検証を行っているというのが1点目でございます。
2点目、4ページ、5ページで、まず4ページでございますけれども、国民年金につきまして、仮に未納が増加した場合に、それぞれ財政影響はどうなるかということで、結論といたしましては、下にありますように、それほど大きな影響は、財政面だけ考えると限定的であるという御説明をいたしましたが、その辺りの構造をお示しした資料です。これは下の注の出典にもございますが、平成19年第6回の年金部会で提出させていただいた資料ですけれども、今回提出させていただいております。
この図の見方でございますけれども、左側にありますのが現在の状態を想定して、そして、それが将来にどういう影響を与えるかということですが、ここの長方形で枠を4つほどつくっております。この長方形の面積が基礎年金拠出金の総額を表しております。そして、この横軸、幅の部分というのが基礎年金を算定するときの拠出金算定対象者数を横軸で表しております。縦軸が、その総額を算定対象者数で割りました1人当たりの拠出金というような2つの軸に分けて示した図でございます。
左上が出発点として考えて、こういう状態であったときに、この状態で未納が増加するとどうなるかということで、現在、左側の欄の下をごらんいただきたいのですけれども、そういたしますと、この国民年金制度の方の拠出金算定者数が減ります。その結果、左側の縦軸が少し右側に寄ることになります。ただ、賄わなければならない基礎年金拠出金の総額というのは変わりませんので、その減少分を補うために、この縦軸の方、1人当たり拠出金を増加させることによりまして、面積そのものは変化しないように調整を行う。そういうのが現時点で行う状況でございます。
その結果としてどういうことになるかといいますと、この被用者年金制度分というところをごらんいただきますと、少し上に網かけの部分がございますけれども、この部分が被用者年金制度の支払う拠出金として、現時点でまず一旦増加をするものです。
財政に与える影響としましては、この2分の1は国庫負担がつきますので、残りの2分の1の分というのが、この被用者年金制度の収支を悪化させる要因、積立金が少し減るという要因になります。
総額が同じですので、この部分、被用者年金制度で増加した分、国民年金制度が負担する分は減るわけですけれども、ただ、その一方で未納が増加するということは、保険料収入が減るというマイナス要因がございますので、国民年金制度の方の収支は若干悪化します。そういう意味で、未納が増加することによって現時点で起こる影響というのは、国民年金制度、被用者年金制度全体が、それぞれ少しずつこの収支の悪化影響というものをまず現時点では受けることになります。
それが将来どうなるかというのは、今度は右の図でございますけれども、現時点での未納が増加するということは、将来給付が減少することになります。そうしますと、基礎年金拠出金というものが減少するわけでございます。そういたしますと、将来において国民年金制度、そして、被用者年金制度それぞれが負担する拠出金というものが減少することになります。これは、この右下の図の網かけの部分、この部分だけ国民年金制度、そして、被用者年金制度、それぞれ拠出金として負担する部分が減ることになります。
そういうことで、現時点で一旦収支が悪化するわけですけれども、それが将来においては今度は逆に回復するということで、その間、この積立金をバッファーとするわけですが、そのバッファーとなる積立金というのは、こういうメカニズムがありますので、国民年金だけではなくて、被用者年金制度全体を含めた公的年金制度全体の積立金がバッファーとなるという仕組みになっているということでございます。そういうこともありますので、この未納による財政影響は、ないわけではありませんけれども、限定的であるということでございます。
では、どれくらい定量的に影響があるかというのが、最後の5ページにお示しした表でございますけれども、財政検証では80%ということで想定いたしておりますが、例えば一番下にありますこれが60%と仮定した場合どうなるかということですが、最終的な所得代替率が、基本ケースでは50.1%と想定していますが、それは約1ポイント程度減少するという見込みを出してございます。
簡単ではございますが、以上でございます。
○山崎部会長
野上委員。
○野上委員
先週、私が質問したこともありますので若干質問させていただきますと、先週も申し上げたのですが、将来的には給付も減りますので影響はそんなに大きくないというのは十分理解できるのですが、足元は、単に保険料が減るということですので、例えば、あってはならないのですが、国民年金部分の積立金がなくなるとか、そういうような足元のリスクはないかという質問をしたということでございます。
○安部数理課長
そういう意味で、国民年金だけで全部を背負うとするとかなりリスクというのはあると思いますが、こういうメカニズムで、被用者年金制度も含めて全体の百何十兆という積立金がバッファーとしてカバーいたしますので、例えば途中で枯渇するというようなことはないと考えております。
○山崎部会長
田中委員。
○田中委員
今、財政面の影響だけお話されたのですが、実際にはそういう低年金者、無年金者が増加することは、生活保護とかほかの財源を支出することになるので、社会保障制度全般としてどういう効果が、影響があるのかという視点でものを考えなければいけないと思いますので、決して未納が増えることがいいことではないということと、それから、年金だけではなくて、年金以外の支出がどういう影響があるかということについても分析していただきたいと思います。これはすぐできることではないですが、お願いしておきたいと思います。
○山崎部会長
よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。
これで各制度の聴取がすべて終了いたしました。
今後の取扱いですけれども、これまで聴取した財政再計算結果等について検討しまして、年金数理部会として公的年金制度全体の財政の検証を行い、その結果をまとめた報告書を作成していきたいと思います。
本日はこれで終了します。どうもありがとうございます。
- 了 -
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