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2011年2月18日 医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会(第5回) 議事録
○日時
平成23年2月18日(金)15:00~17:00
○場所
厚生労働省 専用第23会議室(19階)
○議事
○臨床研修専門官 定刻となりましたので、ただいまから「医道審議会医師分科会医師臨床研修部会」を開催いたします。山下委員、西澤委員からは少し遅れるとの連絡をいただいております。また、桐野委員、河野委員、冨永委員は本日所用によりご欠席との連絡をいただいております。先生方におかれましては、お忙しい中をご出席いただきまして誠にありがとうございます。それでは議事の進行に入らせていただきます。相川部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○部会長 まず、資料の確認について事務局からお願いします。
○臨床研修専門官 お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席表、資料1は「臨床研修に関するパブリックコメントについて」、これは別添でA3の大きな紙を付けさせていただいております。資料2は「今後のスケジュール(案)について」。資料3は「基幹型臨床研修病院の施設数・研修医受入実績等について(病床規模別)」、資料4は「臨床研修病院群の構成について」、資料5は「地域枠の状況」、資料6は「小川彰委員提出資料」。参考資料として「『医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について』に関する意見の募集について」、これはパブコメの概要です。先生方のお手元には「文部科学省の医師不足対策」として、冊子の資料を付けさせていただいております。何か不足等ございましたら、いつでも結構ですので、事務局までお申し付けください。引き続き、部会長よろしくお願いいたします。
○部会長 それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は、1「平成24年度以降の臨床研修における対応について」、2「その他」となっております。前回の会議では、平成24年度以降の臨床研修における対応等についてご議論をいただき、いただいたご意見を踏まえまして、当部会の意見を取りまとめました。その後、厚生労働省において、臨床研修に関する省令の施行についての一部改正案を作成いたしまして、パブリックコメントを行いました。本日は、事務局よりパブリックコメントの意見と、その意見に対する考え方について説明を受け、その後、平成24年度以降の臨床研修における対応について、改めて審議したいと思います。
また、前回までの審議におきまして、各委員からさまざまな資料のご要望がありました。その中からいくつかの資料について、事務局のほうで、今回できたものがありますので、議題2の「その他」のところで、それらについても事務局より説明を受け、議論をしたいと思います。資料1「臨床研修に関するパブリックコメントについて」につきまして、事務局より説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 資料1によりまして、臨床研修に関するパブリックコメントについてご説明をいたします。1月にこの部会で意見の取りまとめを行っていただきました。それを踏まえましてパブリックコメントを行っております。パブリックコメントの詳しい資料は、参考資料に付けております。その中で、特にこの部会の意見の取りまとめというのは、参考資料の7頁にあります。
その結果、寄せられた意見は合計142件(団体8件、都道府県7件、その他127件)です。その意見の概要と考え方につきましてご説明いたします。A3の資料の別添になります。
「募集定員に係る当面の取扱い(激変緩和措置)への対応について」につきましては、全般的なことにつきまして、「激変緩和措置の継続について賛成する」というご意見。「研修医の定員が都会に有利になる激変緩和措置廃止に賛成」、これは継続には反対というご趣旨ではないかと思いますが、そういったご意見です。また、「激変緩和措置は、可及的速やかに廃止を行っていただきたい」「激変緩和措置を延長すべきではない」「激変緩和措置は廃止をして、地域の実情に応じた運用とすべきである」などのご意見をいただいております。募集定員につきましては、「激変緩和措置は是非とも継続していただきたい」というご意見や、募集定員の上限、県で定められた上限を上回っている所がありますので、「こういった問題への対処が必要である」といったようなご意見がありました。
これに対しまして、厚生労働省の考え方を右側にお示ししております。募集定員に関する激変緩和措置につきましては、地域医療に与える影響を勘案して設けられております。現時点の試算では、激変緩和措置を継続しても、都市部の都府県の募集定員は抑制される見込みです。県からのヒアリングやアンケートの結果、大学病院の医師派遣等の状況を踏まえると、激変緩和措置の廃止は、都市部やその周辺の都府県の地域医療の確保に与える影響が大きいと懸念されます。以上のことから、平成26年度の臨床研修まで継続することとし、次回の医師臨床研修制度の見直しの際に廃止するということとしております。なお、地域医療に混乱をもたらすことなく円滑に廃止できるよう、次回の制度の見直しに向けまして、地域における臨床研修病院群の形成を促進するとともに、研修の実施状況、地域医療の状況等を踏まえた募集定員の設定方法について検討を行うこととしております。
募集定員に関しては、1頁の最後の行、「激変緩和措置の廃止については異論はないが、地域の実情に鑑みて、都道府県と病院と協議の上で設定できるよう検討をお願いする」というご意見もありましたが、これにつきましては右側にあるように、現在においても、都道府県は募集定員の上限を超えない範囲で、研修の募集定員について必要な調整を行うことが可能という取扱いになっております。
2頁は、都道府県別の募集定員の上限についてのご意見です。「激変緩和措置の継続は、一定の評価はできる」というご意見。あるいは「激変緩和措置の継続に賛成」といったご意見です。また、「募集定員と医学部卒業生のギャップについて、一挙に縮めようと思えば、研修医にとって不本意な地域で研修を受けるような場面が出てしまう」というご意見。また、「地方は高齢者の割合が多いので、そういったものを考慮したり、面積も勘案したりすべきではないか」というご意見。あるいは「人口10万人当たりの医師数が全国平均を下回るような所では上限を設定しないこと」といったようなこと。「都道府県の上限の算定方法については、議論の余地があるということで、定員上限の枠外とするような取扱いを自治医大の卒業生や地域枠に設けてほしい」といったようなご意見がありました。これについての考え方につきましては、先ほどと同様の考え方をお示ししております。以上が、激変緩和措置への対応についてのご意見と、意見に対する考え方です。
「その他」はパブリックコメント以外につきましてご意見をいただいております。募集定員につきましては、「募集定員の上限はプログラムの評価に基づいて行われるべきであって、医師の地域偏在対策として行われるべきでない」とか「都道府県といっても医師は不足状態であるので、県単位の上限を撤廃してほしい」といったご意見。3頁、上から2つ目にあるように「臨床研修制度の目的は、医師の資質向上であり、制度の趣旨に上限設定はそぐわないため反対である」といったような募集定員の上限設定そのものの是非についてのご意見がありました。「研修医の受入実績の年数を長くすることはできないか」、これは募集定員の算定方法についてのことです。「受入数を教育のキャパシティーから考えて決めるような制度が必要である」など、募集定員の算定方法についてのご意見などがありました。これにつきましては、右側にあるように、次回の制度の見直しに向けて、研修の実施状況、地域医療の状況等を踏まえて、募集定員の設定方法について検討を行うという考え方をお示ししております。
4頁、「その他」の項目で、指定基準についてもご意見をいただいております。1番目のご意見は、「臨床研修病院の指定基準を満たしていない病院につきまして、平成24年度以降の募集も引き続き可能になるように、再検討を要望する」、これは受入実績のある病院のことです。2番目の「入院患者3,000人以上の指定基準は撤廃すべきである」。「3,000人以上という激変緩和措置も、次回の見直しまで延長すべきである」。あるいは「研修のできる病院を規模のみで狭めることは決して許されない。指定要件は、あくまでも到達目標に照らした研修内容・質でこそ評価されるべきである」といったようなご意見がありました。これに対しては、右側に考え方を整理しております。平成21年4月に行った臨床研修制度の見直しでは、基幹型臨床研修病院の基準を強化して、研修医の受入実績がある場合などには、指定を継続するという激変緩和措置を設けております。これは平成24年度から研修を始める研修医の募集まで継続した後、廃止するということにしております。今後は、臨床研修の実施状況、地域医療への影響などに関して、実態把握や論点整理を行った上で、指定基準を含めた制度全般の見直しに向けた検討を進めるというよにしております。
全体のその他として、「医師臨床研修制度については、もっと中身を論じられるべきで、プライマリ・ケアを学ぶといった根本概念を大きく崩してしまった見直しを反省すべき」といったご意見や、「医学部教育と臨床研修との連携の促進には、保健所、福祉施設での研修を取り入れる」ということ。「基礎・臨床医学の研究をする人が、制度の変更後、極端に減ったので、研究に真剣に取り組む経験を積んだ理解の深い医師を増やす工夫をしてほしい」というご意見がありました。これに対しては右側にあるように、今後の制度の見直しに向けた検討に当たりましては、研修医の基本的な診療能力、受入病院の指導体制などを評価して、検討を進めることとしております。関連する医学教育の実施状況を把握するということもしていきます。なお、保健所や福祉施設での研修は「地域保健」の研修としてプログラムに取り入れることは可能となっております。医師の進路(診療科や基礎医学など)に与えた影響につきましても評価するということとしております。以上のような考え方を整理しております。
今回行ったパブリックコメントの概要としてのご意見と、その意見に対する考え方をご説明いたしました。以上です。
○部会長 ありがとうございました。ただいまご説明のありました資料1「臨床研修に関するパブリックコメントについて」に関して議論したいと思います。事務局からの説明に対する質問も含めまして、委員の皆様におかれましては、どうぞ積極的に、ご自由にご意見をいただきたいと思います。パブリックコメントの数は、前回と比べていかがだったのですか。少なめですね。
○医師臨床研修推進室長 平成21年度の見直しのときには、3月にパブリックコメントを行っておりまして1,241件です。これは2年前です。昨年は、指定基準に関する激変緩和措置などについてパブリックコメントを2月に行って470件で、今回、142件ということです。
○部会長 ありがとうございました。142件ですが、いろいろな観点から、あるいはお立場からの意見をいただいております。いかがでしょうか。
○山口委員 上から2番目の「研修医定員が都会に有利になる激変緩和措置廃止に賛成」というのは、これだけの意見で、「個人・病院」で71件と数多くありますが、これは約半分ぐらいで、ほかの意見には非常に多くの内容があるのですが、ここは賛成というだけのご意見だったのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 これは全国的に、いろいろな地域から寄せられた意見というよりは、一部の地域の病院の中の関係者の方がご意見を寄せられているという状況です。
○部会長 確かに142のちょうど半分ですが、地域のことは言わなくていいのですが、特定の都道府県、あるいは二次医療圏から71件のうち多くが来ていると。
○医師臨床研修推進室長 そのとおりでございます。
○部会長 かなりの多くですか。
○医師臨床研修推進室長 はい。
○部会長 例えば、半数以上とか。
○医師臨床研修推進室長 半数以上がそうです。
○部会長 半数以上が特定の所から来ていると。その地域では、そのような必要があるということなのでしょうかね。いかがでしょうか。そうすると、賛成と反対というか、いろいろな意見はありますが。
○三上委員 基本的には数があって、全国的にどういう傾向かということを見るのが難しいのですが、いわゆる組織票的なある地域だけで固まってくるということになりますと、この数からいくと、どちらかというと緩和措置の継続に反対のように読めるのですが、1カ所からたくさん出ているということを勘案して、それを是正すればどういう形になるのか少し教えていただけませんか。
○医師臨床研修推進室長 資料をお持ちいたしますので、そのほかのご意見をお願いします。
○部会長 確かにこの71という数だけ見ますと、非常に影響力が強いですので、いま組織票ということもありましたが、そういうことになっているかどうかによって、措置の継続に賛成の14と、継続廃止に賛成ですから、継続には反対の71というところを少し見究めたいと思いますので、資料を出していただきます。その間に、ほかにご意見はございますか。中島先生、どうぞ。
○中島委員 激変緩和措置の廃止に賛成とあるのですが、これは直ちに廃止という意味ですか。こちらが言っているように、何年度に廃止と言っていることに賛成なのですか。それはどちらなのか、全然意味が違うのですが。
○医師臨床研修推進室長 それにつきましても、正確な表現を後ほどご紹介したいと思います。
○部会長 確かにそのようなところは、考え方が違ってくるかもしれません。そのほかにいかがでしょうか。全般的なこと、さらには病院の募集定員についてのこと。全体のことでは随分いろいろな意見をいただいております。差し当たっては、まずは、激変緩和措置の左のところでグリーンに色分けがしてありますが、まずはそのご意見をいただいたあとで、その他について、そもそも論のようなところのご意見をいただいておりますので議論したいと思います。資料は出そうですか。
○医師臨床研修推進室長 もうしばらくお待ちください。
○部会長 わかりました。まず全体的なことについて、さらにご意見はありますか。いろいろなお考え方は確かにあるかと思いますが。その次に多かったのが16件でしょうか。「制度見直しの中身の検討はこれからであるのに、募集定員に関する激変緩和措置を2年延長の後廃止すると断じているのは問題であると。国としての医師増員の方向に舵を切り、今後は増員された医師の研修を具体化する局面であるにもかかわらず、募集定員を抑制基調に固定化するという情勢に逆行する施策とも読み取れる」、このような意見が16件ということですが。2年延長の後に廃止すると断じているのは問題ということは、激変緩和措置をさらに続けろということですね。山口先生、どうぞ。
○山口委員 本当に知りたいのは、激変緩和措置の影響が大きい所ではどういう意見があって、そうでなくて、その影響をあまり受けない所ではどういう意見があるか、ということかと思います。激変緩和措置の影響の大きい都市部と、そうでない所で数だけの比で言うと、この比率になってしまいますから、その辺が激変緩和措置を受ける所で、それはどう受け止められているのかをいちばん知りたいと思います。
○部会長 そのことも含めて、まず71件について説明してください。
○医師臨床研修推進室長 ここの71件は、ある県の病院、大学病院も含めて同じ県ですが、それが出てきております。71件の内の数は後ほど数えますが、ほとんどそうですが、「研修医の定員が都会に有利になる激変緩和措置廃止に賛成いたします」という表現です。理由は「この県を含む地方の現状は、研修医不足が明らかにきっかけとなって、医師不足が生じており、医療崩壊状態となっているためです」というご意見です。
○部会長 激変緩和措置は、いま廃止したいというようなニュアンスですか。それとも今回決めたように、平成26年までに廃止することに賛成なのかどうかというのは、先ほどの中島委員の質問ですが。
○医師臨床研修推進室長 表現は、先ほどの資料別添に書いてあるとおりなので、どちらのことを言っているかというのははっきりはいたしません。流れからすれば、継続そのものに反対という趣旨ではないかと思いますが。
○部会長 71件というのは、特定の都道府県ですかね。
○医師臨床研修推進室長 71件はすべて同じ県で、同じ表現できております。
○部会長 わかりました。それは前に言った都市部と、都市部でない所と分けるとどちらでしょうか。県の名前はまだ特定しないということですか。
○医師臨床研修推進室長 九州の、福岡ではありません。
○部会長 福岡ではないということですね。わかりました。ありがとうございました。大体、そういうところでございます。71件が全部1つの県からであったということです。そうすると、ほかの都道府県では、そのような意見はなかったと逆に解釈できるかもしれません。ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。
○三上委員 大体わかりましたが、いまのは確かに中島先生が言われたように、2年延長することはいいけれども、その先廃止するのだったら賛成だというニュアンスですよね。ほかのところで「可及的速やかに」とかいろいろ書いてあるのは、別の県が別の言い方で書かれているのだろうと思うのですが。先ほど山口先生が言われたように、16票入っている「逆行する施策とも読み取れる」という、逆に永遠と緩和措置を続けろということについて、非常に影響を大きく受ける東京、神奈川、愛知、大阪、京都、福岡と、少しだけ影響を受ける兵庫、熊本、沖縄と、それ以外の3つの群に分けて、16票のうちの内訳を教えていただけないでしょうか。
○部会長 その内訳を計算していただきますが、その間にほかの意見でよろしいですか。何かございますか。特にそれに関連しての意見、全般について、いかがでしょうか。よろしいですか。
○医師臨床研修推進室長 先ほど団体8件と、都道府県7件と申し上げましたが、都道府県は県庁として出された意見ですので、そういったところをご紹介いたしますと、来ているのは7件です。例えば、新潟県におきましては「激変緩和措置を平成24年度から廃止する」というご意見です。長野県におきましては「全国平均を下回る医師不足県において上限を設定しないこと」、そもそも論的なところが意見としてありました。
滋賀県については「激変緩和措置については引き続き実施されたい」というご意見です。「研修医の適正配置への誘導に配慮した運用をされたい」といったようなご意見です。京都府については、都道府県の上限に影響が非常に大きい所ですが、京都府からは「募集定員の設定は研修受入機能等を基本的に勘案されるもので、人口や医学部定員を基に機械的に算定できるものでなく、現行制度の課題、問題点の検証を先行すべきものと考えます」等々のご意見です。
また香川県については「基幹型臨床研修病院の指定基準を満たしていない臨床研修病院につきまして、平成24年度以降も募集が可能になるように再検討を要望する」といったようなご意見です。福岡県については「上限設定をすることにより、研修医の適正配置を目的とすることは、臨床研修制度の趣旨にそぐわない。そもそも募集定員の上限設定に反対である」というご意見です。鹿児島県については「臨床研修病院の募集定員に係る激変緩和措置については、速やかに廃止していただきたい」ということで、都道府県として出されたものは、いま申し上げた1府6県ということです。それに対して、個人、あるいは病院のほうからそれぞれ出てきているのがいくつかある状況です。
○部会長 そういう状況ですが、いかがでしょうか。それぞれの地域、都道府県を反映したご意見かとも思います。立場を反映しているかとも思いますが。おおむね、前に決めたように平成26年度の臨床研修まで継続して、次回の見直しの際に廃止するという方向でも良さそうかとも思いますが、いかがでしょうか。ここで結論を出すわけではなくて、さらに次の「病院の募集定員について」もよろしいですか。さらにそもそも論をいただいて、ここではそもそも論を本日は議題として、これは非常に参考になることですが、「その他」のところではいろいろなご意見をいただいております。一部はすでにこの委員会でもこのような意見も出ていたことを踏まえて、今回の対応について検討していくところですが、よろしいですか。大体、パブリックコメントについてはそのような理解をしていくということですが、先ほどのデータがでましたか。
○医師臨床研修推進室長 先ほどの16件についてご説明できればと思いますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
○部会長 小川先生のあとの次のところで、資料も含めてご説明いただくことになります。
○小川(秀)委員 それでは座長の申された意見に賛成だということを申し上げます。傾向だけ確認したいのですが、パブリックコメントの件数は平成21年が1,241件、平成22年2月が470件、今回が142件です。パブリックコメントを寄せるということは、提言された内容に対して「物申すことあり」というような傾向が一般的に認められるのではないかと思うのですが、その傾向をチェックしていただきたいと思います。
今回は142件という総件数ですが、上から2番目は71件で、ちょうど真ん中であと71件で、ちょっと拾い読みすると、おおむね賛成であるというのが6割ぐらいの感じです。したがって、1つの県のある病院の方々の本当の真意を十二分に好意的に解釈してあげて、何か考えられる手はないだろうかということを懸案として残すぐらいの配慮をしてはと考えます。総論的にはおおむね本委員会が提言したことに対しては賛成であると捉えていいのではないかと思います。
○部会長 ありがとうございました。大体、パブリックコメントの場合には、賛成するというパブリックコメントというのは比較的少なくて、やはり、反対とか、こうしたらどうだという提案とか、そのようなものが寄せられるのがパブリックコメントですが、それを勘案しても、前回決めたような方向でいってもよろしいかなと座長も理解しております。先ほどの16件について多少出ましたか。
○医師臨床研修推進室長 先ほどの16件については、基本的に都市部の地域の方のご意見で、福岡の方が7件で半分近くです。東京、神奈川、千葉が1件ずつと。つまり、廃止するというのは困るという趣旨ではないかという都会の方のご意見だと思います。
○部会長 福岡が7件ですと16件の約半分ということですね。福岡の事情がおありになるのだろうと思います。「激変緩和措置」という言葉自身は、永遠に続けるものではないというスタンスで作ったわけですが、それを廃止するのは困る、しないようにというような意見ということですね。これにつきましては、次回の見直しのときにさらに検討できますので、差し当たって当面は、平成26年度の臨床研修まで継続すると。次回の医師臨床研修の見直しの際に廃止するということではありますが、これから見直しはいくわけですので、そのときに強いご意見をいただいた場合には、これから検討をしていって、次回に関しては、遅くとも平成26年3月までにはどのようにするか決めておかないと。できれば平成25年末ぐらいまでには決めておくということで、今後の議論を続けていただくということでよろしいですよね。
大体、意見がそのようですが、そのほかにご発言はありますか。よろしいですか。
(特になし)
○部会長 それでは貴重なご意見をありがとうございました。平成22年度の臨床研修における対応につきましては、1月12日に取りまとめた意見の内容でご了承をいただけたと思います。本部会の意見に沿って、厚生労働省で今後の手続を行っていただきたいということですので、よろしくお願いいたします。事務局から何かありますか。
○医師臨床研修推進室長 結構でございます。いまお話のありました方向で、関係の通知の改正を行ってまいりたいと思います。以上です。
○部会長 それではそのようにお願いいたします。次に資料2の「今後のスケジュール(案)について」、事務局より説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 資料2の「今後のスケジュール(案)について」は、本日、研修部会がありまして、3月には、いま申し上げた関係の通知の改正や、都道府県への説明を行います。4月以降は、昨年と同じようなスケジュールになっておりまして、病院からのプログラム変更届出が4月末、新規指定申請の締切が6月末、プログラムの審査、内容確認、あるいは各病院で研修医の面接を行うのが7月~9月になります。マッチング協議会のほうで9月15日から希望順位の登録の受付を開始するということが示されておりますので、こういった流れになるのではないかと考えております。
○部会長 ただいまの説明に関しましてご意見、ご質問はございませんか。よろしいですか。それではこのスケジュールで進めるということで、ご異議はございませんか。
(異議なし)
○部会長 それではそのようにさせていただきます。事務局にはこのスケジュールで進めるようにお願いいたします。
続きまして、議題2の「その他」に入りたいと思います。資料3の「基幹型臨床研修病院の施設数・研修医受入実績等について」から資料5の「地域枠の状況」について事務局から説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 まず、資料3につきましてご説明いたします。これまで委員の先生方からご要望をいただいたもののうち、整理ができたものをお示ししております。資料3は、基幹型臨床研修病院の施設数や研修医の受入実績等を病床規模別に整理したものです。注にもありますように、平成22年度から研修を開始する研修医についてまとめたもので、受入実績は平成22年度の1年次生を対象にしております。大学病院も含んでおります。
真ん中の所が、基幹型臨床研修病院の全体の状況で、病院数と募集定員を整理しております。右側が、研修医の在籍している基幹型臨床研修病院の状況です。病院数を見てみますと、大体300床から400床未満の病院が25.3%と約4分の1を占めております。募集定員や受入実績については、600床以上の病院が約6割で、研修医の受入実績ベースでいくと、だんだんと少なくなって、300床未満の所では313人で4.2%という状況になっております。
資料4は、臨床研修病院群の構成につきまして、こちらは平成23年度の研修の実施体制についてまとめたものです。基幹型臨床研修病院は1,038ありますが、病院群の累計を3つに整理しました。いちばん左側にあるのが、基幹型病院と協力型病院です。これはいずれも厚生労働大臣の指定が必要となっております。それに加えて、指定が特段必要のない臨床研修協力施設という施設については、下に説明をお示ししておりますが、へき地・離島診療所や中小病院などが、こういった協力施設になっております。ここでの研修は3カ月以内になっております。こういったものを全部含むのをA型としておりますが、全体で953の病院群になっております。
真ん中のB型というのは、基幹型病院と協力型病院のみで病院群を構成されている26の病院群です。右側のC型については、基幹型病院と臨床研修協力施設で構成されている病院群です。注のところに書いてありますように、必ず臨床研修協力施設には医療機関が含まれるような形で病院群を構成しているということです。
こういった累計につきまして都道府県別に整理したものが2頁になります。ほとんどが青色のA型になっており、地域によってはB型、C型があるという状況です。
3頁は、もとになった数字になります。このうち真ん中の列にある「A型とB型の計」の欄に括弧書きで書いてあるものがあります。これは下の注にあるように、他の都道府県の協力型臨床研修病院を含めて構成されているものの内数です。例えば、北海道ではA型が56、B型が5、合計が61となっています。そのうちの5病院、5つの病院群につきましては、他の都府県と連携をした病院群になっているものです。その列のいちばん下をご覧いただきますと、全体では約3割の病院群が、その県以外の病院と病院群を組んでいるという状況です。
4頁は、こういった病院群のことに関連して、臨床研修病院と協力施設の連携に関する規定を通知のほうから抜粋したものです。以上、厚生労働省からの説明は終わります。
○部会長 ありがとうございました。
○文部科学省医学教育課長 続きまして、資料5に基づきまして、先日の会議でご質問のありました「地域枠の状況」はどういう状況かということですので、文部科学省からご説明させていただきます。資料5、また委員の先生方のお手元にはそれも含めまして、若干参考になると思われる資料を冊子の形でお届けしておりますので、後ほどお時間のあるときにご覧いただければと思います。
地域枠の状況については、今回一連の医師不足で、医学部の定員増を行ったのが平成20年度からですが、それに先立ちまして、一部の大学ではすでに行われている状況です。現在、平成17年度卒業生辺りから卒業生が出ているところですが、地域枠の多くはまだ在学生の状況で、定着状況等はこれから見ていかなければならない状況です。いずれにしましても、ここでご覧いただきますように、ここ3年ほどで急増しておりまして、現時点では、去年の4月の入学生の部分が平成22年度ですが、67大学におきまして1,171名の地域枠があります。
なお、その内訳が次の頁にあります。個別の大学ごとにありますが、例で申し上げますと、いちばん上の旭川医科大学は、全部で122名の入学定員があるうち、72人が地域枠で募集をしている状況です。以下、地域枠を設定している大学を掲げております。多い所は旭川医科大学などがいちばん多いほうですが、そのほか30人台や20人台といろいろな状況があります。なお、この地域枠は先ほど申し上げた平成20年からの増加のうちの一部で、数にしますと、690です。それにつきましては都道府県の奨学金とセットになって運営されております。医師不足を解消するための定員地域枠の設定に当たりまして、689名分につきましては都道府県が奨学金を出すのを条件に各地の大学が学生を受け入れる形です。この形で始まったのが平成20年からです。これは近年増えている定員増すべてがそういう形ではないですが、これまでのところ全体で689人という状況です。以上です。
○部会長 ありがとうございました。資料に関して議論をしたいと思います。事務局からの説明に対する質問も含めて、皆様のご意見をいただきたいと思います。また、小川彰委員から資料6として資料が提出されております。これは議論の流れの中で小川彰委員から説明をしていただきたいと思いますので、その際はご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。委員の方々からご要望のありました情報が出ている資料3です。この600床以上というのは、大学病院ですか。
○医師臨床研修推進室長 そうですね。大学病院もありますし、臨床研修病院も含まれております。
○部会長 資料4のA型、B型、C型ということですが。基本的にA型が953、B型は少なくて、C型が59ですが、この施設は必ず医療施設だと。つまり、介護老人保健とか、保健所ではないということですね。
○医師臨床研修推進室長 はい。介護老人保健施設とかも入っていますが、必ず少なくとも1つは医療機関は入っていないといけないということです。
○部会長 いかがでしょうか。山口先生どうぞ。
○山口委員 資料4の3頁にあるAとBを合わせた計の数字が出ていますが、その中の括弧の中で3割ぐらいが、その県から他県の施設と共同で病院群ができていると理解をしました。それはいわゆる隣接の県で、ごく近い所、地理的な所でそういうものになっているのと、そうでなくすごく遠隔地という仕分けができるのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 いま手元では整理はしておりませんが、少し時間をいただければそういった整理は可能だと思います。
○部会長 ありがとうございました。多くは、例えば東京都が周辺の神奈川、千葉、埼玉ということもあるかと思います。確かに遠隔の所との連携という情報も必要かと思います。それは今日出ますか。
○医師臨床研修推進室長 今日はちょっと難しいと思います。
○部会長 全体の印象としては。
○医師臨床研修推進室長 印象としては、もちろん隣接もありますし、離れた所もあるということで、その割合がどのぐらいかということは正確にはお示しできませんので、それは時間をいただいて整理をしたいと思います。
○部会長 よろしいですか、山口先生。そのほかにありますか。西澤先生、お願いします。
○西澤委員 いまの件ですが、近くの県か、離れている県かを分けるときに、たしか協力研修病院が他県が1つだけの所と、かなりの数の県に協力型研修病院がある例があるので、それも少し分けていただければと思います。
○部会長 よろしいですか。これはあとで小川先生の所でも協力型の病院が3つ以下と4以上のデータが少しありますが、小川先生、いま説明なさいますか。議論の流れでよろしいですか。資料6の小川彰委員提出の資料を説明いただいて、また総合的に議論したいと思います。
○小川(彰)委員 資料6をご覧いただきたいと思います。医政局長の省令の施行ということで、各都道府県にいっているものに関しては、先ほどの資料4の3頁前が正式なものです。それを抜粋したものが載っております。「医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」ということで、平成22年4月14日に各都道府県知事宛に局長名で出ております。その骨子は大学病院などの地域の中核病院を中心とした臨床研修病院群の形成を促進する観点から、臨床研修を行いなさいということ。もう1つポイントとして述べられているのは、臨床研修病院群における連携を保つために、同一の二次医療圏又は同一の都道府県内にあることが望ましいと明確に規定されております。
大学病院などを中心として臨床研修病院群形成を促進しなさいということになっているものですから、大学病院が基幹型になっている研修病院群数がいくらあるか。あるいは市中病院が基幹型で、協力型に大学病院が入っているのはどのぐらいあるか。全く大学病院と関係なくやっているのはどのぐらいあるのかというのを1,038の病院群の中から拾ってみますと、大学病院が基幹型になっているのが114、協力型に大学病院を含むものは293、全く大学とは連携なしにやっているのが631ということで、約3分の2の病院群が大学病院と関係なくおやりになっていることがわかると思います。
その631の大学病院と連携のない病院がどういう連携体制をとっているかということを調べてみました。どのぐらいの数の病院と連携をとっていれば妥当であるかというガイドラインがあるわけではありませんが、一応、協力病院が3つ以下と4つ以上に分けてみました。3つ以下というのは、連携病院群としての連携が非常にプアだという意味です。それが631病院群の中で452を占めています。3分の1以上がそういう状況であるということです。
協力病院がない、あるいは基幹病院が1つ、協力病院が1つで2つの病院の連携しかないというのが、452の約半分の200です。そういう意味では、質的には臨床研修病院群とは言っても、それに値しない臨床研修病院群が1,038病院群数の中に多く含まれていることが明らかだと思います。
その中で、先ほどもお話がありましたが、連携病院が4つ以上の病院群が179あるのですが、先ほどの同一医療圏内、あるいは同一県内にない病院間の連携をされている所があります。例えば、北海道の地方の病院から沖縄の病院まで全部ダーッと並んでいるような病院もあります。病院間でちゃんとした連携を持った臨床研修が行われているとは到底思えない病院が存在することも明らかになりました。このことに関しては、個人情報もありますし、各論ですので、現時点ではあまり細かいことは申し上げません。同一医療圏内になくとも現実的に連携が組まれているような東京と神奈川とか、東京と千葉とか、そういうふうな連携であれば問題はないと思います。これはもう少し精査をしなければいけないのではないかと思っております。
最後に問題点を3つだけ申し上げます。[1]平成22年4月に明確に医政局長通達で明記されている視点が欠如している臨床研修病院が少なからずあるということ。[2]大学病院等を中心として連携をしなさいと述べているわけですが、連携がない病院が約3分の2を占めているということです。その連携のない病院の中の3分の2以上が極めて貧弱な連携病院群で作られている。さらに[3]同一の医療圏内、都道府県内にあることが望ましいというルールが全く無視されているというのが実情です。次回の見直しのときにはこの辺にメスを入れないと、実質的な効率のいい、良い臨床研修病院群にはならないのではないかと思っているわけです。
○部会長 ありがとうございました。小川(彰)委員には大変細かく調べていただきまして、このような現実を数値で示していただいたということです。このことも含めて、いままでの資料3、4、5等について、さらに議論をしていきたいと思います。いかがでしょうか。まず、中島先生からどうぞ。
○中島委員 小川先生には大変よく調べていただいて、その労力には感謝しますが、2点ほど疑問があります。大学との連携というのは、どう読んでも大学病院等の地域の中核病院とか、又は大学病院と連携しているということであって、必ずしも大学との連携だけをこの通知は言っていないのではないかなと思っていました。
もう1つは、連携をするといっても、地域での医療連携そのものを指しているわけではなくて、研修のために必要な連携を言っているわけですから、そのために同じ都道府県内であることが望ましいとしているわけです。これは、そのほうが行きやすいから、その近場でやったほうがうまくいくのではないですかという意味合いであって、規則として研修という観点から見たときには、その研修が本当に力を付けていくためにきちんとできたプログラムであればいいのではないかと思いました。以上です。
○小川(彰)委員 先生と意見を異にするものではありませんで、全くそのとおりですが、この内容をさらに精査をしなければ本当のところはわからない。例えば、協力病院が3つ以下だから悪いと言っているわけではなくて、多いからいいかというと、そうではない病院群もあるわけです。今度は中身を精査をする作業をしなければならないと思います。
ただし、1点だけ申し上げますと、臨床研修制度のあり方検討会で出た諮問に関しては、大学病院を中心とした臨床研修病院群の形成を促進するという観点からということは、かなり強く入れられていました。これが医政局長通知になったときに、資料4の4頁をご覧になればわかりますが、「協力型臨床研修病院、臨床研修協力病院又は大学病院と連携して臨床研修を行うこと」。その次のカラムに、「大学病院などの地域の中核病院を中心とした臨床研修病院群の形成を促進する観点から」というので、この文言はかなり後退した文言に一時なってしまった経緯があります。そういう意味では、その辺はもう少し原点にかえったほうがいいのかなということは申し上げたいと思っています。
○部会長 ありがとうございます。いまの議論は確かに大事なことですが、1つ私から。この「大学病院などの地域の中核病院を中心」とするということですと、大学病院以外で地域の中核病院とみなされる病院というのもいくつかあるかとも思います。具体的に、地域の中核病院という定義が解釈によってもまた違いますが、この辺のところはどうでしょうか。つまり、確かに大学病院でなければ中核病院ではないということではないので、その辺のところも含めてさらに検討をするべきですが、大学病院というものは地域の中核病院であることは間違いないわけですが、例えば県立中央病院とか、そのような名称をもって実際には地域の中核病院として、大学病院ではないにもかかわらず機能している所もあるので、その辺のところもさらにこれからということですが、小川先生のおっしゃっている趣旨としては医政局長の通知の観点から見て、ルールと少し外れているところがあるというご指摘です。
ちょっといいですか。協力型がないのと、基幹型が1つで協力の病院が1つというのが452病院の中の約半分だと小川先生はおっしゃいましたが、協力型がないということは類型ではC型の59病院に属するということですか。
○小川(彰)委員 そうだと思います。
○部会長 先生のお調べのところでは、たぶんそうですね。それで、大学病院が。
○小川(彰)委員 たしか、いただいた資料の中で表になっているものはいま出せばありますが、基幹型と協力型研修病院だったかな。あれの中には、協力施設というのは表にはありませんか。
○医師臨床研修推進室長 ご説明します。資料4をご覧ください。この中で、A型とB型がありますが、ここは基幹型病院と協力型病院があるわけです。小川(彰)先生の資料で協力型に大学病院を含むというのは、このA型、B型の中の内数だと思います。大学病院との連携がないものについてはA型、B型の内数と、C型には協力型病院がありませんので、それを加えたもの、それが連携なしとなっているということで、頭の整理ができるのではないかと思います。
○小川(彰)委員 たしか、先ほど申し上げた「大学病院との連携なし」の631病院の中で、協力病院が3以下のものが452病院あって、協力病院が0と1で200です。0が50いくつだったと思いますので、たぶんC型のあれが抜けているのかな。
○医師臨床研修推進室長 C型の所が協力型病院0。協力型病院はあくまでも0ですので、これが59病院あるということです。
○部会長 そして、先生のほうからのアスペクトが大体51病院あるということは、C型の基幹型病院が大学病院でないのが非常に多いということになっていますね。
○小川(彰)委員 C型の場合には、ほとんど大学病院ではないのですね。
○医師臨床研修推進室長 小川先生の資料では、まず大学病院は抜かれていますので、大学病院以外で協力型病院がない所がありまして、この59病院の中には大学病院はいくつか含まれています。
○部会長 51病院だとすれば、大学病院でないC型の基幹病院が8つ。そのようなところは、確かに問題かもしれません。その8つの中で、先ほど言ったような例えば県立中央病院というような地域の中核病院であれば、多少は了解はできるかもしれませんが、そうでないものもあるかなということですね。そのような問題をご指摘いただきました。これについても今後、毎年臨床研修病院の指定のときに、確かにこの観点から検討していただくことになるかと思います。
○小川(彰)委員 もう1点よろしいですか。資料4の2頁をお開きいただきますと、岩手県の状況があります。岩手県はすべてA型で、基幹型+協力型+協力施設型です。これは、県立中央病院とか県立病院が基幹型病院に入っているところには、岩手医大が協力型研修病院としてすべて入っている。すべて、たすき掛けになっているので、すべてA型になっています。ですから、こういう形であればあまり問題はないかと思いますが、さまざまに細かく見てまいりますと問題のある病院があるということです。
○部会長 ありがとうございます。一応、この件に関しては必要があれば後ほど議論するとして、西澤委員、お待たせしました。
○西澤委員 中島先生と、ほとんど同じ質問です。「など」と書いてあるのに小川先生の資料が全部大学病院と限定していたので、それで質問しようと思いました。お答えで、決してそうではないということをお聞きしましたので、いいと思います。また、中核病院と基幹型病院とは意味が違うと思いますが、どう使い分けたらいいかも考える必要があると思います。
それから「など」とあるとおり、大学病院でなければならないということにはならないと思います。例えば二次医療圏ごとにあるのが望ましいとすれば、それぞれの県において大学は1つしかなくても、各県には医療圏が複数ありますから、すべてが大学病院中心は難しいなと。北海道でも、21医療圏で大学があるのは2つの医療圏だけで、あとの19は大学がない。そういうことを考えると望ましいということと、そうでなければならないというあたりはこれからの議論の中で、しっかり分けていただければと思います。以上です。
○部会長 ありがとうございます。吉岡委員どうぞ。
○吉岡委員 議論を蒸し返すようで失礼ですが、いくつかの視点があります。医政局長がなぜ「大学病院など」と書いたかという理由を考えてみますと、全国医学部長病院長会議において、大学病院での研修、これは初期研修も、後期研修も当たるでしょうけれども、そこに人材が少なくなったことが新臨床研修制度の大きな変化であり、ネガティブな形で偏在が起こったという総括をしているわけです。それに対して、文部科学省と厚生労働省が全国医学部長病院長会議の席で、大学病院が持っていた医師の派遣力というものを再認識したということをはっきり言及し、「大学病院など」の一文はその後に出てきた文章であると理解しています。審議会の立場と医学部長病院長会議の立場は違うわけですが、ここの中核病院というのはご議論のとおり、どの都道府県にも中核病院が厳然としてありますし、機能もされているし、むしろ大学病院よりもマグネット的で研修医も集まっている所は現実にあるわけです。それをどうこうと言うつもりはないですが、全体にこの研修医制度がうまくいくためには、大学の医師派遣機能というものが、いま申し上げたような形で再認識されたということもあっての一文であるということをこの審議会の立場としても理解はしていかないといけないと考えます。大学病院と中核病院を並べているという形ではありません。なぜ、ここに「大学病院など」と書いてあるのかということは、医科大学の学長の立場からいっても非常に大事な表現であると理解しています。
2つ目は、たまたま去年と一昨年の新しい協力型やいろいろな施設の追加申請から初めてわかったのですが、都道府県を大きく跨いだ現実的でないプログラムがあって、議論したわけです。あのときにも指摘していましたように、これは別の意図があると思わざるを得ないような研修システムあるいはプログラムであったという認識を持ちました。だから、今日の小川先生の当を得た解析で、大切な御指摘と存じます。現実的でないと思われるプログラムはどこかできちんと見直すことを、次にはやらなければいけないと思っています。
○部会長 ありがとうございました。事務局どうぞ。
○医師臨床研修推進室長 こういう現実的でない、あるいは研修医のためにならないというようなプログラムは、我々のほうでは適宜修正を病院のほうに求めていまして、審査の際には例えば研修医の処遇として、宿舎の確保や交通手段といったところがプログラムに具体的に記載がされているかどうか。特に、都道府県を跨いで移動する、引っ越しを伴うようなケースについてはそういうことを確認をしたり、指導体制については指導医の氏名をしっかり明記をしていただいたり、評価体制についてもきちんと具体的に記載をしているかどうかということを確認をしています。また、個別の事例については先生方のご意見をいただきながら、病院のほうにいろいろと求めていきたいと思っています。
○西澤委員 いま吉岡先生が言ったように、極端なプログラムというのはどうかという意見がありまして、ここでもある程度はそういうのを排除していっていると思いますが、実際いままではそんなにきつくなくやってきましたが、研修医の方々が最近はいろいろな情報を得て、いいプログラムを選ぶようになってきていると思います。そういうことで、あまりこちらのほうで厳しくするよりは、ある程度研修医の意思に任せたほうがいいのかなと思っています。
○三上委員 プログラムのことですが、B型について協力施設がないということですが、地域保健医療の部分については診療所とか保健所などのさまざまな協力施設が要るのではないかと思いますが、数は少ないのですがB型のプログラムがどんな形になっているのかを少し知りたい。C型については、基幹型病院で協力病院なしでできるということは、多機能で非常に規模が大きい病院かと思います。資料3にあるように病床別に分けたものがありますが、その分布について少し教えてください。
○医師臨床研修推進室長 B型については、手元に具体的な資料がないので、また別の機会にご説明をしたいと思います。C型については59病院ありますが、そのうち全部ではありませんが、例えば東京では8病院ありますが、それについては大学病院2病院を含んでいまして、そのうちの7病院は400床以上の病院です。研修医の数もそれなりに来ていまして、診療所、中小病院を中心に協力施設がかなりの数あります。大体主な所は都内の協力施設ですが、東京都以外では、例えば長崎県、三重県、高知県の、主にへき地や離島の診療所、あるいは、地域のへき地の拠点病院ではないかと思われる所が協力施設に入っています。東京だけではなく、千葉県などでもありますが、そういった所を見ると大体400床以上の規模の病院が基幹型病院になっています。以上です。
○部会長 ありがとうございました。いま三上委員からありました特にB型では診療所などがないということですので、地域医療などの研修を基幹型と協力型でどのようにやっているかということも含めて、三上先生にあとで資料をお出しするようにお願いします。
そのほかに、いかがですか。山下先生、どうぞ。
○山下委員 小川(彰)先生にお伺いします。吉岡先生がおっしゃったようないろいろな背景を考えた上でのことですが、要するに臨床研修病院としてかなり実力のある基幹病院として、大学病院も含めて大きな病院、中核病院を一応想定して、協力病院3以下というのに非常に実力がありますよ、難しい病気もきちんと診ていますよという病院がどれぐらいあるかというのは資料の中でありましたか。病床数とは外形基準だけで言えませんが、この450の中で600床規模以上のものはどれぐらいでしょうか。
○小川(彰)委員 まだ、そこまで詳しく解析をしていません。あと、病院データは厚生労働省にあると思いますので、元の申請をしてきたときの申請書を見させていただければ、その辺の解析は全部できると思います。
○山下委員 先ほど小川(彰)先生もおっしゃったのですが、入口としてまずこういうデータがあれば、それぞれのカテゴリーの中でどういう教育の質が担保されているかというのをカテゴリー別にかなり見ていけると思います。例えば小川先生は3以下が悪いと言っているわけではないので、どちらかというと、本当にこういうカテゴリーできちんと教育できているのだろうか。本当にこれは大丈夫ですかという病院が確かにあることは厳然たる事実ですので、そういうのを今後カテゴリー別に是非やっていきたい。吉岡先生がおっしゃったように、大学病院は教育をきちんとやっていますから、それを使ってくださいと言っているわけで、あるルールを作ってそれの基準に合うか合わないかという議論をしていると、教育の議論にならないのです。そういう意味では、小川先生が出された情報というのが入口になるのではないかと思うので、是非厚労省としてもそういうデータをお示しいただければというのが1つです。
もう1つは、この中のデータではないですが、前の審議会で桐野先生や河野先生がおっしゃいましたが、臨床研修が終わったあとにどう動いているかというのも是非教えていただきたいです。非常に詳細なデータがあって、そのあとどう動いているか。ここの会で愛知県の五十里先生のお話などがありました。愛知県で、かなりきちんとしたシステムを持っているので、ここがこうだからという切り取った議論をされると困るという議論を五十里先生はされていたと思います。まさにそのとおりだと思いますので、先ほどのA型、B型、C型も、例えばB型、C型の施設を持っている所は大体都会地です。大阪とか東京とか神奈川とか。要するに、本当にそこで質が担保されているのだったらいいけれども、かなり地域的にこういうようなところは偏りがありますし、何らかの傾向があって、しかもそこを終わったあとに、本当にきちんとした所へ教育を受けているのだろうかというのが、そちらも含めて心配。これは今日の資料とは違ってきますが、それも是非合わせた形で議論させていただきたい。これに関して言うと小川(彰)先生がおっしゃったように、これを出発点にして協力型病院3つというのはどういうカテゴリーで考えているのか。難しい病気、コモンディジーズ、いろいろなものを全部きちんとこの2年間で勉強できるようなシステムを担保していますかという命題を解く、これも目的ですので、それに役立てたいと思います。どうもありがとうございます。
○部会長 ありがとうございました。どうぞ。
○小川(彰)委員 大変ありがとうございました。前の審議会でも発言をさせていただきましたが、激変緩和をどうするとかというあまり根本的でない問題を議論しているよりも、現在動いている1,038の臨床研修病院群が本当に妥当な研修病院群なのかどうなのかの精査を、この次の見直しのときにきちんと一からやり直さなければ駄目なのではないかと思います。一応現時点でわかる範囲で、いちばん総論的なまとめ方をしてみた。そしたら、こういうさまざまな問題があるので、これをもう少し掘り下げていただいて、この次の見直しにきちんとつなげていただきたいというのが趣旨ですので、よろしくお願いします。
○部会長 ありがとうございました。激変緩和は枝葉末節というご意見もいただきましたが、実際に平成24年度以降に運用するには、現在の措置を示していますので、各病院がそれに対応するために準備をすることで、この扱いに関しては、はっきりとこの後どうするかということを決めていくということで、いままで議論をしていただきました。しかし、確かに今回はかなりそもそも論に近いところを振り返って、いろいろな意見、資料をいただいたということで、どうもありがとうございました。これについては非常に大事なことですので、先ほどご要望のありました情報なども含めて、今後の検討をしていきたいと思っています。山口先生どうぞ。
○山口委員 大学病院の位置づけがどうかという点は、こういう文言が出てきた背景はそれなりに理解はしていますが、実際にこの初期の臨床研修がただ単に医師不足の解消の一手段というか、そこのところに大きく引きずられて、初期研修の内容がどうかという話から離れてしまうのは是非避けてもらいたいと思っています。その意味では、本当に大学病院あるいは大学病院とたすき掛けのグループと、大学病院と連携がないグループと最終的な到達目標がどうであったか、どれだけ達成できたかというところから、その成果を検討していただいて評価をしてこの判断をしないと、本来の趣旨とは違うのではないかと思います。資料3を見ても、85%以上は400床以上の病院に大体研修医は受け入れられています。それから言いますと、それなりに地域の中核病院で研修をしている実態はあるわけですから、問題は、そういう中で大学病院と非常に密接な連携があることがより良い研修につながっているかがいちばん重要だろうと思います。研究班でそういうところも検討されると伺っていますから、是非その成果で、できれば医師不足解消の一環としてあり様を考えるのではなくて、より良い初期研修がどちらでできるかというところを判断基準で話が進むことを是非願っています。
○部会長 ありがとうございます。前回の委員会でも発言がありました、研修医制度の導入に伴った副作用という形で医師の地域偏在などが起こったということがあり、地域での定員の設定、それに対する激変緩和措置が行われたわけですが、小川先生の出された資料などにおいても、このような数の上での非常に大事な資料ですので、また実際にどのような研修がそれぞれのプログラムで行われたかということも含めて、これから議論をしていきたいと思います。三上先生どうぞ。
○三上委員 いまの山口先生の、どういう研修がどこでどう行われたかということは非常に大切ですが、大学病院と関連のない病院群が6割あるということですが、研修後のドクターのキャリアアップがどうなのか。大学と関連なく研修された方は、その後どういうふうにキャリアアップされているのかということは非常に関心がありますので、是非そこは調べていただきたいと思います。
○部会長 これは前の会議でも、いくつかそのようなご意見がありましたね。
○医師臨床研修推進室長 研修修了者に対する調査は毎年実施をしていますので、その分析をこちらのほうにもお示しをして、議論していただければと思っています。
○部会長 ありがとうございます。そのほかに、ご意見はありますか。
○小川(彰)委員 文部科学省のほうにお願いします。地域枠の状況をお話いただきましたが、この地域枠等の募集人員はあくまでも募集人員で、入学時の地域枠プラス入学後あるいは入学時に他県から来た人が、地域医療に対する奨学金と連動しているものも全部含みます。この中には地域枠を多く取っている大学で、募集定員まで充足をしていない所もあるやに聞いています。実際に、地域枠の募集人員が正確に何名で、そこで何名がマッチしているというか入学されているかとか、そういうような実態のデータがあれば非常にありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。
○文部科学省医学教育課長 昨年、その一部について調べたものがありますので、いま手元にありませんが、次回にでもご説明させていただければと思います。なお、記憶はあやふやですが、全体的には埋まっている状況です。ただ一部、例えば3年生で地域枠を使うという所は、もちろん1年生入学時には埋まっていませんので、そういう部分もありますが、それを除けばだいぶ活用状況はよかったと記憶しています。また、具体的なデータは示させていただきます。
○部会長 よろしいですか。そのほかにご意見はありますか。
○山口委員 ちょっと続きのようなことをお教えいただきたいです。地域枠の中で地元出身者の割合はいろいろなパターンがあると伺いましたが、最終的に地元の出身者の割合は1,171人の中でどのくらいですか。
○文部科学省医学研究課長 実は地域枠といいましても、その地域で生まれた学生がその地域の大学に入る者もありますし、他の地域の高校を出ても、ある都道府県に残ってやるということで、そういう志を評価して入学している例もありまして、それが混ざっているような状況です。先生がいまご指摘の実際にどうなのかというデータは、現時点では1,171全体については把握していませんで、これからそういう分析が必要になるだろうなと思って検討していますので、またまとまりましたら機会を見つけてご説明させていただければと思います。
○部会長 これについては、前のこの委員会でも出身というものが本籍なのか、現住所なのか、あるいは高校なのかということで、「その地域出身」という解釈がいろいろあるという話も含めて前回でも議論があったと思いますので、その辺もどのような状況、どのような定義をもって、あるいは複数の定義でもいいですが、それをもっての資料ができればありがたいと思っています。
○山口委員 まだ地域枠の出身者がそんなに多くない状況なので、わからないのかもしれませんが、この地域枠の出身者の国家試験の合格率はわかりますか。
○文部科学省医学教育課長 国家試験の合格率は把握していませんが、一般的には医師の国家試験の合格率は大変高いものがありますし、もしそれが学力との関係でおっしゃっているのだとすると、いまのところ私が聞いているのは定量的な話ではありませんが、地域枠を設定しても学力が下がるわけではないと聞いていますので、地域枠を増やすとあまり勉強についていけない子どもが増えてしまうのではないかということは、現時点ではどの大学に聞いても、そのようにならないように運用していると聞いています。
○西澤委員 直接この部会と関係ないかもしれませんが、地域枠という定義を私はしっかり把握していないので、一度教えていただければと思います。地域枠というときの条件は、各大学すべてが同じ条件なのか。
○文部科学省医学教育課長 経緯から申し上げますと、いちばん古いところで、この数字ですと平成9年からありますが、そこから独自に地域枠という形で始めたという経緯もあります。地域枠は1,171のうち、先ほど申し上げました689については、かなりしっかりしていまして、都道府県の奨学金とセットにその大学に卒業後残る。多くの場合は、6年間奨学金を受けると9年間残るという形です。ただし、その場合でも入学者が地元の県内の高校出身かどうかというのは、県と大学の話合いでどれがいちばん現実的かというのを決めてもらっていますので、いちばんはっきりしているところでも、各大学、都道府県の運用の仕方によって異なっています。それ以外の残りの部分がまだ500人近くありますが、これについてはいろいろな形があります。
例えば、奨学金が以前からあるものを活用している。それは都道府県のこともありますが、市町村だったり、そのほかの所もある。また、奨学金がなくて、その県で入ったら頑張りますというような誓約書のようなものを交わしてやっている例もありますし、そういうのもなく100人のうち50人は地元の県の出身者を採るのだと。Aさん、Bさん、Cさんと特定せずに、50人は地元の県、50人は他県というような、県内出身を何人にするという目標数値的なもので運用している所もこの中には入っていまして、そういう意味では、かなりいろいろな創意工夫をしながらやっていただいている状況だと思っています。
○山下委員 地域枠に関しては、新木先生もいろいろ慎重に検証していただいているので、余計なことかもしれませんが、勝負は10年が経ったときだと思います。要するに、医師というのが使い物になって、地域の本当にいてほしいというのは10年かかります。結局、6年間で1.5倍だと9年間デューティーです。そこで、きちんと地域にいたかどうかというのが勝負です。例えばいままでの、地域枠ではなくてほかのものを見ますと、意外とみんな9年というデューティーをクリアして、そこからどんどん動いているはずです。本当にこれが機能するかどうかというのは、ものすごく長期的な展望を見ていただきたい。そのためには、制度設計をどんどん丁寧にやっていただきたいというのが私のあれです。要するに、6年で9年というのは若い人にとっては長いのです。だから、3年で奨学金2年受けたい。デューティーの期間は3年ですとか、いろいろなバリエーションを作ってあげないと、若い人は可哀想です。実は山形県でそれを県が作ってくれたので非常にありがたいと思っていますが、検証するというのは10年先に本当に地域に残ってくれるかというのが勝負だと思いますので、是非制度設計も含めて慎重に検証していただきたいと思います。
○文部科学省医学教育課長 その期間については、県と大学の話合いによるということにしていますので、一例として申し上げたのはよくある例として申し上げただけで、そのほかのものを別に否定的に申し上げたつもりではありません。また、契約期間が終わったあとに残ることも大切だという視点も確かだと思います。ただ、まだデータが入学者の状況で出ていませんが、もちろんそのために学生のうちにどんな教育がなされているのかどうかという観点も含めて、これから我々もフォローを続けたいと思っています。
○三上委員 地域枠の学生さんの学部教育の中で、一般枠の方と何か差があるのかどうか。もう1つは、卒後研修のときのプログラムの選択の際に、かなり制約を受けるのかどうか。あるいは、地域医療の部分が非常に多くなるのかどうかということで、わかれば教えてください。
○文部科学省医学教育課長 地域枠の設定に伴いまして、各大学で地域医療に関する教育というのを充実していただくようにお願いしていまして、その一例はお手元の冊子の30頁にこれがすべてというわけではないですが、特徴的なところのいくつかを紹介しています。30頁にありますように「地域医療を担う医師の養成のための取組例」、特に卒前の学部時代の取組みですが、山形大学では4年生を対象として、医師不足が深刻な診療科を目指すという教育をしていただいています。こういう教育を学部段階ですると同時に、いま三上先生がおっしゃいましたように、卒業後どのようにこの学生の研修をやっていくのかというのは、実はまだ県と大学が話合いをしている状況が多いと思っています。1つのやり方は、自治医大の卒業生のように、その学生を県の職員としてやるというのも1つだと思いますが、そのほか大学の医局というか、大学で研修をして都道府県が指定する病院に行くというような方針を持っているところもありますし、まだ県と大学が話合いをしているというのが状況です。これから我々としては、非常にうまくいきそうな取組みも大学、県に紹介しながら、せっかく毎年何十人も卒業していきますので、若い医師のキャリアパス、運用、活用の仕方をうまくして、どこか行かれても困りますので、10年経っても居残るような形で、なんとかキャリアパスを作っていただくような取組みを大学及び県にお願いをしていきたいと思っています。
○三上委員 いまのそのことで、その地域で誰が地域枠の学生なのか、あるいは研修医なのかというのがはっきりわかるようになりますと、なんとなくその差別感が出たりするということで良くないのではないかと思うので、その辺は非常に慎重にやっていただきたいなと思います。
○文部科学省医学教育課長 地域枠で変なレッテルが貼られるというのは、我々も大変危惧していまして、また地域医療を地域枠の学生だけが担えば十分ということでもないかと思っています。そういう意味では、学生は当然ですが、それを中心にそのほかの学生にも教育をしていく。ただ、地域枠だということを僻目に感じるような雰囲気でなく、堂々と胸を張って「私は、僕は地域枠の入学生で、地域の医療に取り組みます」というのを言えるような教育が必要だと思っていまして、そうなるように引き続き大学と話をしていきたいと思っています。
○小川(彰)委員 いままでの議論の中に全く出てこなかった1つの大問題を提起をしたいと思います。資料5のグラフで地域枠が増えてきた平成20年度から、ゆとり教育の学生が入学してきたときと、ほぼ時を同じくしています。実は、ゆとり教育の学生たちの問題は、大学で学ぶスタディースキルがない。手取り足取り全部教えてあげないと駄目だというようなことがあり、全国医学部長病院長会議でも大問題になっています。国立公立大学で、大量の留年生をここ数年出している大学があります。事実、2桁代の大量の留年生を出してしまったというような大学が、1つ、2つではありません。そういう意味では、もちろん地域枠も増えていますが、この裏にある一般枠で入学した学生に対する手当ももちろん必要です。ゆとり教育で大学生としての資質がない学生の入学生が、いま大量に入ってきているのだということを問題テーマとして挙げておく必要があります。
○部会長 ありがとうございます。本部会は臨床研修部会ですが、確かにいままでの議論のように卒前教育、国家試験、臨床研修、さらにはその後の研修等を含めた議論をする、かつ、この研修によって地域の格差ができたということで、地域枠についても資料を出していただいたということです。そのようなご意見があったということで若干本論のほうに戻して、臨床研修のことについて残りの時間を使っていきたいと思いますが、そのような進め方でよろしいですか。また地域枠についても、臨床研修に直接、間接に大きく影響することについては、戻ってもよろしいかと思います。ありがとうございます。資料3から資料5について、いかがでしょうか。大体いろいろなご意見をいただきました。本日の主たる議題については先ほどご了解いただいたと思いますが、またいろいろなパブリックコメントでも、そもそも論を含めたところも貴重な意見をいただいたと思いますが、何か追加でご意見はありますか。
○中島委員 この部会の委員の中の約半数が、大学病院の学長さんとか医学部長さんとか大変お偉い先生方で、学も深い方々で、私なんぞは吹けば飛ぶような存在ですが、その中で大学は良い研修をしているということをアプリオリに決めてしまっているような議論が少し進んでいる。これは間違いではないかなと思うわけです。大学病院というのは、総合病院の名に値しない鳥籠型の診療形態になっていることが多いわけです。今日いらっしゃっている先生方の大学病院は、非常にいいのだと思います。しかし、そうではない大学もあるということを念頭に置きながら、大学での教育というものについてもこれからメスを入れていくことを前提に、これからの議論を大変期待しています。
○部会長 どうもありがとうございました。
○山下委員 それのお答えになると思いますが、全国医学部長病院長会議で、教育に関してのガイドラインやマニュアルではないですが、コンセプトをまとめつつあります。先生がまさにおっしゃったとおり、大学病院が全部いいと我々は言っていません。いままでの議論で一言も言っていないと思います。要するに、我々は努力します。頑張りますから、我々も認めてくださいということを言っているわけで、それの形はきちんと小川(彰)先生の次の黒岩会長、小川先生のころからの流れで作っていますので、是非ご期待いただければ。
○部会長 いろいろご意見をいただきましたが、そろそろ予定の時間も迫っています。さらにご意見はよろしいですか。
○小川(秀)委員 別に新しい議論ではないですが、少し議論がスキャッタリングしたので確認したいと思います。資料3、資料4、小川(彰)先生の提出された資料6でいろいろなご意見が出ました。端的に言ったほうが簡単だと思いますが、A型、B型、C型すべての型において、どちらがいいかという論理、議論も出るかもしれませんが、最も大事なことはA型、B型、C型ともに備えなければいけないコアなものはいったい何かというのを定めて、そしてA型の特徴、B型の特徴、C型の特徴と整理していく。その中で、データとしてほしいのは、大学病院は大体わかっていますが、B型、C型になると、どのぐらいの人が過去何年アプリケーションしているか。そして、A、B、Cともにどのような修了後の経緯を取っているかを山口委員がおっしゃったのですが、これはとても大切なことです。2点を整理しますとA型、B型、C型ともに備えなければいけないコアなものはいったい何かというのを整理して、A型、B型、C型の特徴はどうかということを整理する。そしてB、C、Aの中にも中島委員のお話だと不適当なところも、もちろん完全なところばかりではないので70点もあれば90点もあるわけで、その辺も整理していく。そして、我々のこの会としては若者にとって最も理想に近いような形の研修プログラムというものは、いったいどういうことか。それをまず固めてその中で多様性を持たせるために、このA型、B型、C型というものがあるし、必然性もあってB、Cを作らなければいけないということもあるわけですので、その辺をコアとして是非やっていただきたいと思います。
○部会長 ありがとうございました。私の思っていたことも含めて、小川(秀)委員にまとめていただきました。ありがとうございました。そろそろ時間でもありますが、本日の議論はここでよろしいですか。事務局から何かありますか。
○医師臨床研修推進室長 次回のこの部会は来年度の開催になると思いますので、また日程調整については改めて行いますので、よろしくお願いします。
○部会長 ありがとうございます。これで、本日の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を終了しますが、一言部会長から御礼とお知らせがあります。
私が部会長を務めさせていただきまして、委員の方々には大変ご協力、また貴重なご意見などをいただきました。私は、この部会の上の組織の医道審議会医師分科会の分科会長を務めてまいりましたが、この3月をもちまして任期が満了いたします。その関係で、本部会の部会長としても、本日の会議が最終になります。このあとは、いままでいろいろ意見をいただいたことを次の部会長がさらに発展させてくれると思いますので、そのようなことをもちまして先生方に御礼を申し上げるとともに、事務局にもいろいろ資料を集めていただいたりしたことも御礼申し上げて、この部会長を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
本日は、これで終了いたします。
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