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2010年12月14日 第18回 労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成22年12月14日(火) 14:00~


○場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室


○出席者

公益代表

征矢座長

労働者代表

伊藤委員、糸谷委員、玉田委員

使用者代表

中谷委員、安部委員、花島委員

事務局

山田職業安定局次長、堀井建設・港湾対策室長、??松建設・港湾対策室長補佐

○議題

港湾雇用安定等計画の施行状況等について(公開)

○議事

○征矢座長 それでは、第18回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会の港湾労働専門委員会を開催したいと思います。
 最初に委員の出欠状況ですが、本日は公益側の土井委員及び田付委員が欠席です。前回の第17回専門委員会が開催されて以降、委員に異動がありましたのでご紹介いたします。参考資料1にも、最新の「港湾労働専門委員会名簿」がございますが、平成22年1月6日付で鈴木委員に代わり玉田雅也委員が労働者代表委員として就任されました。また、平成22年10月1日付で田村委員に代わり、安部正一委員が使用者代表委員として就任されました。それぞれ一言ご挨拶お願いいたします。まず、玉田委員からお願いします。

○玉田委員 全国港湾の玉田です。どうか、ひとつよろしくお願いいたします。

○安部委員 住友倉庫の安部です。よろしくお願いいたします。

○征矢座長 次に、事務局から厚生労働省職業安定局建設・港湾対策室におきましても、異動がありましたので、紹介いたします。

○堀井建設・港湾対策室長 建設・港湾対策室長の堀井です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○征矢座長 それでは、議事に入ります。最初の議題は、「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」です。これは、一昨年とりまとめた「港湾労働専門委員会報告書」において、「新港湾計画の進捗状況の点検等を行う場を定期的に設定した上で、新港湾計画の実現を図っていくことが重要である」とされたことを踏まえまして、議論を行うこととしたものです。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○??松建設・港湾対策室長補佐 それでは、資料の説明をさせていただきます。お手元に配布資料5種類、参考資料3種類用意しております。配布資料としまして、配布資料1「港湾雇用安定等計画の概要」、配布資料2「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」、配布資料3「人付きリース実態把握の概要」、配布資料4「平成21年度技能高度化委員会報告書概要」、配布資料5「港湾労働者に係る新たな労働環境に関する検討会について」です。参考資料1から3までについては、議論の参考にお手元に用意してございます。
 まず、配布資料1の「計画の概要」と配布資料2「施行状況等」を併せて説明いたします。左右に並べてご覧いただければと思います。まず、配布資料1「港湾雇用安定等計画の概要」です。1 計画の基本的考え方としまして、(1)計画のねらい、(2)背景、課題、(3)期間とございます。計画のねらいですが、この計画は、六大港における港湾労働者に係る労働力需給調整、雇用改善、能力の開発・向上に関して国、都府県、センター、事業主及び事業主団体が講ずるべき措置の指針を示すものです。計画の期間は、平成21年度から平成25年度までです。
 次に、2 港湾労働者の雇用の動向に関する事項として(1)港湾運送量の動向、(2)雇用の動向が示されております。これらの直近の状況ですが、配付資料2の5頁です。まず、上のグラフが港湾運送量の推移です。直近は平成19年度ですが、赤の折れ線の船舶積卸量で見ますと、6億7,700万トンとなっています。下のグラフの折れ線の所がコンテナの割合ですが、平成19年度で66.5%となっています。
 次に6頁、六大港における港湾労働者数等の推移です。直近は平成21年度で上のグラフの折れ線の所ですが、港湾労働者数は、約3万2,000人です。次に下の表のいちばん右端に就労状況割合という欄がございます。こちら直近を見ますと、常用と派遣を合わせますと97.8%ということで、ほぼ横ばいという状況です。
 次に、資料1の「計画の概要」に戻ります。1頁のいちばん下、3 労働力需給調整の目標に関する事項で、(1)労働力需給調整の目標としまして、港湾における荷役作業については、常用労働者による対応を原則とし、企業外労働力については港湾労働者派遣制度による対応を原則とすることについて徹底を図り、常用化の更なる推進、雇用の安定に努めるとされております。
 次に2頁、(2)労働力需給調整に関して講ずるべき措置です。イ 国及び都府県が講ずる措置としまして、1つ目、港湾労働法の趣旨・目的の更なる周知徹底。
 2つ目、港湾労働者派遣制度の適正運営、活用促進や雇用秩序維持対策による常用労働者の雇用安定の確保。
 3つ目、日雇労働者の公共職業安定所による適格な紹介に向けた機能の充実・強化、また、日雇労働者の就労延日数の減少に努める。
 4つ目に、人付きリースの抜本的な解消を目標として、人付きリースの実態調査を行った上で、具体的解決策の検討の実施等とされております。これについては、今年、実態調査を行いましたので、後ほど、資料3として、結果をご説明いたします。
 資料に戻りまして、5つ目、港湾労働法遵守強化旬間等を通じた遵法意識の一層の高揚、雇用秩序連絡会議の積極的開催、申告への迅速な対応、現場パトロール、立入検査の実施等による違法就労の防止。また、労働者派遣法職業安定法違反事案への是正指導、防止の徹底。
 6つ目、公共職業安定所の紹介による必要な労働力の確保などの8事項が示されております。次に、ロ センターが講ずる措置としまして、あっせん機能の充実強化、相談援助。ハ 事業主及び事業主団体が講ずる措置としまして、1つ目、直接雇用の日雇労働者の利用が例外となるよう努める。3頁の2つ目、人付きリースの関係。3つ目、届出、報告等の手続の適正実施。4つ目、センターのあっせんヘの協力など5つの事項が示されております。
 これらの施行状況としまして、先ほどの資料2のほうに戻っていただきます。6頁の下の表です。細かい表ですが、下の表の就労延日数、左から2つ目の欄があります。こちらで見ますと、平成20年は、秋ごろから平成21年度にかけまして、対前年の括弧内の数字ですが、こちらが▲減となっております。内訳では、特にその右の右の所ですが、港湾労働者派遣ですとか、またその隣の隣の日雇労働者の所の▲が目立つ状況となっております。
 7頁、港湾労働者派遣の状況です。青の棒グラフが派遣成立の件数ですが、平成21年度の月平均で1,631件、派遣元申込みに対する成立の割合が、上の折れ線グラフになりますが、平成21年度の月平均で、64.2%と低下しております。
 次に8頁、日雇労働者の状況です。日雇の就労日数は、8頁の上の棒グラフの上に数字がございます。平成21年度の月平均で約1万2,000人です。
 次に9頁、派遣の許可の状況です。上の左の表のいちばん下ですが、直近が293件となっています。
 次に14頁です。上の表が現場パトロール等の実施状況です。平成21年度の合計で見ますと、実施事業所数は1,821事業所、上の表の右下の数字です。下の表が、事業所訪問指導・立入検査の実施状況です。平成21年度の合計で見ると、実施事業所数は1,796事業所となっております。
 次に15頁、安定所と安定センターの連絡会議の状況です。平成21年で147回開催しております。
 次に16頁、港湾労働法遵守強化旬間の実施状況です。今年度の旬間ももう終わっておりますので、今年の状況まで追加しております。各所で共同パトロールなどを行っております。
 次の17頁、雇用秩序連絡会議の開催状況です。平成21年度は、11月までの状況を記載しています。ご覧のとおりに開催しております。
 次に18頁、人付きリースの状況です。下の表で見ますと、直近は、平成22年度の第?U四半期7月から9月ですが、月平均の運転手付き借受け台数は?Aで東京港で59台、横浜港で555台となっております。上のグラフで言いますと、青い棒グラフが人付きリースの数なのですが、減少傾向にあることがわかります。なお、実態把握の概要については、後ほど説明いたします。
 再び資料1に戻ります。3頁、4 港湾労働者の雇用改善・能力開発を促進するための方策に関する事項です。(1)雇用改善を促進するための方策、イ 国が講ずる措置としまして、1つ目、港湾労働者の福利厚生のあり方について検討を行い、実施可能なものから順次対応する。これについては、関係する検討会を開催しておりますので、後ほど配布資料5で説明いたします。2つ目、雇用管理改善の促進、労働条件の基準の遵守、労働災害防止計画の推進等。3つ目、違法就労の防止の観点から港湾労働法等の運用の斉一化、周知徹底を図るとされております。
 次にセンターが講ずる措置として、雇用管理者研修、雇用管理の改善に関する相談、その他の援助の実施。ハ 事業主等が講ずる措置としまして、適切な雇用管理、労働環境の整備が示されております。これらに関連しまして、また、資料2のほうに戻ります。9頁、労働条件等のデータです。まず、下の棒グラフが港湾運送事業での入職率と離職率を示しております。平成21年度は離職率が上昇しています。赤い棒グラフでわかります。
 次に10頁、推計実働労働時間の月あたり賃金です。青色が港湾労働者です。実線が月実働労働時間、波線が月所定労働時間、棒グラフが月当たり賃金です。直近では、月実働労働時間と月あたり賃金が減少していることがわかります。
 次に11頁、労災の状況です。青が港湾で、赤が全産業です。港湾では、上のグラフで死亡者数が10人、下のグラフで死傷者数が228人となっております。
 12頁、度数率と強度率です。港湾では青い所ですが、度数率が1.72、強度率が下の青いグラフですが、0.64となっております。
 次に13頁、千人率です。港湾が6.3となっております。次にその下ですが、雇用管理者の選任状況です。6大港全体で1,024事業所において選任されております。雇用改善の施行関係は以上です。
 また、資料1-3頁に戻らせていただきます。下のほう(2)能力開発を促進するための方策です。この国が講ずる措置としまして、1つ目、公共職業能力開発施設における職業訓練の効率的な実施。事業主が行う教育訓練の支援、促進。
 2つ目、ガントリークレーン等の革新荷役機械に係る教育訓練の仕組みの検討があります。これについては、配布資料4としまして、技能研修高度化委員会の報告書について、後ほどご説明いたします。3つ目、各港湾いずれでも必要な知識・技能に関する一般的な研修の実施機会の拡大が示されております。
 次に4頁です。センターが講ずる措置としまして、港湾技能研修センターにおける技能労働者の育成、港湾労働者に対する相談援助や各種講習の実施、事業主に対する同センターの利用の促進等。それから、ハ 事業主が講ずる措置として、港湾労働者の職業生活の全期間を通じた段階的かつ体系的な教育を行うよう配慮するとされております。
 これらに関しまして、資料2に戻ります。20頁です。能力開発関係です。(1)公共職業能力開発施設関係、施設での訓練実施状況等です。4箇所におきまして、それぞれご覧のとおり、実施されております。
 次に21頁、豊橋の港湾技能研修センターの訓練実施状況です。平成21年度で、各コースの合計1,835人の訓練が実施されております。訓練の関係は以上になります。
 また資料1の4頁に戻っていただきます。5 港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項です。
 (1)国が講ずる措置としまして、1つ目、港湾労働者派遣制度の適正運営の指導、制度の趣旨の徹底。2つ目、実施状況の的確な把握等を通じた派遣制度の適正運営。3つ目、センターへの必要な指導、助言とあります。
 それから、(2)センターが講ずる措置として、あっせん機能の充実強化、派遣元責任者研修、相談援助。(3)事業主及び事業主団体が講ずる措置として、センターが行う幹旋への協力、制度の趣旨に沿った活用が示されています。資料1の方は以上です。
 それから配布資料2の22頁以降をご説明します。ここまでは、計画の施行状況ということで、六大港に関する資料が中心でしたが、5.その他としまして、世界と日本の港湾の状況を示す資料を用意しております。
 まず、世界の港湾の状況を示すものとして、コンテナ貨物取扱量の世界・日本の上位10港を示しております。1位はシンガポール港で約3,000万TEU、以下、中国、韓国の1,000万TEUを超える港湾が続いております。日本は、東京が24位で約400万TEU、以下横浜、名古屋と続いております。
 次に23頁、日本の全国の港湾の状況です。こちら、船舶積卸量で見ますと、平成20年度のデーターですが、上の表の左下の数字、全国で約13億6,000万トンございまして、うち6大港がその上の上の数字ですが、約6億3,000万トンで46%、地方港は約7億3,000万トンで54%です。下のグラフは、船舶積卸量の推移です。このような推移をたどっております。
 次に24頁です。港湾常用労働者数です。全国の港湾常用労働者数が、上の表の右下の数字で約5万4,000人です。六大港が約3万人で、全体の56%、地方港が約2万4,000人で44%となっています。下はこれまでの推移です。
 次の25頁は、ご参考としまして、港別の船舶積卸量の順位表を入れてあります。資料2につきましては、以上です。
 次に配布資料3「人付きリース実態把握の概要」をご説明いたします。まず、配布資料3の1頁です。今回の実態把握の趣旨・目的ですが、港湾雇用安定等計画に基づき、人付きリースの抜本的な解消を目標として、具体的な解決策の検討、実施に資するよう実施したものです。対象事業主は、2の所ですが、?@かつて、人付きリースを利用していたが、利用を止めた事業主、?A平成21年間の1年間に利用した実績のある事業主。?B平成21年の1年間に、人付きリースを行った実績のあるリース会社等の3類型です。これらに記入票への記入を依頼し、提出後安定所においてヒアリングを実施し、あわせて解消に向けた対応を要請しております。この調査は、平成22年2月~5月にかけて実施しております。
 次に2頁、A.人付きリースの利用を止めた事業主の把握結果です。7社にご協力いただきました。
 まず人付きリースを利用していたのは、1.の所ですが、沿岸荷役が4社、港湾倉庫荷役は3社です。2.リース業者につきましては、7社に対して延べ10社、実数で9社でした。リース業者との関係については、7社とも「20年以上」で、古くから取引のある会社であり、契約形態については、様々な形態がありました。それから、3.利用の背景となる要因については、「一時的な荷役機械の不足に対応するための荷役機械が確保できない」が4社、「一時的な労働力の不足に対応する技能労働者が確保できない」が3社、それから、「一時的な労働力の不足に対応するための労働力が、量的に確保できない」が3社でした。一時的な荷役機械と技能労働者の不足に対応して利用していたものと考えられます。4.解消のために行った代替方法については、まず機械のほうについては、「購入」が4社、「機械のみリース」が5社。労働力については、「常用の雇入れ」が5社、「技能訓練による常用労働者の活用」5社と多数です。「日雇労働者の雇入れ」は2社、「港湾派遣の利用」が0社でした。
 次に3頁B.利用実績のある事業所の把握結果です。利用実績のある19社すべてから回答がありました。まず、人付きリースを利用したのは、1.利用状況ですが、船内が8社、沿岸が14社、港湾倉庫が4社、その他が3社でした。リース業者数は延べ42社、実数で23社です。リース業者との関係については、「古くからの取引のある会社」が41社で大多数でして、うち「20年以上」が23社、「15年以上」が10社でした。契約形態は、「リース契約のみ」が25社、「請負契約」が6社、「その他」が11社と様々な形態をとっておりました。 3.利用の背景となる要因については、「一時的な機械の不足に対応する機械の確保ができない」が14社、うち「最もあてはまる」とした所が9社、「一時的な労働力不足に対応する技能労働者の確保」が10社、うち「最もあてはまる」が7社、それから、「一時的な労働力不足に対応する労働力の量的な確保ができない」が12社、うち「最もあてはまる」が1社でした。
 また、「恒常的な労働力不足に対応する技能労働者の確保ができない」も2社ありました。多くは、一時的な荷役機械と技能労働者の不足に対応して利用しているものと考えられます。
 次に、代替方法の利用の可否について、(1)人付きリースの解消方法としての検討・実施の状況を聞きました。荷役機械については、「荷役機械の購入」について検討・実施した所が18社、「荷役機械のみのリース」について、検討した所が17社、実施した所が16社でした。労働力については、「常用労働者の雇入れ」について検討した所が18社、実施が18社、「教育訓練による既存の労働者の活用」については、検討が17社、実施が17社と多数でした。
 他方、「港湾派遣の利用」については、検討が12社、実施が6社。「日雇や他の下請」については、それぞれ検討が9社、実施が4社であり、人付きリースの解消方法としては、比較的利用されてないものと考えられます。
 次に、それぞれ代替方法による人付きリースの解消の可能性について聞いております。4頁(2)です。まずア「荷役機械の購入」により、解消可能が9社、不可能が5社、要検討が5社と回答いただいております。購入により、解消できない理由については、10社が記載しておりまして、資金面の問題についてが5社、技能労働者確保の問題についてが3社、「作業量の上限に合わせて機械を買いそろえることが難しい」などの港湾運送の波動性の問題についてが4社と記載しています。改善策としては、「技術者の定年退職者の日雇雇用による対応」などの回答がありました。
 次に、イ「機械のみのリース」です。こちらにより、解消可能が10社、不可能が6社、要検討が3社。「リースにより解消できない理由について」5社が記載しておりまして、「技能労働者確保の問題」について、3社が回答しております。
 次に、ウ「港湾派遣の利用」です。これにより解消可能が7社、不可能が2社、要検討が10社となっております。これにより、解消できない理由については、9社が記載しておりまして、技能労働者確保の問題が6社、また、「需要が重なる傾向があり、安定供給が期待できない」などの港湾運送の波動性への対応の問題について7社が回答しております。代替方法の改善策については、「即応性、安定性が量的にも技術的にも十分となれば、利用を考える」などの回答がございました。
 続いて、エ「常用労働者の雇入れ」です。これにより、解消可能が10社、不可能が2社、要検討が7社。これにより、解消できない理由については、8社が記載しており、「繁忙期を想定しての雇用は経営上困難」などの港湾運送の波動性への対応の問題について6社が、あと現下の経済情勢の問題について2社が回答しております。
 それから、オ「日雇労働者の雇入れ」については、解消可能が9社、不可能が8社、要検討が2社。日雇により解消ができない理由は7社が記載しておりまして、「技能的に信頼が持てない」などの労働者の技能の問題について6社から回答がありました。改善策については、「量的、技能的に安定供給されるようになれば、利用を考える」などの回答がありました。
 次に5頁、カ「他の港湾運送事業者による下請」により解消可能が5社、不可能が11社、要検討が3社、解消できない理由については、下請制限に関する回答が3社からありました。
 キ.「技能訓練の実施による既存の常用労働者の活用により解消可能が12社、不可能が5社、要検討が2社。これにより解消できない理由を4社が記載しておりまして、「相当年数がかかる」ですとか、「量的に限度がある」などの回答がありました。
 次に、5.その他です。人付きリース解消に向けて、現在実施している取組についてです。14社が記載しておりまして、常用労働者の雇入れが5社、「技能訓練の実施」が8社、「事業所間の応援体制」など、社内での労働者の融通が4社、「荷役機械の購入」が2社などの回答がありました。
 最後に、地区の港運協会による指導、労働組合からの要請について聞いたところ、要請があった旨の回答が8社からありました。
 6頁でC.人付きリースの貸出実績のある事業所の把握結果です。こちらは、26社に回答を依頼し、記入表での回答は5社でしたが、ヒアリングは12社が対応いたしました。
 まず、契約形態については、「その他」と回答した事業主が5社であり、契約形態はわからないという状況でした。解消に向けた指導については、「知っていた」事業所が2社、「知らなかった」と答えた事業所が3社ありました。次に、(1)人付きリースが解消されない理由については、「制度を知らなかった」旨の回答が2社、「減らしているが、雇用の問題がある」が1社、「正当性を訴えるもの」が2社あります。それから、(3)他分野への転換の可否や転換に向けての障害について聞いたところ、従業員の雇用に関する内容が3社、「新規分野の開拓には、資金やノウハウの面で難しい」などの回答が2社からありました。配布資料3については、以上です。
 次に配布資料4です。港湾労働安定協会への委託事業として行いました技能研修高度化委員会での検討に一定の区切りがつきましたので、平成21年度の報告書の概要について説明いたします。
 1.調査の背景です。コンテナ化の進展による荷役作業の革新化や、競争の激化に伴う迅速化を契機として、特にガントリークレーンを扱う港湾労働者の育成と技能向上が求められていること。2つ目、「港湾雇用安定等計画」において、国が講ずる措置として、ガントリークレーン等の革新荷役機械に係る教育訓練を効果的に実施できるよう、その仕組みについて検討することなどが盛り込まれたということが背景にあります。
 2.検討事項です。?@ガントリークレーン操作技能の向上に向けた効果的な訓練・研修の仕組み、?A各港湾いずれにおいても有用なガントリークレーン操作能力の保有を証する仕組みの2点です。
 次に3.ガントリークレーン操作技能の向上に向けた効果的な訓練・研修の仕組みについてです。(1)「訓練・研修モデルのイメージ」としましては、OJTを補完し、その負担軽減の視点から、ガントリークレーンの実機訓練、シミュレーターによる訓練及び座学研修の3つの組合せが適切とされました。このような訓練研修について、(2)港湾労働者が普段従事している港湾において、既存のガントリークレーンが稼働していない時間帯を活用した、実機による訓練・研修が考えられるとされております。それから、(3)シミュレーターの活用についても、検討されております。シミュレーターでは、実機では危険を伴う事故やトラブルを再現した訓練等が可能であり、そのメリットとしてロの所にありますが、実機訓練に伴う危険性がない、ランニングコストやメンテナンスが不要、OJTの効果が高まるなどから、導入の必要性が強調されております。
 次に2頁目です。(4)効果的な訓練・研修システムの構築、このためには、イ 調整主体、実施主体、港湾管理者、事業者団体など関係各主体の役割が必要となります。ロ 各訓練・研修コースとしましては、後ほど出てまいります有効な操作技術を認定する資格制度に対応したコースを設定し、その内容、対象者、研修時間とそれぞれ定めるとされております。またハ 運用上の問題点としましては、?@訓練用のガントリークレーンの確保、?A各事業者の行うOJTの時間と本訓練・研修システムの実機訓練時間との関係、?B経費負担を許容範囲に抑える方策の検討があげられております。
 このような、訓練・研修の実証実験として、(5)に関係者にご協力いただきまして、神戸港において5日間の訓練・研修を実施していただきました。また、(6)六大港それぞれに、ワーキングチームを設置し、各港湾の実情を踏まえて検討していただきました。
 次に4.ガントリークレーンのオペレーターに関して各港湾いずれにおいても、有用な能力の保有を証する仕組みについてです。
 このような、資格制度の必要性としまして、?@一般のクレーンよりも、高度な技能が要求されること。?A職業能力開発意欲を高揚させ、技能向上が促進がされること。それから、?D安全かつ円滑な港湾荷役作業による事故や災害が抑制されることなどがあげられております。制度の枠組みとしては、民間資格とすることが現実的で望ましいとされております。
 次に3頁です。この資格の種類につきましては、一般の運転者向けのコースと指導者向けのコースを設けて、また有効期間を設け、労働者の技術水準を維持することや、経過措置について言及されております。資格の対象となるものの規模としましては、(4)オペレーターとして活躍できる期間を20年間と仮定し、毎年35人程度が対象となりうると想定しております。(5)資格の特典として、当面六大港の港湾管理者において、オペレーターの登録や認定制度がある場合に、それらの一部免除又は全部免除が考えられるとされております。
 5.新たな訓練・研修システム及び資格制度導入に向けた今後の進め方が提言されております。(1)基本姿勢としましては、長期的には、港湾間である程度共通したシステム、統一した資格の確立を目指すことが望ましいが、現実には、各港湾それぞれの実情に違いがあることから、これを踏まえた実現化に向けた取組を進めることが必要であるとされました。(2)実現に向けた課題としましては、訓練・研修システムに参加する事業所などの費用負担は、負担可能な現実的な水準に抑える必要があり、ガントリークレーン実機の利用のための仕組み作りや、シミュレーターの調達方式、費用負担などについて具体的な検討が必要であるとされております。また、(3)新たな訓練・研修システムについては、神戸港の実証実験を踏まえ、本格的なパイロットモデルを確立し、その他の港湾でも、順次立ち上げていくことが考えられるとされております。
 最後に、現行の港湾雇用安定等計画が終了する平成25年度までに、まとまった具体的な成果が生み出せるよう着実な取組を進めていくことが期待されるとまとめられております。配布資料4については、以上です。
 最後に、配布資料5です。港湾労働者に係る新たな労働環境に関する検討会についてご説明いたします。今年度の予算事業として、外部委託により実施しております。まず、検討の趣旨です。1.港湾運送事業については、規制改革等に伴い事業の一層の効率化、サービスの多様化が求められており、港湾の24時間フルオープン化など、事業の実施形態の変化により、港湾労働者の雇用の安定が損なわれることがないよう、港湾労働者の雇用安定その他の港湾労働者の福祉の増進を引き続き講ずる必要があります。港湾雇用安定等計画では、「我が国の港湾における国際競争力を確保する観点から、人的資源の有効活用が図られるよう、港湾労働者の福利厚生の在り方について検討」とされたところであり、これらを踏まえて、港湾労働者に係る新たな労働環境について、海外の先進港及び国内港における状況の調査検討を行うものです。具体的には、2(1)公労使からご参集いただきました検討会におきまして、海外の先進港と国内港の調査の対象、事項、内容等について、検討していただきます。検討会にご参集いただいている方々は、配布資料5の下の所にございますこちらの方々です。検討会での議論を踏まえまして、2の(2)海外の先進港及び国内港における港湾労働者の福利厚生の状況等について、文献調査と実地調査を実施することとしております。海外の調査先につきましては、検討会での議論によりまして、ロッテルダム港とシンガポール港に決定しております。スケジュールとしては、これまで9月と11月に検討会を開催いたしまして、現在、国内調査を実施しているところです。年明けに第3回の検討会があり、その後、海外調査を実施しまして、年度内に調査結果をまとめることとなっております。配布資料1から5までの説明は以上です。

○征矢座長 ただいまの説明に対してご質問、ご意見があればお願いいたします。

○伊藤委員 感想めいたことも含めて発言いたします。港湾雇用安定等計画の施行状況について、7頁に派遣の状況が出ておりますが、実際には日雇就労がそれほど減ってはいないということではないかと思います。計画の中では日雇就労の縮減を図っていくということになっておりますが、その点がまだまだ足りないかなと思っております。また、10頁に賃金・労働条件・労働時間等の資料があるのですが、1つお願いとして、平成16年までは屋外職賃のデータを中心に報告があったのですが、平成17年からは賃金構造調査に基づいてやっているということですので、調査の違いがどうあるのか、どこがどう違ってきたのかということが分かれば教えていただきたいのです。また、調査対象港についても、今どれぐらいの港なのか、以前は40前後の港をピックアップしていたと思うのです。どこが違ってきたかということについての私の理解は、所定労働時間というものが明らかになったということで、屋外職賃のときは全労働時間しか分からなかったわけですが、所定労働時間が明らかになってきたということだと思っております。
 そうなると、所定内賃金も明確になってきたという経過があるのではないかと思っております。そこは数字的には出てきていないわけですが、実際問題、賃金はかつて月間40万円を超えていたが、現在の段階では32万円まで下がってきていることが明らかであると同時に、このデータにはありませんが、調べてみると所定内賃金もかなり落ち込んでおりまして、平成21年度の数字は26万5,000円ぐらいとなっております。結局残業で、時間外労働でかなり収入を得ているという実態でして、平成21年度の数値で言いますと、時間外労働時間は月間30時間ぐらいでしたが、それ以前は全部40時間を超えているわけです。そのように長時間労働になってきていることと同時に、賃金がダウンしてきていることがこの表からもわかると思います。所定内等も含めたもう少し詳しいデータをいただければ、その辺がより明らかになるのではないかと思います。
 港湾雇用安定等計画で、「適用港並びに適用職種の拡大の問題」について労働側からも問題提起をして、引き続き検討していくことになっているわけですが、今年度の春闘において、港湾労働法の適用拡大に関して、港ごとあるいは職種ごとで分析をした上で協議していくという労使確認をしているところです。そこでお願いですが、分析に必要ないろいろな資料が提供できるならば、提供していただきたいと考えているわけです。
 例えば、日雇労働者の稼働率は、先ほどのデータから六大港では2.2%ぐらいですが、地方港となると5~6%であり、これは港によっても大きな違いがあるわけです。また、検数検定労働者の問題についても、派遣並びに日雇の就労率となると、六大港でも30~40%ぐらいあるのではないかと見ております。そのような職種ごと、港ごとといった具体的なデータを提供できるようにしていただければ、労使間の話し合いも非常にスムーズにいくのではないかと思っておりますので、是非とも分析できる資料を提供していただきたいと思います。

○堀井室長 ただいまのご質問などについて、まず私からお答えいたします。改めての話も含めてですが、いま港湾労働法の適用港、そして適用職種の拡大について1点お話がありました。これまでも説明しているように、「港湾労働法の適用範囲」については国民経済に占める港湾の重要性、必要な労働力の確保、その他港湾労働者の雇用の安定等に関して特別の措置を講ずる必要はあるのかどうかという観点を総合的に勘案し、決定するべきであると考えております。また、「適用業種」という観点にしても、事業活動に波動性が見られるかどうか、雇用秩序の維持などといったところに港湾労働の特殊性が認められるかどうかという点で決定をするべきと考えておりまして、これはこれまでも説明しているところです。
 そのようなことから適用業種、適用港湾の範囲の変更ということについては、関係労使の合意も1つの要素とは考えておりますが、いままで申し上げたようなことも含めての総合的な考慮ということで、現状においては必ずしも直ちに変更する必要があるとは考えていない部分ではあります。ただ、いろいろな状況については、引き続き把握していきたいと考えているというのが1点です。その関係から、いま関係データの提供というご要望がありました。私ども厚生労働省が把握しているデータで提供できるものについては提供していきたいと思いますが、把握していないもので調査がなかなかしにくいといったものもあると思いますので、個々のデータ等についてその都度ご相談をいただければ、そのときの状況について説明するということを考えております。データについては室長補佐より説明いたします。

○高松補佐 屋外労働者賃金調査と、賃金構造基本調査における対象港の違いについてですが、ご指摘のとおり、屋外労働者賃金調査の方は、平成16年時点で全国で39港を対象としております。また、賃金構造基本調査の方は対象港を絞らず、日本国内全域ですので、対象港としては広がっている状況にあります。また、対象の職種については、賃金構造基本調査では船内荷役作業員、沿岸荷役作業員、上屋作業員とされておりますが、屋外労働者はウィンチマン、デッキマン、船内・沿岸・陸上荷役作業員、はしけ長、検数員、雑役となっております。調査の違いについては以上です。

○伊藤委員 いまの調査データの賃金構造調査の件ですが、全港適用と見ていいわけですか。港の数から言うと、93港を対象としているということですか。

○高松補佐 港に限った調査ではないので、実際の調査対象がどこの港なのかは分からないのですが、この調査の対象としては日本国内全域となります。

○伊藤委員 ただ、毎年毎年のデータで労働者数が表示されていますが、大体2,400人前後で賃金構造基本調査が行われています。この2,400~2,500人はどのようにピックアップしているのですか。

○高松補佐 サンプルのとり方ということですか。

○伊藤委員 そうです。

○高松補佐 サンプルのとり方までは確認できておりません。

○堀井室長 その点について確認できましたら、別途お伝えをしたいと。

○伊藤委員 統計として有意性を持つ統計の仕方をしているのかどうかということです。

○堀井室長 もちろんです。そこは基本的に問題ないと思います。

○伊藤委員 特に所定労働時間が上がったり下がったりすることなど、私どもとしてはちょっと納得のいかないデータもあるのです。所定労働時間が上がったり下がったりということは、1年においてないわけですから、サンプルのとり方がどうかという疑問を持っているのです。屋外職賃の場合、以前、港は40数港あってだんだん少なくなってきたものの、それでも特定重要港湾を中心として港は限られていたわけです。その辺がどのように変化してきたかを知りたかったものですから、後で結構ですので教えていただきたいと思います。
 また、室長から話があった点ですが、今まで検数、検定に港湾労働法を適用する必要がないことの説明として、厚生労働省は検数人や検定人としてきちっとした資格を持って働いているとか、常用労働者が中心で働いているとか、波動性が非常に少ないなどといった理由を挙げていました。しかし、その状況が変わったのではないかということを、私どもはこの委員会の中で指摘してきたわけです。そもそも規制緩和によって資格制度はなくなりましたし、いま言ったように派遣制度が導入されてきて、常用による就労は60%程度といった就労比率になってきているわけです。そのように実態が変化しているのに、それに対するデータが掌握できないということですと困るわけです。既存のデータではそのようなものが集められないということであれば、何らかの調査をやるぐらいのことは是非とも考えていただきたいということです。同時に、そのようなデータを適宜適用できて、適用に関しては労使でこれからいろいろ分析しながら検討していかなければいけないので、規則的なデータが適宜適用でき、是非とも労使の話し合いがスムーズに進むように協力をお願いしたいと思っております。

○征矢座長 その他、何かあればお願いいたします。

○糸谷委員 ただいま伊藤委員が話されたことと大筋は変わらないのですが、この計画のねらいそのものについて、六大港というのは法で決められているからこうなのでしょうが、港湾労働者の労働力の需給調整、雇用改善、能力の開発向上というのは、六大港の港湾労働者だけに限ったことではないということは以前からも言っていますし、労使間でもその話はしているわけです。だからこそ、港湾労働法の適用拡大と。ただ、港湾労働法を適用拡大して、果たしてその辺のこのような目的が、地方港においてもきちっと達成できるかどうかというのは別問題ですので、とりあえずは適用を拡大してほしい。その結果として、どのような施策ができるかというのは一緒に考えていかざるを得ないだろうし、港湾労働法が適用されているから、何か特別に保護されているわけでもないのでしょうが、やはり施策を実施するときは、港湾がこれだけ拡大してきたと。例えば技能の問題、ここに能力の開発向上とありますが、いま機械化されているのは六大港だけではなく、全国に何十港とあるわけです。それだけ拡大してきて、さらに今度は集中で絞られようとするから、雇用不安が起きるわけです。こういったものをどうするか、やはり港湾労働法という法の下で、そういった相談ができるような体制にしていただきたいというのが働く側の私どもの考えで、ここはよく理解していただきたいと思います。

○伊藤委員 過去に地方港の日雇稼働率を調べたことがあって、20%近い港もあったと。これは20年近く前の話になるでしょうか、ILO条約を適用するに当たって、いろいろ調査したときのデータがあるはずです。これは日本港運協会から出されている『港運要覧』でも、地方港における日雇の依存率というのも数字として出てきているわけです。どのようにして日港協が調べたのか承知しておりませんが、このようにいろいろなデータがあって、もう少し詳しく調べれば、港ごとのデータも可能だと思っております。そのようなのが出された上で、いろいろな分析に基づいた協議が、今後は労使間でも進められると思っております。データはないということでは決してないと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○征矢座長 その他、何かあればお願いいたします。

○玉田委員 配付資料2の6頁、(3)の六大港における港湾労働者数でいくと、平成20年から21年にかけて減っていますが、これは常用労働者が減っていて、日雇は減らないと見ていいわけですか。つまり、荷物の数がガタンと落ちたというのもこの時期に当たると思うのですが、常用労働者の就労は減って、日雇や派遣労働者は変わっていないと読めるのでしょうか。

○高松補佐 データの詳細は、下の表の「就労延日数」をご覧いただければと思います。平成20年度と21年度の月平均を比べると、いま指摘された常用港湾労働者数、これは港湾労働者証の枚数をカウントしているのですが、平成20年度は3万2,500、平成21年度は3万1,800で、ご指摘のとおり、700ぐらい減っておりますが、就労延日数で見ると、その隣の隣に企業常用労働者の就労日数がありまして、括弧内が対前年度比です。平成21年度の企業常用労働者は(▲3.3)となっておりますが、これは平成20年度に比べて、平成21年度の企業常用労働者の就労延日数が3.3%減ったということです。その右をご覧いただくと、派遣は(▲26.8)ですので、派遣も減っておりますし、その隣の隣の欄の日雇は(▲2.0)ですから、約2%減っているということです。

○玉田委員 率で言えば、常用のほうが下げ率が多いということになりますか。

○高松補佐 そうなっております。

○玉田委員 本来は逆になるのでしょうね。要するに、あくまでも日雇というのは4番バッターだから、最初にここが減らないと、この計画で言うところの日雇に依存しない体制を作っていくという方向にはならないです。

○堀井室長 気持としてはそうです。ただ、頭数、必要な労働力の数などといった辺りで、数字の違いが出てきたのではないかということはあるかもしれないと思っております。ただ、トータルについて上のグラフではマイナス状況が分かりにくいのですが、下を見ていただくと、先ほどの資料の説明のときにもあったように、平成21年度は全体として荷物量が減ったこともあり、マイナスが目立っているという状況で常用、派遣、日雇は安定所紹介、直接雇用も含めて、特に年度前半は▲が顕著に目立っている状況ではあると思います。平成22年度の状況となると、平成21年度よりは若干の持ち直しがあるのではないかという話もきておりますので、先ほどの労働時間と賃金のデータも含めて、平成22年度の状況も見てからの分析が必要かなと考えております。

○中谷委員 やはり常用が減っているというのは、暇なのです。不況だから減っているということが絶対にあるのです。下がってきているのは、やはり不況だからです。卒業していって、その補充を減らしているとか。

○糸谷委員 それで日雇に依存しているという傾向、それは企業経営としてはわかります。しかし、港労法の目的はそうではないです。

○中谷委員 これは全体の数字ですから。

○糸谷委員 しかし、数字は正直です。

○中谷委員 関西では日雇は使っていないですから、一概にそう言われても困ります。

○糸谷委員 それは前年度を。

○玉田委員 個別の事情はあるでしょうが、本来、この場の議論として、よかったね、日雇の方が率が減っていると言うと何となく安心できるのですが、あれっと思ったので、ここは分析の要ありという気がします。

○堀井室長 そうですね。対前年との比較ということもありますし、そこはある程度の中長期的なトレンドを見ていきたいと思います。また、専門委員会の場でもご報告いたします。

○征矢座長 その他、何かあればお願いいたします。

○玉田委員 同じ考え方でいくと、8頁の上の6の表、5の表もそうです。ここもそれぞれの港ごとにほとんど変わっていないのです。これは推移で構成比ですから、構成比はほとんど変わっていないような気がします。構成比でそれぞれパーセンテージを出したら、出るような気がします。

○山田職業安定局次長 先ほどの6頁の下の表ですが、月別に見ると、日雇は平成21年度の4月から10月までは相当減っていますが、11月ぐらいからプラスに転じています。先ほどもお話がありましたが、これは景気の状況によって、日雇については、荷動きが大きくなると変動が大きいので増え始めているというのが平成21年度にかかっていることが影響しているのではないでしょうか。

○糸谷委員 おっしゃるとおりです。

○山田次長 常用の方は割と安定的です。むしろ増えている局面が平成21年度に入っているので、減り方が小さいということではないでしょうか。

○糸谷委員 平均すればそうなったということでしょうね。上げ下げというか、日雇というのはそういうもので、波動性に対処するわけですから。常用はいきなり増やせない、やはり雇用に関しては慎重になっているので、それをカバーするために日雇依存が高くなっていると。しかし、これは法の趣旨に丸っきり反対しているのです。傾向としてはよくわかります。

○花島委員 港湾労働者派遣事業の適正な運営をもっとやってもらうために、現在、常用派遣は月7日というのを増やしてもらうことができれば、常用の派遣はもっとできるのです。以前にも申し上げたのですが、その辺はいかがでしょうか。

○堀井室長 派遣日数についてはいろいろ議論があって今の日数になっていると伺っておりますが、いまの点は1つご要望として受け止め、引き続きこの専門委員会の場などでいろいろと議論していくことと考えております。

○征矢座長 その他、何かあればお願いいたします。

○糸谷委員 この場の雰囲気には馴染まないというか、ちょっと別種の話ですが、先立って建設・港湾対策室と私どもと申し入れをして折衝した際に、その前にわかっていたのですが、事業仕分けで労災防止指導員という制度が仕分けされて、今年度末でなくなるというのです。予算が余計にかかるとか、特別な組織をつくってそこが担当しているなどというのではなくて、現場でそれだけの権限を委嘱されて、安全の確保には現実的にはなかなか目にはできないですが、有効だったのです。それが一気に仕分けされてなくなったわけです。もし、そのあと状況が変わったというか、説明するようなことがあれば、是非お聞かせいただきたいと思います。この場にはそぐわないですが、よろしくお願いいたします。

○堀井室長 いま糸谷委員が言われたとおり、専門委員会の審議事項かと言うと、違うかもしれません。ただ、あのときも非常に強いご意見をいただきましたので、ご紹介させていただきます。いま行政刷新会議における仕分けや省内の事業仕分け、あるいは行政事業レビユーなど、様々な形で無駄の排除、効率性の追求ということで各種事業について見直しがなされ、見直し方向などが提示されているという状況です。労災防止指導員についても省内事業仕分けでいろいろと議論され、担当原課で対応方針を決めている状況と聞いております。前回いろいろとご意見をいただいた場にも担当者が来ておりましたし、今回はこういった形で港湾労働専門委員会においても、さらにそのようなことについての懸念が示されていたという話については、私から担当部局に伝えることにさせていただきたいと思います。その後担当部局から状況について情報提供できることがありましたら、労使双方に対してお伝えするという形にさせていただければと思います。

○糸谷委員 大事な制度なので、予算はゼロではできないかもしれませんが、私どもはせめて制度だけでも残していただきたいと思っているのです。災防協会もありますから、どこをどう経由してくるかは構わないですが、やはり民間の安全を確保するべき立場の人をつくっておくというのは大事なことだと思うので、是非それはお願いしておきたいと思っております。次長もお見えですので、是非よろしくお願いいたします。

○征矢座長 個人的な見解を申し上げれば、あの事業仕分けでは理解のできないものがいくつかあります。特に労災関係の特別会計で、社会復帰促進等事業を全部廃止というのがありましたが、もっと大きいのは賃金不払いの制度なども廃止せよと言っていることです。あれはどのような考え方でそのような指摘がされたのか、私自身もよく理解できないし、制度がなくなったら大変だと思います。お金がそんなにかかる話ではないですが、労災防止指導員も一定の考え方でやっていて、それなりに役割を果たしてきているとすれば、やはり、そのような制度というのは残すべきではないかと思います。

○糸谷委員 ちょっと話が外れますが、今日も横浜港で事故があった問題について、当該の船社に対して申し入れてきたのですが、あの種のものを点検してきちっと話ができるというのは、そこにその種の資格を持った人がいれば、申入れもできると。昨今の経済状況から、老朽船体ではないですが、その辺の安全がなおざりにされているような状況が現場にはあるのです。現場で言わないと意味がないのですが、いちいち会社に報告して、会社もいろいろな関係者と相談して一気にというわけにはなかなかいかないので、あの種の資格というのは非常に大事なのです。是非、お願いしたいと思います。

○山田次長 事業仕分けの場で意思決定が行われるということではないと理解しておりますので、あのような指摘も受け止めながら、雇用のセーフティネットはしっかり張らなければいけないし、いろいろな要素を勘案しながら、政務三役とも相談しながら、今後の対応というものを決めていくことが基本的な流れだと思っております。

○征矢座長 その他、何かあればお願いいたします。

○伊藤委員 いまの事故の問題ですが、このデータから見ても、強度率がちょっと心配になる点です。一旦事故が起きれば、重大災害につながるということだろうと思うのです。そのような意味では、なぜ港湾の業務が派遣の対象にならないのかと言えば、それなりに危険な業務だからです。労働関係と言いますか、日雇のように安易に働くのではなくて、きちっとした雇用管理が必要であるから、専門委員会で検討しながら港湾労働法でやっているわけです。その辺を十分踏まえていただきたいと思いますし、港というのは1社ごとに安全対策というのができませんから、やはり港全体で協力していかなければできないわけです。私どもが働く所は船であったりするわけですから、設備の問題も含めて、きちっと対応できないと安全対策はできないとなっていますので、その点での安全対策というか災害防止対策をお願いしたいと思います。
 もう1つ、技能高度化委員会の報告については非常にいい報告が出されていると思うのですが、具体的にどのように実施していくのか。私どもは早くからガントリークレーンのシミュレーターを購入し、そのようなのを作るべきではないか等いろいろ言っていますが、先立つものがないということで、せっかくこのような報告が出されているにもかかわらず、平成25年度までにまとまった成果とありますが、成果というのはどこまでを考えているのか。まず、この点をお願いしたいと思います。また、いまの港湾整備の状況の中で、例えば大型船が着く港を造るのであれば、ガントリークレーンも大型化するわけですし、高性能のガントリークレーンを使わなければいけない。そして、それを動かす技能労働者がいなければ、スーパー中枢港湾だとか、ナントカ港湾などといった港を整備したところで、それをオペレートできる労働者が存在しなければ機能していかないわけです。
 そのような計画が一方にありながら、訓練計画なり何なりがなおざりにされているのではないか。人材を育成していくという点は、本当は港を造るという整備計画と相まってやっていかなければならないのに、全然別々のところで議論されているし、予算の配分の仕方が全く明確になっていない。そのようなやり方では、せっかくこのようにいい報告を委員会にしていただいても、成果が上がっていかないだろうと思うのです。是非、国土交通省とも協力して、やれるところからやっていくようにしていただきたいと思います。

○糸谷委員 今日は課長がお見えになっているので、そこのところをよろしくお願いいたします。港を造っても、機能させるべき技能向上がなければ、これは機能しない。逆に言うと、どちらが分担するかと言っても、厚生労働省もその種の予算がなかなか取れないというところで言うと、それだけ高規格の港湾を指定して建設してやっていこうとするならば、それに見合った労働者の技能向上をどう図るかということをよく相談していただきたい、あえて課長にお願いしたいと思います。

○堀井室長 まず、高度化委員会についての要望に関してですが、確かに技能高度化委員会は平成19年度から公労使、そして各港湾の関係者の方々の多大なご尽力によりまして、こういった形で報告書をまとめていただきました。この場で申し上げるのは不適切かもしれませんが、改めてお礼を申し上げたいと思います。先ほどはシミュレーターの購入についてのお話なども出ましたが、平成21年度の委員会の報告書の中ではかなり具体的な方向性を示していただいたので、その次の段階として何ができるかというのを事務的に考える次元に入ったかなという気がしております。何かを購入するにしても、それがどう活用されるか、活用の効用がどの辺りまで浸透してできるかといったフィージビリティを考えてやらないと、買っただけということになってもいけないという問題提起もありますから、その辺りも含めてやっていきたいと思います。当然ご指摘もありましたが、港のことですので国土交通省、関係者の方々とは引き続きご相談しながら検討していきたいと思います。

○永松港湾経済課長 主にガントリークレーンのシミュレーターの関係かと思いますが、報告書で方向性が示され、いま室長が言われたように、これから事務的な検討の段階に入るというお話でした。私どもとしてもどのような協力ができるか、厚生労働省と一緒に検討していきたいと考えております。

○征矢座長 その他、何かあればお願いいたします。

○伊藤委員 今日の議題とは直接関係ないかもしれませんが、アスベストの問題です。アスベスト問題の協議の場というのを厚生労働省につくっていただきまして、労働側、使用者側、それから厚生労働省、国土交通省が入って、アスベスト問題について具体的に何かできるものがないかという検討を2回ほどやってきたわけです。1つ成果かなと思っているのは、港湾労働者向けにアスベスト問題を知らせるリーフレットを作ることを5月の協議の場で確認をして、だいぶ時間がかかりましたが、やっと印刷の発注ができたということです。こういうことはできないのだろうかということを申し上げても、厚生労働省の担当者からは、いまの制度はこうなのですという説明だけで終わってしまうことが問題です。これから何ができるのかということが議論できる場であれば、私どもはもっと積極的に関わっていきたいと思っているのですが、現行制度の説明だけですと、せっかく協議の場を設けても成果が上がっていかないのではないかと思います。
 そのような意味では、アスベストの問題は、安全問題も含めて非常に重大な問題です。それについていろいろと知恵を出すフリーな場をつくっていただいたわけですが、いまの制度はこうだから、いまの制度以上のことはできないと担当局に答えられてしまうと、協議を続けていく意味がないかなと。この2回の経過を見て、これ以上進めるべきか、どうしたらいいのかという点で悩んでいるところです。厚生労働省の姿勢をもう少し変えていただけるならば、私どもとしては協議を引き続きやっていきたいと思っておりますが、具体的な進め方の判断は室長判断になってくると思いますので、その辺の意向を汲んでいただき、これからの進め方を検討していただきたいと思います。

○征矢座長 その他、よろしいですか。それでは、本日の議論はこのぐらいにいたしまして、次の議題に移ります。事務局より説明をお願いいたします。

○堀井室長 2点説明いたします。1点目は派遣法の改正案の状況の報告です。先般終了いたしました臨時国会における労働者派遣法の改正法案の審議状況ですが、そもそも港湾労働者派遣事業については、労働者派遣法の事業規制の規定の一部を除いて適用しているという状況ですので、現在国会に提出をしている派遣法の改正案についても、派遣法改正に伴う関係法律の規定の整備ということで、港湾労働法の規定の整備が含まれているところです。派遣法案についてですが、今年3月に通常国会に提出され、衆議院の厚生労働委員会で審議が開始されましたが、継続審議となりました。12月3日に閉会した臨時国会においては質疑がされることはなく、引き続き継続審議となっております。そのようなことで改正法案については、来年の通常国会において審議がなされるのではないかと考えられますが、直近の状況ということでご報告いたしました。
 2点目は、「港湾労働者派遣事業の許可の取扱い」について説明いたします。港湾労働者派遣事業の許可については、当委員会において許可を妥当と認められたものについては、雇用対策基本問題部会の部会長に報告し、部会としての了承をいただいているという状況です。これについてはこれまで各委員のご了解をいただき、全委員会から許可を妥当とする旨の了解を個別にいただくことによって、当委員会として許可を妥当とするという取扱いをしておりました。この取扱いについてはこれまでも各委員の皆様方には了解をいただいているところですが、先ほどご紹介があったように、委員の交替もありましたので、この場で明確に確認させていただくことが望ましいと考えております。すなわち、港湾労働者派遣事業の許可に係る諮問については、当委員会の全委員が許可を妥当と認め、個別に全委員から許可を妥当とする旨を確認することをもって、当委員会として許可を妥当として差し支えないものと座長が判断した場合には、その全委員への確認をもって、当委員会として許可を妥当とすることができるものとするという取扱いに引き続きさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○征谷座長 ただいまの説明は今までやってきていることの確認ですが、きちんと確認して、今後はこのようにやることにしたいということです。そのようなことでよろしいでしょうか。

                  (了承)

○征矢座長 それではそのように取り扱うことといたします。最後に、事務局から何かあればお願いいたします。

○高松補佐 特にありません。

○征矢座長 本日の委員会は以上で終了いたします。本日の会議に関する議事録の署名委員については、労働者代表は糸谷委員、使用者代表は中谷委員にお願いいたします。本日はお忙しいところをありがとうございました。


(了)

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