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2010年11月29日 第10回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録

統計情報部企画課国際分類情報管理室

○日時

平成22年11月29日 14:00~16:00


○場所

経済産業省別館1014号会議室


○議事

第10回社会保障審議会統計分科会
疾病、傷害及び死因分類専門委員会【議事録】


1.日 時:平成22年11月29日(月)14:00~16:00

2.場 所:経済産業省別館1014号会議室

3.出席者:
  <五十音順>
   新家委員、飯森委員、大江委員、岡野委員、嘉山委員、清田委員、近藤委員、澤井委員、
   柴原委員、高橋悟委員、高橋姿委員、玉岡委員、中田委員、中谷委員、藤原委員、
   松本委員、水沼委員、望月委員、森内委員、矢永委員、吉田委員、渡辺賢治委員

4.議 事:
  (1)委員長の選出について
  (2)ICD改訂に関する動向について
  (3)WHO-FIC年次会議(トロント)の報告について
  (4)その他

5.議事内容:
○国際分類情報管理室長
 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまより、第10回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会を開催いたします。
 各委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 私は、本日進行を務めさせていただきます、大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室長瀧村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 資料1-1「ICD-11改訂に関する動向について」でございます。
 資料1-2は、枝番号が1~8、内科TAG、筋骨格系TAG、精神TAG、眼科TAG、伝統医療TAG、皮膚科TAG、外因TAG、腫瘍TAGとなっております。
 資料2は「ICD-11 RSG及びiCAMP2会議報告」
 資料3-1が「WHO-FICトロント会議報告」
 資料3-2が「WHO-FIC年次総会URC投票結果について」でございます。
 以上、お手元の資料につきまして過不足がございましたら、お知らせください。
  それでは、本日の委員会は、今期初めてでございますので、委員の御紹介をさせていただいき
 ます。恐れ入りますが、五十音順に御紹介させていただきます。
  本日の御欠席は、岡本委員、小川委員、落合委員、幸野委員、菅野委員、土屋委員、針谷委員、
 横田委員、渡辺重行委員の9名でいらっしゃいます。
  議事に先立ちまして、事務局より運営について御説明をさせていただきます。
  本委員会の運営につきましては、社会保障審議会統計分科会のもとにつくられました専門委員
 会でありますので、社会保障審議会の運営に準じます。
 委員会は、原則公開で行われ、議事録も、原則公開となっております。
  それでは、議事の1に移ります。本委員会の委員長の選任を行いたいと存じますが、各委員の
 皆様方、いかがでしょうか。

○吉田委員
 大変僣越ですが、東大の吉田と申します。
 3期務めさせていただいているということもあり、考えておくようにという御下命がありました。いろいろ考えたのですけれども、横浜労災病院の藤原研司先生にお願いできたらと思います。
 理由は、この委員会では、国の内外のいろいろ複雑な事情を考えた上、これをまとめていかないといけないという非常に大任でありまして。藤原委員は、これまで委員長として、これで3期目ということですけれども、非常に手腕を発揮されていますので、是非、藤原委員にお願いしたいと思います。
 以上です。

  <異議なし>と声あり。

○国際分類情報管理室長
 それでは、本委員会の委員長は、藤原委員にお願いしたいと存じます。

○藤原委員長
 ただいま御指名いただきました藤原でございます。
 私は今から10年前、埼玉で日本消化器病学会総会を開催した際に、当時、包括医療問題に絡めて、この疾患名のことは極めて重要であるという認識に立ちまして、大きな話題の1つに取り上げたことがございます。WHOそのものの動きが鈍いところで、日本から、学会レベルから問題を整理して挙げていくのが国際貢献だという気がいたします。日本からきちんとした方向性を示してやるのが、本当の意味のグローバル・メディスンというか、国際貢献だろうという気がいたしますので、大変僣越ではございますが、続けさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 それでは、議事を進めさせていただきます。
 「ICD-11改訂に関する動向について」事務局及び各担当者から報告をお願いいたします。
 まず、事務局からよろしくお願いいたします。

○国際分類情報管理室長
 それでは、資料1-1をごらんください。ICD-11改訂に関する動向について、前回の委員会以降の動きをまとめさせていただきました。四角で囲んでありますのが、WHO側の取り組みでございます。
 まず、4月ですけれども、内科TAGの対面会議を日本で行いまして、その前日、前々日に、内科の消化器ワーキンググループ対面会議を開催しております。
 6月は、ICF関係ですが、FDRGの中間年次会議がスペインで開かれております。9月にですが、ICD-11のTAGの1つであります腫瘍TAGの対面会議がフランスで行われました。9月下旬にRSGというTAGの議長の会議であります改訂運営会議、それから、i-Camp2。これはαドラフトを中心に議論がなされました。実務者レベルの会議もWHOで行われております。
 10月に、WHO-FICネットワーク年次会議、これはWHOの協力センター長の会議ですけれども、 カナダで行われております。
 今月に入りまして、国内内科TAG検討会、国内腫瘍TAG検討会が開かれまして、本日に至っております。
 また、今後の予定といたしましては、12月に第2回WHO伝統医療国際分類会議が東京で行わ れる予定です。
 資料1については、以上でございます。

○藤原委員長
 では、各TAGからの御報告をお願いいたしたいと存じますが、まずは、内科TAGの動向について。これは事務局から、よろしくお願いします。

○国際分類情報管理室長
 資料1-2-1をごらんください。本日御欠席の先生の分につきましては、事務局の方から御報告を申し上げます。資料1-2-1が、内科の全体のまとめでございます。
 1枚めくっていただきますと、これは内科TAG4月の対面会議で報告されたことですけれども、ワーキンググループのメンバーの状況、Managing Editorsの任命状況がまとめられております。
 その次のページは、対面会議を行ったかどうか、サポートしている学会等の一覧、αドラフトに向けて構造提案を出したかどうかということが一覧になっております。
 まず、1-2-1?@ですけれども、内科TAGの中の腎臓のワーキンググループからの御報告です。
 ワーキンググループの議長は、日本医科大学の飯野委員とボストンのLesley Stevensさんが務めておられまして、アメリカKidney Foundationの援助を受けながら活動を行っておられます。
 2010年の活動内容ですけれども、毎月1回電話会議が行われており、ワーキンググループの会議
がアメリカ腎臓学会の期間中11月20日に行われたようです。
 変更案は、AKDとCKDの組み込み、糸球体腎炎疾患名の整理等々になっております。こちらの方は、まだαドラフトの方には入っておりませんけれども、今後、β版に向けて提案をしていくということがまとまってきたようです。
 それから、資料1-2-1?A、次のページでございますけれども、これは循環器ワーキンググループからの御報告になります。
 循環器につきましては、日本循環器学会内で、ICD-11に関するワーキンググループをつくっていただきました。御参加いただいている学会一覧が、資料に入っております。
 それから、2枚目は、構造の改訂案に従って、その御参加いただいている循環器学会の中の学会の分担を決めた一覧表になっております。
 それから、続きまして、消化器肝・胆・膵ワーキンググループは、資料はございませんけれども、消化器につきましては、4月に対面会議を日本で行っておられまして、構造変更提案については、WHOに提出したとのことです。ただし、5月に発表されるはずだったα版に関しましては、その提案が一部反映されてないという状況になっておりまして、それについては、iCATという入力ツールに入れる段階でWHOの意見がそこにはさまった状態になっております。内容が混乱して、分類として体をなしていないということで、菅野部会長よりWHOに抗議をしたところです。それに対しまして、WHOが謝罪をし、今後は、提案したものをそのまま入力することになったようです。既に提出した提案を再度入力する必要があるのですけれども、内科TAG全体のManaging Editorという編集をする担当の方が一時不在の状態になりまして、入力作業が進んでおりません。最近、再開のめどが立ちまして、これから入力作業は進んでいくだろうとのことです。
 肝・胆・膵につきましては、9月のi-CampにManaging Editorsが参加していただいたのですけれども、御自分たちの提案がどうなったかWHOに問い合わせたところ、WHOからコメントを送ったということだったのですが、担当の議長でない方に送られていたことが判明し、再度送ってもらったところ、肝・胆が入ってなくて、膵臓しか入ってないことがわかりまして、それがどこに行ったかと確認したところ、他の議長に行っていたというような混乱した状態でした。4月に構造提案を出していても、WHOからの意見が加わったものに関しては、日本の担当のManaging Editorsに全く伝わっていなかったという状況であったようです。
 続きまして、血液ワーキンググループですけれども、こちらも口頭報告になります。
 血液は、日本とアメリカとヨーロッパの学会が協力して作業を進めておられまして、そこで構造提案が固まっておりました。それをWHOに送付して、コメントが戻ってきたようです。それから、内科TAGのManaging Editorsの方にも送られていて、コメントが返ってきておりますけれども、α版の方には、Rare Diseases TAGが提案したものが入っていて、血液のワーキンググループが提案したものが全く入っていないという状況が判明いたしました。
 12月上旬に、日本とアメリカとヨーロッパの3学会が集まってワーキンググループとしてのManaging Editors等サポート体制も強化されるようです。また、血液ワーキンググループのメンバーにつきましても、各3学会から出ておられまして、WHOに承認をされております。
 ?E番の内分泌ワーキンググループでございます。資料1-2-1?Eをごらんください。
 こちらの方は、内分泌代謝の中に糖尿病という大きな分野があるので、御担当の議長を別途任命しておられました。アメリカのChristopher Saudek先生だったのですけれども、本年4月に東京の対面会議にいらした後、体調を崩されまして、残念ながら、本年10月8日に御逝去されました。
 2番ですけれども、Rare diseases TAGとの電話会議を8月に行っております。内分泌に関しましても、Rare diseasesの提案が既にα版の方に入っているという状況がわかりましたので、それをもとにしてplatformで個々に議論していくということで一致したそうです。
 α版の構造提案につきましては、今メンバーに投げかけをしていて、基本的な構造はICD-10に準拠することになりそうだということです。
 今後の活動は、糖尿病関係の共同議長、Managing Editorsの人選を行って、体制を整備していきたいとのことです。
 ?FのRheumatologyの方ですけれども、6月に欧州リウマチ学会の期間中face-to-faceのミーティングを行い、大幅に改訂された構造提案をWHOに送付したということです。
 それから、今月もアメリカの方で対面会議を行っておられまして、その結果はWHOの方に送付される予定です。
 問題点として2つ挙がっております。このワーキンググループの活動を支えるために、WHOの方に、アメリカリウマチ学会、欧州リウマチ学会、日本リウマチ学会からの資金提供を依頼するという文書を送るよう依頼しているにもかかわらず、何も反応がないということ
 それから、ワーキンググループとしての提案が、今、αドラフトの方に全く反映されておりません。そういった点を挙げておられます。
 以上でございます。
 呼吸器ワーキンググループについては、近藤委員の方からお願いしたいと思います。

○近藤委員
 呼吸器のワーキンググループの近藤です。資料がなくて、申しわけございません。
 実は呼吸器ワーキンググループは、ほかのワーキンググループに比べまして、非常に遅れておりまして、まず、国際メンバーの確認で、デービッド・イングバー先生にお願いしていましたが、そちらの先生がまだWHOの方に登録をされてないという状況でありまして、至急それを行っていただくようにお願いしているところです。
 それから、呼吸器学会といたしましては、昨年、ICD-11の検討委員会を立ち上げまして、そちらでドラフトとして既につくっております。コーディングの作業も現在進行中でございますので、メンバーが確定次第、今後進めていけるような状況になるのではないかと思っております。
 以上です。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 それでは、次は筋骨格系TAGについてお願い致します。

○望月委員
 筋骨格系TAGの前回のこの委員会以降の動きを御報告いたします。資料をご参照ください。
 日本整形外科学会のICDに関する人事の体制は、このように変わっております。
 主に報告すべきことは、⑵の「筋骨格系TAGにおけるαドラフト確定までの現況」ということで、現在、本部はスウェーデンにあって、Managing Editorsも、アネット・ダールさんというスウェーデンの方がやってくださっています。その方は、内科TAGのリウマチワークグループと同じManaging Editorsを兼ねております。
 筋骨格系のαドラフトについては、日本整形外科学会がつくった素案がもとになって、今回提出されているようだということが情報として入っております。しかし、筋骨格系の中の8つあるワークグループの中に2~3アクティビティーが乏しいグループがあります。いろいろな会議にまったく出てこないというワークグループのヘッドの方がいらっしゃって、実際にほとんど動いてないのが実情です。このため、チェアであるSundbergさんがかなりいらいらしていまして、場合によったら、これらのワークグループのヘッドを日本から補充してくれないかという申し出がありました。それに対して、整形外科学会としては、日本という一国があんまり突出した形態で、この筋骨格系TAGが形成されますと、結果として、国際的に信用されなくなるのではないかということを非常に恐れまして、あくまで実働部隊としての役割を果たそうということで、意思統一がなされております。
 3番の第3回対面会議は、2期に分かれているのは、一堂になかなか会することができなくて、前半と後半に分けたのが実情でございます。それには両方とも日本整形外科学会から最低2人は出ております。この11月13~14日の会議では、βドラフトに向けて、コンテントモデル用の仕事をしようではないかということが提案としてなされているという情報が入っております。
 以上でございます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 それでは、次に医療情報TAGの動向。これは中谷委員からよろしくお願いいたします。

○中谷委員
 それでは、医療情報TAGについて御報告させていただきます。医療情報TAGの御報告は、資料はございませんので、申しわけございませんが、口頭にて御報告させていただきます。
 医療情報TAGの会議は、これまで、主にテレカンファレンスを中心に行ってまいりました。前回の会議以降、4月よりここまでの間で、今年度で約7回のテレカンファレンスを行っております。
 内容といたしましては、今年度から、医療情報TAGのメンバーの中を幾つかのグループに分割しまして、そのサブコミッティーごとに活動を行う形態に変更いたしまして、その各サブコミッティーからの報告とディスカッションといったようなものを中心に行っております。私は、マルチリンガルディベロプメントというグループに参加しております。
 全体といたしまして、これまで挙がった技術的な議論でございますが、幾つか項目に分けて御報告させていただきたいと思います。
 まず、マルチプルペアレントイシューという言葉ですが、分類を行っていく上で、その分類づけ、樹形図の上で、1つの用語に対して複数の親といったようなものが存在する場合についての議論を行いました。結果としては、今のツールで扱い切れないものが出てくる可能性が指摘されまして、その場合、仮に扱えないものが出てきた場合には、今の時点では、まずは内容をプリントしたものに手書きで修正を加えて保存していくといったような対策を考えようということになりました。
 次に、ソフトウェアiCATというものを今医療情報TAGとしてつくって御提供をしているわけですが、その調整につきまして、そのiCATで扱い切れないものが出てきた場合への対処の1つといたしまして、スプレッドシートと、エクセルの表のようなものでございますが、そのスプレッドシートのインポートとエクスポート。iCATにスプレッドシートで書いたものを読み込む、あるいはiCATの内容を表形式で出力するといったような機能を追加しております。しかしながら、そのスプレッドシートの使用につきましては、現在、医療情報TAGの中でいろいろな議論がございまして、その議論を行っている最中でございます。
 それから、αフェーズとβフェーズの評価についても議論がありました。それぞれのフェーズの評価をどうやって行うのか、何をもって評価とするのか、評価の軸は一体何なのかということを議論いたしました。まだ結論は出ていないのですけれども、どのくらいのモデルのカバー率、内容に関してのカバー率がどのくらいであるかなどといったようなことが重要ではないかという意見が出ております。
 また、別の項目でございますが、SNOMED-CTというコンテンツがございます。そのSNOMED-CTというコンテンツとの関係について議論をしております。その議論の内容は、協力関係を行うという前提にはなっておりますが、ICD側で何らかの変更を行った場合に、それがどういう仕組みで、どのような形式でSNOMEDに反映されていくのか、あるいは、また、逆に、SNOMEDの方を変更した場合に、ICD側にどういう形式で、どういう仕組みで、それが反映されるのかと。その辺りのことをきちんと検討をする必要があるということで、これについては、SNOMED-CTを運営しているIHTSDOという組織がございますが、その組織とWHO側との間でもっと話し合いが必要であるという結論で終わっております。
 もう一つといたしましては、日本からの新たな動きといたしまして、コンテンツモデルの中にジェノミクスという部分のサブ構造を入れることになっておりますが、その部分について、ISOの中で世界標準となっておりますジェノミクスの構造がございますが、その構造を日本から発信する形で、ICD-11及びSNOMEDとのインターフェース解析を準備的に行うということを提案し、現在、準備的な検討を行っております。
 医療情報TAGからは、以上、御報告をさせていただきます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 確かに、医療情報TAGですので、かなり詳しい、いろいろな切り口の御検討をいただいていますが、残念なことに資料がないので、後日、資料としていただいて、皆さん方にお送りすることは可能ですか。

○中谷委員
 はい。

○藤原委員長
 恐らく各委員の皆様方も、一回聞いただけではちょっとわからないことが多いと思いますので、よろしくお願い致します。

○中谷委員
 はい、かしこまりました。そのように、後ほど文書にて御報告させていただきます。

○藤原委員長
 よろしくお願いします。
 それでは、次に精神TAGよろしくお願いします。

○飯森委員
 では、1-2-3になりますけれども、「精神と行動の傷害」AGの御報告をいたします。
 前回のこの本委員会以降の動きです。まず、平成22年の今年の6月21日~22日まで、現行のF0~F9の大枠をどのようにすべきかについて、主に協議がなされました。座長で、これはハーバードのHyman教授から草案が提出されまして、活発な討議がなされて、結局は、継続審議となっております。これに関しましては、日本からも意見が求められましたので、出してございます。
 2番目ですけれども、AGの下部組織としてFFSCGがあるのですけれども、ここでは、前回御報告しました「Study A および B」という、要するに、精神分野の改訂の主たる目標は、内容よりもClinical Utilityの向上に向けた方向に行っておりますので、この研究が現在進んでおります。このグループには、日本をはじめ、メキシコ、アメリカ、ブラジル、フランス、スペイン、ナイジェリア、中国、インドの9か国が含まれまして、これは今年末で終了する予定です。日本では、WHOから与えられた目標値には既に達しております。これをもとにClinical Utilityの向上に向けた調整が今度始まることになります。
 3番目として、より高度な専門性が要求される分野として、「精神病性障害」「児童および思春期の精神障害」「知的および学習障害」「パーソナリティ障害」「物質関連障害」および「プライマリーケア」の5つのワーキンググループが活動しておりますけれども、これは、前回の本委員会で御報告申し上げました。このうち「精神病性障害」の第1回会議が、今年の5月10~11日にデュッセルドルフで開催されまして、FFSCGを代表して、日本から、私どもの教室の丸田が参加しております。
 4番目ですけれども、WHOが世界精神医学会と協力して、ICD-10の使用状況や問題点についてWeb調査を開始いたしました。これに伴いまして、日本精神神経学会ICD-11委員会及び国際委員会が協力して日本語版を作成して、学会員の中からアトランダムに500名を選んで、調査への要請を行い、既に回答が始まっております。
 以上です。次回のAGは、来年の2月23~24日にWHO本部で開催予定です。これには当然日本からも行く予定でおります。
 以上です。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 たしか、以前から精神医学会の方は、国際的にもかなりリーダーシップがあって、日本の意見がかなり通るという話はありませんでしたか。

○飯森委員
 かなり積極的にやっておりますので。

○藤原委員長
 そうですね。

○飯森委員
 ただ、ICD-11は、大きな変更は多分なくて、この使い勝手をいかにするかという利便性の方にあれしていますので、それにも相当協力できているのではないかと思っております。

○藤原委員長
 はい。ひとつよろしくお願いします。
 それでは、次に眼科TAGの動向について、新家委員お願いします。

○新家委員 資料1-2-4をごらんください。
 これは、眼科に関しましては、国際眼科会議というのがありまして、そこのICD-11作業部会がありますけれども、そこのCo-Chairに日本から柏井聡(愛知淑徳大学衛生学部教授)が入っていますので、彼の尽力で大きな貢献を日本はできているのではないかと思います。
 そこに書いてありますが、第5回の対面会議が、この間、ドイツのベルリンの国際眼科学会のときにありまして。そして、第6回が、この間、アメリカの眼科学会のときにありました。そこで合意事項としました、2ページの一番下ですけれども、来年の6月のジュネーブ開催予定の欧州眼科学会の会議に際して、眼科ICD-11β版をWHOの協力で公開するということ。それから、今年じゅうにICD-11αの眼科の章のそれぞれ担当領域の構造を提案した構造に訂正することと。今年度中に、コンテントモデルの最小限の必要事項が書いてありますが、Classification properties,3を入力するという予定になっています。眼科に関しては、かなり進んでいるのではないかと思います。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 確かにおっしゃるとおり、非常にアクティブに動いていただいているので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次に伝統医療TAGの動向。これは渡辺(賢)委員からですね。よろしくお願いします。

○渡辺(賢)委員
 WHOの西太平洋地域事務局(WPRO)の中では、ICD-11の中に伝統医学を入れようという動きがありまして、2005~2008年まで活動を行ってまいりました。2009年からは、WHOの本部にそのプロジェクトが移されまして、2010年9月のRSG会議を経まして、正式に伝統医学のTAGが立ち上がることが認められました。
 2枚目の図の真ん中の一番下に、Traditional Medicine TAGとございますが、こういう形で認めていただいております。
 それに先立ちまして、本年5月に、第1回の正式なWHOの会議を行っております。
 今後の予定、2番目のところでございますけれども、12月6日に東京で、国際記者会見を行います。これは、ICDの歴史が1900年から110年ある中で、伝統医学を盛り込んでいこうというWHOの試みに対して、それを国際的に発表するというようなことが目的でございます。
 それに続きまして、7~10日に、東京で、第2回目の会議を行います。
 我々は、ほかのTAGに比べますと、遅れてスタートしておりますので、2011年5月までにはどうにか伝統医学独特の「証」というふうな見方から診断及び治療に関するコンテントモデルの入力を終了して、ICD-11の第23章に導入すべくドラフトを完成させるようにというのが9月のRSG会議でのことでした。
 2014年5月までに、フィールド試験等を通して、最終的なものを完成させるという予定でございます。今後、予定されている会合が以下にございますが、12月6日、月曜日ですが3時~4時半に、このICTM、伝統医学の国際分類の国際記者会見を行います。それに続きまして、夕方5時から、場所は記者クラブの上のアラスカというレストランにおいてレセプションを予定しております。委員の先生方をお招きするのに、この会を経てからということで、本当に直前の案内になって非常に申しわけなく思っておりますけれども、この本日の会を終えた後で案内をさせていただきますので、お時間が許す方は、是非とも御参加いただければ幸いでございます。
 以上です。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 アジア以外にも、この「証」の問題がどこまで理解してもらえるかですね。あれは、たしかイギリスはオックスフォード大学と、アメリカはハーバード大学が、日本では慶應義塾大学が中心となってやっていますね。ひとつよろしくお願いいたします。
 それでは、次に神経TAG。玉岡委員よろしくお願いします。

○玉岡委員
 では、神経部門のTAGのお話をさせていただこうと思います。
 日本神経学会の中で、担当者が少々かわりましたので、引き継いだばかりということで、机上配布資料がございませんで、失礼いたします。
 日本神経学会では、用語委員長昭和大学河村教授のもとに、国際ワーキンググループ協力員を大森赤十字の中瀬委員と、ICD専門委員を私玉岡が担当して、主にWebベースで学会の作業を行っていく体制整備が終わった段階でございます。今後、WHOTAG Neurologyと連携を築いていきながら仕事を進めてまいる予定でございます。
 具体的には、今年度が、本年9月23~24日にかけて開かれましたWHOICD-10のNeurology分野の第3回会議に、神経学会からは東京医科歯科大学教授の水澤理事長が出席いたしまして、議長とともに、オブザーバーとして全体を見るという立場で参加しております。
 それぞれの分野でメジャーな変更点、あるいは、これからの計画というようなことが出されたようでございますけれども、特にプリオン病に関しては、別仕立てに独立した項目にしていくというようなことが話し合われたということでございます。
 今後、連携して仕事を進めていこうと思っております。
 以上でございます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 少しお伺いしたいのですが、神経TAGと精神TAGの整合性は結構困難ではないですか。

○玉岡委員
 手元に、神経TAGの資料しかございませんので、よろしかったら教えていただきたいのですけれども。例えば認知症とかに関しては、かなり精神の方に行っているのではないかと思っているのですけれども、いかがでしょうか。

○飯森委員
 気質の既成の疾患に関しましてはかぶっているところがございます。精神の方は、当然、精神症状に主体が置かれておりますので、日常生活に支障のある問題行動を主にして取り上げられております。あとは、脳既成の例えばてんかんは今GEの方に入っていますし、それが精神の方に取り入れたらどうかというような意見もありまして、厳密な区切りは難しいとは思います。

○藤原委員長
 その辺が、メンタルヘルスとNeurologyというふうに簡単に分けられない部分はありますね。ひとつよろしくお願いいたします。
 それでは、次に小児科TAGの動向についてよろしくお願いします。

○森内委員
 小児科TAGはできたばかりですので、口頭で簡単にお知らせしたいと思います。
 米国の小児科学会の方が中心となって、私たち日本と、あとはヨーロッパ、中国等々が作業する形で、一応国際的にグループができたばかりなところです。
 11月9日に第1回目のテレカンファレンスが開催されました。ただ、私は海外出張の移動日だったので、私自身は参加できておりませんが、後で内容をお伺いいたしますと、まずは、小児科TAGの方向性についての確認ということをしたということと。あと、それぞれの専門分野の紹介で、また、具体的な役割分担をしていこうということになったみたいです。今後も、月に1回ぐらいのテレカンファレンス、もしくはスカイプなどを使ったカンファレンスをするのと、来年の春に一度シカゴでface-to-faceのミーティングをするというところまでは計画ができているところです。
 以上です。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 それでは、次に皮膚科TAGをお願いします。

○国際分類情報管理室長
 皮膚科TAGについては、幸野委員が御欠席ですので、事務局から説明させていただきます。資料1-2-6をごらんください。
 皮膚科領域につきましては、iCATという編集ツールによりまして、各国委員から積極的に改定作業が行われているということです。本年度は悪性腫瘍(特に悪性黒色腫と基底細胞癌)、リンパ腫、皮膚感染症の部分の改定が行われて、ほかの領域との連携も図られているということです。
 また、来年5月に行われますWorld Congress of Dermatologyという会議において、各国委員が研究会を持つ予定となっており、α版に関する調整が行われる予定とのことです。
 以上でございます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 次に、外因TAGも、事務局で御説明していただけますか。

○国際分類情報管理室長
 はい。横田委員御欠席ですので、資料1-2-7をごらんください。
 外因TAGにつきましては、外傷疫学上の課題が中心に議論されており、X?TX章にあたる外因の影響に関する議論が対象となっていないようです。そこで、座長のJames Harrison教授に、日本の行岡国際協力員、西オーストラリア大学の先生によって、進捗状況を照会しても、具体的な回答が得られていないということです。
 X?TX章の議論が進んでないことにかんがみまして、日本救急医学会で進めてきた研究成果を議長に提案するか、または、別にTAG設立を要請していった方がよいのではないかということになったそうです。
 現在、日本救急医学会ICD改訂改正検討特別委員の方でも、AISという分類とのマッピングをもとにして、改定案の策定を進めているということです。
 以上でございます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 救急医学会とドッキングしてやるんですね。それでよろしいですね。
 それでは、次に腫瘍TAG。これも事務局ですか。

○国際分類情報管理室長
 はい。資料は、資料1-2-8をごらんください。
 第1回の腫瘍TAGの会合が今年の9月に開催されておりまして、その御報告をいただいております。ICD-11の改定につきましては、★の2つ目になりますけれども、ICD-OとBluebookをベースにして検討を進めていくという方針になったようです。
 そして、このNeoplasm TAGの検討内容としては、各ワーキンググループ、TAGから出された、既に出されている提案について検討をしたようです。内科TAGについてはHematology、皮膚科TAGのMelanomaに関する提案、肝臓グループからの肝細胞癌のコードの提案、消化管グループからの胃食道接合部癌に関する提案、眼科TAGからの内眼瞼腫瘍に関する提案を検討したとのことです。
 今後は、ワーキンググループをつくって、電話会議等で進めていきたいとのことです。ワーキンググループは臓器別のものもありますし、テーマ別のものもあるということで、日本からも積極的に参加が求められているところです。
 以上でございます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 これも随分難しいTAGだと思いますけれども、よろしくお願いします。
 それでは、その他のTAGについて。

○国際分類情報管理室長
 その他のTAGに関しましては、前回の専門委員会以降、設置されたTAGについて御報告をいたします。
 先ほど、森内委員から御報告がありましたとおり、小児科TAGが最近でき上がりまして、渡辺(賢)委員から御報告がありましたように、伝統医療TAGも今年の5月以降、第1回の会合を開催しております。それから、泌尿・周産期TAGが設置されておりまして、こちらはまだメンバーは御参加いただいておりません。
 また、組織することが決まったTAGといたしましては、感染症TAG、歯科TAG、耳鼻咽喉科TAGがありますけれども、メンバー等についてはまだ決定しておりませんので、今後、メンバーの推薦も含めまして御相談、御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○国際分類分析官
 改訂の動向に関しまして、御報告をさせていただきます。
 資料2、本年9月27日~10月1日まで、RSG改訂運営会議とiCamp2という改訂作業の会議がございました。日程としましては、27日~30日までがiCcamp2と呼ばれる作業会議、後半の会議がRSGと呼ばれる改訂運営会議になっております。改訂運営会議は、本年4月に開催予定だったのですが、アイスランドの火山噴火がありまして、急遽、延期ということになりまいました。
 目的としましては、αドラフトをWHOが発表するために直前の会議ということで企画されたものです。
 日本からは、TAGのとして、菅野内科TAG議長、柏井眼科TAG議長、渡辺(賢)伝統医療TAG議長が参加されました。
 Managing Editorsとして、消化器WGから秋山先生、肝・胆・膵WGから富谷先生、循環器のWGから興梠先生が参加されております。
 会議冒頭に、αドラフトが配布されたのですけれども、中を見ると、ほとんど改訂がされておりません。担当官からの報告にも、全体として、20,487項目が検討されたけれども、そのうち14,4381項目には変更がないんだと。新規追加としては4,371項目で、もう既にこれからは使わないと廃棄するものが331項目ということでございました。先ほども御報告がございましたが、コンテントモデルと言われている定義を入力する目標が80%だったのですけれども、現在の達成率はほんの10%ということでございます。
 iCATという入力するツールに関しては、完成版ではなく、まだ、エクセルとのインポート、エクスポートというような追加機能が検討されているということでございます。
 分野別のTAGからの報告は、ここに記載してございます。12TAGからの報告となりましたけれども、実際に活動が進んでいるもの、あるいはできたばかりで活動が進んでいないという報告があるもの等々がございました。
 分野横断TAGとして、死因分類、疾病分類、生活機能、質と安全という4つのTAGができております。しかしながら、基本的な構造が確定していない段階では、これらのTAGの活動はまだ先になることと思われます。
 全体といたしましては、現在のICD-10の1巻、2巻、3巻という形は踏襲されていくことにはなるとは思います。例えば第1巻の日本語版で言うところの第2版、内容例示などに関しましては、コードの変更もあると思われます。今は4桁、5桁というコードですけれども、これがどんどん増えていく可能性もあります。そして、定義、コンテントを入力する作業が必要ですし、先ほど中谷委員から御報告がありましたけれども、マルチプル・ペアレント、複数の親項目についての作業などもこれから継続して行われていくことになると思います。
 第2巻。日本語版では第1巻 総論と呼んでいるものですけれども、ICDのルール、使い方等が記載されているものです。これはまだ作業が進んでいない状況です。今回、特にコンテントモデルと言われる定義の入力が入ってきますので、その部分は全面的に追加になってくるということでございました。
 第3巻の索引ですけれども、デジタル版が欲しいという要望が大変高いということは言われておりますけれども、デジタル版では対応できないものもある。先進国ではないところは、やはり印刷版も必須だということがありました。今の形は踏襲されることにはなると思いますが、より詳細な形、カテゴリーをある程度集約したようなものができる可能性がございます。α版の次はβ版というのが予定されているのですけれども、WHOの発表では、来年の5月ということです。WHOから正式な発表として、β版を遅らせるということが発表されておりませんので、私たちの方からは具体的に申し上げることはできません。
 今回の会議の資料は、記載されておりますURLで公開となりますので、御参照をいただければと思います。
 以上です。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 これからそれぞれの学会で作業を進めるに際して、重要なことだろうと思います。

○国際分類分析官
 本来予定していたβドラフトは、5月は難しいのではないかと思っております。

○松本委員
 診療情報管理学会の代表として来ています松本でございます。
 各TAGの御報告を伺っていますと、それぞれ一生懸命やられているということで、非常に感心をして聞いていたわけですけれども、それぞれの内容が、進行の程度とか、それから、方向性とかというものが、それぞれ皆さん異なるように私は思うのですけれども、これはこれでよろしいのかどうかということだと思うのです。一定の方向性を持って、同じような方向でやっていかないと、後で収拾がつかなくなるように思うのですけれども、その辺は調整とれているというふうにお考えでしょうか。私初めてで、ちょっとわからないのですけれども、その辺をお伺いしたいと思います。

○藤原委員長
 極めて重要な御質問をいただいているのですが、事務局として、今の時点で答えられることはありますか。

○国際分類情報管理室長
 本来は、WHOの方から、作業が始まる前に、共通の原則なり考え方が示されるべきかとは個人的には思いますけれども、WHOのやり方としては、まずTAGに進め方が委ねられています。TAG間の調整、ワーキンググループとTAGの調整等は、それぞれに任せられているというのが現状です。
 今後、例えばコードの形等が示されてくるとは思います。

○藤原委員長
 だから、TAGの分野によってはこうだ、いや、これはこうだというのであって、全体をまとめた方向性は、私は、まだ今の段階決め得ないだろうというふうに思うのですね。もともとスタートラインに立ったとき、とにかくICD-10が二十何年間もICD-11に向かわないで足踏みしていますね。そういったことを考えあわせても。

○松本委員
 WHOがそういうことですので、もし日本からそれを発信するとすれば、こういう委員会がございますので、ある一定の考え方を厚生労働省なりにお示しいただいて、それから、おやりになった方がきちんとするのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○藤原委員長
 私も確かにそのとおりだと思いますね。私は、日本がなるべくリーダーシップをとって、日本から発信すべきだということは変わりないのですが、では、どうやるのか。それぞれの各TAGでどのようにやったらいいのか、どこをゴールとするのかということですね。なかなか難しいと思うのですね。その辺はどうでしょうか。分野によっては、これはやってくれというところと、ここまではというようなものもあると思うのです。

○松本委員
 それぞれの分野で、病気がかなり違ってまいりますので、進展の程度もかなり違うとは思うのですけれども、それぞれICD-10で困っているところはかなりあります。ですから、これは改善をしたいと思っていると思うのですが、改善といいますか、リビジョンに行かざるを得ないというところを、実際のアップデートで済むようなところも実際はかなりあるわけですけれども、現実にアップデートをやっているTAGもあるし、リビジョンもしなければいけないという考えのところもあるとは思うのですが、その辺は、かなり時間を使いますものですから、きちんとしないと後々困るような気がするのですね。やることが無駄になる可能性もありますし。その辺は一定の見解を示していただくのが本来だろうと思います。

○藤原委員長
 事務局、何か意見はありますか。非常に重要な御質問だと思いますが。

○国際分類情報管理室長
 今、意見をまとめている体制としましては、まず1つが、臨床的分野のグループでありまして、WHOの協力センターとしましては、もともと協力センター長会議があるわけですけれども、そちらということではなく、分野横断的なTAG、疾病統計のTAG、死因分類のTAG等がありますので、そういった組織に乗って提案をしていくしかないのだと思います。

○藤原委員長
 まだ今の段階では決め得ないというのが結論ですね。ですから、私、若干冗談まじりで言ったのですが、それぞれの分野で、日本に則したものをそれぞれ挙げていって、このTAGではここまで、このTAGはこっちの方もねらうというようなことで、とりあえずまずつくっていって。特に保険局との間で、臨床の現場でこれを活用しなければいかんとなると、実際、現実にできることにとりあえずまずならざるを得ない。走りながら考えていくしかないなという気がいたします。それだけにWHOは、なかなか進まないのはよくわかりますけど、日本でやる場合には、若干モディファイしたものをやっていくしかないのではないかなという気がいたしますが。
 その辺のところで、とりあえず事務局に、もう一回今の御質問に沿ったことを、どこにどういう問題があって、こういう考え方があるということを少し整理していただけませんか。よろしいですか。恐らくこれは解決つかないと思いますので、少し事務局に整理整頓してもらいましょう。こちらでやった場合には、どこにどういう問題、問題の所在は何であるかというようなことを。そうしていただきましょうかね。
 どなたか、これに関連して、御意見はございますか。
 それでは、そうさせていただきましょう。
 ほかによろしければ、議事を進めさせていただきますが、次は、議事の3ですね。WHO-FIC年次会議(トロント)について、事務局から御報告をお願いします。

○国際分類情報管理室長
 それでは、資料3-1をごらんください。
 WHO-FICトロント年次会議の御報告です。
 主催は、WHO及びWHO-FIC北米協力センター、開催期間は、平成22年10月16日~22日、会場は、カナダ、トロントで行われまして、WHO、WHO協力センター、厚生・統計関係部局等200名が参加いたしております。
 主な議題ですけれども、まず、各種委員会等の報告です。ここには、死因分類改正グループ、疾病分類改正グループ、生活機能グループがありまして、各グループは常設のものですけれども、これに対応した形で、ICD-11に向けてのTAGができております。死因分類に関してはmTAG、疾病分類グループに対してはMbTAG、生活機能分類グループに対してはfTAGという形でTAGができております。これはWHO-FICのメンバーに一部外部の方が入った状態でTAGが形成されております。
 3つのグループはいずれも、グループ自体のディスカッションは数時間で終わりまして、その後の時間を、TAGの初めての会合に使っておりました。最初の死因分類改正グループですけれども、今後の活動内容の提案の検討が行われました。MRGのメンバーがmTAGを支援するという形で今後進めていくようですけれども、役割分担などについてディスカッションがなされました。
 それから、MbRGにつきましても、MbRG常設のグループにつきましては、2015年のICD-11の採択時まで活動を休止することが決定されまして、MbTAGの方にはMbRGより6人移行しまして、そのほかのメンバーはオブザーバーとして参加することが決まっております。こちらの方も、目的、取り組むべき論点リスト等が議論されたようです。
 それから、生活機能に関しましても、fTAGというものができておりまして。次のページになりますけれどもfTAGでは、ICFの方の項目とICDの項目をリンクさせられないかということを検討することになっておりまして、そちらの方も議論されております。
 続きまして、真ん中の●のURCのところですけれども、2010年にはICD-10の範囲の中での改正提案は101ございまして。そのうち48件が本会議で審議をされました。全体といたしまして、60件が受理、不支持が12、持ち越しが16、そのうち7提案は疾病のコーディングルールに関するものです。それから、ICD-11への提案に移ったのが6提案、取り下げが7提案。主な議論に関しては、別の資料3-2の方で御説明いたします。
 それから、教育普及委員会につきましては、ICD-10、ICFのウェブ・トレーニング・ツールの進捗状況の紹介がありました。そのほか、ICFの普及データベースについての活動計画。それから、国際疾病コーダー試験が今試験的に行われておりまして、パイロット試験が韓国で実施され、今後、同試験を日本とオランダで実施し、その結果を次の年央会議で報告する予定とのことです。
 続きまして、次のページに移らさせていただきます。
 電子媒体・ターミノロジーグループです。
 継続的に行われております電子ツールの開発の状況報告とともに、IHTSDO、(SNOMED-CTを管理機関)のジョイントセッションが行われまして、SNOMED-CTとICD-10のマッピングについて、今後の計画等が話し合われたようです。
 それから、国際分類ファミリー拡張委員会(FDC)に移らさせていただきます。ICHIの開発状況の報告がありましたことと、それから、ICPS(患者安全分類)の概要・進捗状況について報告がありまして、こちらもICD-11に向けてICDとの統合が検討されているようです。それから、ICTMについての報告もありました。
 全体会議につきましては、諮問委員会では、コラボレーションセンターと地域ネットワークのレビュー等々行われました。次回の委員会は、2011年南アフリカにて予定されているということでした。IHTSDOとのジョイントセッションについては、先ほど申し上げたとおりです。
 それから、カナダが主催国ということで、カナダのCIHIという組織活動についての紹介がありました。また、WHOの各地域事務局より、Regional Advisorが出席しておりまして、各地域のデータ収集、活用の状況などについて報告がありました。
 全体会議の方に移りまして、ICDの改訂ですけれども、改訂の状況につきましては、i-Campの報告にあったとおりでありまして。目標としていた進捗状況には至ってないということの報告がありました。2011年3月までに、構造の提案、Textual Definition、いわゆる文章の定義の完成、それから、最低限のコンテントモデルの入力終了を目指しているということ。また、TAGごとの進捗状況にかなり差があるということ。2011年5月にはβ版の公開を予定しているけれども、完成版でない可能性もあるという報告がありました。
 それから、ポスターセッションにつきましては、ポスターセッション2のMortalityの方で、松本委員から御発表をいただきました。
 資料3-1は以上でございます。
 資料3-2をごらんください。
 ICD専門委員会の皆様の御協力を得まして、ICD-10の範囲の改正の提案を提出、それから、投票について進めさせていただいておりまして、トロントの会議において、最終的な議論が行われて、決定をしたところです。その御報告になります。
 投票の結果ですけれども、1)の主な受理された提案ですけれども、I84HermorrhoidsをKの消化器の方に移動すると。そして、タイトルをやや変えまして、K64の分類の中に内痔核の大きさと症状による分類を加えて再構築したというのが1つ大きな提案です。
 それから、I48の心房細動及び粗動、これは日本からの提案ですけれども、それを心房細動と粗動に分けて細分化するという提案が受理されました。
 それから、Uコードは、現在空きコードになっておりますけれども、緊急コードとして使うという旨を追記するという提案が受理されております。
 それから、日本の意見について、2)でございますけれども、受理されたものが2件、心房細動と粗動の部分と。それから、ルポイド肝炎の内容例示をK75.4 自己免疫性肝炎の方に移動するという提案が受理されております。
 それから、ICD-11改訂TAGへの意見送付となったものにつきましては、房室ブロック及び左脚ブロック、その他の伝導障害の再構築の提案でありますけれども、これはコードの定義を変えるというのが改正の範囲に当たらないということで、改訂の方でやっていただくべきだろうということで、送付になっております。
 それから、取り下げですけれども、これは修正の上来年提出することを考えておりまして、脳動静脈奇形の出血という内容例示が、今I60.8にありますけれども、これをI61.8にあるという提案でございまして、議論の中では、ICD-11で検討すればいいのではないかという意見もありましたけれども、索引の方を工夫して、再度提案を見直しまして、来年提出することにしたいと考えておりまして、御提案をいただいた先生とも今後御相談をさせていただきたいと考えております。
 3)の提案する際の課題ですけれども、また、来年度もお願いすることになると思いますが、ICDの改善の提案の記述様式がありますので、そちらの方に具体的に御提案をいただくようにお願いしたいと思います。
 また、この改正につきましては、ICD-10の構造やルールに沿った提案が求められますので、そちらの方を御考慮いただきたいと思います。構造に沿わないものにつきましては、むしろ、ICD-11の改訂の方で御検討をお願いしたいと思います。
 また、地域的な慣習や言語の問題は、なかなか取り上げられませんので、そういった普遍性に御留意いただきたいと思います。また、慣習だけではなく、日本では話題になっているけれども、世界的にコンセンサスが得られてないものについては、なかなか採用されにくいという現状がありますので、その点御留意をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○藤原委員長
 ありがとうございました。
 何か皆さん方から御質問はございませんか。

○渡辺(賢)委員
 資料3-1ですけれども、委員会が、かなり改組されているように思うのですけれども、この背景とかはいかがでしょうか。

○国際分類情報管理室長
 2枚目の教育普及委員会(EIC)ですが、昨年までは、EC(Education Committee)とImplementation Committeeと分かれていたものが合併されております。
 それから、次のページに移りまして、ターミノロジーグループと電子媒体委員会があったのですけれども、それが合併いたしまして、ITCという形になっております。

○藤原委員長
 それでよろしいのですか。

○渡辺(賢)委員 はい、ありがとうございます。
 委員会の数を減らす、いろいろなリンクしたものを一緒にするというふうなことの方針ということで理解してよろしいのでしょうか。

○国際分類情報管理室長
 そうですね。
 従来より役割の重複しているところを整理したと考えております。

○渡辺(賢)委員
 ありがとうございました。

○藤原委員長
 他にいかがですか。
 これはかなり複雑で込み入っているというのが、皆さんの率直な印象だと思うのですよ。各学会で詰めていく場合も、もし細かいことでわからないことがあったら、直接事務局の方に尋ねていただいて。かなりのことは事務局で答えられますよね。

○国際分類情報管理室長
 はい、大丈夫だと思います。

○藤原委員長
 どこまでがわかって、どこはわからないかということだけ明確に回答していただくだけでも、大分違うのですよ。そのかわり、わかってないところでも、日本としてはこれをやるぞというのは、ある程度突撃するしかないと思います。そういうことも含めて、なるべく事務局と自由に意見交換するような形にしていただくと有り難いのですが。
 どうぞ。

○嘉山委員
 脳神経外科代表としてここに来ているのですけど。脳神経外科というのは、血管病もあるし、腫瘍もあるし、外傷もあるし、小児奇形もあるし。そのグループからは、連絡が何も来ないんですよ。これをよく見ると、非常におかしいので。例えば内科とかそういうカテゴリーで分けているのと、あと、臓器別に分けてしまっているのがあるのですね。ですから、そこら辺はどうやって調整しているのですかね。コードを付ける場合に。内科と言っても、いろいろな内科があるわけでしょう、循環器とか。内科TAGとあって次に。例えば血管病というのであれば、今の世界の死因の一番は血管病ですから。がんではなくて血管なんですよ。脳卒中から、心臓から、大動脈瘤、これは死因の一番ですよ。その血管TAGというのはないのですよね。脳外科では、全部ほとんど感染症だと。感染症も、臓器で言うと、全部にかかっているのですね。我々はなんにも貢献しようがないので、どうしたらいいのか神経は、勿論、脳神経外科というので、ニューロロジーの先生方が大体やってしまうので、我々はやることない。てんかんでも、今度は精神科の先生方がやってしまうので、どういうふうに我々が何かコントリビュートできるのかなというのが非常に。大体このカテゴリーがちゃんと統一とれてないですね。

○国際分類分析官
 基本的には、ICDというのは、統計をとるための分類ということで、100年以上の歴史があって、その統計の連続性はとても大事です。しかし、今はDPCでも使われているように、死因統計だけではなく、疾病統計にも使われてきて、ICDの問題点はたくさん言われているところです。
 先生がおっしゃるように、この切り分けの仕方も統一的でないという問題があります。感染症のTAGなど当然あるべきであろうということで、名前は挙がっているのですが、メンバーがまだ確定しているわけではなく、進捗もばらけています。

○藤原委員長
 全体会議で日本の発言権はかなり弱い、菅野委員を通して本部の方にしっかりと言わせた方がいい。実は、今御質問があったようなこともきちんとやるには、この委員会に一番欠けているものは金がなさ過ぎると。厚労省としても、これに対してかなり少ないのではないか。今年、WHOの会議を日本でやったが、あれだって、内科学会がかなり援助したんですよ。でなければ、日本国内で開催するなどというのは不可能ですからね。
 ということで、もし本当に日本がリーダーシップをとってWHOにきちんと提言をやって、日本を中心にやってくれというのであれば、予算を付けないとまずいのではないですかね。その見通しはありますかね。これは君らに聞いてもしようがないかな。トップの方に言った方がいいね。だれが一番いいのかな。

○国際分類分析官
 委員会での御発言は議事録に残って、非常に責任の重いものです。私たちは先生達の意向をうけて部署に働きかけて行くことになると思います。皆様もテレビでごらんいただくように、今、事業仕分けということもありまして、厚労省も省内仕分けということで、新しい事業を提案しても、ほとんど受け入れられない現状があります。
 私たちも頑張って、本事業の重要性も訴えていく必要はあるのですけれども、そういう面では、先生たちの側面サポートというのもお願いしなければいけないのかもしれません。

○藤原委員長
 今、事業仕分けの話が出たけれども、事業仕分けをやっている人たちが全部何でもわかるわけではないんだ。今、嘉山先生から言われて、僕はやはり資金の問題が重要だということを記録に残しておいて構わない。それで、それをもって事業仕分けをやっている人たちのところに僕はこの委員会で行って来いと言うなら行きますよ。かなり重要なことなんですね。菅野委員はそういうふうに言っていました。

○玉岡委員
 先ほどの嘉山先生の御質問に関係することですが、WHOのニューロロジーTAGの構成は、領域が非常に広範なので、例えばアルツハイマーの学会からとか、あるいは国際神経外科科学というのですか、ワールド・フェデレーション・オブ・ニューロサージカル・サイエンス・ソサエティーからの代表とか、そういう形でかなり広範にWHOでは集められているようなんですが、たまたま日本における窓口が神経内科になったのでこういう形になっておりますけれども、できるだけ神経関係のほかの学会の御意見も聞いていこうと思います。

○藤原委員長
 ありがとうございました。

○高橋(姿)委員
 前回、この会議で話題になっていた耳鼻咽喉科なんですけど、さっき、やっと耳鼻咽喉科のTAGを初めてこの会議で聞きました。今までの国際会議の報告も全くなくて。私も、世界耳鼻咽喉科会議とか、アメリカの総会とかの要するに世界のメンバーが集まったときの会議に私も一回出たことがありますけど、話題になったことがその後もあるかというと、全然出てこないのですね。今年の理事会でもそんな話をしたのですけれども、全く話題にならないということなので、我々としては、耳鼻咽喉科のTAGがないのは変だと思っているわけですけど。これは意外と重ならない、うちの科しかやってないものがいっぱいありますので。先ほど、この委員をお願いするという話が出ましたけど、ある程度準備はしているつもりですけれど、いきなりいつまでに何とかというのではなく、早め早めでいただきたいというのをお願いしたいと思います。

○藤原委員長
 ほかにいかがですか。

○水沼委員
 ICDについてよく理解できていないので質問いたしますが、そもそもこれは疾病の統計を目的としているものですよね。そうだとしますと、疾病の理解度の関しては国間で、特に先進国と発展途上国では大きな差があると思いますので、何をどのようにするのかの基準や方向性を示していただきませんと、何をしていいのか見当がつかないのですが。
先ほど、松本委員からも方向性を出していただきたいとの要望が出ましたが、私も是非お願いしたいと思います。そうしませんと、産婦人科学会としましても連続して関与できなくなるのではないかという懸念を持ってしまいます。

○藤原委員長
 何か意見がありますか。先ほどから、大体同じような意見をいっぱいいただくのですが。

○岡野委員
 私、歯科医学会から来ている岡野といいます。
 今回、このTAGの一覧表を見ていたら、Dentistry TAGができているのですね。これは今まで消化器のところに歯科は入っていたのですけれども、以前のICDの専門委員会の中の議事録をちょっと拝見したのですが、その中で、Dentistry TAGというのができたというふうな話を伺って、今日拝見すると、そういうものがあるということなんですけど。
 現実に、このDentistry TAGは、世界的に、今、だれが何をやっているのかということについて、全く情報がないのですね。私実は、ISO-TC106。これはDentistryなんですけど、そこでターミノロジーを担当しているのですけれども、そこの会議で、2か月ぐらい前ですけど、ISOとして、WHOのこの会議にいわゆるリエゾンを出すというふうな話は聞いたんですね。いわゆる連絡係を出すと。ですけれども、その中で、このDentistry TAGについての具体的な話はISOの中でも全くなかったのですね。だから、ISOとしては、WHOの方をかなり気にはしているのですけれども、現実にどこまで行っているかというのは把握してないのが現実なんですね。
 是非、新しいTAGができたので、我々も頑張りたいと思うので、もうちょっと具体的に、世界的にどなたがどんな仕事をやっているのかということを知りたいと思うのです。よろしくお願いします。

○国際分類情報管理室長
 先ほどの水沼委員の御質問は、世界中にはいろいろな情報レベルの国があって、どこをターゲットにしていくかということですけれども、基本は、現行のICD-10を基準として作業をしていただいてよろしいかと思います。それに至らないレベルの国で、例えばプライマリーケアの分類の作成も試みられてはいるようですけれども、基本は現行のICD-10になります。
 それから、歯科TAGに関しましては、今は、できたということ以上の情報はありませんので、今後、情報収集に努めたいと思います。ありがとうございます。

○藤原委員長
 ほかにいかがですか。

○矢永委員
 外科学会から矢永といいます。
 ICDというのは、死因とか疾病統計とか、そういうところが主体だ思うのですが、将来的には、多分治療といったことを国際的に比較するとかといったことが展開としては出てき得るのではないかと勝手に想像しております。
 外科学会というところは、外保連というところを通じて、今、大江先生を中心にして、手術というのをコーディングをして、国際的に通用するようにという方向で進めております。そうすると、将来的には、そういった死因、疾病統計、その延長上に各国間の治療成績の比較とかといったことを、今そういったことをやっているという意味では、日本がリーダーシップをとれるのではないかと思いましたので、ちょっと発言させていただきました。

○大江委員
 今お話のありました外保連の方でドラフトをつくっている手術分類コードですけれども、ICHIというインターベーションの今分類体系がつくられつつあるようですので、そちらとの関係づけを日本としても考えていく必要があるのかなと思っているところですから、ICHIに関して、今どこまでどういうふうに進みつつあって、どれぐらいのスケジュール感で行っているかというのが、その後、また、進捗状況などがありましたら、事務局の方から外保連などの方にお伝えいただくとよいのではないかなと思います。

○藤原委員長
 ほかにいかがですか。

○大江委員
 ICD-11の改訂に関することではなくて、資料3-2に報告のありました、現在のICD-10のアップデートに関することですけれども、今日のお話を聞いていますと、ICD-11のリリースは、当初の予定よりも少しは遅れるのではないか、あるいはかなり遅れるのではないかという印象を持ちました。
 そうしますと、今、日本で公式に流通して、いろいろなところで使われているICD-10のバージョンは2003年版ということになるわけですけれども、このように、ここ数年、ここにおられる多くの先生方の大変な御努力で、日本からの意見が反映された形のアップデートが今日の御報告の中でも具体的に出てきているわけですね。これを具体的に、例えばICD-10(2010年版)とか、そういった形で、次のICD-11が出るまでの間使えるようにしないことには、せっかくここで先生方の御努力で提案して、受理されたこの分類の移動なり、細分化なりが、結局、国内では公式には使えないまま11の時代に入ってしまうのではないかという危惧を少し持っていまして。なかなか予算的な面とか、いろいろ新しいアップデート版を日本で反映させるのは、大変な作業であることは、私は2003年版のときにも少しかかわらさせていただいたので、大変よくわかるのですけれども、何かこういう具体的なマイナーなアップデートが国内でオフィシャルに使えるような簡略な仕組みですね。こういったものもちょっと御検討いただくとよいのではないか。具体的には、仰々しくすべて冊子をつくりかえるというところまではしないまでも、何かホームページで、こことここについては、今回オフィシャルに使えるように改訂しましたというようにならないものかなと、今日の報告を聞いて思いましたので、発言させていただきたました。

○藤原委員長
 先生の話は、国内向けに、WHOとは多少違っても、つくった方がいいということですか。

○大江委員
 いや、そういう意味ではなく、いろいろな各国から、あるいは日本からの意見で、こういういろいろ変更が具体的に受理されているわけですね。ところが、国内ではこれを使えてないのですね。2003年版を最後に、まだ国内では使えていませんので、もったいないなという印象を持っています。

○藤原委員長
 WHOで認めたものは迅速にやれということですね。国内で使えるようにしなさいと。

○国際分類情報管理室長
 毎年改正されているバージョンにつきましては、確かに簡略版として出すというのも一つのアイデアだと思いますので、先生に御助言いただきながら、検討をしてみたいと思います。ありがとうございます。

○藤原委員長
 他にいかがですか。

○玉岡委員
 ちょっと教えていただきたいのですけれども、各分野で、それぞれICD専門委員と国際ワーキンググループ協力員を置かれていると思うのですけれども、神経学会では、これまで、WHOの会議に、予算の問題があって、委員は決めているのだけれども、なかなか行けなかったという現状で、今年の9月にあった第3回に初めて委員が出席したというような状況なんですけれども、いろいろな分科会で、国際ワーキンググループ協力員の活動について、どういう工夫をされているかということをちょっとお伺いしたいのですけれども。特に予算面でですね。
○藤原委員長
 どうですか。答えられますか。

○国際分類情報管理室長
 各学会に対しての御質問ということでよろしいですか。

○玉岡委員
 そうですね。厚生労働省から何か可能な予算とかが出るのでしたら、教えてほしいのですけれども。

○国際分類情報管理室長
 TAGに関しましては、先ほども内科学会のお話がありましたとおり、各学会にかなりの割合を依存しているような形になっております。

○藤原委員長
 国でやらなければいけないことではあっても、金がないということですね。だから、学会におすがりしてやっているので。逆に言えば、だったら、学会の言うとおりにもうちょっと従えと。そして、それをどんどんまとめてWHOに挙げて、この分野ではこういうふうにするぞと。日本の言うとおりにしろと、そのぐらいのところまで強く本当は発言してもいいと思うんです。

○嘉山委員
 藤原委員長が力強いので、私も力強いことを言いたいところです。
 この社会保障審議会というのは、中央社会医療協議会の上の組織なんです。ですから、私は中医協の委員ですけど、この医療費を決定するときに、この社会保障審議会の傷害及び死因分類専門委員会で決めた病名で医療費を決めているのですね。先ほど外保連の話がありましたけれども。ですから、ここできちんとやってもらわないと、中医協で何も決められないのですよ。日本はエビデンスがなくてお金を決めていますから、今までばんそうこう貼りでですね。それもこういうのが原因になっているのだなと、今日はしみじみわかりましたけど。藤原委員長には10期までやってもらいたいと思いますけれども、きちんとこの専門委員会としては、国がちゃんとお金を付けて、要するにターミノロジーをきちんとしなさいというようなことをオピニオンとして出されたら良いのではないかと思うので、提案させていただきます。

○藤原委員長
 ありがとうございます。
 大変貴重な、力強い御意見をありがとうございました。
 他に、御意見はありますか。

○渡辺(賢)委員
 自分のTAGを離れまして、先ほど、藤原委員長の方から、日本の立場が全体の中では弱いという話がございました。私もWHO-FICの会議は、2006年から参加しております。ほかの国は、医師ではなく、が国の統計などをやっておられる方がいらしています。ただ、そういう方々がその分類を決めると、現場の疾病分類などに反映されないということで、今回の改訂においては、各領域の医療現場にいる専門家が参加する、という形になっていると思います。保健統計の専門家と現場の医師の2つがうまく連携をとれないと、なかなか医療現場の声が上がっていきません。
今の日本の現状の問題点を言うと、各学会とも、医者がこういうふうな委員会とかのワーキンググループのメンバーになっている限りにおいては、我々は時間がとれないのですね。診療を妨げて海外の会議に行くのに、時間もなければお金もない。そうすると、日本の事務局機能の充実というふうなことが必要になります。先ほど来、多分なかなか予算的には難しいだろうなと思って発言を控えていたのですけれども、今の藤原委員長、嘉山委員の力強い言葉を受けると、日本の意見を反映させるためには、日本の医療者が直接行くのも手なんですけれども、そうではなくて、事務局機能を強化し、そこに意見を吸い上げて、海外の会議などの参加にはそういう方が行くというのもありだと考えます。ただ、今の厚労省の体制では、予算、マンパワーとも厳しい状況にあり、職員が過重労働に陥っていても、事務局機能として十分力が発揮できないのが現状です。予算・マンパワーが増して強化されないと、いろいろな先生方の問題点は解決できないのかなと思っております。

○藤原委員長
 誠にそのとおりです。丸腰で戦はできないところに加えて、兵士も少ないという、こういう御意見ですよね。それでは、とにかくしっかりと事業仕分けと若干拳を挙げて戦いましょう。
 まだまだ御意見はあろうかとは思いますが、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、議事の4に入らせていただきます。その他です。何か事務局としてありますか。

○国際分類情報管理室長
 次回のICD専門委員会ですけれども、3月上旬を目途に開催を予定しております。4月末を目途に次年度の改正・改訂委員会URCに対するICDの一部改正の意見を提出いたしますので、御準備のほどよろしくお願いいたします。来年早々には、日程調整及び御意見提出の依頼をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○藤原委員長
 今までの御意見以外に何か御意見がありますか。
 それでは、以上で、本日の第10回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会を閉会させていただきます。どうも、お忙しい中をありがとうございました。
 次回の日程調整は、事務局から連絡が行きますので、先生方、どうぞよろしくお願いします。先ほど来、いろいろ御意見があったことは、事務局の方できちんとまとめて、先生方の方にお送りするようにいたしますので、どうぞよろしくお願いします。


(了)
<照会先>

統計情報部企画課 国際分類情報管理室

疾病傷害死因分類係: 03-5253-1111内線7493

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