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2011年1月12日 医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会(第4回) 議事録

○日時

平成23年1月12日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第7会議室(5階)


○議事

○臨床研修専門官 ただいまより、「医道審議会医師分科会医師臨床研修部会」を開催いたします。はじめに委員の出欠状況ですが、吉岡委員から、本日所用によりご欠席との連絡をいただいています。小川彰委員からは少し遅れるとの連絡をいただいています。
 議事の進行に入らせていただきます。相川部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○部会長(相川) まず、資料の確認について事務局からお願いします。
○臨床研修専門官 お手元の資料を確認させていただきます。「議事次第」、「委員名簿」、「座席表」に続き、資料1として「研修医の受入実績等の推移及び募集定員の試算」、資料2として「医学部における地元出身者と研修医受入実績の状況」、資料3として「都道府県別内定者の出身大学所在地について」。それから、資料4として「大学病院からの医師派遣等の状況(都道府県別)」、資料5として「募集定員の設定方法に関する都道府県の意見」、資料6として「平成24年度以降の臨床研修における対応について(案)」。
 参考資料1として「募集定員に関する試算について」、これは前回の資料です。参考資料2として「大学病院からの医師派遣等について」、これも前回の資料です。参考資料3として、「平成23年度予算案の概要(抜粋)(厚生労働省医政局)」です。資料の不足等ありましたら事務局までお申し付けください。
 なお、カメラの頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
 引続き、部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○部会長 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、1として「平成24年度以降の臨床研修における対応について」、2として「その他」となっています。
 はじめに、前回の審議で各委員からご要望のありました資料1~5について事務局が用意していますので、それらについて事務局より説明を受けたいと思います。その後、資料6「平成24年度以降の臨床研修における対応について(案)」について事務局より説明を受け、これについて審議したいと思います。
 まず資料1「研修医の受入実績等の推移及び募集定員の試算」から、資料5「募集定員の設定方法に関する都道府県の意見」まで、事務局から説明をお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 資料の説明をいたします。資料1~5は、前回の会議で委員の先生方にいただいたご意見を踏まえ、募集定員や研修医の地域分布に関連して用意した資料でございます。
 資料1は「研修医の受入実績等の推移及び募集定員の試算」で、1頁は6都府県の状況です。右の枠内にありますように、激変緩和措置を適用した場合の試算をお示ししています。激変緩和措置というのは、研修病院の募集定員を、前年度の内定者を下回らないように設定をするという取扱いなどでございます。試算の細かい積算については参考資料1のほうをご参照ください。
 臨床研修制度必修化(平成16年度)以降の状況について、募集定員は紫色、内定者は緑色。青色の棒グラフで受入実績を示しています。右のほうにありますが、赤色については、平成21年度に見直しをし、募集定員に都道府県別の上限を設けていますけれども、その上限を赤の折れ線グラフで示しています。平成24年度については、先ほど申し上げました試算をしており、激変緩和措置を適用した場合、紫色のところですが3,951の募集定員になり、前年度に比べて198ほど減るという試算であります。
 2頁は、6都府県以外の地方の状況をお示ししたものであります。同じように募集定員、内定者、受入実績があります。右の上のほうになりますけれども、募集定員は、平成24年度は6,246というように試算され、前年度よりも73ほど減るような形になります。
 3頁は、それを全体についてお示ししたものです。募集定員については制度導入からずっと増えていましたけれども、平成20年度を境に減少し、平成21年度の見直しの際に大幅に減らしています。試算は平成24年度のものですが、募集定員1万197名ということになり、前年度よりも271名減少するという試算です。
 また、全体の募集定員と研修希望者との関係を議論したいというお話がありましたので、真ん中のところ、黄色い折れ線グラフですが、研修希望者の数の推計をしてお示ししています。各年度のマッチング参加者と、マッチング参加者でない自治医大、防衛医大の卒業者を合計したものになります。
 4頁からは、右の吹出しのところにございますように、募集定員の激変緩和措置を適用しない場合の試算になります。平成23年度までは先ほどと同じですが、平成24年度においての試算では、募集定員が3,447となり、前年度よりも702名減るという内容でございます。1頁にありました激変緩和措置を適用した場合と比較をして、504名減るというような試算の内容になっております。
 5頁は激変緩和措置を適用しない場合の地方の募集定員の試算です。右上にありますように6,234名となり、前年度から85名減るという試算であります。
 6頁は、それを全体でお示ししたものです。平成24年度、激変緩和措置を適用しない場合の試算は、募集定員9,681名となり、前年度よりも787名ほど減少する形になります。激変緩和措置を適用した場合と比較をしても516名少ないというものであります。9,681という募集定員は、上限である9,619、赤い数字ですけれども、そこにほぼ一致するような形で設定されるというものであります。以上が資料1の説明になります。
 続いて、資料2は「医学部における地元出身者と研修医の受入実績の状況」を整理したものです。(1)は地元出身者の入学状況で、平成16年度の入学者と平成22年度の医学部入学者を都道府県別にまとめたものであります。いちばん下、全国の欄を見ていただきますと、入学者7,346名に対して地元出身入学者2,331名、その割合は31.7%になっていますが、平成22年度においては、右下、36.7%になっています。
 なお、注のいちばん下、2と3にありますように、地元出身者というのは、医学部の所在する都道府県内の高校出身者をいうようにしています。編入学者は含みません。自治医大や防衛医大は除いています。
 2頁は「医学部における医師国家試験合格者と研修医受入実績の状況」です。平成22年度の研修医については、国家試験の合格者数が左側の[1]の列にあります。それに対し真ん中には、それぞれの都道府県の受入実績があります。その差引をいちばん右にお示ししています。例えば、北海道3大学で283名の方が合格されて、258名の方が年度当初に研修を開始しています。その差引が△25ということになります。マイナスのところは合格者よりも少ない、プラスのところは合格者よりも多く研修医を受け入れているということになります。
 平成22年度の研修医については、入学時は平成16年度ですので、前の頁、平成16年度の医学部入学者と同じ学年ですけれども、その地元出身率と受入実績の状況を見ても、傾向には関係は見られないような印象を受けています。資料2の説明は以上です。
 資料3に移ります。資料3は、平成23年度の研修医について、マッチングが今年度行われていますけれども、その内定状況をお示ししたものです。左側がマッチングで内定をした都道府県のほう、右上のほうに出身大学の所在地をブロック別にお示ししています。北海道で言いますと、63病院の、429名の募集定員に対して257名の方が内定をし、横に見ると、北海道の3大学の出身者が190名、東北地方の大学の出身者が23名等というようになります。
 また、縦に見ますと、出身大学の所在地、北海道ですが、いちばん下、302名となっていまして、302名の方が内定をしていますけれども、そのうち190名が北海道で研修をしている。割合としては63%になります。また、北海道では302名のうち、東京都で26名、神奈川県で22名、平成23年度から研修することになります。
 東北地方で申し上げると、580名の方が内定をし、そのうち336名、58%の方が東北地方で研修をする。
 関東信越地方で申し上げますと、2,624名中、2,250名が関東信越地区で研修をする。86%に当たります。こういうような形で、それぞれ移動をしている、その状況をお示ししたものです。
 資料4は、「大学病院からの医師派遣等の状況」を都道府県別にお示ししたものです。前回、6都府県との関係をお示ししましたが、これは参考資料2に用意をしています。都道府県別に整理をしてほしいというご意見がありましたので、そのようにいたしました。例えば、北海道では365名の派遣総数に対し、道内へ361名派遣、道外へ4名、道外から道内に受け入れた者16名、差引12名を受け入れているということになります。プラスは受入で、マイナスは外に出しているということで、例えば東京では、いちばん右側にありますように400名ほど外に出しているという形になっています。
 ただ、前回も申し上げましたように、大学病院の行っている医師派遣等については、すべてではありません。臨床研修病院の定員設定をする際に届出をしていただいたものが対象でございます。
 最後、資料5です。募集定員の設定方法に関し、都道府県庁の意見を伺っています。左側の列は、都道府県ごとに募集定員の上限を設定することについて伺っておりますが、36の県が「賛成」もしくは「改善すべき点はあるが賛成」というようになっています。「その他」の意見としては3頁にお示ししていますけれども、「人口10万人当たりの医師数など、各都道府県の状況を反映する算定方法としていただきたい」というようなご意見がありました。
 1頁に戻りまして、募集定員に関する当面の取扱いに関しても、ご意見を伺っています。真ん中の列については、病院の募集定員に関する激変緩和措置で、前年度の内定者の実績を勘案して設定するという取扱いであります。原則は、都道府県別の上限を超える部分については、一律削減をするということでしたけれども、このような激変緩和措置を前回まで採っているわけであります。「継続すべき」が23、「廃止すべき」は20、「その他」が4というようになっています。「その他」については、3頁にご意見がありますように、「募集定員の上限設定自体に反対」などのご意見がございます。
 1頁に戻りましていちばん右は、都道府県の募集定員の上限の値に関する激変緩和措置であります。研修医受入実績から10%以上削減しないという取扱いについてですが、「継続すべき」が9、「廃止すべき」が28、「その他」が10というようになっています。「その他」の意見としては、3頁にありますように「激変緩和措置はある程度やむを得ない」、あるいは「募集定員の上限設定自体に反対」、いちばん最後にありますように「適用されている県の実情を把握していないので判断できない」というものです。前回も試算でお示ししましたように、いちばん右側の激変緩和措置につきましては、適用されているのは京都、愛知、大阪の3府県でして、特に京都への影響が大きいというもので、ほかの県につきましては、特段、関係がないという状況にございます。以上、資料1~資料5まで説明をいたしました。
○部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明に関し、質問を受けたいと思いますが、今後の臨床研修制度に関するご意見やご質問に関しては、資料6の説明のあとで時間を設けたいと思います。まずは、いまの事務局の説明、1~5について、わからなかった点や確認したい点がありましたら質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
○桐野委員 資料2について伺います。「医学部における地元出身者と研修医受入実績の状況」という、こういうデータは似ているのですが、二次元の平面上の分布を示しているわけです。ですから、各県ということにこだわらないで、それぞれ個々の出身者が日本地図上に分散しているとすれば、当然、分散の平均距離、平均半径みたいなものと分散のベクトルが出ると思います。それはデータさえあれば簡単に出ると思うのですが、そのような算定をするデータを使うことはできますか。
○文部科学省医学教育課長 このデータは文部科学省、私どものところで調べておりまして、データ自体は別に秘密にすべきものではありません。ご意見があればそのような分析をしたいと思います。
○桐野委員 わかりました。
○冨永委員 いまの資料2についてですが、地元出身者ということに関して、例えば滋賀医科大学に入学している学生の中の滋賀県の高校出身者と解釈していいのですか。
○文部科学省医学教育課長 はい、そうです。
○冨永委員 実際は、県内出身者で医学部に入学している人はもう少しいると思うのです。例えば、親は滋賀県にいるけれども、県外の高校に行って他府県の医学部に入学したという場合があるので、その数が多くなると思います。その辺、個人情報の保護もあってわかりにくいですか。
○医師臨床研修推進室長 その点につきましては、前回お示しいたしました「研修修了者調査」のほうで出身高校、あるいは出身地、ご実家も伺っています。完全に悉皆的ではありませんけれども、そういう傾向を把握できれば、ある程度の判断ができるのではないかと思っています。これについては今、整理中ですので、整理でき次第、また改めてお示ししたいと思います。
○部会長 桐野先生、先ほど先生がおっしゃったデータは作ろうと思えば可能ということですが、細かい、個々の使途に関するデータをお求めでしょうか。
○桐野委員 それぞれの県の出身者がどういう広い範囲から平均的に来ているか、そのベクトルがどこに向いているか。例えば、かなり広い範囲から来ているけれども満遍なく来ているとか、そういうことがある程度わかるので、これよりはもっとビジュアルに見えるのではないかと思ったわけです。
○部会長 わかりました。もしこれが、平成24年度以降の臨床研修制度の対応について、かなり必要なデータということであれば、用意をしていただくと、今後わかりやすいということですね。
○桐野委員 そう思います。わかりやすくしていただくと有難いと思います。
○文部科学省医学教育課長 桐野先生とご相談して、データの作り方を検討してみたいと思います。
○部会長 よくご相談なさってください。また、「地元」という言葉も、地元の高等学校なのか、あるいは主たる居住地が地元か、あるいは、親元が地元かということもありますので、その辺の資料に関しても、特にこの研修制度の対応について必要ならば用意をするということで、事務局としてはよろしいでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 いまお示しするのがよろしいのか、あるいはもうちょっと先でも、データが揃い次第お示しするということであれば、ご相談をして、また改めてお示しをしたいと思います。
○部会長 本日はいずれにせよ無理ですので、今後の対応のために必要ならば、ご相談して用意をするということでよろしいでしょうか。その他、いかがでしょうか。
○三上委員 いまの資料2ですが、地方というか、エリアによって傾向が似ているのだろうと思うのですが、近隣の県で大きく違っている所があります。例えば、宮崎と鹿児島は隣同士の県なのに、平成16年度の地元出身率が9%対50.6%となっています。平成22年度には30.9%と宮崎県が非常に上がっているわけです。あるいは、沖縄の場合も35.8から62.6というように上がってくる。これは地元枠を大学によって変えるとか、いろいろなことをされたという個別の要素というのはわかるのでしょうか。
○文部科学省医学教育課長 地元枠の人数についてもございますので、また提出させていただきます。経年的な変化がありませんのですぐには言えませんが、例えば、いまお話の沖縄琉球大学ですと、平成22年度においては12人が地域枠ということですから、増えた33の全部を説明するものではありませんが、一部には要因としては関係しているのだろうなと思われます。それ以上の分析はできておりません。
○三上委員 宮崎医大と鹿児島大学の医学部で、何か取組がかなり違うのですか。
○文部科学省医学教育課長 地域枠で申し上げますと、宮崎大学は20人、鹿児島大学は17人ということです。入学定員は宮崎大学110に対して20人、鹿児島大学115人に対して17人ですから、地域枠という点ではそれほど大きな差はないのではないかと思います。
○三上委員 地域枠は平成16年と平成22年とでは変わっていて、いまのデータは平成22年のデータですか。
○文部科学省医学教育課長 はい、平成22年のデータです。地域枠自体は、平成16年のデータは手元にありませんが、平成16年の時点では、まだ地域枠はそれほど普及していませんので、ほとんどの大学は平成16年度以降にできたものだと思います。地域枠のデータについては、また後日、次回にでも提出させていただきます。
○部会長 いま、三上委員のご質問で、地域出身率が急増している所は、地域枠で一部は説明できるかもしれないということでよろしいですか。
○三上委員 はい。
○部会長 ほかに資料1~5について、ご質問やご意見はありますか。
○山口委員 資料2でお聞きします。医学部入学者の中で地元出身者2,300人の動向がありますが、その後もそのまま、全員について、「北海道出身者はどれだけ」というのを示していただくと有り難いと思います。例えば、東京に非常に多くの人が帰るモチベーションがあるのは、東京出身者が多いかどうかということにかなりかかっている話なのだろうと思いますから。見方を変えて、平成16年の全医学部入学者の中で北海道の高校出身者、高校出身者が地元出身かどうかわかりませんが、その出身高校ごとに分けてもらったとき、例えば東京の高校出身者がどのぐらいいるかということがわかると、その後の初期研修だけではなく、後期研修も含めたある程度の動向が、同じような資料で簡単に予測できるようになるかと思いますが、いかがでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 文部科学省のほうでは、地元の出身者ということだけなのですが、我々のほうの研修修了者調査では、どこの県の高校を出たかということを伺っていますので、どこからどこにというところが整理できるのではないかと思います。
○部会長 そうすると、資料3と同じようなマトリックスが可能になるということですか。
○医師臨床研修推進室長 そうです、そういうことです。
○部会長 これも今日はちょっと無理かと思いますが、平成24年度以降の対応に必要ということならば、相談をさせていただくということでよろしいでしょうか。
○冨永委員 資料5、いちばん右の欄、募集定員の上限の値に、「廃止すべき」という項目はかなり○が多いのですが、これは10%減を削減して原則どおりやれとおっしゃるのか、あるいは、後で意見が出ていますように、募集定員の上限設定自体に反対という方もあるかと思います。その辺の割合についてどうだったのか、教えていただけますか。
○医師臨床研修推進室長 資料5のいちばん右側の、都道府県の上限に関する激変緩和措置の取扱いですが、「その他」の10件については、概ね、どちらかといえば継続すべきという。つまり、募集定員の上限を設定すること自体に反対をされているということがありますので、少なくとも廃止すべきではないと考えているのではないかと思います。また、廃止すべきと考えている県は、自分の県には直接関係がないので、そこはなるべく原則を適用したほうがよろしいというお考えで、こういうご意見を出しているのではないかと考えています。
○河野委員 資料4についてです。前回もちょっと似た質問をさせていただいたのですが、医師の派遣状況です。この緩和措置等の扱いに対しても、外への派遣実績というものを考慮してほしいと、いつも話に出るわけです。これを拝見しますと、例えば青森、岩手、宮城などは、外に出ている人が多いわけですね。そういうことを見ますと、いわゆる東京、京都等の都会と、青森や岩手等の外へ出ているという意味付けが違うのではないかという気もするのです。そんなに医師が余っていて、外への派遣能力が非常にあって出しているというようにも見えないのです。必ずしも全部が同じような状況の下で、医師を外に派遣しているというようにも見えないところがあるのですね。ですから、一括して県外への派遣ということで括ると、その県の実情とはちょっと違ってきている。本来であるならば、その県内で充実させるべき医師の配置状況というものもあり得て、何かの事情があって県外へ出ているというようなこともあるのではないだろうかという気もします。その辺の情報はあるのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 資料4については、具体的な事情はこちらでは把握をしていません。医師派遣に関する募集定員の加算を設定する際に、各病院から届出をいただいた資料を整理して、こういった表をまとめたものです。ですから、注に書いてありますように、すべての派遣を示しているわけではありませんし、また、ここに出されているものも、臨床経験7年以上で常勤医、しかも1年以上3年以下の派遣というように、非常に限定的な形になっています。少なくとも、そういう方々がそれぞれ外に出ているというような目で、この資料を見ていただければと思っています。
○小川(彰)委員 いまの河野委員のご意見に関連するのですが、例えば岩手県であれば、青森県の東側、あるいは秋田県に医師の派遣をせざるを得ない状況です。、他県にも、同様の状況があると思いますが、この資料の中でちょっとどうかなと思うのは、例えばいちばん下の※2に、「一定の要件を満たし、かつ届出のあった医師派遣等をまとめたものであり、全体ではない」というお話がありました。例えば群馬県は総派遣数がゼロになっています。これは、届出をしていないということなのかということ。それから、この大学病院からの医師派遣等の状況というのは、同じ一定の条件の下でジャッジされていないのではないか?各大学によってかなり認識の差があり、そういう意味では、本当はもっと多いはずなのに少なく出ている、あるいは、もっと少ないのに多く出している県があるのではないかと思うのです。その辺りはいかがでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 例えば群馬ではゼロになっていますが、先ほど申し上げました定義に該当するような派遣はない、もしくは、医師派遣加算は必要ないということで、届出をされていないと伺っています。それから、各大学の考え方がさまざまという点はあろうかと思いますが、少ないけれども多く出しているということはなくて、少なくともこういう派遣の状況は、出しているものを届けていただいたものだと考えています。
○小川(彰)委員 もう1点、「一定の要件」というのは。
○医師臨床研修推進室長 一定の要件は、参考資料2の前回資料に示していますが、いちばん最後に「一定の要件」ということで、「医師免許取得後7年以上15年以下の臨床経験を有する」などです。
○小川(彰)委員 もう1点、先ほど山口委員のお話しになったことは非常に重要なので、ちょっとお話をさせていただきます。例えば、資料2の中で、これは先ほど桐野委員からお話しになったこととも連動するのですが、どの県からどの県の大学に、どの県の出身の方々がどのぐらい分布しているのかがわからなければならないということ。もう1つは、これは資料3と連動しないと駄目なのですよ。資料3は、これは大学出身者、大学の地域における、例えば東北地方の某県の大学出身者がどのように動いているかはある程度わかりますが、この中にどこの高校出身、例えば東北地方で関東甲信越に行っている165名という数の中に、関東甲信越出身の人はこの165名のほとんどなのか、それともそうではなくて、東北の高校出身者もかなりの数含まれているのかというようなことを、もうちょっと厳密に分析をされないと、折角すばらしいデータなので、是非その辺りまで含めてご検討いただいて、データを出していただければありがたいと思います。
○医師臨床研修推進室長 いまご指摘のあったデータについては、研修修了者調査で調べています。あるいは、今後調べるようにもなっています。まず、出身地あるいは実家、それから出身の高校・大学、それから臨床研修を受けた場所、そして3年目以降の研修地あるいは就職をする所、そこまで一応聞いていますので、それを1人の方について追えるようになっていますから、非常に複雑なので解析の仕方は難しいのですが、そのデータをまた整理しまして、次回の制度の見直しのときには、そういった具体的な数字を基に議論ができるようにしたいと思います。現段階では、こういう数字しか今のところはお出しできないというような状況です。
○山下委員 各ブロック単位で考えたときに、例えば東北地方や九州など、1県1大学の場合には、資料2と3を比べると、合格した人がその地域に定着しているのはわかるのですが、例えば東京の私立大学はかなりいろいろな県に跨って、分院や第二病院などを持っておられますよね。そういう動きというのは、把握はしておられるのですか。
○医師臨床研修推進室長 我々のほうでは、現段階では把握はしていません。資料3については、マッチング協議会から提供いただいた資料で、右上の「出身大学の所在地」は、データとしてはおそらく協議会にはあるのだと思います。ただ、大学が特定されることによって、いろいろなことが考えられるということで、おそらくこういう出し方しかされていないのだと思います。ただ、次回の制度の見直しにどうしても大学別が必要、あるいは県別が必要だという話であれば、その出し方はマッチング協議会と相談をして議論をしていただくことは考えられると思います。
○山下委員 それを是非お願いしたいと思います。ちょっとこれを見ていますと、要するに1県1大学の多い地域というのは、桐野先生のお話のように分析して非常にわかりやすいと思います。おそらく、こういう都会地と、先ほどの改善すべきかどうかというのを見ると、もう明らかに都会地はちょっと止めてくれといっているのが、分析の仕方が非常にややこしくて頭が混乱しているのですが、やはり、シンプルに出た所でいるか、どこへ行くかではなくて、今度は出た大学の中でいろいろな選択肢がある所と、出たらすぐ外へ行ってしまう所とがごっちゃになっているので、例えば制度改革をしようというときに、そこはやはり分析が必要かなと思いますので、いま田原先生がおっしゃったような分析があると、頭が整理できるかなと思いましたので、よろしくお願いします。
○小川(秀)委員 あとで出てくるのかなと思ったのですが、山下先生の質問がありましたので、いま申し上げます。資料4を見ますと、いま東京が話題になっていましたが、東京の欄を見ますと、派遣総数963のうち、県内というのは都内だと思うのですが、都外へ派遣がかなり多くなって、受入も、東京を目指しても来ているのですが、差引は400です。国立2つ、それから私学はたくさんありますが、その多くは、大体私学でいうと、本院は都会にありますが、多くの私学は400~500床の大規模分院を県外、東京周辺の医師過疎地といわれている埼玉、あるいは山梨、静岡、千葉、茨城等々に出ていることを如実に示していると思います。
 それと関連して私が知りたいのは、1つは、大学で研修医を過ごした人の3年後、5年後の姿のようなものが知りたいです。同時に、対極としての大学以外で研修医を過ごした人の3年後、5年後の育成を知りたいです。そして、大学以外といってもいろいろありますので、できればいくつかにグループを分けて、どのような種類の所で研修をした人がどういう傾向を取っているか、そういうことの追跡調査が今はできるようになったのではないかと思いますので、そういうものをこの次ぐらいに用意していただければありがたいと思います。
 2番目は、定員増をずっとやってきました。そして、定員増がいろいろな名目の下にやられてきています。その趣旨に合致した推移を辿っているかどうか、是非、追跡したデータを教えていただきたいと思います。
○部会長 まず1点目は室長から、2点目は、場合によっては文科省のほうでしょうか。
○文部科学省医学教育課長 いまちょっとご相談させていただきたいと思いますが、定員増は20年からで、まだ卒業生が出ていない状況ですので、教育の状況等についてはある程度データはありますが、卒業後どうなったかというのは、またこれから溜めていくべきデータかと思いますので、またご相談させていただきます。
○医師臨床研修推進室長 1点目については、先ほどの研修修了者調査については、医籍番号も伺っていますので、将来どういう診療科に進むのか、どういう地域で業務に従事しているのかは、ある程度は追うことができると思います。ただ、今度は内容ですね。地域分布はそれである程度わかるのですが、能力がどのようになっているかについては、なかなか難しいところがあろうかと思います。
○小川(秀)委員 わかりました。定員増の話で、卒業生が出ていないのはわかるのですが、定員増が是非必要だ、斯く斯くこういう事情によってということで、大学側は申し出ているわけですね。ですから、そういう意味ではモチベーションがその大学にあるわけで、そのモチベーションが現時点である程度果たされているかどうか。そうでなければ、定員増を要求すれば、そのまま認める、認めないということにもつながってくると思いますので、是非、新木先生のほうで何かわかる範囲でお願いしたいと思います。
○部会長 ありがとうございました。概ね、資料1~5に関する質問、あるいは事実の確認ができました。更には、いくつか新しい資料、データの要望があったと思います。特に出身地等に関しては、ご本人の長らく居住していた所、あるいは親元、それから出身の高等学校、行った大学医学部、その後どこに就業しているかのデータも含めて、という要望もあったかと思います。
 また、この審議会では、2年間の臨床研修のことを主に検討する場ではありますが、いままでご意見が出ましたように、その後の研修のことを踏まえてこの制度を考えていかなければいけないということもありますので、2年の研修修了後、どのような専門科に入っているか、どのような地域に就業しているかについても、データを出してほしいというようなご意見であったかと思います。
 そのようなことを踏まえて、資料6、本日の議題であります「平成24年度以降の臨床研修における対応について(案)」を、まず事務局から説明をお願いします。
○医師臨床研修推進室長 資料6は、委員の先生方から個別にご意見を伺いまして、相川部会長とご相談をして、案として整理をしたものです。「平成24年度以降の臨床研修における対応について」ですが、「募集定員に係る当面の取扱い(激変緩和措置)への対応について」、大きく分けて、病院の募集定員と都道府県別の募集定員の上限がありますが、病院の募集定員については、激変緩和措置は平成26年度の臨床研修まで継続することとし、次回の制度の見直しに併せて廃止をすると。次回の制度の見直しは、平成27年度の臨床研修に適用することを想定するということで、以前ご議論いただいていますので、平成26年度まで継続をする、そして次回の制度の見直しに併せて廃止をするというものです。
 (2)の都道府県別の募集定員の上限については、いまの「病院の募集定員」と同様の取扱いにすると。ただ、単に激変緩和措置を継続するということだけではなくて、2にありますように、激変緩和措置の廃止に向けた対応としまして、「募集定員に係る激変緩和措置を地域医療に混乱をもたらすことなく円滑に廃止できるように、次回の制度の見直しに向けて、地域における臨床研修病院群の形成を促進するとともに、研修の実施状況、地域医療の状況等を踏まえた募集定員の設定方法について検討を行う」という案を、たたき台として整理をしました。
 このうち、地域における臨床研修病院群の形成の促進については、参考資料の3に臨床研修に関連する「平成23年度予算案の概要」を示していまして、このうち、[1]、[2]のいずれも、臨床研修病院群の形成を促進するという意味合いがあると考えています。[1]は、大学病院や都市部の中核病院と医師不足の地域の中小病院・診療所が連携した臨床研修の実施について財政の支援をするというもの。[2]は、特色ある研修プログラムの作成や研修医の適正配置に関する協議などの取組(臨床研修病院群の形成)を促進するというもの。このような形で、予算が成立いたしましたら、支援をしてまいりたいと考えているものです。以上です。
○部会長 それでは、ただいま説明がありましたように、平成24年度以降の臨床研修についての案です。これは、いままでの審議会のご意見、あるいは今回資料1で示したような推定値、あるいは今回の資料1~5でありましたように、いろいろなものを含めてたたき台として資料6を用意させていただきましたが、これに関して委員の先生方からご質問、あるいは積極的なご意見をいただきたいと思います。
○山下委員 特に激変緩和措置に向けた対応が今後非常に大事になってきまして、これは小川彰先生が前から、これがいちばん大きな戦略であるべきだということで、実際そうだと思います。これは質問なのですが、参考資料でこういう予算を付けていただいたというのは、どういう問題意識やエビデンス、何が困っているのかが、例えば地域で、山形県でどうだというのはある程度把握しているのですが、全体の中でどういう問題点があって、どこをクリアすればいいかに関しては、厚労省でどれぐらい把握しておられるのでしょうか。
○医師臨床研修推進室長 特に、参考資料3の[2]の臨床研修病院群の形成促進ですが、これは都道府県別の研修医の偏在は、今回、募集定員の都道府県別の上限を設けたことにより、ある程度是正に向かっていっているわけですが、各都道府県内の偏在についても、これもいろいろとご指摘があるわけですが、これについてはなかなか国の制度では対応が難しいということもありまして、都道府県内でいろいろ協議することによって、適正な配置をしていただこうと。その議論をする過程の中で、どこの病院を基幹型病院にし、どこの病院を協力型病院にするという議論が行われ、そして、その地域に研修医をどのような形で、どのようなプログラムを設け、どのような処遇にすれば、そこの地域に残ってもらえるのかということを議論していただくと。そういうことによって、都会から、ある意味強制的に研修医を押し出して、地方に分散をさせるというよりは、各地域において魅力あるプログラムを作っていただいて、研修医を呼び込む方向になればと思っています。もちろん、都会は都会でいろいろ議論していただいて、効率的な研修のやり方を議論していただく切っ掛けになればと考えて、予算を組んでいるものです。
 これは、それぞれ都道府県単位で議論されるものですが、[1]については、そういうものをさらに後押しする形として、大きな病院と小さな病院とがもっと連携しやすくなるように、補助金をそこに重点的に配分をしていこうという考えです。
○山下委員 物理的に、例えば研修医が動くときには、必ずそれにまた旅費がかかるとか、宿舎がないと、3カ月行ってくるというときに、わざわざやると大変だというような、研修医の生活に密着したような問題と、もう1つは、いま田原先生がおっしゃった研修のプログラムに関する内容ですね。それは、グランドデザインをまずしっかりと、先ほど小川秀興先生がおっしゃったような、前と後のことを全部調べたうえで出てくるような大きな問題と、小さくはないのですが、要するに身の回りの問題など、いろいろなものが混在していると思うのですね。
 それから、この前ヒアリングで愛知県と宮崎県の先生のお話を聞きましたが、要するに問題点が全然違うのですね。いまの先生のお話で、要するに県単位でまずは考えていただくのが本当はいいと思いますが、それを県単位でやっていると、先ほど質問したように、例えば東京の私立大学ですと、いろいろな県に分院をもっていて、それぞれがものすごく力をもっているということになれば、それをネットワーク化することもあるわけです。そうすると、県を完全に越えてしまうわけですね。ですから、そのような、いわばかなりフレキシブルなことを考えていく。
 次の制度改正まで、時間はあるようで、あと2、3年しかありませんので、お金を付けていただくことは非常にすばらしいことだと思いますので、それをどういう形でデータを吸い上げて、どういう形で制度の中に落とし込んでいくかを、是非考えていただきたいと思います。かなり、いろいろな問題がたくさん出てきて、どう整理するのか私もよくわかりませんが、少なくともやはりネットワーク化をしよう、高度な医療にしようといったときに、まずスタートラインは県単位でもちろん構わないのですが、それをどう越えていくかを是非考えていただきたいと思います。
○医師臨床研修推進室長 県単位でもあまり議論がなされていないケースがありましたので、まず都道府県単位で議論していただくと。都道府県を越えるような状況については、また都道府県同士で話をしていただくこともありますし、ある程度研修医のローテーションについては、先ほどの研修修了者の調査のデータを把握していますので、具体的に東京都の基幹型病院で研修をするということになっていても、例えば襷掛けで2年目は茨城や栃木で研修をするというようなこともあり得ますので、そういったものを具体的にデータとして整理をしながら、それを都道府県にまたお返しする、あるいは病院にお返しすることによって、県を越える病院群の形成も進んでいくのではないかと思います。
 ただ、生活面については、きちんと対応していかなければいけませんので、この審議会のときにも、臨床研修病院を指定する際に遠距離になっている場合には、その病院同士の連携の状況、あるいは研修医の生活のサポートといったものをしっかりと確認をしたうえで、指定をしていくということで進めてまいりたいと思っています。
○小川(秀)委員 いまのご質問とお答えに関連して、参考資料3の話ですが、主要施策として、地域医療確保対策の推進ということが要求されて、この額に落ち着いたというのは、ちょっと残念な感じで、もう少しあってもいいのではないかと思っています。それはそれとして、この地域医療の確保対策を何とか是正するために、国はこうしている、こうすべきということをここで論じているわけですが、私どもがわかっているようで、はっきりと把握していないのは、地方の自治体、都道府県でどのような取組がなされていて、そのような取組がどのような過程をとっているか、端的にいえば、成功しつつあるとか、これはやったのだけれどもうまくいっていないとかいうことが、少し厚労省、文科省とは違う管轄なのかもしれないのですが、是非参考資料としていただきたいと思います。
○医師臨床研修推進室長 都道府県の取組については、これまで臨床研修制度そのものが都道府県の関与を直接求めないような仕組になっていましたので、都道府県の取組はあくまで任意という形でした。先ほど申し上げましたように、臨床研修制度の見直しの際に、地域で協議会を作って、いろいろ検討してくださいということを導入しましたので、都道府県もこれからいろいろと熱心に取組を始めるのではないかと思います。
 これまで、臨床研修制度の導入のときから、かなり熱心に取り組んでいる岩手県などでは、臨床研修の研修医はかなり増えて、県全体としては制度の導入前よりも増えていますので、そういったところを、また各都道府県では参考にするような形になってまいるのではないかと思っています。また、今はまとまったものはありませんが、次回の制度の見直しに向けては、そういったデータも揃えて、お示しをしたいと思います。
○部会長 それでは、本日の議題に焦点を当てて議論を進めていきたいと思います。まず、資料6のたたき台の1です。ご存じのように、大きな制度の見直しというのは5年ごとで、この次は平成27年度の臨床研修に適用するものの大きな見直しがあるわけですが、差し当たっていままでの議論の中では、平成24年度及びそれ以降、平成26年度の臨床研修までどのようにしていくか。現在、先般行われた見直しの下でどのようにしていくかということで、特に決めていかなければいけないことは激変緩和措置への対応ということにいままでの議論が絞られてきています。そこで、激変緩和措置に関しても先ほどご説明がありましたが、病院の募集定員のことと都道府県別の募集定員の上限の2つに絞られているわけです。この資料6の1の(1)及び(2)ですが、もしよろしければ(1)について、まず議論をしていきたいと思いますが、よろしいですか。では、そのようにさせていただきます。
 (1)についても、既にいままで説明のありました資料で、激変緩和措置を適用した場合と適用しない場合において、平成23年、平成24年についてはどうなるかということが出ましたし、あるいは各都道府県のご意見等も出ていますが、その辺について、こちらでたたき台としては、「平成26年度の臨床研修まで継続することとし、次回の制度の見直しに併せて廃止する」と。ただ、「激変緩和措置」という言葉が、もう激変は緩和されたのではないかとか、激変緩和という言葉として、あまり長いことやるのもいかがかということですが、実質的には、募集定員の推移を含めて、このようにしてはどうかという提案ですが、どうぞご意見をいただきたいと思います。
○中島委員 激変緩和措置で比較的助かった都道府県等もあるかと思いますが、逆に激変緩和措置で、かなりしんどい思いをするようになった所もあるのではないかと思います。そこはいかがですか。
○医師臨床研修推進室長 募集定員の激変緩和措置については、苦しくなったということはないと思います。さらに、大本の原則として、募集定員を過去の実績見合いで決めることについては、もっと自由に定員を設定できるようにしてほしいという病院はありますが、前年度の内定者を下回らないようにするということにしていますので、そこで非常に悪影響を被る病院はないのではないかなと思います。
○部会長 よろしいですか。そのほか、いかがですか。
○冨永委員 激変緩和措置を適用しても、募集定員は徐々に減っている状況もありますし、各県のご努力の結果、いままでマッチングの少なかったと言われる県にも、一昨年、昨年と随分とマッチングが増えていますので、当面、この激変緩和措置を適用していただいたほうがありがたいと思っています。
○部会長 具体的には、例えば、このたたき台の平成26年度まで差し当たっては継続。平成27年度は大幅な見直しが行われるわけですが。
○冨永委員 といいますのは、先ほど平成20年度から地域枠の入学制があるという話ですので、そのときには地域枠における都道府県の出身者が県単位でかなり増えるということです。その数をどうするかということに関しては、次の見直しのときに検討していただいたらいいかと思います。
○医師臨床研修推進室長 いまの点について補足をしますと、平成26年度の研修については、入学年度が平成20年度でございまして、これまでよりも入学定員が168名ほど増えることになっています。その分、研修医が増えるわけですが、都会のほうを、激変緩和措置がある場合でも、一応抑えることはある程度できていますので、その分については、基本的に地方のほうに行くのではないだろうかという考え方はある程度できるかなと思います。また、平成27年度以降については、さらに入学定員が693名、360名、77名と増えてまいりますので、これは平成27年度以降の見直しの際に詳しくご検討いただければと思っていますが、今よりも大体1,300名ぐらい増えることになりますので、今の1万人ぐらいの募集定員にどんどん近付いていくような、ざっとした予測ですが、そういうことはある程度見通しはあるのではないかと思います。
○西澤委員 いまの冨永委員の意見と室長の補足を踏まえまして、この原案どおりでよろしいと思います。
○部会長 ありがとうございます。ほかに、病院の募集定員についていかがでしょうか。もちろん2に書いてありますように、ただ継続するということではなくて、あとで議論いたしますが、それに対してしっかりと将来的に円滑に廃止できるようなことを考えていくという前提の下に、平成26年度の臨床研修まで継続してはいかがかということですが、病院に関してはよろしいですか。
 都道府県別の募集定員の上限についても、たたき台としては「『(1)病院の募集定員』と同様の取扱いとする」ということですが、これについていかがですか。
 よろしいですか。それでは、都道府県別の募集定員の上限についても、たたき台の案のとおりにさせていただきたいと思います。
 2の「激変緩和措置の廃止に向けた対応について」は非常に重要なことで、平成27年度の臨床研修から適用される次回の制度の見直しを踏まえてですが、ここに書いてありますように、募集定員に係る激変緩和措置を地域医療に混乱をもたらすことのないように円滑に廃止していくと。この方向を目指して、次回の制度の見直しに向けて、地域における臨床研修病院群の形成を促進し、研修の実施状況や地域医療の状況などを踏まえた募集定員の設定方法についてこれから検討していくということで、先ほどの予算(案)の説明にもありましたように、新規として、それに対するいくつかの予算上の施策も、いま準備をしているところです。この辺について、どのように向けていけばよろしいかということのご意見をいただきたいと思います。特に、いままでは、臨床研修病院群の形成が非常に重要だという意見もありました。それについても新規の予算(案)で9,300万円ですが、このようなお願いをしているところです。いかがでしょうか。
○三上委員 地域における臨床研修病院群というのは非常にいいと思いますが、これを想定するということは全国フリーマッチではなくて、地域別マッチングだというようなものに変えるのかどうか。それでなければ、おそらくフリーマッチの場合ですと都会に集中しがちというか、そういうのはなかなか消えないだろうと思いますし、これはマッチング協議会のほうのマターなのかもしれませんが、その辺も含めてここで議論できるのでしょうか。
○部会長 マッチング協議会はマッチングの実務をするということですので、むしろこちらで意見を言うのは。
○医師臨床研修推進室長 大きな方針について、こちらで議論することは可能だと思います。ただ、全国規模のマッチングをやめるという話になりますと、大きな制度の変更になりますので、それは現時点というよりは、次回の制度の見直しのときにご議論をいただければと思っています。
○三上委員 日本医師会のほうでもグランドデザインを考えていますが、基本的には全国フリーマッチングを廃止して、都道府県別なり大学別なりというか、地域に限定したマッチングにしてはどうか。そうでなければ、なかなかこの弊害というのはなくならないし、上限は常に付けておかないとできない。そうすると激変緩和も必要になってくるということなので、医師の偏在等に向けての対策としては、実務研修についても学部での教育と同じような感覚であれば、一定の範囲というか、規制されても仕方がないのではないかと思いますが、いま検討中なので、それも含めてお考えいただきたいと思います。
○部会長 貴重なご意見です。今までは病院別あるいは都道府県別での募集定員で、地域の格差をなるべく是正しようという方向で検討してきたわけです。いかがですか。
○中島委員 日本医師会は一生懸命考えていらっしゃると思いますが、都道府県ごとにそういうことをやっていくことになると、国家試験も都道府県ごとにやればいいというような極論まで行き着くわけで、ここは可能性としては、日本どこへ行ってでも研修できるという制度を残しておかないと、日本国憲法に抵触する問題になってくるのではないかと思います。
○部会長 というご意見もあります。いかがですか。
○中島委員 もう1つは、卒後の臨床研修制度ができたというのは、いきなり専門科へ入るのではなくて、いろいろな科を経験して、その後専門を選んでいこう、どの科の医師になっても、基本的なことはできるようになっておこうではないかと。特に田舎や病院が少ない所に行きますと、その医師1人が最終的な受け皿になるわけですから、どうしても総合的な診療ができる医師になっておく必要がある。いま最も必要とされている総合的な診療のできる医師を、果たしてこの新しい臨床研修制度で育成できているかどうかという点にあると思います。その点についての調査というものを、すぐには難しいと思いますが、是非やっていく必要があるのではないかと思います。よろしくお願いします。
○部会長 ありがとうございます。そのほかに、特にいまは定員という視点から、激変緩和措置をどのように廃止していって、地域医療に混乱をもたらすことのないようにできるかという議論ですが、確かにいまのお話で、プライマリーケアなどを修得するというような方針であるということと伺いました。
○山下委員 基本的には、いま相川先生がおっしゃったように、この制度をディスカッションしているというのは、地域医療が崩壊しないようにというのが1つ大きな問題になると思うので、とりあえずフォーカスはぶらさないことが必要ですが、議論が地域医療をやりますよというのは、人の動きを止めますよという方向に絶対に行ってほしくないのです。というのは、例えばどこの高校を出て、どこに住んでいて、どこの大学を出てどうのこうのというのを分析するのはいいのですが、その辺のところを固めだすと、例えば山形大学にはいろいろな地域の人が来ます。いろいろな所から大学に受けに来てくれるのが大事なことで、それを止めてしまうと、今度は山形大学に受けに来てくれなくなります。ですから、止めてしまえばいいというものではないのです。全部どこへ行っても何をしてもいいというのが日本国憲法ですから、当たり前ですが、それは絶対に守ってほしい。それを止めようと思っている人は誰もいないと思いますが。要するに、地域医療というのは、大学の間にきちんと我々が教育をして、大学で勉強、地域で勉強しながら世界一になれますよということを我々が言うのが本筋であります。
 もう1つは、前から山口先生がおっしゃっていますが、研修制度というのはあくまで教育のシステムであって、地域医療を改善するシステムではないのです。いろいろな議論で出てきましたが、どこの大学を出てどこで研修をして、先ほど田原先生がおっしゃったデータですね、どこで医療をやっているか、どういう分野をやっているかという動きをモニターできるような形で、あまりコロコロ変えると我々もつらいのですが、制度設計を大学の教育のところからやっていかないと、たぶん大学を出る時点で「研修をどこでやりますか。あなたたちは臨床をやるのは地域ですよ」という、そこからいっても、そんなものは大学生はわからないふりをしてどこかへ行ってしまいます。そうではなくて、そういうグランドデザインの中でこれをやっているのだということを。
 話が全然違う方向に行ったので、もう1つ、実務的なこととして、激変緩和措置をするのはどの時点からかはわかりませんが、例えば今の制度からいうと少し難しいなと思うけれども、新しいモデルを提供するようなものもどんどん入れていってほしいです。2年、3年とまだ時間がありますから。これはエクスペンメンタルな意味ではなくて、お国でも特区という制度を作っているわけですから、要するに、ある一定の意欲的な取組があるのだったら、それをまずやってみて、よかったらそれをどんどんやるとか、そこにお金を付けるとか。全部を一遍に平成27年にドンと決めるのは極めて危険だと思います。そういうような方向で、この文言に関しては非常にこれで全部含み込んだ形でいいですが、今後のこととして、そういうモデル事業みたいなものの提案を受け入れることも是非お考えいただければなと思います。以上です。
○部会長 ありがとうございます。また、モデル事業というようなお話も出ましたね。ありがとうございます。
○小川(彰)委員 2の○に書かれている内容そのものは、総論としては非常に高邁で素晴らしいと思います。内容としては完璧と言っていいと思います。この間、地域における臨床研修病院群の形成を促進して、新しい設定の方法の検討を行うということになりました。、総論としてはいいのですが、この委員会の前に「臨床研修制度のあり方検討会」がありました。本審議会の中でも議論をしてきて、こういう方向でやるのだということは皆さん一致した考えだと思います。
 ただ問題は、つい先立っていくつかのプログラムが変更になったので、それをチェックさせてもらったわけですが、この方向と全く違うプログラムがたくさんあることがわかりました。いま1,000を超えるプログラムがあって、基幹型と協力型がありますが、極めてプアな臨床研修病院群であったり、系列病院だけの、方向性が全く異なる、我々が考えている理念と全く逆な理念での研修病院群があったりします。この1,000のプログラムをジャッジメントするのはたぶんこの審議会しかないと思いますが、この審議会としてその一つひとつのプログラム、臨床研修病院群が妥当であるのかどうなのかということを具体的にどう検討していくのかということがこの中に盛り込まれていなければ、これは絵に描いた餅です。何の意味もない。ただ、総論としては大変結構ですねで終わり。そうではなくて、そういう基幹型、協力型の研修病院群が妥当なのかどうかという検討をどういう方法で進め、そして臨床研修病院群の形成をどう具体的に介入して促進をするのだ、という具体性を持たなければ意味がないと思います。是非、その辺のご検討をいただきたいです。
○部会長 ありがとうございました。まさにご指摘どおり、これは総論ということで完璧だというお褒めの言葉もいただいたのですが、これからその各論に関して、この総論に向けて何と何をしていくかということのご意見をいただきたかったわけで、いまのようなご意見も踏まえて、またできればさらに各論に踏み込んで、先ほどモデルケースということもありましたが、具体的に2の○の後に付く「何々を何年度までに検討する」というようなことも含めて、ご意見をいただければと思っていました。ありがとうございました。
○桐野委員 地域医療の充実の観点からいいますと、これは初期臨床研修制度だけではもう収まらない問題で、この制度自体が発足して6年以上経ってきて、良いか悪いかは別にして、それなりに安定しつつあるのだろうと思います。今度は、そのあとの医師の問題にたぶん移ってくると思いますが、部分的に問題を解決しようとしても、なかなか難しいだろうと思います。おそらく、今の日本の医師の分布というのは総数が足りない。それから、分布が相当歪んでいるけれども、分布を調整する機能が十分でないということに問題があることは誰もお考えだろうと思います。そこで、それをどうするかという議論はここの枠を超えてしまうのですが、今度は後期臨床研修のシステムの問題を含めて、どこかで議論をしないといけないだろうと思います。
○部会長 ありがとうございます。これは、いままでも何回かそのようなご意見が出ましたね。確かに、この研修部会の権限は超えるものの、それを議論しないと臨床研修制度について議論ができないという関連性です。2年後の研修に関して、医師会でも「生涯研修」という言葉もありますが、また、そのあと4年あるいは5年という、本日たまたま持ってきたのですが、先般「日本専門医制度の概要」が出版されましたけれども、社団法人日本専門医制度評価認定機構でも、専門医という観点からはいくつかの制度を進めているようですが、これとも関連することで、なかなか大きな問題だと思っています。これをどのようにしていくかは、この部会から発信することはできるかと思いますが、どうですか。発信というか、こういうことについてどこかで検討してくださいというようなことです。
○医師臨床研修推進室長 そういうご意見をいま伺いましたので、また、そういう検討の場を作っていくことになろうかと思います。実は平成23年度の予算案の中にも、そういう専門医制度の検討のための経費を計上していますので、また、そういった議論をする場というのは、いろいろな方々にご相談しながら進めてまいりたいと思っています。
○小川(秀)委員 この委員会から発信するという意味で、いまの議論の延長線上でご提案したいということですが、桐野先生のおっしゃるように、地域医療の問題が非常にクローズアップされて、これを解決するための研修医制度云々をしましたが、元より2年間をどういじったところで、理想に近い地域医療医が育成されるわけではないので、この2年に続く制度を是非検討する必要があるという点が1つです。
 もう1つは、地域医療ということがものすごく喧伝されたが故に、地域医療だけで本当に日本の医療はいいのかという大きな問題を考えなければいけない。現実的な問題として2番目は、科の偏在をどのようにしてやっていくか。3番目の問題は、地域医療と科の偏在がなんとかなってきて、しかしどこをアチーブメントポイントとするか。かなりエンドレスに近い問題だと思います。しかし、それのみに我々医療界、医学界が挙げて、官学で、民でやっていくのは危険な部分を持っていまして、そのほかに研究知財の形成、研究医の育成というものも考えていかなければいけない。そして研究医というと、今は国内事情のことに相当フォーカスを当てていますが、国際的な対応の下にどうやって日本の医学界、医学教育斯くあるべしということも考えていかないと、医薬品医療機械等々の総額的な輸出入のアンバランスは1兆円を超えて2兆円に、刻々と輸入増拡大(入超)のほうに傾いていますので、日本の誇りある医療制度はプラクティカルには堅持されているけれども、今までたくさんの知財を産んできた日本の医療界、医学界というものが危機に陥る。地域医療で、そのすべてに全精力を傾けるわけにはいかないということ。この委員会とは違いますが、是非そういうのも提言したいと思います。
○部会長 ありがとうございます。局長どうぞ。
○医政局長 いま、臨床研修という枠組を超えて、医療全体と医師の養成や地域の配置の問題が出たと思いますが、ちょうどいま社会保障審議会の医療部会でも、スタートが遅れましたが去年の暮れから、医療のあり方についての検討を始めていますので、そういった今後のご議論の問題提起みたいなものは事務方でも受け止めて、今後の議論の整理に取り組んでいきたい。ただ、タイミングとして結論を半年以内に出さなければいけないので、問題提起のものもあれば、かなり姿が見えてくるものもあるということで、濃淡が出ると思いますが、いまのご指摘は重く受け止めて、今後の議論に反映させたいと思います。
○部会長 ありがとうございました。山口先生。
○山口委員 地方の医師不足を引き金に、いろいろ緩和措置に始まる定員の問題云々という話があったと思いますが、基本的には巡り巡って、研修医の配置がそれ以後の医師の配置に関わるという話になっています。それはそれであると思いますが、この部会で検討するのは、初期研修をいかにいい研修にするかがいちばんの根本テーマです。いまの緩和措置の話にしても、もし医学部定員の増加を考えれば、いま現在の募集定員でも、その応募者と定員の差が1,300~1,400ですから、医学部の定員増があればいずれ募集定員に追い着いてしまうような話であって、定員増後の卒業生が出てくるまでを見れば高々5、6年の話でしかないと思います。あまりこの部会が医師不足の話に振り回されて、本来の初期の研修がどうかという話から外れてしまうのは好ましくない。ここで初期研修の話をしなければ、どこにも話をするところがない。そういう意味でいうと、研修のプログラムが2年間フルにすべてをローテーションする研修、それから最低限研修の必須科目に絞って研修する、というようにプログラムの幅が広がったわけですが、その結果として、どういうアウトカムにつながったかということを検証して、初期研修のありようそのものをしっかりとここで検討しなければいけないと思います。ほかに検討する場所がないわけですから。
 例えば極端なことを言えば、2年間はどこで研修しようと、3年以後に適正にある程度医師が分布するのであればいいわけですから、そういうふうに考えると、この県で何人ということに強くこだわることが、本当に初期研修のためにいいかという議論を是非してもらいたい感じがします。特に関東の一円を見ますと、東京、千葉、埼玉、神奈川と区別をしていることも現実的ではないようで、エリアという考えでもいいような気もしますし、研修の実績がどういう実が上がっているかということを基に、むしろ研修病院群なり病院をどうするかということから応じて定員を考えていく話のほうがよいのではないでしょうか。
○桐野委員 本当にそう思います。要するに、初期臨床研修制度が導入された当座は、いろいろな基本的な考えが一致してスタートしたのですが、副作用がかなり強かったので、この間、この委員会も副作用対策を議論されてこられたと思います。それはやむを得なかった。けれども、小川先生も言われましたが、研修の質をどういうふうにクオリファイしていくかは、今後、当委員会の非常に重要なテーマで、中心はそこに戻っていくべきだろうと思います。
○三上委員 今回の新医師臨床研修制度は先ほど言われたように、総合的には診療能力を有する医師を養成すると。それも8年間の医学部教育と、2年間の臨床研修期間で養成するのだということで始まったわけですが、これによって医師の診療科の偏在と地域偏在が顕在化したことは事実なので、そのシステムは変える必要があるのではないかということは、ここで検討すべきではないかと思います。その際には、学部のときの教育のあり方についても、相当変えていかなければならない部分があるのではないか。あるいは国家試験のあり方についても、変えていく必要があるのではないか。それによって、研修のあり方というのは当然変わってくると思います。そこも含めて、提言をさせていただきたいなと思います。
○冨永委員 研修の充実ということで、参考資料3にも出していただいていますが、研修医の意向調査にもありますように、いい指導医がいることが応募する理由にもなっていますので、是非、臨床研修の指導医養成講習会を質の高いものにしていただきたいと思います。いま、基準を満たした講習会については医政局長の公印をいただくことになっていますが、いろいろな大学、医師会や病院団体でやっておられます。秀れた指導医がいなければ、いい研修ができないということにもつながると思いますので、指導医講習会の充実に向けて、予算措置でもいいですが、(2)の[1][2]にありますが、そういうことも少し考慮していただく。これまで指導医講習会の質に関して、あまり論じられませんでしたので、少しその辺も考えていただいたらありがたいなと思っています。
○山下委員 2つお願いしたいと思います。1つは、いま三上先生が医学部教育のことをおっしゃいまして非常に大事なことだと思いますし、文科省と厚労省でこの制度に関して考えるという枠組もできているわけですから、せっかく新木課長も来ておられるわけですので、それは是非推進していただきたい。その姿勢はずっと貫いておられるわけですから、そういう方向からきちんと研修する。要するに、我々医学部のほうできちんと教育をすれば、研修に回さなくても、そこでまた別のさらに高度のことを勉強させることもできますし、国家試験のあり方から考えていただきたいというのが1つあります。
 もう1つは戦術的なことですが、先ほど小川彰先生がおっしゃったように、プログラムを見直すのは非常に大事なことではないかと思います。現時点では、制度というか枠組を変える。例えば協力病院を増やすとか、動きがある所には申請という形が来ますから、そこでチェックがかかりますが、ある意味で動いていない所はなかなかチェックのしようがないのです。けれども、1,000のプログラムの中で、我々とすれば幅があれば、その幅の上のほうに行っていただきたいわけです。いま冨永先生がおっしゃったように、指導医の質とか何とか、要するに上のレベルをあれしていただきたいのに、この幅の中の下のすれすれのところをなんとかやっている。それを別にパニッシュする必要はなくて、「あなたの所ではこういうことをすれば、きちんとまたレベルが上がっていろいろな希望者が増えますよ」というようなサジェッションも。だから、パニッシュという意味ではなくて、エンカレッジするようなオーディット機能というものです。これは地区の厚生局が大変な仕事になってしまうかもしれないので、すぐにやったほうがと言い切れませんが、オーディットということを言いだすと言葉がきついですが、既存のプログラムをもう1回丁寧に見直す。しかも、動いていないところまで1回きちんとローラーをかけてやる。2年間とか3年間かけてもいいですから、それをやる方向を持っていただきたい。それが、先ほど小川先生がおっしゃったように、我々が言っている意図が伝わっていない。動いていなければ、全然こちらで引っかかりようがないものですから、そういうようなことも含めて、研修のネットワーク化をするんだよということをどこかできちんと伝えるようなチャネル、それが唯一とは言いませんが、例えば2の中の具体例の中に入れていただくのはいかがでしょうかという提案です。
○小川(彰)委員 先ほど来、委員の先生方から素晴らしいご意見がたくさん出ているわけですが、医師を養成していくためには医学部の教育だけでは駄目で、国家試験のあり方も当然あるし、卒後の臨床研修としてのこの委員会もあるし、さらには、そのあとの、先ほどの専門医認定制度、あるいはその後の生涯学習までつながっていかないと意味がないわけです。しかし、現状は各医道審議会の各分科会で細切れにディスカッションをされていて、その間に意思の疎通がないことも1つの問題なのかなと。もし可能であれば、医道審議会の医師分科会の本部会(医師臨床研修部会)と、他の部会との意見交換会みたいなものがあって然るべきだと思います。これはなかなか難しいかもしれませんが、先ほど桐野先生もおっしゃっておられたように、臨床研修制度のディスカッションをしていても、なかなか解決する問題ではない。解決しなければならないのは、日本がどういう医育を生涯学習の中でやっていくのかいう大きなスキームの中で考える必要があります。是非その辺をお願いしたいと思います。
○部会長 今日は医政局長もいらっしゃっています。課長からどうぞ。
○医事課長 確かに大事な視点でございます。結局、この議論をやると必ず卒前6年間の教育の問題、それから医師国家試験があり、初期の臨床研修があり、さらにそのあとの後期研修や生涯教育、専門医の問題があるということで、できるだけ関連する情報を提供させていただいたり、審議会でのご議論の状況を関係する他の審議会にご報告させていただくことはもちろんですが、場合によっては、いま先生からもお話がありましたように、合同の委員会になるとかなり大がかりになりますが、懇談会など別な形で意見交換をしていただくとか、何か少し工夫をさせていただければと思います。
○部会長 私も医師分科会長の立場でございまして、国家試験に関しても前の「医師国家試験改善検討部会」の部会長をしました。これは4年に一度報告書を出して、現在また新しい改善検討部会が出てきますね、新しい報告書が。
○医事課長 4年に一度のサイクルで見直しをしていますが、いま改善の検討委員会を立ち上げています。
○部会長 前のときにも、たしか私どもの部会では、先ほどのような卒前のカリキュラムから医師の国家試験、さらには臨床研修制度と、一連の流れをつかんだ形での医師国家試験の考え方、あるいは出題が必要であるというような意見を具申していました。確かに、改善検討部会の意見というものが、実際にどのようにして具体化されているかということになりますと、まだまだこれからそれを進めなければいけないと思いますが、現在の国家試験改善検討部会でも、おそらくそのようなスタンスは崩してはいないのかと希望しています。まさにこれは崩せないところですが、いま小川彰委員がおっしゃったような形での、委員会は無理かもしれませんが、懇談会のような機会を持って意見を交換することは、私見ですが非常によろしいことかと考えています。
○河野委員 非常にいい意見がずっと出されていまして、基本的には先生方のご意見に賛成ですが、少し話は戻ります。先ほど冨永先生が言われた研修を教えていく側の体制を考えると意外と手薄でして、例えば研修専任の、大学で言うと教員というものがそれほど多くない。うちの大学ももちろん、かなり古くから医学教育担当の部署があって、いるのですが、卒前から卒後からすべて、その部署が現実に担っていっている。実際の研修となると、各現場の診療科になります。各診療科は、うちの病院で言うと、どうしても経営的な問題となると、みんなすぐに人を付けるし、お金も行きますが、教育ということで60~70%の教育専任ということになると、なかなか現実に人の配置がいかないし、かつ、その人の評価ですよね。プロモーションを考えたときも評価ということに、価値があるがまだ徹底していない。ですから、これだけ研修の問題が重要視されてくるのであるならば、そういった枠と、それに対する評価という体制を、教える側にもしっかりインセンティブをあげていかないと、いくら体制を組み合わせても現場が動かない。ほんの2、3人の専任の部署を作っても、それではとても足らないような状況だと思います。ですから、是非教える側の体制についても、何らかの枠と、インセンティブを含めて付けていただかないと、ここで議論していることが実行できないのではないかという気がします。
○西澤委員 いま、いろいろな意見を聞いていて思いますが、この部会は医道審議会ですし、先ほど医政局長が言った医療部会というのは社会保障審議会ということで、親の審議会が違う。私なりに考えてみますと、この部会はある意味で大学教育、要するに教育というところから臨床のほうに入るちょうど中間にあるのかなと。それから、もしかしたら医学というものと医療というもののちょうど中間にあるのかなということで、医学を学んだ学生が、それを社会的に適応して医療に行くところの狭間にいるのではないかなと。そういうことで、ここは非常に重要な部会でもあるし、初期臨床研修制度というのは、そういう意味では非常に重要だと思っています。ここの議論というのは、そこにある程度集中してするべきだと思いますが、それ以前の大学でどういう教育をされているかということと、それ以後の臨床というか、地域医療がどうなっているか、私たちがそういうことのすべての知識をある程度押さえてここで議論することは、すごく大事だと思いました。そのあたりを少し事務局のほうで考えていただいて、ここできちんと私たちの役割が果たせるような、本当の臨床研修制度は、良い臨床医を育てる場だと思っていますので、そういう議論に持っていければと思います。
○小川(彰)委員 いま、学部教育がどうなっているかというお話もありましたが、この臨床研修制度の見直しに関しては、厚生労働省と文部科学省が初めて合同で臨床研修制度の見直しの検討会を始めたところからスタートして、そのときに高久先生が委員長、小川秀興先生が副委員長を務められ、大変重要な報告をまとめられました。今度はそれを受けて、文部科学省の中に臨床研修制度の見直し等を踏まえた「医学教育カリキュラム検討会」ができ、その検討会でディスカッションされた中身と、報告書としてまとめた内容は極めてリーズナブルで、素晴らしい項目です。この報告書は一昨年5月に出ているのに、進んでいないというのはどういうことなのか。あの報告書の項目が進めば、医学生涯教育の中の学部教育の部分に関しては、国家試験も含めてかなりの部分が解決するのではないかと思いますので、是非それを進めていっていただければありがたいと思います。
○文部科学省医学教育課長 いま小川先生からお話のありました検討会の報告書は、一昨年5月にまとまりました。その中では4点ほど、臨床能力を高めるとか、研究マインドのある人を育てるとか、最後に先ほどお話にありました教育体制、教員の数の問題を高める等のご意見をいただきまして、現在その中で教育部門については、去年の夏から検討会を立ち上げまして、小川秀興先生にも入っていただいていますが、そこでカリキュラムの見直し等を進めているところです。引き続き、そこで指摘のあった評価の問題、そのあとでは教員の体制の問題、さらに臨床実習時間の問題など、いろいろご指摘いただいたことをいま果たしているところです。間もなく、その第1弾のカリキュラムの見直しを、この年度内に終わらせたいと思って進めていますので、また機会があれば、その進捗状況についてご報告をさせていただきたいと思います。
○三上委員 モデルコアカリキュラムも私は出ていますが、先ほど河野先生がおっしゃったように、教員の数というのは非常に問題ですし、その質というのも問題ですが、学部教育のときから教育力を育てるというか、医師が医師を育てるわけですから、医師になるためには教育力もある程度備えておかなければいけない。屋根瓦方式のような形で、先輩が後輩を教え続けながら卒業し、研修をし、生涯教育に入っていくような形のカリキュラムになればと思っています。
○部会長 よろしいですか。そろそろ時間が迫ってまいりましたが、今日は大変貴重なご意見をいただきました。まず、資料6について、このたたき台の案ですが、1の(1)(2)は、この案を基にご了解いただいたと思います。また、2に関しては、総論的なものに加えていくつか各論的な方向づけのご意見もいただいたと思いますし、また2のほかに、臨床研修のこれから検討していくべき大きな視点からのご意見をいろいろいただいたと思います。これもテープ起こしを整理しまして、私どもで、今回いただいた意見を意見として一部はまとめさせていただきますが、基本的には「平成24年度以降の臨床研修における対応」ということで、差し当たっては平成24年度に向けての、特に激変緩和措置については、しっかりと具体的なものをまとめていきたいと思います。また、一部字句の修正については、できれば部会長にご一任いただきまして、これからパブリックコメント等もありますので、本部会の意見を踏まえて、大きなことに関しても厚生労働省で今後の手続を行っていきたいと考えていますが、それでよろしいですか。
○医師臨床研修推進室長 資料6の案については、もしこのままでよろしければ、まとめていただいて、臨床研修病院群の形成促進の具体的なやり方については、次回までに小川先生からいろいろお話を伺いながら、少し議論ができるように準備を進めたいと思います。
○部会長 では、パブリックコメントに関しても、主に資料6に対して聞くということですね。
○医師臨床研修推進室長 はい。
○部会長 また、将来の方向性についてはまだ具体化していませんので、パブリックコメントを求めることにはまだ至らない。今後検討していくということでよろしいですか。
○医師臨床研修推進室長 はい。
○部会長 そのようにさせていただきます。事務局から、さらにありますか。
○医師臨床研修推進室長 今後、いま部会長のほうにおまとめいただきましたので、パブリックコメントを厚生労働省の方針案として作成して、パブリックコメントの手続を進めたいと思っています。その結果は、改めてこの部会にご報告をしたいと考えています。以上です。
○部会長 ありがとうございました。よろしいですか。次回はパブリックコメントをいただいた結果も踏まえまして、平成24年度以降の臨床研修の対応における案について議題を用意したいと思います。事務局から、次回のことでその他何かありますか。
○医師臨床研修推進室長 次回の日程ですが、2月18日(金)の15~17時を予定していますので、よろしくお願いします。場所については、決まり次第お知らせをいたします。
○部会長 本日は、大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。次回についても、どうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。


(了)
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医師臨床研修推進室

直通電話: 03-3595-2275

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