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2010年12月7日 第10回児童部会社会的養護専門委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成22年12月7日(火)17:30~19:30


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

柏女委員長
松風委員
相澤委員
今田委員
大塩委員
大島委員
奥山委員
木ノ内委員
榊原委員
庄司委員
高田委員
豊岡委員
西澤委員
藤井委員
藤野委員
山縣委員
吉田委員

事務局

高井雇用均等・児童家庭局長
石井大臣官房審議官
高橋家庭福祉課長
竹林母子家庭等自立支援室長
森泉児童福祉専門官

○議題

(1)社会的養護の在り方の見直しに関する当面の検討課題について
(2)社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の現状について
(3)子ども・子育て新システムの検討状況について
(4)その他

○配布資料

資料1社会的養護の在り方の見直しに関する当面の課題について
資料2-1児童福祉施設最低基準について(社会的養護関係)
資料2-2職員配置基準の改正経緯
資料2-3最低基準等及び措置費における職員配置基準について
資料2-4福祉施設の居室面積・定員
資料2-5最低基準における居室面積(1人当たり)の改正経緯
資料2-6居室面積・定員の分布
資料2-7住生活基本計画における居住面積水準
資料3-1子ども・子育て新システムの検討状況について
資料3-2社会的養護の仕組みの特徴
資料4平成21年度における被措置児童等虐待届出等制度の実施状況
資料5「ケア内容検討会」の検討状況について

○議事

○高橋家庭福祉課長
 定刻になりましたので、ただ今から「第10回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」の開催をお願いしたいと存じます。
 委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき厚く御礼申し上げます。本日の委員会の出欠でございますが、吉田委員は間もなく到着されると思いますので、17名すべての委員にご出席いただいております。ありがとうございます。また、厚生労働省側の出席でございますが、前回5月の本専門委員会の開催以降に人事異動がございました。
 雇用均等・児童家庭局の高井局長でございます。

○高井雇用均等・児童家庭局長
 高井でございます。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 石井審議官でございます。

○石井審議官
 石井でございます。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 私は家庭福祉課長の高橋でございます。それから、母子家庭等自立支援室長の竹林でございます。7月末より着任しておりますので、委員の皆さま方にはよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事にお入りいただきますようお願いいたします。柏女委員長、よろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 皆さま、こんばんは。年末のご多忙なときに17名全員のご出席ということで、さまざまな日程調整をしていただいたのではないかと思います。本当にありがとうございます。こちらに合わせていただいて、本当に恐縮しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回が5月でしたので、半年ぶりということになるかと思います。ただ、ご案内のようにこの間、社会的養護の周辺分野がさまざまな動きをしております。この12月3日には障害児支援の見直しに係る児童福祉法の改正法が成立し、それに向けてさまざまな議論がこれから行われようとしておりますし、「子ども・子育て新システム」の検討も進められております。
 そのような中で、この社会的養護の分野をどのように進めていくのか。障害児の分野とどのようにかかわりを持たせていくのか。あるいは「子ども・子育て新システム」とどのようにかかわりを持たせていくのか。さらには、地域主権の関係で今回は継続審議になりましたけれども、児童福祉施設最低基準の地方移譲ということも現実のテーマとして挙がってくる中で、それでは児童養護施設や乳児院その他の社会的養護関係の最低基準はどうしていけばよいのか。それらについて、緊急に議論を進めていかなければならない。そのような状況になっているかと思います。
 そういう意味では、これまでは半年に1回ぐらいの開催で、一体この審議会はどうなっているのかというような意見も周りから多々いただいたわけですけれども、少し詰めて、今申し上げたような「子ども・子育て新システム」との関係、あるいは最低基準の地方移譲への対応といったことについて、少しタイトに議論を詰めていかなければならない状況になっているかと思います。ぜひ皆さま方のご協力をいただきまして議論を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まずお手元にお配りしております資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に委員の配席図、名簿がございまして、配布資料一覧があります。その次に横長の資料1「社会的養護の在り方の見直しに関する当面の課題について」、次に資料2-1~2-7が最低基準の関係の現状等の資料でございます。次に資料3-1、3-2が「子ども・子育て新システム」の検討状況に関する資料でございます。その他、報告的事項ですが資料4として「平成21年度における被措置児童等虐待届出等制度の実施状況」、資料5として「ケア内容検討会」の検討状況の資料がございます。その他、委員の先生方からの配布資料といたしまして、藤井委員から「社会的養護の要支援度認定制度」というペーパー、藤野委員から「児童養護施設の在り方検討プロジェクト 提言」「児童養護施設の小規模化 提言」という冊子をいただいております。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。ずいぶん貴重な資料も委員からお配りいただいているようで、もしかしたら後ほどご説明いただけるかもしれません。ありがとうございます。
 それでは、議論に入ってまいりたいと思います。今日は大きく四つの議題があるわけですけれども、私と事務局から、このような形でできないかということで皆さまにご相談させていただきます。議題(1)と(2)、それから(4)について一括して報告をいただいて、それについてのディスカッションを大体1時間ぐらいとれればと思います。説明とディスカッションで1時間ぐらいです。その後に(3)の「子ども・子育て新システムの検討状況について」事務局から説明をいただいた上で、その新システムと社会的養護の関係をどうしていくのか。ここは恐らくフリーディスカッションで。内閣府で実は議論が行われており厚生労働省が直接それにかかわっているわけではないので、フリーディスカッションという形になるかと思いますが、幸いなことに、この基本制度設計については山縣委員がそちらの方にも参加していらっしゃるので、そこで出た意見も踏まえて、ご発言いただけるのではないかと思っておりまして、そのようなこともあった意見交換を30分ほどさせていただいて19時30分ぐらいに終了という形で進めさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。そういうことでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、そのようなことで進めさせていただきたいと思います。
 まず、(1)(2)それから(4)を含めて、事務局から説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 それでは、時間も限られておりますので、手短にかいつまんで説明させていただきます。まず横長の資料1「社会的養護の在り方の見直しに関する当面の課題について」でございます。今回は四つの案件を整理させていただきました。1ページの「社会的養護の現状について」は、資料でございますので説明は省略いたしますが、2ページにありますように児童虐待の増加によりまして、施設の中での虐待を受けた児童の数が多くなっているということです。
 次の3ページ、4ページが「障害等のある児童の増加」ということで、障害等の判定をしっかりするようになってきたということもあるわけでございますが、非常に増加しております。里親においても増えているという現状でございます。
 それから、次の5ページでございますが児童養護施設・乳児院・里親への委託児童数でございます。児童養護施設につきましては最近、措置児童数はほぼ頭打ちでございますが、里親につきましては近年10年間で1.8倍と大幅に伸びているところでございます。
 次の6ページは「施設の小規模化と家庭的な養護の推進」ということで、小規模グループケア・グループホーム、さらにはファミリーホーム、里親ということの推進を図っていくということでございまして、それぞれ記載のような目標値も設定した推進を図っているところでございます。
 次の7ページ「児童養護施設の形態の現状」につきましては、大舎制が引き続き7割というような状況でもありますし、定員規模別の施設数で見ますと、100人規模の大きい施設もまだ多数あるという現状でございます。
 そういう意味で、今後の大きな方向感といたしましては8ページにありますように児童養護施設の小規模化と施設機能の地域分散化によりまして家庭的養護を推進するという方向感ではなかろうかというような資料を出させていただいております。ケア単位の小規模化、本体施設の小規模・高機能化。小規模化しつつ高機能化を図る。施設によるファミリーホームの設置あるいは里親の支援というような姿へと将来の方向を向けていくというような方向感の中で、今後は各種予算の運用の細則などを検討していく必要があるのではないかと思っております。
 次の9ページは措置費の概要でございますが、10ページの施設の人員配置につきましては、特に小規模グループケア等では全体のユニット化等を行いますと概ね3:1を下回るような配置にもなるわけでございますが、このような中での人員体制の整備を今後は図っていくこととしております。
 次の11、12ページは「里親委託の推進」という項目でございますが、近年の里親委託率は7%から10%まで上がってきておりますが、「子ども・子育てビジョン」では16%の目標を掲げております。12ページにありますように欧米ではドイツでも28%、イギリスでは60%ということで、里親委託の割合をさらに高めていくというような方向感があろうかと存じます。
 その中で、各地域の取組に大きな差があるところですが、13ページは里親委託率を高い所から順番に並べた図でございまして、14ページは18歳未満人口に占める割合の数でございます。施設の数の多さと里親の委託推進状況は必ずしもリンクしないのが現状かと思います。
 次の15、16ページは里親制度の充実を図っているというところの資料でございまして、19ページは里親委託を推進する上での課題と取組を各都道府県からアンケートをした結果でございます。19ページにございますように、里親委託を進める上での課題として登録里親を増やすに当たっての社会的認知度や里親の希望する条件との関係。それから実親の同意が取りにくい。施設ならば同意するけれども里親の場合に同意が得にくい。あるいは児童の問題の複雑化。また、児童相談所の児童福祉司が虐待対応業務に追われて、なかなか里親委託の業務に割けない。あるいは里親委託につきましての失敗を恐れるあまり、慎重になりがちというようなことが挙げられております。
 そのための対応・取組例といたしまして、広報・啓発、体験発表会などをやりましたら進んだとか、あるいは実親の理解を得やすくするような方法、里親の支援で里親を孤立化させない取組、また実施体制につきましてのもの、これにつきましては県からのアンケートでも「ガイドラインの策定」というようなこともございまして、これは今後、厚生労働省としましても里親委託のガイドラインのようなものを検討して本委員会でもまた今後ご議論をいただきたいと考えております。
 20ページでございますが、里親委託を推進するに当たりましては、里親会や児童家庭支援センター・児童相談所・児童養護施設等のさまざまな里親支援機関から支援するという形が大事ではないかということです。
 21ページは里親支援機関の予算の実施状況、22ページは委託先の状況でございます。今後は里親会や児童家庭支援センターへの委託などを増やしていく必要があろうかと思っております。23、24ページはその関係の資料でございまして、25ページは情緒障害児短期治療施設の設置推進でございます。平成20年度は32か所でございましたが、現在は37か所に増えております。これを平成26年までに47か所の目標を立てておりますが、各県にアンケートしましたところ、具体的な計画がある所は5か所ということでございまして、設置が進まない理由を幾つか掲げておりますが、このようなことにつきまして推進を図ってまいりたいと思っております。
 その次の27ページは母子生活支援施設の状況でございますが、非常にDVが増えてまいりまして、DV関係の利用者が増えているという資料でございます。30ページにつきましては、DV関係ですと県外、あるいは県内でも管外の利用が非常に増えているというものでございます。その次の31、32ページは、そのような広域入所の利用につきましては自治体間の格差が非常に大きくなっています。DVの場合は地域から離れた所で、夫が追いかけてこられないような所へというニーズが高いわけでございますが、取組状況には自治体間で格差があるという状況でございます。以上が資料1でございます。
 次に、資料2でございます。資料2は「児童福祉施設最低基準の現状」でございます。最低基準につきましてはさまざまなご意見がございまして、引上げ等の議論がございます。地方分権法の法案が今、国会に上程されておりますが、これが通過すれば地方自治体に最低基準を条例で委任することになりますので、まず、しっかりとした議論をした上でと考えております。本日は現状をだしておりますので、ご意見を賜ればと思います。
 資料2-1は現状でございますので、ご覧いただければと存じます。
 資料2-2は職員配置基準の改正経緯でございますが、児童養護施設等につきましても昭和54年に6:1に引き上げた経緯がございます。基本的に予算面の引き上げをしてから、その後基準に反映するというような経緯でございます。昭和54年以降はどうしてきたかといいますと資料2-3でございますが、その後措置費でファミリーソーシャルワーカー等さまざまな加算を設けておりまして、実際に今は最低基準よりも措置費の水準がかなり高くなってきております。そういう中で、措置費の規定の中で定められるものが最低基準に定められるものがあるかどうかということが議論のポイントではないかと思っております。
 資料2-4は「福祉施設の居室面積・定員」でございます。児童福祉施設は1人当たり3.3平方メートルというものが多いわけですが、障害者や老人施設との比較でございます。
 資料2-5は「最低基準における居室面積(1人当たり)の改正経緯」でございますが、昭和23年が当初で、平成10年に児童養護施設等が3.3平方メートルに引上げられた経緯でございます。この3.3平方メートルというのは、当時の老人の施設や身体障害者の施設が3.3平方メートルとなっていたことでその数字が定められたという経緯があるようでございますが、老人や身体障害者の施設もその後さらに引上げられているような状況にございます。
 資料2-6は「居室面積・定員の分布」を委託調査したものでございます。
 資料2-7につきましては「住生活基本計画における居住面積水準」というものが一つ参考になろうかと思っておりまして、整理したものでございます。住生活基本計画では最低居住面積と望ましい居住面積である誘導居住面積がありますが、最低居住面積につきましては、例えば2人以上の世帯では10平方メートル×世帯人数+10平方メートルというような設定がされているわけで、子どもの年齢に応じた換算なども定められているわけでございます。その裏側のページですが、これにつきましては内訳がございまして、就寝・食事等いろいろなスペースの内訳を足し上げた数字が先ほどの数字でございます。先ほどの児童施設の居室等に類するものとしては、この「就寝・等」で1人5平方メートルというものが一つ参考になるものではないかと思います。以上が最低基準関係のものでございます。
 次に、資料4の説明をさせていただきます。先般の法律改正によりまして、平成21年度より被措置児童等虐待届出等制度が実施されております。これにつきましては、その資料の最後のページに「被措置児童虐待対応の流れ(イメージ)図」を掲載しておりますけれども、虐待を受けた被措置児童あるいはそれを発見した者から届出・通告がありまして、都道府県の児童相談所あるいは児童福祉審議会でケースの調査等をし、都道府県が公表する仕組みでございますが、それにつきましての全国の実施状況を取りまとめたものでございます。かいつまんで申し上げますと、届出通告の件数は全国で214件、そのうち都道府県におきまして虐待の事実が認められたものが59件でございました。
 具体的な内容は、6ページの別紙参考1で事例の紹介をしておりますが、ここでご覧いただきますように、体罰はよくないということで各施設はやっておりますが、昔よくありましたような「つい手が出てしまう」ような職員がまだいるのではないかというところが、その中の特に目にあまるような者が挙がっているのではないかと思われます。非常に乱暴な言葉でどなりつけたり、体罰をされたと話す児童もいた。あるいは子どもから職員への暴力行為を抑制する中で足払い、馬乗りなどをしたという事例が虐待事例として挙がっております。また、心理的虐待では児童を繰り返しどなる、あるいはネグレクトで児童間の暴行を速やかに止められなかったというようなものが事例として挙がってきております。
 それから、次の資料5でございます。これは「ケア内容検討会」の検討状況でございますが、これは先般の当委員会でこのような取組が始まるということを紹介させていただいた経緯がございますが、タイムスタディを一昨年、昨年とやってまいりましたが、その中で施設ごとのばらつきが非常に大きいということが明らかになっていまして、やはり児童養護施設におけるケアの標準をつくる必要があるのではないかという中で、まずどのようなものができるかというたたき台の議論をしようということで山縣先生を委員長に、関係する幾つかの施設の方がメンバーとなりまして検討していただいております。これは今年度中にたたき台をつくりまして、来年度は新たな検討の場を立ち上げ、より幅広く意見を募りまして、児童養護施設につきましてのケアの指針といったものをつくって施設全体の質的な引き上げを図ってまいりたいと思っております。
 かいつまんだ説明でございましたが、以上でございます。

○柏女委員長
 どうもありがとうございました。意見交換の時間を確保したいということで、かいつまんで説明をしていただきました。18時30分ぐらいまで時間を取っていきたいと思っております。報告があったのが大きく二つのテーマになっておりますけれども、どうしましょうか。最初に「社会的養護の在り方の見直しに関する当面の検討課題について」、今後の方向についてご意見を頂戴して、その後、最低基準関係ということにさせていただこうと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、資料1についてご報告があった「当面の検討課題」ということで、事務局で大きく4点の充実策が必要ではないかということで現状と方向性をお示しいただいておりますけれども、これらについて、その他の論点、このようなことも必要だということも含めて結構でございますので、何かございましたら挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。

○大塩委員
 まず、「社会的養護の在り方の見直しに関する当面の課題について」のところで母子生活支援施設を取り上げていただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございます。
 先ほど高橋課長にご説明いただきましたが、最後の33ページのところを省略されましたので、皆さまご覧いただいていると思いますけれども、母子生活支援施設には虐待を受けた児童が非常に多くなってきていることがデータとして出てきております。
 それから、最低基準にも絡んでくるのですけれども、母子生活支援施設は児童養護施設や乳児院等の生活型施設とは異なり、生活と地域との間にあるような中間的な施設ですから、ケアの基準というものが明確になっていないまま、現実的には支援を必要としていらっしゃる方があるので家族支援を提供しているのが現状です。しかしながら、現在では昨年度発表されました「子どもの貧困率」の中でも母子家庭の貧困率は54.3%と非常に高い割合ですし、さらに母子生活支援施設利用者の方々の収入は112万5,000円と低い状態で生活をしていらっしゃるというのが現状です。国におかれましては、日本の母子世帯の方たちにどういう支援を提供して、そこで育っている子どもたちの育ちをどのような形で保障していくかということを、きちんと明確なビジョンを提供していただきたいということを切にお願いしたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは木ノ内委員、お願いします。

○木ノ内委員
 資料1について、幾つかお願いがあるのですが、まず全体を通して里親制度の充実に関心が向けられているのは、とてもありがたいと思っています。1ページ目ですけれども、登録里親数はかなり多くて約8,000人、委託里親は3,000人ぐらいしかいないということですけれども、ということは未委託里親が非常に多いのですね。未委託里親の中身を知りたいと思っております。一つは都道府県別にどのような状況なのだろうかということです。委託可能な里親がどれぐらいいるのだろうか。例えば親の介護で今は待ってくれという場合もありますし、養子縁組をしたけれども、里親会に入っていたので里親登録をそのまま続けている。あるいは高齢なのだけれども里親登録をしている。つながっていたいということで。「休眠里親」という言葉が良いのかどうかはわかりませんが、未委託の中にはさまざまなタイプがあるので、今どれぐらいの里親が待っているのかという部分を少しはっきりしていただけると委託が進むのではないかと思っております。
 それから、3ページ目です。平成20年度は障害等のある子どもたちが18%も里親の元にも来ているということで、実は不調ケースといいますか、里親に預けられても、残念ながら養育が困難になってしまったケースが多いのですけれども、これについてもできれば実態を調べていただけないかと思っております。事例そのものは児童相談所にあるのでしょうけれども、里親の中に共有されにくいものですから、できれば不調のケースをきちんと情報開示というのかどうかはわかりませんが、知りたいと思っております。里親支援の問題とも絡むと思います。
 4ページ目に障害のある子どもの増加ということで出ていますけれども、障害を持った子どものきちんとした里親としての理解であるとか、あるいは養育していく上での留意点のようなことをまとめていただけるとありがたい。里親研修に反映させたり、あるいは里親支援の仕方にも影響があるだろうと思います。一方では通院などもありますし、非行もありますので、社会的な逸脱行為も非常にある。警察のお世話になったりというケースもあって、慣れない里親ですとそれだけでもびっくりすることがあるものですから、できるだけこの辺のところで養育の留意点をきちんと研修などでも反映させていただきたいと思っております。
 長くなってすみません。12ページに外国の例が載っております。もちろん言うまでもなく日本は里親委託率が低いわけですけれども、この中に親族里親というのが他の国では入っていると思いますが、日本では非常にわずかです。そのような意味では親族里親を増やさないと、多分どこの国でも養育里親だけでは、資源足り得ないといいますか、できるだけもっと家庭的養護を増やすのであれば親族里親もという動きがありますので、日本でも親族里親をできるだけ拡大していくようなことを考えていただきたいと思います。
 国連のガイドラインを見ますと、家庭的養護に養子縁組が入っているのです。養子縁組というのは果たして日本でいう養子縁組なのか。一概に他の国と比べられないのかもしれないのですけれども、家庭的養護に養子縁組を含むような、制度としては切り離したばかりですので、また入れてしまうというのはおかしいかもしれませんが、養子縁組も社会的養護の非常に安定した、安心できる子どもの養育につながるわけですから、何らかの形で連携がとれるようなことを考えていただきたいと思っております。
 13ページに地域ごとの里親委託率を照会していただいています。本当に都道府県によってさまざまだと思いますけれども、聞くところによると個別に都道府県ごとに目標を、国としては16%ですけれども、それぞれ決めているのです。都道府県別の目標についても、開示していただけるとありがたいと思います。
 19ページの「里親委託を推進する上での課題と取組」ということで、後半には里親委託のガイドラインを策定しようという話もありまして、とてもありがたいと思っております。ぜひ、早急にお願いしたいと思います。養育里親が社会的養護を担っていくのだというその辺の認識は弱い。「制度は変わった。養子縁組とは切り離された」程度の認識しかなくて、社会的養護を担っていくのだというのが、里親自身にもまだきちんとないのです。それから実親の方にも先ほどもありましたけれども、里親委託を実親が許してくれないということもありますが、社会的養護としてきちんと位置付ければ、実親にも説得しやすいですし、社会的な認知という意味でも、できるだけ社会的な養護を担っていくのだという、里親のイメージを一新するような意識改革というか、そういったことをぜひやっていただけないかと思っています。
 それからこの中でこれは都道府県へのアンケートを取られたようですけれども、もしこういったガイドラインをつくられるのであれば、できれば里親の声も反映させていただきたい。例えば委託措置して1年間くらいが非常に課題を抱えるのです。そういった問題。あるいは措置解除後の問題が非常にあるのですけれども、こういった里親の声もぜひガイドラインに反映させていただけないかと思っております。
 それから21ページに出ています里親支援機関。これは来年度から始まるわけですけれども、ぜひ里親の実情をよく知っているところにお願いしたいと思っていますし、もしそうではないところに里親支援を委託するような場合には、ぜひ里親OBのような形、里親を理解している人たちがここで支援に当たるということも極力お願いしたいと思っております。
 先ほどの課題への取組の中で「里親会の強化」ということで、19ページ里親委託を推進する取組の中で、里親会というのは本来は当事者団体ですので、当事者に任せてよいということだろうと思いますが、体質は非常に脆弱で、アンケートをとりましたら7割の里親会が児童相談所や社会福祉協議会の中に事務所を置いて、そこの職員がやっているという状況ですので、できれば里親会をしっかりと、里親支援機関が今後できていく中で、里親会支援をお願いしたいと思っております。大体このようなことで、随分幾つにもなりましたけれども、よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。データに関するところはご要望がございましたが、可能な範囲で、次回以降でも提示していただければと思います。一つ一つご回答をいただくと時間がなくなってしまいますので、恐縮ですけれど、多くのご意見を頂戴したいと思いますので、続けていきたいと思います。
 藤野委員、高田委員、庄司委員、今田委員、大島委員の順でお願いしたいと思います。

○藤野委員
 ありがとうございます。時間がないので細々としたことは言いませんけれども、今回の提案はかなり突っ込んだ提案でイメージも非常にはっきりしていると思います。ただ、その中で財源の問題で苦労されているのはわかるのですけれども、例えば6:1の配置基準。私は1:24、1人の職員で24人見なさいという今の最低基準が動かないと、とにかく進まない。一応全国児童養護施設協議会でこの間議論してきたもので、小規模化プロジェクトの提言というものと、児童養護施設の在り方検討プロジェクトの提言というのを出しております。その二つの提言と今の説明された方向は基本的には沿っているとは思います。しかし、現実になるとかなりしんどいということだと思います。それでこの子どもの権利プロジェクト、在り方検討の方では4~13ページにわたって施設体系の在り方ということで、例えば児童養護施設はどうすべきかというのもありますけれども、乳児院とのかかわりについて、情緒障害児短期治療施設とのかかわりについて、それから里親と養護との連携強化の在り方ということ。それと地域子育て支援センター、地域福祉の拠点としてということなど、かなり勝手に書いているものですから、他の種別の方では気に障るようなことも書かれていると思いますけれども、これについては議論をこれからしていきたい。すり合わせもしていきたいと思いますので、問題提起として、ぜひご検討ください。
 それともう一つは、最後の方に最低基準の改定についての具体的な提案を書いておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。それと小規模化プロジェクトの方は、特に具体的には46ページのところに、養育単位の小規模化移行推進事業の提案ということで、具体的な提案をしております。その点については例えば今回配布の、社会的養護の在り方の見直しに関する当面の課題についての8ページの児童養護施設の形態の今後の在り方ということで、小規模化の推進と里親、ファミリーホームの関連ということで図式化されておりますけれども、そういう基本的な方向については我々がずっと言い続けてきたことですが、ただ例えば今、小規模化を進めているところにしても、現実に非常に難しい子どもがどんどん入ってきて、それに対して住み込み断続のようなことでしかできないということで、そうなると必然若い職員しか対応できない。そのような中でもうもたないということで、前にも言いましたけれども、小舎から大舎に逆戻りするというか、そういう所もどんどん出てきてしまっているので、その点については1:24の職員配置を何とかしてもらわないと進まないと思います。
 今日提案されたことについては、組織の内部でもう少し意思統一したり、社会的養護の他の、特に里親のところとの擦り合わせを今後はしていきたいと思っています。検討させていただきます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは高田委員、お願いいたします。

○高田委員
 情緒障害児短期治療施設について取り上げていただきまして、大変ありがとうございます。厚生労働省で設置が進まない理由を挙げていただいて、これも感謝しております。この中でお話しさせていただきたいのは、まず医師の問題です。子どもの精神科の医師が地方の偏在があったり日本中で足りない。これは家庭福祉課だけで解決できる問題ではなくて、子どもの心の診療拠点病院事業や、児童相談所の中にも嘱託医がまだ配置されていないことも併せますと、多くの課をまたいで、児童精神科医が働ける職場を作る必要がある。はっきり申し上げて情緒障害児短期治療施設で常勤医を雇うというのはかなり困難でして、いろいろなところと兼務していただく、児童相談所や子どもの心の診療拠点病院で兼務していただくという形で、とにかく医師の確保を進めていただけるとありがたいと思っております。
 それから昨今、発達障害が疑われる子どもたちが大変増えてきているというのはご存じのとおりだと思いますが、学校との関係、特に特別支援教育との関連は大変重要になってきております。学校の調整が困難という子どもの理由もそこにあるのですが、これは省をまたいで文部科学省と厚生労働省で何か連携して働きかけていただければという思いがあります。
 それから、情緒障害児短期治療施設に限らず児童養護施設も乳児院もそうかもしれないのですけれども、社会的養護全体として家庭的養護や専門化ということが今、謳われているわけですけれども、そのためには何よりも職員が長く勤められる環境をつくらなければ、専門化も出きない。数年で養育者の変わる家庭はあり得ないわけですから、なぜバーンアウトするかなどというところから、どういう施策を打っていくかという視点もぜひ取り入れていただければと思います。以上です。

○柏女委員長
 どうもありがとうございました。他課多局他省にまたがる問題を解決していく必要もあるのではないかという貴重なご提言だったと思います。ありがとうございました。
 次はどなたでしたか。庄司委員、お願いします。

○庄司委員
 この中で議論されていないのが児童相談所のことで、児童相談所の充実というのは不可欠だと思います。ですから、各国のソーシャルワーカーの持ちケース数と日本を比較したような一覧がほしいと思います。里親支援機関ができても、児童相談所が手を引けるわけではないと思います。
 それから、抜けているのが一時保護所の問題で、児童養護施設に準ずる形で良いのか。むしろ初めて家庭から離れて、しかもそこでアセスメントしなければいけない非常に重要な機関ですので、一時保護所の充実も考えていただきたいと思います。
 藤野委員のお話がありましたが、施設の小規模化、特に地域小規模児童養護施設は望ましいと思いますが、今はかなりスタッフの確認が困難になってきていると思います。定員が6名でよいのか。職員が3名でよいのか。地域小規模の在り方をもう1回見直す必要があるのではないかと思います。
 それから、里親制度を推進するという方向が明確に示されたと思いますが、それを進めるためには、もう一つの受け皿である施設に対する働きかけが必要で、例えば暫定定員制度をなくして、例えば5年ごとくらいに定員そのものを見直していく。そういったことで施設の規模を小さくしていけないのか。あるいは里親委託数が多い施設には補助金を出すなど、施設にインセンティブを与えないと施設から里親にとはいかないのではないかと思います。これは全く個人的な見解ですけれども、施設は将来的には「入所機能を持つ子育て支援機関」となるのが良いのではないかと思いますけれども、そういった意味で里親支援機関が施設にあってももちろん良いと思います。里親支援というのは里親が満足するような支援ではなくて、里親養育がうまくいくようにするために里親を支援するということですので、現状では里親支援機関はいろいろなところに置くのが良いのではないかと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。では今田委員、お願いいたします。

○今田委員
 小規模化のところでございますが、乳児院はもともと小規模のところが多くて、定員20人以下が40%くらいあるというところでございますので、施設としての小規模化はかなり他の施設とは異なるのではないかということが一つございます。もう一つ、その中で養育としての小規模グループケアということになってきますと、6ページの中にも乳児院のことが書いてありますが、難しい面があろうかと思います。一番大きな問題はマンパワーの問題だと思いますが、小規模グループケアというのは実施要綱からすると、乳児院において虐待を受けるなどして心に深い傷を持つ子どものうち、手厚いケアを要する子どもという形での前書きがございます。小規模グループケアを進める上で、こういった条件がなくなって、すべての子どもに家庭的な養育ということをいえば、これはこういった条件ではなくて、乳児院にいる母子分離がなされている子どもたちすべてに必要だと思いますので、そういったことが目的や対象となる子どもの条件がなくなるのだと解釈してよろしいのか。そうなった場合に今の1.7:1というケアで恐らくは難しいのではないだろうか。我々は最低1:1くらいはどうしても小規模化を進める上では必要だろうと考えております。実際に我々の調査によりますと、夜間に1人の職員が見ている子どもの数は平均11人を越えております。一番多いところでは18.5人ということでございますし、一番良いところで4.5人と大きな差がございます。従って、夜間の乳児ということになりますと、いろいろなリスクがございますので、こういったことも踏まえた形で、マンパワーの最低基準に通じる話でございますけれども、そういった見直しがどうしても必要になってくるのではないだろうかと考えております。
 先ほど、小児精神科医の話が出ましたけれども、乳児院でもそういった専門性のあるドクターに診てもらいたい子どもが増えているということが一つと、もう一つは保護者の方々の入所理由としては保護者の精神疾患というのが一番多くなってきているわけです。従って、保護者との対応で非常にスタッフの疲弊が起こってまいります。そういったところへ精神科医のアドバイスがより重要になってきていると思いますので、こういった精神科医の非常勤化をきちんとしていただくと、かなりスタッフに疲弊感がなくなるのではないだろうかと感じております。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。続いて大島委員、お願いいたします。

○大島委員
 全国自立援助ホームの大島です。これからの社会的養護の在り方を論ずるときに全体的な問題になると思いますが、社会的養護の利用者は福祉サービスの受益者ということになるのです。それで当然、収入に応じた徴収金が課せられるということになるわけですけれども、今までの救貧的な考えだけではなくて、虐待を疑われる家庭から子どもを安全な場所に切り離すということがあったときに、親権者が受益者として徴収金を課すということが、非常に児童相談所との関係が複雑というか、難しい関係になってしまうということがあります。私たち自立援助ホームは本人は社会人という扱いですから、本人の前年度の収入を確認して徴収金の認定、ほとんどゼロ認定ですけれども、20歳までおりますので、前年度の収入がゼロという子どもばかりではないのです。ただ、失業して、いる場所がなくて、本当にお金も使い果たして、もちろん自立援助ホームを利用するということは本人の申請になりますけれども、こういう子どもから国は金を取るのかという心理的なものもあります。自立援助ホームは保護者いわゆる親権者の負担は生じないという形になりますけれども、私も児童相談所で経験しましたけれども、親の同意を得ることが非常に難しい場合が出てくるのです。さらにそこに費用が生じる。かなりの徴収金が認定されるような収入がある世帯からも、虐待ですとか切り離さなければならない問題が出てくる可能性が多いです。これからの社会的養護は今までのものと少し違った意味で社会に貢献しなければいけないものを持っているわけですから、利用者が福祉サービスを利用して、それなりの負担をするというのは当然なことだと思うし、わかりますが、どこかで調整できるような制度を持っておいた方が良いのではないかと思って、発言させていただいています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。まだその他にもたくさんご意見はあるだろうと思いますし、ご発言を進めていきたいと思いますが、二つ目の最低基準の問題もございますので、既に最低基準の議論も出てきていますので、一括して進めていきたいと思います。ただ、そんなに長くはできないと思いますので、あと10分ほどご意見を頂戴できればと思います。
 もう一つ、ご意見の中で当面の検討課題の四つの方向についての恐らく今までの議論の中ではこの方向については概ね妥当だということでご意見をいただいているのではないかと思いますが、それについてのご意見も、もしあれば出していただければと思います。では西澤委員、お願いいたします。

○西澤委員
 今日は何を言ってもよいという感じなので、国のグランドデザインとしてはとりあえず今は最低基準に関してはどうするかわからない。ただ、小規模化を誘導していこうという方向性だと読めます。その小規模化を誘導していくことに関しては、藤野委員も言われたように大体大きなところではオーケーだと思いますが、気になっているのは参考資料に出ている地域小規模型児童養護施設が2:1の人員配置になっていますが、実質上2.5:1くらいではないかと思います。あるいは小規模グループケアが2.6:1という数字だということで、こちらに誘導していこうということがあるわけですが、実際上どの程度これは前のタイムスタディから気になっているというか皆の課題であるのは、どの程度の小規模で人員6人あるいは8人に対して人を配置すればある程度グッドイナフなケアができるのかの辺りがないままに、この数字が。もちろんこちらに向かっていくのは良いことだと思いますが、その辺のある程度目標数値を算定する必要があると思います。職員の宿直の状況や労働基準法に照らしてみると、大体6人に対して5人という数字が出てくるということも、藤野委員から教えてもらったのではないかと思います。4.8:6、大体それぐらいの数字になるだろうということもあります。
 もう一つ気になっているのが、未だに宿直者だという。それはこちらとリンクするかもしれませんが、被措置児童等虐待届出制度の実施状況は、これ自体が私は信用できなくて、私の知っている平成21年度の虐待が発生した県でゼロになっているというのはどうしてだろう。どことは言いません。○○道とか、どことは言いませんが、あれっと思って。これはどの程度の水準なのだろうというのが一つは疑わしい部分があるのですが、発生した時間帯がいつごろなのだろうかということなのです。つまり未だに児童養護施設は宿直、実際職員は寝ていませんけれども、1、2時間しか睡眠がとれていませんが、でも宿直なのです。その宿直の時間帯に子ども間暴力も含めてですが結構事件は起こっているのではないか。そういうことに対応していくためには宿直ではなくて夜勤者を置くべきではないかと思いますし、そういったことを含めて、もちろん財源の問題もおありでしょうから一足飛びにということではないですが、一定のグランドデザインのレベルでは書いておく必要があるのではないか。実際上どれだけのワーカーがいればある程度グッドイナフなケアができるのかも非常に難しい課題ではあるのですが、出していかないとまずいのではないかと思っています。
 先ほど、木ノ内委員が言われた養子縁組に関しても、私も基本的にはその考えに賛成です。ただ、国連の方が最初は養子縁組ではなくて里親なのだということをずっと言っていて、それを変えていった経過があって、それは要するに福祉としての里親が徹底されて次の段階へということ。日本で今それをやってしまうと、すぐに親のための養子縁組という方向に流れる可能性もあるので、その辺は注意しながら見ていかなければいけないのではないかと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。藤井委員、お願いします。

○藤井委員
 どこで発言するか迷うような中身であって、少し遠慮した発言になると思いますが、今回、専門委員会提案資料ということで、児童家庭支援センターの立場で提案させていただく中身がございます。社会的養護における要支援度認定制度試案でございますが、それを導入できないだろうか。あるいは活用できないだろうかという提案でございます。中身的にはじっくりとしたイメージですから、現実的に本当に使えるかどうかというところまでの検討はまだできていない状況でございますが、議論の中身が今回の資料1の検討課題等にあります中身でいきますと、かなり具体的に社会的養護の検討課題が、施設をどうするかというような論点になっていくのではないかと思います。
 ただ、社会的養護の枠組というのは、そもそも要支援児童等要保護児童で構成されているのではないか。児童家庭支援センターは全国で80か所弱ですが、要支援児童、在宅のケースを扱って、いろいろな相談を受け、場合によっては施設での保護につなげるとか、実際には地域を窓口にしてやっているという状況がございます。そういう意味で視点を少し広く持っていただいて、社会的養護の枠組全体を広くとらえる必要があるのではないかと思います。実際に大変なケースで考えますと、この子どものこの問題にどう対応するかという議論です。そこが本質的に必要なニーズにどう応えていくかという社会的養護の質と量を確保するための重要なポイントだろうと思います。例えば在宅でいえば生まれたばかりの赤ん坊をどのようにお風呂で洗ってよいかわからず、湯船に泳がせてしまうというケースであったり、実際に危ないといわれるようなケースは幾つもあるわけです。施設の中でも大変といわれる子どもたちが現実に存在している。この子どもたちにどう対応すればよいかというのは切実な課題だと思っています。例えば自傷を繰り返してしまう子どもたちの命をどこまで守れるか。この前高校3年生の女子が大量服薬をして自殺を図ったといういきさつがございました。なぜ自殺未遂をやったのかを聞いたところ、あまり理由はないけれども何となくやったのだくらいしか表現できないのです。その命を守るためにどこまで我々は様子を見ていけばよいのか。ケアすればよいのか。それから性的な問題も相変わらず起こってしまうという現状があります。子ども同士のものがどのように防げるのか。むしろケアではなく、監視体制を強めなければそういう問題は防ぐことができないような現状もあると思います。実際に大変で1人の子どもをケアするのに、通常普通の健全な発達をしている子どもであれば1人でカウントできるものが、問題を抱えている、虐待を受けているから始まるいろいろな要因が1人の子どもではなくて3人分4人分の手間がかかる子どもが現実的にいるわけです。そういう子どもたちのケアをどのように保障すればよいのかというところが一番大事な論点ではないかと思っています。それを詳しくどこまできちんと判定できるのかは疑問ですけれども、要支援度、どれだけの支援、ニーズがあるのかを明らかにしていくことが従来は論点としては挙がってこなかったものですから、老人や障害の方をそのまま適用してもうまくいかないと思いますけれども、社会的養護の中でそういうシステムを新たにつくるということをぜひ検討いただければと思って、提案させていただきました。

○柏女委員長
 どうもありがとうございました。すぐに実現できるということではありませんけれども、中長期的なテーマとしては考えておく必要があると思います。榊原委員、奥山委員、山縣委員。

○榊原委員
 私もどこで発言すればよいのか躊躇しながらではあるのですが、今回出していただいた政府の資料、家庭的養護推進のために養護施設の小規模化、高機能化、施設機能の地域分散化を推進しようという流れであるとか、里親委託を推進しよう、母子生活支援施設により強い機能・役割を持ってもらおうという流れは支持するところではあるのですけれども、さらに今なぜあらためてこういった議論をし直しているのかということを視点を引いて考えておく必要もあると思っています。
 というのは、こうした議論をあらためてこのタイミングで私たちがしているのは、政権交代があって、子ども・子育てに新しいシステムを導入しようという議論が起きている。つまり、これまで児童福祉の世界で長年吹いていなかった風が吹き込み始めた。この機に、では社会的養護では何が必要なのかが問われているからだと理解しています。そのときに議論する仕方として、旧来の制度や類型の中で積み上げ型の議論をしているだけでは恐らく足りないと思っています。これまでなかったような足りなかったものをもう少し全体の体系として議論しようとか、子どもにもっとお金をかけるということもあるのではないかという風が吹いているという前提でのことですけれども、「子ども・子育て新システム」で私が一番意味があると思っているのは、すべての子ども、すべての子育て家庭に必要な支援を届けるという部分と、切れ目ない支援を行っていく、この2点だと思います。これが日本の児童福祉に非常に欠けていたところ、古かったところです。
 では、すべての子どもへの支援と切れ目ない支援をどうやって充実していくかというと、その要になるのはこの社会的養護のところである。それが「子ども・子育て新システム」ではまだ十分に議論ができていないと思っているので、ここから発信していくことは、とても重要であると理解しています。それぞれ今施設のご専門の方たちからのご指摘が縷々あって、それについて私も同じような思いですけれども、これまでの議論や今の児童福祉、子どものシステムの中で非常に欠けているのは、とりわけ子育ての入口と出口の部分だと感じています。入り口とは何か。つまり、妊娠の極めて初期の段階、望まない妊娠をしたような人たち。自分が妊娠し子育てをしていこうという気持ちになれない人たちの子育てをどう支援するのかというところが児童福祉に入っていないところ。また、出口の方でいけば、子どもたちが自立して社会の中で自分の場を得て生き抜いていく力をきちんと発揮できるようにする。それが児童福祉のゴールであるはずなのに、そこをきちんと見届けてきていなかった。例えば最近耳にしたのが、年越し派遣村という1、2年前に私もそこに取材に行きましたが、そこの年越し派遣村に来ていた人たちの中でかなりの割合が施設出身者の人だったという話を聞きます。また、都内のホームレスの人たちの調査をした民間の実態調査の数字で3割4割を施設出身者の若者が占めているとも聞きます。これはつまり児童福祉でこれまでお金もかけ、専門性も高め、注ぎ込んできたエネルギーが実は子どもたちの自立という形できちんと結実していたのかというところに大きな疑問を突きつけられているとも見れるのではないか。そこの本当の意味の児童福祉の実効性というか、成果といったところもきちんと見ながら、システム全体を一体何が足りないのかという議論が必要ではないかと思っています。
 そういったときに、例えばこのような場に、本来であれば児童福祉の一番の受益者でありまたその利用者、一番サービスの何が足りないのか。何が良かったのかということを最も知っている、例えば施設の出身者の人であるとか児童福祉の中で生き抜いてきた子どもたちの代表の人の声なども本当は必要ではないか。介護や年金や障害者の人たちの施策の議論の場にはとっくに利用者代表という方が入っているわけです。このような場にもサービス提供側の代表の方だけではなく、そのような当事者の方にも入っていただいて議論をしていくという取組も求められていると思いますし、これまでの切れ目ない子育て支援の中で欠けていたものは何なのかといったところからの問題提起も、今回のここの中にまだ入りきれていないところもあるのではないのか。そこも「子ども・子育て新システム」の議論を進めていく中では、ぜひ拾っていってほしいと思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございます。「子ども・子育て新システム」の議論が少し出てきましたので、今お二人の手が挙がっていたので、お二人にご発言いただいて、「子ども・子育て新システム」に絡めてでもよろしいですか。それでは吉田委員までご発言いただいた上で、「子ども・子育て新システム」に議論を移していきたいと思います。では山縣委員、お願いします。

○山縣委員
 提示された四つの課題と案に、あるいは直に示された方向は基本的に賛成ですので、そのことについては特に言いません。施設に関しても各施設代表の方が言われましたので、これも言いません。併せて提出された資料について若干委員からも意見が出ておりますが、私からは3点だけ意見を言わせていただきたいと思います。
 一つは、なぜか久しぶりに西澤委員と意見が一致してしまったのですが、被措置児童等虐待のところです。西澤委員が言われたように、少し少ないのではないかという感じなのです。届出は多い方が良い。認定は少ない方が良いというのが求められる姿ではないか。疑わしきものはどんどん出てきて、しかし実態を見たらそうではなかったですね、という姿になりきれていない理由を探さなければいけないのではないかという気がしています。施設の内部に問題があるのか。施設と届出先である県に問題があるのか。県もこの届出先でわかるように児童相談所と県がまた違いますから、児童相談所と県の間の関係に問題があるのか。さらに最終的には県と国の間に問題があるのか。どこかにきっと問題があるのだろう、出しづらさがあるのだろうと思います。その辺をぜひ継続的に検証していく必要があるのではないかと思います。
 2点目は、庄司委員から少しあったのですが、児童相談所の話です。何か事件があるたびに児童相談所の強化が言われるのですが、日本の児童相談所はあまりにも抱え込みすぎているのではないかという気が一方でしていまして、特に重大事件のたびに、ここ数年の傾向で言うと、どんどん警察的機能の強化が求められ過ぎてしまっているような気がするのです。残念ながら私の地元でありました大阪市のネグレクト死亡事件でも、「なぜ臨検をしなかったのだ」「鍵を壊してでも児童相談所が入れたはずだ」という論調がマスコミ等からどんどん出てきて、私はそんなことは無理だというひたすら弱気の立場でしたが、児童相談所を警察化していくような方向なのか、警察的機能については裁判所なり警察そのものにもう少し担っていただく方がいいのかということです。当然ですが、子どもの命が明らかに危ないと分かるときなど、本当に現場の緊急性がある場合にはそれも仕方がないと思います。社会の論調をみると、児童相談所の高機能化ではなくて単純な多機能化・抱え込みということになってしまうのではないかということです。
 最後ですが、これは前回ちらっと言って、すっと流れてしまった件です。柏女委員長を座長として熊本県でまとめられた、「こうのとりのゆりかご」の件です。「こうのとりのゆりかご」自体の賛成・反対は置いときまして、特別養子縁組が良いという理念を持ってつくられたにもかかわらず、あそこからはっきりわかったことは社会的養護の仕組みがかかわると特別養子縁組が非常に遅れてしまうことだと思います。「こうのとりのゆりかご」に賛成・反対ということではなくて、なぜ特別養子縁組が日本では進みにくいのかということについては、「こうのとりのゆりかご」是非論を越えて議論できるのではないかと思っています。特別養子縁組は、既に30年近い歴史があるわけですので1回振り返って、全体の流れとして里親さらにその延長上に養子縁組があるとするならば、そこの議論もどこかでやる必要があると思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。最後に事務局から総括的にご意見を頂戴したいと思いますので、今の被措置児童等虐待の件数のことも含めて、ぜひ事務局から最後にいただければと思います。では奥山委員、次に吉田委員。

○奥山委員
 私の方も実は(4)その他が中心なので発言を待っていました。最初のところから幾つかの意見を全部まとめてお話しできればと思いますが、皆さまにも同じことを大分おっしゃっていただいたので、少しで済むと思います。当面の検討課題を出していただいたので、「当面」ということは全体のグランドビジョンがあった中のどこかが当面だと思います。そのグランドビジョンがはっきりしていないことの問題が皆さまがいらいらしている部分ではないかと思います。その中で、先ほどから出ているように虐待だけとってみても、予防はこちらに置いておいたとしても、支援の底辺である在宅支援という名のもとの見守りと、分離という頂点の部分しかない。そこの間をつなぐことが全然できていないことが非常に大きな課題ではないかと思っていますので、そこも一つ考えておかなければいけないと思います。
 それから、里親委託の推進というのは私たちが進めてきたことで、ぜひやっていきたいことではあるのですが、実際に私どもの病院で10例程虐待が疑われて亡くなった子どもがいますがそのうち2例が里親ケースです。里親支援を相当入れていかないと危険性もあるということは十分認識していなければいけない問題ではないかと思っています。多層的に推進していかないと、一つのところだけ突っ走っていっても難しい部分があるのではないかと思っています。
 次の意見にいく前にお答えではないのですけれども、児童精神科医が少ないとのご発言がありました。そのとおりですけれども児童精神科医あるいは小児精神科医ができない背景には、診療報酬の少なさがあります。さらに情緒障害児短期治療施設に勤めたからといって収入がとても少ないというところで人が集まらないということも、一つ現実的な問題はあるだろうと思います。ただ、子どもの心の診療拠点病院推進事業をやってみて、十数か所の拠点病院の中でかなりのところが社会的養護に目が向き始めたのです。ここが一番問題だということが子どもの心の診療医にかなりわかるようになって出前サービスなどをし始めた拠点病院が増えてきていますので、皆ここにいる子どもたちを何とかしたいという思いは強くなってきているのではないかとは思います。ただし、これは本当に細々としたところなので、広げていく手立ては必要だろうと思います。
 もう一つは、先ほどから出ています被措置児童等虐待の件です。8ページの児童福祉法第33条の17に「国は」というのがあって事例の分析をせよと書いてあるのですが、事例の分析に至っていないのではないか。これに関してはきちんと死亡事例検証と同じような事例分析をやるべきですし、データベースをきちんとつくって毎年どう変化していっているのか。そしてきちんとクロスがかけられて、どういうことがあるとどういう虐待が起きるのかという分析もきちんとやるようなサイエンティフィックな事例分析をきちんとやっていただきたいと思います。
 「ケア内容の検討会」に関してですが、タイムスタディで私たちの感覚と同じような結果が全然出ていない。それを何とかしなければという趣旨での検討会と考えますが、ケア内容の到達目標などを明確にしてケアをあるという問題とタイムスタディの問題は切り離して考えるべきだと思います。タイムスタディのところから何とか結果を出そうと推し進めてこられましたが、私たちとしてはエビデンスが出るのではないかと期待させていただいたのが全然駄目という状態があったわけですから、もう一度初心に戻って本当にケアに何が必要なのか。そして今、何が問題なのかを別の角度からきちんと検討していった方が良いのではないかと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは最後に吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員
 私が言わせていただこうと思ったことを奥山委員がほぼ言ってくださいましたので、ごく簡単に進めたいと思います。最初に「当面の」というところは全く同感でありまして、なぜこの4点なのか。全体との関係があると思います。例えば施設の小規模化の問題で出てきましたけれども、同時に先ほどお話がありましたバーンアウトの問題や専門性の問題がありますから、そういうグランドデザイン中でのここが特筆すべきところなのだというところが見えてこなければ説得力が弱いのではないかという点が一つ。
 それから、もう一つは被措置児童等虐待。これも同じであります。私としてはこの問題に関しては、今回は数字の提示だけですけれども、分析して対応策まで出してほしいと思います。例えば分析に関して言えば、届出・通告者の辺りは高齢者の施設内虐待とは大分違うようですので、その点で高齢者の施設内虐待と児童の施設内虐待の違いは、構造的というものもあると思います。その辺まで踏み込んだ分析を。そのためには虐待と同じような検証委員会が必要だろうと思っています。
 そして、この調査をするに当たって、自治体の間で随分差があるようです。必ずしも施設の数だけでこの数字の違いが出てくるとは思えないとすれば、調査方法であったり、その理解の仕方などについても同時に検証していく必要があるだろうし、さらに調査項目の中に「どのように対応したか」、単に報告書や改善計画を出したというのではなくて、例えば「児童に対して」というのも入っていますが、具体的にどういうケアをしたかというところまで出していただくと他の自治体にとっても参考になると思いますので、そうした面を含めての検証が必要だろうということです。

○柏女委員長
 ありがとうございました。まだご意見がたくさんあるのではないかと思いますけれども、資料1議題(1)「社会的養護の在り方の見直しに関する当面の検討課題について」は、今のこの四つについては概ねこの方向でということはご了解いただいたのではないかと思います。ただ、それ以外にもう少しグランドデザインそのものを議論すべきではないかといった強い意見があります。私もそれはそう思っていますが、そのグランドデザインと深くかかわる新システムで、いわば保育子育て支援関係のグランドデザインが今描かれようとしておりますので、そこに社会的養護がどうかかわるのか。あるいはどういう関係になるのか。そのことも少し議論をしておきたいと思いますので、三つ目の議題になります「子ども・子育て新システムの検討状況について」、事務局から説明をいただいた上で、ご意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 それでは資料3-1、3-2でございます。資料3-1が今の「子ども・子育て新システム」の検討状況でございます。お開きいただきますと、1ページでございますが、「子ども・子育て新システム」の検討は内閣府の下に「子ども・子育て新システム検討会議」がご覧のような各省大臣の体制でございまして、その下に作業グループ。内閣副大臣の下に関係副大臣、政務官等体制。その下に基本制度ワーキングチーム、幼保一体化ワーキングチーム、こども指針(仮称)ワーキングチームという三つのワーキングが進んでいるところでございます。
 2ページ以降は「子ども・子育て新システム」の基本制度案要綱、6月に出たものでございます。すべての子ども・子育てを社会的に全体で支援するという理念の下に行われております。
 3ページに制度設計のイメージ図が出ておりますが、子ども・子育て勘定また市町村(基礎自治体)での財源の一元化という中で行っていくようなイメージ。またここの都道府県というところにありますが、社会的養護の部分は都道府県事務が多いので、それについての検討という位置付けでございます。
 「給付のイメージ」のところは、すべての子ども・子育て家庭を支援する給付、両立支援・保育・幼児ということで、幼保一体教育が今一番議論を中核的にされているわけでございますが、左側にあります市町村事業、市町村に係る部分のところには要保護児童関連の部分も含まれているものであります。
 その次の5ページ、6ページにもう少し細かいものが出ておりますが、7ページにありますように、これは6月の基本制度案要綱では都道府県が行う市町村支援事業という中に「社会的養護をはじめ都道府県事業として位置付けることが適当であると考えられる事業について、新システムに位置付けることを検討する」。このような項目がございます。
 また、8ページにありますように基本制度ワーキングでも社会的養護の拡充が重要であるという委員からのご意見が出ていると承知しております。これが今の検討状況でございます。
 それから資料3-2でございますが、これは補足的資料といたしまして「社会的養護の仕組みの特徴」を簡潔にまとめてみました。1ページ目のところは措置制度で都道府県、児童相談所中心で行われている点。また、2ページのところ、利用契約方式に馴染まない社会的養護で親がいない、親が虐待を行っているなどで親による利用契約ができないため行政措置決定をとっている。あるいは専門的なチームで支援をする必要、また施設の数が少なく公域的に利用される点で、公域的な実施主体で公的責任で行うなどの特色を整理しています。また、計画的な推進という面では3ページにありますように、子ども・子育てビジョン、あるいは次世代育成支援法の国・都道府県・市町村の各段階における子育て施策の計画の中に社会的養護の位置付けもされておりまして、例えば4ページにありますように子ども・子育てビジョンの数値目標などもございます。また、5ページでございますが、市町村施策というところとの連携でございますが、要保護児童対策地域協議会の中で市町村の中での子ども・子育て。その中でも要保護児童の通告でございますとか、関係機関の連携などの仕組み、また6ページには子育て短期支援事業というものがあるということを簡単に整理しております。資料の説明は以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは、この「子ども・子育て新システム」と社会的養護との関係について、委員の皆さまからご意見を頂戴できればと思います。奥山委員、お願いします。

○奥山委員
 先ほど、榊原委員からも出たのですけれども、一般的な子育てと社会的養護のつながり・連続性というところをもう少し見ておく必要があるのではないかと思います。非常に危惧しているのは、幼保一元化が幼保一体化になり、幼保一体化が進んでいくのですけれども、別にそれが悪いと言っているわけではないのですが、例えば児童虐待防止法の中で虐待の子どもが保育園に優先的に入れるとか、要するに社会的養護の一端を保育園としても担ってきたわけです。保育園の中で先ほども出ていた子育てが難しい方々への支援もやってきたわけで、それが一体本当にこの中で議論されているのだろうかというところが非常に不安もあるところで、全体の子育ての中で社会的養護としての部分があるはずですので、そこも十分に議論していただきたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。西澤委員、どうぞ。

○西澤委員
 私も何がこんなに不安なのかわからないままに、今の奥山委員の言われた点とほぼ似たようなことですが、先ほど榊原委員がすべての子どもにと言われて、これはソーシャルワークの立場ではジェネリック・ソーシャルワークといって、ソーシャルワークが目指す先なのですけれども、それはスペシフィックなソーシャルワークが十分できた後にジェネリックにいかなければいけないのです。今ニーズを抱えた子どもたちに対して十分な、例えば保育所・保育園で今、奥山委員が言われたような社会的養護の一端を担っているところで、先ほど藤井委員からも出ていましたが、役割としては特に在宅支援が増えている中で、保育園の現場は大変なのです。今、私も保育園に保育士助手として見習いで時々実習に行っているのですけれども、本当に大変なのです。子どもたちをしっかり見ていかないと、あるいは週に1回しか来ない子どもは内緒で迎えに行ったりしているのです。それくらい社会的養護の一端を担っているところが幼保一体化によって薄まる。それが一番怖いと思います。その点をどうやって担保するかです。
 例えば漏れ聞くところによると、「保育に欠ける」要件もなくなるという話も聞いていますので、それはまずいでしょうと思っていますし、もう一つは幼保一体化というのは基本的に待機児童対策ですよね。それは言えないのかもしれないけれども、保育待機児童対策だと思います。待機児童は全国で2万人くらいではなかったかと思いますが、それも大都市圏に集中していませんか。地方に行くと保育園は空き状況が結構あるし、待機児童ゼロという所も多い。そういうところも含めて、なぜやらなければいけないのかがわからない部分もあって、待機児童対策は待機児童対策で別に考えていただいて。保育園はもともと子どもの発達補助で、子どもの社会的養護の施設だったのです。最初にできたのが四谷の保育園ですけれども、そういったスラム街の子どもの発達補助としてできた施設が、後に高度経済成長のときに女性の労働力を確保するための親の施設に転じてしまって、社会的養護の色彩が弱まっている。虐待の問題でもう1回社会的養護としての保育園という位置付けをし直さないといけないときに、変な言い方ですが、向こうに持っていかれてしまう感じ。現にここに、こども園の幼保一体化のモデルとして「すべての子どもに質の高い幼児教育を」が先に来ているのです。これは違うだろうと私は思ってしまうので、アメリカのこういった部分というのはヘッドスタート計画というのが基本的なモデルだと思いますが、ヘッドスタートは1970年に始まってまだ続いていると思います。ですから、すべての子どもではない、就学時にマイノリティの子どもも発達がそろうようにするというのが基本的に幼児教育の考え方ですから、すべてやっていては意味がないと私は思います。まとまりがなくてすみません。

○柏女委員長
 大切なご指摘だと思います。藤野委員、お願いいたします。

○藤野委員
 「子ども・子育て新システム」との関係で言うと、社会的養護が受けている子どもというのは、間違いなく最底辺の子どもたちを受けているわけです。私はそれこそ負の世代間連鎖をここで断ち切ることが社会的養護の課題であろうかと思います。今、社会的養護にピンポイントで、お金を注ぎ込んで、世代間連鎖をここで食い止めるか、あるいは拡大再生産させるかというのは大きな違いなのです。今、我々が受けている子どもたちというのはそれこそ3世代ほどに渡る世代間連鎖の結果として受けていて、3世代ぐらい遡って対応しているわけです。施設現場でもそうです。私は「子ども・子育て新システム」の中で社会的養護を重要な一環として位置付けてもらって、ただ市町村に位置付けられたら困ると思っていますが、そういう点でぜひピンポイントにお金を注ぎ込んでほしいと思います。
 後で提案されるのでしょうけれども、今後のこの会を次回を含めて何時頃開催されるのか、このプランをどの程度のスピードで考えておられるのか。今後の見通しについてお聞かせ願いたい。4年間ずっとやってきて、あまり進まず、苦しい現状にある現場はたまらない。何とかしてほしいと思っていますので、今後の見通しについても、ぜひお願いしたい。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、そのことも含めて最後にお願いしたいと思います。相澤委員、豊岡委員そして吉田委員、大島委員それから松風委員。この順で短めにお願いできればありがたいと思います。よろしくお願いします。

○相澤委員
 それでは短めにということで。まず地域分散化の推進ということについては私も賛成ですけれども、基本的に都道府県での措置制度であると、例えば実際に児童養護施設に入所するということは、家庭と学校の両方の居場所をなくすわけです。もし地域小規模が各市町村にあれば、家庭で居場所がなくなっても学校という居場所は保障できる。つまり一つの居場所を確保できれば子どもの分離不安のようなものはある程度解消されますし、子どもの切れ目ない支援という連続性を考えれば、市町村単位くらいに1か所ずつそういうものがあることが望ましい。そういう意味で分散化とを推進するのであれば、目標値が数というよりも市町村に一か所というような子どものニーズにきちんとマッチした目標値を立てていただけるとありがたいということです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。続いて豊岡委員、お願いいたします。

○豊岡委員
 児童相談所を離れましたので、今度は施設の立場で少し発言します。子どもたちは非常に難しい子どもが入っています。発達障害、被虐待、知的障害等も含めてさまざまな子どもが入っているという状況で、施設のケアの機能が非常に重要だと思います。時間もかかりますし、人手もかかるというところを訴えたいということが一つです。
 そういうことでいえば、施設の機能を強化していくという視点で、ぜひ考えていただければありがたいと思っています。「子ども・子育て新システム」ということではないのですけれども、東京都もさまざまな施設の機能強化ということで取り組んでいますが、そうした取組をぜひ広げていくなり考えていくということも重要ではないかと思っています。
 もう1点、児童相談所の話に戻りますけれども、先ほど山縣委員から児童相談所が警察的という話がありましたけれども、児童相談所は決してそうではないだろうと思っています。というのは、児童相談所のアセスメントあるいは調査が非常に重要で、ただ保護をすればよいというだけではない気がしていますので、1点意見を言いました。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員
 短めに言います。一つは社会的養護に関連する市町村の施策というところです。住民の多様なニーズに応えてということですけれども、言うまでもなく社会的養護に関してはその応援団というか大変バックが弱い。どうしても声が小さくなりがちである。ですから、逆にこの部分に関してはよほど強調していかなければ、そのニーズは実現できないだろうという当たり前のことが一つ。
 それから市町村事業で虐待に関連してショートステイやトワイライトステイがありますけれども、これも言うまでもなく虐待対策としては非常に重要な施策でありますので、市町村だけに任せるというよりはむしろこれを引っ張っていくくらいのことがないと、虐待に対する有効な手立てにはならないだろう。私自身も実際に要保護児童対策地域協議会でやっていますけれども、これらの施策プラス養育支援訪問事業というのも大変有効なものですけれども、実施率がまだまだ低いというのも原因は同じだと思います。そうした意味で、市町村化というのはわかりますけれども、社会的養護の特質に応じて、この辺りは当然強調すべき点はもっと実現に向けて強調していくべきだろうということです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは大塩委員、お願いいたします。

○大塩委員
 母子生活支援施設のことですけれども、この「子ども・子育て新システム」のイメージ図の中にも母子生活支援施設が全くどこに入るのかわからないという状況です。社会的養護などの都道府県事業にも入りませんし、かといって市町村事業の中の在宅支援にも入りませんので、母子生活支援施設が一体どこに入るのかということを非常に不安に思っております。できましたら、社会的養護を担っている施設として都道府県事業のところに入れていただきたいというのが1点です。
 先ほど、奥山委員のご発言もありましたけれども、在宅で子育て支援を行っていく家庭と、母子生活支援施設で子育て支援を行っていくことを比較してみると、母子生活支援施設ではきちんと生活を見守りながら子育て支援を行っていくことによって、虐待が減ったり虐待に対する危機対応ができます。母子生活支援施設は唯一家族支援ができる施設ですし、今後ますます必要とされる施設であるにもかかわらず、社会的養護の数値目標の中にも目標数も入っていない現状ですから、ぜひとも母子生活支援施設を社会的養護の中に位置付けていただいて、きちんと地域の中で子育て支援ができるような施設としてビジョンを描いていただきたいということをお願いします。

○柏女委員長
 どうもありがとうございます。では、松風委員の次に今田委員ということで終わりにしたいと思います。

○松風委員
 先ほど藤野委員がおっしゃいましたように、すべての児童の中で最もてこ入れをしなければならない層として、社会的養護の対象児童がいるということをもっとアピールするということについては非常に重要だと思っておりますし、そのためにグランドデザインも必要である。それが明らかになってこそ、財源の確保ができるのだという論理についてはそのとおりだと思っております。しかしながら、一方で来年度からは各都道府県が最低基準についての条令設置をしていく作業が実際に始まってまいります。そのときに、どれだけ各都道府県が実質的に各施設においてサービスが担保できるような条例設置をしていくのかといったことが、非常に重要な現実的な問題であると考えております。前回の委員会で、そのために国は参酌基準を出すというお話でございましたけれども、その参酌基準をどのような考え方の基に、どういう重点化をした中で出していくのかといったようなことを各都道府県に示すことがこの際必要ではなかろうかと思っておりまして、この会議の中での議論の中に、この会議の今後の行方がどこへ行くのだろうということを考えながら参加していたのですけれども、まずはそのためにグランドデザインの基になるかもしれない重点事項について明らかにしておくといったようなことが重要ではないかと思いました。その点を、よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。グランドデザインと同時に戦略的にどこを重点化していくのか。それが大事だということですね。ありがとうございます。
 では今田委員、お願いいたします。

○今田委員
 大塩委員からご指摘があったとおりですが、我々の乳児院も子ども・子育てビジョンから漏れておりまして、生後すぐからお預かりするわけですから、これに数値目標がないというのは違和感を覚えてしまうところがございます。
 もう一つは、今ご指摘がございましたように地方に移りますと、我々が懸念しておりますのは、加算職員等でも、今でもかなりの都道府県によっては差がございますので、これがますます差が開いていって、社会的養護の中にいる子どもたちの中でさえ格差が生じてくるのではないかということが懸念されます。例えば心理職員も乳児院は先ほど申し上げたように非常に小規模でございますので、そのうち例えば10人以上該当する児童がいるということになりますと、非常に難しいことになってまいります。従って、それを割合で何%いれば加算職員を認めてくれるという対策もぜひご考慮いただければと感じておりますので、よろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。まだまだご意見があるのではないかと思います。多様なご意見が出されましたけれども、今回いただいた意見について事務局で総括的にコメント、それから今後の方向、たくさん意見が出ていたのは、そもそもグランドデザインをきちんとすべきではないかと。その中で当面の課題を位置付けるべきではないかというご意見がございましたけれども、それらについて総括的にご意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 今日は大変たくさんの非常に貴重な意見をありがとうございました。今後このようなご意見を踏まえまして、さらに検討していきたいと思っております。一つ目の項目のご議論でいただきました小規模化の話につきましては、具体的に小規模化をするに当たっての予算執行の方法や、どういうインセンティブの付け方、そこのところの設計の仕方につきましては現場の実態をよく見ながら、かつ、どのようにしたら一生懸命やっているところが報われるのかということも含めながら、今後よく検討してまいりたいと思っております。
 また、里親委託の推進方策につきましては、今日たくさんの委員からいろいろなご意見・アイデアをいただきました。その点につきまして、少しデータを集めた方が良いというご指摘もありましたので、そのようなところも集めてみながら、どのような里親委託の具体的な自治体が受けやすいようなガイドラインを詰めてみたいと思います。特にその中でも新生児の里親でございますとか、親族里親の使い方ですとか、今日もいろいろなご指摘をいただきましたので研究してみたいと思っています。
 それから、情緒障害児短期治療施設の設置水準につきましては、課題と自治体が挙げた事項につきまして幾つかアイデアをいただいたところでございます。これから取り組む自治体の後押しができるようなことを考えていきたいと思っております。
 母子生活支援施設については、しっかりと社会的養護グループの中での位置付けをビジョンを持ってというご指摘をいただいております。母子生活支援施設につきましてはDV対応をはじめさまざまな役割があって、実際にそれに応えている施設にはいろいろまだ格差があるという話も伺っています。そのようなところでの方向性を示して、その努力を各施設にしていただけるようなことと思ってございます。
 また、そのような議論の中で、児童相談所の充実が必要だというご意見もいただきました。これは今般の補正予算で100億円の児童虐待対策等の追加もありました。その中でも児童相談所の臨時職員などにも自治体が充ててもよいという項目もしておりまして、児童虐待対策の中での社会的養護対策の充実に、このようなものも使っていければと思っております。
 また、虐待対策、施設内虐待の通報の話につきまして、ご指摘を幾つかいただきました。確かにこれは昨年、法律改正を施行されて実施後1年ということで、まずはその状況を取りまとめてみたというところでございます。ご指摘のように都道府県ごとの運用の差というのはあるようでございますし、これはまず数字を取りまとめてみたという段階にとどまっておりまして、もう少し継続的な調査や内容の分析というのが必要ではないかというご指摘もございました。そのような取組もしてまいりたいと思っております。
 関連で「こうのとりのゆりかご」が提起した問題として特別養子縁組の問題ということもございましたので、このような課題も研究を先ほどの里親委託の話も絡めまして、里親あるいは養子縁組という文脈での検討も進めていきたいと思っております。
 また、「ケア内容検討会」の話をご報告させていただきましたが、ご指摘いただいていますように、これはタイムスタディがどうだったかということでやっているわけではございません。ご指摘のように初心に返って、社会的養護の施設のケアの在り方についてはたくさんの現場の知恵やご意見をいただいて、そのような指針がないというのも残念なことでございますので、そこのところの取組という意味で進めてまいりたいと思っております。
 これは「当面の」課題であるかということでございますけれども、当面の課題はこれ以外にもたくさんあると思っております。そのような意味で逐次一つ一つしっかりと詰めて結論を出していく作業を重ねていくという取組が重要だと思います。そのような意味で、当面の課題は当然これに終わらず幾つもあって、その中での全体的なビジョンもあろうかと思います。いずれにせよ、具体的に一つ一つの取組を前に進めていくことが重要だと思っておりますので、そのような中で取組、検討を進めていきたいと思っております。
 当面の進め方でございますけれども、本日さまざまなご意見をいただいたことにつきましては、また詰めてまいりたいと思っておりますが、次回には今日いろいろとご指摘いただいた中で、里親の推進につきましてはガイドラインをということも説明で申し上げましたが、そのようなことの案も出しながら、さらにご意見を賜っていきたい。
 先ほどご指摘いただいたように、次の通常国会で法律が通れば、地方自治体で最低基準の条例化をしていくということで、そのための基準、参酌基準、従うべき基準ということで定めていくわけでございます。それを定めるに当たりましては、現行の最低基準をまずしっかりと見直してどうあるべきか、現行の予算の中でも最低基準の中を見直すべき部分があろうかと思います。そこのところの議論を本委員会で十分していただいて、考え方をもって自治体に対して示していけるようにすることが重要だと思っておりますので、本日は現状版の資料だけをお出しいたしましたけれども、次回にはもう少し突っ込んだ資料をお出ししながら議論をし、1回では無理だと思いますので2回は最低要ると思いますけれども、議論いただく中で見直しの課題につきましても取り組んでまいりたいと思っております。今日はさまざまなご意見をいただきましたので、しっかりと進めてまいりたいと思っております。

○柏女委員長
 ありがとうございました。では榊原委員、お願いいたします。

○榊原委員
 最後にダメ押しではないのですけれども、今日の議論でも明らかになったのは、ここの委員の皆さまが不安に思っていらっしゃるのは、「子ども・子育て新システム」で大きな議論が進んでいく中で、社会的養護の子どもたちが一体どのように位置付けられるのかがあまりにも不透明だから、そこに尽きると思います。私も思いは同じです。政権を運営している方たちの話を伺っていても、気持ちがないわけではない。すべての子どもに切れ目ない支援と言っている以上、社会的養護の子どもたちに対しても関心をお持ちなのだけれども、まだそこまでの議論も理解も及んでいないとなっているのが現状だと私には思えるのです。
 そこで「子ども・子育て新システム」の今の議論のピッチを見ていると、年末年始にかけて、幼保の施設をどうつくって財源をどうするかというところにほとんどの政治エネルギーが消耗されるのだろうと。そこで大枠のものを決定して、春にも法案を出そうという大きな話が先に進んでいくのだろうと見えているのですが、多分社会的養護の制度の中の一体どこをどのように強化していくのかというグランドデザインの議論までは及ばないであろうという状況であれば、せめて「子ども・子育て新システム」の大枠の議論の中に、社会的な支援を最も必要とする子どもたちへの支援の施策の強化と財源の拡充というものが必要であるときちんと明記していただきたい。細かい議論については今後でもよいのでというところをぜひきちんと踏まえた上で、「子ども・子育て新システム」の大枠の整理を進めていただきたいと思います。この中では、例えば山縣委員も連合のナカジマさんもご指摘されている、ぜひそこの部分を大切にしていただきたいと思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございます。最後に私から幾つかご意見を申し上げたいと思います。今、榊原委員がお話しされましたように、この「子ども・子育て新システム」、社会的養護の分野をどうとらえていくのかは、基本制度のワーキングチームで議論がなされ、それについても今後議論が行われると聞いています。その中で、山縣委員には一つお願いですけれども、今日あった意見を踏まえてというかその雰囲気もお伝えいただければと思っております。また、これは厚生労働省にもお願いですけれども、検討の場が内閣府でしかも政務中心ということで限界もあろうかと思いますけれども、ぜひこの社会的養護の専門委員会での議論をお伝えいただきたいということは重ねてお願いしたいと思います。
 それから、ぜひこの委員の方々は、それぞれのいわば業界団体の代表の方が入られておりますので、そのような意味ではこの「子ども・子育て新システム」の議論の行方に関心を持っていただいて、その中で随時意見や要望等を団体等として出していただくということも場合によって必要だと思っています。私自身は幼保一体化のワーキングチームに入っておりまして、先ほど西澤委員がおっしゃったことなどについて私も懸念を持っておりますので、意見書を提出して10個の要望ということで出しております。入所の応諾義務を必ずつけること。虐待やひとり親家庭の子どもの優先入所システムは堅持すること。さらに、臨時休業の規定は置かない。家計に与える影響に配慮した負担システムにすること。原則として保育料以外の付加的な徴収を行わない等の議論、それから入所の勧奨義務あるいは市町村における保育の実施義務は残すといったような要望を意見の中で出しておりますけれども、ワーキングチームはそこで何かを決めるところではございません。意見交換をする場ということになっておりますので、私が述べた10項目の意見も採用されるかどうかは全くわからないという状況でございます。そのような意味では、さまざまな声が届けられるということが大事ではないかと思っています。これは社会的養護だけではなく、今日この前に障害児支援の検討会が持たれましたが、その中でも障害児支援チームに私も入っておりますが、この「子ども・子育て新システム」と障害児支援の問題をどうとらえていくのか。障害児保育給付といったようなことも全く出ておりませんので、それらについても考えていってもらう必要があるという意見が多々出されておりましたので、そうしたことも伝えていくことが大切ではないかと思いました。
 最後に、今回は「当面の課題」ということで、地域主権法の行方もにらみながらのディスカッションということになりましたけれども、各委員のご意見からは、そもそもの社会的養護を社会的養護という箱だけではなくて、社会的養護の中に入ってくる入り方や出方、あるいは社会的養護という箱とその外の関係、その全般についてもっとしっかりとしたグランドデザインを描いていくことが大事ではないかというご意見がございました。この社会的養護専門委員会がその部分について触れることができるのかどうか。箱の中だけのつまり社会的養護という下に入った子どもたちの在り方だけを論じるところなのか。あるいは今日も行われたようですけれども、親権関係の改正にあるような、つまり親と施設長との関係やそうしたことまで議論ができる。あるいは児童相談所の在り方や実施体制の在り方、そうしたところまでこの専門委員会ができる権限があるのかどうかはわかりませんが、当初この委員会ができたときにはそこは議論はしないという整理でございましたので、私もそのとおり今進んでおりますけれども、そこも少し考えていただいて、今後の社会的養護専門委員会という形をどのような形でどのような議論の場にしていくのか。グランドデザインが本当に議論できる場として機能させていくのかどうか。それらについても併せてこれは事務局にご検討いただきたいと思いますけれども、そうしたことを重ねてお願いさせていただきまして、今日の委員会を閉じさせていただきたいと思います。
 次回は2月ごろということで、かなり当面の方法についての具体案が出るということですので、それについての議論をするという理解でよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。今日が今年最後ということになります。どうぞ皆さま、良いお年をお迎えください。どうもお疲れさまでした。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

措置費係: 03(5253)1111内線7888

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