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2010年12月7日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第51回)議事録

○日時

平成22年12月7日(火)18:00~19:30


○場所

経済産業省別館8階825会議室


○出席者

   田村部会長、鈴木部会長代理、田宮委員、岩渕委員、政安委員、中村委員、酒井委員


○議事

(以下、議事録)
 
○田村部会長
 それでは定刻より若干早いのですが、ただいまから、独立行政法人評価委員会第51回調査研究部会を開催します。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また遅い時間帯にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、武見委員、清水委員、市川委員がご欠席でございます。
 それでははじめに、事務局から本日の議事について簡単に説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日はまず、国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し案についてご審議いただきます。その後、法人を入れ替えまして、労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直し案についてご審議いただきます。
 最後に、最近の独立行政法人を取り巻く状況について、事務局からご報告いたします。以上です。

○田村部会長
 それでは、国立健康・栄養研究所の審議に入ります。始めに、事務局から今回の審議の位置付け等について、ご説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 今回、組織・業務全般の見直し案についてご審議いただきますが、8月24日の第50回調査研究部会において、見直し当初案をご審議いただいたところです。この見直し当初案について、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」というものを策定し、11月26日に厚生労働大臣あてに通知されています。併せて当評価委員会にも参考送付されています。厚生労働大臣は、この総務省の政独委の通知を受けまして、見直し当初案を更に修正して「見直し案」を作成するということになりますが、作成にあたりましては評価委員会の意見を聞かなければいけないということが、独立行政法人の通則法において定められておりますので、この「見直し案」を本日の部会と、来週16日に予定している総会でご審議いただくこととなります。以上でございます。

○田村部会長
 それでは、国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し案について、審議をしたいと思います。所管課よりご説明をお願いします。

○大臣官房厚生科学課長
 厚生科学課長でございます。よろしくお願いします。
 それでは、事務及び事業の見直し案の概要について、資料1-1に基づいて説明を申し上げます。
 大きく3点見直しをしております。1つ目が、事務及び事業の見直し、2つ目が組織面の見直し、3つ目が業務全般に関する見直しです。
 まず、1つ目の事務及び事業の見直しについては大きく4つ書いてあります。調査研究の重点化等ですが、国の生活習慣病対策等の施策としてより効率的な反映が見込まれる研究に重点化をすること。更に類似・重複する研究を排除するとともに、他の研究機関との連携の在り方を検討すること。研究資金については、例えば2分の1以上を競争的研究資金によって獲得する等目標設定をして、計画的な競争的資金の獲得、民間企業からの受託研究の増加に努めたいということ。国際協力・産学連携等、対外的な業務については、政府関係部局との連携を強め、効率化を図るものとすることです。
 2つ目の特別用途食品の表示許可試験、収去試験に関する役割分担の見直しですが、これは積極的に民間の登録試験機関を活用するということで、健栄研としてはこれらの検査方法の標準化ですとか、検査精度の維持・管理に重点化を図り、これに合わせて要員の見直しを図るということです。
 3つ目の特別用途食品の表示許可試験手数料については、分析試験の内容に関わらず現在一律となっていますので、これを改め民間登録試験機関の実態を踏まえた内容の額に変更、見直しをすることです。
 4つ目、栄養情報担当者(NR)認定制度の廃止ですが、これについては健栄研がこれまで制度を運用してきていましたが、既存の資格取得者の取扱い等について検討の上、第三者機関への業務移管との結論に達しました。従いまして、健栄研自体の業務としては廃止し、これに伴う要員の合理化を図るとしています。
 2番目の組織面の見直しですが、健栄研と独立行政法人医薬基盤研究所及び独立行政法人労働安全衛生総合研究所との統合に関しては、具体的な研究成果の発揮、効率的・効果的な業務運営の確保、あるいは具体的なメリット・デメリットというものを広く検討した上で、組織の最終的な在り方について結論を得ることにしたいと考えています。
 第3番目ですが、いま申し上げた2つの見直しに加え、業務面全般についても取組を行うことにしています。ここに書いてある1から6の内容についてです。簡単ですが説明は以上です。

○田村部会長
 それでは、ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等がありましたら、お願いします。

○酒井委員
 確認ですけれども、今日のこの見直し案の説明は、いまのご説明が全てということでよろしいでしょうか。

○大臣官房厚生科学課長
 そうです。

○酒井委員
 概要は理解できますけれども、非常に一般的なご説明だったために、もう少し具体的なお話をいただけるとありがたいなと思いました。例えば、1例を申し上げれば、国の生活習慣病等の施策として、より効果的な反映が見込まれる研究に重点化するとありますけれども、それは具体的にどうやって行われているのかというようなことで、ほかにも2、3ありますが、もう少し具体的なご説明をいただけると大変ありがたいのですが。

○大臣官房厚生科学課長
 資料の1-3にもう少し詳しいことが書いてありまして。

○国立健康・栄養研究所理事長
 理事長の徳留です。厚生科学課長がお示ししましたように、資料の1-3を見ていただきまして、私どもとしては国民の健康増進、栄養状態の改善、あるいはQOLの向上というのを目標としておるわけですけれども、その中で生活習慣病というのがもっとも大きな問題です。そして、もっとも大きな死因です。その中に癌とか心臓疾患、あるいは高血圧疾患、脳・血管疾患等々あるわけでありますけれども、それの予防のために特に食生活と身体活動、運動というところに重点を置きまして、それに特化した、あるいはそれに重点化した研究を私ども研究所自身、そして大学とか他の研究所との連携を図って実施し、その研究成果を国民及び専門家、そして国際的な情報発信を行っています。ちょっと具体的な表現に欠けるかもしれませんが、世界的、あるいは国家的、あるいは国民的視野から、生活習慣病予防ということで、重点化した研究を行っています。

○酒井委員
 長らく評価させていただいて、いろいろ説明もいただきました。大変皆様立派な成果を上げていると思っているのですけれども、あえてその中で見直しをして、かつ、例えばいま理事長がおっしゃられたように、大学とかその他のところと連携をしてということですけれども、でも、一方で重複、類似する研究を排除するとともにとあって、そうすると、この見直し案が、どのようにビジョンと実際とで、いままで以上の効率のいい効果が上がるかというのを、厚生科学課長の説明だけだと少し抽象的で、理解はできないというのが実態で、ご質問を重ねているわけですけれども。

○国立健康・栄養研究所理事長 
 大変貴重なご指摘をありがとうございます。生活習慣病というのは、どこの大学でもやっている、どこの医学部でもやっている、あるいはどこの栄養大学でもやっている、体育大学でもやっているわけでして、先生のおっしゃられたように、うちとそういう大学とのどこが違うかというと、大変微妙で貴重なご指摘かと思うのですけれども、一部はオーバーラップするものもあります。大学、他の研究所と連携してそれを強化して、ユニークな研究、あるいは独創的な研究、なおかつ優先性の高い研究を行い、リーダーシップを発揮しているというところでは、私どもの研究所のアイデンティティ、あるいは存在意義があるのではないかと思っています。それで特に私どもが重点化しているのは、生活習慣病の中でも、特に最近増えておりますメタボとか、あるいは糖尿病とか、そういう研究に重点化していて、栄養と身体活動の2つの観点から的確な予防、あるいは的確な治療法、進展化予防とかに特化していまして、そのところが私どもの研究所の得意とするところではないかと思います。

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹
 研究企画評価主幹の阿部です。ここをもう少し詳しく申し述べさせていただきますと、先ほど理事長も申しましたように、生活習慣病の対策に関する研究部門で、大きく分けて私どもの研究所は、2つの大きな研究のメソッドがあります。1つは、いわゆるウェットラボというところで、どういう原因で生活習慣病になっていくのかということを、例えばネズミですとか、試験管とか、そういうところで、分子レベルで解明していく部分があります。もう1つは、いちばん基礎的なものは、国民健康栄養調査ですが、それらを基にして、一般の国民の方々が、どのような食習慣を持っていらしゃって、そのような方々にどのようなリスクが潜んでいて、そのような方がどんな働きかけをしたら生活習慣病が予防できるか、改善できるかということを疫学的な手法と申しますが、そういった地域的な広がり、生活習慣や何かを全部含めた生活の中での改善の方向について改善していく、この2つの面があります。
 ウェットラボでネズミだとか分子レベルでやっていく部分については、大学でもかなり共同化して一緒に連携しながらやっていける部分がありますが、もう1つの地域や国民一般の方々の食生活全体を含めて、このような方々にどのような働きかけをして、それがどんな効果があるのかということを現にやっておりまして、これの大きな研究調査については、自治体やそういう公共団体、健康作りの人たちの協力が必要です。これができるのは、いまのところ私ども国立健康・栄養研究所がほとんどだろうと思います。
 このほかに、学術的に疫学調査をやるところもありますけれど、実際に行政が働きかけと連携をして、調査研究をしていけるという研究機関はここだけだと思いますので、今後は施策の評価ですとか、どのような施策を展開して、どのような働きかけをすれば国民の方々がより健康を維持できるようになるのかというところに、重点化すべきではなかろうかというご指摘がこの中に入っていると思います。私ども今後は、そのような部分についても研究の方向性をきちんと定めて、やってまいりたいと思い、そのように解釈しているわけです。

○田村部会長
 他に何かご質問、あるいはご意見等ございますでしょうか。

○鈴木部会長代理
 これまで健栄研は数値目標を設定される場合には、ただし前提はこうですというようなことを明記しておられたように思うのですね。この場合、研究資金についての場合、その2分の1以上を、競争的研究資金によって獲得するというような設定も考えておられるようですけれども、その場合の前提となる政府からの研究資金というのは、一定で変わらないと想定しておられるのか、あるいは増える場合、減る場合にはどう対応されるのかという疑問が生じるのですが、いかがでしょうか。

○大臣官房厚生科学課長
 国のほうから国費という形で出す研究費については、この委員会の評価をいただいた上で、安定的に資金を交付していきたいと考えています。ただ、いろいろな財政状況等により、今年も研究資金については、一般的な裁量的な経費については一割減という大方針の中で、一割にならないようにそこは予算の圧縮は非常に少なくして、優先的に研究機関のほうには多くしています。財政状況等でいろいろな変動要因はあると思いますけれども、私たちとしては、基本的に重要な研究を担っていただいていますので、安定的に極力変動がないような形で予算は確保していきたいと考えています。その上での前提条件での競争力の確保ということをしていただきたいと考えています。

○鈴木部会長代理
 これは研究所の側も十分ご納得されている上での数値なのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 研究資金の2分の1というのは、大体これまでの実績を勘案して設定していまして、厚生科学課長のご説明がありましたけれども、いわゆる交付金についてはこれまでどおり、私どもとしては交付していただきたい。いわゆる競争的研究資金というのは、もちろん業務とか研究、調査業務に充当するわけですけれども、いわゆる自己収入というのは、私どもの解釈では、私どもの施設を使って収益を上げた、あるいは私どもの研究所で書籍を監修した印税とか、そういうものを位置付けております。厚労科研、あるいは文科研等々については、交付金の査定に関わる自己収入というものには考えておりません。

○政安委員
 理事長様と阿部主幹からご説明いただいて、生活習慣病に特化した研究に、よりシフトさせていくということですが、人の研究の部分としては、やはりフィールドを育てるということをとても難しく感じています。どんどん人を対象にした研究がしづらくなっている現状がある中で、国の役割としては、そういう人を対象とした研究が重要でどうしても必要なのだということも、もう少し国民にわかるような指導もしていただき、更には大規模コホート調査に発展できるように、諸外国と肩を並べて評価できるような、そういう調査に発展させていただきたいという願いとともに、国民健康・栄養調査の場合は、健栄研は調査項目を集計して発表するというような役割だったかと思っていますが、その辺もすっかり健栄研で引き受けてくださって、きちんとフィールドを視野に入れた調査ができて、国民のより健康を重要視して使えるような、調査にシフトいただけたらありがたいと思いまして、お願いですがよろしいでしょうか。

○田村部会長
 いかがでしょうか。何かそれについてコメントございますか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 エンカレッジングな政安委員のサジェスチョン、あるいはご指摘ありがとうございます。私どもが業務事業でやっている中で重要なものとして、国民健康・栄養調査、食事摂取基準、あるいは運動基準があるわけですけれども、これまでは、ある意味では単年度ベースの報告書、集計になっていました。10年置きに循環器病疾患というのは、1980年、1990年という形でコホートをつくって、大変貴重なデータが出ているわけですけれども、それ以外の年はいわゆる国民健康・栄養調査をベースにしたフィールドスタディとか、あるいは地域の方を対象にしたコホートスタディというのは組まれていません。いま、政安先生がおっしゃられたように、私どもも使える、そして大学の方も、他の研究所の方も使えるような、アクセスできるような形で、国民健康・栄養調査のデータを使えるようにする、そしてそれをベースにして前向きにコホートスタディを立ち上げるとか、そういう仕組みがあるといいのではないかと、私個人としては思っております。現在、厚生科学課、あるいは生活習慣病対策室等々に相談をしているところです。ありがとうございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。他に何かございますか。

○岩渕委員
 組織面の見直しなのですが、官庁文学の粋を凝らして、なかなかわけがわからなく書いているようなところもあるのですけれども、ちょっとお尋ねしておきたいのですが、例えば左側では「メリット・デメリットを慎重に検討する」。右側のほうでは、「慎重に」がなくなって、何かこれ前向きなのかなというふうに思うけれども、しかし、ただどちらに向かっているのか方向性が定まっていないのではないかという印象も受けます、文字づらでは。ただ、当然のことながら、役所、あるいはこの我々のところでも、ある程度の方向性が、それは出ているのだろうなというところが、私自身不勉強で、物忘れが激しくて忘れてしまったのかどうかよくわからないのですが、慎重に検討する、検討するということで、方向性はあまり強く打ち出していないのではないかというような印象を受けるのですが、これについては具体的にこれからどのような形で議論して、どういう場でどういう決め方をしていくのかというのと、その方向性というのは、例えば政独委でどういう方向性を求めているのか、あるいはその辺のところ、あるいは役所としてこういう方向性というところの、もう少し感触がわかるように1つ説明していただきたい。

○大臣官房厚生科学課長
 ご指摘はごもっともといいますか、と言いますのは、まだ方向性がはっきり見えるような状況ではありません。平成19年に健栄研と医薬基盤研究所を統合するというのは、一時閣議決定されているわけでありますけれども、実はいま研究開発独法を巡っては、政府の中でもいろいろな動きがありまして、具体的に申し上げますと、1つは行政刷新会議のほうで、別途独立行政法人の在り方というようなものも見直しをするというようなことで、いま別途検討が進んでいると聞いています。後ほど室長補佐からも全体的なお話があると思います。
 もう1つは、文部科学省のほうが、特に独立行政法人の中で研究開発型の独立行政法人は別のスキームといいますか、いまの独立行政法人とは別の組織形態のようなものを想定した通則法を、別途作ろうかというようなことを検討されています。そちらのほうがまだ今後どのように進んでいくというのが、はっきり見えておらない状況ですので、このようなどっちを向いているのだというようなご指摘をいただくような、お受けするような書き方になってしまったということですので、そこはご理解いただければと考えています。

○酒井委員
 関連したことなのですけれども、この組織面の見直しの中でも3法人が統合するとあるわけですけれども、当然統合のイメージが見えにくい。皆様方のお話からすると、あくまでも健栄研として独立して、こういう課題でこういうふうにやっていきたいと言うのですけれども、そうすると、統合して皆様方の存在価値というものが、統合というのは、私たち文字を取れば1つの物にするということですから、1つの物の中でこれまで皆様方がやってきて、これからもこれが必要だと言っていることと、健栄研として今後もやっていく、こういうことだということですと、非常に理解はできますけれども、統合した形の中でどんな皆様たちのこれが、今日ご説明を受けている物が通っていくのかという辺りの道筋を、少し示していただけるといいと思っているのですけれども。

○大臣官房厚生科学課長
 やはり、それぞれの独法、それぞれの仕事があって、健栄研は生活習慣病の予防であるとか、実態把握というのがマネージメントとなっていますし、医薬基盤研は医薬品の開発に関することをしています。それから、安衛研のほうは、労働者の安全予防、病気の予防ということで、健康の予防というか、健康に関するサイエンスという意味では同じような役割を担っているわけで、広い意味では同じような役割だと理解しています。しかし、一方細かいマネージメントを見ていくと、一緒になったことによって、どのようなシナジー効果が出てくるのかということを改めてよく検証しなければいけないと考えていまして、その辺の作業を実際に統合した場合に、どういう効果が出てくるのかという中身の部分も含めて、まだ検証が足りない面があると思っていますので、これからは内部的には検証させていきたいと考えています。

○中村委員
 いまのお話に関連したことなのですけれども、こちらの勧告では統合の方向性がもうちょっと具体的に書かれていると思います。3つの法人の統合について分析したけれど、それに伴う効果が明確でないという見解が読み取れます。私は今回の「もう一度慎重に考えよう」という姿勢は、評価したいと思います。いままでは、何でも一緒になればよいというものがあったような気がしているのですけれども、このような形でもって慎重に検討するという姿勢は評価したいと思います。
 それから、もう一点別の件なのですが、せっかく作り出したNR認定制度に対しては、ここまで来たらもう任せてもいいと思っているのか、それともあまり役に立ってないという判断なのか読めないのですが、どのような判断なのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 お答えいたします。今年の4月下旬の省内仕分けでNRのことも俎上に上りました。それで、仕分け人の方々から、3名の方はNRそのものを中止、お二人の方は民間に移管する、お一人の方は健康・栄養研究所がそのまま続けていいよという仕分けでした。その結果を受け、厚労大臣からNRのことについて調査するようにということでした。それで、その調査をいたしました。その要約をしますと、残念ながらNRの認知度は大変低いというか、高くなかった。ですけど、NRの職責は非常に重い。つまり、いま、いわゆる健康食品というのが出回っていまして、誇大、あるいは誇張を表現する食品が多く出回っております。ですから、国民を惑わしている、あるいは実際健康被害が生じている状況にありますので、NR、あるいはそういう栄養情報担当者というのが非常に大事だと私は思っています。もちろん、国民の方でわかっている方はおられますし、消費者、消費者団体にも理解をいただいております。今後の大事なことは、現在NRの資格を持っている方、あるいはNR養成施設にどう配慮していくかというのが、私どもの頭の痛いところであります。仕分け人の仕分けでは、民間委託ということだったのですけれども、そこには僕らは拘わりまして、厚生科学課と相談し、第三者の公正中立、あるいは科学的な評価ができる団体へ移管する、あるいは統合するような方向性を持って、いま鋭意交渉している状況でございます。

○中村委員
 NR制度が狙っているところというのは、非常に大事なところであって、国民にとっても役に立つと思っています。いま理事長がおっしゃったように、まだ認知度が高くないという事実はあっても、この時点でもって第三者に任せて、いいのでしょうか。むしろ大いに啓蒙することこそ重要なのではないでしょうか。理事長のご説明では、いわゆる民間に丸投げではなくて第三者という形で残すとか何らかの関わりを持ちたいとおっしゃってくださったので、それは非常に有用だと思うのです。やっと、作ったばかりですから、認知度が直ぐに高くなるわけではなく、その効果が現われるのもこれからだと思います。ぜひ、認知度が低いまま、いずれなくなるということのないように頑張っていただきたいと思います。今回の我々の評価委員会としては、このようにプラスになることについては大事にするという、10年20年先を見た施策というのをお願いしたいと訴えたいと思います。

○田村部会長
 ありがとうございました。他にご意見ございますか。

○田宮委員
 2点お話させていただきたいと思います。1つは、少し具体的な質問で、いまお話が出ていた国民健康・栄養調査の件です。私も詳しいことはわからないのですが、統計法の改正に伴って、国民生活基礎調査ですとかかなりオープンになって、そういう意味でもいままでやった国の調査が、大学との連携で活用しやすい枠組みになるのかなと思っております。それと、国民健康・栄養調査の先ほどのお話、活用というお話が出ましたが、この統計法の改正などの動きと、何か関連しての、もう少し具体的なことがあればお伺いしたいということが一点です。
 もう1つは、質問というよりはいまのコメントに近いのですが、私も今回送っていただいた資料を見せていただいて、統合についての部分ですけれども、「単に数合わせの議論に終始することなく、きちんとメリット・デメリットを慎重にして」という点、非常にあるべき方向に、もう一度振り戻ったという感じがいたしました。ですので、いまのお話ですとまだ具体的なところが決まっていないので、お答が難しいという状況もわかりますけれども、目指していることつまり、3つの研究所の統合のメリット・デメリットを慎重に評価するというのは、非常にそうたやすいことではないと思います。しかし、やはりお話が出ている以上はやらなければいけませんので、今後の課題になるとは思いますが、具体的にどうやってこの3つの研究所の効果的なことというのを、検討するのかというイメージがいま1つ湧きにくいところがあります。これは今後への希望になりますけれども、ぜひともより具体的にどのようにしたら進められるのかというところも、本当に慎重に考えていっていただきたいという要望です。よろしくお願いします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 国民健康・栄養調査のことは先ほどご指摘がありましたとおり、統計法というのがありまして、目的外使用になりますので、そこを何らかの形でクリアする必要があるかと思います。それは政安先生および田宮先生のご指摘のとおりなのです。先ほども申し上げたのですけれども、10年置きには循環器疾患については、それをベースにしてコホートを作って、そして貴重なデータを提供、情報発信しているわけです。そういう前例がありますので、これは統計法をいかにクリアしていくか、あるいは目的外使用のバリアをどうクリアしていくのか、これは厚生科学課とか生活習慣病対策室等と相談しながらクリアしたいと考えます。そしてせっかくお金をかけて、税金をかけてやっている事業ですので、それをもっと有効活用できるような方向性を私どもとしては考えております。大変貴重なアドバイスをありがとうございました。

○田宮委員
 具体的に統計法が変わって、かなり使いやすい状況への動きがもう出始めているかと思うのですけれども、その辺は。

○国立健康・栄養研究所理事長
 おっしゃるとおりで統計法の改正がありまして、個人情報保護の反面、もっと統計を国民のために有効に活用するという方向性も出ているわけです。しかし、私の知る範囲では国民健康・栄養調査はまだそのプライバシーの保護がありまして、目的外使用に当たるのではないかというご指摘がありまして、まだそこをクリアできていません。

○田宮委員
 まだ。そうですか。わかりました。

○鈴木部会長代理
 第1の4で、NR認定制度の廃止というタイトルが掲げられておりますが、先ほどからいろいろご説明を伺っていますと、廃止という用語よりは、やはりこれは移管という表現のほうが適切ではないかと私は思うのです。これ、廃止と書いたら皆様ドキッとすると思います。私もドキッとしましたから。せっかく、皆様努力してらしたのが消えてなくなるのかという印象を与え兼ねないですね、いかがでしょうか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 先生、ご覧になっているポンチ絵のこれは、おっしゃるとおりで、健康・栄養研究所が認定するとか、健康・栄養研究所がフォローアップするのは止めるということであります。先程来ディスカッションがありますとおり、NRそのものは継続させる方向性のもと、統合も視野に入れて第三者機関へ移管を鋭意相談しつつあります。ですから、NR制度は、ご指摘のとおり存続させる。私どもは存続するように誠心誠意頑張りたいと思います。

○田村部会長
 この資料の修正というご意見ですよね。

○鈴木部会長代理
 そうですね、是非。

○政策評価官室長補佐
 勧告の方向性は決まっていまして、あとは見直し案をどう作るかですので、タイトルの変更にはなりますけれども、内容はそのままですので、おそらく大丈夫ではないかと思います。

○田村部会長
 では、この件はそういう方向でよろしいですね。他にご意見ありますでしょうか。
 ただいま、この件について非常に貴重な意見をたくさんいただいていますので、この見直し案は、いままでいただいた意見をぜひ加えて報告をする方向でまとめさせていただきたいと思います。まとめる中身については、事務局と私のほうでご相談させていただいて、今日いただいた意見をできるだけ尊重する形の意見を付記して、総会で報告させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(各委員了承)

○田村部会長
 では、本件についてはそういうことでまとめさせていただきます。最後に所管課及び法人理事長よりコメントをいただきたいと思います。まず、大臣官房厚生科学課長から一言コメントございますでしょうか。

○大臣官房厚生科学課長
 大変貴重なご指摘をいただきまして、ありがとうございました。特に統合問題については、まだ結論を出すまでの精査が済んでいない状況でのご説明になったことをご理解いただきたいと考えています。他の中身については、NR制度のことであるとか、いろいろご指摘いただきましたので、そういった方向で進めてまいりたいと考えています。

○田村部会長
 続きまして理事長から一言コメントをお願いします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 お礼を申し上げます。委員の先生方には、大所高所から事務・事業の見直し案についてご審議いただき、まことにありがとうございました。第2期中期計画においては、人々の健康増進、栄養状態の改善、QOLの向上を目標にして、3つの重点調査・研究を中心に調査研究を進めてまいりました。それと、国民健康栄養調査、特別用途食品の表示許可試験、収去試験などの法定業務についても、効率的に進めてまいりました。今回、第3期中期計画に向けて、事務・事業の見直し案について、ご審議いただいたわけです。研究部門においては、重点化、自立化、効率化の推進、法定業務については、民間の参入、手数料の見直し、そしてNR認定業務については、第三者機関への移管などの見直し案をご了承いただきました。また、医薬基盤研究所及び労働安全衛生総合研究所の統合については、いまいろいろディスカッションいただきました。厚生科学課と相談しながら、今後の統合、あるいは方向性を検討していきたいと考えます。
 私どもとしては、この事務・事業の見直し案に基づいて、業務運営を着実に進め、独立行政法人ならではの調査・研究を推進し、国民の健康を守る、そして公衆衛生の向上に努めるなど、誠心誠意努力するつもりです。
 先生方におかれましては、今後とも、健康・栄養研究所へのご支援、ご鞭撻をよろしくお願いいたしたいと思います。本日は、まことにありがとうございました。

○田村部会長
 どうも、ありがとうございました。それでは、ここで法人、所管課の入れ替えを行いまして、5分後に再開とさせていただきます。

○田村部会長
 労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直し案について、審議したいと思います。まず所管課よりご説明をお願いします。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 労働基準局安全衛生部計画課長です。今日はよろしくお願いします。担当の調査官から説明させていただきます。

○労働基準局安全衛生部計画課調査官
 それでは私から内容を説明させていただきます。まず政独委のほうから安衛研に関して、勧告の方向性が出ています。その内容について、まずご説明しまして、その後、見直し案がどういう形かということで説明をしていきたいと思います。
 資料2-5に沿って、内容を簡単にご説明したいと思います。政独委からの指摘ですが、まず1番目が研究課題・テーマの選定の件です。安衛研において労働災害の防止等の課題に的確に対応するためには、やはり現場で働く労働者の側に立って、労働現場での実態に即した研究をやっていかなくてはいけないという観点から、実際の労働現場に研究者自らが、より積極的に足を運んで、現場が抱える課題、あるいは問題点、職場環境を見聞した上で、研究課題・テーマを選定すべきであるという指摘を受けています。
 2番目は研究成果の評価についてです。研究成果については、これまで中期目標なりで論文発表数、それから学会発表件数などについて数値目標を設定しまして、評価を行っておりました。政独委のほうでは、それだけではなくて、例えば労働安全衛生関係法令、各種の基準への反映の度合い、あるいは労働災害の減少度合い、そういった具体的な数値目標を設定して、評価を行うべきであるという指摘をいただいております。
 3つ目はプロジェクト研究への重点化です。基盤的研究については、必要性が高いものに限定をして、プロジェクト研究のほうにより一層重点化を図るべきであるという指摘です。
 続いて第2の「組織面の見直し」ということです。安衛研については国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所との統合等を検討しているところですが、これに関して具体的なメリット・デメリットを慎重に検討した上で、結論を得るべきであるというご指摘をいただいております。
 それから、この第1と第2以外に第3で、業務全般に関する見直しとして、そこに1からございます「効率化目標の設定等」であるとか、「企業水準の適正化等」、契約の点検・見直し」、「保有資産の見直し等」、「内部統制の充実・強化」、「その他」ということでご指摘をいただいています。
 この勧告の方向性とは別に、後ほど説明があると思いますが、11月26日に行政刷新会議のほうで、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本計画の中で、それぞれの独立行政法人について講じるべき措置が示されています。安衛研については、その中では政策実現に資する研究テーマへの重点化、それから自己収入の拡大ということを指摘をされております。
 私どもとしては、この勧告の方向性、それから行政刷新会議の見直しの基本方針の指摘について、見直し当初案の方向性と全く異なるものではないと認識しておりまして、これらの指摘の内容を基本的には受け入れる形で、見直し当初案の見直しを行ったところです。資料2-4が見直し案ですが、勧告の方向性との関係について対照表にしたものが資料2-3です。資料2-3に沿いまして、見直し案について説明をさせていただきます。
 まず研究課題・テーマの選定においては、勧告の方向性においても認められたとおりということで、今回の勧告の方向性を踏まえたものだということを明確にしています。
 それから2頁目は研究成果の評価です。数値目標を設定してほしいという指摘ですが、数値目標の設定のためには、やはり厚生労働省との連携が必要になってまいりますので、その部分を付け加えています。
 それからプロジェクト研究への重点化においては、先ほど申し上げた行政刷新会議の見直し基本方針も踏まえた記述にしているとともに、前回、8月の調査研究部会において見直し当初案を審議いただいたときに、ご意見をいただいて追加した「研究所の積極的なPR」という記述を付け加えさせていただいております。
 それから3の「自己収入の拡大」については、見直し基本方針を踏まえた記述にしています。外部研究資金、研究施設・設備の有償貸与などによって、自己収入を拡大するということです。
 それから第2の「組織の見直し」についても、勧告の方向性において指摘されたような観点から検討した上で結論を得るという見直し案にしています。
 3頁目以降については、勧告等の特段の相違というものはなく、そのままの形で見直し案を作成しています。以上です。

○田村部会長
 それでは、ただいまのご説明についてご意見、あるいはご質問等がありましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

○中村委員
 資料2-5の1頁目に「研究成果の評価」というのがあるわけですが、この中で査読付論文の発表数や学会においての発表件数にとどまらず、各種基準への反映度合いとか、そういったものを評価するとしています。私は、これは非常にいいことで、安衛研の存在価値やPRにも結びつくと思うのですが、最後にある「労働災害の減少度合いなど、具体的な数値で目標を示し」という点については、疑問を感じます。これを具体化することは難問ではないかという気がしますが、安全が高まったというのをどうやって評価するのでしょうか。これについては何かお考えがあるのでしょうか。
 労働環境の変化とか、あるいは工場の中でのシステムの変化というものに応じて、労働災害そのものも変化する面もあると思います。単に労働災害の減少度合いがどうのこうのと、しかも、それが安衛研の研究と結びつくかどうかという辺りの吟味は、ちょっと難しいのではないかと危惧します。どのようにお考えになっているのかお教えください。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 ご指摘ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりだろうと思います。私どもも政独委の議論においては、なかなか研究と災害を1対1の関係で証明するのは難しいという話を、縷々ご説明はしたのですが、そうは言ってもできる範囲内でといいますか、あるいはやれるものもあるのではないかということで、方向性としてはこういうことになったと思います。
 ですので、まさにそれは全ての研究についてそういう形で目標を設定していくというのは、難しかろうと思います。他方、夏の議論の際にも申し上げましたが、例えば安衛研でやった足場の規制などの研究の結果、足場からの転落事故が減ったみたいな話は、比較的ストレートに因果関係というのが結びついていて、それは1つの指標として、例えば制定できますねということはあるかもしれません。
 あるいは、ちょっとPRさせていただきますと、実は私ども、メンタルヘルス対策と受動喫煙防止対策の関係で、次期通常国会に安衛法の改正の提出を、いま検討を進めているのですが、そこで安衛研には、非常に貴重な研究成果を出していただいています。具体的に言いますと、例えばメンタルヘルスについてチェックリストで事業者に、まず一時的なチェックをしてもらおうということをやっているのですが、そこの項目などについては安衛研も出しましたし、精神医学会も出しましたが、最終的に安衛研が出したものが採用されるという方向になっています。
 あるいは受動喫煙について言えば、サービス業などでいきなり禁煙というわけにはいかないとすると、そこの濃度を管理しようという場合に、では、どういう濃度でいくのか、どうするのかという辺りについても、安衛研のいろいろな研究が活かされていることになっていまして、そういうものもあります。ただ、それがストレートにメンタルの人の数が減ったことにどれだけ結びつくかというのは、これは難しい。ただ、活かされていることは事実ですので、そういうこともあり、メンタルの関係についてはこうなりましたとか、あるいは受動喫煙による肺癌の死者については減りましたねみたいな話は、そこはある意味で項目ごとに少し濃淡を付けていく必要がある。そういう意味でここにも書いていますが、厚生労働省とそこら辺は、ある程度すり合わせる形でやっていきましょうということではどうかと思います。
 先生のご指摘はそのとおりだと思いますので、私どもも全ての研究について設定していくということではなくて、いま申し上げたような考え方でいければと思っているところです。

○田村部会長
 他にはいかがでしょうか。ご質問、あるいはご意見ございますか。

○田宮委員
 いまのご議論、とても興味深く、やはりアウトカムでの評価を目指しなさいというのは、確かに必要な方向だとは思います。ただ、全ての研究がそうはいかないものですから、それだけを追いかけることというのは、貴重な基礎研究がないがしろになるなどということが懸念されます。そういうことはないように、いまのお答でとてもそのとおりと思いますが、意識をしてできるところは出していくということでやっていっていただきたいとは思いました。また、そのときに、具体的に現場に足を運んでというのは、確かにとても重要なことではあります。
 あと、労災の臨床例ですね。ちょっと私は勉強不足で把握していないところもあるのですが、労災病院との業務の提携の話というのは、いまどのようになっているのか。いろいろ動いたと思うのですが、また統廃合の関連で、あれはどうなっていましたか。一時的に労災病院と一緒に、かなりやれそうな感じになったことがあったかと思います。教えていただければありがたいです。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 それは前政権下におきまして、安衛研については労災病院を運営している独立行政法人労働者健康福祉機構と統合するということが閣議決定されました。ただ、それは医薬基盤研と栄養研の統合も同じことになっていたのですが、これは新しい政権において凍結されて、リセットという形になっています。
 ですので、あれを前提にするのではなくて、一から考えるという話の中で、厚生労働省においては省内のいろいろな議論の中で、三独法プラスバイオという研究所もあるのですが、これを統合しましょうという案を出しております。それについては先ほど私も傍聴していましたが、政独委のほうからメリット・デメリットを踏まえて慎重に検討しろとも言われておりますし、あるいは政府部内の中でも刷新会議、あるいは文科省のほうでいろいろな動きもありますので、ここで性急に厚生労働省だけ突っ走っていくわけにもなかなかいかないという中で、そういう意味では若干ペースが落ち目になっているという状況だろうと思いますので、そこは先ほど厚生科学課長がご説明したような中で、私どももこの問題については対応していきたいと考えているところです。
 ただ、現実問題として統合するしないに関係なく、安衛研が労災病院の持っているいろいろな臨床データを活用するということは、これはあっていいわけで、それは統合しなくてもできるわけですので、そこはいままでもやっておりますので、そこを少しご報告させていただきたいと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 共同で研究しているということは、いままでもやっておりますし、今後も続ける予定です。また、臨床データをそのまま労災病院内部の人間が扱えるのと同じレベルで使うというような段階には、いままでのところは至っていません。前にあった統合の話が実現すれば、そういうのも話題に上ったとは思うのですが、それは一応ないということで、共同で今後も研究をしていく。ただ、臨床データなどの活用についてはここにありますとおり、今後はその方向に向けてさらに努力をしていくということはございます。
 具体的に臨床データを活用した研究にはアスベストですとか腰痛などでの実績があります。

○田村部会長
 ありがとうございました。他に何かご意見ございますか。

○酒井委員
 これは極めて個人的な意見ですが、こういう状況の中で、独立行政法人の皆さんたちが見直す要件のようなものが、枠としていろいろなところがかかってきて、それに応えるという形でこういう見直し案が作られている、そういうご説明を今日伺っていると聞いているのですが、やはり私は、見直し案というのはあくまでも法人がイニシアチブを持って、こうしたいのだというメッセージの中で応えていただきたいと、すごく強く感じています。そういう意味で興味深いのは、組織面の見直しの中で、研究面における具体的な効果が明らかでなくというように、ある意味で言い切っていただいているのを、たくましくも感じ、でもこれは具体的にどういうことを言っておられるのかという関心があるのですが、もし差し支えなければこの辺の背景はどんな議論になっているのかというご説明をいただけると、とても参考になると思いました。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 例えば医薬基盤研と安衛研の間ということですよね。

○酒井委員
 はい。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 それは先ほど、検証はまだ十分ではないということを厚生科学課長が申し上げましたように、最終的な結論ではないということでご理解いただきたいと思いますが、当然私ども、厚生労働省の中で三独法を統合するという方向性が出た際に、それについて当然のことながら、メリットをどのように説明していくかということが求められることは必至でしたので、事務的なものとしてそれぞれの研究内容等を突き合わせる形で、作業はしたわけです。
 そうしますと結局、医薬基盤研と栄養研というのはある意味ありますねと。あと、栄養研と安衛研も、いわば健康問題についての職域か、あるいは地域が広いかの違いがあるだけで、ありますねと。ただ、それとの比較でいくと、医薬基盤研と安衛研というのはいかにも遠いですよねという話が、これはある意味、誰もが気づくといいますか、わかる部分でもありまして、そこは率直なところ、認めざるを得ないのかなと思っているわけです。ただ、あえて申し上げますと、確かにシナジー効果という面ではそうなのですが、他方、メリット・デメリットという中には、例えば人件費、間接部門の効率化など、そういうものも含めてのメリット・デメリットですので、そこはワンオブゼムのものとして、その研究のシナジー効果も考えるけれども、他の部分についても総合的に考えていくということであろうとは思うのです。ただ、研究面からいうと、3つそれぞれに全て間口で効果を証明していくというのは、ちょっと厳しいなというのが率直な、現時点での私の考えです。

○酒井委員
 これも個人的な意見ですが、いまの課長のお話を聞いて、少し安心する面もあるのですが、少なくとも安衛研は現在国際的に見たときに、国内の日本の唯一のナショナルセンターなのであって、これは名前だけの話ではなくて、内容は確固たるものとして確立していただきたい。これは国際的にそういうものだと思いますし、それが何か変なシナジー効果のところだけでいって、「変な」と言うと語弊がありますが、それで数の論理で、明らかに基盤研と皆さんの所の規模からいったら段違いなので、そういうパワー何とかということだけで言っていただきたくなくて、やはり中身を、そういう意味でイニシアチブを、法人自身が社会に対してアピールする中で、要請についてどう応えるかという順番で、是非、物事を整理していただきたいと、これは個人的な要望です。

○田村部会長
 何かコメントはございますか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 応援ありがとうございます。私どももそのつもり、その覚悟で、この問題について対処してきておりますし、今後ともしていきたいと考えています。

○岩渕委員
 これは各法人、共通している話だと思いますが、独立行政法人は無駄遣いがあるのではないかという厳しい批判ということですが、これはいままでもずっと言われながら、努力もしてきたのは一応承知しておりますが、その中でいえば、象徴的なものとしては、その後に出てきている、例えば競争入札を徹底してやるとか、そういう形に、これは具体化するときにやる課題ではあろうと思うのですが、これは役所のほうで考えたほうがいいのかもしれないけれども、例えば一般競争入札に馴染まないものも含めて、とにかく100%やるという、それくらいやらないと一般国民の理解はなかなか得られないのではないかということを危惧しているので、一応意見として、返事はいりません。

○労働安全衛生総合研究所理事
 私どもの研究所では、機械の購入を含めて、すべて一般競争入札を原則としております。更に徹底してまいりたいと思いますし、外部の有識者からなります契約監視委員会等でもチェックしていただいておりますので、そのような意見も踏まえて契約の透明化に一層努めてまいりたいと考えているところです。

○田村部会長
 他に何かございますか。

○田宮委員
 細かい所なのですが老婆心ながら、前から少し議論に出ているところで気づきましたので。資料2-3の「事務及び事業の見直し」の最後のほうの文言の所なのですが、「このため、学会への参加や云々」という所で、「労災の臨床例なども活用して、研究課題・テーマの選定に的確に反映するものとする」という所が、ちょっと労災的な文言が多いかなと思います。以前にもお話させていただいたことがありますが、ここもいまのお話ですとメンタルヘルスであるとか、アスベストとかという実態もあるようですので、業務上疾病もここに一言あったほうがよろしいのではないかと思いました。臨床例の所ですね。細かい所ですが。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 評価官室とも相談して、反映できる範囲内で検討したいと思います。

○田宮委員
 ご検討ください。

○田村部会長
 ありがとうございました。他にご意見、ご質問等はございますか。
 それでは、この件についても、この見直し案をベースにして、ただいま種々貴重なご意見をいただいておりますので、それを付記して総会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(各委員了承)

○田村部会長
 内容については事務局と私のほうで相談させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、この件についてはそういうことで総会に報告することにさせていただきたいと思います。
 最後に所管課及び法人の理事長からコメントをいただきたいと思います。まず所管課長のほうからコメントをいただけますでしょうか。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 本日いただきました貴重なご意見を踏まえて、次期中期目標を策定するなど、所管課としても、独立行政法人安衛研がきちんと国民に役立つ研究所であり続けるように努力してまいりたいと考えております。引き続き委員の皆様方のご指導をよろしくお願いします。本日は本当にありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。引き続きまして理事長から一言コメントをお願いします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 本日、応援的なコメントもいただいたかと思います。私どもは我が国唯一の労働安全衛生の研究所であるということで、この業務の重要性は変わることがないと認識しております。今後、状態についてはまだこれから厚生労働省で相談して、検討ということになるのだろうと思いますが、どのような形になりましても、労働安全衛生ということが埋没して消えてしまわないように、我々としても精一杯努力するつもりです。本日はどうもありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、ここで法人と所管課には退室をお願いします。

○田村部会長
 それでは最後に独立行政法人を取り巻く状況について、事務局から報告をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料3-1から資料3-7です。駆け足になるかと思いますが、ご説明します。まず資料3-1です。こちらは前半の組織・業務の見直し案の中でも言及が何度かありましたが、行政刷新会議のほうでまとめたものです。11月26日に行政刷新会議で決定しまして、本日、閣議決定をしていますが、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針というものが定まっています。
 この基本方針のそもそものきっかけは、6月に蓮舫行政刷新担当大臣から独立行政法人、政府系公益法人等の抜本改革に向けた当面の進め方というのが示されました。この中で全ての独立行政法人の業務について、行政刷新会議において業務の全容を検証して、その結果に基づき、見直しの基本方針を年内に策定するということが示されまして、そちらに基づいて策定されたものになっています。
 全ての独立行政法人について、事務・事業の見直しがなされている他、全法人を横断した観点として、不要資産の国庫返納、事務所等の見直し、取引関係の見直し、人件費・管理運営の適正化に取り組んでいくことというのがまとまっています。
 法人個別に指摘がされておりますが、別表で付いていますが、本日の組織・業務見直し案の内容も、こちらを踏まえたものになっていまして、各法人、組織・業務の見直しがない法人についても、ここに示されている方向で事務・事業等の見直しをしていくこととしています。
 こちらは独立行政法人の個別の事務・事業の見直しの基本方針ですが、そもそも独立行政法人の制度自体も在り方の検討をするということをしておりまして、年明けからその議論が始まる予定になっています。
 続いて資料3-2です。こちらは厚生労働省独自の取組ですが、長妻前大臣の指示がありまして、行政刷新会議の動きですとか、厚生労働省においては省内の事業仕分けなどをやっていましたが、そうした中で出てきた独立行政法人等に関する指摘を受けて、業務内容や実施体制を再点検して、この法人の統合を民営化・地方移管・廃止、こういうことを含めた整理合理化というものを検討してみようと発足した委員会でして、先程来話題になっていました3法人の統合の話も、一定程度の方向性がこの委員会としてまとまるのではないかと思っています。
 9月13日に第1回を開催していまして、これまで計7回開催していますが、8回と9回を12月中にやる予定にしていまして、12月21日に最終の取りまとめを行う予定となっています。こちらが取りまとまりましたら、また別途、皆様に内容をご連絡したいと思っています。
 それから3点目、資料3-3です。?@?Aと分かれた資料をご用意していますが、こちらは独立行政法人が保有する不要財産の国庫納付、そういったことを義務づける通則法の改正法案が11月27日に施行されましたというものです。
 夏の部会において、あらかじめこの法案の内容をご説明して、例えば調査研究部会では医薬基盤研究所の土地が不要財産に該当していますが、こちらの承認手続については部会で了承をいただいた後、個別の返納手続については部会長に確認をいただくということを、合意を取らせていただきましたが、今後そういった手続を進めさせていただくことになります。
 また、この改正法が成立していますので、今後のいろいろな見直しの中でこれは不要だという資産が出てきた場合には、また部会において了承をいただいて、国庫納付を行っていくことになっていきます。
 続いて資料3-4です。こちらも健栄研の議論の中で出てまいりましたが、研究開発法人の在り方に関する政府内の検討状況です。民主党のマニフェスト等にも書かれていたことを受けまして、文科省で音頭を取ってやっている検討チームなのですが、研究開発の特殊性、優れた人材の確保、国際競争力の確保などの観点から、関係府省の副大臣や政務官をメンバーとして、研究開発を担う法人の機能強化検討チームというのが発足していまして、検討が進められています。
 今年の4月に中間報告が出されていまして、その中では「国立研究開発機関」(仮称)、こういった制度を創設しようという提言がなされていますが、独立行政法人の制度の見直しと両輪として議論を進めていこうという話もあった関係で、4月に中間報告が出されたものの、まだ最終報告というのは出ていないという状況になっています。
 新しい制度の概要として、資料3-4のポンチ絵を付けています。おそらくこの部会の皆様もお感じになられていることだと思うのですが、独立行政法人の経費を削減しようという動きと、いい研究をしていこうという流れは、矛盾するといいますか、難しいところもあるので、独立行政法人制度とは別の研究開発法人という制度を作ろうという動きになっていまして、年内にもチームとしての最終報告案を取りまとめて、次期の通常国会に制度創設のための法案を提出したいと聞いています。
 独立行政法人についての通則法と同じような形で、研究開発法人に関する通則法というものを作って、また個別の法人ごとに、この研究開発法人のほうに乗るのであれば、また法案を出して移っていくという動きになろうかと思っていますが、独立行政法人制度の改廃とも関係がありますので、今後どうなるかは非常に注意していかなければいけないという状況になっています。
 その他ですが、資料3-5、資料3-6、資料3-7、こちらは調査研究部会の所管する法人に関するものではありませんが、独立行政法人の関係として新聞等をにぎわせることもありますので、合わせて情報提供をさせていただきます。
 資料3-5ですが、行政刷新会議のほうが10月に、その前までにやっていた仕分けの結果が十分反映されているかどうかという点で、再仕分けを行っていますが、厚生労働省の独立行政法人関係の再仕分け結果になっています。
 それから資料3-6は雇用・能力開発機構を廃止する法案ですが、この臨時国会に提出をしたものの、衆議院のほうは通過しましたが、参議院は時間切れとなって、継続審議という形になっています。その法案の概要を参考で配らせていただいています。
 それから同じく法案の関連ですが、資料3-7は独立行政法人年金健康福祉施設整理機構、RFOという通称で呼んでいますが、こちらの法人は社会保険病院を経営しているのですが、以前、この社会保険病院等を存続させるために、地域医療機能推進機構という別の法人を立ち上げて、このRFO自体は年金福祉施設を売却するために設立されたもので、廃止の期限も今年の9月30日までとなっていたのですが、社会保険病院については存続させたほうがいいだろうという動きがあり、先ほど申しました地域医療機能推進機構というのを立ち上げるという法案を、前の国会に提出していたのですが、こちらが廃案となってしまいまして、そうしますと放っておくと9月30日にRFOがなくなってしまって、社会保険病院の運営が滞ってしまうということがありましたので、議員立法のほうで資料3-7-?@で配っているものですが、RFOの存続期間を2年間延長するという法案が出されておりますので、ご参考でございます。
 それから、このRFOの施設の譲渡業務については無事に完了しておりまして、そちらの資料も資料3-7-?Aとして付けております。以上です。

○田村部会長
 ただいまの事務局からのご報告について、何かご質問等はありますか。

○酒井委員
 もう一度、3機関の統合化は、今後どういうプロセスを経て最終決定するかということを教えていただけたら、お願いします。

○政策評価官室長補佐
 非常に省内でも対応に苦慮しているといいますか、いまご説明した資料3-2でお示しした整理合理化委員会というのが、厚生労働省の中では、いまいちばん議論をしているところになっていますが、こちらの議論も傍聴しておりましても、順調に進んでいるとは言えないなというところがありまして、年内に何らかの取りまとめをするということにはしておりますが、どのようなものが出てくるかというのは、まだ全く見えていないという状況です。
 また、おそらく整理合理化委員会を立ち上げたときには、それほど気にしていなかったのですが、研究開発法人の制度の見直しのほうも、順調にいけば来年度から、また新しい法案の提出はあるということもありまして、そうするとまたそこに乗るのかとか、乗る際に3つまとめた形で乗れるのかとか、バラバラにして、この法人は乗るけどこの法人は乗らないということも出てくるのではないかという様相も、いま複雑に絡み合ってきていますので、見込みは全くないと。
 結局、法案を所管しているのは厚生労働省になりますので、まず省としてどういう方向性を出すかというのを、大臣以下で1つ結論を出しまして、またそれを総務省なりと協議をしていって、調整をしていくという形になっていくと思っています。

○田村部会長
 他に何かご質問はありますか。ドラスティックにいろいろなことが変わっている状況なので、わからないことがいろいろあるかと思いますが、よろしいですか。また折に触れて、いろいろと重要な情報があったら、お教えいただきたいと思います。
 それでは、本日の審議は以上ということにさせていただきます。事務局から何か連絡事項等があれば、お願いします。

○政策評価官室長補佐
 本日ご審議いただきました国立健康・栄養研究所と労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直し案については、来週16日の総会でもご審議いただく予定としています。総会メンバーの皆様におかれましては、16日の17時から、厚生労働省9階の省議室において開催を予定しておりますので、お忙しい中、おそれいりますが、ご参集のほどをよろしくお願いします。
 なお、総会でご審議いただいた結果、決定されたものについては、改めて委員の皆様にお送りさせていただきます。
 それから次回の調査研究部会ですが、年度末に開催を予定しております。年が明けましたら、委員の皆様方のご都合を確認させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。以上です。

○田村部会長
 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたりまして、また、遅い時間帯に熱心なご審議をいただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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