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2010年8月11日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第49回)議事録

○日時

平成22年8月11日(水)13:30~16:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

   田村部会長、鈴木部会長代理、岩渕委員、酒井委員、清水委員、政安委員、武見委員、田宮委員、中村委員


○議事

(以下、議事録)
 
○田村部会長
 定刻となりましたので、ただいまから第49回「独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は市川委員がご欠席でございます。
 それでは、本日の議事に入ります前に、事務局の政策評価官に異動がございましたので、ご挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○政策評価官
 7月30日付けで政策評価官を拝命いたしました篠原と申します。よろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、本日の議事等につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 本日の議事ですが、平成21年度の財務諸表に関する意見及び業務実績に関する総合評価を法人ごとに分けてご審議いただいたあと、昨年度をもって中期目標期間を終了しております医薬基盤研究所の最終評価につきまして、ご審議いただきます。医薬基盤研究所につきましては、昨年度暫定評価を行っていただいておりますが、それを踏まえて、法人から報告された業務実績をもとに起草委員にまとめていただきました最終結果報告書、こちらの案についてご審議をいただくことになっております。なお、この最終評価結果につきましては、年度の実績評価と異なりまして、当部会のあと、総会においてご審議いただいて確定するという手続になりますので、念のためご承知おきください。
 法人ごとに行います財務諸表と最終評価の手順についてですが、まず、財務諸表に関する意見についてご審議いただきます。各法人の財務諸表に関する意見については、財務担当委員からご発言をいただきまして、それを踏まえてご審議いただきます。また、医薬基盤研究所につきましては、中期目標期間の終了時における積立金等の承認に係る手続の関係上、本部会の前に事前に「持ち回り」で承認をしていただいたところでございますので、今回ご審議いただく対象とはなりませんが、財務担当の委員からのコメントについて、ご報告させていただきたいと思っております。財務諸表の関係が終わりましたら、平成21年度業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づき、起草委員において起草いただいた総合評価書案についてご審議いただきます。
 なお、これまで皆様にご記入いただきました評定記入用紙、お使いいただきました評価シート及び各委員の評定結果一覧表をお手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議等を踏まえまして評定を確定いただく時間を法人ごとに設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日は以上のような流れでご審議いただきますので、部会の途中で法人及び所管課の入替えをさせていただきます。また、本日の議題と直接の関係はございませんが、お手元に参考資料として「独立行政法人評価委員会における独立行政法人の役職員の給与等の水準の活用について」というものをお配りしております。これは、昨年度も同様に送付があったものですが、総務省行政評価局より各府省の独立行政法人評価委員会宛に送付があったものです。独法の役職員の給与等の水準をまとめた資料となっておりますので、ご活用いただければと思います。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは審議に入りますが、まずは総合評価書、財務諸表に関する意見の取りまとめにつきましては、委員の皆様にはお忙しい中ご尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。
 初めに、労働安全衛生総合研究所について審議いたします。まず最初に、財務諸表に関する意見についてでございます。財務諸表につきましては、独立行政法人通則法38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされています。それでは、財務諸表につきまして担当の委員である清水委員、岩渕委員から意見書(案)の内容も含め、簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

○清水委員
 清水です。事前に財務諸表をいただきまして、7月27日にヒアリングをさせていただきました。その結果、財務諸表に関しましては特に修正が必要というふうには認めませんで、このとおり承認することが適当だと考えております。
 併せて、簡単なコメントです。今年21年度の評価ということでございますけれども、非常に地道な法人の努力というものが表れた年であったかなというふうに思います。自己収入という点で、受託研究収入であるとか、あるいは講師謝金であるとか、そういったものがかなり前期を上回るペースで実績として出てきておるということで、当期総利益1,500万という数字に結びついているものというふうに拝見いたしました。
 また、経費の節減の努力というようなことにつきましても、中期目標期間の目標というものを大幅に上回るペースでこれまできているということで、あと1年このペースで頑張れば目標達成というふうなことになろうかなと思います。併せて、契約改革に関する取組も、非常に顕著なものがみられるということで、かなり競争性のある契約方式に改善してきているように思います。
 1点、人件費についてなのですが、ラスパイレス指数というようなことで、毎年、比較をさせていただいているわけですけれども、やはり今年21年度につきましては前年度を上回る水準になってきておるということでございます。これにつきましては、本省との人事交流等、いろいろな理由で上回ったというふうな理由もお聞きしているところでございますが、そういった理由はやはり国民に対しての説明ということでは不十分かなと思いますので、より主体的な人事政策の中でどのような数値を目指すのか。また特に今日いただきました資料によりますと、来年度はさらにまた上がるという見込みをいただいております。ということもございますので、どの程度の数値を法人として目指されていくのかということを、しっかりと見極めていただきたいと思います。
 それから、本年度の重点課題としまして内部統制制度であるとか、あるいは資産の有効活用ということがあったかと思います。内部統制に関しましては、特に財務の面からいきますと、その財務諸表の正確性、信頼性ということを担保するための内部統制の仕組みというのが、有効に整備されて活用されているかということなのですが、ヒアリングさせていただいた範囲におきましては、非常に資産として計上すべきものはきちんと把握されて、検収の都度、資産計上されているということもございましたし、それから期末時にはきちんと実在性も確かめられているということで、有効に機能しているのではないかと判断いたしました。このようなことは是非、続けていただきたいと思います。
 資産の有効活用につきましてもいろいろな専門的な研究機器がある中で、主なものにつきましては稼動率等を把握されているということでございました。資産の有効活用につきましては、単に活用する研究目的ということだけではなくて、これは財務とも非常に密接な関係がございます。と申しますのは、独立行政法人には減損会計というのが既に導入されておりまして、当初の目的にしたがった目的に使われているかということで、それが不十分な場合は、場合によっては評価損を計上するということが必要になってまいります。21年度につきましてはそういった稼動率に関するデータは拝見いたしませんでしたが、今後とも細かいものにつきましても稼動率の把握というものに努めていただいて、一層の有効活用の可能性があるのかないのかというところを、また見極めていただきたいと思います。私のほうは以上でございます。 

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、岩渕委員からお願いいたします。 

○岩渕委員
 簡単に申し上げます。私のほうから1つは研究協力について一言申し上げておきたいと思います。研究協力の促進については、目標計画の中にも盛り込まれていて、大変に促進されているという点は、その限りでは評価されることではないかなと思います。ただ、私自身で考えてみると、例えば6カ国12機関等の研究協力を行っているということで、これは毎年増えているというのがいつも報告されるのですが、それによってどのような成果が上がったのかというところがどうも見えてこない。ちょっときつい言い方をすると、それぞれ協定を結んだり打合せをしたり、ずいぶん時間と費用がかかっているのではないかなというようなことを感じています。ですから、共同研究のための共同研究ではなくて、成果の上がる共同研究をもうすこし考えていただけないかということを申し上げます。
 それからもう1つ、先ほど来出ていますラスパイレス指数。これは各法人共通する課題でありますけれども、検疫を除いて研究職のラスパイレス指数が低くて、事務・技術職のラスパイレス指数が非常に高いという傾向がある。これは、いろいろな事情説明いただきましたけれども、基本的にいえば、要するに、研究職についていえば、任期制を大量に採用してラスパイレス指数がどんどん下がってきている。一方、事務それから技術についていえば、本省からの出向だとか天下りだとか、さまざまな状況で高止まりしているというようなことが窺われて、ある意味で研究所内での格差が非常に大きくなっているのではないかと懸念いたしております。
 本来、研究所というのは研究職がもう少し優遇されて、優遇されないにしても、きちんと研究できるような労働環境を整えていくのが本来の姿ではないかと思われますけれども、いま現在のこういうことですと、べらぼうな数値目標が次から次へと振りかかってきて、特に若手の研究員なんかは焼けたトタン屋根の上のネコ状態ではないかなということを心配しております。ワークライフバランスを国が旗を振っている中で、そういう意味でいうと中年以上の方たちはそれぞれ旗を振って尻を叩いていれば済むかもしれませんけれども、若い人たちが非常に苛酷な労働環境の中にあるのではないかということを懸念しております。
 ですからその辺のところを皆様一つよく考えて、任期制ということを武器にして帳尻合わせで成果を上げたというふうな、大本営発表みたいなことをするのではなくて、もっと実質的な日本の研究水準を維持・確保、それは世界一でなくたっていいですけれども、そういうことを確保すると同時に、国の関係機関が労働環境を壊すことがないように、よろしくお願いしたいということを申し上げておきます。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまご報告をいただきました労働安全衛生総合研究所の財務諸表につきまして、ご意見等がございましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。それでは、平成21年度の財務諸表に対する意見といたしましては、資料1-1の案のとおりで修正意見はないようでございますので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いますがよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 それでは、そのようにさせていただきます。
 では次に、労働安全衛生総合研究所の総合評価について審議いたします。審議については、まず事務局より総合評価書(案)について概要の説明を行い、その上で起草委員から今回の総合評価についてコメントをいただき、その後、審議とさせていただければと考えています。では、まず事務局より、総合評価書(案)の概要説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは、ご説明いたします。資料1-2「独立行政法人労働安全衛生総合研究所の平成21年度の業務実績の評価結果(案)」です。
 1頁、「1平成21年度業務実績について」です。「(1)評価の視点」では、研究所の設立経緯、中期目標期間の第4年度であること、政・独委の諸規定等を紹介しているところですので、割愛させていただきます。
 「(2)平成21年度業務実績全般の評価」です。2つの研究所の統合から第4年度目となる平成21年度は、交代した理事長のリーダーシップの下、統合メリットを一層発揮しつつ、業務運営の効率化と研究活動の効果的実施を図るべく、積極的な取組が推進され、その成果が認められるところであるとしております。
 業務運営の改善については、内部統制の確立、情報伝達の円滑化を目的として、諸会議の見直しや情報管理の一元化、研究職員の業績評価システムの統合など、研究管理の一元化等の取組が進められていることを述べています。また、総務部門業務の清瀬地区への一元化や契約の見直し、省エネ対策、購入外国誌の見直し等の経費節減が進められており、その成果として、一般管理費及び業務経費、人件費については、いずれも中期目標期間の数値目標を上回るペースで削減されていることを評価するとしています。さらに、競争的資金等の外部資金の獲得や、施設貸与等の自己収入の確保にも努めていることを記載しています。
 研究活動の効果的実施については、第一に、労働安全衛生分野における行政ミッション型研究所として、労働現場のニーズ、行政ニーズの把握と業務への積極的な反映に努めていること。特に、労働安全衛生重点研究推進協議会運営の取組において、新たに労働安全分野における重点3研究領域32優先課題(案)を取りまとめたことを評価することとしています。
 その上で、プロジェクト研究等については、社会的ニーズに対応しつつ研究資源を重点的に投入して展開しており、高い研究成果を上げていると評価するとしています。ただし、今後、統合による学際的な研究の推進に一層積極的に取り組む必要があると記載しています。
 研究成果の社会への還元についてですが、研究で得られた科学的知見を活用し、ISOやJIS等国内外の基準制定等に関する委員会に職員を派遣し、また、行政からの要請等により、法令等の制定、改定等の基礎資料の提供を行うなど、行政ミッション型研究所としての貢献は高く評価できるとしております。さらに、インターネット等を通じた情報発信にも努めており、研究所ホームページにおける「研究業績・成果」等の掲載に対して、アクセス件数が目標を大きく上回るなど、実績については高く評価できるとしております。このほか、安全衛生技術講演会、研究所の一般公開等さまざまな取組により、研究成果の積極的な普及に努めていることを記載しています。
 労働災害の原因の調査等については、研究所でしかできない社会的意義の高い事業であるとしております。これを迅速・的確に実施しており、依頼元である労働基準監督署、警察署等からも高い評価を受けていることを記載しております。その実績及び貢献については、特に高く評価するとしています。
 さらに、労働安全衛生分野の国内外の研究協力の促進および若手研究者の育成については、大学等へ客員教授、非常勤講師等として多くの職員を派遣して教育支援を行うとともに、国内外から多数の若手研究者等を受け入れて研究指導を行うなど、その貢献を高く評価するとしています。国内外の大学、企業等との共同研究も目標を上回り実施しています。
 これらを踏まえると、平成21年度の業務実績については、業務運営の効率化を行いながら、研究活動の充実を図るとともに災害調査等にも的確に対応するなど、大きく社会的貢献を果たしており、研究所の目的である「職場における労働者の安全及び健康の確保」に資するものであり、高い水準で実施したものと評価できるとしています。
 続いて、2以下、「具体的な評価内容」を書いておりますが、掻い摘んでご説明いたします。「具体的な評価内容」ですが、柱をいくつか立てており、「(1)業務運営の効率化に関する事項について」、3頁中ほどからサービスの質の向上に関する事項について、5頁「(3)財務内容の改善に関する事項について」、6頁「(4)その他業務運営に関する事項について」、「(5)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応について」、という区分を設けて書いています。
 「(1)業務運営の効率化に関する事項について」です。「?@効率的な業務運営体制の確立」として、研究管理の一元化等の取組が着実に進行していること、また平成22年度から4人の人員削減が決定されることなどを記載しています。
 「?A内部進行管理の充実」については、定期的なモニタリングを行っていること、公正な研究評価を行い、その結果を人事等に反映することなどを紹介しております。
 「?B業務運営の効率化に伴う経費節減」については、契約監視委員会の開催についての記載を設けておりまして、また、一般管理費、業務経費について目標を上回るペースで削減されていること、自己収入の確保に努めていることなどを記載しております。
 「?C効率的な研究施設・設備の利用」についても、光熱水費の大幅な削減をしたこと、また共同利用の促進をしたこと等を記載しておりまして、評価するとしております。
 (2)のサービスの内容についてですが、「?@労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映」については、1の(2)で述べたことと重なりますが、労働安全衛生分野における重点研究領域や、優先課題を取りまとめたことを記載しています。
 「?Aプロジェクト研究、基盤的研究の実施」については、プロジェクト研究12課題等について、行政ニーズ及び社会的ニーズによく対応して展開していること等を記載しております。なお、基盤的研究の位置づけについては、将来に向けて創造的、萌芽的研究としての戦略的バランスが示されることを期待すると書いております。
 続いて、「?B学際的な研究の実施」については、着実に実施しておりますが、今後一層、積極的に取り組む必要があるとしています。
 「?C研究項目の重点化について」ですが、中期目標計画を上回る削減を達成しているということを記載していますが、なお書きとして、研究の重点化に当たっては、将来的に必要となる研究まで削減してしまうことのないよう、ニーズ等の十分な検討が必要であるとしています。
 「?D研究評価の実施」については、全研究課題について内部評価を行っていること、プロジェクト研究等については外部専門家による評価を行っていることや、そうした評価の結果を予算配分、人事等に反映していることを記載しています。
 「?E研究成果の積極的な普及・活用」についてですが、行政ミッション型研究所としての貢献は高く評価できるとしておりまして、論文の発表について、中期目標を上回り大きく前進させていることを記載しております。ただ、質の確保についても努める必要があるという記載を設けています。インターネット等を通じた情報の提供については、ホームページのデザインの改善について記載しており、アクセス件数が目標を大きく上回ったことについて記載しています。
 また、安全衛生技術講習会や研究所の一般公開等さまざまな取組によって、積極的な研究成果の普及に努めていることを記載しております。なお、安全衛生技術講習会への参加者に対するアンケート結果については、目標を下回っておりますので、今後テーマ設定等の改善に努める必要があるとしております。また、特許権の取得促進の取組について記載しており、知的財産の活用に向けた積極的な姿勢を評価するとしています。
 「?F労働災害の原因の調査等の実施」でございますが、こちらについては実績及び貢献について高く評価すると記載しております。また、こうした社会的意義について、さらなるPRを期待するとしています。
 「?G国内外の労働安全衛生関係機関等との協力の推進」ですが、労働安全衛生研究の指針となる安全衛生重点研究領域・優先研究課題の策定を行っていることや、シンポジウムの開催をしていること等を記載しており、特に国際学術誌「Industrial Health」については、中期目標を上回る年6回の発行を行っていること、インパクトファクターが大幅に向上するなど、その成果について高く評価するとしています。その他、国内外の研究協力の促進や若手研究者の育成について、その貢献を高く評価するとしています。また、国内外の大学、企業等との研究協力の推進についてですが、目標を大きく上回っており、その実績を評価するとした上で、今後、研究所としての研究展開の将来ビジョンに対応した戦略的な研究協力のあり方について検討することが重要であるとしています。
 「?H公正で的確な業務の運営」として、情報セキュリティポリシーを策定していることや、研究倫理について厳正な審査を行っていることなどを書いております。
 「(3)財務内容の改善に関する事項について」です。「?@運営費交付金以外の収入の確保」について、目標を上回る実績を上げたことを高く評価するとしております。?A予算、収支計画及び資金計画については、一者応札の割合を大幅に削減することなどを書いており、高く評価するとしています。
 「(4)その他業務運営に関する事項について」です。「?@人事に関する計画」については、採用に関する工夫について記載をしており、多くの応募者から資質の高い人材の採用に努めていることを評価するとしています。人事評価について、適正な評価を基に実施しており、結果については表彰、人事管理にも反映しているとしております。「?A施設・設備に関する計画」について、適切な実績といえるとしています。
 「(5)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応について」ですが、重なる部分がありますので、割愛させていただきます。以上でございます。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、起草委員を代表して、私のほうから発言をさせていただきます。
 労働安全衛生総合研究所については、産業安全研究所と産業医学総合研究所とが統合され、平成18年4月に発足したわけでございますが、今年度は平成18年からの4年度目、つまり平成21年度における達成度について評価したものです。
 業務実績全般の評価については、交代した理事長のリーダーシップの下、統合メリットを発揮しつつ、業務運営の効率化、研究活動の改善、研究成果の社会的貢献について着実に前進されていると思っております。業務運営の効率化については、研究管理の一元化、総合部門業務の一元化、契約の見直し等による経費節減に努められており、先ほどご紹介がありましたように、一般管理費、業務経費、人件費は中期目標期間の数値目標を上回るペースで削減に努められたといった点は、評価できる点ではないかと思います。また、競争的資金等の外部資金の獲得、施設貸与の自己収入の確保にも努められているということです。
 また、研究活動の改善については、労働安全衛生分野における行政ミッション型の研究所として、労働現場のニーズ、行政ニーズの把握に努められ、積極的な反映に努めていること。そして、プロジェクト研究等においても、社会的ニーズに対応して、資源の重点的な投入展開をされ、そして高い成果を上げているということです。成果については、ISO、JIS等の国内外の基準制定等、あるいは法令等の制定、改定等に活用されていること、労働災害の原因、調査等に的確な対応をしていることについて、社会的貢献が高く評価できる点ではないかと思っています。
 以上から、労働安全衛生総合研究所の業務実績は、研究所の目的である「職場における労働者の安全及び健康の確保」に資するものであり、高い水準にあったといえるのではないかと思います。ただ、統合による学際的研究の推進については、これまでも努力されているところでありますけれども、今後、さらに積極的な取組を行うことを期待しております。私からは、以上です。
 それでは、ただいま報告いたしました総合評価書(案)について、ご意見等がございましたら伺いたいと思います。

○清水委員
 文言の話なのですが、重複している部分がございまして、6頁?Aのところです。提案としましては、?Aの下から3行目、「数値目標」の後に括弧がありますけれども、括弧以下から最後の行、「目標を」というところまでは前出と重複しますので、そこは削除していただいて、代わりに「前出のように」と入れていただければ、その前に同じ数値が出てきますので、そこはそれでよろしいと思います。
 もう1点なのですが、次頁の7頁?Eの内部統制についてということで、これが課題になっているわけですので、いちばん下の行に「内部統制環境」とあるのですが、環境はいらないのではないかと思います。代わりに「適切な」と入れていただいて、「適切な内部統制を確保していく必要がある」ということで、これは整備も運用も含めてということで通じると思いますので、そのようにお願いできればと思います。以上です。

○田村部会長
 これは、より適切な表現ということでご提案いただいており、特にご異存はないですね。ほかには、何かございますでしょうか。

○中村委員
 全体的に昨年度と比べても数字的にも総体的によくやっているという評価かなと思っています。ただ、集計表で見る評価結果が総合評価書に反映されてなくて、その点では若干気の毒という気がします。例えば、業務運営の効率化、運営費交付金で収入の確保など、この辺は文章の中でも特段今回頑張ったと言っているわけですが、必ずしも評価点にはそれが反映されていません。ただ、評価点は丸めた数字でありまして、委員の先生方の評価は高かったということだけは確認しておきたいと思います。

○田村部会長
 いまのご意見について、何かございますでしょうか。評価点については、もう一度見直しする時期がございますので、そこでまた確認をしていただければと思いますが、内容については、いまお話になったことで皆様ご理解いただいているということでよろしいでしょうか。ほかに、何かご意見等ございますでしょうか。
 それでは、先ほど表現の修正がございますけれども、そういう方向で直していただくということで、平成21年度の業務実績の評価結果として、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。
 なお、今後、さらに誤字脱字、あるいは事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私のほうにご一任いただくということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

○田村部会長
 それでは、そのような取扱いをさせていただきたいと思います。最後に、法人理事長よりコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 前田でございます。ただいまご評価いただきまして、誠にありがとうございます。いただきました評価結果につきましては、真摯に検討いたしまして、今後の研究所の運営に役立てていきたいと考えております。特にここに書かれていないことだと思いますけれども、財務関係のコメントでいろいろ口頭でご意見をいただきました。私が印象に残りましたのは、岩渕委員のコメントで、研究員の給与が低いと見えるのはいかがかと。これは、私どもの考えとも非常に一致するところで、研究所のエンジンは研究員ですので、研究員は今後とも大切にしていきたいと考えております。ただ、それと給与水準と微妙になかなか一致しないところがありまして、必ずしも本省から高い給与の無駄な人が出向してきているという、そういう実態ではないと考えています。本省とは協議をいたしまして、適切になるように努力はするつもりです。
 それともう1点。研究員の任期付研究員というシステムが、研究員給与を下げているのではないかということは誤解があるかと思います。任期付研究員の給与は、実は一般のパーマネントの給与よりも高いということで、パーマネントにしてしまうと給与が下がるということで、どうしようかと迷う人も中に若干いるという実態です。パートの研究員と違いまして、我々の任期付研究員制度は、かえって任期付が故に高いというような状況になっております。ただ、任期付研究員が必ずしも望ましいかどうかはケースバイケースだと思いますけれども、苛酷な状況に研究員があることはたしかだと思いますので、それについてはできる限り適切な運営を心がけていきたいと考えています。ちょっと脱線しましたが、総論としては非常に結構な評価をいただきまして、今後とも努力いたしますので、ありがとうございますということを申し上げて、私のご挨拶といたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評価を修正したい方は、ここで修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いします。なお、修正に当たり、事務局より留意事項があるとのことですので、説明をよろしくお願いします。

○政策評価官室長補佐
 留意事項ですが、まず前回までにご記入いただいた評定記入用紙及び評価シートは机の上に置いてあります。本日の財務諸表等に関する報告をお聞きになり、個別評価の修正が必要だとお考えになった場合には、赤鉛筆を使って修正いただきたいと思います。また、修正した箇所を事務局が見落とさないように、修正をした場合には、付箋を貼ってお示しいただければと思います。また、机上に配付している「個別項目に関する評価結果集計表」がありますが、こちらは現時点でいただいている評定を、Sを5、Aを4、Bを3、Cを2、Dを1という形で点数化したものです。委員名は基本的に空欄にしておりますが、各委員の所にはご自身のお名前のところにのみ記載を入れたものを置かせていただいております。最後に、評定の修正をする作業に当たり、個別評価等で使った資料等をご覧になりたい場合には、事務局に数部用意してございますので、お申し付けいただければと思います。以上でございます。

○田村部会長
 それでは、適宜修正等をお願いいたしますが、修正に当たっての質問事項等がありましたら、お願いしたいと思います。何かご質問はございますか。

○清水委員
 評価とは直接関係のないことなのですが、確認のため教えてください。財務に関するヒアリングの後の追加説明ということで、いただいた受託研究に関する会計処理の話なのです。先ほども申しましたように、利益が出ている要因として、今年は受託研究収入の執行残というのがあったということでした。特にNEDOの研究資金によるものが収入が多くて、支出、費用の部分が少なかった、差の部分があったというご説明でした。また、決算報告書では、資産を購入するということで、いま費用化されていないということで、差額が益の部分が発生したというご説明だったのですが、資産自体はNEDOの所有であるという説明が書いてありました。ということは、一旦、研究資金で買ってNEDOのほうに譲渡するという形を取ったのではないかと思うのですが、その場合、譲渡損という形の損失、費用が生ずるはずだと思うのです。その辺、なぜ生じないのかということを教えていただければと思うのですが。

○田村部会長
 いかがでしょうか。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 それでは、いまの件についてお答えいたします。NEDOの委託、受託研究で購入したものについては、NEDOの資産となっておりまして、私どものものにはなっておりませんので、譲渡にもなっておりません。

○清水委員
 ただ、ご説明ですと要するに研究資金の中から資産を買われたということですよね。もし、いまでなくて結構なのですが、いまのご説明ですとそういう益に残るはずはないのですよ。要するに、科研費でも何でも、機関として買っても、例えば大元のところへ寄贈してしまうという意味でしたら、損失が発生するはずなのですよね。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 それでは、後ほどまた説明させていただきますので。

○清水委員
 申し訳ございません。次年度のこともありますので、教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○労働安全衛生総合研究所総務部長
 それでは、後ほど説明させていただきます。

○田村部会長
 ほかには、何かご質問ございますか。それでは、5分ほど時間を取らせていただきまして、評価シートの確認や修正等をお願いしたいと思います。
(記入時間、約5分)

○田村部会長
 それでは、これをもちまして、労働安全衛生総合研究所の平成21年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。各評価書には、評価結果の別紙として、評価シートの集約版が添付されていますが、本日、評価の確認や修正を行っていただいたことにより、当部会全体としてのSないしDの評定及び評定理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シート集約版を添付することといたします。
 評価シートの集約版については、SないしDの評定が変更になるなどの際には、委員会全体としての評定理由も合わせて変更する必要が生じてくることも考えられますが、その文書については私にご一任いただきたいと存じます。場合によっては、個別に各委員に意見を伺うこともあると思いますので、その際には是非よろしくお願いしたいと思います。よろしいですか。
 それでは、これで法人・所管課の入替えを行い、5分後に再開します。どうも、ありがとうございました。
(法人及び所管課入替え)

○田村部会長
 それでは、国立健康・栄養研究所の審議に入りたいと思います。その前に、法人所管課に人事異動があったとのことですので、事務局からご紹介をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 事務局よりご紹介させていただきます。国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所の所管課が大臣官房厚生科学課になっていますが、7月30日付けで塚原課長、尾崎研究企画官が着任しています。よろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、国立健康・栄養研究所の財務諸表に関する意見についての審議から始めたいと思います。まず、清水委員からご説明をよろしくお願いいたします。

○清水委員
 先ほどと同様、事前に財務諸表をいただき、7月27日にヒアリングをさせていただきました。その結果、特に財務諸表については修正をお願いする部分はなく、このまま承認をすることが適切というように考えます。
 何点かコメントを申し上げたいと思います。当期は総利益3,300万ということでプラスとなっています。その理由としては、人件費について費用進行基準から期間進行基準へ変更されたということ、つまり費用に見合っただけ収益化をするのではなくて、予定されていた金額を1期終わると収益化した。その分、費用が節約されたので利益が生じたということでした。
 それ以外に効率化係数、経費の節減努力ということについては、既に中期目標期間の数値目標を上回るペースで節減がなされているということです。このまま行けば、残る1年間目標達成が可能になりますので、引き続きご努力をお願いしたいと思います。
 契約改革についてもかなりご努力をされていて、随意契約の割合、金額とも減少しておりますし、一般競争入札の中身を見ても一者応札というものについては金額は減少している状況にあります。今後も十分な公告期間を取ること等により、さらに競争性のある調達というものを心がけていただきたいと思っています。
 人件費の水準についてですが、健・栄研についても過去3年間、事務・技術職員、研究職員ともに上回ってきている、上昇傾向にあるように見受けられます。ただ、本日いただきました総務省からの資料によると、法人の方針としては平成22年度は平成19年度の水準に戻すということで、事務、技術職員とも93.6を目指して削減されるということを記載していただいています。それに向けたご努力を続けていただければと思います。評価の中には直接折り込みませんでしたが、いま申し上げました資料によりますと、若干役員の報酬の水準が、他と単純に比較した限りではありますけれども高いように見受けられます。これについて、どういった水準に持っていかれるのかということについて、ご検討をお願いできればと思っています。
 本年度の重点課題であります内部統制、保有資産の有効活用ということです。内部統制ということに関しては、昨年、資産として計上すべきものが費用計上されていたということで、前期損益修正ということが計上されています。これにつきましては、やはり経理にかかわる人員が少ないなど、いろいろな制約があろうかと思います。ただ、期末で一気に費用の中身を見て、資産として吸い上げるべきものを洗い出すということは、非常にリスクが多うございます。やはり期中の段階から、資産計上するものと費用計上するものは予め峻別しておくことも必要になってきます。少ない人数で大変だとは思いますが、そのあたりの研修、要するに納品されたときの処理というものをきちんとしていただくということを今後お願いしたいと思っています。
 資産については、当研究所は土地も建物もないということではありますが、プールなどをはじめとして、研究用の資産をお持ちなわけです。その稼働率が、必ずしも高ければ高いほどいいというものではありませんが、研究目的に沿った範囲で有効活用ということは進めていただきたいと思います。今後、稼働率のような形で資産の活用状況を把握していただくのも1つの方法だと思いますので、ご検討をお願いできればと思います。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。続いて岩渕委員からお願いします。

○岩渕委員
 1点だけ。NRなのですが、省内事業仕分けで廃止あるいは譲渡のような話が出てきているようです。実際にこれをもし廃止するということになると、かなり大きな混乱が起こって、責任が問われるということになる。譲渡で何とかということになるのでしょうけれども、その手順も含めてかなり慎重に、相手先、廃止の場合だったら廃止の大義名分、あとの手当ても含めて、十分な検討をして実施していただきたい。それだけ要望しておきます。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいま、ご報告いただきました国立健康・栄養研究所の財務諸表について、ご意見等ありましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか、何かご発言ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、平成21年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1の案のとおりで修正意見はないようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしゅうございますか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました、そのようにさせていただきたいと思います。
 次に、国立健康・栄養研究所の総合評価について審議させていただきたいと思います。まず、事務局より総合評価書(案)の概要説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料2-2をご覧いただければと思います。資料2-2「独立行政法人国立健康・栄養研究所の平成21年度の業務実績の評価結果(案)」でございます。
 「1平成21年度業務実績について」です。「(1)評価の視点」、こちらは法人の設立の経緯や、中期目標期間の4年度目にあること等を書いていますので、割愛させていただきます。
 「(2)平成21年度業務実績全般の評価」です。平成21年度は、第2期中期計画の4年度目に当たり、中期計画全体からみて、その内容が概ね達成されるべき時期に該当する。当該研究所は、中期目標、中期計画に基づいて、メタボリックシンドロームの予防をはじめとする社会的に重要な健康課題に真摯に取り組んでおり、当該研究所に課せられた研究成果、行政ミッション等の主要な課題において概ね目標を達成していると認められるとしてございます。
 第2期中期計画においては、特に3つの重点調査研究課題を設定し、これらの重点課題にかかる目標を達成するため、各プログラムが相互に連携しながら調査研究を着実に進めているとしております。そしてその成果は、学術誌への原著論文の発表、健康食品にかかる情報の収集と提供など、いくつかの評価項目について明らかに達成していることから、評価できるとしています。例えばとして、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の策定後、全国で管理栄養士・栄養士等の専門職を対象とした多数の講演会を開催し、その普及・啓発に努めた努力などは評価できるとしています。
 また、健康増進法に基づく公平性・中立性が高く求められる業務に関し、「国民健康・栄養調査の集計業務」及び「特別用途食品等の分析業務」について、標準的な調査ツールの開発、調査精度の向上など、効率的かつ適切な業務の実施を実現している点は高く評価できるとしています。
 続いて、国際協力や産学連携についても、関係団体との適切な連携・協力の下、社会的ニーズへの対応が行われており、概ね年度目標を達成しているが、今後とも主務官庁との連携を密にしていく必要があるとしています。
 業務運営については、中期目標の達成に向けてさまざまな工夫と取組が行われており、効率化・合理化を図ってきた努力が認められるとしています。各プログラム・プロジェクトが持つ課題ごとに重み付けを行い、人員配置や予算配分、研究成果や貢献度合いに基づく処遇への反映などの取組がなされ、効果的な業務運営が図られていると認められるとしています。その他、定型的な業務の外部への委託、ITを活用した予算執行管理システムの運営、消耗品等の一括購入や原則一般競争入札による経費節減などの努力により、中期目標をその期間を前倒ししてクリアしていることなどから、業務運営全般としての効率化が着実に進んでいるとしています。
 以上の点を踏まえ、平成21年度の実績評価については、全体として、当該研究所の目的である「国民の健康の保持及び増進に資する調査研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査・研究等を行うことによる、公衆衛生の向上及び増進」に資する活動を着実に進めており、概ね中期目標とそれに基づく年度計画を達成し、適正に業務を実施したと評価するとしています。
 「ただし」として、以下の点について留意し、今後のさらなる改善と効率化を期待するとしておりまして、いくつか挙げています。?@ですが、重点調査研究の1つである「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」について、運動や食事と生活習慣病との関連の解明などに一応の成果が出されているが、今後、国民の健康、栄養状態の改善(QOLの改善)に資する研究、さらには普及活動など、この面からも多様な活動が必要である。また、当該研究所の将来のあり方を検討する上でも、研究の入り口、つまりニーズ把握のための方法の精査によって、社会から当該研究所への課題の橋渡しとともに、研究成果の出口戦略、つまり社会への橋渡し、例えば国や自治体の施策への展開・活用などについて整理を進めることによって、研究所自体の将来構想を固め、PRしていくことが重要であるとしています。その際、大学や民間の研究機関ではない国の独立行政法人であるという特徴を活かした研究課題を、重点的に扱う方向で検討を行う必要があるとしています。
 ?Aとして、若手研究者による創造的・萌芽的研究においては、独自性を重視して、独り立ちできる研究者を育成するという観点を重視して課題を採用すべきであるとしています。食育推進基本計画の推進に資する調査研究についても、さらなる充実が求められるとしており、また高齢者介護に関する調査研究事業など、目に見える形で成果を社会に還元できるようにする必要があるとしています。
 ?Bとして、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、栄養情報担当者(NR)、こちらの認定制度については、省内事業仕分けの結果を踏まえ、当該研究所の位置づけや関与の在り方、また本制度自体の社会的意義等について十分な検討を行い、今後の展開と方針を明らかにすべきであるとしております。
 ?Cですが、業務の効率化・合理化については、外部委託や事務処理システムの導入等、中期目標達成に向けた工夫・努力が認められるが、それらの取組が実際の業務や人員配置にどう反映されたかを具体的に明らかにすることとしています。以上、全体的な評価となっています。
 続いて、「2具体的な評価内容」として細かく書いています。掻い摘んでご説明いたします。(1)ですが、業務運営の効率化に関する措置についてでございます。「?@業務運営の改善に関する事項について」は、情報の共有化に努めていることや、内部統制の実を上げている姿勢を評価できるとしています。また、予算執行管理システムの運用等による効率的な業務運営に努め、中期計画中の目標を上回る成果を示していることは認められるけれども、業務運営に関する効率化の根拠をより詳しく提示すべきであるとしています。
 「?A研究・業務組織の最適化に関する事項について」ですが、こちらについては、限られた人員の中で最適化に向けた取組がなされており、評価できるとしています。
 「?B職員の人事の適正化に関する事項について」です。こちらについては、研究業務の重要性に対応した人員配置や女性研究員の比率を高めたこと、フレックスタイム制の活用などによる働きやすい職場環境づくりに努めたこと、事務職員についても上司による段階的評価を行うなど、人事の適正化に努めたことを挙げており、評価できるとしています。
 「?C事務等の効率化・合理化に関する事項について」です。定型的な業務の外部委託や所内LAN、予算執行管理システム等を活用した業務・システムの効率化・最適化による経費節減や人員削減が適切に行われているとしています。
 「?D評価の充実に関する事項について」でございます。こちらについては、各プログラム・プロジェクトごとに評価を行って、その結果を予算配分等に反映させており、効率的な運用を行っているとしています。
 「?E業務運営全体での効率化について」です。運営費交付金につきましては、業務の効率化や経費削減努力の結果、一般管理費、人件費、業務経費のいずれも中期目標で示された数値目標を達成しており、評価できるとしています。今後としては、ラスパイレス指数の引き下げに向けた取組に期待するとしています。
 続いて(2)以下、サービスの質の向上に関する部分でございます。「?@研究に関する事項について」です。まず、三つの重点調査研究についてですが、「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」については、中期計画に基づいて着実に研究が進捗しており評価できるとしています。今後は運動と食事の併用効果に関する詳細な検討や、国民の健康にどう役立つのかを国民にわかりやすく伝える工夫が必要であるとしています。
 続いて、「日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究」についてです。こちらについては、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の策定に当たり、中心的な役割を果たしてきたこと、また策定後の普及・啓発のための講演会を多数開催していること、その取組を評価するとしています。
 続いて、「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」です。こちらについては、健康食品の安全性・有効性に関する情報の収集・分析を行い、科学的根拠のある情報としてホームページ上で幅広く提供されており、そのデータベースに対するアクセス数も極めて多いこと。我が国で唯一の信頼できる中立的で公平性が高い情報源として各方面で欠くべからざるものとなっていることから、極めて高く評価することができるとしています。「また」として「特別用途食品・栄養療法エビデンス情報」、こちらが平成21年度に公開されたことも評価されるべきであるとしており、今後はこれら有用なデータベースの一層の充実と国民各層への普及が望まれるとしています。
 その他、重点調査研究以外についてでございます。まず、重点調査研究以外の調査研究については、中期計画を概ね達成していると認められるとしています。また、食育推進基本計画に資する調査研究については、各自治体の実施状況の評価・モニタリングなど、さらなる充実が求められるとしております。また、高齢者介護に関する調査研究事業などは、その成果をより広く社会に還元できるように工夫する必要があるとしています。
 研究の成果につきましては、国際的に評価の高い英語論文を中心に、目標を大きく上回る学術論文及び学会発表を行っており、評価できるとしています。また、研究の成果を広く社会に還元するための取組につきましては、重ねてになりますが、「日本人の食事摂取基準」策定後の普及講演会やセミナー等を行っていることや、施設見学の受入れなど、開かれた研究所へ向けた取組を着実に進めているとしています。今後は、子どもや中・高生を対象とする広報に力を入れることや、講習会等への参加者の意見やアンケート調査を活用することが望まれるとしています。
 続いて、知的財産権につきましては、研究所の性格上、一定の難しさがあることは理解できますが、さらなる努力が必要であるとしています。共同・受託研究についても厳しい情勢にありますが、増加に向けた一層の努力が求められるとしています。研究の実施体制等の整備については、任期付研究員等の採用や処遇について、雇用と人材育成の両面からさらなる工夫が必要であるとしています。連携大学院、民間企業等との人材交流、共同・受託研究については、中期計画を上回る成果を上げており、評価できるとしています。
 ?Aですが、法律に基づく業務等についてです。健康増進法に基づく業務であります「国民健康・栄養調査の集計業務」及び「特別用途食品等の分析業務」については、さまざまな取組があり、報告までの期間も十分に計画を達成しているなど高く評価できるとしています。社会的・行政ニーズへの対応としては、中期計画を概ね達成していますが、今後は消費者庁や関係団体との意見交換などをより緊密に行っていくべきであるとしています。国際協力、産学連携等の対外的な業務については、概ね中期計画に沿った実績を上げているとしています。NRの認定制度については、冒頭でご紹介したものと同じですが、今後の展開と方針を明らかにするべきであるとしています。
 ?B情報発信の推進に関する事項についてですが、こちらについては、利用者の視点に立って内容の充実に努めていることなどを紹介しており、評価できるとしています。
 「(3)財務内容の改善等について」でございます。「?@外部資金その他の自己収入の増加に関する事項について」でございます。地道な努力を重ねており評価できるとしていますが、過去の実績を踏まえた適切な目標額を設定し、外部資金獲得に向けたさらなる努力を期待するとしています。
 「?A経費の抑制に関する事項について」です。消耗品の一括購入等により、経費節減の効果は顕著に現れており、平成17年度の実績と比較するとさまざまな改善がなされ、中期目標期間の数値目標を前倒しで達成しているとしています。事務処理の効率化、経費節減に向けたコスト管理に着実に取り組むとともに、月次監査等も行われ、評価できるとしています。
 「(4)その他業務運営に関する措置について」です。こちらでは、セキュリティ対策について記載をしており、適切な対応が講じられているとしています。(5)は割愛させていただきます。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。起草委員からコメントをいただきたいと思います。起草委員を代表して、武見委員からよろしくお願いいたします。

○武見委員
 よろしくお願いいたします。評価については、いま詳しくご報告いただいたとおりですので、この評価を考えるに当たっての視点を少しお話したいと思います。
 1つは、当然のことながら国の独立行政法人であるということで、国の施策、特に栄養施策、健康施策の根拠とか、推進のための方法論の開発とか、そういう施策の推進に直接的につながるようなミッションをもっているということからの評価ということで、そうしたところにかかわるところが、やはり高く評価されているのではないかと感じました。それは具体的に言えば、食事摂取基準の策定であったり、エクササイズガイドの策定であったり、そういうまさに国の本当にガイドライン、指針を出すところに大きく貢献されたことが、今回高く評価されているなと思います。
 もう1つは、この研究所の扱う研究課題は健康・栄養という、ある意味では、一般国民にとっても個人のレベルでも非常に身近な課題を扱っている点は、やはり評価の際に留意すべきことだと思います。したがって、それの研究成果を、いわゆる原著論文、英文ペーパーに出すこともとても大事な実績ですが、同時に、それを国民に対して分かりやすく提供していくことが非常に求められる研究所ではないかと思います。
 そうしたことに対して、健康食品の安全性・有効性のデータベースとか、『健康・栄養ニュース』などでもかなり一般の方に分かりやすいような情報提供の工夫がされていますし、実際ホームページのアクセスも非常に高い。そういう意味での評価も、今回、委員の中で十分な成果を出したと評価されたのではないかと思います。
 この評価直接ではないのですが、実は、私はこの研究所の評価を考えるに当たって、この数カ月の間に、いろいろ思わされることがあったので、ちょっとだけ時間を借りてご紹介したいのです。私は6月2日からなのですが、WHOとウプロ(Western Pacific Regi)のオフィスが主催した「減塩対策と健康」という会議に出たのです。なぜ私が出たかといいますと、たまたまなのです。決まったのが5月の連休明けで、非常に接近していて、WHOにいる……と親しかったということで、減塩ということで日本から誰も代表が出ないのは困ると。彼女は日本人なので、そういうこともあって参加してきました。
 そのあと、6月に入って、韓国の参加者から、日本の栄養、国としての栄養のサーベイランスシステムについての報告を、韓国に来てしてほしいという依頼がきました。7月に入って中国の代表から、日本における食品摂取と循環器疾患の関係についてのオーバービューをしに来てくれと言われました。8月に入って、つい最近ですが、WHOとカナダの政府が主催する減塩関係の会議で、日本におけるソルトモニタリングをどうやっているのかということについて、話をしに来てほしいと、立て続けに毎月連絡が来ました。
 私としては、これはすべて個人の研究者とか一大学がやっていることに求めているのではなくて、日本の国として、当然、日本は非常に高塩摂取国で、そういう問題を抱えていたという健康上のことは多くの関係者は知っているわけで、それに対して国としてどうしてきたのか、現状どうやっているのかを求めていると思いましたので、すべてこれは厚生労働省の生活習慣病対策室に、私はこういうことが来ていますが対応してほしいということを依頼しました。おそらく、そのうちのいくつかは国立健康・栄養研究所に依頼が行っているのではないかと思います。  つまり、こうしたことに対応できる研究所がどこにあるかを考えたときに、やはり今回改めて、この健栄研の役割が、国際的なレベルでも非常に大きいなと私は非常に感じました。もう1つ、健康と栄養の課題は、国際的にもまだまだたくさんあって、そうしたことに対して、日本のこれまでの実績を提案していく役割もあるなと思います。
 もう1つは、とは言え、非常に小規模の研究所であるのも、また、ある意味では特徴。小規模が故に、もしかしたら小回りがきいて、効率がいいのかもしれないのですが、逆に求められる成果についても、その小規模な研究、小規模なスタッフとして、もちろんプルとかいろいろありますが、そういう中で、いまの健栄研だけではないと思いますが、やはり効率化を求めるのは、別に縮小化を求めていることではないと思います。その辺での研究としての質の担保みたいなことも、私たちは委員として十分考慮して評価していかなければいけないなと感じました。若干感想めいたコメントになりますが、以上で終わります。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました総合評価書(案)について、ご意見等をいただきたいと思います。

○清水委員
 2点変更できればお願いしたいと思います。6頁になるのでしょうか。いちばん上に(3)の「財務内容の改善等について」と始まる頁ですが、(5)の真ん中あたりですが、「?@財務状況について」というところがあります。「主な利益の要因としては」ということで、最後に「研究所の努力が認められ、評価できる」となっているのですが、先ほども申しましたように、1つの要因としては、基準の変更がありますので、私としては、必ずしも研究所が努力して良いほうに向かったというふうには、先ほどの議論からしても、いうことも言えないので、これはちょっと客観的な記述にしていただきたいと思います。すなわち、最後の「評価できる」というところを削っていただければと思います。
 もう1つは、その下の?Aですが、先ほど申しましたように、資産の計上漏れという内部統制上の欠陥が少し見受けられたところです。若干、その最後の行に、このことを汲んでいただいて書いていただいているものだと思いますが、ここではなく、むしろ最後から2頁目の?Eの「内部統制について」のところで併せて書いていただいたほうがよろしいかと思っています。内部統制もいくつか目的があるわけですが、「財務諸表の信頼性という観点から、資産の基準に該当するものについては、適切に財務諸表に計上されるように内部統制を適正に整備、運用をする必要がある」ということを最後に注意的に書いていただければと思います。
 この点、監事様とも意見交換させていただきましたが、やはり、そういったところはちょっと今後注意していただきたいと思いますので、その点明記していただければと思います。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。いまの点、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 それでは、ただいまご提案いただきました2点について、修正等をさせていただくことで了解をいただいたことにさせていただきます。そのほか何かご意見はありますか。

○鈴木部会長代理
 この評価結果の文案に直接関係なくて恐縮ですが、先の委員会で、内閣府の食育に関するパンフレットに協力されたというお話がありましたので、その中では、子どもに対する食育にどのように、どの程度言及されていますかという質問を私がしましたら、早速パンフレット、冊子を送っていただきまして、ありがとうございました。なかなか内容も面白くて、子供たちもこれを読めば非常に興味をもつのではないかというものもありました。
 この機会ですので、1つ2つご質問したいのです。こういう内閣府のパンフレット、冊子は何部ぐらい配布されているのか。もう1点は、中学生、高校生に向けた食育に関するパンフレット、冊子はいろいろ出ているのかどうかをお教えいただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 貴重なご指摘、ご質問ありがとうございます。子どもに対する食育のパンフレットの発行部数はちょっと把握しておりませんので、鈴木先生に早速これを報告したいと思います。
 高校生、中学生をダイレクトに対象にした食育の書物の発行部数も正確には存じ上げませんが、私ども内閣府と相談した段階では、いわゆる学校栄養士、学校薬剤師等々の食育、保健を担当する先生方を対象にしたコミュニケーションといいますか、情報の発信といいますか、そのようなアプローチをやっています。
 先生にお渡しした子どもに対する食育についても、お母さんとかそういう保護者に対するパンフレット、出版物だと理解しております。何部、中・高生に対してどのようなアプローチをしているかは、ちょっと正確に把握していません。申し訳ありません。

○武見委員
 私が補足するのも変なのですが、私は内閣府の食育推進会議の委員をやっているということで、ちょっとだけ補足させていただきます。私も部数は分かりません。おそらく部数はたいして刷ってないと思います。というのは、私の所に送られてきたときも、同時にホームページ上で全文公開です、いまは。という形で、できるだけそこからダウンロードしていただく形になっているし、多分これは国の多くの書類が今はそうだと思いますので、部数自体がどのぐらいかはちょっと分からないのですが、それほど多くないでしょうし、むしろ、そこからダウンロードされていくのがどのぐらいかという辺りは、実は広まっていく、普及を考えるときに大事かなと思います。
 中・高校生に関して言うと、少なくとも内閣府サイドでそういうそこに向けたものを作っていることは、おそらく私の知っている範囲ではないと思います。中学生までで言えば、やはり学校給食があるので、むしろ小・中という形でのつながった形でのさまざまな教材はたくさん出ていると思います。それから比べると、高校生はやはり抜け落ちているところということで、つい先月ですか、あった内閣府の会議のときにも、高校生それからやはり大学生に対する食育、子どもではないのでちょっと変かもしれませんが、別に食育は子どもだけのことでもありませんので、その辺の充実ということが内閣府の会議では議論になったということだけ、先生にお答えしておきたいと思います。

○田村部会長
 ありがとうございました。そのほか何か報告書(案)についてご意見はありますか。よろしいですか。それでは、総合評価書(案)については、先ほど清水委員からご指摘いただいた2点を修正させていただくことで、平成21年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委にお伝えすることにさせていただきたいと思いますし、また、これを公表したいと思います。
 なお、このあと、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私のほうにご一任いただくことでよろしいですか。
(各委員了承)

○田村部会長
 それでは、そのような取扱いにさせていただきます。最後に法人理事長よりコメントをいただきます。よろしくお願いいたします。

○国立健康・栄養研究所理事長
 本日は、私ども国立健康・栄養研究所の平成21年度業務実績の評価をお取りまとめいただき、誠にありがとうございました。本日いただきました評価を基にしまして、あるいはご指摘いただきました事項について、今後も業務運営の改善に努めていきたいと存じます。また、重点調査研究を中心に、与えられました業務を全ういたしたいと存じています。特に私どもの研究所は、平成22年度は中期目標期間の最終年度に当たりますので、国民の疾病予防あるいは健康増進のお役に立てるように、調査研究業務を全力を挙げて取り組んでいく所存です。
 以上のことにつきまして、今後とも先生方のご指摘、ご批判、ご指導をよろしくお願いしたいと存じ上げます。本日はご多忙のところ、私どもの研究所の評価をしていただきまして、誠にありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定を修正したい方は、ここで5分ほど修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(記入時間、約5分)

○田村部会長
 それでは、これをもちまして、国立健康・栄養研究所の平成21年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版について、修正の必要があった場合の対応については、私のほうにご一任いただくことで、よろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、ここで法人所管課の入替えを行います。5分後に再開いたします。どうもご苦労さまでした。
(法人及び所管課入替え)

○田村部会長
 それでは、医薬基盤研究所について行います。医薬基盤研究所の財務諸表につきましては、冒頭、事務局よりご説明がありましたとおり、中期目標期間終了時における積立金等の承認に係る手続の関係上、持ち回りで承認とされたところですので、審議の対象とはなりませんが、財務担当委員からのご意見についてご報告をいただきたいと思います。まず、清水委員から、よろしくお願いいたします。

○清水委員
 財務諸表は事前にいただきまして、直接のヒアリングはさせていただきませんでしたが、書面での質問、それから回答をいただくというような形で確認させていただきました。それで、かなり財務的に苦しい状況というんでしょうか、開発振興勘定では当期利益は6億円というものが計上されている反面、研究振興勘定ではそれを上回る損失ということで、費用先行型の研究内容ですので仕方がないということになるのですが、依然厳しい状況にあるということが言えるかと思います。
 本年度、お伺いしましたところ、繰越欠損金が毎年問題になるところですが、平成31年度という初めて具体的な目標年度が示されたと思うのです。そこまでに繰越欠損金を解消するということが明示されまして、いろいろ具体策を示していただいたのですが、やはりその欠損金の拡大防止のための措置というものは、かなり具体的に示してはいただいたのですが、反面、やはり収益拡大についてはなかなか見通しが立たないというところもありまして、少し具体性に欠ける部分があるのかと思います。今後もその出資法人等への指導などを通して具体策を見い出していただく必要があろうかというふうに思います。
 経費節減努力等につきましては、もう評価されているとおりでありまして、目標期間の数値目標は達成していただいているものと理解しております。
 契約につきましてはその内容的なものもありまして、例えば一般競争入札よりも企画競争入札が割合が多いというようなこともあります。また、一般競争入札の中でも一社入札という割合が多いというのが依然として状況は変わっていないということです。関連法人との契約形態につきましては、随意契約から公募、あるいは一般競争入札ということで、形態は変えていただいてはいるのですが、最終的にはほとんど競争性が働いていないという状況は変わらないということですので、この点、引き続き真に競争性が働くような契約方式ということで努めていただきたいと思います。
 それから保有資産の活用状況です。前回も、昨年も問題になりました薬用植物資源センター和歌山研究部につきましては、一部、平成21年度中に土地を自治体に売却する契約を締結されたということです。また残りにつきましては、平成23年度以降に国庫に返納されるという予定だと伺っております。そういった意味で、ある意味あまり活用されていない資産は処分が進められているものと理解しております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして岩渕委員からもお願いします。

○岩渕委員 
 いま清水委員のご指摘のほかに、ラスパイレス指数が研究職で94.4%で事務職系が109.0%ということで、かなり格差が大きいですね。確かに土地柄による違いといいますか、その研究所所在地による違いとかいろいろな理由があるようですけれども。これは、あともう1つこれの関連も多少あるのですが、要するに統合によってできた研究所で非常に受け持っている範囲が広くて、内容もかなり複雑になっているということで、しかもその上さらに再編・統合の話があるやに聞いております。そういうことから言いますと、これから先のことで恐縮なのですが、かなりそういう意味で言いますと、その整理というものを思い切ってやらないとますます錯綜してしまうということを、少し懸念しているところです。
 例えば、外部の専門委員がこの100人以上になっているというのは、これは確かに必要であるということは十分に分かっているのですが、これは名簿管理だけでも結構大変な作業であります。あるいは助成金を出している一方で、その外部資金の獲得というような資金の複雑な流れというようなこともあります。その他、連携大学院についても、もう少しバランスのとれた対象にすべきだという意見もあるように聞いております。いずれにせよ、そういう意味で言いますと、この抜本的に思い切ってどこかを整理してということをやらないと、いろいろなものを引きずり引きずりしてやっていったのでは、これは本来の初期の成果を上げられないのではないかということを懸念している、ということだけは申し上げておきたいと思います。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告をいただきました他に、医薬基盤研究所の財務諸表につきましてご意見等ございましたら頂戴したいと思います。いかがですか。よろしゅうございますか。それでは平成21年度の財務諸表についての報告は以上ということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、総合評価の最後となりますが、医薬基盤研究所について審議いたします。まず、事務局より総合評価書(案)の概要の説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料の3-2をご覧ください。「独立行政法人医薬基盤研究所の平成21年度の業務実績の評価結果(案)」です。1頁をめくっていただいて「1平成21年度業務実績について」です。「(1)評価の視点」は、ほかの法人と同じく、法人の設立の経緯等が書かれている部分ですので割愛させていただきます。
 「(2)平成21年度業務実績全般の評価」です。平成21年度業務実績については、全体としては、当該研究所の目的である画期的な医薬品等の開発支援に資するものであり、適切に業務を実施したと評価できるとしております。また、これまでの4年間に比べていくつかの点で顕著な向上が見られるとしています。
 戦略的事業展開については、並々ならぬ努力により研究者1人当たりの競争的研究資金の獲得金額が全研究開発型独法の中で1位となったこと。所内の情報交換と部門間の連携強化、特に基盤的研究部と生物資源研究部との連携強化が図られ、両部門間の共同研究件数が大幅に増加していること。難病対策等の国の政策課題の解決を目指した研究分野の重点化等を推進していることなどから、大いに評価できるとしております。
 研究成果としては、医薬品安全性予測のための毒性学的ゲノム研究の分野では、産学官連携活動を推進し、世界に類を見ない大規模・高品質のトキシコゲノミクスデータベース(TGP-Database)を拡充し、有用な毒性予測システムを確率したこと、このTGP-Databaseを用いて、ヒトへの臨床応用が可能な安全性バイオマーカーの発見に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとしております。
 疾患関連たんぱく質研究の分野では、ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質の解析研究において、リン酸化たんぱく質や細胞膜たんぱく質のプロテオミスク解析技術を確立したほか、疾患バイオマーカーとなり得る新規たんぱく質の特定を推進したことは高く評価できるとしております。また、疾患関連たんぱく質の有効活用のための基盤技術開発において、独自に開発した機能性たんぱく質創製技術を用いて創製したレセプターサブタイプ特異的なTNFアンタゴニスト変異体が、有効な治療法のない難病の一種である多発性硬化症モデルに対して効果を発揮することを見出したことなど、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとしております。
 国民にとって関心の高い新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発の基盤研究の分野では、ヒトヘルペスウイルス感染機構に関する分子解析に成功したこと、水痘ウイルス及びムンプスウイルスに効果を有する多価ワクチンを開発したこと、インフルエンザワクチン経鼻接種による防御免疫機構を解明したことなど、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとしております。
 遺伝子治療、薬物代謝研究など、今後の応用が期待される遺伝子導入技術の開発とその応用分野では、遺伝子発現効率を高めるため、外来ペプチド挿入機能やmiRNAによる遺伝子発現制御機能を付与した機能性に優れたアデノウイルスベクターの開発に成功したこと、このVA-RNA欠損Adベクターの作製により副作用の少ないAdベクターの開発を可能としたこと、幹細胞からの高効率な肝細胞への分化誘導法の開発に成功したこと、Adベクター投与後の自然免疫誘導メカニズムの解明に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとしています。
 続いて「2具体的な評価内容」としてさらに詳細に書いております。「(1)業務運営の効率化に関する措置について」です。こちらについては、理事長のトップマネジメントによる適切な業務運営が行われ、多くの課題に研究所が一体となって取り組んでいること、プロジェクトチーム制による機動的な研究体制の確保と人員配置が行われたこと、テレビ会議システムを導入して意思疎通がより円滑に行われるように努めたことなどは評価できるとしています。また、業務運営の効率化に伴う経費削減等に関しては、一般管理費、事業費とも目標を大幅に上回る削減実績を上げていること、総人件費改革への取組についても目標を大きく上回る削減を達成していること、利益相反に関する取組も着実に進展していることから評価できるとしております。
 (2)からはサービス、その他の業務の質の向上に関する措置についてです。Aとして「全体的事項」について述べています。戦略的事業展開、外部評価については、先に1の(2)で述べていたことのほか、外部研究評価を活用した研究費の配分など、戦略的な事業運営を行っていることなどを上げまして高く評価できるとしています。また、内閣府の産学官連携功労者表彰を受賞していることも触れています。
 成果の普及については、査読付き論文発表数が中期計画を大きく上回り、かつ質的にも高い水準にあること、特許出願数が中期計画を大きく上回っていること、ホームページ・セミナー・研究所一般公開の企画の充実などにより、研究成果の一般の人々への情報公開に努めており、その成果が認められること、研究成果の活用促進を図っていることなどから、数値的にも内容的にも評価できるとしています。
 外部研究者との交流、共同研究の促進、施設及び設備の共用については、民間企業等との共同研究や受託研究が順調に進展していること、連携大学院に積極的に取り組んでいること、共同利用施設の有効利用に努め、NMR装置の利用等にも実績を上げていることから、評価できるとしております。
 「B個別的事項」ですが「?@基盤的技術研究」です。基盤的技術研究については、まず、着実な成果が得られているとしておりまして、以下、詳細に書いております。まず毒性学的ゲノム研究については、バイオマーカーの発見に成功したことなどをあげて高く評価できるとしておりまして、今後この研究が臨床応用の段階でどのような成果をあげるのか、期待をもって見守りたいとしています。続いて、ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質解析研究及び疾患関連たんぱく質の有効活用のための基盤技術開発につきましては、先に述べておりますが、まさに画期的な研究であり高く評価できるとしています。
 続いて、新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発基盤研究、新世代抗体産生基盤研究についても前に述べたとおり高く評価できるとしておりまして、今後、広く医療の分野で実用につながることを期待するとしています。遺伝子導入技術の開発とその応用についても前述したとおりで、高く評価できるとしています。今後、さらに画期的な成果を上げるよう研究の発展を期待すると記載しています。その他の研究プロジェクトについても、さまざまな研究成果が得られ、論文・学会発表に積極的に取り組んでいると記載しています。
 「?A生物資源研究」についてです。生物資源研究については、適切に実施されているとしております。まず、遺伝子、培養細胞、実験用小動物についてですが、中期計画の数値目標を上回る開発、収集件数を達成していることは評価できるとしています。また、遺伝子バンクを難病研究資源バンクに組み換えたことは適切な判断であるとしておりまして、今後はこれら生物資源の有効利用を図るよう、積極的に社会へ情報発信することが望ましいとしています。
 薬用植物ですが、我が国唯一の総合的薬用植物研究センターとして、関連する技術や評価について興味深く実践的な研究を進めていること、唯一の特徴を有する薬用植物統合データベースを整備し公開したこと、新品種を開発したこと等を記載しており評価できるとしています。今後の薬用植物資源研究センターの活動を期待するとしています。
 霊長類についてですが、我が国唯一の霊長類医科学研究センターとして、医科学研究用霊長類リソースの開発、収集、維持、品質管理、供給や研究で中期計画を大きく上回る成果を上げたこと、また、カニクイザル関係の実績を挙げまして評価できるとしています。なお、霊長類医科学研究センターでのカニクイザルの繁殖事業では新しい交配法が成果を上げておりまして、育成ザルの供給数は着実に増えつつあること、こちらも記載しています。
 「?B研究開発振興」についてです。基礎研究推進事業につきましては、案件の採択や適切な評価を行うための工夫がなされまして、実用化に至った成果も出ていることなどを挙げています。特に希少疾病用医薬品等開発振興事業については注目すべきであり、当該研究所の事業としてさらに充実強化されることが望ましいとしております。実用化研究支援事業につきましては、収益が得られた案件が確保されたことから、繰越欠損金の解消に向けて今後の収益が期待されるとしています。また、今後とも委託先企業等への指導等を継続していく必要があるとしています。  続いて、知的財産の創出及び製品化の促進についてです。指導・助言機能の強化や審査・評価の効果を高めていること、特許出願数も大幅に増加していることは評価できるとしています。利用しやすい資金の提供につきましては、採択期間の短縮を図っていること、中期計画の目標を大幅に上回る成果を達成したことを評価できるとしています。承継業務の適正な実施についても評価できるとしておりまして、今後の取組を期待しているとしております。
 「(3)財務内容の改善等について」です。平成21年度においては、開発振興勘定で当期純利益といたしましては6億4,900万円が計上されておりますが、その主たる要因は中期目標期間の最終年度に当たるため、運営費交付金債務の残額を全額収益に振り替えたことであることを記載しています。これ以外に納付金収入が6,000万円発生していますが、目的積立金としては扱われていないことを記載しています。なお、研究振興勘定では研究成果の実用化より委託費支出が先行する仕組みであるため、7億8,700万円の損失を計上していることを記載しています。
 経費節減の努力の成果につきましては、一般管理費及び事業費ともに中期目標期間の削減目標数値を大幅に上回った削減を達成していることを記載しています。科学研究費の獲得金額につきましては、全体として中期計画を上回る成果を達成したと評価できるとしていまして、今後とも職員の労働時間管理と健康管理の強化を図りつつ、高い研究成果を上げることを期待するとしています。
 「(4)その他業務運営に関する措置について」ですが、人事や施設・設備の整備について中期計画どおり適切に行われているとして、いずれも評価できるとしています。(5)は割愛させていただきます。以上です。

○田村部会長 
 ありがとうございました。それでは起草委員からコメントをいただきたいと思います。起草委員を代表して、鈴木部会長代理からよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長代理
 中期目標期間を締め括る年度の業務実績としては、とても充実していると考えます。そのことは評点の向上に如実に現れています。平成20年度と比べますと、S評価の数は変わりませんが、Bが大幅に減り、変わりにAが大幅に増えました。
 まず、戦略的事業展開は、初めてS評価になりました。これには所内の情報交換と部門間の連携が強化され、基盤的研究部と生物資源研究部の共同研究件数が増え合計17件になったこと、競争的研究資金の獲得金額が全研究開発型独法29機関中1位になったこと、毒性学的ゲノム研究分野で日本学識会議会長賞を授賞したこと、スーパー特区で採択された2研究課題が着実に進展していることなどが寄与しています。
 次に、情報公開及び成果の普及では、ホームページ等々で研究成果の情報公開に努めている点が高評価につながっています。ホームページのアクセス件数は130万件でした。これについて、一委員からのコメントを紹介しますと、「高いホームページ件数を誇ることもよいが、例えば、基盤研の開発研究に対する国民からの支持(難病患者からの支持・期待やマスコミの評価など)が高いことを強調することを検討した方がよい」とあります。
 次に、外部研究者との交流、共同研究の推進では、共同研究の件数・研究費が共に着実に増えつつありますし、連携大学院については積極的に取り組んでいると評価しています。ただし、連携大学院については、異論がないわけではありません。例えば、「連携先の決定については、幅広に行うべきではないか」、また、「連携大学院の開発は目標を設定して、より能動的に推進すべきだと思われる」といった意見があります。
 基盤的技術研究は、「企業や大学等のニーズを踏まえ、着実な成果が得られている」としてS評価になっています。内閣府の産学官連携功労者表彰受賞や、各種学会賞受賞と、輝かしい成果が並んでおります。
生物資源研究は、いずれも適切に実施されているとコンスタントに高い評価です。そのほか、特記すべきこととしては、財務内容の改善に関する事項が、初めてA評価になりました。これは研究所を挙げた努力によって、一般管理費、事業費などが中期目標を大幅に上回って削減されたことや、競争的研究資金の獲得金額の高さによるものです。
 そんな中で、次のような意見がありました。「研究者1人当たりの競争的資金の獲得額が2年連続日本一であることは素晴らしいことであるが、研究者の労働条件面で過重な負担になっていないか、また研究者の健康管理上の問題はないかなどの情報開示を望みたい」というものです。以上が主なコメントです。
 では基盤研はこの勢いを駆って、このまま次期中期計画に取り組めばよいのかと言いますと、いくつか問題があります。そのことは最終評価のところでコメントしたいと思います。なお、机上に配付されている基盤研の「平成21年度業務実績評価シート」は、頁の打ち方が間違っています。目次にある頁数と一致させていただきたいと思います。以上です。

○田村部会長 
 ありがとうございました。ただいまご報告をいただきました総合評価書(案)につきまして、ご意見等がございましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

○清水委員
 質問させてください。ちょうど昨年、この席でコメントを申し上げた際に、先ほど申し上げた薬用植物資源研究センター和歌山研究部に並んで、筑波の霊長類医科学研究センターの存在意義について、その運営に係る費用対効果というものも含めて検討すべきということで、それに当たっては、運営コストを明らかに把握すべきであるというコメントを申し上げたことがございました。今回は直接ヒアリングさせていただく機会もなく、私もご説明のときに欠席してしまったということもあり、もしかしてそこでご説明があったのかもしれません。昨年のご説明では、たしかそういった財務構造が非常に厳しいということがあったかと思います。また、その収益の帰属方法も含めて、そのスキームの見直しが必要だということをお伺いしたようにも思うのですが、その現状についてご説明をいただければと思います。

○医薬基盤研究所総務部長
 収益につきましては、今年度から共同研究に霊長類を提供しております。これにつきまして、分譲価格といいますか、使用に対する価格を今回作成して、収益の増加を図っております。

○清水委員
 いまのは平成21年度からですか。

○医薬基盤研究所総務部長
 はい。平成21年度に、収益の増加を図りました。

○清水委員
 平成21年度の収益は、どのぐらいだったのですか。あとでも結構です。

○医薬基盤研究所総務部長
 申し訳ありません。1,000万円ほどはたしか上がったと思うのですが。費用につきましても、電気料金の契約形態等も見直しを図りまして、筑波の研究所で減額を図っております。

○清水委員
 細かい数字は結構ですが、存在意義といいますか、前回のご説明では、たしかそれが収益事業ではまさかないわけですが、かと言って、あまりにも大幅な赤字は回避しなければいけないという話であったかと思うのです。その辺の財務構造の整理等、存在意義の整理というのでしょうか、その辺りはきっちりついたということですか。

○医薬基盤研究所総務部長
 その点につきましては予算の組換えもして、効果に対する費用を確保するような形で、予算の確保もしております。

○清水委員
 多少、持ち出しとでもいうのでしょうか、公費投入でも成果を上げるような方向に位置づけるということですか。

○医薬基盤研究所総務部長
 そういうことでございます。成果を確保していくために、対応する、見合う費用の確保をするということで予算を確保したと。

○清水委員
 それは先ほどの(社)予防衛生協会の委託契約もコストに入ってくるわけですよね。

○医薬基盤研究所総務部長
 はい、そうです。そこにつきましても、いろいろ見直しを図りまして、契約金額の見直し等も図っております。

○清水委員
 そうですか。あまり金額的には変わらないみたいですが、その辺の努力も、精査の上、しっかりしていただければと思います。

○医薬基盤研究所総務部長
 予算の確保をした上で、またさらに費用の減額も図った上で、費用対効果に見合った研究を継続していくことで、何らかの処置は対応できたものだと考えております。

○田村部会長 
 ほかに何かご意見はございますか。

○鈴木部会長代理
 1つ質問があります。総合評価書を作成中に、ふと基盤研は平成21年度、大学などに何人の研究者を派遣したか。逆に、大学院などから何人の研究員を受け入れたか。その実数を知りたいと思いました。しかし、その数字は評価シートの「外部研究所との交流」の欄には見当たりません。どこにお書きになっているのかお教えください。

○医薬基盤研究所戦略企画部長
 それではお答えをさせていただきます。基盤研のほうでは、先生がご指摘のとおり、連携大学院を組んでおりまして、平成21年度の実績で、大学院生としては194名を私どもの法人に受け入れて、研究を実施しております。手元に資料がありませんので、こちらの研究者が連携先の大学の教授になっておりますが、延べで数えればいいのか、そういうところはありますが、10名にはいっていなかったと思います。これらの者が大学で講義などを担当させていただいております。以上です。

○田村部会長
 ほかに何かご意見等はございますか。よろしいでしょうか。修正意見がないようですので、平成21年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私のほうにご一任をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○田村部会長
 そのような形で取扱いをさせていただきたいと思います。最後に、法人理事長よりコメントを頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○医薬基盤研究所理事長
 理事長の山西です。お忙しいところ、基盤研究所につきましてご議論をいただきましてありがとうございます。医薬基盤研究所も5年が経ちまして、第1期がやっと終わったところで、私の予想以上といいますか、成果を上げたように思いまして、高い評価をいただいたことは非常に感謝しております。いま第2期に入っておりますが、今後ともこれをキープして、第2期もさらに高い評価をいただけるような研究内容を進めていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

○田村部会長
 ありがとうございました。現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、ここで5分程、評価シートの修正、確定の時間を設けさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
(記入時間、約5分)

○田村部会長
 よろしいでしょうか。これをもちまして、医薬基盤研究所の平成21年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきたいと思います。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版について、修正の必要があった場合の対応につきましては、私のほうにご一任をいただきたいと存じますがよろしいでしょうか。
 医薬基盤研究所の最終評価の審議に入ります。資料を配付しておりますので、しばらくお待ちください。事務局より最終結果報告書(案)の概要説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 お手元の資料3-3をご覧ください。「独立行政法人医薬基盤研究所の中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)」です。「1中期目標期間(平成17年4月~平成22年3月)の業務実績について」です。「(1)評価の視点」については、設立の趣旨や経緯等が書いておりますので割愛させていただきます。
 「(2)中期目標期間の業務実績全般の評価」についてです。当委員会においては、評価の視点として、研究所の設立目的に照らし、どの程度寄与するものであったのか、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したか等の視点に立って評価を行ってきたところであるが、中期目標期間全般については、次のとおり適正に業務を実施してきたと評価できると第1段落でまとめております。
 続きまして、基盤的技術研究については、創薬につながる研究を積極的に進めており、画期的な成果を出している。いくつかの研究成果は、企業に引き継がれて実用化に向けた研究が進められている。例えば、水痘ウイルス、ムンプスウイルスに効果を有する多価ワクチンを開発したこと、世界に類を見ない大規模・高品質の毒性学的遺伝子発現データベースを構築したこと、iPS細胞から最も難しいとされる肝細胞への高効率な分化誘導に成功したこと、自己免疫疾患治療薬開発の基盤となる抗体プロテオミクス技術を確立したことなどは高く評価できるとしております。
 生物資源研究については、培養細胞等の高品質な生物資源や薬用植物、医科学研究のための霊長類といった当該研究所独自の生物資源を扱っており、これらの収集・保存・安定的な供給を進めていることは、創薬に向けた研究にとっては不可欠であり評価できるとしております。生物資源の安定的な供給は、民間では採算が合わずに難しい分野であり、独立行政法人が柔軟な対応をしながら、公的な役割を持って進めていくことは極めて重要であるとしております。例えば、カニクイザルを用いて慢性C型肝炎や、デング熱のモデル動物の開発に成功したことなどは高く評価できるとしております。
 研究開発振興については、プログラムディレクター(PD)や、プログラムオフィサー(PO)を積極的に活用して、社会的なニーズや行政課題に合った的確な研究課題を設定し、適切な研究プロジェクトを採択してきたとしております。また、資金配分のみならず、専門的な見地から研究の進捗管理も的確に行っており、高く評価できるとしております。当該研究所は、京都大学・山中伸弥教授の研究に対しては、ヒトiPS細胞樹立以前の研究の萌芽期から、他の機関に先んじて研究費を配分して本格的にサポートしており、結果として世界の研究を一段と加速させたことは、特筆に値する成果であるとしております。研究は年々進んでいくものであり、設立から日も浅い当該研究所が、毎年さまざまな研究の成果を上げてきたことは、高く評価できるとまとめております。
 「2具体的な評価内容」です。「(1)業務運営の効率化に関する措置について」では、機動的かつ効率的な業務運営に関しては、幹部会や将来構想検討会、リーダー連絡会などを活用して、理事長の経営判断が迅速に業務運営に反映できる体制を作ったこと、理事長のトップマネジメントによる迅速な方針決定の下に適切な業務運営が行われ、多くの課題に研究所が一体となって取り組んでいること、プロジェクトチーム制による機動的な研究体制の確保と人員配置が行われたこと、テレビ会議システムを導入して、遠隔地の意思疎通がより円滑に行われるように努め、統合した独立行政法人としての機能を高めたことは評価できるとしております。また、運営評議会等、外部有識者の意見を聴くことにより、透明性を確保しつつ公正な判断ができる仕組みとしたことは評価できるとしております。
 業務運営の効率化に伴う経費削減等に関しては、一般管理費、事業費とも目標を大幅に上回る削減実績を上げていること、総人件費改革への取組についても目標を大きく上回る削減を達成していること、利益相反に関する取組も着実に進展していることから評価できるとしております。また、これらの効率化を進める一方で、ワクチン開発研究機関協議会の設立、公的研究費の不正使用等の防止への取組、利益相反に関する取組など、社会的・政策的要請に合った対応がなされていることは評価できる。さらに、スーパー特区において2課題が採択され、研究成果を上げていることは評価できるとしております。
 「(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」では、「A全体的事項」についてまとめて書いてあります。戦略的事業展開、外部評価については、並々ならぬ努力により、研究者1人当たりの競争的研究資金の獲得金額が、全研究開発型独法の中で1位となったこと、部門間の連携強化が図られ、特に基盤的研究部と生物資源研究部との連携強化が図られ、両部門間の共同研究件数が大幅に増加していること、外部研究評価を活用した研究費の配分など戦略的な事業運営を行っていること、内閣府の産学官連携功労者表彰を受賞していることや、スーパー特区で2課題が採択されて着実に進展していること、難病研究資源バンクで中心的な役割を果たしていることなどは評価できるとしております。
 成果の普及につきましても、査読付き論文発表数が中間計画を大きく上回っていること、また質的にも高い水準にあること、ホームページ・セミナー・研究所一般公開の開催や企画の充実により、一般の人々への公開に努めていること、研究成果の活用促進を図っていること、特許出願数が中期計画を大きく上回っていること、コンプライアンス委員会を設置して内部統制の強化を図っていること等から、数値的にも内容的にも評価できるとしております。外部研究者との交流につきましても、順調に進展しているということを書いておりまして、評価できるとしております。
 「B個別的事項」については、?@基盤的技術研究については、着実な成果が得られているとしておりまして、以下、さらに具体的に書いてあります。毒性学的ゲノム研究につきましては、世界的に類を見ない大規模・高品質のトキシコゲノミクスデータベースを拡充していること、安全性バイオマーカーの発見に成功したことなど、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとしておりまして、今後、この研究が臨床応用の段階でどのような成果を上げるのか期待をもって見守りたいとしております。
 続きまして、ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質解析研究及び疾患関連たんぱく質の有効活用のための基盤技術開発については、プロテオミクス解析技術を確立したほか、疾患バイオマーカーとなり得る新規たんぱく質の特定を推進したことは、高く評価できるとしております。また、TNFアンタゴニスト変異体が、有効な治療法のない難病の一種である多発性硬化症モデルに対して効果を発揮したことを見い出したことなど、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとしております。
 国民にとって関心の高い新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発の基盤研究の分野については、複数の大きな成果を上げたことは大いに評価できるとして、今後、広く医療の分野で実用につながることを期待するとしております。遺伝子導入技術の開発とその応用につきましても、さまざまな評価を具体的に紹介した上で、複数の大きな成果を上げたことは評価できるとまとめておりまして、臨床応用へ向けた貴重な萌芽が随所にみられ、今後さらに画期的な成果を上げるよう、研究の発展を期待するとしております。
 また、スーパー特区について2課題が採択されていること、幹細胞から肝細胞への高効率分化誘導などの研究成果も上げていることは評価できるとしております。その他の研究プロジェクトについても、さまざまな研究成果が得られ、論文・学会発表に積極的に取り組んでいるとともに、民間企業との共同研究が行われていることも高く評価するとしております。まとめといたしまして、以上のように、中期目標・中期計画に照らし、目覚ましい成果を上げていると評価するとしております。
 ?A生物資源研究については、開発等が適切に実施されているとまとめております。遺伝子、培養細胞、実験用小動物につきましては、中期計画の数値目標を上回る開発、収集件数を達成していることは評価できるとしております。また、ウイルス汚染検査を行った培養細胞の分譲に係る体制を整備するなど、品質管理が適切に行われていることは評価できるとしております。国の独立行政法人という特徴を活かし、高水準の生物資源供給による研究開発支援という他の研究者に有用な事業を積極的に展開していること、また生物資源ごとにデータベースを構築するとともに、ホームページを通じた情報提供、各種検索機能の付加、メールマガジンの発行など、利用者の利便性の向上に努めている点を評価するとしております。また、遺伝子バンクを難病研究資源バンクに改めたことは適切な判断であるとしております。
 薬用植物については、我が国唯一の総合的薬用植物研究センターとして、薬用植物等の収集、保存、品質管理、研究者への提供を積極的に行うとともに、我が国の薬用植物研究において、中心的な役割を果たしていることは評価できるとしております。今後の薬用植物資源研究センターの活動を期待するとまとめてございます。
 霊長類につきましては、我が国唯一の霊長類医科学研究センターとして、中期計画を大きく上回る成果を上げたことを、さまざまな例とともに示しており、評価できるとしております。なお、霊長類医科学研究センターでのカニクイザル繁殖事業は重要であり、我が国唯一の医学実験用霊長類センターとしてよく機能しており、評価できるとしております。以上のように、中期目標・中期計画を上回る十分な成果を上げていると評価するとまとめております。
 ?B研究開発振興については、新規プロジェクトの採択に当たっては、アンケート調査も実施しながら評価項目及び評価ウェイトの見直しや、募集テーマに応じた評価項目の設定を行うとともに、PD、POを積極的に活用した案件採択と研究進捗のフォローを行うなど、より適切な研究開発振興を行うための工夫がなされており、こうした点から評価できるとしております。また、山中教授の件を特筆に値することとして記載しております。
 国民の治療上の要請に即した研究開発の振興による国民保健の向上については、案件の採択やより適切な評価を行うための工夫がなされて、実用化に至った成果も出ていること、希少・難治性疾患の治療薬等が着実に製品化され、患者の治療に活用されていることは評価できるとしておりまして、当該研究所の事業として、特に希少疾病用医薬品等開発振興事業については、充実強化されることが望ましいとしております。また実用化研究支援事業につきましては、収益が得られた案件が確保されたことから、繰越欠損金の解消に向け、今後の収益が期待されるとしております。また、繰越欠損金に関する計画策定委員会を開催し、その解消に向けた取組を進めていることは評価できるとしております。
 知的財産の創出及び製品化の促進につきましては、特許出願数も大幅に増加していることは評価できるとしております。利用しやすい資金の提供につきましては、公募時期の早期化を図っていること等、また全国7カ所で公募説明会を開催したこと等を挙げておりまして、審査期間を大幅に短縮したことと併せて評価できるとしております。
 承継業務の適正な実施につきましては、5法人の清算の方針を決定するなど、承継業務の適正処理に向けて一連の措置が講じられていること、繰越欠損金に関する計画策定委員会を開催し、その解消に向けた取組を進めていることから評価できるとしておりまして、今後、繰越欠損金が減少に向かうことを期待するとしております。以上のように、中期目標・中期計画を上回る十分な成果を上げていると評価するとしております。
 (3)財務内容の改善に関する事項につきましては、最終年度の平成21年度は、一般管理費及び事業費ともに、中期目標の削減目標を大幅に上回って削減していることを記載しております。また、科学研究費の獲得金額につきましても、全研究開発型独法の中で1位となっていることを記載しております。人事に関する事項につきましては、透明性の確保、業績に基づく人事評価の実施、各種セミナー・研究発表会の積極的な実施などが適切に行われていること、セキュリティの確保が適切に図られていること、施設・設備の整備について中期計画どおりに適切に行われていることは、いずれも評価できるとしております。財務内容のまとめとして、中期目標、中期計画に沿った成果を上げていると評価するとしております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。続きまして、医薬基盤研究所の起草委員を代表して、鈴木部会長代理からご報告をお願いいたします。なお、報告時間は概ね10分程度でよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長代理
 最終評価シートを拝見し、まず、基盤研の統合効果を再確認しました。基盤研の生物資源研究部は、国立医薬品食品衛生研究所の細胞バンクと薬用植物栽培試験場及び国立感染症研究所の遺伝子バンク・実験動物開発と医学実験用霊長類センターが大胆に統合されてできた部門ですが、いまでは見違えるほど一体化しているように見受けます。生物資源研究部と基盤的技術研究部の共同研究も充実してきました。また2つのセンターは、それぞれの分野の我が国唯一の総合施設として、基本的な業務を着々と拡大させながら、統合によるよい刺激を受けて、オリジナルな研究成果も上げつつあります。この実績は、歴史的評価にも耐えると思われます。欲を言えば、大阪本所との共同研究における両者の貢献度がよくわかるような説明をしていただきたいと思いました。
 基盤的技術研究については、最終評価はその技術が画期的な医薬品となって結実するのを見届けるまで待たねばなりませんが、いまのところ進捗状況は申し分ありません。豊かな実りを期待できそうです。
 問題は、基盤研の産学官の間の「橋渡し役」としてはどうかという点です。2つほど傑出した成果が上がっております。内閣府の産学官連携功労者表彰受賞と、スーパー特区で2課題が採択されたことです。これらの実績は、基盤研の産学との連携レベルが全般的に高い上で初めて生まれたものと解したいところですが、外部研究者との交流の状況がいまひとつよく見えません。例えば、先ほどご質問しました外部研究者との相互交流の実数を丁寧に示すとか、論文の著者のうち、基盤研の研究員と外部の研究者が識別できるような記載法上の工夫が求められます。さらに連携大学院への取組の問題があります。基盤研の連携大学院の現状は、3大学6講座で、平成21年度は新規のものがないとされています。因みに、ほかの2独法では、各々6大学、7大学となっています。今後、基盤研が数々の研究成果を普及発展させ、また若手の人材を育成する使命を担おうとされるならば、連携大学院の確保にもっと能動的、戦略的に取り組まれてはいかがでしょうか。
 それでもなお基盤研の「橋渡し役」を広く理解してもらうのは、なかなか困難なことです。例の事業仕分けでも、仕分け人の厳しい意見に基盤研の皆さんが強い苛立ちを覚えられたことはよく理解できます。私は、我が国の医薬品開発における「橋渡し役」の必要性、意義が仕分け人によく理解してもらえていないことが、最も重要な要因ではないかと考えています。
 国は従来の非効率的で、産学が連携を欠いた医薬品開発では、もはや将来はないと判断し、その打開の道を基盤研に託した、成功するかどうかの確証はないが、基盤研に賭けています。したがって、いま安易に後戻りすることが許される状況にはありません。基盤研の皆さんが危機感を持ちながら日々努力しておられる姿は、社会に伝わらなければなりません。
基盤研が広く国民の理解と支持を得るためには、研究実績を示すに当たって、研究所独自の成果として誇らしく列挙して、大々的にアピールするよりは、個々の研究において、基盤研が産学官の橋渡し役としてどのように貢献できたか、貢献度はどうか、といったことに力点を置いて示すようにされてはどうかと思います。そのためには、日頃から研究姿勢をそれができるように改めることが求められます。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告をいただきました業務実績の説明、最終評価書(案)につきまして、ご意見等がございましたら頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

○清水委員
 繰越欠損金についての記述について、ご意見を申し上げたいと思います。2カ所、6頁と7頁に出てくるのですが、これは文章ですが、非常に他力本願的な書き方で、結構受け身的な書き方になっているかと思います。これは中期計画期間の実績ということであれば、はっきり繰越欠損金が拡大したのか、あるいは減少したのかということを書いた上で、期待されるということではなく、これは解消していくことが必要だということを業務実績のほうで言っているわけなので、それと整合する書き方にしていただかないといけないのではないかと思うのです。
 まず、6頁の研究開発振興勘定のほうですと、これは中期目標にははっきりとした明記はないのですが、この中期計画期間が初めて発生しているわけです。62億のマイナスが発生したということですよね。そういうふうなことで、構造上先行するのはしようがないのですが、それは解消していく必要はあるということで、努力は評価されるものの、やはりそういう課題は残るということは明記する必要があるのかと思います。
 7頁の承継業務については、中期目標自体に適切に実施して解消するという記述があるわけですが、256億が変わっていないという実績評価が書いてありますが、少し変動して、やはり拡大しているはずですよね。少しですが、損切りということもあって、拡大しているということで、今後、減少に向かうことを期待するというのは、あまりにも他力本願というか、要するにしようがなく引き継いだことはたしかですが、それを解消していく義務を負って引き継いだのですから、そこのところはもう少し能動的な書き方をするべきではないか。そういう印象を持ちましたので、そういうニュアンスを汲み取っていただければと思います。

○田村部会長
 いま2点について、表現を修正してはどうかというご意見をいただきましたが、いかがでしょうか。よろしいですか。清水委員からご提案をいただいたような方向で、表現等、修正していただく形でよろしくお願いいたします。そのほか、何かご意見等はございますか。よろしいですか。いまご指摘いただいた点を修正するということで、中期目標期間の業務実績の最終評価結果(案)として、8月27日に開催される総会に報告したいと思います。なお、このあと誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私のほうにご一任をいただくということでよろしゅうございますか。
(各委員了承)

○田村部会長
 ありがとうございました。それではそのような取扱いをさせていただきたいと思います。最後になりますが、法人理事長よりコメントをお願いします。

○医薬基盤研究所理事長
 私は5年間、医薬基盤研究所に携わらせていただきました。初代でありまして、最初は私の意見として、先ほど鈴木先生も言われたように、3つの所が一緒になってどうなるかと思って本当に心配いたしました。ラッキーと言いますか、我々の努力もあったと思いますが、いまは本当に一体化になったことは身をもって思っております。私どもは各支所にも出かけて行きますし、ディスカッションしますが、ほとんどの研究者ともコミュニケーションがちゃんとできますし、いろいろな意見もいただいておりますので、本当にその点は5年間で一体となることができたということは、私としても誇るべきだと思います。
 先ほどコメントをいただきました連携大学院、橋渡し研究、産学官に対する我々の姿勢というのを、今後とも是非意見を踏まえて、努力してまいりたいと思います。連携大学院につきましても、実は努力しつつありまして、まだ平成21年度はございませんが、いま進めているところです。東京と違ってなかなか大学の数も含めて難しい点もありますが、広げる必要があります。橋渡し研究は、確かに事業仕分けで随分質問を受けまして、なかなか理解していただけなかったということですが、これが皆さんに理解でるように、今後とも身をもって示していきたいと思っております。
 産学官に関しても、随分いま幅広く行われつつありまして、第2期はもっと産学官の共同的なことについて、基盤研発のアピールができるものと、私はするつもりでありますので、今後とも先生方のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

○田村部会長
 ありがとうございました。本日の議事は以上でございます。本日ご審議をいただきました総合評価と財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、法令に基づき、政・独委への通知及び公表の手続が行われることとなります。なお、最終評価書案につきましては、冒頭に事務局からもご説明がございましたが、当部会の後、総会においてご審議いただいて確定の運びとなります。
 事務局より今後の予定等、連絡事項につきましてご説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 今後の予定等ですが、本日ご審議をいただいた法人の総合評価書については、事務手続を進めさせていただきまして、後日、委員の皆様に確定版を郵送いたします。また、医薬基盤研究所の最終評価書につきましても、総会で決定次第お送りさせていただきます。
 次回は8月24日(火)に調査研究部会を開催いたします。時間は午前9時から、開催場所は本日と同じく専用第21会議室です。議題は、国立健康・栄養研究所と労働安全衛生総合研究所の暫定評価及び組織・業務の見直し当初案等についてとなっております。また、8月27日(金)には総会の開催を予定しております。時間は午後2時から、場所は同じく専用第21会議室を予定しております。以上です。

○田村部会長
 ありがとうございました。本日は長時間にわたりありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきたいと思います。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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