ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(結核部会)> 第2回厚生科学審議会結核部会議事録(2014年3月12日)
2014年3月12日 第2回厚生科学審議会結核部会議事録
健康局結核感染症課
○日時
平成26年3月12日(水) 10:00~12:00
○場所
KKRホテル東京 孔雀(11階)
○出席者
加藤部会長 | 中山委員 | 遠藤委員 | 鎌田委員 | 小森委員 |
深山委員 | 磯部委員 | 南委員 | 山岸委員 | 吉山委員 |
徳永委員 | 有馬委員 | 杉本委員 | 小林参考人 |
○議題
(1)結核に関する特定感染症予防指針に掲げられている施策の
進捗状況等について
(2)その他
○議事
○難波江補佐 それでは、ただいまより第2回「厚生科学審議会結核部会」を開催させていただきます。
事務局より、本日の出欠状況を御報告させていただきます。
本日は、委員全員に御出席いただいております。
また、本日は参考人として、公益財団法人結核予防会結核研究所対策支援部長の小林典子様に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、加藤部会長に進行をお願いいたします。
○加藤部会長 かしこまりました。
それでは、皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。重要な議題が用意されているということですので、活発な御議論をお願いします。
それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○難波江補佐 お手元の資料を確認させていただきます。
クリップどめを外していただきまして、初めに議事次第、座席図、委員名簿。
その後、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2、参考資料3となっております。
不足がございましたらお申しつけください。
○加藤部会長 よろしいでしょうか。
○難波江補佐 カメラはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いします。
(カメラ退室)
○加藤部会長 どうもありがとうございました。
議事に入ります前に、厚生科学審議会令で第4条3項に「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」とあります。部会長代理を山岸委員にお願いいたしましたことを御報告いたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日の会議の進行ですけれども、既に配られておりますが、お手元の議事次第に沿って進めてまいりますのでよろしくお願いいたします。
それでは、議事次第の議題の1「結核に関する特定感染症予防指針に掲げられている施策の進捗状況等について」事務局より説明をお願いいたします。
○梅木補佐 それでは、資料1と参考資料1も含めての説明とさせていただきます。
資料の1ですが「予防指針に掲げられている施策の進捗状況等について(追補)」ということでお示ししている資料になります。
1枚おめくりいただきますが、そちらのほうには肺結核菌喀痰塗抹陽性患者等の推移ということで、菌が塗抹陽性の患者数の推移と結核病床を有する医療機関数。それから、結核病床数、年間結核病床利用率の4つのグラフをお示ししているものとなります。
これがざっとした概要でありまして、その次のページに移りますが、先日の第1回の部会でお示ししていますが、今回、自治体に対して11月にアンケート調査を実施した結果ということで、これまで質問としては、主質問票と病原体サーベイランスに関する調査票ということで、その2つの結果を今までお示ししておりまして、「主質問票」における「1 発生動向調査」は第1回に結果を提出しております。
「2 予防指針を踏まえた予防計画等の策定状況について」も、同様に第1回結核部会に結果を提出しております。
「3 医療の提供」については、3.1を除く結果については第1回結核部会に提出済みです。
「4 具体的な目標について」、4.1を除く結果については第1回結核部会に提出済みであります。
それから、病原体サーベイランスに関する調査票も同じく第1回結核部会に提出しておりますので、その残りについての資料を今回お出ししているということになります。
では、次のページになります。追加報告ということになりまして、3.1の結果となります。
この3.1の取りまとめについての注意事項がありまして、本資料について、結核病床及びモデル病床を有する医療機関に関する調査結果をまとめたものです。調査結果は全国都道府県及び6ブロックごとにまとめた調査結果となっております。それから、医療機関の中に結核病床とモデル病床両方とも有する医療機関がございまして、そちらについては同一医療機関でそういった医療機関があった場合は、重複して集計しているものもございますので御承知おきください。
では、次のスライドに移ります。
これが6ブロックをお示ししているもので、北海道・東北ブロックが7道県。関東・甲信越ブロックが10都県。東海・北陸ブロックが7県。近畿ブロックが6府県。中国・四国ブロックが9県。九州ブロックが8県といった形の構成となっています。
次に移りますが、平成24年の結核統計を、主要なものでございますが、抜粋してこちらに記載しているものです。
新登録結核患者総数、肺結核喀痰塗抹陽性患者数、罹患率10万人対です。それから、肺結核喀痰塗抹陽性罹患率、結核死亡率、喀痰塗抹陽性罹患率、潜在性結核感染症届け出率、新登録中外国人割合、新登録中65歳以上割合、発病~初診2カ月以上割合をそれぞれお示ししております。
なお、注意書きとして、全国のところですが、新登録中外国人割合が5.0ということではありますが、20~29歳に限ると36.3%といった数字となっております。
続きまして、次のスライドに移りますが、全国の結核病床及びモデル病床を有する機関を記載しているところです。
全国の数字のみをお伝えしますが、許可病床を持っている施設数としては234施設。計6,199病床あります。それから、稼働病床を有する施設は209。トータル病床数は4,636。それから、モデル病床を有する施設数としては91。病床数としてはトータル454といった形です。
その次のページに移りますが、この全国の平成25年10月時点の数字と、参考値として、以前調査をした結果がございましたので、それもあわせてお示ししております。
全国の許可病床、稼働病床のみですが、平成23年12月末時点の数字となっておりまして、全国許可病床としては合計7,376、稼働病床としては5,529となっております。
それから、モデル病床を有する施設数及び病床数に関しては、平成24年度末時点となっておりますが、施設数としては90、病床数としては460といった結果になっております。
次のスライドに移ります。
全国・都道府県1ですが、表の1については、自治体当たりの結核病床を有する医療機関数(許可)という形での分布を示しているもので、医療機関数が1の自治体は5、2の自治体数は7と、おのおのこういった形の集計をしている表になります。
表の2に移りますが、モデル病床数と自治体数といった形で、モデル病床数が0の自治体数としては15、1から9については19自治体数と、以下同様の数字となっています。
次のページに移ります。全国・都道府県2として表の3になりますが、年間塗抹陽性患者登録数当たりの結核病床数を許可、稼働おのおのお示ししておりまして、病床数と患者数の比を求めておりまして、0.25未満、0.25から0.5未満、0.5から0.75未満、0.75から1未満、1から2未満、2以上という形の項目数において、それぞれ自治体数が0、8、10、13、15、1となっているものです。平均としては0.75といった数字になります。稼動につきましても同様の数字を並べております。
表の4に移りますが、人口10万人当たりの結核病床数をお示ししておりまして、病床数と人口10万人という形で3未満、3から6未満、6から9未満、9以上という形での項目をつくっておりまして、それぞれ許可及び稼働数の場合で自治体数をお示しし、割合も出しているという形になります。
表の5に移りますが、人口10万人当たりの結核病床数を許可、稼働それぞれ数字として5.76、4.01といった形で出しております。
続きまして、全国・都道府県3に移りますが、表6です。合併症治療の可能な医療機関と自治体といった関係をお示ししておりまして、透析を必要とするような合併症をお持ちの方の結核治療について、それが対応できる医療機関を持っている自治体数としては42、持っていないのが5という形でありました。心疾患、特にCCU対応が必要なもののレベルについては31、16、心疾患の中でも安定しているがモニターなど一定の管理が必要な患者に対する対応ができるのは43、できないのが4となっております。精神疾患が39対応できる県でありまして、8都道府県については対応できる医療機関がないといったところ。それから、認知症、徘徊等があるもののレベルですが、36都道府県においては医療機関があって、11についてはない。同様に、健忘程度の患者ではありますが、44の都道府県ではあり、3でないといった結果になっております。
また、次のページに移りますが、新登録患者の受け入れ状況を施設数としてお示ししておりまして、その下の表について具体的な数字を載せておるものです。
各ブロックごとと全国について、許可病床を有する施設数、あるいは稼働病床を有する施設数、モデル病床を有する施設数ごとに新登録患者の受け入れ状況を確認しているものです。
そのうち、稼働病床を有する施設数とモデル病床を有する施設数の中の内訳を棒グラフとしてお示ししております。左側が稼働病床を有する施設の中の割合です。可能なもののを割合をお示ししておりまして、右側についてはモデル病床を有する施設数の中での割合、受け入れ状況が可能といったものの割合をお示ししております。
記号として△、○、□とありまして、△については従来からその病院の患者さんであれば対応が可能である。それから、○については、他院からの紹介患者も受け入れが可能である。□については、そういったことをできない、もしくは確認できないといったことで色分けをしております。それぞれこういった結果になってございます。
同様な結果をお示ししているのがその次のグラフ。次のページに移りますが、多剤耐性結核患者の受け入れ状況。これも施設で見ておりまして、結果としてはご覧のとおりの内容となっております。
同様に、その次のページに移りますが、院内DOTSの実施状況ということで、これも施設数としてお示ししているものでございまして、稼働病床を有する施設数、モデル病床を有する施設数の中で、ある程度できている、できていないというのが色分けが見えるのではないかと思います。
続きまして、その次、合併症に対応可能な施設数ということで、透析に移ります。これは実数のみをお示ししておりまして、病床数は記載しておりません。あくまで施設としてカウントした数字を実数で並べております。稼働病床を有する施設数とモデル病床を有する施設数をおのおの全国、あるいは6ブロックごとに集計した結果をお示ししているということになります。
同様に結果をまとめたのがその次のページ以降になりまして、心疾患1。先ほど言いましたようなCCU対応が必要な患者に対する対応が可能な施設数を実数でお示ししておりまして、その次のページの心疾患2:安定しているがモニターなど一定管理が必要な患者も同様の表現をしております。それから、精神疾患に対応が可能な施設数もご覧のとおりであります。
次に移りまして、認知症疾患1:徘徊等がある患者についての稼働病床を有する施設数、あるいはモデル病床を有する施設数の実数を記載しております。
それから、次に移りまして認知症疾患2ですが、健忘程度といった患者に対する対応ができる施設数もご覧のとおりとなっておりまして、その次に移りますが、その他として、調査対象外なのですが備考欄に記載していただいていたものがございましたので、ここに抜粋しております。あくまで対応が可能ですと任意で記載していただいているものですが、北海道・東北ブロックで以下の施設が対応が可能。あるいは、東海・北陸ブロックで以下の施設、九州ブロックで以下の施設がその他の合併症として対応が可能という形で記載されていたものです。
その次のページ以降については、各ブロックごとに数字をまとめたものでございまして、これは参考資料ということになります。
それから、参考資料の1でありますが、結核研究所の泉先生に地図情報として、各ブロックの中の県の中における保健所であったりとか、あるいは結核病床及びモデル病床を有する医療機関、それから、地方衛生研究所の位置についてマップに情報を落としていただいておりまして、そのブロックごとの中の数字の内訳も表として作成していただいておりますので、御参考までにごらんいただければと思います。6ブロック全てございますのでご覧ください。
それで、参考としているブロック情報は飛ばしますので、34ページに飛びます。
医療提供体制のところのまとめとなりますが、まとめ1としましては、平成24年の新登録患者数は2万1,283、うち肺結核喀痰塗抹陽性患者数は8,237です。
新登録患者中、外国人割合は5.0%。ただし、20~29歳に限ると36.3%となります。65歳以上の割合は62.5%であります。
許可、稼働、またはモデル病床を有する結核治療が可能な医療機関数は、それぞれ234、209、91であります。
上記におけるそれぞれ結核治療が可能な病床数は、6,199、4,636、454であります。
稼働病床を有する施設のうち、100%近くが新登録患者を受け入れが可能であるというふうに御回答いただいています。
それから、稼働病床を有する施設のうち、半数以上が多剤耐性結核患者を受け入れが可能であるとお答えしていただいおります。
それから、稼働病床を有する施設のうち9割以上の施設及びモデル病床を有する施設のうち6割以上の施設で、院内DOTSが実施されているということになります。
その次のページに移りますが、まとめ2です。合併症対応が可能な施設数は以下のとおりとなっております。ただし、程度によっては対応ができない可能性もあるといった備考に記載されているものもございましたのであわせて伝えておきます。
それから、最初にお示しした同一医療機関において結核病床とモデル病床を有していた場合においては、今回、以下の集計には重複せずに集計しているという形になります。
透析に対応可能な施設は、計123施設あります。
心疾患、CCU対応相当に対応可能な施設は、計69施設あります。
心疾患、モニター管理等安定した病態に対して対応可能な施設は、計188施設あります。
精神疾患に対応可能な施設が、計84施設あります。
認知症、徘徊程度ですが、これに対応可能な施設が、計111施設あります。
認知症、健忘程度に対応可能な施設が計209施設あります。
3の調査結果については、事務局としては以上となります。
○加藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。
鎌田委員、お願いします。
○鎌田委員 北海道医療センター、鎌田でございます。
二点ほどお尋ねいたします。まず、6ブロックに分けた理由をお伺いしたいと思います。私の地元でいうと、北海道と東北は地続きではありませんので、これを一緒に議論することは余り意義がないように思います。また、東京と日本海側の地域における発生状況はかなり様相が異なると理解しておりますが、関東・甲信越ということで一くくりにしてしまいますと実情が浮かび上がってこないと思います。6ブロックに分けて議論を行う必要性について、これが一点目の質問です。
次に、資料の中でお示しの許可病床、稼働病床についてお尋ね致します。厚生労働省のホームページで第二種感染症指定医療機関の指定状況が閲覧可能で、許可病床についてはホームページで公開されているものとほぼ同義だと理解しております。一方で、稼働病床の実情についてはどこまで把握されておられましょうか。と申しますのは、許可病床を有していても現在は休床している医療機関が結構な数に上っていまして、これは実情と大分乖離しているのですね。市中の医療機関で結核患者が発生した、厚生労働省のホームページを見て結核病床を有する病院に電話した、しかし実際は休床していて転院出来なかったという事例が、少なくとも北海道においては多々あります。稼働病床と称されるものが実際に結核患者の入院が可能な病床を反映していると考えますが、これは少なくとも私が調べた範囲では知ることはできないのですね。どこかで公表されておられましょうか。これが二点目の質問です。
○梅木補佐 まず、ブロックごとに集計をまとめたという理由については、もともとのアンケートとしてそういったデザインを組んでいなかったというのがあります。都道府県からそれぞれ医療機関に聞いていただいたとは思うのですが、医療機関としては当然公表を前提とするといった情報が事前にあればいいのですが、今回は公表することを事前に許可を求めたものではありませんでした。そのため、各都道府県ごととした情報を提供することができないといったことから、全体をまとめたブロックごとに集計をいたしました。
それから、稼働病床と許可病床については、基本的にはおっしゃっていただいたとおり、許可はされているものの実際に受け入れしていないという施設もございまして、それの情報をこちらのほうで把握した結果も含め、集計をまとめています。
集計自体は、これまで何回かしてきているのですが、ただ、それをオープンにするということは基本的にはなされないのではないかと思います。
○加藤部会長 鎌田委員、よろしいですか。
○鎌田委員 ですから、それでよろしいのでしょうかということなのです。要するに、実情を反映していない情報が公開されている、実際には患者を受け入れることができない休床している医療機関が、厚生労働省のホームページに「病床あり」と記載されている状況でよろしいのでしょうかということです。
結核患者が発生した、入院が可能な病院を探す、厚生労働省のホームページにたどり着いて病院が見つかった、ここの病院にお願いしようと思って電話をしたら、うちは休床していて受け入れられません。こういったことでいいのでしょうかということです。ですから、こういった実際に稼働している、実際に患者さんを受け入れている病床を公表するようなことが必要ではないかと私自身は思うのですけれども、いかがでしょうか。それを公表するようなお考えはありませんでしょうか。
○難波江補佐 許可病床についてはそういう形で許可を得ているものなので、それは一つの統計として載せるというのは普通にあることかと思います。
おっしゃるとおり今、医師がいないとかしばらく休床しているというのは、実態としてあるのだと思います。そういうものを把握できればと思って、今回こういう形で調査して、オープンにしたという形になります。その後、今、許可を得ている病院が今後その病床を廃止するかというのは、その状況に応じて医療機関なり自治体のほうで検討が進められるものと思っています。
○鎌田委員 厚生労働省のホームページで記載されている施設名の横に備考として括弧書きで現在休床中などの記載を盛り込むようなこともお考えいただきたいと思います。本日の本質の議論からずれますのでここでとどめます。
○加藤部会長 よろしいですか。要望ということでお聞き置きしておくことにします。ありがとうございました。
ほかにございますか。遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 参考資料の1でございますけれども、東北ブロックで福島の実態を見ますと、結核病床、モデル病床を有する医療機関の実態と合わないというのがわかっているのですが、これはいつの時点のデータなのでしょうか。
○梅木補佐 これは一番最初のページにございますように出典を明記しておりまして、それはどのあれでしょうか。保健所、第二種。
○遠藤委員 医療機関が△で表示されていますが、△は3カ所しかございませんが、もともと福島県は結核病床は5カ所がございましてモデル病床が3カ所という実態なのですが、△の結核病床及びモデル病床を有する医療機関が3カ所しかないということですね。
○梅木補佐 なので、第二種感染症指定医療機関については、平成25年4月1日現在にホームページに公表しているものを反映した地図となっております。
○遠藤委員 結核病床を有するという医療機関ではなくて、第二種感染症指定医療機関ということでしょうか。この図の上には「結核病床及びモデル病床を有する医療機関」と題してタイトル名が記載されております。
○梅木補佐 厚生労働省のホームページに載せてあります結核病床を有する施設とモデル病床を有する施設の一覧が載っておりますので、このデータのもとにしております。
○遠藤委員 そうすると、実際とは違うということなのです。要するに、現実とは異なりますから、これが第二種医療機関なのか、あるいは結核病床、モデル病床を有する医療機関のプロットなのかというところでございます。実際より結核病床を有する医療機関の数が少ないのです。
福島県の結核病床を有する医療機関は5つです。
○難波江補佐 そのあたり、確認いたします。
○遠藤委員 あと、もう1点よろしいでしょうか。
先ほど数字がありましたように、稼働病床数、許可病床数の割には稼働病床もどんどん減っている中で、やはり県に1カ所しかない県がございまして、県に結核病床を有する医療機関が1カ所しかないと、その隣県で結核患者さんを受け入れるという実態が生じまして、例えば福島県であれば、宮城県のほうから来院した県境の患者さんが入院することもあります。その受け入れること自体は問題が起きているわけではございませんが、だんだん減少していく際に、先ほど鎌田委員のほうからのお話ありましたように、いろいろ経営上、運営上の問題等々で休床にしている医療機関も今後ふえてくると思うのです。やはり地域性を考えますと、特に東北では雪、そのほか医療アクセスの問題がございまして、少なくとも2次医療圏には1カ所の結核病床を有する医療機関を何らかの形で設定しておかないと、患者さんの搬送といった場合に種々の問題が生じます。特に今後多剤耐性の結核菌が多くなるような実情を踏まえた場合に、誰がどのようにして搬送するのかといったこともございますので、少なくとも2次医療圏には、そして2次医療圏にないところにはモデル病床を逆にお願いするような制度上の見直しも必要なのかなというところが現実であると思います。
○加藤部会長 貴重な御指摘、ありがとうございました。
予防指針の中の考え方として、県ごとに中核病院を指定するということと、2次医療圏の基幹病院において結核患者を診られるようにするという考えが既に盛り込まれていると思います。それに対してどういうことが必要かということが先の問題であろうかと考えられます。委員の先生、どちらかで同じようなことで病床の問題、こういう問題がある、あるいはこういう解決の方法があるとかいうことがございましたらお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
なかなか簡単には解決が見えないかもしれませんけれども、今、遠藤委員が御指摘の県境を越えてというのはあちこちでもう既に起きている状況かというふうにも思います。
病院側から何かありますか。
○山岸委員 いろいろなお話がありましたが、モデル病床をいかにして有効に使うかということだと思うのです。大きな総合病院ではモデル病床を有することが大分多くなってきていると思いますけれども、そのモデル病床の稼働率がどうか、どれだけの結核患者が入院しているかというのは実は全然我々知るところではないのですが、それができたらデータとしてお出しいただけるとありがたいなと思うのです。せっかくこれだけのモデル病床数があるわけですから、そこをいかにして有効に使うか。自分のところで診断した結核患者しか診療しないということではなくて、他の医療機関で発見された結核患者を診ていただくような体制をいかにしてつくっていくかというのが大事ではないかと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。
御指摘のとおり、モデル病床は合併症の治療ということが既に出ていますけれども、既にそれだけではなくて地域で受け入れるようなことが必要になっている状況。あるいは、モデル病床だけれども、本来結核病床として設置すべきなのかというのは制度上の問題があると思うのですが、今後に向けてそういったことも遠藤委員御指摘のように議論として進めていかなければいけないかと思います。
貴重な御指摘ありがとうございます。
有馬委員、どうぞ。
○有馬委員 ちょっとお聞きしたいのですけれども、関西のほうはどうもモデル病床が広まっていかないのです。その理由というのは行政にいる人間にはなかなか見えないところがあるのですけれども、厚生労働省として、モデル病床が広がりづらい理由を何か知っていらっしゃるようであれば教えていただきたいのです。
○加藤部会長 私どもの知っている限りは、私どもの結核研究所でモデル病床に対する調査をしたことがあります。幾つか問題が既にありまして、1つはやはり経営上の問題が大きい。あるいはスタッフの配置の問題とか、それから、空床としておかなければいけないというような考え方をお持ちのところもあるようなのです。あと、ドクターがいないとか看護職の問題とか、さまざまな問題でなかなか設置しにくいということがあるようです。
○有馬委員 それは何か規定があるから、そこになかなかはまらないのでモデル病床として手を挙げづらいという状況が病院側にあるということでしょうか。
○加藤部会長 規定についてはちょっとわからないのですけれども、何かありますかね。
吉山委員、何かあったらどうぞ。
○吉山委員 加藤先生の御指摘のことというのは、モデル病床を既に持っているところが実際には活用していないところが多いことについての理由ですね。
○加藤部会長 そうです。
○吉山委員 有馬委員の御指摘は、モデル病床にそもそも手を挙げないということについてで、ちょっと話は違うかとは思うのです。
○加藤部会長 その背景としてそういう問題があるかなということでちょっと御説明申し上げたつもりでした。
○有馬委員 やはり大阪のほうも、高齢者の結核が6割近くなっております。ですから、合併症を持つケースというのは多いです。精神疾患も、府の精神医療センターが手を挙げてくださっているぐらいで、認知症とか統合失調症とかプレーンなケースは受けてくれますけれども、西成のあいりん地域では、アルコールや薬物の合併症があるすごく難しい結核の患者さんもいらっしゃいます。そういう患者さんを受けてくださらないというところもありますし、脳血管疾患の対応においてもやはり苦慮しているところがあるかと思います。そういうところに、モデル病床として専門的な技能を持った病院が手を挙げていただけるということになかなか行き着かないところがあります。これはあまりはっきりと言えないことですが、排菌しているのに、患者側、医療側の問題で、入院という形態がとれないでまちの中で、一人暮らしの生活をしているような状況に、保健師ないしアウトリーチワーカーが訪問してDOTSをして、排菌を止めていくというような、入院をせずして治療を進める形態をとらざるを得ないというのが現実としてあります。確かに周りからかなり言われるのです。何で排菌している方が入院できないのだと。行政としたら、地域と医療の板挟みになってとてもつらい思いを現場ではしております。
現実、モデル病床が広がらないというところに要因があるのかなというのはちょっと感じているところです。これから高齢者結核が多くなってくると、もっともっと問題になってくるのではないかなとも感じています。
○加藤部会長 ありがとうございました。
吉山委員、どうぞ。
○吉山委員 今の有馬委員のことについてなのですけれども、合併症を有する人を受け入れている施設の割合を見ると、稼働病床を持っている施設数の中の割合に比べて、モデル病床の中の割合がむしろ低いのです。ですので、合併症対応に全然なっていないのではないか。例えば、心疾患1のところが、結核病床を持つところで37です。全体で200のうちの37が○ですから18%。
○難波江補佐 先生、何ページを。
○吉山委員 私が今、見ているのは16ページです。そのところの心疾患1に対応できているところが、○がついているのが37。△も入れて結核病床では53。ですので、結核病床を持っている病床200のうちの4分の1ぐらいに対して、モデル病床を持っているところは全体で90。ただ、そのうち精神科の病院もありますので、それを除くと多分70ぐらいだと思うのですけれども、うち、モデル病床を有するところで心疾患対応が○が8、△を入れても18。つまりこれも4分の1で、決して高いわけではない。だから、合併症に対応するというモデル病床の目的を、そもそも今のところ達していないのではないかという危惧があるのですけれども、そこについて詳しい調査などはございますでしょうか。
○梅木補佐 今回のアンケート調査については、それ以上は追加ではやっておりません。
○加藤部会長 必要に応じてはそういった調査もやらなければいけないかなということかと思います。ありがとうございました。
○吉山委員 あともう一ついいですか。
○加藤部会長 どうぞ。
○吉山委員 これは質問というよりも解釈なのですけれども、表6。ページでいきますと11ページのところに、合併症治療ができるものがあるかないかについてありますけれども、つまり、心疾患の1が対応が必要な患者さんについては、その患者さんが発生したら県境をまたがないといけないところが16県あるという解釈でよろしいわけですね。
ただ、もう一つ、対応可能な病床があっても、実際にとれるかどうかというのはまた別な問題で、東京は多分全部のところで○がついているはずですけれども、その一部は、複十字病院からでも隣の県に搬送することは多々ございます。それは病床はあっても実際には満床であったり。首都圏ではそういうことは多々ありますので、満床であったりしてとれないということ。それゆえ、隣県まで行かないといけないということは決してまれではない。ですので、これ以上に問題はあるのではないかと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。貴重な御指摘いただきました。
ほかにありますでしょうか。
医療機関の先生にお聞きしたいのですけれども、多剤耐性の患者を持っているところ、診療しているところ、多剤耐性の受け入れ可能なところの割合が、13ページにありますね。この割合は全国で稼働病床数を有するところの半分ちょっとが受け入れということになっているのですけれども、これは地域によって違いますので、どのように評価しましょうか。ある程度多剤耐性は中核的病院に集約とかいうような考え方が医療提供体制のモデルに書かれているのですけれども、これはどういうふうに見えますでしょうか。
山岸委員、お願いします。
○山岸委員 十数年前の国立療養所の時代に多剤耐性の病床を結核病床を有する全ての国立療養所に造りました。ですから、そういう意味でハードの面で受け入れが可能という形で多分答えているのではないかなと思います。
○加藤部会長 わかりました。ありがとうございました。
ここは、今後どのようにしていくか。患者さんはどんどん減っていきますし、ある程度集約しないと診療経験は積み重らないという問題がありますので、数字だけでなくて、実態を少し考えながらどうするかということも必要なのかなと感じた次第です。ありがとうございます。
ほかに何か。どうぞ。
○有馬委員 先ほど多剤耐性の話がありましたけれども、中には持続排菌をしていらっしゃる、本当に長期に入院している患者さんが実態的にあります。平成23年に吉山先生が持続排菌の患者さんの調査をされて、全国に、2010年には92名と書いておりますけれども、若干まだ減ってはきているかとは思うのですが、本当に狭い空間の中で十何年間も入院して、ストレスが絶頂になって自殺をされたりするとか、そのいらいらが病院の先生方とか看護師さんに向かっていっているという現実を目の当たりにしております。
昔は患者が多かったので、病棟として広々と使って、イベントがあって、その人の生活のQOLもある一定保たれていたかと思います。しかしながら、だんだん減ってきて、ある病院の中で数名。ほかの病院でも数名。数名点々とした状態でいるより、集まればもう少しコミュニティーのような状態になるのではないかなと。イギリスではとても空気のいいところで広々とした生活をしていると聞いています。あそこまでは日本の中では難しいかとは思うのですけれども、狭い空間の中では、患者さんの人権が守られているのかと、病院訪問をしていてすごく感じます。
平成23年に調査をした結果が、どのように病院の制度的なものとか、患者さんの人権的な部分に変化をもたらしているのかなというのをすごく感じるのですけれども、そのあたりはどういう状況でしょうか。
○加藤部会長 今回の調査はございましたでしょうかね。
○有馬委員 ちょっと外れるのですけれども、済みません。
○加藤部会長 吉山委員、どうぞ。
○吉山委員 複十字病院の吉山です。
あの調査自体は、慢性排菌の疫学状況を把握して、今後新しい薬が出るに当たって、それでその慢性排菌を根絶できるかという問題意識を持って行った調査でございまして、残念ながら新しい薬が1つ出ても余り変わらないのではないか、なくならないというのがその最終的な結論なのですけれども、QOLについてはその辺、全然調査の時点では全く質問票の中には入っておりません。
○有馬委員 吉山先生の調査の中にはそうでしたけれども、もう一方、ハード面の調査がありましたね。平米数がどれぐらいで、どういうアメニティーがあるか。
○吉山委員 それは、院内感染対策。
○有馬委員 院内感染対策かもわかりませんが、多剤耐性の病棟の調査も入っていたかと思いますけれども、入っていませんでしたか。
○加藤部会長 それはちょっと確認します。済みません。
アメニティーも重要な問題として、患者さん中心の医療の提供体制という中では、長期入院となる患者さんをどうやってケアするか患者さんたちの立場に立った医療提供ができるかということも大事なことですので、今後とも検討が必要ということであろうと思います。
ほかに何かありますでしょうか。
では、よろしければ、引き続き資料について事務局から御説明をお願いいたします。
○梅木補佐 それでは、資料36ページ「具体的な目標について」、4.1のみということになりますが、次のページに移ります。
4.1 DOTS実施率算定方法(修正案)1ということなのですが、これはアンケート調査の際に、まず、結核研究所の先生方にDOTS実施率の案を提示していただきまして、それを自治体の皆様に、実際に算定が可能かどうか、あるいはこの定義が適切かどうかということを調査しております。コメントいただいたものを踏まえた改めて修正いただいたものがこのものとなっておりまして、今回参考人として来ていただいている小林部長からも後ほど説明がありますが、これが修正案ということになります。
1番、2番、それぞれありまして、DOTS実施率算定の対象、それから、DOTS実施率の算定式ということで、分子、分母がごらんのとおりになっているということになります。
その次のページに移りますが、3 院内DOTS及び地域DOTS実施の定義ということも、こちらのほうで定めているということになります。
その次のページも含めて説明した後に、小林参考人より説明していただきたいと思いますが、まず、指針の具体的な目標に関する具体的な定義をここで案としてお示ししているものになっています。
1と2ということで、1については、具体的な指標であったりとか、目標年だったり目標値、エリア、分母、分子を記載しておりまして、2については、備考として備考欄を設けているということになりますが、これをごらんになっていただいて、これでいいかどうかもあわせて御議論いただければと思います。
事務局の説明は以上です。
○加藤部会長 それでは、ここで参考人としてお呼びしております結核予防会結核研究所対策支援部長の小林参考人より、資料の説明をお願いします。
○小林参考人 結核研究所の小林と申します。
DOTS実施率算定方法につきまして、参考資料2について御説明をさせていただきます。
まず、今回、DOTS実施率算定方法をまとめるに当たりまして、2ページ目にあります4点を基本に作成いたしました。
最初の「1平成23年10月の通知に基づくこと」に関しましては、保健所及び医療機関では、平成23年10月の結核感染症課課長通知、結核患者に対するDOTSの推進についての一部改正をもとに事業を展開しています。そのため、この通知に基づいた算定方法といたしました。
「2質の高いDOTSを目指すための指標となること」に関しましては、日本のDOTS事業は、医療機関と保健所の連携のもとに患者のリスクに応じた服薬支援方法を取り入れて患者の治癒を目指しております。これまで、入院から退院への継ぎ目のない支援のあり方や、患者の生活に応じた服薬支援方法の導入、そして、地域の支援者の発掘・育成など、患者を中心としたDOTSの研究に努めてまいりました。DOTS実施率を算定するに当たりまして、DOTSの質が高まることが重要だと考えております。
3に関しましては、保健所はさまざまな問題を抱える患者や、中断のリスクの高い患者へより多くかかわっています。そのような努力が反映できる指標となる算定方法が適切だと思います。
4に関しましては、保健所を取り巻く環境はそれぞれ地域によって資源も異なってまいります。また、業務の中で算出するということですので、現実的に算出が可能な方法であるということが大切だと考えました。
次のDOTS実施率算定方法ですが、これは文書の前文にこういうものを書き添えたほうがいいのではないかということなのですけれども、予防指針改定の検討過程で、DOTS実施率状況は自治体格差が大きいこと、医療機関と保健所の連携体制の確立が今後さらに必要であることから、「DOTS実施率」を算定する評価が導入されたこととあわせて、先ほどお話ししましたとおり、平成23年10月の通知に基づいて算定方法を検討したことを前文として記すことにいたしました。
次の4ページは、DOTS実施率算定の対象・算定式です。
分母となる対象は、スライドのとおりです。下に図がございますが、先ほども厚生労働省のほうから御報告ありました新登録患者2万1,283人といいますのは、平成24年1月1日から12月31日に届け出があった患者数を申しております。24年12月に登録された患者さんは、まだ治療期間中、DOTS実施中ですので、いわゆるDOTS実施率の算定となるのは前年の登録患者、いわゆる青い部分となります。これはコホート観察対象者と同じ方たちとなります。ただし、治療開始前や治療開始1カ月未満の死亡と転出については、対象から除くことにいたしました。
分子につきましては、今、御説明しました前年の新登録結核患者のうち、DOTSを実施した患者数となります。 先ほどお話ししましたとおり、保健所は中断のリスクの高い人や問題を抱える患者さんにより多くかかわっています。実態に合わせたDOTS実施率とするためには、脱落・中断及び死亡した患者を対象に入れて、それぞれ脱落・中断、または死亡までの期間の実施率を計算することといたしました。
同じように、薬剤耐性があるなど、治療が長引く患者にも保健所は力を多く注いでいます。治療が12カ月を超える患者さん方に関してはどこかで切らなければいけないということで、一応12カ月で算定することにいたしました。
先ほど申しました何を持ってDOTS実施とするかについての説明は5ページになります。
DOTSの成功は治療開始から治療終了まで一貫した服薬支援のもとで、確実に服薬し治癒することです。(1)に関しましては、「院内DOTSを実施している医療施設」に入院し、退院後引き続き地域DOTSが行われた場合です。結核専門病院に入院した患者さんはここに当てはまるかと思います。今、保健所は積極的な介入をそれぞれの一般医療機関や高齢者施設に行っています。そういう介入によってDOTSを導入する施設等もふえてまいりましたので、この括弧の中に、一般医療機関・高齢者施設等を含むといたしました。
「院内DOTSを導入していない医療施設」に入院または入所し、退院後引き続き地域DOTSを実施した場合は(2)に当たります。入院中の患者を定期的に保健所職員が訪問して服薬の重要性等の教育を行い、また、看護師等に服薬状況を確認している場合は、地域DOTSの一環としてDOTSが実施されたものとします。
さきの調査で、自治体から「他疾患で入院中の高齢患者はDOTS未実施なのか」というコメントも多く寄せられておりますので、入院中の患者さんを定期的に保健師が訪問し、服薬の重要性等を患者さんや看護師さん等にお話をするということは、これから高齢者のDOTSを進める上で非常に重要なポイントだと思っております。
具体例として挙げた認知症、寝たきり等の入院患者の対応について、自治体から多くコメントが寄せられたということを申しました。介護者や看護者による確実な服薬支援が行われている場合は院内DOTSの対象とさせていただきますが、ただ、一般医療機関での通常の内服管理のみは少し厳しく、これはDOTS実施とは言えないということにさせていただきたいと思っております。
このようにさまざまな事例がありまして、代表的な事例についてはQ&Aで対応したいと思っております。 次が、DOTSの定義です。院内DOTS、地域DOTSの定義については、23年10月の通知に基づいたものとしました。
(1)の院内DOTSは、結核患者の治療成功を目指して「患者教育」「服薬支援」「保健所との連携」が行われていることを条件といたします。
(2)の地域DOTSについては、この123を満たすものといたしました。
「1原則DOTSカンファレンスにて、個別患者支援政策を策定する」「2個別患者支援計画に基づいて、月1回以上服薬確認を実施する」の赤字で示したDOTSカンファレンス、個別支援計画につきましては、さきの調査でコメントが多く寄せられましたので、注)をつけて説明を加えました。7ページにこのあたりの注)について赤い字で書いております。
「治療開始から治療終了に至るまでの患者に対する服薬支援の徹底を図るため、医療機関や保健所等の関係機関が協議する場」をDOTSカンファレンスとしております。ただ、地域によってはDOTSカンファレンスを定期的に開催することが難しいというコメントもございました。カンファレンスを開催することが目的ではなくて、大切なのは医療機関と保健所が継ぎ目のない支援を通して脱落等の予防をすることでありますので、ここに書きましたように個別の連絡や地域連携パスを兼ねた服薬手帳を代用する等何らかの形で連携がなされている場合は可としました。
また、個別患者支援計画につきましては「治療開始から治療終了に至るまでの一連の患者支援について示したもの」と通知にはございます。いつ、誰が、どのような方法で服薬確認をするかなど、服薬中断のリスクや患者の利便性、地域の実情を考慮して具体的な支援方法を定めたものですが、現場では個別支援計画としてきちっと認識をしていない状況があることが自治体からのコメントを見て感じました。
前に戻っていただきまして「2個別患者支援計画に基づいて、月1回以上服薬確認を実施する」につきまして、御説明をさせていただきます。
この実施頻度については、月1回の支援を計画していても、患者さんの都合によって翌日になることもある等のコメントもやはり多く寄せられました。現実的に可能な算出方法であること、また、質を高めるということを考えますと、少し現場に応じた実施頻度を考えなくてはいけないと思いました。そこで、7ページにございます注3)ですけれども、月を基本単位とし、治療期間中の月1回以上の服薬確認を実施、これを「完全実施」と名づけました。また、不測の事態によって実施できない場合を考慮して、治療期間内の3分の2を超える月数で月1回実施できていれば、「準完全実施」と名づけ、これも実施といたしました。この、ほぼ実施である準完全実施の割合を減らすことが、DOTSの質の向上につながっていくものと思っております。
やっているつもりだが、やれていないことがどの程度あるかということを把握して、それを割合を減らしていくということは、非常に具体的な目標になるのではないかと思いました。
6ページの3番目「服薬を確認した者は診療録や結核登録票、又は本人の服薬手帳に記載する」に関しまして、服薬手帳について電話で確認した場合は、保健師やアウトリーチワーカーが記載できないという御質問もありました。その場合は、地域連携を通して患者さんの支援、治癒を目指していますので、通院時に外来の看護師さんにチェックをしていただくだとか、誰かが服薬を見守る体制、保健師やリーチワーカーも含めたかかわる方たちが見守っていく体制の整備を進めることがやはり質の向上にもつながると考え「診療録や結核登録票、又は本人の服薬手帳」という書きぶりとさせていただきました。
先ほども申しましたように、自治体から寄せられたコメントを含めた詳細につきましては、Q&Aを添付して対応したいと思っております。
以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。
前回の本会議で、各自治体からの意見等が書かれた資料が配付されて、説明されたと思いますけれども、さまざまな意見がありました。逆にいうと実際の実施状況は自治体でそれなりの差があるということを反映しているのだと思います。一方、やはり全国的にあるレベルの質をちゃんと保証したいということで、この基準自体が現場の目標にもなっていくと思います。そういう意味ではそれなりの質が確保できるような形が望ましいと思います。
今の説明に御質問、御意見ございますでしょうか。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 DOTSの定義に関してでございますが、院内DOTSの服薬支援といった場合には、直接視認、目で確認する場合、あるいは空き袋を確認して手帳に記載する方法を原則としておりまして、地域DOTSの場合は、服薬確認も、外来では自宅で飲んだ空き袋を持ってきていただいて手帳に記載するという方法が基本的原則であると思うのですが、さまざまな全国からの報告によりますと、やはり最近はモバイルを利用した、服薬しているところを動画で転送してくる方法等ございます。あくまで定義はこれでよろしゅうございますが、その解釈の方法をどこら辺まで認めてよいのでしょうか。電話で確認しただけでは書けないというお話が小林先生のほうからございましたが、基本的にはそこら辺がボーダーラインということなのですか。もちろん目で確認する方法の一つとしては、モバイルを利用した動画というところも発表がございますとおり現実には一部なさっているところもあるというところなのですが、そこら辺は現実の保健師さんの許容範囲内ですか。なかなか線引きは難しいと思いますが、小林先生、よろしくお願いいたします。
○小林参考人 訪問してもお会いできない若い方たちの服薬確認を保証するためにはどうしたらいいかということで、若者がたくさん持っていますスマホ、またはモバイルを使った支援を自治体等で考えられております。かかわる人たちがいろいろな方法を考えて、その方法を導入して、ただ導入するだけではなくて、服薬の継続を支援する体制を作っていくことが大切だと思います。
保健所が確認するためのDOTSではなくて、患者さんがどうしたら安心して最後まで、できれば楽にといいますか、余り負担なくできるかというあたりをDOTSカンファレンス等で話し合いながら導入した方法であれば、DOTS実施としていいかと思っております。
○遠藤委員 画一的ではなくて、その人の状況、ケース・バイ・ケースで、その人に応じたよい方法を、カンファレンス等を使う話も含めて協議した上でしていくという現実的な方法ということですね。
○小林参考人 他県の病院に入院される方もいらっしゃいますので、自治体を超えてかかわる方たちが職種で結びついてやっていくようないろいろな方法があってもいいかと思っております。
○遠藤委員 大変ありがとうございました。
○加藤部会長 ありがとうございました。
患者中心の服薬支援という考え方が大事だと思いますので、詳細は先ほど御説明があったように、Q&Aでお示しいただくということかと思います。
ほかに何かございますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、次に引き続きまして、事務局から説明をお願いいたします。
○梅木補佐 先ほどざっと説明させていただきましたが、追加としてブルーの色がついたところが今回部会の皆様にお諮りしたいところになっておりますので、そこについての審議をしていただきたいと思います。
○加藤部会長 済みません。何ページでしょうか。
○梅木補佐 39ページ及び40ページです。
○加藤部会長 39ページにつきましては、予防接種の対象者数の分子、分母ですね。それから、40ページにつきましては、事業目標についてということですね。
○梅木補佐 ごめんなさい。事務局ですが、ちょっと1点修正をしたいと思います。
39ページなのですが、DOTSの実施率のところです。分子のところですが「分母のうちDOTSを完了した者」となっておりますが「DOTSを実施した患者数」という形で名前を変えたいと思います。
○加藤部会長 39ページの、DOTS実施率の縦のほうですね。横のほうは「分子」になっていますけれども、そこのコラムの「分母のうちDOTSを完了」を「実施したもの」という修正ということです。
今回、新たに設定したのがこのDOTS実施率と。ごめんなさい、事務局。色つきのところが今回変えたというところでよろしいですか。
○梅木補佐 定義として定めたところであるということです。
○加藤部会長 定義として新たに定めたというところですね。
遠藤委員、お願いします。
○遠藤委員 40ページの「LTBI治療完了率」の「備考」の最後の部分でございますが、「接触者健診等でIGRA陽性であり治療を要すると判断されたにも関わらず治療を拒否した者のサーベイランスへの登録状況が不明である」とございますけれども、IGRA陽性であれば、LTBI扱いで登録するようにはなっていますか。ここら辺は不明であり、保健所が実際に登録しているかどうかという部分でございますか。
○梅木補佐 御指摘のとおりだと思います。
○遠藤委員 保健所自身は診療所でございますので、こういった場合は保健所の医師である医師が届けるべきであるという厚労省としての考えが裏にあるということでしょうか。
○梅木補佐 届け出自体はそのような解釈でありますので、それが徹底されていないという現状かと思います。
○遠藤委員 現状ですか。ありがとうございます。
○加藤部会長 届け出するのは診断した医師ですので、保健所も出すのか、あるいは医療機関か。
○遠藤委員 医療機関で外部委託をしている場合は、診断した医師というところも含めてですね。
○加藤部会長 もちろんそうなります。結核学会のLTBI治療指針には治療の決定のための幾つかの要因がありまして、それを全て保健所で把握できるとは限らないので、医療機関で判定される場合が多いと想定できるかと思います。制度上はどちらでも構わないということですけれども、現実的にはそうなるのかなとは考えられます。
どうぞ。
○遠藤委員 もう一つよろしいですか。
前回網かけではなかったのですが、再治療の定義についてです。「成果目標の肺結核再治療を受けている者の割合」ですけれども、その備考欄で、再治療の定義につきましては、「結核に対する化学療法を過去に1カ月以上受け、その治療を終了から2カ月以上経過している者」とありますが、これは聞き取り調査も含めて、本人の記憶している範囲も含めてという古い時代のことも含めてなのですか、あるいは標準治療法が明確された以降なのですか、再治療の定義というのがどの時点で、過去の治療はどの時点であるのかということが明らかではありません。「過去に」という過去はどの時点ですか。つまり、もっと古いことを言えば、パスとかも含めた過去なのかというところなのです。
○加藤部会長 誰がお答えしましょう。
○遠藤委員 パスとかストマイを含めたことも、聞き取り調査も含みますかということですか。それとも、直近の標準治療法以降のことですか。
○加藤部会長 この定義は、活動性分類の中に入っている定義と一緒ですね。活動性分類と一緒だと思います。
○梅木補佐 一旦確認します。
○加藤部会長 活動性分類の定義と同じ定義を使っていると思うのですけれども、それについては記載はないと思います。私の記憶ではそうなっていますが、確認していただく必要があるかと思います。
ほかはございますか。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 LTBIのところに戻りますけれども、IGRA陽性のみでは保健所への発生届は出ないはずですね。要するに、IGRA陽性で潜在性結核感染症の治療対象としたものが分母になります。ですから、保健所さんのほうで接触者健診対象者の中でIGRA陽性として把握しているけれども、その届け出が出なかった人がサーベイランスでは登録状況不明として処理されるという意味だと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。解説いただきました。
有馬委員、どうぞ。
○有馬委員 済みません。厚生労働省の方にお願いなのですけれども、DOTSの実施率を各自治体に算定、集計をしていただくに当たって、前回もちょっとお伝えさせていただいたのですが、やはり塗抹陽性の患者さんと、塗抹陰性、菌陰性の患者さんのDOTSの実施率というのは全然違います。塗抹陽性患者さんの教育は入院中に実施することができますが、菌陰性患者さんは入院がないということで早期に患者教育が十分できないというところもあって、菌陰性の患者さんには、なかなかDOTSが広がらないのが大阪市としては現実があります。
ですので、95%以上の実施率ということを目指すに当たって、やはり自治体のほうは、国に数を出すから集計をするのではなくて、自分のところでどんなケースにちゃんと入っていけていないのかというのをこの集計のときに気づけるような形でおろしていただきたいのです。そうすると、自治体もそういうところに気づいて、アクションを起こそうとしてくださると思うのです。それが全体的に日本のDOTSの実施率が上がっていくということにつながっていくと思うのです。我々アンケートをしたり集計をするというのはそういうところを狙う部分も往々にしてありますので、ぜひともこういうざくっとした集計の仕方だけではなくて、国のほうもどういう人にきちっとDOTSが入っていて、入れていないケースはどんなケースかというのも見ていただけると思いますので、ぜひとももう少し細かく。LTBIはこれで一つ細かいところでジャンルとして分けられるのですけれども、肺結核の菌陰性、陽性、どうなのか。
今回、DOTSの実施方法に関しては先ほどモバイルの話も出てきていて、自治体の進み具合によっていろいろなDOTSの実施方法があるよという状況になっています。これは私もこれでいいと思っているのですけれども、やはり対象者。どんな対象者にちゃんとDOTSが入っているのかどうかということがわかるような集計の出し方でのおろし方をしていただけたらなとすごく思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○加藤部会長 御提言いただきました。そこら辺は、各自治体で調査としてやっていただくという方法もあろうかと思います。
○有馬委員 でも、言っていただいたら必ずすると思います。
○加藤部会長 徳永委員、どうぞ。
○徳永委員 それに関連してなのですけれども、例えばDOTSの実施率を算定するもとのデータというのは、結核登録者情報システムに入力したデータを使って算定することになるのですか。違うのですか。
今、有馬先生が言われたことと関連づけて言えば、例えば結核登録者情報システムに入っているデータとリンクしてDOTSの実施率を評価できれば今のような検討事項がわかると思うのですけれども、結核登録者情報システムの有効利用とかも含めて、こういった指標とリンクして評価できればなと思うのです。
○加藤部会長 システムのことなのでお願いします。
○梅木補佐 現在のシステムではDOTS実施率を出すためのシステムが対応できておりませんので、現行上は難しいと思います。
それで、現状としてはこういったシステムの中に何らかの記録を残しておいたものを振り返って確認していくということになりますので、一つ一つ確認していただくという作業になってしまいます。自動的にも出てこないです。
○加藤部会長 考え方の問題ですけれども、振り返ること自体が改善にプロセスになるということもなくはないのですが、今後の課題としてそこら辺はまた出しやすい方法も必要ですね。
○有馬委員 ちょっと追加で。
○加藤部会長 有馬委員、どうぞ。
○有馬委員 先ほど小林参考人が、DOTSの算定のことで、母数にするのはコホート観察対象というところにしています。ですから、DOTS実施者のコホートの結果をリンクさせると、陽性のケースと陰性のケースの治療成績の違いがわかります。大阪は脱落中断が陰性のケースは10%ぐらいです。だから同時にDOTSが入っているケースと入っていないケースの治療成績も見えてくると思うので、ぜひともDOTSの算定の母数がコホート観察対象になったのであれば、そういうところまできちっとわかるような持っていき方をすれば、次の対策というのは打ちやすいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。
それでほかに。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 40ページの事業目標「治療失敗・脱落率」の網かけのところで「肺外結核の治療成績判定の明確な基準がないことから対象は肺結核のみとする」の記載についてコメントさせて頂きます。今回の本筋と外れますが、肺外結核の治療成績判定の基準を、今後の課題として御検討いただければと思います。基本的に現在は全結核患者がDOTSの対象となっておりますので、その点を踏まえますと肺外結核が蚊帳の外に置かれることはあまりよろしくないものと思います。
○加藤部会長 山岸委員、どうぞ。
○山岸委員 結核病学会のほうでも、治療委員会のほうにぜひ肺外結核の治療期間を出してほしいという要望は出しているのですけれども、なかなか難しいということで、今のところはまだ進んでいません。
○加藤部会長 学会とも協力しながら、ということになると思います。ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
それでは、時間も少し押していますので、次の説明ということで、事務局、お願いいたします。
○梅木補佐 では、続きまして、資料の2に移ります。
資料の2ですが「結核に関する特定感染症予防指針に関する進捗状況の中間評価(案)」という形でなります。この資料の大枠としては、今回、第1回及び第2回の自治体に行ったアンケート調査の結果を踏まえた、今後充実すべきものを抽出するために、あるいはやっていくことが必要であるということでこの資料をつくっているものなのですが、「1.目的」「2.方法」「3.結果」「4.調査結果を踏まえた今後充実すべき具体的な取組方策」という形の3項目に分けて記載しているものです。
「1.目的」から読み上げていきたいとは思うのですが、端折りますが、予防指針というのを策定しまして、この指針に基づいて結核対策というものを推進しております。
「平成23年に改正された予防指針では、多剤耐性結核など複雑な管理を要する結核治療を担う中核的な病院や地域ごとに合併症治療を担う基幹病院の確保と、医療機関や保健所等複数の関係機関が連携して直接服薬確認療法(DOTS)を推進することで、必要な結核病床の確保と患者中心の医療体制を再構築するなどの低まん延化に向けた新たな対策の枠組みが示されている。
予防指針では、掲げられた施策及びその目標値の達成状況、結核発生動向等状況の定期的な検証及び評価を踏まえ、少なくとも5年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときはこれを改正するものとされている。平成25年は中間年にあたる年であり、残された課題に関して重点的に対策を進めていくということが重要であるとの認識の下、各自治体の進捗状況について調査を実施し、これまでの対策全体について中間地点での評価を行った」。
「2.方法」はごらんのとおりとなっておりまして、140自治体に対して11月にやったアンケートとなります。
3.に移りますが、「結果」としては140自治体中140自治体から結果を回収できております。
「(1)発生動向調査」「(2)予防指針を踏まえた予防計画等の策定状況について」「(3)医療の提供」「(4)具体的な目標」「(5)病原体サーベイランス(薬剤感受性検査及び分子疫学調査手法)」に関する調査の結果をまとめております。
(4)の「具体的な目標」については、アンケート結果を踏まえた今後の対応への提言という形で記載をしているので、御留意いただきたいと思います。
それから、(2)の「予防指針を踏まえた予防計画等の策定状況」についてというふうに、若干「予防指針に基づく」と書いていたものを「踏まえ」という形に名称を変更させていただいております。この処置としては、純粋な予防計画と言った場合は、国の基本指針に基づいて策定するものを予防計画と言っていたところではあるのですが、ここでアンケートした趣旨としては、そういった国の基本指針に基づいた予防計画、あるいは結核に特化した予防のための実施の計画、あるいはその他関連する計画を含めて予防計画等という形で意図しておりまして、そういった計画があった場合に、その計画にこの平成23年の改正事項が盛り込まれているのかどうかということを確認したいということでアンケートを調査しているということなので、若干文言から「基づき」というのは、その指針に基づいて書かなければいけない、あるいは作成しなければいけないといった形で誤解を生んだということもありますので「踏まえ」という形で名称を変更しているものです。
では、具体的に(1)から発生動向調査の結果となりますが「1結核・感染症サーベイランス委員会については、43自治体が定期的に実施しているものの、97自治体は定期的に実施していない」。
「2病原体サーベイランスの構築については、集団発生時等必要に応じて分子疫学的手法を実施できる自治体が73.6%であり、約15~20%の自治体がほぼ全ての培養陽性患者についてのVNTR実施やデータベース化、菌バンクを構築している」。
「(2)予防指針を踏まえた予防計画等の策定状況について」。
「1予防指針を踏まえた予防計画等については、43都道府県、91.5%で策定・改正されている。4県は策定・改正に向けて準備中」ということです。
「2都道府県の予防計画等の約8割には、具体的な目標設定や高齢者・ハイリスクグループへの施策、接触者健診の強化・充実が含まれている」。
「3多くの自治体が施策の対象としているグループは高齢者、住所不定者、外国人であり3大ハイリスクグループといえる。ハイリスクグループには、多種多様なグループが設定され、グループや地域の実情に応じた施策内容となっている」。
「4約2割の市及び特別区においても、独自の予防計画等を策定し、その多くで都道府県と同様にハイリスクグループへの施策等を盛り込んでいる」。
「5接触者健診で分子疫学調査手法を活用するにあたり、約半数の都道府県、約4分の1の市及び特別区が何らかの制度上の課題を認識している」。
「645%の自治体がBCG接種の目標を設定しており、実績としては平均値・中央値ともに95%以上であった」。
「7約8割の都道府県は施設内(院内)感染の防止についての施策を予防計画等に含めている」。
「8約9割の都道府県は人材育成についての施策を予防計画等に含めている」。
「9ハイリスクグループへの施策の好事例として、複数の自治体が『結核対策特別促進事業』等を活用した健康診断や健康教育を実施している」。
なお書として、予防計画等について記載をしています。
(3)に移ります。「医療の提供」のところです。
「1許可、稼働又はモデル病床を有する結核治療が可能な医療機関の数はそれぞれ234、209、91である」。
「2上記における結核治療が可能な病床数はそれぞれ6,199、4,636、454である」。
「3稼働病床を有する施設のうち半数以上が、多剤耐性結核患者を受け入れ可能である」。
「4稼働病床を有する施設のうち9割以上の施設及びモデル病床を有する施設のうち6割以上の施設で、院内DOTSが実施されている」。
「5合併症対応が可能な施設数は以下の通り(程度により対応不可の場合も含む)。
透析に対応可能な施設が計123施設ある。
心疾患(CCU対応相当)に対応可能な施設が計69施設ある。
心疾患(モニター管理など安定した病態)に対応可能な施設が計188施設ある。
精神疾患に対応可能な施設が計84施設ある。
認知症疾患(徘徊程度)に対応可能な施設が計111施設ある。
認知症疾患(健忘等程度)に対応可能な施設が計209施設ある」となっています。
「6地域DOTSの実施主体としては、保健所が主要な実施主体で、続いて病院、診療所、薬局、訪問看護ステーションが自治体における地域DOTS実施にかかわっている」。
「7地域DOTSでは実施主体ごとにそれぞれの強みを活かした方法で貢献している(薬局による外来DOTS、訪問看護ステーションによる訪問DOTS、等)」。
「8保健所による地域DOTSについては、訪問DOTS、連絡確認DOTSと比較し、外来DOTSを実施していない自治体がある」。
「9DOTSカンファレンスは99.3%の自治体で実施されており、コホート検討会は91.4%の自治体が実施している」。
「1027.1%の自治体が地域連携パスを導入している」。
「(4)予防指針に掲げられた『具体的な目標』の今後の対応への提言」。
「1DOTS実施率算定方法は、算定する目的を明確にした上で、適切に定義する」。
「2潜在性結核感染症の治療成績判定方法については、今後結核患者登録システムの改変にあわせて自動算出の補助的併用も含めた、より簡便な算出(判定)方法を検討する」。
「3結核患者治療成績判定については、治療判定に関して、各保健所における『治療結果保健所入力』とすることについて、望ましい36.4%、どちらともいえない55.7%、望ましいとはいえない7.9%との結果を踏まえ、システムの自動判断を補助的に利用をする等の検討をした上、近い将来『治療結果保健所入力』を治療成績とする方向で検討する」。
「4結核患者治療成績判定を各保健所における『治療結果保健所入力』とするためには、LTBI患者・肺結核患者の各治療成績判定基準を明確化する必要がある(※肺外結核患者・多剤耐性結核患者の治療成績判定基準を明確化することは困難であるが、治療成績の把握は必要であり、その方法は今後の検討課題である)」。
「具体的な目標」については、先ほどのとおりです。
「(5)病原体サーベイランス(薬剤感受性検査及び分子疫学調査手法)」。これは、サーベイランスの取り組みが先進的であると判断した32自治体の集計結果をまとめているものです。
「1病原体サーベイランスを構築している32自治体のうち8割以上が施策として実施」。
「2病原体サーベイランスに関わる主な検査機関は、一部医療機関(薬剤感受性試験及び菌株の提出等)があるが、多くは地方衛生研究所(主に分子疫学的手法)となっている」。
「3集計対象とした多くの自治体の地方衛生研究所では、VNTR等の遺伝子解析を実施している」。
「4VNTR法は広く普及しているが、RFLP法、薬剤感受性試験は、VNTR法に比して実施率、実施可能性ともに低い状況である」。
「540.6%の自治体が患者の同意を得ている(行政検査では患者同意は不要)」。
「6検体輸送については、様々な手段が用いられている」。
「737.5%の病原体サーベイランス事業では多剤耐性結核菌を対象としていない」。
「887.5%の自治体は病原体分離を実施している施設での保管状況を把握していない」。
「9病原体情報は、9.4%の事業では紙ベース、71.9%の事業では表形式(エクセル等)で保存されており、データベースを構築できている事業は18.8%である」。
「10病原体情報は主に地方衛生研究所で管理されている」。
「1187.5%の病原体サーベイランス事業では、少なくとも患者登録者情報とリンクする患者情報をもって管理されている」。
「12菌株の保存は、原則すべての菌株に実施(68.8%)、一部の菌株に実施(3.1%)、実施していない(28.1%)となっている」。
これらの調査結果を、分子疫学的な検査のみの進捗状況を整理したのが下の図となっています。
4.ですが「調査結果を踏まえた今後充実すべき具体的な取組方策」として、「(1)発生動向調査」に関して、これは病原体サーベイランスも含まれているものとなっています。
実施主体と具体的な取組を、それぞれ国、都道府県、政令指定都市・中核市・保健所設置市・特別区、専門機関(結核研究所)となっておりまして、おのおの具体的な取り組みをここに記載しております。
国においては、
「-各自治体における定期的な結核感染症サーベイランス委員会の開催を促す。
-発生動向調査の質の向上のための取組。
-病原体サーベイランスについて、薬剤感受性検査の精度管理及び分子疫学的調査の国レベルのネットワーク化の在り方を検討。
-結核知識や発生動向等の普及啓発」となっておりまして、都道府県は
「-定期的な結核・感染症サーベイランス委員会の開催による関係者の意識・知識向上に向けた情報発信・共有及び情報還元の実施。
-病原体サーベイランスを構築していない自治体は、先進的な取組を実施している自治体を参考に、病原体サーベイランスの構築に努める」。
保健所設置市については、
「-定期的な結核・感染症サーベイランス委員会の開催による関係者の意識・知識向上に向けた情報発信・共有及び情報還元の実施」。
専門機関は、
「-発生動向調査事業に対する自立支援の実施、継続。病原体サーベイランス体制構築に対する技術的な支援の実施」となっております。
少し時間が押しておりましたので、それ以降の「(2)予防指針を踏まえた予防計画等」も同じように実施主体と具体的な取り組み方策を記載しておりまして、国、都道府県、政令指定都市・中核市・保健所設置市・特別区、専門機関(結核研究所)、ごらんのような取り組みが必要ではないかという形で記載しておりまして、「(3)医療の提供」についても同様に実施主体、具体的な取組、国、都道府県、保健所、医療機関として記載をさせていただいております。
「(4)具体的な目標」についても同様ですが、実施主体、具体的な取組を、国、都道府県、政令指定市・中核市・保健所設置市・特別区、市町村(特別区含む)、専門機関(結核研究所)という形で分けて、具体的な取り組みを記載しているところです。
以上になります。
○加藤部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明のとおり、前半は調査の結果の目的と方法で、調査の結果、ハイライトになるのは今後の具体的取り組み方策ということになろうかと思うのですけれども、後半ちょっと読み切れなくて、時間の関係で少し端折っておりますけれども、事前にごらんになっていただいているところもあると思いますので、御意見をお伺いしたいと思います。
ただいまの御説明について、御質問、御意見をお願いします。
遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 2ページの(1)の2ですけれども、病原体サーベイランスの構築につきましては、手法として分子疫学的手法を実施できる自治体は73.6ですが、実際には10~20%
の自治体がほぼ全ての培養陽性患者について実施しているということで、この現実はやはり県にお話しますと、もう予算がないというところで今年度はVNTRの検査は打ち切りといった予算の問題がございますので、恐らく都道府県と国が2分の1ずつの予算の措置というふうにお伺いしておりますが、その割合も含めて今後予算の確保をしていけば、より分子疫学の実施自治体が広がっていくと思います。そのことによって、やはり病原体サーベイランスの意味が出てくると思います。
後で接触者の手引きの中にもございますけれども、最近の若者がいろいろ動きが活発である、あるいはホームレス等々生活住所不定者等も含めまして動きが想像できないような方もいらっしゃいます。知っている範囲では多剤耐性結核の住所不定の方があちこち転々としているという事例もございますので、やはりこういった対応が必要な裏づけとしては県も都道府県も予算の格差がありますが、国の予算の増額というところも今後検討していただく必要があるのかなというお願いでございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。
磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 富山県衛生研究所の磯部です。
ただいまの御意見に関連するのですけれども、県の場合、予算を確保するためにはやはり国からの強制力を持ったような文言のものがないと、「積極的な分子疫学調査」というような文言だけですと、研究でやったらどうかというような取り扱いになる場合が多々ありまして、研究扱いになりますとまず行政から予算の確保は難しいというような実態がございます。多分資料3の中の「望ましい」という表現ですと県としては予算がなかなかつかないという厳しい状況がありますので、ぜひそのあたりにもう少し、もっと強制力を感じられるような文言で何か記載していただいたものをいただくと、より予算が確保できて分子疫学調査に取り組みやすい。特に1つの自治体だけでやっていても分子疫学調査というのは全く意味がないと言ったらちょっと大げさになりますが、幅広く全国的にやって初めて意味が、とても活用されるという意味合いのものですので、その辺、全国的にできるような状況になるようにぜひ厚労省さんのほうから強制力を持った文言にかえていただくことを希望します。
○加藤部会長 ただいまの話ですけれども、部会としてどういうような提言をするかという、きょうはそういう議論なので。
○磯部委員 そうですね、ぜひ。
○加藤部会長 皆さんが合意であれば「しなければならない」みたいなことになるのか文言は少し調整しなければいけませんけれども、御趣旨を言い切るような部会の提言ということの取りまとめを検討させていただくということにします。
どうぞ。
○有馬委員 それに加えまして、先ほど分子疫学の菌株を集めるということにおいて、これが接触者健診にきちっとつながっていかないと、予算を立てても菌株だけ集めるという形になっては宝の持ち腐れです。
それで、そこに患者の積極的な疫学情報がきちっと全国的につながっていってこそ、対策に繋がると思うのです。JATA(12)とか追加領域の中でこの人のクラスターが一緒だという患者どうしが、どこで接点があったのかというところから、これ以上接触者健診の対象者を広げるかどうか等の対策につながってくると思います。ぜひとも菌株を集めると同時に、そこに患者の個人情報、全国的な情報を一にした何かシートをぜひつくっていっていただきたいと思います。低まん延国になっていくに当たってはとても重要な検査であるし手法だと思いますので、そのあたりの持っていき方をここの委員会で考えていただけたらなと思っています。
○加藤部会長 貴重な御指摘ありがとうございます。
ただ、疫学情報と個人情報の分かれ目の問題は検討すべきことがありますね。
○有馬委員 そうですね。
○加藤部会長 自治体は自治体で個人情報保護条例を持っているところもありますので、そういった各自治体が共通で理解できるような方向でなければならないということで、そのデータベース構造自体もさらに検討して、皆さんが共通認識でこれなら乗れるというものを検討しなければいけないかなというようなところですね。
○有馬委員 登録番号だとか何かそういう個人情報ができるだけ見えづらいような形にしないと。
○加藤部会長 そうですね。前回の調査の中でも、データの保存の仕方が自治体ごとに幾つかありましたね。ですから、非常に個人情報に厳しいポリシーを持っているところもあると思いますので、そういったところが理解できるような形を探っていく必要があると考えているところです。厚生科学研究でもちょっと今後研究としても少し検討しようかなと考えているところです。ありがとうございます。
ほかにありますか。はい、鎌田委員。
○鎌田委員 医療提供体制のところで、モデル病床の活用ということが毎年のように言われておりますけれども、平成4年の事業開始以降ほとんどうまく回っていないというのが20年来の実情と思うのです。モデル病床をお持ちでも、結核の診療経験がないのでやはり専門病院にお願いしたいといったお話が多々ありまして、これをどのように今後展開していくかというのが一つの課題と思います。
それともう一つは、患者さんの減少によって結核専門医療機関が毎年のように病床を休床しております。北海道は非常に広域で、襟裳岬から私の勤務する札幌の病院に通院している方もいる状況です。一方で多くの地域拠点病院には感染症病床が4、5床単位で設置されております。医療法の病床区分の問題はありますけれども、将来的に感染症病床にも結核の患者さんの入院が可能といった方向を御検討いただければと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。
ほか、ございますか。吉山委員、どうぞ。
○吉山委員 今、感染症病床は、大体2次医療圏に1カ所で全国で340箇所ぐらいあるかと思うのですけれども、強みは分散配置されていて、かつその多くは空気感染隔離室を持っているところが多い。それが非常な強みなのです。なのですが、同時にもちろん専門家がいないからなかなか結核を診てくださいといっても診られないよという、多分そういう反応が非常に多い。見てくれているところもあるのですけれども、そういうのが実情です。ただ、一方で結核患者はどんどん減っていきますから、病床利用率がどんどんさがって空床がふえていくのは世の趨勢である。そうすると、結核病床を持っている医療機関はどんどん減っていくに違いない。それに対した対応としては、結核病床をやはり分散して、10床単位、5床単位、もっと小さい単位で空気感染隔離室を持っているようなところで結核を診ていく。そこでは結核の専門家などは要らないけれども、呼吸器科医が普通に診られる。ただ、結核の専門医がスーパーバイザーというか診ていく。そういう体制をつくって、新しいというか今までと違う医療体制でやっていかないと、今後対応不可能ではないかと私は思います。そのために、もしかしたら保健所が中心となるのか、それとも中核的な医療機関が中心となるのか、それはまたあるかとは思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。既にある県では中核的病院が相談機能をしっかり持とうということで、県がそういう制度をつくろうとしているという話を聞いています。先進的な事業ですので、その結果も見ながら、国だけではなくて都道府県レベルでもそういった機能を持つことも検討事項ですね。先生のところはそういう機能持ち得る実力をお持ちだと思うのですけれども、そんなことも検討課題かなと考えるところです。
磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 済みません。5ページの7ですけれども、病原体サーベイランス事業では、多剤耐性結核菌を対象としていないというところが37.5%あるということなのですが、やはり多剤耐性結核菌というのは収集するに当たりとてもハードルが高いという実態がありますし、薬剤感受性試験につきましても、現在は精度管理とかも行えないという菌株輸送上の問題が非常に大きく、最近のハードルとして出ていますので、そのあたり感染症法と絡めてだと思うので、すぐにはできないと思うのですが、そのあたりのハードルを下げていくようなことをこの部会としてはぜひ提言していただけるとうれしいなと思います。
○加藤部会長 これはどうなりますかね。この提言の範囲でしょうか。
○難波江補佐 御指摘のとおり、多剤耐性結核は感染症法の中の病原体の位置づけとして自由に行き来できない形で、警察などに届け出ていただく必要がある。それは主にテロ対策の関係で10年ほど前、もう少し後に感染症法改正があったときにそういう位置づけになっていまして、法律事項になっています。ですので、法改正が必要になる。
では、そのときと今の状況がどのぐらい変わっているのかという説明もしていかないといけない。例えば新しい薬が出て、昔のような多剤耐性結核でない、当時と全然状況が違っているというような状況であればそういった御審議も可能かと思いますが、我々の認識としてはまだそこまで至っていないのではないか。確かにそういったハードルといのは現場にあるかと思いますが、それを踏まえてもこういう形で法律に位置づけたものでございますので、そういった状況の変化なりの合理的な説明が必要になってくるかと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。
有馬委員、どうぞ。
○有馬委員 大阪市の有馬ですけれども、6ページの予防指針を踏まえた予防計画等で、実施主体の国の欄に「定期的な進捗状況の確認」という文言があるかと思うのですが、今回、中間報告という形でアンケートをとられましたね。多分進捗は何らかの形で各自治体の進捗状況を把握していかれるのだろうと思うのですけれども、そのデータをぜひともこの会議の場に出していただいて、その進捗状況の確認をこの委員会の中で一緒に議論をしていけるような進め方の提案をしたいなと思っています。
○加藤部会長 これはどうなりましょうかね。先ほどの説明ですと、これは国サーベイランスの委員会というのもあるわけですか。
○梅木補佐 今の有馬委員の御指摘のものは(2)のところですね。(2)のところでの、要は「定期的な指針の進捗状況の確認」ということかと思うのですが、定期的に進捗状況を確認するということであれば、具体的にどのような項目をどういった形でやっていくのかという議論は必要になろうかとは思います。
○難波江補佐 もちろん定期的な進捗状況の確認というのは重要かと思いますし、やっていくつもりではあるのですが、今回調査をして、かなり現場に御負担をおかけしてデータを集めてきているので、どのレベルまでやるか。もちろん公の統計みたいな結核の発生動向であるとか病床数の推移であるといったものはルーチンで上がってきていますので、さらにそれに加えてどこまで追加で集めていくかというのは検討になるかと思います。
○加藤部会長 最終的には最終年に向けてどのくらい進められるかというのが大きな意味での課題になってくると思いますので、それに向けて明らかな問題が生じるということになれば、また皆さんでお知恵を拝借するということも必要かなと思います。
ありがとうございました。
○有馬委員 ある意味大阪市もそうなのですけれども、各自治体の予防指針というか、そういう指針を策定しているところがかなりの自治体でなされていましたね。各自治体の目標値なり指針なりは、やはり国の指針に基づいて策定していると思いますし、そんなにぶれてはいないと思うのです。各自治体はやはり毎年それを評価するような形で動いています。大阪市も第2次の基本指針を毎年評価しています。そこのスパンに合わせるというか、結核の統計のときに合わすとか。私たち現場ではビジブルを見ながら集計していますので、年報のときにビジブル全体を見ます。そのときにそういうアンケートを一緒におろしていけば、現場は一石二鳥で集計ができるのです。別の時期になされるとこれはしんどい部分があります。
ですから、各自治体がどんな内容で指針をつくっているのかの情報は国が持っていらっしゃると思うので、現場に負担のないような形でのアンケートのおろし方とか何か調査のおろし方をしていただいて。多分年報と一緒のほうが一番現場ではやりやすいと思います。このようなことで考えていただけたらありがたいなと思います。
○加藤部会長 かしこまりました。
ほかにございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
いろいろと御意見をいただきましてありがとうございます。予算の問題、疫学情報の問題については、分子疫学についてはまだまだ研究段階の話がいろいろありますので、それを踏まえた上でということになると思います。
行政については、今もいろいろ検討中だと思いますけれども、それがどういう方向になるかということを踏まえながら進めなければいけない。感染症病床の話も大変重要なことで、結核感染症課で検討されていると思いますけれども、検討の方向のことも考えながら、この提言に入れるかどうかということになりますでしょうかね。あと、MDRは今、お説のとおりの話ですので、今直ぐには難しいのではないかと思っています。
病床については事務局ともう少し詰めた上で進めていきたいと思いますけれども、大まかな内容ということで部会としてこの提言ということですが、了承していただくということでよろしいでしょうか。表現も多々修正することはあると思いますので、そこら辺ももう少しいいものに修正するということでまとめていきたいと思っていますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○加藤部会長 御異議がなければ御了解いただいたということで、今後私のほうで事務局と協議しながらまとめていきたいと思います。皆様、ありがとうございました。
次に、その他としまして参考資料の3にございますけれども「結核の接触者健康診断の手引き」についてですが、改正点ということでお手元にあると思います。これは厚生労働科学研究の研究班で、山形県の阿彦忠之先生が中心になってまとめられた接触者健康診断の手引きで改訂第5版ということで、きょうは阿彦先生はどうしても都合がつかないということでございますので、私は研究協力者でありますので、資料について御説明させていただこうと思います。
参考資料の3をごらんください。幾つかのポイントがありますけれども、大きく4つになっています。
1つはインターフェロン-γ遊離試験(IGRA)の手法がふえたということで、皆さん御承知のとおり従来のQFTに加えてT-SPOTが平成24年の11月に健康保険適用になりましたので、接触者健診におきましてもいずれかの方法を使うということで内容を修正しています。
2番目のIGRAの適用について、大きな点は乳幼児の適用であります。今までは乳幼児におけるIGRA、当時はQFTの第2世代のものを使ったデータとして少し感度が低いのではないかということでツベルクリンを優先していましたけれども、ここに委員でいらっしゃる徳永先生が中心になった御研究の成果として、QFTの第3世代とT-SPOTを、おおむね同じような診断特性を持っている、感度が上がってきたということを配慮して、乳幼児に対してIGRAを基本事項として実施する。それで、IGRAとツ反を併用して、できるだけ受診者の負担を軽減するために同日実施を推奨することにしたということです。ただし、これは健診方法の大きな変更になりますし、健診の実施体制、特に小児の採血等の問題があるという保健所もありますので、ツ反を優先することも選択の一つということです。
ただし、このツ反優先の場合でも、患者との接触状況から感染率が高いといった場合はIGRAを追加実施するということであります。さきに実施したツ反で要精査と判定された場合は既に判定されているということで、IGRAの併用を省略してもよろしいということです。
2つ目については「高齢者のIGRAの適用」ということで、IGRAの適用年齢については第4版と同様に上限を設定していません。「低まん延で高齢者の結核の偏在化が顕著な地域」においては、特に濃厚接触者についてはIGRAを積極的に実施することを推奨しています。
3番目として「結核感染率の高い集団についてのIGRAの再検査」ということで、これはある大きな集団感染事例のデータから、従来2~3カ月の間に健診をしてIGRAを実施しますが、感染性がきわめて高い場合には、最終接触から6カ月後にもIGRAの再検査を推奨しています。
4番目として、IGRAの的中率についての解説を書いています。
次に、「感染性期間」の始期の推定ということで、従来は症状出現を基本としたということですけれども、感染の始期が適切に推定できないことがあるということで、塗抹陽性、または胸部レントゲン写真で空洞があった患者については、過去のレントゲンとか菌検査所見をさかのぼって分析することによって、感染した始めが推定できる場合を除いては、基本的に3カ月前ということで、より前広に感染性期間の始期を設定することにしたということであります。これはほかの諸外国のガイドライン等々を参照しながら決定しています。
さらに、きょうも議論にも出ましたけれども、結核の分子疫学調査の推進ということで、低まん延化の対策において分子疫学的調査研究と実地疫学を組み合わせた手法ということで、近年、最近社会ネットワーク分析(social network analysis:SNA)というのが研究として実施されていまして、具体的方法の検討については今後の課題でありますけれども、これについても追加記載しているという内容でございます。
以上の内容ということであります。
これについては通知という形で出ている形になりますね。
○難波江補佐 事務連絡という形で情報提供をさせていただきます。
○加藤部会長 事務連絡という形で自治体に情報提供をされるということでございます。
○難波江補佐 あと、今のバージョンを部会資料としてまずホームページにすぐ掲載いたします。最終的に完成した版は保健所長会とか結核研究所のホームページにも掲載させていただきます。
○加藤部会長 私どもも最終版はなるべく早く情報提供するというつもりでおります。
以上であります。
そろそろちょうどいい時間になりましたけれども、事務局から何か補足事項はございませんでしょうか。
○難波江補佐 次回の開催につきましては、日程調整の上、また御連絡させていただきます。
○加藤部会長 ありがとうございました。
ちょうど予定した時刻になってございますけれども、何か特に皆様からありましたらお聞きしますが、よろしゅうございますでしょうか。
どうぞ。
○杉本委員 大阪府薬剤師会、杉本なのですけれども、大阪府のほうで薬局DOTSというのもある一定の地域しかできていないのが現状なのですが、今回の新しい薬事法、薬剤師法改正に当たり24時間体制をとることとか、あるいは在宅のほうにもう少し出向くようにというふうに求められている中で、やはり服薬支援とかこのような地域DOTSには薬剤師がかかわっていかないといけないと認識しております。この今後の取り組みのところで、もう少し「薬剤師」とか「薬局」という文言をちりばめていただけたらいいかなと思います。
○加藤部会長 わかりました。ありがとうございます。貴重な情報をいただきましたので、提言の中に含めることを検討させていただきます。
ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして本日の部会を終了したいと思います。皆様、熱心な御議論をいただきましてありがとうございました。
※(注)
遠藤委員及び小森委員の任期が、平成25年10月18日に満了していましたが、再任命の手続をとらないまま、同委員出席の上、審議会を開催しました。
議事の定足数については、当該委員を除いても、委員及び臨時委員の過半数が出席していたため議事は成立しています。議決については、部会長への一任により決定していることから、審議会の決定に影響はありません。
また、今回の会議においては、当該委員は、参考人として取り扱われます。
詳細については、以下のリンク先を御覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000040328.html
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(結核部会)> 第2回厚生科学審議会結核部会議事録(2014年3月12日)