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2013年12月16日 第56回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成25年12月16日(月)15:00~17:00


○場所

都道府県会館 402号室


○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、駒村委員、田中委員、野上委員、林委員

○議題

1.平成24年度財政状況について
  -厚生年金保険・国民年金(基礎年金)・私立学校教職員共済制度-
2.その他

○議事

○清水首席年金数理官

 定刻になりましたので、ただいまより第56回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

座席図、議事次第の他、次のとおりでございます。

 資料1は「平成24年度財政状況-厚生年金保険-」でございます。

 資料2は「平成24年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」でございます。

 資料3は「平成24年度財政状況-私立学校教職員共済制度-」でございます。

 配付資料は以上でございます。

 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。

 本日は、翁委員、佐々木委員が御都合により御欠席とのことでございます。また、宮武部会長代理と駒村委員が遅れて御出席とのことで連絡を受けてございます。出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。

 

山崎部会長

 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。

 社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保の観点から、毎年度、財政状況の報告を受けることになっております。

 本日は、厚生年金保険、国民年金、私立学校教職員共済制度の平成24年度財政状況についての報告を聴取いたします。

 まず、厚生年金保険の報告を聴取いたします。

 どうぞ席を移動してください。

(数理課長、調査室長 報告者席へ移動)

 

○山崎部会長

 本日は、お忙しい中、ありがとうございます。それでは、説明をお願いいたします。

 

○山崎数理課長

 年金局数理課長の山崎でございます。

 まず、平成24年度の厚生年金保険の財政状況でございますが、年金財政の関係に関しましては私、山崎から、受給者・被保険者の実績の関係に関しましては、こちらにおります事業企画課調査室長の五十里から御説明申し上げます。

 それでは、お手元にございます資料1「平成24年度財政状況-厚生年金保険-」をおめくりいただきまして、1ページ、平成24年度の財政状況等の概要、1.収支状況でございます。平成20年度から時系列で24年度までございまして、一番右の欄の平成24年度を見ていただきます。

 最初に収入総額でございますが、基本的に積立金の運用に関しましては時価ベースで整理してございますので、かぎ括弧つきの時価ベースの数字を見ていただきますと、収入総額が49342億円で、前年に比べまして6兆3,764億円の増になっているところでございます。

 主なところで申し上げますと、まず保険料が241,549億円で、前年に比べまして6,851億円の増、2.9%の増でございます。この要因といたしましては、保険料率の0.354%引き上げによる寄与が一番大きくて、2.2%相当。あと、被保険者数の増加による寄与が0.6%ぐらいと分析しているところでございまして、平均報酬につきましてはほぼイーブン、0%ぐらいと見ているところでございます。

 次に、国庫負担でございますが、8兆583億円で、4,409億円の減になっているところでございますが、国庫負担の主立ったところは基礎年金に関する国庫負担で、下の支出の欄を見ていただきますと、基礎年金拠出金が148,006億円でございまして、対前年で1兆996億円の減になっているところでございます。これは、基礎年金の場合、概算精算ということで年度ごとにかなりでこぼこがございまして、その概算精算を除きました当年度だけの数値の確定値で見ますと、24年度は14.9兆円、この決算数値とほぼ近いのですが、その前年の23年度は確定値は14.5兆円でございまして、むしろ前年に決算値と確定値でかなり乖離が大きかったので、前年度と比較すると大きいマイナスになっているということで、当年度は確定値に近いような決算数値になっているということでございます。

 上の収入に戻っていただきまして、運用収入も基本的に時価で考えるということでございまして、かぎ括弧のつきました時価ベースを見ていただきますと、104,707億円でございまして、前年に比べまして8兆506億円の増となっているところでございます。あと、基礎年金交付金が1兆7,507億円で、これは2,132億円の減でございます。下の方に行きまして、積立金より受入が3兆9,015億円で、前年に比べまして1兆6,757億円の減となっております。

 支出の総額につきましては387,650億円でございまして、基礎年金の拠出金の先ほど説明申し上げましたような減がございまして、9,823億円の減になっているということでございます。

 全体をトータルいたしましての収支残、時価ベースを見ていただきますと、102,692億円の収支残で、前年に比べまして7兆3,586億円の増になるわけでございます。この収支残と申しますのは、実は積立金より受入も含んだ収支残でございますので、これがそのまま積立金の増になるわけではないということで、実質的にどれだけ収支がプラスだったかというものは、むしろ年度末の時価ベースの積立金がどれだけ変化しているかで見ていただくのが適当ということで、下の年度末積立金の時価ベースを見ていただきますと1178,823億円となっておりまして、これは前の年に比べまして6兆3,833億円の増となっております。

 この数字は、先ほどの時価ベースの収支残102,692億円から、上の欄の積立金より受入3兆9,015億円を差し引きまして、あと業務勘定から積立金への繰入が収支残のすぐ下にございますが、この156億円を足したものとちょうど一致しているということでございまして、これが実質的な意味での収支残と申しますか、積立金の変化をあらわすものになるわけでございます。積立金の運用利回り、時価ベースの数字でございますが、これが一番下の欄にございます9.57%になっているところでございます。

 次のページは、今、申し上げましたものを図解したものでございますので、御説明は省略させていただきたいと存じます。

 

○五十里調査室長

 事業企画課調査室長でございます。3ページから御説明させていただきます。

 3ページは給付状況ということで、受給権者数、年金総額について過去5年間並べたものでございます。受給権者数トータルで3,4053,000人で、前年度比3.1%の増加でございます。このうち、基本的に20年の加入期間を持っていらっしゃる老齢相当の部分でございますが、1,5233,000人で、前年度比で2.6%増加しております。これに対しまして、年金総額でございますけれども、トータルで279,061億円で、前年度比0.1%の増。うち老齢相当の部分は195,817億円で、前年度より0.1%減少したということでございます。

 これを比べていただきますと、老齢相当につきまして受給権者数が増えておるのですけれども、年金総額が下がっているということでございまして、これは24年度に年金額がマイナス0.3%の改定があったということが1つと。あと、比較的年金額が高い層が高齢層にありまして、そこが亡くなって、新しく新規裁定される方は60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金、定額部分が順次引き上がって支給開始年齢が引き上がっておりますので、そういったこともあって、高い人が抜けて低い人が入ってくるという要素がありまして、受給権者数が伸びているにもかかわらず、年金総額としてはトータルでマイナスになっているということでございます。

 それで、4ページをごらんいただきたいのですけれども、下の箱の部分でございます。今、3ページで御説明しましたものを平均年金月額であらわしてみますと、25年3月末で107,123円で、前年度比で2.7%の減少ということで、減少は先ほど御説明したとおりでございます。ただ、これは厚生年金だけの部分ですので、これに基礎年金部分を加えたものが3つ下でございまして、148,422円ということで、前年度比0.8%の減少という状況でございます。

 5ページは、これを男女別に分けたものですので、後でごらんいただければと思います。

 次に、6ページは、加入期間20年以上の新規裁定者の統計でございます。一番上をごらんいただきまして、24年度で平均年金月額が8万4,529円で、ほぼ前年度と同じ0.1%の伸びということでございます。

 次に、7ページから9ページに年齢別の部分がありますが、まず8ページをごらんいただきます。これは毎年御説明させていただいておりますけれども、男性でございます。一番左の平成20年度、21年度は、定額部分の支給開始年齢が63歳でございまして、この前後で段差が生じています。22年度から24年度までは64歳に引き上がりましたので、この上下でも段差があるということでございます。定額部分を含めて約17万円だったのが、定額がなくなると10万円前後になるという姿でございます。

 これに対しまして、女性が9ページでございます。女性の定額部分の支給開始年齢の引き上げが5年遅れておりますので、一番左の20年度は61歳が定額部分の支給開始ということで、この前後に段差があり、21年度から23年度は62歳で、24年度から63歳になってございます。定額部分を含めると10万円弱、定額部分がないと5万円弱ということで、年齢別に見ていただけると思います。

 それで、すみません、7ページにお戻りいただきまして、一番上にありますのは、先ほど御説明させていただきました老齢相当の老齢年金の平均年金月額107,123円、その4つ下が老齢基礎年金を加えて148,422円ということでございます。ただ、60歳代前半の部分が定額部分の支給開始の引き上げでやや額が少なくなっているということで、65歳以上の本来支給をごらんいただきますと、下から7列目、老齢基礎年金も含めて平均年金月額、本来支給であれば162,754円といった感じでございます。

 それで、10ページは老齢年金の受給権者の年齢構成で、昨年とそんなに大きく変わっているわけではございません。60歳代前半・後半を合わせて、男性が大体半分、5割ぐらい、女性は4割強で分布しております。平均年齢は男性71.4、女性が73歳でございます。

 次に、11ページ以降で被保険者の状況について御説明させていただきます。25年3月末の被保険者数全体で3,4717,000人、前年度比0.6%の増加ということで、全体として被保険者数は増えてございます。うち男性が2,2279,000人、0.2%の増加、女性が1,2439,000人、1.3%の増加ということで、女性の被保険者数が近年、結構増えてきているということでございます。

 下の箱をごらんいただきたいのですけれども、報酬でございますが、標準報酬月額の年度のトータル、累計をごらんいただきますと、24年度は1279,299億円で、前年度に比べて0.8%増加しています。一方、賞与でございますが、229,245億円で、前年度より0.3%減少いたしました。総報酬ベースでトータルしますと1508,544億円で、前年度に比べて0.6%増加でございます。被保険者数が0.6%増加し、報酬も0.6%増加ということで、1人当たりにしますとほぼ前年度並みということで、月額ベースで359,475円、年額にしますと4314,000円で、ほぼ前年と同じレベルでございます。

 それで、12ページからが被保険者の年齢分布を見たものでございます。

13ページ、男性でございますが、男性は30代後半、40代前半で3割ぐらいの方が分布しているということでございます。

 次、14ページ、女性は20歳代後半に14%で、ここに山があって、だんだん少なくなっていくという形状で、例年そんなに変わるものではございません。

 最後、標準報酬の分布、15ページでございますが、これも例年とそんなに変わっておりません。男性ですと26万、28万、30万円が比較的多い。これだけで2割ぐらいを占めている。女性は、20万と22万円のところにそれぞれ1割弱おられるということでございます。

 以上でございます。

 

○山崎数理課長

 引き続きまして、16ページ、積立金の運用状況についてでございます。年度末積立金1178,823億円の構成割合、預託金が4.4%、市場運用分が87.2%、財投債が8.4%となっているところでございます。

 下の特記事項にございますように、年金積立金管理運用独立行政法人におきましては、厚生年金、国民年金を合わせて一体として運用を行っているところでございまして、これら全体の運用資産の平成24年度末の時価総額及び構成割合は、こちらに記載の数字のとおりでございます。

 続きまして、17ページ、財政検証における将来見通しとの比較ということでございます。上の段に基金代行分が除かれているものの実績を掲げてございますが、将来見通しは基金代行分を含んだ形で行われておりますので、それと比較するためのベースをそろえるということで、実績の欄の1つ下に実績推計の欄を設けてございますので、これと将来見通しを比較するということで御説明申し上げたいと思います。

 この実績推計はどのように作成されているかということでございますが、下の特記事項を見ていただきますと、まず基礎年金交付金を収入支出の両面から控除するということ。それから、保険料に厚生年金基金に係る免除保険料を加え、給付費には基金の代行部分を加える。それから、積立金より受入というものは控除する。その他、幾つか控除した方が適切な費目を控除するということ。

 それから、大きいところといたしまして、積立金に厚生年金基金の最低責任準備金等。「等」とありますのは、連合会の分も含むということでございますが、これが22.6兆円。それから、国庫負担の繰延額3.6兆円を加えるということ。あと、運用収入に基金の分の運用収入を加える。このような補正を行いまして、将来見通しと比較できる数字にしているということでございます。

 上の欄を見ていただきまして、まず保険料でございますが、21年の財政検証の将来見通し上は27.6兆円と見込んでいたところでございますが、この実績推計の数値で申し上げますと24.9兆円ということで、2.7兆円、実績推計の方が少ないことになるわけでございますが、こちらの差の主な要因といたしましては、賃金上昇率が見込みのように上がってこないということで、具体的には21年度以降の累積が見通しでは9.2%と、順調にデフレを脱却する予定だったものが、逆にマイナス3.4%ということで、賃金が名目額で下がっている。これが大きな要因といたしまして保険料収入に差が生じている状況でございます。

 一方で、運用収益につきましては、将来見通し上は2.8兆円と見込んでいたところが、時価ベースの数値で10.5兆円ということで、こちらは7.7兆円のプラスとなっているということでございます。要因といたしまして書いてございますのは、見通しでは2.03%という運用利回りの見込みだったものが、実績では9.57%だったということでございます。

 それから、その他のところで、こちらは主として国庫負担でございますが、こちらが実績推計で8.5兆円で、将来見通しでは8.1兆円だったので、これは将来見通しより大きくなっているということでございます。これはどうしてかというと、右側の支出を見ていただきまして、基礎年金拠出金が将来見通し上は14.4兆円という見込みだったのが14.8兆円ということで、これは拠出金按分率の増加と要因で書いてございます。財政検証の見込みに比べて、厚生年金の拠出金算定対象者に占めるシェアが見込みよりも大きいことによりまして、拠出金が多い。基礎年金の国庫負担というのは、この拠出金の2分の1がついてまいりますので、それに応じて収入のその他の部分、国庫負担が膨らんでいるという関係にあるということでございます。

 支出の合計でございますが、これが将来見通し39.2兆円に対して、実績推計は38.6兆円。これは、給付費が将来見通し24.7兆円に対して実績推計23.7兆円で、一見、実績推計が1兆円ぐらい低いことになるわけでございますが、実はちょっと事情がございまして、基礎年金交付金の実績を見ていただくと1.8兆円となってございます。これは、精算分が入っておりまして、この単年度だけの確定値だと1.1兆円でございまして、実績推計をつくるときに基礎年金交付金の分を差し引いてつくる形になっております。

 下の欄を見ていただきますと、基礎年金交付金を収入支出の両面から控除することを書いてございますが、そういうことがございまして、精算分も含めました1.8兆円を差し引いているということで、1.1兆円に置きかえまして、給付費を確定値のベースで見ますと、この23.7というのは24.4という数字になってくるということでございまして、これは将来見通しの24.7とかなり近い数字になっているということでございます。

 また、基礎年金拠出金の確定値は実績推計の14.8兆円に対して14.9兆円と、ほとんど差はないのでございますが、給付費と両方合わせまして支出の確定値は39.4兆円になりまして、将来見通しが39.2兆円でございましたので、確定値、単年度ベースで見れば、支出に関しましては将来見通しと実績推計との間に余り差がないという状況になっているところでございます。

 収支残を見ていただきますと、将来見通しでは△0.7兆円と見込んでおりましたが、運用収益が大きかったということで、実績はプラスで5.3兆円になっておりまして、将来見通しと実績推計との差が約6兆円になっているところでございます。年度末の積立金も財政検証ベースでございますので、基金代行分等を含んでいるということでございますが、140.9兆円という見込みだったのが144.1兆円ということで、見込みに比べて約3兆円、実績の方が上回っているという姿になっているということでございます。

 平成23年度におきましては、見込みよりも3兆円ぐらい少ない状況だったわけでございますけれども、この収支残のところで見ていただけますように、24年度におきまして6兆円ぐらい、単年度で見通しを上回っているということで、逆に3兆円ぐらい見通しよりも大きい積立金残高になっているという姿でございます。

 続きまして、18ページ、被保険者数及び受給者数の将来見通しとの比較ということでございます。被保険者数、受給者数ともほぼ24年度末の数値と近い数値でございまして、将来見通しは年度平均ベースということでございますので、あえて言えば半年分ぐらいのずれがあるということで、ほぼ合っている状況でございます。

 続きまして、19ページで財政指標の比較ということで申し上げますと、まず年金扶養比率、何人で1人の受給者を支えるかという比率でございますが、これは括弧内の受給者ベースの数字を見ていただきますと、平成24年度で2.44ということでございますが、財政検証上の見通しが24年度2.4ということで、これはほぼぴったり合っている。これは、21年度以降、毎年の数字を見ていただきますと、丸めるとぴったり合っているということで、被保険者、受給者については、財政検証の見込みと実績との間でほぼずれがない状況になっていることを反映したものと考えられます。

 次の20ページは、年金種別費用率で、年金扶養比率を補完する指標ということで数字を御参照いただければと思います。逐一の説明は省略させていただきます。

21ページに参りまして、総合費用率で、単年度ベースの賦課方式保険料率のようなものでございますが、こちらに関しまして、24年度の*印がついております、注5にございますが、厚生年金基金の代行部分等を補正した率で見ていただくことが適当かと存じますが、決算結果は20.1%となっております。それに対しまして、24年度、財政検証結果は18.8%という見込みでございましたので、それより1.3ポイントほど高くなっている。これは、賃金上昇率の見込みと実績の差に起因するものと見ているところでございます。

 次に、22ページで、やはり*印がついた24年度を見ていただきますと、独自給付費用率が実績は15.2%に対しまして、財政検証では24年度、14.5%で見ていたということで、0.7ポイント、実績が上回っている。これも賃金上昇率の見込みと実績の差が主な要因と考えているところでございます。

 続きまして、23ページ、保険料比率で、これは国庫負担分を除く実質的な支出のうち、どれだけの割合を保険料で賄っているかということで、ある意味数値が高いほど財政状況がいいと言えるような指標でございます。こちらにつきましては、24年度の*印、82.2となってございますが、財政検証では24年度、88.3と見込んでいたということで、これよりは低い。これも賃金上昇率の見込みと実績の差に、原因が主として求められるかと思います。

 次に、24ページ、収支比率でございますけれども、これは保険料と運用収入からなる収入に対して、国庫負担を除いた支出がどれだけの割合を占めているかということで、これは先ほどの数値と違いまして、低いほど財政状況がいいことになるわけでございます。24年度の*印が85.6という数字になっているということでございます。財政検証では、24年度は102.7と見ていたということで、100を超えているということは支出の方が収入よりちょっと多くて、積立金は若干減少することを見込んでいたことに相当するわけでございますが、現実には運用収入が非常に大きかったということで、24年度単年度で見ますと85.6で、収入が実質的な支出よりもかなり大きいということで、100を切る数値になっているという状況でございます。

 次に、25ページ、積立比率ということで、これも24年度の*印を見ていただきますと4.6という数字が実績でございまして、21年財政検証における24年度の数字は、下の欄、4.5でございましたので、0.1ポイント実績が上回っている数字になっているということでございます。

 御説明、以上でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。野上委員。

 

○野上委員

ありがとうございます。運用実績は非常によかったということで、大変よかったのではないかと思うのですが、数理担当としましては、運用がよければよかったで、また何かと悩み事はあるのではないかということで、ちょっと質問させていただきます。

 収入のうち、固定的な安定している保険料がある程度減って、運用の方が増えて、全体としてはプラスということで、年度のアップダウンが、聞くところによりますと運用のリスクアセットを増やすような動きがあると聞いておりまして、この傾向は今後も続いていくのか。厚生年金法を見ますと、2条の4の規定で財政検証とかは少なくとも5年に1回。「少なくとも」と書かれておりまして、例えば運用が物凄くよくて積立金が多過ぎるのではないかと言われたり、逆に運用が悪いと大丈夫なのでしょうかという質問に的確に答えていくためには、財政検証みたいなものを、頻度を高くやっていく必要があるのではないかと思っていまして、その辺について1つ質問させていただきます。

 もう一つは、同条2項に財政均衡期間に関して「おおむね百年間」と、「おおむね」という形容詞がついておりまして、その「おおむね」の解釈自体は、多分マクロ経済スライドの終了年に関しては政令の方に委任されているので、行政府の方で判断されるのかなと思っているのですが、その「おおむね」の下と上のバッファーはどのぐらい考えておけばいいのかというのが2つ目の質問でございます。

 以上でございます。

 

○山崎数理課長

 なかなか難しい御質問なのですけれども、財政検証に関しましては、おっしゃるように法律上の規定は「少なくとも」となっておりますので、5年よりも短い間隔で財政検証を行うことは妨げていない。ただ、法律に5年と書いてありますのはそれなりの意味があると考えておりまして、基本は年金制度の定期健康診断ということで、5年ごとに考えていく。私が思いますに、その趣旨は、年金制度は100年とかを見ていく大きな仕組みでございますので、毎年やるとその年の運用のアップダウンによって状況が変わることもあり得ます。そういうことで、余り短いタームのものを見ていくのではなくて、大きい人口の動きとか将来の経済成長力の見込みをじっくり研究して、その上でやっていく。

 その周期は5年がいいのか、それとも他の期間がいいのかというのは、もちろん考え方があると思いますが、法律ではそこを5年と整理している。ただ、何か非常に大きな変動があったときに5年よりも前に繰り上げて財政検証をやるということに関しましては、そこはあり得る話かなと思うわけでございます。ただ、基本は法律に「少なくとも」ということであるけれども、5年と書いてあることの意味はある程度重いのではないかと考えているところでございます。

 次の「おおむね百年間」ということに関しましては、百年が基本だと考えているのでございますが、1つ実務的な要素といたしまして人口推計を使って推計をやることになるわけでございますが、この人口推計の参考推計を込めて出されている期間が「おおむね百年」、実際には95年ぐらいでございます。将来のことをわからないと言いつつも、人口についてこういう出生率であれば、死亡率も入れてこうなる。長期についても、その予測のもとではどうなるという推計は、長期の推計としてはかなり確度が高いと言われております。

 かつ、賦課方式を基本としている年金制度でございますので、その人口の動向というものが非常に大きな影響を与えるということでございますので、5年という頻度も、今、人口推計が5年ごとに行われているということが一つのバックグラウンドになっていると思われますし、そういう意味では「おおむね百年間」と申しますのも、人口推計が参考推計を含めて行われている期間というものが一つの目安になっているということで、余り任意に上下させるものではないのではないかと考えているところでございます。

 

○野上委員

 前段で申し上げたように、経済情勢といいますか、運用収入のウエートが増えておりますので、この辺も多分、今までの運用はおっしゃるとおりのやり方でよかったと思うのですが、徐々に見直しの機会があるのではないかと思います。ありがとうございました。

 

○山崎部会長

 他に。田中委員。

 

○田中委員

 2点ほどお伺いいたします。1点は16ページの積立金運用状況のところです。市場運用分は年金積立金管理運用独立行政法人に委託した資金の運用分だと思うのですが、預託金と財投債はまだ少し残っているようです。質問は、先ほど積立金の取り崩しがもう始まっているということなので、いわゆるキャッシュマネジメントの観点から預託金をどのように決めているかということ、すなわち、どのように預託金部分と市場運用分のウエートをコントロールしているのかというのが1点です。

 もう一つは、今回、財政再計算が予定されているわけですが、最後の年度の財政状況報告と財政検証(再計算)との関係をどのように整理されているのかということをお伺いしたい。

 

○山崎数理課長

 2番目の質問の趣旨をもう一度。

 

○田中委員

 企業年金財政の発想ですと、決算と再計算、その同じ年度において計算基礎率の変更によって財政上の数理損益に影響があります。つまり、決算と財政再計算のつながりをある程度理解する仕組みがあると思いますが、この公的年金の財政状況における決算と再計算との関係について、どういう考え方をとっているかということを私はよく理解していないものですから教えていただきたい。2番目はそういうことです。

 

○山崎数理課長

 まず、1点目の預託金のウエートをどう考えているかということでございますが、基本的に特別会計の資金繰りのためにある程度の流動資金を確保するという考え方に立っていると理解しております。そういう意味では、GPIFのポートフォリオにおいても、短期資産について5%というアロケーションを行っているということが、ある程度そういうことを反映しているのかと思いますが、詳しいところは、もしわかれば担当から。

 

○森大臣官房参事官

GPIFから不必要に多く引き出しますと、それは市場に対する影響がございますし、不用分を戻す形になりますと、これは行ったり来たりということで無駄になりますので、先生おっしゃいましたが、キャッシュマネジメントということで、5%ということを考えつつ、最低限度を特会に戻すような形で資金繰りをやっております。年間どうやっているかにつきましては手元資料がございませんけれども、オペレーションとしては平準化するような形で実施しておるということでございます。

 

○田中委員

 よく分かりました。ありがとうございます。

 

○山崎数理課長

 2点目の決算と財政検証との関係ということでございますが、企業年金のような積み立て方式の制度で利源分析等を行うようなイメージとは、この賦課方式を基本とする公的年金制度は違っていると考えておりまして、決算は、まさに毎年の収入・支出を経理して、かつそれの変化の状況がどうなっているかについて、この数理部会で御報告申し上げる。それとあわせて、直近の財政検証でどういう見込みだったか、当然、名目の数値はずれていくわけでございますが、そのずれについて、今回申し上げましたような分析を行いまして、どの部分が本質的なずれで、どの部分が名目的なずれなのかという辺りを込めて分析して御報告申し上げる。この数理部会における御報告が、ある意味で決算と財政検証との関係を整理する場と認識しているところでございます。

 

○山崎部会長

 牛丸委員。

 

○牛丸委員

 2点教えていただきたいと思います。

 1つは、11ページ、先ほど被保険者数の伸びに関しまして、女性の伸びが男性に比較して大きいというお話がありました。もう一つは、14ページ、女性の被保険者の年齢階層別の分布ですが、これに関しては、例年と同じような状況であるという御説明がありました。そこでお伺いしたいのは、女性の被保険者数の伸びが大きい。どの辺りの年齢層がどうなっているのでしょうか。全体的に均一に各年齢層が伸びているのか、それとも新規というか、就職するところの女性が増えているのか、その辺、もしおわかりになれば教えていただきたい。これが第1点です。

 もう1点は、今回の財政状況の御報告だけではないのですが、前にも御説明いただいたかもしれません。そうしたら申し訳ないのですが、1ページの収支状況。先ほどの24年度の説明の収入項目の中で、積立金より受入というものがありました。これは今年に限ったことではなくて、これまで数年続いているわけです。当然、これは予算段階で入るわけですが、先ほどお話になったように、最終的な年度末の積立金を読むときにはそこを控除するというお話でした。

 お聞きしたいのは、予算段階で次の年度というか、積立金より受け入れて取り崩すわけですが、この金額はどこが決めるのか、どういう基準か、どういうことを参考にしているのか。具体的にこの金額が出てくるわけですが、24年度はこの金額が出ていますけれども、その辺りのことがもしおわかりになれば教えてください。

 以上2点です。よろしくお願いいたします。

 

○五十里調査室長

 最初の、女性はどの層が増えているかということでございますが、すみません、確かなことがよくわからないので、少し検討させてください。

 

○山崎数理課長

 積立金の取り崩しにつきまして、年度当初に予算で幾らというのを見込むのが、どういう基準でどこが決めるのかということでございます。

 まず、給付そのものは予算で幾らと決めた範囲内で支出権限が生じてまいりますので、年金が支払いショートしないようにするためには、それなりに余裕を持って予算額を見込んでおく必要がある。現実には、運用の方はマーケットで動いているわけでございますが、時価で運用収益が上がっても、それがそのまま年金特会の収入に入るわけではございませんで、国庫納付金という形をとって、遅れて入ってくるということでございますので、年度の頭では納付金がどのぐらい入るみたいなことはわかっております。

 そういう意味では時価ベースの運用収入はかなり上がるとしても、積立金を取り崩す形をとって、いわゆる保険料収入、国庫負担に比べて見込んでいる給付費、拠出金も込めて、これの方がある程度余裕を持って見込んだものが十分資金繰りできるようなものは、とりあえず積立金から崩しておかないと資金繰りができない。ただ、当然年度末になりまして、運用結果を締めますと、時価ベースではしっかりした収益が上がっているということですと、今回のように時価ベースの積立金は増えているという状況がある。

 ただ、積立金の受け入れをしていないと、実際には資金繰りがうまく回りませんので、それはこういう形で最後、年度を締めてみると、一方で運用利回りはそれを上回るものが時価ベースで上がっているのに、積立金の取り崩しがなされるということになるわけでございまして、こちらの方は、予算を組んで年金給付を執行するのに責任を持っている当局が支払いショートを起こさないようにということで見込んで、取り崩し額を決めることになるということでございます。

 

○山崎部会長

 よろしいでしょうか。どうぞ、林委員。

 

○林委員

 多分、毎年、気をつけておけばよかったのでしょうけれども、11ページ目の先ほどもありました被保険者状況ですが、一番上の被保険者数で男性が2万2,000何がしで毎年来ている。これは別にいいと思うのですけれども、この数字というのは新規加入してきて、それから年金受給になって出ていく数字だと思います。そうすると、昨今の雇用状況で正規・非正規の問題とか、3年経ったら3割転職するといった、かなり大きな動きがあるので、その辺、今後の財政検証などでどういう意識をなされているのでしょうかということです。

 

○山崎数理課長

 厚生年金の被保険者、確かに若い層の方が非正規化ということで、これは実績の上でも年齢構成で見たときに若い層、当然、大学や大学院に長く行かれるという要素もあるのですけれども、そういう影響はもちろんあるということでございます。これは、実績をベースとしつつ、将来の労働力率の見込みあるいは被用者化の見込みを織り込んで、財政検証の上では将来見通しを立てるということでございます。ただ、転職されましても、同じサラリーマンで会社を変わられた場合には厚生年金の中でございますので、そちらは年金の将来見通しには影響してこないわけでございます。そういう意味では、被用者の中で流動化する分は余り影響してこないと見ているところでございます。

 

○林委員

 ありがとうございました。

 

○山崎部会長

 それでは、ありがとうございました。

 引き続きまして、国民年金の報告を聴取します。それでは、説明をお願いいたします。

 

○山崎数理課長

 引き続き、御説明申し上げます。お手元の資料2「平成24年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」という資料を御参照ください。

 おめくりいただきまして、まず基礎年金勘定の収支状況でございますが、24年度収入総額が239,514億円で、前年に比べまして0.1%の伸びでございます。一方で支出の総額につきましては212,572億円でございまして、収支残が2兆6,942億円出ているということでございます。これは、従来、この収支残、かなり大きい額が計上されてきてございまして、22年度2兆4,000億円余り、23年度3兆円余りということでございます。

 一方で、その下の欄に年度末積立金で、23年度までは7,246億円ということで、ずっと同じ数字が挙がっている。この7,246億円という数字は、御案内のように、昭和60年改正のときに基礎年金制度が61年度から導入されまして、国民年金勘定にあった積立金のうち、それまで任意加入だったのが3号に移った被用者の妻の分に相当するものということで、その分の積立金7,246億円が基礎年金勘定の積立金として置かれていたということでございますが、このたび、昨年8月に一元化法の成立に伴いまして特会法が改正されまして、この積立金についても全体整理していくことになったということでございます。

 この収支残のところは、いわゆる妻の積立金の運用収益の累積額、現状、0.8兆円ぐらいになるものでございます、それと拠出金の概算精算の仕組みに伴います未精算額、この両方が計上されて毎年収支残のところに挙がって、それが翌年の収入のその他のところにほぼそのまま計上されるという構造で動いてきたわけでございまして、23年度の約3兆円の収支残が24年度のその他収入のところに約3兆円計上されてきたということでございますが、今回、基本的にはこの収支残は翌年度の積立金に繰り入れるということで、この積立金をまた取り崩して収入の方に入れていくという仕組みに整理することに変わったわけでございます。

 ここで、24年度の年度末積立金が2兆3,223億円となっておりまして、前年度が7,246億円でございますので、その差し引き、前年度との比較で1兆5,977億円となっておりますが、これが24年度において収支残から新たに積立金に繰り入れられた額になるわけでございます。この収支残との差1兆1,000億円ぐらいになりますが、こちらにつきましては、25年度、翌年度のその他収入に繰り入れられて、これは23年度分の精算に用いられる予定でございまして、今後は収支残というのは積立金に繰り入れて、翌年度、2年後の精算に用いられるということと、あと、妻の積立金とその運用収益の分につきましては、今後の拠出金の軽減に計画的に使っていくという仕組みに変わったということでございまして、これが今年度の大きな変更点でございます。

 それで、基礎年金の給付費本来分というところ、支出総額の下の欄でございますが、これが183,036億円となってございまして、前年に比べて8,679億円、5.0%の伸びということで、22年度、23年度に比べると少し伸びが大きくなっておりますが、これはいわゆる団塊の世代が65歳に差しかかってきたということで、少し伸びが上向いているのではないかと見ているところでございます。

 それから、拠出金算定対象者、下から3段目でございますが、こちらを見ていただきますと5,4049,000人ということで、前年に比べまして274,000人の増になっているところでございますが、実はこちらには平成2410月から3年間の時限措置で設けられました保険料の後納制度、時効になった保険料を過去10年分までさかのぼって納められることによる影響分、478,000人分がプラスされているということでございます。そういう単年度の特殊要因がございまして、ここはプラスという要素があるということを申し添えておきたいと存じます。

 次に、2ページに参りまして、基礎年金の負担状況ということで、これは24年度の確定値でございます。基礎年金の給付費本来分が183,009億円。これが旧法分の交付金ということで算定される分が2兆3,248億円で、本来分と交付金の分を足した総額が右の欄でございますが、206,258億円となっているところでございます。

 この中で下の欄でございますが、特別国庫負担3,242億円を差し引いた残りが拠出金で各制度に分担されるということで、これは左の欄で203,015億円になっているところでございますが、それを各制度の下の欄にございます拠出金算定対象者数の比で按分して各制度に割り振る。割り振った額がこちらにある額でございますが、平成24年度につきましては1号被保険者の拠出金算定対象者数が8865,000人で、前年に比べて157,000人増えておりまして、率にすると1.8%増となっているところでございます。

 これも保険料の後納による増加の影響でございまして、先ほど申し上げましたように後納で478,000人増になってございますので、この157,000人の増というのは後納の影響が非常に大きいというか、そちらの影響を除けば現年度分は、むしろ1号については減っている状況でございます。

 次に、3ページに参りますが、国民年金勘定の収支状況でございまして、平成24年度の欄を見ていただきますと、時価ベースの収入総額が5兆9,170億円でございます。このうち保険料が1兆6,124億円で、前年に比べて317億円、2.0%の伸びとなっておりますが、こちらにつきましても後納制度導入の影響が大きいということでございまして、この後納による保険料は845億円ございますので、2%の伸びですが、これによる影響が5%ぐらいで、この後納分を除きますと保険料につきましては3.3%減という状況になっている。それにつきましては、1号被保険者そのものが2%ちょっと減っているという要素と、免除率がアップしている。免除者以外が対象となりますので、それで2%ちょっとのマイナスの影響がある。

 一方で、保険料の納付率につきましては、現年度の納付率も上がっておりますし、過年度分の納付率も上がっているということで、1.7%くらいの納付率アップによる影響はあるのではないかと見てございます。一方で、保険料月額が月額40円、名目額で下がっておりますので、それによる影響もマイナス0.3%ある。いろいろ総合しまして、後納分の影響が5%程度、一方でそれ以外の影響がマイナス3.3%程度で、全体を総合すると2%ほど保険料収入が増えている状況になっているということでございます。

 国庫負担につきましては2兆1,938億円で、3,278億円と、大幅な増になっているわけでございますが、これにつきましては下の支出の欄を見ていただきまして、基礎年金拠出金が24年度は3兆9,987億円ということで、前年に比べて6,835億円増えてございます。ただ、これにつきましても概算精算の影響が大きいということでございまして、24年度は3兆6,540億円という単年度ベースの確定値でございますが、概算精算の影響によりまして、これが24年度の額は膨らんでいる。

23年度につきましては、逆に確定値に比べて決算値の方が低い状況だったので、その2年比較すると7,000億円近い基礎年金拠出金の増加となっているわけでございますが、概算精算の影響で5,500億円ぐらい見かけ上の変化がある。その他に後納分が増えると、基礎年金拠出金はその分増えますので、その影響が1,500億円ぐらいあって、両足して7,000億円ぐらいの影響が説明されるという状況になっているということでございます。当然、基礎年金拠出金の半分が国庫負担でございますので、これが国庫負担の増につながっている構造になっているということでございます。

 あとは、収入で申し上げますと、時価ベースの運用収入が7,293億円で、前年に比べて5,631億円の増加でございます。あと、積立金より受入が4,976億円で、前年は500億円だったので4,000億円くらい膨らんでいるわけでございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、資金繰りのために当初、積立金から受け入れるわけでございますが、実際には運用収入が時価ベースで7,000億円余りございました。

 結局、収支残のところ、時価ベースで下の欄を見ていただきますと7,226億円となっているわけでございますけれども、これは積立金より受入という額を上回っておりますので、両者の差をとって、その下の業務勘定から積立金への繰入171億円を足したものが、前年度との比較と書いてある積立金の欄、この2,421億円が実質的な意味での収支残に当たるもので、積立金は8兆1,446億円、時価ベースということで、前年に比べて2,421億円増加しているという状況になっているということでございます。

 また、運用利回りにつきましては9.52%という状況でございます。

 

○五十里調査室長

 5ページ、給付状況でございます。受給権者数、25年3月末で全体で3,0853,000人、前年より4.1%伸びているということでございます。うち老齢年金ですけれども、2,7782,000人で、前年より4.8%の増加でございます。これは、いわゆる団塊の世代、昭和22年生まれが平成24年にちょうど65歳になりましたので、そういった意味もあって伸びているということでございます。年金総額はトータル203,362億円で4.6%増加、老齢年金は182,635億円で5.1%増加してございます。

 それで、次の6ページで、老齢年金の平均年金月額、下の箱のところでございますが、その一番上で5万4,783円ということで、前年より0.3%伸びております。3つ下に老齢年金の平均加入期間がございますが、これが363月で、前年度より6月伸びたということでございます。

 7ページ、新規裁定について同じような統計表でございますが、平均年金月額は24年度、5万1,082円でございます。繰り上げ者がおりますので、繰り上げを除いた部分がその下で、5万4,659円でございます。その2つ下、新規裁定の平均加入期間は395月ということで、前年より2月伸びています。受給権者数は千が抜けていますけれども、すみません。466,000人で、前年より19.2%。これは、先ほど申し上げました団塊の世代の影響でございます。

 それから、8ページは受給権者の年齢構成でございます。これは昨年とそんなに変わらないわけでございますけれども、65歳から70歳、70歳から75歳で男女とも5割から6割ぐらいの人がおられるということで、平均年齢は男子73.9歳、女子は75.6歳でございます。

 9ページ以下が被保険者の状況でございますけれども、1号被保険者トータルで1,8637,000人ということで、前年度より2.1%減少してございます。3つ下で3号は9602,000人ということで、前年度より1.8%減少しております。

 それで、一番下、免除等の状況でございますけれども、大きいもので法定免除が約1336,000人、申請全額免除が2394,000人、学生納付特例が1718,000人という状況でございます。

 それで、めくっていただいて11ページ、被保険者の年齢分布でございます。これも例年と変わっておりませんが、男性の場合、20歳代前半、学生がおられますので、そこが一番多いということでございます。

12ページ、女性の1号被保険者も学生が20歳代前半が多いので、ここが一番多いということでございます。

13ページ以下で3号被保険者の年齢分布でございますが、14ページ、男性を見ていただきますと、男性の3号は、これも最近そうなのですけれども、50歳代後半で今年度は29.2%になっております。これに対して女性は35404045にそれぞれ約2割のがおられるということでございます。

 

○山崎数理課長

 続きまして、16ページ、積立金の運用状況でございます。資産の構成割合といたしましては、国民年金の場合、預託金が5.1%、市場運用分が85.9%、財投債が9.1%でございまして、運用利回りは9.52%でございます。ポートフォリオにつきましては、厚生年金と一体で運用しているということで、同じものを掲げてございます。

 次に、17ページに参りまして、財政検証における将来見通しとの比較でございますが、国民年金に関しましても、将来見通しとベースをそろえるということで実績推計をつくっておりまして、どういう補正を行っているかというのが特記事項にございますが、基礎年金の交付金を収入支出の両面から控除するということ。さらに、細かいところでは業務勘定からの繰り入れをその他収入に加える。あと、積立金からの受け入れをその他収入から控除するということ。それから、国庫負担の繰り延べを年度末積立金に加えるという補正を行っているところでございます。

 こちらと将来見通しを比べるということで見ていただきますと、保険料収入は将来見通しで2.2兆円と見込んでいたものが1.6兆円で、これは主として納付率が将来見通し上は80%と見込んでいたものが、実際には59%ということで、この違いが大きな要素でございます。

 一方、運用収入については、将来見通し上、0.2兆円と見込んでいたものが0.7兆円の運用実績だったということで、0.5兆円プラスとなっているということでございます。

 その他のところは、基本的に国庫負担でございますが、将来見通しで2.5兆円と見込んでいたのが2.2兆円。これは、右側の欄、支出の基礎年金拠出金が4.6兆円と見込んでいたのが、納付率が見通しよりも低いということで、4.0兆円という支出になってございまして、これを反映して国庫負担につきましても見通しよりも実績推計の方が低くなっているということでございます。

 給付費につきましては、将来見通しで0.1兆円と見ているのが、実績推計では0.2兆円ということでございますが、こちらにつきましても、実は基礎年金交付金の決算数値0.9兆円でございますが、単年度ベースでの確定値では1.0兆円で、1,000億円しか違わないのですが、差し引きを行いますと、この給付費の国民年金の独自給付の部分は確定値ベースで見ると0.1兆円ということで、これは将来推計とうまく合っているということでございます。

 そういう意味では、基礎年金拠出金も概算精算の関係がございますので、実績推計の数字でも4.0兆円となってございますが、実は単年度の確定値で申しますと3.7兆円という数字で、これは財政検証との差は拡大する方向でございますが、そういう数字になっているということです。収支残の将来見通し上は0.1兆円ですが、実績は0.2兆円でございます。ただ、これも実は確定値ベースで見ますと0.2ではなくて、0.5兆円になる。厚生年金と同じように、今年は運用収益がかなり多かったので、財政検証の見通しよりも財政状況はよくなっているということでございます。

 年度末積立金は、将来見通し上10.4兆円だったものが10.4兆円という数字になっている。これは、確定値ベースですともう少し上に行くものが、基礎年金の概算精算の関係があって、結果的に将来見通しと同じ数字になっている状況でございます。

 次に、18ページ、基礎年金の被保険者数及び受給者数につきましては、実績と将来見通しで大きな乖離がないと見ているところでございます。

19ページ、財政指標の比較で年金扶養比率でございますが、これも括弧内の受給者ベースを見ていただきますと、24年度、2.25で、財政検証上の見通し2.2とほぼ一致している状況でございます。

 次に、20ページ、保険料比率につきましては、24年度、80.6という数字で、財政検証では99.6という数字でかなり乖離が大きく見えるわけでございますが、これも概算精算がかなり影響しております。実は、確定値ベースではじいてみますと、24年度の80.6という数字は92.3となりますし、23年度、106.5となっている数字は94.0になりますので、それでも財政検証の結果よりは低い数字になるわけでございますが、差は大分縮まる状況になるところでございます。

 次に、21ページ、収支比率で、こちらはかぎ括弧の中の時価ベースを見ていただくということでございますが、こちらにつきましては24年度、85.5という数字でございまして、財政検証の数字91.7よりはよくなっている。収支比率でございますので、数値が低い方が財政状況がいいということでございます。こちらも、実は確定値ベースにいたしますと、85.5という数字は74.6で、前の年度に比べても運用収入が多かったということで、かなりよくなっているということでございます。

 次に、22ページは財政検証ベースで補正したということで、繰り延べ分を積立金に加えて算定したもの、これが*印がついている欄でございます。24年度の*印で見ていただきますと、積立比率、かぎ括弧の中の数字、5.1でございますが、これも概算精算の影響がございまして、前年の6.7に比べて5.1と、かなり下がっているように見えますが、確定値ベースで申し上げますと5.95.8になった。23年度が5.924年度が5.8という数字でございますので、この変化は概算精算の影響による見かけの変化と見ていただければよろしいかと思います。

 それに対して、財政検証では24年度、4.7と見ていたということで、それに比べると積立比率は実績の方がかなり高い。これは、積立金そのものは財政検証の見込みとそんなに変わっていないのに対して、財政検証上は分母に当たる部分の納付率、80%で見ていたということで、そこが大きく見られている分、財政検証上の積立比率は低く出ているということの影響と考えているところでございます。

 時間が押して恐縮でございますが、御説明は以上です。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。田中委員。

 

○田中委員

 それでは、先ほど保険料の後納分のお話をされた。これは3号運用のことでしたでしょうか、遡及して保険料を支払って国民年金の3号被保険者に入るという話ではないのですか。違うのですか。その説明をお願いします。

 

○山崎数理課長

 3号ということではなくて、過去10年分の時効になった保険料を3年間の時限措置として後納することができるという仕組みでございます。

 

○田中委員

 そうですか、誤解していました。これは単年度的な影響と考えていいですか。

 

○山崎数理課長

 3年間の時限措置で、もちろん初年度ですので多く出ているということも考えられますし、一方でまだこれから制度が浸透していけば、さらに増えることはあり得ますが、そもそも時限措置でございますので、必ずしも恒常的なものではないということでございます。

 

○田中委員

 財政的な影響というのは、さほど大きいものではないと考えてよろしいですか。

 

○山崎数理課長

 長期の年金財政への影響ということでございますと、もちろん利子をつけて保険料を納めていただくのですが、一方で給付に反映しますので、長期的に見れば影響をほとんど与えるようなものではない。もちろん、納められた方は、その分年金額が増えるわけでございますので、それは給付水準を確保するという意味では非常に大きな意味があると考えております。

 

○田中委員

 ありがとうございました。

 

○山崎部会長

 野上委員。

 

○野上委員

 納付率について、財政検証のとき80%余りで、現実には59%ということなのですが、先ごろ年金部会の小委員会で徴収強化を打ち出されて報告を出されたとお聞きしておるのですけれども、それによりまして納付率自体はどのぐらいの水準に高まっていくのか、あるいは目標感をお持ちなのか。私などは、国民的に保険料を納めなくてもいいのではないかみたいな誤解があるのではないかと思っております。例として適切かどうかわからないのですが、駐車違反も昔は結構やりたい放題といいますか。罰金の金額が上がった途端に駐車違反がかなりなくなったというのも事実としてあります。

 国民年金保険料も延滞金ということで、14%余りの利息を取られるということだと思いますが、その辺を強化していけば、かなり効果があるのではないかと考えているのですが、目標としてはどのぐらいの数字をお持ちなのか、教えてください。

 

○山崎数理課長

 その辺りは、まさに今、報告いただいて、具体的に今おっしゃったような強制徴収をどのように強化していくかということとセットで、これから担当の部署で詰めていくということだと思いますので、現段階で私から目標感、どのぐらいというのはちょっと申し上げられないところでございます。

 

○山崎部会長

 宮武部会長代理、どうぞ。

 

○宮武部会長代理

 私が徴収強化専門委員会の委員長をしておりましたので、なりかわってお答えいたしますけれども、払わない人の分類は、払えるのに払わない、払いにくい人、それから払いたいけれども、払えないに分かれるのです。だから、300万人近い払わない方たちは一様ではなくて、約300万人全部に対して強制徴収をかけることになると、事務的にはとても手が回りませんし、100円集めるのに90円費用がかかるという試算が出ている。

 ですから、私どもの専門委員会では、少なくとも世帯として年間所得で1,000万円以上もある場合は、どう考えても払えるのに払わない。そういう方たちに対しては、できたら全員に強制徴収をかけて、延滞金も、それから徴収の費用もお払いいただいたらどうかということをまとめております。ですから、全体ではございません。セグメントした上で対応していく。払いにくい人には、今日もごらんになっているように、利用者が極めて少ない4分の1、4分の3、2分の1という多段階免除を活用してもらう。払えない人に対しては、できるだけ簡便に免除申請をしていただくという常識的な案をまとめて報告いたすことになっています。

 以上です。

 

○野上委員

 確認ですけれども、今、御説明いただいた話ですと、高額所得者のみが強制徴収の対象になるということで、逆に言いますと、それ以外の大勢を占める層は現状からなかなか変わらないと理解せざるを得ないのではないかと思うのですが。

 

○宮武部会長代理

 それは、年金制度に対する理解をとにかく深めていく。例えば、老齢基礎年金の半分は国庫負担で賄われているということ自体を知っている人が3割程度しかいない。そういうメリットがわからないという状況をとにかく改善していかないことには、ただ強制徴収を広げても余り意味がない。

 それから、払わなかったことは、年金財政の危機に直結はしないということです。払わなかった人には年金は支払われないわけですから、そんな誤解も解いていかないといけないということを論議していただきました。

 

○山崎部会長

 駒村委員。

 

○駒村委員

 少し違う視点からの質問ですけれども、6ページです。データの確認ですけれども、繰り上げ支給されたものを除いた平均年金額というのは、繰り上げ、繰り下げ、両方を除いたのではなくて、繰り上げだけを除いた数字ということの確認です。

 それから、今後データとして、徐々にではありますけれども、繰り下げも増えているような感じが見えます。これは、寿命の伸びと今後の年金政策の状況によっては、繰り下げという選択肢も広がってくるのかなと思いますので、繰り下げに関する情報がちょっとないように見えましたので、その辺りは今、どういうふうに考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。

 

○五十里調査室長

 最初の7ページの部分は、繰り上げだけを除いたものです。あと、繰り下げの情報ですけれども、6ページの上にあるのですが、平均年金月額という形にはなっていないので、そこはまた事務局とちょっと相談してやりたいと思います。

 

○山崎部会長

 牛丸委員。

 

○牛丸委員

 2つお願いいたします。

 1つは、1ページで、先ほど御説明がありまして、収支残を積立金に入れていく。2年後に精算というお話があったのですけれども、従来から存在している61年の任意の積立金に収支残を入れていくと、もはや過去の積立金の額が消えていってしまう、混ざってしまうことになるのでしょうか。それはそれで額をはっきりさせておく。先ほど、私、聞き逃したのかもしれませんが、それを今後の給付に生かしていくような御説明があったかもしれないのですが、ということは、あれをどうしていくかということがはっきり決められたのか、その辺を確認させてください。これが1点です。

 もう1つは、私が制度をよく知らないからかもしれませんので、そこで御説明願いたいのですけれども、9ページの注に、第1号被保険者に任意加入被保険者を含むとあります。この任意加入被保険者はどういうものなのか、これを教えてください。

 以上2つです。

 

○山崎数理課長

 まず、第1点でございますが、いわゆる妻の積立金分、従来積立金になっていました7,246億円と、その運用収入相当額約8,000億円、両方足した1.5兆円でございますが、こちらにつきましては、それ以外のいわゆる基礎年金の概算精算の関係での数字とは一応区分いたしまして、物としては同じ積立金の中に入るわけでございますけれども、それにつきましては拠出金の軽減に今後生かしていく。給付の方にと申しますか、拠出金を軽減していくことによって各制度に還元していくということになっているということで、その詳細な仕組みにつきましては、今後、一元化関係の政省令が整備される中で、順次確定させていくという仕切りになっていると承知しております。

 

○五十里調査室長

 すみません、あと任意加入被保険者ですけれども、3つありまして、1つ目が、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人で、被用者年金制度から老齢または退職を事由とする年金を受けることができる者。2つ目が、日本国内に住所のある60歳以上65歳未満の者。3つ目が、日本国籍を持っているのですけれども、海外に居住する20歳以上65歳未満の者。こういう厚生労働大臣に申し出て被保険者となることができる人たちのことを言っております。

 すみません、ついでに先ほど厚生年金のところで牛丸先生からいただいた質問、前年と見比べてみて、女性の被保険者のどの辺が増えているかという話でした。全体で165,000人増えてございますが、4045歳で去年に比べて7万人、4550歳で7万人、5055歳で5万人というところで大きく増えているということで、それは3号が減っていることとの裏返しかもしれませんけれども、そういう状況があります。ただ、入り繰りがあるので、正確かと言われるとわかりませんけれども、現象としてはそういうことになっているということでございます。

 

○山崎部会長

 それでは、今日御欠席ですが、翁委員から質問が私のところに参っております。既にかなり御説明いただいたのですが、3ページの国民年金勘定の収支についてでございます。平成24年度の積立金より受入が5,000億円程度となっていて、積立金の規模と比べても大きな額となっていると感じるが、今後ともこの規模の積立金より受入が続く見通しなのかどうかという御質問でございます。

 

○山崎数理課長

 先ほど来御説明しておりますように、積立金の推移につきましては、一方で時価ベースでの運用収益があって、資金繰りのために積立金から投資を受け入れる分があるということで、実際上、収支とか積立金の変化を見る場合には時価ベースでの帳尻を見るということで申しますと、24年度につきましては2,000億円余りの増加ということだったわけでございます。

 一方で、21年の財政検証で国民年金の積立金をどう見通していたかにつきましては、前提として、もちろん経済がデフレから回復して順調な成長軌道に乗って、それによってマクロ経済スライドが発動されるという大前提があるわけでございますが、そのもとで国民年金の積立金というものは当面50年間ぐらいは減少しないという見込みになっていて、その後、徐々に取り崩されて、おおむね100年後に1年分程度の積立金が残るという見込みになっていたところでございます。

 ただ、現実には足下でデフレが続いておりまして、マクロ経済スライドの発動が遅れていることがありまして、そういう意味で、足下で状況が狂ってきている部分はあるわけでございますが、いわゆるアベノミクスの効果もありまして、今年に入って経済は上向きに転じている。それもありまして、年金積立金の運用実績も大幅な黒字になっているということで、今年度につきましては、実質で見れば積立金からの受入額を補って余りあるだけの運用収益が生じている。今後どうなるかというのは、まさに平成26年の財政検証において見込みを立てていくことになるということだと存じております。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 それでは、以上で国民年金の財政状況についての報告の聴取を終了します。お忙しい中、どうもありがとうございました。席をお移りください。

 

(数理課長、調査室長 関係者席へ移動)

 

○山崎部会長

 続きまして、「私立学校教職員共済制度の平成24年度の財政状況」についての報告を聴取いたします。

 

(私学共済室長 報告者席へ移動)

 

○山崎部会長

 本日は、御説明のため、お忙しい中、文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室の渡部室長に御出席いただいております。ありがとうございます。それでは、お願いいたします。

 

○渡部私学共済室長

 文部科学省私学共済室長をしております渡部と申します。よろしくお願いします。なお、本日は日本私立学校振興・共済事業団の担当者2名も出席しておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、平成24年度の私学共済の財政状況につきまして、資料3に基づきまして御説明いたします。

 表紙をおめくりいただきまして、1ページ目で、収支状況の概略でございます。5年間の収支状況が掲載されておりますが、平成24年度の欄を御覧ください。収入総額は5,655億円で、前年に比べて439億円、8.4%の増となっております。内訳といたしましては、掛金が3,675億円、これが126億円、3.5%の増。それから、国庫負担が1,048億円ですけれども、これがマイナス49億円でございます。

 それから、運用収入でございますが、簿価ベース792億円ということで、前年に比べて388億円の増となっております。それから、有価証券の売却損等の費用を減じました正味運用収入が括弧書にございますが、これが766億円になっております。さらに、その正味運用収入に評価損益を加算いたしました時価ベースでの運用収入は3,050億円となってございます。時価ベースでの収入総額は、上の2段目に括弧書でございますように、7,938億円となってございます。このベースでいきますと、前年と比べて2,474億円の増でございます。

 一方、支出でございますが、総額5,587億円で、前年に比べて445億円の増で8.7%のプラスでございます。内訳といたしまして、給付費が2,798億円、基礎年金拠出金が2,063億円で、これは対前年マイナス94億円となっておりますけれども、これは前々年度分の精算額の差が23年度と24年度では大きかったことが要因として挙げられます。23年度におきましては、前々年度の21年度分の追加拠出として125億円が含まれておりますけれども、24年度の場合は前々年度、22年度分の拠出金について逆に24億円程度の還付があったということで、そのプラスマイナスの差が大きく影響しておるところでございます。

 もう一つ下の年金保険者拠出金683億円でございますが、これが前年に比べて464億円、211.5%の増となってございます。この拠出金は、御案内のように、JRJT共済を厚生年金に統合した際の支援措置としての拠出金でございますけれども、将来見通しに基づきます概算拠出ベースでは、24年度からは、共済側では私学共済のみがかなり大き目の負担が必要になりました。

 というのは、この仕組みといたしまして、支援対象額の半分は標準報酬按分ということで、各制度、その規模に応じた負担をしておりますけれども、残り半分につきましては厚生年金よりも賦課保険料率が低いところが負担するということで、これまでは地共済と私学共済が負担しておったわけでございますけれども、24年度からは見通し上は私学共済のみになるということで、地共済が抜けた分のハネが私学に来たということでございます。加えまして、実績ベースでは22年度におきまして、既に地共済は個別負担の支援対象から外れたということで、その精算分も24年度に来たということで、かなり大きな額が24年度に集中したということになっております。この結果、収支残が68億円で、前年と比べてマイナス6億円となってございます。時価ベースで申し上げますと、2,351億円で、2,029億円の増ということでございます。

 また、その下の年度末積立金でございますが、3兆4,224億円、時価ベースですと3兆6,406億円で、運用利回りにつきましては、簿価で2.27%、時価で9.17%という状況でございます。

 続きまして、2ページは先ほどの収支状況の概略につきまして図で示したものでございますので、説明は省略させていただきます。

 3ページを御覧ください。2の給付状況でございますけれども、受給権者数と年金総額でございますが、平成25年3月末の欄を御覧いただきたいと思います。受給権者数が合計409,300人で、前年に比べて2100人、5.2%増加しております。内訳といたしましては、退年相当が124,600人、通退相当が217,700人でございます。

 それから、年金総額は合計で3,372億円、前年に比べまして81億円、2.4%の増加になっております。内訳といたしましては、退年相当が2,231億円、通退が636億円等々となってございます。

 次に、4ページをお開きください。上の段が年金の減額支給、それから増額支給の状況でございます。平成25年3月末の欄を御覧いただきますと、減額支給の人員が約800人、年金総額10億円でございます。一方、増額支給は4,400人、年金総額が45億円という状況になってございます。

 それから、下の段が退職年金の平均年金月額でございますが、25年3月末の状況は149,183円で、前年に比べましてマイナス1,852円、マイナス1.2%という状況になっております。

 2つ欄を飛ばしまして、この退職年金の平均年金月額に基礎年金額の推計値を加算した月額が19490円でございます。

 そして、1つ飛ばしまして、この退職年金の平均加入期間は390月でございます。

 次の通退年金の平均年金月額でございますが、2万4,365円でございまして、その平均加入期間は2つ飛ばしまして78月という状況になってございます。

 5ページは、先ほどの平均年金月額の男女別の内訳ですので、省略させていただきます。

 6ページを御覧ください。退職年金の平均年金月額につきまして、加入期間20年以上の新規裁定者につきましての数値を掲載してございます。平成25年3月末で136,299円、前年に比べまして58円の増加となっております。

 また、その平均加入期間でございますが、2つ飛ばしまして400月となってございます。

 引き続きまして、7ページは退年相当者につきまして、支給年齢別、年金額の構造別にその金額等を示したものでございます。特別支給の関係でございますけれども、御覧のように25年3月末の状況を見ますと、60歳から63歳までのところにおきましては、年金月額は11万円台になっておりますけれども、64歳では171,984円で、ここは定額部分の支給がある年代ということで、ここに差が生じているというところでございます。

 それから、その下に65歳以上の本来支給分がございますけれども、155,312円という状況でございます。

 次に、8ページ、9ページは、先ほどの資料の男女別の内訳でございますので、省略させていただきまして、10ページを御覧いただきたいと思います。退職年金受給権者(退年相当)の年齢構成でございます。男性が7万5,600人、女性が4万9,000人で、6対4の割合で男性が多い形になっております。平均年齢は男性の方が71.2歳、女性が72.6歳でございます。

 次に、11ページを御覧いただきたいと思います。加入者の状況でございます。平成25年3月末の欄をごらんいただきたいと思いますが、加入者数は498,800人で、前年に比べまして6,400人の増、1.3%増となっております。特に女性の増加が大きくて、5,200人、2%の増になっております。この傾向は近年ずっと続いておりまして、要因といたしましては、大学病院におきます看護師の採用の増、あるいは新設大学におきましても、近年は保健系あるいは保育系の学部・学科がかなり増えてきておりまして、そういったところの教職員の採用。それから、幼稚園におきます少人数学級の増加とか認定こども園の増加によりまして、女性の教職員が増えておる状況でございます。

 次に、加入者の平均年齢は42歳でございまして、男性47.1歳、女性37.8歳という状況です。

 その下の標準給与月額の平均でございますけれども、365,461円で、前年に比べて611円、0.2%の減少でございまして、毎年、男性につきましては少しずつ減っておりますし、女性は少しずつ増えている状況でございます。

 それから、下の表で標準給与月額の総額でございますが、25年3月末は2兆1,839億円で、前年に比べて239億円、1.1%の増でございます。また、標準賞与総額は6,433億円、前年に比べてマイナス8億円でございます。これらを合わせました総報酬ベースの標準給与総額は2兆8,272億円でございます。

 それから、加入者数の年度間平均値は501,000人で、前年に比べて6,400人、1.3%増加している状況でございます。

 最後に、標準給与総額の総報酬ベースの年度間平均額ですけれども、1人当たり月額といたしまして47231円で、前年に比べまして2,233円の減少、マイナス0.5%でございます。

 次に、12ページを御覧いただきたいと思います。加入者の分布で、12ページは男女合計の表でございまして、特徴といたしまして加入期間の短い人が多いということでございます。加入期間が10年未満の方がトータルで58.9%、約6割という状況でございます。それから、高齢者の割合が比較的多いということで、60歳以上65歳未満で7.9%、65歳以上が3.8%という状況がございます。

 次に、13ページでございますが、男性の傾向といたしまして、加入期間の短さはございますけれども、こちらは10年未満で見ますと48.3%。逆に、高齢者の割合は60歳以上65歳未満が12.7%で、かなり高い状況がございます。

 次に、14ページ、女性でございます。加入期間が10年未満の人の割合が67.7%で、約7割が10年未満になってございます。特に大きな固まりとしまして、20歳から30歳の間に集中的に加入者が存在しておる状況でございます。

 次に、15ページ、標準給与月額の分布状況でございます。男性につきましては、上限でございます62万円に張り付いている人が23.5%で、圧倒的に多い状況でございます。女性につきましては、大体20万円台の標準給与のところに多い状況でございます。平均額は、男性が442,142円、女性が301,707円という状況でございます。

 続きまして、16ページ、積立金の運用状況でございます。資産構成ですけれども、年度末の積立金は簿価ベースで3兆4,224億円、時価ベースで3兆6,406億円という状況でございます。内訳といたしましては、いわゆる有価証券等が大部分を占めておりまして、簿価ベースで78.8%、時価ベースで80.1%を占めてございます。また、運用利回りにつきましては、簿価ベースで2.27%、時価で9.17%という状況になってございます。なお、特記事項に有価証券等におきます資産区分別の規模を掲載しておりますので、御覧いただきたいと思います。

 次に、17ページ、財政再計算における将来見通しとの比較でございます。収支状況の比較でございますが、収入につきましては、トータルで見ますと将来見通しが5,613億円に対しまして、24年度の実績は5,655億円で、42億円の差しかございませんでした。内訳的な入り繰りはいろいろございますが、トータルではほぼ見合った額になっておりました。

 一方、支出につきましては、先ほど申し上げましたような基礎年金拠出金なり年金保険者拠出金の増があった関係で、そこが将来見通しにおいても違ってきておる状況がございまして、支出の将来見通し合計5,266億円に対しまして、24年度の実績は5,587億円で、321億円余り実績が多かったということでございます。この結果、収支残も見通し上は346億円のプラスでしたけれども、実績は68億円でございました。ただし、時価ベースで見ますと収支残は2,351億円のプラスでございます。また、積立金につきましても、将来見通し上は3兆5,672億円でございましたけれども、簿価ベースの実績は3兆4,224億円、時価ベースですと3兆6,406億円という状況になってございます。

 次に、18ページを御覧いただきたいと思います。加入者数及び受給者数の比較ということでございますが、加入者数につきましては、24年度末は498,800人でございます。一方、将来見通しでは459,100人でございますけれども、将来見通しにおきましては、学齢人口の減少に比例しまして加入者が減っていくという前提で推計しておりますのに対しまして、実績では伸びてきておるということから、このような開きが出ております。

 それから、受給者数につきましては、将来見通し上は567,500人、実績では24年度で384,500人ということで、ここにも開きがございますが、その大きな要因が通退相当、いわゆる20年未満の年金ですけれども、待期者につきましては将来見通し上は全員、年金請求をしてくるという前提で推計しているのに対しまして、実績ではそのようになっていないということから、この受給者数に開きが出ておるということでございます。

 新規加入者数と新規裁定者数が真ん中の欄にございますが、新規加入者数も将来見通しが4万4,500人であったのに対し、実績は6万1,200人でございました。新規裁定者数につきましては、将来見通しは4万6,100人に対しまして、実績では5万6,800人ということでございます。

 そして、下が脱退者数と失権者数でございますが、将来見通し上、脱退者数は4万9,600人、実績では5万4,800人ということでございます。また、失権者数は、将来見通し上は2万5,200人、実績では3万6,600人でございますけれども、括弧書にございますように、特別支給の退職共済年金の受給者が老齢基礎年金を受給する段階において、特別支給の退職共済年金が失権して、新たに65歳から年金が出るということがございますので、その辺の影響を除去した数字を括弧書で示してございます。

 次に、19ページを御覧いただきたいと思います。財政指標の比較でございます。初めに、年金扶養比率でございますが、24年度の実績は4.00でございます。これに対しまして、21年の財政再計算の見通しでは、24年度は4.08で、ほぼ同じような数値になっている状況でございます。

 次に、20ページは年金扶養比率を補完する指標でございますので、御説明は省略させていただきたいと思います。

 次に、21ページ、総合費用率でございます。24年度の決算結果は一番左の欄でございますが、15.7%という状況でございました。一方、財政再計算におけます24年度の見通しでは14.4%で、1.3ポイント、実績が上回ったという状況でございます。要因といたしましては、賃金上昇率の見込みと実績の違い等を反映した標準給与総額の違いがまず挙げられます。これが分母になっておりますけれども、見通しに対しまして実績が低かった。一方、分子の基礎年金拠出金とかその他拠出金、これは年金保険者拠出金でございますが、そこの部分が見込みよりも実績が大きく上回ったということから、この率について開きが出たということでございます。

 この標準給与総額の違いあるいは拠出金の額の違いというのは、この後出てまいりますいろいろな率についての実績と見通しの差の要因としても挙げられようかと考えております。

22ページが厚生年金相当部分に係る総合費用率でございまして、いわゆる1階部分と2階部分の費用率でございます。これが実績では24年度、14.3%でございますが、見通し上は24年度、13.5%で、実績が0.8ポイント上回った状況でございます。

 次に、23ページが独自給付費用率ということで、2階部分、3階部分の費用率でございます。24年度の実績は12.0%、一方、見通し上は11.3%で、実績の方が0.7ポイント上回ったということでございます。

 それから、24ページ、厚生年金相当部分に係る独自給付費用率ということで、2階部分の費用率になりますけれども、実績は10.6%、一方、見通しは24年度、10.4%ということで、実績の方が0.2ポイント上回ったという状況になっております。

 それから、25ページが保険料比率でございます。実績が24年度は84.3%であったのに対しまして、見通し上は91.6%を見込んでおりましたので、マイナス7.3ポイント、実績の方が下回ったということでございます。

 次に、26ページ、収支比率でございますが、24年度の収支比率が実績で97.9%、一方、見通しは24年度は92.4%で、実績の方が5.5ポイント上回ったということでございます。

 最後に、27ページ、積立比率ということで、24年度は7.7となってございますけれども、24年度の見通し上は8.3ですので、マイナス0.6ポイント、実績の方が低かったということでございます。総じて実績値の方が見通しよりも財政指標的には悪い形になっていると言えようかと思います。

 以上でございます。

 

○山崎部会長

ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、御質問等、ございますでしょうか。林委員。

 

○林委員

 一般社会のデフレ原因の一つとして、給与が上がらないというのがありますね。厚生年金を見ても、いろいろ数字があって分からないのですけれども、私立学校の場合、個々の学校のスタンスみたいなものはあるのでしょうけれども、感覚的にはいかがですか。給与は据置きという状況ですか。

 

○渡部私学共済室長

 全数調査とかはやっておりませんから何とも言えないのですが、かなり国に準じたところもございますけれども、独自にやっているところもございまして、様々でございます。総じて給与自体が伸びているという状況には、今はないのかなと思っております。先ほどもちょっと説明させていただきましたけれども、男性は微減していて、女性はなぜか増えている。これは、平均加入年数が少し伸びていることも影響しているかもしれません。詳しくは分かりませんが、そういった状況だと思っております。

 

○林委員

 ありがとうございました。

 

○山崎部会長

 田中委員。

 

○田中委員

 質問と、それから今後どうするかというお話を伺いたいのですが、資料の18ページです。昨年度も申し上げたかもしれないのですが、そもそも加入者数、被保険者数の前提が学童数の伸びに比例するというか、減少に比例すると想定されるということですので、加入者数の伸びをかなり高目に見積もっているということで、乖離が出ている傾向がずっと続いているわけです。それから、先ほど受給者数についても、待機者、全員年金を選択するということで、この乖離もずっと続いている。今回、財政検証をするわけで、この辺りの、計算基礎率をもうちょっと現実的なものに変更するとか、そういうお考えがあるかを、お伺いしたい。

 

○渡部私学共済室長

 御指摘のとおり、加入者数につきましては学齢人口に比例してどんどん下がっていく、減っていくという見通しをしておりますけれども、実態は増えてきているところもございます。こちらの部会の報告書にもあったかと思いますけれども、加入者数の直近の上昇傾向、増えている状況も踏まえた見通しなりを、次の26年の財政再計算におきましては少し反映していかなければならないと思っております。ただし、長期的には学齢人口に比例して減っていくのだろうということは前提にしつつも、例えば足下の期間につきまして、そういった増加要因も織り込みながら推計してはどうかと考えているところでございます。

 また、待期者の推計につきましては、確かに実際の年金請求率はもう少し低く、100%ということはございませんので、例えば厚生年金の率とかを準用するなりして計算するとか、そういう工夫はしたいと思っております。

 

○山崎部会長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、以上で私立学校教職員共済制度の財政状況についての報告の聴取を終了します。報告者の方々には、お忙しい中をどうもありがとうございました。

 どうぞ席をお移りください。

 

(私学共済室長 関係者席へ移動)

 

○山崎部会長

 それでは、本日の審議は 終了いたします。

 次回の日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

○清水首席年金数理官

 次回の年金数理部会ですが、今週金曜日、1220日の15時からホテルフロラシオン青山2階の芙蓉にて開催し、国共済及び地共済について報告を受ける予定となっております。

 

○山崎部会長

 本日はこれまでにさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。

 


(了)

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