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2013年11月22日 第13回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会(議事録)

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成25年11月22日
15:30~17:30


○場所

厚生労働省専用第17会議室


○出席者

公益代表(敬称略)

小畑史子、神山宣彦、土橋 律、永井厚志、山口直人

労働者代表(敬称略)

伊藤彰久

使用者代表(敬称略)

明石祐二、浅井宏行、桐明公男、本多雅之

事務局

半田有通 (安全衛生部長) 、泉陽子 (労働衛生課長) 、中山鋼 (主任中央じん肺診査医) 、諸冨伸夫(中央じん肺診査医)

○議題

1 開会

2 議題
(1)労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会長の選任について
(2)平成23年、24年じん肺健康管理状況について(報告)
(3)屋外における岩石等の研磨・ばり取り作業等に係る取扱いについて
(4)粉じん作業等に係る今後の調査研究の方向性について
(5)第8次粉じん障害防止総合対策への取組について(報告)
(6)その他

3 閉会

○配布資料

資料1-1 平成23年、平成24年じん肺健康管理状況
資料1-2 じん肺健康管理状況の推移について(概要)
資料1-3 じん肺健康診断実施結果の推移
資料1-4 平成22年~平成24年業種別じん肺健康管理実施状況
資料1-5 随時申請によるじん肺管理区分決定件数等の推移
資料2   屋外における岩石等の研磨・ばり取り作業等に係る調査研究報告について
資料3   粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究
資料4   第8次粉じん障害防止総合対策等の策定状況について
参考資料1 屋外における岩石等の研磨・ばり取り作業等に係る調査研究報告書
参考資料2 第7次粉じん障害防止総合対策の推進について
参考資料3 第8次粉じん障害防止総合対策の推進について
参考  労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会委員名簿  
参考 労働政策審議会令
参考 労働政策審議会運営規程等

○議事

○労働衛生課長 ただいまから、第13回の「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、この部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。私は労働衛生課長の泉です。よろしくお願いいたします。本日は委員改選から初めての部会ですので、部会長選出までの間、私が議事進行を務めさせていただきます。

 議事に入る前に、委員に就任いただきました皆様方を御紹介いたします。お手元の資料の最後に委員の名簿を付けておりますので御参照ください。

 まず、公益代表の小畑委員、神山委員、土橋委員、永井委員、山口委員です。次に、労働者代表の伊藤委員です。なお、上原委員、川原委員、近藤委員、真島委員は所用のため御欠席との御連絡を頂いています。続いて、使用者代表の明石委員、浅井委員、桐明委員、本多委員です。藤原委員は所用のため御欠席との御連絡を頂いています。

 本日は、公益代表委員5名、労働者代表委員1名、使用者代表委員4名、計10名の御出席を頂いており、労働政策審議会令第9条第1項及び第3項に定める定足数を満たしています。

 なお、本日は参考人として早稲田大学理工学術院の名古屋俊士教授に御出席いただいています。どうぞよろしくお願いいたします。

 開会に先立ちまして、半田安全衛生部長より御挨拶を申し上げます。

○安全衛生部長 委員の先生方、お忙しい中をお集まりいただきまして本当にありがとうございます。私はこの7月から安全衛生部長に就任していますが、安全衛生行政には、30年のキャリアのうちの大体20年ぐらい携わっておりまして、ここ56年は化学物質対策を含む労働衛生対策等に関わってきています。

 さて、じん肺は現在も40万人を超える方が粉じん作業に従事されているという状況です。新規有所見者の皆さんは確実に減ってきていますが、それでも大体4,000人の方が所見を認められるという状況で、往年ほどではないにしましても、なお重要な課題であるという認識です。このような認識を持ちまして、私どもは、じん肺法に基づく健康管理、安衛法に基づく対策に取り組んでまいっています。特に今年度から5年間では、第8次粉じん労働災害防止総合対策ということで、重点事項を定めて取り組んでいくこととしています。

粉じん対策について特筆すべきと言うか、ここ78年の中での大きな流れを申し上げますと、まず、平成19年に、トンネルじん肺の観点で粉じん則の大きな改正をやっています。中では、電動ファン付きマスクの義務を課すことを行いまして、これがその後の電動ファン付きマスクの義務化の大きな流れになってきていると考えています。その後前任の主任中央じん肺診査医が名古屋先生のお力をお借りしながら、アーク溶接等についてのリスク評価を進めて、これを踏まえた粉じん則の改正を行ったところです。

 続きまして、今回から御検討をお願いしている中には、コンクリート等、金属等の破砕作業等も調査研究を進めてやっていくことを考えています。この辺りが整ってくると、粉じん対策が一巡するのではないかと考えています。

 本日は、これまでのじん肺対策の報告もさせていただきますが、併せまして、これからの粉じん対策をどう進めていくか、その要となる調査研究をどう進めていくかということの御検討をお願いすることになっていまして、非常に重要な委員会であると考えています。どうぞよろしく御審議、御検討をお願いしたいと存じます。

  本日の御審議、これからの御検討をどうぞよろしくお願い申し上げます。

○労働衛生課長 事務局に異動がありましたので紹介いたします。まず、主任中央じん肺診査医の中山、中央じん肺診査医の諸冨です。

 それでは、議題(1)「部会長の選出」に移ります。労働政策審議会令第7条第6項の規程に基づきまして、部会長は当部会に所属する公益委員を代表する、親審議会である労働政策審議会委員の中から選挙して選出することになっております。ただし、当部会において公益を代表する労働政策審議会の委員は土橋委員お一人ですので、部会長には土橋委員に御就任いただくこととさせていただきたいと思います。いかがでございましょうか。

(異議なし)

○労働衛生課長 ありがとうございます。以後の議事進行を部会長にお願いいたします。

○土橋部会長 御指名いただきました土橋です。よろしくお願いいたします。この部会が適切に進行されますよう、皆様方の御協力もお願いいたします。

 これより議事を進めさせていただきます。最初に、部会長代理についてです。労働政策審議会令第7条第8項において、部会長代理は部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員の中から部会長が指名することとなっています。私としては、山口委員に部会長代理をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○土橋部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 では、次の議題(2)「じん肺健康管理状況について」、事務局から説明してください。

○主任中央じん肺診査医 じん肺健康管理状況について説明いたします。

 まず、1ページの資料1-1、「平成23年、平成24年じん肺健康管理状況」を御覧ください。1、じん肺健康診断結果(在職者のみ)は、現在、じん肺作業に従事している在職者の状況について事業者から報告された数値です。2年ぶりの開催なので2年分を掲載しています。年次推移については、3ページの資料1-3に載せています。2ページは、3ページ以降のまとめです。

3ページ、資料1-3を御覧ください。左の1列目の適用事業場数について説明いたします。昭和55年以降、35,00053,000か所と幅がありまして、平成17年以降は43,000か所前後で推移しています。2列目の粉じん作業従事者数は、毎年数万の幅で変動していますが、ここ10年ぐらいは増加傾向にあります。3列目と4列目が、じん肺健診の実施状況です。右の方に、管理1~管理4までありますが、管理1の場合は、健診が3年に1回なので、左にある母数と比べて、実施事業場数も受診者数も半数近く少ない数値となっています。

 この表の一番のポイントは、5列目の新規有所見労働者数です。この数値はじん肺対策の取組状況の指標となるものです。ただし、異常所見がある程度の期間を経て見られますので、どの時期の取組を反映しているかは不明確な状況です。平成13年以降については250人前後で推移していますが、平成23年からは180人前後まで減少しています。

 続いて、真ん中辺りの二重縦線より右側は、14の管理区分決定数です。平成23年、平成24年の数は過去最少の数値となっています。また、右から3列目の有所見者数と右端の有所見率は、いずれも平成24年が過去最少となっています。

 これを業種別に見たものが、4ページ以降の資料4です。4ページは平成22年のデータで、これは2年前にも当部会で出した資料です。今回は、56ページの、平成23年、平成24年について取りまとめています。特に、大きく減少した新規有所見者数を御覧ください。5列目の数値です。4ページの平成22年と5ページの平成23年を比較しますと、左端の製造業の真ん中より少し下の、金属製品製造業、数は以前から一番多いのですが、これは平成22年は63人であったのが、平成23年になると36人と半分近くに減っています。平成24年のデータもほぼ同じ推移となっています。次に多かったもののうち、製造業の下の方の、その他輸送用機械器具製造業も平成22年は32人だったものが、平成23年には17人と減少しています。また、建設業も大きく減少しています。このような要因も考えられると思っています。

1ページに戻りまして、資料1-1の真ん中辺りの2、随時申請に係るじん肺管理区分決定状況を御覧ください。こちらは一部の在職者と離職者からの申請に基づく数値です。7ページの資料1-5の、年次推移を御覧いただきますと、一番下の平成24年の合計1,513件をはじめとして、右から2列目の有所見者数、右端の合併症罹患件数、いずれも平成24年に過去最少の数値となっています。資料1についての報告は以上です。

○土橋部会長 ただいまの説明について質問等はございますか。よろしいでしょうか。

 続いて、議題(3)「屋外における岩石等の研磨・ばり取り作業等に係る取扱いについて」、説明をお願いします。

○主任中央じん肺診査医 まず、私から導入部分を紹介いたしまして、その後、実際にこの研究事業に携わっていただきました名古屋教授から調査の内容について御説明を頂きたいと思っています。

9ページの資料2「屋外における岩石等の研磨・ばり取り作業等に係る調査研究報告書について(概要)」を御覧ください。こちらにあるとおり、名古屋先生に研究を行っていただいています。まず、調査の目的は、先ほど部長からもお話がありましたように、平成1921年度に実施しました「屋外のアーク溶接作業及び金属等の研磨作業に係る調査」で、屋外での岩石等の穿孔・削孔作業において管理区分を超えた粉じん濃度を測定しています。これを受けまして、平成2310月と12月にこの部会で審議していただきました。その結果、平成244月に粉じん障害防止規則を改正しまして、屋外での岩石・鉱物等を裁断等する作業について呼吸用保護具の使用を義務付けました。今回は、これと作業が類似しています屋外における岩石等の研磨・ばり取り作業等についても、呼吸用保護具の対象とすべきかを検討するため調査を行っていただいています。調査の報告書自体は、1998ページまでボリュームがありますが、「参考資料1」として付けています。うち、1978ページは実験場での研究結果、79ページからは実際の作業現場での結果になっています。

 それでは、名古屋先生、御説明をよろしくお願いいたします。

○名古屋参考人 早稲田大学の名古屋と申します。よろしくお願いいたします。

 昨年度の委託事業という形の実験です。調査概要を御覧ください。調査対象は、1岩石の研磨・ばり取り、2鉱物の研磨・ばり取り、3金属の研磨・ばり取り、それから、4金属の裁断です。(ア)の部分は、昨年、屋外における実験場として大学の屋外に設置して実験しました。実験ですと、どうしても実態とどうなのだろうということがあり、本来的には現場の測定をしたかったのですが、なかなか現場の了解が得られずに、40社ぐらい全部断られて、結果的には実験をするしかない。実験というのは所詮実験でしかないので、見聞きしても同じことはないので、どうしても現場測定を実施したいうことで、引き続き厚労科研が取れましたので、4月から約60社にお願いしてやっと18の事業場で実験することができましたので報告いたします。

 調査としては、24年度の実験では、遊離けい酸が異なる3種類の花崗岩を使いました。彫刻等をして、石像や狗犬などを作製するものと、墓石等を作製するものに分かれると思いますが、そういう形の物を造るもの。それから、セメントブロックの中でも、大型、中型、小型と、遊離けい酸の違うものを3つ作りまして、実験を行いました。それから、金属は、鉄板の厚さが違うと粉じん等の発生濃度も違うということで、金属については厚さの異なる鉄板2種類について実験しました。今年はできるだけお願いして、墓石関係の所が2件、彫刻の所も1件となっています。墓石も、従来に比べるとかなり減っていまして、ほとんど中国で作製され、日本に輸入されているため、日本では少なくて、東北で私たちが調べたところ8社ぐらいしかありません。そのうちの3社にお願いしています。セメントの方も、大きい所では、ばり取りなどの作業がないもの、湿式など、ばり取りのない、それだけ手間を掛けてやるよりはもう少しコストを安くして、粉じんの出ない作業ということで、いろいろと工夫されているのですが、そうは言っても、セメント製品を研磨する作業はあると思い、探した結果、3件の工場にお願いして実験しました。

 実験方法は書いてあるとおり、個人サンプリングには「LD-6N」粉じん計という、当研究室とメーカで共同開発した粉じんの個人ばく露の測定器を使用しました。それを使って作業者の呼吸域での粉じん濃度を測定しました。測定法は、屋外作業場における作業環境測定のガイドラインに従って測定しました。

 測定結果は、次のページですが、その前に概要を説明しようと思います。実験よりは現場の方がよいと思ったので、79ページの現場のデータを御覧いただいて説明いたします。岩石は花崗岩で、墓石などよりも、建築現場では、床板に花崗岩を使っていますし、外壁に花崗岩を今は結構使っていますので、本来は屋外の建設現場等にそうした作業はあるのですが、そこはなかなか私たちが立ち入る事が難しい現場なのでで、残念ながらできませんでしたので、今回は墓石関係の2社と狗犬や石像を造っている彫刻関係の所を入れました。これはカーブを作って彫刻をしているところです。

81ページは、コンクリート研磨です。昔はコンクリートの電柱がありまして、そこの所は必ずばり取りをしていたのです。それから、テトラポッドなどもバリ取り作業を行っていたので、本来はそういう所が一番いいのではないかと思って探したのですが、希望するような作業を探すことは、残念ながらできませんでした。ここにありますように、型枠の中にセメントを流し込んで、型枠を外したときのばり取り、表面加工のところで測定させていただきました。御覧いただきますと、結構、粉じんも立っています。

 次のページです。2-4の図を御覧いただきますと、一番多かったのは、奥に側溝の、凹型のものが、道路工事の現場にはこれがあって、これを組み立てるときに、ばり取りと研磨をします。残念ながら、ここも残念ながら測定させていただけませんでした。それから、コンクリートの外壁にタイルを貼ったりするために必ず外壁を磨くのです。従来は、建物の周りをシートなどで囲わずに作業していたのですが、かなり粉じんが発生するので、今はシートで囲って作業をしていますので、そうするとシートがあるため、作業場所に風が通らないので、作業場所は、ものすごく粉じんが立つのです。残念ながら、そこもやらせていただけませんでしたので、申し訳ありませんが、今回は建築現場はできませんで、こういう形のコンクリート製品のばり取り作業になりました。

 長々とお話して申し訳ありませんが、82ページの1件だけ説明します。花崗岩は遊離けい酸が高く、そこにあるように、石英の含有率が41.2%、管理濃度が0.06という、ものすごく低い管理濃度です。平均濃度としては6.15とか8.92ですが、その下を御覧いただきますと、作業は最初にばり取りしていますので余り出ませんが、最後に研磨するとものすごく立ちます。平均的には6.15なのですが、瞬間的に見ると100に近い値が出てくる。ですから、非常に高濃度にさらされている。

 これを見て評価すると、なかなか評価が一定しません。今、私たちが考えているのは、83ページの一番上の3-2の図を御覧ください。これは何をしているのかと言うと、今までの時間の中で、10分間の濃度を全部積算しまして、その平均値を11秒に乗せています。ですから、その11点が10分間の積算の濃度と考えてください。それを10分間の移動平均値という形にしています。その1点が管理濃度を超えていれば、その作業には対策が必要だという評価の仕方をしています。そうすると、前半の10何分までは全然ありませんが、13分以降は管理濃度をとても超えていますので、当然この作業はマスクをしてやる作業になるというような評価の仕方で全てやっています。やはり、石材は遊離けい酸の含有率が高いということで、かなり管理濃度が低いので、全てが超えてしまっています。

 もう1つ、91ページをお開きください。セメントの所です。セメントも、岩石を混ぜてセメントで構造物を造りますので、当然、砂利や石が入っているのですが、表面にあるか奥にあるかによって削り方によって粉じん中に含まれる遊離けい酸の含有率は違いますが、粉じん中には必ず遊離けい酸が含まれています。今回場合は、石英が7%、管理濃度は0.32です。そうした中で、一番下に、平均は2.89になっていますが、時間的に見ると粉じん濃度が160など、ものすごい濃度が出ます。次のページの10分間移動平均を見ますと、10分間では大体6mg/m3 ぐらい。しかし、管理濃度が0.32ですから、当然超えています。

 このような形で全部を計測してみた結果を97ページにまとめています。なかなか数をそろえられなくて本当に申し訳なかったのですが、11に対して行いましたが、遊離けい酸の管理濃度が低いため、全て100%、管理濃度を超えているということです。

 それから、鉱物の研磨・ばり取り作業については、7例行いましたが、当然100%を超えている。やはり遊離けい酸が高い現場なので、マスクをしないといけないのではないかという作業等になったということです。

 こういう事業場は予期していましたので、それを受けまして、同様のことを19ページの所に示しています。申し訳ありませんが、時間の関係で削らせていただきますが、結果としては、75ページを御覧ください。表7-1ですが、岩石の研磨・ばり取り作業は40回の実験のうち29回、73%が管理濃度を超えている。鉱物研磨・ばり取り作業でも43回行いましたが27回、63%が超えています。金属の場合は28回のうち2回、7.1%が超えている。金属の裁断は21回やりましたがほとんど超えていません。金属研磨の場合は、管理濃度が、遊離けい酸は0ですから、3mg/m3 です。あるいは、岩石、鉱物は石英を含みますので管理濃度も低い。濃度が低くても管理濃度を超えてしまう割合が高くなってしまうので、こういう形です。

 その結果をまとめたものが、資料210ページです。そこに書きましたが、実験と現場で、実験では40回のうち29件で73%、現場では100%。鉱物の研磨・ばり取り作業では、現場では100%で、実験場は63%。金属の場合は、現場のデータもあったのですが、実験現場でも少なかったので、今回は鉱物、岩石だけでよいと約束しましたので、そこについては現場実験はしていません。金属裁断については21件で0%でした。実際に、現場の人は全てマスクをしていました、ということです。

 その結果を踏まえて、管理濃度を超える作業の割合が、屋外の実験では73%、現場では100%あり、衛生工学的な対策を導入しても粉じん濃度を管理濃度以下に低減することは容易でないと考えられます。管理濃度を超える作業の割合は、屋外が63%、屋外現場で100%で、これも衛生工学的な対策を導入しても粉じん濃度を管理濃度以下に低減することは容易でないと考えられます。有効な呼吸保護具を使用することが必要ではないでしょうか、という形にまとめました。

 それから、金属研磨、金属裁断については、先ほどの実験の所から引っ張りまして、研磨の場合、多くの場合で溶接と研磨を併用しています。これは皆さんマスクをされていました。管理濃度を超える作業の割合も屋外で7.1%であり、管理濃度を超える作業は認められなかったということで、追加すべき特別な対策は不要ではないかという結論を報告としました。

○土橋部会長 御説明ありがとうございました。ただいまの説明につきまして質問等ございますでしょうか。

○伊藤委員 先生に御質問させていたたくのが2点と、あと厚労省にもお聞きしたいと思います。まず実験の実務的な話で参考資料14547ページにかけて、岩石試料については研磨とばり取りで、それぞれ測定をしていると思ったのですが、NO.3については研磨だけのようですけれども、これは誤解ですか。そのように見えるのですが、何か事情があったのかなというところを教えていただきたいというのが、1つです。

 それから、金属の研磨・ばり取り・裁断については、今回、実験場のみでの結論を導いていると思いますが、80ページの「目的」のところで「実験場では金属の研磨・ばり取り作業及び金属の裁断作業についても測定を実施したが、管理濃度を超える作業の割合が低かったため、本調査では現場作業での測定を実施しなかった」とあり、これは、まだそんなに件数もサンプルが多くない中で実験されていると思います。岩石・鉱物についても60件頼んで幾つというお話があったとおり、金属の方は頼もうとしたけれども、現場の協力が得られなかったということなのか。それとも、実験場での結果から絶対大丈夫だという根拠を持って、あえて現場での調査をする必要はないという判断だったのか、お聞きしたいと思います。

○名古屋参考人 最初のNO.3のところは、管理濃度がものすごく低いので、多分、ばり取り作業をやっても間違いなく超えるだろうと考えて実験をしなかったということで、申し訳ありませんが、そういうふうに理解していただければと思います。45ページのところから、ここのところは研磨作業をやっているけれども、ばり取り作業がないということですね。

○伊藤委員 そうです。

○名古屋参考人 多分、時間的な問題とかいろいろあって、しなかったのだと思います。多分、NO.2と同じような結果が出てくるのではないかと予想した部分があり、そのときはしないと私が判断したのだと思います。申し訳ありませんでした。

 金属につきましては、実験場での測定結果で管理濃度を超える割合が著しく低かったので、労働衛生課と打合せの上、現場での測定は行いませんでした。ただ、個人的には、以前屋外の現場で測定を行った経験がありました。溶接作業後の研磨の場合、溶接に比べて粉じん濃度はかなり低く、研磨作業単独の測定結果については、屋内作業と屋外作業が混在しているデータでしたが、管理濃度を超える作業はほとんどなく、実験場でのデータとの齟齬は認めませんでした。ただ、金属もそうですが、作業者が研磨のときに機械を強く押すか押さないかによって粉じん濃度が左右される部分はありますけれども。

○伊藤委員 重ねてよろしいですか。今、先生からもおっしゃっていただきましたが、実験の方は誰が実験者になったのか読み取れなくて、学生など実際の作業者とは違う人がやっているのではないかという気もしました。

○名古屋参考人 全くそうです。

○伊藤委員 そうすると金属の方なども、実験場だけの結果でいいのかなという問題意識もあります。

○名古屋参考人 学生ですが、実際の現場でどういう作業を行っているか分からないので、現場を見せてくれることは見せてくれるのです。ただ、測定させてもらえないということがあるので、一応、現場には連れて行き、どういう作業をしているか見せているので、できるだけそれに近い作業という形で模式して作業を行っているように考えています。

○神山委員 2つほど質問させていただきます。呼吸域でのばく露濃度を測定されていますが、特に高いのが岩石の研磨ですね、その辺が高いと。これはよく予測もできるし、いろいろな所でも見聞きしているところですが、現在の管理濃度に換算すると、シリカ量が多いので管理濃度が極めて低くなりますね。そうするとマスクをしなければ当然駄目ですけれども、マスクをしたときに通常のマスクの防護係数等を考えても、この濃度で十分なのかどうかというのが1つ疑問にあるのです。

 それと、今回の主題ではないのですが、花崗岩というのは極めて放射性物質が高いですね。粉じんを肺内に吸い込むと、内部被ばくで働く時間にどんどん蓄積する。そういう問題も別途出てくると考えれば、マスク着用は当然ですけれども、内部被ばくも防ぐ意味でマスクの選択はどうするのか、これが2番目です。

○名古屋参考人 防じんマスクは、例えば防じんマスクにより捕集効率が、809599.9とありますが、粒径が比較的大きいので捕集効率80の区分3クラスでも大丈夫だと思うのですが、問題は、防じんマスクをきちんと装着してくれているかどうかだと思います。電動ファン付き呼吸保護具が一番いいのは、息を吸い込むとき電動ファンによってマスク内が陽圧になるため、粉じんのマスクへの漏れ込みが無く、息苦しさがないのです。ここの人たちのマスクのところは今回書いてありませんが、一応、マスクテストは持って行って漏れ率を測ってはいるのです。10%以下で有れば、一応正しく装着しているとしているのですが、10とか20で推移していましたので、そこでは95%のマスクを使っていました。測定に行っている作業場の全てが良い防じんマスクをしているととは思いません。実際に、他の現場で、防じんマスクをしていない作業場もありましたが、マスク自体は比較的普通のマスクでもいいのです。ただ、正しく装着するための教育がどうしても必要だと思っています。

 除染のときもそうですが、放射性物質が粉じんに付いていますし、特に花崗岩は確かに放射線物質がありますので、一応、放射線の計測器で、計測したのですが、ほとんど計測できないレベルでした。東北へ行きましたから持って行きましたが、ほとんど計測できない程度の放射線はあって、一応、大丈夫でした。そういうことを考えると遊離けい酸だけでなく、マスクをしたほうがいいと思っています。

○神山委員 あと追加で、墓石等は今、国内では湿式研磨が増えているのではないかと思いますが、乾式と湿式の比率の情報みたいなものは何かお持ちでしょうか。

○名古屋参考人 石材を切り出す時は湿式で、また、屋内で研磨をする時も湿式が一般的ですが、屋外でやるときは湿式でできませんので乾式で行っています。

○神山委員 やはり屋外だと乾式になってしまうのですか。

○名古屋参考人 屋外というか、加工のところは乾式でやっていますので、どうしてもマスクが要るということだと思います。

○土橋部会長 ほかに、いかがでしょうか。

○山口部会長代理 資料2の裏側の「調査結果を踏まえた方針」のところで、2の「衛生工学的な対策を導入しても難しい」という先生の記述がありますが、これをもう少し具体的に、どうやっても駄目だというあたりのことを、私どもに分かるように説明していただけたらと思います。

○名古屋参考人 屋外で作業していると、多くの場合常時風が吹いています。そうすると風下になるように、風を背にして作業していれば間違いなく粉じんの曝露は大丈夫なのですが、作業の仕方によってなかなかそれができないから、それに耐えられるだけ扇風機を当てたらどうかとなっても、それは結局、またほかの作業者にいってしまう部分がある。前回の溶接のときもそうだったのですが、溶接作業しているときは確かにものすごく濃度が低いときがありますけれども、風が向かってきたときに溶接地点は変えられません。そうすると曝露濃度は高くなる。そういうように屋外はいつも風の向きが変化しているし、どうしても一方的な流れを出すことはできないので、なかなか対策は難しい。では吸引方式のように、発生源の粉じんを吸ったらどうかというと、溶接のときは吸うと溶接不良が起こるのでできないから、なかなか屋外というのは難しいので、本来的には一番いいマスクを義務付けていただくのが、一番有り難いと思っています。

○山口部会長代理 ありがとうございます。

○土橋部会長 ほかに、いかかですか。

○伊藤委員 事務局に対しても、よろしいですか。先生からも、サンプルを取るのに事業所の協力を得るのが難しいというお話がありましたが、私ども労働側から、かつてアーク溶接に関する粉じん則とじん肺則の改正について議論した際にも、サンプル数が少ない点については指摘させていただいています。こういった事業者の協力を得にくい点について、厚労省としてどのような協力をされているのか、お聞きしたいと思います。というのは、規制のエビデンスを取るための手法として調査をしているわけですから、それなりの根拠をここで確保しないと意味がないと思います。それにあたっては、お任せということではないのではないかという問題意識もあり、厚労省としてどのような協力なりをしているのかについて、まず教えていただきたいと思います。

○主任中央じん肺診査医 2年前にお出ししたアーク溶接のデータは、1桁の真ん中ぐらいの件数しか取れていなかったということがあり、今回、約2年かけて研究をしていただき、一応、2桁と言いますか、前回よりもある程度集まってきたという実態の中で、もっと微妙な数字であればまた違うのですが、今回、ある程度明確な方向性が見えてきたところもあって、特段、それ以上、こちらの方から何か動いたという形はしていませんでした。

○伊藤委員 そうしましたら是非、我々としては当然に働く人の健康、安全を確保するために、適切な措置を取っていただきたいと思っています。そのためにこういう調査をして、その結果、施策に反映していただくことを是非やっていただきたいわけですが、その根拠となるエビデンスの収集について、もちろん今回の先生も科学的に根拠があるものとして、お示しいただいたと思っていますが、そういったところに疑念を抱かれるようなことがあると規制の根拠そのものも疑念を抱かれる。そういったことがあってはならないと思いますので、そういった意味で調査協力についての厚労省からの支援とか、あと先ほどの先生からの報告では、ここまででいいよと、外の調査までやらなくていいよという御示唆が厚労省からあったのか、よく分かりませんでしたが、そういった一定のルールの中でやっているのか、それとも「いいよ」みたいなことでルールが変わってしまうようなことだと、同じように根拠というか、規制の説得力を失うようなことがあってはいけないと思いますので、今後の調査を行うにあたっては協力していただくことや、また適正な調査に対して厚労省も関与するというか、関わっていくことも是非やっていただきたいと思います。

○名古屋参考人 1点、すみません、研磨のところは先ほど言ったように過去のデータがいっぱいありましたので、それを見て、現場としてはここは大丈夫だということもあり、ないからいいよという形でなく、ちゃんとデータ的なものはありましたと申し上げるつもりで、私の言葉が足りなくて申し訳ありませんでした。

○神山委員 今の伊藤委員の御質問で、名古屋先生が電話を掛けてだいぶ断られたことに関しては、監督署とか何かを通して半ば強制的に実施することもできるのではないですか。その辺はいかがなのでしょうか。それは難しいですか。

○名古屋参考人 私たちもセメント会社で、結果的には卒業生のいる会社にお願いするという形で行って。

○神山委員 いや、名古屋先生がでなくて、本省が茨城とかいろいろ盛んな所がありますよね。そこの監督署にあらかじめ連絡しておいて、半ば強制的な現場調査みたいなことが可能かなと思うのですが、難しいのですか。

○主任中央じん肺診査医 私が、今、伊藤委員の話を伺って思ったのは、今日、御臨席いただいている部会の先生方をはじめとして、関係する先生方に御相談しながら進めていった方が、より集まって来るかなというのは感じていましたけれども、強制的にやることまでは考えていませんでした。

○神山委員 分かりました。

○土橋部会長 ほかに、いかがでしょうか

○本多委員 いろいろ調査をしていただいた所で、岩石と鉱物が9ページのところにあり、調査方法の下の部分で、岩石は花崗岩とかこういうイメージがあるのですが、鉱物というと、我々建設業の方では「モルタルブロック」とセメントブロックのことを言うのです。あと、コンクリート製品の方が建設業にとってはイメージが湧くのです。「鉱物」「コンクリート」と言うと、別紙のリーフレットの中でも「岩石等」という言葉になって「鉱物」が消えていますが、この辺、改めて「コンクリート」というのを、ある程度表面に出してもいいのではないかと思います。こちらの方の調査の概要では、岩石の研磨・ばり取り、鉱物の研磨・ばり取り、あえてこの調査したのがコンクリート関係ですよね。

○名古屋参考人 全くそのとおりです。

○本多委員 コンクリートという言葉を、むしろ入れた方がいいのかなと私は思うのですが、どうでしょうか。

○名古屋参考人 そうなのですが、多分、法律用語の中でセメントはそういうふうになっているので、タイトルはこうしましょうと打合せの中でなっているのです。ただ、中のところは分かりやすいようにセメント、コンクリート。

○本多委員 注で書くなりしていただければ、建設業にとっては非常にいいと思います。トンネルのじん肺のときにはモルタル吹き付けとありましたね。モルタルは用語でコンクリートは違うのかなというのも、ちょっとあるのですが、どうでしょうか。

○名古屋参考人 それは報告書に書くのは全然問題ないので、この次に書くときに、表題にいいかどうかは行政と打ち合わせてやっていますから、また相談して検討します。

○土橋部会長 御意見ということで伺っておきます。ほかに、いかがでしょうか。ただいまの報告によりまして、屋外における岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業につきましては、この調査研究報告によりまして呼吸用保護具を使用する作業として規制することが必要であると、じん肺部会に報告されたことになります。したがって、じん肺部会としましても、屋外における岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業について、呼吸用保護具を使用する作業として規制することが必要であるか。つまり法令改正をすべきかどうか、じん肺部会としての意見をまとめておく必要があります。今の話を含めまして、じん肺部会としましては、屋外における岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業について、呼吸用保護具を使用する作業として法的に規制することが適当である、となると思いますが、それでよろしいでしょうか。

(了承)

○土橋部会長 ありがとうございました。それでは、じん肺部会としての意見がまとまりましたので、今後、事務局の方で必要な手続を進めていただきたいと思います。続きまして、議題(4)「粉じん作業等に係る今後の調査研究の方向性」について、説明をお願いいたします。

○主任中央じん肺診査医 資料3になります。通しの番号で11ページになります。こちらにつきましては後で名古屋先生からお話いただきますが、今回、部長からの挨拶でも触れさせていただきましたが、規制の対象となった岩石・鉱物の研磨・ばり取り作業のように、今後、新たに呼吸用保護具を使用する作業として規制対象としたり、また今後、全く新しく粉じん作業として規制することなどを念頭に置いて、新たに調査研究の対象とすべき粉じん作業等について、何を優先すべきかを含めて御意見をこの場でいただければと思っています。これについて、資料3に基づきまして名古屋先生から御説明をお願いいたします。

○名古屋参考人 資料3を見ていただくと、厚労科研の中でお願いしたのは、鋳物工場における砂型造形作業です。鋳物工場は日本にいっぱいあるのですが、前々から不思議だなと思いながら、なかなかできなかったこととして、鋳物の場合、まず型枠その中に砂を詰めて砂型を作ります。それから、そこのところに鋳鉄あるいは銅合金を鋳込みます。その後に砂をばらして型を外し、その製品を取って研磨するという作業で、全てマスクをした粉じん作業になっているのですが、造形作業だけはどういうわけか、同じ鋳物工場にありながら粉じん作業の中に入ってきていない。これは考えてみると、多分、当時は砂の粒径も大きかったですし、少し水分を入れているのがあった部分と、もう1つ小麦だとか、あと水ガラスを入れて固める工法等があったので意外と粉じんが立たないのではないかということ。それから当時、遊離けい酸がそれほど厳しくありませんでしたから、そんな形で造形作業というのは意外と粉じん作業に入っていなかったのではないか。でも近年、先ほど言いましたように遊離けい酸がものすごく厳しくなってくると、少しの粉じんでも、ばく露として遊離けい酸の管理が低い部分だと、粉じん濃度が低くても管理濃度を超える作業に該当するのではないかということで、ここのところは調査しておいて、きちっと評価して上げた方がいいのかなと思います。多くの場合、大きな工場ではマスクをしていますが、銅合金の中小へ行きますとマスクはしていない事例を見ますので、マスクをするようにした方がいいという形で、ここのところの検証をしたいと思います。

 鋳物工場に関して今のところ8社、何とか了解を取っています。ただ、鋳物工場は全国に多いですから、ここは先ほど言われたように数を多く取らないと本当にそうなのかということと、もう1つ、大きな工場では自動でやっていますが、自動の所で見回っている人はばく露しない。あるいは手込めをしている所とかいろいろ作業がありますので、かなりここは母集団を大きく取ってあげないと、簡単にはいかないかもしれません。できるだけ多くの数で判定し、ここで報告できる形にしたいと思っています。そういう形で、是非、ここのところの実験を進めていきたいと思っています。

 もう1つ、「船倉内の荷役作業終了後の清掃作業」と書いてあります。これは掻き落しと言って、昔、じん肺則ができたときに私はずっとこの測定を担当していて、じん肺則の中に入れていただいたのですが、そのときに掻き落し作業もすごかったので入れたのです。例えば穀物を運んできた船の船倉で、トウモロコシや小麦粉を運んで来た船について、そのときは植物ですから全然問題なかったのですが、アメリカは大きな重機で穀物を刈り取るため、穀物に粉じんや砂がいっぱい付いたまま積んで来ると、穀物を荷揚げした後の船倉には粉じんがものすごく溜まっているのです。それを掃除するときに埃が立つので、その掻き落し作業だけが対象になっていたイメージがあって、多分、船倉内の掃除をした方がいいと思ったのです。もう1つ、川崎などでは小さな船がタルクやいろいろな鉱石を土場に揚げ、帰るときに必ず掃除をして他の荷物を積んで行きます。小さな船は必ず積んで来た物を掃除し、違う物を積んで他の所へ行く。だから必ず清掃作業がある。そうすると船倉の清掃作業は粉じん作業ですから、きちっとマスクをする作業にしてあげた方がいいということです。一応、これはそうした荷役を扱う事業場にお願いして、石炭と鉱石船を見学します。ただ、大きな海外の船になると国外になりますので、多分、測定の対象にはならないのではないか。でも、一応、そういう小さな船から始めて船倉の掃除というのは粉じんの立つ作業ですから、是非、粉じん作業として入れていただくことを検証した方がいいと思っています。

 次のところですが、ここは屋外という形です。これも粉じん作業のうちの1にはなっているのですが、呼吸用保護具を使用させる作業になっていない。砕石場とか、今回は石材もそうですが、発破や切り出した岩石や鉱物を粉砕したり、かなり細かくするときに小割をすることが多いのですが、その小割のときにどうしてもドリル等を使ったりします。そうすると、かなり遊離けい酸の高い粉じんが飛散しますし、そのときに高濃度の粉じんにばく露しますので、このときも先ほどと同じようにマスクをする作業にしてあげた方がいいと思いますから、検証してみたいということで別表18についても、マスクをする作業にした方がいいかどうか調査したいと思います。

 もう1つ、「金属その他無機物を製錬し、又は溶融する工程において、土石又は鉱物を開放炉に投げ入れ、焼成し、湯出しし、又は鋳込みする場所における作業」、これは、のろ取りするためですが、スラグを生成しますと、それを取るために石灰岩を投入するのですが、投入したときにものすごく粉じんが立つのです。そういう所で多くの方々はマスクをしているのですが、中小に行きますとスラグを取るための所でマスクをしない人がいますので、高濃度ばく露している可能性があると思いますから調査したい。ただ、これがなかなか難しくて、一応、問い合わせているのですが、従来、ここに書いていたとき以上に、こういう作業が少なくなっているので、ここに書きましたように現実にどのくらいやられているか調査してからやろうと思います。数はそんなに多くないと思いますが、粉じんの立つ作業だということは分かっていますので、そこのところを調査してみたいと思っています。

 その他のところで、「局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入の検討」と書いてあります。これは半田部長さんがいらっしゃったときに、私、あり方委員会の委員長をしていましたが、制御風速にとらわれず、局排の中で有機の第1管理区分になったときに、制御風速にかかわらず局排以外のものを、そういう形の中で常時入れることが法律で通ったのですが、局排装置以外の発散抑制方法の中で一番実現性があるのは粉じんなのです。粉じんの場合はフィルターがあって、粉じんを捕集することに問題はありません。例えば溶接の作業をしているときに溶接粉じんを捕集してくれるフィルターを装着した空気清浄機を前に置いて、また、フィルターから漏洩してくる粉じん濃度を粉じん計により監視することも、粉じんの場合出来るのです。粉じんが局所排気装置以外のものに一番適用すると思っていたのですが、審議していたときに担当していた化学物質対策課から言われたのは、「先生、申し訳ありませんけど、ここでは粉じんはじん肺班が扱うので、粉じんについては、扱うことができませんよ」ということで、残念ながら除外されてしまいました。結果的には有機則、特化則、全部オーケーになったのですが、粉じん則はここで議論しなければいけないということなので、中小でダクトを使ってやらなくても、ポンと置くだけで局排装置と同等の効果が期待できる局排以外の装置の納入を認めてもらえれば、ものすごくコストが安くて効率のいい防じん対策ができるので、これから研究しようと思っているのです。

 私が思っているのはこれだけなのですが、皆さんの関係される中で、これでなく、もう少しこのようなものをやった方がいいのではないかという意見をいただければ、その辺のところを優先していきたいと思っています。以上です。

○土橋部会長 ありがとうございました。今後の調査研究の方向性について御説明いただきました。御意見等、ございますか。

○伊藤委員 新しい、このほかに何かあるかというお話をすることは、今日は持ち合わせていないのですが、12ページですね、粉じん作業で呼吸用保護具を使用しなければならない作業に加えるべきかということの調査で、2つ目の電炉のところです。当該作業が現実に存在しているか、作業が少なくなっているのではないかというお話がありましたが、先ほどの岩石等の研磨・ばり取りの話では、中国やアジアで行われるようになっているけど、日本では少なくなっている。セメント製品だと作業をしないで済むような工程になっていることはありながら、でもまだあるから保護具を着用する必要があるという結論を導いていると思います。作業が少なくなっているからやらないでいいとか、規制の対象としないでいいとはならないと思いますので、これも含めてきちんと調査、検討をしていただきたいと思います。

○神山委員 11ページの船倉内の荷役作業の清掃ですが、これは先ほど船主の話が出た記憶がありますけれども、外国船籍が結構多くて、ただ、清掃に日本人が雇われたとき、船自身は外国の船であっても法律的に日本の法律が適用されていくわけです。それはそれで当然、日本の法律が施行されるべきなのですね。

○労働衛生課長 日本の会社に雇われている人ということですね。

○神山委員 船の船籍にかかわらず、日本人がそこに行って働いたら日本の労働安全衛生法全部が適用されるわけですよね。

○事務局 あくまで、どこに所属されているかというところなので、日本の会社に所属していて雇われているということであれば、日本の国内法が適用になる。

○神山委員 事業主というか船主は、例えば台湾でもシンガポールでも、その事業主が清掃に関して日本の法律下で、いろいろな作業をしなければいけないことになるわけですね。日本の港に着いているときですかね。洋上でやったならば適用はどうなのですか。

○事務局 船が外国のもので、働いている人が日本の会社に雇われている方ということで、よろしいですか。

○神山委員 そうですね、事業主ごと雇われるわけですかね。清掃する作業者が個人で雇われることがなく、清掃企業が日本にあって、それごと頼まれると事業主は日本の企業の社長さんになるわけですね。

○桐明委員 船が領海内にいるかいないかというのが、まず一義的です。要するに岸壁でやりますから、作業者はみんな日本人が作業者です。そうすると荷役労働者がいますから、それぞれの企業に属した人がそこに行って作業する。

○神山委員 船籍がどこでなくて事業主、要するに日本の企業の人が課せられるわけですね。分かりました。

○名古屋参考人 大きい船ばかりでなくて、小さい船の方が問題になるかなと思います。要するに100トンとかそのぐらい小さい船です。

○神山委員 それは日本の船で。

○名古屋参考人 日本の船で、そちらの方が積み置きします。例えば羽田の飛行場を造るときは採石船が千葉から運んで来ています。そういう専用の船だと下ろしてすぐ行くのですが、多くの船はそうではない。空で船が帰ると揺れて危ないのでバラストとして水を積んでいくのですが、そんなもったいないことをしないで必ず何かを積んでいく。そうすると必ず船倉作業があるので、その作業は遊離けい酸の高いものがあるかもしれない。是非、その辺はちゃんとしてあげたいなということです。

○神山委員 ちゃんとしないとまずいですよね。

○土橋部会長 ほかに、いかがでしょうか。

○明石委員 参考までにお聞かせいただければと思いますが、これ、先生の中でプライオリティはあるのですか。

○名古屋参考人 船倉のところは、今回、鉱石等を扱う事業場を見せていただけるようにお願いしていますが、昔の掻き落し作業のときのイメージがあって、今はもっときれいになっているかどうか分からないので、12月に事業所に行って見せていただこうと思っています。あとは、港湾荷役のところはつてがありますから、千葉や川崎へ行ってどんなものなのか見てみようというのがあります。もう1つ、先ほど言いましたように鉱炉のところは少ないよということでなく、今日、皆さん方にお話を聞いて、プライオリティの順があり、もしかしたら鉱炉よりも他のものがあったら先にやったらいいとお答えいただけたら、そちらをやろうかなと思います。やらないというわけでなく、今、考えている現場へ行ったときのイメージで、こういうのがあった方がいいというところで、科研費を出すときに書きましたということです。実際に、しょっちゅう行っているわけではなく、溶接とか委託されている所に行ったのですが、ほかの所は前に行ったときのイメージがあり、実際にどうかというのはこれから現場に行って見て、やった方がいいという中でまた交渉が始まるのだと思います。

○土橋部会長 ほかに、いかがでしょうか。御要望も出ましたので、今後の調査研究につきましては、名古屋先生と厚労省において検討いただきたいと思います。

 それでは、続きまして、議題(5)「第8次粉じん障害防止総合対策への取組について(報告)」、お願いいたします。

○主任中央じん肺診査医 通しページの111ページを御覧ください。参考資料3になります。こちらが今年の2月に、都道府県労働局長宛に出させていただいた「第8次粉じん障害防止総合対策の推進について」という通知です。これは5年に一度策定させていただいていて、その都度、本部会に御報告させていただいているところです。今回は第8次ということで、今申し上げた都道府県労働局、あとは、後ろの方に付いていますけれども、関係団体に送り、併せてパンフレットも付けさせていただいているところです。

 中身につきましては、次の112ページを御覧ください。これは7次もその前もそうだったのですが、まず重点事項というのが定められていて、それが第3の総合対策の重点事項として1~4までの4つの柱を挙げています。1は、先ほど来お話させていただいていますが、アーク溶接作業と岩石等の裁断等作業において去年の4月に施行されたということで、こちらを挙げています。2の金属についても、先ほど御説明しましたけれども、じん肺新規有所見者の占める割合が高いということで挙げています。3のずい道等建設工事については、引き続き推進する必要があります。4の離職時又は離職後にじん肺所見が認められる労働者の健康管理を、引き続き推進する必要があること等の理由により挙げています。

 第4の労働基準行政の実施事項として、都道府県労働局と監督署の実施事項が(1)(7)まで挙がっています。各項目について内容は大きくは変わっていません。

116ページから、粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置を挙げています。この各項目は重点事項に沿って記載しています。122ページの次にパンフレットが付いています。これらの項目の概要が通し17ページの資料4に載っています。第1に総合対策(本省策定)の概要の項目が載っています。これまでの総合対策につきましては、このように本省が示した項目を基本とし、各都道府県労働局が同様のものを策定していましたが、今回の第8次からは、17ページの下に第2として挙がっていますけれども、地域の実情に応じて各局独自の総合対策と推進計画を策定することになりました。さらにアンダーラインに記載がありますけれども、じん肺の新規有所見者の発生がほぼ認められなかったり、違反率が大きく低下するなどの場合については、中長期的な推進計画をもって取り組むべき問題点がおおむね解消したと判断されて、各局の総合対策や推進計画の策定は要しないことと変わっています。この代わりに、その下にありますけれども、策定しない場合は年間安全衛生業務計画や年間監督指導計画に盛り込むこととなっています。

 実際、各都道府県労働局がどういう策定状況だったかまとめたのが、18ページの一覧になります。まず総合対策の策定状況ですが、各局独自の総合対策を策定したのは47のうち41か所、内訳として、内容的に本省が示した内容とほぼ同じだったのが20か所、あとは、本省が示した事項に一部追加というのは、地域の地場産業などが対象として追加されているケースがほとんどでした。これが20か所です。本省の通達等を踏まえて実施推進という方向性は示しつつ、局独自の総合対策を策定しなかったのは6か所でした。推進計画につきましては、推進計画を局で策定したのが28か所、各監督署に策定を指示したのが12か所、策定しないで年間の計画に盛り込むことで対応したのが7か所でした。

 今後につきましては、毎年度末に各地方局から進捗状況について御報告いただくとともに、5年終了時点で各局から取組に対する評価をいただき、その他の関連データも含めて次の総合対策の参考にさせていただく予定としています。説明は以上です。

○土橋部会長 ただいまの報告につきまして、質問等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題(6)「その他」でございますが、事務局から何かございますか。

○主任中央じん肺診査医 特にございません。

○土橋部会長 全体として何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、当部会の議事は全て終了いたしました。なお、議事録についてですが、労働政策審議会運営規程第6条第1項により、議事録には部会長の私と、私の指名する委員のお二方が署名することとされています。署名は労使代表1名ずつとしたいと思います。本日の議事録の署名は明石委員と伊藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは皆様、お忙しいところありがとうございました。以上をもちまして閉会といたします。


(了)

厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
東京都千代田区霞が関1-2-2

電話番号: 03-5253-1111(内線5493)

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