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2013年9月13日 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産流通部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成25年9月13日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○今井室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより第 4 回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。

 本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は傍聴の際の留意事項の遵守をお願いいたします。

 はじめに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は伊藤委員、庵原委員、坂元委員、西島委員、福島委員、細矢委員、三村委員、森委員、山口委員の 9 名に御出席いただいております。また、小森委員から欠席の御連絡を頂いております。現時点で厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。

 また、本日は 4 名の参考人をお呼びしておりますので、御紹介いたします。日本医薬品卸売業連合会流通近代化検討委員会担当理事、株式会社メディセオ取締役名誉会長、内匠屋理参考人です。

○内匠屋参考人 内匠屋です、よろしくお願いします。

○今井室長補佐 日本医薬品卸売業連合会流通近代化検討委員会専門委員、株式会社スズケン病院統轄部主管部長、中原岳志参考人です。

○中原参考人 中原でございます、よろしくお願いいたします。

○今井室長補佐 日本医薬品卸売業連合会流通近代化検討委員会専門委員、株式会社メディセオ営業本部広域管理部専任部長、吉田経彦参考人です。

○吉田参考人 吉田です、よろしくお願いします。

○今井室長補佐 予防接種推進専門協議会副委員長、福岡歯科大学全身管理・医歯学部門総合医学講座小児科学分野教授、岡田賢司参考人です。

○岡田参考人 岡田と申します、どうぞよろしくお願いします。

○今井室長補佐 それでは、議事に先立ち配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料 1 から資料 4 、参考資料 1 から参考資料 4 まで御用意しておりますので、配付資料一覧と照らして不足しております資料がありましたら、事務局にお申し付けください。

 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。

 次に審議参加に関する報告をいたします。予防接種・ワクチン分科会参加規程に基づき、各委員及び参考人からワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料等の作成への関与について申告いただいております。本日の議事内容においては、議題2の (3) 開発優先度の高いワクチンについてに関し、国内のワクチン製造販売業者からの過去 3 年度における寄付金や講演料、原稿料などの受取りを対象といたしました。

 出席委員のうち、庵原委員が化学及血清療法研究所、武田薬品工業株式会社、デンカ生研株式会社、北里第一三共ワクチン株式会社、ファイザー株式会社、阪大微生物病研究会及び MSD 株式会社から 50 万円以下の受取り、グラクソスミスクライン株式会社から 50 万円以上 500 万円以下の受取り。福島委員が、 MSD 株式会社から 50 万円以下の受取り。細矢委員が、武田薬品工業株式会社から 50 万円以下の受取り、グラクソスミスクライン株式会社、ファイザー株式会社及び MSD 株式会社から 50 万円以上 500 万円以下の受取り。森委員が、阪大微生物病研究会から 500 万円を超える受取り。

 また、参考人のうち、岡田参考人が化学及血清療法研究所、北里第一三共ワクチン株式会社、グラクソスミスクライン株式会社、サノフィパスツール株式会社、武田薬品工業株式会社、デンカ生研株式会社、阪大微生物病研究会、ファイザー株式会社及び MSD 株式会社から 50 万円以下の受取りがあります。

 申告いただいた委員及び参考人のうち、 50 万円以下の受取りは議事へ参加し、議決に加わることができますが、 50 万円以上 500 万円以下の受取りは、審議への参加はできますが議決への参加はできません。また、 500 万円を超える受取りは、審議会場から退室することとされておりますが、当該委員の発言が特に必要であると当部会が認めたときは、審議又は議決に参加することができます。この取扱いについてお諮りいたします。

○庵原部会長 ありがとうございました。ただいまより審議に入りたいと思います。審議参加について、事務局から報告がありました。議題 (3) に関して細矢委員と私は議決に参加することはできない立場になっています。まず、この議題の進行は西島部会長代理にお願いしたいと思います。皆さん、よろしいでしょうか。

( 異議なし )

○庵原部会長 西島先生、よろしくお願いします。

○西島部会長代理 分かりました。

○庵原部会長  (3) の進行は西島委員にお願いすることにします。それから、森委員が阪大微研から 500 万円を超える受取りがありますけれども、当部会が必要と認めた場合には意見を述べることができます。森委員はワクチンの研究開発の御経験から、貴重な意見が伺えると思いますので、議決には参加いただきませんが審議に参加いただいて御意見を頂きたいと思います。この件に関しましてもいかがでしょうか。

( 異議なし )

○庵原部会長 どうもありがとうございます。異議なしとして、森委員も審議に参加いただくことでよろしくお願いいたします。

 それでは議題を進めさせていただきます。まず最初、議題 (1) 日本医薬品卸売業連合会からのヒアリング。内匠屋参考人より、よろしくお願いいたします。

○内匠屋参考人 内匠屋です。私は日本医薬品卸売連合会の流通担当の理事として仕事をしております。本日は意見陳述の機会を頂き、誠にありがとうございました。

 日本医薬品卸売連合会は都道府県単位で組織された、医薬品卸売業者の団体を会員とする全国団体であります。詳しくは本日お手元に配付させていただきました資料 7 ページ、つまり皆様方のお手元の資料 1-1 の一番後ろ、「医薬品卸の経営状況」という指標が皆様方のお手元に配られております。この内容を見る限り、平成 3 年から平成 23 年までの間の利益率や一般管理費・販売費、本社数、それから MS の数など、これを御覧いただけると非常にお分かりかと思います。

 ここに 1 つ加えなくて申し訳ございません。平成 3 年の上に、もしできれば売上げとして、平成 3 年のときは約 4.5 兆円でございました。その隣の平成 12 年は約 6 兆円、約 10 年後は 6 兆円になっています。一番右、平成 23 年には約 8 兆円の売上げになっております。売上げは増えておりますが、利益はどんどん減っている。 MS の数も減っています。本社の数も減っているという状況が、日本医薬品卸売連合会の中身であるということでございます。

 続きまして、現在加盟する 90 社の医薬品取扱高は約 8 3,000 億円、本日テーマのワクチンを含め、医療用医薬品の 97 %、一般用医薬品の 55 %を占めております。メーカー直販品以外、ほぼ全ての医薬品を取り扱っております。私ども医薬品卸売業は全国約 23 万か所の医療機関、薬局等に対して医薬品を安定的に供給し、我が国の医療を支える社会インフラとしての役割を果たしていると自負しております。この点が評価され、日本医薬品卸売業連合会は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、平成 25 年の 4 月、指定公共機関に指定されました。御期待に沿えるよう、加盟する医薬品卸企業とともに体制の整備・充実を図りたいと考えております。

 平成 21 4 月、 4 年前に発生しましたインフルエンザのパンデミックのときにおきましては、行政の活動に最大限の協力をさせていただきました。ただ、その際、行政の方針変更により、「返品不可」が「返品可」になりました。それは時の長妻厚生労働大臣が平成 22 8 月の国会で、「返品不可」を「返品可」と発言されたために、結果的に卸が 5 5,000 万円の損失を強いられることになりました。その経験も踏まえ、より円滑な流通スキーム等を官民一致で構築することが重要であると考える次第です。

 卸各社の中では現在、有事における医薬品の安定供給のために、配送現場に社員の安全を考え防護服、ゴーグル、手袋、マスク等の対策資材も配置しております。パンデミックの発生がなく、使用されなければ「バリアブル・ウエイスト」として不要となるものです。この防護服等に関しまして、ある企業は感染防止セット 5 点をそろえ、約 7 億円かけて緊急時に備えているというのが実情でございます。

 本日はワクチン流通につきましての意見を申し上げたいと存じております。どうぞよろしくお願い申し上げます。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございました。中原参考人、お願いします。

○中原参考人 卸連の中原でございます。よろしくお願いいたします。本日は貴重な時間を頂きましてありがとうございます。お手元の資料 1-1 にあります「ワクチンの安定供給について」の意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 平成 19 年、厚生労働省がワクチン産業ビジョンをまとめております。その中でワクチン流通の将来像が記述されております。その記述ではインフルエンザワクチンの流通を取り上げ、 1 つとして行政の指導の下、危機管理時に効率的な配送ができるよう全国又は地域ブロックの一元的な在庫情報管理に基づくブロック単位での効率的な配送活動ができる、全国的なネットワークの整備を図るとうたわれています。

2 つ目として、ワクチンは製造のリードタイムが長く、長期備蓄が困難であることから、地域的な偏在の過不足を最終的に国とワクチン販売業者の協力により調整できるよう、需給安定化のための必要量と一定程度予備的に生産確保するとうたわれています。この 2 点がそのときにうたわれております。

 次のページを見ていただきたいと思います。ワクチンの産業ビジョンの第 1 の提言につきましては、その後医薬品卸業界、先ほどもあったように本社数が半減しているわけですが、再編により再編・統合を繰り返し、その過程を通してこのことは実現しているものと考えます。

 すなわち、商圏をほぼ全国に展開している、いわゆる広域卸とそのグループが成長しています。メディパル、アルフレッサ、スズケン、東邦、バイタルケーエスケーの 5 つのグループが各ブロック単位に、多量の医薬品を貯蔵管理できる高機能物流センターを設置しています。これにより、全国に機動的に配送する体制づくりは既に整備済みという形になっています。このことは 2 年前の東日本大震災でも証明されているところです。

 この 5 つのグループでどのぐらいのものを持っているかといいますと、医療用医薬品のおよそ 90 %、定期接種ワクチンのおよそ 82 %のシェアを取り扱っております。第 2 の提言の調整用在庫については、これは販社において対応処置が取られているものと承知しております。

 次、下段になりますが、ワクチンの流通について大きな問題が生じたのは、先ほど内匠屋から申し上げたように、平成 21 年から 22 年にかけての新型インフルエンザのパンデミックのときでした。当時の状況と教訓は、平成 24 年度から行われました「新型インフルエンザワクチンの流通改善に関する検討会報告書」にまとめられております。

 とりわけ医薬品卸が問題としたのは、先ほど言った返品の取扱いです。ワクチンの供給不足が見込まれていたため、返品不可とされていましたが、緊急輸入による供給の増加・接種希望者の減少等が重なり、医療機関に不要在庫が発生しています。結果的に、厚生労働省の方針が「返品不可」から「返品可」に変更され、医薬品卸は医療機関からの返品に応じることになり、先ほど言ったように想定外の損失が出ております。

 流通のあり方についても改善すべき点がありました。下段にあります「提言:今後の対応」の1から7、ここが提言で行われています。

 次のページを御覧ください。以上申し上げたことを踏まえ、医薬品卸としての意見をまとめてまいりました。まず、 1 つ目として「供給量の確保」という点です。感染症の予測は困難であると思いますが、需要に見合った供給を行うことを前提として、的確な需要予測と生産体制の確保を期待いたします。また、ワクチンの新製品が発売される場合、需給バランスが崩れて混乱が生じた事例がございます。供給不足が生じないよう、適切な見直しを期待いたします。

2 つ目として「流通スキーム」の問題です。こちらでは新型インフルエンザワクチンのような、どちらかというとパンデミック時の対応の部分で供給不足が明らかな場合が 1 つ目です。 2 つ目として、需要逼迫が予想される場合。これは今年度もありましたが風しんワクチン等で一時的に需要と供給のバランスが崩れたこともございます。そのスキームが 2 つ目です。 3 つ目については、供給が不足していない場合。これは最近の季節性インフルエンザに代表されると思いますが、需要と供給がマッチしており、この部分のことを言っております。この 3 つのパターンで流通スキームを考えていくべきではないかと考えております。

 「返品」についてです。医療機関には従来から返品は当然という認識がありますが、返品コストは価格に織り込まざるを得ません。可能な限り需給調整を行って、返品の発生を防ぐことが望ましいと考えております。社会防衛の観点から、余剰在庫の発生はやむを得ない一面があり、また、民民の取引では医薬品卸が返品を拒否するということは非常に困難です。医療機関の抱え込みを防ぐため、関係者に対する行政の指導をしていただきたいと思っております。

 次は下段、「価格」についてです。価格については自由価格が原則ですが、新型インフルエンザのときのように供給不足が見込まれるため、公定価格を定め、配給制を敷くことも望ましいと考えています。平成 21 年から 22 年にかけて、パンデミックの際にはこの方針がとられました。公定価格を設定する際、配送経費と適正利潤を保証される水準とすることをお願いしたいと思います。なお、配送効率を高める観点から集団的接種方式が望ましいと考えております。

5 番目が「情報の収集、管理」の問題です。検討会報告書では、「厚生労働省は医薬品卸の市町村や医療機関への販売日等の情報を収集し、都道府県に提供すること。都道府県は接種予定本数などを把握し、ワクチンの偏在防止を図る」としています。そのためには、厚生労働省や都道府県における情報収集、管理体制の整備が必要です。医薬品卸として、需要が供給を上回る場合や需要逼迫が生じた場合には、これらの情報をタイムリーに頂いて、安定供給のために情報として活用していきたいと思っています。

6 番目は「役割分担」の問題です。役割分担は非常に重要な問題でございます。検討会報告書では需要と供給のミスマッチを防止するため、厚生労働省、都道府県、市町村、医薬品卸、医師会や病院をはじめとする医療機関様が明確な役割分担を行い、需給調整の迅速化や正確性の向上を図ることを提言しています。ついては実効性のある役割分担ができますよう、都道府県単位での関係者の連絡協議機関が早急に設置されますよう希望する次第です。

 以上の視点が、ワクチン流通の円滑化を図る点で実行されなければならないことだと思っています。よろしくお願いいたします、ありがとうございました。

○庵原部会長 ありがとうございました。これにつきまして今から議論をしたいと思います。どなたか御意見のある方はおられますか。

○坂元委員 ワクチンの返品の問題なのですが、川崎市では市で入札の結果、一括購入という方式をとってます。市が医療機関への配送の数を制御しているので、基本的には返品ということは生じないし、万が一生じた場合には市がそれを負っているという形をとっています。

 ここで 1 つの問題は、そういうように入札という形になると、入札に応じる卸の取り扱う製品のメーカーの数が限られてしまうために、医療機関が「 A 社の物が欲しい」と言っても、入札の結果、卸が B 社の物しか扱っていないとなり、そこはやはり行政単位での一括入札の問題点になります。この辺はそれぞれ卸も系列メーカーがいろいろあって、非常に複雑なことがあると思うのですが、もし卸が扱う品数を増やしていただければ、我々行政としても医療機関の先生方の多様なニーズに応ずることができるので、よりそういう方式が広まって、行政が比較的返品が出ないようなコントロールが可能になると思います。その辺も業界として努力していただければというのが地方自治体、特に予防接種の主体となっている市町村からのお願いでございます。以上です。

○庵原部会長 この件に関して特にコメントはありますか。購入の仕方で、自治体で一括購入している所と、一括購入でなく各医療機関がばらばらで購入している所とあって、地域によって違うと思うのですが、何かこのことに関して御発言がありましたらお願いします。

○中原参考人 自治体様の御苦労もよく理解しているつもりです。入札のやり方も先ほどいろいろあるとございましたが、まだまだ統一された標準的な仕組みというものは、なかなかできていないという形です。返品がなければ一番いいと思いますので、できる限り標準的なものを議論していただいて、その中で一番良い方法を選べばという形です。

 地方自治体によっては、取扱いが全然違うやり方になっている所もあります。その辺、こちらとしてもどれがいいのかということであれば、川崎市がそういうようにうまくやられているということであれば、やはり 1 つ参考にしながら次の段階へ進めていきたいと思っています。

 メーカーと卸の関係は非常に難しい問題でして、卸側とすれば全ての製品をそろえたい。これはもう願っているところですが、やはり民民の契約の問題があります。そこの中では、やはりメーカーさんの意思も入ってくることは過去から変わっていないのが現実です。

○庵原部会長 契約となると、三村委員はこの辺がお得意ですが、いかがですか。

○三村委員  1 つの意見として、実は先ほど「今後の対応」であったのですが、従来的に需要原則が明らかにあって、ある程度供給が安定的にある場合は恐らくそれほど問題はないのだろうと思います。ただ一番の問題は、パンデミックの場合はちょっと別として、例えば風しんワクチンのように需要と供給、あるいはどちらかというと一時的にしろミスマッチが起こった場合に、どのように対応するかが恐らくワクチンの場合は大変重要ではないか。そのときのある 1 つの措置として、これは「今後の対応」の4に書かれているわけなのですが、2と4が実は非常に大事だと思っています。できるだけ、そのときに起こっている需要変動と供給のミスマッチを減らすため、地域における在庫の状況や偏在の状況を透明化できるような状況をつくる。

 今の話の中で当然メーカーと卸、医療機関の従来の取引の枠組みが当然あるということは大事なのですが、先ほど話がありましたように、ある特定の卸には品数がどうしても偏るという話も含めて、できるだけ供給を一元化していく。これは全てのワクチンではなく、かなり重要性が高くて規模が大きい。しかも、あるときに需給のマッチが起こりやすい分については、卸と病院とメーカーとの対応の中で、少しその辺を調整していただく方がいいのではないかと思います。

 当然、現場の先生方がこのワクチンを使いたい、このメーカーではという御希望があることは了解した上なのですが、ある一時的な措置においては、いわゆる供給一元化という言葉を工夫の中で入れていくことが必要であろうと思います。そうすることによって返品や過剰在庫、あるいは在庫偏在というものは相対的に押さえられるのではないかと思います。むしろ、自治体や県と卸の間でかなり煮詰めた話をしていただくのがいいのではないかと思います。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございました。この返品問題というのは絶えず、特にインフルエンザワクチンですよね。ほかのワクチンでは返品はないと考えてよろしいのですか。

○中原参考人 基本的にはないと認識しています。一番大きいのが、季節性インフルエンザワクチンの一番最初のスキームができあがる前、そのときは確かにございました。それから、新型インフルエンザのときは確かに先ほど申し上げたような形のものが発生しています。その後ということであれば、今のところは季節性インフルエンザワクチンでも供給のほうがどちらかというと多いものですから、何の問題もなく進んでいるという形でございます。

○庵原部会長 ありがとうございました。

○坂元委員 もう 1 点だけお伺いしたいと思います。意見の (2) 6 「役割分担」で、都道府県単位の協議会の設置ということが書かれています。これはどのようなものを意味しているのでしょうか。例えば、実際に自治体が一括購入している所、市町村の中の医療機関の先生方が個々に購入している所、ある程度は医師会単位で一括で購入している所、いろいろな購入方法があると思います。

 当然、その中で市町村間に需要と供給のいろいろなばらつきが出てくると思います。この協議会というのは都道府県がそのような各市町村担当者を集めて、ある程度、市町村の中の需要を把握して、このワクチンがどれぐらい、このメーカーの物がどれぐらいというものを把握して、都道府県単位で例えば卸と協議するというようなイメージなのか。この協議会というもののイメージをお教えいただければと思います。

○中原参考人 検討会の内容がこうなっていたのですが。

○庵原部会長 これは事務局にお願いしましょうか。

○中原参考人 ちょっと、返答になるかどうか分からないのですけれども、過去、新型インフルエンザのときにやられた方法というのは、県の医師会、県、それから我々卸の組合という形で、各都道府県単位でやられたということで記憶しています。この間、検討会のほうにも委員として出席したのですが、そこの席では都道府県単位でやるのがいいのか、政令指定都市はどうするのかとかいった御意見も頂いておりますので、また今後の話かなと見ております。

○庵原部会長 絶えず、政令指定都市と都道府県との間でいつも起こる問題が、結局ここでもまた出てきているわけです。ただ、新型インフルエンザに関しては県が音頭を取って、政令指定都市はその下に入ってくださいということなのでしょう。いわゆる、流通している現在の季節性インフルエンザとか、その他ワクチンに関してもこういうような協議会を設けるという形で、今、行政は考えておられるわけですか。

○今井室長補佐 そういった方針はございません。最近の例で言いますと、風しんワクチンの供給が一時的に不足するおそれがあった際、都道府県に関係者と協議していただいて御検討いただきたいという通知を発出したことはございます。

○庵原部会長 分かりました。飽くまでもこういう協議会というのは、緊急時の臨時の措置みたいなことであると、今のところは事務局としては考えておられるということでよろしいですか。

 今、卸連合から出てきた流通スキームのところで、多分これからも出てくるだろうというのは、需給逼迫が予想されるという時点だと思います。過去何年間かの間に時々不足を来すようなことが起こっています。今回の風しんの場合は極端ですが、それ以外でも時々足らないということが起こっているのですが、こういうときに対しては、卸は関係ないですものね、もとがないのですから動けませんので。こういうときは一体どこが動いてどうするかというのは、事務局は考えておられるわけですか。

○今井室長補佐 プレゼンテーションを頂きました資料の 5 枚目に流通スキームが 3 分類されておりますけれども、基本的には新型インフルエンザの場合は国が流通管理しましたし、2の「需給逼迫が予想される場合」というのは、最近の例で言いますと、先ほど申し上げました風しんの安定供給対策について都道府県、卸売販売業者などの関連の皆様に調整をしていただくような御協力のお願いをさせていただいています。あと供給量を増やせないかという取組につきましては、製造販売業者に御協力いただいて、できる限りの増産に努めていただいています。

○庵原部会長 ありがとうございました。私のコメントとしては、ワクチンというのは大体 1 年から 1 年半かかって作っていくものです。ですから、ちょっと足らないよと言われて、すぐ間に合わせて増産できるというものではないということも国民に前もって教育しておく必要があります。要するに打出の小槌みたいに振ったらすぐ出てくるものではないという、普通の医薬品とは違うというところを、「基本方針部会」でもやられていると思いますが、住民への教育という中で、ワクチンを作るにはこれだけ時間がかかるということを伝えておく、というところで卸の方が非常に苦労している点を入れ込んでいただけると、急にパニックにならなくて落ち着いて対応していただけるのかなという気がしています。その辺はこの部会で考えることか、「基本方針部会」で考えることかは分かりませんが。

 もう 1 つ、マスコミの方たちにもその辺の教育は必要ではないかと思います。病気がはやってワクチンが足らなくなったら、足らないことばかりを報道して、作るのにこれだけかかるからもうちょっと待ってもらったらいつ頃から出てきますとか。不安をあおるような書き方でなく、不安を押さえるような書き方をする形に上手に事務局からマスコミに届けるとか、そのような点も必要ではないかと思っています。

 ただ、先ほど卸の方が言われましたように、流通スキームの1、2、3というのは、多分今後も出てくる形かと思います。絶えず、これを頭に入れながら対策を考えていく必要があるのではないかと思っています。

 返品に関しては、できるだけ流通と供給がうまく流せるようにということでお願いするしか言いようがないかと思います。

○伊藤委員  2009 年の H1N1 の流行のときは、私どもが希望しているワクチンではない、例えば 10mL のバイアルをたくさん頂いたりして、結構現場としては大変だったと思っています。

 新型インフルエンザの流行時とほかの場合で分けるのがいいのではないかと思っています。東京都の医師会などの話でも、同じ東京都内でも地区偏在が非常にあって、 23 区内はあるのだけれども、例えば八王子のほうに行くとないという話が往々にしてあって、どうしてなのかとよく言われることがあるので、そういった同じ地区内の偏在がないようにしていただければいいと思います。

2009 年のときも感じたのですが、本当に新型インフルエンザのような形で緊急のときに、卸の方ではない、例えば具体的に名前を出していいかどうか分かりませんがヤマトや日通とか。私どもは治験薬の配送は、そういう会社に配送をお願いしています。そういう所を介して、例えば供給元から配送していただくようなスキームは考えられないものか。純粋に配送される方だけであれば、返品の問題は基本的には発生をしない。

 ただ、医療機関サイドにすると、今、返品問題というのはバッファになっていただいていて、大変ありがたいと思う反面、モラル・ハザードをコントロールする方向というのはなかなかないのかなと現実的に思っております。そうだとすると返品ができないスキーム、通常の卸の方ではない、純粋に配送だけの方にお願いして配送するというスキームを考えてもいいのかなと思います。業界の方、いかがでしょうか。

○中原参考人 先ほどヤマト、日通の話が出ましたが、ヤマトや日通というのは運送業ですね。我々は医薬品等を販売することをやっておりますので、そもそもの母体が全然やり方が違う。確かに運送だけに限って言えば、我々でもそういうスキームができるかもしれません。ただ、我々は飽くまでも医療機関が、必要な量を必要なとき、必要なだけお売りすることを基本としていますので、常に返品というのは付いてくる形だと思います。

○細矢委員 全国的なといいますか、ブロックごとに供給体制を作ることができていると考えてよろしいわけですね。その先の話、提言の中に、例えば個々の病院での予約の受付のようなものを調整して、どこかに偏在することをなくすことがどうしても必要になってくるかと思います。先ほど、抱込みはほかの所が考えるべきである、みたいな話をちょっと頂いたように思うのですが、そうではなくて、例えば卸の側から見て、全体を見渡してこの地域のこの病院にはこれだけある、ということをきちんと認識して調整することは可能かどうかというのが第 1 点です。

○中原参考人 お答えします。「新型インフルエンザワクチンについての経験」の所に「提言」というものがございます。これが一応、最終的に新型インフルエンザ検討会の報告書の中でまとめられた部分です。先生が言われているように、確かに一元的な予約等をやれば返品問題は限りなく少なくなるでしょうし、偏在というものもなくなってくるだろうと考えます。ただ、先ほどから言っているかと思うのですが、やはりこれをやるためには、これは坂元先生の前であれなのですが、都道府県になるのか、それとも市町村になるのかという問題はあるのかもしれないですけれども、今、平常時のこの時期に何らかのスキームを作り上げておかないと何の意味もないということはあると思います。こういう提言がしっかり出ているわけですから、今後はこの提言に基づいた形で都道府県になるのか、市町村になるのか分かりませんけれども、そこの中でやっていただいて、それを是非緊急的に進めていただきたいというのが我々の思いです。

○細矢委員 どこか自治体からの指示があれば、卸としてはそういう調整は可能であると考えていいですか。

○中原参考人 これも協力し合わないと、なかなか難しい問題です。例えば都道府県を例に出すと、都道府県が主になりながら、地域の卸と地域の医師会等が入ればかなり良いスキームができあがると感じています。

○細矢委員 もう 1 つ、返品のところです。意見 (1) の一番最後に「返品処理に要するコストは価格に織り込む」と書いてあるのですが、これはどういうことでしょうか。既に織り込まれているということですか、それとも織り込みたいということなのでしょうか。ここが分からなかったのですが。

○中原参考人  3 の「返品」で、返品処理に要するコストを価格に織り込むというお話ですね。これも今回出たのが新型インフルエンザワクチンの返品が急に出たというか、最初「返品はない」と言っておきながら、最終的には返品になってしまったというものです。そのスキームを作るとき、行政からもいろいろ御相談を受け、要するに片道切符でいいと言われたので、私たちはできるだけコストを乗せずに設定をかけたのです。それが結局、返品があるというときにはもう売った後なので、それに乗せることはできませんから、今度は逆に医療機関から引き上げてくる分、それに対するコストなどがかかってしまって、そういう金額が出てしまったということでございます。

 ですから、最初から織り込むのではなくて、スキームだけしっかりしておいてもらえれば、例えば季節性のインフルエンザワクチンなどは返品があると言いましたが、最終的には全部引き上げて、それをメーカーにお渡しするということを毎年やっています。ですから、その辺はちゃんとスキームの中に入っております。ただ、新型だけがなかったということです。

○細矢委員 新型だけでなく、季節性のインフルエンザ、その他のワクチンについてもコストの中に織り込まれているということですか、今のお話は。

○中原参考人 通常のワクチンというのは、そういうものに入っています。

○三村委員 先ほどの話ともう一度関係するのですが、恐らく全てではないと思います。全てではないと思うのですが、例えばインフルエンザワクチンとか風しんワクチンを 1 つの典型例としたときに、ワクチンにおける供給体制といわゆる医薬品の供給、あるいは販売体制とはどこかで切り分けておく必要があることは、恐らくこの検討会の中で見えてきたのだろうと思います。

 パニックが起こったときに、先ほど部会長がおっしゃいましたように、やはりワクチンがどういうものであるかということに対する周知徹底、それから基本的にはある時間をかけると供給が間に合うという形のきめ細かい情報提供が前提であるとしても、やはりどこかパニックが起こったり、あるいは医療機関としても、患者がいらっしゃったときに欲しいという話になったとき、いろいろな所の医療機関から注文が殺到するという状況だけはどうしても避けるべきである。しかも、そのときに特定の医療機関と卸との間には取引関係がありますので、その中でこの問題が行われると、どうしても特定医療機関にちょっとした在庫偏在が起こって、その在庫が囲い込まれるようなこともあるかもしれない。

 そういうことがありますので、先ほどの話からしますと一元的な予約受付、あるいは一卸、一供給先というものの原則ルール化みたいなものを、各地域で一応あらかじめ話し合っていただいておけば、ある状況が起こったときに対処しやすいのではないかという感じがします。季節性インフルエンザの経験など、少しずつ上がってきましたので、その点での一度ルール化が恐らく先ほどの協議会であるのかなと思います。

 それから、先ほどのヤマトの事例なのですが、実は医薬品卸はある意味、供給のところの部分に関してはヤマト以上の供給体制を持っていらっしゃいます。何よりも必要量を必要なだけ届けるという形の中で、もしやれるならば在庫偏在もなるべく起こらずに済むだろう。5の小口分割、あるいはできるだけ配送単位を小さくしていくというようなことも、一見、実務的なようではあるのですが、意外と問題解決の糸口にはなると思います。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございました。今の話は議題 (2) ワクチンの生産・流通体制のあり方に関する論点に近づいてきています。事務局、そうしたら先に「ワクチンの生産・流通体制のあり方について」を説明していただいて、総合的にもう一度討論するように持っていければと思います。事務局、お願いします。

○今井室長補佐 資料 2 「ワクチンの生産・流通体制のあり方に関する論点」を御覧ください。まず、資料の中ほどの「現状」という所ですが、ワクチンの生産体制に関しましては、新型インフルエンザワクチンについては、新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業により、新型インフルエンザの発生・流行時に必要なワクチンをより迅速に、日本国内において生産・供給できる体制を整備しています。

 また、 2 番目の項目ですが、日本で使用されているワクチンのうち、海外から輸入されているワクチンには、 HPV ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、単独の不活化ポリオワクチン、成人用肺炎球菌ワクチン、 B 型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、黄熱ワクチンがあります。また、国内外を問わず、 1 社のみから供給されているワクチンには、狂犬病ワクチン、 A 型肝炎ワクチン、単独の不活化ポリオワクチン、成人用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、水痘ワクチン、黄熱ワクチン、 BCG ワクチンなどがあります。

 こうした現状を踏まえますと、「ワクチンの生産体制について」は、一番上の○ですが、パンデミックが発生し、世界的に供給が不足するおそれがあるワクチンについては、国内の生産体制が確保されることが望ましいが、その他のワクチンについては、国内外を問わず、より良いワクチンがより低価格で供給されることが望ましいと考えられます。また、安定供給及び価格競争の観点から、同種のワクチンが複数社から供給されることが望ましいと考えられますが、こうした点について御検討いただきたいと考えております。

 ワクチンの流通体制については、今、御議論いただいておりますが、ワクチンの安定供給・偏在防止の観点からどのような流通体制が望ましいのか、御検討いただきたいと思っております。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございました。どちらから先にいくかにもよるのですが、まず「ワクチンの生産体制について」、事務局から提案が 2 つありました。今討論している中で、パンデミックのときと通常のワクチンとで、やはり切り離して話していくべきだろうと、それは生産体制に対しても流通体制に対してもそうだろうと。そこで、まずは、パンデミックのときの生産体制についての提案が上の所です。それから、下の所が、通常、現状のワクチンの生産体制についての事務局からの意見です。それでは委員の先生方、御意見はありますか。伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 ここに書かれていることは、反論のしようがないことしか書かれていないと思います。ただ、ワクチンは保険とか安全保障だと思うので、実際に供給がされなかったときの、特に小児科の先生方のパニックの状況はかなり困ったなと。特に今回の風しんのワクチンなどでも、 MR ワクチンはあるのだけど、風しんの単味のワクチンがないと。価格的には、実際 7,000 8,000 円と、 11,000 円とか 12,000 円ぐらい違うので、多くの成人の方々が風しんの単味を欲しいとおっしゃってくるけれど、風しんの単味がない。それで、説明するのに窮して、どうにかせいと現場の先生方から言われているのです。

 そうだとすると、こんなのを解決するために、国内で増産をすると、多分、間に合わないうちに終わるのでしょうから、やはり輸入なり何なりがきちんとできて、供給ができる体制を考えなければいけないのではないかと思うので、そういう意味で、国内だけにこだわらず、使えるようなことは考えなければいけないと思います。

 もう 1 点。アメリカなどでも、パンデミックに関しては国内自給をしているけれど、ほかのに関しては輸入もと言われているようですので、そういった考え方も参考になるのではないかという気はします。

○細矢委員 パンデミックはいいのですけども、一般的なワクチンについて、確かに、より良いワクチンがより低価格というのが基本だと思いますが、安全保障とか食料といったような問題と同じように、ある程度は自給ということも考えておくべきではないかと。安定的な供給ということを考えると、基本的なワクチンについては国内で生産できるような体制を進めるとか、そういったことも一言必要なのではないかと思います。どのようなワクチンが基本的なワクチンかというのは難しいのですが、全てを価格で決めることではないのではないかと思います。

○庵原部会長 伊藤委員が言われたような問題が出てくるのは、日本で認可されていないワクチンを緊急に入れるかどうかという話が絶えず出てきているのです。今回でも、アメリカから MMR を入れたらいいのではないかという意見が出ていますが、認可していないのをどうするのだとか、その辺が絶えず出てきます。何年か前、フィリピンで狂犬病にかかった人が日本へ帰って来て亡くなられたとき、急に狂犬病のワクチンが日本でなくなったとかいう事例もあって。そのときも、海外のメーカーの狂犬病ワクチンを入れたらいいのではないかという意見が出てきます。

 ですから、日本のメーカーにどのくらいのゆとりを持って生産させて、それでも足りないときには海外からの輸入で入れてくることに関して、どう対応したらいいか。これには事務局は何か御意見をお持ちですか。やはりこれは杓子定規に、規則どおりにやらなければいけないという話になるわけですか。先ほどの伊藤委員からの御意見もそうなので、多分、絶えずマスコミが書きたてるということがあるわけですけど。

○伊藤委員 特に MMR とかですが、今は定期接種ではないものなので、問題になるのだと思います。補償の話は当然出るのだと思いますが、定期接種のものに比べると定期外のものは補償が甘いところもあって、医療機関の現場でもそれほどハードルが高くないと思うので、この話が出るのだと思います。

○庵原部会長 そうしますと、まずはワクチンの生産体制について、パンデミック以外に関しては、国内外を問わずより良いワクチンがより低価格で供給されることが望ましい、という事務局の提案には特に異議はないですか。

○山口委員 基本的に異議はないのですけれども。ただし、パンデミックが発生したときのワクチンは、それに対する生産力とか、国内のメーカーがどれだけワクチンを作れるか、そういうのをきちんと育て上げなければいけないという面もあると思います。そういう意味では、海外から入ってくるワクチンが、もちろん承認申請していただかなければいけないのでしょうけれども、それを流通させること自体は私は別に反対しないのですが、逆に国内のメーカーがきちんとしたものを作れるような対策が必要ではないかという気がします。

○庵原部会長 ありがとうございました。

○坂元委員 自治体の立場から見ると、ワクチンの供給というのは、供給不足に陥りやすいという場合は、 2 つに分けて考えられます。 1 つは、発売してすぐですね。これは多分、メーカーから問屋さんに行く最初の出荷の地域差が生じて、ある地域はかなり最初から豊富に来ている地域と、豊富に来ていない地域とで、当然、新しいワクチンが出た最初の一定期間はかなり地域バランスが出るということです。やはりここは、新たなものが出たときに、そういう地域バランスがなるべく出ないような仕組みを考えることが必要だと思います。

 もう 1 つは、今回の風しんのように、予防接種の接種率からして、ある程度、これは定期的にそういうものが起こってくるだろうというものは、あらかじめ別立てで供給システムを検討していく必要があると思います。

 今回の風しんのワクチンのときも、地域によって割と手に入った地域と手に入らなかった地域があることは事実です。なぜかというと、自治体は自治体同士、お互いに担当者が情報交換しおたくはどうと情報収集しています。いや、うちは比較的入っていますよとか、うちは全然ありませんといって、かなり地域バランスがあったことは分かっている事実だと思います。だから、そういう一定の流行がある周期でくるものに対しては、あらかじめシステムとかを検討して、事前の供給体制とかを作っていく必要があるのではないかという気がします。以上です。

○森委員 海外のワクチンを輸入するのもいいと思いますが、安全保障の観点から考えると、そちらに急ぐのはどうかと私は思います。より良いワクチンというものが示されていますが、それをどのようにより良いと判断するのかも非常に難しいかと思います。ですので、自分の国というか、日本でのワクチンの生産システムをより確実に、もう少ししていく必要があるのではないかと思います。

○庵原部会長 ありがとうございました。そうしたら、ワクチンの生産体制については、パンデミックに関しましては、まず日本での生産体制を高めて、それでも足りないようなときには海外からもという話になるかと思います。問題は、通常のワクチンに関しましては、今、 1 社から出ているのを複数で。例えば、今は狂犬病のワクチンを化血研が作っていますが、複数の所で作るようにしてはどうかというような提案だと思います。これに関してはいかがでしょうか。

 いわゆる事務局は、 1 社が潰れたときに、しばらく不足が起こらないようにというような、そういう意味ですね。これも異存はないでしょうが、メーカーが動くかどうかはまた別の話かと思います。やはり国内の安定供給体制という形ならば、例えば検定に落ちたときに、残りのメーカーのものを使うことが可能となりますので、そういうことを考えればこういう体制は大事かと思います。

 そうしたら、ここまでは一応オーケーとしまして、先ほど、坂元委員のほうからワクチンの流通体制について、新しいワクチンが出たときに偏在が生じてみたりとか、今回の風しん騒動でも偏在が生じたとかいうようなこともありますし、どのような流通体制が望ましいか、これが事務局からの問合せです。委員の方々、何か御意見がありましたら。卸さんからも、参考人として何か意見がありましたらお願いします。中原参考人、いかがですか。日頃の仕事の経験から、こうしたら偏在が減るのではないかという、何かコメントがありましたら。

○中原参考人 まず、風しんワクチン等の定期接種と任意接種の件です。今回の場合、いろいろ原因を分析しますと、定期接種が終わりかけの頃に急に増えてきた任意接種があったと、そのときにはアメリカ産の生産体制も全然追いついていなかったという事実があります。我々も小規模ながら、あるものを必要な所に届けなければいけないことは事実です。ただ、全ての医療機関が必要だと言われたら、我々はそれを信じるしかないわけですから、やはりそこのところで、地域なら地域で、本当にどこが必要かを明確にしていただければ一番よかったのかと。

 それから、先ほど先生から言われたように、その代替品として出てきたものは高いものが複数入っておりますので、ただそれしかなかったというような形になるわけです。それに関しましても、メーカーさんのほうから我々のほうに来るときには、どこが一番はやっているかいないかではなく、過去の数量に基づきながらそれが配られているのが現状です。今回の場合、最終的には不足しなかったという結果になったわけですが、分けているときには、ここの地域は本当にこれで足りるのかという不安は常にありました。

 そういうときには、先ほど申し上げたように、そこの所の主管である都道府県なりが、その辺の情報をキャッチしていただいた上で、我々と医療機関との間に入って、その辺の情報を密にしてやっていただければ、少なくてもスムーズにいくのかという感じです。発売してすぐというのは、余りイメージがないものですから。

○庵原部会長 いや。実を言うと、例えば IPV 、不活化ポリオワクチンですね。ある県には余りがあって、どこどこの県は不足しているよとか。同じ県内でも、どこどこ市はゆとりがあるけども、どこどこ市が足りないよというような。県によって、ゆとりがある県とない県が出てきたようだったので、卸の人たちはどういう形で分配していたのかという、その辺りの情報だと思います。そうですよね。多分、あれは今までのワクチンの出荷数で、そのまま計算していったら、足りない所と足りた所が出てきたのだと思います。

○中原参考人 過去の事例からいきますと、普通、季節性のインフルエンザワクチンなどは、前の年の配布量とかは各県ごとに使われた量が上がって、それに基づいて渡していくという形です。そこで過不足があれば、その都道府県さんから厚生労働省のほうに連絡があって、厚生労働省のほうで地域的な、どこの県で足りないとか足りるかというのは御指示の下、我々はそれに従いながら在庫を移していくという形かと思います。

○庵原部会長 足りなくなるとか、偏在が生じそうだというときには、やはり県なりのレベルで、医師会と県とでこの辺の調整をしてもらうのが筋ですね。卸では当然関われないですし、行政のほうは御意見はどうですか。

○坂元委員 私は、県単位の協議会という考え方は非常にいい考え方だと思っています。別に政令市が県とやるのはいやだということはないと思います。やはり県単位ぐらいの広域である程度まとめていかないと、規模にもよりますが現実にはそれぞれの実施主体の市町村ごとに考えることは事実上不可能だと思います。県単位で協議会を作って、例えば、卸さんなりメーカーさんなりと協議しながらやるという方法は、私は非常にいい方法だと思いますし、恐らくこれに反対する政令市はないのではないかと思います。

 ただ問題は、こうなると多分、都道府県が職員を増員をして、その担当者を置かなければいけないということで、むしろ都道府県側がその辺はどうなのかということです。我々、実施主体の市町村としては、こういうやり方は地域偏在をなくすという意味でも、卸さんとも県単位で協議できればもっとスムーズにいくという点から、私は非常にいい方法ではないかと思っております。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございました。そうしますと、ワクチン流通体制にはどのような流通体制が望ましいかというと、不足しがちだとか、何か問題が起こりそうだというときには、各都道府県で検討会みたいなものを常設で設けていただいて、臨時で開いていく形になるのですかね。

○三村委員 その考え方で結構だと思いますが、こういう問題は急に問題が起こって対応するというのは難しいですので、むしろ日常的にやっていただく。あるいは、昨年度の状況について若干モニタリングして問題点を少し整理するとか。そういったようなきめ細かな積み重ねが必要だと思います。協議会がどういう形かは各地でお任せするのがいいと思いますが、ある意味で常に問題が教育されて、情報は表示されている状況が必要だと思います。

○中原参考人 先ほど都道府県さんの人員の問題等で、私たちもそれを一番心配しております。新型インフルエンザのパンデミック時のワクチンの配布についても、都道府県さんのほうでかなり一生懸命やっていただいたのは事実です。ただ、それ以前にその体制がなかったという悲しさがありました。例えば、 1 つの提案というか、案としましたら、都道府県さんに人がいないということであれば、これはある一定のルールを決めて討議する場ですので、そこの中に市町村の代表さんとか、それから、保健所の代表さんとかいう方々も入っていただきながら、そういう協議会みたいなのを作っていくのが 1 つの手かと考えております。

○庵原部会長 ありがとうございました。要するに、足りなくなったときに国が声を上げるのではなくて、絶えず地域で、県単位でこのワクチンの供給に関する協議会を設けていただいて、絶えず評価しながら緊急時に備えておくという、そういう形でいかがかというのがこの委員の方々の御意見かと思いますので、事務局、また御検討ください。

○中原参考人 ちょっと 1 つだけ、余分なことかもしれないのですけれども。卸連の組織は各県に一つ一つ協議会がありまして、県ごとにあります。ですから、誠に申し訳ない言い方をするかもしれないのですが、例えば神奈川県が、横浜市と川崎市と神奈川県とでやると言った場合には 3 つ存在してしまうのですね。対応するこちら側は 1 つしか団体がないので、その辺のところは御協議いただきたいというところです。

○庵原部会長 ありがとうございました。これで議題 (2) まで終わりまして、あとは議題 (3) の「開発優先度の高いワクチンについて」に移ります。議長を西島部会長に、よろしくお願いします。

○西島部会長代理 それでは、本日のメインの議題ですが、優先度の高いワクチンについて、議題の (3) について、事務局から資料の説明をお願いします。

○今井室長補佐 資料 3 です。「開発優先度の高いワクチンに関する評価及び選定方法」について、先生方からの御提案も踏まえて、案を取りまとめてみました。読み上げます。

 前回、研究開発及び生産・流通部会において予防接種推進専門協議会及び日本ワクチン産業協会会員より国内で開発されることが重要と考えられるワクチンとして挙げられた各ワクチンについて、次回の本部会までに各委員に評価していただいてはどうか。

 評価項目及び評価方法として、次の項目・方法が考えられるが、いかがか。国内の必要性について、 1 点~ 5 点の 5 段階で評価する。世界の必要性について、 1 点~ 3 点の 3 段階で評価する。ワクチン開発の実現性について、 -1 ( 開発が困難と考えられるもの ) 0 ( 開発の実現性が不明なもの ) 1 ( 開発の実現性が高いと考えられるもの ) 3 段階で評価する。必要に応じてコメントを頂く。

 各ワクチンの開発の実現性については、ワクチン製造販売業者・販売業者に次の分類で意見を求め、それを参考に評価してはどうか。技術的に開発は非常に困難であり、実現可能性は非常に低いと考えられる。技術的に開発は困難であるが、実現可能性はあると考えられる。技術的には比較的難易度は低く、実現可能性は比較的高いと考えられる。その他のコメント。

 次回の本部会において、各委員の評価点数の合計点を参考に検討を行い、特に開発優先度の高いワクチンを選定してはどうか。

3 つ目の○ですが、委員からの御提案もあり、事務局でこのように整理してみましたが、ワクチンの開発には企業秘密がありますので、回答が限られる可能性もありますし、また自社が開発中のものについてのみの回答になる可能性があるという指摘もありますので、このような調査の必要性も含めて御検討いただきたいと考えております。

 また、 2 つ目の○ですが、評価項目と評価点数の案をここに提示しております。一方で、このように細かく分類せずに各委員に総合的な評価をしていただく方法も考えられると思っております。例えば、評価点数を付けるというのではなく、各委員に特に開発優先度の高いワクチンを 3 つ程度上げていただくというような方法も考えられますが、どのような方法が適切か御検討いただきたいと考えております。

2 3 ページに、具体的なワクチンの種類と参考情報を記載しております。 2 ページが「海外に存在するワクチン」で、 3 ページには「海外にも存在しないワクチン」をまとめており、大きくこのように 2 つに分類しております。

2 ページの「海外に存在するワクチン」については、世界の必要性の所に斜線を引いておりますが、これは既に海外に存在するということで、世界の必要性については評価項目から除いております。表の右側に、国内と海外の疾病負荷がありますが、これは結核感染症課において感染症発生動向調査や死亡統計などを基に、飽くまでも目安として暫定的に分類したものです。患者又は死亡者が多くみられるものを◎、一定程度みられるものを○、数が多くないものを△で分類しております。流行地への渡航者数についても、同様に目安として分類したものです。一番右側の国内の開発状況については、日本ワクチン産業協会に伺った情報で、空欄のワクチンについても、例えば研究機関などにおいて基礎研究などが実施されている可能性もあります。

3 ページは「海外にも存在しないワクチン」の表です。一番左側の分類というカラムの中程に、「海外に存在するが、改良が望ましいもの」と記載したワクチンがありますが、これは 2 枚目に記載したワクチンと同じ種類のワクチンで、既に海外に存在している製品ではなく、改良が望ましいものという意味で記載しております。以上です。

○西島部会長代理 ただいまの説明について、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、資料 3 2 つ目の○についてから議論をお願いしたいと思います。今回、このような項目・方法が考えられるがいかがですかという点ですが、これについて御意見はありますか。

○坂元委員 まず、各ワクチンの開発の実現性について、ワクチン製造業者に意見を求め、参考にし、評価したらどうかという項目です。この項目を見ますと、技術的項目のみが書かれているのですが、例えば現実的にそのワクチンを開発するための当事国の疫学データが十分あるかどうかや、例えば今回の小児用肺炎球菌ワクチンでも、 7 価と 13 価の問題がいろいろ出たと思います。そのようなしっかりとした疫学データがないと、メーカーは開発していいかどうかという問題もあります。技術的にはできると思うのですが、そもそも疫学的データがあるかどうかという項目や、技術的以前に恐らくメーカーは市場性をかなり気にすると思うのですね。技術的には可能ですが、市場的に見て開発コストが見合わないという項目も入れておかないと、メーカーがそれに対してどう考えているかという広い意見が取れないのではないかと思います。

○西島部会長代理 今の意見は、疫学データの必要性と、市場性についても、実現性について考えなくてはいけないのではないかという御意見ですが、いかがでしょうか。

○伊藤委員 このワクチンの技術的な話は、大変難しいのだろうと思います。取り分け、こういった公開の場で、企業の方に情報や意見を出せというのは、相当難しいのではないかと思います。ある意味では、一度この下の委員会や部会などで取りまとめをしていただく形を経て、ある程度知的財産の問題がない形でこちらに情報を上げてもらわないと、多分私どもでこれを見ようと思って、調べようと思っても調べられる案件ではないのではないかという気がするのですが。

○山口委員 伊藤先生のおっしゃるとおりだと思います。先ほど事務局の説明にもありましたが、 1 つは自社で開発しているデータは逆に言うと重要な情報がたくさん含まれていますし、それは参考になると思いますが、公開の場では議論できないと思います。ただ、それを参考にしてどこまで可能性があるのかというところがあると思うので、やはりその情報は得た上で議論したほうがいいのかなという気がします。

○福島委員 先ほどの疫学データの所で事務局に確認したいのですが、例えば海外にも存在しないワクチンのその他として挙げられているノロウイルスワクチンの疾病負担ですが、こちらは恐らく感染症発生動向調査のデータから取られたと思います。現時点で、ノロウイルスのサーベイランスは、 5 類の定点把握でしか行われていないと思います。それも、感染性胃腸炎として疾病分類はされていない状況で行われていると思うのですが、このデータを参考にされたという理解でよろしいでしょうか。

○今井室長補佐 はい。

○福島委員 恐らく、疫学データというのがとても難しく、ここでは利用可能な情報を最善の状態で集められたものを○や△で示しておられるのは分かるのですが、もし仮にこのノロウイルスワクチンが優先度の高い開発ワクチンとなった時に、疾病負担の今の状態を評価する場合、あるいは開発が早期に終了して本当に接種ができるようになった時に、どれだけのインパクトがあったかを評価する場合に、絶対に疫学的なデータは必要になってくると思うのです。その場合に、今のこの疾病負担の状況把握でいいのかどうかという評価も、必ず開発と表裏一体で進めていただきたいというのが、私の要望です。

 実は、これはノロに限ったわけではないのですが、昨年度までありました予防接種部会で第二次提言を出されて、定期接種に位置付けるべきワクチンとして 8 疾患出されましたが、私はその下の「ワクチン評価に関する小委員会」の下にありましたワーキングで少しお仕事をしていたことがあります。そこで、急性 B 型肝炎の感染症発生動向調査の全数把握の数が、かなり Underestimate 、つまり過小評価されているのではないかという議論が出たのです。それは、ほかのデータソースと比較してもかなり乖離があると。その乖離を説明できるのは、報告漏れがあるということになるのかもしれませんが、それを説明できる資料が何もなかったということがあるのですね。

 第二次提言で提言されているワクチンであっても、そのような状況なので、これは開発と同時に、せめて開発優先度の高いワクチンとして選ばれたワクチンについては、疾病負担を今一度どう評価して、現在の疾病負担のデータがどれだけの精度、これは system ではなくて precision のほうの精度ですが、どれだけの精度、信頼度で報告されているのかを、必ず評価していただきたいと思います。

○西島部会長代理 まず、先ほどの伊藤委員からの御意見ですが、いろいろと知的財産の点があるので、もう少し下部の委員会でそれについて検討したらどうかということでしたが、これについては事務局としては何か可能でしょうか。下部の委員会というと、伊藤先生、何か具体的にはありますか。

○伊藤委員 下部のというか、クローズドの所で 1 回議論をしないと、なかなか情報が出てこないのではないかと思っているだけなのですが。

○西島部会長代理 それは、この委員会自身をクローズドにするということですか。

○伊藤委員 それも含めてです。

○西島部会長代理 これについては、いかがでしょうか。先ほど、山口委員からも同様の発言がありました。事務局から意見がありましたら、お願いします。

○宮本予防接種室長 この件に関しての検討の進め方については、実は私どもも様々あるなと思っており、悩みながら、また、部会長にも相談しながら本日に至っております。こういった形は、いわばざっくりしているようにも思うのですが、例えばこのままの形で採点を頂いても、それで自動的に何かが採点どおりに決まるというようなイメージは余りなく、一種のデルファイ法的なやり取りなのかと思っております。一旦、採点を頂いて集計したものを、また委員の皆様に見ていただき検討を頂く中で、順位の 1 位と 2 位がはっきり決まるよりは、コンセンサスとして大事なものが浮かび上がってくるようなやり取りとして出てくるのかなと思っております。

 私どもの印象ですが、この時点でそれほど厳密になっていただくよりは、一度結果を御覧いただいて全然駄目だということであれば、また次の手を考えていただくとか、少し広い心を持っていただくのはどうかなというつもりでおります。

○山口委員 例えば、そのような開発企業の情報をもとに議論をしたいというときがあれば、逆に言うとアンケートのあとでもそれをやれるということであれば、それでもいいのではないかという気がするのですが。

○今井室長補佐 そういった先生方からの御提案を頂いたので、資料 3 3 つ目の○ですが、先生方に飽くまでも参考にしていただくという意味で、このような分類で調査をしてはどうかと提案をさせていただいております。

○山口委員 先ほど、坂元委員から市場性の話があったと思うのですが、例えば日経バイオテクの情報ですと、日本のメーカーは海外でワクチンを申請して承認されているようなケースもあります。どれだけの市場性があるかというときに、国内だけを見るのか、海外も含めて考えるのかもあると思います。ただ、そういう話になってきますと、ここの委員会でやれるのか、それともやはりそういう情報を持っておられる企業の情報も必要になってくるのではないかという気がするのですが。

○西島部会長代理 岡田参考人、御意見をお願いいたします。

○岡田参考人 これは、前回申し上げたのですが、かつてワクチン産業ビジョンでやったような形で、ワーキンググループを作って、伊藤先生が言われたような形で、ワーキンググループはクローズドにして、企業と学会がそれぞれこの項目の意見をまとめた形で、この委員会に上げるというような形ですと、企業側もある程度クローズドの中でやって、皆のコンセンサスの中で開発状況のところもある程度情報が出てきやすいかなとは思います。

○坂元委員 庵原先生に質問なのですが、 WHO にはワクチンの開発をするときに、プレクオリフィケーションのような形で、このワクチンがどういう形で開発したらいいかというような相談を受けるシステムがあると聞いたのですが、何かプレクオリフィケーションという形で、例えばこういうワクチンのフォーミュラーがいいのか、こういうドーズがいいのか、間隔がいいのかというような、事前に協議機関のようなものがあり行っていると聞きました。実際に、そのようなことは各メーカーが WHO に相談して、利用されてやられている現状はあるのでしょうか。

○庵原部会長 いえ、私はその情報は持ち合わせていません。多分、岡部先生のほうが詳しいと思います。ただ、メーカーはある程度物が出来上がってからでないと、その段階へは進まないと思います。ここで議論しているのは、そこまでいくのではなく、私が思っていたイメージは、要するに日本のメーカーにはこういうワクチンを先生方から開発して欲しいなという要望を伝えるという意味合いでの、今回の評価ではないかと解釈していましたので、ある程度企業がスタートしているのなら企業任せでいいのではないかという気はしております。

○西島部会長代理 そうなりますと、企業が開発しているかどうかという情報がないと、今回の各ワクチンについて難しいということになりますか。

○庵原部会長 そういう意味ではなく、情報がないレベルで委員の方々がどういうワクチンを希望しているかと。要するに、それぞれの臨床の現場なり、基礎の研究の現場なりから、メーカーに意図が伝わるかどうかがこれからの仕事かなというような印象は持っていたのですが。ですから、優先度の高いワクチンというのは、メーカーが今やっていることを支持するためにこの委員会を開いているのか、そうではなく、もう少し客観的なところでメーカーに依頼する、ないしは基礎の研究者に依頼するというところで開いているのかという、その辺りの位置付けが私は分かり兼ねたのです。私は、後者だと思ってスタートをしていましたので、ずれているかもしれませんが。

○西島部会長代理 開発の実現性について、今回、事務局からの提案は技術的にということになるわけです。これについては、疫学データや市場性も含めたらどうかというような意見もありました。技術的にということにフォーカスをして、実現性について先生方がどう思われるか、かなりざっくりした調査になるということです。そういうことで、まず取りまとめをして、そのあと検討をすると。必要があれば、その段階でワーキンググループを作り上げるというようなことではいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○細矢委員 順番としては、それでよろしいと思います。私は小児科医ですが、小児科医の意見を全て代表して言っているわけでもありませんし、この挙げられたワクチンを全て理解しているわけではありません。やはり、アカデミアの意見を別枠で聞いておきたいなと、必要性というのを聞いておきたいなと思っております。企業は企業で開発の状況はあるかもしれませんが、是非学会連合、協議会に、協議会としてどのように考えているかの意見を聞いていただければと思います。

○西島部会長代理 協議会というのは専門協議会ですか。

○細矢委員 はい。

○西島部会長代理 岡田先生、いかがでしょうか。

○岡田参考人 それは、アカデミアとして各専門とする学会がいろいろありますし、御存じのように渡航医学会もあれば、いろいろな学会がありますから、そういう学会からそれぞれの意見を今回聴取してこのような表ができています。ですから、今度は学会から今日のような点数を学会で付けて、それをまとめて次の部会に提出することは可能だろうと思います。

○西島部会長代理 そうですか、分かりました。そうすると、まず協議会で検討していただくことになりますか。

○細矢委員 並行してよろしいかと思います。

○西島部会長代理 並行していきますか。それでは、並行していくということで、実現性については、技術的なところについては、繰り返しますが、私たちは全部はフォローできませんので、ざっくりしたところで一応評価を出していただきます。一方、協議会では、アカデミアの専門的な視点からも、同様の評価をしていただくということですか。

○福島委員 開発の実現性のところについては、私は技術的なところはほとんど素人ですので、本部会で提出された今までのヒアリング資料などを見ながら点数を付けていくしか現実にはないかと思うのですが、そういう感じでよろしいのでしょうか。

○西島部会長代理 そうすると、まずは協議会のデータを出してもらうということですか。

○福島委員 いえ、かなり私的な意見なのですが、必要性に焦点を当てて委員は評価するのでも、すっきりしてよろしいのではないかと思うのです。その中で、開発の実現性というのは、恐らく私の懸念ではクローズドにしても出てこないものもあると思うのです。クローズドのワーキングであっても、そのあと上に上がってくると、公表されますよね。そのために出てこないものもあるかと思いますので、まず必要性のところで公衆衛生学的、あるいはアカデミック的に評価した後に、どなたかに評価していただくというような選択肢もありかなとは思うのですが。

○西島部会長代理 今の御意見ですが、実現性についてはかなり難しそうだということで、今回は必要性に絞って御意見を出していただくことかと思います。そのときには、そこにはある程度疫学的なことも加味されての判断になるということでしょうか。

○福島委員 恐らく、委員の先生方は、疾病負荷、国内あるいは海外の所を見られて評価する。あるいは今、定期接種化されているワクチンの現状や、今までのヒアリングで出た意見を基にコメントされると思います。特に、国内の疾病負荷に関しては、限界があることも分かっていただいた上で、皆さん評価をされることになるのかなと思います。それについては、本部会でヒアリングの過程で、いろいろな所から疫学というものに対する意見が出てきた経緯もあります。ただ、具体的にどのようなものが必要かというのは、それぞれの見方によって、それぞれの意見がありますよねといった形で、具体的なものは出てこなかったと思うのです。

 一方で、現実的に全てワクチンがカバーできる疾患について、疫学データを見直すことも不可能ですし、あるいは今、感染研が感染症発生動向調査を中心に疫学データを出されているわけですが、人員的にもこれ以上深くデータを取るというのは、感染研としてもとても負担がかかりますし、現場の医師にも負担がかかるということで、それは不可能であることは分かっております。ですから、最低限開発優先度の高いワクチンと選定されたものについては、今後疫学データも見直していくことを盛り込んでいただきたいのが、私の要望です。

○西島部会長代理 分かりました。ほかに御意見はありますか。そうすると、今回は開発の実現性について、技術的なところは判断が難しいということで、その部分は省略するということ。もう 1 点は、必要性についての意見を集めることになるかと思うのですが、いかがですか。その上で、次に点数の付け方についてはいかがでしょうか。こんなところでよろしいでしょうか。

○伊藤委員 これは、ターゲットをどうするのかによって変わると思うのですね。もし、国内のメーカーが海外の人たちを助けるための開発をするというので世界の必要性は要るのでしょうが、国内だけの問題を考えるのであれば、国内の必要性だけを述べればいいだけで、そこだけをはっきりしていただくほうが。国内をターゲットにするのか、それとも世界の医薬品をターゲットにするのかによって、この項目が必要か必要でないかということなのではないかと思うのですね。

 開発の実現性に関しては、今までの議論から私どもだけで書くのは無理ですので、この項目は勘弁していただき、世界の必要性を書けといわれれば、後ろの疾病負荷の所をそのままコピーするだけの話になり兼ねないので、日本のことを考えるのであれば、国内の必要性をターゲットとした項目だけを付ければいいのかなという気が、個人的にはいたします。

○西島部会長代理 今の点は、企業が開発する上で、国内だけではなくて海外にも出ていけるようなワクチンを我が国から作っていくという意味もあると思うのですが、そういったことの評価をするということで、いかがでしょうか。

○坂元委員 端的に、自治体だけの立場から言わせていただきますと、自治体にとって最大に関心があるのは、定期か定期ではないかになってくると思うのですね。恐らく、患者若しくはこういう疾患にかかるリスクのある方の立場からすれば、どのワクチンも欲しいということで、そこに対して自治体がこれは患者が少ないから要らないよねという意見はなかなか難しいと思います。飽くまでも自治体的な立場からすると、やはりこれは市民の健康を守るという観点から幅広くやる必要があるだろうという観点からは、自治体が不要という意見は言えないと思います。

 医学的に必要、不要となると、今、福島先生もおっしゃったように、それぞれの立場によって全然違ってきてしまうのかなという気もしますので、この必要性をどう考えるかは私自身難しいかと思っています。

○西島部会長代理 なかなか難しいところにきてしまいました。先ほども言いましたが、とにかくこの委員会として技術的なことの実現性については難しいが、必要性について、今、坂元委員からはこれも難しいという意見でした。ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。必要性については、やはり評価をするのが難しいでしょうか。

○山口委員 難しい結論だとは思います。恐らく事務局が提案していたのは、厳密な必要性をきちんと出してほしいという話ではなく、多分それぞれの先生方の専門によって違ってくるとは思うのですが、その中で高い点数が上がってくるものなど、何か絞り込みをしたいという辺りが大きいと思うのですね。ですから、そのような意味では、今、例えば海外に出ていくとかそういう話まですごく厳密に考えるとかえってできなくなるような気がするので、むしろざっくりした形のほうが最初の点数付けとしてはいいのではないかと思うのですが。

○西島部会長代理 必要性について判断をするときには、いろいろな視点があるわけですよね。それを、かなりざっくりした形で点数を付けていただくことにしてはいかがかというのが、今の山口委員の御意見だと思います。私の意見としては、今出たことを加味しますと、実現性については技術的にはこの段階では難しいということで、協議会からの情報も見た上で考えるということで、今回事務局も何か糸口をつかみたいということもあると思いますので、必要性についての評価を先生方にしていただいたらいかがかと思うのですが。

○坂元委員 やはり、ワクチンを定期化するかしないかは、以前もメーカーの方がそこは非常に大きな開発の動機になるとおっしゃっていたように思います。やはり 1 つの視点として、このワクチンは将来定期化していくべきだというのは、かなり大きなポイントになるのではないかと、私は自治体の立場から思います。ですから、それをかなり大きな視点として、皆様方にこれは将来定期化していくことが望ましいという判断は頂いたほうが、自治体としては非常に参考になるということを申し上げたいと思います。

○西島部会長代理 必要性の判断として、定期接種するかどうかも考えての必要性ということですが。そのほか、何か視点はありますか。

○今井室長補佐 今、必要性にはいろいろな視点があって難しいという指摘を頂きましたので、先生方に国内での優先度と世界での優先度をそれぞれ評価していただき、次回まとめて提示するということでいかがでしょうか。

○西島部会長代理 ちょっと、後半が聞こえなかったのですが。

○今井室長補佐 必要性と申しますと、幾つか視点があり、必要か必要でないかという評価とも難しいと思いますので、それぞれ国内での優先度と世界での優先度を評価していただき、事務局に返していただき、次回にそれを集計したものを提出させていただいてはいかがでしょうか。

○西島部会長代理 そのときに、点数としては 1 点から 5 点、 1 点から 3 点で付けるということですか。あるいは、先ほど総合的な評価というお話もありましたが。

○今井室長補佐 点数を付けるべきかどうかも含めて、御検討いただければと思います。それから、先ほど先生がおっしゃった予防接種推進専門協議会に意見を伺い、それを先生方にお送りして評価いただくという方法がいいという理解でよろしいでしょうか。

○西島部会長代理 技術的な点について、協議会で調べていただくということですか。

○岡田参考人 技術的なことは、私たちは学会ですから分かりませんので、それぞれの専門の学会の立場から、優先度あるいは必要性をまとめて、推進専門協議会が出すという役割だと思うのですね。それでよろしいのですよね。ですから、推進専門協議会が先生方の委員の 1 つとしての意見を出すということでいいのですよね。

○宮本予防接種室長 委員というよりは、この場での検討の参考として、それぞれの協議会の中のメンバーにもいろいろな視点があるのかなと存じますので、そういったものを統一的な意見というよりは、恐らくいろいろな観点があるということをお教えいただけるようなものになるのかなと想像いたします。そういったものを何らかお作りいただけるのであれば、先に作っていただき、検討の参考とさせていただくのはいかがかというような趣旨になると思いますが。

○西島部会長代理 そうすると、まず協議会からデータを出していただくということですか。

○宮本予防接種室長 はい。

○西島部会長代理 そのあと、それを私たちが見て、必要性について意見を述べるということでよろしいですか。そうすると、今回評価の方法を提案し、次回までにデータを頂くということでしたが、そうではなく、まず協議会のデータを頂き、それを委員にお配りするということでよろしいですか。

○今井室長補佐 そういう理解でよろしいかどうか、今、先生方に御議論いただいた中で、予防接種推進専門協議会に国内での必要性について御意見を頂くのがいいのではないかという指摘を頂きましたので、改めて確認させていただきたいという趣旨です。

○西島部会長代理 分かりました。

○細矢委員 最初の説明のときに、まずはざっくりとしたところを知りたいという話でしたので、皆さんの立場での最初の意見を、国内と海外それぞれについて、優先度で出していただいてもいいのではないかと思うのですね。協議会としても出していただき、それを合わせてもう一度討論し、その上で優先度を決めていく形になるのではないかと思います。その逆ですと、何かそれで決まってしまうような形になり、話が逆になってしまうような気がしますので、順番としては並行してやっていただき、次の部会のときに両方の資料が出てくるのがいいのではないかという意見です。

○庵原部会長 発言をお許しいただければ、細矢委員の意見に賛成です。やはり、アカデミアの意見に引っ張られるよりも、委員の意見とそれとを比較して、最終的にという形のほうが、委員の意見が入るのではないかと思いますので、並行して進められたほうがいいかと思います。

○西島部会長代理 必要性については、この検討会でかなりざっくりした意見になると思いますが、意見を出していただくと。同時に、協議会にも意見を用意していただき、次回の検討会でそれを合わせると。

○氏家課長補佐 おおまかな方法としては、そのような形で進めたいと思いますが、具体的な方法について確認いたします。事務局からは、国内のものを 5 点、世界のものを 3 点の中でスコアリングして評価をしていただくことを提案いたしました。各委員によって、立場、考え方、必要性の違いがあるといった指摘も頂いております。こういった方法で委員の方々に点数を付けていただくのか、若しくは各委員の立場から必要性についてコメントを頂き、必要なワクチンを上げていただくといった方法がよろしいのかについて確認させていただきたいと思います。

○西島部会長代理 資料 3 は点数で付けていただくということですが、それではなく、最初に説明がありましたように、総合的な評価ということで、どのワクチンが必要かということを幾つかピックアップするということですか。

○氏家課長補佐 そういう形も考えられるかと思います。

○山口委員 私は、もう別に点数を付ければいいのかなと思っています。ただ、点数を付けた上で、例えば各先生の中に専門の先生がいらっしゃると思いますので、高い点数を付けるのは多分専門性がある分野だと思いますので、その部分にコメントを頂いておけば、それを参考にして議論をすればいいのかなと思います。

○西島部会長代理 それでは点数を付けるということで、できればコメントも付けることが極めて重要になるかと思うのです。ここは、自分の専門性の高いところだというようなことも含めてコメントを付けていただき、出していただくということで、とりあえずこれでやってみようと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。今井室長補佐、次回の作業について今一度まとめていただけますか。

○今井室長補佐 国内の優先度について、 1 点から 5 点の 5 段階で評価をしていただきます。世界の優先度について、 1 点から 3 点の 3 段階で評価をしていただき、それぞれの専門の分野でコメントを頂きます。それと並行して、予防接種推進専門協議会に国内の優先度について 1 点から 5 点で評価を頂くという理解でよろしいでしょうか。

○山口委員 確認です。優先度と必要性のどちらですか。

○難波江課長補佐 必要性という文言を使った場合、必要性が低いという取られ方もしかねないので優先度、点数としては同じ 1 点から 5 点と、 1 点から 3 点と、それぞれの立場で優先度が高いと思われるものに高い点数を付けていただくというものです。

○岡田参考人 基本的には、同じ土俵で付けるという意味ですね。アカデミアの各学会からの点数を次に出すということですね。

○難波江課長補佐 そうです。

○西島部会長代理 よろしいですか。

○難波江課長補佐 協議会は、世界についてコメントを頂くことは可能でしょうか。

○岡田参考人 もちろん、渡航医学会がありますし、それぞれの学会の立場がありますから、それぞれの学会の立場で、それぞれの点数が付いてくると思うのですよね。ですから、協議会としてまとめるというよりは、加盟の 14 学会のそれぞれの点数が出てくる可能性はありますが。そういうまとめ方でよろしいですか。

○西島部会長代理 我々と同じ土俵で評価していただくということで、お願いします。

○宮本予防接種室長 それぞれの立場があるのは承知しておりますが、可能な採点を頂いて提出いただければと思います。

○西島部会長代理 大変時間を取ってしまい申し訳ありませんが、この優先度の高いワクチンに関する評価及び選定方法の議案については、今のようなことで作業を進めていただくことにいたします。長時間、ありがとうございました。それでは、座長を庵原先生に交代いたします。

○庵原部会長 少し時間が押してきましたが、最後の議題で「予防接種基本計画の策定について」、事務局から説明をお願いします。

○今井室長補佐 資料 4 の予防接種基本計画についてです。予防接種基本計画の項目については、予防接種法で規定されておりまして、 8 つ項目があります。研究開発及び生産・流通部会では、第 5 の「予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項」について、御審議いただくこととなっております。なお、そのほかの項目については、基本方針部会で審議されております。

2 ページ目ですが、これまで当部会で行われたヒアリングや御議論を踏まえて、案を取りまとめておりますので、読み上げさせていただきます。

 予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項について、第二次提言や当部会での関係者ヒアリングなどを踏まえ、以下の項目に分類して基本計画を策定してはどうか。一、ワクチンの研究開発の促進。二、ワクチンの生産・流通体制。

 「一、ワクチンの研究開発の促進」。基本的な方向について、国民のワクチン・予防接種に関する理解を前提としつつ、「予防接種 / ワクチンで防げる病気は、予防接種 / ワクチンで防ぐ」との考えのもと、研究開発を推進することを明記してはどうか。

 日本再興戦略等を踏まえ、感染症の克服に必要なワクチンを世界に先駆けて開発し、世界に輸出することを目指すことを明記してはどうか。

 医療ニーズや日本における開発の進捗などを踏まえ、開発優先度の高いワクチンは、○○ワクチン、○○ワクチン、○○ワクチンであることを明記してはどうか。

 ワクチンの開発には、国の関係機関、関係団体及びワクチン製造販売業者との間において十分かつ適切な連携が図られることが重要であることを記載し、我が国における研究開発支援の取り組みについて、明記してはどうか。

 ワクチンの研究開発力の強化を図り、国際競争力のあるワクチン生産基盤を確保するため、以下の項目について引き続き検討することを明記してはどうか。国内外での疾病負荷や海外での開発・導入状況などに基づく市場性の見通し。感染症対策の目標設定。感染症疫学調査の強化。小児の治験を実施する環境の整備。ワクチンの基礎研究及び実用化に向けた支援、産官学の協力。国民へのワクチン・予防接種に関する啓発・理解向上。

 ワクチン製造販売業者において、その能力に応じて、ワクチンの研究開発を推進することが望ましいことを明記してはどうか。

 「二、ワクチンの生産・流通体制」について。ワクチンの生産流通体制について ( 安定供給、ワクチンの偏在防止の観点 ) 。ワクチンの生産体制について ( 安定供給、危機管理の観点 ) 。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございます。参考資料 1 を見ていただきますと、ワクチンの研究開発に関する参考資料として出てきますが、閣議決定で「次世代ワクチンの開発」という言葉がちゃんと出てきていますので、やはり研究開発というのが大事だろうというコメントですが、何か御意見ございますか。多分ワクチンの生産・流通体制については、今日の討議を踏まえてもう少し具体的にというのが出てくるかと思いますが、とりあえずワクチンの研究開発の促進に関しては、今まで何回か行ってきた討議の中から出てきた形かなと。

 それと、 3 番目の○の所の、この○○ワクチンというのが多分次回の委員の方々や協議会の方々から出てきた意見を元にして、この辺が入ってくるのかなという整理かと思いますが、何か御意見はございますか。

○細矢委員 この一番最初の基本方針といいますか、理念として「予防接種で防げる病気は予防接種で防ぐ」ということが研究開発のところに入るのもいいのですが、もっと大元のところの一番最初の基本計画の中の最初にこれが入ってほしいなと。要するに、予防接種で防げる疾患は予防接種で防ぐのだということを、基本計画の項目の理念というかポリシーのような形で出していただけないかなというのが第 1 点です。ここに入っているのは構わないのですが、その上にも欲しいのだということです。

 第 2 点で、 2 つ目の○の日本再興戦略の所で、「感染症の克服」と書いてあるのですが、やはりこれは感染症に限るということでしょうか。ほかの、がんワクチンのようなものも含めて、世界に先駆けて開発するということは、この中では考えなくてよろしいのかなというところをお聞きします。

○宮本予防接種室長 全体の取りまとめですが、今ほど説明しましたように、項目は 1 から 8 まであります。基本方針部会の中で、第 5 を除く部分については検討しておりまして、参考資料 2 に現在の検討状況、参考資料 3 に主な御意見を記載しております。もし御意見等ございましたら、また基本方針部会の中で検討してまいりたいと思いますので、是非御発言いただきたいと思いますし、本日ある程度まとめといいますか、ここまでできたという部分は、基本方針部会にお返しして、全体を 1 から 8 まで並べた形で次は検討していきたいと考えております。

 それからもう 1 つが、がんワクチンの部分ですが、私どもの検討の視野としては、感染症に類するものと、そこに対する対応策としてのワクチンということを視野に入れて取り組んでいるつもりです。

○庵原部会長 分かりました。要するに、がんやアルツハイマーなどの、あの領域のワクチンも作られていますが、それはこの場ではなくて、主として感染症対策であるということですね。ほかに御意見ございますか。

○山口委員  2 点ほど。 1 点目は、基本的にこの中に書かれていることは、全くそのとおりだと思うのですが、前回も議論しましたように、ワクチンの周辺技術のことを書いておいていただいたほうがいいのかなと。要するに、アジュバントの開発や投与方法の改良など、そういうものを今、開発されているというところを少し書き込んでもいいのかなという気がしたのですが。それが 1 点目です。

 もう 1 つは、ワクチン基本方針部会の参考資料 4 を読んでいて少し感じたのですが、参考資料 4 4 ページ目に、各国際関係団体との協議というのが書いてあるのですが、 WHO に行くと、韓国の KFDA の人が WHO に派遣されてきていたりして、そこから非常にいい情報を得ているという状況もありますので、厚労省としても、そういうことを少し考えてほしいなというのが本音です。

○庵原部会長 ありがとうございました。最初に言われました周辺技術の開発というのは、確かに今、大分日本は進んでいますので、この辺をできたら入れ込んでほしいなと。皮内接種のワクチンなど、いろいろな貼るワクチンを開発したりとか、大分技術は進んでいますので、この辺りを書き込んでいただければと。当然、アジュバントは今目玉ですのでお願いします。それから、 WHO への人の派遣ですか。

○山口委員 そうですね。もちろん部門への、そんな WHO は受け入れてくれませんが、別の部門には、もちろん行っておられると思うのですが、特にこういうワクチンの部門などに派遣するというのも 1 つの、そういう情報を得るための、本当は情報を得るために行ってはいけないのかもしれないのですが、結果的にはそういう情報が得られるのではないかという気がします。

○庵原部会長 この辺は、国際交流のところですね。

○山口委員 そうですね。ここの議論ではないとは思います。

○庵原部会長 ないと思いますが。要するに、 WHO なり CDC からの情報を絶えず引っ張り出せるような状態に結核感染症がなってほしいなという話なのですが。それを書き込んでほしいというか、事務局が活動しやすいようになりたいならば書き込んでほしいなというのが要望です。

○宮本予防接種室長 現状ですが、第 7 の部分に「予防接種に関する国際的な連携に関する事項」というのを入れております。参考資料 4 で、主にその国際関係では、今、御指摘がありました WHO や各国当局との情報交換、連携という部分と、それから日本として国際機関や発展途上国に対して支援できる、国際貢献を図るという部分と 2 つ項目があろうかなということで取りまとめております。

○庵原部会長 ありがとうございます。もう少し具体的に書き込むか、ここで止めるかだけの話です。御検討ください。ほかに御意見ございますか。大体、後のワクチンの生産・流通体制は、今日の議論を踏まえて書き込んでくるという形で、次回討論でよろしいですね。そうすると、頭の部分の一の「ワクチンの研究開発の促進」というのも、○○の部分は次回ということで、その他のところは大体これでよろしいでしょうか。

○坂元委員 先ほど出た、ワクチンの流通に関する都道府県の調整ということが、こちらの基本方針部会の都道府県の役割の中に、この流通部会ではないのですが、以前、基本方針部会で都道府県が広域調整をするという議論になって一体何をするのだということになりましたが、今日のその部分も書き込んでいただけたらと思います。以上です。

○庵原部会長 ありがとうございました。要するに、今日の議論を踏まえて基本方針部会の中に入れ込める項目がありましたら入れ込んでほしいという提案ですので、また基本方針部会のデータと合わせながら最後の整合をするだけで、必要かと思いますのでよろしくお願いします。

 そのほかに何か御意見ございますか。もしなければ、もう押していますので、この辺りで今日の部会は終わりたいと思います。次回に、たくさん宿題を残しましたが、事務局よろしくお願いいたします。これで事務局へマイクを戻します。

○今井室長補佐 ありがとうございました。次回は 10 31 ( ) を予定しております。正式な開催案内は改めて御連絡を差し上げます。

○庵原部会長 すみません。そうすると、委員の皆様方の点数はそれまでに、例えばそれこそ明日というか、来週の月曜なり火曜なりに送られてきて、いついつまでに返事しなさいというのが、多分来週中には飛んでくるよということですね。

○今井室長補佐 はい。事務局からメールで様式を送らせていただきます。

○庵原部会長 飛んでくるという。それが 10 31 日までにまとまった段階で、 10 31 日に議論するという流れですか。

○今井室長補佐  10 31 日には事務局でまとめた資料を提出させていただきますので、締切りはそれより前に設定させていただきます。

○庵原部会長 前ということですね。ありがとうございます。岡田先生すみません。予防接種推進専門協議会も 10 31 日にその資料が出るという形で、少し大変でしょうけれど。

○岡田参考人  14 ありますから、全て出揃うかどうか。

○庵原部会長 出てきた学会からだけでも結構出ると思いますので、全部まとめなくても、出てこなければ、それでもよろしいかなとは思いますので、要するにできる範囲で結構です。お願いします。ということで、 10 分ほど遅れましたが、これで本日の予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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