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2013年8月2日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第64回)議事録
政策統括官付政策評価官室
○日時
平成25年8月2日
○場所
専用第12会議室
○出席者
酒井部会長 |
金倉部会長代理 |
田宮委員 |
清水委員 |
馬場委員 |
○議事
(以下、議事録)
○酒井部会長
それでは定刻になりましたので、ただいまから第64回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催したいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集りいただきましてありがとうございます。
また、法人の方もよろしくお願いいたしたいと思います。本日は中村委員、定本委員、丸山委員が欠席となっております。それでは議事に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○政策評価官
議事の御説明ですが、本日の議題はお手元の議事次第にありますように、労働安全衛生総合研究所の平成24年度における、業務実績に関する個別の評価及び役員の退職金規程の改定についての意見聴取となっております。なお、机上に配布している「調査研究部会平成24年度実績に係る自己評定一覧表」というタイトルの資料がありますが、本日は表の左側の4つのグループに区分して、グループごとに担当法人から説明をしていただき、質疑を進めていく流れでお願いしたいと考えております。
また、同資料の右側の欄には、平成24年度の法人が自ら評定を出したものと、昨年に委員に御審議いただいた評定結果も記載していますので、評定を付ける際に御参考にしていただければと思います。
本日、法人のほうから出ています青いファイルの中の資料1-3ですが、「平成24年度業務実績評価別添資料」という形で、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からの指摘事項があります。そちらについては個別の中で、法人のほうから触れていただくという形でお願いできればと思います。
資料1-2ですが、評定記入用紙に御記入をいただきながらの議事となります。大変忙しい形になり、申し訳ありませんが、御協力のほどお願いをするとともに、仮に会議時間内に記入が終わらなかった場合は、本日配布している資料等をお持ち帰りいただいて御記入いただくか、若しくは、事務方から電子媒体で記入用紙を送らさせていただくことは可能ですので、そちらに御記入の上、御提出をいただく形でも結構です。その場合は大変お忙しい中、申し上げにくいのですが、平成25年8月7日の水曜日までに、事務方のほうに御提出をいただけるようお願い申し上げます。事務方からは以上です。
○酒井部会長
それでは、労働安全衛生総合研究所の個別評価に入りたいと思いますが、1点、部会長からお願いがあります。先ほど説明がありましたが、私たちが評価をするときに、自己評価を大変参考にさせていただいていますが、特に、S評価を自己評価で付けていて、この評価シートにはそれぞれの自己評価の理由が書かれておりますが、御説明の中でS評価のものについては、なぜSなのかという御説明だけは特出ししてお願いしたいと希望をしておきます。それでは最初に、前田理事長から御挨拶と、平成24年度における実績概要の御説明をよろしくお願いいたします。
○労働安全衛生総合研究所理事長
労働安全衛生総合研究所理事長の前田でございます。よろしくお願いいたします。本日、初めてお目にかかる先生方もいらっしゃいますので、簡単に研究所の位置付けを説明させていただきたいと思います。
資料1-5はパワーポイントを印刷したものですが、1~4ページ目までが研究所の概要になっております。私どもは元々は産業安全研究所と、産業医学総合研究所の2つの研究所が統合をしたものです。1ページ目を御覧いただくと、産業安全研究所は昭和17年に厚生省産業安全研究所として発足と書いてありますが、この当時は労働省がなかった時代のことでして、労働省ができてからは一貫して労働省の付属研究所という形で運営されてきております。産業医学総合研究所はその少し後に発足をしたので、労働省の組織として来ております。これが独立行政法人を経て、平成18年に統合して、現在に至っているという研究所です。
組織の説明は省きます。3ページ目の私どもの研究所のミッションとして、大きなものは2番の所に2つ書かれているものであります。1つは「労働災害防止並びに労働者の健康増進及び職業性疾病に関する総合的な調査及び研究の実施」ということ。もう1つは「労働災害の原因調査等の実施」。これを2本柱として行っております。これは単に調査研究だけを行い論文至上主義に走るのではなく、その研究の成果を調査に活かし、そしてまた、調査が新たな研究の種を産み出すということであります。良い循環をもって回りますと質の高い調査をしつつ、研究もレベルを上げるというようなことを行う研究所でございます。
余り時間がないので、研究所の位置付けとしては、その程度にしますが、平成24年度は震災対応のもろもろの研究調査もありました。そのほかは平成23年度末に起こった、若しくは発覚したことでございますけれども、災害の中で胆管がんの問題が非常に大きな問題となっており、研究所としては多くのパワーを注いで平成24年度は調査をしております。それから安全問題では、海底トンネルの事故があり、これについても非常に多くの力を注いで実行しております。
そのほかの研究所の一般的な業務としての調査研究と、いろいろな災害調査なども多く実施しており、平成24年度は非常に忙しい思いをしたというようなことです。詳細については、また後ほど説明申し上げたいと思います。概要としては以上です。よろしくお願いいたします。
○酒井部会長
これからの評価の進め方ですが、既に評価官から御説明があったように、個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けてあり、原則としてグループごとに評価を行いたいと思います。先ほど資料の中にあったグループが、それぞれ自己評価表に書かれておりますので、その順番で進めさせていただきます。
最初にグループ1番目として「国民に対して提供をするサービスその他の業務の質の向上に関する措置」、評価項目の1番から12番までについて行いたいと思います。所要時間ですが、ここは主要な所で項目も多いので、法人からの説明を30分、委員の評定と質疑を20分、合計50分で進めさせていただきます。それでは法人から御説明をよろしくお願いいたします。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
研究企画調整部の黒谷です。この後の法人からの説明ですが、グループ1とグループ2は私から、主に研究中心の内容になります。その後グループ3とグループ4を総務部長の尾花より説明いたします。
グループ1、評価項目1~12の説明に入ります。資料1-1「業務実績評価シート」、資料1-5「概要資料」いわゆるパワーポイントのカラー刷りの資料、先ほど御指示のありました資料1-3の評価シート上の該当部分については全て資料1-3の何ページと書いてありますので、その折に触れさせていただきます。
評価項目1「労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映」についてです。パワーポイントの説明資料は5ページからになります。評価シートは1ページです。この項目について、私どもは理事長からお話させていただきましたように、平成24年度の労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映の部分に関しては、従前からいろいろな情報共有・情報交換の機会を設けております。その中で、特に平成24年度の調査研究の中では、震災に伴う災害の対応としての3課題を平成23年度から緊急に実施しました。昨年度報告させていただきましたが、これについてはまだ研究途上のものを平成24年度に実施したと同時に、職業性疾病の発生を端緒とする調査研究の一例として、「塩素系有機溶剤の複合ばく露による生体影響に関する研究」を急遽追加した、ということを評価シートの実績に記載いたしました。
評価シートの実績について、パワーポイント6にその調査の概要を1ページ書かせていただきました。少し専門的なことになりますが、先ほどお話をさせていただいた印刷業者の胆管がんの事案の災害調査を厚生労働省より請負いました。これについては後ほど詳細に報告させていただきます。その災害調査を担当したことを契機に、大きな研究所の役割として、複合ばく露による生体影響を1つの研究課題としてきちんと追求していくべきではないかということで、急遽、基盤的研究として追加した研究ですので、ここに紹介させていただきました。また、労働現場の調査に伴う研究例についても、従前からやっているものを、その7ページに掲げております。
こうした調査研究等のみならず、最終的には評価シートの2ページの、幾つかの「評価の視点」について報告させていただきます。本項目について、数値目標そのものは定められておりませんが、特に評価の視点の1つ目に、研究員自らが情報収集のために直接現場に出向き、いろいろな情報を収集し、それを反映させるべきではないかという視点があります。一昨年は174現場でしたが、昨年は289現場と平成23年度を大きく上回る事業場への情報収集に出向いております。これは定期的な、いろいろな関係団体との連絡会議等以外に、こういう形であらゆる機会を通じ、研究員が現場へ出向いていたものです。
評価シート上、「行政要請研究」「プロジェクト研究」の数値を掲げておりますけれども、行政要請研究等の課題については、行政からの要請課題ですので、私どもであえて増減するものではありません。プロジェクト研究は中期計画で計画が決まっているものです。これは、計画のものを計画どおりに新規に始めたということです。
第2期中期計画で、特に労災の臨床例、業務上疾病例の入手、症例の入手を活用しているかが評価の大きな点になります。この代表例として掲げているのが、労災病院における石綿のサンプルを使った、労災病院等の医療関係者との精度管理事業。関東労災病院勤労者筋・骨格系疾患研究センターの協力を得て、6,000名を対象にした私どもの調査を共同でやっています。こういう連携も取りつつ進めております。
国内外の学会等へそれぞれ出席してのニーズの把握の数字を掲げておりますけれども、相対的な評価として、平成23年度の当項目についての評価Aと見比べても、少なくともそれを上回る評価を掲げております。先ほど、座長がおっしゃいましたS評価まで行くか行かないかという部分については、私どもとしてはAという範囲で評価させていただきました。それぞれ5ページのパワーポイント資料については、私が口頭で申し上げたものを、分かりやすく表にまとめ整理したものですので、改めて御確認いただければと思います。
評価項目2に入ります。8ページが説明用の資料です。評価シートは3ページからになります。ここは、研究所の根幹でもある、いわゆるプロジェクト研究、以下の研究業務の実施です。今も申し上げましたように、プロジェクト研究については、中期計画の中で課題が全て決まっておりますので、継続のものは継続、新規のものは新規ということで、実際に昨年度は13課題について実施いたしました。一部WHOのアクションプランに基づくGOHNET研究を2課題実施しております。
その実施課題については、業務の実績の欄に13課題記載しております。評価シートの3ページに、(1)プロジェクト研究等のイの「産業現場における危険・有害性に関する研究」の(オ)に、「貯槽の保守、ガス溶断による解体等の作業での爆発・火災・中毒災害の防止に関する研究」を掲げております。ここをあえて括弧書きで(産業安全分野、労働衛生分野それぞれの知見をいかした総合的かつ学際的な研究として、本研究のサブテーマの一つとして「貯槽の保守時やガス溶断時などに起きた災害の事例分析と検証実験」を実施中)と書かせていただきました。
昨年の政・独委の評価の中で、この学際的研究についてのきちんとした実績について触れられていない、また結果的に評価をされていないという御指摘を頂きました。触れていないだけで、実施はしておりましたが、あえてそういう御指摘を頂きました。実は、もともと平成23年度計画の中にこの点を明記しておらず、評価の視点にもこの部分は触れられていないものですから、昨年の実績から漏れていた経過があります。今年は、その部分を宿題として頂きましたので、あえて書かせていただきました。なお、平成25年度については、事業計画の中に該当する研究課題としてこういうものをやるということで既に記載しております。
この研究の簡単な概要については、説明資料の8ページの右側にその内容を記載しております。幾つかのサブグループに分けて実施しておりますが、メインは清瀬の化学安全研究グループが担当しております。この中に、火災時の有害ガスの発生状況、ガスの滞留とか換気とか、いわゆる環境計測系の内容が入っています。この部分は登戸地区になりますが、環境計測管理研究グループの研究員が担当し、それぞれ連携を取りながら現在も研究を進めています。以下、それ以外の研究においても、逐次情報共有をしております。明確にこういった学際的な位置付けとして実施しているものは、この研究です。なお、平成25年度は新たに1件の研究を始めております。後ほど、別件の紹介の中に出てまいります。
プロジェクト研究以外にも、私どものもう1つの研究の柱である基盤的研究については資料の9ページを御覧ください。こちらに基盤的研究の実施状況について書いてあります。基盤的研究の平成24年度の課題数は41です。例年大体40件前後ということで、どちらかというそのウエイトは少しづつ下げてきております。プロジェクト研究等に重点的に人を投入するということで対応させていただいております。ただ、基盤的研究の中で、いわゆる基盤的研究からその後それを更に萌芽的な位置付けとしてプロジェクト研究等につなげていくことを計画に記載してあります。代表的な例を2つほど10ページ、11ページに掲げております。
10ページのプロジェクト研究に発展した基盤的研究の例は、建設現場における危険要因の知覚教育システムです。簡単に言うと、iPad等を使い、できるだけ視覚効果に訴えて教育効果を上げていこうという研究を進めています。これまでの研究成果を平成25年度に新たに立ち上げました中小企業を中心とした教育手法等の研究であるプロジェクト研究のサブテーマの中に取り入れて、継続してやっていきます。タブレット端末を使って、繰り返し現場で分かりやすく、容易にできるようなシステムを今開発していて、実証実験中です。
11ページは介護者の腰痛予防に関する調査研究です。これも、当研究所の大きなテーマとして2004年度からプロジェクト研究、基盤的研究、厚労省からのいろいろな分析の要求、GOHNET研究として継続して実施してきているものです。これを、更に平成25年度から介護労働者の腰痛に限らず、安全衛生上の問題を取り上げたプロジェクト研究として立ち上げております。この中で介護者が施設で使うリフトとか移動用の器具、介護者のための補助用具といったものが逆に暴走をしたりして危険を及ぼすことがありますので、そういう観点からの研究も併せて実施するため学際的な研究のもう1つの例です。これは、別の機会に触れさせていただきます。こういった基盤的研究を実施しております。
私どもでは、行政要請として重要な研究を行政からの依頼でやっております。これは行政貢献に直接結び付くものであり、積極的に対応させていただいておりますが、数は先ほども申しましたように7つです。
評価の視点の中で、折に触れてお話をしてきましたが、一部この中で実績的に不十分だと自己分析している部分があります。評価シートの5ページの下から2つ目のパラグラフの「プロジェクト研究の立案、実施に当たって、可能な限り、将来の労働災害の減少度合い等の数値目標を含む到達目標を定めているか」。これについては昨年度も同様報告をさせていただきましたが、新規プロジェクト研究の中に、具体的に労働災害の減少数そのものを数値目標として掲げられるかというのはかなり難しい問題です。研究が終了したときの数値目標というわけにもいきません。その研究成果がどう行政施策等、若しくは現場の安全衛生対策に生かされ、それが何年後にその効果が出るかということを研究開始時点で予測し、数年後、10年後の目標として数値で掲げるのは非常に厳しいということです。
数値目標というのは、多分、数だけという意味ではないのだろうとは理解しておりますが、もう少し整理・検討をさせていただければと思います。ただ、結果的には、この部分の数値目標を定めるには到達しておりませんので実績としては△を付けております。ただ、この項目の総合評価については、今申し上げましたように、当初の計画の調査研究は十分実施をしているつもりです。また、それぞれの行政等についての評価結果というのも、かなり直接的な成果物に結び付いていることもあります。そういう中で総合的に見て、平成23年度に当評価委員会から頂いたA評価に劣ることはないだろうと考え、A評価とさせていただきました。
評価項目3、資料は12ページ、評価シートは7ページからです。ここは数値目標があります。数値目標と申しましても、外部評価委員会の評価結果をできるだけ適切な時期に公表しなさいというものです。昨年度、外部評価委員会は11月28日に実施いたしました。全8課題、平成25年度から新規に始める3課題と、平成23年度中に研究が終わった5課題を掲げ、その詳細は説明用資料の12ページに記載しております。
外部評価委員会の報告書については、11月28日に評価を実施し、12月末ぐらいまでに先生方の最終的な取りまとめの評価を頂いておりますので、それから3か月以内ということで、3月末までということになるのですが、3月11日に公表させていただきました。
なお、本評価委員会の評価報告書は、資料の別添資料に冊子そのものを別冊として付けておりますので御確認いただければと思います。「平成24年度の外部研究評価報告書」という水色の表紙のものです。フォーマットは例年同じですが、個々の研究課題ごとにそれぞれ評価、委員からの御指摘、それに対してどう対応していくこととしているのか。昨年度は個々の研究だけではなくて、総合討論の中で、いろいろ総合的な評価に関しての御意見も頂戴しております。時間の関係上詳細は省かせていただきますが、御確認いただければと思います。
個々の項目について、評価項目の評価事項としていろいろ掲げられておりますが、今言った報告書の取りまとめ、それ以外の内部評価における共同研究の評価の仕方、全ての研究課題の内部評価を実施しているかどうか。プロジェクト研究について第三者による意見、ここに書いてあるとおりで、特に大きな変更等はありません。計画どおり進めさせていただきました。昨年は報告書の掲載が3月31日と3か月ギリギリになりましたが、今年は3月11日と20日ほど公表を早めました。以上、この項目についても、昨年度頂いたA評価に対し、昨年と同等以上と考えておりますのでA評価のままとさせていただきました。
評価項目4、資料の13ページ以降、評価シートは9ページです。数値目標については、私どもの研究成果が行政機関、公的国際機関等の要請に基づく関係法令等にどれだけ貢献したか。10件以上貢献しなさいということです。この10件というのは、第2期中期目標を見ると分かるように、そもそも大きな目標としては、5年間で50件が最終的な目標です。これを各年度単純に10ずつに分けています。そういう意味での10件以上ということを御理解いただければと思います。
結論を先に申しますと、昨年度通達等で研究成果が反映されたのは16件あります。後ほど詳細に説明させていただきます。一昨年が11件でしたので、平成23年度と比べても5件多くなっています。平成23年度を上回っています。なおかつ中期計画2年度で27件になりますので、5年間の目標50件に対しては、半数以上を達成しているという進捗状況です。また、具体的な内容については、資料の14ページと15ページに16全てのリストを掲げております。一番左側が年度で、そのあとは具体的に法令、通達等こういうものに私どもの研究成果が引用され、基になっています。それに対応してどういった調査研究であったか、実施年度がいつであったかを記載しております。
15ページは平成25年度になっておりますが、ここはカウントの仕方をどうするかということで、実際に記載を見ていただくと、国の通達そのものの施行期日は4月12日で平成25年度なのですが、関係法令の法改正に基づくものであり、法改正そのものは3月の労働政策審議会で答申を頂いておりますので、平成24年度実績とカウントさせていただきました。この点については、電離則の関係も同じです。それぞれ行政要請に基づくもの、震災対応として実施したもの、災害調査がもとになっているもの、これらの調査研究が具体的に評価をされ、法令に貢献しているとことを示しております。
以下、国内のみならず、ISO、IEC、JISといった国内外の委員会への研究員の派遣は例年と同様の数で推移をしております。ここの総括ですが、平成23年度を大きく上回った実績を上げられたこと、進捗状況としても2年度目で既に半数以上が到達したということでS評価とさせていただきました。
評価項目5、資料の16ページ、評価シートは11ページです。ここも数値目標があります。当該年度の数値目標としては、研究員1人当たりの口頭発表が4回程度、研究員1人当たりの論文発表等が2報程度というのが当該年度の目標です。これも先ほどと同様に中期目標中、それぞれ口頭発表の回数については20回、論文発表等は10本というのが5年間の目標ですので、これの5分の1を各年度にということです。資料の16ページにもあるように、論文等については研究員1人当たり実績として4.4回ということで、目標の4回をクリアしております。論文発表については4報、目標の2報の倍の数となっております。
資料の16ページには、平成23年度、平成24年度それぞれ2年度分の数字を並べております。昨年の口頭発表数が4.3、今回が4.4ですので、単純に足すと8.7、20分の8.7で、2年度分で43.5%と3分の1強ですので、実績としても計画を上回っています。論文発表数については、既に8.6報ということですでに86%を達成しています。実際の具体的な口頭の発表の数は、右側で口頭の発表としては364、論文発表等については334です。口頭発表については昨年より増えておりますが、論文発表は少し減少していますが、昨年と同程度と考えております。数値目標を大きく上回っているとも言えるのですが、一昨年のA評価との比較として、今年度もA評価とさせていただきました。
評価項目6、資料の17ページが評価の説明資料、評価シートは13ページ以降が評価結果です。ここは、私どものホームページを通じた、インターネットに係るいろいろな研究成果の情報の発信です。ここにも数値目標があり、ホームページ上の業績評価等に関するアクセス数が年間65万件。これも、中期計画の5年間で325万件以上という数字がありますので、これを各年度で割った数字が当該年度です。先に申しますと、ここは昨年度はS評価を頂きました。昨年度の状況と比べても、昨年度が95万件でしたが、今年度は更にそれを上回って136万件のアクセス数をいただいております。平成23年度と合わせると232万件ということで、325万件という5年の計画の72%が既に達成できているという状況です。
それ以外に、私どもはメールマガジンを月1回発行しています。このアクセス数も徐々に増えてきています。前年度の1か月平均が1,097件でしたが、平成24年度末には1,300件を超えて、約200件ほど増加しております。
それ以外の評価の視点で記載させていただいているのは、私どもの定期刊行物の状況、それから一般誌等への一般的なものへの寄稿件数、新聞発表の取材への対応です。昨年は御承知のように胆管がん事案がありましたので、取材等が多くあります。あとは今申しました数字のメルマガ等の繰り返しのものです。
評価項目の14ページですが、やはりホームページそのものがより国民にアクセスしやすいものにしていかなければいけないということで、日々調整・整理をさせていただいております。文字の多いものについては、行間、文字数の見直しを実施しました。音声読上げソフトを使った利用もできるようにしておりますが、それについての画像に適切なコメントを付けました。比較的外向けのイベント、技術講演会等もやっていますが、できるだけ分かりやすい位置に調整する、という努力を進めております。現在、視認性、操作性の向上等を目指して、全面リニューアルを検討しております。これは、平成25年度中に完成できると思います。
ちなみに17ページには、私どものホームページのトップページを掲載しております。昨年も御紹介いたしましたように、一番真ん中は震災の対応です。震災の対応は、さすがに少し時間的な経過もしていますので、その下にできるだけ分かりやすいトップページの中に、先ほど言ったように、一般のイベント情報などを追記し、分かりやすくする改正を進めております。この部分は昨年もS評価をいただき、今年も昨年以上の実績を上げさせていただきましたので、昨年同様S評価という自己評価をさせていただきました。
評価項目7、講演会等の開催です。18ページが説明用資料、評価シートは15ページです。ここの数値目標は、講演会等を3回以上開催しなさい。我々は、技術講演会の1つとして関係者を集めた講演会をやっておりますが、これのアンケートで「良かった」以上が75%以上になるように、という2つの数値目標が定められております。
昨年度の技術講演会は、18ページにあるように、東京、大阪、名古屋の3都市で開催いたしました。延べ参加数は527名、内部の目標として500名以上を目標に掲げておりましたので、この数字はクリアしております。平成23年度と比べると20数名トータルの数は減っています。この3回以外に、他機関として日本粉体工業技術協会と共催のいろいろな研修会、四国地区電力の需要者協会と共催の研修会といった講演会等をそれぞれ実施しております。年に3回に対し、トータルでこの回数になります。共催と一般公開の2回を足し上げると、情報共有したものが7回となりますので、目標の3回はクリアいたしました。
それぞれ数値目標の75%に対し、安全衛生技術講演会については84%の方々に評価いただきました。また、清瀬地区、登戸地区で、それぞれ別の日ではありますけども、一般の方に参加していただく一般公開を、年に1回、4月に実施しております。清瀬地区については341名、登戸地区については140名と、ほぼ昨年と同様の参加者に参加いただきました。
昨年は施設見学が多く、ここに24機関延べ350名と書いてありますが、特に警察の鑑定依頼を受けることが多くあり、技術的な信頼度をいただいています。警察関係の機関と連携を密にさせていただいていることもあって、大学校の幹部候補生の研修会・施設見学を担当、延べ77名と数も多くなっています。それ以外には厚生労働省からの職員の研修、民間団体という所を例示しています。詳細は、添付資料6に全リストがありますので、後ほど御覧いただければと思います。固有名詞は外しております。
以上こういった状況で、ほぼ例年と同様のA評価と同様の実績ということで、A評価のままとさせていただきました。
○酒井部会長
少しペースを上げていただけますか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
はい、申し訳ありません。次に評価項目8、19ページです。ここの数値目標は特にありません。特許については、昨年私どもは非常に低調で、B評価だったこともあり、力を入れさせていただきました。昨年は3件の新規登録をしました。また1件登録が認められるということです。知的財産の研修等を2名受講させさらに意識を高めていただくという積極的な対応を図り、今後も継続させていきたいと思います。
もう1つは、逆に保有継続していればいいということではなくて、そういう特許を保有しておく必要があるかどうかについては、17ページ、別添資料1-3の2ページに保有資産については別記しております。両資料同様のものを記載しておりますので、特に記載漏れはないとは思いますが、そういう保有特許の見直しをきちんと実施しました。ただ、昨年検討したものについては継続して保有すべきという判断をいたしましたので、放棄はしておりません。全てのものについて整理した結果です。少なくとも、低調だった昨年度に比べると、実績を残せたのではないかということでA評価にしております。
評価項目9は災害調査の部分です。資料は20ページ、評価シートは19ページです。これは、先ほど理事長からお話をさせていただきました、私どもの柱の1つです。数値目標は、災害調査をして役立ったという割合を80%以上にする。結論からいうと92%の所に役立ったと評価いただきました。評価シートにそのポイントは記載してありますが、今年度S評価とさせていただいた理由を述べさせていただきます。特に社会的な関心を集めた大阪府の印刷工場の胆管がんの事例については、急遽報道され、厚生労働省から、非常に短期間の間に現場で調査をしてほしいという依頼があり、11名とかなりの人数を割きました。限られた時間で、現場まで赴いて、模擬実験までやってデータを提出させていただきました。
その結果は研究所として新聞発表させていただきました。また、安全衛生法上の対応もさることながら、さらに労災補償関係からもいろいろな協力を求められました。行政機関からの依頼調査1件とありますが、これは労災補償の労災認定のために、科学的なデータを整理して欲しいということで、その要請に基づいて、非常に短期間の間に対応させていただきました。これが当該事業場に関連する迅速な労災認定につながっていると自負しております。
また、理事長も触れましたが、災害発生は平成23年ですが、現在もなお調査中の海底トンネルの埋没事故があります。つい先日、ようやくセグメントが引き上げられたのがニュースになっておりましたが、これからその分析等を進めなければいけないということで、現在も10名以上の研究員が、かなり大きなウエイトで作業をしています。こういう行政貢献等を踏まえてS評価とさせていただきました。時間の関係で省かせていただきますが、21ページに胆管がんの発症事例の災害調査のおよその概要を確認させていただいております。こういうことで行政貢献をさせていただきました。
評価項目10、22ページです。労働衛生分野の研究の振興ということで、評価シートは21ページです。「Industrial Health」のインパクトファクターの0.8以上と、それぞれの学会誌、国際誌が6回以上、和文誌が年2回以上発行するというのが数値項目です。インパクトファクターは、公表されているもので0.87ということで、昨年度の0.94からは少し下がっておりますが、目標の0.8はクリアしています。国際誌、和文誌は予定どおり発行しておりますので、計画どおりということになろうかと思います。
ここで強調させていただきたいのは、先ほどお話をした胆管がんの事案に即座に対応したことです。。もともと重点協議会のいろいろな対応を私どもはさせていただいておりますけれども、ワークショップを緊急に開き、内外の関係者に集まっていただきました。特に、我が国の職業がんの歴史にとっても、この事案は非常に興味深い、今までに例のない発生機序、短期間ということで、これを共有しなければいけないと。今後の研究戦略の情報共有ということでワークショップを実施し、情報共有を図りました。この部分については、昨年と同様の評価ということでA評価とさせていただきました。
23ページが資料ですが、若手研究員等の育成等の問題です。ここについて数値目標はありませんが、実績的には若干の数の相違はあれ、昨年とほぼ同様の状況の中で推移しております。連携大学院制度に基づいた研究生の受入れ、その他25大学に対する客員研究等の支援、連携大学院を含む若手研究員63名の研究員の受入れということで、それぞれ従前と同様の、少なくとも昨年と同様の連携を図りながら、我々の情報共有に努めさせていただいております。この部分について、業績評価としては昨年度と同様のA評価とさせていただいております。
評価項目12は、24ページが資料で、研究協力の推進です。評価シートは25ページです。ここは、若干前のページとだぶるような内容があります。ここでの数値目標に20名の研究員の派遣受入れ、全研究課題に占める共同研究の割合を15%以上にする、という2つの数値目標があります。先ほどの項目で御説明いたしましたように、研究員の派遣、受入れを合わせると79名の交流を図っておりますので、20名に対して数だけでいうと4倍以上となります。
全研究課題に占める共同研究は、私どもが行っている全研究課題のうちで、私ども研究員が代表者であって、更に他の所に御協力をいただいている課題です。したがって、科研費等で、単なる分担研究員で、私ども研究員が関わってるものは省いております。主たる研究代表者が、当研究所の研究員という割合で33%です。昨年と比べると若干落ちておりますけれども、以下客員教授等の数についてはここにお示ししたとおりです。それぞれ数値目標は上回っております。ここも評価としては、昨年度と同等ということで、自己評価はAとさせていただきました。以上です。
○酒井部会長
委員の皆様におかれましては、評価シートの記入をお願いいたします。記入しながら、御質問等がありましたらお願いいたします。
○田宮委員
御報告ありがとうございました。いろいろ取り組まれているのは分かりましたので、少し伺います。幾つかあるのですけれども、5ページで「労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映」で、労働現場に赴いた数が289と非常に多いのはとても重要なことだと思うのです。これが、今までどうだったかというのは分かりますか。去年、それまでの。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
シートのほうには書いてありますが、174現場です。
○田宮委員
それでは、大分増えたということですね。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
これは、第2期中期計画になってから取り始めておりますので、平成23年度と平成24年度の2年度分の数字だけを現在は把握しております。
○田宮委員
特に胆管がんとか爆発とか、今年特に増えた理由としてイベント的なことがありますか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
単にイベントというよりも、できるだけ機会をということを、日頃から周知しております。ただ、実際はそれだけが目的で行っているわけではないというのが正直なところです。他の目的を持って、いろいろな情報収集に行ったときに併せてと。逆に言うと、営業をしに行くのとはちょっと違います。現場を見せてくださいということで見せていただけるわけではありません。いろいろな連携の中で、例えば他の研究のために現地に行ったときに、併せて現場を見せていただくとか、講習会等で知合いになったところで見せていただくとか、いろいろな機会を通じてということです。
○田宮委員
専門的な知見で見ていただけるということは大事なことだと思います。2点目は、12ページのプロジェクト研究の評価が、今年はかなり下がっているのがちょっと気になりました。平成23年度に比べて3.25以下が2件なのですが、これは何か理由がありますか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
正直言ってこの評価はこのとおりで、言い訳はできません。
○田宮委員
外部評価の結果ですね。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
そうです。外部の先生方の厳しい評価を受けたということです。この評価委員の方の数値の平均点を取っているものです。
○田宮委員
前にも似たようなことがあって、途中でどなたかが退出してプロジェクトが終わったとか何かあったのですが、特に何か理由はないのですか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
評価が厳しかったのだと思います。
○田宮委員
特に何かは、そうですか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
委員長が替わったということがあります。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
今回の評価結果は平成22年度と同等です。平成23年度が良くて、4を超えたものがありました、これは5課題は事後評価の課題ですから平成23年度中に研究が全て終わったものの事後評価です。こういう指摘を受けてしまいました。新規のものについてはいくらでも修正を掛けられるのですけれども。
○田宮委員
今後にいかしていただきたいと思います。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
今後に生かします。
○田宮委員
もう1つは16ページです。これは懸念なのですけれども、査読付きの業績がかなり減ってしまっています。原著論文、出版物、調査報告とか、査読付きが合わせると減っていて、解説がその分増えている。研究としては査読付きの論文というのは重要な成果だと思われますので、特に理由とか何かあれば。これは改善していただいて。今までは良かったときもありましたので、ちょっと下がってきているのが気になっています。何か理由がありますか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
今の件で補足させていただきます。平成23年においては、節電ということで、夏期において1か月間ほど実験が停止したことがあります。平成24年度は、先ほど黒谷から説明があったように、震災関係の行政要請研究、胆管がん等の調査で、かなり人材と時間を取られています。そういう影響が平成24年度に出てきたとも解釈できます。
○田宮委員
逆に、そういうのは解説となっていることもあるのですか。解説が増えていますけれども、行政からのものは解説には反映されているのですか。そういうことでいいですか。解説がその分増えていますので。
○労働安全衛生総合研究所理事長
それを解説記事に回したということではなくて、解説が増えているのは全く別個の個別の理由だと思います。解説はシリーズものでたくさん書く人が出ると急に増えることがあります。そういう効果で、重みからすれば、この査読論文のようなものとは少し違うかと考えております。
○田宮委員
是非増やしていただきたいと思います。
○清水委員
1つ質問します。知財の活用促進の所で、去年はB評価を受けていて、今回はA評価と。一生懸命活動をされたということなのですが、この活用という部分ではどのような活用があったのかをもう一回お話していただけますか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
活用されているかどうかという点ですが、私どもの特許の実施料はここにもあるように、1件で18万5,000円という限られた金額です。これは私どもの研究との関係もあり、いわゆる安全衛生に特化した研究ですので、一般のように、特許を取ったものが、一般製品として飛ぶように売れて、特許使用料が入ってくるような特許の内容ではないというのも現実的な問題です。できるだけ活用してほしいというPRはさせていただいているのですけれども、結果的に数字から見ると、活用という部分については低い数値かもしれません。
○清水委員
知財の活用というのは、他の研究機関で私も見ましたけれども非常に難しくて、特許を取ってもその維持のためにコストがかかるので、見直しを進める必要があると思うのです。少なくとも活用できないということであった場合に、特許を取る積極的な意味があるのですか。
○労働安全衛生総合研究所理事長
1つは、企業と共同で研究して取っているものもあります。実際に我々の費用面の負担はないということで、共同研究相手の企業と共同出願しているケースは幾つかあります。
○金倉部会長代理
労働災害の1つとして、胆管がんの調査研究をやられたのは高く評価されると思うのです。そういう結果といいますか、その調査をしたものを今後本当に予防できるとか、本当のがんとの関係がどうだったかとか、そういうことをするために何か積極的に推進されていることはありますか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
胆管がんの原因物質をある程度特定できればというのが一番重要で、それに関して、研究所としては6ページに示してありますように、1つの物質が原因であるとは必ずしも言えませんので、一番可能性の高い物質での混合ばく露の効果はどうか、という視点に立って実験を計画し、それを進めております。
それとともに、22ページに示しておりますように、私どもの模擬ばく露実験から得られたばく露データ及び、主として大阪市立大学の方々が、手術症例を検討したデータ、そして、産業医大の熊谷先生が現在発掘している症例のデータを労働安全衛生重点研究推進協議会ワークショップに出していただいて、今後研究をどのように進めたらいいかの検討もさせていただいているということです。
○金倉部会長代理
いろいろな化学物質ができれば、労働安全衛生総合研究所の中で割合と研究をしているということになりますか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
はい、研究所の中でもしております。ただ、これは非常に大きな問題でありまして、研究所だけで進められるものではなく、あくまでも行政と密接に連携を取りながら、研究所外で行われている研究を視野に入れながらデータを提供するという立場をとっております。
○金倉部会長代理
例えば連携をするのであれば、先ほどの連携大学院であったり、あるいはもっといろいろな専門家との共同に原因を探索していくことは必要だと思うのです。そういう会合などは何かありますか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
このワークショップがそれに対応致します。これをベースとして情報交換をしながら進めていくことになります。しかしながら、今の段階では、研究所外の方々はそれぞれ独自に積極的に進めたいと考えられており、必ずしも有機的に連携して行くという段階までにはなっていないと思います。それは、これからの問題だと思います。
○馬場委員
瑣末なことなのですが、3点確認等があります。資料の8ページで、プロジェクト研究を非常にたくさんやられているのですけれども、ここの桃色の所にも書いてありますけれども、プロジェクト研究の明確な到達目標というのは、言い換えると与えられた課題に最終結論を出すという意味で捉えたらいいのですね。どういう結果なのか、ともかく結論をきっちり出すと理解したらよろしいですね。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
はい。
○馬場委員
12ページの研究評価で、右側の事前評価の研究計画うんぬんで、他の研究機関とか大学等との重複等ということをかなり効率的にやっていると思います。具体的にこれは日本の大学とか、各研究機関で同様の研究が行われているかどうかというのは、どのようにしてその重複をチェックするのですか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
所内的には、論文検索等、それから学会等でどのような研究が現在進められているかをチェックします。その上に立って、外部評価において外部評価委員の先生方からそういう重複、無駄がないかどうかの視点からも評価して頂いております。
○馬場委員
そういうポイントで評価しているということですね。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
そういうことです。
○馬場委員
もう1点は16ページです。受賞等で、延べ9人の研究員が2つの学会から優秀論文賞等を受賞ということなのですが、これは確認なのですが9件の論文賞の受賞があったと理解していいのですか、あるいは何件か論文賞に当たって、その著者の中にこの研究所の先生方が9人おられたのか。それは、組織としての実績になれば、やはり件数で表現するのが本来妥当なので、そこのところは9件受賞したのか、それに関わったのが9人おられたのか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
延べ人数で9件、すなわち9人です。
○馬場委員
恐らく共著者が3件だから、その論文に名前が載っている。その場合は、その研究所の1つの業績として出される場合には、やはり3件であれば3件、それで延べ研究員は9人という形で記載するほうが妥当だと思います。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
そのようにさせていただきます。
○酒井部会長
他にはいかがでしょうか。1つだけお願いいたします。委員の皆さんの話を聞いていて、私も同感に思いました。確かに昨年度は胆管がんを含めて社会的に大きなことがいろいろありました。それについて、研究所の皆さんがかなりの人数を投入してされたのは、行政ミッションとして当然のことであるということと、やはり専門研究機関として高いレベルを国際的に維持するために、原著論文が欲しいという意見もあるわけです。それに対してマネジメントとして、研究者の皆さんたちにどういう説明をされているか、ということを端的に聞かせていただけますか。
○労働安全衛生総合研究所理事長
具体的に、例えば何パーセントの負荷をここに掛けようということを示して動いているということは、実際にはありません。結局のところ、それぞれの重要度を、それぞれ担当する研究者が判断し、その業務の比率を考えていくという形にならざるを得ないということです。論文を数だけ出さなくてはいけない、という態度は取りたくないということは所内に伝えてあります。
○酒井部会長
ということは、どちらかというと現実のその問題解決へ向けたことに大いに力を入れましょうということなのですか。
○労働安全衛生総合研究所理事長
その重みをそもそも1対1とは考えていません。研究所全体としてかなりのウエイトは研究論文自体のほうにあり、一部分が災害調査などというのが常態であります。平成24年のときは特殊事情ですので、これはゆっくり後で考えれば済むということではありません。
○酒井部会長
そうですね。
○労働安全衛生総合研究所理事長
そこに力を入れて、大変だとは思うけれども貢献してほしいという形で進めております。
○酒井部会長
恐らく評価者の皆さんは期待と、今後どう展開されるかというところの関係を、皆さん方に解を求めながら評価の資料を出していただきたいという期待があると思いますので、是非その辺をよろしくお願いいたします。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
先ほどの馬場委員の質問なのですが、表彰に関しては添付資料の47ページの3.表彰の所にありますように、個別件数として、5と6は重なるようですので、6件です。すなわち、延べ人数9人で、表彰件数は6件です。
○馬場委員
6件の受賞。分かりました。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
今の酒井部会長の御指摘は非常に重要なのですが、たまたま昨年に関しては、胆管がんの問題、原発事故に基づく除染の問題などが重なりましたが、何れも非常に重要な問題だったものですから、研究員もある意味非常にハイテンションで当たってもらうことができました。
○酒井部会長
そのとおりだと思います。それはよく理解できました。それでは先に進ませていただきます。グループ2として、業務運営の効率化に関する措置、グループ3の財務内容の改善に関する事項と、その他業務運営に関する事項について評価を行います。法人から10分程度で説明をお願いいたします。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
評価シート上は、13、15、19です。その順番で説明いたします。まず、内部進行管理の充実についてです。説明資料の25ページに用意していますが、御覧のとおり文字ばかりです。先ほど部会長からも御指摘がありました、資料1-3の内部統制の項目6に係る部分がほとんどで、同様の内容です。これにつきましては、ここに書きましたとおり、内部進行管理について特に昨年度と比べて大きな変更があったというものはありません。少なくとも、「理事長打合せ」という会議、役員会議、部長等会議、特に、登戸・清瀬の両地区に跨がっている地域形態がありますので、週に1回、必ずテレビ会議等を通じて両地区の情報共有を図っていく、これは引き続き実施しています。このような私どもの進行管理の問題、本日は監事も同席させていただいていますが、監事の助言に基づく適切な運営体制の整備などを従前と同様に実施しています。評価シートの28ページにありますような内容について、資料1-3の対応するページの内部統制の項目6の中にそれぞれ番号を振って書いていますので、詳細は御確認いただきたいと思います。
評価シートの28ページの真ん中から少し下にあるとおり、業務改善に対してのいろいろなことについての意見交換、特に国民からの意見を求める「国民の皆様の声募集」を行っています。昨年は1件のみです。この内容は、腰痛の防止指針を出したときに、介護施設から、この研究の内容を読んで、国に支援をもっと求めるようにという激励のメールを頂きました。苦情という趣旨ではありませんでしたことを報告いたします。以上、例年と同様ということで、昨年もAの評価を頂きましたので、それとの比較でA評価とさせていただきました。
評価項目15、資料は26ページ、評価シートは29ページです。ここの大きな数値目標が、研究資金の3分の1以上を外部資金によって獲得する、この3分の1が私どもの法人にはなかなか大きな課題です。ここにありますように、昨年度の実績は、競争的資金については1億401万円、パーセンテージで言うと18.6%。一昨年との比較では、一昨年度が21%でしたので少し下がっています。
26ページを御覧ください。競争的資金の内容を上の表に掲げています。競争的資金等には受託研究と科研費等の両方を足し合わせていますが、合計金額は平成23年度を上回っています。平成23年度が1億341万円なので、それに比べると、100万円増加し決して落ちてはいません。私どもの計算の方法は、交付金で頂いている運営費交付金の研究経費の実績を基に外部資金を足し上げて出していますが、実は交付金の実績が5,000万円ほど良かったというか、交付金の研究費が上がったので、パーセンテージは下がってしまったということです。外部研究費については、昨年度からこの評価委員会で、各法人で計算方法が違うので整理をするようにとされましたが、いろいろな経過があって、今の評価期間中は同様でいくとしています。私どもは、外部資金についてはこの1億401万円をベースに、既に内部の予算上の研究資金との比率で見ています。科研費の間接経費などというような整理の仕方はしておりませんので、その点だけ御留意いただきたいと思います。この数値目標は5年間で3分の1ということで、まだ2年度目なので目標を未達成ということになるかどうかは別としまして、いかんせん18.6%ということですので、評価はBにとどめています。
評価項目19、資料は27ページです。「公正で的確な業務の運営に向けた取組」ということで、研究関係について私から説明いたします。個人情報の管理については、ここにあるとおり、当然のことです。特に数値目標はありませんが適切に実施しているつもりです。1件、情報公開請求がありました。これは、胆管がん関係の取材対応で、最終的には取下げになっています。
研究倫理関係については、資料の27ページです。昨年度は審査件数が33件、一昨年の30件に比べて増えていますが、一部条件付き等も含めて審査結果のとおり対応しています。あとは、動物実験の審査委員会、それから、科研費の内部監査。今回いろいろな事件もありましたので、今後はこの部分の不正使用防止についてはより厳しくなる方向だと思います。本日同席していただいている会計監事同席の上で研究員以外の担当者がやっていて、適切に行っています。また、利益相反報告についても審査は順調です。先ほど一部紹介いたしましたが、国民の声についても、ここに記載のとおりです。以上、当該項目についてはA評価を頂いた昨年と同様ということで、A評価とさせていただきました。
○酒井部会長
それでは、記入をよろしくお願いします。御質問、御意見等いかがでしょうか。
○金倉部会長代理
26ページです。収入について、受託研究が平成22年ぐらいから徐々に件数が落ちてきていますが、これは何か理由がありますでしょうか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
実は、平成21、22年度はNEDOという機関の研究費なのですが、施設整備費がそのまま億単位で乗っています。これは研究施設をつくばに設置しましたが全てNEDOに帰属するということで、私どもが頂く純粋な研究費金額が少ないです。当時、パーセントをカウントするときには入れておいたほうがいいのですが、今から見ると本当は省いておいたほうが数字の比較上は分かりやすかったかもしれません。平成23、24年度はそういったものが入っていません。
○馬場委員
今の所に関連しますが、26ページです。確かに外部資金は厳しい状況にあると思います。この表の一番下に、今後の改善策として、理事長・理事によるうんぬんと書かれています。同じように、例えば競争的資金の科研費等について、研究員が積極的にアプライするという、そのための仕組み、仕掛け等をこういう表に書かれたほうがいい。中期計画全体で3分の1以上としようというのは分かりますが、特に科研費に関しては、大学等、我々も計画と実態とは随分乖離が出てくるのです。その場合に、応募件数をどんどん増やしていく、それを数値に取って、採択されるかどうかというのは結果論ですから、評価委員に対して、これだけ応募件数を増やしているということをアピールするようなことをよくします。いずれにしても、執行部による外部資金の獲得と、もう1つ、研究員による獲得を支援していく、それを併せて書かれたほうが理解しやすいと思います。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
アピールすべきという点については当然です。ただ、基本的に、私どもの方針としては、研究員1人1件としています。
○馬場委員
1人1件ですか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
はい。そのようには指示しています。ただ、御承知のように、連続しては取れませんので、そういった意味では、数が前後しています。昨年も採択数は多いのですが、個々の金額が低かったので伸びていません。その辺は難しい。数の問題と中身の問題と。
○馬場委員
厚労科研は知りませんが、文部科研であれば、1人が複数取れます。一般研究と萌芽などですね。ですから、実際には1人1件以上出している所は各機関多いと思います。応募件数を増やさない限り獲得は増えませんので。
○労働安全衛生総合研究所理事長
先ほどの、1人1件というのは平均1件ということです。
○馬場委員
分かりました。
○労働安全衛生総合研究所理事長
出そうとしてもどうしてもゼロの人もいますし、複数出している人もいます。それから、研究テーマをたくさん抱えると、それでハッピーかというと、必ずしもそうではありません。もともとの業務としての研究がある上に、更にまたやるということで、実際に能力がある人は大口のところに既に張り付いていて、それプラスアルファというと、どうやってそれをこなせばいいのかという声もなくはありません。そのバランスは難しいところだとも考えています。
○馬場委員
ということは、競争的資金について、科研に関しては、この件数、数値は妥当な数値であると理解されているということですね。
○労働安全衛生総合研究所理事長
妥当というほどではありません。獲得の件数に関して現状は足りないレベルではあると思いますが、取れる人はもう既に目一杯抱えていて、取れない人をいかに取れるようにするかが悩ましいところです。
○酒井部会長
関連してお聞きします。35件で3,000万円ということは、代表者が22件もありながら、1件当たり100万円いっていませんね。非常に小型のものである。厚労科研を含めて、研究所としてこういうものでやるという、かなり大型の、AやBという基盤でいくというものが少ないということなのでしょうか。ということは、理事長がおっしゃったように、先ほどの1グループの話とつながりますが、例えば胆管がんなど、そういったものの費用は、科研費ではなくて、ほかの仕組みのお金が研究所にきていて、もしかすると、研究所としては、できる人たちというかやっている方たちがそれでかなり満足していて、科研費への挑戦意欲が下がっている。それで、ほかの委員の方からもあったように、原著論文が出にくいという構造になってはいないでしょうか。なっていなければよろしいのですが。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
後で報告していただいて、少なくとも私どもが研究調整の管理から見ますと、今の交付金の計画でやっている基盤的研究などでかなり一杯一杯だと理解しています。厚労科研費は当然ほしい、やりたい。だけれど、時間的な余裕が厳しいというのも事実です。この外部資金の獲得の議論の中で、交付金がどんどん減っていく、予算的に厳しくなる中で、自前で頑張っていくべきだということ、これは当然だと思うのですが。そう言いながら、平成23、24年度は震災絡みだとか特殊事情が入ってきたので、緊急性などで、予算的にも人員的にもそちらへ投入しなければいけないということが続いてきたこともあります。これからはこれが少し落ち着いてきた中で、部会長がおっしゃったような部分について、研究員に対してどうパフォーマンスを上げさせるかというのは大きな課題だとは思っています。決して意欲が削がれているということではないだろうと分析しています。
○酒井部会長
ただ、3分の1という数値目標を出されていて、それでこちらは見ざるを得ないのです。そこのところは、今年度、来年度、5年の中期の中ではきちんと帳尻が合うようにいきますということを言っていただければ、それは評価されると思いますが、いかがでしょうか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
この3分の1が、どこまで行っても。先ほども申し上げましたように、今の金額でも、交付金の予算が下がってしまえば、3分の1にいってしまうのです。大変下世話な言い方ですが。逆に言うと、今の交付金の中でやるべきことを一生懸命やればやるほど、ここに投入できる部分が減っていきますから、人員が増えるなどでパフォーマンスが増えてくればできるのですが、この3分の1というのは、計算の仕方もありますが、私どものような研究所では正直言って厳しい。例年同じことを繰り返し言っております。
○労働安全衛生総合研究所理事長
3分の1につきましては、到達に向けて努力する目標であると理解しております。なかなか到達は難しいけれども、そこに向けて努力しているというような現状です。
○酒井部会長
いかがでしょうか。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
もう1つ、補足させていただきます。いわゆるプロジェクト研究や基盤的研究においても、原著論文をしっかり作るように働き掛けており、評価の重要な指標ともなっておりますので科研費がないからモチベーションが落ちるということはありません。胆管がんに関しても、ああいう重要な問題だということで、急遽、300万円ほどの研究費を設定して、基盤研究を立ち上げました。既に論文が2つ投稿されております。
○酒井部会長
よろしいでしょうか。それでは、先に進めさせていただきます。グループ3まで終わりましたので、グループ4「その他業務運営に関する事項」の残り2項目について、よろしくお願いします。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
もう1つ前の14からです。業務運営の効率化に伴う経費節減から、総務部長が説明いたします。
○酒井部会長
失礼しました。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
総務部長の尾花です。どうぞよろしくお願いいたします。第2「業務運営の効率化に関する措置」のうち、「業務運営の効率化に伴う経費節減」に関して説明いたします。評価シートでは35ページ、資料は28ページです。
評価シートの評価項目14に記載しています数値目標は、中期目標期間中において、平成22年度運営費交付金から、ここに「一般管理費(退職手当を除く)」と書いてありますが、「一般管理費(人件費を除く)」と改めます、これについて15%、また、事業費にも「(退職手当を除く)」と書いてありますが「(人件費を除く)」と改め、事業費について5%に相当する額を節減すると書かれています。平成24年度は平成22年度に比べ、一般管理費で-19.5%、業務経費で-8.2%の削減を達成しました。
数値目標の2番目にある常勤の役職員の人件費についてです。これは退職手当、福利厚生費、人事院勧告分を除いたものの数値目標は、毎年度1%以上節減するとしています。平成24年度の実績では、-5,6%の削減を達成しました。
資料の29ページを御覧ください。経費の節減については引き続き随意契約の見直しに努めてまいりました。その結果、平成24年度の随意契約は、29ページの右の上の表にあるとおり件数では4件、契約金額では約3,900万円までに減少しました。4件の内訳は、水道契約が2件、ガス契約が1件、私どもの財務諸表の官報掲載の官報公告が1件ありました。随意契約の件数については、平成21、22年度が5件でしたが、平成23年度は緊急に実施しました労働災害の現地調査を1件計上しまして、6件となっています。
右下の表は、省エネルギー対策の推進について取りまとめたものです。光熱水料の支出額の実績については、対前年度比で17.8%の増加となりました。これは、先ほどからも説明していますが、平成23年度の東日本大震災の影響で、当研究所の研究体制が若干制限を受けまして、平成23年度の状態を平成24年度には通常化、正常化しましたことによる光熱水料の伸びです。また、電気料金の大幅な値上げが平成23年度に引き続き行われたことにより、表にあるとおり、光熱水料全体の増加分1,400万円のうち電気料金は1,081万円増加しています。なお、電気の使用量に特化して見ますと、黄色の棒グラフで表示しているとおり、平成24年度と比較すべき平成22年度と比べますと、-15.5%となっています。以上の内容については、別添資料1-3の9~11ページ、項目5に詳しく説明いたしました。
評価シートの36ページ、資料は30ページの「国家公務員及び他の法人との給与水準の比較」についてです。労働安全衛生総合研究所は独法化以前は国の付属研究機関でしたことから、国家公務員に準拠した給与規程となっています。平成24年度のラスパイレス指数は、研究職の対国家公務員比較で91.4、対他法人比較で91.7となっています。事務・技術職の対国家公務員比較は102.1、対他法人比較では96.0となりました。人事院が算出するラスパイレス指数においては、基本給のみならず、地域手当、扶養手当、住居手当なども算入されますので、これらの手当の支給状況によって、事務・技術職において対国家公務員(行政職(一))比較で100を若干上回る結果となりました。以上の内容については、別添資料1-3の4ページ、項目3に記載しています。以上、経費の大幅な節減及び人件費の削減に努力しましたことをもちまして、自己評価についてはAとしています。
引き続き、資料の31ページ、「予算、収支計画及び資金計画」について説明いたします。評価シートは39ページです。評価項目16に記載した数値目標は、評価項目14の数値目標と同一です。中期目標期間中において、新規業務追加部分を除き、平成22年度運営費交付金から人件費を除いた一般管理費について15%、人件費を除く事業費について5%に相当する額を節減するとしています。当研究所においては、中期計画に示された数値目標に基づく年度予算の範囲内で予算を執行し、節減目標を達成しました。表のとおり、人件費は予算額に対する執行率が93.4%、一般管理費は85.9%、業務経費は93.7%でした。なお、予算の執行に際しましては、業務の進行状況と予算執行状況を把握しまして、適宜、見直しを行っています。
以上の経費節減は、一般競争入札の徹底や光熱水料の節減に努めたこと、また、研究設備や機器の購入、保守管理・メンテナンス等について、仕様書の見直しや入札公告を厚生労働省の掲示板に掲示するなど周知に努めたこと等によって、1者応札の割合を大幅に削減することができたことが影響していると考えています。別添資料1-3、10ページの項目5に、随意契約等の見直し計画の進捗状況を示したとおり、競争性のある契約のうち1者応札・応募は、平成20年度実績の43件から平成24年度は29件と大幅に改善しました。以上、数値目標を上回る経費の大幅節減に努めましたので、自己評価をAといたしました。
○酒井部会長
グループ2、3について説明していただきました。いかがでしょうか。記入をしながら、御質問いただきたいと思います。御質問はよろしいでしょうか。御記入はいかがでしょうか。少し時間が押していますので先に進めさせていただきます。グループ4「その他業務運営に関する事項」の残りの2項目について、よろしくお願いいたします。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
引き続きまして、第6「その他業務運営に関する事項」について説明いたします。資料は32ページの「人事に関する計画」を御覧ください。評価シートは41ページです。
評価項目17に記載しています数値目標は、当年度末の常勤職員数の見込みを104人としています。当研究所の平成24年度末の常勤職員数は101人でしたので、数値目標を下回っています。左側に記載のとおり、資質の高い人材を採用するため、公募情報を広く周知し、若手任期付研究員の採用を実施しました。表にまとめています。平成24年度は公募に応募した11名の中から3名を任期付研究員として内定しています。そのうち1名は平成24年7月1日に採用、2名は平成25年4月1日に採用しています。
次に、研究員の人事評価についてです。研究業績、対外貢献、所内貢献の3つの観点から研究員の評価を行っています。その結果については、昇格・昇給等の人事並びに総合業績優秀研究員表彰、研究業績優秀研究員表彰、若手総合業績優秀研究員表彰に反映させました。これらの評価に当たりましては、公平かつ適正に行うため、研究員の所属部長、領域長、役員等が多面的に評価を行うシステムとしました。
右側の下段は、人件費総額の見込みについてです。平成24年度における人件費の総額は8億1,837万円となりました。これは、平成24年度の年度計画における人件費の見込みを約1億4,270万円下回るものです。常勤職員数の実績及び人件費総額の実績から、自己評価はAとしました。
続いて、資料の33ページ、「施設・設備に関する計画」について説明いたします。評価シートは42ページです。評価項目18の評価の視点として「施設・設備の耐用年数、用途、使用頻度等を勘案して、計画的に更新・整備を進めているか」とあります。当研究所の施設整備については、平成23~27年度の整備計画を資料の表にまとめています。平成24年度に計画されていました太字で書かれている工事2件につきまして、年度計画どおり実施することができました。以上の実績から、自己評価はBとしています。
○酒井部会長
記入をよろしくお願いいたします。御質問はいかがでしょうか。
○清水委員
人件費について質問いたします。人件費総額の見込みが9億6,100万円に対して、8億1,000万円ぐらいと、相当な節減ですが、この中身は具体的に何ですか。なぜこれほど下げることができたのでしょうか。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
1つには、国家公務員の給与特例法が実施されまして、平成24、25年度は約10%程度節約を要請されています。これを当研究所としては受けています。
○清水委員
なるほど。それは法律ではないにしても、10%というのはどこもやったことですね。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
そうです。それから、中期計画は104人をベースにしていますが、私どもは現在101人で推移していますので、若干、その分の隙間があると考えています。
○清水委員
ということは、3人の補充については、今期などにするということですか。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
できれば、私どもとしては研究員の補充をしていきたいと思っています。
○清水委員
そうすると、来期というか、平成25年度の人件費の増加要因になるということになるのですか。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
平成26年度以降です。
○金倉部会長代理
これを見ますと、平成22年度に任期付きとして採用した7人のうち、平成24年度に任期のない職員として採用されている。一般的には、研究員は任期付きから任期なしにしていくというシステムになっているのですか。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
3年間、若手研究員として任期付きの方を採用しています。3年の任期ですが、2年経過した時点で審査を行います。その方が当研究所にとってパーマネントというか、任期を付さない研究員として相応しいかどうかという審査を、約2年終了した時点で行っています。それで合格しますと、3年終了した時点で当研究所の正式な研究員として採用します。
○金倉部会長代理
任期付きの研究員というのが、募集数が少ない1つの要因である可能性があるような気がしますが、それは余り影響はないのでしょうか。
○労働安全衛生総合研究所総務部長
平成24年度の数字は、募集しました研究分野が、なかなか応募していただけない、疫学の分野の方を募集しました。その結果、応募人数は若干少ないという感じです。
○金倉部会長代理
了解しました。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
任期付き研究員は、当然、定員としてカウントしていますので、3年たったらいなくなるという前提は一切ありません。当然に3年後も職員として残っていただくという前提で採用を始めていますから、この101人の内訳に入っています。簡単に言いますと、1人辞めない限り1人は募集できませんので、毎年定期的にということではなく、欠員補充をする。それから、今は104人に対して101人で、3名の余裕がありますが、目一杯採ってしまうということもありますが、人件費枠がありますのでオーバーはできない。ですから、常に余力があるようなことも含めて、本当に必要な人材を適切な予算の範囲で採用していく。ですから、来年度の退職者が出るような見込みのときには、実は今は募集をかけて、来年度以降の採用というように、計画的に行っています。
○田宮委員
32ページの人事のところについてです。任期付きの研究員の応募者数がかなり少なくなっています。先ほどの話では、疫学という分野だったので少ないというお返事でしたが、確かに、疫学はそう多くはない分野ですが、この頃は公衆衛生大学院などもかなり出てきていますので、もう少し国の研究機関に応募があってもいいのではないかという気がします。公募期間が十分にあったのかという点や、情報をJRECだけではなく、直接に大学等に配っていらっしゃるのか、公衆衛生大学院等も是非ターゲットにしていただければ、もっと増えるのではないかと思います。その辺の状況が分かれば、お伝えいただき、改善もいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長
疫学については、一度、募集をかけて1名決まったのですが、諸般の事情で御辞退があって、再度募集。ここ数年ずっと募集をかけていてもこの状態です。本当に絶対数として少ないということと、私どもの研究にとっての疫学の適切な人員としてどうかということもあります。公衆衛生は本当に人がいないようです。かなり個別に情報提供しているのですが、送り込むどころではなくて、自分の所で欲しいという大学が多いというような現実です。疫学でもいろいろ分野がありますので。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
私どもが求めている、大学院を卒業して、労働衛生を主とした産業疫学を学んでいるという人はほとんどいないのが現状です。一般的に疫学を学んでいる方はいらしても、産業疫学の経験がない方が我々の研究所に入ってきてもすぐには実戦力にはなりません。そういう意味で、現実的には中々いないということです。
○田宮委員
そうなると難しいのは分かるのですが、OJTで対応されるとか、疫学の基礎がきちっと分かっておられれば応用も利くのではないかと思います。やはり、応募が少ないと優秀な人材を採ることがだんだん難しくなってきます。では、今の段階は、既に産業医学の疫学ができる人という公募要件になっているわけですね。その辺はもう少し幅広く。私も公衆衛生なので人材不足は分かりますが、重要な分野なので。
○労働安全衛生総合研究所理事(小川)
おっしゃるとおりですが、我々独立行政法人はますます外から厳しく見られており、プロジェクト研究でもすぐに業績を確実に上げていかないと駄目だというときに、ゼロから2、3年教育をしてという余裕を持つことは困難な状況です。採用したらすぐ動いてくれるような方が必要だということです。
○田宮委員
連携大学院などもされているようなので、その辺も活用して。疫学的にきちんと判断しないと、リスクの評価などの難しい分野なので、難しい状況はよく分かりますが、何とか優秀な人材が採れるように工夫していただきたいと思います。
○酒井部会長
御議論はいかがでしょうか。一通りお伺いしましたが、最後に、これだけ聞き逃がしたというものがあればお聞きします。よろしいでしょうか。評価官室から何かございますか。
○政策評価官室長補佐(和田)
評定記入用紙の記入が終わらない委員の方は、本部会終了後に会場に残って評価していただくか、若しくは、評価シート及び評定記入用紙を持ち帰って御記入いただくことが可能です。なお、後日、評定記入用紙を御提出される場合は、冒頭で説明いたしましたとおり、8月7日(水)までに御提出をお願いいたします。
○酒井部会長
労働安全衛生総合研究所の個別評価について審議を終了させていただきます。
もう1つ、本日の議題になっておりました、役員退職金規程の変更につきましては、事務局から最初に説明をいただき、続いて法人からも説明していただきます。
○政策評価官室長補佐(和田)
労働安全衛生総合研究所理事長から厚生労働大臣に対して、役員退職手当支給規程の変更について届出されています。独立行政法人評価関係資料集の32ページの独立行政法人通則法第52条を御覧ください。この中で、特定独立法人の役員の報酬や退職手当を変更する場合は、法人は主務大臣に届けることになっています。また、第53条により、厚生労働大臣は届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知すること、同じく第2項で、評価委員会はその通知に係る報酬等の基礎が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて厚生労働大臣に対して意見を申し出ることができるとされています。当研究所は特定独立行政法人ではありませんが、資料集の35ページの下にある第62条で、第52、53条は特定独立行政法人以外の独立行政法人にも準用することとなっていますので、今般、この度の役員退職手当支給規程の変更が社会一般の経済情勢に適合したものであるかどうかの観点から御意見を伺うこととしています。
○酒井部会長
それでは、法人から説明してください。
○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)
総務担当理事の福澤です。役員退職金規程の改正について、資料1-6と資料1-7を使って説明いたします。まず、資料1-6を御覧ください。
改正の趣旨は、先日、国立健康栄養研究所と医薬基盤研究所から説明があったものと同じです。退職給付の官民格差解消の観点から国家公務員退職手当法が改正され、独法においてもこの改正の趣旨に準じて必要な措置を行うよう厚生労働省から要請があり、これを受けて、当研究所役員の退職金の支給水準を引き下げるよう措置したものです。
引下げ措置の具体的内容は、資料1-6の2「改正の内容」のとおりで、従来の退職金計算式に改正された国家公務員退職手当法と同じ調整率を掛けまして、同じ時期に段階的に引き下げていくものです。
○酒井部会長
委員から御質問、御意見はございますか。本部会としては、説明いただいた変更については意見なしということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)
○酒井部会長
本日の議事は以上です。事務局から連絡事項があればお願いします。
○政策評価官室長補佐(和田)
次回の開催は、8月21日(水)9時半から、場所はこの建物の6階、厚生労働省共用第8会議室です。議題は、「医薬基盤研究所、国立健康栄養研究所、労働安全衛生総合研究所に係る総合評価」です。
○酒井部会長
本日は以上です。長時間にわたり熱心な御審議をありがとうございました。終了いたします。
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