ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第43回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録(2013年8月2日)




2013年8月2日 第43回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成25年8月2日(金)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第18~20会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館)


○議題

1 臍帯血供給事業者の倫理審査委員会について
2 非血縁者間移植において公的バンクを介すべき疾病について
3 基本方針(案)骨子について
4 その他

○議事

○吉田室長補佐 出席御予定の委員がおそろいになりましたので、ただいまから「第43回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会」を開催いたします。
 本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、今村委員、梅田委員、武藤委員、山口委員、吉村委員から御欠席との連絡をいただいております。
 ここで、健康局審議官の高島から御挨拶申し上げます。
○高島審議官 きょうもお忙しいところ、また暑い中をお集まりいただきまして大変ありがとうございます。
 きょうも幾つか議題を予定しておりますけれども、基本的には基本方針の策定に向けましてこうしたものを用意しております。これから、基本方針の最終的につくるものに向けまして議論を集中していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 きょうも、よろしくお願いいたします。
○吉田室長補佐 臓器移植対策室長に異動がございましたので、紹介させていただきます。
○泉臓器移植対策室長 7月2日付で臓器移植対策室長を拝命いたしました泉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉田室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 本日、資料につきましては配付資料、議事次第をごらんいただきますと資料1~4とあります。
 資料1として、いつもお配りしているこれまでの委員会での主な御意見。
 資料2といたしまして、「臍帯血供給事業者の倫理審査委員会について」という資料。
 資料3といたしまして、「非血縁者間造血幹細胞移植適用疾病」と書かれた資料。
 資料4といたしまして、基本方針の骨子です。
 さらに参考資料ですが、参考資料1として法律の条文。
 参考資料2といたしまして、「非血縁者間移植において公的バンクを介すべき疾病について」という資料を御用意しております。お手元におそろいでしょうか。
 また、机の上にはこれまでどおり法律の参考資料と、第34回以降の委員会の資料をまとめたファイルを置いてございますので、議論の際の参考にしていただければと思います。
 それでは、議事進行を委員長にお願いしたいと思います。
 報道のカメラがいらっしゃいましたら、御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○小澤委員長 法施行に向けた議論の第10回となります。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事次第に従って議事に入りたいと思います。
 最初の議事は、「(1)臍帯血供給事業者の倫理審査委員会について」であります。前回の委員会で、さい帯血バンクの倫理審査委員会の構成について御質問がありましたので、事務局に調べていただきました。倫理審査委員会の留意点と合わせて、事務局から説明をお願いします。
○西脇室長補佐 それでは、資料2を用いまして「臍帯血供給事業者の倫理審査委員会について」の御説明をいたします。
 前回の委員会で、臍帯血を「研究目的で利用・提供する場合の審査手続き」について御議論いただきました。その際に、1枚目の下のスライドですけれども、臍帯血供給事業者の倫理審査委員会の審査を経た上でその提供を行うとしておりましたが、委員の構成について御質問いただいておりました、各バンクに問い合わせをしました結果を御報告いたします。
 2ページ目の上ですけれども、それぞれのバンクでの倫理的課題を審査する機関についてです。全てのバンクで外部委員が入っております。そして、主な議題としましてはヒトゲノム解析に関する研究や臨床研究などとなっています。
 2枚目の下は、それぞれの倫理審査委員会の委員の構成ですけれども、全てのバンクで医師、そして法律・倫理関係の専門家が入っており、複数分野の専門家により検討が行われております。
 3ページ目の上で「倫理審査委員会の構成の留意点について」ですが、倫理審査委員会における審査は適正に行われる必要があることから、委員の構成については次の点に留意することとしたいと考えております。
 臍帯血供給事業者以外の外部の委員が含まれていること。医師を含む医療関係者が含まれていること。そして、法律・倫理関係の専門家が含まれていること。このような点に留意していただきたいと考えております。以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、事務局の説明を踏まえ、質疑、議論をお願いいたします。何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特にありませんか。
 それでは、議題1はこれまでとさせていただきます。
 次に議事の(2)で「非血縁者間移植において公的バンクを介すべき疾病について」にまいります。
 この議題につきましては、昨年12月の第34回の委員会で日本造血細胞移植学会に同種造血幹細胞移植が施行されているもののうち、その適用が広く合意されている疾病について御意見をお伺いしておりました。
 その際、この疾病を定めることの意味について御議論もありましたので、まず事務局のほうからここで定められた疾病の意味について説明をしてもらった後、日本造血細胞移植学会理事長でいらっしゃる岡本委員から、学会でおまとめいただきました報告をいただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
○西脇室長補佐 それでは、まず事務局から疾患の意味について御説明いたします。
 本日の参考資料-1に法律の条文をつけておりますけれども、1ページ目の第2条の2という括弧の中です。「造血機能障害を伴う疾病その他の疾病であって厚生労働省令で定めるもの」と書いてあります。
 この疾病に関しまして、資料2にありますように、第34回の当委員会で非血縁者間移植において公的バンクを介すべき疾病について日本造血細胞移植学会に、日常臨床において造血細胞移植が施行されているもののうち、その適用が広く合意されているものの検討を依頼しておりましたので、その御回答の前にこの疾患を定める意味について御説明したいと思います。
 この非血縁者間移植において公的バンクを介すべき疾病、これを仮に適用疾病と呼びますと、適用疾病の位置づけ、意味合いについてですけれども、今回の法律では適用疾病を厚生労働省令で定めるとしています。これは、特に公的バンクを許可制としたことの関係で、この法律が適用される範囲を明確にするために法律が要請しているものです。
 もう少し説明を加えますと、公的バンクが許可制になるということは、裏を返せば許可を受けていない者が公的バンクと同様の事業を行うことが禁止され、違反した場合には罰則がかかることとなります。
 その許可を受けてない者が行うことが禁止される範囲、それが公的バンクの業務範囲となるわけですが、そこを明確にするために適用疾病を定める必要があるということです。
 そして、適用疾病に対して非血縁者間移植を受ける場合には、必ずこの法律の規定に基づいて許可された公的バンクを介して行うことになるということを意味しております。
 御留意いただきたいのは、ここに挙げる疾病以外の疾病に対して、公的なバンクを利用して移植を受けることを禁止するものではないということです。また、適用疾病に掲げられる疾病以外に対する造血幹細胞移植は、基本的には臨床試験の範囲として行われることになります。そのようなものには、ヒト間細胞を用いる臨床研究に関する指針や、臨床研究に関する倫理指針に従って行っていただくことになります。
 さらに、今回国会に提出されております再生医療の新しい法律の規制の対象となり得るため、必要に応じてそれらの法律の規制を受けることが考えられます。以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。
 続いて、岡本委員から御報告をいただいた上で、いろいろ質問を受けたいと思います。岡本委員、よろしくお願いします。
○岡本委員 昨年の12月に小澤委員長からの宿題をいただきまして、造血細胞移植学会では、この非血縁者造血幹細胞の、斡旋業者から提供される造血幹細胞を使用して施行すべき疾患のリストアップということについて議論をしてまいりました。
 造血細胞移植学会にはガイドライン委員会というものがございまして、まずそのガイドライン委員会で議論をしていただき、同時に理事会でも意見を求めました。次に挙がってきた案を私がまとめまして、再度ガイドライン委員会に検討をお願いし、最終案を理事会で審議し大体の体裁を整えたものが皆様のお手元にある適用疾患(案)です。
 これは、言葉をかえていいますと、ドナーの善意の適正使用をしっかりと担保する適用疾患リストという概念で考えております。
 しかしながら、移植という領域においてはやはり症例数もそれほど多くありませんし、通常のエビデンスの高いものだけを取り上げるというわけにはいきませんので、これまで移植が施行された症例数や現時点でのエビデンスレベルを参考にしながらも、エキスパートオピニオンとして日常臨床において同種造血幹細胞移植がコモンプラクティスとして実施され、その適用が広く合意されている疾患という形でリストアップをしております。
 見ていただきますと大項目が挙げられていて、その下に細分類をした形で各疾患が記載をされているという形になっております。この適用リストというものを作成する中でいろいろと議論がありました。先ほど西脇先生からお話がありましたように、移植をしてはいけないというものではないということですけれども、移植の領域の進歩も非常に早いものがございます。したがいまして、この適用リストが決まってしまって、これが未来永劫続くということになっていきますと、やはりいろいろなところで支障が出てくるということで、できれば適宜の見直しをしっかりと行っていくことが必要と考えます。移植医療の進歩をこの法律で担保していくわけですが、その中で出てきたエビデンス、新しい発見というものを、この適応疾患のリストにうまく移し込んでいくことがぜひとも必要ではないかという議論がありました。それを追加し、この点を是非前向きに検討いただきたいと考えます。以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。岡本委員におかれましては、学会内で精力的に御議論いただきまして案を取りまとめていただき、感謝申し上げます。
 ただいまの事務局、岡本委員からの御説明について、御質問等はいかがでしょうか。何かありますでしょうか。非常に詳細なリストを作成していただきましたけれども、いかがでしょうか。
 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 まず初めに、遅刻してまいりまして御迷惑をおかけしました。申しわけございません。
 内容については、私は全くないんですけれども、大きな分類で1~16まであって、その中に小項目としてあるのですが、21番以下は丸がついていない。多分パソコンの関係で丸がつけられないんだろうと思ったのですけれども、16番は全部丸がついていないのですが、これは何か意味があるのかということだけ確認したいと思います。
○岡本委員 私のパソコンの使い方がよくわからないことが反映されているだけでございます。済みません。
○小澤委員長 そのほか、いかがでしょうか。何か御質問ございますか。適用疾病の範囲を定めるということの意味合いについてもよろしいでしょうか。
 前回は随分議論があったのですけれども、きょうは余りないようですが、よろしいですか。
 それでは、議題2に関しましてはこのあたりとさせていただきます。
 次に、きょうのメインでありますけれども、議題3の基本方針案骨子についてであります。第34回の委員会以降、議論を重ねてまいりましたが、これまでの議論をもとに基本方針の骨子案を事務局にまとめてもらいましたので、資料について事務局から説明をお願いいたします。
○吉田室長補佐 それでは、基本方針の骨子につきまして御説明申し上げます。
 まず、大変恐縮でございますけれども、参考資料の1として添付しております法律の条文資料、ちょっと縦と横が入り乱れていますけれども、下のページで3ページというところをごらんいただけますでしょうか。
 縦のものを横に引っくり返していただくと、第9条というところで厚生労働大臣は基本的な方針を定めるとされてございます。まさにこれが今まで議論していただいた基本方針と呼ばれるものでございまして、記載事項につきましては次の9条の第2項で1号~4号まで記載する事項が定められているところでございます。
 この基本方針につきましては、最終的には厚生労働大臣の責任において大臣告示の形で定めることになるものと考えてございますけれども、その前提といたしまして、これまでこの委員会におきまして第34回以降、本日も含めますと10回にわたりまして精力的に御議論いただいてまいりましたので、その議論を踏まえまして今回骨子を作成させていただいております。
 それでは、資料4をごらんいただけますでしょうか。
 資料4の基本的な方針案の骨子ということで、1ページ目には目次を記載してございます。先ほど御説明した法律で定められた記載事項の区分け、一、二、三、四とございまして、そのもとに小見出しをつける形で整理させていただいております。
 おめくりいただきまして、2ページ以降、読み上げる形でございますけれども、骨子の内容を御説明させていただきたいと思います。それでは、2ページ目のほうに移ります。

一.移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する基本的な方向

1.現状
・ 造血幹細胞とは、骨髄、臍帯血等に多く含まれている血液のもととなる細胞であり、造血幹細胞移植は、血液のがんと言われる白血病等に有効な治療法。通常の抗がん剤投与よりも強力な治療が可能になるほか、造血機能の回復、免疫系異常の改善等の治療効果が期待される。
・ 代表的な血液がんである白血病及び悪性リンパ腫の患者数を見ると、それぞれ約7千人、約1.3万人(平成23年厚生労働省「患者調査」)。
・ これらの者に対しては、化学療法、放射線療法等が行われ、一部の者については造血幹細胞移植が行われる。
・ 高齢化に伴う骨髄異形成症候群等の患者の増加や、骨髄非破壊的前処置の進歩による移植年齢の上限の引上げ等を受けて、高齢者を中心に造血幹細胞移植の件数は増加。
・ 一方、分子標的治療薬等の新薬開発等により、造血幹細胞移植の実施が減少している疾患も存在。
・ 平成24年度における非血縁者間での造血幹細胞移植の件数を移植細胞ソース別に見ると、骨髄移植1,321件、末梢血幹細胞移植15件(公益財団法人骨髄移植推進財団(以下「骨髄移植推進財団」という。)調べ)、臍帯血移植1,199件(日本さい帯血バンクネットワーク調べ)。
・ 造血幹細胞の提供に係る医療機関の状況を見ると、骨髄については、非血縁者間骨髄採取認定施設が171施設、非血縁者間骨髄移植認定施設が171施設(平成25年6月末日現在、骨髄移植推進財団調べ)。
  末梢血幹細胞については、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設が55施設、非血縁者間末梢血幹細胞移植認定施設が54施設(平成25年6月末日現在、骨髄移植推進財団調べ)。
  臍帯血については、臍帯血採取認定施設が98施設、臍帯血移植認定施設が210施設(平成25年6月末日現在、日本さい帯血バンクネットワーク調べ)。
・ 世界的には、非血縁者間での造血幹細胞移植において末梢血幹細胞移植が最も大きな割合を占めているが、我が国では非血縁者間末梢血幹細胞移植の占める割合は小さい。
・ 造血幹細胞移植は、「患者」と「医療機関」だけでは成立せず、任意・善意の下での「提供者」があって初めて成り立つ。国民の理解が不可欠。
・ 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者数や臍帯血の公開数は増加しており、造血幹細胞の提供に関する国民の理解は着実に広がってきている。
・ また、国民の理解を得て、広く造血幹細胞移植が実施されるためには、造血幹細胞の提供に当たっての公平性を担保するための「あっせん機関」が必要。これまで、骨髄バンクが骨髄、末梢血幹細胞のドナーのあっせんを、さい帯血バンクが臍帯血の保存、供給等を実施。
・ 骨髄移植推進財団は、骨髄バンク事業の中心として、平成4年から骨髄移植のためのコーディネート業務を実施。加えて、平成22年からは末梢血幹細胞移植のコーディネートも開始。これまでに合わせて1万5千例を超える移植をコーディネート。
・ ドナーコーディネート開始から骨髄提供までの期間(中央値、骨髄移植推進財団調べ)を見ると、平成15年には147日を要していたものが、平成24年には122日となっており、短縮。
・ しかし、欧米と比較すると依然としてコーディネートに時間を要しているとの指摘。
・ 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者数については、平成25年6月末日現在で43万人を超えている。理論上、骨髄移植、末梢血幹細胞移植を必要とする患者に適合するヒト白血球抗原(HLA)型のドナーが95%の確率で見つかる水準。
・ HLA型が適合したドナーとの間で、移植に向けたコーディネートを開始しても、ドナーの都合がつかない、ドナーに連絡がとれない、ドナーの家族の同意が得られない等の理由により、骨髄、末梢血幹細胞の提供につながらない事例が相当数存在。
・ さい帯血バンクの取組みは、平成7年以降広がりを見せ、各地でさい帯血バンクが設立。平成11年には公的さい帯血バンク事業が開始され、日本さい帯血バンクネットワークが設立。平成25年6月末現在で全国に8つのさい帯血バンクが存在。
・ 年間約1,000件を超える臍帯血移植がさい帯血バンクを介して実施。これまでの累計は1万例に達しようとしている。
・ さい帯血バンクが保存している臍帯血は、順次増加。現在では約2.5万個の臍帯血が移植用に公開。実際に移植に用いられている臍帯血を見ると、総細胞数の多いものの利用率が高い。
・ 日本赤十字社は、骨髄バンク事業において骨髄移植推進財団と協力して骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録業務を担う。臍帯血に関しては、自らさい帯血バンクを運営するほか、日本さい帯血バンクネットワークの事務局を担う。造血幹細胞の提供において、重要な役割を果たしている。
・ 関係学会では、これまで20年以上にわたり造血幹細胞移植の成績等についてのデータベースの構築及びデータ解析に取り組んでいる。得られた知見を活用して、治療成績は向上。平成18年からは、関係学会を中心に造血幹細胞移植の成績等の一元化登録の仕組みを構築。
・ 造血幹細胞移植に先立って一元的に患者登録を行う仕組みが整備されていないため、造血幹細胞移植を必要とする患者の全体像の把握が難しい状況。
・ ボランティア等が大きな役割を果たしてきており、骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録の推進や採取施設とさい帯血バンクの間の臍帯血の搬送、患者相談の取組み等において、活躍。

2.基本的な方向性
・ 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(平成二十四年法律第九十号。以下「法」という。)においては、基本理念として以下の事項が掲げられている。
(1) 移植に用いる造血幹細胞については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が十分に確保されることを旨として、その提供の促進が図られなければならない。
(2) 移植に用いる造血幹細胞の提供は、任意にされたものでなければならない。
(3) 移植に用いる造血幹細胞の提供については、造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が公平に与えられるよう配慮されなければならない。
(4) 移植に用いる造血幹細胞の提供については、移植に用いる造血幹細胞が人に由来するものであることに鑑み、その安全性が確保されなければならない。
(5) 移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の提供については、その採取に身体的負担が伴うことに鑑み、移植に用いる骨髄又は移植に用いる末梢血幹細胞を提供する者の健康の保護が十分に図られなければならない。
(6) 移植に用いる臍帯血の提供については、移植に用いる臍帯血の特性及びその提供に調整、保存等の過程を伴うことに鑑み、その安全性その他の品質の確保が図られなければならない。
・ また、法に基づき、造血幹細胞移植に関わる者には、以下のような責務が課されている。
(1) 国は、基本理念にのっとり、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(2) 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(3) 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者、臍帯血供給事業者、造血幹細胞提供支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすべきことに鑑み、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に積極的に寄与するよう努めなければならない。
(4) 医療関係者は、国及び地方公共団体が講ずる移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
・ 造血幹細胞移植に関わる者が、法に基づき課せられた責務を果たすとともに、法に掲げられた基本理念の実現に向けた取組みを進めることを通じて、造血幹細胞移植を希望する患者にとって、病気の種類や病状にあった最適な造血幹細胞移植が行われるとともに、患者の生活の質の改善が図られることを目指す。

二.移植に用いる造血幹細胞の提供の目標その他移植に用いる造血幹細胞の提供の促進に関する事項

1.造血幹細胞の需要について
・ 移植適応は時代によって変化するため、移植に用いる造血幹細胞の総需要の予測は難しい。
・ 高齢者に対する移植技術の進歩等もあり、基本的には高齢者の増加に比例して、当面、造血幹細胞移植を必要とする患者は増加すると考えられる。
・ 骨髄、末梢血幹細胞、臍帯血の3つの移植細胞ソースごとの需要予測は、医学的な見地からも困難である。
・ 骨髄及び末梢血幹細胞については、両者を合わせて、造血幹細胞移植の実施数における骨髄移植及び末梢血幹細胞移植の現在のシェアに相当する需要は見込む必要。
・ 臍帯血については、造血幹細胞移植の実施数における臍帯血移植の現在のシェアに相当する需要は見込む必要。
・ 臍帯血については、それに加え、骨髄又は末梢血幹細胞の移植を予定していたものの、何らかの理由でドナーからの提供が急遽困難となった状況等において、緊急に移植に用いる場合の需要も見込む必要。

2.造血幹細胞の提供について
・ 移植に用いる造血幹細胞の提供の前提として、患者の状況に応じて適切な移植細胞ソースを用いた造血幹細胞移植を選択できるようにすることが重要。
・ 造血幹細胞移植の実施に先立って一元的に患者登録を行う仕組みを整備した上で、造血幹細胞移植を受けた者の移植後の健康状況等を把握し、そのデータの分析を行う取組みが必要。
・ 骨髄、末梢血幹細胞については、引き続きドナー登録者を維持・増加させる取組みが必要。
  また、電子メール等を活用したドナー登録者への継続的な働きかけやドナー休暇制度の普及、さらにはドナーの家族に骨髄移植等について理解してもらうための働きかけ等に取り組み、実際に骨髄、末梢血幹細胞の提供に応諾するドナー登録者を増加させる必要。
・ ドナー登録を若年層に限定している国も存在するが、我が国では、これまでドナー登録が可能な年齢を拡大しながら、広くドナー登録を呼びかける中でドナー登録に対する理解が進み、多くの患者への移植につながってきたことを踏まえると、登録可能年齢の上限の引き下げは行わないことが適当。
・ ドナー登録を広く受け付けつつも、ドナーとなる意思を持った方にできるだけ長い期間ドナー登録をしていただくという観点から、若年層への重点的・積極的なドナーリクルートに取り組むことが重要。
・ 移植に用いる臍帯血については、現状、需要を上回る数量を確保できているが、今後、造血幹細胞移植を必要とする高齢者が増加すると見込まれる中で、細胞数の多い良質な臍帯血に重点を置いて、効果的・効率的に確保することが必要。
・ 臍帯血供給事業者の営業時間の拡充による臍帯血の受入数の増加と併せ、臍帯血を安定的・定期的に採取してもらえる医療機関を中心に協力を依頼しつつ、臍帯血の採取技術の向上を図ることにより、細胞数の多い良質な臍帯血の確保に取り組むことが必要。

3.造血幹細胞の提供までに期間の短縮について
・ 骨髄移植については、骨髄採取を行う医療機関の手術室の確保やドナーの仕事の都合の調整等に時間を要し、骨髄の採取行程がコーディネート期間の相当部分を占めていることから、その短縮を図るための取組みが必要。
・ 骨髄採取を行う医療機関において、骨髄採取のために定期的に手術室の枠を確保すること等により、早期に骨髄移植を行うことが必要な者が早期に骨髄移植を受けることができる体制を整備することが重要。
・ また、ドナー休暇制度の普及に取り組むとともに、早期の骨髄採取の実現のためにドナーに対し、検査や採取のために比較的遠方の病院まで移動してもらう等一層の協力を依頼することに取り組むことが必要。
・ 末梢血幹細胞移植については、末梢血幹細胞の採取に当たって、全身麻酔の実施や手術室の確保が不要であり、骨髄移植と比較してコーディネート期間が短いことから、造血幹細胞の提供までの期間の短縮の観点からも更なる普及に取り組む必要。
・ 非血縁者間末梢血幹細胞採取施設及び非血縁者間末梢血幹細胞移植施設は骨髄と比較して少なく、現状では採取施設が存在しない県も存在。また、ドナー保護の観点から、ドナーは末梢血幹細胞採取施設に短時間に通える場所に居住していなければならないとする制限がある。
・ 非血縁者間末梢血幹細胞採取施設及び非血縁者間末梢血幹細胞移植施設の増加を図るとともに、末梢血幹細胞の提供に当たってのドナーの居住地の制限の緩和を検討する必要。
・ 臍帯血については、臍帯血供給事業者から即日出庫することが可能な場合もあり、迅速な対応が可能。早期に移植を実施するという観点からは、骨髄又は末梢血幹細胞の移植が急遽困難となった緊急時の対応も含め、臍帯血移植の活用を進めていくことも必要。

4.造血幹細胞の提供に係る医療提供体制の整備
・ 造血幹細胞移植の基盤整備を目的とし、全国をブロックに分け、患者数やドナー登録者数等を勘案しつつ、造血幹細胞移植の推進のための拠点的な医療機関(以下「造血幹細胞移植推進拠点病院」という。)の整備を段階的に進める。
・ 造血幹細胞移植推進拠点病院は、モデル的に以下の事項にバランスよく取り組む。
(1) 適切な診断に基づき、患者の状況に応じて適切な移植細胞ソースを用いた造血幹細胞移植を実施できる体制を確保すること。
(2) 地域における造血幹細胞移植に関わる医療従事者の研修・育成や地域の他の医療機関への診療支援を行うこと。
(3) 早期の骨髄移植を必要とする者が早期に骨髄移植を受けることができるよう、骨髄の早期採取に積極的に取り組むこと。
・ 特に、早期の骨髄採取の実現に向けて、造血幹細胞移植推進拠点病院は、骨髄採取のための手術室の定期的な枠を確保するほか、造血幹細胞移植学会認定の造血幹細胞移植コーディネーターを配置すること等により、早期の骨髄採取及び移植の実現に向けた体制を整備する必要。
・ 骨髄採取の早期化を目指すに当たっては、造血幹細胞移植推進拠点病院のみが積極的に骨髄採取を行うのではなく、現状では骨髄の採取件数が少ない医療機関での採取数を増やすこと等により、全体として骨髄の採取件数の増加及び骨髄採取の早期化を図ることが必要であることに留意。
・ また、非血縁者間末梢血幹細胞採取施設及び非血縁者間末梢血幹細胞移植施設については、地域間のバランス等を見ながら、引き続き増加に向けて取り組んでいくことが必要。

5.造血幹細胞の提供に関する情報の一体的な提供
・ 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録者の情報や臍帯血供給事業者が保存する臍帯血の情報が一元的に管理され、インターネットを通じて医師が患者に適合する造血幹細胞を一括して検索することができ、また、造血幹細胞の提供に向けたコーディネートの状況等を随時把握できる体制の整備が必要。
・ 患者や国民が知りたい情報を手軽に入手できる造血幹細胞移植に関するポータルサイトが必要。ポータルサイトで提供する情報については、これまでの患者相談の取組みにおける相談内容を踏まえたものとすることが望ましい。
  併せて、情報を受け取った患者が、主体的に生き方を選択できるよう、必要に応じ、患者相談窓口を設けている団体等の支援を受けられるようにすることが必要。
・ 特に、造血幹細胞移植の治療成績については、患者や国民向けの情報に加え、医療機関、研究機関、患者相談窓口を設けている団体等に、リスクの度合い等を調整した詳細な情報についても提供できるようにする取組みが必要。

三.移植に用いる造血幹細胞の安全性の確保に関する事項

・ 造血幹細胞が人体に由来するものであることをかんがみ、移植に用いる造血幹細胞の提供に当たっては、安全性の確保を図ることが重要。・ 移植に用いる骨髄及び末梢血幹細胞については、これまで骨髄移植推進財団が専門家の意見を踏まえて策定する骨髄採取マニュアル及び末梢血幹細胞採取マニュアルを遵守することにより、その安全性及び品質を確保。今後も、これらのマニュアルに準拠することにより、安全性及び品質の確保に取り組む。・ なお、より多くの造血幹細胞の患者への移植、ドナーへの倫理的配慮や骨髄、末梢血幹細胞の安全性の確保の観点から、当面、骨髄及び末梢血幹細胞は原則凍結保存を禁止し、緊急に造血幹細胞移植を実施する必要がある場合には、臍帯血の利用等により対応。
・ 移植に用いる臍帯血については、提供に当たって調製、保存等の過程を伴うことも踏まえ、安全性その他の品質の確保を図る必要。
・ 法に基づき、臍帯血の安全性その他の品質の確保のための基準を策定することとしており、臍帯血供給事業者は当該基準を遵守することが求められる。これにより、移植に用いる臍帯血の安全性及び品質を確保。
・ 臍帯血の安全性その他の品質の確保のための基準については、血液事業等関連する他の制度の基準との整合性や品質基準に関する国際的な動向を考慮するとともに、安全性とトレーサビリティの確保のための情報管理等に配慮。基準については、臍帯血の更なる品質向上に向け、段階的に改善を図っていく。

四.その他移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し必要な事項

1.関係者の連携
・ 国、地方公共団体、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者、臍帯血供給事業者、造血幹細胞提供支援機関及び医療関係者は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図るため、相互に連携を図りながら協力。

2.造血幹細胞提供関係事業者及び造血幹細胞提供支援機関の安定的な事業運営の確保
・ 移植に用いる造血幹細胞のあっせん等を行う骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者及び臍帯血供給事業者(以下「造血幹細胞提供関係事業者」という。)は、非血縁者間での造血幹細胞移植を実施する上で必要不可欠。
・ また、造血幹細胞提供支援機関は、以下の業務を担う。
(1) 骨髄、末梢血幹細胞のドナー登録のほか、造血幹細胞提供関係事業者に必要な協力を行うこと
(2) 造血幹細胞提供関係事業者の事業について必要な連絡調整を行うこと
(3) 移植に用いる造血幹細胞に関する情報を一元的に管理し、造血幹細胞移植を行おうとする医師等に提供すること
(4) 移植に用いる造血幹細胞の提供に関する普及啓発を行うこと
・ 造血幹細胞提供関係事業者及び造血幹細胞提供支援機関は、移植に用いる造血幹細胞の提供において中核的な役割を果たすもの。
  造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会を十分に確保するためには、造血幹細胞提供関係事業者及び造血幹細胞提供支援機関の安定的な事業運営が重要であることから、国は法に基づき必要な措置を講じるほか、必要な助言、指導その他の援助を行う。

3.造血幹細胞のドナーの保護
・ 移植に用いる骨髄及び移植に用いる末梢血幹細胞の採取に当たっては、ドナーの身体的な負担を伴うことから、ドナーの健康の保護のための措置が図られることが必要。
・ 骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者は、骨髄等の採取の意義やリスク等について十分に説明した上で書面により同意を取得する。また、採取前及び採取後に健康診断を実施する等ドナーの健康の保護のための措置を講じるとともに、万が一、骨髄又は末梢血幹細胞の採取に伴って健康被害が生じた場合における補償の措置を講ずる。
・ また、臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の採取に当たって、提供する母体や新生児に影響が及ぶことがないよう必要な措置を講じる。

4.造血幹細胞移植を受ける者の経済的負担の軽減
・ 造血幹細胞移植を必要とする者が造血幹細胞移植を受ける機会が十分に確保されるよう、国は、造血幹細胞提供関係事業者が行う造血幹細胞移植を受ける者の経済的な負担の軽減のための取組みを支援する。

5.研究開発の促進
・ 国は、造血幹細胞移植の治療成績と安全性の向上のための新たな治療技術のほか、臨床応用を念頭に置いた造血幹細胞の基礎研究や造血幹細胞移植の適応疾患について移植以外の治療の選択肢を広げるための研究開発を推進。
・ 臍帯血供給事業者は、臍帯血供給業務の遂行に支障のない範囲内において、採取した臍帯血を研究のために自ら利用し、又は提供できることとされており、これを通じた新たな医療技術等の研究開発の促進を期待。

6.国際協力の推進
・ 人道的な見地に立ち、国外で造血幹細胞移植を必要とする者に対して造血幹細胞を提供できる体制及び国外から造血幹細胞の提供を受けることができる体制を整備する必要。
・ 国は、臍帯血の品質確保のための基準等の国際的な調和に向けた関係学会等の取組みに協力。

7.見直し
・ 造血幹細胞移植を取り巻く状況の変化等に的確に対応する必要があることから、法の施行状況を勘案し、再検討を加え、必要があるときは、変更。

○小澤委員長 室長。
○泉臓器移植対策室長 私のほうから、若干の補足をさせていただきたく思います。
 実は、この骨子の案は事前に委員の皆様にお送りをいたしまして、事前に御意見をいただいております。その中で、委員の中から少しこれは直しておいたほうがいいのではないかというものはこの骨子案の前の段階で直させていただいて、その直しが反映されております。どのような直し、修正をさせていただいたか、若干補足的に説明をさせていただきたく思います。
 まず、6ページ目でございます。6ページ目の下のほうの「2.造血幹細胞の提供について」の最初のポツのところでございます。「患者の状況に応じて適切な移植細胞ソースを用いた造血幹細胞移植を選択できるようにすることが重要。」というところにつきまして、これは実は前のバージョンでは、最適な移植細胞ソースを用いたというような表現になっておりました。それは医療関係者の方々に過剰なプレッシャーをかけることになりはしないかとの御指摘が浅野委員からございましたので、この場では「適切な」という表現ぶりにさせていただいております。その点を含めまして、御指摘のとおり意図が反映されているかどうか、後ほどと御意見を賜れればと思っております。
 もう一つは、7ページ目に移りまして最初のところで、骨髄、末梢血幹細胞についてドナー登録者を維持・増加させる取り組みについてきちんと明示して書く必要があるのではないかということを浅野委員からいただいておりますので、そこをひとつ明記させていただきました。
 さらにいきまして、8ページ目でございます。やはり浅野委員でございましたが、骨髄移植などが急遽困難になった場合の緊急的な対応がきちんととられることは重要ではないか。そのことを基本方針に反映させることが必要ではないかという御意見をいただいておりまして、8ページ目の5番目のポツのところで、臍帯血移植の活用については緊急時の対応を含めということを追加的に書かせていただいております。
 また、若干戻りますが、6ページ目の6つ目のポツのところでも、これは委員会などの御議論も受けまして、臍帯血の需要の面におきまして緊急時の対応分も見込む必要があるということを明示的に書かせていただいております。
 また、さらに鎌田委員からは患者の情報の一体的な提供のところで、患者の受け取った情報を患者の方が咀嚼するためのサポートも重要ではないかという御指摘をいただいております。9ページ目の下から2つ目のポツの後段でございます。「併せて、情報を受け取った患者が、主体的に生き方を選択できるよう、必要に応じ、患者相談窓口を設けている団体等の支援を受けられるようにすることが必要。」ということでございます。
 患者の相談窓口を受けている団体などの相談の中身についてまで基本方針であれこれ言うのは適切ではないかと思いますが、一方でそうした患者の情報の咀嚼のサポートということは重要ではないかという御指摘をいただきましたので、このような記載とさせていただいております。御意図がきれいに反映されているかどうか、その点につきましてはできればまた後ほど御意見をいただければと思っております。
 補足は、以上でございます。ありがとうございました。
○小澤委員長 ありがとうございました。これまで長い間、議論を重ねてきました内容の必要不可欠な部分は網羅されているのではないかと思いますけれども、大きく4つの部分に分かれておりますので、順に見ていきたいと思います。
 最初のものが、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する基本的な方向」ということで1番、2番がありますけれども、何か御意見をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、浅野委員どうぞ。
○浅野委員 この最初のところに「現状」とありますね。現状が3ページくらいにわたって細かく書いてあるわけですけれども、どうもこれは一般的に言ってこういうものの基本方針というところには余りなじまないんですね。ある意味、懇切丁寧な書き方ですけれども、これは何か血液幹細胞移植白書2013年版みたいな感じで、内容を見ますと当然ながら時点が入っているわけですね。例えば、4ページの一番上に「平成25年6月末現在で」と書いてあるわけですけれども、こういうふうな書き方をすると翌年にまた改定しなくちゃいけないみたいなことになりはしないか。
 だから、私が言いたいのは、これはちょっと基本方針そのものから外して説明文としておけば、これをつくったときのいわば説明ですから、そうすると毎年改定する必要もないと思うんです。なので、ここはスタイルの問題です。基本方針に含めるかどうかということで、内容の問題ではありません。
○小澤委員長 事務局、いかがでしょうか。
○泉臓器移植対策室長 まさに浅野委員がおっしゃるように、現状編というのは白書ではないので基本的な方針というものについてはさほどなじまないのではないかということは確かにいえると思うんです。
 ただ、一方で、これはまさにここでの議論の場に供するために今までの私どもの思考回路を述べるということなのですが、後ろのほうの基本的な施策の方向性というのはやはり現状認識から発しているので、読んだ人が何ゆえこの施策の方向性になっているのかということについて、このような施策になるということの基本的な現状認識を書いておかないと、かえってわけがわからなくならないかということで、あえて現状のところを3ページにわたって書かせていただいたということでございます。
 それで、済みませんが、今この場において余り官僚の前例主義はよろしくないのですが、ほかの基本的な指針の類似のものについて現状について書いたものが何かあるかといえば、それは確かに書いたものはございます。
 ただ、やり方といたしまして、ここまで細かくする必要はない。もうちょっと絞ったらどうかという御指摘であるとすると、それはもうちょっと考えたほうがいいかもしれないということはあるかと思います。
 どうぞぜひ忌憚のない御意見をいただければと思います。
○小澤委員長 親切であるような感じはしますけれども、ほかの委員の御意見はいかがですか。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 まとめ意見みたいな感じになるのですけれども、ここに参加させてもらって感じていたのは、もともと各分野、ボランティア、医療機関、全ての分野がかなり先進的に頑張ってこられた分野を今回法律でがっちり基礎を地盤固めして、これが未来永劫後退することがないようにやっていくための法律であり、基本方針だという理解を私はして参加させていただいていて、この基本方針にかなり詳しく、通常私がつたない知識の中で拝見しているものに比べれば非常に具体的な内容が書かれている状況にあると思っていたので、それは現状、何もいろいろなものが進んでいなかったものをこの法律でがっちりこれから始めようということではなくて、今まであったものをきちんと国が支えていくんだという明確な方針を示すためのものだと理解しているので、逆にいうとさっきおっしゃったように細か過ぎるのかもしれないんですけれども、現状がここまであったということを明記するというのはそれなりに意味があるんじゃないかと思います。
○小澤委員長 ということは、毎年、毎年バージョンアップする必要はなくて、この法制化の時点の。
○野村委員 その決まった時点でのという形の数字でいいんじゃないかと思います。
○浅野委員 私が申し上げたかったことは、こんな細かいことまで書くなということじゃないんです。不要であるというのは、むしろ必要なんです。
 ただ、ちょっと分けたらいいんじゃないかというだけです。いわば憲法の前文みたいなものです。それで、内容はそこから後の本文にあるので、ちょっとそこのところを変えたらいいんじゃないか。余り本質には関係ありません。読む方にとってはこちらのほうがぐっと親切なので、不要とは言わないんだけれども、ちょっと余計なことでいうと、毎年変えなくちゃいけないようにならないほうがいいかなというくらいで、済みません。どうでもいいことなんです。
○小澤委員長 では、辰井委員どうぞ。
○辰井委員 御心配はすごくよくわかります。あるかないかということでいえば、もちろん私もあるほうがいいと思います。これがありますと、この後、本体の中身の部分を変える必要性があるかどうかを判断するときに、この状況が少し変わったから変えましょうという議論がしやすくなるという点で、こういった情報があることはとても適切だと思います。
 確かに、別に法律というわけではないんですけれども、こういうものの改定ということを考えたときに、これも本文だという扱いになっていると少し面倒かなという感じは確かにします。
○小澤委員長 そうすると、体裁だけ少しお考えいただくという感じでよろしいでしょうか。
○泉臓器移植対策室長 これは今、骨子でございますので、当然これは、「である調」の本文に直すという作業をさせていただきます。そのときに、もう一度今の御指摘を踏まえてどうしたらいいか、検討の結果を次回にお伝えさせていただくということでいかがでございましょうか。
○小澤委員長 それでは、そういう方向でよろしくお願いします。
 坂巻委員、どうぞ。
○坂巻委員長代理 内容は、私はとても丁寧に書かれていてわかりやすいと思いました。
 ただ、1点、HLAの一致するドナーが95%の確率で見つかるということと、その次にドナーのコーディネートの段階で結構落ちる場合が相当存在するということになりますと、実際に患者を登録しても現時点で6割しか移植できていないわけですが、それの多くはコーディネートで落ちるように見えますけれども、実際にはDNAタイピングをやるところで落ちていることのほうが多いものですから、ここら辺は移植をやっている人は全部どういう理由で落ちているのかはわかるんですけれども、これだけですとほとんどHLAの合ったドナーが見つかっているのにコーディネートで落ちているように見えますので、そこら辺はちょっと違和感を覚えました。
○小澤委員長 そうすると、そのパーセンテージはどういうふうに書くのがいいですか。
○坂巻委員長代理 それは、文書にする段階で。
○小澤委員長 事務局から、どうぞ。
○西脇室長補佐 それに関しましては、この95%というのは骨髄バンクのほうでもよくいわれている数字ですので、一応審議会のほうでも注をつけた形で出させていただいたのですけれども、今、坂巻先生が御指摘のように、これはHLA、血清で6分の6ということなので、その辺の事情がわかるような形で文書にするときに書きたいと思います。
○小澤委員長 では、宮村委員どうぞ。
○宮村委員 私も今の95%のところに、これはかなり前の話で、前は血清6分の6を95%、90%ができるようなことでドナーをふやしていったんですけれども、現在では約2割の患者さんがHLAの遺伝型でA、B、C、DRをやるとPBSCTで今そのようにしているのですが、約2割落ちるんです。そうすると、95%の2割は遺伝型で完全に一致したドナーがいないんです。
 ですので、95%という数字を、これはちょっと前の形なのでどういう形にしたらいいか。遺伝型8分の8だと恐らく75%~80%になると思うし、もう少しDRの遺伝型ミスマッチまで認めるとそこら辺は複雑になるんですけれども、この書き方はやはり変えて、現在確実に使っている状況では依然としてないということは非常に大事だと思います。
○小澤委員長 そうすると、現状に合ったような書きぶりに少しお考えいただくということがよろしいですか。事務局からは何かございますか。
○西脇室長補佐 その辺も、現状に合った形になるように表現を工夫させていただきます。
○小澤委員長 ほかには何か御意見いかがでしょうか。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 非常に細かいことで恐縮です。この項に限ったことではないんですけれども、最初に出てきて気になったものですから、これが一応骨子の案で、「である調」に書き直されるというお話ですが、多少スタイルがあってしようがないのかもしれないですが、例えば1の3つ目のポツにある、「これらの者に対しては」とか「一部の者については」、これはほかの項目にも出てくるんですけれども、何か非常に私的には乱暴な感じがしているのですが、ごめんなさい、これは仕方ないものですか。
 普通に「患者に対しては」とかではいけないのかなと思ったり、「者」「者」というのがほかのところでもぽつぽつと出てくるんですね。それが何となく気になったので、細かいことなんですけれども、済みません。
○小澤委員長 「ですます調」になると、もう少し丁寧な書きぶりになるという理解でよろしいですか。
○泉臓器移植対策室長 まず、「ですます調」ではなくて多分「である調」ですが、患者のためのということで始まっている法律で、それを受けた基本的な方針です。それで、私どもはやはり法令用語に直さなければいけないということがありますので、最終的にはある程度の事務的なアローアンスはいただきたいと思いますけれども、患者というふうに書ける部分についてはそのように直す形で工夫をしていきたいと思います。
 御指摘は、要するに「これらの者」というのは、確かに人間なんだから「者」と言われれば「者」なんだけれどもということですね。それにしても、ちょっとということで。
○野村委員 人だったらいいのかなとか、今、言い方をいろいろ考えていたんですけれども、患者さんではまるところは患者さんでいいと思うし、単独で「者」というのは。
○泉臓器移植対策室長 何か呼び捨てにしているような気がするということですね。その感性は、共有させていただきます。
○野村委員 細かいことで、済みません。
○小澤委員長 辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 私も細かいことで、こちらは本当に細かいことなんですが、5ページの(6)のところで、これはこの後も何か所か出てまいりますが、「その安全性その他の品質の確保」という言葉があります。これは単にお伺いしたいんですけれども、これは「その」がどこまでかかってとか、「その他の」が何でとか、もう一つしっくりぴんとこないので、どういう御趣旨か教えてください。
○小澤委員長 事務局からお願いします。
○吉田室長補佐 こちらにつきましては、基本的に法律の条文を引用する形で記載しているものでございますけれども、今、御指摘のありました5ページ目の(6)のところにつきましては、「その安全性」の「その」というのは移植に用いる臍帯血を指している。それで、「その他の品質の確保」ということで、これはいわゆる「その他」と「その他の」の使い分けというのがよく法令上ありますけれども、「その他の」というのは安全性も含めた品質という考え方だと理解しております。
○小澤委員長 どうぞ、室長。
○泉臓器移植対策室長 若干、補足をよろしいでしょうか。
 ここのところをどうしようかと起草の段階でも考えたんですが、やはり法律に定められた基本理念というものは落とせないだろう。かつ、行政が触れるものでもないし、やはり読みやすく読みくだすのも若干問題があろうということで、このようにさせていただいています。
 ただ、基本的な方針として、法律に書いてあること以外書いてはいけないということでは決してないので、むしろ5ページ目の一番下のポツについているところなどは、これまでの国会における議論、あるいはこちらにおける委員会における議論などを踏まえて少し補足を充実させていただいた部分になりますので、こちらのほうで何か加えたい部分があればということで議論していただければありがたく思います。
○小澤委員長 これが「である調」のもう少し長い文章になるときに、例えば「その安全性」の「その」が造血幹細胞の安全性なのか、提供の安全性なのか、そういったことまでわかるような形にはなるわけですか。
○泉臓器移植対策室長 済みません、今の5ページ目の(1)~(6)まで、それからそのすぐ下の(1)~(4)までは完全な引用になっておりますので、そこの部分については変えるのは難しいと思います。
 ただ、法令用語ですので、一応かかり結びについては一定のルールに基づいて、どこからどこまでか明確になるようにわかる人にはわかるように書いてあるという理解でございます。申しわけございません。
○小澤委員長 法律の世界が少し入ってきているようですけれども、ほかに何かいかがでしょうか。よろしいでしょうか。「基本的な方向性」までです。
 では、後でまた振り返っていただいても結構ですので、その次の二番の「移植に用いる造血幹細胞の提供の目標その他移植に用いる造血幹細胞の提供の促進に関する事項」について、1番~5番までありますけれども、これについてはいかがでしょうか。
 張替委員、どうぞ。
○張替委員 これの位置づけというのは、この法律が目指すべきというか、達成すべき具体的な項目がここに並んでいると考えてよろしいでしょうか。この2番以降の位置づけですけれども。
○小澤委員長 事務局からいかがですか。
○吉田室長補佐 基本的には御指摘の理解で、具体的に法律ができましたので、それをもとに厚生労働大臣が今後どのように取り組んでいくかということをお示しする形になると思います。
○張替委員 そういう意味でいうとその方向性なんですけれども、これも細かいことかもしれませんが、何々が必要というような「必要」でとまる文章が多くて、何々が必要というのは何となく課題を出してきているだけのような感じで、これはどちらかというと方針であれば、整備していくとか、確保していくとか、図っていくという書き方のほうがむしろ方針になじむかと思ったんですけれども、その辺はどんなものでしょうか。
○小澤委員長 いかがでしょうか。
○泉臓器移植対策室長 「である調」に直していくプロセスで、その点についても配慮はしてまいりたいと思います。
 ただ、若干、言いわけだけさせていただきますと、何々することが必要と書いてあっても、その手法がダイレクトに行政によって達成することができるかというとそうではなくて、もうちょっと迂遠的な方策、間接的な方策をとらないと目標には達しないというものがあるので、その点についてはやはり必要という記述が残るということだと思います。施策としてやるということについては、そのように書いてあるつもりです。
○小澤委員長 ほかにいかがでしょうか。一番、議論が出そうなところなんですけれども。
 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 7ページの2つ目の丸ですけれども、「ドナー登録を若年層に限定している国も存在するが」、この表現というか、こういうのは違和感ありというか、基本方針などを書くときに、こんなことを書くのかなという気がちょっとします。
 そのまま、今どうするか。この結論の登録可能年齢の上限の引き下げは行わないということだけ書けばいいのではないかと思うんですけれども、ちょっとあれっと思うんです。事前に説明を受けたときに言わないで、今ごろになって済みません。
 別に間違いとか何とかではないんです。どうですか、こういう表現は。こんなことを知っているぞということを書きたいんですか。
○泉臓器移植対策室長 もしかしたら勉強の成果を披露したくなったのかもしれないという気もしてきますが、今、恐らく浅野委員の御指摘のとおりで、何も知っているぞと書く必要はないので、削除させていただきたいと思います。
○小澤委員長 ほかには、いかがですか。若いドナーのほうが少し治療成績がいいんだなどということまでは書く必要がないということでよろしいわけですね。
 では、宮村委員。
○宮村委員 ここについて非常にいろいろなことが必要であるという形で、特に最近、私ども皆で病院でもよく話すんですけれども、一旦、コーディネートが始まったら、ドナーの状況というのはなかなかリアルタイムにわからないようなことが、5の1番目のポツのところの最後の行で「また、造血幹細胞の提供に向けたコーディネートの状況等を随時把握できる体制の整備が必要。」などというふうなことがあり、非常に現場に即した我々が必要なことも書いてあって評価したいと思います。
 一方、その上の4の一番下から2番目のポツで、骨髄採取の早期化を目指すに当たっては、拠点病院以外もそういうことをやっていくことが必要であるということに留意という形であり、下のところは必要であるということで、「必要」と「留意」の法律的な意味の違いを知りたいということと、現在、私どもの施設でも10人の医者がいて週に2回採取すると、それでもやはり休む人もいたり、外来があったり、あるいは逆に骨髄をとりに行ったりで非常に大変なんですね。
 まして、4人か5人の施設で採取しているところは非常に大変で、多分、今、採取に関しては病院としての利益も少なく、現在、非常に点数が高くなっている外科系の手術の枠もとっていくということから見ると、この骨髄採取に対してハーベストに関してのインセンティブみたいなものをもう少し強くここに与えていくということを強目に書いていただきたいと思います。
○小澤委員長 その辺は可能ですか。浅野委員、何か御意見ございますか。
○浅野委員 今、宮村委員がおっしゃったことにちょっと触発されてというか、特に「留意」という書き方が基本方針の中ではそぐわないですね。必要であるというのは、そういう認識の宣言で方向性を示すことです。「留意」というのは、誰が留意するんですかということです。基本方針はやはり大事なところというか、「留意」というのは何点かあるんですけれども、そこは基本方針らしく言い切りですべきだと思います。
 それから、若干似たところで私が指摘したところでもありますが、例えば6ページの直してもらったところですけれども、「選択できるようにすることが重要」というんですね。「重要」という語尾で終わるのは幾つかあるんですけれども、これは「必要」とどう違うのか、ちょっとよくわからないです。基本方針で書くならば、「重要」と書くんだとすれば「べきである」ということなんじゃないですか。そう書くことに何らかの躊躇があるとしか思えないようになってしまうので、ここは「重要」とまで書くのであれば、多分「必要」というのはどうも少し躊躇があるんですね。「重要」とまでいくんだったら「べきである」というか、基本方針らしくやったらいいんですね。
 もうちょっと元気を出して基本方針を書いたらいかがでしょうか。そのほうが格好いいです。「留意」と書いてあるのが「べきである」と書いたからといって、後から問題になりません
○小澤委員長 「留意」と書いてあるところは、恐らく国でコントロールしにくいところで、期待感が出ているような感じはしますけれども。
 先ほどの宮村委員のコメントについては、対応はできそうですか。インセンティブをもっとつけてほしいというような。
○宮村委員 本当に現実的に、うちの病院で外科の手術の点数が24年度で上がって、オペ室をどんどんふやしていこうという方向にもなっているんですけれども、より採取の技術料というか、採取料とか、そういったものが低く抑えられているということなどで各病院が苦戦している可能性があるということでお願いします。
○小澤委員長 室長。
○泉臓器移植対策室長 要は、診療報酬上の対応についても書き込めないかということでございますね。診療報酬の対応につきましては、御承知のことを申し上げるのでまことに恐縮なんですけれども、中医協というまた別の場で診療報酬の改定については議論を行って決めることになっております。
 いわば診療報酬につきましては中医協の守備範囲であって、当審議会、委員会の守備範囲ではないという事情がございまして、そこについては記述は控えさせていただいているということになってしまっています。
○小澤委員長 具体的な数値は書き込みにくいんでしょうけれども、そういう期待感があるということも事実ですので、最終バージョンをつくるときに文章を少し御検討いただければと思います。ほかには何かございますか。
 岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 先ほどから出てきている話ですが、今、宮村先生がおっしゃったようなことについて細かく書けないとした場合、逆にその語尾のところを必要不可欠とか、そういう形で強く言うこととか、そういうことはできるわけですね。
 繰り返して申しわけないんですけれども、必要不可欠、必要、妥当、適当、それから留意と、いろいろなものがあると思うんですけれども、でも、ここでは本当に大切なことを議論してきたわけで、これは全体を通してみるとすごく多分トーンが低い。必要不可欠であると全部つけてもいいぐらいの議論をしてきたと思うので、全体的に見るとそういったところの文章をもう少し改善できないでしょうか。
 具体的なものが書けないのであれば、その方向性としてしっかりここを押していくんだというところの文章として、マストをもっと私はつけてほしいと思いました。
○小澤委員長 この委員会の委員の先生方の意向は何となくそういうような感じがしますので、具体的な数値でなくても結構ですということですから、いかがでしょうか。もう少し強く主張してほしいという意見が、どうもいろいろな先生の御意向のようです。
 どうぞ、野村委員。
○野村委員 あとは、強調だけじゃなくて実際に予算がついて始めているところもありますね。例えば、情報の一元化のことについてはたしかもう動いているので、それは「体制の整備が必要」ではなくて「体制を整備していく」でいいような気がしますし、実際に予算がついていることについては必要とか重要レベルで終わってはいけないような気がするんですけれども。
○泉臓器移植対策室長 ありがとうございました。
 まずは、「必要不可欠」「重要」「べきである」等々につきまして、確かに私ども筆を持って、済みません、ワープロですが、書いておりますところで、どれも重要なので差がつけられなくて、その中で余りモノトーンになってしまうのも何なので、「べきである」「べきである」で連なった文章というのも恐らく、これはまだ骨子の段階ですが、「である調」にしたときに、非常に言いたいことはわかるけれども日本語としてどうかという文章になるのを恐れて、いろいろ「必要」「重要」というのを入れさせていただいているのが実情です。
 しかし、「留意」は何を言っているのか結局わからないですとか、あるいは「重要」というふうにとめるのではなく「べきである」ということについては、文章化するときにまさに留意して対応させていただきたいと思います。
 ただ、一方で、施策、国が直接やっているものについては「していく。」で結構なんですが、やはり当事者の方々がおられる医療現場では、そうは言ってもというのもあろうかと思いますので、やはりそこはニュアンスを入れた形で書かせていただいているのも事実でございます。
 それから、診療報酬につきまして若干補足をさせていただきますと、当然御要望などがあれば私どもも随時いつでもお聞かせいただきたいと思いますし、また、中医協のほうでも学会からの要望は随時聞いておられることは確かでございます。
 この基本方針には内容としてはなじまない、守備範囲の外であるということは私として言わざるを得ないのですが、しかし、この場でそのような議論があったということについては、まさに議事録にも残ることでございますし、私どもも心得て対応してまいりたいと思っております。
○小澤委員長 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 その語尾についてのパターンがずっとあるんだけれども、もっと一番低いのがあって、8ページの4つ目のポツですが、居住地の居住制限ですね。これは、末梢血移植をするドナーさんの居住地の制限の緩和を検討する必要なんです。「緩和が必要」のもっと前の「検討する必要」なんですね。こんな基本方針で検討するとかというのは、本当はちょっとみっともないですね。
 だから、これは語尾の問題ではなくて内容の問題ですけれども、今この時点において現状認識としてドナーの居住地の制限の緩和をするということでは書けないんですか。
○西脇室長補佐 これに関しては今、骨髄バンクとか、今の段階で決まっていることではなくて今後検討していくという、以前資料にもお出ししましたけれども、こういうことを検討していくという段階ですので、このような表現になっています。
○小澤委員長 そうすると、「必要」を取って「検討する」ということなんですね。
 宮村委員、どうぞ。
○宮村委員 これは、末梢血のドナーについてドナーの安全を守る面で、今のところは何かあったらすぐに主治医のところに行けるということの制限をつけているわけですけれども、これを主治医じゃないほかの血液のところでもやっていけるとか、そういったことの検討というのは全国の先生の中でも話し合わなければいけないことですので、そういった意味では今、絶対という形ではこれは書けないということは理解できました。
○小澤委員長 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 5番の患者への情報提供について意見を申し述べさせていただいた部分ですけれども、9ページ目の5番の2つ目のポツです。ここは、情報の一体化についてのところで意見を反映させていただいたんですけれども、まさにここは「必要」という形でしか書けないような、なかなか文章にするのに苦労されたところだと思います。
 方針ということで、どこまで組み込んでいただけるかはなかなか難しいところがあるだろうとは思ったんですけれども、私のほうで意見を述べさせていただいた部分が多分その後段としてつけられているのかと思います。
 まず大前提としては、今までの議論の中でも何度も申し上げてきたことではありますけれども、やはり患者にとって造血幹細胞移植というのはそれ自体が非常に過酷な治療ですし、納得して治療に向かっていくためにも、自分が知りたい情報について自分のペースできちんと調べて治療に向き合うということがとても重要だと思いますので、今回のように情報が一体化された上で提供されることはとても重要な大きな意義があると思っています。
 しかも、今は情報がかつてと比べて非常に得られやすくはなっていますけれども、その分、信頼できる情報をどのようにして見つけていくかが大事になっていくと思いますので、その点でもこれは非常に意義のあるものだと思います。
 だからこそ、今度はその次に情報を得た患者がどう受けとめて、それをどう考えていくかということが重要になってくると思うんですけれども、情報を得た上でそれぞれの患者さんが必要とすることは種々多様だと思うんですが、その情報自体を理解することにまだまだ困難がある方もいらっしゃるでしょうし、あるいは情報そのものについては言っていることはわかるし、何をしなければいけないかもわかるけれども、自分の中でどう整理していけばいいかとか、どういうふうに選択していけばいいかというのを、気持ちを整理しながら自分の人生観に照らして選択なりをしていかなければいけないことになる。
 そういう意味で、情報は得たけれども、その先というのをどのように自分の中で咀嚼していくかというところが問題となってくると思います。このとき、病院の中で、例えば自分の主治医の先生だったり、看護師さんだったり、あるいは患者仲間だったりというところで、自分の中で咀嚼していくことができる患者さんもたくさんいらっしゃると思いますし、私自身もそうでしたので、そうできればもちろんいいと思います。
 そしてまた、時代とともに、今は病院によっては移植コーディネーターの方もいらっしゃったり、いろいろと患者を支援してくれる体制が非常に整ってきているので、そちらもぜひ充実させていっていただきたいと思います。ただ、やはりそれは病院ごとに違っていたり、地方によって違っていたり、あるいはそういう環境の中で思うように相談ができなかったり、患者は患者なりにいろいろ気を使ったりするので、「移植できるというのにこんなことに悩んでいていいんだろうか」ということで思ったように相談ができない方もいらっしゃいます。
 そこで、いろいろ得た情報をもとに相談ができる場所が必要だと思ったので、そういった体制を組んでいってほしいということを申し上げてきていたんですけれども、そのときにも患者相談窓口を設けている団体等という形でこちらに載せていただいていましたが、どういう形かというところまで限定できるかどうかはわからないですけれども、いずれにしろ、どこに住んでいて、どういう病院にかかっていても、やはりその情報を得た患者さんが情報を咀嚼したり、自分がどう考えていくかというところでサポートを受けられる体制というのは必要であるということは、どういう形で方針として組み込んでいくかというのは難しいかもしれませんけれども、患者の立場としてはやはりこれも必要不可欠なものだと考えたのでお話をさせていただきました。
○小澤委員長 ここに書いてあるような、「団体等」でカバーするよりしようがないかなという感じもしますけれども、よろしいですか。何かいい言葉があればと思いますが、よろしいですか。もし言葉があればお伝えいただいてと思います。
 野村委員、どうぞ。
○野村委員 済みません。言葉ではなかったんですけれども、確かに基本方針ですね。国がやるべきこと以外のことを盛り込んでいく御苦労というのは非常におありになって、今回こういう方針、全てを国が担うべきではない部分もたくさんあると思うんですけれども、やはりこの方針の中で「必要」という表現になってしまうにしても、こういった情報を提供するだけではない支えがあってこそ患者支援なんだということを明記していただくと、多分、私たちも報道するときに、やはり法律ができた以上、主体的に使い倒していくのは我々一人一人だということをなるべく呼びかけていくようにして記事を書いてきて律することを心に置いてやっているものですから、メッセージ的にボランティアの方、患者相談をやっていらっしゃる団体の方たちが、この方針があるんだからどんどんやっていけばいいんだ的な気持ちになるメッセージとして、本来国がやるべきことではないかもしれませんけれども、書いていただいても非常にありがたいと思っています。
○小澤委員長 辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 これは私の読んだ感じの印象なので、当事者の方に実際はどうかということを伺いたいのですが、今のところで「患者が、主体的に生き方を選択できるよう、必要に応じ」、支援を受けられるようにという書き方になっていて、私はぱっと見ると、この「生き方」というのが少し大ざっぱかなという感じを受けます。
 支援する側に対して、こういう支援が必要だというメッセージにもなる部分だと思いますので、もし具体的に先ほど人生観に照らしてというようなことをおっしゃっていて、それならばわかると思ったんですけれども、人生観に照らして治療法を選択するとか、具体的なことがあればそのほうがいいかと思いました。
○小澤委員長 そんな感じでよろしいですか。
 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 今の鎌田委員の御発言に触発されてなのですが、これは確認ですけれども、骨髄移植を受ける直前のインフォームドコンセントということです。
 自分が患者でありながらよくわからないんですけれども、私はインフォームドコンセントを受けましたというか、それは思ったのですが、ただ、それは実態は骨髄移植を受けるかどうかということプラス、私の場合はまだ治験だったんですね。
 耳移植の有効に関する研究の中の私は被治験者だったので、その被治験者としてこれを受けることをイエスと言うかという形でのインフォームドコンセントだったのかなと思って、骨髄移植を受けること自体のものと混同しているのかもしれません。
 それで、実態も伺いたいんですけれども、今、骨髄移植をするときに、もちろん患者さんはもう既に入院している時点から骨髄移植を受けたいということでいっているから、あらかじめいいのかと言わなくてもいいのかもしれませんけれども、私の場合についていうと、やはり改めて骨髄移植を受けませんという選択はないにもかかわらず、こういうようなリスクがあるよということを明示的に説明してもらうと、かえって安心して骨髄移植を受けられるということがあったんですね。
 そこで、そういう実態があるのかということです。ここで書かないのかということなんですが、そんなことは医師にとっての当然の義務というか、医療機関にとっての義務だからここに書かないというのか。そこはどうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○小澤委員長 今は移植どころか、本当にどんなことでもICだらけという感じで、書いたほうがいいような気がしますが、坂巻委員どうですか。
○浅野委員 今ちょっと言ったように、インフォームドコンセントをどんなところでもやるというのはそうなんです。
 ただ、骨髄移植というのはやはり相当にリスクを伴う。ほかの手術もそうでしょうけれども、その場合に特にわかりやすくということですね。
 わかりやすくということを言うのは意義があるかと思っているんですけれども、そこは実際に医者の方、または患者経験者の意見も伺いたいと思います。
○小澤委員長 浅野委員のおっしゃるとおり、確かにもう既に臨床の現場ではIC説明に関しては1回ではなくて何回も行われているのが現状です。
 でも、その中で本当にその情報を受け取って、それをICの医者が言った言葉で全て理解できるかどうかというところに実はまだ問題な部分があると思っています。そういうところが、実は鎌田委員からのもっとそれを患者の立場で理解できるような体制が必要だということがここに書き込まれていると私は思っております。
 ですから、それ以外のインフォームドコンセントに関して、新たに現時点ではこれは書き込まなくても十分かと思っています。
○小澤委員長 宮村委員、どうぞ。
○宮村委員 私は、鎌田委員と浅野委員の意見と同じようなことをちょっと考えていたんですけれども、この中にはどちらかというと医療機関での説明のことについて直接は書いていないように思うんですね。
 それで、やはり自動的に機会を設けているんですけれども、多分鎌田さんも、だけど本当に患者さんの、ここにさらに主体的という、人生観に基づいた選択できるという言葉にこれから変わるとして、そういったことを医療機関も含めてやってほしいという御希望かと受け取ったんです。
 ですので、こういう文章の中に、そういう患者に対してその生き方を選択できるように、必要に応じて団体の支援を受けるとともに、医療機関においても提供することが必要というふうな文面にしていただいたら、それは我々にとっても逆にいうと移植をやっていく間にはそれだけの資源を投与するという裏づけにもなりますし、そういうことを書いていただいたら私はいいかと思います。
○小澤委員長 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 私も、今、宮村先生や先ほど辰井先生がおっしゃっていただいたように、この言葉は、主体的に生き方を選択というよりは、自分の人生観に照らして治療を選択というほうがよりふさわしいと思います。
 その意味というのも今、宮村先生が指摘してくださいましたけれども、やはり移植というのはたくさんの人の思いや労力があって、患者自身も非常に過酷なものに耐えて成り立つ治療ですので、きちんと情報を得た上で、納得して受けるべきだと考えます。「移植しなければいけない病気で、ドナーさんもいて移植できるんだからいいじゃない」という話ではないと思います。先ほど浅野委員がおっしゃっていましたけれども、移植しないという選択はないのにというのもちょっと違うと思うんですね。
 移植しないという選択もあるけれども、生きながらえるためにはやはり移植をしなければならないであろう状態の中で、「移植を選択」するんだという自分の中での納得とか決断というのがあって移植を受けるべきだと考えるので、やはり情報を得て、その中でまさに自分の人生観に照らしてこれを選択していくプロセスというのはとても重要だと私は考えるんですね。
 本当にいろいろな方たちの支えで成り立つ治療だからこそ、あれよあれよという間に移植することになってしまって移植しちゃったけれども、こんなはずじゃなかったという形になってしまっていいものではないと思います。
 そういう意味でも、この情報提供というのは非常に意義があることだと思うんですけれども、人生観に照らして治療を選択ということの意味は大きいと私は考えています。
○小澤委員長 野村委員、どうぞ。
○野村委員 どこに入れるようにお願いしていいかわからなかったのでちょっと考えていたんですけれども、やはりここかなと思って発言します。
 会議の中でも何度か申し上げたんですけれども、ドナーさんの安心につながる情報提供も非常に大事だということもあるので、ドナーさんの健康被害はあるとしてもこれだけだとか、そういう情報を積極的にPRするといいという話も議論でさせていただいたんですが、それを細かく言うのも難しいので、例えば5番のポツの2番目の「患者や国民が知りたい情報を」というところに「患者やドナー・国民が」みたいな形で入れると、ドナーさんに対する安心・安全の情報提供もちゃんとやるということで、皆さんは必要ないとおっしゃられていたんですけれども、ドナーさんへの情報提供についても少しどこかで触れてほしいなと思ったものですから、済みません。
○小澤委員長 事務局、それは可能ですね。
 では、浅野委員。
○浅野委員 今の野村委員の意見はドナーさんのほうですけれども、私もそれは書くべきだと思うんです。そうだとすれば、これはここの中に入れるんじゃなくて、ここでちゃんと読み込めないですよ。別記するべきだと思います。
 それから、鎌田委員の要望というか、それはこれでは素直には読み込めないですね。「患者相談窓口を設けている団体等の支援を受けられるように」などということは、結局決めるのは医者でしょう。少なくとも医療機関でしょう。
 違うんですか。窓口ですか。どこか相談窓口ですか。
○鎌田委員 私が意見を述べさせていただいた意図は、限定して相談窓口じゃなければいけないとか何とかということではなくて、患者がそういった治療選択というか、その情報を得た上で自分が治療に向き合っていく中でのサポートが必要という意味で、もちろんお医者さんも含め、看護師さんや病院の中で支えてくれる医療スタッフが重要なんですけれども、それだけではなくて、情報を今こうやってポータルサイトで手軽に得られるようになるということは、周りにそういう支援の体制がない状況の中であっても情報だけ先に入手できるということでもあるので、病院とか地域とかに限定されず、そういったことを相談できる体制が必要なんじゃないかという意味です。
 患者相談窓口でなくてはいけないとか、そういうことではないですし、どういった形でそういう情報を得た患者をサポートしていけるかということを具体的に限定して今、意見を言っていたわけではないんです。
 ただ、医療機関の中で、お医者さんだけに役割を果たしてもらうというのはやはり無理だと思うんですね。先生の負担もありますし、患者にとっても自分の主治医の先生にあらゆることを相談し切れるか。これは先生に相談する話かなというところで、やはり遠慮だったり何なりということがあったりするので、そうではなくて自分が本当に気になることを、気兼ねなく情報を得て、気兼ねなく自分で調べて、自分の中で納得していく過程の中で、それを相談できる場所がある必要があるんじゃないかと考えています。
○小澤委員長 大体、委員の皆様、鎌田委員等の意向をおわかりになったと思います。そういったものを盛り込めるような今ここで文章をつくる時間もありませんので、事務局のほうでよく御検討いただいて、また委員の先生方からこういう文章をちょっと使ってほしいということがあれば個別に事務局にお伝えいただければと思います。
○浅野委員 これは文章だけの問題じゃないんですよ。
○小澤委員長 でも大分、御意見をいただきましたので。
○浅野委員 それはいいんです。私はかてて加えてということなんですね。つまり、主治医というか、実際に骨髄移植をする人からのインフォームドコンセントをきっちりとやるということ、これはやはり書いてもらわないと困る。
 それで、鎌田さんのおっしゃったのは、それだけじゃ足りない。また、主治医には言いにくいところもある。だから、ほかのところでちゃんとこういうものも欲しい。これはこれでいいんです。
 ただ、私は逆にこれでは足りない。本来の移植を受けるときのインフォームドコンセントをしっかりやってほしい。鎌田さんの問題意識と若干違うかもしれないけれども、私は自分のことで言うとそれは必要です。
 それから、どちらにしても移植を受けるつもりなんだからというのは私の個人的な意見です。まだ迷っているとか、そうではない患者さんもいらっしゃるわけですから、そこでちゃんと説明してもらって、リスクもこうだとやってもらったら決断がついて、そうすると移植を受けるときの精神的な安定性というのもそれによってもたらされるんですね。
 やるか、やらないかの同意書に書くかどうかというのではなくて、インフォームドコンセントという経過を経ることによって移植の患者側の受け止め方というのが、多分もっと言えばそれは成績にも関係してくるんじゃないかと思うぐらいです。
 だから、ここは。
○小澤委員長 この移植推進法の基本的な方針の骨子をまとめるに当たって、今、浅野委員が言われたようなものを全て盛り込んでいくと、移植医療全般をカバーしなければいけなくなるような感じにもなってきますので。
○浅野委員 そうですか。だって、ここは「情報の一体的な提供」で、「一体的な」とあるけれども、そんなことではないですよ。そういうふうに仕切られては困りますよ。どうですか。
○小澤委員長 岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 恐らく、情報の一体的な提供にくわえて、インフォームドコンセントに必要なより細かい情報も必要ということと私は理解をしています。どのようにその情報を、またはいろいろなレベルの情報を用意するということになるのでしょうか。強いていうと移植拠点病院みたいな形での教育というところにも関係する問題かもしれません。でもそれも移植の領域というのは日常茶飯事でやっていることなのであえてそこまで記載する必要はないと思います。情報の提供ということに関して言えば、ユーザーフレンドリーなさまざまなレベルの情報と記載するのがいいんじゃないかと思います。
○小澤委員長 先ほどのドナー向けも含めてですね。
 事務局から何かございます。室長、どうぞ。
○泉臓器移植対策室長 重要な御議論をいただいていると思っています。造血幹細胞移植の分野においてインフォームドコンセントが不足しているという御指摘は、今までの審議会の場ではなかったものと思っております。その意味では、インフォームドコンセントは特定のこの分野について特に必要ということまでは書いておりませんでした。
 しかし、確認的に一方で書くことが必要であるとすれば、それは書いておかしくはないと思いますのでその方向で考えたいと思っていて、ちょっと案をつくらせていただければと思っています。
 それから、今の患者が自らの人生観に照らして選択ができるというところでございますが、どうも私が聞いておりますに従来の医療機関、お医者様から患者に対するインフォームドコンセントという単線のインフォームドコンセントでは捉え切れない、もうちょっと別の主体がかかわった患者に対する支援体制ということが必要だと理解しております。
 その意味では、「造血幹細胞の提供に関する情報の一体的な提供」ということで、ここでは国民一般に対する情報提供も、あるいは治療成績の公表ということも書いてあるんですけれども、情報の一体的な提供ということにとどまらない、もうちょっと広い患者サポートという視点から捉えたほうがよさそうにも思いますので、別立てで項を起こしまして御相談するということではどうかと思っています。
 その中でワーディング、フレーズなど、例えば今の「自らの人生観に照らして」というフレーズとかは、私どもの検討の中には出てこなかったものですので、また案文を具体的に御相談する中で、もっといい言葉があれば教えていただければと思います。
 ただ、この患者の支援の分野につきましては、私は不勉強でしたら申しわけなく思いますけれども、こうしたらいいんだという公式というか、正解というか、あるいは定石といいますか、そういうものはまだ関係者の間でも模索が続いている段階ではないかと思います。
 そういう意味では、ある種、定性的といいましょうか、何といったらいいかわかりませんが、最大限ここにお集まりの委員の方々の御経験を集約して、こういうことが必要なんだ、こうしたらいいというよりはむしろこういうことが必要なんだということを書かせていただくということではないかと思います。
 施策の方向性ですので、その辺に合わせて書かなければいけませんから若干限界もあります。患者はこうすべきだみたいなことを書く場でもありませんし、若干難しいのですが、しかし、恐らく私どもはおっしゃらんとすることは理解したと思いますので、また次回に御披露させていただければと思います。
○浅野委員 意見を申し上げておきながらあれですけれども、私の言ったことはここに入る場ではないですね。個別のインフォームドコンセントはしっかりやれみたいなことは、入れようがないですね。
 そもそもこの表題が「幹細胞の適切な提供の推進を図るための基本的な方針」であって、ちょっと外れますね。だから、むしろ委員長がおっしゃったように、これは医療のあり方という中で、骨髄移植という場面でもこういうことがあるよと、それはちょっと別なところで言うことで、引っ込めます。
○小澤委員長 ここは「一体的な提供」というタイトルになっておりますので、それに合った内容にとどめていただいて、室長が言われたように必要であれば別項目を立てていただいて、患者の複合的なサポート施設は必要だというようなことですので、文章をどこかでつくっていただけたらと思います。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 私が先ほど申し上げた趣旨も室長がおっしゃっていただいたとおりで、主治医の先生によるインフォームドコンセントが重要なのは当然なんですけれども、それは移植に限ったことじゃなくて治療を受けるに当たっての話なので、私がここの5番のところで指摘させていただいたのは、まさにその情報を一体的提供するに当たっての整理という部分で意見を申し上げたということなので、まさにインフォームドコンセントとはまた別の意味で申し上げたということです。
○小澤委員長 大分、議論がここでたくさん出るようになりましたが、ちょっと時間が足りなくなってきましたので、とりあえずその次の項目にいきたいと思います。
 辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 ごめんなさい。先ほどのドナーに対する情報提供というお話はとても重要な項目だと思います。
 それで、この中で入れるとすると、先ほどの基本的な方向性は法律が定めていることなので変えられないんですが、これを見ていて思ったことは、身体的負担が伴うので健康の保護が図られる必要がある。それで、そのドナー保護の必要性の中に通常は自立性、そういうものであるからドナーの自立性を保護するということが合わせて入ってくるはずなので、もしどこかに入れるとしたらやはりそれはドナー保護の項目として、この中では11ページの3のあたりに入るのがよりわかりやすいかと思いました。以上です。
○小澤委員長 そこに入れたり、また情報提供のところはまたあってもいいかとは思いますので、よろしくお願いします。
 そうすると、大きな項目の三番で「移植に用いる造血幹細胞の安全性の確保に関する事項」でありますけれども、ここはいかがでしょうか。余り問題はないでしょうか。
 それでは、その次の最後です。「四.その他移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関し必要な事項」ということでありますけれども、いかがでしょうか。ここはまた随分、項目がたくさんあります。
 張替委員、どうぞ。
○張替委員 12ページの5番の「研究開発の促進」、これも大事だと思うんですけれども、「適応疾患について移植以外の治療の選択肢を広げるための研究開発」というのは何となくわかりづらかったのですが、具体的にこれはどんなことを念頭に置いたものでしょうか。
○小澤委員長 事務局、どうぞ。
○吉田室長補佐 こちらにつきましては委員会の議論でも、たしか小澤委員長からも御指摘があったと思いますけれども、今回まさに造血幹細胞移植にフォーカスを当てて議論はしておりますけれども、移植というものもあくまでも医療の中のオプションの1つであるって、移植を行わずに治療できるのであればそれが望ましいという形があるので、その研究の開発のときに移植そのものだけではなくて、移植を行わなくてもいいような治療方法が出てくれば、それはそれでそういったものの研究も必要であろうということを念頭に置いて記載したものでございます。
○張替委員 恐らく、いろいろな使い方があるという議論を踏まえてのことだと思うんですけれども、最初の部分の新たな技術の開発とか、そういうことで何か包括されそうな気もしたので、それでいいのかなと思ったものですから。
○小澤委員長 今、言われているのは造血幹細胞移植以外の治療法の開発ということですから、その手前とはちょっと違う内容に。
○張替委員 「新たな治療」というのは、移植にかかわるとすればちょっと違うんですけれども、いわゆる造血幹細胞移植を含めていろいろな新たな治療の開発ということでまとめればいいのかなと思ったものですから。
○小澤委員長 これは、また文章をわかりやすくよろしくお願いします。
 辰井委員、どうぞ。
○辰井委員 今の点で、ちょっと時間もなくて本当に印象だけを申し上げることになりますが、研究開発の促進のところは臍帯血を研究のために使えるというところが入っているわけですね。それで、この委員会の中ではもう少し具体的な議論をしたような記憶がおぼろにあり、それにしてはここに書いてあることが余りにもざっくりしているような印象を受けるのですが。
○吉田室長補佐 前回だったと思いますけれども、委員会でかなりみっちりと研究のところについて御議論いただきましたが、基本方針の議論にもかかわるんですけれども、一方で、法律で臍帯血供給事業者が研究利用に出せる基準を定めるという規定がございます。
 そこの具体的な基準をどのようにするかというところをかなり念頭に置いた御議論をいただきましたので、ある意味、前回の委員会で御議論をいただいた内容につきましては省令ですとかガイドラインのほうにかなり具体的に反映していくという形で、基本方針につきましては少し抑えた定性的な表現になるという形でございます。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。
 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 ちょっとお聞きしたいんですけれども、4番の「経済的負担の軽減」、こういう患者さんのための経済的な負担の軽減というのは何か支援するんでしょうか。これは、具体的に何ですか。経済的負担というのは、どんな負担に対してのものですか。
○小澤委員長 事務局からありますか。
○吉田室長補佐 現在、骨髄バンクさんのほうなどで患者負担金が発生しておりますけれども、そちらに対して現在でも国のほうで一定の補助を行っておりますので、そういった取り組みをきちんと行っていきたいという趣旨で書いたものでございます。
○浅野委員 それは今、既にしているでしょう。
○吉田室長補佐 きちんとそういったものに引き続き取り組んでいく必要があるのではないかという認識のもと、こういった記載を入れたものでございます。
○浅野委員 普通、今までやっていないかと思える書き方でしょう。こういう取り組みを支援するということですが、もう支援しているんでしょう。支援を拡充するとか、改善するとか、増加するとか、そういう書き方でないと意味がないんだけれども、おっかないんですか。
○吉田室長補佐 別に抵抗するわけではございませんけれども、今まできちんと取り組んできたものも引き続きやっていくというのも一つの取り組みの方向性でございますので、こういった書き方をしてございます。
 それは、当然いろいろな方向性はあるとは思いますけれども、きちんと今まで我々も一生懸命取り組んできた部分がありますので、まずはこれを少なくとも現状どおりきちんと支援はしていくという方向性を明確に盛り込ませていただいたという意味でございます。
 必ずしも変わったものだけを基本方針に書くということだけではないと理解しておりますので、そのように御理解いただければと思います。
○浅野委員 そうですか。それだったら、そんなものは書く必要はないでしょう。普通、基本方針を書くならばこれを機会にやるということなので、書くなというのではなくて、書き方として、支援を充実するとか何とかと書かないと余り意味がないというのが1つです。
 それから、今ちょっと質問したものは何ですか。この文章だけからは、何か書いてあるけれども、骨髄バンクを行うときの経済的な負担というのはもっと具体的に書いたほうがいいんじゃないですか。そうじゃないですか。要するに、患者負担金ですか。骨髄バンクが課する患者負担金が軽減できるように国としても支援するとか、支援を拡充すると書くべきなんじゃないですか。
 そういう面で、2つよくわからないです。内容がわからない。何の負担なのかというのは、これだけ読んだのではぴんとこない。
○小澤委員長 室長、どうぞ。
○泉臓器移植対策室長 読んだだけでは内容がよくわからないという点については、もうちょっと工夫をしてわかるように書かせていただきます。
 あとは拡充についてでございますが、何年かにわたる基本的な方針ということでございますので、短期的にどうするということではないと思っております。そういう意味では、ここの場で来年度どうする的なことを記載するのはなかなか難しいと考えておりまして、現行は支援するということでございます。予算の規模について、方向感のあるような記載というのはここの場ではなかなか難しいということで御理解いただければと思います。
 もちろん、基本的方針ではなくて我々の部局としての主体的な意図というのは一定の方向性をもって要求していくわけですけれども、基本的方針につきましては予算の規模についての方向感のある記載はなかなか難しい。御理解を賜れればと思います。
○浅野委員 役員経験者としては、それはよくわかります。
 ただ、私は冒頭に言ったんだけれども、この基本方針をつくるということで我々も呼び出されてこれをやるというときに、患者の立場からいったらやってもらいたいわけです。そのときに、むしろ役人的にすごくあれすれば、まだ予算も取れるかどうかわからないのにと、逆なんです。こういう機会に審議会にこうやって意見を聞いたら、これはここだけではありませんよ。やれということがあるのを、予算要求のときの武器にしたらどうですか。患者からもこう言われたんですと、患者からというだけではなくて、そうやって審議会が一生懸命やっている中でこういうことをやったから基本方針に書きましたということで、基本方針どおりにならないということもあるんです。
 それを、ここで遠慮して、取れるかどうかわからないというんだったら意味ないんです。意味ないといったらあれだけれども、私たちが審議会委員として入って、これは正論なんですよ。間違っていないでしょう。ただ、予算が取れるかどうかというのは難しいということなんだけれども、正論なんですからそれを武器にする。
 戻ってしまうけれども、ちょっと気になったのが、診療報酬の引き上げは中医協のあれですと、そう言ってしまったら身もふたもないんです。中医協にある意味、こちらから要望するというようなことがあって、そのときにそこの基本方針で書かれていることが武器になるんですね。非常に大きなことで、この基本方針とは何なのかというところに戻りますけれども。
 それから、もっと細かいところで戻って今のところですね。それはともかくとしてといったらあれだけれども、全体はわからないんですが、必要とするものが「移植を受ける機会が十分に確保されるよう」というのは、ちょっとぴんとこないんです。そういう患者の負担を軽減するためにとはっきり書いたらいいんじゃないですか。「機会が十分に確保されるよう」というと、裏読みするとこういうふうな負担金があるがために私は骨髄移植を受けられない、受けないというふうになっては困るから書いたんだろうと思うけれども、「移植を受ける機会が十分に確保されるよう」という表現はちょっと迂遠な書き方ですね。これは、表現の問題です。
 それから、大きな問題で、もっと元気を出せということです。元気を出せと室長に言っているのではなくて、基本方針を今、検討させられているといういい機会を持った我々の委員としてのお願いです。
 お願いというか、むしろもっとおためごかしに言えば、あなた方を応援しているんだよと、実はそういうものなんですよ。審議会はいろいろありますけれども、全くできもしないことを書かれても困るというのはありますが、こんなところはあれじゃないですか。以上です。
○小澤委員長 ほかには何かございますか。
 宮村委員、どうぞ。
○宮村委員 6番の「国際協力の推進」で、人道的な見地に立ち、海外からの必要な人にも提供し、国外からも日本の患者さんが受けられるということを書いているんですけれども、この読み方は非常に広くて、人道的ですけれども、現在のところはお金をある人が海外からもらって、また逆に海外にお金のある人が日本から出していく。そういうレベルを、この「人道的」という言葉が入ると非常に大きく広がっていくといったイメージもあるんですけれども、現在事務局のほうではどういうふうに考えてこの文章、「人道的な」ということをつくられたか聞きたいと思います。
○西脇室長補佐 現在でも、骨髄バンクでは国際間のやりとりとかあると思いますけれども、移植分野では基本的には国内、自分の国で自分の国の臓器を賄うというのが国際的にも言われておりますが、それでも例えば海外にいる日本人には日本人のほうが事例が合いやすいだとか、そういった場合には日本から出したほうが適切であろう。
 そういう状況に応じたという意味で、「人道的」というのは海外にいる日本人に対して、そこの国で何が何でも賄いなさいということではなくて、そういう場合には日本からも出しますし、逆に日本国内にいる外国人の方にもし日本のバンクで合いにくいのであれば海外からも入れるということを検討するという意味で書いてあります。
○小澤委員長 よろしいですか。
○宮村委員 「人道的」と書いてあると、現在ある程度一部進んでいると思いますが、アジアの人たちとか、そういったところにも少し値段を下げていくとか、そういったことも含まれるようなイメージを持ってしまったので、ちょっと確認しました。
○小澤委員長 それでは、全体を通して何か御意見はいかがでしょうか。前に戻っていただいても結構です。
 浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 まさに全体を通してというか、今、最後のところでもちょっと言ったんですけれども、我々は何なんだということなのですが、つまりこの基本方針をつくるに当たってこの審議会の意見を聴取しなければならないなどという法律ではないですね。
 そうすると、今これは何なんですか。任意的な諮問というか、それはどういうふうに表現されているんですか。法律の根拠はなくても、この基本方針をつくるに当たってこの審議会の意見を聞いてそれに沿ってつくりましたと、これを発表するときの記者会見ではそう言われるんですか。法律以外にも、何とかに基づいてというのはないんですね。
○泉臓器移植対策室長 ありません。
○浅野委員 ないんですね。だから、任意に聞いているわけですね。
 委員からすれば、聞いたからには意見を言う。意見を言ったからには取り入れてほしいと思います。それはやりとりもあるんだけれども、その位置づけというのをもう一回確認したいんです。
○泉臓器移植対策室長 今、浅野委員がおっしゃったことに尽きるわけですけれども、法律上は厚生労働大臣が基本方針を定めるというふうになっていますので、その作業をするということでございます。
 ただ、役所だけで考えていても間違いますので、委員の方々にお集まりいただき、現基本方針について御検討いただくということになります。
 恐らく、いささか平たい言葉ですけれども、この基本方針は審議会の御意見もお聞きした上で定めましたといった御説明になろうかと思います。
○小澤委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、大分議論も出尽くしたように思いますので、議題3に関しましてはこのあたりとさせていただきます。本日のこの委員会での議論を踏まえまして、事務局のほうでは基本方針の文章を作成しまして、次回の委員会に報告してください。随分といろいろな意見が出ましたけれども、やはり多くの委員の方は途中でも言いましたように、もう少し強く主張してほしいというようなところがありますので、この表現を少し御検討いただいて、できるだけといいましょうか、もう少し強く主張するような形での文章を検討していただければと思います。
 それでは、最後の4の「その他」になりますけれども、何か御意見、コメントはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 もう大分、時間が過ぎてしまいましたので、この辺で終わりにしたいと思いますけれども、次回の委員会につきましては移植用臍帯血基準検討会で臍帯血の品質向上に向けた今後の検討の方向性についてまとめられたようでありますので、その報告をいただいた後、基本方針に対して関係団体からのヒアリングを行い、さらに本日の議論を踏まえて作成する基本方針の文章について、各委員からの御意見をまた伺った上で、基本方針案の取りまとめの議論を行いたいと思います。
 最後に、事務局から連絡をお願いします。
○吉田室長補佐 本日は、活発な御議論をいただきまして大変ありがとうございました。
 次回の委員会につきましては、8月30日17時からを予定しております。先生方におかれましては、お忙しいところ大変恐縮でございますけれども、日程の確保に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。以上でございます。
○小澤委員長 10分ほど延長しましたけれども、本日の会議を終了いたします。
 どうもありがとうございました。


(了)

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