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IDESコラム vol. 11
感染症エクスプレス@厚労省 2018年1月26日

「90年前の教訓」

IDES養成プログラム 3期生:高橋 里枝子

 2018年が始まって早くも3週間が経過しました。明治元年(1868年)から
満150年の年に当たり、全国各地で「明治150年」を記念したイベントが開催
されます。感染症の分野では、スペイン風邪の流行から100年であり、野口
英世氏が亡くなってから今年でちょうど90年になります。このように、2018
年は感染症でも特別な年なのです。

 この野口英世氏、千円札に肖像画が印刷されていますが、幼くして大火傷
を負いながらも、努力して医師になった姿に感銘を受けた方も多いのではな
いでしょうか?かくいう私の父は、未来の野口英世を志し、医師になった一
人です。野口氏による医学界での貢献については、現在では諸説ございます
が、ペスト菌の研究など基礎医学研究において、日本国内のみならず国際的
にも活躍し、また、横浜港に入港した船舶の検疫を行うなど、検疫官として
も活躍されていました。私たち、IDES養成プログラムの研修生は横浜検疫所
の検疫官もしていますが、野口氏は私たちの大先輩に当たるわけです。

 昨年は、ガーナで野口氏の遺体を解剖検査した際のノートが再発見され、
黄熱の所見が記載されていたと報告されています。基礎医学研究においては、
ペスト菌の他、梅毒、黄熱病の研究でも有名です。しかしながら、野口氏は
研究していた黄熱病に自ら罹患してしまい、死に至りました。自らが活躍し
続けるためにも、自らを守ることがとても大切であることを野口氏は教えて
くれているのかも知れません。

 空気が乾燥するこの季節、現在インフルエンザが流行していますが、実は
ノロウイルスにも注意が必要です。胃腸炎にかかってしまったお子さんを看
病していたら、お父さん・お母さんも感染してしまった、ということがあり
ます。特に冬季に流行するノロウイルスは、患者の便や吐物に大量のウイル
スが排出され、手指などを介して経口感染します。そのため、手洗いの徹底
や患者の吐物を適切に処理することで感染拡大を予防することが出来ます。
こまめに手洗いを心がけることが、自らの感染を防ぐ上で重要です。このよ
うに、相手を思いやりながら、自らも守るということは、感染症対策でもと
ても大切な考え方です。

 感染症予防では、皆様には手洗いと咳エチケットの徹底をお願いしていま
す。厚生労働省のホームページでは、ポスター等を通じて皆さんに衛生的な
手洗いの手順や咳エチケットの方法を説明しています。看病しているうちに、
自ら患者になってしまうことのないよう、今後も適切な手洗いと咳エチケッ
トをよろしくお願い致します。

手洗いポスター

咳エチケット


※当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示す
 ものではありません。
※IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で2年
 前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機
 管理専門家」のことをいいます。

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本コラムは、「感染症エクスプレス@厚労省」に掲載しております健康局結核感染症課長によるコラムです。
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