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あさコラム vol.26
感染症エクスプレス@厚労省 2016年10月21日
舞子Villa Beach
こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
国立感染症研究所によりますと、マイコプラズマ肺炎の1週間当たりの患者
報告数が、感染症法に基づく1999年の調査開始以降で過去最多レベルになっ
ています。
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという病原体を原因とする呼吸器
感染症。
飛沫感染や接触感染などで広がり、重症肺炎になるケースも。
また、中耳炎や溶血性貧血、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎などを合併するこ
ともあります。
かつては4年周期でオリンピック開催年に大きな流行を繰り返してきたこと
から「オリンピック病」と呼ばれていましたが、まさに今年はリオデジャネ
イロオリンピックの年。
このジンクスは復活したということなのでしょうか?
手洗い、うがい、マスクの着用、早期の受診など、ぜひ予防に心がけたい
ものです。
かくいう私も、実は今から26年前の春、このマイコプラズマ肺炎に罹患
しました。
最初は風邪を引いたのかな?程度に思っていたところ、段々と体調が悪く
なり、近医を受診。
いわゆる風邪薬を処方していただき、様子を見ていたところ、体調は戻る
どころかますます悪化。
熱と咳が出て、呼吸は苦しくなるばかり。
再度受診し、胸部X線写真を撮ったところ、肺は両側とも真っ白け。
「これはいったい何なのだろう?」と、できの悪い医学生だった私が出し
た結論は「マイコプラズマ肺炎」でした。
「う~ん、全く良くならないねぇ…」と心配してくれた内科の先生に
「先生、もしかしてマイコプラズマ肺炎なんじゃないですかねぇ?」とお
そるおそる尋ねると、
「そうかなぁ?じゃ、処方を変えてみようか!」と、頂いたお薬が、今で
も忘れはしない「ジョサマイシン」。
マクロライド系の抗生物質です。
藁をもすがる思いでジョサマイシンを服薬しはじめると、あら不思議!
服用2日目にも関わらず、体調が一気に改善。
その後はみるみる回復し、1週間後の再診時にはすっかり元気になりまし
た。
「君、大当たりだよ!」
前回受診時に採血した血液検査データを先生から見せてもらうと、マイコ
プラズマの抗体価がびっくりするほど高力価を示していました。
おお!これぞまさに診断学的治療だなぁと自己満足し、足取り軽く帰宅の
途につきました。
やはり、精度の高い診断と適切な治療が重要ですね。
この年の秋、時の人気ミュージシャン・大江千里さんが「Apollo」という
CDアルバムを発売しました。
その中の一曲、「舞子Villa Beach」という曲を聴く度に、「舞子Villa
Beach♪」というフレーズが、なぜか「マイコプラズマ」と聞こえる空耳アワ
ー状態になったとかならなかったとか。
この曲を聴きながら、医師国家試験の勉強に励んだことも、マイコプラズ
マの思い出です。
※ちなみに、舞子とは女性の名前ではなく、兵庫県神戸市垂水区にある瀬
戸内海に面する素敵な海辺です。
そういえば第3回神戸マラソンに出場した時も、折り返し地点だったこの
舞子の地を走り抜けた時、頭の中になぜか「マイコプラズマ」が思い浮かび
ました。
こんなマイコプラズマですから、きっと一生忘れませんね。
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