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あさコラム vol.34
感染症エクスプレス@厚労省 2016年12月16日

酉年

 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。

 この冬、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行しています。
 感染力が強く、集団発生を起こしやすいノロウイルスは、手指や食品など
を介して経口で感染し、嘔吐や下痢、腹痛などを起こします。
 特にお子さんやご高齢者の方々は、症状が重篤化することがあります。
 予防のためは、感染者の方のおう吐物や便に対して適切な処理に心がけ、
積極的に手洗いに取り組むことが重要です。
 また、感染した場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるとと
もに、脱水症状の防止のため水分補給に努めていただきたいと思います。

 さて、今回のテーマは、鳥インフルエンザ。
 今年は国内の野鳥や家きん、動物園の飼育鳥などに、高病原性鳥インフル
エンザA(H5N6)の発生が数多く確認されています。
 12月13日時点で、家きんが2県4件、野鳥が11道県64件。
 特に野鳥は11月以降、最も速いペースで見つかり、過去最多の件数となっ
ています。

 家きんでは採卵鶏(ニワトリ)とあひる。
 家きんの発生事例においては、既に処分は終了していますが、今般の流行
状況から、今後も大規模な発生が起こりうるかもしれません。
 家きん飼育者の皆さんは大変ご心配だと思いますが、家きん舎の点検や消
毒、家きんの健康観察を行うことが肝要です。
 ヒトの病気と同様、早期発見・早期対応により、被害をより小さく治める
ことができます。

 野鳥ではコハクチョウ、オオハクチョウ、マガン、ツル、カモ、ハヤブサ
などに高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)発生。
 死んでいる野鳥を発見した場合は、素手で触らず、家畜保健衛生所などに
連絡するよう、周知に努めています。

 また、動物園では、コクチョウやシロフクロウ、シジュウカラガン、マガ
モなどに、高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)が発生しています。
 動物園では希少な鳥を飼育しているケースもあり、鳥の展示を取りやめた
り、ふれあいイベントを中止するなど、対策に取り組んでいます。

 なお、国立感染症研究所や農業・食品産業技術総合研究機構によると、今
回の高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)は、現在のところヒトに直接感染する
可能性は低いとのこと。
 しかし、世界全体では、今まで中国で16名の方に高病原性鳥インフルエン
ザH5N6の感染が確認されています。
 環境等の違いがあるとはいえ、万が一のヒト感染に備え、厚生労働省では
自治体の皆さんと協力し、鳥インフルエンザの情報収集に努めるとともに、
健康監視や治療体制の整備に取り組んでいます。
 未然にヒト感染を防ぐためにも、死んでいる鳥には直接触れない、素手で
は触らないということが大事です。
 特に、家きん農場で従事されている方や防疫作業に従事される方について、
関係省庁と共に感染防護策の周知に努めているところです。

 来年(平成29年)の干支は酉、トリ年。
 酉年にちなんだ新春イベントを準備していた動物園もあるようですが、鳥
インフルエンザの影響で既に開催中止を決めたところもあるとか。
 園としては残念でしょうが、健康の問題には代えられません。

 そういえば、平成17年(2005年)の酉年では、国内では高病原性鳥インフ
ルエンザA(H5N2)が発生、インドネシアやベトナム、中国では高病原性鳥イ
ンフルエンザA(H5N1)が発生しています。
 ちょっと嫌なデータですが、来年の酉年ではこのようにならないことを、
祈るばかりです。

 では、次回もどうぞよろしくお願いします。


高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)の発生が数多く確認されています

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