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あさコラム vol.56
感染症エクスプレス@厚労省 2017年6月2日
まもりたい
こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。
コンゴ民主共和国で発生したエボラ出血熱は沈静化が見えてきました。
その一方で、イエメンで発生しているコレラは、世界保健機関(WHO)の
5月29日の発表では、感染が疑われる患者数は51,832人、死亡者は少なくとも
471人と拡大しています。
両国とも発生地域は、内戦などによる紛争地帯。
そのため、医薬品の不足などで医療が不十分であるばかりか、食料品も飲
料水も思う様に確保できないことが感染拡大の追い打ちをかけています。
効果的な感染症対策が取れるのは、平和があってからこそと、痛感してい
ます。
さて、先日の5月28日(日)、風しん対策でお世話になっているクリス・ハ
ートさんを応援をするため、「クリス・ハート 第2回 47都道府県ツアー
~my hometown~」のファイナルに、結核感染症課の有志で行ってまいりまし
た(チケットはもちろん自腹、席もバラバラで確保しました)。
かつては大きな流行が発生していた風しんですが、2013年(平成25年)の
大流行以降は国内での大きな流行は見られなくなり、現在では、海外で感染
した方が帰国後に発症する「輸入感染」が多くを占めています。
しかし、妊婦さんが感染すると、生まれてきたお子さんが「先天性風しん
症候群」となり、視力や聴力、心臓などに重いハンデを背負う場合もありま
す。
これを防ぐためには、ワクチンが非常に有効であることは、言うまでもあ
りません。
妊娠を希望している妊娠前の女性、その女性のパートナーをはじめとした
成人男性、さらには妊娠中の女性のご家族を対象としたワクチン接種もさる
ことながら、MRワクチン(麻しん風しんの混合ワクチン)の定期接種を確実
に進めることが重要です。
2015年度(平成27年度)のMRワクチンの接種率は、1期(1歳児)は96.2%
である一方、2期(小学校就学前1年間の幼児)の接種率は92.9%と、「それ
ぞれの接種率95%」という目標の達成まではもう一歩。
このため、特に2期のワクチン接種を忘れずにお願いするために、幅広い年
齢層での認知度・好感度が高いクリスさんとコラボしたポスター・リーフレ
ットを啓発ツールとして作成した訳ですが、実際にポスターを掲示してもら
ったり、リーフレットを手にとってもらえるのかどうか、一抹の不安はあり
ました。
コンサート会場の東京国際フォーラムで配られたいくつかの音楽関係のチ
ラシの中に、クリスさんとコラボレーションした「お子さんの風しんワクチ
ンは2回」のリーフレットも含まれていました。
とてもありがたいなと思いつつも、このチラシのPR効果があるのだろうか
…と開演前に会場を見渡すと、このチラシを早速、手に取って眺めている方
があちらにも、こちらにも、何人もいらっしゃいました。
これならば、お客様のお子さんやお孫さんに向けたワクチン接種の啓発普
及とつながるかも…と、改めて、キャンペーンを引き受けて下さったクリス
さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
コンサートは、素敵なオリジナル曲や原曲を超えたカバー曲と、メドレー
も含めて25曲にも及びました。
素敵な歌声は枯れることなく、曲の合間のトークも楽しく、あっという間
の3時間でした。
ご自身も1児の父(年内には2児の父となる予定)のクリスさん。
ヒット曲「まもりたい~magic of a touch~」のように、お子さんを守る
ためにも、ぜひ「風しんワクチン(MRワクチン)は2回」ということをお願い
したいと思います。
※なお、クリスさんは筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral
Sclerosis)の支援もされていて、コンサート会場に募金箱を設置。
募金はWITH ALSへ寄付しているとのこと。こちらも素晴らしい取り組み
です。
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