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- 第32回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録
第32回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録
日時
令和6年2月27日(火)15:00~17:00
場所
全国都市会館 3階 第一会議室
出席者
- 森戸部会長
- 渡邊部会長代理(オンライン)
- 岩城委員
- 大江委員(オンライン)
- 金子委員
- 小林(由)委員
- 小林(洋)委員
- 島村委員
- 谷内委員
- 冨樫委員
- 原田委員
- 松田委員
(オブザーバー)
- 鮫島企業年金連合会理事長
- 松下国民年金基金連合会理事長
議題
- (1)健全化法への対応について
- (2)社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の中間整理について
議事
- 議事内容
- ○森戸部会長 皆さん、こんにちは。
定刻になりましたので、ただいまより第32回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催いたします。
皆様、お忙しいところ、また、強風の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日ですが、藤澤委員、山口委員については御欠席、渡邊部会長代理はオンラインで御参加いただいております。
それから、大江委員は途中からオンラインにて御参加いただく予定です。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思いますが、まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 資料の確認をさせていただきます。
本日の資料といたしましては、資料1「健全化法への対応について」
資料2-1「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の中間整理(案)」
資料2-2「これまでの企業年金・個人年金部会における主な御意見」
参考資料1「藤澤委員提出資料」
参考資料2「企業年金・個人年金部会委員名簿」
を御用意しております。
○森戸部会長 ありがとうございます。
それでは、議題に入りたいと思います。
カメラの方がいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。
本日は、議題1「健全化法への対応について」、議題2「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の中間整理について」を議題といたします。
本日は、議題1について議論した後に、議題2について議論していただければと思います。
まずは、議題1について、事務局から説明をお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 まず、資料1を御覧ください。
資料1「健全化法への対応について」になります。
1枚おめくりいただいて、2ページ目は、前回の資料でもお出しした「厚生年金基金の仕組み」のページでございます。
3ページ目も、前回お示しをしている「健全化法の附則の検討規定」の資料になります。
4ページ目が、「健全化法附則第2条への対応について」の「論点」ということで、こちらも前回お示しをしている資料になります。
今回、資料の5ページ、6ページ、7ページに関しまして、新しく作成をしておりますので、御説明させていただきます。
資料の5ページ御覧ください。5ページと6ページは、前回の御意見を事務局でまとめさせていただいているものです。
まず、1つ目の○ですけれども、前回の御意見の中で、残りの基金の制度を残すために生じる行政コスト、制度、税制の公平感などを考えると、解散、制度移行というのにしていただくのが合理的と。労使で議論を尽くして、制度移行していただくというのがいいのではないかといったような御意見。
また、2つ目の○ですけれども、厚生年金基金が存続し続けると例外的な仕組みが存在するというところで、企業年金制度全体としての複雑性があるため国民にとっての分かりにくさにつながると。このような複雑性を解消する観点からも、今後、廃止に向けた筋道を立てたほうがいいのではないかといったような御意見。
3つ目の〇ですけれども、現状、健全であるということであっても、今後、何が起こるか分からないので、健全なうちに、移行なり解散なりに移行させる方向で議論をするべきではないかといったような御意見。
4つ目の○ですけれども、厚生年金基金制度自体、代行制度により公的年金とつながっているということなので、単に、財政が健全であるかどうかということだけではなくて、将来も含めて妥当性、公平性も検討するべきではないかといったような御意見。
5つ目の○ですけれども、現存する5つの厚生年金基金に関しては、健全である、モニタリングもクリアしているという状況も踏まえると、一義的に廃止はなかなか難しいのではないかといったような御意見。
また、一番下の○ですけれども、既得権として被保険者の受給権が守られることは重要な視点だということですので、基金を解散しても、同等の権利が守られるような措置を講じる必要があるのではないかといったような御意見。
次のページへ行きまして、1つ目の〇で、企業年金はもともと退職金給付由来だというところを考えますと、労使の判断は最大限尊重されるべきではないかといったような御意見。現状、代行割れが懸念されていないということ、ヒアリングで、引き続き存続したいということが示されていることから、存続要件を満たす限りは、存続を認めてもいいのではないかといったような御意見。
2つ目の○で、早急な対応はなかなか難しいので、相当足の長い対応を考えていく必要があるのではないかといったような御意見。
3つ目の○で、5年後、10年後に向けて、税制も含めて、加入者掛金の取扱いも整理をして、残った基金と丁寧な対話を行って、代行返上を促していくというのがいいのではないかというような御意見。
次の○ですけれども、既に受け皿となる制度があって、過去に多くの基金が移行しているというところがあるので、その懸念点は、もう少し詳細に検討しながら、丁寧に対応を支援していくということで、廃止への筋道が立てられるのではないかといったような御意見。
また、下から2つ目の〇ですけれども、現状の枠組みでは適正な運営が確保されているので、年度末で強制的にというのは難しいのではないかと。一方、今のモニタリングは、代行割れという観点での措置を行われてきたものなので、今の制度を社会情勢に照らして、今後もこの枠組みが有効かは、検討が要るのではないかといったようなこと。
一番下の○について、施行から10年経過したところですけれども、もう少しきちんと検討して存続できるようにするのか、解散代行に向かって進めていくのかということを、結論を出していくべきではないかといったような御意見。
このような御意見をいただいたというところでございます。
次のページ、7ページ見ていただきまして、前回の検討の際にも、どういったところが移行の際の論点になってくるのかといったようなお話もいただいておりましたので、事務局で、解散する場合、代行返上する場合と、少しケースを分けつつ、どういったところで不利益が生じる可能性があり、配慮していかなければいけない点なのかといったところの整理をさせていただいている資料になります。
一番上の◆になりますが、まず、厚生年金基金が解散する場合は、国に責任準備金相当額、代行部分の金額は返納した上で、残余財産は加入者・受給者に分配され、基金は消滅をすることになります。もちろん、資産をその後他制度に移して、退職給付を継続するといったケースもありますが、厚生年金基金としては解散というケースが1つ目。
それから、2つ目として、代行返上というスキームで、国に代行部分を返納した後に、代行相当給付の支給義務を除いた一切の権利義務をDBに承継していくといったようなケース。
大きく分けると、この2つのケースになります。
下の枠になりますけれども、いずれにしても、厚生年金基金、DBも考えて、それぞれのその制度設計には違いがありますので、事業主のコスト、受給者の財産権の観点からも検討を行っていくことが必要だということでございます。
1つ目の○。基金が解散をする場合ですけれども、解散する場合には、受給者の年金はなくなることになります。加入者・受給者ともに期待されていた終身年金の給付は受けられないという不利益は生じることになります。
また、解散時には、積立金が最低積立基準額等に不足しているような場合には、事業主が追加で一括拠出するというケースも生じてくるといったところでございます。
2つ目の○。代行返上のケースでございますが、代行返上でDBに移行する場合ですけれども、全く同一な制度設計が難しいというところがありますので、下に挙げているような点について、不利益が生じる可能性はあるというところでございます。
具体的な内容として1つ目は、厚生年金基金において、前回のお話でもございましたけれども、基本、労使折半という制度でございます。DBに関しては、加入者掛金は本人の任意という制度になっておりますので、厚生年金基金からDBに移る際には、事業主は、加入者掛金を継続するときには、拠出の有無による加入者間の給付水準の差をどうするかというお話を整理する必要がありますし、加入者掛金を廃止する場合には、事業主掛金を増額するのか、あるいは給付水準を下げるのか、このような点を検討する必要があるということになります。
また、厚生年金基金から支払う年金は、基金と国とで支給要件が少し異なっておりまして、代行部分、厚生年金保険制度であれば支払われないようなケース、例えば受給資格が10年未満のようなケースは、基金から独自給付という形で支払われているようなケースもございます。このような場合、DBに移行した場合には、ほかの制度の支給状況に応じて独自給付を行うみたいな仕組みは設けることができないので、この点もどうするかということを整理が必要になってくるということでございます。
厚生年金基金とDBでは、拠出・運用・給付時の税制がそれぞれ異なりますので、この点については不利益が生じる可能性はあるということでございます。
解散または移行を決定する際には、労使でこういった点についてお話し合いをいただいて、御議論をいただいた上で、移行していっていただく、あるいは解散していただく、そういったようなことになりますというところでございます。
次のページからは、参考ということで、前回お出しをしている資料を整理しているものとなりますので、こちらは、説明は割愛をさせていただきます。
事務局からの説明としては、以上でございます。前回の御議論で、追加でお出しした7ページの資料なども踏まえつつ、また御意見をいただければと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
確認ですけれども、今回の資料には、意見をまとめたものはありますが、前回出てない資料が特にないのですよね。
○海老企業年金・個人年金課長 5ページ、6ページ、7ページが、前回にはなかった資料です。参考というふうにつけている資料に関しては、前回の資料から主要なものをちょっと抜粋させていただいている資料になります。
○森戸部会長 ありがとうございます。確認させていただきました。
それでは、議題1について、委員の皆様から御質問・御意見をいただきたいと思います。
まず、議題1で区切って、御意見いただければと思います。いかがでしょうか。
冨樫委員、お願いします。
○冨樫委員 前回の部会において、モニタリング等により当該基金の状況確認を進め、基準をクリアしている限りは認めてもよいのではないかと発言をしましたが、既に時代の流れの中で一定の役割を終えた制度であるとの認識が一致していること、また、ほかの委員から意見として挙げられていた、DBとの比較における税制上の不公平感の解消や、加入者や受給権者の受給権の保護を前提とした移行などの意見を踏まえ、厚生年金基金の運用状況が公的年金に影響することを防ぐため、残った基金に対して、一定の期限を示しつつ、代行返上を促す方向性には賛同したいと思います。
ただ、その期限については、前回も申し上げた「当該労使の判断は最大限尊重する」との観点で、期待されていた給付が受けられない不利益等が生じる可能性やDB制度との違いを踏まえた移行の判断、また解散後の制度設計も含め、労使で十分に議論を尽くすため、必要な期間を設けるべきであると考えます。
したがって、法制上の措置を講じるに当たっては、厚生労働省において残った基金との丁寧な対話をいただき、当該労使の検討状況、DBへの移行に求められる支援などを踏まえ、本部会で改めて議論をすべきと考えます。
それから、事務局へのお願いです。健全化法施行以降、代行返上を行った基金は、7ページに示されたような移行に伴う懸念点ついてどのように労使で議論をして、どのように対応したのか。本部会での今後の議論の際、一例でも可能であれば調査いただいた上で、お示しいただければと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
もちろん、まだ何も決まってないのですけれども、冨樫委員の発言に全部ロードマップが示されていたような感じもありますので、非常に貴重な御意見ありがとうございました。
それから、事務局にも要望がありましたので、ぜひ検討いただきたいと思いますが、1点、私も、移行するとすれば、スライド7ページにあるような、いろいろな問題が労使で生じるだろうと思っています。ただ、この10年間に移行したところが、財政のいいところも含めてあるので、そこでは、こういう話はどうしたのかというのは気になるところです。冨樫委員からは、まさに、それに関して何か資料がないかという御意見だったと思います。
ぜひ資料の提供をお願いしたいのですが、ちょっと思ったのですけれども、これは厚生労働省でももちろん何かデータあるかもしれないけれども、むしろ、労使の話だから、現場の労使から冨樫委員のほうに挙がってくるとか、もしくは、挙げさせるとか、そういうことはできないのかなと、ちょっと思ったのですけれども、もし、そういうのがあれば、ぜひお願いします。これは最終的にどうしたかというのは、労使交渉の話だから、事務局が分からないかもしれないので、と勝手に思ったのですが、もし、冨樫委員のほうのルートでも何かあれば、ぜひお願いしたいと思います。いいことを言ったと言いつつ、ご意見に宿題で返すという、申し訳ないのですけれども、ちょっとそういうふうに思いましたので、もし御検討いただければありがたいです。
事務局は、今の点いかがですか。
○海老企業年金・個人年金課長 具体的なその事例をどこまでお出しできるのかというのはちょっとあるので、そこはちょっと検討させていただきたいなと思います。
労使で、いろいろな形でお話し合いをいただいたということではあるとは思うので、その点も含めて、どういったものがお出しできるのかというのは、ちょっと引き取らせていただければと思います。
○森戸部会長 ありがとうございます。
もちろん健全化法の下で、財政的にあんまりよくないことを理由に移行した基金、企業も多いのですけれども、そうではない場合にも代行返上したところもあると思いますので、そういう例があれば、非常に興味深いと思いました。ありがとうございました。
では、小林洋一委員お願いします。
○小林(洋)委員 御説明ありがとうございました。
厚生年金基金をめぐる現状については、次のように認識し、検討を継続すべきと考えております。まず、運営が続いている5つの基金は、いずれも存続要件を満たすとともに、適正に運営されており、解散は考えていないということ。また、健全化法では、財政が健全な基金は、強制的に解散させず、かつ、基金ゼロをゴールとして明確に規定してはいないこと。他方で、資料によりますと、田村厚生労働大臣は国会答弁で、基金解散の奨励という方向性を示されたということ。
以上まとめますと、全基金の解散という将来像を見据えつつも、健全な基金を継続している現状は、法的に見て問題はないものと理解いたしました。したがいまして、現存の加入者及び受給者の権利を保護しつつ、法制度等をどのように変えていくかということにつき、議論を継続するのが適当であろうと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
では、谷内委員お願いします。
○谷内委員 資料1の5ページの下から2ポツ目にある通り、私は前回の部会では、従来よりも高いハードルをクリアしてきた中で、現存する厚生年金基金を一気に廃止するのはなかなか厳しいのではないかとコメントしました。
その一方で、厚生年金基金は代行部分を有しているがゆえに、厚生年金保険本体に与える影響やモニタリングのための行政コストなどを考慮すると、無条件で永続的に存続を認めるという判断も厳しいともコメントしましたし、同様の意見が他の委員の皆様からも寄せられたことは認識しています。よって、一定の期間をかけて、労使の間で協議・交渉を進めることを通して、解散あるいは代行返上に向かわせるというのも、一つの方法だと考えます。
そして、他制度への移行等を促す方法についてですが、2014年当時の特例解散の際もさまざまな措置が講じられました。現存する5基金につきましては、資料1の14ページに記載の通り、財政状況を見る限りでは、継続基準は満たしておりますし、また、代行割れもしていないという状況です。
一方、非継続基準に抵触している制度は幾つかありますので、例えば、当時の特例解散の際に行ったような、非継続企業で用いる債務の認識を5年猶予するなど、他制度への移行を促すための措置は、もし解散・代行返上を促進する方向に舵を切るのであれば、ぜひ手当てすべきと考えます。
私からは、以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
では、岩城委員お願いします。
○岩城委員 ありがとうございます。
意見は前回と同じですけれども、再度、資料に当たりまして、この健全化法の議論に至った制度改正の経緯をやはり重視する必要があると改めて考えました。平成13年にDC、平成14年にDB制度が施行されて、代行返上が始まり、運用環境が低迷していく中で、私もよく覚えているのですけれども、平成24年のAIJ投資顧問事件があって、これを契機として、最終的に、代行部分の給付責任を負う厚生年金保険の財政に影響を与えるなどの理由から法律の改正が行われて、平成26年4月からは新規の設立が認められなくなった。存続していた厚生年金基金についても、存続要件が厳しく設定され、多くの基金が解散しました。
ただし、健全な基金に強制的に解散させるという規定はなくて、存続自体は許容されるという内容でした。上川議員が答弁で、附則を設けた理由も端的に述べていらっしゃいましたが、原則は、10年を経過するまでに解散または移行させていくということであろうと思います。
今、改めて現状残っている基金に関して、財政状況に特段大きな懸念点がないことが、代行返上、解散を内諾しない根拠となるのかということを議論すべきではないかと考えます。異なる制度を維持・管理することで生じる行政コストなどの大きさや、制度改正の経緯に対しての妥当性とか公平性、永続可能性について、また、移行、解散を進める上で生じる事業主のコストとか、受給者を含めて生じる不利益なども、できるだけ具体的にシミュレーションをして、比較検討をすることで、存続基金の皆様にも御理解をいただくという流れがよいのではないかと思いました。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
島村委員、お願いします。
○島村委員 ありがとうございます。
上川議員の答弁にもありましたとおり、厚生年金基金は、先ほどもありましたが、歴史的な役割を終えていて、制度としてフェードアウトしていくべきかと思うので、健全化法については、たとえ健全でないものを整理する趣旨だけであったとしても、今回については、健全なものも、他制度への移行や、解散していただくという方向性を積極的に出すべきではないかと思っています。
前回の繰り返しになりますけれども、厚生年金の代行部分については、老齢厚生年金の内側に収まっていることがやはり重要かと思っておりまして、この点は、公的年金の給付水準にも関わることですので、純粋な企業年金とは異なる面があると理解しております。
労使合意を尊重する必要があるのは私も承知しておりますが、公的年金との関係もある問題ですので、国がより積極的に介入して、労使合意の方向性について誘導していくのも許されるのではないかという思いがございます。もちろん、コストや一定の不利益ができるだけ少なくなるように、丁寧な対応は不可欠だと思いますが、今後も検討を続けるみたいな、存続ありきの中途半端な方向性であれば、それは不十分であって、賛成することはできないと考えております。
残された5つか4つかの基金さんとしても、そういう中途半端な規定になってしまうと、これからどうしたらいいか分からないですし、他方で、健全であったのに、もうすぐ制度はなくなるだろうからと信じて、移行してきてくださった基金さんもいらっしゃるでしょうから、中途半端にすることはなく、方向性を明確に示したいと思っております。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
原田委員、お願いします。
○原田委員 ありがとうございます。
前回も、正直迷っている、どちらがいいか、正直決めかねているということを申し上げたと思いますが、正直、まだ悩んでいます。ただ、法律の立てつけとかを考えると、今、厚生年金基金は、厚生年金保険法の本則ではなくて、健全化法の附則で定められている制度ということになって、存続を全面的にといいますか、永続的に認めることになってくると、法改正が必要ではないかと思います。そこまでの状況の変化もしくは考え方の変更がなければ、なかなか難しいというのは、自分の気持ちではなくて、環境的な、客観的な判断というか、そういった感じです。
ただ、なかなか難しいのが、先ほどの代行返上のときの制度設計の問題や、税制などの取扱いの違いを、どう埋めていけるのかは工夫の余地があると思いつつも、今まで返上してきた基金さんは、皆さんそれを乗り越えて返上されているということなので、その過去との公平性も必要ではないかという気もしつつ、とはいえ、できればそういった不利益とか不都合が起きないような形で、何とかできないかと考えたりもして、継続というところはちょっと難しいのかなとは思いつつも、廃止とか、代行返上、解散の方向に向かうとしても、もう少し時間をかけて、企業年金制度の全体的な枠組みというか、その中で確定給付型、確定拠出型、そういったものは統一的にこういうような立てつけでやるべきであるという整理をしてからでもいいのではないかという気がしました。
以上でございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。原田委員、迷っていると正直におっしゃっていただいたのですけれども、ちなみに、迷っているのは原田委員個人で、数理人会はどうだというのは何かあるのですかね。数理人会全体で迷っているとか、原田委員だけ迷っているとか、もし差し支えなければ教えてください。意見がいろいろあるでしょうけれども。
○原田委員 迷っているのは、私個人です。団体としては、意見の集約等はしているわけではなくて、正直、意見は両方ありますので、どちらが統一的な意見というのはございませんというのが、回答です。
○森戸部会長 すみません。わざわざありがとうございます。
今日、対面で、ここにいらしている方については、ほかにはよろしいですか。藤澤委員からのご意見について、ご紹介しますか。
では、お願いします。
○海老企業年金・個人年金課長 藤澤委員からの提出資料として、参考資料1をお預かりしています。
藤澤委員からは、実際に、先ほど冨樫委員からお話しいただいたような、一事例のお話に近い部分もあるのかもしれませんが、分配方法は様々あるよというお話とか、あとは、実際に、健全化法の期限である3月までに代行返上しないという判断は、理事会とか代議員会が行ったものというところではあるので、仮に、今後、そういったような形で解散するようなケースは、関与しなかった受益者には極力不利益がないようにといった形での配慮というやり方もありますよというものです。あるいは実際に解散するといったときのその分配の方法のやり方で、加入員と受給者とで分配方法を変えるようなやり方もあったようだというようなお話があったというところです。
代行返上を促すという表現を用いたけれども、こういったような解散時の取扱いを、少しいろいろ精査をしていくことで、併せて、代行返上を強く促すということがいいのではないかといったことを、御意見としてまとめられているというところでございます。
以上です。
○森戸部会長 御紹介いただきまして、ありがとうございます。
では、対面の会場で、議題1について、御意見ないようでしたら、オンラインでご参加の渡邊部会長代理は、議題1について何かありますか。
○渡邊部会長代理 ありがとうございます。
私のほうは、もう前回述べたとおりの考え方から変更はないといったところでございまして、ただ、私の個人的な意見としては、廃止の方向に向かって筋道を立てるべきだといったような見解ですけれども、それに関しては、今年度末にすぐに、廃止、解散だというようなところではなくて、ある程度期間をもって労使が交渉して、きちんと次にどういうふうな形で進むのかといったようなところの議論の結果を得られるような、そういった期間を持つべきだということは言っておきたいと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
大江委員は、オンラインで、まだいらしてないということでよろしいですかね。
分かりました。
では、会場のオブザーバーの企業年金連合会さん、お願いします。
○鮫島企業年金連合会理事長 企業年金連合会としても、この問題について、一言発言をさせていただきたいと思います。
前回からいろいろ御議論があるのですけれども、私どもとしましては、存続基金の財政状況は、いずれも存続基準を満たしておりますし、モニタリング結果でも、懸念点はないということでありますので、また、制度を一律に廃止するということになりますと、いろいろ詳細を検討しなければいけないと思いますが、受給権保護の観点から、問題を生じる恐れがあるのは事実でありますので、強制的に解散あるいは制度移行を求めることは望ましくないというように考えております。
前回の会合でも、健全化法附則の検討規定について、法案修正の過程で意見が分かれた結果であるといった御説明がありましたけれども、解散、制度移行に関する論点をいろいろ考えますと、現時点でも議論は分かれる問題であるように思いますので、時間をかけて、慎重に検討していただくことが必要ではないかと、このように考えております。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
ほかには、議題1についてよろしいでしょうか。
私も一言だけ申し上げます。私も前回御意見申し上げたので、特に変わりはありませんし、皆さんからのそれぞれの御意見のポイントも非常に分かりますし、改めて、繰り返しになりますけども、私も、今日の御意見だと、島村委員がおっしゃったような意見にほぼ近いかなと思うのですが、代行という仕組みのために、厚生年金本体における加入者とか受給者に対する不利な制度変更とか、給付改定とかの影響が、厚生年金基金の加入員、受給者に及ばないという状況になっているかと思います。
それは、そういう制度としてもともとあるのだから、いいと言えばいいのですけれども、ただ、それが、歴史的なその役割を終えて、フェードアウトすべきだとされた制度によってもたらされているというのが、やはり問題なのではないかなと思いますので、私も、受給権保護にもちろん最大限留意しつつ、行政として、法としての手当てはしつつ、制度を終了して、他制度移行を促す方向に誘導していかなければいけないのではないかなと思っております。
企業年金に限りません。年金は、非常に長期の約束の話なので、今、決めないと、何かものすごい大変なことがすぐ起こるのかというと、そうではないことも多いので。でも、AIJ事件のときに、問題を先送りしてきて、まさかそんなことがということが起きたという経験はしているので、決めるべきときに、きちんとその道筋をつけるという責任といいますか、それが政策に関わる者にはあるのではないかなとも思います。当たり前のことですけれども、一言だけ申し上げておきます。
では、議題1に関しては、一応御意見をいただきましたので、次回の中間整理を3月に出す予定ですので、今後、事務局においては、議題1について、本日出された意見を踏まえて、そこに反映していただくことをお願いしたいと思います。もちろん、この間、各委員に、御意見の確認等をさせていただくかもしれませんが、そういう方向でよろしいですか。
では、そういう方向で、また、検討させていただきますので、よろしくお願いいたします。
では、議題1は一応区切りまして、今度は、議題2について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○海老企業年金・個人年金課長 議題2について、御説明いたします。資料の2-1を御覧ください。
今回、資料2-1「社会保障審議会企業年金・個人年金部会における議論の中間整理(案)」と、資料2-2で、これまで出た主な御意見をまとめたものを御用意しております。今回、資料2-2の主な御意見を集約する形で、資料の2-1という形で中間整理にまとめさせていただいておりますので、本日の御説明としては、資料2-1を御説明させていただければと思います。
資料2-1の中間整理についてですけれども、こちらは、「はじめに」に書いてございますとおり、これまで当部会では、令和5年4月から令和6年2月まで、ずっと議論を重ねてきたところでございますが、各委員から出た、ここで出た視点1、視点2、視点3の御議論に関する委員の御意見をまとめたものということで、整理をさせていただいているものでございます。ですので、ヒアリングとかオブザーバーの方からの御意見は含まない形で、委員の方々の御意見をまとめるという形で、中間的に整理をさせていただいているものという位置づけでございます。
「はじめに」の最後の2行に書かせていただいておりますとおり、今年、課題と設定をいたしました視点1、視点2、視点3に関するこれまでの議論について、中間的に整理としてまとめて、今後、さらに議論を深めていくこととするという位置づけで、整理をさせていただいております。
1ページ後段ですね。視点1を御覧ください。
視点1ですけれども、視点1は、国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応した、公平かつ中立な制度というところの議論になります。視点は、1つ目の○にまとめておりますが、こちらに関する内容として、制度の加入条件とか、拠出、受給のあり方等について、議論を行った内容をここにまとめさせていただいています。
1ページの下、まず、「1 拠出のあり方」についてです。拠出に関しては、「資産所得倍増プラン」において、iDeCoの拠出限度額の引き上げについて指摘がありましたので、そちらを1つ目の○で書かせていただいています。
2つ目の○のところですけれども、総論としてというところで、拠出のあり方に関しては、働き方や勤め先の違いによって有利・不利が生じないシンプルな制度にすることが重要という御意見があったということで、記載をさせていただいています。
次のページ、2ページですね。36行目からになりますが、iDeCoの拠出限度額についてです。iDeCoの拠出限度額に関しましては、引き上げるべきという御意見もある一方で、税の公平性の観点とかも踏まえると、水準については、慎重に検討すべきといった御意見という、引き上げに関する御意見がございました。一方で、最低拠出額に関する御意見なども出ていたところでございます。
2つ目の○、企業型DCに関する限度額については、現在の限度額5.5万円の算定式に関しては、見直しをしていくべきではないかといったような御意見がありました。
次は、いわゆる穴埋め方式や共通の非課税限度額に関してというところですけれども、こちらは、こういった仕組みが高所得者のみに税制の恩恵が偏ることを是正するという観点はある一方で、事業主拠出はその限度額に収めることは熟慮すべきではないかといったようなお話。また、DBに関しては、共通の拠出限度額の設定を行うべきではないのではないかといったようなお話。また、若いときに、拠出限度額全額活用し切れてないという実態を踏まえると、穴埋め型とか生涯拠出枠、あるいはキャッチアップ、こういったものに関しては有効ではないかといったような御意見があったということでございます。
次に、企業型DCのマッチングに関しては、事業主拠出の制限をなくすべきだという意見がある一方で、企業型DCは、事業主拠出が基本なので、そこを撤廃すると、企業型が拠出額を増やすインセンティブを阻害するのではらないかといったような、賛否の御意見があったというところでございます。
次のページへ行っていただいて、「2 給付のあり方」についてです。給付のあり方に関しては、年金での受給を促進すべきという観点から、年金での受け取りを促進できないかと。特に高齢期から加入されるような場合には、できるだけ運用期間を延ばしていくという観点からも、運用しながら取り崩す年金の受け取りを進めていってはどうかといったような御意見がありました。
また、税負担のバランスとか、手続の複雑さ、手数料の問題、この辺についても見直しを行うべきではないかといった御意見がありました。
また、これに関連して、年金と言っても、5年や10年の有期の年金と終身年金とは違うのではないかといったお話とか、一時金だから悪いというわけではなくて、個人で計画的にその後取り崩しているというのであればいいのではないかといったような御意見。
あとは、そもそも受け取り方とか、リタイアメントプラン、こういったものに関する情報提供、ガイダンスが大事ではないかといったような御意見がありました。
次、91行目からですけれども、「3 iDeCoの加入可能年齢の引き上げ」です。こちらに関しても、「資産所得倍増プラン」に記載がございます。
2つ目の○は、公的年金についての総論ですけれども、上乗せとしての位置づけ。これに関しては、堅持されるべきだけれども、この上乗せのあり方をどのように解釈するべきかといった点についての御議論が必要という意見がありました。
具体的な65歳以降の加入要件に関しては、国民年金の保険料納付を十分に行っている方はいいのではないかといったようなお話もあれば、一方で、国民年金を受給しながらiDeCoに拠出できるというところまで広げなくていいのではないのかといったような御意見。
また、公的年金と相まっての意味は、自助努力を促すという観点から、必ずしも保険料納付済み期間を資格要件にしなくてもいいのではないかといったような御意見。
あとは、運用の事務的な負担や分かりやすさ。あと、シンプルさといったようなところについても、御意見がありました。
次のページへ行っていただいて、「4 iDeCoの受給可能開始年齢の引き上げ」についてです。こちらに関しても、「資産所得倍増プラン」において記載がございます。
こちらに関しては、iDeCoが老後の所得確保の手段の一つという点も踏まえつつ、現在でも、高齢期における手続が困難であるとか、あるいはさらに引き上げたときに、実務上に課題があるのではないかといった点も勘案するべきという御意見がありました。
5番目が、国民年金基金制度についてでございますが、国民年金基金制度に関しては、拠出限度額とか加入可能年齢の引き上げに関する検討を、企業型DCとか、個人型DCの議論と併せて国民年金基金制度も行うべきではないかといった御意見とか、あとは、給付のあり方に関して、退職時の一時金払いを掛金として拠出をして、国民年金基金の年金を購入するという仕組みも考えられるのではないかといったような御意見がありました。
「6 その他」ですけれども、特法税についての御議論がございました。
4ページ下の視点2についてでございます。視点2は、主に私的年金の普及拡大とか、iDeCo+に関するところで、制度を使いやすくするための環境整備という観点でございます。
次のページ、5ページへ行っていただいて、私的年金の普及拡大についてですけれども、1つ目の○は、まず、広報のお話とか、あとは、広報の対象者は、企業の経営者とか、役員、総務人事に向けて広報をしていくべき、あるいは中小企業とか、都道府県、あるいは学生向け、この辺りについての広報が重要だといったような御意見があったというところ。
あと、公平・中立な相談窓口が大事だということとか、書類の簡素化・削減が大事だよね、こういったようなお話がございました。
また、次の○ですが、そもそも退職金・年金制度が整っているというところがよい会社だということが認知をされていくと、人手不足に対応する方策の一つとして、前向きに取り組めるのではないか、こういったような御意見がありました。
次に、iDeCo+に関してですけれども、年金制度の前回の法改正の附則の検討規定において、iDeCo+の中小事業主の範囲等については検討するということで、記載をされているところでございます。
iDeCo+の今の掛金の拠出に関しては、個人の枠の中でやっているわけですけれども、ここは、事業主が拠出する枠は、外枠で設けて、企業年金と同額まで拠出できるような仕組みも考えられるのではないかといった御意見。また、300人未満という今の要件に関して、企業の成長あるいは厚生年金の適用拡大等によって、300人を超えてくると、iDeCo+が実施できなくなるので、人数制限を外せないかといったような御意見がある一方で、ある程度その規模が大きくなったところは、まずは、DBとか企業型DCを目指していくべきではないかといった御意見。対象範囲はまだまだ広がっていないというところで、現行の範囲で、もっと普及推進するべきではないか、こういったような御意見がありました。
あとは、iDeCo+に関する普及推進というところの課題で、中立的な立場で相談できる場が大事だよねといったような御意見がありました。
次に、簡易型DCに関しては、2018年に創設された簡易型DCになりますけれども、利用実績がないというところで、従業員全員を対象にしなければいけないという制度が簡易である一方、規制になってしまっているのではないかといったような御意見。見込んだ効果がないならば、廃止をしてはどうかと、こういったような御意見もいただいています。
次に、「4 手続の簡素化等」についてです。手続の簡素化に関しましては、「資産所得倍増プラン」に盛り込まれているところでございます。iDeCoの手続に関しては、iDeCoの手続の簡素化・効率化は、さらに進めていく、あるいはオンライン化・デジタル化としてマイナンバーカードを活用していく、こういったようなところに関する御意見がありました。
また、そのほかとして、中途引き出しに関して、DCに関しては、対象範囲を広げるべき、DBに関しては、DCとの整合のために要件を設けるべきではない、こういったような御意見があったところです。
「5 その他」です。中小企業退職金共済とか退職金も枠組みに入れたポータビリティの拡充を推進するべきという御意見がありました。
次に、視点3になります。視点3は、制度を促進していくための環境整備というところで、企業年金のガバナンス、情報開示、運用の方法の適切な選択、投資教育、その他の実務上の課題という点について、御議論を行ったところでございます。
これに関しましては、2つ目の○、3つ目の○のところに書いてありますとおり、資産運用立国の関係が、この秋から御議論がありましたので、そちらについても書かせていただいているところです。
そちらも踏まえまして、237行目からですけれども、DB・DCの共通の論点というところで、1つ目は、加入者のための見える化の充実というところです。1つ目の○、共通の見える化というところで、まず、企業年金制度の趣旨を踏まえると、受託者責任が重要であり、一義的には、加入者、受給権者のために行われるべきということを書かせていただいています。
そうした観点から、加入者の見える化の充実というところで、資産運用以外にも、退職時の手続、受給時の開示も大事といったようなお話、あるいは金融経済教育推進機構の仕組みの活用も考えられるのではないか。あるいは、そもそも他社と比較するといったような目的も、どういうものなのかといったようなこと。目的はきちんと整理をし、開示の是非、要否を検討する必要があるというお話。
次の8ページへ行っていただいて、海外での事例も参考にしながら、分かりやすい情報発信を考えていくべきだといったような御意見をいただいているところでございます。
次の○ですけれども、公的年金に関しては、シミュレーションというところがかなり進んできているので、私的年金に関しても、自分の資産状況、給付の推計を正しく知ることが大事だといったような御意見をいただいています。
また、拠出や給付の見える化に関して、事業主が労働者に対して、積極的に情報開示を進めていくべきではないかといったような御意見をいただいています。
次の○、iDeCoの拠出限度額に関してですけれども、こちらは、マイナポータルとか、ねんきん定期便、公的シミュレーターみたいなところでも見られるようにしてはどうかといった御意見とか、そもそも職場に年金制度がない人こそ、iDeCoの拠出可能額を知ってもらうべきではないかといった御意見がありました。
次に、DBの見える化に関してですけれども、将来の給付の見える化に関しては、コスト、実務面などの課題なども踏まえて、一律的な義務づけを行うべきではないという意見があった一方で、労働者がDBに関する情報を知るためには、基本的な情報は、制度加入時の周知義務ということで検討するべきではないか、このような御意見がありました。
また、そのほか、中長期的な課題として、年金ダッシュボードのお話が出ていました。
あとは、「周知」といったところで、「周知」というのは、知ろうと思えば知るという形なのか、プッシュ型で届けるのかと、この辺、内容ごとに整理をする必要があるのではないかといった御意見がありました。
次のページへ行っていただいて、DB・DCのガバナンスになります。こちらの部会で御議論をいただいていましたとおり、企業年金に関しましては、これまでガバナンスの強化を取り組んできたと。この取組を進める観点から、労使合意で、労使の御意見をきちんと尊重した運営がなされることであったり、DBの運用ガイドライン、DCのガバナンスハンドブック、この辺のさらなる周知が大事だといったような御意見。
あとは、資産運用委員会に関して、設置義務をもう少し広げていくべきではないか、このような御意見をいただいているところでございます。
あとは、「(3) その他」のところで、いわゆる選択制のDB・DCに関して、こちらは社会保険料の算定の対象にならないというところで、将来の公的年金の給付額にも影響が出るというところに、従業員に向けた丁寧な説明が必要だといったようなところ。あるいはDCに関しては、そういったその説明について、法令解釈通知で義務づけられているところですけれども、DBについても、同様に求めていくべきではないかという御意見。
あとは、そもそも従業員の福利厚生として導入されるべきものである企業年金が、過度に事業主の節税対策等に使われていること自体が問題ではないかといったような御意見をいただいています。
9ページ下になりますけれども、「2 DB制度の環境整備」に関してです。こちらは、DBの運用力向上というところですけれども、こちらに関しては、企業年金の役割を考えますと、リターンの極大化ではなくて、リスクの極小化、こういったようなことも運用力の一つだというお話。
あとは、規模の小さいDBに対して、中立的なサポートが大事だというところで、企業年金連合会等における支援を充実するべきではないか。あるいはルールをつくり過ぎると、逆に、企業年金をやめてしまうということも起こるので、その辺、バランスが大事だといったような御意見があったというところです。
次、10ページへ行っていただいて、DBの加入者のための運用の見える化になります。こちらに関しては、既に、制度として、加入者本人、受給者に関する情報開示は義務づけられていて、事業主、基金等からの厚生労働省への報告は行われているというところです。
その選定で、DBの加入者のための運用の見える化は、運用のよしあしだけではなくて、受給権の保護というところも留意するべきではないかといったお話とか、あとは、そもそも給付の見える化が優先されるべきではないかといったお話。
あと、厚生労働省に報告されているものも参考にしながら、開示をし、横並び、相対比較ができるようなデータを見せていくといいのではないかといったようなお話がありました。
あと、情報開示の具体的なあり方というところで、各個別制度の情報開示ではなくて、厚生労働省である程度統計処理をするなどの配慮も必要なのではないかとか、グッドプラクティスの紹介などは要るのではないかといった御意見。厚生労働省のサイトで公表するべきではないかといったような御意見。
あとは、手数料、フィーなどの報告も、義務化するべきではないかといったようなお話。このようなところをいただいています。
10ページの下、「(3) その他」ですけれども、その他の論点として、DBの制度設計に関する、給付限度額判定基準の見直しのお話、給付減額の個別同意の話、保証期間の上限、非継続基準における予定利率のあり方等についての御議論をいただいたところでございます。
次のページ、「3 DC制度の環境整備」に関してです。DCに関しては、「(1) 運営管理機関、事業主、加入者本人の各段階における適切な運用の方法の選定」というところで、情報開示のあり方として、運営管理機関が公開しているものを、もっと分かりやすくするべきではないか、あるいは資産運用会社に、情報の開示をもう少し促してはどうか。運管が選定するものに関しては、従業員ファーストで、手数料等において、適切な商品を選定するべきではないかといったような御意見がございました。
次の「(2) DCの加入者のための運用の見える化」です。DCに関しても、DBと同様に、制度上の義務は位置づけられています。
DCに関するさらなる見える化というので、厚生労働省で数字を開示してはどうかといったような御意見、あるいは事業主が個別にやるのではなくて、運管が主体になってやってはどうかといったような御意見がございました。
次に、「(3) 投資教育の充実」に関しては、投資教育の内容や手段について、リタイアメントプランなどの内容をもっと教えるべきではないかとか、キャリアプラン、ライフプランに合ったマネープランの考え方を教育するべきではないかとか、あるいは投資教育のやり方のところで、PDFファイルとか動画を載せるだけではなくて、もう少し積極的にやるような機会を設けてはどうか、このような御意見がありました。
あとは、iDeCoの投資教育に関しては、今、取り組まれている取組に加えて、公的な個別の相談窓口や専門家の活用が有効ではないかといった御意見がありました。
それから、継続投資教育に関しては、まだやってないというところが約20%あるという現状に関して、もう少し取組を考えるべきではないかといったような御意見をいただきました。
「(4) 指定運用方法の見直し」に関してです。指定運用方法の設定に関しては、事業主が低コストのインデックスファンドの投資信託をデフォルトファンドとしてはどうかといったお話があった一方で、DCは、個人が決めていく、運用指図を行うという制度などなので、現行制度を維持することが適切だといったようなお話。あるいは、DCの趣旨からすると、事業主に指定運用方法を義務化するのは、適切ではないのではないかといったお話。指定運用方法をターゲットデートファンドにすることによって、かえって継続投資教育がおろそかになるのではないかと、このような御意見もあったところです。
「(5) 自動移換」に関してです。自動移換に関しては、総数が増えてきているので、周知徹底、手数料なども含めて、本人の理解を促進することを検討してはどうかといったようなお話とか、あとは、米国を参考に、事前に企業型DCの規約にそういった移換先の運管を規定するようなことなどを検討してはどうかといった御意見がありました。
先ほど御指示のありました、資料1の健全化法の議論に関しては、ここのところに、次回、記載をさせていただければと思っております。
「結びに」で、これを踏まえて、来年度、御議論を深めていきますということを記載させていただいております。
説明としては、以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
今回お示しした中間整理(案)については、委員からの御意見をまとめる形としておりますが、今後も引き続き、ヒアリングで出た意見やオブザーバーの御意見も踏まえながら、議論できればと思います。
それでは、議題2について、委員の皆様から、御質問・御意見をいただきたいと思いますが、最初に私が言うのも何ですけれども、基本的には、こういう意見があったというものなので、私、そんなこと言ってないとか言っても、それはあなたの意見ではありませんと言われたら困ってしまうというか、誰の意見かは書いてないし、でも、誰と誰の意見をくっつけたとも書いてないから、書き方にはちょっと限界があるのでしょうけれども。ですから、こういう意見を言ったのに、反映してないとか、ここはちょっと違うとか、そういうのも含めてだと思いますが、最後の中間整理に向けて、いろいろ御意見をいただければと思います。
先に、皆さんにも役立つかなと思って一言だけすみません。基本、こういう意見があった、こういう意見があったということがずっと書いてあるけれども、それで行くと、1点だけ、7ページ、239行目だけは、DB・DCの見える化について、これこれ行われるべきであると書いてあって、ここだけ何かすごい主張しているのかなと思ったのですけれども、これは見える化の話を、先に何か方向をつけておけということなのかなと思ったけれども、そうではなくて、次の○につながっていて、「という意見があった。」までつながっているのですかね。それとも、ここだけは、そっと事務局が主張したと捉えていいのですか。それだけ確認させてください。
○海老企業年金・個人年金課長 ありがとうございます。
見える化の話は、その意味では資産運用立国の関係もありましたので、10月、11月について、1回目だけではなくて、ある意味2回目の議論に近い形でも御議論をいただいたものと思っています。
その際に、この○の1つ目のところは、皆様共通しておっしゃっていたお話だろうと、我々としては認識しているので、このような形で書かせていただいております。さらに、具体的に、この観点を踏まえてどうするかということを御議論いただいたという認識でおりますので、このような形で書かせていただいています。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
加入者、受給者のために行われるべきではないと言う人はいないと思いますが、ただ、恐らく、資産運用立国の話は、それは分かっているけれども、それと別な話も入れろよという圧力ではないけれども、そういう話だったと思うので。でも、企業年金・個人年金部会としては、加入者、受給者のためというところから考えるのが筋でしょうというのを、改めて、確認したということかなと理解していいのかなとは思います。ここも含めていろいろ御意見あるかと思います。
すみません。最初に余計なことですけれども、ちょっとだけ気になったので、先にしゃべりました。
では、皆さんの御意見いただきたいと思います。
では、谷内委員お願いします。
○谷内委員 資料2-1の中間整理の取りまとめにつきまして、各論については、特段申し添えるべき点はありません。
一方で、何か足りないなと感じていまして、それはずばり総論です。特に、第30回部会では、年金部会と合同開催をして、公的年金と私的年金の役割分担についてさまざまな意見が出たと記憶していますが、この点について、「はじめに」あるいは「総論」として最低限は触れておいていただきたいと考えております。中間整理の時点で総論的なものが記載されていないと、次年度以降の議論ではその辺を全く議論しなくていいのかという風に捉えられかねません。
去年開催の第25回部会の資料1(ヒアリング等における主な意見)の中でも、視点1から視点3の各論だけでなく、総論の記載があったと認識しています。年度末の慌ただしい中恐縮ですが、総論も踏まえていただけると、中間整理としてはよりしっかりしたものになると考えます。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
確かに、合同部会をせっかくやりましたし、総論的なところは、実は書き方が難しいと思いますけれども、せっかくですから、谷内委員がおっしゃったように、合同部会での議論も、書ける範囲で、事務局にまた検討いただければと思います。それはお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 検討させていただきます。
○森戸部会長 では、よろしくお願いします。
松田委員、お願いします。
○松田委員 ありがとうございます。
1点目は、3ページの「3 iDeCo加入可能年齢の引き上げ」についてです。2つ目の○のところ「公的年金との関係について」ですが、「第3号被保険者制度や社会保険の適用拡大など、公的年金の次期改正を踏まえた総合的な検討が必要であるという意見があった」という内容を加えていただきたいと思います。
2点目は、4ページ目です。「6 その他」の特別法人税についてです。多くの委員や関係団体からも意見がありましたが、「企業年金の普及の阻害になるため、特別法人税を撤廃してほしい」という意見を追記いただきたいと思います。
最後に、今後の議論に向けた意見を申し上げます。本部会では、あくまでも公的年金制度や2019年12月の議論の整理を踏まえて、企業年金や個人年金の在り方について議論するものであって、単に資産を貯蓄から投資へ振り向けるといった結論ありきの議論は行うべきではないということを強調しておきたいと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
今の御意見、事務局に踏まえていただきたいと思いますが、まさに、最初におっしゃった点、ここにこういうふうにつけ加えてくれというのは、前提として、その意見は、松田委員もしくは前任の方がおっしゃったものであるということですかね、恐らく。
それは確認の上、お願いします。それは、事務局に確認をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
金子委員、お願いします。
○金子委員 ありがとうございます。
自動移換のところに、米国のデフォルトプランを参考に検討できないかみたいな意見を取り上げていただきまして、ありがたいなと思っています。
修文の提案ではないのですけれども、感想もしくは今後の当部会の議論に対する期待という意味も込めまして、2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目は、資料2-1の35行目辺りに関連するものですが、35行目辺りに、総論として、私的年金制度が働き方や勤め先の違いによって有利・不利が生じない、シンプルな制度とすることが重要との意見があったと書かれています。確かに第1号被保険者と第2号被保険者など、異なる種類間のことを想定して考えると、そのとおりだと思うのですけれども、多数を占める第2号被保険者の中を考えると、決して、有利・不利が生じないようにするあまり、むしろ、分かりにくくなっている面があるのではないかと思います。これは常々申し上げている点ですけれども、この表現どおりにはなっていないという気がしております。第2号被保険者にとっては複雑な制度だと受け止められるほどの感じになっているなと思います。そういった面があることを意識して、今後、ちょっと議論していただきたいと思っています。要は、公平とか中立だけ追求していけばいいという話ではない、それイコール、シンプルになるわけではないということだと思います。
そういったことを意識しないと、よりもっと大事なもの、これは人によって、皆さんによってちょっと違うのかもしれませんけれども、私だったら、私的年金のカバー率を上げることは最も大事なことなのかなと思っていますが、そういったものから見たバランスを少し考えるようにしたほうがいいのではないかなと思っております。
それから、2点目は、企業型DCの限度額についてです。資料2-1だと、たしか48行目辺りに書いてあることで、現在の限度額5.5万円の算定式は、現状にあわせて見直すべきだとの意見があった。あるいは、今回触れられなかったのですけれども、資料2-2だと3ページ目の辺りですかね。「マクロ経済スライド調整後の公的年金と合わせて退職給与の6割に相当する水準」は維持するのはあり得る、という記載があるのですが、この「退職給与前の6割」という部分についても、その意味するところだとか根拠などにも遡って、いま一度確認していただいたらいいのではないかなと思っています。
その上で、退職前給与の6割を踏襲して、の必要性を主張し続けていくべきなのかを考えるべきではないかと思っています。これは、先ほど谷内委員も御指摘されましたけれども、昨年の12月の年金部会との合同部会の際に、そのとき配布された、たしか資料2の5ページ目に、私的年金の右横に、「どの程度の給付が得られるべき制度であるか」というようなことが記載されてなかった。空欄になっていたということがあります。そこに何を書くべきかということを考えることが重要だという指摘もありましたけれども、その指摘にもつながる部分だと思っております。
以上でございます。
○森戸部会長 ありがとうございます。
修文の御提案ではないということでしたが、内容にも関わりますので、事務局にも検討いただきたいと思います。まさに、35行目のさらっと書いてあるけれども、「有利・不利が生じないシンプルな制度」も、考えてみると、シンプルにしたら、より不利が出るよねという話でもあるかもしれないし、どのぐらいバランスというか、両立させるのはという論点も実は含んでいるのかもしれません。非常に貴重な御指摘だったと思います。ありがとうございました。
では、小林洋一委員お願いします。
○小林(洋)委員 私のほうからは、私的年金の普及拡大について、意見を申し述べさせていただきます。
私的年金の普及拡大を進めるためには、制度未利用者へいかにアプローチしていくかが重要と考えております。この点、資料2-1の4ページに明記していただき、ありがとうございます。
今後、中間整理の内容を土台に議論が本格化するものと思いますけれども、制度のシンプル化、中小企業の現状に即した伴走型の導入・活用支援、煩雑な手続の解消といった視点での議論が重要ということにつき、ここで改めて、申し述べておきたいと思っております。よろしくお願いします。
また、金融経済教育推進機構の活動開始に向けた準備が着々と進められていると伺っております。公的・私的年金の普及拡大についても、同機構の重要テーマと位置づけ、厚生労働省も主体的に参加いただき、官民連携での取り組みの拡大を期待しております。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
確かに、金融経済教育推進機構と企業年金・個人年金課がどういうふうに連携していくかというのは、既に、前の部会でも御指摘があったと思いますけれども、非常に大事な視点だと思いますので、それもぜひ御検討いただきたいと思います。ありがとうございます。
小林由紀子委員、お願いします。
○小林(由)委員 取りまとめありがとうございました。私からは、これまでの部会で発言させていただいた趣旨・内容を踏まえて、視点1と視点3に関して、それぞれ幾つか要望を申し上げたいと思います。
まず、視点1における税制関連の記載についてです。本整理案では、拠出の在り方と給付の在り方に分けて論点整理がなされておりますが、私からは、拠出、運用、給付全体のパッケージとして、一体的な議論が必要であるという旨を発言させていただきました。
例えば、政府税調での議論においては、給付時の税制について、退職所得課税や公的年金等控除の見直しが論点に挙げられておりますが、今後、退職所得課税の強化が検討されるのであれば、それとのセット論で、拠出限度額の引き上げや特別法人税撤廃の議論も併せて進めていくことが必要と考えます。改めて、企業年金・私的年金の税制全体に関わる論点として、拠出、運用、給付を一体的に議論する必要があるという旨を追記いただきたいと思います。
次に、3ページ目、91行目以降に記載のある、iDeCoの加入可能年齢の引き上げについてです。公的年金との関係、具体的には、社会保険料負担との関係で、国民年金被保険者であることを加入要件としてきたこれまでの考え方を、大きく変えることは避けるべきと発言をさせていただきました。この2つ目の○、96行目には、「公的年金との関係について、iDeCoを含む私的年金は公的年金の上乗せの制度と位置づけられてきており、この立てつけはこの先も堅持されるべき」という記載はございますが、ここからは、「社会保険料負担との関係において」という観点が明確に読み取れないため、4つ目の○を項目として追加するなどして、明記いただきたいと思います。
また、4ページの「6 その他」で特別法人税について記載がございますが、先ほども御発言がありましたとおり、これまでの部会での議論においては、多くの委員の方から、再開した場合の掛金負担の増加や給付額の減少等の影響に加えて、国際的にまれな制度であるという観点からも、特別法人税の廃止や課税凍結の延長を強く求める意見があったと認識しております。そうした視点についても追記をいただきたいと思います。
続いて、視点3に関して申し上げます。まず、7ページのDB・DCの見える化に関してですが、私からは、DB年金の給付の在り方や積立計画は、各企業の人事・報酬戦略を踏まえて、労使合意に基づいて決定されるものであることを申し上げて、その後、「労働条件の開示につながる話であり、慎重な検討が必要である」という御指摘もあったと認識をしています。
7ページの一番下、242行目からの「そうした観点から、加入者のための見える化の充実については、」という記載の黒ポツ下部項目の1つとして、その点を追記いただきたいと思います。
また、見える化を進める際の情報開示の在り方に関しては、私的年金制度は、公的年金と相まって、国民の老後所得を確保していく趣旨の仕組みであるため、公共性の高い機関で基盤を整備し、主導的に対応していく形が望ましいという旨を経団連として発言させていただきました。8ページ、260行目の2つ目の○「拠出や給付の見える化について、」という記載の黒ポツ下部項目として、追記いただきたいと思います。
最後に、11ページ目、「DC制度の環境整備」に関連して、1点追加で要望を申し上げたいと思います。昨年末に策定された資産運用立国実現プランにおいては、加入者のための運用の見える化の充実という文脈において、加入者の最善の利益のため、事業主と加入者等が、適切に運用の方法を比較、選定できるよう、見える化を進めていくことが有用であると記述されております。
本整理案においても、運用商品のモニタリングや見直しについて、運営管理機関と事業主間の情報の非対称性について言及いただいておりますが、DCの見える化に関しては、現下の制度運営実態を踏まえると、運営管理機関から、事業主や加入者に対して、より適切に情報提供が行われるよう、何らか仕組みとして担保することも必要ではないかと感じております。今後の議論を進める際は、そうした観点も含めて、検討いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
かなり具体的な提案もいただきましたので、事務局で再度検討して、つけ加えるべきところはつけ加えていただきたいと思いますが、1点だけ129行目について、おっしゃるとおり、特別法人税のことについては、ここのトーンは、もう廃止する、みたいな感じの意見しか、多分、あんまり聞かない気がするのですけれども、割と抑えめに書いてあるかなと思いました。これは、税のことは抑えめに書くみたいな、そういう作法ではないけれども、何かそういうことですかね。すごく表現を選んで書いているなと思ったのですけれども。意見としては、小林(由)委員おっしゃったようなことを割と皆さんおっしゃっていたかなと思いました。過去をきちんと振り返ってないですけれども、何か御意見ありますでしょうか。ノーコメントでも別にいいですけれども。
○海老企業年金・個人年金課長 いただいた御意見を踏まえて、全体的に、追記の仕方も含めて考えさせていただきたいと思います。
○森戸部会長 分かりました。ノーコメントみたいなものでしたけれども、すみません。
海老課長と仲悪いわけではないですよ。
島村委員、お願いします。
○島村委員 ありがとうございます。
先ほど、小林洋一委員からも御指摘があったのですけれども、金融経済教育推進機構の設立が決まったところですので、その中身については、厚生労働省の方に主体的に参加していただきたいという点に賛同しております。
早いところ、やる内容を精査していただいて、機構で何ができて、機構では何が任せられないのか、そうしたら、その任せられない部分はこっちで対応しなければいけないかと思いますので、そこら辺の議論を今後していけたらと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○森戸部会長 ありがとうございます。その話も、できればこの中間整理でも、何か少し加えていただくと、今後に向けて、話がしやすいかもしれませんので、それも、また御検討いただきたいと思います。
岩城委員、お願いします。
○岩城委員 ありがとうございます。
6ページの簡易型DC制度ですけれども、これは、本来、中小企業向けに制度設計をシンプルにしたのに、利用する企業が少ない、大変残念な状況だということだと思います。加入者の資格を設けたことが、逆に、導入のハードルになっているということを書かれていると思うのですけれども、これは見直しを進める必要があるのかないのかという議論も含めるというような書き方なのでしょうか。それとも、悪いところを指摘しているということで、次に、見込んだ効果がないなら廃止してはどうかみたいな感じで書かれているのが、ちょっとよく分からないので、すみません。
○森戸部会長 それは、事務局への質問だと思いますので、お願いします。
○海老企業年金・個人年金課長 ここに関しては、多分、こちらの資料2-2のほうも見ていただければと思うのですけれども、簡易型DCに関して、ここにあるような、まさに御指摘があったので、書かせていただいているというだけでございます。
○森戸部会長 何か別に方向性を出しているわけではないということですね。
○海老企業年金・個人年金課長 全て意見があったという形で書かせていただいていると思うので、そのような形で、多分、同じ方が1つ目と2つ目というところで御意見をいただいていたと思うのですけれども、こういうような利用実績がない背景もあり、廃止してはどうかという御意見があったということで読めてしまったのかと思います。
以上です。
○森戸部会長 岩城委員、よろしいですか。何か追加でありますかね。
○岩城委員 ちょっと議論を覚えてないのですが、要するに、議論を進めていくということですよね。
○森戸部会長 この書き方だと、確かに廃止してはどうかとしか書いてないから、普通は、こういうのは、見直したらどうかとかいう意見があるけれども、それが書いてないから、これはもう廃止なのかということでしょうか。金子委員がおっしゃったのかな。
○金子委員 すみません。それは私です。1点目は、別の方がおっしゃっています。私は、そういう理由はともかく、1件もないのだったら、さっきの5つの基金の話ではないですけれども、残ってしまった場合の扱いも難しいから、やめてしまったらどうかと言ったら、何か場がしらけたのですよ。
○森戸部会長 それは金子委員の感想だから。
○金子委員 そうなのですけれども、言いたかったのは、それぞれの別々の意見だったということです。
○森戸部会長 なるほど。ありがとうございます。
すみません。こういうのは、違う人の意見が合体している場合もあるわけですね。ありがとうございました。
せっかく意見があったといってまとめてもらっているのに、誰が言ったかとか言って、何か犯人探しするのも変ですけれども、おっしゃるように、当然、廃止ということはないでしょうけれども、利用されてないというのはちょっとおかしい話なので、それは、利用していただくようにするか、もちろん廃止してしまうというのも、一つの方向としてはあり得るのだろうということではあると思います。ありがとうございました。この点も議論は必要な点だと思いますので、とりあえずは、事務局よろしいですか。
ありがとうございます。
大江委員参加されましたが、まず、会場のほうで、議題2について、ほかの方、御意見よろしいですか。
では、原田委員お願いします。
○原田委員 すみません、iDeCo+のところです。300人未満の人数要件とか、実施の条件がいろいろあって、人数要件を緩和するのは、その前に多分やることがあるだろうということを言った記憶があります。166行目ぐらいから、人数制限を外すことができないかという議論の中で、174行目のところで、規模の小さい会社でも、iDeCo+の実施率はまだあまり高くないという現実がある中で、現行の範囲において、もっと普及を推進すべきという意見の中で、DBを実施している事業所はiDeCo+はできないという要件の指摘がありました。給付があまり厚くない総合型のDBに辛うじて入られているというような事業所もありますので、そういったところが実施できるようにすることも含めて、検討をしていければという発言をしたと思いますが、その辺ももう一度考えていただければと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
では、重ねて御意見いただいたので、事務局に検討して、少し修正をお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
会場の方は、議題2に関しては、よろしいですか。
では、オンラインで、大江委員も参加されましたので、大江委員、議題2について、御意見がもしあればお願いしたいです。
○大江委員 この中間整理について、何か修文をお願いすることは、私のほうからは、今回はございません。
ただ、今後、議論を進めていく上での観点ということで、ちょっと申し上げたいなと思うのは、給付の在り方などについても、最終的に、個人が利用する上では、実務的に、きちんと利用できるのかというのが、制度においても大事なことだと思うのですね。拠出で加入をシンプルにすることもそうだと思うのですが、出口のところも本人が選べるようにしていくことが大切です。制度的に、中立とか公平というだけではなく、本当に実務的に回るかという観点でも議論できるように、特に給付関係の審議をするときには具体的な手続が審議頂くみなさんに分かるように、資料に少し加えていただけると、議論がしやすいかなと思います。
それに関連して、デジタル化も、iDeCoなどは進めていると聞いているのですけれども、実際、どこまで、どう便利になるのかということも、この審議会の中で共有をいただいて、効率的に、みんなが利用できるような制度にしていくための議論が進むように、実務の材料を、今後の議論の中で御提供いただきたいというのが、お願いでございます。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
そうすると、今の点は、この取りまとめの修正というよりは、今後、これをベースに、来年度以降議論していく上で、ぜひ、実務的に本当に動くのかという、それから、実務上どうなっているかということも具体的に踏まえて、きちんと議論をしてほしいという、そういう御意見ということでよろしいですかね。ありがとうございます。
それは、もうおっしゃるとおりですし、ここでも、何度も意見は出ていますけれども、実務的に回らなければ意味がありませんので、もちろんそういう観点も踏まえているつもりではありますけれども、私たち、どうしても法律なり制度の上で議論をしてしまいますから、そこは、もちろんオブザーバーにも出ていただいていますけれども、きちんと実務的な観点も忘れずに、踏まえて議論をするということを、改めて確認したいと思います。
ありがとうございました。
では、議題2について、渡邊部会長代理、何かありますか。
○渡邊部会長代理 ありがとうございます。
個別、具体的な点としては、6ページの204行目の「そのほか、中途引き出しのあり方について」というところで、DCの中途引き出しの対象範囲を広げるべきといった意見があったということですが、私は、これに対して反対の意見を持っておりまして、DCの中途引き出しの対象に関しては、高齢期の所得保障という趣旨を踏まえて、慎重に検討するべきだといったような見解を持っておりますので、そういった反対の意見もあるといったようなところも追記していただくと、ありがたいなと思いました。
全体としてというのは、最初に谷内委員がおっしゃってくださいましたが、公的年金との関わりというか、公的年金の議論を踏まえた上で、私的年金の議論もしていかなくてはいけないといった点を、どこかに分かりやすく記しておいていただく必要があるのかなということで、私からも改めて申し上げておきたいと思います。
もう一点、今後の議論の方向性といいますか、観点というところで申し上げておきたいのが、全体として、受給権の保護に関する議論が少し手薄な気がしておりまして、今後の議論の中で、そういった受給権の保護といったような視点も、検討対象として加えていただければなと思っております。
私からは、以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
1点目は反対意見、たまたまこの部会で今まで言っていただく機会がなかったかもしれませんけれども、今おっしゃっていただいたので、そこはきちんと書いていただきましょう。
それから、2点目は、谷内委員がおっしゃった御意見と同じかなと思いますが、事務局に改めてお願いします。
ただ、やはり難しいのは、公的年金との関わり、関係、どうあるかというのが大事で、そこから始まらなければというのはそうなのだけれども、ただ、この間、合同部会をやった結果、そこがあんまりはっきりしないのが問題だよねということが分かったという面もありますので、書けと言われても困るというのもあるかもしれません。でも、そこは、事務局に、はっきりこうだとは書けないにしても、この関係が重要だと、合同部会までやったんですということはきちんと踏まえていただければと思います。
3点目、受給権保護を手薄にしてきたつもりはないけれども、そういう議論はあんまりしてなかったかもしれません。今後、また、きちんとしていきたいと思います。
ありがとうございました。
議題2に関して、オブザーバーの国民年金基金連合会からお願いします。
○松下国民年金基金連合会理事長 ありがとうございます。
中間整理の内容につきましては、特段、コメントがあるわけではございませんけれども、今後の進め方ということで、先ほど、大江委員からもお話しいただいた点と若干かぶりますけれども、本日のこの中間整理の内容と、それから、昨年夏場にかけて実施していただいた、関係団体からのヒアリング、ここにおけます要望や意見、この内容をどうやってマージしていくのかということについて、4月以降の今後の進め方の中で、うまく調整をしていただければありがたいなということを、お願いとして、一言申し上げておきたいと思います。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
先ほど、私、申し上げましたが、もちろんヒアリングで出た御意見、さっき大江委員がおっしゃった、実務に関わることでもあるし、非常に重要ですので、この中間取りまとめに必ずしも明確に反映しているわけではありませんが、今後、議論する上では、もちろんヒアリングで出た意見を十分踏まえながら、議論していくということは当然だと思いますので、そのようにしたいと思います。
ありがとうございます。
企業年金連合会からはありますか。
○鮫島企業年金連合会理事長 ありがとうございます。
この中間取りまとめの整理については、ヒアリングとオブザーバーの意見は取っていないというお話なので、申し上げても詮ないかもしれないとは思いつつ、今後の議論もありますので、この機会に、要望として、個別の論点を2点申し上げようと思います。
まず、1点目ですけれども、中小企業の企業年金の普及、あるいは持続可能性の向上を図るためには、業務運営面、それから、財政面の負担をできるだけ軽減するということが重要だと、私どもからも申し上げておりますけれども、この点、中間整理では、DBの保証期間の上限や、非継続基準の予定利率の見直し等が論点として取り上げられておりまして、今後の検討に期待をしております。
関連して、1点つけ加えますと、事務面の負荷やコストの軽減も重要だと考えておりまして、1例を挙げますと、現在、総合型DBの制度運営面で、基金、加入事業所双方から負担が大きいとの声が強い、代議員定数の定めについて、再検討していただけないかと考えております。総合型DBのガバナンスの問題は、非常に重要な課題と、私どもも認識しておりますけれども、AUPの導入や資産運用委員会の設置等を含めまして、整備が進んでおります。厚生労働省のモニタリングによって、ガバナンス体制全体の実効性を御確認いただいた上で、要望の強い代議員定数の緩和について、御検討いただければありがたいと思います。
もう一点、ポータビリティについてですが、これにつきましては、離・転職の増加を背景に、重要性が増していると、これまでも申し上げておりますけれども、中間整理では、中退共や退職一時金を含めたポータビリティの拡充が、論点として取り上げられているほか、DC一時金の終身年金化の選択肢拡大といった、関連する論点も示されています。
私どもは、こうした制度の拡充は必要だと考えておりますけれども、これまで、退職時には、一時金で受け取るケースがほとんどで、ポータビリティが十分に活用されていないという実態を踏まえますと、併せて、運用面の工夫が必要であると考えております。この点、中間整理では、給付の受け取り方や、DCの投資教育に関連して、ライフプランを踏まえた情報提供やガイダンスの必要性が盛り込まれておりますけれども、その点は、ポータビリティにつきましても、同様に言えるというように考えております。
私どもとしましては、転職者に対する老後資産形成の重要性やポータビリティに関する教育機会の提供や、転職時にポータビリティの選択に誘導する「ナッジ」の活用など、運用面の施策の検討もお願いしたいと考えております。
以上です。
○森戸部会長 ありがとうございます。
今の御指摘いただいた点は、中間取りまとめにはそんなに議論してないから入ってなかったと思いますが、もとの事務局で用意していただいた大部な資料の中には、今、提示いただいた論点も入っていたかと思いますので、それは、今後、議論していく中には入ってくるのではないかと思いますので、今の御意見もまた踏まえて、これからの方向を考えたいと思います。
ありがとうございます。
議題2については、ほかによろしいですかね。
一応一通り御意見を伺えたかと思います。
私は、先ほど申し上げた以外には、特にありませんので、基本は、皆さんのこういう御意見があったというのを整理するということだと思いますので、あとは、事務局にお任せしたいと思いますが、先ほど申し上げたように、今後の議論は、ヒアリングで出た意見とか、オブザーバーでの御意見ももちろん踏まえながら、議論を進めていくことにしております。
事務局からは、この時点では大丈夫ですかね。
では、議題2については、そういうことにして、また、事務局に作業をお願いしたいと思います。
あと、ちょっと時間もありますが、大江委員、途中からですけれども、議題1に関しては、特にはよろしいですか。
では、また後で、それは議事録を御覧いただければと思います。
ありがとうございます。
予定の時間よりちょっと早いですが、本日の議事は、以上で終了といたしたいと思います。
では、今後の予定等について、事務局からお願いいたします。
○海老企業年金・個人年金課長 次回の議題や開催日程については、追って、御連絡をさせていただきます。
○森戸部会長 ありがとうございました。
それでは、第32回「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を終了いたします。
御多忙の折、お集まりいただき、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。