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- 2023年8月1日 第189回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
2023年8月1日 第189回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和5年8月1日(火) 12:30~14:30
場所
AP虎ノ門 Aルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
出席者
- 公益代表委員
- 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、佐藤(厚)委員、水島委員
- 労働者代表委員
- 大崎委員、櫻田委員、東矢委員、冨髙委員、水野委員、世永委員
- 使用者代表委員
- 鬼村委員、佐久間委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、田中委員、鳥澤委員、兵藤委員
- 事務局
- 鈴木労働基準局長、増田審議官(労働条件政策、賃金担当)、古舘総務課長、澁谷労働条件政策課長、竹野監督課長、吉村労働関係法課長、岡賃金課長、田上労働条件確保改善対策室長、古川大臣官房総務課企画官、初鹿労働条件政策課課長補佐、飯田労働関係法課課長補佐、小嶋労働条件企画専門官
議題
- (1)家事使用人に係る実態調査について(報告事項)
- (2)「経済財政運営と改革の基本方針2023」等について(報告事項)
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○労働条件企画専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第189回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催します。
事務局の労働基準局労働条件政策課の小嶋と申します。本日は、本年4月27日付の分科会委員改選後初めての分科会となりますので、冒頭は事務局において進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
なお、本日の分科会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で開催とさせていただいております。
まず、議事に入ります前に、分科会委員の交代につきまして御報告させていただきます。お手元の参考資料1として、労働条件分科会委員名簿を配付しております。
名簿の順番により、新しく委員に就任された方々3名につきまして御紹介させていただきます。
労働者代表の委員として、情報産業労働組合連合会書記長、水野和人委員。
○水野委員 よろしくお願いします。
○労働条件企画専門官 使用者代表の委員として、日本通運株式会社人財戦略部専任部長、田中輝器委員。
株式会社日立製作所人財統括本部人財業務本部長兼人事勤労本部エンプロイーリレーション部長、松永恭興委員。
なお、松永恭興委員におかれましては本日欠席でございます。
次に、事務局の異動がございましたので、紹介させていただきます。
大臣官房審議官(労働条件政策、賃金担当)の増田でございます。
○審議官(労働条件政策、賃金担当) 増田です。よろしくお願いします。
○労働条件企画専門官 労働条件政策課長の澁谷でございます。
○労働条件政策課長 澁谷と申します。よろしくお願いいたします。
○労働条件企画専門官 労働条件確保改善対策室長の田上でございます。
○労働条件確保改善対策室長 田上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○労働条件企画専門官 続きまして、本日は分科会委員改選後初めての分科会となりますので、分科会長を選出する必要があります。
分科会長は、労働政策審議会令第6条第4項に基づき「当該分科会に属する公益を代表する本審の委員のうちから、当該分科会に属する本審の委員が選挙する」こととされております。
当分科会におきましては、本審の委員は荒木委員のみが該当されます。したがいまして、荒木委員が当分科会の分科会長に就任されることとなります。
それでは、以後の議事進行は荒木分科会長にお願いいたします。
○荒木分科会長 引き続き、労働条件分科会長を務めることになりました荒木と申します。よろしくお願いいたします。
委員の皆様の御協力を得ながら円滑に議事を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、まず、分科会長の就任に際し、分科会長代理の選任をさせていただきたいと思います。
分科会長代理につきましては、労働政策審議会令第6条第6項により「当該分科会に属する公益を代表する本審の委員又は臨時委員のうちから分科会長があらかじめ指名する」こととされておりますので、この規定に基づきまして、本日御欠席ですが、藤村委員に分科会長代理をお願いしたいと存じます。
次に、本日の委員の出欠状況です。公益代表の藤村博之委員、両角道代委員、労働者代表の川野英樹委員、西尾多聞委員、使用者代表の松永恭興委員が欠席と承っております。
なお、本日、使用者代表の佐藤晴子委員におかれましては、所用のため、途中で退席されると伺っております。
カメラ撮りはここまででお願いします。
では、本日の議事に入ります。まず、本日の議題1は「家事使用人に係る実態調査について」です。
事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。よろしくお願いいたします。資料No.1を御覧ください。「家事使用人に係る実態調査について」としておまとめしたものでございます。
1ページが、本調査の概要、調査の立てつけになってございます。
家事使用人の労働実態等に関する大きな調査といいますと、今回の調査以前のものが昭和35年ぐらいまで遡ることになりまして、今般、改めて現在の家事使用人の方の実態把握をしようということで調査したものになります。
調査目的は、家事使用人として個人家庭と契約して働く方の労働実態を把握することで、全国の家政婦(夫)紹介所に登録されて、個人家庭と契約して働いたことのある方々に対してアンケートをお願いしたものでございます。
調査部数は総数9,220部で、有効回収数は1,997部で、主な調査項目は記載のとおりで、基本属性から働き方の内容等について聞いたものになってございます。
結果の概要について御説明いたします。2ページを御覧ください。まず、基本的な属性でございます。
まず、家事使用人の方の年齢ですが、70代が50.1%、60代が27.4%、80代以上が7.3%ありまして、これらを含めまして60代以上という方が全体の8割を超える状況になってございます。
次いで、性別が、右側の円グラフで、女性が98.8%で、ほとんどの方は女性でいらっしゃるということでございます。
働き方で、下段左側の円グラフで、主に「通勤」で働いている方が83.8%と、非常に多くなってございますが、主に「泊まり込み」と答えた方が8.9%、「両方(通勤・泊まり込みが同程度の頻度)」という方は6.0%いらっしゃいまして、15%ぐらいの方が泊まり込みも含めた仕事をしている状況でございました。
登録している職業紹介所の数で、「1か所」という方が87.6%とほとんどで、「2か所」が9.3%、「3か所」が2.3%と、複数の職業紹介所を通じて仕事をされている方も一定程度おられるという結果でございます。
右側で、現在、家政婦(夫)として働いている先の数をお聞きしたところ、「1件」である方が47.5%でございましたが、「2件」が26.7%、「3件以上」が22.0%で、複数の家庭で働いている方が1つの家庭で働いている方の大体同数か、それより少し多いぐらいで、かなりの方が複数の家庭で就労されている状況でございます。
3ページ目で、家政婦(夫)として働いている理由等についてお伺いしたものでございます。
左上のグラフの、家政婦(夫)という職業を選んだ理由については、「年齢問わず働けるから」が51.9%、「収入を得るため」という方が50.1%、「自分の都合に合わせて好きな時間に働けるから」という方が39.0%いらっしゃいました。ほかに、「人の役に立てるから」、「主婦(夫)をしていたなど自分の経験を活かせるから」といった答えが多くなってございます。
それから、下側のグラフで、いわゆる家事代行サービス事業者等に雇用される働き方ではなく、個人家庭と契約して働く理由は何ですかとお伺いしたところ、「勤務時間の長さなどの制限がないから」が一番多く33.6%、「知人から紹介されたから」という方が22.2%、「賃金が高いから」という方が20.2%。こういった答えが多くなってございます。
右側で、家事使用人という働き方に関して満足していますかとお伺いしたところ、「満足している」と「やや満足している」の合計が85.4%で、多くの方は働き方には満足していらっしゃる状況でございました。
4ページ目で、家事使用人の方の1日当たりの平均勤務時間についてお伺いしたものでございます。
1日当たり「2時間未満」という方が14.4%、「2時間以上5時間未満」が43.0%、「5時間以上10時間未満」が23.0%、「10時間以上」という方が13.2%。多くの方が短時間で働いておられる実態でございますが、中には「10時間以上」と答えた方が10%を超えておりまして、泊まり込みで働いている方が15%ほどいらっしゃったことを考えますと、一定程度長い時間働いておられる方もいらっしゃるという結果でございます。
真ん中で、求人者の家庭に決められた休憩時間がどれぐらいあるかで、これは明確に決められた休憩時間はどれぐらいですかという質問でございます。「休憩時間はない」と答えた方が47.1%で、一番多くなってございます。その他、「30分未満」が14.6%、「30分以上60分未満」が19.1%でございます。
それから、1日当たりの平均勤務時間がどれくらいですかという質問と、この求人家庭に決められた休憩時間の長さをクロスしたものが右上のグラフになります。1日当たりの平均勤務時間が「5時間未満」と答えた方に関しては60.8%が休憩時間がなく、これは勤務時間がもともと休憩時間付与の対象にならないぐらいの時間の方々でございますが、「5時間以上10時間未満」、「10時間以上」と答えた方に関しても、それぞれ27.2%、33.0%と、「休憩時間がない」と回答された方がいらっしゃいました。
下のグラフでございますが、このあらかじめ決められた休憩時間と勤務時間の違いが明確ですかという質問に関しては、「いいえ」と答えた方が63.3%となっており、働き方の実態として休憩時間と勤務時間の境い目がかなり曖昧な形になっているのではなかろうかという結果となってございます。
5ページ目で、深夜22時以降の労働及び残業の状況でございます。
左側のグラフで、まず、深夜22時以降に働くことがありますかという質問に関しては、「よくある」もしくは「ときどきある」と答えた方が19.9%いらっしゃいました。大体5人に1人の方が深夜労働もあるということでございます。また、契約で決められた勤務時間以上に働く、いわゆる残業がありますかとお聞きしたところ、「よくある」と「ときどきある」の合計が20.8%。こちらは5人に1人程度でございました。
真ん中のグラフで、1週間の平均勤務時間がどれぐらいありますかという質問に対してですが、「10時間未満」と答えた方が35.5%、「10時間以上20時間未満」が26.7%、「20時間以上30時間未満」が12.8%と多くなってございます。多くの方はパートタイム的に働いておられるということで、1週間の平均勤務時間で「40時間以上60時間未満」あるいは「60時間以上」と答えた方も合計で9%強いらっしゃいまして、一定程度長い時間働いておられる方がいらっしゃる結果でございます。
右側の、1か月の平均就労日数は何日程度ですかという質問で、「5日未満」が22.4%、「5日以上10日未満」が21.5%、「10日以上15日未満」が24.8%と、このあたりが多くなってございまして、いわゆるフルの日数働いているわけではない状況ですが、こちらも11.0%の方が「20日以上」となっており、かなり長い日数働いておられる方もいらっしゃる結果でございます。
6ページで、業務内容、業務の指示に関して聞いたものでございます。
まず、普段の行っている業務内容はどういうものがありますかという質問が左上のグラフで、「掃除関係の業務」、「食品・料理関係の業務」、「衣類・洗濯関係の業務」が84.6%、66.9%、65.2%と、当然、家事の部分が多くなっているものでございますが、その次に来ておりますのが「高齢者介護・認知症介護」で、46.4%の方が介護に携わっておられるという回答です。
この方々につきまして、右側のグラフでございますが、その「高齢者介護・認知症介護」は介護保険に基づいて行っていますかとお聞きしたところ、「はい」と答えた方が32.6%いらっしゃるということで、介護保険の事業所の雇用者としても働いておられるパターンが相当数いらっしゃるかと考えられます。
下側でございます。通常、家政婦(夫)業務に関する具体的な指示を行う者は誰ですかという質問ですが、「実際に家政婦(夫)として働く家庭の雇い主本人、又は家族」と答えておられる方が80.2%いらっしゃる一方で、「訪問介護サービス事業者や家事代行サービス業者等の家庭外の会社」、あるいは「職業紹介所」と答えた方が20%程度いらっしゃるということで、これに関しては先ほどの介護の事業と一緒にやっておられる方が影響しているのではなかろうかと推察されます。ただ、それ以上の詳細に関しては、今回は匿名の調査ということもあり、不明となっております。
7ページ目は、契約の内容について聞いたものでございます。
契約の内容として規定しているもので、「勤務時間」が86.4%、「業務内容」が81.4%、「就労場所」が74.3%、「賃金額等の賃金に関する内容」が68.2%、「契約期間」が56.8%となってございます。契約の内容として定めているものはこういう順位で、定めるべきものがやや曖昧になっているようなケースもあるのではなかろうかという結果となっております。
右側の、1か月当たりの報酬でございますが、「5万円未満」が34.4%、「5万円以上10万円未満」が32.2%、「10万円以上15万円未満」が15.6%、「15万円以上」が8.4%、「20万円以上」が6.2%となっておりまして、パートタイム的な働き方をしている方が多いことから導かれる賃金額になっているのかなというところでございます。
報酬の支払い方法は、「各家庭から現金を手渡し又は口座振り込み」で受け取っている方が63.0%、「職業紹介所経由での支払い」が31.2%という結果でございました。
8ページ目で、業務中に病気やけがをした経験があるかの質問でございます。
「はい」と答えた方が15.2%いらっしゃいました。それらの病気やけがの内容で、「骨折・ヒビ」が27.1%、「切傷」、「腰痛」がそれぞれ26.4%、「打撲」が24.4%でございました。
労災保険の特別加入に関して、特別加入していますかとお聞きしたところ、右側のグラフでございますが、「はい」と答えた方が34.3%、「いいえ」と答えた方が43.1%、「分からない」と答えた方が13.2%いらっしゃいました。
労災保険に特別加入していない方について、特別加入していない理由は何ですかとお聞きしたところ、下側のグラフで、「民間保険に入っているから」が一番多く、57.0%でございました。一方で、「制度を知らなかったから」が19.3%、「保険料が高いから」が8.0%、「手続きが面倒だから」が7.2%と、一定数いらっしゃる状況でございます。
9ページ目で、働く中で生じたトラブルや困っていることはどういうものがありますかとお聞きした結果でございます。
「特にない」という回答が一番多く、66.4%で、あった方に関しては、5.8%の方が「契約の範囲外の業務を命じられた」、5.5%の方が「パワハラを受けた」、4.9%の方が「業務で求められる水準が高すぎる」、4.5%の方が「家庭からいきなり契約を切られた」、3.0%の方が「セクハラを受けた」といった内容が続いております。
調査の結果概要は以上でございます。
事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があればお願いいたします。
なお、オンライン参加の委員の皆様におかれましては、発言の希望についてはチャットに発言希望と書き込んでお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。
冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 御説明ありがとうございました。
先ほど御説明いただいた資料の4ページですと、1日当たりの平均勤務時間が「10時間以上」という方も13.2%いる中で、「休憩時間がない」という方が33.0%を占めています。休憩時間と勤務時間の違いが明確ではないと回答している方が6割以上ということですが、そもそも適切な勤務時間の設定や休憩の付与は健康確保の視点から非常に重要ですので、ぜひその点は周知いただきたいと思っております。
もう一点、8ページに労災保険の特別加入の状況を記載いただいています。特別加入されていない方もいらっしゃって、その理由として、制度を知らない方が2割近くを占めています。また、高齢の方も多いということから、高年期の怪我・疾病などのリスク等もございますので、改めて労働安全衛生教育や、制度の活用促進に向けた周知をぜひ徹底いただきたいと思っております。
6ページをみると、高齢者の介護のうち、介護保険に基づかない業務の割合も一定程度あります。介護の質を担保する観点から問題があるのではないかと思いますので、こちらも精査の上、適切に対応いただきたいと思います。
いずれにしましても、家事労働者については、ILOの報告書によりますと、2011年の第189号条約の採択後、労働法を適用除外としている国が非常に減っておりまして、2020年に8.3%まで減少しております。日本においても就業実態を踏まえて、適用除外の規定の廃止も含めて、見直し・検討してもいいのではないでしょうか。
また、本件にとどまらず、曖昧な雇用で働く方たちを含めて、労働者性の判断基準につきましては、近年の就業実態を踏まえて見直して、その範囲を拡充することが喫緊の課題だと思っておりますので、ぜひとも早急に具体的な検討に着手していただければと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
オンラインで、使用者側委員の佐藤委員、手が挙がっております。お願いします。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。私からは2点発言をいたしたいと思います。
1点目は、今、冨高委員からも言及がありました8ページの労災保険の特別加入の状況に関してです。冨高委員から御指摘もありましたとおり、労災保険に特別加入していない理由という中では制度を知らなかったからというものが一定程度見られるところです。特別加入制度のカテゴリーに家事支援従事者が加わったのは2018年4月と、比較的最近のことと承知しておりますので、こういった家事使用人の方々の間で認知度が高まるように、厚労省に一層の周知・広報をお願いしたいのがまず1点目です。
その上で質問なのですが、この特別加入をしていない理由の中に、下から3つ目ですか、職業紹介所に断られたからというものがございます。このことで、推察ではありますけれども、特別加入団体になっていない有料の職業紹介所に対して、家事使用人が加入申請しようとしたら断られたケースが一定程度含まれるのではないかと思っておりますが、有料の職業紹介所・職業紹介事業者のうちで特別加入団体としての承認を受けている数とか割合とか、それがどの程度なのかを把握しているところがあれば教えていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
質問がありましたので事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 冨高委員及び佐藤委員からいただきました御質問及び御意見につきまして御回答申し上げたいと思います。
まず、休憩時間の状況につきまして、委員からも御指摘ございましたように、かなり長時間働いておられる方においても、あらかじめ決められた休憩時間がないと回答された方や、休憩時間と勤務時間の違いが明確でないと回答された方の割合が高いという結果が出ております。家事労働の性格を想像しますに、一つの家事が一区切りつくと休めるといった働き方も想定されますので、どれぐらいみっちり働いているかについては個別具体には様々実態があるかもしれませんが、少なくとも、最初に契約する段階において休憩時間が明確であるほうが望ましいといったことは御意見のとおりかとも思いますので、本アンケート調査結果も踏まえて、今後、厚生労働省として、家事使用人・家事労働者の方の契約の段階でどのような明示が必要かといったことが整理できないかという点については検討してまいりたいと思います。
それから、順番が前後するかもしれませんが、介護保険に基づいて行っていない業務を高齢者介護・認知症介護業務の中でやられている方がいることについて、6ページの右側のグラフについての言及があったかと思います。この点、介護保険法上、介護保険を使わないとできないようなタイプの介護、いわゆる食事や入浴、排せつといった、直接、利用者の方に触れて行うサービスは資格が必要であり、介護保険に基づかないと行えないわけでございますが、家事使用人の方が高齢者介護という名目の下に実際に各家庭で行われている業務がそれにとどまらない、例えば御家族の方も含めた食事の準備といったことは介護保険では行えないわけでございますが、家事労働として行うことは可能で、そうしたことも含めて回答されている可能性はあるかなとは思っておるところでございます。
それから、労災保険の特別加入につきまして、8ページのグラフについて御質問等があったかと存じます。
まず、佐藤委員から、有料職業紹介事業所に断られたからという項目についての御質問でございますが、正確な数字は把握しておりませんけれども、労災保険の特別加入のうち、介護作業従事者及び家事支援従事者の特別加入団体数は、令和3年度末の数字が最新で、189団体となっております。家事支援だけではないので、そういう意味では正確な数字としてのお答えにはなっていないかもしれませんが、本アンケート調査を配付した職業紹介所の数が、1ページ目の資料にありますが、541紹介所で、それよりはかなり少ない数が、現在、特別加入できる団体の数であることは数字としてはあるところでございます。
また、御意見として頂戴しましたが、そもそも制度を知らなかったという御回答が一定程度あることを踏まえまして、特別加入制度の周知として我々として何ができるかは本日の御意見も踏まえて検討してまいりたいと思っております。
それから、ILO条約につきまして、御質問、御意見があったかと存じます。現在、ILO第189号条約を我が国が批准していない理由としましては、これは今回の調査の対象でもあります労働基準法第116条第2項において家事使用人の方が適用除外されているからというものが大きな理由でございます。今回の調査結果も、また、本日の様々な御意見も受け止めた上で、今後、法制を含めて、家事使用人についてどのような対応を考えるかということは私どもとしてさらに調べた上で検討してまいりたいと思います。
ILO条約の批准という点についても、そうした検討の流れの上で、将来、課題に上ることはあるかと存じますが、現時点においては、少なくとも法制上、労働基準法第116条第2項があるために批准できないことを踏まえますと、直ちに批准できる状況にはないものと考えております。
また、労働者性の判断基準につきましても、引き続き明確化の議論について御要望がございました点については受け止めて検討してまいりたいと存じます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
佐藤委員、ほかにも御意見はございますでしょうか。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。
有料の職業紹介所の加入団体数ですか。特別加入の団体として承認を受けている数ということで、正確ではないということですけれども、そもそも母数も正確ではないとは思っておりますが、仮に541分の189だとしても35%弱ですし、いずれ家事使用人の方々が御自身の希望に応じて特別加入ができる、そういった環境をしっかりと整えていくことは重要な課題だと考えておりますので、省におかれましては有料の職業紹介事業者に対して特別加入団体となるよう、こういった働きかけといいますか、呼びかけといいますか、そういったことは御検討いただければありがたいと思っております。これが1点目です。
すみません。もう一点ありまして、2点目として、労働条件の明示に関して、こちらは意見として申し上げたいと思っております。
資料の9ページに、トラブルや困っていることということで、特にないが6割を超える、一番大きいわけですけれども、よくよく見ますと、契約の範囲外の業務を命じられたとか、業務で求められる水準が高すぎるとか、それから、労働環境が悪い。そういった回答も見受けられます。やはりこうしたトラブルといいますか、問題を解消していくために、求職者である家事使用人の方と、求人者である個人家庭との間で適切な労働契約が締結されて、かつその内容がきちんと遵守されることが重要であると考えております。
したがいまして、求人者が職業紹介事業者に労働条件を明示して、それを受けて事業者が求職者に対しては内容を明示する義務があるほか、事業者は、例えば法令に違反する申込みを受理しないとか、あるいは通常の労働条件と比べて著しく不適当な申込み、これを受理しないとか、そういったことができることとされていますので、職業紹介の事業者が必要な役割を果たして家事使用人の適切な就労環境の確保、こういったことに資するように、省としてのサポートをいただければと思います。伝わっておりますでしょうか。
○荒木分科会長 よく聞こえました。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
私も今の皆さん方の御意見と重なるところがあると思うのですけれども、やはり昭和35年以来の調査は非常に有効だろうなと思っています。こういう実態を把握していただくことは本当に必要だと思っております。
それをお伺いしながら、この家事使用人については、雇用者の自宅に行き事業者として働く方、それから、雇用者の労働者として、また、職業紹介事業所から紹介された労働者なのか。または職業紹介事業者が一つのプラットフォームとして、派遣というか、仕事を見つけていただく事業者なのか。労働法の適用があやふやというか、ない状況なのですけれども、その区分を、御本人がどういう意識を持たれているのかがそれぞれ違うような気がします。
その中で、実際に、例えば資料の7ページを見ていくと、これが、今、1か月当たりの報酬で見ていますけれども、時間単価、要は最低賃金は上回っているのかとか、あるいは事業者と捉えれば家内労働法の工賃的な発想として見ていくべきなのか。あるいは最後のところの、先ほどから労災保険の関係が出ておりますが、一人親方と同じように、こういう労災保険に加入できるとなると、事業者として見ているのか。この辺の疑問が非常に重なっているところがあります。
労災保険については、なるべく加入しやすいような雰囲気。労災保険の事務組合には入らなければいけないでしょうから、その辺で選択をするための周知というか、教えてくれる方がいるのか、どういうことで労災保険の特別加入について知るのか。それは職業紹介事業所が教えていただくことになるのでしょうけれども、家事使用人はそれは労働者とみるのか、事業者としてみるのか、今、フリーランスの関係が注目されていますが、その辺はできる限り、今まではグレーなところは多分にあったと思うので、今後は、なるべく明確にしていくこととして検討していただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 御説明ありがとうございました。
8ページ目で「業務中の病気やけが」という記載がございます。はいという15.2%という数字は比較的多いようにも感じるのですが、ほかの働き方と比べてどのような違いがあるのか、もし分かるようだったら教えていただきたいと感じました。また、このような実態を踏まえて何らかの対応を考えているのかについても教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働条件確保改善対策室長 すみません。労災の発生率、ほかの業種との比較は、今、数字が手元に持ち合わせておりません。調べて、また追って個別に御報告させていただければと思います。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○安藤委員 はい。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
ありがとうございました。
よろしければ、この第1の議題については、以上とさせていただきたいと思います。
次の議題に移ります。
ここで説明者の交代がありますので、しばしお待ちください。
(説明者交代)
○荒木分科会長 それでは、次の議題2「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等について」で、事務局から説明をお願いいたします。
○総務課長 事務局でございます。資料2「『経済財政運営と改革の基本方針2023』等について」と題した資料について御説明させていただきます。
本年6月16日に、この表紙の下にございます「経済財政運営と改革の基本方針」「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」、それから「規制改革実施計画」、この3つの閣議決定が行われております。その内容について御説明させていただきます。また、4つ目の○として、閣議決定を踏まえた個別の対応状況について、何点か御説明させていただきます。
3ページをお開きください。いわゆる「骨太の方針」と言われる政府決定になります。
1.で、三位一体の労働市場改革による構造的賃上げの実現として、本文の4行目の中ほど辺りになりますが「リ・スキリングによる能力向上支援」「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成長分野への労働移動の円滑化」という三位一体の労働市場改革を行い、構造的に賃上げが上昇する仕組みをつくっていくこととされております。
このうち、2つ目のパラグラフになりますが、職務給の導入につきましては、その目的、人材の配置・育成・評価方法等と合わせまして、下線部、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係などについて事例を整理し、年内に事例集を取りまとめることとされております。
また、次のパラグラフになりますが「成長分野への労働移動の円滑化」に向けた取組として、下線部、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けて「モデル就業規則」の改正を行うことが盛り込まれております。こちらについては後ほどまた改めて御説明をさせていただきます。
それから、資料の下段(多様な働き方の推進)として、下線部、勤務間インターバル制度の導入促進、副業・兼業の促進等に取り組むこととされております。
4ページになります。物流分野の対応になります。
2024年度から時間外労働の上限規制が運転手に適用され、物流への影響が懸念される2024年問題の解決等に向けて、「物流革新に向けた政策パッケージ」、注にございますが、本年6月、関係閣僚会議で取りまとめられた対策になります、このパッケージに基づき、荷主等への要請による「商慣行の見直し」、再配達削減を含む荷主や消費者の行動変容を促す取組などに取り組むこととされております。
7ページを御覧ください。7ページからは新しい資本主義の関係になります。
このページにつきましては、三位一体の労働市場改革で、先ほど「骨太の方針」で御説明した内容と同様のことが盛り込まれております。
8ページを御覧ください。8ページ上段は同一労働同一賃金制の施行の徹底になっております。
下線部になりますが、同一労働同一賃金の施行は都道府県労働局が実施しておりますが、その施行の強化を図るため、昨年12月から労働基準監督署でも調査を行い、問題企業について労働局に報告することを行っております。こうした労働基準監督署による調査の効果を見て、年内にフォローアップを行い、その後の進め方を検討することとされております。
続きまして、11ページを御覧ください。ここからは規制改革の実施計画に盛り込まれた項目になります。
このページ上段につきましては、資金移動業者の口座への賃金支払いの関係になります。昨年度、この分科会で御審議いただきまして、本年4月から施行されております。bの2行目になりますが、制度施行から2年経過後を目途に、制度利用状況等を基に、課題の有無の検証を開始することとされております。
資料の下段は労働時間制の見直しです。前段、裁量労働制につきましては、こちらもこの分科会で取りまとめいただきまして、措置済みということに整理されております。後段は、働き方改革関連法の施行5年後の検討規定を踏まえて、令和6年4月以降、検討を開始することが盛り込まれております。
12ページを御覧ください。
12ページ上段は副業・兼業の促進です。aとbがありまして、aにおきましては、ガイドラインで示している副業・兼業時における労働時間管理の方法について、使用者がどのように対応すればよいか、分かりやすくなるように、随時必要な措置を講ずることとされております。また、後段、bになりますが、ガイドラインに示された労働時間の管理モデルの実際の取組事例を収集・周知することとされております。こちらにつきましては、既に公表を行っておりまして、措置済みとなっております。
資料の下段は雇用関係の手続の見直しになります。36協定につきましては、事業場ごとに締結し、事業場を管轄する監督署に届出をいただくことになっておりますが、現在、協定の内容が同じ場合には、本社が一括して届け出ることができることになっております。この本社一括届出につきまして、届出の内容が異なる場合でも一括届出が可能となるように、システム改修の検討を行い、必要な措置を講ずることとされております。
13ページを御覧ください。
上段は割増賃金に関する項目になります。在宅勤務をする労働者に支給される、いわゆる在宅勤務手当につきまして、どのようなものであれば、実費を弁償するもの等として、割増賃金の算定基礎から除外することが可能であるか、検討し、必要な措置を講ずることとされております。
下段は多様な正社員の活用促進でございます。労働契約法の規定を踏まえて「多様な正社員」を含む正社員の間においても就業の実態に応じ処遇等の均衡を考慮すべきことについて周知するとともに、労働者に無期転換後の労働条件を明示する場合には、均衡を考慮した事項について説明が行われるよう、必要な措置を講ずることとされております。後段につきましては、こちらもこの分科会で取りまとめいただき、措置済みとなっております。
14ページを御覧ください。農協におけるコンプライアンス等の構築で、農水省さんと連携して取り組む項目となっております。
内容につきましては、2行目、労働契約上の義務として、ノルマを達成できなかった労働者にノルマ達成のため自社の商品を購入させることはできず、こうしたノルマ達成のための商品購入を強制したりすることは民事に関する司法判断において、公序良俗違反や不法行為となる可能性があることについて周知を行うこと等とされております。
政府決定の御説明は以上となります。
続きまして、これに関連する個別の取組について幾つか御説明させていただきます。
○賃金課長 賃金課でございます。16ページを御覧いただきたいと思います。まず、退職金に関するモデル就業規則の改正についてでございます。
「骨太の方針」、それから、新しい資本主義の実行計画の中で、成長分野への労働移動の円滑化ということで、モデル就業規則において、退職金の勤続年数による制限、それから、自己都合退職者に対する会社都合退職者と異なる取扱い。これが労働移動に影響しているという指摘があったということで、モデル就業規則を改正することといたしました。
それで、下に改正前と改正後の規定を載せてございます。改正前を御覧いただきますと、第54条第1項で、勤続何年以上の労働者が退職し、または解雇されたときは、退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続何年未満の者には退職金を支給しないというところがございます。下線が引いてあるところをそれぞれ削除いたしまして、前者が勤続年数による制限、それから、後者が自己都合退職者について会社都合退職者と異なる取扱いをしている部分でございます。
なお、改正後の左の欄で、解説で下線が引いてあるところが「また」以下が加わっております。これは今回の改正に基づくものではなく、本来はこれまでも規定しておかなければならなかったものを記載したものでございます。
モデル就業規則の改正については以上でございます。
○労働関係法課長 個別の対応状況の2点目で、17ページをお願いいたします。規制改革実施計画の労働契約承継法の関係で御報告させていただくものでございます。
労働契約承継法におきましては、会社分割の際に、労働者などへの通知とか労働者からの異議申出につきましては書面で行う必要が現行あるということでございますけれども、この点につきまして、規制改革実施計画におきまして、労使双方に負担のない方法で実施できるように配慮しながら、相手方に確実に到達する方法で提供するとともに事後に紛争が生じて労働者の地位が不安定になることを防止するという法の趣旨を踏まえまして、電子化を可能にすることに向けた検討を行い、必要な措置を講ずることとされております。こうした計画を踏まえまして、厚生労働省事務方におきまして、企業の労務担当者の方々とか労働組合の担当者の方々にヒアリングを行ってまいりましたので、その結果を御報告するものでございます。
17ページの下側を御覧ください。電子機器等の導入状況等につきましては、製造ラインに従事する労働者につきましては共用パソコンを見ることができる事例もあれば、特定部門にはメールアドレスの配付もないような事例もございました。また、私用アドレスの使用とか自宅のプリンターの使用を禁止している。会社分割の後はメールアドレスが使用不可となるといった事例もございました。
18ページを御覧ください。通知等の電子化に関する希望・御意見でございます。
左上の(基本的な考え方や現場の実情)の企業労務担当者からの御発言といたしましては、書面で行うことに苦慮したとか、最も実態をよく知る会社自身に選択肢を与えてほしい、書面交付のために出社要請をすることに対する苦情の申立てがあったといった御発言がございました。
右上の労働組合担当者の方からの御発言といたしましては、電子化へのメリットを感じておらず、大きなイベントになるので、書面化する中できっちりとコミュニケーションしていくことが望ましい、労働者の生活を左右する場面ですので、通知は書面で行われることがよい、書面手渡しが、説明を加える点で優れている、1人1台のPCが配備されていない場合、混乱が生じる懸念といった御発言がございました。
真ん中で(より具体的な意見や留意点)につきまして、左側の企業労務担当者の方からは、給与明細などと同様の電子的方法が考えられる、組合の同意を得た場合に電子的に行える仕組みが考えられる、電子的な通知を基本とし、希望者のみを書面とする形になればありがたい、休職中の労働者の場合など、書面での対応が必要になる場合があるだろうといった御発言がございました。
真ん中右の労働組合担当者の方からは、電子ですと一方的になる可能性、電子で行う場合でも、確認できるシーンが必要ではないか、トラブル防止のためには、丁寧な説明が必要で、電子メールを送るだけではトラブルが増える懸念、電子化する場合には、5条協議の場で説明を尽くし、トラブル防止につなげる必要、きちんとコミュニケーションを取る前提であれば、電子化も違和感がないといった御発言がございました。
一番下の(異議の申出関係)につきましては、左の企業労務担当者の方からは、書面でやり切るのは現実的に不可能であり、異議申出も含めて、電子化すべき、異議申出には労働者の熟慮と判断が伴いますので、慎重に踏まえた上で検討、円滑な情報共有や紛失リスク回避の観点からは、電子的に行えるほうがよいといった御発言がございました。
右下の労働組合担当者の方からは、異議申出を電子的に行いたいという希望は耳にしていない、電子化が必ずしもよいわけではない、2条通知とそろえるべきといった御発言がございました。
今回ヒアリングで把握した実情等も踏まえながら、引き続き、事務局において対応案の整理を進めてまいりたいと考えております。
○監督課長 監督課でございます。19ページをお願いいたします。個別の対応状況の3点目、労働基準法等に基づく届出等に係る電子申請の状況についてでございます。
労働基準法等に基づく届出等につきましては、令和3年の規制改革実施計画に基づき策定された「基本計画」に基づき、電子申請利用率の向上を図っております。この「基本計画」については、箱の中の(参考)にございますけれども、年間10万件以上の手続を対象としておりまして、労働基準法等に基づく届出等につきましては、時間外・休日労働に関する協定届、いわゆる36協定届。それから、就業規則の届出、1年単位の変形労働時間制に関する協定届。この3つが対象になっているところでございます。これらの手続のオンライン利用率を令和5年度までに20%に引き上げることを目標とするとともに、第三者チェックを受けることなどを定めているということで、本分科会において御審議いただくものでございます。
電子申請利用率向上に向けた取組についてで、令和4年度におきましては、36協定届の電子申請様式のエラーチェック機能の拡充などを行ったほか、令和4年の規制改革実施計画に基づきまして、1年単位の変形労働時間制に関する協定届について、電子申請の場合に限り、新たに本社一括届出の対象としました。本年2月から開始しております。令和5年度におきましては、1か月単位の変形労働時間制に関する協定届などについても同様に、電子申請の場合に限り、本社一括届出の対象とすることを予定しております。
20ページをお願いいたします。令和4年の電子申請件数と利用率をお示ししております。
まず、36協定届については、全申請件数約198万件に対し、電子申請件数が約42万7000件で、電子申請利用率は21.62%です。就業規則届につきましては、全申請件数約112万件に対し、電子申請件数が約43万2000件で、電子申請利用率が38.64%です。1年単位の変形労働時間制に関する協定届については、全申請件数約41万件に対し、電子申請件数が約5万6000件で、電子申請利用率は13.62%です。3手続の合計では、全申請件数約350万件に対し、電子申請件数が約91万5000件で、電子申請利用率は26.12%となっております。このことから、オンライン利用率を令和5年度までに20%に引き上げる目標は達成しているということでございます。
ページの下側に、過去5年の電子申請利用率の推移をお示ししております。いずれの手続につきましても順調に伸びていると考えております。今後とも引き続き、電子申請の利用促進に努めていきたいと考えております。
説明は以上でございます。
○荒木分科会長 御説明ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等があればお願いいたします。
先ほどと同様、オンラインの方はチャットに発言希望と書いてお知らせください。
東矢委員、お願いします。
○東矢委員 私からは「経済財政運営と改革の基本方針2023」につきまして、スライド3に記載の内容に関する意見を述べさせていただきます。
スライド3におきまして、労働移動を進めるための施策が数多く掲げられておりますけれども、三位一体の労働市場改革が目指す「雇用の安定と構造的賃上げ」には人への投資とともに、労働者保護ルールの整備・強化が不可欠であり、そうした観点から雇用政策を検討していくことが重要であります。また、多様な働き方の推進に当たっては、働き方改革のさらなる定着や労働者の健康確保に向けた取組を進めることが重要です。特に勤務間インターバル制度の導入は、労働者の生活時間や健康を確保する上で非常に重要でありますので、業種や企業規模ごとのきめ細かな対応など、一層の導入促進をお願いいたします。
一方で、副業・兼業の促進や選択的週休3日制、退職金に関わる労働慣行の見直しに関しましては、いずれも労使自治の中で検討すべきものだと考えます。とりわけ副業・兼業につきましては、厚生労働省として、本業と副業先、双方の事業者に対し、長時間・過重労働防止やメンタルヘルス対策、また、労災保険の合算などについて、関係労使が十分協議した上で対応することの重要性を周知徹底いただきますようお願いいたします。
私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、水野委員、お願いいたします。
○水野委員 御説明ありがとうございました。私は、資料には記載がないのですけれども、2点お願いしたいと思っております。
いわゆる「骨太の方針」の中には、「企業の参入・退出の円滑化」あるいは「スタートアップ企業の育成」の観点から、事業成長担保権の創設などの記載をされているかと承知しています。前回の分科会から重ねての発言となると思いますが、事業成長担保制度における労働者保護の課題につきましてはぜひ金融庁とも十分に連携した対応をお願いしたいと思ってございます。
また、企業の事業再編・事業再構築などに関連いたしましては、足下で物価高騰によって企業倒産が増加しており、直近では昨年同期比で3.3倍という報道も出てございます。こうした環境からすると、今後、労働債権の回収も困難となるような事案も増加していくのではないかと危惧してございます。そうした中では、現在でも未払賃金立替払制度が相当程度セーフティーネットとして機能していると思っておりますので、その一層の周知を進めることをぜひお願いしたいと思ってございます。加えて、立替払いの対象範囲の拡大といった制度の充実に向けた検討もぜひ進めていただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
世永委員、お願いします。
○世永委員 ありがとうございます。2024年問題について、自動車運転者の長時間労働の是正と、大阪万博工事における働き方の2点について発言させていただきます。
スライド4の2024年問題の解消に向けて、物流政策パッケージの中で、政府においては高速道路における大型トラック等の速度規制の緩和などの効率化の議論が行われていますが、労働者の健康や安全性の確保を大前提に置いて検討が行われる必要があると思っております。
今後懸念される物流の停滞を防ぐためには、商慣行の見直しや労働環境・労働条件の改善が喫緊の課題であり、そのための省庁横断的な取組が極めて重要です。改正改善基準告示の周知及び遵守の徹底をはじめ、労基署による荷主への要請といった荷主対策の一層の強化など、厚労省としても、国交省等と連携の上、労使の取組へのバックアップを改めてお願いいたします。
次に、2024年問題に関して、日本国際博覧会協会が2025年開催予定の大阪万博工事に時間外労働の上限規制を適用しないよう政府に要請したとの報道があったわけですが、働き方改革における上限規制の趣旨は労働者の健康確保とワークライフバランスの改善を図ることだと思っております。さらに言えば、建設業は業務の特性や取引慣行の課題などがあるとして適用猶予が設けられ、施行に向けた準備のための期間が5年間もあったはずです。そうしたことを踏まえれば、国際的な行事であることを理由に上限規制の適用を除外することはあってはならない。それ以外のあらゆる方策を検討することが重要であることを申し上げさせていただきます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで希望が出ております。
まず、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 鈴木でございます。御指名ありがとうございます。私からは資料の17ページ「労働契約承継法の通知電子化検討」について一言申し上げます。
改めて申し上げるまでもありませんが、我が国の経済社会における情報通信技術の普及・活用は急速に進んでおります。例えば、モバイル端末の世帯保有率は97.5%に達するほか、大企業を中心に、デジタルトランスフォーメーションの取組も加速しております。政府におかれましても、2021年9月にデジタル庁、同年11月にデジタル臨調を発足させ、我が国のデジタル社会の実現に邁進していただいているところです。こうした時勢において、書面による手続に限定する現行の仕組みは早期に見直しを図る必要があると思っており、経団連としても2020年度から本件を要望しているところです。
先ほど事務局より御紹介のありました労使ヒアリングの概況報告を見ますと、企業労務担当者からは、「数万人の対象者全てに書面を手交・郵送して対応した経験から、書面に限定する制度は、現実的なものとは思えない」といった声や、「社員に書面を配付する事務がもはや通常無いので、2条通知を書面で行うに当たり、確実に本人に到達させる方法の検討や到達実績の管理等に大変苦慮した」といった切実な訴えが紹介されています。
会社分割を行った企業の担当者から直接伺ったお話でも、コロナ禍でロックダウンを実施した都市で働く海外赴任者に2条通知を郵送しなければならず苦慮したというお話や、配達証明の費用や封筒代、資料の封入などの業務委託を含めた書面手続に1,000万円近くの費用を要したというお話をお聞きしまして、とても驚いたところです。
通知や異議申出の電子化が可能となれば、紛失した際の再送が容易に行えるようになりますし、受け取った電子データは印刷することもできます。さらに、対象者との電子メールのやり取りに社内の関係者を含めることで、通知が到達した事実や労働者から異議申出があった事実を容易に共有することができるようになるなど、様々なメリットが見込まれます。厚生労働省におかれましては、ヒアリングで寄せられた企業労務担当者の声を真摯に受け止め、電子化を選択できる形に制度を見直していただきますようお願い申し上げます。
私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、田中委員、お願いいたします。
○田中委員 田中でございます。先ほども御発言がありましたけれども、私からも物流の革新の関係で一言発言させてください。
2024年問題につきましては、業界を挙げて対応できるよう取り組んでいるところでございます。その中で、荷待ち・手待ちの問題、それから、契約外作業、再配達問題などは物流事業者のみではなかなか解決できない、解決が難しい問題であるところです。そのため、荷主、一般消費者など、関係者全体で解決していくことを強調した物流革新に向けた政策パッケージを早期に実現することが重要であると考えています。
また、物流の担い手の賃金水準向上に向けて、運賃の適正収受、それから、価格転嫁を進める対策は人材確保の観点からも非常に重要なポイントであると考えています。ぜひ、関係省庁が連携し、荷主に対する一層の働きかけをお願いしたいところです。
加えて、物流負荷を軽減するには、例えば小ロット、短期納期を当たり前とするような、荷主、消費者の意識や行動を変えてもらうことが必要になってまいります。厚労省におかれましても、荷主に対する自動車運転の改善基準告示の周知なども行っていただいている中ですが、制度周知に加えて、このままでは我が国の物流システムの維持が難しくなるという危機感を、荷主、一般消費者にも共有していただきたいと考えております。
私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 ありがとうございます。私から、引き続きまして、17ページの労働契約承継法の通知電子化検討という部分について意見を申し上げたいと思います。
率直に申し上げまして、日々進歩しております情報通信技術を利用しまして、新製品やサービスの創出、あるいは日々の業務改革を進めている我々のような民間企業の立場からいたしますと、いまだに法律で書面に限定する手続が存在すること自体に驚きを感じております。技術革新の進展や経済社会の変化の中で、規制や制度を絶えず見直してアップデートしていくことは極めて重要なことであろうと思います。
一方で、もちろん、規制の見直しに当たっては、法の趣旨が担保されることや、先ほど来、御説明のございました労使ヒアリングの概況報告に記載されているような労働組合担当者の方々の不安や懸念が払拭されることが前提になろうと思います。厚生労働省の皆様には、通知や異議申出を電子化した場合でも書面の手続と同水準の労働者保護を図ることに留意しつつ、早期の見直しを進めていただきますよう、この場を借りてお願いさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、兵藤委員、お願いいたします。
○兵藤委員 兵藤でございます。御指名ありがとうございます。私からは、13ページの規制改革実施計画の「(5)在宅勤務手当を『割増賃金の基礎となる賃金』から除外できる場合の明確化」について御意見申し上げたいと思います。
コロナ禍でテレワークが普及し、在宅勤務手当を払う会社が増加しています。今回、この規制改革実施計画において、在宅勤務手当の普及につながる事項が記載されたことにつきましては時宜にかなったものと思っております。
現行法の解釈では、この在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外するには、国税庁のFAQに示された方法に基づいて実費を厳密に計算する必要があります。しかしながら、これは企業が在宅勤務を行う全社員について、それぞれそれらを把握する必要があるもので、現実的ではございません。例えばマイカー通勤手当などは会社が独自に単価を設定することが認められておりますように、在宅勤務手当について割増賃金の算定基礎から除外できる基準を検討される際には、ぜひ企業が実務的に計算しやすくなり取り扱いやすい方向にしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
これらについて、今後、在宅勤務手当が活用しやすくなり、大きな企業に広がっていくようなことを期待して御意見を申し上げさせていただきました。
以上でございます。ありがとうございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
続いて、再度、鈴木委員から手が挙がっております。お願いします。
○鈴木委員 再度の御指名ありがとうございます。19ページにあります「電子申請利用率向上に向けた取組」について一言申し上げます。
電子申請の活用により、業務効率化、生産性向上、さらには多様な働き方の促進といった様々な効果が期待できると思います。経団連の会員企業からは、これまで出社して各種必要書類を準備の上、印刷、届出を行っていたが、電子申請の活用によりそれらの作業をする必要がなくなったとか、届出事務の担当者が在宅勤務の場合でも手続が可能となり、多様な働き方の促進につながったといった好評を得ております。また、本社一括届出の効果も大変大きく、例えばこれまで全国45か所の事業所の担当部門が個々に対応していた業務を全社で行うことで効率化につながったといった声も聞いております。
厚生労働省におかれましては、これまでも36協定届の電子申請様式のエラーチェック機能の拡充や、一年単位の変形労働時間制の協定届に関する本社一括届出の導入など、電子申請の利用率向上に向けて取り組まれていると承知しております。改めて感謝申し上げるとともに、引き続き、e-Govの使い勝手の改善や本社一括届の対象手続の一層の拡充など、行政手続の利便性向上に御尽力いただきますようお願いいたします。
私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
大崎委員、どうぞ。
○大崎委員 私からは、17ページの規制改革実施計画の労働契約承継法の通知電子化検討についてです。
先ほど、鈴木委員、鬼村委員からもございましたけれども、会社分割の法手続として、労働者の理解・協力を得る努力、いわゆる7条措置とか、労働者との協議、いわゆる5条協議が義務づけられております。この趣旨は、労働者保護のため、労働者一人一人への十分な説明・協議が不可欠であるというものです。この点は、労働者・労働組合への2条通知においても非常に重要であると考えております。
さらに、労働者からの異議の申出については、労働契約や労働条件に大きな影響を及ぼす重大な手続であると考えています。
18ページに労使のヒアリング結果につきまして先ほど説明いただきましたけれども、組合の担当者からも「労使間で理解・納得を得るための丁寧な説明が必要」といった意見があり、企業労務担当者からも「異議申出には個々の労働者の熟慮と判断が伴うので、この点を慎重に踏まえた上で検討が必要」といった意見が出されております。
こういったことを踏まえると、企業実務の効率化という観点で電子化を検討するのではなくて、労働者一人一人への確実な通知と実質的なコミュニケーションを担保することが不可欠であり、その点を踏まえた検討が重要と考えております。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、様々な御意見をいただきましたけれども、何か事務局から御説明いただくことはございますか。
では、お願いします。
○総務課長 総務課でございます。
冒頭、東矢委員から、資料2の3ページ、「骨太の方針」について御指摘いただきました。雇用の安定など、この三位一体改革、省内、様々な部局、様々な政策が関係する取組かと思います。御指摘も踏まえながら、よく省内連携をしていきたいと考えております。
また、インターバル、それから、兼業・副業についても御指摘いただきました。インターバルも、別の局と連携しながら取り組んでいる取組です。私どもも助成金を所管しておりますが、別の部局でも業種別のマニュアルなどもつくりながら周知に取り組んでおります。こちらもよく連携していきたいと思います。兼業・副業につきましても、労使の中で円滑に活用いただけるように、ガイドラインについて、引き続き、周知に取り組んでいきたいと考えております。
総務課は以上でございます。
○荒木分科会長 続けてお願いします。
○労働条件政策課長 労働条件政策課からは、時間外労働の上限規制が猶予されている業種に関しまして複数の委員からお話のありましたことについてお答えを申し上げます。
物流、それから、建設業につきまして、また、医師等も含めてでございますが、4つの業種が、現在、来年4月の施行に向けて、私ども、丁寧な周知と助成金の活用などを通じて、円滑な施行に向けて取り組んでいるところでございます。
高速道路の制限速度の引上げにつきましては、現在、警察庁で検討がなされているものと承知しておりますが、厚生労働省としましては、見直し後の改善基準告示や交通労働災害防止のガイドラインについての周知指導の徹底が引き続き重要であると考えております。
また、再来年の大阪万博の会場も含めて、建設業の時間外労働の上限規制の在り方については、私どもとしては円滑に現在の規定を施行することが重要であると考えております。
建設業及び自動車運転者につきまして、先ほど来、委員の方々の御発言もございましたが、国土交通省と連携しまして、発注者の方々に対する適正な工期での契約締結の呼びかけ、国民に向けて再配達の削減、あるいは荷主の方々に対しての荷待ちとか契約外作業に関するお願いについて、私ども労働基準監督署なども荷主に対しての御要請など取り組ませていただいておりますし、国民一般の方々に向けましてもPRの動画などを作成して、働き方改革実現に向けた機運醸成を図っているところでございます。引き続き、来年4月の円滑な施行に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○荒木分科会長 事務局からはほかにはよろしいでしょうか。
よろしければ、ほかの委員から議題2について補足的な御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議題2については以上といたします。
議題3に移りますので、ここでまた説明者の交代のために、しばしお待ちください。
(説明者交代)
○荒木分科会長 それでは、議題3「その他」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 資料3「国立健康危機管理研究機構法及び国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(報告)」という資料を御覧ください。こちらにつきましては、今年2月の労働条件分科会におきまして、法案を提出する予定であることを御報告させていただきました。国立健康危機管理研究機構の設立に関する法律案が先の通常国会で成立いたしましたので、本日御報告するものでございます。
1ページを御覧ください。通常の企業等の労働者の場合につきましては、有期労働契約が更新により5年を超えた場合につきましては、労働者の申込みによりまして、無期転換をすることができる制度がございます。こちらにつきまして、大学等、研究開発法人等の研究者等につきましては「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」によりまして、無期転換の申込みができるまでの期間を通算10年とする特例が定められているところでございます。
2ページ目を御覧ください。国立健康危機管理研究機構を設置するための関連する法律といたしまして、国立健康危機管理研究機構法が先の通常国会で成立したものでございます。
3ページ目につきましては、この法律の施行に伴う関係する法律の整備に関する法律も併せて成立しておりまして、この「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」の特例の関係につきましては、3ページの「4 その他所要の規定の整備」で改正が行われているものでございます。
4ページを御覧ください。無期転換ルールとの関係で申し上げますと、国立健康危機管理研究機構につきましては、左側の試験研究機関等でございます国立感染症研究所と、右側の研究開発法人であります国立国際医療研究センター、この2つのものを統合するもので、下に書いてございますけれども、国立健康危機管理研究機構といいますのは「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」の研究開発法人として規定されているということで、無期転換ルールの特例の対象となっているものでございます。
5ページ目、6ページ目は条文の抜粋ですので説明を省略いたしまして、7ページを御覧ください。「研究者等のキャリアパス支援や雇用の安定化に関する取組」でございます。今回の法案によりまして設立されます国立健康危機管理研究機構に限らず、研究者全般のキャリアパス支援や雇用の安定化に関して取り組んでおります政府の状況を御報告するものでございます。
上の段で、研究者が安心して研究に専念できる環境を整備するための取組といたしまして、ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドラインを作成いたしまして、ガイドラインに基づく取組の推進などを行っているものでございます。
真ん中辺りからですけれども、大学等及び研究開発法人の研究者、教員等に関する労働契約法の特例に関します対応といたしましては、特例の適用に当たりまして留意すべき事項を各機関に対しまして依頼をさせていただくとともに、研究者等の雇用状況の改善に向けた取組事例を周知して取組を促してきている状況でございます。
引き続き、文部科学省を中心といたします関係省庁と連携いたしまして、特例制度の周知や雇用管理の適切な対応がなされるように取り組んでまいりたいと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等があればお願いいたします。
櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 御説明ありがとうございました。私から2点ほど申し上げたいと思います。
前回の議論の際には、事務局から、特例制度の周知、安定的な研究環境の確保、雇用管理の適切な対応がなされるよう取り組む旨の説明があったと承知しております。有期契約で働く研究者等の雇用の安定が図られ、安心して研究活動等に取り組めるよう、引き続き、科技・イノベ法を所管する文部科学省をはじめとしまして、関係省庁と連携して継続的な取組を進めていただきたいと思います。
また、科技・イノベ法の附則には、施行状況等を勘案して、教員等の雇用の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じることが規定されていることを踏まえれば、今後の無期転換ルールの特例全体における施行状況を継続的に把握していただくとともに、見直しの際には労働政策審議会でしっかりと議論を行っていただきたいということについては強く申し上げておきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
オンラインからも特段御意見等はよろしいでしょうか。
それでは、ほかに特段御意見がないということでありましたら、第3の議題についても以上とさせていただきます。
本日の議事はここまでとなります。
最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。
次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 本日は以上といたします。お忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございました。