第11回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和5年3月23日(木) 16:00~18:00

場所

厚生労働省仮設第3会議室(Web会議併用)

出席者

出席委員(五十音順)

(会議室)
(Web会議)

※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

厚生労働省
(会議室)
  • 浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
大臣官房厚生科学課
  • 伯野 春彦(厚生科学課長)
  • 安濟 崇(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
  • 藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
健康局
  • 坂井 寛毅(予防接種担当参事官室長補佐)
  • 小畠 啓史(予防接種担当参事官室長補佐)
医薬・生活衛生局
  • 松倉 裕二(医薬品審査管理課長補佐)
  • 浦 克彰(医薬安全対策課長補佐)
  • 木下 裕貴(医薬安全対策課主査) 他
国立医薬品食品衛生研究所
(会議室)
  • 斎藤 嘉朗(医薬安全科学部長)
  • 青木 良子(医薬安全科学部主任研究官)

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  2. 2.医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査について
  3. 3.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  4. 4.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 ただいまより、第11回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、ウェブ開催としておりまして、磯部委員長を除く他の委員には、厚生労働省外から参加いただいております。
 また、傍聴に関しましてはYouTubeでライブ配信を行っております。事務局や担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくり、はっきり御発言いただきますようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきます。一方で、通信環境が悪くなった場合は通信負荷軽減の観点から資料の投映を中断し、音声配信を優先する等の対応を取ることがありますので御了承願います。
 それでは、以後の議事進行は、磯部委員長にお願いします。
○磯部委員長 本日もよろしくお願いします。
 最初に事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。
 また、利益相反の取扱い規程に基づいて、各委員の申告内容の報告をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 まず、委員の出席状況をお知らせいたします。本日は、戸部委員から御欠席の連絡をいただいております。また、小風委員は、所用のため途中から御出席されるとの御連絡を受けております。
 現時点で9名中7名の委員に御出席いただいておりますので、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 続いて、利益相反について御報告いたします。まずは、利益相反の取扱い規程に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告ですが、本日は議題1の「委員の求めに応じた個別事項の対応」で、個別の医薬品の議論を行う可能性があることから、関連企業からの寄附金等の受取り状況についてあらかじめ申告をいただいております。
 各委員の申告書につきましては、今回の監視委員会の資料と併せて、厚生労働省のウェブサイトに掲載されておりますので、詳細はそちらを御確認くださいますようお願いいたします。
 事務局にて、規程の基準への該当性を確認いたしましたところ、奥田委員におかれましては、塩野義製薬株式会社からの寄附金・契約金等の受取実績から、個別の議題のうち、新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」に関して、御意見をいただくことは可能ですが、仮に何らかの議決を行う場合には、当該議決に加わることはできません。資料2以外の議論では、御意見をいただくことも、議決への参加も可能です。
 その他の委員におかれましては、全ての議論にて御意見いただくことも、議決へ参加することも可能です。
 また、規程に基づき申請資料作成関与者等の確認も行っておりますが、該当する委員はいらっしゃいませんでしたので、併せて御報告いたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは議事に入りたいと思います。
 今、画面に投映されているように、本日の議題は、1つ目、委員の求めに応じた個別事項への対応として、HPVワクチン接種と新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」について。
 2つ目、医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査。
 3つ目に、医薬・生活衛生局からの定期報告に関して取り扱うこととしています。
 今回も厚生労働省からの御説明は、簡素化するなど、効率的に進めようと思いますので、また、先ほどは、できるだけゆっくり、はっきりとお願いしたのと矛盾するようで、いろいろ注文が多くて申し訳ないのですけれども、御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題1「委員の求めに応じた個別事項への対応」として、まずはHPVワクチンについてです。
 この委員会では、これまでにも議題として取り上げており、直近では令和4年9月に、HPVワクチンの接種後の症状に寄り添った支援や、安全性評価の状況等について説明をいただきました。
 今回、HPVワクチンに関しては、泉委員から副反応疑い報告に関する取扱い、また、関連して、副反応による健康被害への対応について取り扱ってほしいとの御要望がありましたので、医薬・生活衛生局医薬安全対策課、そして、健康局予防接種担当参事官室から、それぞれ順に御説明をお願いいたします。
 それでは、まず、医薬局、よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課主査 お願いします。医薬・生活衛生局でございます。
 ワクチン接種後の副反応が疑われる症状につきましては、副反応疑い報告制度により、予防接種法及び薬機法に基づき、医療機関及び製造販売業者から情報を収集しております。
 今回、HPVワクチンについて議題となっておりますが、HPVワクチンに限らず、MRワクチンなど、ほかのワクチンについても、同様に情報収集を行い、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同開催において報告され、安全性の評価がなされているところです。
 医療機関と製造販売業者の両方から報告があると申し上げましたが、薬機法上、製造販売業者からの報告については、重篤とされた症例が報告対象となっています。
 一方、医療機関からの報告については、予防接種法に基づき、報告書に症状の重篤性について記載の上、報告されます。
 審議会においては、医療機関及び製造販売業者それぞれに報告しておりますが、製造販売業者と医療機関の両方から同じ症例について報告があった場合については、部会資料上、重複してカウントすることが極力ないように、医療機関の報告に集約する作業を行っており、これが名寄せの作業になります。
 なお、HPVワクチンの積極的勧奨の再開直後の6か月間においては、HPVワクチンの安全性についてスピードを上げて評価を行うために、毎月審議することとされており、その期間の名寄せの作業につきましては、令和4年1月21日の合同部会における審議結果に基づき、評価の迅速性を重視して、医療報告と製造販売業者報告との名寄せ作業は実施せず、両報告の報告内容をそれぞれ集計しておりました。
 現在は、通常の頻度に戻すこととなり、その間、名寄せを行っていなかったものも含めて、名寄せ作業を再開しているところになります。
 また、外部より御指摘等をいただいておりますが、この名寄せ作業において、累計欄における内訳についてですが、HPVワクチンについては、製造販売業者ではなく、医療機関の評価を基に重篤度を振り分けております。
 製造販売業者が重篤相当として報告した場合であっても、医療機関が重篤でないと評価した症例については、重篤ではないものとして計上しております。
 この際の医療機関の重篤度については、製造販売業者からの追加調査により得た最新の時点における医療機関の評価に基づいたものとしております。
 製造販売業者からの報告については、特定の副反応の症状が、実際に起きている症状の重篤度にかかわらず、一律に重篤として報告される場合があることや、積極的勧奨の再開があり、被接種者数が大きく変動する中で、同じトレンドを見ていくために、過去の本部会での審議を踏まえ、より精緻に解析してきたところになります。
 具体的な数値については、資料1の2から5ページに令和5年1月20日の審議会で報告した資料をお示ししております。
 5ページ目のサーバリックスの3ポツ目で御説明させていただきますが、医療機関からの報告で、非重篤、重篤ではない報告1,052件のうち製造販売業者からも重複して報告されたものが424件となっております。
 つまり、これらの424件の症例について、製造販売業者と医療機関の両方から報告を受けたが、医療機関からは重篤ではないと評価されたものということになります。
 このようにHPVワクチンにおいては、名寄せ処理をする際には、製造販売業者からの追加調査により得た医療機関の評価を基に重篤度を振り分けており、その医療機関の評価についても、例えば、過去の症例で追加情報や、その後の経過から重篤性が変更になった部分がないか毎回確認しており、審議会ごとに最新の評価を反映することとしております。
 令和5年1月20日の審議会より名寄せの作業も再開しておりますが、令和4年8月5日の審議会や令和5年1月20日の審議会でも、改めて、この名寄せの処理について、委員の先生方に説明を行い、内訳も確認していただいた上で、報告傾向を見ていくことが重要であるとして、従前の方針で継続するようされたところであり、名寄せ処理に当たっては、引き続き、精緻に対応していきたいと考えております。
 医薬・生活衛生局からは、以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 続いて、健康局からお願いいたします。
○予防接種担当参事官室長補佐 引き続き、健康局でございます。
 予防接種健康被害制度について、御説明を差し上げます。
 HPVワクチン専門の制度ではないことから、制度一般について御説明申し上げます。
 まず、こちらの資料ですが、審査会の体制図になります。
 健康被害救済制度は、疾病・障害認定審査会の下にある感染症予防接種分科会、以下、分科会と呼ばせていただきますが、後ほど審査されることになります。
 また、その下部には、各種部会が位置づけられております。
 HPVワクチンに係る審査は、主に分科会で行われることになります。なお、部会に関しては、不支給決定処分を受けた方が、再審請求をされた場合などは、予防接種健康被害再審査部会で審査されます。
 新型コロナワクチンに関しては、分科会でも一部されますが、主に右下、新型コロナワクチン感染症予防接種健康被害審査第一・第二部会で審査されることになります。
 2枚目でございます。
 これは、制度概要です。予防接種の副反応による健康被害は、極めてまれでありますが、不可避的に生ずるものであることを踏まえ、接種に係る過失の有無にかかわらず、迅速に幅広く救済しております。
 HPVワクチンを含む、予防接種法に基づく予防接種を受けた方が、健康被害が生じた場合、この健康被害が接種を受けたことによるものであると、厚生労働大臣が認定したときは、救済されます。
 被害を受けた方や、その家族は、市町村へ申請を行い、都道府県を経由して厚生労働省へ進達され、認定に当たっては、専門家により構成される疾病・障害認定審査会において、予防接種と健康被害の因果関係に係る審査が行われ、最終的に市町村に、支給・不支給が伝えられることになります。
 続いての資料です。
 現在、定期接種対象ワクチンの一覧です。HPVワクチンは、A類疾病に分類されております。
 これらが、健康被害救済制度の対象となりますが、これに加え、新型コロナワクチンも含まれることになります。
 次をお願いします。
 こちらの資料が、申請区分と因果関係が認められた場合の支給額になります。
 HPVワクチンについては、A類疾病なので左側、なお、新型コロナワクチンについても左側の支給額となります。
 説明は、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ただいま、厚生労働省から、HPVワクチンの副反応疑い報告に関する整理の方法と、副反応による健康被害への対応の、2つの内容について説明がありました。どちらのテーマからでも構いませんので、御質問、御意見があれば、挙手などをしていただければと思います。
 佐藤さん、お願いします。その後、泉さんで。
○佐藤委員 佐藤です。
 まず、名寄せのことというか、重篤性の扱いのことなのですけれども、ほかのワクチンとHPVワクチンで、重篤性の扱いが違っているということのようなのですが、それは、今の御説明を伺うと、このまま直さないと受け取れたのですが、まず、そういう理解でよろしいですか。
○医薬安全対策課主査 医薬・生活衛生局でございます。
 名寄せの処理につきましては、御指摘のとおり他のワクチンと異なっており、今年の1月の合同部会において、委員の先生方のほうに改めて説明をさせていただいたところで、その中で、ほかのワクチンなど、報告を見ていくことが重要とされておりまして、現段階は、その処理について継続するよう審議を経て、今後も同じように精緻に対応していきたいと考えております。
○佐藤委員 その重篤性の判断は、製薬企業が出してきたものを優先するということで、どちらかというと、その場合に非重篤になっているものが多いがゆえに、本来、重篤と報告されたものが非重篤として扱われているということが、ずっと批判されてきたわけですね。それが、ほかのワクチンでは、そうではないのに、このHPVワクチンだけが、そのように扱われているということに関して、被害を受けた方々にとっては、何か意図的に数字を操作しているかのように受け取られるということがあるかと思うのですけれども、その辺りについては、やはり、そのように受け取られても仕方ないのだろうなと、私からは見えるということだけ、意見として申し上げておきます。
 以上です。
○磯部委員長 意見ということでしたけれども、何でHPVとそれ以外で扱いが違わなければいけないのですかという点は、資料で御説明があったかもしれませんが、私もよく理解できないので、改めてお願いします。
○医薬安全対策課長補佐 もう一度改めまして、医薬・生活衛生局から、この取扱いについて御説明をさせていただきます。
 先ほどと繰り返しになる部分もございますけれども、まず、製薬企業からの報告につきましては、医薬品医療機器等法に基づきまして、重篤症例が報告されるという形になります。
 この際に、製薬企業によっては、特定の副作用、副反応については、その副作用の用語に沿って、その用語に該当する場合には、全て当局に報告をすると、厳密な重篤性を考慮せずとも、その副作用の用語に該当した場合には、一律に報告対象とする運用も一部でなされているというところでございます。
 これは、特に報告をするか、しないかの違いに影響するものですので、そのような運用が行われているということかと、我々としては理解しているところでございます。
 他方で、医療機関からの報告については、非重篤なものも報告される場合があるということで、重篤、非重篤それぞれ該当性をチェックした上で報告をしていただけるという形になっています。
 先ほど申し上げましたように、こうした状況に鑑みて、医療機関の報告というのを重視して、重篤、非重篤の分類をするというのは、一つ合理的な部分もあるのかなというところ。
 それから、先ほど御説明しましたように、過去からの継続性の観点で、ここで変えてしまうと、なかなか難しいところもございますので、そうした観点で、これまでの取扱いを継続していこうということを、審議会の合同部会のほうでも御説明させていただきまして、御了解をいただいていると、そのような形になります。
○佐藤委員 問題は、要するに、ほかのワクチンとHPVワクチンの取扱い方が異なっていて、それを今回も、このまま異なったままで行くという、そのことが問題であるということですね。
 本来、どちらでやるべきかというのは、また別途、議論すべきことだろうと思いますけれども、やはり、HPVワクチンのみ違う取扱いをしてきていて、結果的に重篤の数が少なくなっている、ほかのワクチンの基準からすると、少なくなるような算定のされ方がされているということが、やはり、被害を受けた方々からは、疑念の目で見られているということだろうということです。
 ですから、この点は、きちんと指摘しておきたいということでございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 先ほどおっしゃった、医療機関からはチェックして、メーカーからは、あまり考えずに来るという、それは、ほかのワクチンも同じではないのですか、HPVについてだけ、そういうことなのですか。
○医薬安全対策課長補佐 企業さんによって、若干取扱いが異なる部分はあるかと思いますけれども、基本的には、特定のワクチンだけということではないかと思います。
 要するに、HPVワクチン以外のものについても、そういった取扱いがなされているケースもあるということになります。
○磯部委員長 ですので、佐藤先生からの疑問が生じるということなのだろうと思いますが、まず、泉さん、その後、花井さんでよろしいですか、花井さんは、今の点に関連しますか。
○花井委員 比較的関連しますけれども、よろしいですか。
○磯部委員長 では、お願いします。
○花井委員 今、どちらを優先するかというのは、別の論点という議論がございましたけれども、薬事の場合、添付文書の中で重篤な副作用と、それ以外の副作用が分かれているわけですね。
 それで、重篤の中に入っていない副作用であっても、それが重篤だったら重篤症例として報告するのですかね、もしくは逆に、重篤な副作用なのだけれども、臨床上重篤ではないものは重篤で報告しないとか、重篤な副作用に入っていれば、臨床上重篤でなくても重篤にするとか、その辺の基準がどうも分かりにくいから、今みたいなそごが生じるのではないかと。
 一般論として考えれば、患者さんの重篤性を一番分かるのは主治医なので、医師がこれは重いと考えたものは重いと考えるのが、合理的なはずなのですけれども、そこに薬事のそごがあるのであれば、そこの基準について決まっていない、メーカーによって違うということが、今、説明がありましたけれども、それはちょっと困るのではないかと思うのですけれども、その辺のことは基準として、PMDAなりが示してはいないのでしょうか。
○磯部委員長 お願いします。
○医薬安全対策課長補佐 医薬品医療機器等法上、製薬企業が報告すべきものというのは決まっております。それを基に各製薬企業では判断されているということで承知をしておるところでございます。
 また、個別の患者さんに起こった副反応について、恐らく副反応が起こったから、それが全て重篤だということではなくて、起こった事象ごとに重篤性というのは、それぞれ医学的に判断されるものと理解しているところでございます。
○花井委員 何となく分かったような、分からないような説明なのですが、私の意見としては、やはり臨床における個別症例に対して、一番知見のあるはずの主治医の報告と、それから、今言った薬機法上の症例に基づいた報告というものの整合性というのは、今後もう少し検討するべきではないかと。
 私の個人的な意見としては、とりあえず重篤なものはどっちでも、つまり多いほうで、保守的に拾うべきではないかとは思います。すなわち重篤なのか、軽いのか、それは分からないけれども、どちらかが重篤と言っていれば、それは重篤として拾っていくというのが、安全に対して保守的にやろうと思えば、そうすべきと、意見としては考えますので、何らかそういう方向の制度改革ができればよいと思います。
 以上です。
○医薬安全対策課長補佐 ありがとうございます。御意見として受け止めさせていただきたいと思いますが、今回の重篤、非重篤の扱いに関しては、提出するときに、非重篤、重篤として取り扱う際のことを説明しているものでありまして、仮に製薬企業が重篤として報告してきている、医療機関の方から非重篤となっているというものであっても、それはそれとしてきちんと我々としては受け止めて、安全対策につなげていくという方針については変わりありませんので、あくまでカウントアップするときの取扱いについて、医療機関の非重篤であるということを優先にさせていただくというか、そちらを重視して取り扱わせていただいたものだということで御理解いただければと思います。
○花井委員 なるほど、今の説明だと、やはりワクチンでよく言われるように、ある種のデータの見せ方がレトリックとして、データ自体にバイアスはなくても、やはりレトリックとして見せ方が出てしまうと疑念を持たれるというところの要因は、やはりそこにあるのですね。
 だから、では、何のためにそれを公開しているのかという問題になって、国民にどのような数字を見せるのが一番適切かという議論になるので、ちょっとサイエンスというよりも、やはり政策判断を感じてしまうというのが感想ですけれども、なるべく政策判断という疑念を持たれずに、科学的事実は科学的事実して国民に広く出すというような思想を徹底していただければ幸いです。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 疑わしきは安全なほうに、そのようにイメージすることは大事なのかなと思いますけれども、泉さんは、いかがですか。
○泉委員 ありがとうございます。
 整合性ある名寄せの仕方によって、今、厚生労働省が説明されましたけれども、その説明の中に、ほかにもそういったワクチンもしくは薬があるという言葉を発しました。
 ほかにはどんなワクチンが、これと同じように製薬販売業者からの報告を取って、厚生労働省が重篤性としているか。それが、今、まさにほかにもあると聞いたので、まず、それを教えてください。
○医薬安全対策課主査 ありがとうございます。
 このHPVワクチンの取扱いにしているものが、ほかにあるのかという質問と受け止めました。
 先ほど申し上げたような仕方をしているのは、HPVワクチンに特有のものですので、HPVワクチンについてのみの取扱いとしているところになります。
○泉委員 そうすると、ほかにもあるとおっしゃったけれども、ほかにはなくて、このHPVワクチンのみ、こういう取り方をしていると、こういうことですか。
○医薬安全対策課長補佐 御質問ありがとうございます。医薬・生活衛生局でございます。
 今、泉委員から御指摘をいただいたのは、製薬企業が規制当局に報告する際に、HPVワクチン以外にも同様の取扱いをしているのかと理解したところでございます。
 これに関しましては、我々受け取る側としては、あくまで省令の規定にのっとって報告を受けるという立場ですので、製薬企業側は、厳密にどのようにしているかというところを正確に把握しているものではございません。
 ただ、HPVワクチンについてそうした事例があると、さらにHPVワクチンだけに限ったものではないということをお聞きしたというところでございまして、具体的に全てのもので、どのような形でやられているかということを、つまびらかに我々が把握しているものではないということで御理解いただけますと幸いです。
○泉委員 ですから、HPVは、こういう報告のされ方をしているけれども、ほかにもあるとしたら、それは幾つもあるのですか、それとも分かる限りでいいのですが、そういうものはすぐ出せないのですか。
○医薬安全対策課長補佐 企業側がどのようにしているかということになりますので、我々で把握するのは限界があるというところでございます。
○泉委員 そうしたら、先ほどのほかにもあるという言葉は、削除すべきではないですか。ほかにもあるというのは、分かって厚生労働省が言っているのではなくて、分からなくて言っているということになりませんか。
○医薬安全対策課長補佐 我々が聞いておりますのは、特定の有害事象、副作用、この名前に当てはまったものは、全て当局に報告しようという運用が、実態としては行われているというところで聞いているところでございます。
 ですので、例えば、アナフィラキシーというものが副作用、副反応として上がってきたときには、それは、当局に報告しようということで運用がなされているものだと理解しておりまして、それは、特定の医薬品、ワクチンに限るものではないということで聞いております。
○泉委員 ちょっと言葉が変わってきているのではないですか、先ほどの最初の説明では、佐藤先生がおっしゃられたときに、このワクチン、いわゆるHPVワクチンだけ、こういうような報告ではなくて、ほかにもありますとおっしゃったからは、私は、ほかにもあるとしたら、どんなものがあるのですかとお伺いしたけれども、それは、お答えにならないし、なれないしということであれば、どうしてそういうように、ほかにもあるということが言えるのでしょうか。ですから、何でもいいですから、端的にお示しくださればいいと思うのですが。
○医薬安全対策課長補佐 私が最初に御説明した言い方と、今、御説明した言い方が少し違っているので、混乱を招いてしまったのかなと思いまして、言い直しますと、直近に御説明いたしましたように、会社によってそれぞれ考え方は違うかもしれませんけれども、ある会社によっては、特定の副作用に該当したものについては全て報告をするというような運用を行っている実態があるというように聞いているところでございます。
○泉委員 それはおかしいですね、薬事行政において、ある会社が勝手にこういうものは報告しない、報告すると決めるものではなくて、薬機法があるのですから、当然、データの見方によっては若干違うかもしれませんけれども、サイエンス的に決められたものに関しては全部報告する、これが正しいのではないでしょうか。
○医薬安全対策課長補佐 ありがとうございます。
 今の御指摘を現実に当てはめますと、我々としては、重篤以外のものも、当局に報告をされていると理解しておりまして、むしろ少し広く製薬企業からは報告を受けているのではないかと理解しているところでございます。
 それは企業としては、あくまで省令に基づけば重篤として、形式的には当てはまるとして報告をしてきているものということにはなりますけれども、我々としては、少し広く報告を受けているという立場からすれば、そこまでおかしなものではないのかなと思うところもございます。
○泉委員 私からは、花井さんが言われたのかな、非重篤であると報告を受けたもので、そういう判断をされたものであっても、その中に潜む重篤性というものは、やはり確認していかなければいけないと思いますので、決して、このHPVに関しては、積極勧奨を始めた厚生労働省の責任として、この中身をしっかりと精査して判断するという立場を、今後、取っていただければと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今の点に関連してですが、佐藤さん。
○佐藤委員 佐藤ですけれども、今の泉委員の御質問に関連してなのですけれども、今の厚労省のお答えを私なりに解釈すると、つまり、その医薬品にしろ、ワクチンにしろ、副作用の疑い症例があったときに、それを重篤とするか、しないかというのは、一応基準はあるわけですけれども、ただ、その基準に沿って重篤として報告するか、しかないかは、専ら製薬企業の判断によると。その判断の仕方が、製薬企業によって少しずつ異なるのではないかということです。
 そして、医療機関から同じ患者さんの症例について、医療機関からは重篤と報告されたけれども、製薬企業からは、重篤ではないとされたもの、違いがあるときに、やはり、製薬企業のほうで、何か意図を持って、これは重篤ではないと扱おうと決められて、その結果、重篤の数が減っていると疑われても仕方がないだろうと。
 医療機関の医師の最終的な重篤性の判断を製薬企業のほうで聞き取って報告するという立て前にはなっていますけれども、それこそ、製薬企業のMRが医師のところに行って、先生、これは重篤ではないと思うのですけれども、いかかでしょうかと誘導することも、やろうと思えばできてしまうわけですね。
 そういう世界の中で、重篤であれば、30日以内に報告しなければいけない、この報告の期限が定まっているわけですけれども、重篤でなければ、重篤でなくて既知のものであれば、1年1回全部集計したものをまとめて報告すればいいだけなので、企業にとっても扱いが全く異なるわけですね。
 ですから、企業にとっては重篤であるかないかというのは、結構、報告の期限という点では、現場的には大きな違いを生むので、なるべく重篤にはしたくないというのが、企業の心理としてはあるのだろうなと想像されるわけです。
 ですから、そんなことも含めて、今のこのHPVワクチンの取扱いというのを考えたほうがいいだろうということになろうかと思います。
 すみません、意見というか、私なりの解釈を述べさせていただきました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○医薬安全対策課主査 ありがとうございます。
 先ほど、医療機関のほうが重篤と言っているけれども、企業としては非重篤にするというのは基本的にはなくて、基本的には、重篤とされた場合については、薬機法上重篤として製薬企業は報告してまいりますので、医療機関のほうが重篤として報告された場合については、基本的には、製薬企業のほうも重篤として報告されるものと承知しております。
 もし、医療機関のほうが重篤として報告した場合で、企業のほうは、重篤に当たらないとして報告があった場合についても、部会の資料上は、医療機関の重篤のほうにカウントしておりますので、医療機関の重篤だけを取って、非重篤として取り扱う形にはなっておりませんので、御理解をいただければと思います。
○佐藤委員 さっきの説明と逆のことを、今、おっしゃっていませんか。つまり、ほかのHPVワクチン以外のものについては、そのような取扱いをしているけれども、殊HPVワクチンについては逆なのですね。製薬企業が最終的に重篤でないと判断したものは、重篤のほうのカウントに入らないというのがHPVワクチンの独特の取扱いであると。それを今後も継続しますというのが、最初の御説明でしたね。
○医薬安全対策課主査 今回の重篤、非重篤の違いについて、まず、医療機関からの報告があって、製造販売業者からの報告があって、重複症例についての話になりまして、両方報告があった中で、医療機関の報告としては重篤となっていたと、そうだとしても、製造販売業者が追加調査をした際に、医療機関のほうとして重篤としたことを改めて確認して、その際に重篤、非重篤ということを改めて評価していただいて、その評価を基に重篤性を確認しているということになります。
 ですので、今回の名寄せの処理の問題につきましては、両方から報告を受けた症例の処理について対象となっております。
○佐藤委員 だから、両方から報告があったときに、最終的には、製造販売業者がドクターに重篤性を確認して、やはり重篤ではなかったとなったものは、重篤ではないと扱っているということですね。だから、そのときに、製薬会社による誘導的なことが働き得るということが懸念されるわけですよ、当然、そういうことを申し上げているということです。
○医薬安全対策課主査 失礼いたしました。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 花井さんは、いいですか。
○花井委員 本質的なところは、今、佐藤委員が議論してもらったので、ないのですけれども、ある種、見せ方問題というのは形式の話なので、要するに、今言っているのは、重複例をどっち取るかみたいな議論なので、重複例については、企業からはこうだったと、それにアスタリスクでも全部つけておけば、とりあえずは、見せ方としてはよいのではないかと思いました。どちらかに表示は分けられていても、結局、そういう重複で、こっちを取ったというものであるということが示されていれば、事実に関しては、一応、今言った本質的な議論は置いておくとすれば、見せ方としては、一応、ほかのワクチンと異なる取扱いについての差というのは、形式にはなくなるのかなというのは思うのですが、そうではないのですかね。それは、実質的に関係するのですかね。
○磯部委員長 いかがですか。
○医薬安全対策課長補佐 今の御質問は、なかなか難しかったところではあるのですけれども、我々としては、製薬販売業者から報告された件数というのは、常に合同部会の資料としてお出ししているというスタンスではおりますので、そういう意味では、企業が何件重篤として報告しているというのは、透明性を持ってきちんと提示していきたいと思っております。そうした形で、しっかりと資料の精査等もしながら進めてまいりたいという考えでおります。
○花井委員 そういうことですね。だから、公開データを突き合わせていれば、ちゃんとファクトについては分かるようになっているのですけれども、一般に出る数字がどうかというところで、やはり問題があるのかなという気がしたので、一義的に参照する公開文書については、ちょっと親切な加筆をすることによって、僕らみたいな、いろいろな文書をあちこち見て、事実はこうだったという人だけではないと思うので、もう少し分かりやすい国民への示し方というのはあるのかなという意見です。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 一つ一つの報告がどうだったのかということと、それが分かりやすく見えるようにということと、最初の御説明の名寄せのところは、資料があるとお話になった、私は理解できているかは、後で議事録を読み直さないと、ちょっと自信がないのですが、そういう意味でも分かりやすさということが求められるかなと思います。
 ありがとうございました。時間もあれですので、HPVワクチンに関する議論は、ここまでということで、ありがとうございました。
○佐藤委員 すみません、もう一つだけ、質問を事前にお出ししていたものがあるのですが。
○磯部委員長 では、手短にお願いします。
○佐藤委員 今度は、ワクチンの副反応による健康被害の認定のことなのですけれども、HPVワクチンに限らないのですが、予防接種健康被害救済制度での日程においては、実は、因果関係を厳密に問うものではないと認識しております。
 これは、厚労省のこれまでのいろいろな資料の中にも、この認定に当たっては、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするという方針で審査が行われていると記載されています。まず、この方針に変更がないかということを確認したいです。
 変更がないとして、それにもかかわらず、実際に予防接種健康被害救済が認定されるのは、非常にハードルが高いと報道されていますし、いろいろなところからも、実際にそういうことを耳にするのです。認定されないということもありますけれども、実際に認定されるまでに相当な時間を要する例も多いと聞いております。
 この迅速な認定を妨げている要因というのは何ですかということと、やはり改善策、具体的に早くきちんと認定されるための改善策をお示しいただきたいというのが、私の質問です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、まとめて泉さんのほうも、健康被害のほうを手短にお願いします。
○泉委員 泉からは、第69回の厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会の副反応の検討部会において、実は、HPVワクチンに関しては、課題と、その経緯の中で、課題2HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援についてというのを検討されていて、その報告書が上がっています。
 そして、端的に言えば、いわゆる支援の現状が、正しく動いているかどうかというのを、厚生労働省は、それを検討したことがあるだろうかということで、今、佐藤先生は、救済制度の話をされましたけれども、例えば、医療的な支援の充実と書いてあって、協力医療機関の医師向けの研修会を年1回程度開催しているということなのですが、これは本当に実施されているのか、そして、この被害に関しては、よく詐病扱いされるというのが、今でもあると聞いているので、そういうものをなくすためには、都道府県にちゃんとした生活面の支援の強化の中で、衛生部門というので約88自治体に、それを厚生労働省から指示しているということであれば、そういうものは、本当に稼働しているかどうかというアンケートを理解者と、それから都道府県両方から見て、その実態が本当に評価されているかどうかというのを検討してもらいたい、そのように思います。
 以上です。
○磯部委員長 今の寄り添った支援の話とかは、今日の健康被害救済の話と直接ではないと思うのですけれども、手短に、簡潔にお答えいただけますか。
○予防接種担当参事官室長補佐 ありがとうございます。健康局でございます。
 まず1点目ですが、認定に当たっては、厳密な医学的な因果関係などを必要とせず、接種後の症状が、予防接種によって起こることが否定できない場合も対象とするという考え方に変わりがないのかという点でございますが、従来と同様の考え方で審査を行っております。
 予防接種健康被害制度に係る申請については、健康被害を受けられた本人等が申請後、都道府県を経由して国へ進達され、その後、個々の事例ごとに専門家によって審査が行われますが、この審査に当たっては、医学的、科学的な知見を踏まえた上で、予防接種と健康被害の因果関係について審査を行う必要があります。
 さらに、申請者や医療機関等から提出された診療録等の資料のほうを詳細に確認する必要があるため、国に進達されてから審査を経て認定されるまで、通常半年から1年程度の時間は要することになります。
 御指摘の点を踏まえつつ、迅速な救済に努めてまいりたいと思っております。
○予防接種担当参事官室長補佐 引き続き、予防接種担当参事官室でございます。
 泉委員からの質問にお答えいたします。
 まず、勉強会に関しましてですけれども、こちらは年に1回開催させていただいておりまして、今年度におきましては、昨年の12月に行わせていただいております。
 あとは、衛生部門への指示に関してですが、こちらは、各都道府県で、それぞれ相談窓口を設置しておりまして、都道府県とのコミュニケーションとしては、各拠点病院を含めたミーティングを定期的に開催してコミュニケーションを取っているところでございます。
 私からは、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ということで、佐藤さん、何かありますか。
○佐藤委員 半年から1年で認定するかしないかの結果が通知されるのなら、そんなに時間がかかるとはならないので、実際は、もっとかかっているのだろうと思いますので、今日は時間がありませんが、また、改めて議論をさせていただければと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。HPVワクチンに関する議論は、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、資料の2に基づきまして、新型コロナウイルス感染症治療薬、ゾコーバについての御説明をいただくことにいたします。
 このテーマは、佐藤委員、泉委員から御要望をいただきました。この薬は、緊急承認制度が適用された初めての医薬品であり、また、催奇形性のリスクが懸念されていること、肝機能障害を持つ方への投与を主なポイントとして確認を行いたい、という御要望をいただいております。
 それでは、医薬・生活衛生局医薬品審査管理課、医薬安全対策課から説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課長補佐 医薬品審査管理課の松倉と申します。よろしくお願いいたします。
 ゾコーバにつきまして、まず、前半、医薬品審査管理課のほうから、承認をするまでの審議の経過について説明をさせていただきます。その後、安全対策課のほうより、リスク管理計画及び市販後の対応について、続けて説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、まず、資料2を御覧ください。
 ゾコーバについてということで、今、委員長から御説明いただいたとおり、緊急承認制度が適用された初めての医薬品となります。
 緊急承認制度自体につきましては、参考資料の3-1と3-2をおつけしております。こちらは、昨年9月のこの会議で説明をさせていただいたものですので、詳細は省かせていただきますが、この後のゾコーバの説明に特に関連するところを、かいつまんで説明をさせていただきます。
 参考資料3-1の4枚目を御覧いただけますでしょうか。「緊急承認制度における承認審査の考え方について(ガイドライン)(概要)」というスライドです。
 この中で制度のポイントを説明させていただきます。まず、左側「有効性・安全性の評価」ですけれども、緊急承認制度の一番のポイントの1つが、有効性について推定の段階で承認することができるということです。
 この推定というのが、具体的にはどういうことなのかというのを、その下に、治療薬とワクチンに分けて記載をしてございますが、今回は治療薬のほうを説明させていただきます。
 これも最終的にはケース・バイ・ケースの判断ですので、ここに書いたことが全てというわけではないのですが、典型的なものとして御理解をいただければと思います。
 読ませていただきます。まず、探索的な臨床試験において、臨床的意義の認められた評価指標により一定の有効性が示されている場合が想定されると、これが、有効性が推定される場合です。
 それで、探索的な臨床試験としては、通常、後期第Ⅱ相試験程度の臨床試験が該当するということで、一般的な医薬品であれば、第Ⅲ相の検証的臨床試験まで全て終わった上で有効性を評価するのですけれども、緊急承認においては、後期第Ⅱ相までの結果において、臨床的意義の認められた評価指標で一定の有効性が示されていれば、推定可能であるという考え方をしております。
 なお、3つ目は「外来因子であるウイルスをターゲットとする抗体医薬品などの場合は、日本人成績は必要でない場合がある」とありますが、これは、ゾコーバに当てはまりませんので、説明は割愛いたします。
 右側に行っていただきまして、適用の要件としては、緊急性の要件と代替性の要件がございます。
 緊急性の要件というのは「感染症のアウトブレイク」と書かせていただいておりますが、新型コロナのパンデミックが、まさに、それに当たると考えております。
 代替性の要件としては、既承認の薬がない、既承認の薬はあるが複数の治療選択肢が必要、また、供給が不十分な場合、既存の薬と比べて極めて高い有効性・安全性が見込まれることのいずれかに該当するという形で考え方を示しております。
 その下の「期限内の本承認申請の際の取扱い」ということで、緊急承認は、期限を定めて承認を与えるという制度になっておりまして、ゾコーバの場合には、具体的には1年という期限がついております。
 したがいまして、1年以内に改めて通常の承認を取得するための申請をしていただかなければ、期限の到来をもって、承認は失効するという立てつけとなっております。
 以上、簡単ですが、まず制度の説明をさせていただきました。
 それでは、資料2、本体のほうに戻りまして、順に説明をさせていただきます。
 まず、1番「承認までの主な経緯」ですけれども、令和4年、昨年の2月25日に塩野義製薬から、ゾコーバ錠の承認申請が出されました。ただし、この時点では、まだ緊急承認制度の法律が制定されておりませんでしたので、この時点では条件つき承認という枠組みで申請が出されております。
 その後、5月20日に医薬品医療機器法が改正されまして、緊急承認制度が創設をされました。これを受けまして、申請者のほうから緊急承認に切り換えて適用を希望されたという形になります。
 その後、6月22日と7月20日、それぞれ薬食審で御審議をいただきました。6月22日のほうは医薬品第二部会において、7月20日のほうは薬事分科会と医薬品第二部会の合同開催という形で2回開催をしています。
 これは、緊急承認という特殊な承認の形ですので、慎重に審議をするという観点から、このような2回審議を行うという形にさせていただきました。
 この2回の結論が7月20日の欄に記載をしておりますけれども、その時点で提出されているデータ、これは、臨床試験として第Ⅱb相、これは先ほど申し上げた後期第Ⅱ相試験に当たるものです。その試験の結果からは、有効性は推定されるとは判断できないことから、今後、現在実施中の第Ⅲ相臨床試験の結果等の提出を待って、改めて審議することとされました。つまり、この時点では、有効性は推定されないということで、承認は見送られたという形になります。
 その後、9月に企業のほうから第Ⅲ相試験の主要評価項目が達成されたということが発表されました。
 その後、11月22日に再度薬食審を開催いたしまして審議を行いました。この時点では、第Ⅲ相試験の速報が結果として追加提出されておりました。第Ⅲ相試験の患者の組入れ自体は既に終了しておりましたが、まだ試験全体の解析、主要評価項目以外の評価項目を含めた解析はまだ終わっていなくて、速報値という形でデータが提出され、それに基づいて審議を行ったものです。このときの結論として、有効性が推定され、緊急承認可と判断をされたということです。
 この点につきましても、もう少し詳しく、どういった有効性の評価を行ったのかということを御説明したいと思います。
 資料2の別添として審査報告書をつけております。
 別添が大部で、ページ数が多くて恐縮なのですが、右下に通し番号がついておりますので、そちらでページを特定させていただきたいと思います。
 それでは、まず、通し番号の58ページを御覧いただけますでしょうか。審査報告書の中の有効性の評価について記載した部分をご覧いただいております。今、画面に映っているところです。
 項目番号が7.1.2、第Ⅱb相パートということで、先ほど申し上げた後期第Ⅱ相試験の結果が書かれております。
 こちらの結果が、次のページに移っていただきまして、59ページの表35というところに結果のサマリーがまとめてございます。
 この試験は、プラセボを対象としまして、ゾコーバを投与された患者との比較を行っております。
 タイトル行の1行目を見ていただくと分かるように、本薬375/125mg群と750/250mg群ということで、高用量と低用量の2つの用量で試験を実施しております。
 主要評価項目が2つありまして、1つ目は、12症状の合計スコア、これは、新型コロナの臨床症状をスコア化して、それが薬を投与することによって、どれだけ差があるかというのを見ております。
 下半分が、もう一つの主要評価項目で、これは、ウイルス力価、つまり、薬を投与したことによって、体内のウイルス量がどれだけ減ったかというのを見ているものです。
 この結果ですけれども、まず、下半分のウイルス量、ウイルス力価のほうを見ていただくと、375/125mg群のところでプラセボ群との差が示されておりまして、有意にウイルスが減っているということが示されておりますので、これは、主要評価項目を達成したという評価になっております。
 一方で、上半分の臨床症状のほうですけれども、こちらは、プラセボ群と比較をして、-0.24というスコアが出ておりますが、一応スコアは改善している、数字が小さくなったほうが症状が弱まっているということですので、改善の傾向は見られるのですが、有意な差にはなっていないという結果です。
 先ほど申し上げた6月と7月の審議のときには、この結果までしかありませんでしたので、これに基づいて評価を行いました。
 評価結果としては、ウイルス量の低下は認められるものの、臨床症状の改善が示されていないということで、最終的な判断として有効性は推定できないという結論となっております。
 続きまして、審査報告書の通し番号でいうと、92ページをお願いいたします。
 92ページの「4.1.1 第Ⅲ相パート<2022年8月データカットオフ、速報値>」というものです。
 これが追加で提出された第Ⅲ相試験の速報値になっておりまして、94ページのほうに結果が出ております。
 表5というところですけれども、こちらもプラセボと比較して、低用量と高用量で比較をしております。最終的に承認されたのは、低用量375/125mgのほうですので、そちらだけを御覧いただければと思います。
 こちらの臨床症状なのですけれども、先ほど12症状でしたが、その中でも特にオミクロン株によって起きやすい症状を5つ選びまして、それを主要評価項目としております。
 この表を見ていただきますと、低用量群のほうで、5症状が回復するまでの時間の中央値というところを見ていただきますと、低用量群で167.9時間、右端のプラセボ群が192.2時間ということで、かつ有意に、回復までの期間が短くなっているということで、結果が示されております。
 なお、この表には、ウイルスの量のほうは出ておりませんが、ウイルス量についても、副次評価項目として評価しておりまして、こちらもウイルスは有意に減っているという結果が示されております。
 ということで、11月にこの結果を審議した結果としましては、ウイルス量の減少に加えて、臨床症状についても改善が認められるということで、有効性が推定可能であると評価をいただいております。
 最後に、安全性についても簡単に説明をさせていただきます。
 104ページを御覧いただけますでしょうか。
 104ページに、安全性評価のサマリーが記載されております。下3分の1ぐらいの「以上の検討」というところから簡単に説明をさせていただきますと、以上の検討及び国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験の有害事象の発現状況を踏まえると、SARS-CoV-2による感染症の患者における本薬の安全性に大きな懸念は認められておらず、全体集団及び日本人部分集団で発現割合の高い主な有害事象は高比重リポ蛋白減少であったことから、忍容性は許容可能と考える。
 少し飛びまして、ポツが2つついているところですけれども、非臨床試験において胎児に奇形を示唆する所見が認められており、これは、具体的にはウサギの試験において、骨格の奇形が認められております。本薬は潜在的な催奇形性リスクを有すること等を踏まえ、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対する本剤の投与は禁忌とするという形になっております。
 2つ目のポツですが、本薬はCYP3Aの阻害作用を有する等、他の薬剤との相互作用が生じる可能性があることから、適切に注意喚起を行う。
 このゾコーバは、肝臓のCYP3Aという代謝酵素で分解されますが、ほかにも同じ酵素で分解される薬を一緒に飲んでいた場合、互いに競合しまして、血中濃度が著しく高まってしまう、そういった可能性がありますので、CYP3Aで分解される薬については、併用を禁忌という形となっております。
 以上、安全性を簡単に御説明させていただきました。
 全体の評価としましては、有効性が推定され、安全性も許容範囲内であるということで、緊急承認をお認めいただいたところです。
 資料2の最初の1ページに戻っていただきまして、ごく簡単に説明させていただきます。
 2番の「基本的な情報」のところですが、今の説明の中で大分触れたつもりですけれども、特に1点申し上げますと「効能又は効果に関連する注意」のところで「本剤の投与対象については最新のガイドラインを参考にすること」とあります。こちらについては、感染症学会のほうで、コロナ治療薬に関するガイドラインを出していただいております。
 その中で、ゾコーバの使い方についても書いていただいておりまして、まず、この薬は、従来のパキロビットやラゲブリオが、重症化リスクのある方、高齢者とか、基礎疾患のある方を対象にしていたのですが、こちらは、基本的には重症化リスクのない方、若い方も含めて、そういう方を対象にしております。
 ただ、重症化リスクのない方の場合は、症状が軽ければ、そのまま自然に回復することもありますし、また、対症療法によって症状が緩和されて回復することもありますので、ガイドラインの中では、特に症状の強い方、高熱とか、強いせきの症状がある方、こういった方を対象にして投与するという形になっておりまして、投与対象自体は、かなり決まっているという形になっております。
 2ページ、3番の「(1)承認条件」のところですけれども、医薬品リスク管理計画を策定すること。こちらについては、この後、説明をいたします。
 2つ目が、本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に、あらかじめ患者または代諾者に有効性、安全性に関する情報が文書をもって説明され、文書による同意を得てから投与されるよう、医師に要請すること。こちらは、特例承認の場合も同じような条件がついているのですが、緊急承認の場合、有効性・安全性に関するエビデンスが限られているということで、その点について、きちんとインフォームドコンセントを取っていただくという趣旨です。
 3点目は、国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、先ほど速報値を紹介させていただきましたが、こちらについて、全ての評価項目について、きちんと報告書を取りまとめて提出をすることという条件がついております。
 続いて、安全対策課から説明をお願いします。
○医薬安全対策課長補佐 続きまして、医薬安全対策課より御説明をさせていただきます。
 時間が少し押しているということですので、予定より少し短くさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、医薬品のリスク管理計画につきましては、先ほど承認条件としてつけられたということで御説明がありましたけれども、承認取得時から実施されているものとなっております。
 安全性の検討事項として、潜在的なリスクとして催奇形性というのが挙げられております。これは、審査時におきまして、潜在的なリスクを有するとされましたが、その背景といたしまして、非臨床で得られている結果と臨床の暴露量を比較したところ、安全域はあるのですが、それが十分であるかどうかという観点があったということ。
 それから、臨床試験で除外基準として、妊娠している可能性のある女性及び妊婦が設定されていたということで、臨床上のデータはなかったということ。
 さらに、他剤で妊婦に対して投与可能な薬剤も承認されているといったことがございまして、こういったことを総合的に判断して、本剤につきましては、妊娠または妊娠している可能性のある女性は禁忌という形で設定されたところでございます。
 これを踏まえて、リスク管理計画上、潜在的なリスクということで記載されておりまして、各種安全性に関する情報提供ですとか、そういったことを進めてきているというところでございます。
 また、重要な不足情報としまして、中等度以上の肝機能障害患者での安全性が挙げられております。これにつきましては、臨床の薬理試験が実施されているところで、その結果を踏まえて、必要な対応を講じていくということになろうかと思っております。
 リスク最小化計画ということで、追加のリスク最小化活動というものがございますけれども、市販直後調査によって情報提供、情報収集をするというところがございますし、それから、同意説明文書、患者ハンドブックというものを作るということ。
 それから、医療従事者向けに資材を作成しまして、活用していただくこととしております。
 もう一つ、患者向けの資材というのは、市販後に追加されたものになりますけれども、患者さんのお薬とともに保管していただいて、飲むときに気をつけていただけるような資材として新たに作られたものとなっております。
 どのような資材になっているかということを簡単にお示ししたいと思いますが、134ページに同意説明文書というものがございます。これは、先ほど承認条件として付されているもので、緊急承認であるために、こういったものが準備されていると理解しておりますけれども、136ページには、女性患者さんへの注意事項というようなこともございます。こうした内容を全て確認いただきまして、138ページにお示ししておりますとおり、本剤について、それから女性の場合には、以下についても確認してくださいというようなことで確認をいただいて、チェックをいただき、同意をしていただくという形になっているものでございます。
 続きまして、140ページに、患者さん・患者さんの御家族の方へという資料がございまして、このお薬につきましては、妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性は服用できませんということを赤字で大きく記載するとともに、新型コロナウイルス感染症について、ゾコーバ錠の効果について、服用を始めるに当たっての注意事項、こうしたものを整理して、記載されているところでございます。
 続きまして、142ページから、こちらは医療従事者向けの資材になっております。
 同じように、妊娠している可能性のある女性等に関する注意に関しては、しっかりと記載をしているところでけれども、それに関する資料ということになるのですけれども、144ページ目にある資料として、事前チェックリストというのが準備されております。こちらの資材が文字も大きく分かりやすいということもありますので、行政として、この資材をぜひ使ってくださいと、必ず使ってくださいということで、再三お願いをしてきているところでございます。
 最後、次のページに、少し小さいものになっていて申し訳ありませんけれども、今回、新しく作成した資材として、薬と一緒に保管していただくものとして、妊娠に関する注意事項を記載しており、妊娠の可能性のある女性に関しては、こういう資材を提供していくことをお願いしていくということで聞いているところでございます。
 また、次の146ページ目から、製薬企業は、もちろん対応しているというところであるのですけれども、現在、国のほうで流通をさせていただいているという点も踏まえて、国のほうからも、しっかりと注意喚起を促すということを取り組ませていただいております。
 御説明が不足して申し訳ありませんでしたけれども、同意は取得されているのですけれども、服用された後に、妊娠していることが判明したという事例、または、それに相当する事例について3例の報告を受けているところでございます。これにつきましては、我々としても、しっかりと注意喚起していかなければいけないということで、このような対応を取らせていただいているというところでございます。
 147ページに下線を引いておりますけれども、前回の月経後に性交渉を行った場合には、妊娠している可能性があるということを入念に確認してくださいということで、医療機関、薬局等にお願いをさせていただいているところでございます。
 また、148ページ目からも同様に周知をしているのですけれども、2月21日に開催された、薬食審の調査会におきまして、現時点で追加の安全対策を行う必要はないと、これは、新しく何か資材を作るとか、そういったことを意図するものではなくて、既存の資料をしっかりと使っていきましょうという意味合いになりますけれども、その観点で、先ほど私が申し上げました、製販業者が作成している事前チェックリストの活用は有効でしょうという御意見をいただきましたので、その活用をお願いしますという、注意喚起を2月24日に出させていただいているところでございます。
 また、3月17日には、先ほど私が御紹介した医薬品とともに保存していただくような小さい紙というものも作成されましたので、こちらもぜひ御活用くださいということで、改めてお願いをしているところでございまして、国としてもできる限りの注意喚起を図っているところでございます。
 このほかにも、妊娠と薬に関するホームページを立ち上げまして、そのほかの医薬品に関する一般的な注意というのも併せて対応していることを御紹介させていただきます。
 以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、時間が大分押しているのですが、御質問、御意見があれば、お願いします。
 では、佐藤さん。
○佐藤委員 患者さんへの説明の資料を作られて、チェックリストも作られているということなのですけれども、それでも、そういうものをすり抜けて、実際にはゾコーバの服用を開始するときには、妊娠していたということが後で分かったという例が3例報告されているということですね。
 ですから、こういうものを作っても、それが十分有効に機能していないということなので、やはりさらなる対策が必要ではないかと思うわけです。
 それで、特に妊娠可能な若い女性が、この薬を飲むことが本当に必要かということを、改めて思うわけですけれども、そういう点で、ウサギの実験で催奇形性が分かっていて、注意喚起は一応したけれども、やはりその結果、妊娠初期に使ったことが後で判明して、もし、これで胎児に奇形が生じたら、これは、やはり薬害ですねということを申し上げておきます。
 以上です。
○磯部委員長 では、まとめて花井さんもお願いします。
○花井委員 ありがとうございます。
 ゾコーバについて、いわゆる緊急承認制度の着地点について、ちょっと確認をしておきたいのです。
 この制度は、国会等ではかなり緊急時ということだったのですけれども、2段階になっていまして、緊急時、つまり状況を定義して、状況を政令で決めるという手続が第1段階、つまり、これがパンデミックだとか、バイオテロだということですね。
 これは、薬事行政を超えた話なので、まず、そこで状況が定義され、政令が出ますと。その政令下において、本剤がなければ、治療はできないという条件に限定すべきか否かという話は、国会で議論されたものの、事実上、第2段階の条件では、複数の選択肢が必要な場合と書いてしまっているので、状況設定が本質で、その状況下であれば、かなりの医薬品、治療薬は緊急承認できてしまうという制度になっていると承知しています。
 問題なのは、政令指定の状況定義、まず、この政令指定がいつ解除されるか、解除された以降はどうなるのかという問題があって、今回の場合でいえば、緊急承認して、1年内に1221試験の最終結果が出たら、それは通常承認に変わるのか、もしくは緊急承認が延長するのかという質問が1つ。
 それから、政令指定は、いつ解除されるのですか、解除される要件は何ですかが2つ目。
 最後は意見ですが、解除されて、これは緊急承認の用が済んだら、これは、国会でもEUAと横並びで詳細な議論をされたのだから、一回取り下げていただいて、ある意味、1221試験では足りなくて、ちゃんと非劣性試験をⅢ相でやっていただいて、堂々と再申請していただくという形にしないと、やはり何となくなし崩しの制度になって、緊急承認が平常時になったときの着地点というのが分かりにくいと思います。最後は、意見と説明をしてほしいところで、以上3点が、私の質問と意見です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 まとめて御意見を伺ってしまいたいと思いますので、渡邉先生、お願いします。
○渡邉委員 緊急承認の根拠となったデータについて、細かい点ですが確認させてください。
 先ほど御説明いただいた塩野義製薬からの審査報告書の100ページに記載される部分で、 ハザード比が1.14で、信頼区間0.95から1.36、つまり1をまたいでいても、p値が0.04と有意差がつくのかいう確認です。
 さらに、その右側は、ハザード比1.22で、信頼区間が1.03から1.46ですが、p値0.05未満はつかないのでしょうか。細かい点ですが確認させて下さい。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 泉さん、お願いします。
○泉委員 この承認制度は、新しい薬機法になって緊急承認が使われるようになったわけですけれども、私は今回のゾコーバに関しては、使い方が間違えていると。結論ありきで審議をされてきた、ごり押しの薬のような感じで思っております。
 その理由の1つとして、この薬の使用以外に適当な方法がない場合とか、それから緊急性と代替品がない場合という規定が書かれているにもかかわらず、ここには、既に2つの同じような薬、もしかしたらゾコーバよりも優れている薬が発売されています。発売されているのに、これを緊急承認にするために、第Ⅱ相をやってみたけれども、12症状においては、なかなかデータがうまく出ないから、オミクロンという形に変えて、5つの症状に変えて、そして治験をしていますけれども、この5つの症状は、どれも代替えの薬が、日本でもいっぱい出ている薬ですね。つまり、発熱、頭痛、喉の痛み、せき、こんなの緊急承認で下さなければいけない薬ですかと思います。
 しかも他国も含めた治験のデータでいえば、日本国内だけのデータで、非常にプラセボに関して症状がはっきり出ないような薬を何で承認したのかとも思いますし、これを販売されるはるか前に、厚生労働省は都道府県に対して、この薬がもう販売されるということを情報として、どのように配付しようかという話をし始めています。
 これもきちんとした委員会で承認をされる前に、そんなことをしているということ自体、もってのほかと委員会では、先生方が発言されていますが、まさにそのとおりであって、結果ありき、これを承認するということで、ごり押しに審議されたような感じが否めないです。
 ですから、花井さんが言うように、第Ⅲ相までは必ずやっていくことと、なし崩しに、このままこれを承認の形で置いておいてはいけない、そのように思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、お答えいただけますか。
○医薬安全対策課長補佐 まず、最初に佐藤委員より、妊娠または妊娠している可能性のある事例に関する御指摘をいただきまして、資材を作っていても3例起こっているという御指摘だったのですけれども、我々といたしましては、必要な対応と注意喚起をしていくということが大事だと思っておりまして、実際、3例目が起こってしまった状況というのは、先ほど2月24日に事務連絡を出すよりも前で、事前チェックリストの活用を我々が促す前の事案であったということもあります。我々としては、先生方の御指摘も十分理解しているところでございまして、引き続き、注意喚起に努めていきたいと考えているところでございます。
○医薬品審査管理課長補佐 続いて、医薬品審査管理課から緊急承認制度、また、ゾコーバへの当てはめについて、説明をさせていただきます。
 まず、緊急承認の適用については、花井委員から御指摘がありましたように、まず、政令において、この制度が適用可能な疾病であるかどうか、医薬品であるかどうかということを、まず、政令として定めております。その上で、個々の医薬品について、薬事の審査を行っていくという立てつけになっております。
 いつ緊急承認制度が終わるのかということなのですけれども、これは、まだ、決定しておりません。ただ、一方で、5月8日をもって、新型コロナウイルスが5類に変更されるということで、それに伴って、政府における緊急時の様々な対応についても見直しが進む見込みだと承知しております。
 こういった動きの中で、緊急承認制度の扱いをどうするかということも決まっていくのかなと考えておりまして、その取扱いについては、恐らく4月、5月8日よりも前という意味ですけれども、4月のどこかで通知などで考え方をお示しさせていただくことになるのかなと。ただ、基本的には、5類以降後は、新たに緊急承認を適用するということは、基本的には想定されないのではないかとは考えております。
 もっとも、感染症の性質自体が、例えば、新たな変異株によって、重篤度とか感染力が大幅に悪化したみたいなときには、新たな判断があるかもしれませんが、現在の傾向が続くという前提であれば、5月8日のタイミングをもって、何らかの見直しが必要ではないかと考えているところです。
 それから、ゾコーバの取扱いですけれども、先ほど申し上げたように、緊急承認の期限は1年です。ですので、昨年11月22日に承認されておりまして、1年以内に通常承認の申請を出していただく必要があります。
 そこで、通常承認の申請を、もし出さないという判断になれば、そこで承認は失効という形になりますし、通常承認の申請が出された場合には、改めて通常承認のための判断枠組み、すなわち、有効性は推定ではなくて、有効性の確認という判断基準を前提として、このゾコーバが承認可能かどうかということを判断していくこととなります。
 それから、審査報告書100ページの統計解析の部分についてです。すみません、今、御指摘いただいたことについては、正確に説明を申し上げられる情報を手元に準備しておりませんでしたので、後ほど事務局を通じて委員に説明させていただくなど、対応をさせていただきたいと思いますが、おおよそのところを申し上げますと、まず、ハザード比が1をまたいでいるところ、通常1をまたぐと有意差はないという形になると思うのですが、ここについては、統計解析の手法としてこの記載で問題はないということを確認しております。実は、ほかからも同様の問い合わせが幾つかありまして、そのときに確認をしてお答えしているのですが、その答えの内容が、極めて専門的になりますので、後ほど委員にお答えさせていただきたいと思います。
 それから、同じp値のところで、750/250mg群のほうで、ハイフンが入っているところについては、すみません、これも後ほど確認してお答えしたいと思うのですが、恐らく低用量群での有効性等を踏まえ、高用量の検定は行わないなどの、統計解析の手法があらかじめ決まっていて、それに基づくものではないかと考えております。後ほど、きちんと確認して御説明差し上げたいと思っております。
 それから、泉委員から御指摘のありました、ゾコーバの緊急承認の妥当性のところですけれども、まず、既存の薬、パキロビッドとラゲブリオのことかと思います。こちらのほうの薬との違いとしては、パキロビッドとラゲブリオは、重症化リスクのある方、高齢者とか基礎疾患のある方が対象になる一方で、ゾコーバは、重症化リスクのない方が対象になるということで、まず、その違いがございます。
 それから、対症療法、解熱剤などで対応可能ではないかというところについては、部分的には、そのとおりだと思っております。先ほど、学会のガイドラインを紹介させていただきましたが、軽症の方であれば、特に治療をせずとも自然に回復したり、または御指摘のような対症療法薬で症状が回復することも十分にありますので、学会のガイドラインでは、基本的には、そういう方は対象とせず、極めて症状の強い方、重症化リスクはないのだけれども、症状の強い方、高熱、強い咳などがある方を対象に投与するという形になっております。
 それから、主要評価項目が、第Ⅱ相の12症状から第Ⅲ相で5症状へ切り替えたことについてですけれども、こちらは、変異株がベータ、デルタなどからオミクロンに世の中の流行株が変わっていくという中で、この第Ⅲ相臨床試験については、オミクロン株の流行期に行われたという事実がありますので、そのオミクロン株の臨床症状として発症の多い5症状を対象にしているということで、この点については、審議会の中でも御議論いただいた上で承認可と御評価をいただいているところです。
 それから、日本人集団ですと、回復期間が早まる傾向が弱くなる。確かにデータ上はそのようになっております。この点についても、評価の中では、例数の少ない日本人部分集団のみを取り出して解析するよりも、全体集団での評価結果のほうが、信頼性が高いと評価されております。
 最後ですけれども、都道府県に対して、薬事承認がされる前に事前に説明をしていたという点は、御指摘のとおり、11月の分科会の中でも委員から注意をいただいたところです。
それで、事情を申し上げると、当然、薬事承認をされる仮定の上での話なのですけれども、実際に国が調達した薬、ワクチンも含めてですが、これを都道府県で円滑に現場に届けるためには、ロジスティックスについての周到な準備が必要です。
 そのためには、やはり、承認されましたので明日から使えますという急なアナウンスでは、自治体も対応できませんので、事前に、仮に承認された場合には、このようなロジスティックスでお願いしますという趣旨で説明をさせていただいたものです。他方で、それが薬事承認ありきと、審議会の議論を軽視しているという御批判をいただいたのも事実ですので、その点については、真摯に反省をしたいと思っております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 もうちょっと時間が本当にないのですけれども、今の返答に対して、何かどうしても一言言っておきたいという方はいらっしゃいますか。
 ありがとうございます。緊急承認制度の適用例ということで、今後も注視していかなければいけないところだろうと思いますので、今日は時間がありませんけれども、また、引き続き、議論をする機会をつくらせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、ゾコーバに関する議論は、ここまでとさせていただきます。すみません、20分ぐらい押してしまっていて、申し訳ありません。ただ、安全性に関わる話でもあるので、時間はどうしても取りたかったということもございます。
 それでは、資料3に基づきまして、監視委員会の取り組みとして、海外調査を独自に行っております。令和4年度に実施された「薬事制度」に関する調査として、前回の監視委員会でも報告がありましたけれども、今回も調査結果の報告があるとのことですので、それでは、まず事務局から説明をお願いできればと思います。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 申し訳ございません。事務局から御説明いたします。
 御報告に先立ちまして、事務局から、調査の枠組だけ簡単に御説明させていただきます。
 今年度の海外調査ですけれども、この監視委員会におきまして、参考資料があるのですが、時間がありませんので省略させていただきますけれども、参考資料4のとおり取りまとめておりまして、欧米の薬事制度に関する調査と個別医薬品に関する調査の2部構成ですけれども、欧米の薬事制度につきましては、今年、4項目調査することになっておりますが、そのうちの1項目は、前回御報告させていただいております。ですので、今回は、残りの調査テーマ3項目について御報告をさせていただきます。
 では、内容につきましては、国衛研のほうから調査報告をしていただきます。
 では、よろしくお願いいたします。
○国立医薬品食品衛生研究所 国衛研医薬安全科学部でございます。報告させていただきます。
 海外調査令和4年度、3つのテーマについて行っております。
 1つ目のテーマ、行政機関における医薬品の安全性確保の施策の実施状況を評価・監視する体制についてです。
 まず、この調査の前提としまして、日本の医薬品等行政評価・監視委員会、本委員会に相当するような患者も参画して独立して薬事行政施策を監視するような第三者機関はあるのだろうかということで調査を始めましたけれども、公表されている資料を見た限りでは、欧米では確認できませんでした。
 したがって、行政の内部組織ではありますが、医薬品の安全性に関する施策を監視する組織ということにスコープを広げて調査いたしました。
 その結果、下記の3組織について調査いたしました。
 1つ目は、アメリカですが、監察官制度というのが1978年からありまして、連邦政府の機関それぞれの中に監察官制度が置かれております。
 保健福祉省のOIGですが、政府の職員は1,650人在籍している機関で、独立した客観的な監視を行っております。
 2022年の実績を見ますと、監視対象の4分の3は、メディケア、メディケイドなどの保険償還関連でありました。残りの4分の1に、FDAを含めます政府施策についての監視が行われております。
 次に、組織ですが、主な業務として3つありまして、監査をする部門と、行政施策の評価・監視を行う部門と、不正や不祥事などの調査を行う部門があります。
 FDAの医薬品の安全性に対する政策を評価・監視するのは、真ん中の評価査察部門になります。
 例ですが、OIGレポートというのが発行されます。FDAは、医薬品の安全性を向上させるために、REMS(リスク評価・軽減対策)を行っておりますが、OIGの評価によって、不十分であるという報告が出されました。
 次ですが、問題点を指摘するのみではなくて、勧告を必ず行うことになっております。OIGの勧告によって、例えば、6番目、FDAの強制力を持たせるよう、法的権限を強化することを要求して、実際に強化されております。
 もう一つ、これもFDAのREMSですが、米国では、オピオイド濫用が社会問題になっております。その対策にREMSが活用されていますが、有効性を評価することが困難であるという指摘があり、この後、何回か勧告が行われ、現在では、例えば、フェンタニルについて、全て患者登録を行い、きちんと管理するようになっていることがございます。
 次ですが、これは、FDAの組織ですが、DSB、Drug Safety Oversight Boardという組織が、2005年に、FDAのセンター長の事務局内に設置されました。連邦職員のみで構成されていますが、構成として、FDAの3つの部署、CDER、CBER、CDRHの他にFDA以外の8つの連邦政府機関内の代表者から成ります。医薬品安全性に関わる重要な新しい事案が発生した場合に、議論を行うということになっております。
 次に、欧州ですが、欧州委員会の中に保健衛生・食の安全当局、DG SANTEというものがございます。
 このカバーする範囲は広いのですが、次をお願いします。組織図を見ますと、いろいろ扱っている中で、医薬品の安全性を担保する部局もございます。
 2021年活動報告を見ますと、医薬品関係としては、COVID-19ワクチンの有効性・安全性を監視したり、ファーマコビジランス活動に関する実施規則について改訂作業を行ったりしております。
 テーマの2つ目、 医薬品の安全性確保に関する患者・消費者の参画状況についてです。
 まず、患者・消費者からの副作用の直接報告についてですが、米国では1993年から開始されております。
 FDAへの医薬品副作用報告は、企業からの報告とともに、MedWatchというウェブサイトを介して報告できるようになっており、いずれもFAERSデータベースに収載されます。
 この特徴ですが、消費者や企業あるいは医療従事者から同じ症例が複数重複して報告されることがあり、実際に、データベース内で重複がみられる、情報の質は、報告によってばらつきがあるなどの特徴があります。因果関係評価の際には、報告の質が求められますので、質の高いデータを確保する、あるいは情報を追加して評価することが必要になります。
 また、この報告データは安全性のスクリーニング評価に使われており、特に、患者からの報告は、重篤な転帰、注目すべき有害事象、妊娠時や小児等特定の背景を有する集団について、重点的に評価されるという特徴があります。
 報告数は、年々大きく増えております。
 次に、欧州についても、患者からの直接報告が行われております。
 2005年から、まず、イギリスで行われ、現在では、EU各国の医薬品規制当局で患者の直接報告を集めております。
 特徴としましては、報告された症例は、重複症例については、定期的に削除が行われ、販売名と有効成分の紐づけなども行われて、解析しやすいデータになっております。
 これらのデータを基に定期的な安全性シグナルの評価などが行われております。
 次、FDAにおける患者参画の歴史ですが、1988年に薬害エイズから始まっております。
 次に、FDAの患者参画のプラットフォームですが、このように6つほどあります。次に説明をいたします。
 患者代表プログラムとして、PRPというのがあります。これは、医薬品開発によって審査プロセスの早い段階で意見を提供するというもので、身分は特別公務員として参画しています。47の諮問委員会に、200名の患者代表が参加しています。
 次をお願いします。
 患者代表プログラムの中で、リスクコミュニケーション諮問委員会(リスク通知に関する諮問委員会)ですが、委員として患者代表が参加しています。
 次は例ですが、飛ばします。
 しばらく飛ばします。
 患者参画コラボレイティブ(PEC)というものがありまして、ここでは、患者の参画を実現する方法について、いろいろな立場の人が参加して話し合いをします。
 PECは、EMAのPCWPと合同委員会を行っております。
 次をお願いします。
 EMAの患者参画の歴史ですが、1995年、欧州医薬品庁とともに始まっておりまして、2006年に患者・消費者作業部会、PCWPというものが設立されて、非常に盛んに行われるようになっております。
 EMAの活動にどういう立場で参画しているか、3つ挙げられております。患者団体全体を代表してEMAの経営委員会等に参加する場合、患者さんが自分の所属する患者団体の代表として参加する場合、それから、個人のスキルを活かして参加する場合があります。
 患者・消費者作業部会、PCWPですが、この組織がEMAと患者団体との交流の中心となっています。年4回開催されますが、そのほかにも個別の活動を行っています。
 患者委員は、現在22名おります。任期は3年で、個人としてではなく、患者団体を代表する立場で参加しています。
 次をお願いします。
 有資格患者団体は、現在41団体選ばれております。そのうちの22団体が、現在委員を出しております。
 次ですが、EMAの科学委員会に参加している患者委員ですが、4つの委員会に2名ずつ、議決権のある正会員として参加しています。
 次をお願いします。患者委員の参加の機会ですが、医薬品のライフサイクル全般にわたって参加が行われています。
 次は、実例なので飛ばします。
 医薬品の安全性監視における重要な役割を持つPRACですが、そこにも正式に委員を出しております。
 ということで、EMAの評価プロセスにも関わっております。
 それから、EMAが正式に通知する文書レビューも行っています。
 医薬品が承認されるとできるEPARというページの冒頭の文章と、EMAの安全性通知文書、患者用の添付文書について、必ず患者の目を通すことと決められております。
 次の表は、まとめです。
 それから、時間がないのですけれども、テーマの3つ目、日本の特例承認、条件つき承認等に相当する欧米の制度について調べました。
 日本の特例承認制度に対応するアメリカでの承認は、EUA、緊急使用許可が行われていました。欧州では、条件つき承認が行われていました。
 次、日本で条件つき承認をされたものについて調べましたところ、アメリカでは、迅速承認、Accelerated approvalが行われていました。欧州では、条件つき承認が行われています。
 次は、第9回監視委員会の資料なので飛ばします。
 次に、緊急使用許可の特徴ですが、正式承認ではないというのが特徴になります。
 ですので、例えば、有効性・安全性の状況が変わった場合には、速やかにEUAを停止して、使えなくするなどの迅速な措置が行われます。
 日本や欧州の場合には、正式承認なので、添付文書の注意喚起等が行われます。
 次に、迅速承認ですが、この特徴は、真のエンドポイントではなく、代替エンドポイントで承認が行われるので、早く承認できますが、情報が足りないということで、市販後研究などが追加して行われます。
 次に、条件つき販売承認、EUですが、有効期限は1年で、更新するためには、一定の義務を行わなければいけないということになっています。
 その結果、ベネフィットが示されれば、正式承認されますし、それが足りないということになると、承認取消しになります。
 次は、例なので飛ばします。
 最後、EUで条件つき承認されたものは、全てモニタリング強化の対象になります。
 black triangleという黒い逆三角形マークが添付文書、医療従事者向け、患者向けの添付文書、レターなどに付けられて文書が発行されます。
 このマークがついたものについては、副作用が疑われた場合、全て報告しなければいけませんし、できるだけ多くの詳しい情報をつけて報告することとなっております。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 すみません、本来予定していた時間を半分ぐらいで、無理にお願いして、お許しいただければと思います。
 とにかく大変詳細に調べていただいて、興味深い話ばかりだと思うので、また、いろいろやりとりをしたいので、すみません、ちょっと10分ぐらい今日は延びるということで、委員の先生方、覚悟してお許しいただければと思います。
 何か御意見、御質問、事前にいただいているのもありますけれども、どなたかお話しいただけますか。
 よろしいですかね。手が挙がっているのが見えないので、今日欠席の戸部さんからは、患者参画について、患者・消費者の役割の重要性というのを再認識したと、今後について、コメントをいただいております。FDAの患者参画などの取り組みは、非常に関心がある。特に医薬品のライフサイクルにおける開発段階での対応というのが、医薬品の使用場面、患者の生活に合った服用方法につながると思いますと同時に、患者・消費者からの視点の分かりやすい表現等が取り入れられることにより、医薬品に関する患者・消費者の情報リテラシーの向上にもつながる流れができると、さらによりよい方向になるのでは期待したというようなコメントをいただきました。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 時間がないので、今回調べ切れなかったこと、今後の課題だと思います。
 2点ありまして、まず、患者側からの副作用報告で、ヨーロッパ方式と日本は似ているけれども、アメリカ方式は、かなり大量なデータを処理しているということなので、それを実際どのようなAIを使っているのか、どうしているのかという詳細が今後分かればと思います。
 それから、患者参画について、EUで結構やっているということは聞き及んでいますし、血友病コミュニティも、グローバルではそういう活動をしているので、ある程度は分かっていたのですけれども、やはり患者会の力のレベルが違うというのが、欧米と日本の感覚としてあって、患者会に対しての支援策というのが、どうなっているかというところは、分かる範囲で教えていただきたいですし、そこまで今回はということであれば、今後の課題かなと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 貴重な御指摘で、私も関心があるところです。
 では、泉さん、どうぞ。
○泉委員 ありがとうございます。
 17ページにあります、アメリカの患者参画の歴史の2012年のところに、患者中心の医薬品開発というところまであります。
 47の諮問委員会のページをお示しください。
 黄色のところに、47の諮問委員会に約200名の患者代表が参画して、300以上の疾患が対象だと書かれていて、とても幅広いということで、その後に、今度は欧州のほうの3ページ、科学委員会に参加している患者委員というのがあるのですけれども、分かりますでしょうか。
 オーファンにも先進医療にも、小児科医にも、こういう形で科学委員会に患者が参加していると、こういうことが日本で起きているかなと思うと、多分起きていないだろうと考えると、同じく欧州の32ページ、評価のところに、販売承認申請評価と承認後の販売承認後の申請、これに関しても患者が参加していると書かれています。
 それと、37ページをお示しください。
 ここに日米欧の比較が出ているのですが、日本も若干なくはないと、一番左側に、2021年度は約2,000件、日本ではあったと。だけどアメリカでは121万件で、欧州では78万件、これを見ても比較対象には全然ならないかもしれませんが、こういうのを勉強させてもらったので、ぜひ日本でもどういうことができるかというのを今後の課題として、患者もしくは被害者が参画できるような制度はどういうところから可能か、できるかというのを考えていきたいと思いますが、ぜひそれを今後の課題としてもらいたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 まとめて、ありがとうございました。
 あと、もし可能であれば、1つ私も聞いていいですか。緊急使用許可のところ、EUAの話が、最後のほうにありましたけれども、安全性の低下が確認された場合には、許可取消しが比較的速やかに行われると書いてあるのですけれども、これは、審査課に伺ったほうがいいかもしれないのですけれども、特例承認を日本でやったあとでEUAが取り消されたという場合に、もちろん、それが正式承認に至っているのであれば、全然変わりませんけれども、そうではないとなると、特例承認の前提を欠くというような感じになると思うのですが、その接続はどうなっているのかなということも伺わせていただければと思います。
 すみません、では、お願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 まず、事務局からお答えになるかどうか分かりませんが、場合によっては国衛研から追加をお願いしたいと思います。
 まず、花井先生からいただいた2つについてお答えしたいと思います。
 患者副作用報告の米国方式、この部分のもう少し詳細が分かればというお話をいただいたかと思います。
 これは、公開情報でいろいろ調べたのですけれども、事務局としてなかなかこれ以上の詳細な情報が見つからなかったというのが、正直なところでございます。
 ですので、これをもし解決していくとすれば、さらにまた調査方法とか、そういったことをいろいろ考えていかないといけないところはあるのかなと認識しております。
 もう一つ、患者参画のところで、どういったことを行政側でやっているのかというお話をいただいたかと思います。
 この部分も、先生方には、事前に御意見をいただいていますので、そういった中で調べさせていただきました。
 それで、薬事の部分ということで、FDAですとかEMA、そういったところでどういったことをやっているのか、そこも調べてみたのですけれども、なかなか患者団体さんにどういった支援をしているのか、その部分までは、薬事の範囲では、なかなかやっているものが見つからなかったということが、私どもの状況でございます。
 まず、この2点、事務局からお答えさせていただきます。
○医薬品審査管理課長補佐 医薬品審査管理課です。
 委員長から御質問のありました、緊急使用許可が取り消された場合に、日本の特例承認はどうなるかという御質問にお答えさせていただきます。
 これは、緊急使用許可だけではなくて、欧州の条件つき承認とか、通常承認でもそうかと思うのですが、特例承認をするときに、日本と同等の先進国で承認なり許可なり流通が認められているということを要件の1つとして、国内で特例承認をします。
 その前提となる要件が失われたときなのですけれども、まず、法律上の立てつけとしては、承認を取り消すことができるという規定になっています。できるということは、承認を維持することも、承認を取り消すことも、どちらの判断もあり得るということで、必ず承認を取り消さなければいけないという規定にはなっておりません。
 その上で、実際の承認を取り消すのか、維持するのかという判断については、これは、その時点での評価可能な全ての科学的なエビデンスを評価した上で、リスクベネフィットバランス上、承認を維持することが正当化できるかどうかという評価をして判断することになると考えています。
 もし、例えば、海外で緊急使用許可を取り消された背景が、根拠となっていた科学的エビデンスが覆ったとか、失われたということであれば、当然、日本でも、恐らく同様の判断になる可能性が高いと思います。あるいは、アメリカでは、別の代替薬が使えるようになったから緊急使用許可が不要になったみたいな判断であれば、日本の事情に応じて違ってくる面もあり得ると思っております。
 そこは、今、申し上げたように、リスクベネフィットバランスを改めて評価して判断していくことになります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、この点、よろしいでしょうか。また、今後の宿題が見つかったということかと思いますので、引き続き、また調べていただきたいことを、こちらもいろいろ練ってやりとりをさせていただければと思います。ありがとうございました。
 海外の薬事制度に関する報告はここまでということにさせていただきます。
 ただ、本当にこの手の評価は、実績を積み重ねることが大事かなと思いますので、よろしくお願いしますということを申し上げて、資料の4、委員会の海外調査(令和5年度)分についてということです。調査方針についての話になります。
 事前に委員の皆様に御意見は伺っているところですが、それらも含めた形で事務局が整理しておりますので、資料4についての説明をいただいて、その場で確認したいと思います。お願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 事務局から、資料4につきまして御説明いたします。
 時間がございませんので、今日は非常に簡潔に御説明させていただきます。
 まず、来年度の海外調査のやり方ということで、こちらに書かせていただいておりますけれども、基本的に大枠としては、今年と同じやり方ということで、欧米の薬事制度、あとは個別の医薬品の欧米での審査状況、そういったところを確認していくということになりますけれども、大きく来年度というところで申しますと、具体的に薬事制度調査は何をするのかというところになってくるかと思います。
 そこで、事前に先生方にも御意見をいただいておりましたけれども、今回は、昨年度に調査テーマの候補として挙げさせていただいていたものを、そのまま持ってきている形になります。MRとMSLの違い、活動実態、法制度の有無というものと、もう一つ、日本の再審査、再評価制度に相当する制度の有無、こちらについて、今年と同様に、まず、文献での調査、インターネット上の公開情報、そういったものをしっかり集めさせていただくということで進めさせていただきたいと考えております。
 あとは、来年度以降も、調査をしないといけないものを、既に先生方からいただいているところでございます。それが今回2つ既にございますということで、先ほども課題をいろいろいただきましたけれども、既に挙がってきているということで、まずはその2つ、今、挙がってきているものとしては、医薬品の承認審査、指定制度の該当性の判断の中で、他の品目の審査あるいは指定の状況が影響を与えるものがあるかどうか、海外の状況を調べていく。
 そして、医療用医薬品の適正使用を目的とした患者向けの適切な情報提供、国内では患者向け医薬品ガイド、そういったものがあると思いますけれども、海外ではどのような形でやられているか、そういったことについて、少なくとも既に調査項目として挙がってきているというところでございます。
 令和6年度以降の調査項目は引き続き考えていくことになると思いますけれども、現時点で、これが挙がっている。ただ、少なくとも来年度につきましては、先ほどの2テーマでやらせていただきたいと事務局としては考えているところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 以上の説明に対して、御意見、御質問はございますか。
 泉さん、どうぞ。
○泉委員 今回の調査は、とても勉強になったのですけれども、この委員会に、この調査をしていただくための予算がどのぐらいついているか、それを心配しております。しっかりと薬事行政を評価したりする委員会でもありますから、予算をしっかり取っていただきたいというのが、委員としての要望です。
 以上です。
○磯部委員長 そういう御要望だということで、きちんと受け止めて、それは、私も思います。頑張っていただきたいということをお伝えするということで、よろしいですか。
○泉委員 はい。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 事務局としても、しっかり先生方の御意見を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○泉委員 お願いします。
○磯部委員長 それでは、こういうことで、令和5年度の調査方針は、この資料4の内容のとおりやっていいということで、それでは、事務局では、今後、調査に向けた必要な手続を進めていただければと思います。
 それでは、資料5について、御説明させていただきます。定期報告ですね、それと個別医薬品の海外調査について、これは、事務局から資料5と6について、説明をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 では、事務局から御説明いたします。
 時間が10分延長ということで、あと1分ですので、簡単に御説明いたします。
 まず、定期報告ですけれども、こちらは通常どおり報告をさせていただいております。
 まず、イエローレター、ブルーレター、そういったものに該当するのは、今回ございませんので、資料としてはございません。
 あとは、製造販売承認された医薬品の情報ということで、今回は3品目記載をさせていただきます。内容につきましては割愛をさせていただきます。
 あとは、添付文書の改訂に関するものが幾つか並んでおりますけれども、恐縮ですが、今回は割愛をさせていただきます。それほど大きく注意をしなくてはいけないものというものはなかったという認識でございます。
 あと、外国措置報告というものがございます。この中では、特例承認ですとか、禁忌承認の品目というものは、委員の先生方、非常に御興味をお持ちということでございますので、そういった品目は、今回初めて出てまいりました。例えば17番のニルマトレルビル・リトナビル、これにつきましては、国内ではパキロビットと呼ばれているものですけれども、腎障害患者への投与、それから薬物相互作用、そういったところについて、スイスで注意喚起をしているということですけれども、この内容につきまして、日本でも添付文書をきちんと書かれておりますし、患者向けの同意文書、そういったものにも書かれているということで、対応済みとなっております。
 あとは同じように、実はパキロビットパックの内容につきましては、もう一つ、米国のものということですけれども、薬物相互作用に関するものということで、先ほどと同様の内容で、こちらも日本では対応済みという形になっております。
 非常に簡単で申し訳ございませんが、まず、定期報告は、以上でございます。
 あとは、海外調査ですけれども、個別医薬品、今回も引き続き、48品目ほど全部で調査をさせていただいております。
 今回、注目すべき情報ということになりますと、結果的に安全性に関するもの、安全性に注意を払わないといけないものというものはございませんでしたので、今回の御説明は、大変恐縮ですが、省略させていただきたいと思います。
 簡単で申し訳ございません。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 何か御意見、御質問はございますか。
 すみません、時間の管理がうまくなくて、というか、もう少しゆったり議論したいですねと、今回は詰め込み過ぎましたかね、ですので、もし議論し足りないというのであれば、後で内々にいろいろ教えてください。ゾコーバとかも、海外の話も、次にまた議論する機会をつくれればと思いますし、せっかくの定期報告などをやっていただいているのも、ゆっくりお話を伺いたいところなのですが、今、特に資料5、6について、特段ございませんようでしたら、ありがとうございましたということで、定期報告については、次回以降も引き続きお願いするということになります。
 そして、あと、1分、2分延びてもいいということで、もし、何か今日の議題全体の中で、どうしても、今、言っておきたいことがあれば、最後、まとめてコメント、御発言があれば、どうぞ。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 先ほどの泉委員の意見とも重なるのですけれども、やはり開催回数がちょっと少ないのか、窮屈という面もあるので、これは、多分、予算との見合いというところもあるかと思うので、若干予算とも見合いながら、開催回数をちょっと増やす、長くする、何か考えたほうがいいかもしれません。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 そうですね。1回3時間とかだと、それはそれで大変ですものね。
○危機管理・医務技術総括審議官 例えば、今日みたいな海外調査の報告も、1個ずつ重要なのですけれども、急いでやってしまうと、スキップしなければいけないではないですか、今回はテーマが多過ぎるので、例えば、海外調査だけだったら、委員長がおっしゃるとおり、それを2時間しっかりやると、そういう開催もあってもいいのかもしれませんね。
○磯部委員長 全体で何となく年4回ぐらいのペースでやっていると思うのですけれども、それをもっと増やすというのは、先生方の御負担を増やすことにもなるのですが、しかし、消化不良なことを毎回やるよりは、そのほうが健康かもしれない、お金の問題も、予算の問題もあるでしょうけれども、そういうことを、よりよいやり方というのを考えて、探していきながらと思います。
 その他、よろしいですか。
 ありがとうございました。すみません、延長してしまいまして、最後に事務局から何かございますか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 次回の委員会につきましては、日程調整の上、改めて御連絡いたします。また、議題につきましては、別途、委員の先生方からの御意見を基に、御相談させていただきます。
○磯部委員長 ということで、それでは、本日の委員会は、これで終了とします。
 長時間にわたり、ありがとうございました。