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第30回労働政策審議会勤労者生活分科会議事録
雇用環境・均等局勤労者生活課
日時
令和5年1月17日(火)15:00~17:00
場所
会議会場及び傍聴会場 厚生労働省専用第21会議室
(千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館17階)
議事
- 議事内容
- ○山本分科会長 定刻より少し早いですけれども、始めたいと思います。ただいまから、第30回「労働政策審議会勤労者生活分科会」を開催いたします。
今回より、労働者代表委員の田中祥平委員、同じく労働者代表委員の佐藤宜弘委員が新たに着任されております。
本日は、公益代表の松本委員、労働者代表の南部委員が御欠席でございます。
戎野委員、八野委員、小原委員、田中委員、佐藤委員、杉原委員、須永委員、出井委員、成島委員、木村委員につきましては、オンラインで出席いただいております。
本日は、全委員の3分の2以上の御出席を賜り、労働政策審議会令第9条の規定による開催に必要な定足数を満たしております。
本日の分科会は、対面のほか、オンライン形式で御出席もいただいております。開催に当たりまして、事務局から、まず御説明がございますので、よろしくお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 勤労者生活課長の大隈でございます。
本日は、対面のほか、Zoomによるオンライン参加をいただいておりますが、オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催・参加方法について」も併せて御参照ください。
分科会の進行中は皆様のマイクをオフにしていただくようお願いいたします。御発言される場合は、会場内の皆様におかれては挙手を、オンライン参加の方は「手を挙げる」ボタンを押していただき、分科会長から指名があった後に、マイクをオンにしていただき、お名前を名乗っていただいた上で御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、オフに戻していただきますようお願いいたします。
なお、本日は、対面参加の方とオンライン参加の方と両方いらっしゃいます関係で、指名の順番につきまして前後することがあるかと思います。なるべく挙手の順番となるよう配慮したいと思いますけれども、その点、御了承いただけますと幸いでございます。
それでは、本日はよろしくお願いいたします。
○山本分科会長 ありがとうございます。それでは、議事に入らせていただきます。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
それでは、本日の議題「中小事業主が行う事業に従事する者等の労働災害等に係る共済事業に関する法律の施行について」に入ります。
まず、事務局から説明をお願いし、その後、委員の皆様から御意見等をいただければと思います。
それでは、事務局からの説明をお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 それでは、事務局から説明させていただきます。本日の議題は1つだけですけれども、この中小事業主が行う事業に従事する者等の労働災害等に係る共済事業に関する法律の施行ということで、施行に必要な政令、省令、告示案の内容についての御説明でございます。資料1から資料6まで全て関連する内容でございますので、通して御説明させていただければと思っております。
まず、資料1を御覧いただけますでしょうか。今回議題となっている法律は、議員立法として令和3年に成立したものでございまして、それを施行する段階になっているわけですが、この制定に至るまでの背景が内容に関係してまいりますので、最初に御説明させていただきます。
資料1にあります平成17年保険業法改正が出発点でございますけれども、この保険業法改正の改正前の状態として、ここに記載のとおり、特定の者を相手方とする共済事業は保険業法の適用なしということで、例えば会員のみを対象とするような共済事業というのは保険業法の規制の下にはない形で事業を行うことができた。いわゆる根拠法のない共済というものでございます。
こういう団体の中には、結局破綻したような団体もあったことから、この平成17年改正で、共済契約者の保護を図るために、特定の者を相手方とする共済事業にも原則として保険業法を適用するという改正が行われたということでございます。
その下に記載させていただきましたが、その結果、こうした根拠法のない共済事業者は原則として保険業法の免許又は改正法で創設された少額短期保険業の登録が必要になったということですが、これは原則としてということでございまして、公益法人でこうした共済を行っていた団体もあったところですけれども、こういうものについては当分の間の経過措置として、従前の共済事業、これを特定保険業と呼んでおりますが、それを行うことができるということになったところです。
その後、資料で矢印が下に書いてありますが、この改正が行われた後に、全く別の観点から、公益法人制度改革関連法というものが制定されて施行されることになりました。それが平成20年12月施行ですが、これによって、社団法人なり財団法人という従来の法人形態から、平成25年11月までの間に、一般社団、一般財団、公益社団、公益財団といった新しい類型に移行することが求められることとなったということです。
このときに、平成17年保険業法改正で認められていた当分の間の特定保険業の経過措置の対象からも外れるという整理がなされたということですが、従前から共済事業を行っていた団体の中には、こうした保険業法の規制に直ちに適合することが容易でないものも存在しておりました。このため、その後、平成22年に保険業法改正が再度行われ、平成17年保険業法改正時に特定保険業を行っていた者のうち一定の要件に該当する者が、当分の間の措置として、行政庁の認可を受けて特定保険業を行うことができるとされました。これが認可特定保険業というものでございます。
その結果、右下に比較の表がございますけれども、保険会社という類型がもともとあり、株式会社又は相互会社という形態で損害保険なり生命保険を行ってきたところです。これに平成17年に少額短期保険業者という類型が加わりましたが、こちらは取扱商品が少額、短期、掛捨てという形の取扱商品であるところに特徴があるものでございます。さらに、平成22年に創設された認可特定保険業者という類型があり、こちらは、一般社団・財団法人又は公益社団・公益財団が、平成17年当時と実質的に同一の内容の商品、事業を行うことができるという経過措置としての位置づけでございます。
左側に文章で説明が書いてあるところですが、こうした経緯をたどって、認可特定保険業は従前から事業を行っていた者のみが従前と同じ範囲でのみ事業実施できるということで、逆にいえば、新規事業を立ち上げようとしてもできないという仕組みでございました。
その次のところですけれども、こうした従前から公益法人で共済事業を行っていたところのうち、労働災害による損害を填補するような共済を行っているところもありまして、労働災害が中小規模の事業場で発生しているという実態を踏まえると、そうした共済制度の役割は重要ではないかということでございます。今回の法律は議員立法ということで、こういう経過措置として行ってきた認可特定保険業者のうち、こうした取組について、新法を制定して、恒久的な、安定的な制度の下で共済制度を整備すべきではないかという議論になり、そうした経緯を経て、令和3年に全会一致で成立したというのが制定までに至る経緯でございます。
資料2を御覧いただければと思いますが、以上のような経過をたどりまして成立いたしました法律がこちらです。
法律の目的ですけれども、中小事業主が行う事業に従事する者等の安全及び健康の確保並びに福利厚生等の充実を図るためのものでありまして、内容的には、労働災害等の防止を図るということと、労働災害等その他の災害について共済団体による共済制度を確立するということを目指したものでございます。
概要について、(1)この法律の対象となるものの範囲ですけれども、中小事業主が行う事業に従事する者ということになっておりますが、これは中小事業主の下で働いている労働者に加えて中小事業主そのもの、経営者側の立場に立たれる方も含むということでございます。
(2)の共済団体が行う事業については、資料に1から3までございますが、この法律の内容として、1労働災害等防止事業を行うということが前提になっております。この1の事業を行う一般社団法人又は一般財団法人が認可を受けると、2の共済事業を行うことができるというものでございます。
その2の共済事業につきましても、共済金の額が省令で定める額を超えず、共済期間が1年を超えないということが法律で定められておりまして、少額で短期のものという前提となっているところでございます。
その下に行政庁と共済団体の関係の図がございますけれども、こちらは、共済団体が1、2の事業を行いたいということであれば、行政庁に申請をして認可を受け、行政庁の監督の下で事業を実施することになります。
認可に当たって、認可審査基準が、1から8までありますが、これが法律上規定されているものでございまして、実際の具体的な中身、一定の基準を満たすとかいう形になっているその一定の基準は、政令、省令、あるいは告示で定めることになるということでございます。
それから、(3)ですけれども、銀行等が一定の要件を満たせば、共済契約の募集、いわゆる窓口販売を行うことができるという法律の規定がございます。共済団体がもちろん自ら募集することは可能ですけれども、この法律上、銀行等が窓口で販売することも、一定の要件の下でできるということで、この要件がまた政令、省令等で定められるということでございます。
それから、(4)は行政庁による監督の規定が法律に書かれているということです。施行期日は公布日から2年を超えない範囲で政令で定める日ということで、これは後の資料で出てまいりますが、令和5年6月1日にしたいと考えているところでございます。
それから、資料3でございます。「他制度との比較」ということでございますが、今回の法律は、ある意味、保険業法の特例のような法律でございまして、政省令を定めるに当たっても、保険業法における規制を見ながら定めていく必要がございます。
特に、保険会社、少額短期保険業者、認可特定保険業者という既存の仕組みの横に、共済団体(案)ということで並べておりますが、少額であって短期の保険という意味では、少額短期保険業者が比較的近い位置づけのもので、併せて、制定の経緯で御説明したように、認可特定保険業者としてやってきた団体が移行してくるということも考えられますので、認可特定保険業者におけるルールを併せて考えながら、今回の共済団体のルールを定めていく必要があるというところでございます。
根拠法のところですけれども、既存の3つの保険業者は全て保険業法の下で定められているものですけれども、今回の団体は中小労災共済法という新法の下に位置づけられるものでございます。
それから、その下の欄に保険契約者保護機構制度とあって、保険会社だけ○、それ以外が全て×になっておりますが、これは、万が一、保険をやっている主体が破綻したような場合に、契約者の保護を図るセーフティネット制度の下にあるかということで、これは、法律上保険会社は対象になっておりますけれども、それ以外の類型のものは対象になっていないということでございます。その関係で、それ以降のルールについては保険契約者の保護を図るための担保をしっかり仕組んでいかなければいけないということでございます。
以降は、基本的に既存制度とのイコールフッティングという観点で、基本的に少額短期保険業者と同様の規定を定めていくというのが基本になりますが、一部、この法律独自の考えで変更しているところがございます。まず上から5つ目の一被保険者あたりの保険(共済)金の額の限度額です。こちらが少額短期保険業者であれば1,000万円、低発生率保険も合わせると2,000万円ということですが、今回の共済団体は1,580万円にしたいというところが一つの違いでございます。
それとセットになりますけれども、その2つ下に財産的基礎の基準とございまして、こちらも少額短期保険業者と比べますと、少額短期保険業者が、純資産1,000万円のところ、今回の共済団体は純資産1億円という高い水準で設定したいと考えております。
それから、労働災害等防止事業については、今回の共済団体が法律上特別に位置づけられたものでございますので、これだけ○で、既存の保険業者はそのような事業を実施することが求められているわけではないという違いがございます。
それから、その下に計理人がございまして、これは保険会社、少額短期保険業者は○として法律で規定とされております。いわゆるアクチュアリーの方の関与ということですけれども、今回の共済団体は、法律上、この計理人の関与が定められていないということの関係で、省令で規定を置いておりませんが、ただ一方で、何らかの形で保険数理、アクチュアリーの関与が必要であろうということで、監督指針という指針のレベルで必要な定めを置きたいという意味で、△でございます。
それからあとは、基本的に少額短期保険業者と同様に定めていきたいと考えております。運用可能な資産というところについても、少額短期保険業者と同様です。それ以下も同様ということです。一番下の銀行等の保険(共済)募集の規制のところですが、これも結論としては、今回の共済団体は○印としており、保険会社や少額短期保険業者と同様の内容の定めを置き、イコールフッティングとすることを考えております。
ただ、後ほど政令の説明で出てまいりますが、共済代理店の範囲として、銀行と信用金庫、信用組合に限るという定めを置きたいということでございます。
これが全体像でございます。
ちょっと分量が多いのですけれども、資料4から6がそれぞれ政令案、省令案、告示案の内容でございますが、多くは保険業法の定めと同じルールを持ってきたというところですので、特に違う点を中心に御説明させていただければと思います。
まず、資料4が政令でございますけれども、この1ページ目の表紙の部分に記載のとおり、政令は技術的に3本に分かれるということでございます。
まず、順次、2ページからですが、2ページがこの法律の施行令でございます。Ⅱの(1)から、政令で定めるべき事項を順次規定していくわけですけれども、まず、(1)と(2)は共済契約の移転に係る要件などを定めるものでございます。これは共済団体が締結した共済契約をほかの団体に移転するような場合に必要となる定め、ルールですけれども、ここは青い字で記載させていただいたとおり、保険業法で既にこういうケースについての同様の規定がございますので、それと同じ内容を持ってきたということでございます。
同様に、(3)と(4)も、共済団体が解散する場合や他の団体と合併するような場合に必要となる要件などを定めた規定ですが、これも既存の保険業法施行令に定められている内容と同様のものでございます。
3ページの(5)と(7)は技術的な読替えでございます。
(6)については、共済募集を行うことができる銀行等の範囲をさだめるものです。法律では銀行その他の政令で定める者となっていまして、銀行は法律で既に定められておりますが、それ以外のどこまでの範囲とするかは政令事項となっております。これにつきましては、信用金庫と信用協同組合を追加したいということです。今回の法律が、中小事業主が行う事業に従事する方々を対象としたものであるということで、金融機関としても中小企業を対象とした金融機関に限って認めたいということで、この2つとしております。
この施行令は以上でございまして、それから、4ページでございます。これはこの法律の施行に伴って、関係政令の整備と経過措置を定める必要があるというものでございます。4ページのⅡの(1)が関係政令の整備で、1つ目が公益通報者保護法の政令を改正するということですが、今回の新しい法律に規定されている罪の犯罪行為の事実を公益通報者保護法の保護を受けられる通報対象事実に該当することとするものでございます。
2も同様に、刑事訴訟法の関係で、今回の法律に規定する罪をの特定犯罪に該当することとするという内容でございます。
(2)は、ページの下に法律第7条を記載していますが、共済団体は、事務所ごとに、所定の標識を掲示しなければいけないということになっており、逆に、共済団体以外のものはそうした標識を掲示してはならないという規定が、罰則付きで定められております。これについて、法律の施行の日から6か月間は適用しないという経過措置を定めるものですが、これらはいずれも保険業法と横並び、あるいは、少額短期保険業を導入したときに同様の規定があったというもので、独自の判断を加えたというものではございません。
それから、5ページ、政令の最後ですけれども、施行期日を定める政令で、法律の施行期日を令和5年6月1日とさせていただきたいというものです。
続きまして資料5でございます。省令は1本でございますけれども、この法律の施行規則でございます。これも分量は多いのですけれども、ほとんど保険業法と並びの内容となっております。
まず、2ページですけれども、この省令案の概要の1(1)の認可に関する様々な規定を定めるという部分ですが、1共済事業に係る共済金額の上限ということで、資料3の比較表のところでございました共済金額の合計額1,580万円としたいというものでございます。
ここは青い字で「少額短期保険業における限度額を参考に設定」と記載がありますけれども、参考1を御覧いただければと思います。参考1が少額短期保険業として引き受けられる保険の保険金額の限度額の資料ですが、右側に表がございまして、これが現行の少額短期保険業で、保険の種類ごとに限度額がまず定められております。例えば死亡保険だったら300万円までといったようなことでございます。
ここの最初の○の文章に書いてあるとおり、少額短期保険業それぞれの保険種類ごとに限度額があった上で、「ただし、一の被保険者につき、1から6の合計額については1,000万円が限度額」ということで、さらに1,000万円という上限をかぶせているということでございます。
今回、この中小労災共済法における共済金額の限度額をどうするかということですが、少額短期保険業の限度額の考え方をベースにしつつ、今回の法律に基づく共済団体が取り扱う共済としては、類型としては1から5が考えられるところでございまして、これをそのまま足していくと1,580万円ということでございます。
ここは、先ほどの資料3で御説明した財産的基礎の基準につきまして、少額短期保険業は1,000万円となっているところ、今回の共済団体は1億円という高い水準にしたいと思っていることとの関係で、1,580万円をさらに1,000万円という上限をかぶせて低くするということはしないで、この1,580万円としたいというものでございます。
恐縮ですけれども、資料5の2ページに戻っていただければと思います。(1)の2純資産額の算定方法、それから、3認可申請書の添付書類、4共済規程の記載事項、この辺りは、ここに青い字で書いてあるとおり、認可特定保険業に関する命令と同様の内容をそのまま持ってきたという内容でございます。
それから、3ページでございますけれども、5財産的基礎については、先ほども御説明いたしました純資産額1億円以上というルールとしたいと思っております。この1億円以上というのは、消費生活協同組合と同等の水準としたということでございます。
次に、6労働災害等防止事業の審査基準等です。ここが、この法律の独自の部分でございますが、認可を審査するときに、労働災害防止事業としてどの程度のものをやっていただく必要があるかということの基準でございます。これは労働災害防止団体法を参考に案を作成しております。
実際にやっていただきたい事業の内容としては、アに記載しているとおり、労働災害の防止を図るための活動を促進する事業、相談、助言その他の援助、情報及び資料の収集・提供、調査及び広報といったことで、これらは全てやっていただきたいということです。これは労働災害防止団体法に位置づけられている災害防止団体に求められている事業の内容を参考に列挙したものでございます。
それから、イについても同様に、労働災害防止団体法で中央労働災害防止協会などの災防団体が求められている内容と同様のものでございます。
7以降は、再び保険業法の省令と同様の内容でございますが、7は共済規程の審査基準でございます。
4ページの8、9は、公益社団法人、公益財団法人等に関する規定と同様のものを持ってきたものでございます。
5ページの10、11についても同様に、既存の同様のルールを持ってきたものでございます。
5ページ途中から、(2)業務とございます。ここも、標識を掲示することとか、理事の資格など、様々なルールを設定する必要がありますが、これも既存の保険業法施行規則などから同じようにルールを持ってきたというものでございます。
6ページに、4資産の運用方法の制限とございます。ここも、保険業法施行規則と同様でございますが、先ほど資料3で御説明した保険契約者保護機構の対象となっていない、セーフティネットの対象外ということもあり、資産運用リスクを回避して安全な資産に限定するという観点で、有価証券にしても金融機関の預貯金にしても、ここに記載されている一定のものに限定するという趣旨でございます。
それから、あと5も既存のものと同様でございます。
7ページ、6業務運営に関する措置、ここも省令事項がかなりたくさんございますが、保険業法施行規則と同じ内容をそのまま当てはめて持ってきたものでございます。それが7ページ、8ページ、9ページまででございます。
それから、10ページから、7共済事業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置ということでございます。共済事業を実施するに当たって受け付ける苦情の対応などについてのルールですが、これも保険業法施行規則の同様のルールをそのまま持ってきたという内容で、10ページが苦情処理に当たって取るべき措置の内容です。
11ページは紛争解決措置ということで、いわゆるADRなどの必要な対応についてのルールを定めたものでございます。
次に12ページでございますが、(3)経理についての各種規定でございます。こちらも、ここで独自のルールを定めたものではなくて、既存の保険業法のルールと同様のものでございますが、業務報告書であるとか、必要な準備金を積み立てなければならないといった経理上のルールを定めるという内容でございます。
それから、13ページ、(4)監督でございます。こちらも保険業法の下でのルールと同じものでございます。まず、共済団体は認可を受けなければいけませんが、認可を受けた後に共済事業の種類を変更する場合、定款を変更する場合など、変更の認可を受ける必要がございますので、その関係の必要な書類などのルールを定めたものでございます。
それから、14ページでございますが、健全性の基準の関係でございます。共済団体は掛金を集めて、共済事故があれば共済金を支払うことになりますが、法律第31条において共済金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めることができるということになっております。それを受けて、実際どのような基準を定めるかのルールをここの省令で定めるというものでございます。
なおかつ、さらに具体的な計算方法については厚生労働大臣が定めるところにより計算した額といったような形で、さらに資料6で出てまいりますが、大臣告示にさらに具体的な計算方法は下ろすという形でございます。ここは、保険業法施行規則で定められているルールの内容と同じものを定めたいと考えております。
7も、それと関連して、6で定められた方法で計算して、支払余力比率、いわゆるソルベンシーマージン比率が計算されますけれども、それが200%以上か、100%以上200%未満かといった区分に応じて行政庁が出すべき命令の類型を定めたのがこの7のアというものでございます。これが14ページ、15ページ、16ページまでその関係の定めでございます。
それから、16ページ半ばから(5)共済契約の移転等というものがございまして、ここも保険業法施行規則と同様の内容としております。これは政令のところでも少し出てきましたが、共済契約をほかの団体に移転するという場合に備えなければならない書類であったり、公告の手続とか関係者への通知とか、関係者が異議を述べた場合の対応といったルールを定める必要があります。これについては既存の保険業法と同様の内容としております。
17ページにつきまして、下のほうに「2 解散等」とございます。共済団体が解散する場合であるとか合併する場合に必要な公告などの手続について定めた部分でございますが、これも保険業法と同様の内容でございます。これが18ページの最後まででございます。
それから、19ページから「3 共済募集」でございます。これは銀行等が共済募集人として共済募集を行うことのできる場合についての省令の定めですが、最初に「銀行、信用金庫及び信用協同組合が共済募集人として共済募集を行うことのできる場合は」とありまして、ここの主体、銀行と信用金庫と信用協同組合に限るというところはこの法律の独自のところですけれども、それ以降の記載は全て保険業法施行規則などと同様の内容を持ってきております。イコールフッティングという考え方で整理しております。
こちら、共済契約者の保護を図るための弊害防止措置などについての内容が19ページから20ページ、21ページ、22ページ、23ページの真ん中まででございます。保険業法の下で様々なルールが設定されておりますので、それと同様の内容ということでございます。
省令については以上のような内容でございます。
ご説明が長くなって恐縮ですけれども、最後に資料6でございます。こちらが大臣が定める告示でございます。
表紙をめくっていただいて2ページ、告示案の概要ということですが、告示は大きく分けて2つの内容になっておりまして、1つ目が健全性基準関係です。ここは、先ほど省令でも健全性基準がありましたけれども、支払余力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めるということですが、具体的な算式をここの告示で定めております。そこにありますとおり、支払余力÷(リスク相当額×1/2)が200%以上であることでございます。
(2)基金、準備金等の計算は、算式の分子になる支払余力の具体的にどういう金額を算入して計算するかといったことのルールになっております。
3ページの(3)と(4)は算式の分母のリスク相当額をどうやって計算するかということについてのルールですけれども、(3)で言えば、リスクをさらに共済リスク相当額、資産運用リスク相当額、経営管理リスク相当額という1から3に分けた上で、さらにそれを細分化して、どういう金額をどういう計算式で定めるかということでございまして、その上で、(4)が(3)で計算した額をここに記載の算式によってリスク相当額とするという内容の告示でございます。
それから、4ページの真ん中から、この告示の大きな2つ目の内容である共済募集関係です。こちらも、先ほどの省令で銀行等による共済募集に係る様々なルールがありましたけれども、一部告示に下りている部分があります。これも内容としては、保険会社について現行設定されているルールと同じ内容を持ってくるということでございます。これが4ページから5ページの最後までということでございます。
法律の施行を令和5年6月1日としておりますので、政令、省令、告示を通じて全て6月1日スタートとさせていただければと思っております。
以上が概要でございます。政令、省令などについては、法制的な観点から、内閣法制局や法令審査など並行して受ける必要があるので、そういう観点からの修正が入る可能性はございますけれども、内容として定めたいことは以上のようなことでございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○山本分科会長 事務局から相当大部な説明がありましたけれども、今の説明について、本日はまず御質問や御意見をそれぞれ御発言いただいて、ある程度まとめて事務局から回答させていただく形で進めたいと思います。御質問や御意見がありましたら、会場の方は挙手をお願いします。オンラインの方は「手を挙げる」ボタンを押してください。指名をさせていただきますので、その際にはマイクをオンにしていただいて、お名前を名乗ってから御発言をお願いします。
なお、本日は、対面参加の方とオンライン参加の方と両方いらっしゃいます。最初の事務局からの説明にもありましたけれども、指名の順番については、前後してしまうことがあるかもしれませんが、なるべく挙手の順番でと思っておりますので、その点は御了承ください。それでは、よろしくお願いいたします。
仁平委員、お願いします。
○仁平委員 大隈課長、いろいろ丁寧に御説明いただいてありがとうございました。他制度との比較を表にもしていただいて、同じ点と違う点、技術的にはいろいろあるのだろうと思っております。
2点ほど、ちょっと御確認させていただきたいことがございまして、1点目は、銀行と、資料3の表の一番下のところですけれども、銀行等における募集に関して、弊害防止措置、これは先ほどの資料5の説明の中で、保険業法と同様のものとするという御説明をいただいたわけでございます。本日は概要を示していただいていて、実際の規則を定めるのはまた別途だろうと思っておるのですが、具体的にいうと、タイミング規制とか、知りながら規制とか、抱き合わせ販売の禁止については、禁止行為の内容として施行規則では盛り込んでいく、明記していくという理解でいいのかどうかというのが1点目でございます。
2点目でございます。ここの表の2個目にもありますけれども、少額短期の保険業の場合というのは、保険会社における保護機構のようなセーフティネットが存在しないものですから、保険業法の施行規則で、契約者に誤解を招くことがないよう書面でこの旨の説明を行うということが義務化されているのだろうと認識しています。このセーフティネットの仕組みを設けない新たなこの制度においても共済団体に対して同様の義務というのを課すと、こういう理解でいいのかどうか、確認を2点ほどさせていただければと思っております。
○山本分科会長 ありがとうございます。
続いて、木村委員からお手を挙げていただいているので、御発言をお願いいたします。
○木村委員 ありがとうございます。全国中央会の木村です。
私のほうからも御質問させていただきたいと思います。今回御説明をいただきまして、実際に本年6月から、法律、政令、省令、告示が一斉に施行となりまして、制度が実際に動いていくということですけれども、具体的にどのような、この法律の施行によって、制度の施行によって影響があるのかというところがいま一つ、御説明はいただいたのですけれども、ちょっと私はまだはっきりとイメージがつかめないなというのが実感としてあるところです。
まず、その上で質問なのですけれども、今回の申請の対象として、現行の団体で実際に該当となり得るような組織というのが数としてはどの程度あるのか、また、影響が及ぶ範囲として、事業者数ですとか、中小事業主に雇用されている従業員数といったような想定されるところのおおよそのイメージ、あるいはざっくりとした数で結構ですので、事務局としてはどのように捉えられているのかといったところをお聞きしたいなと思います。よろしくお願いいたします。
○山本分科会長 ありがとうございます。それでは、このタイミングで、事務局から御回答をお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 お答えいたします。
まず、仁平委員から御質問の弊害防止措置に関することですけれども、資料でいうと、資料5の19ページから23ページまで銀行等の共済募集に関することをずらっと書かせていただいておりますが、実際、主なところはこれで拾っているつもりですが、まだ省令に実際に規定する事項はございまして、若干丸めて概要として書かせていただいたところがございます。
それで、御指摘のあったタイミング規制や、抱き合わせ募集の禁止や、知りながら規制と言われているものについては、22ページの12に「共済契約の締結又は共済募集に関する禁止行為」という記述がございまして、これの3行目の最後のほうから、「既に成立している共済契約を消滅させる行為等とする」と書いております。ここの「等」の中に、仁平委員がおっしゃったタイミング規制と抱き合わせ募集の禁止と知りながら規制は入っている形になります。次回の資料などでそこを明確にするということも考えたいと思いますが、結論としては、省令としてはそういう内容を定める予定で考えているというものでございます。
それから、セーフティネットの対象にならない旨の説明ということについては、同じく資料5の21ページの4のところに「情報の提供」という省令の事項がございまして、ここで共済契約の内容その他共済契約者等の参考となるべき情報の提供を行う場合には、これこれの方法によって行うものとするという定めを置くこととしております。この中に、そういうセーフティネットの対象にはなりませんよということが含まれるように定めたいと思っております。この資料は概要なので、詳細な部分が直接見えない形になってしまっているかと思いますが、仁平委員がご質問の内容は定めたいと思っております。
それから、木村委員の御質問ですけれども、今回の共済法の共済団体になるというのは、認可特定保険業者から移行してくるということもあり得ますし、それ以外に、一般社団とか一般財団で労災等防止事業をやるというところが新たに手を挙げてくるという道もあり得ます。実際には、現在、認可特定保険業者として、この労災補償を対象としたような共済事業をやっている団体というのが4団体あるのですけれども、その中で、共済だけではなくて、労働災害防止の事業も併せて行っているところというと2団体に絞られるということでございます。
そうした団体がまたこの法律に基づく共済団体として手を挙げられるのかどうかも分からないといえば分からないのですけれども、現状としてはそれぐらいの状態なので、直ちに多くの団体が手を挙げてくるということにはならないのではないかと思っています。ただし、これは施行後の状況でまた変わってくる可能性はあるということでございます。
今、現に共済を実施して労災防止事業を行っているような団体は、例えば会員となる労働者が数十万人いるようなところもあります。ただ、それはもう既に認可特定保険業として同じような事業をやっているということなので、この法律で手を挙げてきたからそれがどうなるか、それも分からないのですけれども、そのような現状でございます。
それと、社会的な影響というか、この法律ができたことの意義という部分ですけれども、今までの状態だと、経過措置として、労災の共済と労災防止事業を行うことはできたということですが、恒久法としてできるようになるとか、新しい事業に取り組むことができるとか、そういう点での広がりはあり得るところですので、そういう面でこの法律ができた意義はあるのではないかと思っております。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございました。仁平委員、木村委員、よろしいでしょうか。
○仁平委員 ありがとうございます。
○木村委員 ありがとうございます。
○山本分科会長 それでは、ほかの委員の方で御意見、御質問等ございますでしょうか。
高木委員、お願いします。
○高木委員 今回も、議員立法ということで、様々な国民の声を吸い上げる形で今回の新法制定という運びになっていると思います。私はこういった仕組みができることを非常に歓迎しています。と言いますのも、これまで労災関係というのは様々問題を含んでいましたし、企業によっては労災ゼロということを目指している場合もあり、これによって労災の対象にならない人々が多く出てくるという問題もかつてはあったと思います。今回のこの新法はそれとは全く違う次元のものですけれども、なぜこの新法が必要と考えられるのかということを述べたいと思います。
勤労者の生活を安定化させるための仕組みというのは、幾ら網の目のようにつくり上げたとしても、そこからこぼれ落ちる人たちがたくさん出るというのが現実としてあると思うのです。そのこぼれ落ちる理由なのですけれども、必要な情報にアクセスする能力やその機会に恵まれていないとか、あるいは、そもそも対象からこぼれ落ちてしまっているということがあると思うのですね。そういった人たちはどういう人たちかと考えると、やはり大企業よりは小規模事業所に従事する人々がそのようなリスクに接近しやすいということがあると思うのです。
ですので、網の目からこぼれ落ちないようにする仕組みを手厚く、網の目のようにさらに張りめぐらせるとか、あるいはこぼれ落ちてしまった人をすくい上げるための仕組みをつくるということは非常に賛成であって、こういった新法というのは歓迎したいと思っています。
あと、これもコメントなのですけれども、今回の新法というのは小規模事業所に従事する方たちを対象にするということになります。これについて、政令案のほうにございます3ページの6に、共済事業を行うことができる銀行等の範囲が示されていますが、銀行に加えて、信用金庫、そして信用組合が含まれるというのは、これも妥当な判断であると考えています。
1点だけ質問させていただきたいことがありまして、私はこの分野の専門家ではないので、知らないこともあって教えていただきたいのですが資料3「他制度との比較」の「財産的基礎の基準」のところで、今回の場合は純資産1億円以上とするということした。その根拠というのが、省令案資料5の3ページの5ところにあると思いますが、これによると「消費生活協同組合」と同水準ということで、これが準拠する出所であるということで。例えば、ほか点に関しては、ご説明頂いたようにイコールフィットのために「保険業法」が準拠するものになっているということは分かるのですけれども、財産的基礎の基準に関して、消費生活協同組合がその準拠になるということは、これはそういうものであるのか、その根拠というか、理屈というのを教えていただければと思いますので、お願いいたします。
○山本分科会長 ありがとうございます。ほかの委員の方で何か御意見とか御質問ありますでしょうか。
では小野委員、お願いします。
○小野委員 ありがとうございます。今年度、勤労者生活分科会に参加させていただいておりまして、昨年度から今年度にかけて、例年と大分様相が違うといいますか、労働者協同組合法とか、今回の共済法ですね。こういったことを議論するということになっているわけですけれども、この分科会の今後のあり方として、今申し上げた2つの法律について、その制度のあり方に関しても継続的に検討していくということになるのかどうかということについて、まずはお伺いしたいと思います。
といいますのは、今回の共済法も含めて、例えば保険業法とか少額短期とか、こういった制度にある程度精通している方がいらっしゃらないとなかなか議論も難しいのかなあという気がしますので、その辺り、今後どういう流れになっていくかということについてお伺いしたいというのが1点です。
もう一点ありまして、先ほどの資料3に計理人というのがありますけれども、保険会社とか少額短期業者と同様のことを、法律事項ではないのですけれども、制定していただくということで、そこは「監督指針(通知)で規定」とありますけれども、その辺りは同時に規定されるということになると思いますけれども、それは今後ほぼ同等になるようにお示しいただけるのかということですね。
この2点についてお伺いしたいということでございます。以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
あと、出井委員が手を挙げていただいているので、出井委員もお願いいたします。
○出井委員 コメントでございますけれども、今回の共済法に関しまして、先ほどどなたかの御発言ございましたが、私も大変よいことだと考えております。といいますのも、企業に従事する立場でもあり、いろいろな働き方を見たりもしておりますが、その中で、やはりコロナ禍以降非常に、テレワークもそうですし、働き方も多様化してきてございます。
内閣府の調査などを拝見しましても、そういった中で、テレワーク進んだ中での例えば福利厚生の充実度合いを企業に求めるというのも、19%、特にテレワークを経験した方は希望しているようでございます。決して少ない数字ではないと思いますし、あと、同じ調査の中で、今、20代、30代、特に20代ですと、約40%近い方が起業に関心があるというような、働き方が多様化してきている社会において、大企業だけではなく、中小企業、いろいろな形で働く環境が整っていく。そういった働く中での、こういうコロナ禍における健康に関して、または家族や自分の健康、それ以外に生活に関しても様々な不安がある中で、こういった労働者を守るような法律というのがしっかりと整っていくというのは非常に歓迎されるべきことではないかなと考えております。
すみません、コメントでございますが、以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。それでは、御質問等ございましたので、事務局から回答をお願いします。
○大隈勤労者生活課長 御回答させていただきます。
高木委員の御質問で、財産的基礎の基準を1億円以上ということでございます。今回新しい、いわゆる制度共済という形でできるわけなので、これは共済契約者の保護を図られるようなしっかりしたルールにする必要があるということで考えておりまして、そのときに、少額短期保険業者の1,000万円がどうかというところで、もう少し高めの基準で設定していいのではないかという考えがまず1つございます。そういたしますと、既存の制度としては、少額短期保険業者で言えば1,000万円というところですが、それに次ぐというか、それより上の水準で設定している既存の制度としては、消費生活協同組の1億円以上というものがございました。
消費生活協同組合は多種多様な共済を扱っているところなので、完全に同じではありませんけれども、1,000万円に次ぐレベルの基準としてあり得るものとしてはこの1億円というものがあるのではないかということで、そちらと同等のものとさせていただいたということでございます。
それから、小野委員の御質問ですけれども、議員立法という形で制定された法律の施行、政省令などのルールを定めるということで今回お願いしておりますが、今回、1つルールができましたので、当面これがどんどん見直されていくということはあまり想定はされないと思っております。
もしあるとすれば、保険業法のほうのルールが仮に変わっていったときに、それもイコールフッティングということで並びを取りながら見直していくということはあるかもしれませんけれども、今後の想定される流れとしてはそういうものかと思っております。そのときに、この分科会の委員の皆様に御意見をいただくということもありますし、金融庁とは、今回のこの政省令、告示を定めるに当たってもいろいろ御相談もして、アドバイスもいただいて、協力いただきながらやっていますので、今後もそういう観点で専門性の部分は担保しながら進めていきたいと思っております。
あと、計理人の関係ですけれども、法律の時点で計理人の関与というのが書かれなかったので、そこの時点で保険会社や少額短期保険業者とは少し違う位置づけでもう出発してしまっているのですが、その上でも、監督指針で計理人が必要な関与をしていただくように定めたいと思っております。
監督指針自体は、政省令や告示でもなくて、運用の指針のようなものなので、従来の取扱でいうと審議会でお諮りするということにはしていないところのものになりますが、例えばパブリックコメントとかそういう形、金融庁などもそういう形はやっているようなので、必要な専門性とか御意見をいただくというプロセスは踏むことになるとは思っております。
以上でございます。
○村山雇用環境・均等局長 すみません。小野委員からの御質問、当面の対応は、今、大隈課長から御答弁差し上げたとおりでございます。それで、小野委員のお投げかけの中には、多分、この中小労災共済法ですとか、あるいは先般の労働者協同組合法のような立法政策について、何か能動的にこの審議会でまた議論が継続していくのかという少し長い目で見た場合の考え方の整理もという点もあったのだろうと思います。
これは何か明文の決めがあるわけではございませんけれども、基本的にやはり議員立法で制定された法律について根幹的に法律をまたさわって何か変えるという場合には、基本はやはり立法府のほうの意思を尊重するという経緯はあるのだろうと思っています。そういう意味では、当面まず、行政府としては、立法府で定められた法律の改法令をきちんと、先ほど大隈課長から申し上げたように定めていくということをしっかりやった上で、また中長期的にはむしろそうした動向にも十分目を配りながら、先生方にお願いするときがあれば、また審議会のほうでいろいろお願いしていくということになるのではないかと受け止めております。
○山本分科会長 高木委員、小野委員、御質問についてはよろしいでしょうか。
(高木委員、小野委員首肯)
○山本分科会長 ありがとうございます。
それでは、八野委員が手を挙げていただいているので、よろしくお願いいたします。
○八野委員 八野でございます。
今回の中小労災共済法、非常にいい法律ができたなと思っております。というのは、平成22年の保険業法改正で認可特定保険業ができたということでございますが、個人事業主向け労災共済事業を行っている団体が例えばあんしん財団など数少ないと聞いております。そういう意味で、今回、フリーランスですとか、また一人親方と言われるような人たちの労災共済事業が開かれるということは非常にいいことだと思っております。
ただ、1点だけ、先ほどほかの先生もおっしゃいましたが、私はちょっと違いまして、今回の純資産1億円というのが本当にこれでいいのか。というのは、例えば1,000万を1,580万に上げられたり、それから、多くの個人事業主、一人親方的な人とかフリーランスが自らやるということはできないので、業界のグループとかいろんなところでやっていかれるのではないかと思うのですが、そういう人たちが健全に安心して労災・共済事業が受けられるようにするには、掛金のことも当然あるとは思うのですけれども、共済事業を行う団体自体がしっかりしていないと非常にリスクが大きいのではないか。そういう意味では、1億円でも私は足らないのではないかというような気がしておりまして、もう少し、ここもほかの先生が質問されましたが、イメージですね。どれぐらいでどういうところからどう出てくるのかというイメージをもうちょっと想定されて、その共済事業を行う団体の純資産を含めまして、その団体の組織というものをもう少し深めて議論されたらどうかなと。私も詳しいわけではございませんが、少しそんな気がいたしております。
以上でございます。
○山本分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
では、坂下委員、お願いします。
○坂下委員 経団連、坂下でございます。御説明ありがとうございます。
質問等ではなくコメントにしたいと思いますけれども、資料1の左下のほうに書いてありますとおり、今回の議員立法ができまして、必要な政省令等の整備をするということで御説明いただきました。皆様もおっしゃっておられましたとおり、労働災害の発生、やはり中小・零細ですとか、そういうところで多くある中で、こういう比較的小さい事業所での労災防止等、災害を補填する共済制度の役割が重要だというのは全くそのとおりだと思っておりまして、今回こういう形で恒久的な制度になり、しっかり手当てされるということで非常によろしいのかなと思っております。この後はパブコメを経て、その後、具体的な政省令の話になると理解しておりますけれども、今回の内容については賛同しておるということを申し上げたいと思います。
あと、ほかの団体と違うのは、労働災害等防止事業をやるというところがありまして、まさにそういったものも非常に重要になると思います。既にそういったことをしっかり取り組まれているところが対象になるのだと思いますけれども、そういったところにも期待したいと思っております。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございます。
鹿住委員、お願いいたします。
○鹿住委員 ありがとうございます。
私も、今回の法律の趣旨につきましては、大変重要な、意義のあるものということで賛同しております。その上で、先ほど小野委員、あるいはオンラインの先生方もおっしゃっておりましたように、制度として健全なものとして運用されていくために、やはり専門家の知見というのは必要なのではないかと。特に今問題になっておりました純資産が本当に1億円でいいのかというところ、それから、計理人の方を配置する話も、実際やってみて、保険料がどのぐらいのレベルなら適切なのかとか、その辺もイメージができないと、せっかくいいものをつくっても、保険料が高くて加入するのが難しいということになってしまうと、この法律の意義というのが十分に発揮できないと思いますので、その辺も、事前にある程度シミュレーションするということが重要なのではないかと思います。
あと、非常に細かいところで恐縮なのですが、同じ厚生労働省の制度の中で、中小企業退職金共済というのがございますよね。小野委員もそちらの委員をされているのですが、そこでよく、制度上、今までも問題になってきたのが、雇用主の方が契約をして保険をかけますので、従業員の方が自分がその保険に加入しているのかどうかというのをどうやって知らせるのか。自分がかけられているということを知らないと請求漏れが発生する可能性もありますので、その辺の細かい運用の仕方、中小企業退職金共済もございますので、そういったものを参考にしながら決めていかれると、より有意義なものになるかと思います。
以上です。
○山本分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から回答をお願いいたします。
○大隈勤労者生活課長 まず、財産的基礎の基準につきまして、1億円ということでございますが、既存の共済制度と比べても、消費生活協同組合などは多少リスクあるものも含め多様な商品がありますが、それで実際設定されている水準ということもあり、必要な水準には達しているのではないかと思っておりますが、それに加えて、今回、監督という形で規定が入ります。
例えば、資料3で言いますと認可特定保険業者のうち、労災等を防止する事業と労災等の共済という2つの事業をやっている団体が現にあるわけですが、そこの財産的基礎の基準は1,000万円以上となっています。そのような基準で、現状では特に何か問題が起こっているというわけではありませんが、今回の共済団体はそれよりさらに高いハードルを課すということでございます。純資産は1億円にした上で、それだけでなくて、健全性基準という、資料3の一番下から2つ目にありますが、現行の認可特定保険業者で言えば、特に健全性基準を当てはめて何か監督しているというわけではないのですけれども、今回の共済団体は新しい法律で恒久的に行うものということで、そこはハードルを上げて、健全性基準を当てはめて、しっかり監督していく、支払いがきちんとできる状態にあるかをチェックするということで、監督は毎年度、健全性基準だけでなくて、いろんな財務諸表なども見ながらチェックしていくことになりますので、その辺を、財産的基礎プラス監督、健全性基準などもろもろ併せて、問題が起こらないように、被共済者の保護に欠けることがないようにという形で取り組んでいければと思っております。
それから、鹿住委員御指摘の点です。今回の共済制度の下では、事業主が共済契約者となって、そこで働かれている従業員の方は被共済者という形になると思いますが、従業員の方には共済契約のときには中小事業主の方から同意を取っていただくような手続をして、知らないうちに入っているとかいうことがないようなことは必要ではないかと思っています。細目のルールの中になるかもしれませんが、考えていきたいと思っております。
○山本分科会長 今の回答で、八野委員、それから鹿住委員、何か御意見あればと思いますが、よろしいですか。ほかに御意見等ございますでしょうか。
もしないようであれば、それでは、委員の皆様から今日いただいた御意見等を踏まえて、次回の分科会で政省令等の諮問に向けた資料の準備を事務局にお願いして、それをもとに次回御審議をいただきたいと思いますけれども、そのような方向でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山本分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局において、次回に向けての準備をお願いいたます。
本日の議題については以上になります。事務局で何かございますでしょうか。
○大隈勤労者生活課長 本日は、中小労災共済法の施行に向けた議題について御審議いただきまして、誠にありがとうございました。本日御審議いただきましたこの政省令等につきましては、並行してパブリックコメントの手続を経る必要がございますので、2月中旬頃になるかと思いますが、そこから30日間、パブリックコメントを行う予定とさせていただいております。その上で、また諮問というような手続に進んでいければと思っております。次回の分科会につきましては、また日程を改めて御連絡させていただければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○山本分科会長 それでは、そのように進めていただくことにいたしまして、本日の分科会はこれで終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。