第6回労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会 議事録

日時

令和4年9月28日(水) 14:00~

場所

厚生労働省 専用第22会議室(オンライン会議会場)

議事

○小畑部会長 それでは、ただいまより第6回「労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、本日は、御多忙のところ、御参集いただき、誠にありがとうございます。
 初めに、昨年度開催された第5回地方連携部会から委員の改選がありましたので、御報告いたします。
 資料1の委員名簿を御覧ください。改選により新たに御就任いただいた委員を御紹介させていただきます。
 労働者委員として、日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長、小菅元生委員、使用者委員として、全国中小企業団体中央会労働政策部副部長、木村恵利子委員が新たに就任されております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、委員の皆様の出欠状況の報告及び資料の確認をさせていただきます。
 本日の委員の出席状況につきまして、本日は全員御出席であります。
 なお、事務局の田中局長が所用により途中出席となっております。
 また、本日の資料は、議事次第、資料1、資料2の3点になります。
 出欠状況の報告及び資料の確認は以上でございます。
 それでは、議事に入ります。
 なお、マスコミの方の頭撮りはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○小畑部会長 議題(1)「雇用に関する国と地方公共団体との連携状況等について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○西海公共職業安定所運営企画室長 公共職業安定所運営企画室長でございます。
 資料2に基づきまして、御説明させていただきます。
 3ページ目を御覧ください。雇用対策における連携の全体像ということでお示ししております。国が、全国ネットワークのハローワークを通じまして、セーフティーネットの役割を果たすべく、求職者や求人者への支援を行っているということで、主な業務として職業紹介、雇用保険制度の運営、雇用対策を一体的に実施しているところでございます。地方公共団体においては、主な業務として福祉関係、生活相談業務、産業振興策、就労支援、こういった業務を担っております。国と地方が役割を担いながら、それぞれの強みを生かし合い、補完し合いながら、一体となって雇用対策を進めることが重要であるということでございます。
 4ページ目を御覧ください。第6次地方分権のとき、平成28年に法改正が行われました。雇用対策法の改正によりまして、国と地方公共団体の連携を強化するために、雇用対策協定や一体的実施事業といった枠組みが法定化されました。他方、職業安定法の改正によりまして、地方公共団体が民間とは異なる公的な立場で無料職業紹介を実施する、こういう観点から地方版ハローワーク、求人求職情報の提供ができるように法改正を行ったところでございます。こういった枠組みに基づいて国と地方の連携施策を進めているということでございます。
 具体的な連携施策の実施状況につきまして、御説明を進めさせていただきます。
 6ページ目は、雇用対策協定の締結状況でございます。ハローワークを通じて、職業紹介、雇用保険、雇用対策を一体的に実施する国と、地域の実情に応じて各種の対策を行っている地方公共団体が一緒になって雇用対策に取り組むということで、雇用対策協定を締結しております。それぞれの役割分担、連携方法を明確にしながら、PDCAサイクルを回しつつ、取組を進めております。締結状況でございますけれども、全ての都道府県を含む242団体において協定を締結しまして、取組を進めているところでございます。
 7ページ目から具体的な取組の状況につきまして御説明させていただきます。
 7ページ目が和歌山県紀の川市の取組でございます。地域の人材確保を図っていく必要があるという中で、市と地域の大学、企業、ハローワークが連携して企業見学会を実施したというものでございます。大学1年生を対象に、将来、地元企業への就職を意識してもらう、そういったことを狙いとして見学会を開催したということでございます。見学会の事前学習の機会を設けたり、ハローワーク職員が就職活動の基本的なところを説明する、そういったことも併せて行ったということでございまして、71名の学生に参加してもらいまして、アンケート結果にもありますように。地元への就職意識を高めてもらうきっかけとなったという取組でございます。
 8ページ目を御覧ください。沖縄県石垣市の取組でございます。こちらは、保育士の確保が課題ということで、保育士の確保に向けたオンラインの説明会を開催したというものでございます。市の公式LINEでもこの説明会について周知いたました。その結果、石垣島の島外からも参加いただきまして、20名の方に参加いただき、3名の就職につながっているということでございます。労働局・ハローワークによる周知と併せて市の広報ツールも活用し、発信して、こういった説明会を行ったという取組でございます。
 9ページ目は、広島県呉市の取組でございます。市にありました製鉄所の高炉休止への対応ということで、連携して再就職支援策に取り組んだというものでございます。市、労働局・ハローワークが共催で大規模面接会を集中的に開催したということで、合同企業説明会や、地域の企業、経済団体、市と連携して就職面接会を開催しまして、再就職支援に集中的に取り組んだという事例でございます。
 10ページ目は、茨城県の高萩市、北茨城市の取組でございます。こちらは、市と地域の商工会とハローワークが連携した取組でございます。コロナ禍で対面の企業見学会や説明会を開催する機会がない中にあって、地域の方々にもっと地元企業について知ってもらいたいということで、ウェブを通じた企業のPRを行ったという取組でございます。高萩市、北茨城市の企業80社をページに掲載してもらいまして、ハローワークとしては、企業の魅力が伝わるような企業のPRシートの作成のアドバイスを行ったり、あるいは学生や一般求職者にウェブページを周知広報する、そういったことをやって連携して取り組んだというものでございます。
 11ページ目は、現在の協定の動向でございます。47都道府県全てで協定を締結されておりまして、令和3年度は19市2町と新たに協定を締結しております。令和4年度につきましても、8つの自治体で締結しているということで、順次、基礎自治体について協定の締結を拡大しているということでございまして、引き続き、こういった取組を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、一体的実施事業の実施状況に関する御説明でございます。
 13ページ目を御覧ください。一体的実施事業の概要でございます。国の行う無料職業紹介と地方公共団体が行う各種支援を一体的に実施する事業でございます。まず、地方公共団体から提案を頂きまして、国と協議した上で協定を締結いたします。その上で、運営協議会でどういった事業をやっていくのか、そういったことを検討して事業を展開していくという枠組みで実施しております。令和4年9月現在、185団体において実施されている状況でございます。
 14ページ目は、185の地方公共団体の具体的な状況でございます。
 15ページ目は、一体的実施事業で実施されております業務、支援対象者でございます。実施されている業務については福祉業務が一番多く、続いて就労支援が多いという状況になっております。支援対象者も、福祉業務が多いということでしたけれども、それと関連いたしまして、一番多いのは生活保護受給者となっております。その他、各地域で取り組む対象者を設定いたしまして、障害者、若年者、子育て中の方、中高年齢者、そういった方々を対象に事業が実施されているということでございます。
 16ページ目を御覧ください。一体的実施事業の目標の達成状況を記載しております。達成した拠点が271拠点、81.4%ということで、8割を超える割合になっております。過去3年度の目標達成状況は、令和2年度は7割を少し切る達成率でございましたが、令和3年度は持ち直しまして、8割を超える状況になっております。
 利用者アンケートの結果は、96.3%が「満足」と回答していただいておりまして、おおむね「身近な場所で親身になって相談に乗ってもらえて助かる」という声を頂いております。他方で「とても使いやすいですが、存在を知りませんでした。もっとPRしてください」という声も頂いているところで、事業の広報にはしっかりと努めていかなければいけないと考えております。
 17ページ目を御覧ください。一体的実施事業における就職件数等の推移でございます。折れ線グラフが就職率、薄いピンクの棒グラフが就職件数、濃いほうが職業相談件数になっております。令和3年度の就職件数、就職率ともに令和2年度まで減少傾向にあったところを増加に転じて、また相談件数については過去最高を記録しているということで、持ち直している状況になっております。
 18ページ目は、事業の効果を上げていくために、マル1からマル3に掲げておりますような観点に着目して取り組んでいるところでございます。1つ目がPDCAサイクルによる事業管理、2つ目が国と地方の連携を深めて利用者を確保していく、3つ目が、コロナ禍でありますので、来所によらないサービスを展開していく、そういったところを中心に力を入れているところでございます。
 PDCAサイクルの徹底ということでございますが、就職率の上昇が必要な施設が令和3年度は22施設、相談件数については16施設の増加が必要と考えております。そういったところに特に改善計画を策定してもらいまして、それを実行してもらいました。それに当たっては、本省、労働局とも連携いたしまして、フォローアップしたところでございます。その結果といたしまして、それぞれ11施設、8施設が改善計画の目標を達成しまして、半分の施設で改善が図られたということでございます。残る半分につきましても、引き続き、改善に向けた取組を図っていくということでございます。
 19ページ目以降、これらの3つの観点につきまして、どういった取組を行っているか、御紹介しております。
 19ページ目の一番上が高知県の取組でございます。PDCAサイクルによる事業管理を徹底することと併せまして、県の広報チャンネル、県が包括協定を結んでいるスーパーにリーフレットを設置する等の対策も併せて講じまして、利用者の確保を図ったという取組でございます。
 左下は、和歌山県海南市の取組でございます。こちらも、事業管理をしっかりやっていくことに取り組むとともに、市役所にこの施設がございましたところ、市長自らこの施設の積極的な活用を指示されまして、市長のリーダーシップの下、利用者の増加につなげたという取組でございます。
 右下は、品川区の取組でございます。区が行っている就業支援、生活支援の窓口としっかり役割分担、連携を図りまして、利用者の確保を図ったという取組でございます。
 20ページ目でございます。左上は、堺市が持っているSNSの広報のツールを活用しまして、利用者の確保に努めた取組です。右上の熊本県の取組、下の札幌市の取組は、いずれもオンラインで県あるいは市が行っている就職相談等の支援について、ハローワークと連携いたしまして、取り組んだものでございます。
 21ページ目からは各拠点の令和3年度の取組事例です。
 21ページ目の1つ目が高槻市の取組でございます。市の生活困窮者支援の窓口と隣り合う形でハローワークの就労支援の窓口を設けまして、一体的に連携を図ってチームで支援を行った取組でございます。
 22ページ目は、静岡県島田市の取組でございます。こちらは、島田市の子育ての窓口に来られる子育て世代の方々に対しまして、ハローワークの就労支援を併せて行うということで、子育て世代の方にワンストップで就職支援を行っているという事例でございます。
 23ページ目は、高齢者の就職支援でございます。富山県が高齢者の人材バンクシステムを構築、運営している中で、ハローワークと連携しまして、シニア世代の再就職と企業の人材確保を一体的に連携して支援したという取組でございます。
 24ページ目は、埼玉県秩父市の取組でございます。働き方が多様化する中で、秩父市においては内職相談・あっせんの窓口を設けていますが、そことハローワークの窓口が連携しまして、内職と就労の両面から自分に合った働き方を提案しまして、求職者のニーズに合った働き方の支援を行っているという事例でございます。
 以上が一体的実施事業と雇用対策協定に関する御説明でございます。
 26ページ目は、地方版ハローワークの状況の御説明です。これは、民間の職業紹介事業者とは異なる位置づけで、公的な主体として地方公共団体が無料職業紹介を実施する枠組みでございます。設置状況及び実績等にございますとおり、設置事業者数については448の自治体で940か所実施されている状況でございます。実績については、新規求職申込件数、新規常用求人数、就職件数についてもやはりコロナ禍の影響を受けまして、前年度と比べると減少している状況でございます。
 27ページ目を御覧ください。こちらは、ハローワークが有しております求人情報をオンラインで提供するという取組でございます。令和4年6月1日時点で2,114団体にこのサービスを利用いただいている状況でございます。そのうち自治体等は439団体に御利用いただいている状況でございます。
 28ページ目は、ハローワークが有しております求職情報の提供サービスでございまして、719の団体に御利用いただいている状況でございます。
 29ページ目に全体の仕組みを参考としてお付けしております。希望される求職者の方について情報を提供するということでやっておりますけれども、この利用を希望される求職者の数については、28ページ目にございますとおり、6万3000人余の方の情報が提供されているという状況でございます。
 資料の御説明につきましては、以上でございます。
○小畑部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問や御意見がありましたら、会場にて御出席の方は直接手を挙げていただき、オンラインにて御出席の方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきたいと思います。発言に当たりましては、私のほうから指名させていただきました後に、オンラインの場合はマイクをオンにしてお名前を名のってから御発言いただきますようにお願いいたします。発言後は必ずマイクをミュート、オフにしていただくようにお願いいたします。
 それでは、何かございますでしょうか。小菅委員、お願いいたします。
○小菅委員 質問ですが、資料2の17ページに関連してです。一体的実施事業における就職件数の推移について、グラフを見ても分かりますが、平成30年度からの就職率、就職件数がともに、低下傾向にあります。これに対して要因分析を行って、効果的な事業運営を求める旨の発言が、第4回の本部会の中であったと思います。現時点で中長期的な低下の要因をどういうふうに捉えているのかというのが質問です。
○小畑部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問ですので、事務局からお答えをお願いいたします。
○西海公共職業安定所運営企画室長 直近で申し上げますと、やはりコロナ禍の影響というのは大きかったのではないかと考えております。それぞれ事業によりまして対象者も異なりますし、事業の内容も異なりますので、一概にどこに原因があったのかを申し上げるのは難しいかもしれませんけれども、その事業が効果的、効率的に運営されているかということを各事業を実施されている自治体、それから労働局・ハローワークがしっかり分析して、次の年度の改善につなげていくというところがやはり重要かと思っております。その意味では、特に昨年、就職率あるいは相談件数が低いところには改善計画を作成してもらいまして、対策を講じてもらいましたので、やはりそういった取組をしっかり続けていく、PDCAサイクルをしっかり回していくということが重要なのではないかと考えております。
○小畑部会長 小菅委員、いかがでしょうか。
○小菅委員 ありがとうございます。
 直近の動きについてはここに書かれているのですが、伺いたかったのは、29年度、30年度、元年度と中期的に相談件数がほぼ横ばい、もしくは少し増えている中で、どうして就職件数の減少が続いているのかということです。例えば、15ページに主な支援対象者が示されていますが、就職件数の減少について、それぞれどの支援対象者が増えた、あるいは減った結果、減少傾向で推移しているかなど、内訳の把握は可能ですか。
○小畑部会長 事務局、お願いいたします。
○西海公共職業安定所運営企画室長 現状を申し上げますと、もちろん各事業を実施している施設ごとにそういったデータについては把握しておりますけれども、委員がおっしゃいましたような、15ページにありますような対象者ごとあるいは業務ごとに応じてデータの集計・把握はやっていないところでございます。また、対象者につきましては、マル1からマル7で分類しておりますが、これは延べの団体数を記載しております。したがいまして、施設によりましては、複数の対象者に対しまして支援を実施しているといったところもございますので、そういった切り分けというのが難しい面もございます。
○小菅委員 分かりました。
 17ページのところに戻り、意見を申し上げます。令和3年度に関しては、先ほども少しお話がありましたが、就職件数、就職率は、かつての水準には回復していませんが、共に減少傾向からの反転増加になっているということです。これは、オンラインによる相談支援の拡充や、利用者のニーズを踏まえた支援の取組等の結果、就職相談の支援が過去最高になったことに起因しているのだろうと理解しております。一方で、今申し上げたコロナ禍以前からの一体的事業の就職件数の推移が低落傾向にあるので、この中期的な就職件数等の減少要因をもう少し把握・分析のうえ、課題の改善に努めていただき、今回の就職件数の増加が一時的なものにならないように、ぜひ継続的な実績の回復につなげていただきたいと思っております。
 あわせて、今後も来所が困難な方々等のニーズを勘案して、オンラインの拡充で利便性の向上を図っていただくということは重要なことだと考えております。一方、本事業では特に利用者の属性を踏まえ、従来の丁寧な対面支援も重要だと思いますので、引き続き、対面支援にも忠実に取り組んでいただきたいということで、これは意見でございます。
 以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。
 続きまして、御意見、御質問ございますか。木村委員、お願いいたします。
〇木村委員 私も今回から参加させていただきます全国中央会の木村と申します。よろしくお願いいたします。
 私からも意見と質問をさせていただきたいと思います。
 まず、御紹介いただきました、それぞれの国と地方公共団体の雇用対策協定や一体的実施事業といった具体的な事例ですけれども、地域のニーズに沿って利用者になじみの深い地元自治体のメディアや施設を利用して実施されることで、利用者には非常に評価を頂いている、よろしい取組ではないかと感じました。他方で、先ほど事務局や小菅委員からも御意見がございましたように、この事業を具体的な成果に結びつけていくとか、より次年度に向けて改善して、効率的な事業運営を意識していただくことは非常に大事なことと思っております。一体的実施事業に関しては、国に関する経費の部分は財政が非常に逼迫しています雇用保険二事業財源で実施されていると承知しておりますので、その観点から、それぞれの自治体に設置された運営協議会のところでPDCAサイクルを回していただいているということですが、引き続き、ブラッシュアップしながら事業を進めていただくということは非常に大切なことだと思っております。
 ここで質問が一点ございます。各自治体にそれぞれ協議会を設けて検証されているということなのですが、国としては、地方公共団体との連携を基にして地方の雇用対策の事業を中長期的にどのような到達点とか具体的な目標水準を目指して進めていただいているのか、もし描いているものがあれば教えていただきたいというのがお願いでございます。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○西海公共職業安定所運営企画室長 中長期的な雇用対策の目標という部分でございましょうか。
〇木村委員 そうです。お願いします。
○西海公共職業安定所運営企画室長 この一体的実施事業においては、個別の事業ごとに協議会においてPDCAサイクルの管理をしっかりしながら展開していただいているところでございますけれども、国といたしましては、一体的実施事業の今日御説明しているような総括をいたしまして、全国的な実施状況について分析する。といいますのは、先ほど来お話が出ておりますPDCAサイクルを回すということもそうですし、また一体的実施事業の18ページに書いてありますような、現状を分析しまして課題として考えられるところは、PDCAサイクルをしっかり回していくことだけではなくて、併せて国と地方で連結をさらに深めることによって利用者の確保に努める、あるいはコロナ禍という状況を踏まえてオンラインを含めたサービスの支援を展開していく。分析をした上で、今後の対応の方向性としてこういったことに取り組んでいるところでございます。そういった意味では、現状の国と地方の連携の状況、ミクロの部分をしっかり把握した上で、全体としてどういう部分の改善を図っていくのか、そういったところを検討して全国的な取組にフィードバックしてつなげていく、そういったことをまずしっかりやっていかなければいけないと考えております。
○小畑部会長 木村委員、よろしいでしょうか。
〇木村委員 分かりました。ありがとうございます。
 私ども中小企業を代表する組織ということで、いつもその観点から御意見させていただいているのですけれども、コロナ前から中小企業は人材不足が慢性的な課題になっております。その傾向というのは業種によってもばらつきがありますけれども、特に地方においては非常に深刻な状況がありますので、こうした一体的実施事業とか地方版ハローワークといった取組を通じて、可能な限り潜在的な人材の掘り起こしと地域の中小企業とのマッチングの創出、それから、それを定着させるところまでつなげていただきたいというのがお願いでございます。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 ありがとうございます。
 では、青木委員、お願いいたします。
○青木委員 委員の青木でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 国と地方自治体の連携について、意見、要望などを申し上げたいと思います。
 雇用対策協定の締結や、御説明いただいた一体的実施事業の実施団体が少しずつ増えていることなどを見ると、全体的に取組は前進していると感じているところでございます。一方で、コロナ禍でも様々な好事例なども御紹介いただいておりまして、効果がある取組はもっと力強く全国へ展開してもいいのではないか、そういうふうにも感じているところでございます。
 一体的実施事業の主な支援者であります生活保護受給者や障がい者への福祉的支援や就労支援等には、当事者の属性やニーズなどを酌んだ極めてきめ細やかな伴走型支援が求められることから、一人一人に対応する十分な時間が必要だと考えています。一方で、各地方自治体は従来からの人材不足もありまして、コロナ禍や増え続ける社会的ニーズへの対応などが求められているところでもございます。利用者に寄り添った支援を実施していくためには、相談体制を充実させることが必要でありまして、国、地方の人員体制の強化も欠かせないのではないかと思っております。それぞれ引き続いて実施団体を大きく増加させるためには、地方自治体と労働局が連携して質の高い支援を進めることができる体制づくりについてもお願いしておきたいと思います。
 また、地方では学生など若年者の人材流出が深刻な課題となっております。これまでも地方独自でUターンやIターンなどに取り組んでおりますけれども、若者の定住促進等につなげる観点も含めて、国として雇用の掘り起こしやマッチング機能の強化など、地方自治体の取組をサポートいただきたい、このことを要望として最後に申し述べさせていただきます。
 以上でございます。
○小畑部会長 ありがとうございます。
 連合の新潟の小林委員、お願いいたします。
○小林委員 新潟の小林から一体的実施事業の拡大と労使の参画推進について意見させていただければと思います。
 13ページの実施地方公共団体数の推移は、令和3年度に185団体が一体的実施事業に取り組んでいますが、平成30年度の183団体からほとんど増加していない状況です。16ページの利用者の声というところには、「身近な場所で親身になって相談に乗ってもらえて助かる」といった声があることからも、ぜひ実施団体数は増やしてほしいと思っています。
 また、14ページでは、事業実施中の団体の中で運営協議会に労使の代表が参加しているケースも昨年から増加していないと見受けられます。地方においては、予算や人材が限られている自治体が非常に多いです。一方で、自治体には活用可能な施設とかありますので、これらの施設と労働局のノウハウなど相互のリソースを有効に組み合わせていけば、一体的実施事業は重要な取組として拡充していけると思っています。さらなる実施団体数の拡大に向けて、地域の自治体と労働局が本事業の有効性を認識のうえ、相互に積極的に本事業を活用するように働きかけていただければと思っています。
 また、先ほど労使の代表が参加しているケースが増えていないという話をさせていただきました。求職者や利用者の利便性を向上させるためには、運営協議会に地域の事情やニーズを把握している労使が参加することが不可欠ではないかと考えています。改めて労使が参加する意義を周知していただければと思います。
 最後に、各地域における事業の実施状況については地方の労働審議会において報告されていると聞いています。労働局からの発信も含め、地域におけるさらなる情報発信が必要だと思います。本事業の全国的な底上げのためにも、今日も報告がございましたけれども、就労支援の好事例を積極的に横展開していただきたいと思います。
 好事例については他の会議等でもよく示されますが、好事例に至る前に恐らくいろいろな試行錯誤をされていると思います。当初は失敗したり、うまくいかなかったりして、こういうふうに改善したら好事例になったのだとか、失敗したことは説明しづらいかもしれませんけれども、いいことばかりではなくて、こういうところがうまくいかなかったみたいな教訓も共有できるのであれば、ぜひ共有していただけるといいのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。
 続きまして、河島委員、お願いいたします。
○河島委員 いつもお世話になっております。京都府商工労働観光部の河島と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、一体的実施事業を国、労働局・ハローワークと一緒になってやっている自治体の立場から、御意見、要望を言わせていただければと思っております。
 まず、実態なのですけれども、先ほど小菅委員が17ページのところで相談件数の伸びと就職率との乖離みたいなことをおっしゃっていたと思います。恐らく京都府だけではないと思うのですが、最近の状況を伝えますと、一言で申しますと、就職に結びつけるのが困難な方々が増えてきている、そういう状況にあります。もちろんここ2~3年はコロナによる影響もあったのですけれども、この間、例えば生産年齢人口が減ることによって、労働市場に高齢者の方、女性の方々、障害者の方々、こういった方々の相談が非常にふえてきております。一方で、御承知のとおり、働き方は、正規雇用だけではなく多様な働き方、正規ではなくて短時間雇用を求められるとか、あるいは企業の選定先を自分の経験やスキルに応じてじっくり探していきたい、あるいは子育て中ですぐには就職する予定はないのだけれども、次に向けての準備行為を早い段階からしたいといった方々が多く足を運んでこられておりまして、現場サイドとしては、そういった方々に、先ほどもお話がありましたけれども、きめ細かく一人一人に伴走支援していく中で、どうしても相対的に就職率が低下傾向にあるということは否めないのかなと思っているところでございます。
 それから、こういった一体的実施事業を進めていく上で、確かにコロナの中でオンラインが一定普及してきましたけれども、フェース・ツー・フェース、1対1のマンパワーによります支援がやはり肝になってこようかと思っております。その意味では、御指摘がございましたように、やはり組織、人員体制の強化が必要なのかなと思っております。ただ、これも自治体の立場から言わせていただきますと、限られた予算の中で十分な人員を割けないといった部分もある中で、我々といたしましては、相談の対象者の状況に応じて相談体制を再編したり、あるいはオンライン等を通じて相談していただきやすいような環境を整備するという部分で、コロナ禍の追い風と言ったら語弊があるのでしょうけれども、ソフトで対応できない状況を受けて、ハードの部分でそこのカバーをさせていただいているという実態がございます。
 状況はそうなのですけれども、一つお願いがございます。先ほどもありましたが、自治体の強みは何だろうかと思うと、やはり福祉の分野、教育の分野、産業の分野、こういった分野と就労を一体的に結びつけながら実施していける強みがあると思っております。京都では、労働局・ハローワークと連携してそういった取組を進めているところですけれども、一体的実施施設とは何か。もっと言いますと、公労使で運営している京都ジョブパークという就労支援施設があるのですけれども、そこを知っている方がなかなかいらっしゃらない。20%いたらいいほうというようなことでございます。開き直るわけではないのですが、これは永遠の課題でございまして、こういったせっかくいい施設がある、それも自治体の強みと国の就労支援のプロの強みを生かした一体施設があるということが世間の方々には知られていないというところは非常に残念です。
 今回、利用者の声を聞いていただいて、また我々が取りましたアンケート結果なども、一度来ていただいてサービスを受けていただいたら、これはこれまでハローワークだけでは受けられなかったサービスだ、まさに国と自治体が一緒になって取り組むことによって受けられたサービスなのだと実感していただく。9割方そういう方々ばかりです。だから、来ていただいたお客さんは逃がしませんけれども、何せそこまで来ていただく初手の部分、ここが自治体、個々の労働局の取組だけでは弱いと言わざるを得ない。そこは厚生労働本省のお力を借りて、こういった施設が全国にあるのだといったこと、取組内容もさることながら、認知度向上につきましても工夫を凝らしていただければ幸いと思っております。
 私からの意見は以上でございます。ありがとうございます。
〇小畑部会長 ありがとうございました。
 それでは、山本委員、お願いいたします。
〇山本委員 岡崎商工会議所の山本です。詳細な御説明、ありがとうございました。
 私からの意見を申し上げます。国(地方労働局・ハローワーク)と自治体が連携し、各地域の実情に沿った業務を展開されていると理解いたしました。雇用対策協定を締結する地域もさらに増えていることから、引き続き、国と地方公共団体の連携が促進されることを期待いたします。
 中小企業の人手不足の状況を御紹介いたします。日商が本年7月から8月に行った調査では64.9%の企業が「人手不足」と回答しております。過去の調査で最高であった2019年の66.4%には至りませんが、ほぼコロナ前の厳しい水準に戻っております。また、物価高により企業に対する賃上げ圧力がかつてないほど高まっていることから、賃上げに取り組めない企業は深刻な人手不足に陥ることも懸念されます。
 こうした状況において、同様に日商の調査では人材を採用する際の主な手段として8割の中小企業が「ハローワーク」と回答していることから、国・地方公共団体に対する期待はこれまで以上に高まっていると思われます。
 今回の資料で御紹介いただきました一体的実施事業について、コロナ禍の先行きが不透明な状況でありながらも、相談件数・就職率ともに増加していることは、各地域の努力と工夫の成果が現れたものと受け止めております。また、利用者の満足度も高く、来所によらないサービスを積極的に展開されるなど、利用者ニーズに寄り添ったきめ細かな対応がなされていることも理解いたしました。ハローワーク全体の就職率が25.1%である中、約10ポイント以上高い就職率になっていることは、一体的実施事業の有効性が示されているものと思います。引き続き、各地域の特色が最大限発揮されるようPDCAサイクルによる事業改善に取り組んでいただき、さらに高い就職率と利用者の増加を目指していただきたいと思います。また、高い成果のあった事業につきましては、積極的に具体的な手法の横展開を図っていただきますようお願いいたします。
 今後、求職者を人手不足産業やデジタル・グリーンなどの成長分野へ円滑に労働移動を進めていくことが重要です。地方自治体や国が行っている職業訓練を活用し、こうした分野の育成と就職をセットで行うことも有効と考えます。このような視点からも有効な事例があればぜひ横展開を図っていただきたいと思います。
 以上です。
〇小畑部会長 ありがとうございました。
 それでは、原田委員、お願いいたします。
〇原田委員 経団連の原田です。ありがとうございます。
 まず、各自治体、ハローワークの連携による丁寧な取組に感謝申し上げたいと思います。その上で、自治体と、ハローワークの枠組みから少し外れるかもしれないのですが、今、地方への人の流れの創出が大きな課題の一つとなっています。そのため、御案内のとおり、政府によってデジタル人材地域還流戦略パッケージや、地域企業経営人材マッチングといった事業が進められております。こうした事業の主体と、自治体、ハローワークが情報共有して強みを持ち合うことで、人材のマッチング機能をさらに高めることにつながるのではないかと思っております。既に各自治体では、U・Iターンの支援などを進められているところもあるかと思いますけれども、ぜひ都市部から地方への人の流れをつくることも重視していただき、施策の拡充をお願いできればと思います。
 私からは以上です。
〇小畑部会長 ありがとうございます。
 それでは、堀委員、お願いいたします。
〇堀委員 どうもありがとうございます。労働政策研究・研修機構の堀です。
 私からは2点申し上げたいと思います。
 1点目ですが、先ほど京都府の河島委員がおっしゃっていましたが、一体的支援事業の就職率についてです。私は現場にいるわけでなく研究している者なのですが、河島委員と全く同じことを感じておりまして、これだけ人手不足にもかかわらず、なかなか就職が難しいというような状況が今、起こっていると感じています。就職に結びつくのが困難な人たちが労働市場に出てきているということで、これは大変よいことでもあるのですけれども、単純に支援するということから考えますと、就職率はどうしても低くなりがちという傾向が見られるかと思います。ですので、一体的支援事業の就職率は、もちろん高くなるほうがいいと思いますが、基本的にベンチマークはハローワークの就職率において考えるのがよろしいのではないかと感じている次第です。
 2点目ですけれども、これも河島委員がおっしゃっていましたが、広報の問題というのはどうしてもこういう事業にはついて回ると感じています。もちろん利用される当事者に認知していただくのが一番の目標ではあるのですが、やはりそれはなかなか難しいという状況があるかと思いますので、ぜひ地元の支援者の方々と連携していただくなどして支援者同士でつながって、そこから結びついていくというような形で、連携を大事にしてお進めいただけると大変ありがたいと思います。
 私からは以上です。
〇小畑部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見や御質問はございませんでしょうか。
 事務局のほうはいかがでしょうか。何かございますでしょうか。
○西海公共職業安定所運営企画室長 様々御意見を頂きまして、ありがとうございます。
 一つ一つにお答えするのはなかなか難しいかと思いますけれども、先ほどの堀委員あるいは河島委員の御指摘にもありましたように、就職がなかなか難しい方もいらっしゃるという中で、もちろんコロナ禍でオンラインを活用した支援というものには取り組んでいくわけですけれども、そういった中でもハローワークの窓口で就職に向けた相談支援をやってサポートしていく必要がある方にはハローワークに来ていただいてサポートする、そういったところにしっかり結びついていくようにハローワークとしても対応していく必要があると考えております。
 また、先ほどお話にあった地元の支援者ということですけれども、そういったNPOを含めました地域のいろんなところとのつながりというのはあると思います。そういったところは地方公共団体のほうでもお持ちの部分もあると思いますので、まさにそういったところを雇用対策協定あるいは一体的実施事業の枠組みの中でしっかり生かしていけるようにこれらの事業を展開していかなければいけないと思っております。
 また、広報につきましては、いろんな広報のツール、チャンネルがあると思いますが、本省といたしましても、いろんなツールを使ってこの事業の広報、情報発信にも努めていきたいと考えております。
〇小畑部会長 御意見、御質問などございませんでしょうか。
 次に、議題(2)「その他」について事務局から御説明をお願いいたします。
○西海公共職業安定所運営企画室長 現時点で次回の本部会の開催については未定でございますけれども、開催の必要が生じました場合には部会長とも御相談させていただいた上で、各委員の皆様に御連絡させていただきたいと思います。また、この部会の開催にかかわらず、国と地方との連携につきまして、御意見、御要望、また御質問がございましたら、お気軽に御連絡いただきたいと思います。
 以上でございます。
〇小畑部会長 それでは、予定されている議題は以上となりますので、本日の部会はこれで終了いたします。
 委員の皆様におかれましては、とても重要な御指摘をたくさん賜りまして、誠にありがとうございました。
 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。