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第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録
健康局 健康課予防接種室
日時
令和4年3月23日(水) 13:00~15:00
場所
Web会議
中央合同庁舎5号館 専用第21会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)
議題
(1)重点感染症に係るワクチンの開発について
(2)海外製の季節性インフルエンザワクチンについて
(3)ワクチンの流通情報の基盤整備に向けた検討会の報告書について
(4)その他
(2)海外製の季節性インフルエンザワクチンについて
(3)ワクチンの流通情報の基盤整備に向けた検討会の報告書について
(4)その他
議事
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○萩森予防接種室室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信しますのであらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入る前までとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
本日は新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案し、一部Web会議で開催することとなりました。まず、Web会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、部会長から指名されてから御発言をお願いいたします。なお、Web会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承お願いいたします。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしています番号までお電話をお願いいたします。
開会に先立ちまして、昨年9月14日付けで事務局側に人事異動がありましたので御紹介させていただきます。健康課長として佐々木が着任しております。また、予防接種室長として鶴田が着任をしております。
それでは、委員の出欠状況について御報告いたします。現在、8名の委員にWeb又は御来場にて御出席いただいております。合田委員におかれましては欠席の御連絡をいただいております。野口委員が今遅れているようですが、途中で出席される予定と聞いております。委員10名中8名の委員に御参加いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議は成立したことを御報告いたします。なお、遅れている野口委員ですが、13時50分に途中退席されると伺っております。
それでは、議事に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号10の参考資料3までを用意しております。資料の不足等、御不明な点がございましたら事務局員にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は伊藤部会長にお願いいたします。
○伊藤部会長 皆様、御出席ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項についての報告をお願いいたします。
○萩森予防接種室室長補佐 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項について御報告いたします。本日、御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料への関与について御申告をいただきました。各委員からの申告内容については、資料03、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本日の議事内容において個別に調査審議する品目はございませんので、議事への不参加に該当する方はおりません。以上でございます。
○伊藤部会長 それでは、早速議事に入らせていただきますが、生産・流通部会は余り頻度が高く開催されておりませんので、様々な議題が集まっているかと思いますが、皆さんの活発な御議論をお願いいたします。最初の議題は「重点感染症に係るワクチンの開発について」です。まず事務局より説明をお願いいたします。
○阪口参与 それでは資料1について事務局から御説明いたします。資料1の1ページを御覧ください。厚生労働省では、感染症の危機対応ということで、「感染症危機対応医薬品等の利用可能性確保に関する検討会」を今立ち上げて、既に3回の検討会を実施しております。この3回の検討会の内容を取りまとめて、審議会と書かれておりますが、ワクチン関係については本部会、それから危機管理部会、感染症部会、この3つの部会の先生方に、今後、御意見を頂戴する予定です。まず、感染症危機対応医薬品等について御説明いたします。
2ページです。感染症危機対応医薬品等、Medical Countermeasuresと言っておりますが、感染症の危機対応に対して、ワクチンや治療薬、診断技術などについてどういうふうに対応していくかということを考える検討会という位置付けになっております。もし利用可能なMCMが存在する感染症に対しては、備蓄や確保を今後考えていくと。もし存在しない場合には、どれに対して研究開発の推進をしていくのかを考える検討会を今やっております。
ワクチン関係については、3ページを御覧ください。これは6月1日に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」ということで閣議決定された概要になるのですが、今回のコロナの件を受けて、政府内で国産ワクチンの重要性が議論されているところです。今後、ポストコロナに向けてワクチンの開発を推進していくために、厚労省もそうですし、経産省、文科省、戦略室、もちろんAMEDみたいな所が一体となって、それぞれワクチン開発を推進していくという枠組みができております。
4ページ目を御覧ください。この閣議決定された「ワクチン開発・生産体制強化戦略」の中に、2.9という上の段の真ん中の赤字の所を見ますと、「厚生労働省において国際的に脅威となりうる感染症について、国内外における流行状況を把握し、我が国においてワクチン等の確保・研究開発が必要な感染症を特定する必要がある」と書かれております。これを受けて、今回のMCMの検討会の中で、ワクチンの確保・研究開発が必要な感染症、すなわち「重点感染症」と呼んでいますが、それを決めるということを今やっております。
5ページ目は、公衆衛生のリスクなどの情報を集めたり、リスクアセスメントについては、今、日本では国立感染症研究所がやっておられるのですが、その後、リスクアセスメントを踏まえてどういうような感染症に対応していくのか、どういうふうにMCMを設定していくのかを決める組織が現在日本にはない状況です。これはアメリカではもともと保健福祉省でやっていますし、欧州については今回のコロナの影響でそういう組織が立ち上がっています。今回、日本でのグレーの部分を埋めるために、厚生労働省によるMCMに関する検討会を立ち上げて、議論をしているところです。今回、3回の検討会を踏まえて、重点感染症の暫定リスト案、重点感染症に関する考え方を取りまとめているところですので、今日の部会が終わった後で、できるだけ早くしたいと思っておりますが、先生方にメールベースでその辺りを共有させていただき、御意見を頂きたいと考えております。よろしくお願いします。
今回の重点感染症については、6ページを見ていただきますと、もともとの定義としては危機管理対応ということで始まっているものですが、ワクチンに関しては、先ほどの閣議決定されたワクチン戦略の所で、今後、ワクチンの開発支援をしていくということが入っています。今回、厚生労働省で検討した重点感染症を対象として、例えば、AMEDなどで研究支援をやっていく位置付けになっています。また重点感染症の在り方がまとまったところで、今後、本部会でも、どういうふうにワクチン開発をしていくのかについては御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。今、説明がありましたが、今回のコロナの問題では、COVID-19が出てきた2年前の最初の段階では様々な開発支援のための施策が打たれたと認識しております。最初のスタートダッシュでは、幾つかの会社がワクチンの開発についても乗り出してくれたのですが、結果がなかなか追い付いていないまま現在に至っていると理解しております。それをもう一回打開する、また将来どんな形で新しい感染症が出てくるか予想がつきませんので、それが出てきたときに、今回のスピードの遅れをどうにかしたいということで、こういった話が立ち上がっていると思っています。まずは今の説明の中で、疑問点や説明の追加を求めることについて、皆様から伺いたいと思いますが、いかがですか。
○坂元委員 よろしいでしょうか。細矢先生、お先に失礼します。医薬品とかワクチンの開発というのは国内でそういうことをやっていくことは本当にいいことだと思うのですが、やはり、何度も指摘されているのは、せっかくいい医薬品やワクチンが開発されても、国内において治験をする場合に十分な被験者が集まらない。例えば、海外ではすぐに数万程度の規模の人が集まりますが、日本では100人単位を集めるのにも相当時間が掛かるということで、せっかくそういう科学的に、基礎研究レベルではいいものができても、実際にそこで市場に出ていかないという大きな問題があるのです。やはり、この中には、日本における治験の問題も1つの課題として考えていくべきだと思っています。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○阪口参与 御意見ありがとうございます。説明をはしょってしまったのですが、資料1の3ページのワクチン戦略の所で、今、坂元先生から頂いたような御意見は非常に多く出ておりまして、③治験環境の整備・拡充という所で、臨床研究中核病院の緊急時治験の要件化であるとか、治験病床等の平時からの確保についても盛り込まれておりまして、今後、政府で一丸となって対応していく形になっております。
○伊藤部会長 細矢先生、よろしくお願いします。
○細矢委員 この背景の所を読みますと、既知の感染症以外にも、未知の新興感染症というのが入っているのです。こういったものに対するワクチン開発ということを考えると、例えば、ゲノムの解析ができたらすぐにワクチンを生産できるような体制を整えておくべきではないかと思います。その場合に、先ほどAMEDからの支援があると言いましたが、既にあるものに対するのではなくて、未知の感染症に対して速やかに対応できるような研究開発に対する支援も考える必要があるのかと思いました。以上です。
○阪口参与 ありがとうございます。まず、製造設備の所ですが、先生がおっしゃるように、その点は非常に重要で、今、mRNAの製造施設、DNA、組換えタンパク、ウイルスベクターなど、様々なモダリティに対応できるような製造施設を厚労省の生産体制整備事業で整備しております。さらに、3ページの⑤になるのですが、その後、経産省でもワクチン製造拠点の整備ということで、ワクチンとバイオ医薬品の両方を製造できるような設備の支援をしていくことになっており、厚労省で支援した設備の拡充や、新規の施設を整備することも盛り込まれております。
○伊藤部会長 ほかに御意見等ありますか。
○荒戸委員 御説明いただきありがとうございました。御提示いただいたような体制を作るのは非常に大事ですが、先ほど来、先生方から御指摘があったとおり、恐らく未知の感染症に対してワクチンを開発していく能力を、国や日本企業が持つ必要があるのだと思います。一方で、日本の多くの企業が新規モダリティのワクチンのみならず、そもそもワクチンを作ったことがないといった状態ですので、未知の感染症が来たときに速やかに対応できる基礎力みたいなものを持つ必要があるのではないかと思います。それには、製造もそうですし、何らかの疾患を対象としたモックアップワクチンで実際に治験をやったときに、きちんと免疫が誘導されて感染予防につながるといった実体験を持つという、経験が必要になってくるのではないかと考えていますが、その辺に対しての支援はされるのでしょうか。
○阪口参与 やはり未知の感染症に対応するためには、結局、製造にしろ、治験にしろ、今回であれば特にワクチンの治験というのは非常に大規模で、しかも感染が拡大しているような地域でやらないといけないという特殊性もありますし、企業も経験などを蓄積していかないといけない状況だと非常に感じております。
結局、何らかの感染症に対するワクチン開発を、本当の最初のところから実用化の最後のところまで、しっかり支援していくことが、未知の感染症が発生した場合に企業の力になるのではないかと考えております。重点感染症の中の一部のどれかについて、それなりに流行がある感染症に関しては、きちんと実用化までをしっかり国で支援して、未知の感染症に備えることが重要と考えております。
○伊藤部会長 ほかにありますか。信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 私も細矢先生や荒戸先生とほぼ同じ意見ですが、未知の感染症に対してどういう準備をするかという点については、メーカーさんに頑張ってくださいというだけではもちろん駄目だと思いますので、具体的に、未知の感染症が来たときに、ウイルスか細菌か分かりませんが、まずゲノムを解析するチームや、抗原性を解析するチームを作り、どういう病原体か分かった時点で、それに対するワクチンを作るのに適したメーカーさんと組んで、そういう情報を共有していくという、何かプロセスをあらかじめ今から作っておくことが一番必要で、言葉で言うことは非常に楽ですが、具体的に私もアイディアがなかなか提示できませんが、今からそういう練習をして、プロセス作りはしておく必要があるのではないかと思いました。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。信澤先生が今、お話されたのですが、こういった未知の感染症とかの様々な情報やデータは、多分、国立感染症研究所に集約されると思いますが、こういった未知の感染症に対して迅速に対応するとなると、感染症研究所主導で、少なくとも基礎系や情報系については集約を考えないといけないのかなという気がするのですが、その辺について、どうすれば具体的に国内の企業、若しくは外国の企業からの情報をどう受けて集約できるのかについて、具体的な考えなどはありますか。
○信澤委員 具体的な考えは今すぐは浮かばないのですが、もちろん、感染研のゲノムセンターなどで病原体の遺伝子解析をするということは迅速に可能だと思いますが、今回のコロナの様子を見ていますと、全てを感染研でやらなくてはいけないような雰囲気もあり、大学のほうが速い部分もあるのかなという気も少しして見ておりましたので、その辺は感染研だけというよりは、ゲノムに関して言えば、ゲノムで一応技術的なものをある程度持っている所と組んで、その中で感染研が主導的に引っ張っていくのでもいいのかもしれませんが、何かそういう感染研だけというよりは、日本の中でそれぞれが持っている力を出せるような、グループごとに、最終的には厚労省のほうでリードしてまとめていただいたらいいのかなと思います。あくまでも個人的な意見ですが。
○伊藤部会長 ありがとうございます。企業が絡んだりとか、アカデミアが絡んだりすると、知的財産とか利益相反の話が必ず問題になると思いますが、こういう国家の存亡にかかわるような状況のときも、杓子定規にいくとスピードが出てこなかったりするのだろうと思います。今は平時ではないのですが、そういうことは今からやっておかないと、次に出てきたときに諸外国のスピードに追い付かないという問題が発生する気がしますので、どこかのタイミングで、感染研を中心にされるのか、アカデミアというか、それと同時に企業も巻き込んでどうにかすることについては考える必要があるかと思います。
特に今回のコロナに関しては、知的財産について、全世界で放棄するのに近いような状況で皆さん開示をして進めたという状況だと思うので、それに準じた新たな感染症対策というのは、次に備える段階から、皆さんにお考えいただいておいたほうがいいのかなという気がしています。それは感染研でインフルエンザのリーダーをされていた方々に、ある程度知恵を頂いて、進めていかなければいけないという気がしますので、よろしくお願いいたします。
○阪口参与 もちろん感染研の方々が中心になって、アカデミア、産業界も含めて、連携していろいろなことをやらないといけないということは、政府としても非常に認識をしているところです。今、まだ具体的にどういう枠組みでというところまではきっちり決まってはいないのですが、AMEDの中にSCARDAといった戦略を練るような所も今回できましたし、そういう所で、今後、感染研の先生方、アカデミアの先生方、産業界の意見も聞きながらやっていくのだと思っております。
○伊藤部会長 そのほかに御意見等ありますか。
○釜萢委員 今回の経験も踏まえますと、やはり国を挙げて、限られた時間の中で、できるだけの成果を上げなければならないということがあります。もちろん感染症研究所を中心にやっていくことになると思いますが、きちんとした法的な権限を持って、そして全体を統合していく仕組みが必要だと思います。
よく日本版のCDCというようなことが言われますが、予算規模から言っても、それはアメリカのCDCは規模が違います。我が国において、これまでにあるそれぞれの、先ほどアカデミアの話も出ましたが、我が国の総力を結集できるような権限を付与されうる仕組みが必要だろうと思います。そのためには、どういうふうにすれば法的な根拠を伴って緊急事態に各部門を統合できるのかというところについて、明確にしておくことが是非必要だろうと思います。
今回の事例とは少し離れますが、我が国においては、2009年の新型インフルエンザの経験から、プレパンデミックワクチンの製造にかなり注力をして、3系統のラインが作れるようにメーカーとも協力してやってきたという経緯があります。これまでにない規模の予算をつぎ込んでやってきたと。特に細胞培養を採用するということでやってきましたが、かなり時間が掛かって、生産ラインも償却しなければならない、老朽化してしまっているというような所もあって、今後に課題が残っているわけです。これまでの新型インフルエンザのワクチンの生産の仕組みについての反省もきちんと総括した上で、今後どうすべきか、限られた予算をどういうふうにきちんと毎年積み上げていくのかということについての検証が必要だと思います。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見等ありますか。新型コロナではなくて、新型インフルエンザであったとしたら、そのときの準備が利いてよかったなと思いますが、それがそのまま使えなかったというのは、残念だと思っています。それがうまく切り替えて使えるようなフレキシブルな形は、次のステップを考えるときに考えていただきたいと思う点だということは、議事録の中に残しておきたいと思います。それでよろしいですか。ありがとうございます。
この後、なるべく早く重点感染症の暫定リスト案について、委員の皆様にお送りをして、御意見を伺うという予定になっているということですので、引き続きよろしくお願いいたします。この件に関しては、本当は今日に間に合う形で処理ができればよかったと聞いておりますが、時間的なゆとりがなかったということですので、メールベースで、これからデータとしてお届けをして、意見を頂いて、取りまとめをするということについて御了解頂ければと思います。
引き続いて、議題2の「海外製の季節性インフルエンザワクチンについて」です。資料2について、事務局より御説明をお願いします。
○稲角予防接種室室長補佐 事務局です。資料2を御覧ください。「海外製季節性インフルエンザワクチンの開発状況等について」です。右下に2と書いてあるスライドから説明させていただきます。こちらは開発優先度の高いワクチンの開発状況ということで、予防接種法に基づく基本計画の中に開発優先度が高いワクチンについて記載をしておりますが、そのワクチンについての開発状況を示したものです。その中に経鼻投与ワクチン等の改良されたインフルエンザワクチンという項目があり、業界団体に開発状況をまとめていただいております。ここのブルーのハイライトを付けた部分になりますが、経鼻、高用量のワクチンにつきまして、開発企業は第一三共/アストラゼネカ、又はSanofiといった形で、外資の企業が入っているワクチンが幾つかあります。また、開発状況も承認申請中やフェーズ3という状況で、開発の後期に入っているものが現状あるという状況です。
続きまして、3枚目のスライドです。こちらが、ふだん毎年の国内の季節性インフルエンザワクチンがどういうふうなステップを経て製造、供給されているかを示したものになります。まず、上の箱の1つ目のポツにありますが、ワクチンの製造に使用する株につきましては、WHOで決定された推奨株・類似株の中から、国内の臨床分離株への免疫原性や製造効率の検討結果等を踏まえ、4月頃に4種類のウイルスごとに1つの製造株を決定します。これは行政が主体的に決定しています。その後、2つ目のポツにありますが、株が決まりましたら、感染研と製造企業が協同して、力価試験に使用するSRD試薬と呼ばれるものや他の試薬などを作製していただき、それを使って実際のワクチンの製剤化を行っていくというようなステップを踏んでおります。下の図は、それを時期も含めて記載をしたものになっております。国内の製造株の選定のスケジュールの部分をもう少し説明させていただきます。
4枚目のスライドを御覧ください。季節性インフルエンザワクチンの製造株の選定に当たりましては、基本的な考え方という形で上に記載をさせていただいておりますが、原則としては、世界保健機関(WHO)が推奨する株の中から2点、つまり期待される有効性と、ワクチンの供給可能量を踏まえた上で、双方を考慮した有益性が最大となるように検討を行う形になっております。昨シーズン、2021年/2022年シーズンにおける製造株を下の表に示しております。WHOにおける推奨製造株につきましては、真ん中の列にあり、こちらは全て何々like virusという形になっております。それの類似株に当たるもの、例えばA型ですと「A/ビクトリア/1/2020」ということで、厳密にはWHOの推奨するど真ん中の株ではないですが、その類似株から製造株を選んでいるような形になっている状況です。このように、WHOの推奨する株の中から選ばれている形にはなりますが、推奨株の真ん中にそれが明確に挙がっているものと違う株の中から選ばれることもあるという部分です。
5枚目のスライドです。一方、海外のワクチンがどのようなステップで製造、供給されているかです。こちらはグローバル企業のワクチンの供給プロセスを記載しておりますが、グローバルの企業は、北半球だけではなく、南半球用のワクチンも製造しており、彼らは通年を通じてワクチンの製造候補株、臨床分離株を収集し、早い段階から抗原性の確認や製造効率の確認をメーカーさん自身でかなり行っているという状況です。
一方、製造株の決定につきましては、あくまでWHOが決定した推奨株・類似株の中から選んでいることになっているのですが、それを選ぶ主体は企業という点が日本とは違っております。またスケジュールも、日本ですと製造株が決まるのが大体4月ぐらいになるのですが、海外のメーカーは3月ぐらいにはどの株で製造するかを決めてしまい、製造を始めている状況です。そういう状況ですので、海外のワクチンが日本に入ってくるということになってきますと、国内で決めた製造株と違った株が入ってくる可能性がある状況です。今、国内のインフルエンザワクチンにつきましては、国内のメーカーさんが作っており、ふだん感染研と協力して製造していると申し上げましたが、そういうふうに国内のメーカーさんと海外のメーカーさんでワクチンの製造する株が異なるということが生じ得るという状況です。一方、先ほど申し上げましたように、海外のワクチンは開発の後期に差し掛かっておりますので、国内に導入する段階になったときに、この製造株のステップを一部検討しないと駄目だなと思っている次第です。
6枚目のスライドです。現状と対応案という形でお示ししました。まず現状について、1点目は季節性インフルエンザワクチンで開発が進んでいる海外のワクチンというのは、いずれも鶏卵を用いて製造されているものです。2点目は先ほど申し上げたとおりです。
対応案の1点目ですが、鶏卵を用いた季節性インフルエンザワクチンにつきましては、いずれもWHOの推奨する複数の製造株の中から選択した株でワクチンを製造していることを前提として、要するに根っこは同じだということを前提として、海外のワクチンを導入することの検討を進めてはどうかと考えております。今、国内のワクチンは、承認書で国が指定する製造株で作るという指定を受けておりますので、特に問題はないのですが、海外のワクチンが入ってきたときに、国が指定するものとは違う製造株で作られたものが入ってくるということで、薬事の部分も関連してくることにはなるのですが、そういう製造株の決定スキームを考えなければいけないと思っております。
そういうこともあり、具体的には1つ目のポツの下にありますが、この生産・流通部会におきまして製造株の検討スキームをきちんと検討させていただきたい。具体的には、国内と海外の製造株の検討スキームを比較・整理し、新たな取扱いについて、先生方の御意見もお伺いしながら検討を進めたいと考えております。
また、ワクチンの効果の観点から、製造株の違いの影響について、考え方を整理する必要があるのかどうかという点も、先生方の御意見を伺いたいと思っております。根っこは、あくまでWHOが推奨する株となっておりますので、その中で違いが出た場合に、どういう考え方ができるのかという点について、先生方の御意見を伺いたいと思っております。また、1つ目のスライドで御説明しませんでしたが、mRNAを用いたワクチンの開発も始まっている状況です。こちらにつきましては開発が初期ということもあり、WHOの動向も踏まえつつ、もう少し開発が進んでから、mRNAの季節性インフルエンザワクチンについて、製造株のスキームは検討させていただきたいと考えております。その他、必要な事項があれば検討を行わせていただいており、御意見があればそれも検討事項に含めたいと思っております。
1つ飛びますが、参考として、8枚目、9枚目に「インフルエンザワクチン株選定の在り方」に関する検討の抜粋とあります。この部会の委員でいらっしゃいます福島先生にもまとめていただいたものになるのですが、国内外の関係者、メーカーや感染研の先生方、そういった方々に御意見を伺っていただき、まとめていただいたものがあります。先ほども申し上げましたが、日本の株選定の流れと海外の株選定の流れは違っているということで、それぞれの長所と短所をまとめていただいているものです。こちらも参考として記載させていただいております。以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございました。かなりドラスティックな提案だろうなと思っていまして、この委員の中には過去に株選定をされてきた担当者の信澤先生とか、それから今回の報告書の福島先生などがいらっしゃるので、まずは全体的な御意見を伺ってからと思うのですが、いかがでしょうか。では、一番詳しい信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 いえ、そんなに詳しくはないのですけれども、伊藤先生から振っていただいた内容とちょっと外れるのですが、2点だけ、まず先に確認をさせていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。
今、2ページ目で、ブルーでハイライトしていただいている、これから導入される可能性のあるワクチンで臨床試験をしているということですが、これは日本人を対象にされているのでしょうか。多分そうですよね。あと、これは可能であればで構わないのですが、一番上の第一三共/アストラゼネカのワクチンというのは、遺伝子組換えワクチンかなという気がするのですが、日本でも、インフルエンザワクチンとしてその遺伝子組換えワクチンを使うようになるという理解でよろしいでしょうか。それがまず伺っておきたいことです。
あと、今までインフルエンザワクチンの選定に携わった者としての意見ですけれども、もちろん今までは日本の国内のメーカーで作られたワクチンだけを使用してきましたが、海外のワクチンを使用するということで、必要量に対して十分供給できるという体制が作られるということは非常に良いことだと思います。
ただ、1つ忘れてはいけないのは、やはり海外メーカーの場合には、平時はいいのですけれども、パンデミック発生時など有事のときには、必ずしも十分量のワクチンが輸入できるとは限りませんので、その辺はやはり考慮しておく必要があるのかなと思います。海外からの輸入ワクチンのほうが、仮に有効性などが高かったりすると、当然、接種される側としては有効性の高いものを打ちたくなるということはあると思いますので、その辺で、もし日本の国内のメーカーが、廃れるという言い方は言葉として適切ではないかもしれませんが、日本の国内のメーカーの力が少し落ちてしまうと、それこそパンデミック発生時などには逆効果になってしまいますので、その点は十分理解した上で、ただ、海外メーカーのワクチンを導入するということは、供給面ではいいことかなと思います。
あと、先ほど説明もしてくださいましたが、海外のワクチンを受け入れる場合には、やはり日本のワクチンメーカーと海外のワクチンメーカーで不公平感があってはいけないので、海外メーカーは作りたいものを作って、すぐに提供できるけれども、日本のワクチンメーカーの場合には、あくまでも感染研から分与されたウイルスを使い、それから健康局長通知で決められたワクチン株でしか製造できないとなると、やはりその辺が問題になると思うので、これからそれは均していかれるのだと思いますが、その点の注意は必要なのかなと思います。以上、意見です。
○伊藤部会長 では、事務局からお願いします。
○稲角予防接種室室長補佐 事務局でございます。御意見、御質問ありがとうございました。まず、御質問いただいた2点でございます。治験ですけれども、日本人を対象にしているかという部分ですが、いずれも日本人を対象とした治験が実施されていると理解しております。
また、ワクチンの種類、経鼻の第一三共/アストラゼネカさんが開発企業になっているものですけれども、弱毒の生ワクチンと聞いておりますので、一部遺伝子の改変が行われているものというように理解しております。
続きまして、海外のワクチンの導入に当たっての留意点という形で、御意見ありがとうございます。特に海外の場合、パンデミックが起こると十分量が入ってくるとは限らないという点は御指摘のとおりだと思っております。現状でも国内のメーカーさんにいろいろと御無理を申し上げている節もございますので、その辺についても今後は検討が必要かと思いますが、状況によって、多分、本当にいろいろと変わってくるものだと思いますので、まずいろいろと不利にならないように考えていきたいと考えております。
また、国内のメーカーさん、海外のメーカーさんで不公平があってはいけないという点ですけれども、そこは昨日も実際にメーカーさんたちと話をさせていただいたのですが、御意見を伺いながら、どのような形でこの話を実現していくのがいいか、具体的には、日本のスキームを残したまま、海外のWHOの株を使った別のスキームを作ったり、そのどちらも選べるようにしておくというもののほうがいいのかということは、メーカーさんの御意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。以上です。
○伊藤部会長 ほかにどなたか御意見とか。では、福島先生どうぞ。
○福島委員 伊藤先生、御指名ありがとうございます。私もインフルエンザワクチンの有効性の研究に携わる中で、インフルエンザワクチンを取り巻く歴史について、私なりに理解してきたつもりでありますし、その中で、特に国内メーカーさんがどれだけ御努力をされてきたか、そして厚生労働省、あるいは国立感染症研究所の先生方が、どれだけ支援されてきたかというのも十分理解しているところであります。
一方で、海外のメーカーさんを中心として、多様な製剤を製造されていて、海外では既にそれが使えている状況で、国内で使えるのが、鶏卵培養不活化スプリットインフルエンザワクチン、標準用量だけでいいのかという意見は、以前からあったかと思います。
今回、報告書をお示しいただきましてありがとうございました。8枚目、9枚目にお示しいただきました報告書ですけれども、こちらは令和元年度、2019年度の厚生労働省廣田班の研究の一部として、インタビューの内容をまとめたものです。コロナの流行が本格的になるかならないかというときに、提出させていただいた報告書ですので、それから2年はたっていますけれども、国内メーカーさん5社、外資系メーカーさん3社、そして国立感染症研究所の先生方から、その時点での御意見を、1所あるいは1社当たり2時間ぐらいお話を聞かせていただき、まとめた報告書です。30ページぐらいあると思うのですけれども、今回の資料では、その中から長所・短所を抜粋していただいたというものです。当時、信澤先生にもインタビューに御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
6枚目のスライドでお示しいただいているように、外資系ワクチンと内資系ワクチンで製造株の検討過程は違いますので、そちらを改めて整理するということは非常に大事なことですし、国内メーカーさんの要望も、一旦報告書としてまとめておりますけれども、2年たった今のお気持ちを改めてお聞きいただいているということで、ありがとうございます。そのようにお進めいただければと思います。
この対応案の中の「ワクチン効果の観点から、製造株の違いによる影響について、考え方を整理する必要があるか」という所なのですけれども、これは究極的には、いわゆるWHOの類似株の中から、あるメーカーさんはこの株、あるメーカーさんはこの株と選ばれた結果、その有効性が違った場合にメーカー責任になるということを暗に心配されていると思うのです。私は、それは全く心配する必要はないと思っています。WHOの類似株の中から選ばれるのであれば、それに差はないと。
この点に関しては、報告書から抜粋して示していただいているスライドの9枚目を見ていただきたいのですけれども、下から5つ目のポツですが、ちょっとこれを読み上げさせていただきます。「メーカー責任で株を選ぶと、その後の評価も必須になる。「今年のワクチンは効かない」と言われた場合に、説明が難しい。また、有効性研究の結果、有効性がA社のほうが高くB社は低いとなると、翌シーズンは混乱するのではないか」という懸念を、あるメーカーさんから頂いたのですけれども、その後の括弧書き、補足として、これは海外での一般的な状況として研究班としてお示ししていますけれども、「米国でもワクチン有効性研究は行われているが、鶏卵培養/細胞培養/遺伝子組換えなどの別で有効率を算出しているのみであり、メーカー別に算出することはない。「鶏卵培養ワクチンであれば、メーカーが違っても同じもの」という感覚である」ということです。
私たちもコロナの流行を迎えて、ワクチンに対する考え方も非常に変わってきていますので、是非、日本人のインフルエンザワクチンに対する意識を変えるきっかけとしていただきたいと思います。ここにお示ししていますのがグローバル基準の考え方です。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。この報告書にある、信澤先生と福島先生から御意見を頂きました。では、坂元先生どうぞ。
○坂元委員 いわゆるインフルエンザワクチンは、予防接種法のB類の定期接種で、自治体によって、その補助の在り方、受けられる方への補助の在り方は様々なのですが、一応法律に従ってやるということです。今までの流れは、受ける方はどのメーカーのワクチンを接種しているかということはほとんど知らないというか、多分全く知らないと思います。選択ということもなく行われるということだと思います。
現在は、予防接種法の中で行われているワクチンで、何となく選択みたいなものが行われたのはHPVの2価と4価とか、それから今回のコロナワクチンの、会社によって異なるワクチンを選ぶということにはなったと思うのです。このようにワクチンが多様化してくると、恐らく統一的にワクチンを選ぶということがだんだん難しくなって、ある意味ではA社B社というワクチンと、当然今回のコロナワクチンでは、A社のほうが効く、B社のほうが効くとか、どちらの副作用が多いとか、そういう情報が流れて、いろいろ市民の方は自分で選択してきたと思うのです。1つの大きな問題は、それと多分このように多様化してくると、恐らく費用が違ってくるだろうということと、従来どおりの予防接種法の中の枠組みで、本当にうまくさばけるかどうかという問題が出てくると思うのです。
例えば海外で、今、福島先生がおっしゃったように、治験の結果、当然、非常に効くワクチンと効かないワクチンという情報が、こういう時代ですから多分流れていったときに、一般市民の方は、より効くものを選びたいと思います。そのようになってきたときに、今までのやり方のスキーム、決まったウイルス株でメーカーが一体的に製造して、実際に打たれている方はどのメーカーか分からないというやり方が、多分、通用しなくなるのかなと思います。
今まで、ほかの、例えば麻疹とか風疹とかのワクチンは、いろいろなメーカーが作っても、ワクチン選択は実際に起こっていないのですが、多分そういう意味では新たな被接種者のワクチン選択の時代に入ってくると思います。それに対して、やはりどう考えていくかということ、それから法律の整備というのも私は必要になってくるのではないかなと思っています。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。この問題が結構大きいのは、今までは感染症研究所でワクチン株の選定とか、その後、最終的には国家検定とか、根幹にあるのは生物製剤基準とか、幾つかの規制の中にあったものが、取り払われるような状況になったときに、感染症研究所のそういう実務部門の役割をどうするのかなというのが1つです。
それから、今までそれに対して対応してきた国内のメーカーと、外国から入ってくるメーカーとの間の差をどうするのかということ。だから、実際に複数のモダリティが入ってきて、価格も違うし実効性が違うというような状況になったときに、行政のサイドではどういう扱いをしていくのかという幾つかの問題点があるのだろうと思うのです。
今、提案があった件を今日すぐに決めるという話ではないというふうには認識はしておりますが、ただ、そういった問題点の整理をしながら、今後、各方面と調整をしていくという認識でいいのですよね。ということの確認をさせていただいた上でですが、こういう検討するという方向性について、大きな意見の食い違いが、皆さんの中であるかどうかということの確認だけ、まずさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○釜萢委員 釜萢です。よろしいでしょうか。
○伊藤部会長 よろしくお願いします。
○釜萢委員 今、事務局からの御説明、あるいは皆様の御意見を伺っても、この季節性インフルエンザワクチンに対する考え方は、大きく今後は変わってくる可能性があると思います。まず、複数の種類の違うワクチンを選ぶということは、これまでにないことであって、これまでは、メーカーが違っても、国が決めた株が同じように入っていて、同等の力価のものという前提でワクチンを打ってきたわけですけれども、今後は種類も違って、製造方法とか効果も違うということになると、それは大きな変化だろうと思います。
先ほど坂元先生も指摘されましたが、ワクチン代もどのようにまた変わってくるのかなというのも今後の課題だろうと思います。例えば不活化ワクチンに比べてmRNAのワクチンは非常に高価であるという場合に、それをどのように理解して選択したらよいのかというような問題は出てくるので、そこは既に種類の違うワクチンを同一シーズンで使っている国もあるようですから、その辺りの情報も踏まえて、我が国でどういう対応が一番ふさわしいのかというのを考えなければならないと思います。
一方で、有効性がかなり高まるワクチン、経鼻も含めて投与法も変わるということも考えられるわけなので、それに対してどのようにしたらよいかというのは、今日は初めての議論になるわけですけれども、今後、このことを考えて、いろいろな可能性を踏まえておかなければいけないなと感じます。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。ほかに皆さんから御意見はございますか。大丈夫でしょうか。既に幾つかの団体とは話を。信澤先生どうぞ。
○信澤委員 先ほどの福島先生のインフルエンザワクチン株選定の在り方の研究班の報告書、とてもよくまとめてくださっていて、まず最初に、本当にありがとうございます。お礼を申し上げたいと思います。
その中で、先ほど福島先生が御指摘されていた、海外メーカーと日本のメーカーでも、ワクチン株が、WHOが指定したものであれば、鶏卵ワクチンであれば有効性うんぬんについては余り遜色ないのではないかという御指摘があって、基本的にはごもっともな御意見だと思うのですが、ちょっと私が懸念していますのは、同じ鶏卵ワクチンでも、日本のワクチンの場合、非常にきれいに作っているようで、「きれいに」と申しますのは、ワクチンはHAというウイルスの抗原性タンパクを基準に今は作られていますけれども、それの十分量、指摘量が入っていればいいという作り方をしているのに対し、同じ製法でも、精製工程など、この辺ははっきり分からないので、推測になりますが、海外のメーカーのワクチンは、少しラフに作っているのではないかと。
なぜ、そういう話が出てくるかというと、同じ鶏卵ワクチンでも、海外で作られたワクチンを接種した人の抗体価のほうが、鶏卵ワクチンで同じワクチン株を使っていても、日本で製造されたワクチンによって誘導された抗体価よりも高いようだという話が、幾つか聞こえてくることがあります。
その理由としては、その汚い中に、「汚い」という言い方はちょっと良くないですね。その海外のワクチンの中に、アジュバント効果があるようなものが、余り精製されていないことによって入っているのではないかという考え方とか、私はむしろHAだけではなくてNAが比較的多く含まれているのではないかなという気がしております。
今のところ、インフルエンザのワクチンはHAが重要と言われているのですが、NAというウイルス抗原がかなり抗体誘導、あるいはcross-reactivityなどには効果があるということが最近よく言われるようになったので、その辺を考えますと、やはり同じ鶏卵ワクチンでも、日本のワクチンより(海外ワクチンの方が)有効性が高いと評価されてしまう可能性もあるのかなというのをちょっと懸念しております。まどろっこしく、説明が悪くて申し訳ないのですが、以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。実際の海外と国内の違いというのがあるということだったと思います。福島先生、手を挙げていらっしゃいますか。
○福島委員 はい、よろしいでしょうか。
○伊藤部会長 どうぞ。
○福島委員 信澤先生、ありがとうございます。多分、国内上市が実現した場合は、そういう情報も加味した上で、皆さん考えられるのではないかなと思います。
確かに、より精製されたほうがNA等が入りにくくなるので、免疫原性は若干落ちるというのも非常によく分かります。例えばサブユニットワクチンとか、HAがすごく精製されたものは、不活化スプリットで壊したようなものよりも、ちょっと免疫原性は低いですよね。そのような中で、国産メーカーをやはり選ばれるのか、それとも外資系ワクチンのほうが早く打てるから打とうと思われるのか、恐らくマーケティングも変わってくると思うのです。
私が2年前にインタビューをさせていただいて、聞いたお話の中には、マーケティングがいい方向に動くのではないかというようなお考えを述べられたメーカーさんもありました。今、日本のインフルエンザワクチンは、常に不足感があるところのぎりぎりのラインで製造せざるを得ないスキームになっているというのを御指摘いただきまして、確かにそうかなと思ったのです。
なので、今年は十分な量を作っていますよという情報を幾ら出しても、地域では不足感があるところ、外資系のワクチンが参入してくることによって、皆さんが選択できて、より特色を打ち出すようなマーケティング戦略にもっていけるはずだというお話もありました。そこは実際に上市されてみないと分かりませんけれども、先ほど信澤先生が述べられた情報なども考慮しつつ、利用者の方が選ぶというのが、将来的に考えていかなければならない方向性なのではないかなと思いました。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。逆に、信澤先生とか福島先生のほうで、多少不純物が入っているからということですが、一般の人たちが皆さん気にされる安全性の懸念はないのかということに関しては、福島先生や信澤先生は、大丈夫だとおっしゃることができますか。安全性の部分を無視して有効性の話だけするのわけにはいきませんので、確認だけさせていただいているのですけれども。
○福島委員 すみません、福島ですけれども、もちろん安全性とのバランスだと思います。外資系のメーカーさんのワクチンのほうが、副反応の頻度が多いというデータがもしかしたら出るかもしれないですよね。でも、それをちゃんと理解した上で選ばれるのだったら、それはいいのではないでしょうか。
○信澤委員 私も同感です。それで先ほど臨床治験をやられたのは日本人が対象でしょうかというのを伺ったのですけれども、今の鶏卵ワクチンと、例えば外資系のワクチンで、その効果と副反応がどうなるのかというのは、今の日本のワクチンと比較することで、ある程度の情報が得られるのではないかと思います。安全性に関しては、海外メーカーはもう海外で使われているわけですので、その辺の情報は十分手に入れることはできるのではないかと思います。
○伊藤部会長 ありがとうございます。このセッションをまとめていかなければいけないのですけれど、全体として見たときに、今、事務局から提案があった、WHOの推奨株に基づいた株を使って、外国からワクチンを持ってくるということについて、今後、検討を進めていくということに対して、大筋として、この部会としては反対がないというように取りまとめをさせていただいてよろしいでしょうか。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 今の伊藤先生の御提案に賛成です。予防接種接種主体の自治体としては、ワクチンを選べるというのは1つの時代の流れだと思うのですが、やはり有効性と選択と供給というのは、今回のコロナワクチンを見ても非常に揺れ動いており、あるものに集中してしまったと思います。人気があるものが不足するということがしばしば起こりがちなので、その辺のところをしっかり考えていただければなりません。一般的にはこういう対応をしていくとかやり方には、今の御提案には賛成でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございます。それでは、このことに関しては、先ほど申し上げたような形で、方向性を決めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
引き続いて議題3に入らせていただきますが、「ワクチンの流通情報の基盤整備に向けた検討会の報告書について」ということです。まず、資料3について、事務局より御説明をお願いいたします。
○井上予防接種室室長補佐 議題3「ワクチンの流通情報の基盤整備に向けた検討会の報告書について」御説明させていただきます。資料3-1と資料3-2を御覧ください。資料3-2は分量が多いので、資料3-1に基づいて御説明いたします。
検討会の概要について1枚目のスライドを御覧ください。定期接種に関しては、過去に何らかの問題が生じて、ワクチンの不足、偏在の事例が繰り返されております。現状では、ワクチンの流通情報の実態などを把握できず、分析にも課題がございました。例えば初回接種に必要な量のみを確保できているような状況であれば、2回目の接種に優先して初回接種に割り当てるように案内するような対応も本来であれば可能である状況ですが、エビデンスがなかったので対応が取れなかった状況でした。
以上のような背景を踏まえまして、昨年末から釜萢先生、福島先生にも御参加いただいて検討会を開催しておりまして、先日、報告書を取りまとめましたので、本部会で御報告させていただきたいと考えております。
続いて、スライドの2枚目を御覧ください。検討会の報告書の結果については、結論から先に申し上げますと、まず、ワクチンの流通情報のモニタリングについては、民間でデータなどを集めて、それを外部に提供している会社がありますので、そういった民間のデータ提供会社が保有するデータを活用することが妥当であり、モニタリングに要するコストも抑えられるという観点からも合理的である。
また、都道府県単位、週次単位でモニタリングを行えるようにするとともに、厚生労働省のホームページにダッシュボードを設けるなどして、国民にも分かりやすい形でデータを公表する。簡単でございますけれども、こちらが結論です。
続きまして、このような結論に至った理由を申し上げます。モニタリングに用いるデータについては、2枚目のスライドの右側にあるとおり、幾つかの要件がございます。まず1つ目が入手可能性、2つ目が入手までの期間が短い迅速性、データが正確であるということで正確性、データが全てを網羅しているという網羅性、データの加工が容易であるという容易性、データが統合できるという統合性、この6つの観点が重要となっています。
他方で、ワクチンの流通情報の関係者が保有する情報を、この要件に照らし合わせてみます。まず、そもそもワクチンの流通関係者が保有する情報については、主な保有主体は4つありまして、1つ目が生産量などを保有しているワクチンメーカー、医療機関への納入量を保有している卸売販売業者、接種実績などを保有している医療機関、最終的な台帳情報を保有している市町村となっております。これらの4つの主体については、いずれも先ほど申し上げたモニタリングに用いるデータの要件に照らし合わせると欠点がございます。具体的に申し上げると、ワクチンメーカー、卸売業者のデータというものは、自社のデータしか持っていなかったり、そのデータを統合しようとしても各社独自のシステムで運用しているので、データの統合が難しい。また、医療機関や市町村のデータについては、電子化が不十分な所もありますので、データの統合性とか迅速な把握が困難ということでした。
他方で、卸売販売業者からデータを購入して加工した上で、第三者に提供しているという民間のデータ提供事業者のデータについては、短いタイムラグで入手可能であって、しかも正確性、網羅性も高い、統合済みの状態で電子的に提供されるので、加工も容易であるということでした。こういった背景がございまして、先ほど申し上げたとおり、ワクチンの流通情報のモニタリングを行うためには、民間のデータ提供事業者が保有するデータを活用することが妥当ではないかという結論に至りました。以上です。
○伊藤部会長 事務局から御説明があったとおりなのですが、この検討会の中で中心的な仕事をされた釜萢先生、福島先生がいらっしゃいますので、まず、釜萢先生、福島先生から、可能であれば補足の御説明を頂いて、その上で皆さんから御質問を受けようかと思うのですが、釜萢先生いかがでしょうか。
○釜萢委員 今、御説明があったとおりですけれども、福島先生と一緒にこの検討会に参加いたしましたが、結論としては、これが実際に動き出すと、特に医療現場にとっては非常に役立つ情報を正確に、迅速に頂けるなと感じております。
これまでもいろいろな理由でワクチンの供給が滞ったときに、今どうなっているのだろうか、ワクチンが偏在しているといっても、どこにどうなっているのかということはよく分からなかったわけですけれども、それが、今御説明があったような内容でデータがきちんと開示されますと、ワクチンの入手の今後の見通しについても、ある程度把握できるということで、非常に有効なものであると考えております。厚生労働省の予防接種室でこのような方向性をおまとめになられたことに敬意と感謝を申し上げたいと思います。
○伊藤部会長 福島先生、何か御発言はございますか。
○福島委員 本検討会には釜萢先生は医療機関の代表者として、私はアカデミアの中からの意見を述べる者として参加させていただきました。非常に画期的な検討会で、先ほど釜萢先生がおっしゃったように、これが実装されればすばらしい情報開示になると思います。
2枚目のスライドの最後の表ですが、モニタリング指標として、例えば期間別前年度比とか、把握可能な情報として、どれだけの更新頻度で想定しているかということも書かれていますけれども、月次、週次などの間隔で、ダッシュボードとして示される予定で今後動かれると聞いています。今までは不足が起こっても、本当に不足しているのか、どこに偏在しているのかということが分からなかったのですが、これが見える化されるということです。
たまたま関係各所の方にヒアリングを行われる中で、民間のデータ提供事業に携わっておられる方が、もう既に連結したデータをお持ちでしたので、そちらを活用させていただくことになったわけですが、検討会の中では、V-SYSの活用が可能かということについても当然検討しました。けれども、V-SYSについては、新型コロナウイルスワクチンという、供給プロセスが定期のワクチンとはかなり違うシステムに特化して構築されたものですので、今般の検討会でターゲットとした定期のワクチンには、修正して適用するということは現実的ではないというところもちゃんと検討した上で、このような報告書としてまとめていただきました。予防接種室の皆様、どうもありがとうございました。
○伊藤部会長 補足の説明をありがとうございました。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 これは本当に非常にいいものができて、接種主体の市町村としても、ワクチンの偏在などが見える化できるという形で、非常にいいものができたというように感謝申し上げたいと思います。
1つは、以前から我々が感じているのは、ワクチンの偏在とか流通に関して、一体どこが責任を持って、どういう根拠でやっていくのかというところでした。予防接種法の中では触れられていないし、非常に曖昧な部分であったと思うのです。それで、何となく広域の都道府県がやるとか、大きな政令指定都市になると、政令指定都市自身が問屋さんに電話を掛けて調達したりしてました。これができたことを契機に、流通とかそういうものに関して、法的な権限というのを、例えば国に付すとか、国から都道府県とか、そこら辺を一つ明記していったほうが、これがよりよく、これに基づいて例えば厚生労働省が介入していくとか、そういう意味で、そういう権限みたいなものを法的に付与していくというのは、ワクチンというものの供給の安全性から考えると、私は必要ではないかと考えております。
○伊藤部会長 ほかに御意見などはございますか。
○細矢委員 坂元先生がおっしゃったことは本当に大事だなと思っています。実際に不足が起こっているという情報が入った場合に、それに介入するということはどうしても必要になってくるので、それに対して国が行うということを、「法的権限」ということをおっしゃいましたけれども、そういったことがないと把握だけして終わってしまうということになってしまわないかという心配がありますので、実際に調整をするのだというところまで踏み込んで、何らかの方策を立てていただきたいということが1点です。
それから、これはあくまでも定期接種ワクチンを対象にしていると思うのですけれども、把握だけだったら任意接種のワクチンについても、そういったことも、shortageを来しているかどうかを把握するということは意味があるのかなと思います。以上の2点です。
○伊藤部会長 ほかに御意見はございますか。何年か前に、こういった枠組みができないかといった話をしたときは、公正取引協議会という難敵があって、卸しの人たちは協力ができないとか、公取に怒られるから嫌だとか散々言ったような記憶が残っているのですが、今回は事務局で、大きな問題はないということで、こういった枠組みができているのだろうと思っています。
今後、皆さんからおおむね賛成という御意見を頂いていますが、一方で法的な権限とか、災害があったときに取組ができるような枠組みまでを含めて入れるほうが望ましいのではないかというのが、この部会の意見として出たということで、それを取りまとめの中に入れさせていただいて、基盤整備ということで考えていくということでよろしいでしょうか。
皆さん、首肯されていますので、そういった形での取りまとめで、次のステップに進んでいただきたいと思います。特に、皆さんから言われているように、見える化だけではない形での、安全保障の一環としてのワクチン供給ということについて考えていただきたい。石井先生、どうぞ。
○石井委員 確認させていただきたいのですが、このスライドに「国民にも分かりやすい形で」と書かれていますが、このデータはどのぐらいまで開示する予定なのでしょうか。と言うのは、新型コロナのときにも、こちらの自治体では非常にワクチンが余っている、一方では足りないということで、結構騒ぎになったようなこともありますので、どの辺のレベルまでの情報の開示を考えていらっしゃるのかを教えていただければと思います。
○井上予防接種室室長補佐 今回の報告書については、開示のレベル、単位についても御議論がございました。具体的に申し上げますと、医療機関単位で公表、開示、モニタリングしていくのか、それとも市町村単位でしていくのか、都道府県単位でしていくのか、この3つがございました。
医療機関単位、若しくは市町村単位ですと、個人情報の開示につながるのではないかという懸念がありまして、具体的に申し上げますと、医療機関であれば、個人で開業されているクリニックは当然そうなりますし、市町村単位でも市町村の規模によっては医療機関が特定されてしまう状況が起こってしまいますので、市町村単位や医療機関単位ではなくて、都道府県単位がいいのではないかという結論になっております。簡単ではありますが御紹介させていただきました。
○伊藤部会長 石井先生、よろしいでしょうか。
○石井委員 分かりました。
○伊藤部会長 まだ大まかな方針が出てきただけの状況ですので、今後、実際の枠組みについては、事務局でもう少し細かな形を詰められた上で提示していただけるものだと認識しておりますが、方向性としてはこの方向でということで、部会としては了解をするという形の取りまとめにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。この課題については、このぐらいにさせていただきます。
最後に「その他」の課題に入ります。参考資料1から参考資料3について、事務局より説明をお願いいたします。
○阪口参与 まず、参考資料1ですが、これは本年の1月27日に基本方針部会で報告させていただいた資料と全く同じものです。2点報告させていただいております。
参考資料1の2ページを御覧ください。1点目は、阪大微研のMRワクチンなのですが、これは定期接種のワクチンになっております。このワクチンの培養基材は、これまでウズラの卵だったのですが、それをヒト培養細胞に変えるという製造方法の変更でございます。一方で、この製造方法が変更されましても、「乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン」という一般名は変わらない方向で、感染研の先生方とか厚労省内で調整をしておりますので、この製造方法の変更が承認された後も、引き続き予防接種実施規則の中で、このワクチンは定期接種の範囲に入るということになります。
2点目ですが、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ・Hibの5混ワクチンです。このワクチンが今はKMバイオロジクスと阪大微研で開発が行われておりまして、そろそろ本年の上半期ぐらいに申請されるという情報が入ってきましたので、御報告をさせていただいております。これは定期接種化のプロセスの透明化を企業から非常に要望されているところでして、大体その申請が見えてきた段階で、基本方針部会の先生方などに御報告させていただいて、そうすると承認は大体1年後ぐらいかなと。そうすると、更にその1年後に定期接種化ということで、そろそろ準備をしないといけないかなというところをやっていただくという目的のために、御報告をさせていただいています。
3ページを御覧ください。5混ワクチンなのですが、平成25年11月28日の本部会において、生後2か月から接種開始したほうがいいのではないかという議論を頂きまして、2社とも生後2か月から接種開始ということで治験をしております。ですので、5混ワクチンについては、生後2か月から接種開始になるというようになっております。これに伴って、今、乳幼児の百日せきの感染が結構問題になっていまして、DPT、今ですと4混ワクチンになるのですが、4混ワクチンを生後2か月から接種開始したほうがいいのではないかという議論もございまして、今回、この5混の治験の中で、4混ワクチンについても生後2か月と生後3か月を比較したようなデータが出てきておりますので、そういうデータを先生方に見ていただいて、4混ワクチンについても生後2か月から接種を開始するというような議論を、今、ワクチン小委員会、基本方針部会などでやっていただいている最中です。参考資料1については以上です。
続いて参考資料2なのですが、日脳ワクチンについて、令和3年度、今年度は微研のワクチンが非常に供給不足になりまして、皆さんに御迷惑をお掛けしていたところなのですが、日脳ワクチンの4回接種のうちの1回目と2回目だけを優先して、3回目と4回目の接種はお待ちくださいというような通知を出させていただいておりました。今回、令和4年度からは供給が戻りまして、十分な日脳ワクチンの供給が見込まれますので、昨年接種できなかった3回目と4回目の接種、それから今回、今年に1回目から4回目までを打つ方々も、全員接種対象になることをお知らせする事務連絡を出させていただいております。
参考資料3の事務連絡について、「サーバリックス」は、これまで非常に供給量が限られていましたので、初回接種を実施する場合には「サーバリックス」ではなくて「ガーダシル」を接種してくださいというお願いをしてきたところです。今般、サーバリックスについてもそれなりの供給が今後見込まれるということで、サーバリックスについても1回目の接種から使用できるという事務連絡を出させていただいております。以上です。
○伊藤部会長 3つの課題についての説明でした。御質問などはございますか。ワクチンの開発状況に関しては、前からなかなか開発が進んでいない部分もあるのですが、少なくとも5混については少し進んできているということだろうと思います。今後、基本的に基本方針部会のほうで議論になるのだろうと思いますが、マーケットに出るような話というのは早目にしてあげるのが、研究開発とか実際に生産をしていたりする企業にとってメリットが出るようであれば、そちらについても皆さんの御支援を頂いて、基本方針部会でも、できるだけ早目に使えるような、それがワクチンの開発をされる方にとってもインセンティブになるような努力はしていけるといいのかなと個人的には思うところです。
参考資料2と参考資料3のものに関しては、過去の供給の問題があって制限が掛かっていたのが解消されそうだということですので、これはこれでよかったかなと思っております。
それ以外に御質問とか、せっかくこういった形で……全体についての議論ができる時間がありますので、御質問があれば事務局にお答えいただければと思います。いかがでしょうか。
○細矢委員 一番最初に重点感染症リストを作るという話で、それについて我々委員のほうにそういったものは調査されるような話だったのですが、開発優先度の高いワクチンについて議論した際には、各学会とか、関連学会に対して、どのような疾患が対象になるかというようなアンケートを取ったように思うのです。考えられているのかもしれませんけれども、是非、重点感染症リストを作成の際に、いろいろな方の意見を聞いてみるのもいいのかなというように思いますので、調査対象、アンケートの対象を少し広げてもらうのがいいかと思いました。
○阪口参与 御意見ありがとうございます。まず、重点感染症のリストを作るところについては、今、検討会で感染症など様々な専門家の御意見をお聞きしながらやっているところです。その後、恐らくそのリストの中から、いざワクチン開発をするとなったときにどれを優先するかなど、もうワンステップあるかなと思っておりますので、その辺りで、もちろん本部会でも御意見を頂きたいと思っておりますし、また、どのようなところに御意見を頂くかということも検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○伊藤部会長 全体を通してでも、先ほどは質問できなかったということについてでも結構ですが、いかがでしょうか。
開発の優先度の高いワクチンというのと、今回の感染症の重点化というのと、ある意味では重複する話なのだろう思っておりますが、COVID-19のまん延にとって、ワクチンと言うか、感染症に対応するものとしてのワクチンの役割を再度認識していただいて、リバイスする形になっているのだろうと思います。これに関しては、皆さんの知見、お考えをできるだけ反映できるような形にしていくのがいいと思っていますので、それについては事務局ともども努力していければと思います。
よろしいでしょうか。全体としてありがとうございました。本日予定していた議題は以上になりますが、その他、事務局から何かありますでしょうか。
○萩森予防接種室室長補佐 本日も様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。次回の開催については追って御連絡させていただきますが、重点感染症の暫定案については、なるべく早く委員の方々にお送りして、持回りで御意見をお伺いする予定でございます。短時間での検討をお願いすることになり恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤部会長 それでは、本日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を終了させていただきます。本日はありがとうございました。