第169回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

日時

令和3年11月19日(金)18:45~19:45

場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
厚生労働省 職業安定局第2会議室
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)

議事

議事内容
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第169回「労働政策審議会職業安定分科会」、第160回「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」の合同会議を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お繰り合わせの上、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
議事に先立ちまして、職業安定分科会の委員に新たに就任された委員を御紹介させていただきます。一言御挨拶をお願いします。
職業安定分科会の労働者代表委員として、日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長の冨髙委員、一言御挨拶をお願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。連合の冨髙でございます。10月の定期大会をもちまして、仁平の後任ということで総合労働政策推進局長を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 よろしくお願いいたします。
本日の出欠状況ですけれども、職業安定分科会の委員では公益代表の玄田委員、労働者代表の勝野委員、津村委員、使用者代表の砂子田委員、田原口委員が御欠席です。
雇用保険部会の委員におきましては、労働者代表の千葉委員、使用者代表の柴田委員が御欠席です。
それから、職業安定分科会委員、雇用保険部会委員の小畑委員におかれましては、所用のため途中で御退席と伺っております。
それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○山川分科会長 本日の分科会・部会の合同会議はZoomによるオンラインでの開催になります。発言方法等につきまして、事前に事務局から送付しております「職業安定分科会・雇用保険部会合同会議の開催・参加方法について」に沿って御操作をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
「(1)雇用調整助成金等・休業支援金等の助成内容(案)について」という議題でございます。
資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○雇用開発企画課長 ありがとうございます。雇用開発企画課長の中村でございます。本日は急な開催となりまして誠に恐れ入ります。
本日、先ほど経済対策が閣議決定されました。それを受けまして、雇用調整助成金等について、できる限り本来のプロセスに近い形で方針審議を進めたく存じまして、本日は分科会と部会の合同開催の形でお集まりいただいた次第でございます。御都合をおつけくださいまして誠にありがとうございます。
私から雇調金の部分について御説明申し上げます。
まず、本日の資料No.1の経済対策を御覧ください。
1パラ目の辺りが雇調金でございますけれども、少し背景を申し上げますと、雇調金の一連のコロナ特例を開始して22か月になりました。11月22日時点の支給決定額は4.9兆円でございます。
労政審では、これまでも雇調金が雇用維持のセーフティーネットとして適切に役割を果たしてきたという御指摘もいただいてまいりました。
その一方で、この10月に緊急事態宣言が解除されまして、経済活動の回復の動きも見られるところでございます。業種によってはまだ厳しい状況にあるために、当面の特例措置の継続が必要であるという御意見もいただいております一方で、人手不足感が強まる中で、経済回復のブレーキにならないように、特例措置にめり張りをつけて、縮小を議論する段階に来ているのではないかといった御指摘も審議会の中でございました。
こうした動きを背景に、こちらの閣議決定でございますけれども、雇調金について、このような大きな方向性が盛り込まれております。
読み上げますと、雇用調整助成金の特例措置等は、特に業況が厳しい企業等に配慮しつつ、令和4年3月まで延長する。具体的には、業況特例、地域特例について、3月末まで現行の日額上限・助成率の特例を継続する。その他については、3月末まで現行の助成率の特例を継続しつつ、日額上限は段階的に見直す。
ここまでが雇調金の部分でございます。
併せまして、今後の方向性として、同時に、成長分野等へ労働者が円滑に移動できる環境整備等を図るため、需要減少で人手が過剰な企業から人手不足の企業への在籍型出向を助成金でしっかりと支援するほか、職業訓練と再就職支援を組み合わせて、労働者のスキルアップや労働移動を図る事業の強化を行う。
このようになっておりまして、後段の具体的な施策としては、例えば求職者支援制度や新型コロナ対応のトライアル制度について対象者要件を緩和したり、非正規雇用労働者向けに官民で協力しまして、職業訓練と再就職支援を行う仕組みが盛り込まれているところでございます。
本日の雇調金の今後の姿でございますが、資料No.2を御覧いただけますでしょうか。この経済対策の方向性を踏まえまして、来年の1月から3月について、具体的な助成内容の厚生労働省の案を本日提出させていただいております。
御説明申し上げますと、左の青いほうの枠でございますが、まず、原則的な措置につきましては、令和4年3月末までは助成率は維持する一方で、限度額を1・2月に1万1000円、3月は9,000円というふうに、段階的に見直していく案でございます。
今、企業の出向を支援する産業雇用安定助成金がございますが、これは今、上限額が1万2000円でございますので、この案でいきますと、1月には雇調金の1万1000円と上限が逆転する形になってまいります。
それから、地域特例、業況特例は黒い太線で囲った部分でございます。これにつきましては、来年の3月末まで現行の助成率・限度額の水準を維持する案としております。すなわち、いまだ厳しい業況にある事業主さんも多いため、引き続き手厚い内容で雇用維持を支援する内容でございます。
運用面につきましてもお話し申し上げます。まずは、業況特例の適用に当たりまして(※2)に変更の案をお出ししております。現行では生産指標の比較対象を前年か前々年としているところでございます。それを来年の1月以降につきましては、3年前との比較でも差し支えないこととすることによってコロナ前水準との比較を可能にするという案でございます。
(※2)の「なお」以下でございますけれども、これは令和4年1月以降に行われた休業について申請があった場合につきましては、その申請があった時点でもう一度生産指標を再確認させていただく案としております。これは足元の状況を再確認することで、手厚い制度が本当に必要としている企業さんに適用されるようにという審議会での御指摘も踏まえた案になっております。
(※3)に参りまして、ここは高い助成率の適用になる解雇等を行っていないという要件について、解雇していないことの確認期間を短縮する案でございます。すなわち、原則的な特例におきましては、これまでは令和2年1月24日からの期間を、解雇等を行っていないという条件にしてまいりました。これを見直しまして、来年1月以降は地域業況特例と同じ、令和3年1月8日以降の解雇について対象とする案ということで提出させていただいております。
いまだ厳しい状況にあります事業主については、引き続き雇調金で手厚く支援する案としております一方で、あまりに強過ぎる休業インセンティブで、経済回復を支える人材確保が困難になるまでの状況を来すことのないような制度設計として見直していく案としております。先ほど申し上げました経済対策に盛り込まれたスキルアップですとか労働移動支援といった事業との兼ね合いも図りながら進めてまいりたいと考えております。
雇調金については以上でございます。引き続き、休業支援金について説明がございます。
○雇用保険課長 雇用保険課長でございます。本日はよろしくお願いします。
私からの報告は2点ございまして、今の資料のNo.2の休業支援金部分と、経済対策に関する財政部分についての御説明を差し上げたいと思います。
資料No.2の表の休業支援金は右側の図で書いておりますけれども、現状といたしまして、原則的な措置に関しましては12月までが8割、上限は9,900円という整理でございました。
大企業に関しましては、シフトの方のみを基本的に対象としているところでございまして、同様の率あるいは上限額を適用しているところでございます。
雇調金と異なりますのは、業況特例がないということです。これは個人申請ということもございますので、業況を個々の労働者が会社に聞いて把握することが事実上困難であるということを踏まえて、原則的な措置は地域特例のみとしているところでございます。
地域特例に関しましては、原則的な措置よりも上限額に関しまして、9,900円を1万1000円としているということでございます。
今般、1月から3月までの措置をするに当たりまして、基本的には雇用調整助成金の枠組みと平仄を合わせつつ対応していきたいと考えているところでございます。
まず、原則的な措置の部分でございますが、これは8割を維持する考えでございます。これは雇調金の地域業況特例の助成率が最大10分の10であることを考慮したことにしたいと思っております。
上限額に関しましては、雇調金の上限の原則的な措置の縮減と併せまして12月よりも縮減した形としたいと考えておりますが、一方で(※6)に書いてありますが、雇用保険の基本手当の日額上限は8,265円ということでございまして、こちらのいわゆる失業手当の給付の上限とのバランスを考慮いたしまして、8,265円という形で3月まで適用させていただければということで考えてございます。
資料No.1に戻っていただきまして、経済対策の資料を御覧いただければと思います。雇調金あるいは雇用保険財政の安定のための措置としての文言が盛り込まれておりますので、そこの部分を紹介させていただきます。
資料としては「また」以下の部分でございます。
当面の雇用調整助成金等の財源確保及び雇用保険財政の安定を図るため、雇用保険臨時特例法に基づき、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入を行うという形で、今般の雇調金の財源確保のための措置を閣議決定で明記されたところでございます。
加えまして「これを含め」からでございますが、雇用調整助成金等の支給や雇用保険財政の安定のため多額の国庫負担を行っていることも踏まえ、労使の負担感も考慮しつつ、保険料率や雇用情勢及び雇用保険の財政運営状況に応じた国の責任の在り方を含め、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出するという形でまとめられてございます。
繰り返しになりますが、今回、雇用保険臨時特例法に基づき、一般財源からの繰入れが行われるということです。それから、財政運営の在り方を検討し、法案を提出するという方向性が盛り込まれているところでございます。
なお、この繰入れに関しましては、今後策定が予定されている補正予算案の中で対応していくことを考えているところでございますので、金額などについては固まり次第、また追って御報告させていただければと思っているところでございます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明をいただきました本件について御質問、御意見をお伺いしたいと思います。「手を挙げる」ボタンをクリックして、こちらで指名させていただいた後に、お名前をおっしゃっていただいて御発言をいただくというふうにお願いいたします。
小畑委員が途中で退席されると伺っておりますけれども、小畑委員からは何かございますか。
○小畑委員 どうもありがとうございます。小畑でございます。貴重な情報をいち早くお届けいただいて、ありがたく存じております。
財政状況は大変厳しい中でございますけれども、やっとコロナ終息の方向が見えてきて、経済活動も活発化してきたと認識しております。
入社1年目でコロナに当たって、新入社員の中には、1年たっても、先輩方が1年で身につけたスキルや人間関係が築けずにいると、大変焦っているというお声を卒業生の方からも聞いておりますし、また、入社して3、4年ぐらいでコロナに当たったという方々とお話ししますと、せっかく身につけたスキルがほこりをかぶってしまって、元の木阿弥になっていないのかということで不安に思っているということです。早く現場に戻りたい、一日も早く旧に復したいと願っているというお声も聞いているところでございます。
先ほど事務局の御説明をお聞きしていまして、お尋ねしたいと思ったのですが、そのようなパターンとは全く逆のパターン、すなわち、必ずしも一日も早く元に戻りたいわけではないという感触がおありかどうかという点をお尋ねしたいのですが、もう1年とか1年半とか、収入はそれほど減ることなく休んでいる状態が継続してしまっているという中で、労働意欲の点で何か懸念されるような事例が生じていると御認識されているのかどうか、事務局のほうでもし情報がおありでしたらお尋ねしたく存じます。
よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
御質問でありますので、事務局から何かございますか。
雇用開発企画課長、どうぞ。
○雇用開発企画課長 中村でございます。ありがとうございました。
御指摘のとおり、長期化によって、当初は思わなかった様々な弊害のようなものが見えてきているように感じます。
労働局から個別的に上がってまいります一例を申しますと、例えば事業主さんが従業員さんをシフトに入れようとしても、従業員の方から見ると、休んでも仕事に出ても同じ額の手当がもらえるので、もうシフトに入れないでくださいとおっしゃる方が出ているようにも聞こえてまいりました。
逆に、従業員の方が焦りを感じて、自分がこのまま休業を続けていてもスキルの積み重ねができないので転職したほうがいいのではないかとか、ずっと家にいることで精神的にも大変つらい状況にあるというお声も聞こえてきております。
使用者の方からも、従業員の腕が鈍って、いざというときに、例えば精密機械の分野とか料理の分野とか、様々な分野ですぐにまた活躍してもらえるかどうか不安だといったお声も上がっているところでございます。
どうもありがとうございます。
○小畑委員 ありがとうございます。
○山川分科会長 小畑委員、よろしいでしょうか。
○小畑委員 はい。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田でございます。
まず、冒頭にお礼とお願いを申し上げたいと思います。
これまで、特例措置の延長については、政府の方針が発表され、厚労省からもプレスリリースが出された後に労政審に諮問がなされることが続き、事実上追認になっていたことに、私は非常に問題意識を持っていました。そうした中、今回はこのような対応をしていただいたことにまず感謝を申し上げます。これが本来の労政審のあるべき形だと考えておりますので、今後の分科会、部会運営におきましても、ぜひこのような対応を切に願っているところでございます。
その上で2点ほど、御質問です。
雇調金等の特例措置は来年の3月末までの延長という提案ですけれども、例えば雇調金の上限額については、1・2月は1万1000円、3月は9,000円となり、段階的に縮小していく方向性が示されています。具体的にどのような感染状況を想定されているのか、可能であれば教えてください。
同様に、特例措置の延長によって、当然費用負担が増してくると思いますが、その場合、事業主負担や一般会計による繰り入れ等、それぞれでどのような金額の負担を想定しているのか、教えていただきたいと思います。
以上、2点、よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、雇用開発企画課長、どうぞ。
○雇用開発企画課長 ありがとうございます。中村でございます。
まず、感染の想定につきましては特段、感染動向そのものについて増えるとか減るとかということをこの制度において盛り込んだものではございません。ただ、仮に第6波が来たとしても、手厚い制度が残っていることによりまして、厳しい業況に陥らざるを得ない事業主さんについては手厚く支援していくことができる制度であると思っております。
負担につきましては、この制度を継続することと、仮に制度を元に戻した場合の差額の積算がなかなか難しゅうございます。これはなぜかと申しますと、助成率と限度額の影響の出方というのがその会社さんの賃金水準によってかなり変わるものですから、一律に積み重ねていくというのが難しい特徴がございます。今は実績額で申しますと、10月の足元の実績は大体、地域特例で200億円の業況特例で1,000億円ぐらい出ております。
ところが、一社一社を考えますと、例えばお示しした資料No.2の図の、令和4年の1・2月の中小企業のところを御覧いただきますと、平均賃金が仮に日額で8,500円ぐらいの中小企業さんがあったとします。そうすると、この会社さんは業況から原則措置に移行しても、上限額が1万5000円でも1万1000円でも結局、影響は受けないわけでございます。
助成率も、もし解雇があるようだったら5分の4のままで変わりないものですから、その企業さん1社について言えば、地域とか業況の特例から原則措置に落ちたとしても、休業規模とか事業所の平均賃金がずっと一定だと仮定しますと、従来と同じ助成額になってまいります。
一方で、例えば平均賃金が3万円とか4万円とか、とても高い事業所さんを想定しますと、今度は逆にどの助成率で計算しても結局頭打ちで、上限額でヒットしてしまうので、むしろ上限額のほうが大きな減額要因になるという事情が、一社一社それぞれに違って、どのくらいの平均賃金レンジに入っているかによって会社ごとの減り額も変わります。また、その月その月で申請されてくる会社さんの数も異なります。
そのようなわけで、なかなかそのものずばりの額を見通すことが難しいものでございますから、この場でお答えできるような繰入額の目安というのは見えておりません。
しかしながら、一方で金額レベルとしては、先ほど保険課長から説明がございましたように、今般の補正でということもこの経済対策の中で言われておりまして、この点につきましては、今年度中の支出につきましては、ある程度措置がなされるものと考えながら制度を考えてまいりました。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
新田委員、何かございますか。
○新田委員 御説明ありがとうございました。
中村課長がおっしゃることはよく分かるのですが、通常は金額や予算を考える際には、ある程度シミュレートするわけで、そのときには想定を置いて考えているのが通常だと思います。本日は御回答が難しいということですが、今後、資料をつくるに当たって、どこかのタイミングでお示しいただけるとありがたいと思います。

○雇用開発企画課長 恐れ入ります。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。
お手を挙げられたのは、馬渡委員が早かったと思いますので、馬渡委員、お願いします。
○馬渡委員 中央会の馬渡でございます。よろしくお願いいたします。
特例措置の縮減については、早く財源問題も含めて話しましょうと、それと同時並行でやらなければいけないと思っておりますので、コロナが治まったとか、特別な厳しい状況がだんだん緩和されてくるにしたがって縮減されるということに関しては妥当なのではないかと考えております。
我々は中小企業の代表だと思っておりますので、まだまだホテルとか飲食、サービス、運輸業等のコロナの影響が大きいところ、それから、コロナによってこれから影響を受けそうなところが出てまいりましたので、そういったところに、3月の年度末で完全に打ち切ろうと思われないで、厳しいところはきちんと目配りをしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
もう一点ですけれども、今日の経済対策を読ませていただいて、一般会計から国庫負担を多額に行っていると書いてありますけれども、この積立金も全くなくなってしまったりとか借入れを行っているということも鑑みると、(通信不良)がないように、これから4年度以降の部分というのはきちんとお話をされると思いますので、ぜひ同時並行でお話を続けていただきたい。財源の問題に関しては今回の、後からお示しになるということでしたので、またそれを見てから御意見を申し上げたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。
馬渡委員、申し訳ございません。インターネットの接続が不安定で、一時止まってしまった部分がありまして、差し支えなければ、たしか積立金からの借入れのあたりのお話で接続が不安定になってしまいまして、簡単で結構ですけれども、もう一度おっしゃっていただけますか。
○馬渡委員 4年度の、これからの話に入ると思いますので、そこでしっかり、国庫負担だけでやれるとは思いませんし、我々のどういうふうに積み立てていこうかという話もあるかと思いますけれども、ぜひ安心できるような財政に早く持っていってほしいと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。お手数をおかけしました。
では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、先ほども御説明いただきましたけれども、本来のプロセスをということで、本日急遽、合同部会の場を設けていただいたことに関しては感謝を申し上げたいと思います。
その上で、先週末に1月から3月の雇調金の特例に関する報道があったわけですけれども、厚労省からの正式な発表ではないにせよ、こうした報道を通じて審議会で論議する前に方向性を恣意的に誘導するようなことがあってはならないと考えておりますので、その点については申し上げておきたいと思います。
本題でございますけれども、まず、1月から3月の雇調金と休業支援金の措置でございます。本日、既に全体に行われた159回の雇用保険部会でも申し上げましたけれども、コロナ禍の前と比較して業況がそれほど回復していない産業、企業、あるいは地域からは、雇調金の特例措置と休業支援金によって雇用がかろうじて守られているのだという切実な声は我々にも多く寄せられているところでございます。まだ影響が残る産業地域の労働者の保護は不可欠でございまして、そうした観点から、地域特例、業況特例を現行水準で継続する必要があると考えているところでございます。
また、原則的な措置の水準についても、段階的な引下げありきではなくて、あくまで業況、雇用情勢などを基に、慎重に検討を進めていることが重要だと思いますし、必要に応じて産業雇用安定助成金の活用を促すということも重要であると考えております。その上で、仮に年度内に第6波の感染拡大が来た場合においても、現状の助成金の水準を維持できる分の財源を一般会計から十分に確保した上で、雇用情勢などに応じて機動的な対応ができるように制度整備を検討していただく必要があろうかと考えております。
先ほど経済対策のところで労働移動に関する内容が少し出ていたかと思いますけれども、この間の議論の中でも雇用調整助成金が労働移動を阻害しているという意見等もございましたが、そもそも雇調金について、事業の再開を見据えて、スキルを持った労働者を雇用し続けたいという企業側の意向と、現在の仕事を続けたいのだという労働者の意向がマッチした際の雇用維持を後押しする仕組みでございまして、転職の意思がない労働者をほかの産業に移動させるような仕組みではないと考えております。
「労働者が会社に戻ることができるならば、一時的に出向してもよい」という意向であれば、先ほどの産業雇用安定助成金を活用して、在籍型出向等を通じて雇用を維持することも視野に入れるということだと思いますので、先ほども申し上げたように、厚生労働省には改めて制度の利用促進をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
 
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 本日、新田委員からも発言がございましたが、今回、このタイミングで職業安定分科会・雇用保険部会を開催して、案の内容を御説明いただくとともに、意見交換の機会を設けていただいたことに心から感謝申し上げます。引き続き、適宜適切なプロセスの確保と、しっかりとしたコミュニケーションの場を御用意いただくことをぜひお願いしたいと思います。
お示しいただいた1月から3月の特例措置については、おおむね異論はございません。コロナの感染状況が大分落ち着いてきて、業況も一部の業種では徐々に戻ってきていると思いますが、飲食・宿泊業等は依然としてコロナ前の状況に及びません。加えて、足元では、コロナ以外にも、エネルギー価格の高騰が幅広い業種に影響を及ぼしてきております。今後、各業種において、業況がどの程度コロナ前の水準まで戻ってくるのかについてはまだ予断を許さない状況かと思います。
今後の回復見通しについては、必ずしも、あらゆる業種・企業で一律ではないものと思っていますので、業況特例をしっかり残していただきつつ、今後のコロナ禍からの回復を見据えて、成長分野への労働移動を促していくという考え方のもと、原則的な措置を段階的に縮減していくことは十分理解できる、適切な対処かと思います。ただし、コロナの第6波が懸念されることから、今後の感染状況、それに伴う地域経済や雇用への影響をしっかり見極めた上で、適宜適切な判断をお願いしたいと思います。
最後に、本日閣議決定された経済対策の文言を見ると、ただ今申し上げたような流れに加えて、労働者のスキルアップについての言及がなされていること、それから、我々が非常に気にしている雇用保険財政の安定化について、一般財源からの投入ということがはっきり記載されており、しっかりした内容になっていると思います。今後決定されるであろう具体的な施策の内容および一般財源から投入される金額について期待しておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 
私からは以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 私から発言させていただきます。御説明ありがとうございました。
今回提示いただいた上限額を下げる案ということですけれども、雇調金のめり張りのつけ方という意味では妥当な案ではないかと考えております。
ただ、そうは言いながらも、やはり厳しい事業所にはしっかりと支援をしていくことも重要かと思っております。雇用調整助成金を縮減すれば必ず何かの影響が出るのです。特に今回は大きな影響が出るのではないかと考えております。
それで、先ほどシミュレーションをなかなかしにくいということでしたけれども、シミュレーションという形で見ることも重要ですが、同時に、過去から学ぶということも重要なのではないかと思っております。具体的には、リーマンショック後にも雇調金といったものに関して分析した事例があるかと思います。雇調金がリーマンショックのときにも特例措置という形で実施されましたけれども、そのときに具体的に何が起きていたのかということを分析した報告書があったかと思います。
そういった研究で、私も完全に覚えているわけではないのですけれども、例えば雇調金が労働移動を阻害するといった主張についても、実はそれほど単純ではないのだという分析がなされていたかと思います。そういったことも含めて、過去において雇調金の特例措置によって何が生じていたのか、分かっていることを整理して、こういった場でもそのポイントを提示していただくと議論の素材になるのではないかと思いますので、1点申しておきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
確かに雇用調整助成金の効果についての研究があったように、私もおぼろげながらですが、記憶しておりますので、そのあたりは確認していただければと思います。ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特段なければ、事務局から何かございますか。
○雇用開発企画課長 ありがとうございます。
もし特段御意見がないようでございましたら、いただきました御意見を今後の検討の中でしっかりと反映していきながら、本日についてはこちらに提示させていただきました案で、厚生労働省の今後の方針として、この後、報道発表させていただければと考えております。
併せまして、この内容は省令の改正が必要になるものでございますので、その省令案につきましては来月の職業安定分科会で改めて御審議いただければと考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
今、雇用開発企画課長からありましたように、省令案の内容については改めて来月御審議いただくということでございます。また、様々な課題がこの経済対策の中に盛り込まれておりますので、そちらについても審議会で十分な議論をいただくということを期待しております。
それでは、特段ございませんでしたら、本日の議題については以上とさせていただきたいと思いますが、何かこの際ということで委員の皆様方からございますか。
よろしいでしょうか。
この間、様々な立場からいろいろお考えのこともあったかと思いましたけれども、今後とも審議を充実させていければと思っております。
ございませんでしたら、本日の分科会、部会の合同会議はこれで終了いたします。大変急なところをお集まりいただきましてありがとうございました。お疲れさまでした。