第165回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年12月27日(月) 10:00~11:30
 

場所

 オンラインによる開催
 厚生労働省 職業安定局第1会議室
 

議事

議事内容
○伏木補佐 皆様、おはようございます。定刻少し前ですが、開催に先立ちまして開催方法の御案内を申し上げます。
本日も、こちらの会場とオンラインで併用での開催としております。部会進行中、オンラインで参加されている皆様はマイクをオフとさせていただきます。発言なさる際、会場の方は挙手をしていただきまして、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用してください。部会長から指名があった後に御発言をいただきますようお願いいたします。
会議進行中に通信トラブルで接続が途切れてしまった、音声が聞こえなくなったなど、トラブルがございましたら、チャットないし御案内しております電話番号まで御連絡をお願いします。
また、通信遮断が大きい場合には、部会を一時中断とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますようお願いします。
なお、傍聴につきましても、本日も会場の人数を抑えるために、別会場にてオンラインで行わせていただいております。傍聴の皆様におかれましても、御理解いただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
進行に係る説明は以上となりますので、部会長、進行をよろしくお願いいたします。
○守島部会長 皆さん方、おはようございます。ただいまより、第165回「雇用保険部会」を開催いたします。
本日の出欠状況でございますけれども、使用者委員の段委員が御欠席でございます。
それでは、議事に入りたいと思います。頭撮りはいらっしゃいませんね。
本日の議題は、雇用保険制度についてでございます。
事務局から資料について御説明いただき、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
それでは、事務局、御説明をお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料の説明を差し上げます。
まず、資料1を御覧ください。「財政運営について」ということで資料をお出ししてございます。
2ページを御覧いただきますと「令和4年度の失業等給付の収支イメージ」という資料を掲載してございます。先週金曜日に令和4年度予算案が閣議決定されましたので、その予算案に盛り込まれております数字を記載したものとなっております。
令和4年度の欄を御覧いただきますと、保険料収入は0.8兆円となっております。こちらは保険料率の前提でございますけれども、4月から9月までが0.2%、10月から3月までが0.6%という前提になっております。
また、支出ですが、1.6兆円というふうに置いておりまして、令和3年度と同程度の規模を想定してございます。
こちらを前提にいたしますと、差引剰余がマイナス0.8兆円となっておりまして、こちらは足らずの部分を令和3年度末の積立金残高1.3兆円を取り崩すことによって穴埋めをするという想定でございます。
また「雇用安定事業費へ貸し出し」という欄で、マイナス0.5兆円という記載がございます。こちらは雇調金の財源に充当するために積立金から二事業へ貸し出す金額でございます。こちらも令和3年度末の積立金残高1.3兆円から捻出する形になりますので、差引き令和4年度末の積立金残高が0.0兆円となっております。こちらは0円ということではなくて、500億円弱ほど計上しておりますけれども、単位の都合上、このような表記となっております。
また、一番下の貸出累計額のところでございますが、令和4年度0.5兆円の貸出しとなりますので、令和3年度までの累計額2.6兆円に0.5兆円を足しますと3.1兆円となっております。
3ページでございます。「新しい国庫繰入規定の運用イメージ」という資料でございます。
国庫負担の割合を適用する判断基準といたしまして、N年度の受給者実人員が70万人以上、かつN年度決算の弾力倍率が1未満であるといった場合には、国庫負担率N+2年度における国庫負担割合を4分の1とするルールを想定しております。
四角の中の「I.通常のケース」を御覧いただきますと、受給者実人員が70万人以上という前提でございますけれども、N年度の弾力倍率が1未満であるという決算の結果がN+1年度の夏頃に確定いたします。これを踏まえて、N+1年度の冬にN+2年度の予算案を作成いたしますが、そのときのN+2年度の国庫負担割合は4分の1になるというルールになっております。
この場合、N+1年度の決算が出た後に国庫繰入を行った場合、この繰り入れた額をN年度の計算の中に盛り込むということで計算し直した結果、弾力倍率が1を超えるケースにつきましてはN+2年度の国庫負担割合を40分の1とする仕組みを導入することを考えております。
下の(注)のところを御覧いただきますと「保険料に関する弾力倍率を計算する際は」という記載がございます。上の四角の計算は国庫負担の弾力計算の方式で、保険料の弾力計算につきましては、N+1年度の弾力倍率が1を超える場合にはN+3年度の保険料率の本則以上の引上げを避けることにつながることになります。
次に、4ページを御覧いただければと思います。国庫繰入規定が発動されるという具体的なケースにつきまして、受給者実人員の推移を幾つかのパターンを置いてシミュレーションしてみたものでございます。
上の四角書きのところを御覧いただきますと、国庫繰入が想定されるケースは3つございます。1つは、収支が崩れて失業等給付費等の支給停止を防止する必要がある場合。2つ目が、積立金残高が著しく不足しており、雇用保険財政の安定化が必要となる場合。3つ目が、N年度の雇調金等への追加貸出が必要となる場合でございます。シミュレーションの中では具体的にマル1とマル2のケースについて数字を置いて御説明をいたしたいと思っております。
下の表を御覧ください。「N年度」とありますが、具体的には令和4年度の予算の状態を想定しております。保険料率0.4%、収入が0.8兆円に対して、支出が1.6兆円、差引剰余がマイナス0.8兆円でございます。こちらは前年度、N-1年度の積立金残高でこちらの差引剰余を埋めておりますので、積立金残高は結果として0兆円という状態になっております。
この状態で、N+1年度の受給者実人員が55万人、N+2年度の受給者実人員が70万人になるという、急激に雇用情勢が悪化するようなケースを想定しております。N+1年度は保険料率0.8%を本則という水準と仮定いたしますと、収入が1.6兆円になります。これに対して支出が1.8兆円となっております。
これにつきましては、一番下の※のところに「支出には、失業等給付費等のほか、事務費と予備費(計2,000億円程度)が含まれている」という記載がございます。1.6兆円の失業等給付費に2000億円、事務費等が含まれているといった前提で、差引剰余がマイナス0.2兆円となります。前年度の積立金残高は0円でありますので、この年、N+1年度の積立金残高はマイナス0.2兆円となってしまいます。
さらに、N+2年度、70万人の実人員になるという想定ですので、さらに支出額が増えまして、差引剰余はマイナス0.4兆円となります。積立金残高は、この赤字が累計をいたしますので、マイナス0.6兆円となります。このN+2年度は受給者実人員が70万人となっておりますので、かつ国庫負担の弾力倍率を計算すると1を下回っているという状態になります。このため、N+4年度の国庫負担割合が4分の1になるという状態になっております。
このような前提で、機動的国庫繰入を行うといったケースを右側に想定してございます。N+1年度もN+2年度も保険料率は0.8%でありますので、機動的国庫繰入の要件を満たしております。したがいまして、N+1年度には収支差を埋めるために0.2兆円、それから、積立金が非常に薄い状態でありますので、安定化を図るために何らかの国庫繰入が行われる可能性もございます。また、N+2年度につきましては弾力倍率が1を下回っており、かつ70万人という状態でありますので、弾力が1を超えるような規模感で繰入れが行われる可能性もございます。
5ページを御覧ください。こちらは実人員55万人、70万人という同じ想定の下に、仮に国庫負担割合がN年度以降4分の1となった場合につきまして推計したものでございます。
収入の欄ですけれども、保険料収入に加えまして、本則となった場合、2000~3000億円程度。本則4分の1と仮に計算した場合に、国庫が2000~3000億円程度入っているという前提で数字を置いてございます。この場合、国庫負担割合が4分の1であったとしても、別途、機動的に国庫を繰り入れる仕組みがない場合は、N+2年度が赤になっておりますが、収支が耐えられないおそれがございます。
次に、6ページでございます。実人員の推移について、N+1年度とN+2年度が55万人で横ばいになるという前提を置いてございます。
この場合、差引剰余がそれぞれの年度でマイナス0.2兆円となっております。この場合、0.8%の保険料率でありますので、こちらも機動的国庫繰入の要件を満たしておりますので、それぞれ収支差を埋めるといった繰入れが行われる可能性がございます。
7ページにつきましては、同じ実人員の前提で、国庫がN年度以降4分の1となった場合を想定してございます。こちらは、単年度の収支はほぼとんとんで進んでいくのですけれども、積立金残高が0.2兆円ということで、非常に薄い状態が続くことになります。
ケースのマル3でございます。8ページになります。N+1年度が55万人、N+2年度が65万人という前提を置いてございます。こちらの場合も、ケースのマル2と同様の国庫繰入が行われるというふうに想定されております。
9ページにつきましては、国庫負担割合がN年度以降4分の1となった場合につきまして、こちらもケースのマル2とほぼ同じような推移となっております。
10ページで「弾力倍率の計算式のイメージ」でございます。前回の部会におきまして、保険料と国庫負担で弾力の計算式が違うのであればきちんと資料をお出しするようにという御意見がございました。そちらを踏まえて、こちらは作成したものでございます。
上の雇用保険料(失業等給付分)の計算式につきましては、徴収法に規定がございます。これに対して国庫負担の弾力計算で、雇用保険法施行令において新たに規定する予定でございます。
上と下の違いでありますが、下の国庫負担のところでプラスN+1年度における機動的繰入規定に基づく国庫負担額という赤字の部分がございます。N+1年度を、N年度の決算を用いて弾力計算をするのですけれども、事後的にN+1年度に機動的繰入を行った場合にはその額も含めて再計算するということでございます。
一番下の※書きのところにございますが、N+1年度における機動的繰入規定に基づく国庫負担額を考慮して弾力倍率(国庫負担)が1倍以上となる場合は、N+2年度の国庫負担割合は40分の1となるというルールになっております。
資料1については以上でございます。
次に、資料2を御覧いただければと思います。保険部会の報告案でございます。
給付の部分につきましては、前回の部会にお出しいたしまして、皆様の御意見をいただきましたので、そちらを反映させたものとなっております。財政運営につきましては、今回新たにお示しさせていただくものでございます。
幾つかの修辞的な修正ですとか、あとはほかとの並びで脱字を修正したりといったことがございますけれども、中身に関わる修正といたしましては、3ページを御覧いただければと思います。こちらは前回の部会におきまして、離職してから起業して、その後、やむを得ず廃業に至った場合、改めて求職活動に入る場合に、基本手当を受給できるように受給期間の特例を設けるという改正についてで、その受給期間の特例を設ける期間について、どのようなことを想定しているのかという御質問がございました。
こちらにつきましては、疾病、出産、育児につきまして、現行最大4年間まで延長する仕組みがございまして、それとの並びで新制度を設けることを想定しておりますので、その旨、記載したものでございます。
4ページを御覧ください。前回、こちらの部分について3年間に限り延長すべきであるという記載があるが、ほかとの並びが悪いということで「に限り」といった表現を削除してございます。
5ページを御覧ください。一番上の○で「看護師・准看護師の講座受講者が全体の40%以上を占めている」といった記載を削除しております。
こちらにつきましては、特定の業種についてネガティブな印象を与えるのではないかという御指摘をいただきましたので、その上の部分に「雇用の安定性、労働条件向上の効果など」といった記載を盛り込むことで、全体として同じような趣旨を維持したいと考えております。
それから、2つ目の○でございます。受給者の動向を確認するための手法の見直しという点について、もっと具体的にどのような方法を考えているのかを書き込むべきであるといった御意見があったことを踏まえて修正したものでございます。
6ページを御覧ください。上から4つ目の○でございます。こちらは3の欄に書くと3のことについてだけ言っているように見えてしまうという御意見が前回ございましたので、《1~3共通事項》という見出しをつけました。
さらに、この点に関連して使用者代表委員から、給付面の対応については財源確保と同時に検討されるべき旨の意見があったという内容を追記してございます。
それから、6ページの一番下のところでございます。休業支援金につきまして、コロナ禍における異例の対応ということを書き込むべきであるといった御意見を踏まえて追記したものでございます。
7ページを御覧ください。雇調金の特例措置についての記載でございます。こちらは段階的な縮減ありきではなくて、今後の雇用情勢を受けて内容を検討すべきであるといった御意見があったことを踏まえて修正したものでございます。
8ページの一番上については、ほかとの並びで表現を適正化したものでございます。
「5.財政運営について」が今回初めてお出しをするところになります。
雇用保険財政につきましては、過去に例を見ない危機的な状況にあるということで、その立て直しを図ることが喫緊の課題としております。この雇用保険制度でございますが、労使が負担する保険料と国庫負担によって運営されるものであって、将来にわたって安定的な運営を確保し、予期せぬ景気変動に伴う雇用情勢の悪化が生じたとしても十分対応できるものとしていくことが最も重要であるというふうに記載しております。
まず、保険料率についてでございます。9ページの1つ目の○ですけれども、これまでの料率の推移について記載しております。失業等給付に係る保険料率につきましては、平成28年の雇用保険法改正時に、当時の過去10年平均の受給者実人員である61万人に単年度で対応し得る率として1,000分の8を原則としておりました。その後、雇用情勢が良好に推移して積立金残高も高い水準にあったということで、平成29年度から令和3年度まで法律で暫定的に1,000分の2を引き下げた上で、弾力倍率が2を超えていたことを踏まえて、さらにその1,000分の4引下げが行われて、この間1,000分の2とされてきたところでございます。
次の○で、令和4年度の失業等給付の料率についての記載でございます。雇用保険料率につきましては中期的な財政バランスを念頭に設定すべきという考え方を記載した上で、現在の雇用情勢が良好な時期と悪化した時期における実人員の水準等に鑑みますと、原則の保険料率1,000分の8は引き続き、原則、本則として妥当な水準であると考えられます。
その上で、令和2年度の弾力倍率が1.85ということで、弾力条項に基づく引下げが可能な2を下回る状態になっております。さらに、法律によって暫定的に1,000分の2引き下げていた措置が今年度末で期限を迎えることから、1,000分の8の原則に戻ることになりますが、全体的に回復途上にあるものの、コロナの経済への影響もいまだに残っている状況に鑑みまして、令和4年度に限り、4月から9月までは1,000分の2、10月から3月までは1,000分の6とすべきであるとしております。
次が、育休の保険料率でございます。こちらにつきましては、従前のトレンドで支出の増加が続くことを前提としても令和6年度まで安定的な運営が可能であることが確認できましたことから、1,000分の4のままとすべきとしております。その上で、令和2年の雇用保険部会報告のとおり、育児休業給付の在り方等については、男性の育児休業促進策等に係る制度改正の効果等も見極めた上で、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関係諸施策の動向等も勘案しつつ、令和6年度までをめどに検討を進めていくべきであるとしております。
次が、二事業の保険料率でございます。雇用保険二事業に係る保険料率につきましては、原則は1,000分の3.5でありますところ、令和3年度までは弾力条項に基づき1,000分の3とされてきたところでありますが、令和2年度の弾力倍率がマイナス7.65となっておりますので、原則の1,000分の3.5に戻すことが適当としております。
次に、国庫負担でございます。まず、これまでの推移で、雇用保険の国庫負担は、その原則的な負担割合が雇用保険法第66条に規定されておりますが、平成19年度以降、当分の間、原則的な負担割合の55%水準とされ、さらに平成29年度から令和3年度までの間については、原則的な負担割合の10%水準とされてきたところでございます。
まず、失業等給付についてで、失業等給付に係る費用の一部を国庫により負担しているのは、雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済対策・雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきとの考え方によるものでございます。したがって、その具体的な国庫負担割合について変更を加える場合には、国の責任の観点から合理的かつ十分な説明が求められると考えております。また、その際、雇用保険法附則第15条において「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」とされていることについても留意する必要があると考えております。
一方で、今般のコロナ禍における財政運営でございますけれども、雇用保険臨時特例法に基づきまして、令和3年度補正予算において、失業等給付に対して約1.7兆円の国庫負担の繰入れが行われたところでございます。こうした機動的な国庫の繰入れは臨時特例法によって初めて行われたもので、今後における雇用情勢の急激な変動による財政悪化等に備えるための枠組みとしても有効と考えられますことから、こうした機動的な国庫繰入制度を常設的な措置として雇用保険法に位置づけるべきであるとしております。
この点を含めまして、機動的に財政投入できる枠組みを強化という観点から、1、2、3という国庫負担のルールを設けてはどうかと考えております。1につきまして、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には4分の1とする。2、上記以外の場合には40分の1とする。3、さらに、一定の要件の下、1または2とは別枠で機動的に国庫からの繰入れができる新たな国庫繰入制度を導入するというふうにしております。
上記の取扱いとする趣旨でございますが、限られた国家財源の中で、現行国庫負担の本則が4分の1となっていることを踏まえつつ、雇用情勢等に応じて機動的に財政投入ができることとするためでございます。これによって、雇用情勢が急激に悪化したような局面におきまして、保険料率を引き上げるよりも迅速に、必要に応じた金額を繰り入れられることができると思っております。また、このことによって、雇用保険の保険事故である失業は政府の経済対策・雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきとする国庫負担の考え方が変わるものではございません。今後の財政運営に当たっては、この点を十分認識する必要があると考えております。
こうした新たな国庫負担の仕組みを導入するに際して、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化していることの具体的な判断基準を記載しております。国庫負担割合が4分の1になるか、40分の1になるかという判断基準でございます。2つございまして、雇用情勢については、前々年度の各月の受給者実人員の平均が70万人に達しているか否か。かつ雇用保険の財政状況については、保険料率と同じ方法により弾力倍率を計算して1を下回っているか否かとすることが適当と考えております。
また、受給者実人員が70万人以上で、かつ弾力倍率が1を下回る場合、国庫負担割合が4分の1となりますが、新たな国庫繰入制度による繰入れを行うことによって事後的に弾力計算が再計算される仕組みを導入することによりまして、この制度の実効性を担保するとともに、保険料率の弾力条項による本則以上の引上げを発動させないことも可能とすることが適当と考えております。
また、次の○につきましては、機動的国庫繰入の発動要件についての記載でございます。保険料率が1,000分の8もしくは翌年度に1,000分の8になる見込み、つまり、前年度の弾力倍率が2以下であるケースですとか、または積立金の状況や雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合(前年度の弾力倍率が2を超える場合で当該年度の雇用情勢等が急速に悪化している場合)において、新たな国庫繰入制度を発動できる仕組みとすることが適当であるとしております。
なお、こうした仕組みを導入することに伴いまして、求職者給付につきましては、現行の雇用保険法附則第13条の暫定措置の対象から外れることになるというふうに記載してございます。
次に、育児休業及び介護休業の国庫負担についてで、こちらにつきましては、速やかに原則的な負担割合である8分の1に戻すべきでございますが、国の厳しい財政状況下において、失業等給付に対して雇用保険財政の安定のために国庫からの繰入れにより積立金の水準確保が可能となっていること。また今後、育休及びその財源の在り方を令和6年度までをめどに検討を行うことを前提に、こちらの給付の収支状況も踏まえて、令和6年度まで、原則的な負担割合の10%水準とする暫定措置を継続することもやむを得ないとしております。
ただし、育児休業給付の今後の財政運営において、給付の増加率が高い水準で推移した場合、リスクシナリオの場合ですけれども、令和6年度までの安定運営に支障が生じるといったケースも想定されます。こうした場合に備えまして、臨時特例法によって設けられた、育休について積立金から借入れを可能とする仕組みについて、令和6年度まで継続すべき。また、実際に借入れが生ずることとなった際には、その返済の在り方についても検討することを法律上明記すべきであるとしております。
それから、育児休業給付につきましては、男性の育児休業の取得促進等についての総合的な取組の実施状況も踏まえつつ、中長期的な観点から、その充実を含めて、他の子育て支援制度の在り方も合わせた制度の在り方を総合的に検討することが適当としております。
次に、求職者支援制度についてでございます。こちらは「骨太の方針」におきまして「求職者支援制度(中略)について、更なる拡充も見据え、その成果や課題を検証した上で、財源の在り方も含めて見直す」とされているところでございまして、この国庫負担につきましては、冒頭の考え方に照らし、また、雇用保険被保険者でない方を対象とする制度であることや、コロナ禍において、非正規雇用労働者に対するセーフティーネットの充実が求められていて各種の特例を講じているといった経緯も踏まえて、速やかに原則的な負担割合である2分の1に戻すべきとしております。ただ、国の厳しい財政状況にも鑑みまして、まずは、令和3年度までの暫定措置を終了し、原則的な負担割合の55%水準に引き上げることが適当としております。
なお、本制度は雇用保険制度の附帯事業として位置づけられておりますが、政府は引き続き一般財源確保の努力を行っていくべきであるとしております。
これらの暫定措置を実施するといたしましても、育休、介護休業、さらに求職支援制度に対する国庫負担割合を法律上の原則に戻すべきであるという考え方が変わるものではございません。このため、雇用保険法附則第15条を踏まえて、令和7年度以降、安定した財源を確保した上で、第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止することを改めて法律に規定すべきとしております。
「(3)コロナ禍における財政運営について」でございます。
コロナ禍におきましては、臨時特例法によって、財政運営の特例として以下の4つの措置が創設されております。1つ目でございますけれども、一般会計から失業等給付に対して国庫から繰入れをする規定。2番目が、雇調金の日額上限を超える部分の中小企業の部分につきまして、一般会計が負担するという繰入規定。3つ目が、育児休業給付に要する経費について積立金から借り入れることができる規定。4つ目が、雇調金の特例等に要する経費について積立金から二事業へ貸すことができる規定でございます。
このうち、雇調金の日額上限を超えるところに一般会計を入れる部分につきましては令和4年度において延長ということ。さらに、積立金から二事業に貸し出すことができる規定につきましては令和6年度まで延長すべきとしております。また、育休について積立金から貸し出すことができる規定につきましても令和6年度まで延長した上で、借入れが生じる事態となった際には、その返済の在り方について検討することとすべきであるとしております。
それから、マル1でございます失業等給付に対して一般会計から繰り入れることができる規定で、さきに述べましたように、新たな国庫繰入制度を導入するところではございますが、マル4も含めたコロナ禍における財政運営に万全を期するといった観点から、マル1につきましては、当面の措置として、令和4年度において延長すべきであるとしております。
次が、累積債務の問題でございます。令和3年度末時点での借入累計額が2.6兆円に達しているということで、今後もさらに増加していくことが見込まれております。現行の規定におきましては、二事業の剰余に黒字が生じた場合にはその全額を積立金に返還するとされております。
この点につきまして、この多額の借入累計額に達するまで二事業収支の剰余を全て返還に充てることといたしますと、長期にわたって雇用安定資金の積立てが全くなされず、機動的な雇用対策を講じることが困難となることが考えられます。このため、二事業の剰余の2分の1の範囲内で雇用安定資金にも積立てができるようにすべきであるとしております。
また、雇用保険財政の状況や二事業の実施の状況等を勘案して、返済必要額から控除することができるような仕組みを設けるべきであるというふうに記載してございます。
さらに、雇用安定資金に積み立てた金額を含めて、借入額に係る返済の在り方につきましては、雇調金等の支出が平常化した後において、二事業への貸出原資である積立金に労働者が拠出した保険料が含まれていることや失業等給付の積立金及び雇用安定資金の状況等も踏まえて、令和6年度までを目途に、改めて検討することを法律上明記すべきであるとしております。
最後に「(4)弾力条項の取扱いについて」でございます。
現行制度におきまして、積立金、それから、安定資金に係る弾力倍率の計算に当たっては、臨時特例法によって設けられた貸し借りの金額については、全額が返済された状態を前提として計算することになっております。
この点につきまして、積立金から二事業へ貸し出している金額が多額に上っている現状ですとか、二事業に係る積立金からの借入れについて返済の猶予ないし返済の在り方について検討を行うこととするのであれば、当面、全額返済された状態を前提とした積立金及び安定資金の額と、実勢に即した積立金及び安定資金の額との間で大幅な乖離が生じることになります。
これを踏まえて、雇用保険財政の安定運営の観点から、失業等給付の積立金及び安定資金に係る弾力倍率の計算において、返済されていない貸借額は考慮せず、実勢に即した金額に応じて計算することとすべきであるとしております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見・御質問がありましたらお伺いしたいと思います。
それでは、冨高冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、資料の内容に入る前に、雇用保険会計を審議する場合の本部会の位置づけについて確認したいと思います。
今回御説明していただいた内容や報告書の中身も含めて、財政審の建議などの影響を非常に強く受けている印象が強いわけでございますけれども、1点確認したいのは、この雇用保険の費用負担者の代表である労使委員がこの雇用保険制度に関する審議に参画している本部会、それから、労政審は雇用保険制度運営における最終的な意思決定機関であると認識されているのかどうかについて、まず事務局に確認したいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○長良雇用保険課長 労政審、それから、雇用保険部会の位置づけでございます。労働政策審議会は労働政策に関する重要事項を審議するということで、典型的には制度の改正などに関してこれまでも公労使から意見をお聞きして、それを踏まえた形で制度の立案を行ってきているところでございます。また、雇用保険部会に関しましても同様のことが言えますし、雇用保険部会に関しましては労使が費用負担者であることも勘案して制度の運営を進めていく必要があろうと思っております。
したがいまして、今回の制度の見直しにおきましても、労働政策審議会、それから、雇用保険部会の御意見を踏まえて対応していくことはほかの法律と何ら変わりはないというのが私どもの理解でございます。
○守島部会長 では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
今のを聞いた上で、議論の進め方も含めてなのですけれども、部会の報告自体がまだ取りまとまっていない中で2022年度の当初予算の閣議決定がなされたということや、それから、事務局から提案された内容についても、とりわけ国庫負担について、これまで当部会における公労使からの意見が十分反映されているとは言い難いのではないかと思っておりまして、この審議会で意見をすることに本当に意味があるのだろうかと感じることも度々あったわけでございます。
そういった状況の中で、今、御説明いただいたように、この部会は非常に重要な位置づけであると理解したところでございますが、そうであれば、この部会の位置づけにおいての認識を踏まえて、今後、同様のことが繰り返されないように、事務局においては、前回も申し上げたように、資料提示のタイミングも含めて丁寧な部会運営を改めてお願いをしたいというふうに強く要望したいと思います。
もう一つ、国庫負担割合につきましては、これも従来から重ねて申し上げているとおり、政府の雇用政策に対する責任は国の財政状況によって矮小化されるものではないと考えております。事務局案は、雇用情勢や財政状況が悪化している場合以外の国庫負担割合を40分の1として、同時に労使の保険料引上げの段階的なるというものです。とりわけ、国庫負担の部分につきましては、これまでの部会報告などを踏まえると、到底認めることが難しいと考えております。
今回のコロナ禍における支出は主に国による感染症対策であることから、まずは早急に国庫負担割合を本則に戻し、その上で、労使の保険料の引上げのタイミングを延期した場合の差額分については一般会計から補填していくことが必要であるということも申しておきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。
では、千葉委員、お願いいたします。
○千葉委員 ありがとうございます。
まず、資料2の9ページ目以降に記載があるかと思いますが、労使の雇用保険料率の引上げに関しましては、消費行動を含めて、コロナ禍の影響が続いていることから、年限を区切って引上げを行うのではなくて、まずは国庫負担を原則に戻した上で、地域の経済情勢や雇用情勢、感染状況、国民の消費意識などを総合的に勘案して、来年度に改めて部会を開催して決定する必要があるのではないかと考えてございます。
それと、資料1の2ページ目で、囲みの1点目によりますと、保険料率の軽減による減収0.8兆円を積立金から差し引いている形になってございますけれども、先ほどの冨高冨髙委員の発言に関連しますが、財政安定化の観点では減収分の0.8兆円を新たに一般会計から繰り入れる必要があり、繰入れがないと機動的な対策を実施することができないのではないかと考えてございます。
2022年度の当初予算におきまして、この繰入れが計上されていないとするのであれば、予備費により逐次実施していくことが必要であり、一般会計の予備費を活用する枠組みを制度化する議論が必要だと考えてございます。一定期間低減される保険料収入の減少分を加味した額の繰入れがなされるべきではないかと思ってございます。
続きまして、資料1の13ページ目になりますが、失業等給付の国庫負担率の全体像に関する意見で、まず、国庫負担割合を40分の1に決定した背景についてお伺いしたいと考えてございます。率直に、なぜ10分の1や20分の1といった数字ではなく40分の1なのかという理由について正直分からない状況でございます。
まず、受給者実人員70万人かつ弾力倍率1未満の場合を除いて国庫負担割合を40分の1とすることにつきましては、たしか資料2の10ページ目にも記載があったかと思いますが「具体的な国庫負担割合について変更を加える場合には、国の責任の観点から合理的かつ十分な説明が求められる」というくだりがあるのですけれども、そもそも入り口のところのこの40分の1の合理的な説明が行われていないと認識してございます。率直な印象として、4分の1が発動しづらい要件を設定しているようにしか思えないと感じてございます。
国庫負担割合の原則と例外を事実上逆転させる内容も、これに対して納得できる説明が一向になされていないことも雇用政策の担い手としての責任を放棄したと言わざるを得ないということを、労働者を代表する委員の一人として申し上げておきたいと思ってございます。
続きまして、資料1の3ページ目の新しい国庫繰入規定の運用イメージに関連して発言させていただきたいと思います。資料2の記述の中には「機動的に国庫から繰入れができる新たな国庫繰入制度」というふうにございますが、こちらの「II.任意繰入を行うケース」のフロー図につきましては、N年度の決算がN+1年度の夏頃に確定した後に国庫繰入がなされることを想定したものとなってございます。そもそも、コロナ禍のような年度決算が改定する前に枯渇する危険がある財政状況となった場合についてはどのように対応していくのか、疑問がございます。
今年度の補正予算による一般会計の繰入れ、政治日程の都合により大幅に遅れた経緯があることを踏まえますと、新しい国庫繰入規定については機動性に欠けるものであるという印象を持ってございます。このような観点から、ここで示されている案とは別に、危機的状況において機動的な施策を展開するため、一般会計の予備費を投入することを労政審で決定することができる仕組みを創設するようなことを考えていく必要があると考えており、令和4年度からのその議論を当部会で開始することが必要ではないかと考えてございます。
私からは以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
長良さん、お答えになりますか。
○長良雇用保険課長 幾つか国庫負担に関する論点の御質問がございました。私どもとしては、これまでの御説明の中でも申し上げてきておりますけれども、今回の法改正で雇用保険の財政リスクの問題をどのような形でカバーできるかという観点で総合的な検討を行ってきたということでございます。
その財政リスクがある意味、明らかになった段階で迅速に資金投入ができるようにするのが今回の国庫の新たな繰入れの仕組みの一つの枠組みで、この活用を踏まえつつ、定率の部分の繰入れの範囲を設定したいところでございます。当面の国庫負担割合はある意味、最低の負担割合であろうとは思いますが、また、現行の国庫負担の本則に関しましての単年度の雇用情勢の悪化時における対応を、3つを抱き合わせて総合的に本則として位置づける。その中で国の責任を果たしてまいりたいというのが私どものこれまで申し上げてきた御説明になろうかと思います。
その中で、国庫の繰入れに関しまして、例えば年度決算の前に財政が破綻するのではないか、あるいは今年度の補正予算を決定する過程でなかなか繰入れが行われないのではないかという御懸念もあろうかと思います。予備費か補正予算かに関しましては、それは正直申し上げまして、国が政府全体の予算措置をする中でのスケジュールの問題を勘案していくわけでございますが、私どもといたしましては、まず現在、積立金が非常に危ない状況にあること、あるいは雇用調整助成金のみならず失業給付に関してもどのような執行にあるかというものはつぶさに把握してまいりたいと思っておりますし、それぞれについてはデータをホームページなどでも公表しているところでございます。そうした状況を確認しながら、この審議会、雇用保険部会におきましても意見をお聞きしたり財政状況を報告したりということは私どもとしても検討してまいりたいと思っております。
現に、今年度の雇調金の特例措置の延長に際して、財源の観点から繰り返し労使から御意見があった経緯もございます。そのような経緯も踏まえながら、次年度以降、どのような形でこの繰入規定を実効あるものにしていくか、その中でこの部会、労働政策審議会をどのように位置づけていくかに関して検討していきたいと思っております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか。
では、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。労働側の佐藤でございます。
資料の御説明ありがとうございました。私から大きく2点申し上げたいと思います。
まず、1点目が資料1の4ページからございます雇用保険財政が悪化した場合のシミュレーションに関してでございます。5ページ、7ページ、9ページには、仮に国庫負担割合がN年度以降4分の1となった場合、即座に積立金残高が大幅な引上げにならないということであっても、一定の残高回復には寄与することが示されていると思っておりますが、何より国庫負担割合の本則回帰を求めております趣旨といたしましては、あくまで国の雇用政策に対する責任を示すことでありまして、非常時のみ示せばよいわけではないということは改めて労働側から申し上げておきたいと思っております。
それから、4ページ、6ページ、8ページにございますが、N+1年度の積立金残高のX兆円、N+2年度のY兆円をどの程度の水準にするかによって国庫からの繰入額が大きく変動することが示されていると思っております。4ページのケースマル1でありますけれども、3ページの「II.任意繰入を行うケース」に該当すると思いますが、4ページ表の下にあるとおり、弾力倍率が1を超えるようにY兆円が1.8兆円を超えないと話にならないということと理解いたしましたが、ケースのマル1で想定しています受給者実人員70万人は極めて深刻な状況・事態でございまして、そもそも、このような状況に至る前に一般会計の予備費の活用を含めた機動的な雇用政策が必要ではないかと考えております。
6ページのケースのマル2、8ページのケースのマル3の場合は、3ページで想定しているように、弾力倍率が1超えとなるような国庫からの繰入れは発動せず、単なる赤字補填にとどまる国庫からの繰入れしかなされないことになってしまうのではないかというふうにも読んでおります。雇用保険の財政運営に当たっては、財政危機の状況が見られた時点ですぐに雇用保険部会が開催され、向こう1年以内の安定運営などに必要な措置やその規模について議論して一般会計からの繰入れにつなげることが重要だと思いますし、まずはそのような仕組みを導入することが必要ではないかと考えております。確実に繰入れが実施される担保のない仕組みで納得せよと言われても正直難しい部分もあるのではないかと考えております。
仮に繰入れの政府内調整がつかない場合に厚労省としてどのように対応されるのかということでありまして、確実に実施されることが担保されているような仕組み、また、そういった内容を明記すべきではないかという点で御意見を申し上げておきたいと思います。
もう一点目1が、10ページにございます弾力倍率の計算式のイメージで、前回御意見を申し上げまして、雇用保険課長より答弁があり、本日示していただいたと思っております。作成ありがとうございます。
この事務局案は弾力倍率を国庫負担割合の適用の基準として用いるということでありまして、それも雇用保険料率の調整の基準とは異なる算式を用いるということで、資料にも徴収法と新たに規定するということで書き分けていただいていると承知しております。
この内容につきましては、先ほど御説明いただきました資料2の15ページの3つ目の○でありますけれども、返済されていない貸借額は考慮せず云々という記載があるわけでございますが、二事業収支に剰余が発生する見通しが立たない現状は当面何ら変化がないと思われますし、雇用保険料率の調整の基準として用いる弾力倍率の算式をこの時点で変更するのかという思いもいたします。
前回申し上げましたが、むやみに制度の複雑化や方針転換をするべきではなく、まずは国庫負担を本則に戻した上で、年度内の一般会計からの予備費の投入や補正予算による一般会計からの繰入れを可能とする制度が必要ではないかという点については、この事務局案を見た上でも改めて意見として申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見・御質問は。
では、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
私からは資料2の6ページになります。真ん中辺りの《1~3共通事項》の部分でございます。基本手当、教育訓練給付、求職者支援制度の全てについて、結果検証と見直しの検討をしていくというものが明記されております。求職者の再就職の希望と実際の再就職先、実際の再就職率、再就職後の定着率など、多角的な観点からPDCAサイクルを回すことによって不断に制度の見直しと充実を図っていくことが重要であると考えておりますので、ぜひともこの点も実効性あるものとしていただきたいと思っております。
意見です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか。
では、三島委員、お願いいたします。
○三島委員 ありがとうございます。
資料2の9ページにあります育児休業給付の在り方についてでありますけれども、これまでの部会での発言も繰り返してきておりますが、育児休業給付等については、国・政府の少子化対策の中心的な支援でありますので、雇用保険会計によらず政府の少子化対策として一般会計にするための制度改正の議論を開始する時期が来ていると考えています。一般会計による事業であれば、請負という形態で働くフリーランスも含め、雇用保険の被保険者以外の労働者も給付の対象となり得ますし、そうした方々も含め、広く国で支援することが極めて重要な少子化対策に資するものであると考えています。
9ページには育児休業給付の在り方についてとして、10ページにかけて令和6年度までを目途に検討を進めていくべきであるというふうに記載がされておりますけれども、そして、その検討は財政運営試算の結果に縛られるものではなく、特に制度設計に関しては令和4年度から検討を開始し、国全体の財政負担の議論も必要であることから、令和6年度よりも前に、速やかに制度設計の結論を得るべきでありますことを意見いたします。
また、最後に12ページから13ページに育児休業給付の財源の記載がありますが、その財源を全額、一般会計が担い、給付の対象者を拡大させることを見据え、まずはその前段として現行の育児休業給付については、現在、休業等給付の積立金から借入れとした措置になっておりますけれども、一般会計から直接繰り入れるべきであることを可能とする規定を設けることとともに、少なくともその国庫負担割合は原則であるべきだということを強く意見を申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。資料を完全に読み切れていませんが、質問をさせていただきます。資料2の14ページの下から2行目のパラグラフのまた書きのところです。「控除することができるようにすべきである」と書いてありますが、具体的にどういうことなのかをもう少し御説明していただければと思います。
もう一つは、15ページの最後のところです。下から2行目ですが「実勢に即した積立金及び雇用安定資金の残高」という計算のベースとなるものが示されておりますけれども、これもどういう意味なのか、また、雇用安定資金についても、実勢に即したというのはどう理解すればいいのかについて教えていただければと思います。
以上、2つです。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○長良雇用保険課長 まず、報告書案14ページの御質問でございます。ここは少し補足が必要かもしれません。
来年度の予算案におきまして、人への投資に関するパッケージというものを予算措置を行っているところで、規模感としては雇用保険二事業で900億円超の予算案を整えているところでございます。これ自体、政府の政策の一つの大きな柱として私どもは位置づけているところで、今後、またその具体化に際しましては審議会でも御意見を賜ればと思っているところでございます。
一方で、雇用保険二事業に関しましては財政的な収支が非常に厳しい状況で、今般、保険料に関連いたしましては来年度より1,000分の3.5に戻るという形を提示させていただいておりますけれども、これを前提としても、この雇用保険二事業の支出の増加によりまして、結果として雇用調整助成金の支出が保険料収入では十分賄えないということがございます。
この人への投資の増額影響分に関連いたしまして、結果的に雇用調整助成金、積立金からの貸出しが増える。もっと言いますと、この補正予算に関連いたしまして一般会計の繰入れを行い、積立金の増強した分に関連いたしまして、この雇用調整助成金の支出が結果的に増加する。この部分をこの14ページで、雇用保険二事業の実施の状況などを勘案して、返済必要額から控除することができるようにする対象として想定しているところでございます。これが1点目です。
続きまして、15ページでございます。「この点」以下の記述でありますが、現在の弾力計算に関しましては積立金からの貸出額を前提に書いてございますけれども、全額返済された状態、つまり、貸した額も含めて弾力計算を行うという対応を取っているところでございます。
一方で、上記のような返済のルールに関しまして一定の猶予あるいは検討を行う場合に、この全額返済された状態を前提とした弾力計算をすることが実態にそぐわないということでございます。ここは制度論的な部分も含まれておりますが、実勢に即した積立金というものは、いわゆる返済があった段階で都度、計算に入れていくという形を取るということで、現在の返済されていない段階での貸借額は考慮しないという整理とできないかというのがこちらの提案の趣旨でございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、菱沼委員が手を挙げていらっしゃいます。
○菱沼委員 ありがとうございます。
幾つか各委員から出されていたところでございますけれども、前回、22日から開催されて、中4日でこういった部会を開かれたということで、事務局も資料作成、いろいろ御苦労されたかと思っております。
何点か意見を申し上げます。労働者委員ですとか平田委員の御意見と若干重なる部分があるかもしれませんが、御容赦いただけたらと思います。
まず、資料1の財政運営について2点ほど意見を申し上げたいと思います。収支イメージの資料作成方法について一言申し上げます。
資料1の2ページの表がありますが、収支イメージでございます。令和3年以降、積立金から雇用安定資金への貸出しの関係等で単位が億単位から兆単位に変わっているということで、令和4年度の予算案を見ていただきますと、失業等給付の国庫負担金が0.0兆円で、積立金残高も0.0兆円となっておりますけれども、先ほど山口調査官から話がありましたが、100億円単位の数字はあるということなので、この辺は注書きでも何かどこか分かるような形で、これだけ数値が出てしまうと独り歩きしてしまう可能性がありますので、その辺は気遣いが必要かと思っております。
それと、お願いでございますけれども、失業等給付の収支イメージを出されたのですが、今後、二事業の収支イメージもやはりセットで見なければいけないのかなと思いますので、今は失業等給付の関係での議論かもしれませんけれども、そういった資料も出していただけたらというのが要望でございます。
それから、部会報告の資料2で、まず6ページで、教育訓練給付の関係では追加で使用者側代表委員からということでありますが、国が養成している部分はあるということなので、ここは一般財源が回ってもいいかなという意見です。
9ページの(1)で、保険料率のところで、半年後に率が変わるということで前回も説明があったと思うのですけれども、やはり現場の事務負担がないような、丁寧に周知を図ることが必要かなというところを意見として申し上げたいと思っています。
それから、10ページ以降の国庫負担の話でございます。これまでも労使委員から申し上げているとおり、平時・有事に関係なく、この国庫負担については国の責任は変わらないかなと思っています。それで、4分の1の国庫負担の流れで一応、数字上残っていますが、現実的には、前回からも繰り返していますけれども、厳しい数字かなと思っています。
先ほど、資料1の5ページでも国庫負担がプラス2000~3000億円という話が資料に出ていたかと思いますが、可能なら本則に戻した形でプラスアルファ機動的国庫投入という話だったと思うので、そういった形で雇用保険財政を不安なく制度を維持していくためには国庫負担が機能していくような実効性が確保されることが必要かなというところです。
それから、資料2の13ページの(3)で、コロナ禍における財政運営でありますけれども、雇用保険臨時特例法の流れではありますが、現状、積立金から安定資金への借入れの流れ、3年間延長ということで部会報告案に記載されているところでございます。本来あるべき姿としては雇用安定資金への直接繰入れですとか累積債務の返済を含めて財政立て直しを図るべきかというところを意見として繰り返し申し上げます。
最後、弾力倍率の話で、佐藤委員ですとか平田委員からお話があったかと思いますけれども、本来であれば貸出しもされた部分も資産という観点もあるのかなと思うのですが、引上げにつながらない形での事務局案であれば、今の緊急時ということであればその案でいくしかないのかなというところを意見として申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見・御質問は。
では、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
前回の部会では報告書案及び財政運営を含む大臣折衝の結果について発言させていただきました。本日は財政運営に係る報告書案が提示されましたので、この点について意見を申し上げます。
まずは保険料率についてです。大臣折衝の結果を踏まえ、報告書案にはコロナ禍の影響による経済への影響が残っている状況や労使の負担感を踏まえ、来年4月から9月までは現状の料率である1,000分の2を据え置き、10月から3月までは1,000分の6とする内容が示されました。年度の前半は現在の料率が据え置かれることは、長引くコロナ禍により厳しい業況に苦しむ企業や労働者への配慮がなされていることから妥当であり、ありがたく思います。
また、年度の後半に1,000分の6に引き上げることについては、年度途中で1,000分の4引き上がるものの、本則から1,000分の2が引き下げられていることから、労使の負担軽減への一定の配慮がなされていると受け止めています。
なお、料率の時限的な引下げは法律事項であると思いますが、新たな変異株による先行き不安など、今後の経済・雇用情勢には不確実性があることから、来年の夏から秋の経済・雇用の状況いかんでは1,000分の6からさらに引き下げられる余地を残しておくことが不可欠であると思います。また、令和5年度以降の料率についても、経済・雇用情勢を踏まえ、柔軟に対応していただきたいと思います。
10月は例年、新たな最低賃金が発効される時期であり、事業主にとっては雇用保険料の引上げと最低賃金の引上げが重なることから、特に中小企業の負担感を考慮し、各種支援策をきめ細かに講じていただくなど、配慮をお願いします。加えて、料率の変更はシステムの改修を伴うことからも、年度途中に料率が変わることは労使双方に対して幅広く周知していく必要があります。雇用保険二事業に係る保険料率については、弾力条項が発動しないことにより、今年度の1,000分の3から、来年度は本則の1,000分の3.5に引き上がると思われますが、事業主の負担増を考慮し、これ以上の引上げをすべきではありません。
次に、国庫負担については、少なくとも本則である4分の1に戻すべき旨を再三申し上げてきました。また、先日の部会で部会長から、「国庫負担の本則復帰は当部会が繰り返し求めてきたところであり、その趣旨を事務局は十分に尊重してほしい」旨の御発言がありましたが、報告書案に示されたスキームはそのとおりとなっておらず、残念です。
ただし、先日の部会で申し上げたとおり、失業等給付は義務的経費であることや、雇用調整助成金に関しても資金の枯渇により支給が滞る事態は絶対に避ける必要があること、また、国庫負担の額の規模や財政運営の機動性等を踏まえると、「国庫からの繰入れ」の部分については前向きに評価します。
仮に報告書案に示されたスキームが採用されるならば、先日の部会で部会長及び各委員からも御発言がありましたとおり、「国庫繰入の実効性」をいかに担保するのか、予見可能性をいかに確保するのかが極めて重要であり、このスキームの根幹に関わることから、どの程度の財政悪化のときに国庫からどの程度の金額を繰り入れるのかに関して考え方や方針を明確にすべきです。
この点については、本日の事務局からの説明を聞き、令和4年度以降の財政運営において、「国庫からの相当規模の金額の繰入れ」が不可欠であり、実効性を確保しなければならないこと、また、「繰入れを行うことによって事後的に弾力計算が再計算される仕組みとすることで保険料率の弾力条項による引上げを発動させないことも可能となる」、すなわち労使の負担増を回避することができるということを、おおむね理解することができました。事務局におかれましては、時間がタイトな中で適切な資料を作成していただいたことに感謝を申し上げます。
また、報告書案には「政府もその責任を担うべきとする国庫負担の考え方が変わるものではない」と記載されていることからも、報告書には「国庫繰入の実効性」が極めて重要であり、実効性を担保すべき旨、さらには「国庫繰入が想定される具体的なケース」や「積立金の規模を一定程度回復させる」など、繰入れの規模感についても明記していただくことを強く求めます。
次に、育児休業給付については、配付資料「財政運営試算で」は、国庫負担を本則の10%に抑える暫定措置が3年間延長された場合、従来どおりの試算では令和7年度に、リスクシナリオでは令和6年度に資金不足に陥るおそれがあるとのことです。改正育児介護休業法の施行、特に出生児育児休業制度の創設により、支出が想定よりも増える可能性があるなど、安定的な財政運営を図ることができない可能性があることを踏まえると、国庫負担は少なくとも本則に戻すことが不可欠であると主張してまいりました。しかし、この主張が反映された内容になっておらず、誠に残念です。
報告書案には、「育児・介護休業給付に係る国庫負担は速やかに原則的な負担割合である8分の1に戻すべきである」との考えが示された上で、令和6年度まで本則の10分の1とする暫定措置を継続する理由として、「国の厳しい財政状況」や「失業等給付に対して雇用保険財政の安定化のために国庫からの繰入れがなされ、積立金に一定水準措置されること」が挙げられています。しかし、暫定措置を継続することは国会の附帯決議の趣旨に反しますし、コロナ禍で多くの企業や労働者が厳しい状況に置かれている中で「国の厳しい財政状況」を理由とすることは適切ではなく、納得感がありません。また、「失業等給付に対して雇用保険財政の安定化のために国庫からの繰入れがなされること」を理由としていますが、区分経理を取っている以上、あくまで別次元の話です。
この案は納得するには至りませんが、仮に暫定措置を継続するならば、育児休業給付について失業等給付の積立金から借入れを可能とする仕組みも令和6年度まで継続することが必要ですし、これらは令和6年度までに厳に限った措置とすることが不可欠です。
なお、「返済の在り方について検討することを法律上明記すべき」との記載がありますが、検討する際には労使の負担を十分に考慮すべきです。
次に、求職者支援制度については、育児休業給付と同様に主張が反映された内容になっておらず、誠に残念です。この案も納得するには至りませんが、暫定措置の廃止については「令和7年度以降」との記載についてできるだけ早期に廃止していただきたいと思います。
最後に、仮にこの報告書案のとおりで決定するならば、「雇用安定資金や育休資金への貸出し」を含め、「国庫からの繰入れ」が雇用保険制度全体の持続可能性や制度の安定化を支える軸になります。したがって、時々の財政当局の方針や考え方、さらには厚生労働省の人事異動によって運用や方針が変わることがあってはならず、実効性の確保には最大限の留意・配慮をしていただくことを強く求めます。また、そうしたことは報告書に明記することでしっかりと担保すべきです。
失業等給付をはじめとした国庫負担率の検討については、丁寧な部会運営を求める意見が労使各側の委員からありましたが、本部会が扱うテーマは労使の負担に直結する非常に重要なものであるため、私も同様の思いを抱いています。一方で、限られた期間の中、限られた回数の部会でできるだけ納得感のある議論をしなければならないこと、また、予算編成作業と並行して議論する必要があったことを踏まえると、致し方ない面があることも理解できます。事務局は労使各側からの指摘を真摯に受け止めて、丁寧な部会運営に努めていただきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見・御質問等はございますか。
では、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私から国庫負担の在り方について、1点述べさせていただきたいと思います。
前回、部会長からもありましたように、国庫負担の在り方は、雇用保険としてどうあるべきかという議論と同時に、やはり国家財政等の在り方との関係において決めざるを得ないのが現状かと思います。その中で、今回のコロナにおいても一般財源の繰入れが機動的に行われてきたと理解しておりますが、今回の報告書案の国庫負担に関する提案はさらにそれをよりシステマチックに行うもの。そういうことを担保するものと理解しております。その側面において、このようなシステムを評価し得る側面もあるのではないかと思います。
もちろん、私としても今日示された収支シミュレーションということで説明が全て尽くされたとは思っておりませんが、今、述べたように、雇用保険財政も厳しいけれども、国家財政も厳しいのだという中で一定程度評価し得るのではないかと思っております。
ただ、その上でこの報告書案に関して、個人的なものですが、一抹の違和感を1点だけ述べさせていただきたいと思います。
それは、先ほどからも意見が出ておりますけれども、この部会の位置づけとも関わるかと思うのですが、やはりこれまでの議論として、部会の総意というか、労使双方とも本則の4分の1に戻すことを主張してきたわけです。言ってみれば、そういう部会としての総意があったにもかかわらず、それをどういうふうに整理した上で今回の提案なのか。今回のようなシステムの必然性が少し見えづらいのかなという気がしております。
もちろん、報告書案全体を読めばこういう提案をせざるを得ない状況も浮かび上がってくるところではあるかと思うのですけれども、全体的な印象として若干、労使双方の4分の1に戻すべきとの主張がやや見えない、なかったかのようにと言うと言い過ぎかもしれませんが、そういう印象を抱かせるかなという気がしておりまして、本来ならば今回の提案の必然性について、もう少し説明が尽くされるべきかなという印象を持っております。
私の印象論で恐縮なのですが、私の意見としては以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見・御質問等はございますでしょうか。
平田委員、お願いいたします。
○平田委員 1つ質問です。資料1の参考資料について、スライドで言うと12番目の大臣折衝の資料に関してです。この一番最後の(3)の記述について、これが報告書、資料2でいうとどこに該当するのかを教えていただければと思います。
それから、意見ですが、国庫負担、雇用保険に関する国の責任について幾つか記述されておりますけれども、何度か申し上げているとおり、国家の財政状況とか積立金の多寡にかかわらず国の責任は変わらないという主張をどこかに盛り込めないかと思っております。
それから、今回、報告書案では、一定の要件の下で、本則とは別枠で機動的に国庫からの繰入れができるという、新たな仕組みが導入されるという提案がありますけれども、その実効性を担保することが不可欠だと思っております。そこで、その実効性を担保するために、具体的にどのようなケースで、どういった手順でそれを発動していくのかということをこの部会で共通認識を持っておくことが必要だと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、お願いします。
○長良雇用保険課長 すみません。ただいまの御質問でございます。資料1の12ページ、参考資料の「(3)雇用保険臨時特例法」の枠組みで、報告書案でいいますと13ページの一番下からのくだりがそれに該当します。マル1がいわゆる臨時特例法に基づく任意繰入、マル2が雇調金の一般会計負担の部分を指すわけでございます。
これらについては、その次の○のところでございます。まず、マル2の雇調金の国庫負担のところは「令和4年度において延長し」と書いてございます。また、マル1、いわゆる任意繰入の部分は、その次の○で、マル1については(2)のとおり新たな国庫繰入制度を導入するところではあるが、コロナ禍における財政運営に万全を期する観点から、当面の措置として、令和4年度においては延長すべきである。そういう形で盛り込んでいるところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見・御質問等はございますでしょうか。
ありがとうございました。
私からも一言申し上げたいと思います。
今回、特に国庫の繰入れについては大分、事務局から資料を提出いただいて、さらにいろいろな意見の交換がなされました。前回も申し上げたのですけれども、国の責任を果たす観点からは新たな繰入規定の実効性が極めて重要だと考えております。この繰入れが実際に発動される、発動が考えられる場面等について、対応について、当部会の報告書に盛り込んでいただきたいと思います。
それから、これも大分多くの委員からの御意見にありましたが、雇用保険財政運営について当部会がしっかりと把握して意見を述べることができることが極めて重要だと考えております。その点も雇用保険部会報告に盛り込んでいただきたいと思います。
あと、今回の雇用保険部会報告書全般について大分意見をいただいたのですけれども、時間もあまりなかったということで、もしこの場で御意見がいただけなかったものがありましたらば、年明けになりますが、次回の雇用保険部会の開催の事前までに事務局に御提示いただければ、事務局で調整の上、適切に次回報告案への反映を行っていただきたいと思います。これらを踏まえて、新しい次の案をぜひ提示していただきたいと思います。
もう一点なのですけれども、雇用保険制度は労使保険料と国庫負担から成り立つ仕組みでございます。今回の制度改正につきましても、制度の持続可能性が本当にこれで担保できるのかということに関しての懸念はなかなか拭えません。今回の補正予算において2兆円規模の一般会計繰入が行われておりますが、これが雇用保険財政の再建につながらず、雇調金の貸出しと保険料負担軽減に使われてしまって、結局、積立金残高がゼロという事態は保険制度として異常であると考えております。
したがって、今回の制度見直しの方向性は、コロナ禍の影響もあり、一定程度やむを得ないものでありますけれども、私としては、今回の制度改正で終わりではなく、これから雇用のセーフティーネットであるところの雇用保険制度を早期に立て直すために、雇用保険制度の在り方について給付と負担の両面から継続的に検討していく必要があると考えております。
今般の制度改正にとどまらない形で、今後とも委員皆様方の御協力をお願いしたいと思います。
では、これで今回の「雇用保険部会」は終わりにさせていただきたいと思います。皆様方、活発な御意見をどうもありがとうございました。
お忙しい中、お集まりいただきありがとうございました。